(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180283
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】磁気閉じ込め磁場発生個別冗長装置
(51)【国際特許分類】
G21B 1/11 20060101AFI20221129BHJP
H05H 1/12 20060101ALI20221129BHJP
H05H 7/04 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
G21B1/11 A ZAA
H05H1/12
H05H7/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021215218
(22)【出願日】2021-12-28
(31)【優先権主張番号】17/327,749
(32)【優先日】2021-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521512767
【氏名又は名称】フラクタレイター イノベーションズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】FRACTALLATOR INNOVATIONS LLC
【住所又は居所原語表記】3707 S. Holly Park Drive Seattle WASHINGTON 98118, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ドミトロ ウラジミロヴィッチ ポルケトフ
【テーマコード(参考)】
2G084
2G085
【Fターム(参考)】
2G084AA21
2G084BB01
2G084BB25
2G084BB36
2G084CC33
2G084FF25
2G084FF27
2G084FF29
2G084FF31
2G084FF38
2G084FF39
2G085BA12
2G085BA19
2G085BC02
2G085BC08
2G085BC18
2G085BE02
2G085BE03
2G085BE06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】現在の技術よりもはるかに少ない電力を使用して磁場を発生させ得る。プラズマ制御を改善するために様々な形状の磁場を発生させるように制御され得る。また、メンテナンスコストを大幅に削減することができる磁場を発生させる装置。
【解決手段】1つまたは複数の実施形態の磁場を発生させるための装置。該装置は、チャンバおよび第1の磁場発生器を含み得る。磁場発生器は、複数のソレノイドカプセルを含み得る。ソレノイドカプセルの各々は、シェルおよびソレノイドを含み得る。各々のシェルは、シェルのソレノイドカプセルのそれぞれのソレノイドを封入し得る。第1の磁場発生器は、チャンバの第1の部分を取り囲み得る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバと、
第1の磁場発生器であって、前記第1の磁場発生器は複数のソレノイドカプセルを含み、前記複数のソレノイドカプセルの各々はシェルおよびソレノイドを含み、各々の前記シェルは前記シェルの前記ソレノイドカプセルの前記それぞれのソレノイドを封入し、前記第1の磁場発生器は前記チャンバの第1の部分を取り囲む、第1の磁場発生器と
を備える装置。
【請求項2】
第2の磁場発生器であって、前記チャンバの第2の部分を取り囲む、第2の磁場発生器をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記チャンバは、第1の平面においてリング形状を有し、前記第1の磁場発生器は、前記第1の平面に垂直な第2の平面において前記チャンバの前記第1の部分を取り囲む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の磁場発生器用の前記複数のソレノイドカプセルの各々は、リング状に配置され、複数のリングの各々のリングは、前記第2の平面に垂直な方向に延在する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記複数のソレノイドカプセルのリングは、前記チャンバの周囲に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
複数のアクチュエータであって、前記複数のアクチュエータの各々のアクチュエータは、前記ソレノイドカプセルの前記リングのうちの1つを回転させるように配置される、複数のアクチュエータをさらに備える、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の磁場発生器の前記ソレノイドの各々に電力を供給する電源と、
