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特開2022-180265接客システム、接客管理サーバ及び接客方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180265
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】接客システム、接客管理サーバ及び接客方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20120101AFI20221129BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20221129BHJP
   A63H 3/00 20060101ALI20221129BHJP
   A63H 3/33 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
G06Q30/06
B25J13/00 Z
A63H3/00 Z
A63H3/33 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087282
(22)【出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】500165795
【氏名又は名称】ネットパイロティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117592
【弁理士】
【氏名又は名称】土生 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山田 光太郎
(72)【発明者】
【氏名】宗像 聡
【テーマコード(参考)】
2C150
3C707
5L049
【Fターム(参考)】
2C150CA02
2C150DF02
2C150DF33
2C150DG15
2C150DK01
2C150EF16
3C707AS34
3C707AS36
3C707JS03
3C707JU02
3C707KS01
3C707KS11
3C707KS39
3C707LW12
3C707WA02
3C707WM06
3C707WM11
5L049BB72
(57)【要約】      (修正有)
【課題】店舗に設置された接客端末をオペレータが遠隔操作して、円滑な接客対応を可能にするための接客システムを提供する。
【解決手段】接客システムは、店舗に設置された接客端末10と、接客に対応するオペレータのオペレータ端末40と、接客管理サーバ30と、を備える。接客端末10は、カメラ及び集音マイクから受け付けた情報を接客管理サーバ30に送信し、オペレータ端末40から送信されたオペレータの音声データを接客管理サーバ30から受信し、受信した音声データを再生する。接客管理サーバ30は、接客端末10から受信したデータから新たな顧客を検知したことが確認されると、顧客への接客対応が可能なオペレータを選択し、選択したオペレータのオペレータ端末40と、接客端末10から受け付けた情報に関するデータ及びオペレータの音声データを含むデータ通信を中継する接客対応制御手段を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗に設置された接客端末と、前記接客端末による接客に対応するオペレータのオペレータ端末と前記接客端末の通信を中継する接客管理サーバからなる接客システムであって、
前記接客端末は、
顧客の存在を検知する人感センサーと、
前記顧客を動画撮影するカメラと、
前記顧客の声を集音する集音マイクと、
前記人感センサー、前記カメラ及び前記集音マイクから受け付けた情報に関するデータを前記接客管理サーバに送信するとともに、前記オペレータ端末から送信された前記顧客への接客に対応するオペレータの音声データを前記接客管理サーバから受信する通信制御手段と、
前記通信制御手段が受信した音声データを再生するスピーカーと、を備え、
前記接客管理サーバは、
前記接客端末から受信したデータから前記人感センサーが新たな顧客を検知したことが確認されると、前記顧客への接客対応が可能なオペレータを選択して、選択したオペレータのオペレータ端末と前記接客端末の、前記カメラ及び前記集音マイクから受け付けた情報に関するデータ及び前記オペレータの音声データを含むデータ通信を中継する接客対応制御手段を備えること
を特徴とする接客システム。
【請求項2】
前記接客管理サーバにおいて、
前記接客対応制御手段は、接客端末とのデータ通信を中継しているオペレータ端末を、他のオペレータ端末に切り替える処理を実行すると、前記接客端末によって接客中の顧客が視認可能な前記接客端末の少なくとも一部の表示状態を変化させるための所定のデータを、前記接客端末に送信すること
を特徴とする請求項1記載の接客システム。
【請求項3】
前記接客管理サーバにおいて、
前記接客対応制御手段は、接客端末とのデータ通信を中継しているオペレータ端末から、前記オペレータ端末を操作するオペレータが交代した通知を受信すると、前記接客端末によって接客中の顧客が視認可能な前記接客端末の少なくとも一部の表示状態を変化させるための所定のデータを、前記接客端末に送信すること
を特徴とする請求項1又は2記載の接客システム。
【請求項4】
前記接客端末には、前記顧客が視認可能なモニタが備えられ、
前記接客管理サーバから前記所定のデータを受信すると、前記モニタの表示をオペレータの交代を示すよう切り替えること
を特徴とする請求項2又は3記載の接客システム。
【請求項5】
前記接客端末は、動物又はキャラクターを模したぬいぐるみ状の外観であって、
前記接客管理サーバから前記所定のデータを受信すると、前記接客端末において動物又はキャラクターの体の表面に該当する少なくとも一部の色彩を変化させること
を特徴とする請求項2又は3記載の接客システム。
【請求項6】
前記接客管理サーバにおいて、
前記接客対応制御手段は、接客端末とのデータ通信を中継しているオペレータ端末から、前記接客端末が設置された店舗の従業員の呼出依頼を受信すると、前記店舗の従業員が使用中の少なくとも一の従業員端末に対して、所定の呼出処理を実行すること
