(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018027
(43)【公開日】2022-01-26
(54)【発明の名称】電極切断装置、および、積層セルの製造装置
(51)【国際特許分類】
H01M 4/04 20060101AFI20220119BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20220119BHJP
B26D 1/20 20060101ALI20220119BHJP
B26D 7/14 20060101ALI20220119BHJP
B26F 1/12 20060101ALI20220119BHJP
B26D 5/34 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
H01M4/04 Z
H01M10/04 Z
B26D1/20 A
B26D7/14
B26F1/12 A
B26D5/34 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020120962
(22)【出願日】2020-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000141886
【氏名又は名称】株式会社京都製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 学
【テーマコード(参考)】
3C024
3C027
3C060
5H028
5H050
【Fターム(参考)】
3C024GG00
3C027SS02
3C027SS03
3C027SS05
3C027SS06
3C027SS08
3C060AA16
3C060AB01
3C060BA01
3C060BB13
3C060BD01
3C060BG13
5H028AA05
5H028BB04
5H028BB15
5H028BB18
5H028BB19
5H028CC08
5H028CC15
5H050AA19
5H050DA19
5H050FA06
5H050GA04
5H050GA27
5H050GA29
5H050GA30
5H050HA12
(57)【要約】
【課題】簡単な構成の装置で、安定して高品質な積層セルを製造する。
【解決手段】電極供給部3は、電極板供給部30N、30Pを有し、電極板供給部30N、30Pは、導電シートShを一定の長さ毎に切断して電極板Epを作製する電極切断部36を有し、電極切断部36は、導電シートShの搬送方向と交差する方向に延びる固定切り刃3611を有する固定刃361と、円板状であって径方向外縁に回転切り刃3621を有する回転刃362と、回転切り刃3621と固定切り刃3611との接触を維持した状態で、回転刃362を回転させつつ固定刃361に沿って移動させる回転刃移動部363と、を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電シートを一定の長さ毎に切断して電極板を作製する電極切断装置であって、
前記導電シートの搬送方向と交差する方向に延びる固定切り刃を有する固定刃と、
円板状であって径方向外縁に回転切り刃を有する回転刃と、を備え、
前記回転刃が、回転しつつ前記固定刃に沿って移動する電極切断装置。
【請求項2】
前記回転刃は、前記固定刃との接触を維持した状態で、回転しつつ前記固定刃に沿って移動する請求項1に記載の電極切断装置。
【請求項3】
前記回転刃には、前記固定刃に向けて押す力が付与される請求項2に記載の電極切断装置。
【請求項4】
前記固定刃に対する前記回転刃の送り量および回転刃の回転速度が可変である請求項1から請求項3のいずれかに記載の電極切断装置。
【請求項5】
前記導電シートの切断完了時において、前記回転刃を空転させており、
設定された切断回数毎に前記回転刃の空転時の回転角度が可変である請求項1から請求項4のいずれかに記載の電極切断装置。
【請求項6】
前記導電シートの搬送方向において、前記回転刃と前記固定刃に対し、上流側に配置された第1搬送ローラ部と、下流側に配置された第2搬送ローラ部と、をさらに有し、
前記第1搬送ローラ部および前記第2搬送ローラ部は、ともに前記導電シート厚み方向につかみ、搬送中の前記導電シートに対して搬送方向に一定の張力を付与しており、
前記回転刃と前記固定刃とにより前記導電シートを切断するときに、前記導電シートの搬送を停止するとともに、前記導電シートの前記第1搬送ローラ部と前記第2搬送ローラ部との間の部分の張力を搬送時の張力に対して変化させる請求項1から請求項5のいずれかに記載の電極切断装置。
【請求項7】
前記導電シートの切断時において、前記第1搬送ローラ部が停止して一定時間経過した後、前記第2搬送ローラ部が停止する請求項6に記載の電極切断装置。
【請求項8】
前記導電シートの切断時において、前記第1搬送ローラ部および前記第2搬送ローラ部がともに停止した後、前記第2搬送ローラ部を前記導電シートの搬送方向と逆方向に一定量回転する請求項6に記載の電極切断装置。
【請求項9】
前記導電シートの幅方向の両端に前記電極切断部で切断する部分を支持するための切り欠きを形成する切り欠き形成部をさらに有し、
前記切り欠き形成部は、
前記導電シートに切り欠きを形成するとともに幅方向に移動可能な切り欠き金型と、
前記導電シートの搬送方向において前記切り欠き金型の上流側に配置されて前記導電シートの幅方向のエッジを検知するエッジ検知部と、を有し、
前記切り欠き金型が、前記エッジ検知部にて検知された前記導電シートの前記エッジに基づいて、前記導電シートの幅方向の前記エッジに正確に形成されるように移動される請求項1から請求項8のいずれかに記載の電極切断装置。
【請求項10】
蛇腹状に折り曲げたセパレータの谷折り部分に負極板となる電極板および正極板となる電極板を交互に配置して積層した積層セルを製造する積層セルの製造装置であって、
テープ状の前記セパレータを供給するセパレータローラを有するセパレータ供給部と、
前記セパレータローラから供給された前記セパレータを蛇腹状に折り曲げる折り曲げ部と、
前記折り曲げ部にて蛇腹状に折り曲げられた前記セパレータに前記負極板および前記正極板を交互に供給する電極供給部と、
を有し、
前記電極供給部は、2個の電極板供給部を有し、
一方の前記電極板供給部は、前記一方側に配置されて前記負極板となる電極板を供給し、他方の前記電極板供給部は、前記他方側に配置されて前記正極板となる前記電極板を供給し、
各電極板供給部は、
前記導電シートを一定の長さ毎に切断して前記電極板を作製する電極切断部を有し、
前記電極切断部は、
前記導電シートの搬送方向と交差する方向に延びる固定切り刃を有する固定刃と、
円板状であって径方向外縁に回転切り刃を有する回転刃と、
前記回転刃を回転させつつ接触前記固定切り刃に沿って移動させる回転刃移動部と、を有する積層セルの製造装置。
【請求項11】
前記回転刃移動部は、前記回転切り刃と前記固定切り刃との接触を維持した状態で、前記回転刃を回転させつつ前記固定切り刃に沿って移動させる請求項10に記載の積層セルの製造装置。
【請求項12】
前記回転刃を前記固定刃に向けて押す力を付勢する付勢部をさらに有する請求項11に記載の積層セルの製造装置。
【請求項13】
前記固定刃に対する前記回転刃の送り量および前記回転刃の回転速度が可変である請求項10から請求項12のいずれかに記載の積層セルの製造装置。
【請求項14】
前記導電シートの切断完了時において、前記回転刃を空転させており、
設定された切断回数毎に前記回転刃の空転時の回転角度が可変である請求項10から請求項13のいずれかに記載の積層セルの製造装置。
【請求項15】
前記電極切断部は、
前記導電シートの搬送方向において前記電極切断部の上流側に配置された第1搬送ローラ部と、前記電極切断部の下流側に配置された第2搬送ローラ部とを有し、
前記第1搬送ローラ部および前記第2搬送ローラ部は、ともに前記導電シートを厚み方向に掴み、搬送中の前記導電シートに対して搬送方向に一定の張力を付与しており、
前記電極切断部は、前記導電シートを切断するときに前記導電シートの搬送を停止するとともに、前記導電シートの前記第1搬送ローラ部と前記第2搬送ローラ部との間の部分の張力を搬送時の張力に対して変化させる請求項10から請求項14のいずれか記載の積層セルの製造装置。
【請求項16】
前記導電シートの切断時において、前記電極切断部は、前記第1搬送ローラ部を停止して一定時間経過した後に前記第2搬送ローラ部を停止する請求項15に記載の積層セルの製造装置。
【請求項17】
前記導電シートの切断時において、前記電極切断部は、前記第1搬送ローラ部および前記第2搬送ローラ部がともに停止した後、前記第2搬送ローラ部を前記導電シートの搬送方向と逆方向に一定量回転させる請求項15に記載の積層セルの製造装置。
【請求項18】
前記導電シートの幅方向の両端に前記電極切断部で切断する部分を支持するための切り欠きを形成する切り欠き形成部をさらに有し、
前記切り欠き形成部は、
前記導電シートに切り欠きを形成するとともに幅方向に移動可能な切り欠き金型と、
前記導電シートの搬送方向において前記切り欠き金型の上流側に配置されて前記導電シートの幅方向のエッジを検知するエッジ検知部と、を有し、
前記切り欠き金型が、前記エッジ検知部にて検知された前記導電シートの前記エッジに基づいて、前記導電シートの幅方向の前記エッジに正確に形成されるように移動される請求項10から請求項17のいずれかに記載の積層セルの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極切断装置、および、積層セルの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用電池、電子機器用電池等の各種電池として、セパレータを挟んで負極板と正極板とを交互に積層した積層型電池が広く採用されている。特開2014-165055号公報に記載の構成では、正極板移載ヘッドおよび負極板移載ヘッドで交互にセパレータを押して、ジグザグに折り曲げつつ、正極板移載ヘッドから折り曲げたセパレータに正極板を、負極板移載ヘッドから折り曲げたセパレータに負極板をそれぞれ移載して、正極板および負極板がセパレータを介して交互に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
導電板を切断して、高い形状精度の正極板および負極板を形成する場合、金型を用いると、高精度の金型を用いる必要がある。また、一定量製造した後に金型の交換が必要である。また、レーザーで切断することも可能であるが、切断時の金属板の編成や微細物の飛散があり、精度の高い正極板および負極板を得ることが困難になる虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、簡単な構成で、安定して高品質に電極を切断できる電極切断装置、および、簡単な構成で、安定して高品質な積層セルを製造できる積層セルの製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の電極切断装置は、前記導電シートの搬送方向と交差する方向に延びる固定切り刃を有する固定刃と、円板状であって径方向外縁に回転切り刃を有する回転刃と、を備え、前記回転刃を回転させつつ前記固定刃に沿って移動させる。
【0007】
このように構成することで、回転刃の回転切り刃を固定刃の固定切り刃に対して、一定の精度とすることで、導電シートを切断可能である。これにより、電極切断部を簡略化できる。また、固定刃または回転刃を交換する場合も、取り付け時の精度を一定の精度とすればよく、交換も容易である。このような簡単な構成であるにもかかわらず安定して高品質に電極を切断できる。
【0008】
上記構成において、前記回転刃は、前記固定刃との接触を維持した状態で、回転しつつ前記固定刃に沿って移動する。
【0009】
上記構成において、前記回転刃には、前記固定刃に向けて押す力が付与される。
【0010】
上記構成において、前記固定刃に対する前記回転刃の送り量および回転刃の回転速度が可変である。
【0011】
上記構成において、前記導電シートの切断完了時において、前記回転刃を空転させており、設定された切断回数毎に前記回転刃の空転時の回転角度が可変である。
【0012】
