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特開2022-180306相変化材料ヒートシンク用の軽量炭素発泡体構造
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  • 特開-相変化材料ヒートシンク用の軽量炭素発泡体構造 図1
  • 特開-相変化材料ヒートシンク用の軽量炭素発泡体構造 図2
  • 特開-相変化材料ヒートシンク用の軽量炭素発泡体構造 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180306
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】相変化材料ヒートシンク用の軽量炭素発泡体構造
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20221129BHJP
   F28D 20/02 20060101ALI20221129BHJP
   H01L 23/427 20060101ALI20221129BHJP
   C01B 32/20 20170101ALI20221129BHJP
   C01B 32/21 20170101ALI20221129BHJP
【FI】
H05K7/20 Q
F28D20/02 D
H01L23/46 B
H05K7/20 F
C01B32/20
C01B32/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022074042
(22)【出願日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】17/328,449
(32)【優先日】2021-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500107762
【氏名又は名称】ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON SUNDSTRAND CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー ジョン クイン
(72)【発明者】
【氏名】ジェシー ジョセフ スティーバー
(72)【発明者】
【氏名】アリソン ベンダー トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ シー.ランポーン
(72)【発明者】
【氏名】サガル タパ
【テーマコード(参考)】
4G146
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
4G146AA02
4G146AD03
4G146AD08
4G146AD17
4G146AD20
4G146AD31
4G146BA02
4G146CB08
4G146CB40
5E322AA01
5E322AA05
5E322DA04
5E322DB07
5E322DB11
5E322EA11
5E322FA01
5E322FA04
5E322FA09
5F136BA02
5F136CB06
5F136CC13
5F136FA23
(57)【要約】
【課題】高い有効伝導率を維持しながら相変化材料の利用可能な体積を増加させることが可能な相変化材料ヒートシンクを提供する。
【解決手段】
相変化材料ヒートシンクは、1つ以上の除去部を有する炭素黒鉛マトリックスと、1つ以上の除去部内に位置する膨張黒鉛とを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の除去部を有する炭素黒鉛マトリックスと、
前記1つ以上の除去部内に位置する膨張黒鉛と、
を含む、相変化材料ヒートシンク。
【請求項2】
密閉チャンバーであって、前記炭素黒鉛マトリックスが前記密閉チャンバー内に位置する、前記密閉チャンバーをさらに含む、請求項1に記載の相変化材料ヒートシンク。
【請求項3】
前記密閉チャンバー内に位置する相変化材料であって、前記相変化材料は前記炭素黒鉛マトリックス及び前記膨張黒鉛内に埋め込まれている、前記相変化材料をさらに含む、請求項2に記載の相変化材料ヒートシンク。
【請求項4】
前記1つ以上の除去部は穴である、請求項1に記載の相変化材料ヒートシンク。
【請求項5】
前記1つ以上の除去部はチャネルである、請求項1に記載の相変化材料ヒートシンク。
【請求項6】
前記膨張黒鉛は、前記1つ以上の除去部の選択した割合を充填する、請求項1に記載の相変化材料ヒートシンク。
【請求項7】
前記選択した割合は10パーセント以下である、請求項6に記載の相変化材料ヒートシンク。
【請求項8】
前記選択した割合は10パーセントに等しい、請求項6に記載の相変化材料ヒートシンク。
【請求項9】
相変化材料ヒートシンクを製造する方法であって、
1つ以上の除去部を有する炭素黒鉛マトリックスを取得することと、
