(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180372
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】照明装置および表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20221129BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20221129BHJP
F21V 9/32 20180101ALI20221129BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20221129BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20221129BHJP
F21V 9/20 20180101ALI20221129BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20221129BHJP
G02B 5/26 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
G02B5/20
G02F1/13357
F21V9/32
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V5/04 400
F21V9/20
F21S2/00 441
G02B5/26
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134182
(22)【出願日】2022-08-25
(62)【分割の表示】P 2018233503の分割
【原出願日】2013-10-09
(31)【優先権主張番号】P 2012247262
(32)【優先日】2012-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】316009762
【氏名又は名称】サターン ライセンシング エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Saturn Licensing LLC
【住所又は居所原語表記】25 Madison Avenue New York,NY,USA
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石野 裕久
(57)【要約】
【課題】面内の色の均一性を向上させる。
【解決手段】
この表示装置は、前部筐体と、後部筐体と、前部筐体と後部筐体との間のミドルシャーシによって保持された表示パネルと、前部筐体と後部筐体との間に位置する光源基板に設けられ、第1の波長域の光を発する少なくとも1つの光源と、光を受光可能に硬化樹脂に埋設された、長径が1nm以上100nm以下の粒子状の量子ドットを含む発光体と、ミドルシャーシによって保持され、発光体と対向する光入射面および表示パネルと対向する平面形状の光出射面を含む光学部材と、表示パネルと後部筐体との間に設けられた反射部材と、光源を取り囲むと共に放熱部材が取り付けられた固定部材とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部筐体と、
後部筐体と、
前記前部筐体と前記後部筐体との間のミドルシャーシによって保持された表示パネルと、
前記前部筐体と前記後部筐体との間に位置する光源基板に設けられ、第1の波長域の光を発する少なくとも1つの光源と、
前記光を受光可能に硬化樹脂に埋設された、長径が1nm以上100nm以下の粒子状の量子ドットを含む発光体と、
前記ミドルシャーシによって保持され、前記発光体と対向する光入射面および前記表示パネルと対向する平面形状の光出射面を含む光学部材と、
前記表示パネルと前記後部筐体との間に設けられた反射部材と、
前記光源を取り囲むと共に放熱部材が取り付けられた固定部材と
を備える
表示装置。
【請求項2】
前記発光体は、前記第1の波長域の光の一部を少なくとも第2の波長域の光に変換し、
前記量子ドットに衝突しなかった前記第1の波長域の光は、前記第2の波長域の光に変換されずに前記発光体を透過して前記光入射面に入射する
請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記硬化樹脂の外部に配置され、前記第1の波長域の光を透過し、前記第2の波長域の光および第3の波長域の光を反射するように設けられた波長選択フィルタをさらに備える
請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記硬化樹脂の外部に配置され、前記第1の波長域の光を透過し、前記第2の波長域の光および第3の波長域の光を反射するように設けられた波長選択フィルタをさらに備える
請求項2記載の表示装置。
【請求項5】
前記光源が青色光を発する
請求項1記載の表示装置。
【請求項6】
前記光源が青色光を発する
請求項2記載の表示装置。
【請求項7】
前記発光体は、前記青色光を緑色光および赤色光に変換する
請求項5記載の表示装置。
【請求項8】
前記発光体は、前記青色光を緑色光および赤色光に変換する
請求項6記載の表示装置。
【請求項9】
前記発光体を収容する容器をさらに備え、
前記容器は、前記容器の内部に、前記硬化樹脂に埋設された前記量子ドットを収容する収容部を含み、
前記波長選択フィルタの幅は、前記収容部の幅よりも広い
請求項3記載の表示装置。
【請求項10】
前記容器は直方体の形状を有すると共に前記直方体の一面を前記光源に対向させて配置され、
前記波長選択フィルタは、前記容器の少なくとも前記光源との対向面に設けられている
請求項9記載の表示装置。
【請求項11】
前記容器の前記光源との対向面は、前記光源に向かって凸に湾曲している
請求項9記載の表示装置。
【請求項12】
前記波長選択フィルタは、前記容器の前記光源との対向面を超えて、前記対向面に隣接する面の少なくとも一部に延在している
請求項9記載の表示装置。
【請求項13】
前記発光体と対向する光入射面としての端面を有する導光板をさらに備え、
前記導光板は、被照射物と前記発光体との間の、前記発光体の他方の側に設けられている
請求項7記載の表示装置。
【請求項14】
前記発光体が配置された配置領域は、前記光源から前記導光板の端面に向かう光が通過する領域と交差する
請求項13記載の表示装置。
【請求項15】
複数の前記光源基板をさらに備える
請求項1記載の表示装置。
【請求項16】
