(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180385
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】検知装置
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20221129BHJP
G01N 21/78 20060101ALI20221129BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20221129BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20221129BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
C12M1/00 A
G01N21/78 C
F25D23/00 301N
F25D11/00 101D
C12M1/34 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136140
(22)【出願日】2022-08-29
(62)【分割の表示】P 2021060522の分割
【原出願日】2021-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2020065077
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020065079
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100206405
【弁理士】
【氏名又は名称】岸 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】松井 秀徳
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 喜一郎
(72)【発明者】
【氏名】丹埜 昭一
(72)【発明者】
【氏名】田中 直宏
(57)【要約】
【課題】生物的要素を利用して検知対象を検知する検知手段の機能がより発揮されるようにする。
【解決手段】生物的要素を利用して検知対象を検知する検知手段と、外的要因に基づく検知手段の劣化から検知手段を保護する保護手段と、を備える検知装置。検知手段の状態を監視する監視手段を更に備え、監視手段は、成分が調整済みの気体又は液体が検知手段に供給された場合における、検知手段の検知結果を取得し、取得した検知結果に基づき、検知手段の状態を把握する。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物的要素を利用して検知対象を検知する検知手段と、
外的要因に基づく前記検知手段の劣化から当該検知手段を保護する保護手段と、
前記検知手段の状態を監視する監視手段と、
を備え、
前記監視手段は、成分が調整済みの気体又は液体が前記検知手段に供給された場合における、当該検知手段の検知結果を取得し、取得した当該検知結果に基づき、当該検知手段の状態を把握する検知装置。
【請求項2】
前記検知手段は、複数設けられ、
前記保護手段は、前記検知対象の検知に一部の前記検知手段が用いられるようにして、他の検知手段を保護する請求項1に記載の検知装置。
【請求項3】
前記検知対象の検知に前記一部の前記検知手段が用いられている際、前記他の検知手段は、密閉された空間に収容されている請求項2に記載の検知装置。
【請求項4】
前記監視手段は、前記検知手段が特定の状態となった場合、当該検知手段に異常がある旨の情報を出力し、及び/又は、当該検知手段の交換が必要である旨の情報を出力する請求項1に記載の検知装置。
【請求項5】
前記検知手段は、複数設けられ、
前記監視手段は、複数の前記検知手段の各々からの出力を比較して、特定の状態にある検知手段を検出する請求項1に記載の検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、貨物輸送システムが開示され、この貨物輸送システムは、生鮮品を保存するコンテナ、および環境パラメータを制御する制御アセンブリを有する。
また、特許文献2には、外部からの刺激を検知する受容体を含み、受容体が刺激を受けたことにより生体分子を放出する細胞と、生体分子と反応して、酸化剤または還元剤を生成する酵素と、生成された酸化剤または還元剤によって酸化または還元されるメディエータであって、メディエータと接続された作用電極の電位を変化させるメディエータとを備える検知システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2019-518683号公報
【特許文献2】WO2017-212730
