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特開2022-180303印刷動作中のインクジェットプリンタ内の分割インクジェットを検出及び修正するためのシステム及び方法
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  • 特開-印刷動作中のインクジェットプリンタ内の分割インクジェットを検出及び修正するためのシステム及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180303
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】印刷動作中のインクジェットプリンタ内の分割インクジェットを検出及び修正するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20221129BHJP
   B41J 2/04 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
B41J2/01 207
B41J2/01 401
B41J2/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070026
(22)【出願日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】17/328,463
(32)【優先日】2021-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】シーミット・プラハラジ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ジェイ.・ワイブル
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ジェイ.・マッコンビル
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EB27
2C056EC07
2C056EC42
2C056EE17
2C056FA13
2C056FD02
2C056HA45
2C056HA46
2C056HA58
2C057AF28
2C057AL36
2C057AM22
2C057AN05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】インクジェットプリンタにおける分割インクジェットの識別、印刷動作中のそれらの修正。
【解決手段】方法は、プリンタによって画像受容部材上に印刷された試験パターンの画像データを分析して、プリンタの印刷ヘッドにおける分割インクジェットを識別する。試験パターンは、印刷ヘッドの各インクジェットを操作してダッシュを形成することによって形成され、ダッシュの面積は、分割インクジェットを識別するために平均ダッシュ面積と比較される。分割インクジェットのための発射信号パラメータが調整され、発射信号が、調整されたパラメータを使用して生成される。分割インクジェットによって形成された画像データは、分割インクジェットが、調整された発射信号パラメータを使用して操作された後に分析される。分割インクジェットのピクセルサイズが、分割インクジェットが修正されたことを示す場合、発射信号パラメータは、公称値に戻される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットプリンタを動作させる方法であって、
少なくとも1つの印刷ヘッドを動作させて、画像受容部材上に試験パターンを形成することと、
前記画像受容部材上の前記試験パターンの画像データを生成することと、
生成された前記画像データを分析して、前記少なくとも1つの印刷ヘッド内の分割インクジェットを識別することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの印刷ヘッド内で識別された各分割インクジェットのための少なくとも1つの発射信号パラメータを調整することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
調整された前記少なくとも1つの発射信号パラメータが、ピーク電圧である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ピーク電圧が、増加される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの印刷ヘッドの前記動作が、
前記試験パターンを複数のダッシュとして形成することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの印刷ヘッドの前記動作が、
前記少なくとも1つの印刷ヘッド内の各インクジェットで、前記複数のダッシュにおける単一のダッシュを形成することを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記画像受容部材上の前記試験パターンの前記生成された画像データの前記分析が、
前記複数のダッシュ内の各ダッシュの面積を識別することと、
インクジェットによって形成された前記ダッシュの前記識別された面積が、通常のインクジェットによって生成された前記ダッシュよりも大きいときに、前記インクジェットを分割インクジェットとして識別することと、を更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記分割インクジェットの前記識別が、
前記分割インクジェットによって形成された前記ダッシュの面積が、前記少なくとも1つの印刷ヘッド内の通常のインクジェットによって生成されたダッシュの平均面積の標準偏差の1.5倍であることを検出することを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
各分割インクジェットのために調整された前記少なくとも1つの発射信号パラメータを使用して、前記分割インクジェットを動作させるための発射信号を生成することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記分割インクジェットが前記生成された発射信号で動作した後に、前記分割インクジェットによって前記画像受容部材上に排出されたインクの画像データを生成することと、
前記分割インクジェットによって排出された前記インクの前記生成された画像を分析することと、
修正された前記分割インクジェットを識別することと、を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
公称値に修正されるものとして識別された前記分割インクジェットのための前記少なくとも1つの調整された発射信号パラメータを戻すことを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
