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特開2022-180264車輪の固定器具、車輪装置、及び仮設足場
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180264
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】車輪の固定器具、車輪装置、及び仮設足場
(51)【国際特許分類】
   B60B 33/00 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
B60B33/00 J
B60B33/00 501Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087281
(22)【出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】592192907
【氏名又は名称】日建リース工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000101662
【氏名又は名称】アルインコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】橋場 健二
(72)【発明者】
【氏名】伴 和夫
(72)【発明者】
【氏名】美濃 咲月
(57)【要約】
【課題】車輪またはホルダの向きを強固に保持することが可能な車輪の固定器具、車輪装置、及び仮設足場を提供する。
【解決手段】本発明に係る車輪の固定器具は、支柱と、前記支柱の下端部に、当該支柱の軸線周りに回転可能に取り付けられるホルダと、前記ホルダに回転可能に取り付けられる車輪と、を有する車輪モジュール、に取り付けられる車輪の固定器具であって、前記支柱に固定され、前記支柱の軸線周りに位置決め可能な固定部と、前記固定部から前記ホルダ側に延びるように取り付けられ、前記ホルダ及び前記車輪の少なくとも一方を挟持可能な一対の挟持部と、を備えている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱と、前記支柱の下端部に、当該支柱の軸線周りに回転可能に取り付けられるホルダと、前記ホルダに回転可能に取り付けられる車輪と、を有する車輪モジュール、に取り付けられる車輪の固定器具であって、
前記支柱に固定され、前記支柱の軸線周りに位置決め可能な固定部と、
前記固定部から前記ホルダ側に延びるように取り付けられ、前記ホルダ及び前記車輪の少なくとも一方を挟持可能な一対の挟持部と、
を備えている、車輪の固定器具。
【請求項2】
前記固定部は、前記支柱の軸線方向に位置決め可能に構成されている、請求項1に記載の車輪の固定具。
【請求項3】
前記一対の挟持部は、それぞれ、棒状に形成されている、請求項1または2に記載の車輪の固定具。
【請求項4】
支柱、前記支柱の下端部に、当該支柱の軸周りに回転可能に取り付けられるホルダ、及び前記ホルダに回転可能に取り付けられる車輪、を有する車輪モジュールと、
請求項1から3のいずれかに記載の車輪の固定器具と、
を備えている、車輪装置。
【請求項5】
前記車輪モジュールにおいては、前記支柱と前記ホルダと距離が調節可能に構成されている、請求項4に記載の車輪装置。
【請求項6】
トンネル内に設置される仮設足場であって、
上下方向に延びる第1支柱と、前記第1支柱の下端部に、当該第1支柱の軸周りに回転可能に取り付けられる第1ホルダと、前記第1ホルダに回転可能に取り付けられ、前記トンネルの内壁面に当接可能な第1車輪と、を有する複数の第1足場モジュールと、
いずれかの前記第1足場モジュールの第1支柱に連結され、水平方向に延びる第2支柱と、前記第2支柱の一端部に、当該第2支柱の軸周りに回転可能に取り付けられる第2ホルダと、前記第2ホルダに回転可能に取り付けられ、前記トンネルの内壁面に当接可能な第2車輪と、を有する複数の第2足場モジュールと、
前記第2支柱の少なくとも1つに取り付けられる車輪の固定器具と、
を備え、
前記車輪の固定器具は、
前記第2支柱に固定され、前記第2支柱の軸線周りに位置決め可能な固定部と、
前記固定部から前記第2ホルダ側に延びるように取り付けられ、前記第2ホルダ及び前記第2車輪の少なくとも一方を挟持可能な一対の挟持部と、