を特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の接客システム。
【請求項7】
前記接客端末には、前記接客端末から扉の鍵を開錠可能な所定の物品が収納されたロッカーが、有線又は無線のネットワークで接続されていて、
前記接客管理サーバにおいて、
前記接客対応制御手段は、接客端末とのデータ通信を中継しているオペレータ端末から、前記接客端末によって接客中の顧客に提供する物品が収納されたロッカーの扉の鍵の開錠依頼を受信すると、前記接客端末に、前記ロッカーの扉の鍵を開錠するための所定のデータを送信すること
を特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の接客システム。
【請求項8】
顧客の存在を検知する人感センサーと、前記顧客を動画撮影するカメラと、前記顧客の声を集音する集音マイクと、前記人感センサー、前記カメラ及び前記集音マイクから受け付けた情報に関するデータを接客管理サーバに送信するとともに、前記オペレータ端末から送信された前記顧客への接客に対応するオペレータの音声データを前記接客管理サーバから受信する通信制御手段と、前記通信制御手段が受信した音声データを再生するスピーカーが備えられた店舗に設置された接客端末と、ネットワークを介して接続された接客管理サーバであって、
前記接客端末から受信したデータから前記人感センサーが新たな顧客を検知したことが確認されると、前記顧客への接客対応が可能なオペレータを選択して、選択したオペレータのオペレータ端末と前記接客端末の、前記カメラ及び前記集音マイクから受け付けた情報に関するデータ及び前記オペレータの音声データを含むデータ通信を中継する接客対応制御手段を備えること
を特徴とする接客管理サーバ。
【請求項9】
店舗に設置された接客端末と、前記接客端末による接客に対応するオペレータのオペレータ端末と前記接客端末の通信を中継する接客管理サーバによって実行される接客方法であって、
顧客の存在を検知する人感センサーと、前記顧客を動画撮影するカメラと、前記顧客の声を集音する集音マイクと、前記人感センサー、前記カメラ及び前記集音マイクから受け付けた情報に関するデータを接客管理サーバに送信するとともに、前記オペレータ端末から送信された前記顧客への接客に対応するオペレータの音声データを前記接客管理サーバから受信する通信制御手段と、前記通信制御手段が受信した音声データを再生するスピーカーが備えられた前記接客端末が、前記人感センサーによって新たな顧客が検知されると、前記接客管理サーバに、前記顧客を検知した通知を送信するステップと、
前記接客管理サーバが、前記接客端末から前記顧客を検知した通知を受信すると、前記顧客への接客対応が可能なオペレータを選択して、選択したオペレータのオペレータ端末と前記接客端末の、前記カメラ及び前記集音マイクから受け付けた情報に関するデータ及び前記オペレータの音声データを含むデータ通信を中継するステップと、
を有すること特徴とする接客方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗に設置された接客端末をオペレータが遠隔操作して接客対応するための接客システム、接客管理サーバ及び接客方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小売店や飲食店等の店舗では、話題性による集客効果や店舗運営の省人化を狙って、来店者への接客対応にAIロボットを採用するケースが生じている。AI技術の発達によってロボットの対応能力は向上しているものの、ロボットが状況や指示を十分に認識できないケースやイレギュラーな事態の発生に対応するために、人間がロボットを操作することによっても接客対応を行える接客システムに関する発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
さらに、人間の関与をより深めることによって柔軟な対応が可能になる方法として、人間がキャラクター着ぐるみの中に入って来訪者に応対し、IT技術と組み合わせて様々な情報のやり取りを行う方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-084998号公報
【特許文献2】特開2012-226455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで小売店の店舗では、商品の販売促進のために、試供品の配布や実演販売を行うことがあるが、来店した顧客が対象となる商品をその時点で購入する意思がない場合に、店員から接客を受けると購入を断りにくくなってしまうという理由で、店員との接触を避けようとする顧客が一定程度存在していると考えられる。
【0006】
人間に接客されると断りにくいということであれば、こうした接客にAIロボットを活用することが考えられる。しかしなから、AIロボットは来店者から呼びかけないと動作しないのが通常であるのに対して、ロボットを見つけてもそのロボットに何ができるのかよくわららない、街中で見かけるAIロボットは人間を模したフォルムのものが多く人間に話すのに似た抵抗感を抱かれやすい、といった理由から、店舗に配置しても話しかけられることが少なく、あまり活用されていない状況にある。
【0007】
特許文献2に記載された発明のようなキャラクター着ぐるみを活用すれば、こうした問題を解消できそうではあるが、一つひとつの着ぐるみの中に人間が入るのは、コスト面や人材確保の点から困難であることが多い。特許文献1に記載された発明のようなロボットを活用して、ロボットが判断できない要求に対しては人間(店員)がロボットを操作して対応する方法も考えられるが、現場で対応する人間(店員)への負担が大きく、店舗運営上の障害となってしまう可能性がある。
【0008】
