(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180354
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】機械可読光学セキュリティデバイス
(51)【国際特許分類】
B42D 25/382 20140101AFI20221129BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20221129BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20221129BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20221129BHJP
B42D 25/387 20140101ALI20221129BHJP
G06K 19/06 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
B42D25/382
G02B3/00 A
G02B5/00 Z
G02B5/20
B42D25/387
G06K19/06 009
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129933
(22)【出願日】2022-08-17
(62)【分割の表示】P 2019543361の分割
【原出願日】2018-01-11
(31)【優先権主張番号】62/457,226
(32)【優先日】2017-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516166085
【氏名又は名称】クレイン アンド カンパニー、 インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ゲッテンズ、ナンシー、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ピアソン、ニコラス、ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ジーグラー、エリック、エム.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】光学材料によって投影される光学効果に干渉せず、光学セキュリティデバイスが機械可読シグネチャに干渉しない、機械検出可能および/または可読特徴を使用する、マイクロ光学セキュリティデバイスなどの光学材料が必要とされている。
【解決手段】2つ以上のIR波長で検出可能な特性IRシグネチャを有する少なくとも1つのIR吸収構成要素、2つ以上のUV波長で検出可能な特性UVシグネチャを有する少なくとも1つのUV吸収構成要素、IR光を吸収し、異なる不可視波長で光を放射する少なくとも1つのIR吸収構成要素、UV光を吸収し、異なる不可視波長で光を放射する少なくとも1つのUV吸収構成要素、またはそれらの組合せから構成される、IRおよび/またはUV機械可読光学セキュリティデバイス(例えば、マイクロ光学セキュリティスレッド)が提供される。IRおよびUV機械可読特徴は、光学材料によって投影される光学効果を妨げない。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の側と第2の側とを有するスペーサ層と、
前記スペーサ層の前記第1の側に配置された集束素子層と、
前記スペーサ層の前記第2の側に配置された画像要素アレイと、
前記スペーサ層と前記画像要素アレイとの間に配置されたパターン層として、前記スペーサ層と一体化された機械可読成分(Mr成分)とを備え、
前記機械可読成分は、前記スペーサ層と前記画像要素アレイとを通したときに、可視スペクトル範囲で可視光では視認されず、
MrOSDは、さらに画像層を含み、前記画像要素アレイの画像要素を前記集束素子層の集束素子を通したときに、合成画像が前記MrOSDにより投影されるように、前記画像要素アレイが前記集束素子層に対して配置される、機械可読光学セキュリティデバイス(MrOSD)。
【請求項2】
前記Mr成分は、IRスペクトル範囲内の機械可読信号(Mr信号)を含む機械可読シグネチャ(Mrシグネチャ)を付与する第1の赤外線(IR)成分である、請求項1に記載のMrOSD。
【請求項3】
前記Mr成分は、不可視スペクトル範囲で少なくとも2つのMr信号を提供する、請求項2に記載のMrOSD。
【請求項4】
前記Mr成分は、近赤外領域でMr信号を提供する、請求項1に記載のMrOSD。
【請求項5】
前記Mr成分は、第1の波長での第1の吸収と、前記第1の吸収が第2の吸収より小さく、前記第1の波長が第2の波長より小さい、前記第2の波長での前記第2の吸収と、を含むMrシグネチャを付与する、請求項1に記載のMrOSD。
【請求項6】
前記画像要素アレイの画像要素は、前記スペーサ層とコントラストする材料を含む、請求項1に記載のMrOSD。
【請求項7】
前記Mr成分は、UVスペクトル範囲内のMr信号を含むMrシグネチャを付与する第1の紫外線(UV)成分である、請求項1に記載のMrOSD。
【請求項8】
前記Mr成分は、第1の波長の赤外線光を吸収して第2の波長で光を放射するIRタガントを含む、請求項1に記載のMrOSD。
【請求項9】
前記Mr成分は、第1の波長の紫外線光を吸収して第2の波長で光を放射するUVタガントを含む、請求項1に記載のMrOSD。
【請求項10】
前記Mr成分は、置換フタロシアニン、ナフタロシアニン、金属含有フタロシアニン、ポリ置換フタロシアニン、から選択されたIRタガントを含む、請求項1に記載のMrOSD。
【請求項11】
前記Mr成分は、ベネゼンチオール置換銅フタロシアニンを含むIRタガントである、請求項1に記載のMrOSD。
【請求項12】
前記Mr成分は、前記スペーサ層に埋め込まれることにより前記スペーサ層と一体化される、請求項1に記載のMrOSD。
【請求項13】
前記Mr成分は、UVスペクトル範囲内に少なくとも2つの信号を提供する、請求項1に記載のMrOSD。
【請求項14】
前記Mr成分は、IRスペクトル範囲内に少なくとも2つの信号を提供する、請求項1に記載のMrOSD。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年2月10日に出願された米国仮特許出願第62/457,226号に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、一般に、高価値の製造物品または高価値の文書などの高価値のセキュリティ製品を保護する(すなわち、認証および/または審美化する)際に使用するのに適した機械可読光学セキュリティデバイス(MrOSD)に関する。MrOSDは、赤外線(IR)および/または紫外線(UV)シグネチャなどの特徴的な機械可読シグネチャ(Mrシグネチャ)を有するMr成分に結合された光学セキュリティデバイス(OSD)を含み、このシグネチャは、反射または透過においても可視であり得る。Mr成分は、Mr成分と共に高セキュリティ製品に結合されたときに、OSDがシグネチャ検出器によって識別可能であるように、特徴的なMrシグネチャをOSDに与える。したがって、MrOSDが銀行券などの高セキュリティ製品に結合されると、シグネチャ検出器は、それによってOSDの存在/不在を識別し、それによって高セキュリティ製品を認証することができる。OSDは、Mr成分のシグネチャをシグネチャ検出器によって読み取ることができる透明/半透明のマイクロ光学セキュリティデバイスである。