を備えている、仮設足場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪の固定器具、車輪装置、及び仮設足場に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の台車では、板状の支持台の下面に、上下方向に延びる軸周りに回転に固定されホルダが取り付けられ、このホルダに車輪が回転可能に取り付けられている。このように、ホルダが回転可能であるため、台車は方向転換を容易に行うことができる。ところが、狭い通路を通過するときなど、台車の直進性が要求されるときには、ホルダが回転することで車輪の向きが安定しないことがあるため、かえって直進性を阻害することがある。そこで、特許文献1では、ホルダや車輪に対して係合可能な係合部を設けた台車が提案されている。この係合部は、コ字状に折り曲げられた板材によって形成されており、この係合部が車輪またはホルダに係合することで、ホルダの回転を規制し、車輪が一方向を向くように保持される。したがって、直進性が必要な場合には、この係合部をホルダに係合させることで、台車を一方向にスムーズに移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-228749公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の台車では、係合部が板材によってコ字状に形成されているため、特に、車輪が大きい場合には、ホルダまたは車輪と係合する長さが十分ではなく、車輪やホルダの向きを十分に保持できないおそれがある。なお、このような問題は台車だけではなく、車輪が設けられた装置全般に起りうる問題である。本発明は、この問題を解決するためになされたものであり、車輪またはホルダの大きさにかかわらず、車輪の向きを保持することが可能な車輪の固定器具、車輪装置、及び仮設足場を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る車輪の固定器具は、支柱と、前記支柱の下端部に、当該支柱の軸線周りに回転可能に取り付けられるホルダと、前記ホルダに回転可能に取り付けられる車輪と、を有する車輪モジュール、に取り付けられる車輪の固定器具であって、前記支柱に固定され、前記支柱の軸線周りに位置決め可能な固定部と、前記固定部から前記ホルダ側に延びるように取り付けられ、前記ホルダ及び前記車輪の少なくとも一方を挟持可能な一対の挟持部と、を備えている。
【0006】
上記車輪の固定器具において、前記固定部は、前記支柱の軸線方向に位置決め可能に構成することができる。
【0007】
上記車輪の固定器具において、前記一対の挟持部は、それぞれ、棒状に形成することができる。
【0008】
本発明に係る車輪装置は、支柱、前記支柱の下端部に、当該支柱の軸周りに回転可能に取り付けられるホルダ、及び前記ホルダに回転可能に取り付けられる車輪、を有する車輪モジュールと、上述したいずれかの車輪の固定器具と、を備えている。
【0009】
上記車輪装置の車輪モジュールにおいては、前記支柱と前記ホルダと距離を調節可能に構成することができる。
【0010】
本発明に係る仮設足場は、トンネル内に設置される仮設足場であって、上下方向に延びる第1支柱と、前記第1支柱の下端部に、当該第1支柱の軸周りに回転可能に取り付けられる第1ホルダと、前記第1ホルダに回転可能に取り付けられ、前記トンネルの内壁面に当接可能な第1車輪と、を有する複数の第1足場モジュールと、いずれかの前記第1足場モジュールの第1支柱に連結され、水平方向に延びる第2支柱と、前記第2支柱の一端部に、当該第2支柱の軸周りに回転可能に取り付けられる第2ホルダと、前記第2ホルダに回転可能に取り付けられ、前記トンネルの内壁面に当接可能な第2車輪と、を有する複数の第2足場モジュールと、前記第2支柱の少なくとも1つに取り付けられる車輪の固定器具と、を備え、前記車輪の固定器具は、前記第2支柱に固定され、前記第2支柱の軸線周りに位置決め可能な固定部と、前記固定部から前記第2ホルダ側に延びるように取り付けられ、前記第2ホルダ及び前記第2車輪の少なくとも一方を挟持可能な一対の挟持部と、を備えている。
【0011】