上記構成において、前記導電シートの搬送方向において、前記回転刃と前記固定刃に対し、上流側に配置された第1搬送ローラ部と、下流側に配置された第2搬送ローラ部と、をさらに有する。前記第1搬送ローラ部および前記第2搬送ローラ部は、ともに前記導電シート厚み方向につかみ、搬送中の前記導電シートに対して搬送方向に一定の張力を付与している。前記回転刃と前記固定刃とにより前記導電シートを切断するときに、前記導電シートの搬送を停止するとともに、前記導電シートの前記第1搬送ローラ部と前記第2搬送ローラ部との間の部分の張力を搬送時の張力に対して変化させる。
【0013】
上記構成において、前記導電シートの切断時において、前記第1搬送ローラ部が停止して一定時間経過した後、前記第2搬送ローラ部が停止する。
【0014】
上記構成において、前記導電シートの切断時において、前記第1搬送ローラ部および前記第2搬送ローラ部がともに停止した後、前記第2搬送ローラ部を前記導電シートの搬送方向と逆方向に一定量回転する。
【0015】
上記構成において、前記導電シートの幅方向の両端に前記電極切断部で切断する部分を支持するための切り欠きを形成する切り欠き形成部をさらに有し、前記切り欠き形成部は、前記導電シートに切り欠きを形成するとともに幅方向に移動可能な切り欠き金型と、前記導電シートの搬送方向において前記切り欠き金型の上流側に配置されて前記導電シートの幅方向のエッジを検知するエッジ検知部と、を有する。そして、前記切り欠き金型が、前記エッジ検知部にて検知された前記導電シートの前記エッジに基づいて、前記導電シートの幅方向の前記エッジに正確に形成されるように移動される。
【0016】
上記目的を達成するために本発明の積層セルの製造装置は、蛇腹状に折り曲げたセパレータの谷折り部分に負極板となる電極板および正極板となる電極板を交互に配置して積層した積層セルを製造する。積層セルの製造装置は、テープ状の前記セパレータを供給するセパレータローラを有するセパレータ供給部と、前記セパレータローラから供給された前記セパレータを蛇腹状に折り曲げる折り曲げ部と、前記折り曲げ部にて蛇腹状に折り曲げられた前記セパレータに前記負極板および前記正極板を交互に供給する電極供給部と、を有する。前記電極供給部は、2個の電極板供給部を有する。一方の前記電極板供給部は、前記一方側に配置されて前記負極板となる電極板を供給し、他方の前記電極板供給部は、前記他方側に配置されて前記正極板となる前記電極板を供給する。各電極板供給部は、前記導電シートを一定の長さ毎に切断して前記電極板を作製する電極切断部を有する。前記電極切断部は、前記導電シートの搬送方向と交差する方向に延びる固定切り刃を有する固定刃と、円板状であって径方向外縁に回転切り刃を有する回転刃と、前記回転刃を回転させつつ接触前記固定切り刃に沿って移動させる回転刃移動部と、を有する。
【0017】
この構成によると、回転刃を回転させつつ移動させることで導電シートを切断する。回転刃の回転切り刃を固定刃の固定切り刃に対して、一定の精度とすることで、導電シートを切断可能である。これにより、電極切断部を簡略化できる。また、固定刃または回転刃を交換する場合も、取り付け時の精度を一定の精度であればよく、交換も容易である。このような簡単な構成であるにもかかわらず安定して高品質な積層セルを製造できる。
【0018】
上記構成において、前記回転刃移動部は、前記回転切り刃と前記固定切り刃との接触を維持した状態で、前記回転刃を回転させつつ前記固定切り刃に沿って移動させる。
【0019】
上記構成において、前記回転刃を前記固定刃に向けて押す力を付勢する付勢部をさらに有する。
【0020】
上記構成において、前記固定刃に対する前記回転刃の送り量および前記回転刃の回転速度が可変である。
【0021】
上記構成において、前記導電シートの切断完了時において、前記回転刃を空転させており、設定された切断回数毎に前記回転刃の空転時の回転角度が可変である。
【0022】
上記構成において、前記電極切断部は、前記導電シートの搬送方向において前記電極切断部の上流側に配置された第1搬送ローラ部と、前記電極切断部の下流側に配置された第2搬送ローラ部とを有する。前記第1搬送ローラ部および前記第2搬送ローラ部は、ともに前記導電シートを厚み方向に掴み、搬送中の前記導電シートに対して搬送方向に一定の張力を付与している。前記電極切断部は、前記導電シートを切断するときに前記導電シートの搬送を停止するとともに、前記導電シートの前記第1搬送ローラ部と前記第2搬送ローラ部との間の部分の張力を搬送時の張力に対して変化させる。
【0023】
上記構成において、前記導電シートの切断時において、前記電極切断部は、前記第1搬送ローラ部を停止して一定時間経過した後に前記第2搬送ローラ部を停止する。
【0024】
上記構成において、前記導電シートの切断時において、前記電極切断部は、前記第1搬送ローラ部および前記第2搬送ローラ部がともに停止した後、前記第2搬送ローラ部を前記導電シートの搬送方向と逆方向に一定量回転させる。
【0025】
上記構成において、前記導電シートの幅方向の両端に前記電極切断部で切断する部分を支持するための切り欠きを形成する切り欠き形成部をさらに有し、前記切り欠き形成部は、前記導電シートに切り欠きを形成するとともに幅方向に移動可能な切り欠き金型と、前記導電シートの搬送方向において前記切り欠き金型の上流側に配置されて前記導電シートの幅方向のエッジを検知するエッジ検知部と、を有し、前記切り欠き金型が、前記エッジ検知部にて検知された前記導電シートの前記エッジに基づいて、前記導電シートの幅方向の前記エッジに正確に形成されるように移動される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、簡単な構成で、安定して高品質に電極を切断できる電極切断装置、および、簡単な構成で、安定して高品質な積層セルを製造できる積層セルの製造装置、を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明にかかる積層セルの製造装置の概略配置図である。
【
図2】積層セルの製造装置の機能ブロック図である。
【
図8】待機テーブルおよび位置調整テーブルの配置を示す斜視図である。
【
図10】電極板の位置調整の動作を示すフローチャートである。
【
図11】第1搬送部が待機テーブルの電極板を保持した状態を示す斜視図である。
【
図12】位置調整テーブルの上面に電極板を配置した直後の斜視図である。
【
図13】第1搬送部が待機テーブルの電極板を取りに移動している状態を示す斜視図である。
【
図14】電極板の積層体に対する位置を確認する手順を示すフローチャートである。
【
図15】確認用撮像部で撮像した確認用撮像データを示す図である。
【
図16】積層テーブルが第2位置にある状態を示す図である。
【
図17】正極板が上部に載置されて第2爪部で押えられた状態を示す図である。
【
図18】積層テーブルが一方側に移動している状態を示す図である。
【
図19】積層テーブルがさらに一方側に移動している状態を示す図である。
【
図20】積層テーブルが第1位置にある状態を示す図である。
【
図21】負極板が上部に載置されて第1爪部で押えられた状態を示す図である。
【
図22】学習モードにおける動作を示すフローチャートである。
【
図23】セパレータの張力制御を示すフローチャートである。
【
図24】セパレータの張力制御を示すフローチャートである。
【
図25】積層セルの分離処理を示すフローチャートである。
【
図26】切断後のセパレータ保持部の移動状態を示す図である。
【
図27】セパレータ保持部がから積層テーブルにセパレータを受け渡した状態を示す図である。
【
図28】第1位置まで移動した積層テーブルを示す図である。
【
図29】セパレータの連結動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0029】
<積層セルの製造装置100>
図1は、本発明にかかる積層セルの製造装置100の概略配置図である。
図2は、積層セルの製造装置100の機能ブロック図である。なお、本実施形態の積層セルの製造装置100では、
図1に示す積層セルの製造装置100において、積層テーブル21の移動方向Tr1を矢印にて示す。
【0030】
積層テーブル21の移動方向Tr1において、後述のローラ対131よりも左側を一方側Op、右側を他方側Tpとする。積層テーブル21は、一方側Opと他方側Tpとの間を、例えば、直線的に往復移動する。積層テーブル21が一方側Opと他方側Tpとの間を移動することで、セパレータSが蛇腹状に折り曲げられる。例えば、移動方向Tr1は、ローラ対131から供給されたセパレータSの厚み方向ということも可能である。ここで、蛇腹状とは、テープ状のシートを一定の範囲の幅で折り曲げて重ね合わせた形状であり、つづら折りとも呼ばれる形状である。
【0031】
積層セルの製造装置100は、セパレータロールSrから供給されるテープ状のセパレータSを蛇腹状に折り曲げるとともに、蛇腹状に折り曲げられたセパレータSの谷折り部分に負極板200および正極板300を交互に配置して積層セル400(
図3参照)を形成する。積層セル400は、積層型電池Bpに用いられる(
図3参照)。以下、積層される前の電極を電極板Epとして説明する。
【0032】
<積層型電池Bp>
ここで、積層型電池Bpの一例について図面を参照して説明する。
図3は、積層型電池Bpの概略を示す分解斜視図である。
図3に示すように、積層型電池Bpは、ケースCsと、積層セル400とを有する。ケースCsは、例えば、上部が開口した略直方体形状であり、上部の開口を蓋Ctにて閉じられる。積層型電池Bpでは、積層セル400がケースCsの内部に電解液とともに収容される。そして、蓋Ctを閉じるとともに、電解液が漏れないように封止する。
【0033】
積層セル400は、負極板200と、正極板300と、セパレータSとを有する。セパレータSは、絶縁性を有するとともに、イオンが透過可能な材料で形成される。そして、セパレータSは、蛇腹状に折り曲げられる。セパレータSの谷折り部分に、負極板200および正極板300が交互に配置されることで、積層セル400が形成される。なお、
図3に示す積層セル400では、3個の負極板200と2個の正極板300を積層した構成としているが、実際の積層数は、これに限定されない。
【0034】
負極板200は、導電性材料で形成された平面視長方形状の平板である。負極板200は、1対の短辺の一方から突出した端子部201を有する。また、正極板300は、負極板200と同様、導電性材料で形成された平面視長方形状の平板である。正極板300は、一対の短辺の一方から突出した端子部301を有する。なお、積層セル400では、負極板200および正極板300は、端子部201および端子部301が、例えば、それぞれ反対側に突出するように重ねられる。なお、図示を省略しているが、負極板200の端子部201同士が電気的に接続され、正極板300の端子部301同士が電気的に接続される。端子部の接続はこれに限定されない。
【0035】
図3に示すように、負極板200の短辺は、正極板300の短辺よりも長い。そして、平面視において、負極板200は正極板300を覆うように配置される。そして、積層方向の両端は、いずれも負極板200となるように積層される。なお、
図3に示す構成は一例であり、積層方向の両端またはいずれか一端が正極板300となる構成もある。そして、両端の外側にセパレータSが配置される。
図3に示す積層型電池Bpでは、負極板200および正極板300は、平面視長方形状としているが、平面視正方形状、多角形状等、長方形状以外の形状であってもよい。なお、積層セル400の出力電力は、負極板200および正極板300の面積、積層枚数によって決まる。換言すると、積層型電池Bpに要求される容量等に応じて、負極板200および正極板300の面積および積層枚数が決定される。
【0036】
積層セルの製造装置100は以上示したような積層セル400を製造する。次に、積層セルの製造装置100の詳細について説明する。
図1、
図2に示すように、積層セルの製造装置100は、セパレータ供給部1と、折り曲げ部2と、電極供給部3と、積層セル分離部4と、制御部5(
図2参照)とを有する。積層セルの製造装置100は、制御部5によって制御される。
【0037】
<制御部5>
