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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180252
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】側壁構造及びエントランス
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20221129BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20221129BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20221129BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20221129BHJP
【FI】
E04B2/74 541P
E04B2/74 501V
E04B2/74 511J
E04B2/74 541L
F21V33/00 200
F21Y115:10
F21Y103:10
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087262
(22)【出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】598089580
【氏名又は名称】株式会社アーバネットコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100082876
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100086807
【弁理士】
【氏名又は名称】柿本 恭成
(74)【代理人】
【識別番号】100178906
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 充和
(72)【発明者】
【氏名】服部 信治
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014PB00
(57)【要約】
【課題】ストレート形状及び湾曲形状が横方向に連続して形成され、上下にも立体的な形状を有する側壁を外観品質よく十分な強度で構築でき、側壁のデザインの自由度を向上できる側壁構造と、その側壁構造を用いたエントランスを提供する。
【解決手段】ストレート形状及び湾曲形状を横方向に連続して形成したパネル15aを上下に複数段並設した側壁構造であり、上側のパネル15a(又は15b)と、上側のパネルと一部重なるように配置した下側のパネル15b(15c)と、これら隣り合う上下のパネル15aを連結して保持するパネル連結部17と、各パネル15aの背面側に設けて各パネル15を躯体21に支持するパネル支持部19と、を備え、パネル連結部17は横方向に連続して配置され、上側のパネルの下部を正面側に固定するとともに下側のパネル15aの上部を背面側に固定する所定幅の長尺連結部材23を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストレート状及び/又は湾曲状に横方向に連続して形成したパネルを上下に複数列で並設して構成した側壁構造であって、
上側のパネルと、
前記上側のパネルと一部重なるように配置した下側のパネルと、
前記上側のパネルと前記下側のパネルとを連結して保持するパネル連結部と、
前記各パネルの背面側に設けて該各パネルを躯体に支持するパネル支持部と、を備え、
前記パネル連結部は、所定幅で横方向に連続して配置された長尺連結部材を有し、
該長尺連結部材の正面側に前記上側のパネルの下部を固定するとともに、該長尺連結部材の背面側に前記下側のパネルの上部を固定し、これにより下側のパネルに対して上側のパネルを段差状に張り出して配置した、側壁構造。
【請求項2】
前記パネル連結部は、
前記長尺連結部材の上方に該長尺連結部材に沿うように横方向に連続して配置され前記上側のパネルの上部を正面側で固定する上側の横方向補助部材と、
前記上側の横方向補助部材と前記長尺連結部材とを縦方向に連結して固定する縦方向補助部材と、
前記長尺連結部材の下方に所定幅で横方向に連続して配置され前記下側のパネルの上部を正面側で固定する下側の横方向補助部材と、
前記長尺連結部材と前記下側の横方向補助部材とを段差を設けて連結する段差ブラケットと、を有し、