前記ソレノイドカプセルの各々を冷却するように構成された冷却装置と
をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ソレノイドは、前記冷却装置によって冷却されたときに超伝導特性を有する材料を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
トーラス形状を有するチャンバであって、第1の平面においてリング形状を有するチャンバと、
前記チャンバの一部分を取り囲む複数の第1のリングであって、前記複数の第1のリングの各々は複数の第2のリングを含み、前記複数の第2のリングの各々は複数のソレノイドを含み、前記複数の第1のリングの各々は前記チャンバの前記トーラス形状の中心を貫通し、前記第1のリングの各々は前記第1の平面に垂直な複数の第2の平面において第1のリング形状を形成し、前記複数の第2のリングの各々は前記第2のリングの前記それぞれの第1のリングの第2の平面に垂直な複数の第3の平面において第2のリング形状を形成する、複数の第1のリングと
を備える装置。
【請求項10】
第2のリングの各々は、複数のソレノイドカプセルを含み、各々の前記ソレノイドカプセルはシェルおよび前記ソレノイドの1つを含み、前記ソレノイドの各々は、前記ソレノイドカプセルの前記それぞれのシェルによって封入される、請求項3に記載の装置。
【請求項11】
複数のアクチュエータであって、各々が前記第2のリングのうちの1つを回転させるように配置される、複数のアクチュエータをさらに備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記複数のソレノイドの各々および前記複数のアクチュエータの各々に電力を供給するように構成された電源と、
複数の前記ソレノイドカプセルの各々のソレノイドカプセルを冷却するように構成された冷却装置と
をさらに備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記複数のソレノイドのソレノイドは、前記冷却装置によって冷却されたときに超伝導特性を有する材料を含む、請求項12に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年9月7日に出願された特許出願第17/013,766号に対する優先権を主張する一部継続出願であり、その特許出願の内容全体が組み込まれる。
【0002】
本発明は、磁場発生装置に関する。特に、本発明は、トーラス形状のチャンバ内に磁場を発生させる装置に関する。
【背景技術】
【0003】
トーラス形状のチャンバ/トンネルは、粒子加速器および融合炉において使用されてきた。これらのチャンバ内では、荷電粒子が高速でトーラスの周囲に送られる。粒子がチャンバの壁に衝突するのを防止する(またはその可能性を低減する)ために、磁場を使用して、粒子をトーラスの中心付近に、かつチャンバの側面から離して維持する。
【0004】
ほとんどの核融合炉では、膨大な一体型ソレノイド(高さ数メートル)がトーラス形状のチャンバの周りに垂直に(またはステラレータの場合には斜めにも)巻き付けられ、ソレノイドを通して膨大な量の電気を流すことによってチャンバ内に磁場を発生させ得る。このプロセスにより、電流に対するソレノイドの抵抗から多量の熱が発生する。ワイヤは一般に、ワイヤの温度が上昇するにつれて抵抗が増加する。したがって、ソレノイドが長く使用されるほど、1ボルト当たりに発生する磁場が小さくなり、磁場強度を維持するために浪費されるエネルギ量が多くなる。
【0005】
最近の超伝導性の向上により、ほぼ零抵抗の電気伝導が可能になった。しかしながら、高効率超伝導材料は、その超伝導材料特性を維持するために極低温(正確な温度は超伝導材料ごとに異なる)に維持されなければならない。
【0006】
核融合炉で現在使用されているような数メートルの高さのソレノイドを有するのに十分な大きさの領域を冷却するのは費用がかかり、超伝導材料がその超伝導特性を維持するのに必要な低温を安全に維持することは難しくなる。
【発明の概要】
【0007】
磁場を発生させる装置のための装置の1つまたは複数の実施形態が開示される。該装置は、チャンバおよび第1の磁場発生器を含み得る。磁場発生器は、複数のソレノイドカプセルを含み得る。ソレノイドカプセルの各々は、シェルおよびソレノイドを含み得る。各々のシェルは、シェルのソレノイドカプセルのそれぞれのソレノイドを封入し得る。第1の磁場発生器は、チャンバの第1の部分を取り囲み得る。
【0008】