【背景技術】
【0003】
光学材料は、しばしば、紙幣および他の高セキュリティ製品を認証し、製造された物品および包装の視覚的強化を提供するために使用される。そのような材料は、主に、ある高価値文書または高価値物品の偽造に抵抗するための、および/またはそのような偽造の試みを明らかにするためのドライブから発展してきた。偽造防止用途に使用される光学材料の例には、レンチキュラまたは円柱構造のアレイ、またはマイクロレンズのアレイに依存して、光学材料を様々な視点から見たときに1つまたは複数の可動効果を示す画像を投影する画像システムが含まれる。これらの可動効果のために、投影された画像は、伝統的な又は現代の印刷及び/又は写真複写プロセスを使用して効果的に再現することができない。
【0004】
モアレ拡大の概念に基づく光学材料は、偽造防止用途に現在使用されている。そのような材料は、典型的には、レンズのアレイを含むレンズ層と、中間スペーサ層と、画像要素(すなわち、画像アイコン)のアレイを含む画像層とを含む多層材料である。レンズ層は、画像層(すなわち、それぞれ、屈折または反射光学材料)の上または下に位置してもよい。画像アイコンは、レンズを通して見ると、拡大されるか、または他の方法で光学的に変更される。代替の光学材料は、光学スペーサを含まない。
【0005】
屈折光学材料の場合、上側レンズ層および画像層は、アイコンが上側レンズ層を通して見られるときに1つまたは複数の画像が投影されるように構成される。これらの投影された画像は、光学材料が様々な視点から(すなわち、光学材料の傾斜時に)見られるときに、いくつかの異なる可動効果を示すことができる。
【0006】
このような効果を示すことができる光学材料の多層構造は、Steenblikらの米国特許第7,333,268号、Steenblikらの米国特許第7,738,175号、Commanderらの米国特許第7,830,627号、Kauleらの米国特許第8,149,511号、Kauleらの米国特許第8,786,521号、Kauleらの欧州特許第2162294号、Kauleらの欧州特許第2164713号、Steenblikらの米国特許第8,867,134号、及びJordanらの米国特許出願公開第2014/0376091A1号に記載されている。
【0007】
モアレ拡大の概念に基づく光学材料はまた、2016年7月21日に出願されたGregory R.Jordanの米国特許出願番号15/215,952号および15/216,286号と、2015年12月18日に出願されたCapeらの米国特許出願第14/975,048号とに記載されているような単一層システムを構成してもよい。
【0008】
これらの単層システムは、表面と、表面上または表面内に配置された周期的な表面湾曲を有する画像レリーフ微細構造の周期的アレイとを含むことができる。画像レリーフ微細構造は、アレイ内の第1の画像基準軸に沿って第1の画像反復周期を有することができ、周期的な表面曲率は、アレイ内の第1の曲率基準軸に沿って第1の曲率反復周期を有することができる。アレイを通る光の透過、アレイからの光の反射、またはそれらの組み合わせは、拡大されたモアレ画像を形成する。
【0009】
画像レリーフ微細構造は、(+)レリーフまたは(-)レリーフ画像レリーフ微細構造であり得る。場合によっては、画像レリーフ微細構造は、弓形画像生成表面で終端する表面から上方に突出する(+)レリーフ画像レリーフ微細構造であり得る。他の場合には、画像レリーフ微細構造は、弓形画像生成表面で終端する表面内に形成された空隙である(-)レリーフ画像レリーフ微細構造であり得る。拡大モアレ画像の所望の外観に応じて、画像レリーフ微細構造は、ポジティブ画像表現またはネガティブ画像表現とすることができる。
【0010】
上述の光学材料は、認証または美観目的のために、様々な異なる形態(例えば、ストリップ、パッチ、セキュリティスレッド、プランシェット)で、任意の製品と共に、特に、任意のセキュリティ製品(例えば、高セキュリティ製品または高価値製品)、例えば、銀行券、小切手、スタンプ、政府レターヘッド、ストック証明書、抽選チケット、他の安全文書、および他の高価値または安全な商業製品、衣類、識別、パスポートおよび他の政府発行文書、製品包装などと共に。紙幣および安全な文書の場合、これらの材料は、通常、ストリップ、パッチ、または糸の形態で使用され、紙幣または文書内に完全にまたは部分的に埋め込むことができ、またはその表面に適用することができる。パスポートまたは他の識別(ID)文書の場合、これらの材料は、フルラミネートとして使用することができ、またはその表面に埋め込むことができる。製品包装のために、これらの材料は、典型的には、ラベル、シール、またはテープの形態で使用され、その表面に適用される。
【0011】
セキュリティドキュメントまたは物品上または物品内で使用されるセキュリティデバイスを有する機械試験可能なセキュリティ機能の使用は、高レベルのセキュリティを提供することが長い間認識されてきた。実際、安全文書などの多くのセキュリティ製品は、用紙上または用紙内に配置されたセキュリティデバイス(たとえば、セキュリティスレッド)を含み、セキュリティ用紙を認証し、偽造を防止または阻止する働きをする磁気特徴などの1つまたは複数の機械検出可能/読取り可能(Mr)セキュリティ特徴を含む。例えば、イギリス特許2,227,451(B)号では、セキュリティスレッドの形態のセキュリティデバイスは、プラスチック・ストリップを含む。プラスチック・ストリップの表面に沿って、金属のコーティングと、磁気材料の機械可読不連続トラックとがあり、機械可読ワードセグメントと終端セグメントとに分割される。
【0012】
しかしながら、上述の光学材料は、従来の磁気とは相容れない。磁性材料は、ある程度の固有の色を有し、この色は、磁性材料を、反射光および透過光で視覚的に検出可能にし、したがって、投影された光学画像およびそれらの対応する可動効果と干渉する。これは、特に、磁性色が、コントラスト材料として特定の微小光学材料で使用される顔料と異なる場合に当てはまる。さらに、他の従来のセキュリティスレッド、パッチ、またはストライプは、それらの機械可読性を妨げる材料を含む。例えば、これらのセキュリティデバイスの多くは、不透明であるか、または、機械可読構成要素の機械可読性を妨げる金属または金属除去領域などの特定の材料を含む。これらの理由のために、これまで、高価値文書または高価値物品のためのセキュリティデバイスに、ある種の機械可読特徴を組み込むことは非実用的であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、光学材料によって投影される光学効果に干渉せず、光学セキュリティデバイスが機械可読シグネチャに干渉しない、機械検出可能および/または可読特徴を使用する、マイクロ光学セキュリティデバイスなどの光学材料が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記の障害の少なくとも1つを回避して、機械可読構成要素を光学セキュリティデバイスに組み込むことによって、そのような機械可読光学セキュリティデバイス(MrOSD)を提供する。特定の態様では、本発明は、MrOSDを提供する。この態様の一実施形態では、MrOSDは、OSD成分と、OSDに結合され、特徴的な機械可読MrシグネチャをOSDに付与するMr成分とを含み、Mrシグネチャは、不可視スペクトル範囲内の少なくとも1つの機械可読Mr信号を表示し、OSDは、透明または半透明であり、Mrシグネチャは、シグネチャ検出器によってOSDを通して読み取り可能である。別の実施形態では、MrOSDは、(i)2つ以上の波長(すなわち、IR波長)で検出可能な特性シグネチャ(例えば、IRシグネチャ)を有する第1のIR成分、(ii)2つ以上の波長(例えば、UV波長)で検出可能な特性シグネチャ(例えば、UVシグネチャ)を有する第1のUV成分、(iii)IR光を吸収し、異なる不可視波長で光を放出する第2のIR成分、および(iv)UV光を吸収し、異なる不可視波長で光を放出する第2のUV成分のうちの少なくとも1つを含む、IRおよび/またはUV機械可読光学セキュリティデバイス(例えば、マイクロ光学セキュリティスレッド)である。