複数の前記光源が前記複数の光源基板の各々に取り付けられる
請求項15記載の表示装置。
【請求項17】
前記発光体は、前記第1の波長域の光の一部を少なくとも第2の波長域の光に変換し、
前記量子ドットに衝突しなかった前記第1の波長域の光は、前記第2の波長域の光に変換されずに前記発光体を透過して前記光入射面に入射する
請求項16記載の表示装置。
【請求項18】
前記緑色光、前記赤色光、および前記青色光を受光可能な位置に設けられた導光板と、
前記導光板の一方の側に設けられた反射部材と
をさらに備えた
請求項7記載の表示装置。
【請求項19】
前記緑色光、前記赤色光、および前記青色光を受光可能な位置に設けられた導光板 をさらに備えた
請求項7記載の表示装置。
【請求項20】
前記波長選択フィルタは、光学部材と前記発光体との間であって前記発光体の一方の側に設けられている請求項11記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、面光源に好適な照明装置、並びにこれを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置のバックライトなどに用いられる照明装置では、例えば、導光板の側面(光入射面)近傍に光源を配置したエッジ型の構成が知られている。エッジ型の照明装置では、光源からの光を導光板の側面に入射させ、導光板の前面から出射させる。
【0003】
例えば特許文献1には、導光板の劣化を抑制するため、光源である冷陰極管の後方を取り囲むようにダイクロックミラーを設けることが記載されている。ダイクロックミラーは、紫外線を選択的に透過させると共に、少なくとも可視光線を選択的に反射させる。ダイクロックミラーの背後には紫外線吸収シートが配置されており、ダイクロックミラーを透過した紫外線が吸収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
照明装置では、一般に、光の利用効率を高くすることが望まれる。
【0006】
従って、光の利用効率を高めることが可能な照明装置、およびこれを備えた表示装置を提供することが望ましい。
【0007】
本開示の一実施の形態の照明装置は、第1の波長の光を発生する光源と、第1の波長の光を第1の波長とは異なる第2の波長の光に波長変換する発光体と、発光体の入光側に設けられ、第1の波長の光を透過させ、第2の波長の光を反射させる波長選択性フィルタとを備えたものである。
【0008】
本開示の一実施の形態の照明装置では、光源からの第1の波長の光は、波長選択性フィルタを通過して発光体に向かって進む。発光体に衝突した光は、発光体により波長変換され、第2の波長の光となる。発光体に衝突しなかった光は、そのまま通過する。
【0009】
ここでは、波長選択性フィルタが、第1の波長の光を透過させ、第2の波長の光を反射させるので、光源から発した第1の波長の光は、ほぼ減衰することなく波長選択性フィルタを透過することが可能となる。また、発光体に衝突して波長変換された第2の波長の光のうち、後方に出ていく光は、波長選択性フィルタにより反射され、反射光となって前方に放射され、有効に利用される。
【0010】
本開示の一実施の形態の表示装置は、液晶パネルと、液晶パネルの背面側の照明装置とを備え、照明装置は、第1の波長の光を発生する光源と、第1の波長の光を第1の波長とは異なる第2の波長の光に波長変換する発光体と、発光体の入光側に設けられ、第1の波長の光を透過させ、第2の波長の光を反射させる波長選択性フィルタとを備えたものである。
【0011】
本開示の一実施の形態の表示装置では、照明装置からの第1の波長の光または第2の波長の光が液晶パネルにより選択的に透過されることにより、画像表示が行われる。
【0012】
本開示の一実施の形態の照明装置によれば、発光体の入光側に、第1の波長の光を透過させ、第2の波長の光を反射させる波長選択性フィルタを設けるようにしたので、光の利用効率を高めることが可能となる。よって、この照明装置により表示装置を構成すれば、消費電力を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の第1の実施の形態に係る照明装置の主要部の概略構成を表す図である。
【
図2】
図1に示した波長選択性フィルタの透過特性を模式的に表す図である。
【
図3】
図1に示した波長選択性フィルタの反射特性を模式的に表す図である。
【
図4】表示装置用途における波長選択性フィルタの透過特性を模式的に表す図である。
【
図5】表示装置用途における波長選択性フィルタの反射特性を模式的に表す図である。
【
図6】
図1に示した発光体および波長選択性フィルタの配置関係の一例を拡大して表す断面図である。
【
図7】
図1に示した発光体および波長選択性フィルタの配置関係の他の例を表す断面図である。
【
図8】
図1に示した照明装置の作用を説明するための図である。
【
図9】本開示の第2の実施の形態に係る照明装置における発光体および波長選択性フィルタの配置関係の一例を拡大して表す断面図である。
【
図10】
図9に示した発光体および波長選択性フィルタの配置関係の他の例を表す断面図である。
【
図11】本開示の第3の実施の形態に係る照明装置の全体構成を表す斜視図である。
【
図12】
図11に示した光源、発光体、波長選択性フィルタおよび導光板の配置関係を表す断面図である。
【
図13】
図11に示した照明装置の作用を説明するための図である。
【
図14】
図13に示した光源から導光板の光入射面に向かう光線束を表す斜視図である。
【
図15】変形例2に係る照明装置における光源、発光体、波長選択性フィルタおよび導光板の配置関係を表す断面図である。
【
図16】本開示の第4の実施の形態に係る表示装置の外観を表す斜視図である。
【
図18】
図17に示したパネルモジュールを分解して表す斜視図である。
【
図19】上記実施の形態の表示装置の適用例1の表側から見た外観を表す斜視図である。
【
図20】表示装置の適用例1の裏側から見た外観を表す斜視図である。
【
図21】表示装置の適用例2の表側から見た外観を表す斜視図である。
【
図22】表示装置の適用例2の裏側から見た外観を表す斜視図である。
【
図23】表示装置の適用例3の表側から見た外観を表す斜視図である。
【
図24】表示装置の適用例3の裏側から見た外観を表す斜視図である。
【
図25】表示装置の適用例4の外観を表す斜視図である。
【
図26】表示装置の適用例5の外観を表す斜視図である。
【
図27】表示装置の適用例6の閉じた状態の外観を表す正面図である。
【
図28】表示装置の適用例6の開いた状態の外観を表す正面図である。
【