制御部5は、例えば、処理回路51と、記憶回路52とを有する。処理回路51は、各種情報を処理する回路であり、CPU、MPU等の演算回路を有する。また、処理回路51は、処理結果に基づいて、積層セルの製造装置100の各部の駆動を制御する。
【0038】
記憶回路52は、ROM、RAM等の半導体メモリー、フラッシュメモリー等の可搬性を有するメモリーおよびハードディスク等の記憶媒体を含むまたは接続される回路である。記憶回路52で、制御プログラムまたは処理プログラム等の各種プログラムを記憶しておき、必要に応じて処理に対応したプログラムを呼び出すとともに処理回路51でプログラムを動作させて、処理を行うようにしてもよい。
【0039】
<セパレータ供給部1>
図1に示すように、セパレータ供給部1は、セパレータロールSrから引き出されたテープ状のセパレータSを折り曲げ部2に供給する。セパレータ供給部1は、セパレータロール取付部11と、セパレータ搬送部12と、セパレータローラ13と、連結部14とを有する。
【0040】
<セパレータロール取付部11>
セパレータロール取付部11は、セパレータロールSrが回転可能に取り付けられる。
図1に示すように積層セルの製造装置100は、例えば、2個のセパレータロール取付部11を有する。2個のセパレータロール取付部11には、それぞれ、独立したセパレータロールSrが取り付けられる。セパレータロールSrは回転可能であり、セパレータロールSrからセパレータSが引き出される。
【0041】
各セパレータロール取付部11は、取り付けられたセパレータロールSrの残量を検知するセパレータ残量検知部111(
図2参照)を有する。セパレータロールSrは、セパレータSを巻き付けて形成されている。そのため、セパレータSが引き出されることで、セパレータロールSrの半径が小さくなる。セパレータ残量検知部111では、セパレータロールSrの半径を検知してセパレータロールSrの残量を検知する。なお、セパレータロールSrの残量検知方法は、一例であり、これに限定されない。
【0042】
<セパレータ搬送部12>
セパレータ搬送部12は、セパレータSをセパレータローラ13に搬送する。セパレータ搬送部12は、搬送ローラ121と、搬送経路調整部122(
図2参照)と、トラクションローラ123と、張力測定部124と、を有する。
【0043】
搬送ローラ121は、回転可能に設けられたローラであり、外周面にテープ状のセパレータSが接触する。搬送ローラ121は、セパレータSの搬送をガイドする。積層セルの製造装置100において、セパレータSは、搬送ローラ121の外周面に接触することで、搬送方向が屈曲している。搬送ローラ121は、セパレータSが直線状に搬送されている部分でセパレータSと接触してガイドしてもよい。なお、本実施形態の積層セルの製造装置100では、1個の搬送ローラ121を有するものを例に説明しているが、複数個の搬送ローラ121を有してもよい。
【0044】
搬送経路調整部122は、回転可能であるとともに移動可能な可動ローラ125を有する。可動ローラ125は、搬送ローラ121に対して接近または離間可能に配置される。可動ローラ125の回転軸は、搬送ローラ121の回転軸と平行である。可動ローラ125が搬送ローラ121から離間するほど、セパレータSの引き出し長さが長くなり、逆方向に移動することで、セパレータSの引き出し長さが短くなる。つまり、可動ローラ125の位置によって、セパレータ搬送部12におけるセパレータ搬送ルート、換言すると、搬送距離が変化する。搬送経路調整部122は、制御部5からの指示に従って可動ローラ125を搬送ローラ121に対して接近または離間するように移動させる。
【0045】
図1に示すように、積層セルの製造装置100において、セパレータSは、可動ローラ125で折り返してトラクションローラ123に送られる。トラクションローラ123は、回転可能に配置されたローラである。トラクションローラ123は、不図示の駆動部を有しており、制御部5からの指示に基づいて回転制御される。
【0046】
トラクションローラ123は、外周面でセパレータSを、例えば、吸引している。そのため、トラクションローラ123は、搬送ローラ121、搬送経路調整部122に比べてセパレータSとの摩擦力が高い。トラクションローラ123は、回転速度によって、セパレータSの搬送方向において、トラクションローラ123よりも上流側および下流側の張力を変更可能である。換言すると、トラクションローラ123は、セパレータSに対して、上流側と下流側とで別の張力を作用させることができる。
【0047】
本実施形態の積層セルの製造装置100において、トラクションローラ123は、1個のローラを用いているが、これに限定されず、例えば、回転軸を平行とした2個のローラの外周面を接触させ、接触した部分(ニップ部分)でセパレータSを掴むような構成であってもよい。
【0048】
セパレータSは、トラクションローラ123で折り返して張力測定部124に送られる。張力測定部124は、セパレータSの張力を測定する。張力測定部124で測定された張力は、制御部5に送られる。張力測定部124は、例えば、ロードセルを挙げることができるが、これに限定されない。セパレータSの張力を正確かつ迅速に測定できる構成を広く採用することができる。セパレータSは、張力測定部124で曲げられて、下方に配置されたセパレータローラ13に送られる。セパレータ搬送部12は、張力測定部124からセパレータローラ13までの間に配置されたエッジ検知部126を有する。エッジ検知部126は、セパレータSの幅方向のエッジを検知する。エッジ検知部126は、例えば、セパレータSの蛇行、幅のばらつき等を検知することができる。
【0049】
<セパレータローラ13>
セパレータローラ13は、セパレータSをセパレータ供給部1から折り曲げ部2に供給する。セパレータローラ13は、ローラ対131を有する。ローラ対131は、回転軸が平行である2個のローラを有する。
【0050】
セパレータローラ13は、制御部5からの指示に基づいて、ローラ対131を折り曲げ部2の積層テーブル21が移動方向Tr1に移動するときに、折り曲げ部2の邪魔にならないように上方に移動される。ローラ対131の上下方向の移動の詳細は後述する。
【0051】
<連結部14>
積層セルの製造装置100では、2個のセパレータロール取付部11に取り付けられた2個のセパレータロールSrから交互にセパレータSが引き出される。両方のセパレータロールSrそれぞれから引き出されたセパレータSの搬送方向の先端は連結部14に保持されている。そして、連結部14は、一方のセパレータロールSrからのセパレータSをセパレータ搬送部12に送る。
【0052】
連結部14は、制御部5に接続されており、制御部5からの指示に従って動作する。連結部14は、一方のセパレータロールSrの残量が一定量よりも少なくなると、他方のセパレータロールSrから引き出されているセパレータSを、一方のセパレータロールSrからのセパレータSの搬送方向後方の端部に連結する。なお、一方側のセパレータロールSrから他方側のセパレータロールSrに切り替えてセパレータSを引き出すようにした後、一方側のセパレータロール取付部11にセパレータロールSrを取り付ける。このようにすることで、連結部14では、2個のセパレータロールSrの残量によって自動的に連結するため、セパレータロールSrを交換する際に停止する時間を減らすことができる。
【0053】
連結部14の構成については、従来周知のテープ状の部材を繋ぐ装置と同じ構成を採用することが可能である。そのため、連結部14の詳細な構成については省略する。また、連結部14でセパレータSを連結するときの積層セルの製造装置100の動作については、後述する。
【0054】
セパレータ供給部1は、以上示した構成を有する。セパレータSは、セパレータ供給部1から折り曲げ部2に供給される。次に、折り曲げ部2の詳細について説明する。
【0055】
<折り曲げ部2>
図4は、折り曲げ部2を拡大した斜視図である。
図4に示す積層テーブル21では、積層が完了する前の積層体500を示すとともに、セパレータSの図示を省略している。
【0056】
図1に示すように、折り曲げ部2は、セパレータローラ13から供給されたセパレータSを蛇腹状に折り曲げる。積層セルの製造装置100において、折り曲げ部2は、セパレータローラ13のローラ対131に対し、水平もしくは下方に配置される。折り曲げ部2は、積層テーブル21と、第1爪部22と、第2爪部23と、を有する。さらに、確認用撮像部24を有してもよい。
【0057】
<積層テーブル21>
積層テーブル21は、平面視長方形状である。積層テーブル21は、制御部5にて制御される積層テーブル移動部211(
図2参照)にて往復移動される。正面視において、積層テーブル21はセパレータローラ13のローラ対131よりも一方側Opの第1位置P1(後述の
図8等参照)と他方側Tpの第2位置P2(後述の
図16等参照)との間を往復移動する。
【0058】
また、後述する第1爪部22および第2爪部23により、積層テーブル21の上面では、セパレータSが保持される。さらには、積層テーブル21の上面に複数の孔(不図示)を設け、孔から空気を吸引することで、セパレータSを吸着(真空吸着)するようにしてもよい。なお、孔を形成した構成と同様に、メッシュ、ポーラス等の隙間を有する材料で形成されていてもよい。以上のような構成により、積層テーブル21は、セパレータSを保持する。
【0059】
積層テーブル21は、第1位置P1に移動したときに蛇腹状に折り曲げられたセパレータSの上部に、電極供給部3から供給される電極板Epが載置される。電極板Epは、積層セル400において、負極板200または正極板300として用いられる。積層テーブル21の上部には、積層テーブル21が第1位置P1にあるときに電極板Epが負極板200として載置され(
図8参照)、第2位置P2にあるときに電極板Epが正極板300として載置される(
図16参照)。
【0060】
電極板Epは、アルミニウム等の導電性を有する金属を含んで形成される。また、電極板Epは、平面視長方形状であり、一方の短辺から長手方向に沿って外側に突出する突出部Epmを有する(
図8等参照)。突出部Epmは、負極板200の端子部201となる部分であり、正極板300の端子部301となる部分である。積層テーブル21が往復移動を繰り返す毎に、負極板200および正極板300が積層される。
【0061】
積層テーブル21は、上下にも移動可能である。積層テーブルは、負極板200または正極板300が積層される毎に、電極板Epの厚みだけ下方に移動する。これにより、積層テーブル21の上部に載置される積層途中の積層体500の上面は、常に一定の高さとすることができる。これにより、後述する第2搬送部332により電極板Epを精度よく搬送することが可能である。
【0062】
<第1爪部22および第2爪部23>
図4に示すように、第1爪部22および第2爪部23は、積層テーブル21の上方に配置される。第1爪部22は、第1位置P1において積層テーブル21の上部で蛇腹状に折り曲げられたセパレータSの上部に載置された負極板200の上面の他方側Tpの隅部を押える。第1爪部22は、制御部5によって移動制御されており、上下方向および移動方向と直交する水平方向に移動される。なお、積層セルの製造装置100では、第1爪部22は、積層テーブル21の長手方向に対をなして配置されるが、これに限定されない。
【0063】
第2爪部23は、第2位置P2において積層テーブル21の上部で蛇腹状に折り曲げられたセパレータSの上部に載置された正極板300の上面の一方側Opの隅部を押える。第2爪部23は、制御部5によって移動制御されており、上下方向および移動方向と直交する水平方向に移動される。なお、積層セルの製造装置100では、第2爪部23は、積層テーブル21の長手方向に対をなして配置されるが、これに限定されない。
【0064】
第1爪部22は、第2爪部23が正極板300を押えた後、積層体500から水平方向に移動し、平面視において、積層テーブル21上に載置した電極板Epと重ならない退避位置に移動する。なお、第1爪部22の退避位置は負極板200となる電極板Epを載置する際に邪魔にならない位置を広く採用することができるが、その後、負極板200を押えることが必要であることからため、例えば積層テーブル21の近傍とすると好ましい。
【0065】