【0015】
別の態様では、本発明は、MrOSDを作製する方法を提供する。この態様の1つの特定の実施形態では、この方法は、(i)OSDを形成することを含み、このOSDは、(a)集束要素の集束層と、(b)画像要素が集束要素を通して見られるときに合成画像がOSDによって投影されるように、集束層に対して配置された画像要素の画像層と、(c)任意選択で、集束層または画像層の少なくとも1つに結合された少なくとも1つの追加の層と、(ii)Mr構成要素が特徴的な機械可読MrシグネチャをOSDに与えるようにMr構成要素をOSDに結合することとを含み、Mrシグネチャは、不可視スペクトル範囲内の少なくとも1つの機械可読Mr信号を表示し、OSDは透明または半透明であり、M態様の別の特定の実施形態では、この方法は、(i)OSDを形成することを含み、OSDは、(a)集束要素の集束層と、(b)集束層に対して配置された画像要素の画像層とを少なくとも含み、画像要素が集束要素を通して見られるときに合成画像がOSDによって投影されるようにする、OSDと、(c)任意選択で、集束層または画像層のうちの少なくとも1つに結合された少なくとも1つの追加の層と、(ii)少なくとも1つのMr成分をOSDに。この方法では、Mr成分は上述の通りである。
【0016】
別の態様では、本発明は、セキュア製品を提供する。1つの特定の実施形態では、セキュア製品は、本明細書で説明するように、MrOSDを含み、MrOSDは、高セキュリティ製品の基板に結合される。別の態様では、本発明は、MrOSDの使用を提供する。1つの特定の実施形態では、この使用は、MrOSDを使用して高セキュリティ製品を確保することを含み、MrOSDは、本明細書全体にわたって説明される通りである。
【0017】
別の態様では、本発明は、本発明のMrOSDから作製されるか、または本発明のMrOSDを使用するシート材料およびベースプラットフォーム、ならびにこれらの材料から作製される文書を提供する。
【0018】
上記で提示された本発明の態様の特定の実施形態では、本発明の光学セキュリティデバイスは、セキュリティスレッドなどのマイクロ光学セキュリティデバイス(MOSD)であり、2つのIR波長で検出可能なIRシグネチャを有するIR構成要素を備え、2つのIR波長間の吸収の比率は、伝送中に測定されたときに確実かつ測定可能に同じである。
【0019】
別の例示的な実施形態では、MrOSDのOSDは、IR光を吸収し、異なる不可視波長の光を放射するIR吸収構成要素、および/またはUV光を吸収し、異なる不可視波長の光を放射するUV吸収構成要素(例えば、IRおよび/またはUV蛍光体)を含むマイクロ光学セキュリティデバイス(例えば、セキュリティスレッド)である。放射光は、入射光と同じ側から、またはデバイスの反対側から見ることができる。
【0020】
本開示に鑑みて、本発明の様々な他の態様、実施形態、特徴、および利点は、結果的に、当業者(PHOSITA)には明らかであろう。
【0021】
開示された発明の特定の特徴は、添付の図面を参照することによって例示される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】(a)~(f)は、IR透過で見た、本発明による異なる光学的可変セキュリティスレッドを使用する紙文書の例示的な実施形態の上面図であり、本発明の光学的可変セキュリティスレッドのIR吸収構成要素は、断続的パターン、すなわち、類似または異なるサイズの水平バー(a)、(d)、(e)、シェブロンまたはジグザグ(c)、角度付きバー(b)、および証印(f)の形態で存在する。
【
図2】画像層内にMr成分を有する機械可読光学セキュリティデバイスの断面図である。
【
図3】別個の層としてのMr成分を有する機械可読光学セキュリティデバイスの断面図である。
【
図4】パターンまたは証印として一体化されたMr構成要素を有する機械可読光学セキュリティデバイスの断面図である。
【
図5】OSDの層全体にランダムに分布したMr成分を有する機械可読光学セキュリティデバイスの断面図である。
【
図6】画像層と集束層との間の別個の層としてODSと一体化されたMr構成要素を有する機械可読光学セキュリティデバイスの等角図である。
【
図7】紙幣を認証するために使用されているMrOSDの合成画像を表示する窓付きスレッドを有する紙幣として提示されたセキュア製品の平面図である。
【
図8】セキュア製品の真正性を検出する際に使用するのに適したMr信号を有する所定のMrシグネチャのグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(定義)
本明細書で使用される「特性シグネチャ」という用語は、IRまたはUVのような電磁放射に曝される材料のスペクトログラム上に示されるような、独特の吸収または透過(吸収/透過)パターンを意味することが意図される。この固有のパターンは、固有の傾斜、特定のスペクトル吸収/透過曲線に相関する波長/周波数スケールに沿ったピーク、または2つ以上の吸収/透過ピークの幅、2つ以上のピークの高さ対幅の関係、2つの吸収/透過ピーク間の吸収/透過の比(高さ)、またはスペクトルの曲率の変化などの他の所定の識別スペクトル特性を含むことができる。これらは、実質的に同じ波長における吸収/透過極大(ピーク)および/または吸収/透過極小および/または吸収/透過端を含むことができる。
【0024】
本明細書で使用される用語「結合」または「結合すること」は、構成要素が別の構成要素に直接または間接的に固定されることを意味することを意図する。
【0025】
本明細書で使用される「検出可能」という用語は、本発明の光学セキュリティデバイスが紙またはポリマーシート材料上またはその中に部分的に存在する場合に、IRおよび/またはUV放射に反応する検出器を使用して、2つ以上の波長で信頼性をもって測定可能なIRおよび/またはUV吸収(または透過)を意味することが意図される。
【0026】
本明細書で使用される「付与する」という用語は、Mrシグネチャの存在または不在によって、OSDが認証/識別されるか、またはその存在または不在が決定されることを追加または可能にすることとして理解されるべきである。
【0027】
本明細書で使用される「統合された」という用語は、例えば、OSD層を準備するために使用される配合物中に分散されたMr成分を有することによる、OSDの層またはアレイへのMr成分の組み込みを指す。
【0028】
本明細書で使用される「断続的パターン」という用語は、IRまたはUV照明で(機械によって、または適切な波長で画像化する観察者によって)観察されるとき、任意選択で反復するパターン(例えば、符号化されたパターン)が、マイクロ光学セキュリティデバイス上で見られ得ることを意味することが意図される。