図29】照明装置の適用例7の外観を表す斜視図である。
【
図30】照明装置の適用例8の外観を表す斜視図である。
【
図31】照明装置の適用例9の外観を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(照明装置;発光体の入光側に波長選択性フィルタを設けた例)
2.変形例1(照明装置;発光体が硫化物蛍光体を含む例)
3.第2の実施の形態(照明装置;容器の波長選択性フィルタを設けた面を、光源に向かって凸に湾曲させた例)
4.第3の実施の形態(照明装置;バックライト)
5.変形例2(照明装置;第2および第3の実施の形態の組合せ)
6.第4の実施の形態(表示装置;液晶表示装置)
7.電子機器(表示装置の適用例)
8.照明機器(照明装置の適用例)
【0015】
(第1の実施の形態)
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る照明装置の主要部の概略構成を表したものである。この照明装置1は、透過型の液晶パネルを背後から照明するバックライトとして、あるいは室内等において照明機器として用いられ、例えば、光源10、発光体20および波長選択性フィルタ30を有している。
【0016】
本実施の形態では、光源10、発光体20および波長選択性フィルタ30の配列方向A1において、光源10から発光体20に向かう方向を前方A1F、発光体20から光源10に向かう方向を後方A1Rという。
【0017】
光源10は、特定波長(第1の波長λ1)の光ν11,ν12を発生するものである。光源10は、例えば、点光源であり、具体的にはLED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)により構成されている。
【0018】
発光体20は、蛍光顔料や蛍光染料などの蛍光体(蛍光物質)、または量子ドットなどの、波長変換作用を有する発光体を含んでいる。発光体20は、第1の波長の光ν11,ν12によって励起され、蛍光発光等の原理により、第1の波長の光ν11,ν12を第1の波長とは異なる別波長(第2の波長λ2)の光ν21に波長変換して発光するものである。
図1では、第1の波長の光ν11,ν12を実線、第2の波長の光ν21を一点鎖線で表している。
【0019】
第1の波長λ1および第2の波長λ2は特に限定されないが、例えば表示装置用途の場合には、第1の波長の光ν11,ν12は青色光(例えば、波長440~460nm程度)、第2の波長の光ν21は赤色光(例えば、波長620nm~750nm)または緑色光(例えば、波長495nm~570nm)である。すなわち、光源10は、青色光源であり、発光体20は、青色光を赤色光または緑色光に波長変換する。
【0020】
発光体20は、量子ドットを含むことが好ましい。量子ドットは、長径1nm~100nm程度の粒子であり、離散的なエネルギー準位を有している。量子ドットのエネルギー状態はその大きさに依存するので、サイズを変えることにより自由に発光波長を選択することが可能となる。また、量子ドットの発光光はスペクトル幅が狭い。このような急峻なピークの光を組み合わせることにより色域が拡大する。従って、発光体20に量子ドットを用いることにより、容易に色域を拡大することが可能となる。更に、量子ドットは応答性が高く、光源10の光を効率良く利用することが可能となる。加えて、量子ドットは安定性も高い。量子ドットは、例えば、12族元素と16族元素との化合物、13族元素と16族元素との化合物あるいは14族元素と16族元素との化合物であり、例えば、CdSe,CdTe,ZnS,CdS,PbS,PbSeまたはCdHgTe等である。
【0021】
なお、
図1では、簡単のため、発光体20を量子ドットのような粒子として表しているが、発光体20は必ずしも粒子に限られないことは言うまでもない。また、
図1では、発光体20が配置されている領域(以下、発光体配置領域21という。)を点線で囲んで表している。
【0022】
波長選択性フィルタ30は、発光体20の入光側20Aに設けられ、第1の波長の光ν11,ν12を透過させ、第2の波長の光ν21を反射させるものである。これにより、この照明装置1では、光の利用効率を高めることが可能となっている。
【0023】
ここで発光体20の入光側20Aとは、配列方向A1上で発光体配置領域21よりも後方A1R側(光源10側)の空間領域をいう。具体的には、発光体20の入光側20Aとは、光源10と発光体配置領域21との間をいう。
【0024】
図2は、波長選択性フィルタ30の透過特性30Tの一例を模式的に表したものである。
図2には、青色光のスペクトルSBを併せて示す。
図2に示したように、第1の波長の光ν11,ν12が例えば青色光である場合には、波長選択性フィルタ30は、青色光の波長帯を含む、例えば約500nm以下の波長域において高い透過率を有している。
【0025】
図3は、波長選択性フィルタ30の反射特性30Rの一例を模式的に表したものである。
図3には、緑色光のスペクトルSGを併せて示す。
図3に示したように、第2の波長の光ν21が例えば緑色光である場合には、波長選択性フィルタ30は、緑色光の波長帯を含む、例えば約500nm以上の波長域において高い反射率を有している。
【0026】
図4および
図5は、それぞれ、表示装置用途における波長選択性フィルタ30の透過特性30TDおよび反射特性30RDの一例を模式的に表したものである。
図4および
図5には、赤色光のスペクトルSR、緑色光のスペクトルSGおよび青色光のスペクトルSBを併せて示す。
図4および
図5に示したように、波長選択性フィルタ30は、第1の波長の光ν11,ν12すなわち青色光の波長帯を含む、例えば約500nm以下の波長域において高い透過率を有し、第2の波長の光ν21すなわち赤色光または緑色光の波長帯を含む、例えば約500nm以上の波長域において高い反射率を有している。
【0027】
このような波長選択性フィルタ30は、例えば、誘電体多層膜により構成されている。詳しくは、波長選択性フィルタ30は、第2の波長の約1/4(4分の1)の厚みで且つ互いに屈折率が異なる誘電体層を多数積層した構成を有し、第2の波長の光ν21を選択的に反射させると共に第1の波長の光ν11,ν12については選択的に透過させることが可能となっている。
【0028】
図6は、
図1に示した発光体20および波長選択性フィルタ30の配置関係の一例を拡大して表したものである。発光体20は、ガラス等の管状の容器(キャピラリ)22に収容・封止されていることが好ましい。大気中の水分や酸素に起因する波長変換部材30の特性変化を抑えると共に、取り扱いを容易にすることが可能となるからである。