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生物的要素を利用して検知対象を検知する検知手段は、熱や温度などの外的要因の影響を受けやすく、検知手段を設置してそのまま使用すると、検知対象の検知が行われなくなったり、検知手段の機能が低下したりするおそれがある。
本開示の目的は、生物的要素を利用して検知対象を検知する検知手段の機能がより発揮されるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の検知装置は、生物的要素を利用して検知対象を検知する検知手段と、外的要因に基づく前記検知手段の劣化から当該検知手段を保護する保護手段と、前記検知手段の状態を監視する監視手段と、を備え、前記監視手段は、成分が調整済みの気体又は液体が前記検知手段に供給された場合における、当該検知手段の検知結果を取得し、取得した当該検知結果に基づき、当該検知手段の状態を把握する検知装置である。
この検知装置では、生物的要素を利用して検知対象を検知する検知手段の機能がより発揮される。
【0006】
また、前記検知手段は、複数設けられ、前記保護手段は、前記検知対象の検知に一部の前記検知手段が用いられるようにして、他の検知手段を保護することを特徴とすることができる。この場合、他の検知手段を保護しない場合に比べ、この他の検知手段の機能を、より長い時間、維持することができる。
また、前記検知対象の検知に前記一部の前記検知手段が用いられている際、前記他の検知手段は、密閉された空間に収容されていることを特徴とすることができる。この場合、他の検知手段が密閉された空間に収容されない場合に比べ、この他の検知手段の機能を、より長い時間、維持することができる。
【0007】
また、前記監視手段は、前記検知手段が特定の状態となった場合、当該検知手段に異常がある旨の情報を出力し、及び/又は、当該検知手段の交換が必要である旨の情報を出力することを特徴とすることができる。この場合、検知手段に不具合が生じていることを把握可能となり、また、ユーザに対して、検知手段に異常があることを通知可能となり、また、検知手段の交換が必要であることを通知可能となる。
また、前記検知手段は、複数設けられ、前記監視手段は、複数の前記検知手段の各々からの出力を比較して、特定の状態にある検知手段を検出することを特徴とすることができる。この場合、複数の検知手段の各々からの出力を利用して、特定の状態にある検知手段を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】情報処理装置のハードウエアの構成を示した図である。
【
図4】情報処理装置が有する機能を示した機能ブロック図である。
【
図5】第2の実施形態に係るコンテナ等を示した図である。
【
図6】画面生成部により生成される画面の一例を示した図である。
【
図7】収容物に応じて閾値を設定したうえで画面を生成する上記の処理の流れを示したフローチャートである。
【
図8】記憶装置に格納された登録テーブルを示した図である。
【
図9】記憶装置に格納された閾値テーブルを示した図である。
【
図10】第3の実施形態に係るコンテナを示した図である。
【
図14】情報処理装置のハードウエアの構成を示した図である。
【
図15】情報処理装置が有する機能を示した機能ブロック図である。
【
図17】検知部が、コンテナの内部に設置された構成例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第1の実施形態〕
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るコンテナ10の一例を示した図である。
収容容器の一例であるこのコンテナ10は、物の輸送に用いられるコンテナ10である。コンテナ10は、船舶、航空機、車両などの輸送機器に載せられた状態で、輸送先へ運ばれる。
【0010】
本実施形態では、コンテナ10内の気体の質の検知を行う検知ユニット20が設けられている。
検知ユニット20は、主要な構成要素として、気体を収集する複数の収集部材30と、気体の質の検知を行う検知部40とを備える。なお、「気体」としては、空気が挙げられるが、本実施形態の検知ユニット20は、空気以外の、特定の成分により構成された気体の質の検知も行える。
さらに、本実施形態では、検知部40にて得られた検知結果の処理や、検知ユニット20等の制御を行う情報処理装置100が設けられている。
また、本実施形態では、コンテナ10の内部の温度を予め定められた温度にする空調機器200が設けられている。本実施形態では、この空調機器200によって、コンテナ10の内部に冷却された空気が供給され、コンテナ10の内部が冷蔵状態とされる。なお、空調機器200は、加温も行うことができ、外気の温度が低い場合には、コンテナ10の内部に、加温された空気を供給する。
【0011】
複数の収集部材30は、コンテナ10内の気体を収集するのに用いられる。収集部材30は、互いに異なる複数箇所の各々に設置されている。より具体的には、複数の収集部材30は、コンテナ10の長手方向における位置が互いに異なるように配置されている。