前記パネル連結部により上下のパネルが段差状に連結される、請求項1に記載の側壁構造。
【請求項3】
前記パネル支持部は、
前記各パネルの背面側で前記躯体に固定された支柱と、
前記支柱に前記各横方向補助部材を固定するための固定ステーと、
を有する、請求項2に記載の側壁構造。
【請求項4】
前記上側のパネルの下端縁が前記長尺連結部材より下方に突出して配置され、該長尺連結部材の下面と前記上側のパネルの下部と前記下側のパネルの上部との間で下向きに開口して横方向に連続する凹部が形成され、該凹部内に照明装置が横方向に連続して配置される、請求項1乃至3の何れかに記載の側壁構造。
【請求項5】
前記照明装置はライン状のLEDでなり、該LEDが前記凹部内で前記長尺連結部材の下面に全長にわたって取り付けられて、下側のパネルに向けて照明される、請求項4に記載の側壁構造。
【請求項6】
人の動線を挟んで両側に一対の側壁を備え、一方の側壁は請求項5に記載の側壁構造を備え、他方の側壁は前記一方の側壁を反射可能な反射壁面を備える、エントランス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のパネルを組み合わせてデザイン性に優れる側壁を構築したエントランスの側壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅の玄関や集合住宅のエントランスなどには種々のデザインの壁構造が構築されている。例えば特許文献1では、間隔を空けて配置された複数の長尺材を有する化粧壁部によりエントランス用外壁が形成された集合住宅が提案されている。また立体的な形状にデザインされたものも存在し、特許文献2では、複数の構造用合板を湾曲形状に並べて固定することで曲面壁が形成された曲面壁構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-8435号公報
【特許文献2】特開2011-94305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、側壁を種々のデザインで実現するには、各種の形状に適した壁材や壁材の支持構造が必要となる。建物のうちでも特に外観品質が要求されるエントランスなどの部位では、今後もより立体的な形状の側壁が求められるため、各種のデザイン毎に十分な強度を確保して安定して構築できる構造が望まれている。
【0005】
そこで本発明は、ストレート形状及び/又は湾曲形状を横方向、即ち奥行き方向に連続して設けると共に、上下方向にも奥行き方向にも立体的な形状を有する外観上優れた側壁を十分な強度で構築することができ、側壁のデザインの自由度を向上した側壁構造と、そのような側壁構造を用いたエントランスとを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、ストレート状及び/又は湾曲状に横方向に連続して形成したパネルを上下に複数列で並設して構成した側壁構造であって、上側のパネルと、上側のパネルと一部重なるように配置した下側のパネルと、上側のパネルと下側のパネルとを連結して保持するパネル連結部と、各パネルの背面側に設けて該各パネルを躯体に支持するパネル支持部と、を備え、前記パネル連結部は、所定幅で横方向に連続して配置された長尺連結部材を有し、この長尺連結部材の正面側に上側のパネルの下部を固定するとともに、その背面側に下側のパネルの上部を固定し、これにより下側のパネルに対して上側のパネルを段差状に張り出して配置し、以てパネル連結部により上下のパネルを段差状に連結することを特徴としている。
【0007】
パネル連結部は、上下のパネルを段差をつけて連結して固定するため、好ましくは、長尺連結部材の上方に長尺連結部材に沿うように横方向に連続して配置して上側のパネルの上部を正面側で固定する上側の横方向補助部材と、この上側の横方向補助部材と長尺連結部材とを縦方向に連結して固定する縦方向補助部材と、長尺連結部材の下方に所定幅で横方向に連続して配置して下側のパネルの上部を正面側で固定する下側の横方向補助部材と、長尺連結部材と下側の横方向補助部材とを段差を設けて連結する段差ブラケットと、を備える。
【0008】
各パネルが上下に複数列で確実に固定されるよう、パネル支持部は、好ましくは各パネルの背面側で躯体に固定した支柱と補助部材を支柱に固定するための固定ステーとを有して、各パネルの背面を支持固定する。
【0009】