【0029】
容器22は、直方体の形状(辺に丸みがついている等の微細な変形を有していても実質的に直方体といえる程度の形状も含む)を有すると共に、この直方体の一面を光源10に対向させて配置されている。容器22は、内部に発光体20の収容部23となる空洞部を有している。この収容部23は上述した発光体配置領域21に相当することは言うまでもない。
【0030】
波長選択性フィルタ30は、容器22の入光側の外表面22Aに設けられていることが好ましい。発光体20は発散光源なので、光の利用効率を更に高めるためには、波長選択性フィルタ30を発光体20の至近距離に配置することが望ましいからである。また、容器22と波長選択性フィルタ30との間に隙間をなくし、光漏れを低減し光の利用効率低下を抑えることが可能となる。更に、ガラスへのコーティングは容易であり、波長選択性フィルタ30を容易に形成することが可能となる。
【0031】
波長選択性フィルタ30の幅W30は、収容部23の幅W23よりも大きいことが好ましい。収容部23を通過せず容器22のガラス部分22Bを通り抜ける第1の波長の光を低減し、面内の色の均一性を高めることが可能となる。
【0032】
波長選択性フィルタ30は、容器22の少なくとも光源10との対向面22Cに設けられていることが好ましい。これにより、波長選択性フィルタ30の幅W30は、収容部23の幅W23に、容器22の厚みT22の2倍を加えた値、またはそれにほぼ等しい値となる。よって、波長選択性フィルタ30の幅W30を、収容部23の幅W23よりも確実に大きくすることが可能となる。
【0033】
更に、波長選択性フィルタ30は、
図7に示したように、容器22の光源10との対向面22Cを超えて、対向面22Cに隣接する面22D,22Eの少なくとも一部(一部または全部)に延在していることが好ましい。隣接面22D,22Eに回り込む光を捕捉することが可能となるからである。
【0034】
図6または
図7に示した発光体20および波長選択性フィルタ30は、例えば次のようにして製造することができる。
【0035】
まず、例えば、蛍光物質または量子ドットを紫外線硬化性の樹脂に混練し、得られた混合物をガラス管などの容器22に入れ、容器22の片側を封止し、紫外線を照射して樹脂を硬化させ、ある程度の粘度を有するレジン状の発光体20を形成する。続いて、容器22の入光側の外表面22Aに、スパッタにより誘電体多層膜をコーティングし、波長選択性フィルタ30を形成する。その際、容器22のガラス管の表面処理は不要であり、表面を洗浄する程度でよい。
【0036】
この照明装置1では、光源10が第1の波長の光ν11,ν12を発生すると、この光ν11,ν12は、波長選択性フィルタ30を通過して発光体20に向かって進む。発光体20に衝突した光ν12は、発光体20により波長変換され、第2の波長λ2の光ν21となる。発光体20に衝突しなかった光ν11は、そのまま通過する。
【0037】
ここでは、波長選択性フィルタ30が、第1の波長の光ν11,ν12を透過させ、第2の波長の光ν21を反射させるので、光源10から発した第1の波長の光ν11,ν12は、ほぼ減衰することなく波長選択性フィルタ30を透過し、発光体20に向かって進むことが可能となる。
【0038】
光ν12が発光体20に衝突すると、
図8に示したように、発光体20は、波長変換した第2の波長の光ν21を、発光体20から全方位に発光する。光ν21のように、入光時とほぼ同じ角度で発光体20から出ていく光があり、一方で、光ν22のように、後方A1Rに(波長選択性フィルタ30に向かって)出ていく光線束も存在する。
【0039】
ここでは、波長選択性フィルタ30が、第1の波長の光ν11,ν12を透過させ、第2の波長の光ν21,ν22を反射させるので、光ν22は、波長選択性フィルタ30により反射され、反射光ν23となって前方A1Fに放射され、有効に利用される。
【0040】
このように本実施の形態では、発光体20の入光側20Aに、第1の波長の光ν11,ν12を透過させ、第2の波長の光ν21,ν22を反射させる波長選択性フィルタ30を設けるようにしている。よって、発光体20により波長変換される光の半分近くを波長選択性フィルタ30で反射させて進行方向を変えて前方A1Fに発光させ、光の利用効率を高めることが可能となる。
【0041】
また、光を有効利用することで、システム全体の発光効率を改善し、照明装置1の明るさをアップすることが可能となる。更に、光を有効利用することで、システム全体の発光効率を改善し、光源10の電力を下げることが可能となり、それにより照明装置1の消費電力を下げることが可能となる。加えて、光を有効利用することで、システム全体の発光効率を改善し、光源10を構成するLED等の数量を減らし、コスト低減を図ることが可能となる。
【0042】
特に、発光体20を容器22に収容し、この容器22の入光側の外表面22Aに波長選択性フィルタ30を設けるようにしたので、発光体20と波長選択性フィルタ30との距離を小さくし、光漏れを低減し、光の利用効率を更に高めることが可能となる。
【0043】
また、特に、容器22の内部に発光体20の収容部23を設け、波長選択性フィルタ30の幅W30を、収容部23の幅W23よりも大きくするようにしたので、第1の波長の光ν11,ν12の漏れを低減し、面内の色の均一性を高めることが可能となる。
【0044】
(変形例1)
なお、上記第1の実施の形態では、発光体20が蛍光物質、または量子ドットを含む場合について説明した。しかしながら、上記第1の実施の形態は、発光体20が硫化物蛍光体を含む場合にも好適に適用可能である。硫化物蛍光体は、化学的に不安定であり、大気中では変質しやすく、取り扱いが難しいという性質を有している。よって、硫化物蛍光体を発光体20として利用する場合にも、上記第1の実施の形態と同様に発光体20を容器22に封入し密閉することにより、大気中の水分や酸素に起因する特性変化を抑えると共に、取り扱いを容易にするという効果を得ることが可能となる。
【0045】
第2の波長の光ν21として緑色光を発生する硫化物蛍光体としては、例えば、SrGa2 S4 :Eu(ストロンチウム・チオ・ガレート)が挙げられる。第2の波長の光ν21として赤色光を発生する硫化物蛍光体としては、例えば、CaS:Eu(硫化カルシウム)が挙げられる。
【0046】
(第2の実施の形態)
図9は、本開示の第2の実施の形態に係る照明装置2における発光体20および波長選択性フィルタ30の配置関係の一例を拡大して表したものである。この照明装置2は、容器22の光源10との対向面22Cを光源10に向かって凸に湾曲させることにより集光効果を高めたことを除いては、上記第1の実施の形態と同様の構成、作用および効果を有している。よって、対応する構成要素には同一の符号を付して説明する。