インクジェットプリンタであって、
少なくとも1つの印刷ヘッドと、
コントローラであって、
前記少なくとも1つの印刷ヘッドを動作させて、前記インクジェットプリンタにおいて画像受容部材上に試験パターンを形成することと、
前記画像受容部材上に前記試験パターンの画像データを生成することと、
前記生成された画像データを分析して、前記少なくとも1つの印刷ヘッドにおける分割インクジェットを識別することと、を行うように構成されているコントローラと、を含む、インクジェットプリンタ。
【請求項13】
前記コントローラが、
前記少なくとも1つの印刷ヘッドにおいて識別された各分割インクジェットのための少なくとも1つの発射信号パラメータを調整するように更に構成されている、請求項12に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項14】
前記コントローラが、
前記調整された少なくとも1つの発射信号パラメータとしてピーク電圧を調整するように更に構成されている、請求項13に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項15】
前記コントローラが、
前記ピーク電圧を増加させるように更に構成されている、請求項14に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項16】
前記コントローラが、
前記試験パターンを複数のダッシュとして形成するように更に構成されている、請求項13に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項17】
前記コントローラが、
前記少なくとも1つの印刷ヘッドにおける各インクジェットによって、前記複数のダッシュにおける単一のダッシュを形成するように更に構成されている、請求項16に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項18】
前記コントローラが、
前記複数のダッシュにおける各ダッシュの面積を識別することと、
インクジェットによって形成された前記ダッシュの前記識別された面積が、通常のインクジェットによって生成された前記ダッシュよりも大きいときに、前記インクジェットを分割インクジェットとして識別することと、を行うように更に構成されている、請求項17に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項19】
前記コントローラが、
前記分割インクジェットによって形成された前記ダッシュの面積が、前記少なくとも1つの印刷ヘッドにおいて通常のインクジェットによって生成されたダッシュの平均面積の前記標準偏差の1.5倍であることを検出するように更に構成されている、請求項18に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項20】
各分割インクジェットのために調整された前記少なくとも1つの発射信号パラメータを使用して、前記分割インクジェットを動作させるための発射信号を生成することを更に含む、請求項19に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項21】
前記コントローラが、
前記分割インクジェットが前記生成された発射信号で動作した後に、前記分割インクジェットによって前記画像受容部材上に排出されたインクの画像データを生成することと、
前記分割インクジェットによって排出された前記インクの前記生成された画像を分析することと、
修正された前記分割インクジェットを識別することと、を行うように更に構成されている、請求項20に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項22】
前記コントローラが、
公称値に修正されるものとして識別された前記分割インクジェットのための前記少なくとも1つの調整された発射信号パラメータを戻すように更に構成されている、請求項21に記載のインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、1つ以上の印刷ヘッドを有するインクジェットプリンタにおける分割インクジェットの識別、より具体的には、印刷動作中のそれらのインクジェットの修正に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタは、画像受容部材上に液体インクを排出する複数のインクジェットを動作させる印刷ヘッドを有する。インクは、水性インク、インクエマルジョン、ゲルインク、又は固体形態で充填され、次いで溶融させられて液体インクを生成するインクであり得る。典型的なインクジェットプリンタは、1つ以上の印刷ヘッドを使用する。各印刷ヘッドは、典型的には、インク画像を形成するために、開放ギャップを横切って、画像受容部材に、インクの滴を排出するための個々のノズルのアレイを含む。画像受容部材は、記録媒体の連続的なウェブ、一連の媒体シート、又は印刷ドラム若しくは無端ベルトなどの回転面であり得る。回転面上に印刷された画像は、その後、回転面及びトランスフィックスローラによって形成されたトランスフィックスニップにおいて機械的な力によって記録媒体へ転移させられる。インクジェット印刷ヘッドでは、個々の圧電、熱、又は音響アクチュエータは、発射信号と呼ばれることもある電気的電圧信号に応答して、インクが充填されたチャンバからオリフィスを通じてインクを排出する機械的な力を生成する。信号の大きさ又は電圧レベルは、各滴で排出されるインクの量に影響を与える。発射信号は、画像データに従って、印刷ヘッドコントローラによって生成される。インクジェットプリンタは、画像受容部材上の特定の場所に個々のインク滴のパターンを印刷することによって、画像データを使用して、印刷された画像を形成する。インク滴が付着した場所は、「インク滴場所」、「インク滴位置」、又は「ピクセル」と呼ばれることがある。したがって、印刷動作は、画像データを使用して画像受容部材上にインク滴を配置して、画像データに対応するインク画像を生成することとして見ることができる。
【0003】
インク画像を形成するための印刷ヘッドにおけるインクジェットの動作から生じる1つの問題は、「分割インクジェット」と呼ばれる。分割インクジェットとは、その用語が文書において使用されるとき、インクジェットがインク滴を排出するように動作させられたときに、単一のインク滴ではなく、インク滴断片のグループを生成するインクジェットを意味する。サテライトと呼ばれることもあるこれらのインク断片は、広がって、十分に画定された円ではなく斑点状のピクセルを生成する傾向がある。これらの欠陥のあるピクセルは、顧客によって知覚される最終画質にとって不利である、筋をもたらす可能性がある。