膨張黒鉛を前記1つ以上の除去部に挿入することと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記1つ以上の除去部を有する前記炭素黒鉛マトリックスを形成することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記炭素黒鉛マトリックスに1つ以上の穴を機械加工して、前記1つ以上の除去部を形成することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記炭素黒鉛マトリックスに1つ以上のチャネルを機械加工して、前記1つ以上の除去部を形成することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記炭素黒鉛マトリックス及び前記膨張黒鉛を密閉チャンバーに挿入することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
相変化材料を、前記密閉チャンバー内に位置する前記炭素黒鉛マトリックス及び前記膨張黒鉛に挿入することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記膨張黒鉛は、前記1つ以上の除去部の選択した割合を充填する、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記選択した割合は10パーセント以下である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記選択した割合は10パーセントに等しい、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
相変化材料を前記膨張黒鉛と同時に前記炭素黒鉛マトリックスに挿入することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
真空を用いて、相変化材料を前記膨張黒鉛と同時に前記炭素黒鉛マトリックスに挿入することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
真空を用いて、相変化材料を前記炭素黒鉛マトリックス及び前記膨張黒鉛に挿入することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は、概して、ヒートシンクの分野に関し、特に、相変化材料ヒートシンクに関する。
【背景技術】
【0002】
相変化材料(PCM)ヒートシンクは、水、ワックス、または望ましい融点を有する他の材料等のPCMを利用して、固液相変化に関連する熱エネルギーを貯蔵及び放出する。そのような変化に関連するエネルギーは、概して、融解潜熱と呼ばれる。PCMヒートシンクの1つのタイプは、熱輸送流体を使用して、熱エネルギーをヒートシンクに出し入れする。流体は、流体をPCMと熱的に接触させる流体通路要素を通って流れ、流体をPCMから隔離したまま、伝熱を発生させることを可能にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施形態に従って、相変化材料ヒートシンクが提供される。相変化材料ヒートシンクは、1つ以上の除去部を有する炭素黒鉛マトリックスと、1つ以上の除去部内に位置する膨張黒鉛とを含む。
【0004】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、密閉チャンバーを含み得る。炭素黒鉛マトリックスは密閉チャンバー内に位置する。
【0005】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、密閉チャンバー内に位置する相変化材料を含み得る。相変化材料は、炭素黒鉛マトリックス及び膨張黒鉛内に埋め込まれている。
【0006】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、1つ以上の除去部は穴であることが含まれ得る。
【0007】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、1つ以上の除去部はチャネルであることが含まれ得る。
【0008】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、膨張黒鉛は1つ以上の除去部の選択した割合を充填することが含まれ得る。
【0009】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、選択した割合は10パーセント以下であることが含まれ得る。
【0010】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、選択した割合は10パーセントに等しいことが含まれ得る。
【0011】