【0047】
光源10,発光体20,発光体配置領域21,波長選択性フィルタ30は第1の実施の形態と同様に構成されている。
【0048】
容器22では、上述したように、光源10との対向面22Cが光源10に向かって凸に湾曲している。これにより、対向面22Cの内面が凹面鏡としての機能を有し、集光効果が向上し、更に光の利用効率を上げることが可能となる。
【0049】
波長選択性フィルタ30は、第1の実施の形態と同様に、容器22の入光側の外表面22Aに設けられていることが好ましい。
【0050】
波長選択性フィルタ30の幅W30は、第1の実施の形態と同様に、収容部23の幅W23よりも大きいことが好ましい。
【0051】
波長選択性フィルタ30は、第1の実施の形態と同様に、容器22の少なくとも光源10との対向面22Cに設けられていることが好ましい。
【0052】
更に、波長選択性フィルタ30は、
図10に示したように、容器22の光源10との対向面22Cを超えて、対向面22Cに隣接する面22D,22Eの一部または全部に延在していることが好ましい。隣接面22D,22Eに回り込む光を捕捉することが可能となるからである。
【0053】
この照明装置2では、容器22の光源10との対向面22Cが、光源10に向かって凸に湾曲しているので、対向面22Cの内面が凹面鏡としての機能を有する。よって、第2の波長の光ν22は、波長選択性フィルタ30により反射され、反射光ν23は内側に集まりやすくなり、更に有効に利用される。
【0054】
(第3の実施の形態)
図11は、本開示の第3の実施の形態に係る照明装置の全体構成を表したものである。この照明装置3は、第1の実施の形態の照明装置1をその主要部として含む。すなわち、照明装置3は、第1の実施の形態で説明した光源10、発光体20および波長選択性フィルタ30を設けた容器22に加えて、導光板40、反射部材50、および光学シート60を有している。導光板40は、本開示における「光学部品」の一具体例に対応する。
【0055】
本実施の形態以降では、光学シート60,導光板40および反射部材50の積層方向をZ方向(前後方向)、導光板40の主面(最も広い面)において左右方向をX方向、上下方向をY方向という。
【0056】
光源10は、第1の実施の形態と同様に構成されている。光源10は、例えば、パッケージ11(
図11には図示せず、
図12参照。)内に封止されると共に光源基板12に実装されており、導光板40の光入射面40Aに対向配置されている。光源基板12は、例えば細長い直方体の形状を有し、光源基板12の長手方向に一列に並べられている。
【0057】
図11に示した例において、光入射面40Aは、導光板40の左右の端面である。従って、第1の実施の形態における配列方向A1,前方A1F,後方A1Rは、
図11における左右方向Xに平行な方向である。
【0058】
発光体20および波長変換部材30は、第1の実施の形態と同様に構成されている。
【0059】
導光板40は、光源10からの光を光入射面40Aから光出射面40Bへと導くものであり、例えば、ポリカーボネート樹脂(PC)またはアクリル樹脂(例えば、PMMA(ポリメチルメタクリレート))などの透明熱可塑性樹脂を主に含んで構成されている。導光板40は、例えば、前後方向(z方向)に対向する一対の主面(表面および底面)と、これらに接する上下左右の四つの端面(側面)とからなる直方体形状を有している。
【0060】
導光板40の左右の端面は、上述したように、光源10からの光が入射する光入射面40Aとなっている。なお、光入射面40Aは、導光板40の左右の端面のどちらか一方のみでもよい。また、光入射面40Aは、導光板40の三つの端面でもよいし、あるいは四つの端面すべてであってもよい。
【0061】
導光板40の表面は、光入射面40Aから入射した光を出射させる光出射面40Bとなっている。導光板40の光出射面40B(表面)および底面は、例えば、導光板40の光出射面40B側に配置される被照射物(例えば後述の液晶パネル122)に対応した平面形状を有している。
【0062】
導光板40の底面40Dには、乱反射特性を有するパターン(
図11には図示せず、
図13参照。)が印刷されている。このパターンは、導光板40の底面40Dに向かって進む光を導光板40の光出射面40Bに向けて反射させるものである。
【0063】
反射部材50は、導光板40の底面40D側に設けられた板状またはシート状部材であり、光源10から導光板40の底面40D側へ漏れ出てきた光、または導光板40の内部から底面40D側へ出射してきた光を、導光板40へ向けて戻すものである。反射部材50は、例えば、反射、拡散、散乱などの機能を有しており、これにより光源10からの光を効率的に利用し、正面輝度を高めることが可能となっている。
【0064】
反射部材50は、例えば、発泡PET(ポリエチレンテレフタレート),銀蒸着フィルム,多層膜反射フィルム,または白色PETにより構成されている。反射部材50に正反射(鏡面反射)の機能を持たせる場合には、反射部材50の表面は、銀蒸着,アルミニウム蒸着,または多層膜反射などの処理がなされたものであることが好ましい。反射部材50に微細形状を付与する場合は、反射部材50は、熱可塑性樹脂を用いた熱プレス成型,または溶融押し出し成型などの手法で一体的に形成されていてもよいし、また、例えばPETなどからなる基材上にエネルギー線(たとえば紫外線)硬化樹脂を塗布したのち、そのエネルギー線硬化樹脂に形状を転写して形成されていてもよい。ここで、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、PMMA(ポリメチルメタクリレート樹脂)などのアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、MS(メチルメタクリレートとスチレンの共重合体)などの非晶性共重合ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂およびポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられる。また、エネルギー線(たとえば紫外線)硬化樹脂に形状を転写する場合は、基材はガラスであってもよい。
【0065】
光学シート60は、導光板40の光出射面40B(表面)側に設けられ、例えば、拡散板,拡散シート,レンズフィルム,偏光分離シートなどを含んでいる。