なお、複数の収集部材30は、コンテナ10の短手方向における位置をずらした状態で配置してもよい。また、複数の収集部材30は、高さ方向における位置をずらした状態で配置してもよい。
【0012】
本実施形態では、コンテナ10内の空間が、気体の質の検知を行う対象空間となっている。
この空間における複数箇所の各々に、収集部材30が設置され、この複数箇所の各々における気体が、収集部材30により取集(採取)される。
また、コンテナ10には、コンテナ10の内部とコンテナ10の外部とを区画する区画部11が設けられている。複数の収集部材30は、この区画部11により支持されている。
【0013】
区画部11としては、天井部11A、側壁部11B、底部11Cが設けられ、本実施形態では、天井部11Aや側壁部11Bにより収集部材30が支持される。
また、本実施形態では、このコンテナ10内に、このコンテナ10によって輸送される物(不図示)が収容される。
以下、本明細書では、コンテナ10に収容される物を、「収容物」と称する。
【0014】
収集部材30の各々は、樹脂材料により構成されている。また、収集部材30の各々は、可撓性を有する管状部材により構成されている。これにより、本実施形態では、収集部材30の位置の調整を行える。
より具体的には、収集部材30の各々は、その先端部31に、気体を吸い込むための吸い込み口31Aを有し、本実施形態では、収集部材30を変形させることで、この吸い込み口31Aの位置の変更を行える。
【0015】
言い換えると、収集部材30は、コンテナ10によって支持されるとともに、コンテナ10により支持されている側とは反対側の端部が自由端とっている。本実施形態では、この自由端側に位置する端部の位置の調整を行える。
さらに、収集部材30の各々は、巻き取られた形で設けられており、収集部材30の巻き取りを解くことで、また、収集部材30を巻き取ることで、収集部材30の長さの変更を行える。
また、収集部材30は、垂れ下がっており、収集部材30の巻き取りを解くことで、また、収集部材30を巻き取ることで、気体の採取位置が上下方向へ移動する。
【0016】
検知ユニット20には、上記の通り、収集部材30により収集された気体の質を検知する検知部40が設けられている。
本実施形態では、複数の収集部材30の各々に対応して検知部40が設けられておらず、検知部40の設置数が、複数の収集部材30の設置数よりも少ない。言い換えると、本実施形態では、複数の収集部材30の方が、検知部40よりも多く設置されている。言い換えると、本実施形態では、検知部40の共用化が図られている。
ここで、「検知部40の設置数が、複数の収集部材30の設置数よりも少ない」とは、検知部40の共用化が図られ、2以上の収集部材30に対して、共通の検知部40が設けられる状態とも言える。
【0017】
図2は、検知部40の構成を説明する図である。
検知手段の一例としての検知部40は、生物的要素を用い、収集部材30により収集された気体の質を検知する。ここで、「生物的要素を用いる」とは、生物から採取したものを用いることを指し、生物から採取したものをそのまま用いる態様に限らず、生物から採取されたものを加工したものを用いる態様や、生物から採取したものを培養したものを用いる態様なども含む。
検知部40には、昆虫の嗅覚受容体タンパク質発現細胞(以下、「受容体発現細胞」と称する)を支持する細胞支持部41が設けられている。
【0018】
細胞支持部41には、受容体発現細胞が収容された細胞用容器42と、細胞用容器42を支持する基板43が設けられている。ここで、基板43は、ガラスなどの透明な材料により構成される。
さらに、検知部40には、受容体発現細胞が発する光を検出して信号を出力するセンサ44が設けられている。本実施形態では、このセンサ44からの信号は、情報処理装置100(
図1参照)に出力される。
【0019】
受容体発現細胞は、一般的な遺伝子工学的手法により作製できる。
具体的には、特定の匂い物質に対する昆虫の嗅覚受容体タンパク質をコードする遺伝子と、匂い物質がこの嗅覚受容体タンパク質に結合したことを確認するための蛍光タンパク質をコードする遺伝子とを昆虫培養細胞発現用ベクターに組み込む。
そして、この昆虫培養細胞発現用ベクターを宿主細胞にトランスフェクトすることにより、受容体発現細胞が作成される。
【0020】
昆虫としては、例えば、キイロショウジョウバエ、ハマダラカ、カイコガが挙げられ、これらの昆虫から、100種類以上の嗅覚受容体タンパク質が特定されている。
嗅覚受容体タンパク質は、例えば、フェネチルアルコール、メチルベンゾエート、エチルベンゾエート、ベンジルアルコール、メチルサリシレート、ベンズアルデヒド、ペンタナール、ヘキサナール、E2-ヘキサナール、2-ヘプタノン、6-メチル-5-へプテン-2-オン、2-メチルフェノール等の匂い物質に対して高い応答特性を有する。
【0021】
匂い物質など、対象となる特定の物質が受容体に結合すると、受容体発現細胞内へのイオンの流入が起こり、特定の物質が結合した受容体発現細胞は、発光する。