別の実施形態に従って、相変化材料ヒートシンクを製造する方法が提供される。本方法は、1つ以上の除去部を有する炭素黒鉛マトリックスを取得することと、膨張黒鉛を1つ以上の除去部内に挿入することと、を含む。
【0012】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、1つ以上の除去部を有する炭素黒鉛マトリックスを形成することを含み得る。
【0013】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、炭素黒鉛マトリックスに1つ以上の穴を機械加工して、1つ以上の除去部を形成することを含み得る。
【0014】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、炭素黒鉛マトリックスに1つ以上のチャネルを機械加工して、1つ以上の除去部を形成することを含み得る。
【0015】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、炭素黒鉛マトリックス及び膨張黒鉛を密閉チャンバーに挿入することを含み得る。
【0016】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、相変化材料を、密閉チャンバー内に位置する炭素黒鉛マトリックス及び膨張黒鉛に挿入することを含み得る。
【0017】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、膨張黒鉛は1つ以上の除去部の選択した割合を充填することが含まれ得る。
【0018】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、選択した割合は10パーセント以下であることが含まれ得る。
【0019】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または代替として、さらなる実施形態では、選択した割合は10パーセントに等しいことが含まれ得る。
【0020】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、相変化材料を膨張黒鉛と同時に炭素黒鉛マトリックスに挿入することを含み得る。
【0021】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、真空を用いて、相変化材料を膨張黒鉛と同時に炭素黒鉛マトリックスに挿入することを含み得る。
【0022】
上記の1つ以上の特徴に加えて、または代替として、さらなる実施形態は、真空を用いて、相変化材料を炭素黒鉛マトリックス及び膨張黒鉛に挿入することを含み得る。
【0023】
先述の特徴及び要素は、他に明確に示されない限り、排他性がなく、様々な組み合わせで組み合わされ得る。これらの特徴及び要素ならびにこれらの動作は、以下の説明及び添付の図面を考慮してより明らかになる。しかしながら、以下の説明及び図面は、本質的に例示及び解説することを意図し、非限定であることを理解されたい。
【0024】
以下の説明は、決して限定的であると見なすべきではない。添付の図面に関して、類似の要素には類似の番号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示の実施形態による、PCMヒートシンクの分解図を示す。
図2】本開示の実施形態による、炭素黒鉛マトリックスの等角図である。
図3】本開示の実施形態による、PCMヒートシンクを製造する方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
開示される装置及び方法の1つ以上の実施形態の詳細な説明は、図を参照して、限定ではなく例示として本明細書に提示される。
【0027】
ここで図1を参照すると、本開示の実施形態による、PCMヒートシンク100の分解図が示される。図1に示されるPCMヒートシンク100は例示的な構成であり、本明細書に開示される実施形態は、異なる構成を有するPCMヒートシンクに適用可能であり得ることが理解される。ある実施形態では、PCMヒートシンクは、伝導を使用して、熱源(例えば、電子機器筐体等)から直接熱エネルギーを受信し得る。PCMヒートシンク100は密閉チャンバー106を含む。この密閉チャンバー106は、密閉チャンバー106内に位置する炭素黒鉛マトリックス109と、密閉チャンバー106内に密閉された水またはワックス等のPCM120とを含む。密閉チャンバー106は上部107及び底部108を含む。図1では、密閉チャンバー106は、PCM120が見えるように示される。しかしながら、実際には、上部107は固体材料で形成されており、PCM120は見えない場合があることを理解されたい。
【0028】