該装置は、当技術分野で公知の装置に勝る有意な利点を提供し得る。該装置は、現在の技術よりもはるかに少ない電力を使用して磁場を発生させ得る。さらに、該装置は、プラズマ制御を改善するために様々な形状の磁場を発生させるように制御され得る。また、該装置の構成部品は、モジュール式に交換され得るので、メンテナンスコストを大幅に削減することができる。
【0009】
本発明の他の有利な特徴および他の態様ならびに利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0010】
以下の添付図面を参照しながら本開示の実施形態について詳細に説明する。本開示の上記および他の特徴、態様および利点は、以下の説明、特許請求の範囲、および図面からより良く理解されるであろう。本明細書で説明される図面は、選択された実施形態の例示のみを目的とし、全ての可能な実装形態を示すものではなく、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】第1のリングを含む磁場発生器の一例の断面図である。
【
図3】支持リング上の第2のリングの一例の断面図である。
【
図4】第2のリング上のソレノイドカプセルの一例の断面図である。
【
図5】電気接続および冷却接続の一例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記の「発明の概要」ならびにこの「発明を実施するための形態」、以下の特許請求の範囲、および添付図面では、本発明の特定の特徴(方法ステップを含む)について説明している。本明細書における本発明の開示は、そのような特定の特徴の全ての可能な組み合わせを含むことを理解されたい。例えば、特定の特徴が本発明の特定の態様もしくは実施形態、または特定の請求項の文脈で開示されている場合、その特徴は、可能な範囲で、本発明の他の特定の態様ならびに実施形態と組み合わせて、ならびに/もしくはその文脈で、および本発明全般において使用することもできる。
【0013】
「備える(comprises)」という用語およびその文法的等価用語は、本明細書において、とりわけ他の構成要素、成分、ステップが任意選択で存在することを意味するために使用される。例えば、構成要素A、B、およびCを「備える(comprising)」(または「備える(comprises)物品は、構成要素A、B、およびCから成り(すなわち、それらのみを含み)得、または構成要素A、B、およびCのみならず、1つまたは複数の他の構成要素も含み得る。
【0014】
2つ以上の定義されたステップを含む方法について言及する場合、定義されたステップは、任意の順序でまたは同時に実行され得(文脈がその可能性を除外する場合を除く)、該方法は、定義されたステップのいずれかの前に、2つの定義されたステップの間に、または全ての定義されたステップの後に(文脈がその可能性を除外する場合を除く)実行される1つまたは複数の他のステップを含み得る。
【0015】
数字が後に続く「少なくとも」という用語は、その数字で始まる範囲(定義されている変数に応じて、上限を有するか、または上限を有さない範囲であり得る)の始めを示すために本明細書内で使用されている。例えば、「少なくとも1」とは、1以上を意味する。数字が後に続く「多くとも」という用語は、その数字で終わる範囲(定義されている変数に応じて、下限として1または0を有するか、または下限を有さない範囲であり得る)の終わりを示すために本明細書内で使用されている。例えば、「多くとも4」は4以下を意味し、「多くとも40%」は40%以下を意味する。本明細書において、範囲が「(第1の数)から(第2の数)」または「(第1の数)~(第2の数)」で与えられる場合、これは、下限が第1の数であり、上限が第2の数である範囲を意味する。例えば、25から100mmは、下限が25mm、上限が100mmの範囲を意味する。
【0016】
特定の用語およびその派生語は、以下の説明において、便宜上参照のみを目的として使用され得るが、限定するものではない。例えば、「上方」、「下方」、「左」および「右」のような語は、別段の記載がない限り、参照される図面における方向を指す。同様に、「内方」および「外方」のような語はそれぞれ、装置または領域およびその指定された部分の幾何学的中心に向かう方向および幾何学的中心から離れる方向を指す。別段の断りのない限り、単数は複数を含み、逆もまた同様である。
【0017】
本明細書で使用される「に結合された」という用語は、直接または1つまたは複数の構成要素を介した間接接続を意味し得る。
【0018】
ここで図面および本発明の以下の記述を参照すると、本発明が広範な有用性および用途を受け入れる余地があることが当業者によって容易に理解されるであろう。本明細書に記載されているもの以外の本発明の多くの実施形態ならびに適応形態、および多くの変形、修正、ならびに同等の構成は、本発明の本質または範囲から逸脱せずに、本発明およびその詳細な説明から明らかになる、またはそれらによって合理的に示唆されるであろう。本開示は、本発明の例示的なものに過ぎず、単に本発明の完全かつ実施可能な開示を提供する目的で示されている。