また、人間がロボットを操作して接客対応を行う場合には、例えばドラッグストアにおける接客であれば、所定の医薬品に関する質問には薬剤師等の専門家が対応しなければならないなど、顧客への応対者が交代しなければならなくなるケースが生じる。さらに、遠隔操作では顧客の要求に対応できないので顧客の近くにいる店舗の従業員を呼び出したい、来店した顧客の興味や関心に応じた試供品を渡したい、といったケースも生じることが想定されるので、こうした実際の接客において生じ得る課題への対応も求められることになる。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、店舗に設置された接客端末をオペレータが遠隔操作して、円滑な接客対応を可能にするための接客システム、接客管理サーバ及び接客方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題を解決する本発明は、店舗に設置された接客端末と、前記接客端末による接客に対応するオペレータのオペレータ端末と前記接客端末の通信を中継する接客管理サーバからなる接客システムであって、前記接客端末は、顧客の存在を検知する人感センサーと、前記顧客を動画撮影するカメラと、前記顧客の声を集音する集音マイクと、前記人感センサー、前記カメラ及び前記集音マイクから受け付けた情報に関するデータを前記接客管理サーバに送信するとともに、前記オペレータ端末から送信された前記顧客への接客に対応するオペレータの音声データを前記接客管理サーバから受信する通信制御手段と、前記通信制御手段が受信した音声データを再生するスピーカーと、を備え、前記接客管理サーバは、前記接客端末から受信したデータから前記人感センサーが新たな顧客を検知したことが確認されると、前記顧客への接客対応が可能なオペレータを選択して、選択したオペレータのオペレータ端末と前記接客端末の、前記カメラ及び前記集音マイクから受け付けた情報に関するデータ及び前記オペレータの音声データを含むデータ通信を中継する接客対応制御手段を備えることを特徴とする接客システムである。
【0011】
本発明によると、店舗に設置された接客端末が人感センサーで顧客の存在を検知することをトリガに、接客管理サーバが接客対応の可能なオペレータを選択して、接客端末とオペレータ端末との音声データを含むデータ通信を中継するので、店舗の現場に負担をかけることなく、的確なタイミングでのオペレータの遠隔操作による接客端末を用いた接客が実現される。これによって、来店した顧客は、人間による接客時に生じるような抵抗感を感じることなく、人間の意思に基づいた柔軟な接客対応を受けられることになる。
【0012】
また、本発明は、前記接客管理サーバにおいて、前記接客対応制御手段は、接客端末とのデータ通信を中継しているオペレータ端末を、他のオペレータ端末に切り替える処理を実行すると、前記接客端末によって接客中の顧客が視認可能な前記接客端末の少なくとも一部の表示状態を変化させるための所定のデータを、前記接客端末に送信することを特徴とすることもできる。
【0013】
また、本発明は、前記接客管理サーバにおいて、前記接客対応制御手段は、接客端末とのデータ通信を中継しているオペレータ端末から、前記オペレータ端末を操作するオペレータが交代した通知を受信すると、前記接客端末によって接客中の顧客が視認可能な前記接客端末の少なくとも一部の表示状態を変化させるための所定のデータを、前記接客端末に送信することを特徴とすることもできる。
【0014】
こうした構成において、前記接客端末には、前記顧客が視認可能なモニタが備えられ、前記接客管理サーバから前記所定のデータを受信すると、前記モニタの表示をオペレータの交代を示すよう切り替えることを特徴としてもよい。前記接客端末は、動物又はキャラクターを模したぬいぐるみ状の外観であって、前記接客管理サーバから前記所定のデータを受信すると、前記接客端末において動物又はキャラクターの体の表面に該当する少なくとも一部の色彩を変化させることを特徴としてもよい。
【0015】
以上のように構成すると、例えば、ドラッグストアにおける接客の際に顧客から専門知識を要する医薬品に関する質問を受け、オペレータが通常の接客担当から薬剤師に交代するなど、顧客に応対するオペレータが交代するケースにおいて、接客端末のモニタに表示されている名札が「お客様係」から「薬剤師」に変わる、あるいは、ぬいぐるみ型の接客端末の目の色が変化する、といった接客端末の一部の表示状態を変化させることによって、顧客は応対者の交代を直感的に理解することが可能になる。
【0016】
また、本発明は、前記接客管理サーバにおいて、前記接客対応制御手段は、接客端末とのデータ通信を中継しているオペレータ端末から、前記接客端末が設置された店舗の従業員の呼出依頼を受信すると、前記店舗の従業員が所持する少なくとも一の従業員端末に対して、所定の呼出処理を実行することを特徴とすることもできる。
【0017】
このように構成すると、例えば、顧客からの要求に遠隔操作では対応できないので、顧客がいる店舗の従業員を呼び出したいといったケースにおいて、店舗の従業員が所持しているインカム等の従業員端末への呼出しを行い、接客を依頼することが可能になる。
【0018】
また、本発明は、前記接客端末には、前記接客端末から扉の鍵を開錠可能な所定の物品が収納されたロッカーが、有線又は無線のネットワークで接続されていて、前記接客管理サーバにおいて、前記接客対応制御手段は、接客端末とのデータ通信を中継しているオペレータ端末から、前記接客端末によって接客中の顧客に提供する物品が収納されたロッカーの扉の鍵の開錠依頼を受信すると、前記接客端末に、前記ロッカーの扉の鍵を開錠するための所定のデータを送信することを特徴とすることもできる。
【0019】
このように構成すると、例えば、来店した顧客の興味や関心に応じた試供品を渡したい、といったケースにおいて、その試供品が収納されたロッカーの扉の鍵をオペレータによる操作で開錠することができるので、万引き等のリスクにも対処しながら、効率的に試供品を提供することが可能になる。
【0020】
本発明は、本発明に係る接客システムを構成する接客管理サーバに関する発明として特定することもできる。
【0021】