【0004】
「パージ」と呼ばれる手順は、インクジェット性能の悪化を克服するための効果的な手順である。印刷ヘッドをパージするために、印刷ヘッド内のインクリザーバに加圧された空気が適用され、インクジェットを通してインクを押し出す。押し出されたインクは、印刷ヘッドのフェースプレート上に集まり、典型的には廃棄物インクリザーバ内へ拭き取られる。この手順は、多くのインクジェットをそれらの動作状態に復帰させるが、印刷ヘッドをパージするために印刷動作が完全に停止させられる必要があるため、生産性が失われ、また、特にパージが頻繁に実施される場合、押し出されるインクのコストが高くなる可能性があることから、大きな犠牲を払う。その結果、パージは、一般に、プリンタ動作の2時間毎に1回に限定される。
【0005】
残念ながら、インクジェット劣化は、典型的にプリンタのパージ動作を分離する2時間より大幅に短い時間スケールで起こる可能性がある。作製される印刷の面積被覆率に応じて、欠陥は、パージ動作後、約2500枚のシートに対応する10分ですぐに現れ得る。欠損しているか、又は弱いインクジェットをカモフラージュするための技術が開発されている。欠損しているインクジェットは、実用上インクを排出せず、弱いインクジェットは、フルサイズのインク滴の小さな部分を排出する。欠損したインクジェット又は弱いインクジェットの近くの他のインクジェットによって排出されるインク滴中のインクの量を増加させることにより、欠損した又は弱いインクジェットの効果をある程度低減することができる。しかしながら、これらのインクジェットは、これらのインクジェットが、滴が付着すべきところよりも大きな面積においてインク滴の量を広げることから、分割インクジェットに対処するのに有効ではない。その面積により多くのインクを追加することは、それらを硬化させるぐらい画像の欠陥を引き起こす可能性がある。印刷動作中に分割インクジェットを検出し、印刷動作を停止することなくそれらをある程度修正することができることが有益であろう。
【発明の概要】
【0006】
プリンタを動作させる方法は、プリンタによって画像受容部材上に生成された試験パターンに対応する画像データを分析して、分割インクジェットを識別し、次いで、識別された分割インクジェットのための修正発射信号を制限された時間生成する。この方法は、少なくとも1つの印刷ヘッドを動作させて、画像受容部材上に試験パターンを形成することと、画像受容部材上に試験パターンの画像データを生成することと、生成された画像データを分析して、少なくとも1つの印刷ヘッドにおける分割インクジェットを識別することと、を含む。
【0007】
新たなプリンタは、プリンタによって画像受容部材上に生成された試験パターンに対応する画像データを分析して、分割インクジェットを識別し、次いで、識別された分割インクジェットのための修正発射信号を、制限された時間、生成する。プリンタは、少なくとも1つの印刷ヘッドと、少なくとも1つの印刷ヘッドを動作させて、インクジェットプリンにおいて画像受容部材上に試験パターンを形成することと、画像受容部材上に試験パターンの画像データを生成することと、生成された画像データを分析して、少なくとも1つの印刷ヘッドにおける分割インクジェットを識別することと、を行うように構成されたコントローラと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
プリンタの前述の態様及び他の特徴、並びに印刷動作中に分割インクジェットを検出及び修正するその動作方法は、添付の図面と関連した以下の説明で説明される。
【0009】
図1】インクジェットプリンタにおいて分割インクジェットを識別及び修正するための方法のフロー図である。
【0010】
図2図1の方法での使用に好適な試料試験パターンである。
【0011】
図3】分割インクジェットによって生成されたダッシュ及び動作可能なインクジェットによって生成されたダッシュの画像である。
【0012】
図4】プリンタ内のインクジェットの数とインクジェットによって形成されたダッシュの面積のサイズとを相関させるヒストグラムを示す。
【0013】
図5】分割インクジェットによって生成されたダッシュ及び動作可能なインクジェットによって生成されたダッシュの別の画像である。
【0014】
図6】上昇したピーク・トゥ・ピーク発射信号電圧を使用した分割インクジェットの修正を示す画像である。
【0015】
図7】媒体がシステムにおける印刷ヘッドを通過するときに、媒体の連続ウェブ上にインクを排出する先行技術のインクジェット画像化システムの概略図である。
【0016】
図8】先行技術の印刷ヘッド構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
分割インクジェットを検出し、それらを動作状態に修正するためのプロセス120を図1に示す。プロセス120は、光学センサを用いて、印刷システムにおいて画像受容部材の表面から得られた画像データを分析する。この分析により、ダッシュの位置及び面積をより正確に判定し、ダッシュの位置及び面積情報を使用して、印刷ヘッドにおけるどのインクジェットが分割インクジェットであるかを判定することができる。一実施形態では、光学センサは、画像受容部材上の画像化面積の幅にわたって延在するバー又は他の長手方向構造に装着された光学検出器のアレイを含む。画像化面積がクロスプロセス方向において約20インチ幅であり、印刷ヘッドがクロスプロセス方向において600dpiの分解能で印刷する一実施形態では、12,000個を超える光学検出器がバーに沿って一列に配列されており、画像化部材にわたって単一のスキャン線を生成する。光学検出器は、画像受容部材の表面に向かって光を方向付ける1つ以上の光源に関連して構成されている。光学検出器は、光が画像受容部材から反射された後、光源によって生成された光を受容する。画像受容部材の露出面によって反射される光に応答して、光学検出器によって生成される電気信号の大きさは、画像受容部材上のインクの滴から反射された光に応答して生成される信号の大きさよりも高い。生成された信号の大きさの差異は、紙シート、媒体ウェブ、又は印刷ドラムなどの画像受容部材上のインク滴を識別するために使用される。しかしながら、読者は、イエローなどのより明るい着色インクが、画像受容部材の被覆されていない部分に関してブラックなどのより暗いインクによって生成されるコントラスト信号よりも、画像受容部材の被覆されていない部分に関してより低いコントラスト信号を、光学検出器が生成することに留意されたい。したがって、コントラスト信号の差異は、異なる色のダッシュを区別するために使用される。光学検出器によって生成される電気信号の大きさは、適切なアナログ-デジタル変換器によってデジタル値に変換される。これらのデジタル値は、本文書では画像データとして表され、これらのデータは、画像受容部材上のダッシュ及びダッシュを生成したインクジェットについての位置情報を識別するために分析される。