【0019】
図1は、装置1000の一例の上面図である。該装置は、チャンバ100および磁場発生器200を含み得る。磁場発生器200はそれぞれ、チャンバ100の一部分を取り囲み得、チャンバ100の周りに等間隔で散在し得る。チャンバ100は、核融合炉または粒子加速器におけるプラズマまたは他の材料のための閉じ込めチャンバであり得る。チャンバ100は、タングステン、タングステン合金、または約100,000度の近接温度に耐えることができる他の材料で裏打ちされ得る。チャンバ100は、約8メートル以上の長半径と、約3以上の短半径に対する長半径の比とを有し得る。チャンバ100内で融合または粒子加速が生じているとき、通常空気がチャンバ100から除去され得る。チャンバ100は、第1の平面においてリング形状を有し得る。各々の磁場発生器200は、第1の平面に垂直な第2の平面においてチャンバ100の一部分を取り囲み、その周りにリング形状を形成し得る。第2のリングの各々は、第2のリング300のそれぞれの第1のリング210の第2の平面に垂直な複数の第3の平面において第2のリング形状を形成し得る。
【0020】
図2は、第1のリング210を含む磁場発生器200の一例の断面図である。
図2は、
図1の線I-I’における断面図である。磁場発生器200は、第1のリング210、コントローラ500、冷却装置600、および電源ユニット700を含み得る。磁場発生器200はさらに、チャンバ100上およびその周囲で第1のリングを支持する支持構造体800を含み得る。
【0021】
第1のリング210は、支持リング212、アクチュエータ230、および第2のリング300を含み得る。第2のリング300は、チャンバ100と第2のリング300との間で支持体220によって支持され得る。各々の第2のリング300は、第2のリング300を回転させるように構成されたアクチュエータ230を有し得る。アクチュエータ230は、電気モータ、歯車装置、および装置を移動させるための他の同様の装置を含み得る。コントローラ500、冷却装置600、および電源装置700と、第2のリング300に含まれるアクチュエータ230およびソレノイドカプセル400との間の電気冷却剤接続部(この図には示されていない)は、支持リング212を貫通し得る。ソレノイドカプセル400に接続された電気冷却剤接続部は、第2のリング300が接続部を外さずに360度回転できるように、余分な長さを有し得る。
【0022】
支持体220、支持リング210、および支持構造体800は、それらが支持する種々の構成要素の重量および第2のリング210によって発生した磁場に耐えることができる、鋼、プラスチック、または複合材料のような耐久性のある材料で作製され得る。
【0023】
以下でより詳細に説明するように、コントローラ500は、磁場発生器200の構成要素を制御し得る。冷却装置600は、第2のリング300内のソレノイドカプセル400を冷却し得る。電源ユニット700は、磁場発生器200の構成要素に電源を供給し得る。電源ユニット700は、それ自体が電力を生成し得る(例えば、発電機)、または送電網(図示せず)のような外部供給源から電力を受け取り得る。電源ユニット700は、電源ユニットを送電網(図示せず)のような電源に接続するケーブル710を有し得る。電源ユニット700は、電流および/または電圧を変換し得る(例えば、AC/DC変換、電圧変換、電流整流など)。
【0024】
図3は、第1のリング上の第2のリング300の一例の断面図である。
図3は、
図2の線II-II’における断面図である。第2のリング300は、支持リング310と、支持リング310の周りの複数のソレノイドカプセル400とを含み得る。ソレノイドカプセル400および支持リング310は、第1のリング210の支持リング212を中心として回転し得る。支持リング310は、導電性磁性材料よりもソレノイドカプセル400内のソレノイド410によって発生する磁場に与える影響が少ないプラスチック、セラミック、または複合材料などの非磁性非導電性材料で作製され得る。支持リング310は、ソレノイドカプセル400を貫通し得る、またはソレノイドカプセル400間を接続し得る(すなわち、ソレノイドカプセル間に接続されるいくつかの部品で構成され得る)。
【0025】
磁場発生器200は、複数のソレノイドカプセル400を含み得る。各々の磁場発生器は、チャンバの一部を取り囲む。ソレノイドカプセルの第2のリング210は、チャンバ100の周りに配置され得る。第2のリング210は、キャンバ100の周りに等間隔に配置され得る。
【0026】