本発明の側壁構造は、側壁を構成するパネルの各々が光のグラデーションを醸しだすと共に、その光が直接人の目に照射されないようにするため、好ましくは、上側のパネルの下端縁が長尺連結部材より下方に突出して配置され、上側のパネルの下部と下側のパネルの上部との間に、下向きに開口して横方向に連続して凹部が形成され、この凹部内にライン状のLEDなどの照明装置が横方向に連続して配置されて、奥に引っ込んで配置された下段のパネルを照明する。
【0010】
本発明のエントランスにおいて、人の動線を挟んで両側に一対の側壁を備え、一方の側壁に上述のような側壁構造を、他方の側壁には一方の側壁を反射可能な反射壁面を備えるようにすれば、デザイン性に優れた側壁構造を現出できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の側壁構造によれば、ストレート状及び/又は湾曲形状に成形したパネルを上下に複数段に段差状に配置形成することで、ストレート形状及び湾曲形状の側壁を横方向の広い範囲で様々な立体形状に構築することができる。本発明では、上側のパネルにおける下部の背面側に、下側のパネルの上部を均一に所定間隔で離間した状態で連結し、この状態で各パネルをパネル支持部により躯体に支持させてパネルアセンブリを構築しているので、上下に重なるように各パネルが配置された立体形状の側壁全体を、十分な強度で躯体に設置できる。その結果、下側ほど広がる壁面により床面が広く見え、視覚的に広く感じる側壁を外観品質よく十分な強度で構築でき、側壁のデザインの自由度が向上する。
【0012】
本発明の側壁構造において、ストレート形状及び湾曲形状のパネルを多数列に段差を以て配置しても、長尺連結部材を有するパネル連結部により各パネルを広い範囲で安定して固定することができ、パネルの撓みや変形を防止して安定して配設することができる。しかも段差ブラケットにより上側のパネルの下部と下側のパネルの上部とを均一に所定間隔で離間して配置することができ、側壁の外観品質が向上する。
【0013】
本発明の側壁構造では、パネル支持部により、パネル背面側の視認されない位置で、各パネルを連結して上下パネルを強固に支持することができる。しかも上側のパネルの下部と下側のパネルの上部との間の間隔に応じた固定ステーを用いることで、各パネルの上下の位置関係を容易に適切に実現することができる。
【0014】
本発明の側壁構造において、上側のパネルの下部と下側のパネルの上部との間に形成した凹部内に、LEDなどの照明装置をライン状に横方向に連続して取り付け、段差を以て奥側に配置された下段のパネルを照明することで、上縁が明確に区画されて下方にグラデーションを有する光の帯を、凹部に応じた均等な幅で側壁の壁面に横方向に連続して形成することができ、パネルの各々が光のグラデーションを醸しだして側壁の外観品質が向上する。
【0015】
本発明のエントランスは、一方の側壁に上述のような光の帯を横方向に連続して形成可能な側壁構造を備え、他方の側壁に一方の側壁を反射可能な反射壁面を構成すれば、人の動線を挟んで両側の側壁の広い範囲に、動線に沿う方向に連続した光の帯を表示することができ、エントランスの夜間の外観品質をさらに向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る側壁構造を備えたエントランスを正面側から見た外観図で、(a)は日中の状態を、(b)は夜間の状態を示す。
図2】本実施形態の側壁構造を構成するパネルのストレート形状部分及び湾曲形状部分の概略平面図である。
図3図2のA-A断面図である。
図4】本実施形態に係る側壁構造の部分拡大断面図である。
図5】本実施形態のパネル連結部及びパネル支持部を示す部分拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の側壁構造を備えたエントランスを正面側から見た斜視図であり、(a)は日中の状態を、(b)は夜間の状態を示している。
【0018】
本実施形態のエントランスは、一例として集合住宅の出入口とし、エントランスの床及び天井の間が透明な仕切り11及び扉12により内外に仕切られ、図示しない人の動線を挟んで両側に一対の側壁10a,10bが設けられている。このエントランスは、各側壁10a,10bの壁面がそれぞれ仕切り11及び扉12の内外を通して連続して視認されるように同一構造で形成されている。一方の側壁10aには本実施形態の側壁構造が設けられ、他方の側壁10bには一方の側壁10aと対向する略全面に一方の側壁10aの模様や照明などを反射可能な反射壁面13が設けられている。
【0019】