【0018】
本文書において使用される場合、「分析する」又は「分析」という用語は、コントローラを使用して、画像データを処理し、インクジェットを排出するために動作させられるインクケットが実際にインクを排出し、排出されたインクが付着したかどうか、及びインクを受容していない画像受容表面の面積を判定することを意味する。いくつかの印刷システムでは、印刷画像の画像は、印刷画像を媒体上に印刷することによって、又は印刷画像を媒体に転移させ、システムから媒体を排出し、次いで、フラットベッドスキャナ又は他の既知のオフライン画像化デバイスで画像をスキャンすることによって生成される。印刷画像の写真を生成するこの方法は、印刷画像をその場で分析することができず、また、外部スキャナによって課せられる不正確さを生じる。いくつかのプリンタでは、スキャナは、プリンタに統合されており、画像がプリンタ内の媒体上にある間、又はインク画像が回転画像部材上にある間に、インク画像の画像を生成することを可能にするプリンタ内の位置に位置付けられる。これらの統合されたスキャナは、典型的には、1つ以上の照明源と、画像受容表面から反射された、照明源からの放射を受容する複数の光学検出器と、を含む。照明源からの放射は、通常、可視光であるが、放射は、可視光スペクトルのいずれかの端部にあるか、又はそれを超えてもよい。光が白色の表面によって反射される場合、反射光は照明光と同じスペクトルを有する。いくつかのシステムでは、画像化表面上のインクは、入射光の一部を吸収し得、これにより、反射光が異なるスペクトルを有する。更に、いくつかのインクは、インクが刺激放射に応答して蛍光を発するときなど、照明放射とは異なる波長で放射を放出し得る。各光学センサは、検出器によって受容された反射光の強度に対応する電気信号を生成する。光学検出器からの電気信号は、アナログ-デジタル変換器によってデジタル信号に変換され得、デジタル画像データとして画像プロセッサに提供され得る。印刷画像の分析は、2つの方向を参照して実行される。「プロセス方向」とは、画像化表面が印刷ヘッドを通過して排出されたインクを受容するときに画像受容部材が移動する方向を指し、「クロスプロセス方向」とは、画像受容部材の幅にわたる方向を指す。
【0019】
画像データが生成される環境は、純粋ではない。いくつかのノイズ源が存在し、画像データの分析において対処する必要がある。例えば、画像受容部材は、画像データへのノイズに寄与し得る。具体的には、画像受容表面における構造と、画像受容表面における着色汚染物質とは、画像データにおけるインク滴と混同され得、軽く着色されたインク及び弱く実行するインクジェットは、暗く着色されたインク、又は適切なインク滴質量で形成されたインク滴よりも、画像受容部材とより小さいコントラストを形成するインク滴を提供する。印刷画像の画像データの分析は、分割インクジェットによって排出された滴を検出するのに有用であり、また、印刷ヘッド内のどのインクジェットが分割インクジェットであるかを識別するために有用である。
【0020】
プロセス120などの画像分析プロセスでの使用に好適な例示的な試験パターンを図2に示す。試験パターン300は、複数のダッシュを含み、各ダッシュは、印刷ヘッド内の単一のインクジェットエジェクタから排出されたインクから形成されている。ダッシュ302は、印刷プロセス方向332に形成されており、複数の列のダッシュが、クロスプロセス軸336に沿って配置されている。試験パターン300は、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラック(CMYK)の着色ステーションを使用するプリンタと共に使用するように構成されている。試験パターン300は、CMYK色の各々について2つの印刷ヘッドアレイを使用して、インターレース印刷のために構成されたインク着色ステーションと共に使用するように更に構成されている。シアンダッシュ304、マゼンタダッシュ308、イエローダッシュ312、及びブラックダッシュ316で見られるように、各着色ステーションにおける整列された印刷ヘッドの各々からの1つの同じ色のダッシュは、試験パターン300の各列において互いに隣接して離間されている。図2では、試験パターン300の各列におけるダッシュは、7つのインクジェットエジェクタを含むはしご状に配置されており、それにより、インクジェット印刷ヘッドにおける1つのインクジェットエジェクタが1つのダッシュを形成し、その列における次のダッシュは、クロスプロセス軸336において6つの位置によってオフセットされたインクジェットエジェクタから生じる。試験パターン300の列の連続するダッシュ間の空間320は、6つの非印刷インクジェットエジェクタの幅である。代替的な試験パターンは、複数の列のダッシュを有する類似の試験パターンを生成する各グループ内のより大きい又はより小さい数のインクジェットエジェクタを有するはしごを使用し得る。
【0021】
ダッシュ302の長さは、ダッシュを形成するために使用される滴の数に対応する。滴の数は、プロセス方向において光学検出器の分解能よりも長さが十分に大きいダッシュを生成するように選択される。光学検出器によって画像化された距離は、検出器を通過する画像部材の速度及び光学検出器のライン速度に依存する。画像受容部材上の画像化面積の幅にわたって延在する光学検出器の単一の列は、本文書ではスキャン線と呼ばれる。ダッシュは、プロセス方向において単一のスキャンよりも大きい長さで生成され、したがって、ダッシュ画像は画像処理において分解することができる。したがって、プロセス方向におけるダッシュの全長を画像化するために、複数のスキャン線が必要である。
【0022】
試験パターン300における列は、グループ324A~324Dによって見られるように、ダッシュ302の空間をあけるようにはしごフォーメーションに従ってグループ化される。グループ324A~324Dのうちの1つにおける各列は、前の列からクロスプロセス軸336において1つのインクジェットエジェクタによってオフセットされている。各グループは7つの列を有し、7つのインクジェットエジェクタシリーズにおける各インクジェットエジェクタが1つのダッシュを形成することを可能にする。グループの数は、印刷システムが生成する固有の色の数によって判定され、試験パターン300は、4つのグループ324A、324B、324C、及び324Dを提供するCMYK印刷システムの例を示している。4つのグループ324A~324Dは、各色(CMYK)のための印刷ヘッド内の各インクジェットエジェクタが、試験パターン300でダッシュを印刷することを可能にする。したがって、プロセス方向332に対して平行な線340は、同じクロスプロセス位置において各色のダッシュの中心を通過するように整列させられる。線340は、ブラックのダッシュ344Aの中心を通過し、ブラックのダッシュ344Bの縁部を通過する。相対的な用語では、ブラックのダッシュ344Aは、第1の印刷ヘッド内の7つの連続するインクジェットエジェクタのグループの第1の位置にある第1のブラックの印刷ヘッド内のインクジェットエジェクタによって形成される。ダッシュ344Bは、第2のブラックの印刷ヘッドからの前のグループの第7かつ最終のインクジェットエジェクタに対応し、第2のブラックの印刷ヘッドは、各印刷ヘッド内のエジェクタを分離する幅の半分だけクロスプロセス軸336においてオフセットされている。このオフセットにより、2つのブラックの印刷ヘッドが、印刷ゾーン内の印刷ヘッドの下の全ての場所の完全なカバレッジのためにダッシュをインターレースすることができる。