【0029】
本明細書で使用される用語「統合」または「統合すること」は、対象の構成要素が本発明の別の構成要素の少なくともバルク部分に付加されることを意味することが意図される。
【0030】
用語「導入する」は、本明細書で使用される場合、対象の構成要素が、統合または層化によって本発明の別の構成要素に付加されることを意味することを意図する。
【0031】
本明細書で使用される「積層」という用語は、各構成要素の少なくとも1つの表面が他の構成要素/層の表面に実質的に平行であるように、本発明の別の参照構成要素/層の下または上の連続または不連続層内の別の構成要素に対象構成要素が結合されることを意味することが意図される。
【0032】
本明細書で使用される用語「スペクトル範囲」は、例えば、UVスペクトル範囲、IRスペクトル範囲、可視スペクトル範囲、X線スペクトル範囲などを含む、電磁範囲の中の波長の相対範囲を指す。
【0033】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、PHOSITAによって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参照は、その全体が参照によって組み込まれる。矛盾がある場合、定義を含む本明細書が優先される。加えて、材料、方法および実施例は説明的なものに過ぎず、限定的なことを意図しない。
【0034】
(詳細説明)
上述のように、本発明は、MrOSD、MrOSDを含む保護された製品の製造方法、MrOSDを含む保護された製品、特定の保護製品及び特定のシート材料を保護する際のMrOSDの使用、MrOSDから作製されたベースプラットフォーム又は文書を含むいくつかの態様で説明することができる。特に、本発明のこれらの態様の要素を形成するMrOSDは、OSDと、OSDに結合されたMr構成要素とを含む。
【0035】
本発明の光学セキュリティデバイス(OSD)は、(a)多層材料または(b)単層材料のいずれかである。例示的な多層材料は、1つまたは複数の画像層に結合された1つまたは複数の集束素子層を有するものを含む。集束素子層のうちの少なくとも1つは、集束素子のアレイを含み、画像層のうちの少なくとも1つは、画像要素のアレイを含む。集束要素のアレイを有する集束要素層は、画像要素のアレイを有する画像層と積層され、それにより、少なくとも1つの視点から集束要素を通して画像要素を見ると、合成画像がOSDによって投影される。多層材料は、特定の実施形態では、追加の層またはアレイを含むことが、本発明の範囲内で企図される。例えば、そのような一実施形態では、OSDは、画像層と集束素子層との間に配置される光学スペーサ層をさらに含む。あるいは、OSDが単層材料である場合、単層構造は、画像レリーフ微細構造の周期的アレイと、表面上または表面内に配置された周期的表面曲率とを有する表面を有する基板から構成され、これは、拡大モアレ画像を形成する。
【0036】
本開示から後に、様々な適切なOSDがPHOSITAに明らかになるであろう。例えば、Steenblikらの米国特許第7,333,268号、Steenblikらの米国特許第7,468,842号、およびSteenblikらの米国特許第7,738,175号に記載されているように、これらのOSDは、押出(例えば、押出エンボス加工、ソフトエンボス加工)、放射線硬化キャスティング、および射出成形、反応射出成形、および反応キャスティングを含む、微小光学および微細構造複製の技術分野で知られている多数の方法を使用して、アクリル、アクリレートポリエステル、アクリレートポリエステル、エポキシ、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエステル、ウレタンなどの、実質的に透明または透明、Hoffmullerらの米国特許出願公開第2010/0109317 A1号に記載されているような、1.5、1.6、1.7、またはそれ以上の屈折率(589nm、20℃で)を有する高屈折率、着色または無色材料も、本発明の実施に使用することができる。画像層、スペーサ層、および追加の層を提供するための材料および方法は、同様に、上記に組み込まれた特許文献に適切に開示されている。
【0037】
OSDを製造する様々な方法は、本開示を考慮すると明らかであるが、多層構造を製造する例示的な方法は、75ゲージ接着促進ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどのベースフィルム(すなわち、光学スペーサ)に対してキャストされる放射線硬化液体ポリマー(例えば、アクリル化ウレタン)中に画像要素のアレイを形成することによって画像層を形成するステップと、ベースフィルムの反対面上に配置される放射線硬化ポリマー中に集束要素のアレイを形成することによって集束要素層を形成するステップとを含む。適切な画像要素およびそれらを提供する方法は、国際特許出願公開WO2005/052650、WO2006/125224、WO2008/008635、WO2011/019912、WO2011/163298、WO2013/028534、WO2014/143980、WO2009/017824、WO2016/044372、WO2016/011249、WO2013/163287、WO2007/133613、WO2012/103441、およびWO2015/148878、WO2005/106601、WO2006/087138に記載されており、これらは全てその全体が本明細書に組み込まれる。好ましい実施形態では、画像要素は、空隙、固体領域、突起、またはそれらの任意の組合せの形態である。適切な集束要素およびそれらを提供する方法は、国際特許出願公開WO2005/052650、WO2006/125224、WO2008/008635、WO2011/019912、WO2011/163298、WO2013/028534、WO2014/143980、WO2009/017824、WO2016/044372、WO2016/011249、WO2013/163287、WO2007/133613、WO2012/103441、WO2015/148878、WO2017/105504、WO2005/106601、WO2006/087138に記載されており、これらは全てその全体が本明細書に組み込まれる。好ましい実施形態では、集束素子はマイクロレンズである。集束要素のアレイおよび画像要素のアレイは、ベースフィルムの対向する側に配置され、画像要素が集束要素を通して見られるときに所望の合成画像が投影されるように、互いに対して配向される(アレイ整列またはスキュー)。好ましくは、画像要素は、コントラスト材料と結合され、それによって合成画像の光学的効果を高める。例えば、コントラスト材料は、ボイドおよび/または固体領域の前面または背面をコーティングする(例えば、完全に、部分的に、またはパターン化する)ことによって、ボイドを充填することによって、または突起をコーティングする(例えば、完全に、部分的に、またはパターン化する)ことによって、画像要素に結合することができる。好ましい実施形態では、画像要素は、コントラスト材料で充填された、または実質的に充填された空隙であり、それによって、空隙領域から投影された画像と周囲の固体領域との間の改善されたコントラストを提供する。様々な適切なコントラスト材料が、本開示を考慮すると明らかになるが、出願人は、サブミクロン粒子/顔料サイズを有するインク、染料、または顔料を使用することが最も適切であることを見出した。コントラスト材料を画像要素に適用することは、フィルム表面に対してグラビア状のドクターブレーディングを行い、その後、適切な手段(例えば、溶剤除去、放射線硬化、または化学反応)によってコントラスト材料の充填物を固化することによって行うことができる。