図4は、支持リング310上のソレノイドカプセル400の一例の断面図である。
図4は、
図3の線III-III’における断面図である。ソレノイドカプセル400は、ソレノイド410、リード線412、冷却剤開口部420、およびコネクタ440を含み得る。リード線412は、ソレノイド410を電源ユニット700(この図には図示せず)に接続するワイヤであり得る。レール340は、第1のリング210の支持リング212に接続され得る。各々のソレノイドカプセル400のコネクタ440は、レール340に接続し、アクチュエータ230が作動したときにレールに沿って移動することができる。チャンバ100に最も近いソレノイドカプセル400は、チャンバ100に非常に近くなり得る(時には1インチ(2.54cm)以内)。
【0027】
シェル430は、ソレノイド410を取り囲む、または別の形で封入し得る。ソレノイドは、支持リング310の周りに何回も巻き付けられた超伝導材料を含み得る。超伝導体を通過する電流は、磁場を発生させ得る。ソレノイド410の全てが同時に作動されるわけではない。例えば、ソレノイド410によって発生した磁場が追加されることでチャンバ100内に大きな磁場が発生するように、第2のリング300の下半分のソレノイドのみ、または代替的に下から45度の範囲内(例えば、チャンバ100に向かう方向)のソレノイドのみが作動され得る。
【0028】
バリウム銅酸化物は、液体窒素の沸点(77ケルビン)より高い92ケルビンで超伝導特性を有する。したがって、バリウム銅酸化物のような超伝導体がソレノイド410内で使用され、液体窒素を使用して冷却されることで、大量の電流が材料を通ってもその超伝導性が維持され得る。より多くの超伝導体が発見されるにつれて、超冷却空気のような他の物質でこれらの超伝導体を冷却することが可能であり得る。液体窒素は、一般に、沸騰を防止するために少なくとも22psiに保たれなければならない。したがって、ソレノイドカプセル400のチューブおよびシェル430は、77ケルビンの温度および22psiの圧力に耐えることができなければならない。ソレノイドカプセル400を冷却装置600に接続するのに、ポリエチレンまたは金属チューブが使用され得る。ポリエチレンは非磁性かつ非導電性であるため、ソレノイド410によって発生する磁場に与える影響は最小限になる。したがって、シェル430および液体窒素などの冷却剤を輸送するための任意のチューブをポリエチレンまたは同様の特性を有する別の材料で作製することが好ましい場合がある。
【0029】
冷却剤開口部420は、液体窒素などの冷却剤がシェル430に出入りするのを可能にし得る。例えば、冷却剤は、1つの冷却剤開口部420から入り、第2の冷却剤開口部420から出ることができる。冷却剤は、ソレノイド410の材料が超伝導特性を有する温度にソレノイド410を維持するために、ソレノイド410が使用されている(すなわち、磁場を発生させている)ときに冷却装置600を使用して循環され得る。
【0030】
ソレノイドカプセル400は、支持リング310を開放する/外すことによって、またはソレノイドカプセルを交換することができるような別の機能を用いてのいずれかで、支持リング310から取り外し可能/モジュール式/着脱可能であり得る。このことにより、ソレノイドカプセル400の1つが破損したまたはその性能が低下した場合に磁場発生器200を修理するのに必要な作業が大幅に低減される。
【0031】
支持リング210は、円形の断面形状を有し得る。あるいは、より多くのソレノイド410がチャンバ100の外側と平行により近い角度で向けられた磁場を発生させるためには、支持リング210は、チャンバ100に最も近い側に細長い楕円形または平坦な形状を有し得る。しかしながら、支持リング210のこの細長いまたは平坦な断面形状は、剛性支持リング310を使用し、支持リング210を中心としてソレノイドカプセルを回転させることをさらに非常に困難にする。したがって、支持リング210が円形ではない断面を有する場合、アクチュエータ230および支持リング210の回転機構、または支持リング210は含まれない場合がある。
【0032】
図5は、電気接続および冷却接続の一例の概略図である。
【0033】