【0023】
線340は、ブラックのダッシュ344A及び344Bと同様の様式で、イエローのダッシュ344C及び344D、マゼンタのダッシュ344E及び344F、並びにシアンのダッシュ344G及び344Hを通過する。クロスプロセス方向に整列されると、様々な着色インクの滴が、CMYK色からインクを混合することによって二次色を生成するカラー印刷のための同じ場所に配置される。更に、印刷ヘッドのインターレース配置は、インク滴の並列印刷を可能にして、プリンタで利用可能な色域及び色相を拡張させる色を生成する。図2の試験パターン300は、印刷ゾーンを通過する画像受容部材上に画像を形成するために使用される印刷ゾーン内の各印刷ヘッドからのインクジェットエジェクタの一部又は全部を含むように、クロスプロセス軸に沿って繰り返すことができる。
【0024】
図1の120のプロセスは、上で考察される試験パターンを印刷し、分割インクジェットによってどのダッシュが印刷されたかを判定することによって開始する(ブロック124)。分割インクジェットを識別するための分析は、以下でより詳細に考察される。分割インクジェットが識別されると、発射信号パラメータは、インクジェットを修正する様式で調整される。発射信号パラメータは、信号のピーク電圧、信号の周波数、並びに当該技術分野で知られている他のものを含む。一実施形態では、分割インクジェットの発射信号のピーク電圧が増加する。図6の上部画像に示されるように、8つの異なるインクジェットを使用して8つのダッシュが形成されている。ダッシュ604及び608のダッシュ面積のサイズは、このダッシュを形成したインクジェットが分割インクジェットであることを示す。この図のダッシュを形成する全てのインジェットは、1.5Vのピーク電圧を有する発射信号で動作した。次いで、ダッシュ604及び608を形成したインクジェットを、4.5Vのピーク電圧で動作させた。図6の下図に示すように、同じインクジェットによって形成されたダッシュは、他のインクジェットを1.5Vのピーク電圧を有する発射信号で動作させることによって形成される他のダッシュとほぼ同じ面積を有する。
【0025】
インクジェットは、調整された発射信号パラメータを使用して画像印刷中に動作させられ(ブロック132)、画像は、分割インクジェットに対応する面積において分析される(ブロック136)。調整された発射信号パラメータで動作するインクジェットによって生成されたピクセルが、通常のインクジェットによって形成されたピクセルとほぼ同じサイズである場合(ブロック140)、調整された発射信号パラメータは、その公称値に戻される(ブロック144)。本文書において使用される場合、「通常のインクジェット」という用語は、動作不能、弱い、又は分割インクジェットではないインクジェットを意味する。また、本文書において使用される場合、「公称値」という用語は、発射信号パラメータに使用されるデフォルト値を意味する。ピクセルのサイズが、通常のインクジェットによって印刷されたピクセルのサイズについて許容範囲内にない場合、このインクジェット上で作製されたチェックの数は1だけ増分され、チェックの数は最大閾値と比較される(ブロック148)。インクジェットのチェックの最大数に到達していない場合、インクジェットは調整された発射信号パラメータで動作し続け、インクジェットが修正されるまで、又は最大のチェック数が作製されるまで追加のチェックが行われる。本文書において使用される場合、「修正」という用語は、調整された発射信号パラメータで生成された発射信号を使用する分割インクジェットの動作によって通常のインクジェット状態に戻された分割インクジェットを意味する。インクジェットの最大数のチェックに達した場合、分割インクジェットの識別子は、動作不能なインクジェットのリストに格納される(ブロック152)。次いで、リスト内の動作不能なインクジェットの数を、印刷ヘッドにおいて許容されるインクジェットの最大数と比較する(ブロック156)。数がインクジェットの最大数に等しい場合、印刷動作は停止され、それにより、パージを行うことができる(ブロック160)。動作不能なインクジェットの最大数に達していない場合、動作不能インクジェットの発射信号パラメータが更に調整され(ブロック128)、プロセスが継続する。この例では、ピーク電圧を更に増加させて、より高いピーク電圧が分割インクジェットを修正することができるかどうかを確認することができる。
【0026】
図3は、印刷ヘッド内のインクジェットによって形成された8つのダッシュを示す。上の列のダッシュは、通常のインクジェットによって形成され、下の列のダッシュは、分割インクジェットによって形成された。図5は、印刷ヘッド内のインクジェットによって形成されたダッシュの拡大図である。上の3つの列のダッシュは、分割インクジェットで形成され、下の列のダッシュは、通常のインクジェットで形成されている。図から明確に観察することができるように、分割インクジェットは、通常のインクジェットよりも大きい面積を有するダッシュを生成する。図4は、印刷ヘッド内の5,544個のインクジェットのダッシュ面積のサイズのヒストグラムを示す。約4,500個のインクジェットは、55mm以下の面積を有するダッシュを生成するが、約800個のインクジェットは、55mm~60mmの範囲の面積を有するダッシュを形成し、約100個のインクジェットは、60mmを超える面積を有するダッシュを形成する。このヒストグラムの分析は、平均ダッシュ面積の標準偏差の1.5倍の面積を有するダッシュが、インクジェットが分割インクジェットであることを示すことを明らかにしている。したがって、ダッシュ面積の分布は経験的に判定され、それにより、標準偏差を識別し、分割インクジェットを識別するために使用することができる。
【0027】