【0038】
上述のOSDの単層構造を製造する材料、配合物、および方法は、2016年7月21日に出願された米国特許出願番号15/215,952号および15/216,286号の両方と、2015年12月18日に出願された米国特許出願第14/975,048号に記載されている。
【0039】
本発明の光学セキュリティデバイスは、Steenblikらの米国特許第7,333,268号、Steenblikらの米国特許第7,468,842号、およびSteenblikらの米国特許第7,738,175号に記載されているような追加の特徴および層をさらに含んでもよく、例えば、本発明のデバイスは、追加の層(例えば、埋め込み層、封止層、または隠蔽層)、さらなる層へのより良好な接着のためのテクスチャ加工表面、接着促進剤などをさらに含んでもよい
【0040】
そのような一実施形態では、本発明の光学セキュリティデバイスは、有利には、多層材料の画像層に近接するOSDの側に、または単層材料の裏側に、隠蔽層を含み、この隠蔽層は、ホストシート材料(例えば、紙幣)の下側から見たときにデバイスを隠す役割を果たす。
【0041】
本発明のOSDは、Mr成分が合成画像と干渉する(すなわち、画像解像度を低下させる、歪ませる、またはブロッキングする)ことなく、Mr成分がOSDを通してシグネチャ検出器によって容易にかつ/または確実に読み取られるように、透明または半透明であることが好ましい。このように、OSDの層は、多層構造であろうと単層構造であろうと、そのような透明性または半透明性を可能にしなければならない。
【0042】
上述したように、MrOSDは、Mr成分を含む。様々な適切なMr成分が、本開示の結果としてPHOSITAに明らかになるであろう。Mr成分は、そのようなMr成分のうちの1つまたは複数を本発明のMrOSDの1つまたは複数の層に統合することによってOSDと結合されるか、またはMr成分は、例えば、Mr成分をOSDの層上に、または層間にコーティングすることによって、またはMr成分層(例えば、Mr層)を別個に形成し、その後、そのMr層をOSDに結合することによって、離散層(例えば、Mr層)を適用することによってOSDと結合される。Mr成分は、混合物、分散物、溶液、乳剤などとしてOSDの層に統合することができる。Mr成分をOSD層と一体化する他の代替手段は、本開示を考慮すると明らかであろう。本明細書で使用される離散層は、OSD層をMr構成要素から/Mr構成要素に分離/接続する定義された界面によって境界付けられる層として理解されるべきである。好ましくは、Mr成分は、OSDに適用または追加される別個の層である。Mr成分は、統合されていても離散的であっても、連続的に存在していてもよく(すなわち、ソリッドブロック)、または断続的なパターンまたはランダムな分布の形態であってもよい。本明細書に組み込まれるパターンは、美観を提供することができ、または固有の読み取り可能なシグネチャを提供することができる。一実施形態では、パターンは、水平バー、シェブロンまたはジグザグ、角度付きバー、形状、証印など、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1つの形態であり、反射で可視であってもよく、または規定の波長での透過でより見やすくてもよい。好ましくは、パターンは、機械によって読み取られたときに、明確で認識可能な信号を提供するように構成される。特定の実施形態では、パターンは、等しいサイズのブロックのセット、可変サイズのブロックのセット、またはテキストのセットである。
【0043】
Mr構成要素は、インク媒体であり、本明細書で説明される様々な実施形態に組み込むことができることが、本明細書で一般に企図される。このようなインク媒体は、透明であってもよく、または着色されていてもよい。特定の一実施形態では、MrOSDは、Mr成分に結合されたOSDを含み、Mr成分は、IR吸収IR成分およびUV吸収UV成分のうちの少なくとも1つである。さらなる特定の実施形態では、このMr成分は、インク媒体の形態であり、OSDの不透明化層を作製するために使用される配合物と混合されることによって、OSDに結合される。必ずしもそうであるとは限らないが、ここでは、Mr成分の量を変えることができることが企図され、この特定の実施形態では、IR吸収またはUV吸収Mr成分は、約30~約70重量%の範囲の量でインク媒体中に存在する。約30~約70重量%の範囲の量のインク媒体を、不透明化層を作製するために使用される配合物に添加する。不透明化層の厚さは、この例示的な実施形態では、約0.5~約5ミクロンの範囲である。
【0044】
別の例示的な実施形態では、Mr成分は、本発明の光学セキュリティデバイスの画像層と不透明化層との間に適用される。
【0045】
さらに別の例示的な実施形態では、コーティング組成物の形態のMr成分は、画像層上に直接または間接的に層を形成するために使用され、これは、不透明化層を置き換える役割を果たすか、または追加の層を構成する。パターンは、選択された断続的な領域がコーティングされることを可能にするマスクを使用することによって、コーティングプロセスを通して形成され得る。別個の層として適用される場合、コーティング組成物は、2つの不透明化層の間に適用されてもよい。得られる層は、各不透明化層と少なくとも同じ厚さであってもよい。
【0046】
様々なMr成分は、様々な既知のIRマシン、UVマシンなどを含む、PHOSITAに知られている、または明らかな様々な手段によって検出可能である。上述のように、Mr成分は、(i)IRスペクトル範囲内の2つ以上の波長で検出可能な少なくとも2つのMr信号を含むMrシグネチャをOSDに付与する第1のIR成分と、(ii)UVスペクトル範囲内の2つ以上の波長で検出可能な少なくとも2つのMr信号を含むMrシグネチャをOSDに付与する第1のUV成分と、(iii)第1の波長のIR光を吸収し、第2の異なる波長の光を放射する第2のIR成分と、(iv)UV光を吸収し、第2の異なる波長の光を放射する第2のUV成分とから選択することができる。Mrシグネチャは、Mr信号の所定の特性セットである。Mr信号のこれらの特性セットは、例えば、Mr信号のグラフィック表示を提供する分光計によって検出することができる。これらのMr信号は、波長の範囲および%透過率/吸収の範囲にわたって、波長のx軸および%透過率または%吸収のy軸を有するグラフ上にプロットすることができる。したがって、Mrシグネチャは、様々なMr信号(ピーク、谷、曲線下面積、ピークまたは谷の間の距離、特定のピークまたは谷の間の勾配など)を含むことができる。上述のように、第2のIR成分は、IRスペクトル範囲内の光を吸収し、第2の異なる波長の光を放射する。好ましい実施形態では、第2の異なる波長は、別個の不可視スペクトル範囲内にある。しかし、第2の異なる波長は、可視スペクトル範囲内にあるか、または吸収と同じスペクトル範囲内にあるかのいずれかであることも、本明細書で企図される。これは、第2のUV成分についても同様である。
【0047】
一実施形態では、MrOSDは、本明細書で説明するように、Mr構成要素に結合されたOSD構成要素を含み、Mr構成要素は、IR吸収IR構成要素である。このIR成分は、IRスペクトル範囲内の所定の波長(または波長のセット)で検出可能なIRタガントが分布しているインク運搬体として提示される。あるいは、Mr成分は、UV吸収UV成分であり、UV成分は、UVスペクトル範囲内の所定の波長(または波長のセット)で検出可能である、UVタガントが分布しているインク運搬体として提示される。