本発明に係る接客管理サーバは、顧客の存在を検知する人感センサーと、前記顧客を動画撮影するカメラと、前記顧客の声を集音する集音マイクと、前記人感センサー、前記カメラ及び前記集音マイクから受け付けた情報に関するデータを接客管理サーバに送信するとともに、前記オペレータ端末から送信された前記顧客への接客に対応するオペレータの音声データを前記接客管理サーバから受信する通信制御手段と、前記通信制御手段が受信した音声データを再生するスピーカーが備えられた店舗に設置された接客端末と、ネットワークを介して接続された接客管理サーバであって、前記接客端末から受信したデータから前記人感センサーが新たな顧客を検知したことが確認されると、前記顧客への接客対応が可能なオペレータを選択して、選択したオペレータのオペレータ端末と前記接客端末の、前記カメラ及び前記集音マイクから受け付けた情報に関するデータ及び前記オペレータの音声データを含むデータ通信を中継する接客対応制御手段を備えることを特徴とする接客管理サーバである。
【0022】
また、本発明に係る接客管理サーバは、先に説明した本発明に係る接客システムの各々の構成に対応する要件を備えた接客管理サーバとして特定することもできる。
【0023】
本発明は、本発明に係る接客システムによって実行される接客方法に関する発明として特定することもできる。
【0024】
本発明に係る接客方法は、店舗に設置された接客端末と、前記接客端末による接客に対応するオペレータのオペレータ端末と前記接客端末の通信を中継する接客管理サーバによって実行される接客方法であって、顧客の存在を検知する人感センサーと、前記顧客を動画撮影するカメラと、前記顧客の声を集音する集音マイクと、前記人感センサー、前記カメラ及び前記集音マイクから受け付けた情報に関するデータを接客管理サーバに送信するとともに、前記オペレータ端末から送信された前記顧客への接客に対応するオペレータの音声データを前記接客管理サーバから受信する通信制御手段と、前記通信制御手段が受信した音声データを再生するスピーカーが備えられた前記接客端末が、前記人感センサーによって新たな顧客が検知されると、前記接客管理サーバに、前記顧客を検知した通知を送信するステップと、前記接客管理サーバが、前記接客端末から前記顧客を検知した通知を受信すると、前記顧客への接客対応が可能なオペレータを選択して、選択したオペレータのオペレータ端末と前記接客端末の、前記カメラ及び前記集音マイクから受け付けた情報に関するデータ及び前記オペレータの音声データを含むデータ通信を中継するステップと、を有すること特徴とする接客方法である。
【0025】
また、本発明に係る接客方法は、先に説明した本発明に係る接客システムの各々の構成によって実行される接客方法として特定することもできる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、店舗の現場に負担をかけることなく、オペレータの遠隔操作による接客端末を用いた接客が実現されるので、来店した顧客は人間による接客時に生じるような抵抗感を感じることなく、人間の意思に基づいた柔軟な接客対応を受けることが可能になる。
【0027】
また、応対者が交代した場合の顧客の認知、遠隔操作では顧客の要求に対応できない場合の店舗従業員の呼出し、来店した顧客の興味や関心に応じた試供品の提供といった、実際の接客において生じ得る様々な課題にも対応して円滑な接客対応が実現されるので、店舗を訪れる顧客に対するサービスの向上や、店舗運営の効率化といった効果を期待することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に用いられる接客端末の外観の一例を示す図である。
図2】本発明に係る接客システムの実施形態の概要を示す図である。
図3】本発明に係る接客システムの構成を示すブロック図である。
図4】本発明に係る接客システムにおいて、来店した顧客への接客を開始して、顧客に試供品を提供する流れを示す図である。
図5】本発明に係る接客システムにおいて、接客中に顧客への応対者が交代する流れを示す図である。
図6】本発明に係る接客システムにおいて、接客中に店舗の従業員を呼び出す流れを示す図である。
図7】本発明に係る接客管理サーバのオペレータ情報格納部に格納される情報の一例を示す図である。
図8】本発明に係る接客管理サーバによる接客対応の処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明を実施するための形態について、図面を用いて以下に詳細に説明する。尚、以下の説明は本発明の実施形態の一例を示したものであって、接客端末の外観やカメラやモニタを配置する位置、接客管理サーバにおける接客時の処理手順等を含め、本発明は以下の実施形態に示す具体例に限定されるものではない。
【0030】
図1は、本発明に用いられる接客端末の外観の一例を示したものである。図1において、接客端末10には、人感センサ11、カメラ12、カードスキャナ13、集音マイク14、スピーカ15、モニタ16が備えられ(これらを配置する位置は特に限定されるものではない)、接客端末10の近くには試供品収納ロッカー20が設置されている。接客端末10と試供品収納ロッカー20は、無線又は有線のネットワークで接続されていて、接客端末10を介したサーバからの指示によって、試供品が収納され、施錠された試供品収納ロッカー20の扉の鍵を開錠することができる。
【0031】
接客端末10は、動物又はキャラクターを模したぬいぐるみ状の外観で、人間が中に入る着ぐるみ程度の大きさとするのが好ましい。こうした形状とすることによって、接客を受ける顧客に親しみやすさを感じさせるとともに、人間から接客を受ける場合に生じやすい「接客を受けたら買わなければならない」といったプレッシャーを軽減させる効果を期待することもできるからである。
【0032】
接客端末10は、自動的に動作するAIロボットでも、中に人間が入る着ぐるみでもなく、オペレータによって遠隔操作されるネットワーク端末である。人間が操作するので柔軟な接客対応が可能になるとともに、店舗の従業員に接客端末10の操作負担がかかることもない。接客端末10と試供品収納ロッカー20は、小売店やサービス業の営業店等の店舗に設置され、来店した顧客への接客に対応するが、店舗における設置場所は特に限定されるものではなく、一店舗に設置される台数も特に限定されるものではない。接客端末10は、スピーカ15から声を出したり、モニタ16に情報を表示したりする他、手足や頭を遠隔操作で動かせるものであってもよいが、試供品収納ロッカー20に併設される関係で店内を動き回ることは基本的には想定していない。
【0033】