なお、上記本発明に係る仮設足場では、第1足場モジュールに設けられる支柱、ホルダ、及び車輪をそれぞれ第1支柱、第1ホルダ、及び第1車輪と称し、第2足場モジュールに設けられる支柱、ホルダ、及び車輪と区別しているが、後述する実施形態では、説明の便宜のため、これらを特に区別することなく、いずれの足場モジュールにおいても、単に、支柱、ホルダ、及び車輪と称することがある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車輪またはホルダの大きさにかかわらず、車輪の向きを保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るトンネルの仮設足場の一実施形態を示す正面図である。
図2図1のA-A線矢視図である。
図3】第1中央足場モジュールの下端部付近の正面図である。
図4図3の側面図である。
図5】第1中央足場モジュールの下端部付近の正面図である。
図6】固定器具の平面図である。
図7】固定器具の正面図である。
図8】固定器具の側面図である。
図9】固定器具が取り付けられた第2足場モジュールの正面図である。
図10図9の側面図である。
図11】固定器具が取り付けられた第2足場モジュールを第1足場モジュール側から見た図である。
図12】固定器具が取り付けられていない第2足場モジュールの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るトンネルの仮設足場の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
<1.トンネルの仮設足場>
図1はトンネルの仮設足場の正面図、図2図1のA-A線矢視図である。図1及び図2に示すように、この仮設足場は、トンネル10内に配置されるものであって、上下方向に延びる複数の第1足場モジュール101,102と、左右方向に延びる複数の第2足場モジュール201,202と、複数の連結支柱31~33と、連結支柱31~33に支持される複数の足場板材4と、を備えている。
【0016】
より詳細に説明すると、本実施形態では、左右方向に3本ずつ、軸方向に3本ずつの合計9本の第1足場モジュール101,102が配置されている。図1に示すように、左右方向の中央に配置されている第1足場モジュール(以下、第1中央足場モジュール101と称する)は、トンネル10の直径と概ね一致するように上下方向に延びている。そして、この第1中央足場モジュール101の左右に配置される第1足場モジュール(以下、第1側部足場モジュール102と称する)は、上下方向の長さが短くなっている。但し、いずれの第1足場モジュール101,102も、下端がトンネル10の内壁面に接し、上端がトンネル10の内壁面の近傍まで延びている。
【0017】
図1に示すように、各第1中央足場モジュール101の上下方向の中央付近には、2本の第2足場モジュール(以下、第2中央足場モジュール201と称する)が連結されており、それぞれ、トンネル10の内壁面に向けて右側及び左側へ延び、第1側部足場モジュール102に連結されている。そして、これら第2中央足場モジュール201の端部は、トンネル10の内壁面に接している。
【0018】
また、各第1中央足場モジュール101の上端付近には、2本の第2足場モジュール(以下、第2上部足場モジュール202と称する)が連結されており、それぞれ、トンネル10の内壁面に向けて右側及び左側へ延び、第1側部足場モジュール102に連結されている。そして、これら第2上部足場モジュール202の端部は、トンネル10の内壁面に接している。
【0019】
図2に示すように、これら第2足場モジュール201,202は、トンネル10の軸方向に並ぶ各第1足場モジュール101,102にも連結されている。また、各第2足場モジュール201,202には、後述するように車輪13の固定器具5が取り付けられている。
【0020】
図1及び図2に示すように、第1足場モジュール101,102の下端付近には、連結支柱(以下、下部連結支柱31と称する)が連結されている。この下部連結支柱31は、水平方向及び軸方向に並ぶ隣接する第1足場モジュール101,102同士を連結するように構成されている。
【0021】
また、第2中央足場モジュール201と下部連結支柱31との間にも、連結支柱(以下、中央連結支柱32と称する)が配置されている。この中央連結支柱32も、水平方向及び軸方向に並ぶ隣接する第1足場モジュール101,102同士を連結するように構成されている。