なお、検知部40の構成は、
図2に示す構成に限られず、検知部40は、公知の構成により実現すればよい。
【0022】
コンテナ10(
図1参照)からの気体は、細胞支持部41に設けられた上流側流路45に供給される。そして、気体は、この上流側流路45を通って、細胞用容器42に供給される。その後、この気体は、下流側流路46を通って、排気用容器47に向かう。そして、この気体は、この排気用容器47内にて、大気に放出される。
なお、本実施形態では、コンテナ10からの気体を、直接、細胞用容器42に供給する場合を説明する。ところで、これに限らず、コンテナ10からの気体を液体に供給して、この気体に含まれる成分がこの液体に含まれるようにし、気体に含まれる成分を含んだこの液体を、細胞用容器42に供給してもよい。
【0023】
さらに、検知部40には、受容体発現細胞を培養するための培養液を細胞用容器42に供給する供給機構48が設けられている。
培養液は、炭素源、窒素源、金属塩、ミネラル、ビタミン等を含む通常の培地により構成され、予め定められたタイミング毎に、細胞用容器42に供給される。また、本実施形態では、培養液に、受容体発現細胞も含まれている。
【0024】
センサ44は、例えば、細胞支持部41の裏面側に配置されている。具体的には、センサ44は、基板43を挟み、細胞用容器42とは反対側に設けられている。
センサ44は、例えば、CCD型イメージセンサやCMOS型イメージセンサにより構成される。センサ44には、光電変換素子が2次元アレイ状に配置されている。
【0025】
本実施形態では、センサ44によって、細胞用容器42を撮影した画像が得られる。センサ44により得られたこの画像は、情報処理装置100(
図1参照)へ送信される。情報処理装置100では、この画像を解析して、コンテナ10からの気体中に、予め定められた特定物質が含まれているかを判断する。
より具体的には、本実施形態では、後述するように、情報処理装置100に画像解析部202(
図4参照)が設けられている。この画像解析部202が、センサ44により得られた画像を解析し、コンテナ10からの気体中に、予め定められた特定物質が含まれているかを判断する。
【0026】
画像解析部202は、例えば、センサ44により得られた画像の平均輝度値を把握する。ここで、平均輝度値は、各画素の輝度値の和を画素の総数で割った値である。そして、画像解析部202は、この平均輝度値が、予め定められた閾値を超える場合に、検知部40にて特定の物質が検出されたと判断する。そして、画像解析部202は、特定の物質が検出されたことを示す情報を出力する。
この場合、本実施形態では、情報処理装置100に設けられた表示装置などに、特定の物質が検出されたことを示す情報や、収容物の状態が悪化したことを示す情報などが表示される。
【0027】
ここで、収容物には、例えば果物、野菜、食肉などの生鮮品などが含まれる。
本実施形態の検知ユニット20は、例えば、コンテナ10内に収容物として生鮮品が収容される場合、生鮮品に発生したカビ菌などが発生する匂いを検知できる。また、本実施形態の検知ユニット20は、生鮮品の鮮度や熟成度に応じて生鮮品が発するエチレンガス等を検知できる。さらに、本実施形態の検知ユニット20は、生鮮品が腐敗した場合に生鮮品が発する腐敗臭を検知できる。
【0028】
ここで、
図2に示した構成例では、細胞用容器42が1つであったが、複数の細胞用容器42を用意するとともに、各細胞用容器42に、種類が互いに異なる受容体発現細胞を収容してもよい。この場合、複数種類の物質の検知を行える。
また、上記では、生物的要素を用いる検知部40を一例に説明したが、検知部40は、電子的なデバイスを用いて構成してもよい。
【0029】
図1に示すように、検知部40は、コンテナ10の外部に設置される。言い換えると、検知部40は、気体の質の検知を行う対象空間の外部に設置される。
検知部40が、コンテナ10の外部に設置される場合、収集部材30により収集された気体は、コンテナ10の外部へ移動して、この外部に設けられた検知部40に供給される。
言い換えると、収集部材30により収集された気体は、収容物を収容する収容空間800の外部へ移動して、この外部に設けられた検知部40に供給される。
【0030】
コンテナ10の外部に検知部40が設置される構成では、検知部40の共用化を図れる。
より具体的には、コンテナ10の外部に検知部40が設置される構成では、船舶、航空機、車両などの輸送機器側に検知部40を設置でき、検知部40の共用化を図れる。
より具体的には、輸送機器側に検知部40を設置すると、輸送機器に設置されるコンテナ10を、他のコンテナ10に替えたとしても、この他のコンテナ10内の気体の質の検知に、この検知部40を用いることができる。
言い換えると、コンテナ10の外部に検知部40を設置すると、コンテナ10毎に検知部40を設けないでも、複数のコンテナ10の各々における気体の質の検知を行える。
【0031】
なお、検知部40は、コンテナ10の内部に設置してもよい。