PCMヒートシンク100は、また、流体通路要素101を含む。伝熱流体(例えば、フレオンまたは水)は、入口通路(例えば、パイプ)102を介して流体通路要素101の端部103に入り、出口通路114を介して流体通路要素101から出る。流体は、概して、矢印Aによって示される方向に流体通路要素101を横断する。図1に示される流体通路要素101は端部103の間に配置されたコネクタ部104を含み、流体は端部103の間を通過すると同時に、流体通路要素101を入口通路102から出口通路114まで横断する。特にコネクタ部104、及び流体通路要素101は、概して、底部105を含む。PCMヒートシンク100が組み立てられるとき、密閉チャンバー106の上部107は、流体通路要素101の底部105と熱的に接触している。
【0029】
また、PCMヒートシンク100は、任意選択で、放熱要素111を含む。図示のように、放熱要素111は熱拡散フィン113及び上部112を含む。場合によって、放熱要素111を密閉チャンバー106と熱的に接触させ、そこに蓄えられた熱を放散できる。例えば、衛星の状況では、衛星が太陽と同じ視線上になくなるまで、熱は密閉チャンバー106に蓄えられ得る。その時点で、密閉チャンバー106の底部108は放熱要素111の上部112と接触でき、熱はフィン113を介して空間内に放出できる。
【0030】
PCM120は、密閉チャンバー105内に位置し、炭素黒鉛マトリックス109内に埋め込まれている。ある実施形態では、PCM120はワックスまたはパラフィンワックスであり得る。炭素黒鉛マトリックス109は、PCM120を形状安定化させ、また、PCM120の熱伝導率を増加させるように構成される。炭素黒鉛マトリックス109はPCM120よりも良く熱を伝導し、炭素黒鉛マトリックス109を用いないでPCM120を単独で使用するよりも、PCM120を通して熱を良好に分散し得る。
【0031】
炭素黒鉛マトリックス109はモノリシックマトリックス構造を形成する黒鉛材料から成るが、この材料のオプションはほとんどなく、最高のものは、60%の開放気孔率を有する。相転移サイクル中にPCM120を形状安定化するマトリックスの能力を損なうことなく、より多くのPCM120を密閉チャンバー106に装填することを可能にする、開放気孔率の割合を増加させることが望ましい。本明細書に開示される実施形態は、炭素黒鉛マトリックス109の一部を除去し、炭素黒鉛マトリックス109の一部を膨張黒鉛150と交換することを目的とする(図2参照)。有利には、炭素黒鉛マトリックス109の一部を膨張黒鉛150と交換することによって(図2参照)、PCM120の体積は密閉チャンバー106内で増加でき、より大量の潜熱蓄熱を提供する。
【0032】
引き続き図1を参照しながら、ここで図2を参照すると、炭素黒鉛マトリックス109は本開示の実施形態に従って示される。炭素黒鉛マトリックス109は、単一材料から成るモノリシックマトリックス構造であり得る。炭素黒鉛マトリックス109は95%~50%の間の気孔率を有し得る。例えば、95%の気孔率は炭素黒鉛マトリックス109が体積の5%であり、体積の95%が開放空間であることを意味するであろう。図2の炭素黒鉛マトリックス109は、炭素黒鉛マトリックス109の一部が除去されている除去部121を含む。炭素黒鉛マトリックス109の一部は、穴あけ、機械加工、またはいずれかの他の製造プロセスによって除去されている場合がある。ある実施形態では、除去部121は穴121aであり得る。穴121aは炭素黒鉛マトリックス109を全体的に伸び得る、または部分的に伸び得る。別の実施形態では、除去部121はチャネル121bであり得る。チャネル121bは炭素黒鉛マトリックス109を全体的に伸び得る、または部分的に伸び得る。ある実施形態では、いずれかの数の除去部121があり得る。除去部121は、また、炭素黒鉛マトリックス109のいずれかの側部110に位置し得る。次に、除去部121は、膨張黒鉛150で、選択した割合に埋め戻される。選択した割合は除去部121の割合であり、0%~100%の間で測定され得る。0%では、除去部121は膨張黒鉛150で全く充填されておらず、100%では、除去部121の全ては膨張黒鉛150で完全に充填されている。PCM120は密閉チャンバー105内に位置し、炭素黒鉛マトリックス109及び膨張黒鉛150の中に埋め込まれている。膨張黒鉛150は2%~20%の間の気孔率を有し得る。ある実施形態では、膨張黒鉛は10%の気孔率を有する。
【0033】
炭素黒鉛マトリックス109は、膨張黒鉛150の有効伝導率よりも高い有効伝導率を有する。炭素黒鉛マトリックス109が除去され、膨張黒鉛150と交換されるとき、炭素黒鉛マトリックス109及び膨張黒鉛150の組み合わせの有効伝導率は減少するが、膨張黒鉛を追加すると、PCM120で利用可能な体積が増加するため、PCM120のより多くの熱容量が生じる。したがって、炭素黒鉛マトリックス109の全てを使用すると、PCM120の有効伝導率は高くなるが、利用可能な体積は少なくなる。それに対して、膨張黒鉛150の全てを使用すると、有効伝導率は低くなるが、PCM120の利用可能な体積は多くなる。
【0034】