図11では、これら複数枚の光学シート60のうちの一枚のみを記載している。このような光学シート60を設けることにより、導光板40から斜め方向に出射した光を正面方向に立ち上げることが可能となり、正面輝度を更に高めることが可能となる。
【0066】
図12は、
図11に示した光源10、発光体20、波長選択性フィルタ30および導光板40の配置関係を表したものであり、光源10の発光中心10Aを通り光入射面40Aに垂直な断面を表している。
【0067】
光源10は、導光板40の光入射面40Aに対向配置され、光源10と光入射面40Aとの間に、発光体20を収容した容器22および波長選択性フィルタ30が配置されている。光源10、容器22および波長変換部材30は、例えば、固定部材(ホルダ)70により保持されている。導光板40の底面40D側には反射部材50が敷かれている。
【0068】
発光体配置領域21は、光源10から光入射面40Aの端(上端40Eおよび下端40F)に入射する光ν31,ν32の光路と光入射面40Aとによって囲まれる領域S1を横断し、この領域S1を超えた外側の領域S2まで延在していることが好ましい。発光体20をこのように配置することにより、面内の色の均一性を高めることが可能となる。
【0069】
容器22および収容部23は、第1の実施の形態と同様に構成されている。
【0070】
固定部材70は、高反射性ポリカーボネート樹脂,ポリアミド系樹脂(例えばクラレ社製「ジェネスタ(商品名)」)などにより構成され、例えば、光源10を保持する第1固定部71と、発光体20の容器22を保持する第2固定部72および第3固定部73とを有している。
【0071】
第1固定部71は、光源10を搭載した光源基板12が取り付けられる部分であり、光入射面40Aに対向している。第1固定部71の中央部には、外面71Aから内面71Bまで貫通する開口71Cが設けられている。この開口71Cの外面71A側には、開口71Cの周囲を階段状に凹ませることにより、座部71Dが設けられている。従って、座部71Dに光源基板12が固定されることにより、光源10を実装したパッケージ11が開口71C内に緩やかに嵌り込むようになっている。なお、座部71Dは、光源基板12の寸法によっては、必ずしも設けなくてもよい。また、内面71Bの一部または全部は、光源10からの光の利用効率を高めるため、傾斜面とされていることが望ましい。
【0072】
第2固定部72および第3固定部73は、発光体20の容器22の上端および下端を挟み込み、容器22の位置や向きがずれないように固定するものである。第2固定部72および第3固定部73は、例えば、第1固定部71の上端および下端から第1固定部71に対してほぼ垂直方向に伸びている。そのため、第1固定部71ないし第3固定部73の断面形状は、例えば、矩形の三辺をなしている。容器22の上端および下端は、例えば第2固定部72および第3固定部73に設けられた固定用の突起(図示せず)に固定されている。なお、容器22の上端および下端は、両面接着テープなどの他の方法により固定されていてもよい。
【0073】
更に、第2固定部72の先端部と第3固定部73の先端部との間には、導光板40の端部および反射部材50の端部が挟み込まれて保持されている。なお、第2固定部72および第3固定部73は、少なくとも容器22の上端および下端を挟み込んでいれば足り、導光板40の端部および反射部材50の端については他の部材(後述)により保持させることも可能である。
【0074】
なお、このような固定部材70の外側、特に光源10の周辺には、図示しない放熱部材(ヒートスプレッダ)が取り付けられている。更に、光源10ないし固定部材70および放熱部材(図示せず)を含む照明装置2の全体が、図示しない筐体(
図11,
図12には図示せず、例えば
図18の後部筐体124参照。)に収容される。
【0075】
この照明装置3では、
図13に示したように、光源10が第1の波長の光ν11,ν12,ν13を発生すると、この光ν11~ν13は、波長選択性フィルタ30を通過して容器22に入る。ここでは、波長選択性フィルタ30が、第1の波長の光ν11~ν13を透過させ、第2の波長の光ν21を反射させるので、光源10から発した第1の波長の光ν11~ν13は、ほぼ減衰することなく波長選択性フィルタ30を透過し、容器22に入り、発光体20に向かって進むことが可能となる。
【0076】
容器22に入ったが発光体20に衝突しなかった光ν11,ν12は、容器22を通過し、導光板40に入光する。導光板40の底面40Dには乱反射特性を有するパターン41が施されているので、光ν12はパターン41により反射されて導光板40の上部に向けて進行し、光出射面40Bから出射する。光ν11はパターン41に至る前に、導光板40の光出射面40Bで全反射し、底面40Dに向かって進み、パターン41により反射されて光出射面40Bから出射する。これらの出射光は、光学シート50を通過して発光
として観測される。
【0077】
一方、容器22に入り、発光体20に衝突し発光体20に衝突した光ν13は、発光体20により波長変換され、第2の波長λ2の光ν21,ν22となる。
【0078】
発光体20に衝突して前方A1Fに発光した光ν21は、容器22を通過し、導光板40の光入射面40Aに入射し、パターン41により反射されて光出射面40Bから出射する。この出射光は、光学シート50を通過して発光として観測される。
【0079】
一方、発光体20に衝突して後方A1Rに発光する光ν22もある。ここでは、波長選択性フィルタ30が、第1の波長の光ν11,ν12を透過させ、第2の波長の光ν21,ν22を反射させるので、光ν22は、波長選択性フィルタ30により反射され、反射光ν23となって前方A1Fに放射され、容器22を通過し、導光板40の光入射面40Aに入射する。光ν23はパターン41により反射されて光出射面40Bから出射する。この出射光は、光学シート50を通過して発光として観測され、有効に利用される。
【0080】
また、光源10は上述したように点光源であるので、光源10から出た光は、発光中心10Aから360°全方向に広がっていく。
図14に示したように、発光体配置領域21および光入射面40Aは左右方向に長いので、左右方向への光の広がりは特に問題にはならない。一方、上下方向に広がった光の一部は、光入射面40Aの上端40Eよりも上方、または下端40Fよりも下方に逸れる可能性がある。
【0081】
ここで、発光体配置領域21は、
図12に示したように、光源10から光入射面40Aの端(上端40Eおよび下端40F)に入射する光ν31,ν32の光路と光入射面40Aとによって囲まれる領域S1を横断している。換言すれば、発光体配置領域21は、領域S1に対して光入射面40Aに平行な方向に交差して(横切って)いる。よって、領域S1内を通って光入射面40Aに入射する光については、発光体20による波長変換を受けることが可能となる。