また、第2爪部23は、第1爪部22が負極板200を押えた後、積層体500から水平方向に移動し、平面視において、積層テーブル21上に配置した電極板Epと重ならない退避位置に移動する。なお、第2爪部23の退避位置は正極板300となる電極板Epの載置の邪魔にならない位置を広く採用することができるが、その後、正極板300を押えるため、積層テーブル21の近傍とすることが好ましい。
【0066】
<確認用撮像部24>
確認用撮像部24は、積層テーブル21に載置された負極板200または正極板300を撮像する。確認用撮像部24は、第1位置P1にある積層テーブル21の上方および第2位置P2にある積層テーブル21の上方の両方に配置される。なお、必要に応じて、第1位置P1の上方にあるものを確認用撮像部24N、第2位置P2の上方にあるものを確認用撮像部24Pとして区別する(
図1等参照)。
【0067】
本実施形態にかかる積層セルの製造装置100では、セパレータローラ13が水平方向固定で、積層テーブル21が移動することで、セパレータSを蛇腹状に折り曲げるとともに、負極板200および正極板300を積層する。そのため、従来のセパレータローラ13を移動させる場合に比べて、セパレータローラ13が撮像の邪魔になりにくく、好ましい。
【0068】
また、確認用撮像部24Nは、第1位置P1の上方に固定され、確認用撮像部24Pは、第2位置P2の上方に固定される。そのため、確認用撮像部24Nおよび確認用撮像部24Pの画角が固定となり、確認用撮像部24Nおよび確認用撮像部24Pによる確認用撮像データImg(後述の
図14)を一定の形状および大きさで撮像することができる。これにより、確認用撮像データImgによる確認作業の精度を高めることが可能である。
【0069】
<電極供給部3>
次に電極供給部3の詳細について図面を参照して説明する。
図5は、電極供給部3の概略配置図である。
図6は、切り欠き形成部37の斜視図である。
図7は、電極切断部36の斜視図である。
図1に示すように、積層セルの製造装置100において、電極供給部3は、例えば、2個の電極板供給部30を有する。2個の電極板供給部30は、移動方向Tr1において一方側Opおよび他方側Tpにそれぞれ配置される。一方側Opに配置される電極板供給部30は、積層されて負極板200として用いられる電極板Epを供給する。他方側Tpに配置される電極板供給部30は、積層されて正極板300として用いられる電極板Epを供給する。なお、必要に応じ、負極板200となる電極板Epを供給する方を電極板供給部30Nとし、正極板300となる電極板Epを供給する方を電極板供給部30Pとして区別する。
【0070】
電極板供給部30Nと電極板供給部30Pとは、電極板Epを形成する前の導電シートShが異なる。具体的には、導電シートShを構成する材料が異なるとともに、突出部Shmの向きや形状が異なる。これ以外の点については、電極板供給部30Nおよび電極板供給部30Pは、実質上同じ構成を有する。そのため、
図5では、電極板供給部30Nを図示するとともに、電極板供給部30Nを基準に説明する。また、
図6および
図7も電極板供給部30Nに配置される切り欠き形成部37および電極切断部36を示している。
【0071】
図5、
図6、
図7は、電極板供給部30Nまたはその一部を示している。電極板供給部30Nを搬送される導電シートShは、幅方向の一方側に、例えば、端子部201となる突出部Shmを有する。突出部Shmは、予め導電シートShに形成されていてもよいし、電極供給部3で形成してもよい。ここでは、予め導電シートShに形成されているものとする。
【0072】
図5に一例として例示すように、電極板供給部30Nは、待機テーブル31と、位置調整テーブル32と、搬送部33と、調整用撮像部34と、導電シート搬送部35と、電極切断部36と、切り欠き形成部37と、搬送コンベヤ381と、クリーナ382と、を有する。電極板供給部30Nでは、導電シートShをロール状に巻き付けて形成した導電シートロールShrから引き出される導電シートShを所定の長さに切断して、電極板Epを作製する。そして、電極板Epを積層テーブル21に供給する。
【0073】
なお、待機テーブル31を設けずに、搬送コンベヤ381の、位置調整テーブル32側の終端部分を待機テーブルとして兼用する構成としても構わない。また、位置調整テーブル32や、切り欠き形成部37や、クリーナ382、等を有しない構成としても構わない。
【0074】
また、位置調整テーブル32を有しない構成の場合、待機テーブル31(搬送コンベヤ381の終端部分を兼用する構成も含む)から積層テーブル21へ移載する途中の過程において電極板Epの位置を調整し、調整終了後、積層テーブル21上に載置するようにしてもよい。
【0075】
<導電シート搬送部35>
導電シート搬送部35は、導電シートロール取付部351を有する。なお、
図5では、2ロールの例を示しているが1ロールであってもよい。電極板供給部30Nは、2個の導電シートロール取付部351を有しており、それぞれ、導電シートロールShrが取り付けられている。導電シート搬送部35では、一方の導電シートロール取付部351に取り付けられた一方の導電シートロールShrから導電シートShが引き出して、搬送する。そして、一方の導電シートロールShrの残量が一定以下になると、自動的に他方の導電シートロール取付部351に取り付けられた他方の導電シートロールShrから導電シートShを引き出す。これにより、導電シートロールShrの取り付けのために、電極板供給部30Nを停止しなくてもよく、積層セル400の製造に要する時間を短くできる。
【0076】
導電シート搬送部35は、導電シートロールShrから引き出された導電シートShを搬送するためのローラを複数個備えている。導電シート搬送部35によって搬送された導電シートShが電極切断部36で切断される電極板Epが形成される。電極切断部36では、導電シートShの幅方向の両側に設けられた切り欠きNtを基準に導電シートShを切断する。そのため、導電シート搬送部35において、電極切断部36の上流側に切り欠き形成部37が配置される。
【0077】
<切り欠き形成部37>
切り欠き形成部37は、搬送された導電シートShの幅方向の両側に切り欠きNtを形成する。切り欠き形成部37としては一般的な切断方法で箔を切断する構成、例えば、
図5に例示するような、切り欠き金型371と、エッジ検知部372と、金型移動部373(
図2参照)とを有する構成を挙げることができる。また、これ以外の構成を採用してもよく、例えば、レーザー切断による構成等を広く採用することができる。
【0078】
図6に示すように、切り欠き金型371は、ダイ374と、パンチ375とを有する。ダイ374は、パンチ375が嵌合する凹部を有しており、ワークである導電シートShの側部がダイ374と上下に重なっている状態で、パンチ375を凹部に嵌入させることで、切り欠きを形成する。ダイ374には、導電シートShの幅方向に並んで2個の凹部を有する。そして、パンチ375は、各凹部に嵌合可能なように、幅方向に対をなして配置される。
【0079】
切り欠き金型371は、搬送される導電シートShの幅方向に移動可能である。つまり、切り欠き金型371は、導電シートShの側部に対して、位置決め可能となっている。切り欠き金型371は、ダイ374が共通で、2個のパンチ375が一体的に導電シートShの幅方向に移動するように形成されているが、これに限定されず、ダイ374が幅方向に独立し、それぞれ、独立して移動するようにしてもよい。
【0080】
エッジ検知部372は、導電シートShの搬送方向において、切り欠き金型371よりも上流側に配置される。エッジ検知部372は、導電シートShの側端部(エッジ)を検知する。そして、エッジの情報を制御部5に送る。なお、エッジ検知部372として、画像を撮像する構成を挙げることができるがこれに限定されず、導電シートShのエッジを精度よく検知できる方法を広く採用することができる。
【0081】
金型移動部373は、制御部5と接続されており、切り欠き金型371を導電シートShの幅方向に移動させることができる。制御部5は、エッジ検知部372から送られてきた導電シートShの搬送方向の上流側のエッジの情報に基づいて、切り欠きNtが導電シートShの規定の位置に形成されるように、切り欠き金型371を移動させる。
【0082】
切り欠き形成部37を上述のように形成することで、導電シート搬送部35で搬送される導電シートShが蛇行した場合でも、導電シートShのエッジに適切な切り欠きを形成することが可能である。
【0083】
エッジ検知部372は、導電シートShの幅方向一方側のエッジを検知する構成であるが、これに限定されず、両方のエッジを検知するようにしてもよい。エッジ検知部372が導電シートShの両方のエッジを検知する構成とする場合、切り欠き金型371は、両方のエッジで独立して幅方向に移動することが好ましい。このようにすることで、導電シートShの幅がばらついた場合であっても、導電シートShのエッジに適切な切り欠きを形成することが可能である。
【0084】
切り欠き形成部37でエッジに切り欠きが形成された導電シートShは、電極切断部36に送られる。
【0085】
<電極切断部36>
図7に示すように、電極切断部36は、固定刃361と、回転刃362と、回転刃移動部363(
図2参照)と、第1搬送ローラ部364と、第2搬送ローラ部365とを有する。
【0086】
電極切断部36に搬送され導電シートShは、第1搬送ローラ部364および第2搬送ローラ部365によって搬送される。
図7に一例として例示すように、第1搬送ローラ部364は、導電シートShの下方に配置されて、軸方向の長さが導電シートShの幅よりも長い下部ローラ3641と、下部ローラ3641の上方に配置されて、導電シートShの幅方向に3個並んで配置された上部ローラ3642とを有する。
【0087】
第1搬送ローラ部364は、下部ローラ3641と上部ローラ3642とで、導電シートShを掴む。そして、第1搬送ローラ部364は、制御部5に接続されており、不図示の駆動部によって回転される。なお、第1搬送ローラ部364は、3個の上部ローラ3642を備えるが、これに限定されない。導電シートShを強く掴むことができる構成を広く採用することができる。
【0088】
第2搬送ローラ部365は、導電シートShの下方に配置されて、軸方向の長さが導電シートShの幅よりも長い下部ローラ3651と、下部ローラ3651の上方に配置されて、導電シートShの幅方向に3個並んで配置された上部ローラ3652とを有する。
【0089】
第2搬送ローラ部365の各ローラ部は、下部ローラ3651と上部ローラ3652とで、導電シートShを掴む。そして、第2搬送ローラ部365は、制御部5に接続されており、不図示の駆動部によって回転される。
【0090】
また、第2搬送ローラ部365の下流側には、3個の搬送ローラ部366、367、368を有する。各搬送ローラ部366、367、368は、第2搬送ローラ部365と同じ構成を有する。
【0091】
本実施形態の積層セルの製造装置100では、電極板供給部30(30N、30P)で導電シートShを切断して、電極板Epを作製し、積層体500に供給している。作業者は、電極板Epよりも搬送、取り付けが容易な導電シートロールShrを取り扱うため、作業性が高い。
【0092】
<固定刃361、回転刃362および回転刃移動部363>
第1搬送ローラ部364と第2搬送ローラ部365との間には、固定刃361および回転刃362が配置される。固定刃361は、下部ローラ3641と下部ローラ3651との間に配置される。固定刃361は、例えば、工具鋼、超硬合金等の高硬度の材料によって形成される。電極切断部36において、固定刃361は、直方体形状であり、稜線の1つが、固定切り刃3611である。導電シートShは、固定切り刃3611の上方に搬送される。
【0093】
回転刃362は、固定刃361と同様、高硬度の材料によって形成される。回転刃362は、固定刃361と同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。回転刃362は、円板状であり、外縁部に回転切り刃3621が形成される。
【0094】