コンテナ10の内部は、空調機器200によって、温度や湿度が保たれている。より具体的には、本実施形態では、コンテナ10の内部は、空調機器200によって、冷蔵環境に保たれている。コンテナ10の内部に検知部40を設置すると、検知部40の性能の維持を図りやすくなる。
特に、本実施形態のように、検知部40が、生物的要素を用いて検知を行う場合、温度や湿度が保たれる環境下に検知部40が設置されると、検知部40の性能の維持を図りやすくなる。
【0032】
さらに、本実施形態では、
図1に示すように、収集部材30の各々により収集された気体が流れ込む共通の管路50(以下、「共通管路50」と称する)が設けられている。
複数の収集部材30の各々により収集された気体は、この共通管路50に流れ込むことで合流し、この気体は、この共通管路50を通じて検知部40へ供給される。
さらに、本実施形態では、収集部材30により収集された気体を検知部40へ送るためのコンプレッサーやポンプ(不図示)が設けられている。
【0033】
コンテナ10には、収集部材30により収集された気体をコンテナ10の外部へ送るための開口12が設けられている。言い換えると、コンテナ10には、コンテナ10の内部と外部とを接続するための開口12が設けられている。
共通管路50は、この開口12を通され、コンテナ10の内部から外部にかけて設けられている。
本実施形態では、収集部材30により収集された気体が、この開口12を通って、検知部40へ供給される。言い換えると、本実施形態では、コンテナ10の内部空間は、収集部材30、共通管路50を介して、検知部40に接続される。
【0034】
さらに、本実施形態では、収集部材30により収集された気体の温度を調整する温度調整部70が設けられている。また、収集部材30と共通管路50とが接続する接続部55が複数設けられている。
本実施形態では、検知部40に向かう気体の移動方向において、最も下流側に位置する接続部55よりも下流側に且つ検知部40よりも上流側に、温度調整部70が設けられている。
【0035】
温度調整部70は、加温部および冷却部を有し、共通管路50を通ってきた気体の加温や冷却を行ったうえで、この気体を下流側に流す。これにより、温度が調整された後の気体が、検知部40に供給される。
検知部40は、生物的要素を用いて気体の質を検知する。検知部40に供給される気体の温度が高すぎたり低すぎたりすると、この検知部40による検知性能が低下したり、検知自体が行えなくなったりするおそれがある。
温度が調整された後の気体が検知部40に供給されると、このような不具合が生じにくくなる。
【0036】
なお、ここでは、生物的要素を用いた検知部40について説明したが、検知部40は、上記の通り、電子的なデバイスで構成してもよい。
検知部40を、電子的なデバイスで構成した場合であっても、本実施形態のように、温度が調整された後の気体が検知部40に供給されると、検知部40の故障などが生じにくくなる。
なお、本実施形態では、コンテナ10の外部に、温度調整部70が設けられているが、これに限らず、コンテナ10の内部に、温度調整部70を設けてもよい。
【0037】
図3は、情報処理装置100のハードウエアの構成を示した図である。
情報処理装置100には、プロセッサの一例としてのCPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103が設けられている。また、情報処理装置100には、ハードディスク装置などにより構成され、情報を記憶する記憶装置105が設けられている。さらに、情報処理装置100には、外部との通信を行う通信装置104(通信I/F)が設けられている。
この他、情報処理装置100には、キーボード、マウス等の情報の入力に用いられる入力用装置、液晶ディスプレイ等の表示装置が設けられている。
【0038】
ROM102、記憶装置105は、CPU101により実行されるプログラムを記憶する。CPU101は、ROM102や記憶装置105に記憶されているプログラムを読み出し、RAM103を作業エリアにしてプログラムを実行する。
CPU101により、ROM102や記憶装置105に格納されたプログラムが実行されることで、後述する各機能部が実現される。
【0039】
ここで、CPU101によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で、情報処理装置100へ提供できる。また、CPU101によって実行されるプログラムは、インターネットなどの通信手段を用いて、情報処理装置100へ提供してもよい。
【0040】
図4は、情報処理装置100が有する機能を示した機能ブロック図である。なお、この
図4では、気体の質の検知に関する機能部を示している。
本実施形態の情報処理装置100は、制御部201、画像解析部202、画面生成部203、収容物把握部204、閾値設定部205を有する。これらの機能部は、ROM102や記憶装置105に格納されたプログラムをCPU101が実行することにより実現される。
【0041】