一方の側壁10aに構築された本実施形態の側壁構造は、図1乃至図3に示すように、単数又は複数のパネル15がストレート状及び/又は湾曲状に横方向に連続して配置形成され、このパネル15が上下に複数列で、本例では上下に4列で構成されている。各パネル15は上側のパネル15aとそれに続く下側のパネル15b,15c,15dを順次連結するパネル連結部17により、それぞれ上下及び左右に連結され、上側のパネル15aと下側のパネル15bとは所定の位置関係で保持されている。さらに各パネル15a~15dの背面側にそれぞれ設けられたパネル支持部19により躯体21に強固に支持されている。
【0020】
各パネル15には横方向、例えばエントランス入り口から奥側へ連続してストレート形状及び湾曲形状が形成されている。ストレート形状は横方向に平面状に広がり、湾曲形状は横方向に各種の曲率で湾曲した曲面形状であるが、湾曲形状は縦方向に膨出して形成してもよい。曲率は変化、反転していてもよく、複合してもよい。本実施形態では、各パネル15の湾曲形状は平面視で同じ中心位置となるように形成され、上側のパネル15より下側のパネル15における湾曲形状の曲率半径が小さくなるとともに、3列以上のパネル15において下側ほど曲率半径が均等に小さくなっている。各パネル15は、塑性変形可能な金属等の板状体からなり、側壁10aの配置に応じたストレート形状又は湾曲形状に成形され、図4に示すように下端部がそれぞれ背面側に屈曲している。
【0021】
次に、上下のパネルを順次連結するパネル連結部17の具体的構造について説明する。図2乃至図5に示すように、上下の列の隣り合う上側のパネルと下側のパネルはパネル連結部17によって互いに連結される。パネル連結部17は、一方の側壁10aに横方向に連続して配置されて上側のパネルの下部と下側のパネルの上部とを固定して連結する長尺連結部材23と、長尺連結部材23の上方に長尺連結部材23に沿って横方向に連続して配置されて上側のパネル15aの上部を固定する横方向補助部材25と、上側の横方向補助部材25と長尺連結部材23とを縦方向に連結して固定する縦方向補助部材27と、下側に配置されているパネル15aの上部を固定する横方向補助部材25と長尺連結部材23とを段差を設けて連結する段差ブラケット29と、を有する。
【0022】
長尺連結部材23は断面略四角形状の軽量鉄骨からなり、全長にわたり所定幅を有し、側壁10aに対応したストレート形状及び湾曲形状に成形されて横方向に連続して配置される。長尺連結部材23の正面側の側面には上側のパネル15aの下部が固定されるとともに、その背面側の側面には下側のパネル15aの上部が固定される。本実施形態では、下側のパネル15の上部が後述する横方向補助部材25と段差ブラケット29を介して間接に長尺連結部材23の背面側の側面に固定されている。図4に明瞭に示すように、パネル連結部17により上側のパネル15a(又は15b)とその下側のパネル15b(又は15c)とが連結されることで、各パネル15aと15b、又はパネル15bと15cとの各対がそれぞれ所定の位置関係で連結される。本実施形態では、パネル連結部により上側のパネルの下部が前方へ下側パネルの上部が後ろ側へ配置されて、上側のパネルが張り出すように段差状に連結されている。これに代え、上側のパネルの下部を後ろ側へ、下側の上部を前方へ配置して、下部のパネルを張り出すように段差状に連結してもよい。
【0023】
横方向補助部材25は、本実施形態では長尺連結部材23と同様の断面四角形状の軽量鉄骨からなり、全長にわたり所定幅を有して側壁10aに対応したストレート形状及び湾曲形状に成形されて横方向に連続して配置される。図4において、上側のパネル15bの上部が横方向補助部材25の正面側の側面に固定されている。本実施形態では、横方向補助部材25は長尺連結部材23の鉛直方向上方に、全長にわたり平行に配置されている。
【0024】
縦方向補助部材27は、長尺連結部材23及び横方向補助部材25と同様の断面四角形状の軽量鉄骨からなり、各パネル(例えばパネル15b)において上部に固定する横方向補助部材25とそのパネル15bの下部に固定する長尺連結部材23との間を上下に架け渡して固定されている。
【0025】
本実施形態では、図4において、例えば第2列目のパネル15bの上部に固定した横方向補助部材25の正面側の側面と下部に固定した長尺連結部材23の正面側の側面と縦方向補助部材27の正面側の側面とが連続するように形成され、これらの正面側の側面にパネル15bが支持されている。支持されたパネル15bは、ストレート形状であっても湾曲形状であっても壁面を構成するパネル正面が鉛直方向に沿って配置される。
【0026】