【0022】
さらに、第2中央足場モジュール201と第2上部足場モジュール202との間にも、連結支柱(以下、上部連結支柱33と称する)が配置されている。上部連結支柱33も、水平方向及び軸方向に並ぶ隣接する第1足場モジュール101,102同士を連結するように構成されている。なお、これら連結支柱31~33は、中空のパイプなどで形成されている。
【0023】
そして、図1及び図2に示すように、中央連結支柱32上、及び上部連結支柱33上には、それぞれ、上述した足場板材4が設けられている。これら足場板材4は、水平方向にトンネル10の内壁面付近まで延びており、作業者はこれら足場板材4上で作業を行う。
【0024】
<2.足場モジュール>
次に、第1足場モジュール及び第2足場モジュールについて、図3及び図4を参照しつつ詳細に説明する。第1足場モジュール101,102及び第2足場モジュール201,202は長さ及び配置される向きが相違するだけで、実質的な構成は同じである。したがって、以下では、第1中央足場モジュール101を例に説明する。図3は第1中央足場モジュールの下端部付近の正面図、図4図3の側面図である。
【0025】
図3及び図4に示すように、各第1中央足場モジュール101は、上下方向に延びる支柱11と、この支柱11の下端部に取り付けられるホルダ12と、ホルダ12に取り付けられる車輪13と、を有している。
【0026】
支柱11は、円筒状の支柱本体111と、この支柱本体111の下端部に固定された円筒状の保持部材112と、を有している。保持部材112の内壁面には雌ねじが形成されている。一方、保持部材112の外面には、径方向外方に延びる一対の棒状のハンドル113が設けられている。各ハンドル113は、支柱11の軸線を挟んで互いに反対側に延びるように固定されている。そして、この保持部材112の雌ネジには、上下方向に延び、雄ネジが形成されたネジ部材114が螺合している。
【0027】
図3及び図4に示すように、ホルダ12は、車輪13を保持するための側面視コ字状のホルダ本体121を備えている。このホルダ本体121は、矩形状の上壁部122と、この上壁部122の対向する端部から、それぞれ下方に延びる三角形状の側壁部123と、を備えている。そして、一対の側壁部123の間には、車輪13が回転自在に保持されている。車輪13の回転軸131は、支柱11の軸線と直交する方向に延びており、各側壁部123の下端付近に固定されている。また、車輪13の回転軸131は、支柱11の軸線からは水平方向にずれた位置に配置されている。
【0028】
ホルダ本体121の上壁部122には、上述したネジ部材114の下端部が回転自在に固定されている。すなわち、ホルダ本体121は、支柱11の軸線周りにネジ部材114に対して回転可能となっている。
【0029】
さらに、ホルダ本体121には、ブレーキ125が取り付けられている。このブレーキ125は、ホルダ本体121に固定された板状のブレーキ板126と、このブレーキ板126を押圧可能な操作部材127と、を備えている。ブレーキ板126は、常時は、車輪13からやや離れた位置に配置されており、操作部材127によってブレーキ板126が押圧されると、ブレーキ板126が車輪13の表面に接し、車輪13の回転を規制するようになっている。操作部材127は、ホルダ本体121に取り付けられ、車輪13の回転軸131と平行に延びる回転軸周りに回転可能となっており、ブレーキ板126を押圧する第1位置と、ブレーキ板126を押圧しない第2位置とに保持されるようになっている。したがって、例えば、操作部材127が第1位置に保持されると、車輪13の回転が規制された状態を保持できるようになっている。
【0030】
以上のように構成された第1足場モジュール101は、支柱11とともにハンドル113を回転させることで、支柱11に対するネジ部材114の軸方向の位置を調整可能となっている。例えば、図3の例では、ネジ部材114が支柱11から下方へ突出しているが、ネジ部材114を支柱11側にねじ込むと、図5に示すように、支柱11とホルダ12との距離が短くなる。このように、第1足場モジュール101は、軸方向の長さを調整可能となっている。
【0031】
以上、第1中央足場モジュール101について説明したが、他の足場モジュール102,201,202も支柱11の長さ以外は同様の構成を有している。
【0032】
<3.固定器具>