【0048】
様々な適切なMr成分が、Mr信号が望まれる所望の所定の波長に基づいて選択される。したがって、様々な所定の波長が考えられる。例えば、MrOSDが第1のIR成分および/または第1のUV成分を含む特定の実施形態では、それぞれが2つ以上の波長で独立して検出可能であり、特定の実施形態では、IR成分は、約750nm~約850nm(好ましくは約800nm)(約70~80%の吸収、好ましくは75%)、および約850nm~約950nm(好ましくは870nm~890nm)(約75~80%の吸収) 、好ましくは約77~78%の吸収)、UV成分が存在する場合、約10nmから約400nm(好ましくは約200~300nm、好ましくは275nm)(約70~80%の吸収、好ましくは75%吸収)および約300~400nm(好ましくは350nm)(約75~85%吸収、好ましくは80%吸収)のスペクトル範囲内で検出可能である。1つの例示的な実施形態では、Mr成分は、IR吸収成分を含み、この成分は、IR機械によって、電磁スペクトルの赤外線領域においてのみ検出可能であるか、または、赤外線領域において検出可能であり、スペクトルの可視領域において観察可能(場合によっては、機械検出可能)であってもよい。好ましい実施形態では、IR吸収成分は、電磁スペクトルの近赤外(NIR)領域で検出可能である。
【0049】
一実施形態におけるMr成分は、適切なIRタガントの群およびインク媒体の一部を形成するIR検出可能な顔料の群から選択される。適切な顔料およびタガントは、米国特許第6,926,764号に記載されており、その全体が本明細書に組み込まれている。したがって、インク媒体は、第1のMr信号を有するIRタガントと、ブラック、イエロー、またはマゼンタ染料とを含むインクの第1のセットと、第2のMr信号を有する顔料を含むインクの第2のセットとを含むインクセットであってもよく、第1のMr信号および第2のMr信号は実質的に同じであり、インクセットは異なる色の少なくとも2つのインクを含む。好ましくは、第2のインクセットは、IRタガントによって提供される少なくとも1つのMr信号と実質的に同じである少なくとも1つのMr信号を有するMrシグネチャを提供する顔料を有するシアンを含む。したがって、実質的に同じMr信号は、互いの10nm以内にある。特に、好ましい実施形態では、IRタガントはフタロシアニンであり、好ましい顔料はフタロシアニンの結晶学的X型である。より好ましい実施形態では、IRタガントは、置換フタロシアニン、ナフタロシアニン、金属含有フタロシアニン、またはポリ置換フタロシアニン、またはそれらの組合せのうちの少なくとも1つである。ベンゼンチオール置換銅フタロシアニンは、好ましいIRタガントであり、より好ましくは、以下の化学式のパラトルエンエチオール過置換銅フタロシアニンである。
【0050】
【0051】
そのような一実施形態では、IR吸収成分は、SICPA SA、Av de Florisant 41、1008 Prilly、スイスにより商品名SICPATAlkでインクまたはインク媒体の一部として販売されているIR反応性顔料である。顔料は、透過率(750~950nmから%T<25%)で見たときに任意の近赤外光の75%以上を吸収または反射し、以下の波長:750nmおよび900nmで見ることができる、金属含有フタロシアニン顔料などの有機金属顔料であってもよい。2つのIR波長間の吸収比は、約35パーセント点に等しい。この顔料は、電磁スペクトルの可視領域にオフホワイトの本体色を有する。
【0052】
適切なIR吸収成分は、イギリス特許2,168,372号に記載されており、ここでは、可視領域において不可視または透明である特定のIRまたはUV吸収材料が開示されており、国際特許出願公開WO90/1604号には、狭い吸収特性を示す特定のIRタガントが記載されており、これらは希土類化合物を含む。他の適切なIR吸収成分は、欧州特許553614号に記載されており、特定のフタロシアニンが印刷インクとして使用され、700~約1200nmの波長範囲でスペクトル吸収を提供する。欧州特許484018号には、約680~900nmの吸収波長最大値を有する適当なフタロシアニンが記載されている。欧州特許408191号は、本発明にも適した700~1500nmの範囲の特徴的な波長吸収を有する置換フタロシアニンを記載する。ナフタロシアニン化合物も好適であり、欧州特許134518号に、色素または顔料として使用することができる750~900nmのスペクトル範囲の近赤外線(NIR)を吸収する赤外線吸収体としてさらに記載されている。
【0053】
別のそのような実施形態では、IR吸収成分は、BASF Corporation、100 Park Ave、Florham Park、NJ 07932によって商品名LUMOGEN-Sでインクまたはインク媒体の一部として販売されているIR反応性顔料である。この顔料は、電磁スペクトルの可視領域では不可視である。
【0054】
インクまたはインク媒体は、光学セキュリティデバイスの1つまたは複数の層に追加されてもよく、または、デバイスに適用または追加される1つまたは複数のコーティングまたは別個の層を準備するために使用されてもよい。上記の実施形態では、インク媒体は、印刷層または物体層上に着色層または隠蔽層を形成するために使用される組成物と混合されるか、または着色層または隠蔽層に塗布または追加されるコーティング層または別個の層を作製するために使用される。
【0055】
インク媒体が、着色層または不透明層を形成するために使用される組成物と混合される場合、着色封止層または不透明層は、溶剤および溶剤を含まないコーティングまたはインク(硬化および非硬化の両方)の両方を含む、様々な不透明化コーティングまたはインクのうちの1つまたは複数を使用して形成することができる。例示的な実施形態では、封止または隠蔽層は、硬化性ポリマー材料のバインダまたはキャリア内に分散された、二酸化チタンなどの顔料を含む着色コーティングを使用して形成される。好ましくは、封止または不透明層は、放射線硬化性ポリマーを使用して形成され、約0.5~約5ミクロンの範囲の厚さを有する。
【0056】
着色層または不透明層に塗布または添加されるコーティング層または別個の層を作製するために使用される場合、インクまたはインク媒体は、単独で使用されてもよく、または既存の配合物に添加されてもよい。
【0057】
一実施形態では、Mrシグネチャは、不可視スペクトル範囲内の少なくとも2つのMr信号を含む。ここで、Mr信号の少なくとも1つは、可視および/またはUVスペクトル範囲にあり、少なくとも1つのMr信号は、IRスペクトル範囲にある。あるいは、Mr信号は、可視および/またはIRスペクトル範囲にあり、少なくとも1つのMr信号は、UVスペクトル範囲にある。さらなる実施形態では、Mrシグネチャは、近赤外スペクトル範囲(NIR)内の少なくとも1つのMr信号を含む。
【0058】
一実施形態では、IR吸収体は、第1の吸収が第2の吸収よりも低く、第1の波長が第2の波長よりも低い、第1の波長での第1の吸収および第2の波長での第2の吸収を含むMrシグネチャを付与する。したがって、この波長範囲にわたるMrシグネチャの勾配は負の勾配であり、それによってOSDに、シグネチャ検出器によって容易に識別可能かつ検出可能な特徴的シグネチャを与える。好ましい実施形態では、このMrシグネチャは、MrOSDが欠落しているか、改ざんされているか、またはそうでなければ真正でない場合、正の勾配として表示される。