図4の第2列目及び第3列目のパネル15b,15cの連結構造に例をとると、段差ブラケット29は、上側のパネル15bの下部に固定した長尺連結部材23と下側のパネル15cの上部に固定した横方向補助部材25とを段差状に連結する。本実施形態の段差ブラケット29は、断面略L字状に形成され、横方向補助部材25の上面と長尺連結部材23の背面側の側面とに固定される。このようにして、長尺連結部材23の正面側に上側のパネル15bの下部背面がビス止めにて固定されるとともに、該長尺連結部材23の背面側に下側のパネル15cの上部を固定する段差ブラケット29がビス止めにて固定され、これにより、下側のパネル15cに対して上側のパネル15bが段差状に張り出して固定される。第1列目のパネル15aと第2列目のパネル15bとの連結構造も同様にして、上側のパネル15aが下側のパネル15bに対して段差状に張り出して固定される。
【0027】
次に、パネル支持部19の支持構造について説明する。パネル支持部19は、各パネル15a,15b,15cの背面側に設けられていて、それぞれのパネル15を保持した上下パネル連結部17を躯体21に強固に固定して支持している。パネル支持部19は、各パネル15の背面側の空間に横方向に間隔をあけて立設され、躯体21に固定された支柱31と、横方向補助部材25及び縦方向補助部材27の一方又は双方を支柱31に固定するための固定ステー33と、を備える。
【0028】
支柱31は躯体21の床部、天井部、壁部等に固定された状態で、複数、好ましくは全てのパネル列15の高さに連続して略鉛直縦方向に立設される。固定ステー33は、一端側で支柱31に固定され、略水平横方向に延び、先端側で横方向補助部材25及び縦方向補助部材27に固定される。本実施形態では、各固定ステー33は、その長さが下方ほど段差分ずつ短く形成され、各固定ステー33を各高さ位置の横方向補助部材25及び縦方向補助部材27に固定して同じ支柱31に固定される。
【0029】
以上説明したパネル連結部17及びパネル支持部19により、各パネル15を連結支持した状態では、正面視で左右に隣り合うように配置した各パネル15は、横方向に連続した長尺連結部材23及び横方向補助部材25に固定されている。そのため左右に隣り合うパネル15の正面同士が滑らかに連続して配置され、各パネル15の壁面が横方向に滑らかに湾曲して又は直線状に連続する。また、正面視で上下に隣り合うように配置された上側のパネル15aと下側のパネル15aとは、何れの位置でもパネル連結部17の側面間の幅で、具体的には、横方向補助部材25及びこれと同一幅の長尺連結部材23の幅で固定されている。そのため上下に隣接するパネル15の壁面同士が略全長にわたり所定間隔で段差状に離間して配置される。
【0030】
本実施形態では、さらに図4に示すように、上側のパネル15a(又は15b)の下端縁が長尺連結部材23より下方に突出して配置されていて、上側のパネル15a(又は15b)の下部と下側のパネル15b(又は15c)の上部とが上下に所定長さで重なるように配置されている。そのため、長尺連結部材23の正面及び背面にそれぞれ連結された上側のパネル15a(又は15b)の下部と下側のパネル15b(又は15c)の上部と該長尺連結部材23の下面との間に、下向きに開口して横方向に連続する凹部35が形成される。
【0031】
凹部35内には、照明装置としてライン状のLED37が横方向に連続して配置されている。本実施形態では、凹部35の底部となる長尺連結部材23の下面に、LED37を弾性的に挟持するクリップが間隔をあけて装着され、長尺連結部材23の略全長にわたってライン状のLED37が着脱可能に下向きに保持されている。従って、ライン状のLED37の点灯時は、パネル15間の凹部35から下向きに光が照射し、間接光によりエントランス内を照明することができるとともに、図1(b)に示すように、側壁10aに横方向に連続した光の帯を、各パネルにおいて上側から下部になるに従って、明度が低くなるようなグラデーションを呈するように形成することができる。
【0032】
本実施形態の側壁構造によれば、上側のパネル15aと下側のパネル15bとをパネル連結部17で連結して保持することで、ストレート形状及び湾曲形状のパネル15を横方向の広い範囲で、且つ、上下方向に複数列に構築することができる。本発明ではとくに上側のパネル15下部の背面側に、下側のパネル15aの上部を均一に所定間隔に維持した状態で連結することで立体形状に保持できる。さらに、この状態で各パネル15をパネル支持部19により躯体21に支持するので、立体形状の側壁10a全体を十分な強度で躯体21に設置することができる。従って、側壁10aを奥行きのある多重構造に見せることができ、立体感が得られるとともに、下側ほど広がる空間によって床面が広く見え、外観品質よく十分な強度で側壁10aを構築でき、デザインの自由度が向上する。