次に、第2足場モジュール201,202に取り付けられる固定器具5について、図6図8を参照しつつ説明する。図6は、固定器具の平面図、図7は固定器具の正面図、図8は固定器具の側面図である。図6図8に示すように、この固定器具5は、第2足場モジュール201,202において、支柱11に対するホルダ12の回転を規制する役割を果たしており、支柱11に固定される固定部51と、この固定部51からホルダ12側に延びる保持部52と、を備えている。
【0033】
固定部51は、円弧状に形成された第1部材501と、円弧状に形成された第2部材502と、第1部材501と第2部材502とを連結する連結部材503と、を備えている。第1部材501及び第2部材502は、それぞれ第1端部511,521と第2端部521,522とを有しており、第1部材501の第1端部511に、第2部材502の第1端部512が旋回自在に連結されている。そして、これら第1部材501及び第2部材502は、支柱21の周囲に接するように構成されている。また、第2部材502の第2端部522には貫通孔(図示省略)が形成されている。
【0034】
連結部材503は、第1端部513及び第2端部523を有する棒状に形成されている。連結部材503の第1端部513は、第1部材501の第2端部521に旋回可能に連結されている。一方、連結部材503の第2端部523には雄ネジが形成されており、第2部材502の貫通孔に挿通されている。また、第2部材502の貫通孔から突出する連結部材503の第2端部523には、ナット514が螺合している。
【0035】
この構成により、第1部材501及び第2部材502の間に形成される円形の空間に支柱11を挿通し、ナット514を締めつけると、第1部材501の第2端部521と第2部材502の第2端部522とが近接し、固定部51が支柱21に固定されるようになっている。
【0036】
次に、保持部52について説明する。保持部52は、一対の棒状の挟持部551と、各挟持部551の上端部同士を連結する連結部552とを有するU字状に形成されている。そして両挟持部551が支柱11の軸方向に延びるように、連結部551が、第1部材501に固定されている。また、両挟持部551の間の距離は、ホルダ本体121の両側壁部123の幅と概ね同じになっており、両挟持部551によってホルダ本体121及び車輪13を挟むようになっている。さらに、両挟持部551の上端付近には、これら挟持部551同士を互いに連結する連結板56が固定されている。この連結板56によって、両挟持部551の間隔が維持されるようになっている。
【0037】
次に、第2足場モジュールへの固定器具の取付方法について説明する。図9は固定器具が取り付けられた第2足場モジュールの正面図、図10図9の側面図である。図9及び図10に示すように、まず、第2足場モジュール201,202の支柱11に固定部51を挿通した後、挟持部551の位置決めを行う。すなわち、ホルダ本体121を所定の回転位置に位置決めした後、固定部51の周方向の位置を調整し、ホルダ本体121を挟むように挟持部551を位置決めする。その後、固定部51を支柱11の保持部材112に当接した後、ナット514を締め付けて、固定部51を支柱11に固定する。これにより、ホルダ本体121とともに車輪13の、支柱11の軸線周りの位置が固定される。ここでは、図11に示すように、車輪13がトンネル10の進行方向に沿って進行するように、挟持部551を位置決めする。すなわち、両挟持部551が上下方向に並ぶように固定部51の周方向の位置決めを行う。
【0038】
<4.仮設足場の移動>
図1に示すように、第2足場モジュール201,202の車輪13は、固定器具5によってトンネル10の軸方向に進行するように、その向きが固定されている。したがって、仮設足場全体をトンネル10の軸方向(図1の紙面の方向)に移動させると、仮設足場がスムーズに軸方向に移動する。なお、第1足場モジュール101,102には、固定器具5は設けられていないが、ホルダ本体121が支柱11に対して回転可能であるため、仮設足場の移動に伴ってホルダ本体121が回転し、車輪13が軸方向に進行するようになる。あるいは、作業者が手動で車輪13の向きを変更してもよい。
【0039】
<5.特徴>