【0059】
本発明はまた、MrOSDが高セキュリティ製品の基板に結合される、MrOSDを含むセキュア製品を提供する。上述のように、高セキュリティ製品は、高価値物品および高価値文書を含む。MrOSDは、基板内に埋め込まれてもよく、または基板の表面上に層状にされてもよく、それによって、適切な接着要素によって貼り付けられてもよい。適切な接着剤要素の例には、圧力、熱または水活性化接着剤が含まれる。当然のことながら、他の接着要素は、本開示を考慮すると明らかになるであろう。
【0060】
固定製品の好ましい実施形態では、OSDは、紙幣内に少なくとも部分的に埋め込まれ、IR成分は、約0.5gsm~約5gsm、より好ましくは約2gsm~約3.5 gsmの範囲の量で存在する。本出願人は、驚くべきことに、IR吸収成分からの発光は、これらの範囲内にあるときに最も確実に検出可能であることを見出した。あるいは、OSDがポリマー紙幣などのポリマーセキュリティ文書に埋め込まれる場合、OSDに結合されるIR吸収成分は、検出を可能にするために、約0.5gsm~約5gsm、好ましくは約2gsm~約3.5gsmの範囲の量で存在する。近赤外線、中赤外線、および遠赤外線の波長範囲の赤外線を検出するための適切な赤外線検出器は、ラインスキャナ、CCDカメラ、フォトダイオード、または他の同様の検出デバイスと組み合わせたLEDまたは白熱IRエミッタを含む。
【0061】
本発明はまた、高いセキュリティ製品を確保するためのMrOSDの使用を提供する。したがって、MrOSDは、高セキュリティ製品に結合されると、高セキュリティ製品を認証すること、または高セキュリティ製品を審美化することを可能にすることによって、偽造の試みを阻止することができる。例えば、MrOSDは、高セキュリティ製品に所定の特性Mrシグネチャを提供し、その結果、失われたまたは改ざんされたOSDは、所定の特性Mrシグネチャと区別可能なMrシグネチャの認識可能な差によって示される。
【0062】
本発明はまた、MrOSDを製造する方法を提供する。一実施形態では、この方法は、(i)少なくとも(a)集束素子の集束層と、(b)集束層に対して配置された画像要素の画像層とを含み、画像要素が集束素子を通して見られるときに合成画像がOSDによって投影されるようにするOSDを形成するステップと、任意選択で(c0)少なくとも1つの追加の層と、(ii)少なくとも1つのMr成分をOSDに導入するステップとを含む。Mr成分は、本明細書に記載される通りである。同様に、Mr構成要素は、本明細書で説明するようにOSDに結合される。
【0063】
本発明の光学セキュリティデバイスが紙(例えば、紙幣または文書)に使用されるか、または紙の表面に適用される場合、検出可能である(すなわち、確実に測定可能である)ために、IR反応性顔料によって生成される吸収/透過ピークの信号強度または高さは、好ましくは、周囲の紙のノイズレベルまたは信号強度の約10パーセント(%) (より好ましくは、約25%を超える)を超える。
【0064】
本発明の光学セキュリティデバイスがポリマーシート材料(例えば、ポリマー紙幣または文書)に使用されるか、またはポリマーシート材料の表面に適用される場合、検出可能である(すなわち、確実に測定可能である)ために、IR反応性顔料によって生成される吸収/透過ピークの信号強度または高さは、好ましくは、周囲のポリマーシート材料のノイズレベルまたは信号強度の約50%超(より好ましくは、約75%超)である。
【0065】
これらのMr成分のIRまたはUV吸収(または透過)は、分離された光学セキュリティデバイスから検出可能であり得るが、一旦デバイスが、例えば、紙シート材料上に、または紙シート材料内に部分的に配置されると、その効果は、散乱または弱くなり、それは、その効果を検出不可能にするか、または信頼性をもって測定不可能にし得ることに留意されたい。本発明の例示的な実施形態では、本発明の光学セキュリティデバイスを作製するために使用されるポリマーは、100%透過性であり、光学セキュリティデバイスは、約70~約110グラム/平方メートル(g/m2またはgsm)の範囲の坪量を有する紙シート材上または紙シート材内に部分的に存在する。この例示的な実施形態では、本発明のMrOSDの特徴的なIRシグネチャは、デバイスが、透過(750~950ナノメートル(nm)から%T<25%)で見たときに、任意の近IR光の75パーセント(%)を超える光を吸収または反射するという点で、確実に測定可能である。
【0066】
1つの例示的な実施形態では、IR吸収成分は、電磁スペクトルの赤外領域においてのみ検出可能であり、バイナリコードの形態で存在する。本発明の光学セキュリティデバイスのこの実施形態によって、2つの認証手段、すなわち、特徴的なIRシグネチャおよびIRバイナリコードが提供される。
【0067】
別の例示的な実施形態では、IR吸収成分は、電磁スペクトルの赤外領域および可視領域の両方で検出可能であり、バイナリコードの形態で存在する。この実施形態によって、4つの認証手段、すなわち、特徴的なIRシグネチャ、IRバイナリコード、可視外観、および可視バイナリコードが提供される。
【0068】
本発明で使用されるUV吸収成分は、電磁スペクトルの紫外線領域でのみ観察可能であってもよく、または、電磁スペクトルの紫外線領域および可視領域の両方で観察可能であってもよい。IR吸収成分と同様に、UV吸収成分は、連続的に、または断続的なパターンの形態で存在してもよい。
【0069】
例示的な一実施形態では、UV吸収成分は、電磁スペクトルの紫外領域においてのみ観察可能であり、バイナリコードの形態で存在する。本実施形態の本発明の光学セキュリティデバイスによって、2つの認証手段、すなわち、特徴的なUVシグネチャおよびUVバイナリコードが提供される。
【0070】
別の例示的な実施形態では、UV吸収成分は、電磁スペクトルの紫外領域および可視領域の両方で観察可能であり、バイナリコードの形態で存在する。この実施形態によって、4つの認証手段、すなわち、特徴的なUVシグネチャ、UVバイナリコード、可視外観、および可視バイナリコードが提供される。
【0071】
さらに別の例示的な実施形態では、IR吸収成分とUV吸収成分の組合せがMrOSDに存在する。これらの構成要素の一方または両方は、可視領域で観察可能であってもよく、連続または断続パターンのいずれかで存在してもよい。
【0072】
MrOSDは、認証目的のために、例えば、セキュリティストリップ、スレッド、パッチ、またはオーバーレイの形態で使用され、繊維状または非繊維状(例えば、ポリマー)シート材料(例えば、紙幣、パスポート、IDカード、クレジットカード、ラベル)、または市販製品(例えば、光ディスク、CD、DVD、医療用薬品のパッケージ)などの表面に取り付けられ、またはその中に部分的に埋め込まれ、本発明のデバイスはまた、スタンドアローン製品(例えば、後続の印刷またはパーソナライゼーションのための基板)の形態で、または、例えば、紙幣、パスポートなどの製造に使用するための非繊維シート材料の形態で使用されてもよく、または、例えば、IDカード、高価値または他のセキュリティドキュメントのためのベースプラットフォームとして使用するための、より厚く、より堅牢な形態を採用してもよい。
【0073】