したがって、図2の除去部121は、炭素黒鉛マトリックス109の全てではないが一部を除去し、それを選択した割合の膨張黒鉛150と交換して、高い有効伝導率を維持しながら、PCM120の利用可能な体積を増加させるべきである。ある実施形態では、膨張黒鉛150の選択した割合は、除去部121の約0~10%の間であり得る。別の実施形態では、膨張黒鉛150の選択した割合は、除去部121の約5%~10%の間であり得る。ある実施形態では、膨張黒鉛150の選択した割合は、除去部121の約10%であり得る。
【0035】
引き続き図1図2を参照しながら、ここで図3を参照すると、本開示の実施形態による、PCMヒートシンク100を製造する方法400のフローチャートが示される。
【0036】
ブロック404において、1つ以上の除去部121を有する炭素黒鉛マトリックス109を取得する。ブロック406において、膨張黒鉛150は1つ以上の除去部121に挿入される。膨張黒鉛150は、1つ以上の除去部121の選択した割合を充填し得る。選択した割合は10パーセント以下であり得る。選択した割合は10パーセントに等しくてもよい。
【0037】
方法400は、さらに、1つ以上の除去部121を有する炭素黒鉛マトリックス109を形成することを含み得る。別の実施形態では、炭素黒鉛マトリックス109及び1つ以上の除去部121は、炭素黒鉛マトリックス109に1つ以上の穴121aを機械加工することによって形成され、1つ以上の除去部121を形成し得る。別の実施形態では、炭素黒鉛マトリックス109及び1つ以上の除去部121は、炭素黒鉛マトリックス109に1つ以上のチャネル121bを機械加工することによって形成され、1つ以上の除去部121を形成し得る。
【0038】
方法400は、また、炭素黒鉛マトリックス109及び膨張黒鉛150を密閉チャンバー106に挿入することを含み得る。方法400は、また、密閉チャンバー106の中に位置する炭素黒鉛マトリックス109及び膨張黒鉛150に、PCM120を挿入することを含み得る。
【0039】
PCM120は、膨張黒鉛150と同時に炭素黒鉛マトリックス109に挿入され得る。例えば、PCM120は、真空を用いて、膨張黒鉛150と同時に炭素黒鉛マトリックス109に挿入され得る。PCM120は、同時に炭素黒鉛マトリックス109に挿入される膨張黒鉛150と一緒にスラリーに混合され得る。
【0040】
代替として、膨張黒鉛150は、PCM120の前に炭素黒鉛マトリックス109に挿入され得る。例えば、膨張黒鉛150を炭素黒鉛マトリックス109に混合され得、次に、PCM120は、真空を用いて、炭素黒鉛マトリックス109及び膨張黒鉛150に挿入され得る。
【0041】
上記の説明は特定の順序で図3の流れ工程を説明しているが、添付の特許請求の範囲で他に特に要求がない限り、ステップの順序付けは変わり得ることと、ステップの順序は同時にまたはほぼ同時に層内等で発生し得ることとを理解されたい。
【0042】
本明細書に説明される特徴の技術的効果及び利点には、炭素黒鉛マトリックスの選択部を除去することと、膨張黒鉛150と交換して、伝導率を過度に損なうことなく、PCM及び熱容量に利用可能な体積を増加させることとが含まれる。
【0043】
開示される装置及び方法の1つ以上の実施形態の詳細な説明は、図を参照して、限定ではなく例示として本明細書に提示される。
【0044】
用語「約」は、出願時に利用可能な機器に基づく特定の量の測定に関連する誤差の程度を含むことが意図される。
【0045】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することだけを目的とし、本開示を限定する意図はない。本明細書で使用されるように、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別段に明確に示さない限り、同様に複数形も含むことが意図される。さらに、用語「備える/含む(comprises)」及び/または「備えている/含んでいる(comprising)」は、本明細書で使用されるとき、述べられる特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/または構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/またはそれらのグループの存在または追加を除外しないことを理解されたい。
【0046】
本開示は例示的な実施形態または複数の実施形態を参照して説明されているが、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされ得、均等物がその要素の代わりになり得ることが、当業者によって理解される。さらに、特定の状況または材料を本開示の教示に適応させるために、本開示の本質的範囲から逸脱することなく、多くの修正がなされ得る。したがって、本開示は、本開示を実行するために想到される最適の形態として開示される特定の実施形態に限定されるのではなく、本開示は、特許請求の範囲にある全ての実施形態を含むことが意図される。
図1
図2
図3