図2は、本発明に係る接客システムの実施形態の概要を示している。本発明に係る接客システムは、小売店やサービス業の営業店等の店舗に設置される一又は二以上の接客端末10と、これらの接客端末10とネットワークを介して接続される接客管理サーバ30によって構成される。接客管理サーバ30は、各々の接客端末10を遠隔操作するオペレータが用いる一又は二以上のオペレータ端末40ともネットワークを介して接続されていて(オペレータ端末40はコールセンター等に複数がまとめて設置されてもよいし、オペレータの自宅等にあるパーソナルコンピュータ等の端末からインターネットを介して接客管理サーバ30に接続するものであってもよい)、オペレータが対話等により顧客に応対するための接客端末10とオペレータ端末40の間のデータ通信を中継する。
【0034】
接客端末10は、店舗に来店して接客端末10に近づいてきた顧客の存在を検知すると、顧客を検知したことを接客管理サーバ30に通知する。接客管理サーバ30では、接客対応が可能なオペレータを選択して、選択されたオペレータが用いているオペレータ端末40と接客端末10の間の対話のためのデータ通信を中継する。具体的には、顧客が接客端末10に話しかけた音声が、接客管理サーバ30を経由してオペレータ端末40で再生され、これに対するオペレータの返答が、接客管理サーバ30を経由して接客端末10で再生されることによって、オペレータによる接客端末10の遠隔操作による接客対応が実現される。
【0035】
例えば、ドラッグストアにおける接客の際に顧客から専門知識を要する医薬品に関する質問を受け、オペレータが通常の接客担当から薬剤師に交代するなど、接客を担当するオペレータが交代する状況が生じると、接客管理サーバ30では、接客端末10との接続を薬剤師が用いている他のオペレータ端末40に切り替えるとともに、例えば、接客端末10のモニタに表示されている名札を「お客様係」から「薬剤師」に変更する、あるいは接客端末10の目の部分の色を変化させる、といった接客端末10の一部の表示状態を変化させるための所定のデータを接客端末10に送信して、接客端末10の一部の表示状態を変化させる。顧客は接客端末10のこうした変化によって、応対者の交代を直感的に理解することができる。
【0036】
接客端末10が設置された店舗の従業員の少なくとも一部は、インカム等の従業員端末50を所持しており、オペレータが顧客からの要求に遠隔操作では対応できないので、店舗の従業員を呼び出したいと判断すると、オペレータ端末40から接客管理サーバ30に店舗の従業員の呼び出すリクエストが送信され、接客管理サーバ30は該当する店舗の従業員端末50を呼び出して、接客端末10と従業員端末50との通話の中継、あるいは接客端末10で接客中の顧客への応対を依頼するメッセージの送信を行う。
【0037】
接客端末10の近くには試供品収納ロッカー20が設置されていて、オペレータが顧客の興味や関心に応じた試供品を提供したいと判断すると、オペレータ端末40から接客管理サーバ30と接客端末10を経由して、試供品収納ロッカー20の当該試供品が収納された扉の鍵を開錠するための所定のデータが送信される。顧客は開錠された試供品収納ロッカー20の扉を開けて、その中に収納されている試供品を受け取ることができる。
【0038】
図3は、本発明に係る接客システムの構成の一例を示している。図3において、接客端末10と接客管理サーバ30が、本発明に係る接客システムを構成する。
【0039】
接客端末10は、CPU、メインメモリ、HDD等の補助記憶装置を備えた所定の情報処理機能を有するネットワーク端末で、本体の表面部には、人感センサ11、カメラ12、カードスキャナ13、集音マイク14、スピーカ15、モニタ16が備えられている。
【0040】
人感センサ11は、接客端末10に近づいてきた人間(顧客)の存在を検知するためのセンサで、赤外線、超音波、可視光など、どのような方法によって人間の存在を検知するかは特に限定されるものではない。カメラ12は、接客端末10で接客する顧客の様子を動画撮影するカメラで、一般的なWebカメラ等を用いることができる。カードスキャナ13は、顧客を識別可能な会員カード(ポイントカード)、あるいはスマートフォンの会員カード(ポイントカード)アプリ等から顧客を識別する会員番号等の情報を読み取るためのスキャナで、その構成や情報の読取方法は特に限定されるものではない。集音マイク14とスピーカ15は、接客管理サーバ30を介したオペレータ端末40との通話に用いられるもので、パーソナルコンピュータ等に一般に備えられているマイクやスピーカを用いることとすればよい。モニタ16には、液晶や有機EL等のディスプレイが用いられる。
【0041】
接客端末10の通信制御部101、顧客認識部102、通話制御部103、表示制御部104は、いずれも機能的に特定されるものであって、HDD等の補助記憶装置に格納された各部の機能に対応するプログラムがメインメモリに読み出され、CPUで演算処理を実行することによって、各部に対応する機能が実現される。あるいは、これらの全部又は一部の機能に対応する専用のICチップによって、こうした機能が実現されるものであってもよい。
【0042】
人感センサ11が人間(顧客)が接近してきたことを検知すると、顧客認識部102はその情報から接客管理サーバ30に新たな顧客の検知を通知するデータを生成して、そのデータを通信制御部101から接客管理サーバ30に送信する。カメラ12が接客端末10で接客している顧客の様子を動画撮影すると、顧客認識部102は撮影した動画ファイルを所定の形式で通信制御部101から接客管理サーバ30に送信する。カードスキャナ13が顧客を識別する会員番号等の情報を読み取ると、顧客認識部102はその情報から接客管理サーバ30で顧客の識別に用いられるデータを生成して、そのデータを通信制御部101から接客管理サーバ30に送信する。
【0043】
通話制御部103では、集音マイク14で集音した顧客が発した音声等の音声データを、通信制御部101から接客管理サーバ30に送信し、その音声データは接客管理サーバ30から顧客の接客に対応するオペレータのオペレータ端末40に送信される。また、接客管理サーバ30を介して通信制御部101が受信した、オペレータ端末40から送信された当該オペレータの音声等の音声データを、通話制御部103がスピーカ15に再生させる。
【0044】