回転刃移動部363は、回転刃362を回転させつつ、固定刃361に沿って移動可能である。回転刃移動部363は、回転切り刃3621が固定切り刃3611と接触させた状態で、回転刃362を回転させつつ固定刃361に沿って移動させることで搬送された導電シートShを切断できる。なお、回転刃362を固定刃361に向けて付勢するばね等の付勢部を設けて、固定切り刃3611と回転切り刃3621とを確実に接触させるようにしてもよい。
【0095】
回転刃移動部363は、制御部5の指示に従って動作する。電極切断部36では、不図示の検知部により導電シートShのエッジに形成された切り欠きを検知する。そして、制御部5は、検知部が切り欠きを検知したとき、回転刃移動部363に指示を送り、回転刃362を駆動させるとともに移動させて、切り欠きを繋ぐように導電シートShを切断する。電極切断部36において、導電シートShが切断されることで、電極板Epが形成される。
【0096】
回転刃362は、円板状であるため、簡単な構成であるとともに、回転切り刃3621の形状の精度を簡単に高めることが可能である。また、回転刃362の回転切り刃3621を固定刃361の固定切り刃3611に接触させつつ回転させる構成とすれば、固定切り刃3611と回転切り刃3621との組み合わせの精度が多少ばらついても切断の精度を高めることが可能である。
【0097】
また、接触させることで「刃」の摩耗が問題となる場合には、回転刃362の回転切り刃3621と固定刃361の固定切り刃3611との間に微小な間隙を設けた非接触状態(以下、近接あるいは近接状態と称する場合がある)とした上で切断する、という構成も可能である。なお、固定刃361に対する回転刃362の送り量に対し回転刃362の回転速度を変化させることで、切れ味を変化させることができる。そのため、「刃」の摩耗が問題となる場合に好適である。
【0098】
例えば、導電シートShは、金属箔(ここでは、アルミニウム箔)だけの部分、アルミニウム箔に絶縁層(例えば、酸化アルミニウムなどのセラミックス)が塗工されている部分、アルミニウム箔に活物質が塗工されている部分等を有する。導電シートShを切断する際、切断終端部において、アルミニウム箔と活物質の剥離が発生しやすい。そこで、電極切断部36では、導電シートShにおける切断箇所によって回転刃362の回転数を調整している。例えば、終端部をカットする場合には回転数を落としてカットする。これにより、アルミニウム箔と活物質の剥離の発生が抑制される。
【0099】
また、電極切断部36では、固定刃361が直線刃で、回転刃362が固定刃361の一端から他端に向けて回転しつつ移動する(往路)ときに導電シートShを切断し、その後、回転刃362が固定刃361の他端から一端に向けて回転しつつ移動して戻る(復路)ときにも切断する場合がある。
【0100】
往路および復路で回転刃362が回転しつつ移動する場合、回転刃362の回転切り刃3621の同じ箇所が、常に、固定刃361の固定切り刃3611と接触または近接する。そして、導電シートShは、固定刃361に対して同じまたは略同じ位置に送られる。そのため、導電シートShは、回転切り刃3621の同じ箇所で切断される。
【0101】
このような構成の電極切断部36において、回転刃362が、例えば、固定刃361の一端および他端の少なくとも一方にあるとき、回転刃362を空転させるように、制御部5が回転刃移動部363を制御してもよい。このように制御することで、導電シートShを切断するごとに、回転刃362の回転切り刃3621の異なる箇所が固定刃361の固定切り刃3611に対して接触または近接するように調整することが可能である。
【0102】
以上のような制御を行うことで、毎回、回転刃362の回転切り刃3621の異なる箇所で、導電シートShを切断することができる。その結果、導電シートShを切断するときには、絶縁層と接触または近接して、切断する部分を毎回異なる部分とすることができ、回転切り刃3621の一部が集中して摩耗することを抑制できる。また、アルミニウム箔と接触または近接して、切断する部分を毎回異なる部分とすることができ、アルミニウム凝着することを抑制することが可能である。これらのことにより、回転刃362の劣化を抑制し、ひいては、回転刃362を長寿命化することができる。
【0103】
なお、回転刃362を空転させるときの回転角度は、360°の倍数以外の角度である。このようにすることで、回転刃362の回転切り刃3621の固定刃361の固定切り刃3611と接触または近接する箇所がばらつくため、摩耗の集中や凝着を抑制する効果を高めることができ、回転刃362のさらなる長寿命化が可能である。また、回転刃362の空転は、導電シートShを切断する毎に行ってもよいし、複数回切断する毎に行ってもよい。さらに、予め設定された切断回数毎に回転刃362の空転時の回転角度を変更してもよい。
【0104】
電極切断部36では、導電シートShを停止させた状態で導電シートShを切断する。ここで、導電シートShの張力が高いと、回転刃362が接触した途端にそこを起点に導電シートShが裂けてしまう場合がある。また、裂けるほどの張力ではない場合であっても、一定以上の張力が作用している場合には、切断時の張力によって電極板Epの形状が不安定になりやすい。
【0105】
そこで、制御部5は、電極切断部36で導電シートShの搬送を停止するときに、第1搬送ローラ部364の動作を停止させた後、第2搬送ローラ部365を停止させる。このようにすることで、導電シートShの第1搬送ローラ部364と第2搬送ローラ部365との間の部分に張力を適度に発生させることができるので、形状を安定させることができる。さらに説明すると、第1搬送ローラ部364にて導電シートShが押し出されるように搬送されることにより発生する導電シートShの「たわみ」を抑制できる。
【0106】
また、制御部5が、第1搬送ローラ部364と第2搬送ローラ部365とを同時に停止させたのち、第2搬送ローラ部365を搬送方向と逆方向に回転させてもよい。このようにすることで、導電シートShの第1搬送ローラ部364と第2搬送ローラ部365との間の部分の張力を適度に緩和させることができる。
【0107】
すなわち、制御部5が、このように第1搬送ローラ部364および第2搬送ローラ部365を制御することで、導電シートShの第1搬送ローラ部364と第2搬送ローラ部365との間の部分の張力を適度に調整することができる。以上によって、切断後の電極板Epの形状が不安定になるといった不具合や、導電シートShが裂けるといった不具合、の発生を低減することが可能である。
【0108】
電極切断部36において、導電シートShが固定刃361および回転刃362によって切断されることで電極板Epが形成される。電極切断部36では、第2搬送ローラ部365の下流側の、例えば、3個の搬送ローラ部366、367、368によって搬送される。そして、電極切断部36の導電シートShの搬送方向の下流側には、搬送コンベヤ381が配置される。電極板Epは、搬送コンベヤ381によって、待機テーブル31の上部に供給される。
【0109】
搬送コンベヤ381は、一定速度(一定の間欠動作による搬送、一定の間欠動作を挟んでの一定速度での搬送、も含む)で移動している。そして、制御部5は、第2搬送ローラ部365、搬送ローラ部366、367、368の回転を制御して、電極板Epを搬送コンベヤ381の移動速度と同じ速度にして、搬送コンベヤ381に送る。
【0110】
搬送コンベヤ381はクリーナ382と対向する。搬送コンベヤ381にて搬送される電極板Epは、クリーナ382によってクリーニングされる。なお、クリーナ382としては、例えば、気流またはガスを吹き付けて、表面の異物、汚れ等を吹き飛ばす構成を挙げることができるが、これに限定されない。電極板Epをクリーニングできる構成を広く採用することができる。クリーナ382でクリーニングされた電極板Epは、待機テーブル31に載置される。なお、クリーナ382を備えない構成であってもよい。
【0111】
<待機テーブル31>
図8は、待機テーブル31および位置調整テーブル32の配置を示す斜視図である。
図8に示すように、待機テーブル31は、上面に電極板Epを積載可能である。待機テーブル31に積載された電極板Epは、搬送部33の第1搬送部331に保持されて、位置調整テーブル32に送られる。待機テーブル31は、上面に載置された電極板Epの数によって、積載された電極板Epの上面が常に一定の位置に配置されるように上下方向に移動可能としてもよい。例えば、搬送コンベヤ381から電極板Epが供給されたときには、電極板Epの厚み分、下方に移動し、第1搬送部331によって搬送されたときには電極板Epの厚み分、上方に移動する。なお、上記で示した、待機テーブル31の上下方向の移動は、一例でありこれに限定されない。
【0112】
また、待機テーブル31を設けずに、搬送コンベヤ381の、位置調整テーブル32側の終端部分を待機テーブルの代用として使用する構成としてもよい。この場合、搬送コンベヤ381上の、位置調整テーブル32側の終端部分に位置する電極板Epを搬送部33の第2搬送部332保持して、位置調整テーブル32に送る。
【0113】
<位置調整テーブル32および調整用撮像部34>
電極板Epは、搬送コンベヤ381から待機テーブル31に送られる。そのため、待機テーブル31に載置された電極板Epの待機テーブル31に対する位置は、ばらつく場合が多い。そのため、電極板供給部30Nにおいて、電極板Epは、一端、位置調整テーブル32に載置され、位置調整テーブル32で位置調整を行った後、積層テーブル21に送られる。しかしながら、位置調整は位置調整テーブル32で行うことに限定されず、他の手段または方法で位置調整を行ってもよい。
【0114】
位置調整テーブルを32有しない構成として、例えば、以下のような構成を挙げることができる。すなわち、待機テーブル31(搬送コンベヤ381の終端部分が兼用する構成も含む。以下、同じ。)と、待機テーブル31に載置された電極板Epを撮像する調整用撮像部34と、を有する。そして、待機テーブル31から積層テーブル21へ電極板Epを移載するとき、制御部5が、調整用撮像部34からの、待機テーブル31に載置された電極板Epの撮像データに基づいて、電極板EpがセパレータSに対して規定位置に供給されるように、電極板Epの位置を調整し、調整終了後、積層テーブル21上に電極板Epを載置する構成を挙げることができる。
【0115】
また、上述の構成に、積層テーブル21に載置された電極板Epを撮像する確認用撮像部24をさらに有し、確認用撮像部24からの、積層テーブル21に載置された電極板Epの撮像データに基づいて、制御部5が、電極板Epの位置調整(微調整)をさらに行う、という構成であってもよい。以上のような構成とすることで、電極板Epの位置調整の処理をより高速に行うことが可能となる。
【0116】
位置調整テーブル32は、それ自体、セパレータSの搬送方向に沿うx方向、セパレータSの幅方向であるy方向、セパレータSの法線を中心とする円周方向であるθ方向に移動可能である。そして、位置調整テーブル32が移動することで、位置調整テーブル32上に載置された電極板Epの位置が調整される。位置調整テーブル32が移動するときに電極板Epがずれると位置調整が行われにくい。そのため、位置調整テーブル32では、電極板Epを保持する保持機構を有していてもよい。
【0117】
保持機構としては、例えば、空気を吸引することで吸着(真空吸着)する構造を挙げることができるが、これに限定されない。位置調整テーブル32において、電極板Epの位置が調整される。そのため、位置調整テーブル32には、1枚ずつ電極板Epが載置されるように制御される。
【0118】
電極板Epの位置調整は、位置調整テーブル32から第1位置P1にある積層テーブル21に電極板Epを搬送する第2搬送部332に対して行われる。電極板Epの位置調整を行う場合、位置調整テーブル32の上方に配置された調整用撮像部34にて撮像される撮像データに基づいて行われる。調整用撮像部34は、位置調整テーブル32に載置されている電極板Epを撮像して撮像データを制御部5に送る。位置調整を容易にするために、調整用撮像部34は、電極板Epの法線方向上方から法線方向に撮像できる位置に配置されることが好ましい。
【0119】
調整用撮像部34で撮像された撮像データは、制御部5に送られ、制御部5の処理回路51で画像処理される。そして、処理回路51は、適切な電極板Epの位置と撮像データの電極板Epの位置のずれに基づいて、位置調整テーブル32の移動量を算出する。制御部5は、算出された移動量に基づいて、位置調整テーブル32を移動させることで電極板Epの位置調整を行う。電極板Epの位置調整の詳細については後述する。