コントローラ500は、メモリ510、プロセッサ520、およびインターフェースハードウェア530を含み得る。メモリ510は、磁場発生器200を制御するための命令を含み得る。プロセッサ520は、メモリ510上に記憶された命令を読み取り、磁場発生器200を制御するための命令を実行するように構成され得る。インターフェースハードウェア530は、有線通信および無線通信を含む磁場発生装置200の他の構成要素に命令を送信し得る。インターフェースハードウェア530はさらに、中央コントローラ(図示せず)などの他の装置と通信して、情報および命令を受信する、または情報および命令を送信するためのハードウェアを有し得る。インターフェースハードウェア530はさらに、電源ユニット700から電力を受け取り得る。メモリ510は、揮発性および/または不揮発性メモリを含み得る。プロセッサ520は、中央処理装置、または他の形態の処理ハードウェアであり得る。インターフェースハードウェア530は、有線ならびに無線通信ハードウェア、電力変換ハードウェア、および本明細書で説明されるインターフェース機能に必要な任意の他のハードウェアを含み得る。コントローラ500は、ソレノイド400から発生する大きな磁場から電子機器を保護するために、アルミニウムプレートのようなシールドを含み得る。
【0034】
電源ユニット700は、コントローラ500、冷却装置600、アクチュエータ530、およびソレノイドカプセル400内のソレノイド410に電力を供給し得る。コントローラ500は、電源ユニット700が電力を分配する方法を制御し得る。個々の構成要素に電力を供給または遮断するためのハードウェアは、電源ユニット700、プロセッサ500、または他の構成要素内に存在し得る。電力を供給または遮断するためのハードウェアは、プロセッサ520からの命令に基づいて作動されるスイッチまたはゲート(図示せず)であり得る。
【0035】
冷却装置600は、コントローラ610、アクチュエータ620、および冷却剤リザーバ630を含み得る。アクチュエータ620は、冷却剤リザーバ630からの冷却剤をソレノイドカプセル400に循環させるように構成され得る。コントローラ610は、コントローラ500から受信した命令に基づいてアクチュエータ620を制御するように構成され得る。コントローラ610およびアクチュエータ620は、電源ユニット700から電力を受け取ることができる。冷却剤リザーバ630は、冷却剤の温度を所望の温度に維持するように構成された冷却ハードウェアを含み得る。あるいは、冷却剤リザーバ630は、液体窒素を発生させるために使用される液体窒素発生器であり得、アクチュエータ620は、液体窒素をソレノイドカプセル400に圧送し得る。
【0036】
アクチュエータ230は、コントローラ500からの命令に基づいて、第2のリング300を時計回りか反時計回りに回転させ得る。ソレノイドカプセル400内のソレノイド410は、いくつかの異なる電力レベルで操作されることで、異なる大きさの磁場を発生させ得る。したがって、コントローラ530は、ソレノイド400を使用してチャンバ100内に様々な形状および大きさの磁場を作り出し得る。このことは、トーラス形状のチャンバ内でプラズマを直線状の磁場で維持することが困難であるので有利であり、本発明により、核融合炉チャンバ内でプラズマを維持するための磁場を改善するように磁場を調整することが可能になる。
【0037】
本発明の概念の多くの異なる実施形態が示されている。当業者であれば、異なる実施形態からの特徴が、異なる実施形態からの他の特徴と組み合わされる、または異なる実施形態からの他の特徴と置換され得ることを理解するであろう。
【0038】
有利には、装置1000は、超伝導体が超伝導特性を有する温度に維持された超伝導体を使用してチャンバ100内に大きな磁場を発生させることを可能にする。また有利には、磁場の形状および大きさを制御調整して、より良好なプラズマ保持/発生を提供することができる。また、ソレノイドカプセル400が破損したまたはその性能が低下した場合に、個々のソレノイドカプセル400を取り外す(または使用していない位置まで回転させる)ことができるため、装置1000の修理性が向上した。
【0039】
以下の特許請求の範囲における全てのミーンズまたはステップ・プラス・ファンクション要素の対応する構造、材料、動作、および均等物は、具体的に特許請求される他の特許請求される要素と組み合わせて機能を実行するための任意の構造、材料、または動作を含むことが意図される。本発明の説明は、例示および説明の目的で提示されているが、網羅的であることまたは開示されている形態の本発明に限定されることを意図するものではない。本発明の範囲および精神から逸脱せずに、多くの修正および変形が当業者には明らかであろう。
【0040】
実施形態は、本発明の原理および実用的応用を最も良く説明するために、また、他の当業者が企図される特定の使用に適するように様々な修正を伴う様々な実施形態について本発明を理解することができるように、選択され、説明されたものである。本明細書に記載の1つまたは複数の実施形態に従う本発明は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内で修正および変更を加えて実施されてもよい。したがって、この説明は、本発明を限定するものではなく、例示と見なすべきである。
【外国語明細書】