表示制御部104は、通信制御部101が接客管理サーバ30から顧客を接客する応対者(オペレータ)が交代し、顧客が視認可能な接客端末10の少なくとも一部の表示状態を変化させるための所定のデータを受信すると、そのデータに従って、例えば、モニタ16に表示されている応対者(オペレータ)を示す名札の変更や、図1のようにぬいぐるみの目の部分に埋め込まれている人感センサ11の表面部の色の変更(これによって目の色が変わったように見える)などの処理を実行する。
【0045】
尚、ここで接客管理サーバ30から受信する、顧客が視認可能な接客端末10の少なくとも一部の表示状態を変化させるためデータの内容は特に限定されるものではなく、例えば、接客端末10のどの部分を変化させるかを具体的に指定した命令であってもよいし、応対者(オペレータ)の交代のみを通知して、その通知から実行する処理を表示制御部104で判断することとしてもよい。
【0046】
試供品収納ロッカー20は、一又は二以上の扉と、扉毎にその内部に試供品を収納できる収納部を備え、各々の扉の鍵が電子的に施錠されたロッカーであり、接客端末10の近くに設置されている。試供品収納ロッカー20は、接客端末10と無線又は有線のネットワークで接続されていて、接客端末10がオペレータ端末40から接客管理サーバ30を介していずれかの扉の鍵の開錠命令を受信すると、通信制御部101から扉の識別番号を指定した鍵の開錠命令が試供品収納ロッカー20に送信されて、指定された扉の鍵が自動的に開錠される。
【0047】
接客管理サーバ30は、インターネットに接続され通信機能を有するサーバコンピュータで、CPU、メインメモリ、HDD等の補助記憶装置が備えられていて、補助記憶装置に格納されたプログラムがメインメモリに読み出され、CPUで演算処理を実行することによって、所定の機能が実現される。
【0048】
接客支援サーバ30を構成するコンピュータの構成は特に限定されるものではなく、接客端末10とオペレータ端末40との間のデータ通信の中継等の本発明における機能に加え、他の機能が同一のコンピュータに備えられるものであってもよい。本発明に必要な各々の機能は、物理的に一台のコンピュータによって実現されるものであってもよいし、複数のコンピュータを用いて実現されるものであってもよい。
【0049】
接客管理サーバ30の接客対応制御部31、従業員呼出部32は、いずれも機能的に特定されるものであって、HDD等の補助記憶装置に格納された各部の機能に対応するプログラムがメインメモリに読み出され、CPUで演算処理を実行することによって、各部に対応する機能が実現される。
【0050】
接客管理サーバ30のオペレータ情報格納部33、顧客情報格納部34、試供品情報格納部35、従業員情報格納部36には、接客管理サーバ30を構成するコンピュータに備えられるHDD等の補助記憶装置の記憶領域が割り当てられる。これらの記憶領域は物理的に一台のコンピュータに設けられることを要件とするものではなく、複数のコンピュータに分散して設けられるものであってもよい。
【0051】
オペレータ端末40は、接客端末10による顧客の接客を担当するオペレータが用いるネットワーク端末であるが、オペレータの音声を拾うマイクと、接客管理サーバ30から受信した顧客の音声を再生するスピーカを備えた、あるいはこうしたマイクやスピーカとの接続が可能な、パーソナルコンピュータ等のネットワーク端末を用いることとすればよい。
【0052】
従業員端末50には、インカム等の通話機能を備えたネットワーク端末が用いられ、その構成は特に限定されるものではないが、接客管理サーバ30からのメッセージの着信や、接客管理サーバ30を介したオペレータ端末40との通話等が可能な機能が備えられている。
【0053】
以上の図3に例示した構成を前提に、図4図6の流れに沿って、接客管理サーバ30での処理については図8のフローチャートも参照しながら、本発明を用いた接客対応の流れについて説明する。
【0054】
図4は、来店した顧客への接客を開始して、顧客に試供品を提供するまでの流れを示している。小売店やサービス業の営業店等の店舗に来店した顧客が接客端末10に近づいてくると、人感センサ11がその存在を検知して、顧客認識部102から通信制御部101を介して、新たな顧客を検知したことを接客管理サーバ30に通知する。
【0055】
接客管理サーバ30がこの通知を受信して、接客対応制御部31が人感センサー11で新たな顧客が検知されたことを確認すると(図8のS01)、オペレータ情報格納部33を検索して接客対応が可能なオペレータを選択する(図8のS02)。
【0056】
オペレータ情報格納部33には、図7に例示したように、顧客に応対するオペレータを識別するオペレータID(オペレータが1人1台のオペレータ端末40を使用する前提で、オペレータIDは各々のオペレータ端末40を識別するIDとなる)毎に、オペレータの職種に加えて、接客対応が可能な状態か否かを示す情報(この例では「状態」が「対応可」となっていれば接客対応可、「接客中」や「休」となっていれば接客対応不可)を含むオペレータ情報が格納されており、この情報を参照して接客対応が可能なオペレータを選択する。オペレータの選択は、接客対応が可能な状態か否かのみによって判断することとしてもよいが、オペレータの職種など他の条件を選択基準に加えることとしてもよい。
【0057】
尚、条件に該当するオペレータが全て接客中であるなど、接客対応が可能なオペレータが存在しない場合には、例えば、接客対応制御部31から接客端末10の通信制御部101に、顧客に待機を依頼するメッセージの出力を要求し、通話制御部103がスピーカ15に「休息中です。また話しかけてね」といった音声メッセージを出力させることとしてもよい。
【0058】
接客対応を担当するオペレータが選択されると、接客端末10を識別する情報(図4の例では「10-01」)と選択されたオペレータのオペレータ端末40を識別する情報(図4の例では「40-01」)が紐付けられ、接客対応制御部31に一時記憶されて、接客端末10とオペレータ端末40のデータ通信を中継するセッションが開始される(図8のS03)。オペレータ端末40には接客の開始が通知され、接客管理サーバ30を介して受信したカメラ12で動画撮影した映像データと、集音マイク14で集音した音声データが再生されて、接客端末10を用いた顧客との対話が開始される。