【0120】
<搬送部33>
搬送部33は、電極板Epを第1位置P1にある積層テーブル21に搬送する。搬送部33は、第1搬送部331と、第2搬送部332と、連結アーム333とを有する。第1搬送部331は、待機テーブル31に搬送されて蓄積されている電極板Epを位置調整テーブル32に搬送する。第2搬送部332は、位置調整テーブル32で位置調整された電極板Epを第1位置P1にある積層テーブル21の上部に搬送する。
【0121】
第1搬送部331および第2搬送部332とは、同じ構成である。第1搬送部331および第2搬送部332は、下面に電極板Epと接触するとともに、電極板Epを保持することができる。第1搬送部331および第2搬送部332は、例えば、下面に吸着部を有し、吸着(真空吸着)にて電極板Epを保持するものを挙げることができるが、これに限定されない。
【0122】
<積層セル分離部4>
図9は、積層セル分離部4の配置図である。積層セル分離部4は、積層テーブル21上で積層が完了した積層セル400とセパレータ供給部1から供給されるテープ状のセパレータSとを分離する。分離された積層セル400は取り出される。
【0123】
図1、
図3、
図9に示すように、積層セル分離部4は、セパレータ保持部41と、セパレータ切断部42と、積層セル取出部43(
図1参照)と、を有する。セパレータ保持部41は、一方側Opの待機位置Esと、他方側Tpの保持位置Ccとの間を、セパレータローラ13の下方を通過する円弧上の軌道SSに沿って移動可能である。なお、セパレータ保持部41としては、例えば、不図示の円弧状のガイドに沿って移動するものを挙げることができるが、これに限定されない。
【0124】
セパレータ保持部41の軌道SSは、保持しているセパレータSに対して規定を超える張力を発生させずに移動可能であれば、円弧状に限定されず、楕円弧状、双曲線状、直線状等の移動経路であってもよい。上述のように、セパレータSは、セパレータ保持部41で保持された状態で切断されるので、セパレータSの切断後の端部は、セパレータ保持部41によって待機位置Esに待機させた状態とすることが可能となる。
【0125】
図9に例示するように、待機位置Esは、セパレータ保持部41が積層体500の積層を邪魔しない位置である。詳しくは、ローラ対131の上下移動時に干渉せず、確認用撮像部24による撮像の画角から外れた位置である。
【0126】
そして、セパレータ保持部41は、保持位置Ccに移動したとき、第2位置P2にある積層テーブル21上の積層セル400につながるセパレータSの下面を保持する。セパレータ保持部41は、セパレータSと接触する面で、セパレータSを吸着(真空吸着)することができる構成である。なお、セパレータ保持部41のセパレータSの保持は、吸着(真空吸着)に限定されず、セパレータSの変形、破損等させることなく保持することができる保持方法を広く採用できる。
【0127】
セパレータ切断部42は、他方側Tpに配置される。セパレータ切断部42は、セパレータSのセパレータ保持部41で保持されている部分と第2位置P2にある積層テーブル21上の積層セル400までの間の部分を切断可能である。なお、セパレータ切断部42は、セパレータSを搬送方向に分離可能な切断工具を広く採用することができる。
【0128】
積層セル分離部4は、セパレータ保持部41およびセパレータ切断部42を駆動する。積層セル分離部4は、制御部5からの指示に従って動作し、積層セル400の積層が完了した後、セパレータ保持部41がセパレータSを保持したときのみ、セパレータ切断部42を動作させてセパレータSを切断する動作を行う。
【0129】
積層セル取出部43は、他方側Tpに配置される。セパレータ切断部42にてセパレータSを切断した後、第2位置P2にある積層テーブル21から積層セル400を取り出す。積層セル取出部43は、セパレータSの幅方向、すなわち、y方向に積層セル400を取り出す。積層セル取出部43は、積層セル400の端子部201、301が突出しない辺を保持する形状である。しかしながら、これに限定されず、例えば、積層セル400を上方から掴むようなグラブ状であってもよい。
【0130】
本実施形態にかかる積層セルの製造装置100は以上示した構造を有する。次に、積層セルの製造装置100の動作について図面を参照して説明する。
【0131】
<電極板Epの位置調整>
まず、待機テーブル31に蓄積された電極板Epを第1位置P1にある積層テーブル21に搬送する搬送動作について図面を参照して説明する。
図10は、電極板Epの位置調整の動作を示すフローチャートである。
図11は、第1搬送部331が待機テーブル31の電極板Epを保持した状態を示す斜視図である。
図12は、位置調整テーブル32の上面に電極板Epを配置した直後の斜視図である。
図13は、第1搬送部331が待機テーブル31の電極板を取りに移動している状態を示す斜視図である。
【0132】
図11に示すように、第1搬送部331で待機テーブル31に蓄積された電極板Epを吸着する。
図11では、第2搬送部332が位置調整テーブル32の上部に載置された電極板Epを吸着しているが、これについては後述する。
【0133】
図8に示すように、搬送部33は、第1搬送部331で保持した電極板Epを、位置調整テーブル32の上面に載置する。調整用撮像部34は位置調整テーブル32に電極板Epが載置された直後に、位置調整テーブル32に載置された電極板Epを撮像し、制御部は、第1撮像データを取得する(
図10、ステップS101)。
【0134】
制御部5は、第1搬送部331が待機テーブル31に移動するまでの間に、画像処理を行うとともに第1撮像データの電極板Epの位置、エッジ検知部126からのセパレータSのエッジの情報等から適切な電極板Epに対する位置のずれを算出する。そして、制御部5は、算出結果に基づいて、位置調整テーブル32を移動する第1位置調整処理を行う(ステップS102)。
図12に示すように、第1位置調整処理では、位置調整テーブル32の回転方向(θ方向)の移動を行う。本実施形態に示す電極板Epのように、長尺の電極板Epの場合、回転方向にずれが発生すると、長手方向の端部のずれが大きくなる。そのため、1回目の調整である第1位置調整処理には、θ方向のずれを調整する。
【0135】
そして、第1位置調整が終了した後、第2搬送部332が位置調整テーブル32上の電極板Epを保持するまでの間(
図13参照)、調整用撮像部34は、位置調整テーブル32の上部に載置された電極板Epを撮像する。制御部5は、調整用撮像部34より第2撮像データを取得する(ステップS103)。制御部5は、第2搬送部332が位置調整テーブル32に移動するまでの間に、画像処理を行うとともに第2撮像データの電極板Epの位置、エッジ検知部126からのセパレータSのエッジの情報等から適切な電極板Epに対する位置のずれを算出する。そして、制御部5は、算出結果に基づいて、位置調整テーブル32を移動する第2位置調整処理を行う(ステップS104)。
【0136】
図13に示すように、第2位置調整処理では、位置調整テーブル32を電極板Epの横方向(x方向)および縦方向(y方向)に移動する。上述したとおり、第1位置調整処理において、位置調整テーブル32をθ方向に移動し、第2位置調整処理において、x方向およびy方向に移動しているが、これに限定されない。
【0137】
第1位置調整処理および第2位置調整処理を行うことで、位置調整テーブル32の上部に載置された電極板Epが積層テーブル21に載置するための適切な位置に位置決めされる。そして、
図11に示すように、位置調整テーブル32上で、θ方向、x方向およびy方向の位置調整された電極板Epは、第2搬送部332に吸着される。調整用撮像部34は、第2搬送部332が電極板Epを吸着したときに、電極板Epを含む位置調整テーブル32を撮像する。制御部5は、調整用撮像部34より、最終調整用撮像データを取得する(ステップS105)。
【0138】
制御部5は、最終調整用撮像データから、電極板Epの最終位置を確認する(ステップS105)。なお、最終位置は、第2搬送部332によって保持された電極板Epの位置であり、位置調整テーブル32での位置調整はできない。そのため、制御部5は、最終位置が適正な位置であるか否か確認する(ステップS106)。
【0139】
最終位置が適正な位置である場合(ステップS106でYesの場合)、制御部5は、
図8に示すように、搬送部33を動作させ第2搬送部332が保持した電極板Epの第1位置P1にある積層テーブル21の上部に配置される積層中の積層体500の上部への搬送を行う(ステップS107)。最終位置が適正な位置でない場合(ステップS106でNoの場合)、制御部5は、第2搬送部332が保持した電極板Epを廃棄する(ステップS108)。電極板Epの破棄は、例えば、位置調整テーブル32と第1位置P1の積層テーブル21の間に落下させることで廃棄させてもよいし、別途、廃棄用の機構を備えてもよい。
【0140】
なお、本実施形態では、電極板Epのずれが発生する場合を例に説明したが、これに限定されない。例えば、電極板Epの形状、大きさのばらつきが発生した場合にも、電極板Epを廃棄するようにしてもよい。このようにすることで、製造される積層セル400の性能のばらつきを抑制することができる。換言すると、積層セル400の歩留まりの低下を抑制できる。
【0141】
<積層体500の積層状態の確認>
上述のように電極板Epの位置を調整した場合であっても、第2搬送部332で電極板Epを積層体500の上部に載置したときにずれる場合もある。そのため、積層セルの製造装置100では、現在積層中の積層体500の上部に載置された電極板Epの積層体500に対する位置を、確認用撮像部24(24N)を設けることにより確認する場合もある。以下に、電極板Epの位置の確認の手順について図面を参照して説明する。
図14は、電極板Epの積層体500に対する位置を確認する手順を示すフローチャートである。
図15は、確認用撮像部24Nで撮像した確認用撮像データImgを示す図である。
【0142】
図8に示すように、第2搬送部332が保持した電極板Epは第1位置P1にある積層テーブル21の上部に配置された積層体500の上部に配置される。このとき、確認用撮像部24Nが、積層体500の上部を撮像する。制御部5は、確認用撮像部24Nから確認用撮像データImgを取得する(ステップS201)。そして制御部5は、確認用撮像データImgを画像処理し、最上部に配置されている電極板Epの4個の隅部Agの位置を取得する。(ステップS202)。
【0143】
折り曲げ部2では、電極板Epが載置されるとすぐに、第1爪部22で電極板Epの上部を押える。そのため、
図15に示すように、確認用撮像部24Nで電極板Epを撮像するとき、電極板Epの他方側Tpの隅部Agを直接認識することができない。そのため、制御部5は、確認用撮像データImgにおいて、電極板Epの短辺および長辺の第1爪部22の近くの検出部分Cp(4か所)の位置を確認し、そのデータから隅部Agの位置を演算にて取得する。
【0144】
また、電極板Epは、第2爪部23の上部に配置される。そのため、電極板Epが傾いているため、電極板Epの一方側Opの隅部Agは、認識できるが、正確な位置ではない場合がある。そこで、位置調整テーブル32で取得したxy方向の製品寸法のデータと検出部分Cpの検出による他方側Tpの2か所の隅部Agのデータとから、正規の隅部の位置を算出する。
【0145】
制御部5は、電極板Epの4個の隅部Agが適正な位置にあるか否か確認する(ステップS203)。隅部Agの少なくとも一つが適正な位置にない場合(ステップS203でNoの場合)、現在積層中の積層体500を廃棄する(ステップS205)。
【0146】
電極板Epの4個の隅部Agが適正な位置にある場合(ステップS203でYesの場合)、四隅の情報を記憶回路52に記憶する(ステップS204)。その後、制御部5は、積層セル400が完成したか否か確認する(ステップS206)。積層セル400が完成していない場合(ステップS206でNoの場合)、制御部5は、積層を継続する(ステップS207)。なお、積層を継続した後、ステップS201に戻り、積層状態の確認を継続する。また、積層セル400が完成した場合(ステップS206でYesの場合)、制御部5は、積層セル取出部43を動作させ積層セル400を取り出す(ステップS208)。