【0082】
更に、発光体配置領域21は、この領域S1を超えた外側の領域S2まで延在している。つまり、発光体配置領域21は、領域S1をはみ出して、外側の領域S2にかかるように設けられている。よって、光源10から出て上下方向に広がり、領域S1よりも外側を進む光についても、ある程度は発光体20により捕捉され、波長変換を受けることが可能となる。従って、この照明装置2では、光源10からの光のうち発光体配置領域21を通らない光、すなわち発光体20により波長変換されない光が少なくなり、面内の色の均一性が向上する。
【0083】
このように本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、発光体20の入光側20Aに、第1の波長の光ν11,ν12を透過させ、第2の波長の光ν21を反射させる波長選択性フィルタ30を設けるようにしたので、光の利用効率を高めることが可能となる。
【0084】
また、発光体配置領域21を、光源10から光入射面40Aの端(上端40Eおよび下端40F)に入射する光ν1,ν2の光路と光入射面40Aとによって囲まれる領域S1を横断し、この領域S1を超えた外側の領域S2まで延在するようにしている。よって、光源10からの光のうち発光体配置領域21を通らない光、すなわち発光体20により波長変換されない光を少なくして、面内の色の均一性を高めることが可能となる。
【0085】
(変形例2)
なお、上記第2の実施の形態では、照明装置3が、第1の実施の形態の照明装置1をその主要部として含む場合について説明した。しかしながら、
図15に示したように、第2の実施の形態の照明装置2を主要部として含む照明装置4を構成し、容器22の光源10との対向面22Cを、光源10に向かって凸に湾曲させるようにすることも可能である。
【0086】
(第4の実施の形態)
図16は、本開示の第4の実施の形態に係る表示装置101の外観を表したものである。この表示装置101は、例えば薄型テレビジョン装置として用いられるものであり、画像表示のための平板状の本体部102をスタンド103により支持した構成を有している。なお、表示装置101は、スタンド103を本体部102に取付けた状態で、床,棚または台などの水平面に載置して据置型として用いられるが、スタンド103を本体部102から取り外した状態で壁掛型として用いることも可能である。
【0087】
図17は、
図16に示した本体部102を分解して表したものである。本体部102は、例えば、前面側(視聴者側)から、前部外装部材(ベゼル)111,パネルモジュール112および後部外装部材(リアカバー)113をこの順に有している。前部外装部材111は、パネルモジュール112の前面周縁部を覆う額縁状の部材であり、下方には一対のスピーカー114が配置されている。パネルモジュール112は前部外装部材111に固定され、その背面には電源基板115および信号基板116が実装されると共に取付金具117が固定されている。取付金具117は、壁掛けブラケットの取付、基板等の取付およびスタンド103の取付のためのものである。後部外装部材113は、パネルモジュール112の背面および側面を被覆している。
【0088】
図18は、
図16に示したパネルモジュール112を分解して表したものである。パネルモジュール112は、例えば、前面側(視聴者側)から、前部筐体(トップシャーシ)121,液晶パネル122,枠状部材(ミドルシャーシ)80,光学シート60,導光板40,反射部材50,後部筐体(バックシャーシ)124,バランサー基板125,バランサーカバー126およびタイミングコントローラ基板127をこの順に有している。
【0089】
前部筐体121は、液晶パネル122の前面周縁部を覆う枠状の金属部品である。液晶パネル122は、例えば、液晶セル122Aと、ソース基板122Bと、これらを接続するCOF(Chip On Film)などの可撓性基板122Cとを有している。枠状部材123は、液晶パネル122および光学シート50を保持する枠状の樹脂部品である。後部筐体124は、液晶パネル122,中間筐体123および照明装置3を収容する、鉄(Fe)等よりなる金属部品である。バランサー基板125は、照明装置3を制御するものであり、
図16に示したように、後部筐体124の背面に実装されると共にバランサーカバー126により覆われている。タイミングコントローラ基板127もまた、後部筐体124の背面に実装されている。
【0090】
この表示装置101では、照明装置3からの光が液晶パネル122により選択的に透過されることにより、画像表示が行われる。ここでは、第3の実施の形態で説明したように、光の利用効率が向上した照明装置3を備えているので、表示装置101の明るさが向上すると共に消費電力が低減される。
【0091】
なお、上記実施の形態では、表示装置101が第3の実施の形態に係る照明装置3を備えている場合について説明したが、表示装置101は、第3の実施の形態に係る照明装置3に代えて、変形例2に係る照明装置4を備えていてもよいことは言うまでもない。
【0092】
(表示装置の適用例)
以下、上記のような表示装置101の電子機器への適用例について説明する。電子機器としては、例えばテレビジョン装置,デジタルカメラ,ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラ等が挙げられる。言い換えると、上記表示装置は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0093】
(適用例1)
図19および
図20はそれぞれ、上記実施の形態の表示装置101が適用される電子ブック210の外観を表したものである。この電子ブック210は、例えば、表示部211および非表示部212を有しており、この表示部211が上記実施の形態の表示装置101により構成されている。
【0094】
(適用例2)
図21および
図22は、上記実施の形態の表示装置101が適用されるスマートフォン220の外観を表したものである。このスマートフォン220は、例えば、表側に表示部221および操作部222を有し、裏側にカメラ223を有しており、この表示部221が上記実施の形態の表示装置101により構成されている。
【0095】
(適用例4)
図23および
図24は、上記実施の形態の表示装置101が適用されるデジタルカメラ240の外観を表したものである。このデジタルカメラ240は、例えば、フラッシュ用の発光部241、表示部242、メニュースイッチ243およびシャッターボタン244を有しており、この表示部242が上記実施の形態の表示装置101により構成されている。