図7を参照すると、先行技術のインクジェット画像化システム110が示されている。このシステムのコントローラ50は、コントローラに動作可能に接続された非一時的なコンピュータ可読媒体に格納されたプログラムされた命令で再構成することができ、それにより、コントローラは、プログラムされた命令を実行し、印刷システム110の構成要素を動作させるときに、図1のプロセスを実行する。本開示の目的のために、画像化装置は、1つ以上のインクジェット印刷ヘッド及び関連するインク供給を用いるインクジェットプリンタの形態である。しかしながら、本明細書に記載のシステム及び方法は、インクジェットを使用して、1つ以上の着色剤を1つ又は複数の媒体に排出する様々な他の画像化装置のうちのいずれにも適用可能である。画像化装置は、インクジェットエジェクタのための制御信号を生成する前に画像データを処理するための印刷エンジンを含む。着色剤は、インク、又は1つ以上の染料若しくは顔料を含み、選択された媒体に適用される、任意の好適な物質とすることができる。着色剤は、ブラック、又は任意の他の所望の色とすることができ、所与の画像化装置は、複数の異なる着色剤を媒体に適用することができる。媒体は、特に、単純紙、コーティング紙、光沢紙、又は透明フィルムを含む様々な基材のいずれかを含み、媒体は、シート、ロール、又は別の物理的形式として提供することができる。
【0028】
図7は、試験パターンを生成し、上で考察される方法を使用して分割インクジェットのための発射信号パラメータを調整するために、前述のように修正することができる、ダイレクト・トゥ・シート、連続媒体、相変化インクジェット画像化システム110の簡略化した概略図である。媒体供給及び取り扱いシステムは、ウェブローラ8に装着された媒体10のスプールなどの媒体源から、「基材」(紙、プラスチック、又は他の印刷可能材料)の媒体Wの長い(すなわち、実質的に連続的な)ウェブを供給するように構成されている。片面印刷の場合、プリンタは、フィードローラ8、媒体コンディショナー16、印刷ステーション20、印刷済ウェブコンディショナー80、コーティングステーション100、及び巻き戻しユニット90から構成される。両面動作の場合、巻き戻しユニット90によって取り込まれる前に、ウェブインバータ84を使用して、ウェブを反転させ、媒体の第2の側を印刷ステーション20、印刷済ウェブコンディショナー80、及びコーティングステーション100に提供する。片面動作では、媒体源10は、媒体がプリンタを通ってその上を進行するローラの幅を実質的にカバーする幅を有する。両面動作では、ウェブは、印刷ステーション20、印刷済ウェブコンディショナー80、及びコーティングステーション100におけるローラの半分の上を進行した後、インバータ84によって反転させられ、ウェブの裏側の印刷、コンディショニング、及び必要であればコーティングのために印刷ステーション20、印刷済ウェブコンディショナー80、及びコーティングステーション100と反対側のローラの他方の半分の上をウェブが進行することを可能にする距離だけ横方向に変位させられることから、媒体源は、ローラ幅のほぼ半分である。巻き戻しユニット90は、プリンタからの取り外し、及びその後の処理のためにウェブをローラ上に巻き取るように構成されている。
【0029】
媒体は、必要に応じて供給源10から巻き出され、図示されていない様々なモータによって推進され、1つ以上のローラを回転させる。媒体コンディショナーは、ローラ12及び予熱器18を含む。ローラ12は、媒体がプリンタを通る経路に沿って移動するときに、巻き戻し媒体の張力を制御する。代替的な実施形態では、媒体は、切断されたシートの形態で経路に沿って搬送され、その場合、媒体供給及び取り扱いシステムは、画像化デバイスを通る予想される経路に沿った切断された媒体シートの搬送を可能にする任意の好適なデバイス又は構造を含む。予熱器18は、ウェブを、印刷されている媒体の種類、並びに使用されるインクの種類、色、及び数に対応する所望の画像特性のために選択された初期の所定の温度にする。予熱器18は、接触熱、放射熱、導電熱、又は対流熱を使用して、媒体を、1つの実用的な実施形態では約30℃~約70℃の範囲の目標予熱温度にすることができる。
【0030】
媒体は、一連の印刷ヘッドモジュール21A、21B、21C、及び21Dを含む印刷ステーション20を通って搬送され、各印刷ヘッドモジュールは、媒体の幅にわたって有効に延在し、インクを直接(すなわち、中間又はオフセット部材を使用せずに)移動媒体に配置することができる。一般的に知られるように、各印刷ヘッドは、1つの色のインク、つまりカラー印刷において一般的に使用される色のそれぞれの1つ、すなわちシアン、マゼンタ、イエロー、及びブラック(CMYK)を排出することができる。プリンタのコントローラ50は、4つの印刷ヘッドの反対側の経路の一部の両側に位置付けられたローラに近接して装着されたエンコーダから速度データを受信して、印刷ヘッドを通過するときのウェブの位置を計算する。コントローラ50は、これらのデータを使用して、印刷ヘッド内のインクジェットエジェクタを作動させるためのタイミング信号を生成し、媒体上に4つの原色画像を形成するために異なる色のパターンの位置合わせのための信頼できる精度で4つの色が排出されることを可能にする。発射信号によって作動されるインクジェットエジェクタは、コントローラ50によって処理された画像データに対応する。画像データは、プリンタに送信され、プリンタの構成要素であるスキャナ(図示せず)によって生成されるか、又は他の方法で生成され、プリンタに提供することができる。様々な可能な実施形態では、各原色のための印刷ヘッドモジュールは、1つ以上の印刷ヘッドを含むことができ、モジュール内の複数の印刷ヘッドは、一列又は複数列のアレイに形成することができ、複数列のアレイの印刷ヘッドを互い違いにすることができ、印刷ヘッドは、2つ以上の色を印刷することができ、又は印刷ヘッド又はその部分は、スポットカラー用途などのために、プロセス方向Pを横切る方向に移動可能に装着することができる。
【0031】
プリンタは、「相変化インク」を使用することができ、これは、インクが室温で実質的に固体であり、画像化受容表面上に噴射するために相変化インク溶融温度に加熱されると実質的に液体となることを意味する。相変化インク溶融温度は、固体の相変化インクを液体又は溶融形態に溶融させることができる任意の温度であり得る。一実施形態では、相変化インク溶融温度は、約70℃~140℃である。代替的な実施形態では、画像化デバイスで利用されるインクは、UV硬化性ゲルインクを含むことができる。ゲルインクはまた、印刷ヘッドのインクジェットエジェクタによって排出される前に加熱することができる。本明細書で使用される場合、液体インクは、溶融した固体インク、加熱されたゲルインク、又は水性インク、インクエマルジョン、インク懸濁液、インク溶液などの他の既知の形態のインクを指す。
【0032】
各印刷ヘッドモジュールに関連するものは、典型的にはバー又はロールの形態のバッキング部材24A~24Dであり、これは、媒体の裏側に印刷ヘッドの実質的に反対側に配置されている。各バッキング部材は、バッキング部材の反対側の印刷ヘッドから所定の距離に媒体を位置決めするために使用される。各バッキング部材は、1つの実用的な実施形態では約40℃~約60℃の範囲内である所定の温度に媒体を加熱するために熱エネルギーを放出するように構成することができる。様々なバッカー部材は、個別に又は集合的に制御することができる。予熱器18、印刷ヘッド、バッキング部材24(加熱される場合)、並びに周囲空気は、組み合わされて、印刷ステーション20の反対側の経路の部分に沿って、約40℃~70℃の所定の温度範囲内に媒体を維持する。