【0147】
上述のとおり、電極板Epは、積層体500において、負極板200および正極板300として用いられる。積層セル400では、平面視において、正極板300は、負極板200よりも内側に配置される等の決まりがある。そのため、正極板300となる電極板Epの隅部Agの一部が負極板200の隅部Agよりも外側にある場合、適正な位置にないと判断する。また、負極板200となる電極板Epの隅部Agが決められた位置よりも外側にあると、セパレータSを蛇腹状に折り曲げるときに電極板Epを折り曲げてしまう。そのため、上述のように電極板Epを配置するごとに、電極板Epの位置が適正な位置であるか確認することで、製造された積層セル400の性能のばらつきを抑制することが可能である。
【0148】
<折り曲げ部2および電極供給部3による積層動作>
積層セルの製造装置100では、折り曲げ部2でセパレータSを蛇腹状に折り曲げつつ谷折り部分に負極板200および正極板300を配置して、積層セル400を製造する。ここで、折り曲げ部2の動作について図面を参照して説明する。
図16は、積層テーブル21が第2位置P2にある状態を示す図である。
図17は、正極板300が上部に載置されて第2爪部23で押えられた状態を示す図である。
図18は、積層テーブル21が一方側Opに移動している状態を示す図である。
図19は、積層テーブル21がさらに一方側Opに移動している状態を示す図である。
図20は、積層テーブル21が第1位置P1にある状態を示す図である。
図21は、負極板200が上部に載置されて第1爪部22で押えられた状態を示す図である。
【0149】
図16に示すように、積層テーブル21が第2位置P2にあるとき、負極板200は第1爪部22で押えられている。そして、第1爪部22でセパレータSが折り返される。上下方向において、ローラ対131が積層テーブル21の近くに配置されている。そのため、第1爪部22で折り返したセパレータSの傾斜角度を小さくすることが可能である。なお、ローラ対131の位置によっては、折り返したセパレータSを水平または略水平にすることができる。これにより、折り返したセパレータSの上部に、正極板300となる電極板Epを簡単かつ正確に配置することが可能である(
図17参照)。
【0150】
また、上下方向において、ローラ対131を積層テーブル21の近くに配置することで、折り返したセパレータSを水平または略水平とすることができる。そのため、積層テーブル21の往復移動の距離が短くなり、積層セル400の製造のタクトタイムを短くすることができる。
【0151】
そして、電極板Epが正極板300として上部に配置された後、第2爪部23で押さえてから、第1爪部22を、y方向およびz方向(x方向およびy方向と直交する方向)に移動させる。これにより、第1爪部22が、負極板200とセパレータSとの間から引き抜かれる(
図17参照)。
【0152】
正極板300を載置することで、積層体500の積層方向の高さが高くなる。電極供給部3の搬送部33で電極板Epを積層体500に精度よく搬送するため、積層テーブル21は、正極板300の厚み分下方に移動する(
図18参照)。
【0153】
そして、制御部5は、セパレータローラ13を制御してローラ対131を上方に移動させる。これにより、ローラ対131が、積層テーブル21および第1爪部22、第2爪部23と干渉しない位置に移動する。この状態で、積層テーブル21が一方側Opに移動する(
図18参照)。積層テーブル21がローラ対131の下部を通過できる。
【0154】
また、積層テーブル21がローラ対131に接近するときローラ対131の接触部と積層体500までのセパレータSの長さが短くなる。セパレータ搬送部12において、セパレータロールSrからセパレータSを引き出すことはできるが、戻すことはできない。そこで、制御部5は、搬送経路調整部122を制御し、可動ローラ125を搬送ローラ121から離れる方向に移動させて、セパレータSの経路の長さを調整する。
【0155】
また、セパレータSは、薄く形成されていることが多く、張力が小さくなると、各ローラから離れてしまう場合があり、その結果、しわが寄ったり、ねじれたりする虞がある。また、張力が強くなりすぎると、セパレータSが裂けたり、延びたりする虞がある。そのため、制御部5は、トラクションローラ123の回転速度を調整して、セパレータSの張力が一定の範囲に収まるように調整する。
【0156】
制御部5は、可動ローラ125の位置およびトラクションローラ123の回転速度を制御している。搬送経路調整部122およびトラクションローラ123が搬送調整部であり、可動ローラ125の位置およびトラクションローラ123の回転速度が制御条件である。制御条件は、予め記憶回路52に記憶されている。制御部5は、記憶回路52から制御条件を呼び出し、制御条件に基づいて、搬送経路調整部122およびトラクションローラ123を制御する。なお、制御部5が、制御条件で制御することで、セパレータSの張力が一定の範囲に収まるように制御される。
【0157】
そして、第2爪部23が、ローラ対131の下方を越えて一方側Opに移動することで、セパレータSは、第2爪部23で折り曲げられる。これにより、積層体500の上部に配置された正極板300でセパレータSが折り返される(
図19参照)。
【0158】
積層テーブル21がさらに一方側Opに移動することで、ローラ対131のニップ部と積層体500までのセパレータSの長さが長くなる。このとき、制御部5は、可動ローラ125を搬送ローラ121に接近するように移動させるとともにトラクションローラ123の回転速度を調整する。このとき、セパレータロールSrから引き出されるセパレータSは、予め決められた速度で搬送されるとともに、張力が一定の範囲に収まるように送られる。
【0159】
また、積層テーブル21がローラ対131を通過した後、ローラ対131は、下方に移動する。これにより、積層テーブル21が第1位置P1にあるときも積層体500の第2爪部23で折り返したセパレータSが水平または略水平となる(
図20参照)。そして、第1位置P1に到着した積層テーブル21の上部に配置された積層体500の上部に負極板200となる電極板Epが搬送される。
【0160】
負極板200となる電極板Epが積層体500の上面のセパレータSの上部に配置され、第1爪部22が負極板200の他方側Tpの隅部を押えた後、第2爪部23がy方向およびz方向に引き抜かれる(
図21)。
【0161】
以上のような手順を繰り返すことで、セパレータSを蛇腹状に折り曲げる(つづら折り)とともに、負極板200および正極板300を谷折り部分に交互に配置した、積層セル400を形成することができる。このように、ローラ対131を積層テーブル21の移動に同期して上下に移動させることで、積層体500の上部のセパレータSの傾斜を小さくでき、積層テーブル21の移動量を抑えることができる。
【0162】
<セパレータSの張力制御>
上述のとおり、セパレータSは、張力が一定の範囲に収まっていることが好ましい。上述のとおり、積層セルの製造装置100では、予め与えられた制御条件に基づいて制御することで、セパレータSが一定の速度で搬送されるときの張力を一定の範囲に収まるようにしている。積層セルの製造装置100では、個体差、セパレータSの組成のばらつきがある場合があり、同じ制御条件で制御しても、張力がばらつく場合がある。そこで、制御部5は、積層セルの製造装置100で、制御条件を取得する学習モードを備えていてもよい。
【0163】
以下に学習モードについて、図面を参照して説明する。
図22は、学習モードにおける動作を示すフローチャートである。
【0164】
制御部5は、予め与えられている初期制御条件Cnpを記憶回路52から呼び出す(ステップS301)。初期制御条件Cnpは、上述の制御条件と同様、可動ローラ125の位置およびトラクションローラ123の回転速度を決定する条件である。初期制御条件Cnpは、予め備えられたものであってもよいし、それまでに積層セルの製造装置100を動作させたことがある場合、保存されている制御条件を初期制御条件Cnpとしてもよい。初期制御条件Cnpは、セパレータSの張力が高くなりすぎない条件であることが好ましい。
【0165】
そして、制御部5は、セパレータSを搬送速度Vtで搬送させる(ステップS302)。なお、制御部5は、セパレータ供給部1を制御して、搬送速度を段階的に変化させることが可能である。学習モード開始時には、搬送速度Vtとして、段階的に設定された搬送速度の最も遅い速度とする。
【0166】
制御部5は、初期制御条件Cnpを変更する(ステップS303)。例えば、可動ローラ125の位置を調整したり、トラクションローラ123の回転速度を調整したりする。このとき、張力測定部124でセパレータSの張力Tsを測定する(ステップS304)。
【0167】
制御部5は、張力測定部124からの張力Tsと張力が決められた範囲に収まるか否か確認する(ステップS305)。張力Tsが決められた範囲に収まらない場合(ステップS305でNoの場合)、制御部5は、初期制御条件Cnpの変更のステップ(ステップS303)に戻り、初期制御条件Cnpを変更する。
【0168】
張力Tsが決められた範囲に収まっている場合(ステップS305でYesの場合)、制御部5は、現在の搬送速度Vtが予め決められた搬送速度Vshであるか否か判断する(ステップS306)。なお、搬送速度は、段階的に変更されるものであるため、搬送速度Vtを変更することで予め決められた搬送速度Vshになる。しかしながら、搬送速度が連続的に変化する場合、ステップS305で、搬送速度Vtが搬送速度Vshを越えたか否かで判断するようにしてもよい。
【0169】
搬送速度Vtが予め決められた搬送速度Vshではない場合(ステップS306でNoの場合)、制御部5は、搬送速度Vtを1段階速くし(ステップS307)、新たな搬送速度Vtで動作を再開する(ステップS302)。
【0170】
搬送速度Vtが予め決められた搬送速度Vshとなった場合(ステップS306でYesの場合)、制御部5は、現在の初期制御条件Cnpを制御条件Cntとする(ステップS308)。そして、制御部5は、新たな制御条件Cntを記憶回路52に記憶する(ステップS309)。
【0171】
このように、制御部5が、学習モードを有する場合、積層セルの製造装置100毎に最適化された制御条件Cntを用いることができ、積層セル400の精度の低下を抑制することができる。
【0172】
なお、学習モードは、積層セルの製造装置100の出荷時に行うものであってもよいし、セパレータロールSrを交換したとき、搬送ローラ121等の部材を交換したときに行うようにしてもよい。また、積層セルの製造装置100の歩留まりが低下したときに、行うようにしてもよい。学習モードは、使用者が容易に行うことができるようにしてもよいし、メンテナンスを行うことができる作業者のみが行うことができるようにしてもよい。
【0173】
セパレータSの張力制御の他の例について図面を参照して説明する。
図23は、セパレータSの張力制御を示すフローチャートである。
【0174】
図23に示す張力制御において、制御部5は、所定のタイミング(例えば、一定期間、一定長さのセパレータSを供給する等)ごとに張力測定部124からの張力Tsを取得する(ステップS401)。制御部5は、取得した張力Tsを時系列に記憶回路52に記憶する(ステップS402)。制御部5は、張力Tsを記憶するとともに、直近一定回数分の張力Tsを呼び出す(ステップS403)。制御部5は、呼び出した張力Tsのデータをもとに基準値Sthを算出する(ステップS404)。基準値Sthとしては、相加平均、標準偏差、移動平均等を挙げることができるがこれに限定されない。
【0175】
制御部5は、基準値Sthが所定範囲の最大値St1よりも小さいかどうか確認する(ステップS405)、基準値Sthが最大値St1よりも大きい場合(ステップS405でNoの場合)、制御部5は、基準値Sthが小さくなるように制御条件Cntを変更する(ステップS406)。そして、制御部5は、ステップS401に戻り、張力Tsを取得する。
【0176】
基準値Sthが最大値St1よりも小さい場合(ステップS405でYesの場合)、制御部5は基準値Sthが所定範囲の最小値St2よりも大きいかどうか確認する(ステップS407)。