【0059】
ここでオペレータがオペレータ端末40から「会員カードをタッチして!」と話しかけると、その音声データが接客管理サーバ30を介して接客端末10のスピーカ15で再生される。顧客がカードスキャナ13に自らの会員カードを読み取らせると、顧客を識別する会員番号等の情報が接客管理サーバ30に送信されて、接客管理サーバ30がこれを受信する(図8のS04がYes)。
【0060】
接客管理サーバ30の接客対応制御部31では、接客端末10を識別する情報(図4の例では「10-01」)とオペレータ端末40を識別する情報(図4の例では「40-01」)に顧客を識別する会員番号(図4の例では「60-01」)を紐付けるとともに、顧客情報格納部34を検索し、顧客を識別する会員番号(図4の例では「60-01」)に対応する所定の顧客情報を読み出して(図8のS05)、オペレータが顧客と対話する際の参考となるようにオペレータ端末40に送信する(図8のS06)。
【0061】
オペレータ端末40が受信した顧客情報はオペレータ端末40のディスプレイに表示され、オペレータはその顧客情報を参照しながら顧客と対話する。接客端末10のカメラ12で動画撮影された顧客の映像データと集音マイク14で集音された顧客の音声データは、接客管理サーバ30の接客対応制御部31を介してオペレータ端末40に送信され、オペレータ端末40で再生される。オペレータがオペレータ端末40で顧客に応答すると、オペレータの音声データが接客管理サーバ30の接客対応制御部31を介して接客端末10に送信され、接客端末10のスピーカ15で再生される。
【0062】
こうした対話の過程で、オペレータが試供品情報格納部35を検索して、試供品収納ロッカー20に収納された試供品の中に、顧客の興味や関心に応じて渡したい試供品があると判断すると(あるいは接客対応制御部31で顧客情報に含まれる属性情報等を解析し、試供品情報格納部35から顧客にレコメンドする商品の試供品に関する情報を取得して、その情報を接客管理サーバ30からオペレータ端末40に提供することとしてもよい)、当該試供品が収納された試供品収納ロッカー20の扉の鍵を開錠する開錠依頼を接客管理サーバ30に送信する。
【0063】
開錠依頼を受信した接客管理サーバ30では(図8のS07がYes)、接客対応制御部31が試供品情報格納部35を参照して開錠する試供品収納ロッカー20の扉の識別番号を取得し(図8のS08)、当該扉の識別番号を指定した鍵の開錠命令を接客端末10に送信する(図8のS09)。
【0064】
開錠命令を受信した接客端末10では、試供品収納ロッカー20の扉の識別番号を指定した扉の鍵の開錠命令が、通信制御部101から試供品収納ロッカー20に送信される。これを受信した試供品収納ロッカー20では、識別番号から特定される扉の鍵が自動的に開錠されるので、顧客は扉を開けて収納された試供品を受け取ることができる。このときに、オペレータは「おススメの試供品だよ!」のように発声して、鍵が開錠された扉を開けて試供品の取り出しを顧客に促すこととすればよい。
【0065】
図5は、接客端末10(図5の例では接客端末を識別する情報「10-01」)による接客中に、顧客への応対者であるオペレータが交代する際の流れを示している。ドラッグストアに来店した顧客を、通常の接客担当であるオペレータ(図5の例では、図7のオペレータID「40-01」により識別されるオペレータ端末40を用いているオペレータ)が接客しており、接客端末10のモニタ16には、オペレータID「40-01」のオペレータの職種(図7の例では「接客担当」)を示す「お客様係」の名札が表示されている。このとき接客管理サーバ30では、接客端末10を識別する情報(図5の例では「10-01」)と接客対応中のオペレータのオペレータ端末40を識別する情報(図5の例では「40-01」)が紐付けられて、接客対応制御部31に一時記憶されている。
【0066】
顧客が接客端末10に「この薬を買いたいけど」と話しかけると、オペレータ端末40でその音声が再生されるが、その薬の販売には薬剤師による説明が必要であるため、オペレータは「少々お待ちください!」と回答する。接客端末10のスピーカ15では「少々お待ちください!」という音声が再生されるが、あわせてオペレータ端末40では応対者を薬剤師に交代するリクエストを、接客管理サーバ30に送信する。
【0067】
接客管理サーバ30でこのリクエストを受信すると(図8のS10がYes)、接客対応制御部31はオペレータ情報格納部33を検索して、接客対応が可能なオペレータのうち、職種が薬剤師に該当するオペレータ(図5の例では、図7のオペレータID「40-11」により識別されるオペレータ端末40を用いているオペレータ)を選択する。そして、接客端末10とのデータ通信を中継しているオペレータ端末40を、通常の接客担当の端末(図5の例では、図7のオペレータID「40-01」により識別されるオペレータ端末40)から、薬剤師の端末(図5の例では、図7のオペレータID「40-11」により識別されるオペレータ端末40)に切り替える処理を実行する(図8のS11)。
【0068】
具体的には、接客対応制御部31に接客端末10を識別する情報(図5の例では「10-01」)と紐付けて一時記憶されている、通常の接客担当が用いているオペレータ端末40を識別する情報(図5の例では「40-01」)を、薬剤師が用いているオペレータ端末40を識別する情報(図5の例では「40-11」)に更新して、接客端末10と通常の接客担当のオペレータ端末40のデータ通信を中継するセッションを終了させるとともに、接客端末10と薬剤師のオペレータ端末40のデータ通信を中継するセッションが開始される。
【0069】
さらに、接客管理サーバ30の接客対応制御部31は、接客端末10に対して、接客中の顧客が視認可能な接客端末10の一部の表示状態を変化させるための変更命令を送信する(図8のS12)。
【0070】
例えば、接客端末10のモニタ16に表示されている名札を「お客様係」から「薬剤師」に変更する命令を送信すると、通信制御部101でこの命令を受信して、表示制御部104にモニタ16の名札表示を「お客様係」から「薬剤師」に変更する処理を実行させる。あるいは、接客端末10の人感センサ11がぬいぐるみ型の本体の目の部分に埋め込まれている場合に、目の色が変わったように見せるために人感センサ11の表面部の色を変更する命令を送信すると、通信制御部101でこの命令を受信して、表示制御部104に人感センサ11の表面部の色を変更する処理を実行させる。