セキュリティストリップ、スレッド、パッチ、またはオーバーレイの形態で使用される場合、本発明のデバイスの全体の厚さは、好ましくは、約50ミクロン未満(より好ましくは、約45ミクロン未満、最も好ましくは、約10~約40ミクロン)である。
【0074】
セキュリティストリップ、スレッド、パッチ、およびオーバーレイは、文書の表面内に部分的に埋め込まれてもよく、または文書の表面上に取り付けられてもよい。部分的に埋め込まれたストリップおよびスレッドの場合、その部分は、文書の窓または開口において、ストリップまたはスレッドの長さに沿って間隔をあけて文書の表面に露出される。
【0075】
本発明の光学セキュリティデバイスは、製紙産業で一般に使用される技術によって、製造中にセキュリティペーパーに少なくとも部分的に組み込まれてもよい。例えば、ストリップまたはスレッドの書の本発明のセキュリティデバイスは、シリンダーモールド製紙機、シリンダーバット機、または既知のタイプの同様の機械に供給されてもよく、その結果、完成紙の本体内にストリップまたはスレッドが部分的に埋め込まれる。
【0076】
セキュリティストリップ、スレッド、パッチ、およびオーバーレイは、接着剤の使用の有無にかかわらず、文書の表面に接着または接着されてもよい。接着剤を使用しない接合は、例えば、超音波溶接、振動溶接、およびレーザ融着などの熱溶接技術を使用して達成することができる。本発明のデバイスを文書の表面に接着するための接着剤は、ホットメルト接着剤、熱活性化接着剤、水活性化接着剤、感圧接着剤、およびポリマー積層フィルムのうちの1つであってもよい。これらの接着剤は、UV硬化アクリルまたはエポキシのように、本質的に架橋可能であることが好ましく、接着剤が溶融相にある間に架橋が達成される。
【0077】
MrOSDが統合されるか、または他の方法で埋め込まれ得る適切な文書は、銀行券または通貨、証券、小切手、旅行者の小切手、抽選チケット、郵便切手、在庫証明書、タイトル証明書などのような金融価値を有する任意の種類の文書、またはパスポート、IDカード、運転免許証などのような識別文書、またはラベルなどの非安全文書を含む。MrOSDはまた、消費財と共に使用されるバッグまたは包装と同様に、消費財と共に使用することも企図される。
【0078】
別の企図される実施形態では、本発明のデバイスは、ラベル構造の一部を形成する。本発明のデバイスは、合成画像が見えたままで、パッケージの内側に配置されてもよい。
【0079】
IDカード、高価値または他のセキュリティドキュメントのためのベースプラットフォームの形態で使用される場合、本発明のデバイスの全厚は、好ましくは、約1ミリメートル(mm)以下であり、厚さは、約200~約500ミクロンの範囲、約50~約199ミクロンの範囲、および約50ミクロン未満である(ただし、これらに限定されない)。
【0080】
本発明の様々な実施形態を上記で説明したが、それらは、限定ではなく、単なる例として提示されたものであることを理解されたい。したがって、本発明の幅および範囲は、例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。
【0081】
本発明は、本発明の特定の実施形態を反映する特定の図面を参照することによって、さらに明確になるであろう。
【0082】
Mr成分は、連続的に、または断続的なパターンの形態で存在してもよい。
図1に最も良く示されているように、断続的なパターンは、同様のまたは異なるサイズの水平バー(a)、(d)、(e)、山形またはジグザグ(c)、角度の付いたバー(b)、形状、証印(f)、またはこれらの組み合わせの形態であってもよい。
【0083】
一実施形態では、
図2に示すように、MrOSD(200)のMr成分(210)は、画像層(205)に一体化されたパターン層であり、MrOSDは、画像要素(202)の画像層(205)および周囲の固体領域(203)の上に配置された集束要素(201)の集束層スペーサ層(204)は、集束素子(201)と画像要素(202)との間に配置される。ここで、画像要素は、コントラスト要素で部分的に満たされた空隙である。
【0084】
さらなる例示的な実施形態では、
図3に示すように、MrOSD(300)のMr成分(310)は、画像要素(302)の画像層(305)と不透明化層(306)との間に配置された離散層である。MrOSD (300)は、集束素子(301)の集束層と、画像要素(302)(充填された空隙)および周囲の固体領域(303)の画像層(305)との間に配置されたスペーサ層(304)を含む。
【0085】
別の例示的な実施形態では、
図4に示すように、MrOSD(400)のMr成分(410)は、MrOSDのスペーサ層(404)と画像層との間に配置されたパターン化層としてMrOSDと一体化される。ここで、画像要素(402)は突起(402)であり、スペーサ層(404)上に印刷することができる。ここで、MrOSDは、集束素子の集束層(401)と画像要素のアレイ(402)との間に配置されたスペーサ(404)を含む。MrOSD(400)は、接着層として機能する追加の層(406)も含む。
【0086】
図5に示すように、別の例示的な実施形態では、MrOSD(500)は、
図4に示すようなものである。MrOSD(500)は、集束素子(501)の集束層と画像要素(502)のアレイとの間に配置されたスペーサ層(504)を含む。ここで、Mr成分(510)は、追加の層(506)に分散されることによってOSDに統合される。
【0087】
MrOSDは、一実施形態では、
図6に示されており、MrOSD(600)の画像要素(602)は、スペーサ層(604)の下の画像層内にアレイ状に配置されたドル記号である。スペーサ層(604)は、画像要素(602)と集束素子の集束層(601)との間に配置される。ここで、Mr成分(610)は、可視スペクトル範囲では吸収がほとんどないIR吸収体の離散層であるが、少なくとも2つのMr信号が不可視スペクトル範囲で検出可能であるように、IRスペクトル範囲で検出可能である。
【0088】
図6のMrOSD(参照番号(712)でマークされている)を使用して準備されたセキュア製品が
図7に例示されている。ここで、画像要素によって投影されたMrOSD(600)の合成画像(720)は、
図6の集束要素(601)を通して見ると、ドル符号である。MrOSD(600)は、高セキュリティ製品(700)の基板(711)に結合される。高セキュリティ製品(700)は、部分的に埋め込まれた(例えば、窓付き)糸として紙幣基材に結合されたMrOSD(712)を有する紙幣であり、糸は紙に織り込まれ、紙から織り出される。
【0089】
真正のMrOSDの存在は、シグネチャ検出器によって確認することができる。真正のMrOSDは、所定の特徴的なMrシグネチャを示す。例示的な所定の特徴Mrシグネチャ(800)は、
図8に示されており、上の曲線は、Mr成分を含まないOSDのようなスレッドを示し、下の曲線は、特徴的なMrシグネチャの存在によって示されるMr成分を有するOSDのようなスレッドを示す。
図8のスペクトログラフに示されるように、800~900nmの波長範囲におけるMr信号の勾配は、Mr成分が欠落している場合には増加し、Mr成分が存在する場合には、波長が増加するにつれて減少する。
【0090】
当然のことながら、Mr成分は、代わりに、OSDの複数の層に統合されてもよい。さらに、集束要素は反射性であるか、または屈折性と反射性の組合せであることもまた、本明細書で企図される。特定の波長での特定の吸収または発光を含む、代替の所定のMrシグネチャも企図される。