【0033】
部分的に画像化された媒体が、印刷ステーション20の印刷ヘッドから様々な色のインクを受容するように移動すると、媒体の温度は所与の範囲内に維持される。インクは、典型的には受容媒体温度よりも著しく高い温度で印刷ヘッドから排出される。その結果、インクは媒体を加熱する。したがって、他の温度調節デバイスを用いて、媒体温度を所定の範囲内に維持することができる。例えば、媒体の後ろ及び前の空気温度及び空気流量も媒体温度に影響を与える。したがって、空気送風機又はファンを利用して、媒体温度の制御を容易にすることができる。したがって、媒体温度は、印刷ステーション20の印刷ヘッドからの全てのインクの噴射の際に実質的に均一に保たれる。媒体温度の調節を可能にするために、媒体経路のこの部分に沿って温度センサ(図示せず)を位置付けることができる。これらの温度データはまた、印刷ヘッドから所与の原色のインクが所与の時間に媒体にどれだけ多く適用されているかどうかを(例えば、画像データから)測定又は推測するためのシステムによって使用することができる。
【0034】
媒体経路に沿った印刷ゾーン20に続いて、1つ以上の「中間ヒータ」30がある。中間ヒータ30は、媒体の温度を制御するために、接触、放射、導電性、又は対流熱、又はこれらの異なるヒータの組み合わせを使用することができる。中間ヒータ30は、媒体上のインクがスプレッダ40を通って送られるときに、媒体上に置かれたインクを所望の特性に好適な温度にする。一実施形態では、中間ヒータの目標温度の有用な範囲は約35℃~約80℃である。中間ヒータ30は、インク及び基材温度を互いの約15℃以内に均等化するという効果を有する。より低いインク温度は、より少ないライン拡散をもたらし、一方、インク温度が高いほど、透け(印刷の他方の側からの画像の視認性)を生じる。中間ヒータ30は、基材及びインク温度をスプレッドの温度よりも0℃~20℃だけ高く調整する。
【0035】
中間ヒータ30に続いて、固定アセンブリ40は、熱又は圧力又はそれら両方を媒体に適用して、画像を媒体に固定するように構成されている。固定アセンブリは、加熱される又は加熱されない圧力ローラ、放射ヒータ、熱ランプなどを含む、媒体に画像を固定するための任意の好適なデバイス又は装置を含むことができる。図7の実施形態では、固定アセンブリは、媒体に所定の圧力、いくつかの実施態様では、熱を加える「スプレッダ」40を含む。スプレッダ40の機能は、ウェブW上の本質的に滴、滴のストリング、又はインクのラインを取り、圧力によってそれらをこすりつけることであり、いくつかのシステムでは、それにより、隣接する滴間のスペースが充填され、画像固形物が均一になる。インクを広げることに加えて、スプレッダ40はまた、インク層の凝集を増加させ、かつインク-ウェブの接着を増加させることによって、画像永久性を改善する。スプレッダ40は、熱及び圧力を媒体に加えるために、画像側ローラ42及び圧力ローラ44などのローラを含む。いずれかのロールは、ウェブWを約35℃~約80℃の範囲の温度にするために、加熱要素46などの加熱要素を含むことができる。代替的な実施形態では、固定アセンブリは、印刷ゾーンの後に媒体の非接触加熱(圧力なし)を使用してインクを広げるように構成することができる。そのような非接触固定アセンブリは、放射ヒータ、UV加熱ランプなどの、媒体を所望の温度に加熱するための任意の好適なタイプのヒータを使用することができる。
【0036】
実用的な一実施形態では、スプレッダ40内のローラ温度は、55℃などの、インクの特性に依存する最適な温度までの温度に維持される。一般に、より低いローラ温度は、より少ないラインの広がりをもたらし、より高い温度は、光沢の欠陥を引き起こす。高すぎるローラ温度は、インクをロールにオフセットさせ得る。1つの実用的な実施形態では、ニップ圧力は、約500~約2000psi lbs/側の範囲に設定される。より低いニップ圧力は、より少ないラインの広がりをもたらし、より高い圧力は、圧力ローラの寿命を低減し得る。
【0037】
スプレッダ40はまた、画像側ローラ42に関連付けられたクリーニング/オイリングステーション48を含むことができる。ステーション48は、ローラ表面を洗浄し、いくつかの剥離剤又は他の材料の層をローラ表面に適用する。剥離剤材料は、約10~200センチポアズの粘度を有するアミノシリコーン油とすることができる。少量の油のみが必要とされ、媒体によって担持される油は、A4サイズページ当たり約1~10mgだけである。1つの可能な実施形態では、中間ヒータ30及びスプレッダ40を単一のユニットに組み合わせることができ、それらのそれぞれの機能は、媒体の同じ部分に対して同時に発生する。別の実施形態では、媒体は、インクの広がりを可能にするために、印刷されるとき高温に維持される。
【0038】
コーティングステーション100は、印刷された媒体に透明なインクを適用する。この透明なインクは、プリンタからの除去後に、こすれ又は他の環境的劣化から印刷媒体を保護するのに役立つ。透明なインクのオーバーレイは、その下の画像の外観に影響を与えることなく、取り扱い中にこする又はオフセットすることができるインクの犠牲層として作用する。コーティングステーション100は、ローラ、又は透明なインクをあるパターンで排出する印刷ヘッド104のいずれかによって透明なインクを適用する。本開示の目的のための透明なインクは、インクが全ての着色剤を欠いているかどうかに関係なく、最終的な印刷色に最小限の影響を有する実質的に透明なオーバーコートインクとして機能的に定義される。一実施形態では、コーティングインクに利用される透明なインクは、着色剤を含まない相変化インク配合物を含む。代替的に、透明インクコーティングは、典型的な固体インク成分の低減されたセット、又はポリエチレンワックス、又はポリワックスなどの単一の固体インク成分を使用して形成することができる。本明細書で使用される場合、ポリワックスは、比較的低分子量の直鎖ポリエチレン又はポリメチレンワックスのファミリーを指す。着色された相変化インクと同様に、透明な相変化インクは、室温で実質的に固体であり、最初に媒体上に噴射されたときに実質的に液体であるか又は溶融される。透明な相変化インクは、約100℃~140℃に加熱することができ、それにより、媒体上に噴射するために固体インクを溶融させる。
【0039】