【0096】
(適用例5)
図25は、上記実施の形態の表示装置101が適用されるノート型パーソナルコンピュータ250の外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータ250は、例えば、本体251,文字等の入力操作のためのキーボード252および画像を表示する表示部253を有しており、この表示部253が上記実施の形態の表示装置101により構成されている。
【0097】
(適用例6)
図26は、上記実施の形態の表示装置101が適用されるビデオカメラ260の外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部261,この本体部261の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ262,撮影時のスタート/ストップスイッチ263および表示部264を有している。そして、この表示部264が上記実施の形態の表示装置101により構成されている。
【0098】
(適用例7)
図27および
図28は、上記実施の形態の表示装置101が適用される携帯電話機270の外観を表したものである。この携帯電話機270は、例えば、上側筐体271と下側筐体272とを連結部(ヒンジ部)273で連結したものであり、ディスプレイ274,サブディスプレイ275,ピクチャーライト276およびカメラ277を有している。ディスプレイ274またはサブディスプレイ275が、上記実施の形態の表示装置101により構成されている。
【0099】
(照明装置の適用例)
図29および
図30は、上記実施の形態の照明装置1~4が適用される卓上用の照明機器の外観を表したものである。この照明機器310は、例えば、基台311に設けられた支柱312に、照明部313を取り付けたものであり、この照明部313は、上記実施の形態に係る照明装置1~4のいずれかにより構成されている。照明部313は、導光板40を湾曲形状とすることにより、
図29に示した筒状、または
図30に示した曲面状など、任意の形状とすることが可能である。
【0100】
図31は、上記実施の形態の照明装置1~4が適用される室内用の照明機器の外観を表したものである。この照明機器320は、例えば、上記実施の形態に係る照明装置1~4のいずれかにより構成された照明部321を有している。照明部321は、建造物の天井322Aに適宜の個数および間隔で配置されている。なお、照明部321は、用途に応じて、天井322Aに限らず、壁322Bまたは床(図示せず)など任意の場所に設置することが可能である。
【0101】
これらの照明機器310,320では、照明装置1~4からの光により、照明が行われる。ここでは、上記実施の形態で説明したように、光の利用効率が向上した照明装置1~4を備えているので、明るさが向上すると共に消費電力が低減される。
【0102】
以上、実施の形態を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態において説明した各層の材料および厚みなどは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよい。
【0103】
また、例えば、上記実施の形態では、光源10がLEDである場合について説明したが、光源10は半導体レーザ等により構成されていてもよい。
【0104】
更に、例えば、上記実施の形態において照明装置1~4、表示装置101(テレビジョン装置)の構成を具体的に挙げて説明したが、全ての構成要素を備えていなくてもよく、また、他の構成要素を更に備えていてもよい。
【0105】
なお、本技術は以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
第1の波長の光を発生する光源と、
前記第1の波長の光を前記第1の波長とは異なる第2の波長の光に波長変換する発光体と、
前記発光体の入光側に設けられ、前記第1の波長の光を透過させ、前記第2の波長の光を反射させる波長選択性フィルタと
を備えた照明装置。
(2)
前記発光体は、蛍光物質を含む
前記(1)記載の照明装置。
(3)
前記発光体は、量子ドットを含む
前記(2)記載の照明装置。
(4)
前記発光体は、硫化物蛍光体を含む
前記(2)記載の照明装置。
(5)
前記発光体を収容する容器を備え、
前記波長選択性フィルタは、前記容器の入光側の外表面に設けられている
前記(1)ないし(4)のいずれかに記載の照明装置。
(6)
前記容器は、内部に前記発光体の収容部を有し、
前記波長選択性フィルタの幅は、前記収容部の幅よりも大きい
前記(5)記載の照明装置。
(7)
前記容器は直方体の形状を有すると共に前記直方体の一面を前記光源に対向させて配置され、
前記波長選択性フィルタは、前記容器の少なくとも前記光源との対向面に設けられている
前記(6)記載の照明装置。
(8)
前記容器の前記光源との対向面は、前記光源に向かって凸に湾曲している
前記(7)記載の照明装置。
(9)
前記波長選択性フィルタは、前記容器の前記光源との対向面を超えて、前記対向面に隣接する面の少なくとも一部に延在している
前記(7)または(8)記載の照明装置。
(10)
前記光源は、青色光源である
前記(1)ないし(9)のいずれかに記載の照明装置。
(11)
前記発光体は、青色光を赤色光または緑色光に波長変換する
前記(10)記載の照明装置。
(12)
前記発光体に対向する光入射面を有する光学部品を備えた
前記(1)ないし(11)のいずれかに記載の照明装置。
(13)
前記光学部品は、導光板であり、
前記光入射面は、前記導光板の端面である
前記(12)記載の照明装置。
(14)
液晶パネルと、前記液晶パネルの背面側の照明装置とを備え、
前記照明装置は、
第1の波長の光を発生する光源と、
前記第1の波長の光を前記第1の波長とは異なる第2の波長の光に波長変換する発光体と、
前記発光体の入光側に設けられ、前記第1の波長の光を透過させ、前記第2の波長の光を反射させる波長選択性フィルタと
を備えた表示装置。
【0106】
本出願は、日本国特許庁において2012年11月9日に出願された日本特許出願番号2012-247262号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願のすべての内容を参照によって本出願に援用する。
【0107】
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。