【0071】
接客端末10では、図5の例のように、モニタ16に表示されている名札が「お客様係」から「薬剤師」に切り替わるので、顧客は応対者の交代を直感的に理解することができる。交代した薬剤師であるオペレータ(図5の例ではオペレータID「40-11」により識別されるオペレータ端末40を用いているオペレータ)が「以前に服用されたことはありますか?」と話しかけると、その音声データが接客管理サーバ30の接客対応制御部31を介して接客端末10に送信され、接客端末10のスピーカ15で再生される。
【0072】
尚、ここでは接客中のオペレータ端末40を他のオペレータ端末40に切り替えて応対者を交代させる例について説明したが、同一のオペレータ端末40を使用したままで、オペレータ端末40から顧客と対話するオペレータが交代することによって、応対者を交代させることも可能である。
【0073】
その場合、オペレータ端末40において顧客と対話するオペレータが交代すると、オペレータ端末40から接客管理サーバ30に交代したオペレータを識別する情報を送信し、接客管理サーバ30ではオペレータ端末40を切り替える処理は実行せず、オペレータ情報格納部33に格納された情報から交代したオペレータの職種を特定して、当該職種のオペレータに応対者が交代したことを示すために接客端末10の一部の表示状態を変化させるための変更命令を接客端末10に送信する。
【0074】
以上の例では、接客端末10のモニタ16に、応対しているオペレータの職種を示す名札が表示されることを説明したが、モニタ16に表示される情報はこうした名札に限定されるものではなく、顧客へのおススメ商品に関する情報など、名札以外の情報を表示させることとしてもよい。
【0075】
図6は、接客端末10(図5の例では接客端末を識別する情報「10-01」)による接客中に、オペレータ端末40からの遠隔操作による接客端末10での接客対応が困難になって、店舗の従業員を呼び出す流れを示している。店舗に来店した顧客をオペレータ(図6の例ではオペレータID「40-01」により識別されるオペレータ端末40を用いているオペレータ)が接客しており、接客管理サーバ30では、接客端末10を識別する情報(図6の例では「10-01」)と接客対応中のオペレータのオペレータ端末40を識別する情報(図6の例では「40-01」)が紐付けられて、接客対応制御部31に一時記憶されている。
【0076】
顧客が接客端末10に「○○コーナーに案内して!」と話しかけると、オペレータ端末40でその音声が再生されるが、接客端末10による店内の案内は困難と判断したオペレータは「少々お待ちください!」と回答する。接客端末10のスピーカ15では「少々お待ちください!」という音声が再生されるが、あわせてオペレータ端末40では店舗の従業員を呼び出すリクエストを、接客管理サーバ30に送信する。
【0077】
接客管理サーバ30でこのリクエストを受信すると(図8のS13がYes)、接客対応制御部31はオペレータ端末40を識別する情報(図6の例では「40-01」)に紐付けられた接客端末10を識別する情報(図6の例では「10-01」)から特定される接客端末10が設置されている店舗の従業員のうち、従業員情報格納部36を検索して勤務中の従業員を選択し、その従業員が所持している従業員端末50を特定する。
【0078】
特定された従業員端末50を呼び出して接客管理サーバ30との接続が確立されると(複数の従業員端末50を一斉に呼び出して、その中から応答した一の従業員端末50との接続を確立することとしてもよい)、接客対応制御部31には接客中のオペレータが用いているオペレータ端末40を識別する情報(図6の例では「40-01」)が接客端末10を識別する情報(図6の例では「10-01」)と紐付けて一時記憶されているので、ここに従業員が所持している従業員端末50を識別する情報(図6の例では「60-01」)を関連付けて一次記憶させ、オペレータ端末40と従業員端末50のデータ通信を中継するセッションが開始される(図8のS14)。
【0079】
オペレータ端末40でオペレータが店舗の従業員に対して「××(接客端末10の愛称)のお客様対応、お願いします!」と話しかけると、接客管理サーバ30の接客対応制御部31がその音声データを中継して、従業員端末50のヘッドホン等に「××のお客様対応、お願いします!」という音声が再生される。こうして接客対応が店舗の従業員に引き継がれたことが両者の間で確認されると、オペレータはオペレータ端末40で通話の終了操作を行い、接客管理サーバ30の接客対応制御部31で、オペレータ端末40と従業員端末50のデータ通信を中継するセッションを終了する処理が実行される。
【0080】
尚、ここでのオペレータから店舗の従業員への接客対応の引継ぎは、両者間での対話を経ることなく、接客管理サーバ30から従業員端末50を呼び出した際に、接客端末10での接客対応を依頼するメッセージの音声データを自動送信し、従業員端末50のヘッドホン等に再生させることとしてもよい。この場合、オペレータ端末40と従業員端末50のデータ通信を中継するセッションを張る必要は生じず、従業員端末50を識別する情報(図6の例では「60-01」)と接客対応中のオペレータのオペレータ端末40を識別する情報(図6の例では「40-01」)を紐付けて接客対応制御部31に一次記憶されることも必要にはならない。
【符号の説明】
【0081】
10 接客端末
101 通信制御部
102 顧客認識部
103 通話制御部
104 表示制御部
11 人感センサ
12 カメラ
13 カードスキャナ
14 集音マイク
15 スピーカ
16 モニタ
20 試供品収納ロッカー
30 接客管理サーバ
31 接客対応制御部
32 従業員呼出部
33 オペレータ情報格納部
34 顧客情報格納部
35 試供品情報格納部
36 従業員情報格納部
40 オペレータ端末
50 従業員端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8