スプレッダ40を通過した後、印刷媒体は、システムから取り出すためにローラ上に巻き取られるか(片面印刷)、又は印刷ヘッド、中間ヒータ、スプレッダ、及びコーティングステーションによる第2のパスのために、ローラの別の部分への反転及び変位のためにウェブインバータ84に方向付けられる。次いで、両面印刷された材料は、巻き戻しユニット90によって、システムから除去するためにローラ上に巻き取られる。代替的に、媒体は、媒体を切断、綴じる、丁合、及びステープル留めするなどのタスクを実行する他の処理ステーションに方向付けることができる。
【0040】
デバイス110の様々なサブシステム、構成要素及び機能の動作及び制御は、コントローラ50を用いて実施される。コントローラ50は、プログラムされた命令を実行する汎用又は専用のプログラマブルプロセッサを用いて実装される。プログラムされた機能を実施するために必要とされる命令及びデータは、プロセッサ又はコントローラに関連付けられた非一時的コンピュータ可読媒体内に記憶され得る。プロセッサ、それらのメモリ、及びインターフェース回路は、上述の機能を実施するための、コントローラ及び印刷エンジンを構成する。これらの構成要素は、印刷回路カード上に提供され得るか、又は特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)内の回路として提供さ得る。回路の各々は、別個のプロセッサで実装され得るか、又は複数の回路は、同じプロセッサ上に実装され得る。代替的に、回路は、VLSI回路に提供された別個の構成要素又は回路を備えて実装することができる。また、本明細書に記載される回路は、プロセッサ、ASIC、個別の構成要素、又はVLSI回路の組み合わせで実装することができる。
【0041】
画像化システム110は、光学センサ54を含む。ドラムセンサは、例えば、印刷ヘッドアセンブリのインクジェットによって受容部材上に噴射されたインク滴の存在、強度、及び位置を検出するように構成されている。一実施形態では、光学センサは、光源及び光検出器を含む。光源は、ライトパイプに結合された単一の発光ダイオード(LED)とすることができ、ライトパイプは、LEDによって生成された光を、光を画像基板に向かって方向付けるライトパイプにおける1つ以上の開口へ伝達する。一実施形態では、3つのLED、すなわち、緑の光を生成するLED、赤の光を生成するLED、及び青の光を生成するLEDが選択的に作動させられ、それにより、一度に1つの光のみが発光して、光をライトパイプと通って方向付け、画像基板に向かって方向付けられる。別の実施形態では、光源は、線形アレイに配置された複数のLEDである。この実施形態のLEDは、画像基板に向かって光を方向付ける。この実施形態における光源は、3つの線形アレイ、すなわち、赤、緑、及び青の各々について1つの線形アレイを含む。代替的に、LEDの全ては、3つの色の繰り返しシーケンスにおいて単一の線形アレイに配置することができる。光源のLEDは、画像照明のためにLEDを作動させるためにコントローラ50又はいくつかの他の制御回路に結合することができる。
【0042】
反射光は、光学センサ54内の光検出器によって測定される。光センサは、一実施形態では、電荷結合デバイス(CCD)などの感光デバイスの線形アレイである。感光デバイスは、感光デバイスによって受容された光の強度又は量に対応する電気信号を生成する。線形アレイは、画像受容部材の幅にわたって実質的に延在する。代替的に、画像基板を横切って並進するように、より短い線形アレイを構成することができる。例えば、線形アレイは、画像受容部材を横切って並進する移動可能なキャリッジに装着することができる。光センサを移動させるための他のデバイスも使用することができる。
【0043】
反射率は、各インクジェット及び受容部材上の各ピクセル位置に対応する光学センサ54内の光検出器によって検出される。光センサは、反射光に対応する電気信号を生成するように構成され、これらの信号はコントローラ50に提供される。これらの電気信号は、前述のように受容部材上に排出されたインク滴に関連する情報を判定するために、コントローラ50によって使用される。この情報を使用して、コントローラ50は、発射信号パラメータを調整して、前述のように分割インクジェットを修正するための発射信号の生成を変更する。
【0044】
システム110で使用することができる先行技術の印刷ゾーン1000の概略図を図8に示す。印刷ゾーン1000は、プロセス方向1004に沿って配置された4つのカラーユニット1012、1016、1020、及び1024を含む。各カラーユニットは、他のカラーユニットとは異なる色のインクを排出する。一実施形態では、カラーユニット1012は、シアンインクを排出し、カラーユニット1016は、マゼンタインクを排出し、カラーユニット1020は、イエローインクを排出し、カラーユニット1024は、ブラックインクを排出する。プロセス方向は、画像受容部材がカラーユニット1012からカラーユニット1024までカラーユニットの下を進行するときに移動する方向である。各カラーユニットは、それぞれが複数の印刷ヘッドを持つ2つの印刷バーを含む2つの印刷アレイを含む。例えば、マゼンタのカラーユニット1016の印刷ヘッドアレイ1032は、2つの印刷バー1036及び1040を含む。各印刷バーは、印刷ヘッド1008によって例示されるように、複数の印刷ヘッドを持つ。印刷バー1036は3つの印刷ヘッドを有し、印刷バー1040は4つの印刷ヘッドを有するが、代替的な印刷バーは、より多くの又はより少ない数の印刷ヘッドを使用することができる。印刷バー1036及び1040上の印刷ヘッドなどの、印刷アレイ内の印刷バー上の印刷ヘッドは、第1の解像度で画像受容部材にわたって印刷を提供するように互い違いになっている。カラーユニット1016内の印刷アレイ1034を有する印刷バー上の印刷ヘッドは、印刷アレイ1032内の印刷ヘッドに対してインターレースされており、第2の解像度でクロスプロセス方向に画像受容部材にわたる着色インクにおける印刷を可能にすることができる。各カラーユニットの印刷バー及び印刷アレイは、このように配置される。各カラーユニット内の1つの印刷ヘッドアレイは、他のカラーユニットの各々の印刷ヘッドアレイのうちの1つと整列させられている。カラーユニット内の他の印刷ヘッドアレイは同様に互いに整列させられている。したがって、整列させられた印刷ヘッドアレイは、異なる原色のドロップオンドロップ印刷を可能にして、二次色を生成する。インターレースされた印刷ヘッドはまた、異なる色の並列インク滴を可能にして、プリンタで利用可能な色域及び色相を拡張する。
【0045】
様々な上記に開示したもの並びに他の特徴及び機能の変形、又はそれらの代替物が、多くの他の異なるシステム又は用途に望ましく組み合わされ得ることが理解されるであろう。以下の「特許請求の範囲」によって包含されることも意図される、様々な現在予期されない代替、修正、変形、又は改善が、後に当業者によって行われてよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8