【0177】
基準値Sthが最小値St2よりも大きい場合(ステップS407でYesの場合)、制御部5は、制御条件を変えずステップS401に戻り、張力Tsを取得する。基準値Sthが最小値St2以下の場合(ステップS407でNoの場合)、制御部5は、基準値Sthが大きくなるように制御条件Cntを変更する(ステップS408)。そして、制御部5は、ステップS401に戻り、張力Tsを取得する。
【0178】
このように、制御部5が実測の張力Tsに基づいて制御条件を変更する構成とすることで、積層セルの製造装置100で安定して積層セルを製造することができる。また、1つのセパレータロールSrであっても巻き始めと巻き終わりとで、性状が異なる場合がある。実測の張力Tsに基づいて張力制御を行うことで、セパレータロールSrの性状の変化にも対応が可能である。
【0179】
セパレータSの張力制御のさらに他の例について図面を参照して説明する。
図24は、セパレータSの張力制御を示すフローチャートである。
【0180】
図24に示す張力制御において、制御部5は、所定のタイミング(例えば、一定期間、一定長さのセパレータSを供給する等)ごとに張力測定部124からの張力Tsを取得する(ステップS501)。
【0181】
制御部5は、張力Tsが所定範囲の最大値T1よりも小さいかどうか確認する(ステップS502)、張力Tsが最大値T1よりも大きい場合(ステップS502でNoの場合)、制御部5は、張力Tsが小さくなるように制御条件Cntを変更する(ステップS503)。そして、制御部5は、ステップS501に戻り、張力Tsを取得する。
【0182】
張力Tsが最大値T1よりも小さい場合(ステップS502でYesの場合)、制御部5は張力Tsが所定範囲の最小値T2よりも大きいかどうか確認する(ステップS504)。
【0183】
張力Tsが最小値T2よりも大きい場合(ステップS504でYesの場合)、制御部5は、制御条件を変えずステップS501に戻り、張力Tsを取得する。張力Tsが最小値T2以下の場合(ステップ504でNoの場合)、制御部5は、張力Tsが大きくなるように制御条件Cntを変更する(ステップS505)。そして、制御部5は、ステップS501に戻り、張力Tsを取得する。
【0184】
制御部5は現在測定した張力Tsを用いてリアルタイム制御を行っている。このようなリアルタイム制御を行うことで、装置の不具合、セパレータSの突発的な変化に迅速に対応することが可能である。
【0185】
<積層セルの分離処理>
積層が完了した積層セル400を搬送されてくるセパレータSから分離する分離処理について図面を参照して説明する。
図25は、積層セル400の分離処理を示すフローチャートである。
図26は、切断後のセパレータ保持部41の移動状態を示す図である。
図27は、セパレータ保持部41から積層テーブル21にセパレータSを受け渡した状態を示す図である。
図28は、第1位置P1まで移動した積層テーブル21を示す図である。
【0186】
以上に示した、積層セルの製造装置100において、積層テーブル21の移動によって、積層セル400が製造され、積層セル400は、最も下および最も上が、負極板200であり、そして、積層セル400では、最も下の負極板200の下および最も上の負極板200の上にセパレータSが配置されるように積層される構成を例示しているが、積層の態様はこれに限定されない。
【0187】
また、
図9にて例示した構成では、積層テーブル21が第2位置P2にあるときに負極板200の上方にセパレータSが配置される。そのため、積層セル400が完成したとき、積層テーブル21が第2位置P2にあるときに積層セル400の積層が完了するが、積層の態様はこれに限定されない。
【0188】
制御部5は、積層テーブル21が第2位置P2にあるとき、積層体500の積層が完了したか確認する(ステップS601)。積層体500の積層の終了は、例えば、積層テーブル21の移動方向の往復回数、セパレータSの搬送長さ等に基づいて確認することができるがこれに限定されない。積層体500の積層が完了していない場合(ステップS601でNoの場合)、制御部5は、積層体500の積層が完了するまで積層体500の積層を監視する(ステップS601を繰り返す)。
【0189】
積層体500の積層が完了したとき(ステップS601でYesの場合)、制御部5は、積層セル分離部4に指示を送り、セパレータ保持部41を保持位置Ccに移動させる。
図9に示すように、セパレータ保持部41が、セパレータSのローラ対131と積層体500との間の部分の底面を吸着して保持する(ステップS602)。
【0190】
セパレータ保持部41がセパレータSを保持しているとき、セパレータSのセパレータ保持部41と積層体500との間の部分の張力は一定の範囲を保っている。この状態で制御部5は、積層セル分離部4に指示を送り、セパレータ切断部42を駆動することで、セパレータ保持部41と積層テーブル21との間で、セパレータSをカットさせる(ステップS603)。なお、「セパレータ保持部41と積層テーブル21との間」とは、「セパレータ保持部41上」も含む。そのため、「セパレータ保持部41と積層テーブル21との間でカットされる」とは、「セパレータ保持部41上でカットされる」も含まれる。
【0191】
図26に示すように、制御部5は、積層セル分離部4に指示を送り、セパレータ保持部41を一方側Opに移動させる(ステップS604)。また、
図26に示すように、積層テーブル21が一方側Opに移動可能なように、ローラ対131を上方に移動させる。セパレータ保持部41は、積層テーブル21が一方側Opに移動したとき、積層テーブル21とセパレータSとが接触できるような位置に配置される。
【0192】
制御部5は、積層セル取出部43を駆動して積層テーブル21上の積層セル400を取り出す(ステップS605)。積層セル400が取り出された後、制御部5は、積層テーブル21を一方側Opに移動させる。そして、セパレータ保持部41から積層テーブル21にセパレータSを受け渡す(ステップS606)。そして、
図28に示すように、積層テーブル21が第1位置P1に移動するときに、制御部5は、積層セル分離部4に指示を送り、セパレータ保持部41を待機位置Esに移動させる(ステップS607)。
【0193】
以上のように、セパレータ保持部41でセパレータSを保持するためセパレータSを確実に切断することができる。また、薄手のセパレータSを用いる場合であっても、切断後のセパレータSの先端をセパレータ保持部41で保持するため、切断後のセパレータSの先端の動きをコントールでき、確実に積層テーブル21に受け渡すことができる。
【0194】
<セパレータSの自動連結>
セパレータ供給部1では、2個のセパレータロールSrから引き出されるセパレータSが連結部14に供給されている。そして、一方のセパレータロールSrの残量が少なくなると、連結部14で一方のセパレータロールSrから引き出されるセパレータSの後端に他方のセパレータロールSrから引き出されたセパレータSの前端を連結する。
【0195】
積層型電池Bpにおいて、セパレータSのつなぎ目が、積層セル400に含まれると、積層セル400の不具合の原因になる虞があり、つなぎ目は、積層セル400に含まれないことが好ましい。そのため、積層セルの製造装置100では、セパレータSを連結したときのつなぎ目が積層セル400に含まれないように連結する方法を採用している。以下に、セパレータSの連結について図面を参照して説明する。
図29は、セパレータSの連結動作を示すフローチャートである。
【0196】
制御部5は、セパレータ残量検知部111からセパレータSの残量を検知している。制御部5は、セパレータ残量検知部111から、現在、セパレータSが引き出されているセパレータロールSrの残量が一定量を切ったか否か確認する(ステップS701)。セパレータロールSrの残量が一定量以上の場合(ステップS701でNoの場合)、セパレータロールSrの残量を取得する(ステップS701を繰り返す)。
【0197】
セパレータロールSrの残量が一定量を切った場合(ステップS701でYesの場合)、制御部5は、積層体500の現在の積層数を取得する(ステップS702)。そして、制御部5は、積層セル400を完成させるために必要なセパレータSの長さを算出する(ステップS703)。
【0198】
制御部5は、積層セル400の完成に必要なセパレータSの長さが積層体500から連結部14までの経路よりも長いか否か確認する(ステップS704)。積層セル400の完成に必要なセパレータSの長さが積層体500から連結部14までの経路よりも長い場合(ステップS704でYesの場合)、ステップS702に戻る。
【0199】
積層セル400の完成に必要なセパレータSの長さが積層体500から連結部14までの経路よりも短い場合(ステップS704でNoの場合)、制御部5は、連結部14に指示を送り、現在、搬送されているセパレータSを切断させ、残りのセパレータロールSrから引き出されたセパレータSを連結する(ステップS705)。
【0200】
制御部5は、積層セル400が完成し、積層セル400が取り出されたか否か確認する(ステップS706)。制御部5は、積層セル400が取り出されるまで待機する(ステップs706でNoの場合ステップS706を繰り返す)。積層セル400が取り出された場合(ステップS706でYesの場合)、制御部5は電極供給部3を停止させ、セパレータ供給部1と折り曲げ部2を駆動させてセパレータSだけを蛇腹状に折り曲げた折曲体を作製する(ステップS707)。
【0201】
制御部5は、積層テーブル21が1往復するごとに、セパレータSのつなぎ目が折曲体に含まれたか否か長さで管理する(ステップS708)。制御部5は、セパレータSのつなぎ目が折曲体に含まれるまで待機する(ステップS708でNoの場合ステップS708を繰り返す)。そして、つなぎ目が折曲体に含まれた場合(ステップS708でYesの場合)、制御部5は、積層セル分離部4に指示を送り、セパレータSをカットする(ステップS709)。そして、積層テーブル21状の折曲体を廃棄する(ステップS710)。
【0202】
以上のようにセパレータSを繋ぐことで、セパレータSが引き出されるセパレータロールSrを確実に切り替えることができるとともに、積層セル400の精度を維持することが可能である。
【0203】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0204】
100 製造装置
200 負極板
201 端子部
300 正極板
301 端子部
400 積層セル
500 積層体
1 セパレータ供給部
2 折り曲げ部
3 電極供給部
4 積層セル分離部
5 制御部
11 セパレータロール取付部
111 セパレータ残量検知部
12 セパレータ搬送部
121 搬送ローラ
122 搬送経路調整部
123 トラクションローラ
124 張力測定部
125 可動ローラ
13 セパレータローラ
131 ローラ対
14 連結部
21 積層テーブル
211 積層テーブル移動部
22 第1爪部
23 第2爪部
24 確認用撮像部
24N 確認用撮像部
24P 確認用撮像部
30 電極板供給部
30N 電極板供給部
30P 電極板供給部
31 待機テーブル
32 位置調整テーブル
33 搬送部
331 第1搬送部
332 第2搬送部
333 連結アーム
34 調整用撮像部
35 導電シート搬送部
351 導電シートロール取付部
36 電極切断部
361 固定刃
3611 固定切り刃
362 回転刃
3621 回転切り刃
363 回転刃移動部
364 第1搬送ローラ部
3641 下部ローラ
3642 上部ローラ
365 第2搬送ローラ部
3651 下部ローラ
3652 上部ローラ
366、367、368 搬送ローラ部
37 切り欠き形成部
371 切り欠き金型
372 エッジ検知部
373 金型移動部
374 ダイ
375 パンチ
381 搬送コンベヤ
382 クリーナ
41 セパレータ保持部
42 セパレータ切断部
43 積層セル取出部
51 処理回路
52 記憶回路
Ag 隅部
Bp 積層型電池
Cc 保持位置
Cnp 初期制御条件
Cnt 制御条件
Cp 検出部分
Cs ケース
Ct 蓋
Ep 電極板
Epm 突出部
Es 待機位置
Nt 切り欠き
Op 一方側
P1 第1位置
P2 第2位置