【0033】
また本実施形態の側壁構造では、長尺連結部材23の上方に長尺連結部材23に沿うように横方向に連続して上側の横方向補助部材25を配置して上側の横方向補助部材25と長尺連結部材23とを縦方向補助部材27で縦方向に連結して固定し、パネル15aの上部を上側の横方向補助部材25の正面側に固定するとともにパネル15aの下部を長尺連結部材23の正面側に固定している。そのためストレート形状及び湾曲形状をなしてパネル15aを配置しても、長尺連結部材23及び横方向補助部材25により各パネル15を側面に沿って奥行き方向に長い距離で連結でき、パネル15の撓みや変形が生じることなく安定して配設することができる。
【0034】
しかも段差ブラケット29により長尺連結部材23と下側の横方向補助部材25とを段差を設けて順次奥側に引っ込むように連結するので、側壁10aの横方向の長い範囲で、上側のパネル15a(又は15b~15n-1)の下部と下側のパネル15b(又は15c~15n)の上部とをより均一に所定間隔をあけて配置することができ、側壁10aの外観品質がさらに向上する。
【0035】
さらにパネル支持部19において、各パネル15aの背面側で躯体21に固定した支柱31に横方向補助部材25及び縦方向補助部材27を固定ステー33により固定して、パネルアセンブリを構築している。そのため各パネル15の背面側の視認されない位置で、パネル連結部17を強固に支持することができる。そして、上側のパネル15の下部と下側のパネル15の上部との間の間隔に応じた固定ステー33を用いることで、各パネル15aの上下の位置関係を容易に適切に設定することができる。
【0036】
また、上側のパネル15aの下部と下側のパネル15aの上部との間に、下向きに開口して横方向に連続する凹部35を設け、この凹部35内にライン状のLED37を横方向に連続して配置することで、パネルごとに上縁が明確に区画されて下方にグラデーションを有する光の帯を、凹部35に応じた均等な幅で側壁10aの壁面の奥行きに向かって横方向に連続して形成でき、側壁10aの外観品質の向上に資する。
【0037】
本実施形態のエントランスによれば、一方の側壁10aに上述の光の帯を横方向に連続して形成可能な側壁構造を備え、他方の側壁10bには一方の側壁10aを反射可能な反射壁面13を備えるよう構成すると、人の動線を挟んで両側の側壁の広い範囲に、入り口から奥側の動線に沿う方向に連続した光の帯を表示することができ、エントランスの夜間の外観品質が一層向上する。
【0038】
本実施形態のエントランスでは、パネル15が上下方向に3列以上の複数列で設けられているので、横方向に連続する凹部35を互いに平行に複数本設けることで、複数本の光の帯を互いに平行に連続して表示できる。エントランスは居住用建築物のみならず、店舗や各種展示場などの出入り口であってもよい。
【0039】
上記実施形態は本発明の範囲内で適宜変更可能である。例えば上記実施形態では、側壁10aの形状として図1及び図2に示す形状を例示したが、側壁10aの形状は何ら限定されるものではない。例えばストレート形状や湾曲形状の位置、大きさ、向き、形状などは適宜設定可能であり、パネル列15の段数も適宜設定可能である。上記実施形態ではパネル15aとして金属等の板状体の例を説明したが、パネル15aの材質や形状、及び、パネル背面のパネル連結部及びパネル支持部19などの骨組み構造は金属材に限らず、剛性を担保できれば木材や合成樹脂材などで形成することは任意である。
【0040】
また上記では、横方向補助部材25と長尺連結部材23とを段差状に連結する段差ブラケット29として、横方向に連続する横方向補助部材25及び長尺連結部材23に部分的に設けた例について説明したが、特に限定されるものではなく、広い範囲に連続して設けることは可能である。なお、下側のパネル15aの上部が間接的に長尺連結部材23の背面側の側面に固定された例に限らず、直接固定されていても構わない。
【符号の説明】
【0041】
10a 一方の側壁
10b 他方の側壁
11 仕切り
12 扉
13 反射壁面
15,15a,15b,15c,15d パネル
17 パネル連結部
19 パネル支持部
21 躯体
23 長尺連結部材
25 横方向補助部材
27 縦方向補助部材
29 段差ブラケット
31 支柱
33 固定ステー
35 凹部
37 LED
図1
図2
図3
図4
図5