上記実施形態によれば、次の効果を得ることができる。車輪13の回転軸131は、支柱11の軸線からずれた位置にあるため、第2足場モジュール201,202のように、支柱11が水平方向に延びるように配置すると、図12に示すように、車輪13の重量によって、ホルダ12が回転し、車輪13が上下方向に向いてしまう(車輪13の回転軸131が水平方向に沿うように延びる)。このような状態になると、車輪13がトンネル10の進行方向とは直交する方向に向くため、仮設足場がトンネル10の進行方向に移動するのを妨げるおそれがある。
【0040】
そこで、上記のように第2足場モジュール201,202に固定器具5を設け、図11に示すように、車輪13がトンネル10の進行方向に沿って移動するように、その向きを固定すると、仮設足場をトンネル10の進行方向に沿ってスムーズに移動させることができる。特に、固定器具5の一対の挟持部551は分離しており、それらの間には連結板56しか設けられていない。そのため、一対の挟持部551は、それぞれホルダ12の側壁部123や車輪13の側面に沿って延び、車輪13の設置面(トンネルと接触する面)やホルダ12の上壁部122と干渉することなく、車輪13の向きを固定することができる。したがって、車輪13の径やホルダ12の大きさにかかわらず、車輪13の向きを十分に保持することができる。
【0041】
固定器具5の固定部51は、支柱11の軸線周りの回転位置だけでなく、支柱11の軸線方向にも移動可能であるため、挟持部521の軸線方向の位置も調整することができる。
【0042】
また、固定器具5の周方向の位置を調整することで、挟持部521をホルダ本体121ではなく、車輪13を直接挟むようにすることもできる。
【0043】
<6.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更を行うことが可能である。なお、以下の変形例は適宜組み合わせることができる。
【0044】
(1)上記実施形態では、全ての第2足場モジュール201,202に固定器具5を取り付けたが、一部の第2足場モジュール201,202に固定器具5を取り付けることもできる。また、第1足場モジュール101,102にも固定器具5を取り付けることもできる。
【0045】
(2)上記実施形態では、固定部51を支柱11に締め付けることで、固定部51を支柱11に固定しているが、少なくとも周方向の位置決めができるように固定部51を固定できれば、支柱11への固定方法は特には限定されない。また、必要に応じて、固定部51を支柱11の軸方向の任意の位置に移動させて固定するように構成することもできる。また、上記のように固定器具5は、支柱11に対して着脱自在に取り付けられるが、支柱11の軸線方向及び軸線周りに移動可能な限り、支柱11から取り外しできないようにすることもできる。
【0046】
(3)上記実施形態では、挟持部521を棒状に形成しているが、所定の距離だけ離間した一対の挟持部によってホルダ12または車輪13を挟持できるのであれば、棒状以外の種々の構成にすることができ、例えば、板状に形成することもできる。
【0047】
(4)上記実施形態で示した仮設足場は一例であり、トンネル10の大きさや作業内容に応じて、各足場モジュール、連結支柱、及び足場板材の数や形態は適宜変更することができる。
【0048】
(5)上記実施形態では、本発明の固定器具を仮設足場に適用した例を示したが、これに限定されず、例えば、キャスターが設けられた台車、車輪が設けられたワゴンの脚に取り付けるなど、車輪の向きを固定するために種々の物品に取り付けることができる。なお、上記実施形態において、固定器具5の固定部51は、長尺に延びる支柱11に固定したが、支柱11は必ずしも長尺でなくてもよく、車輪13のホルダ12に回転可能に取り付けられ、固定部51が取り付けられる程度の長さがあれば、長尺でなくてもよい。
【0049】
(6)例えば、支柱11、ホルダ12、及び車輪13を有する車輪モジュールの支柱11に固定器具5を取り付け、これらを車輪装置として提供することもできる。この場合、この車輪装置の支柱11を種々の物品に取り付けることができる。
【符号の説明】
【0050】
101、102 第1足場モジュール
201、202 第2足場モジュール
11 支柱
12 ホルダ
13 車輪
5 固定器具
51 固定部
521 挟持部
図1
図2
図3
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図12