制御部201は、コンテナ10や、検知ユニット20などに設けられた各種の制御対象の制御を行う。
画像解析部202は、上記の通り、センサ44により得られた画像を解析する。画像解析部202は、センサ44により得られた画像の平均輝度値が閾値を超えた場合など、画像が特定の状態にある場合に、検知部40にて特定の物質が検出されたと判断する。そして、この場合、画像解析部202は、特定の物質が検出されたことを示す情報を出力する。
【0042】
画面生成手段の一例としての画面生成部203は、コンテナ10内の気体の質についての情報が表示された画面(後述)を生成する。具体的には、画面生成部203は、検知部40による検知結果に基づき、コンテナ10内の気体の質についての情報が表示された画面を生成する。より具体的には、画面生成部203は、画像解析部202による解析結果に基づき、コンテナ10内の気体の質についての情報が表示された画面を生成する。
収容物把握部204は、コンテナ10に収容された収容物についての情報を取得する。
閾値設定部205は、検知部40による検知結果との比較に用いられる閾値を設定する。
なお、これらの機能部によって実現される処理の詳細は後述する。
【0043】
本実施形態では、気体に質の検知に関する処理を、情報処理装置100が行う場合を一例に説明する。但し、これに限らず、気体に質の検知に関する処理は、空調機器200に設けられたCPUに行わせてもよい。この場合、情報処理装置100の盗難などを抑制できる。言い換えると、コンテナ10とは別に設けられた機器の盗難などを抑制できる。
また、検知部40の盗難等の抑制のため、検知部40が取り外されると、検知部40の機能を停止させる機構をさらに設けてもよい。この機構は、例えば、検知部40が取り外されると、受容体発現細胞を死滅させる液体が検知部40に流れ込むようにする。
【0044】
〔第2の実施形態〕
図5は、第2の実施形態に係るコンテナ10等を示した図である。なお、この
図5では、第1の実施形態と同様の機能を有する箇所には上記と同じ符号を付している。
この実施形態では、収集部材30と共通管路50との接続部55の各々に、収集部材30と共通管路50との接続および接続の遮断を行う弁700が設けられている。
【0045】
弁700は、例えば、電磁弁により構成される。弁700の各々は、制御部201(
図4参照)によって制御され、接続部55の各々では、開弁および閉弁が行われる。
なお、弁700は、収集部材30と共通管路50との接続部55に限られず、例えば、収集部材30の各々に設置してもよい。
【0046】
この実施形態では、制御部201によって、複数設けられた弁700のうちの、例えば1つの弁700のみが開放される。また、制御部201によって、開放される弁700の切り替えが順に行われる。
これにより、本実施形態では、複数の収集部材30のうちの一部の収集部材30から、検知部40へ気体の供給が順に行われる。
【0047】
この場合、検知部40では、収集部材30の設置箇所の各々における気体の質の検知が順に行われる。
言い換えると、収集部材30の設置箇所は、気体の質の検知を行う検知箇所として捉えることができ、検知部40では、各検知箇所における気体の質の検知が順に行われる。
【0048】
さらに、この第2の実施形態では、画像解析部202(
図4参照)が、検知箇所毎に、センサ44により得られた画像を解析し、検知箇所毎に、検知部40にて特定の物質が検出されたか否かを判断する。
そして、画像解析部202は、検知部40にて特定の物質が検出されたと判断した場合、特定の物質が検出されたことを示す情報、および、特定の物質が検出された検知箇所についての情報を出力する。
【0049】
また、この第2の実施形態では、情報処理装置100の画面生成部203(
図4参照)が、検知箇所の各々における気体の質についての情報が表示された画面を生成する。
この第2の実施形態では、上記の通り、検知部40によって、検知箇所の各々における気体の質が検知される。
そして、画面生成部203が、検知されたこの質に基づき(検知箇所毎の検知結果に基づき)、検知箇所の各々における気体の質についての情報が表示された画面を生成する。
より具体的には、画面生成部203は、画像解析部202による検知箇所毎の解析結果に基づき、検知箇所の各々における気体の質についての情報が表示された画面を生成する。
【0050】
図6は、画面生成部203により生成される画面の一例を示した図である。なお、この
図6は、コンテナ10を上方から見た場合の状態を示している。
本実施形態では、上記の通り、収集部材30は、コンテナ10の長手方向における位置が互いに異なるように配置されている。このため、本実施形態では、コンテナ10の長手方向における位置が互いに異なる複数の検知箇所の各々における気体の質が検知される。
【0051】
画面生成部203は、この検知箇所の各々における検知結果に基づき、画面を生成する。
より具体的には、画面生成部203は、画像解析部202が行った検知箇所毎の解析結果に基づき、検知箇所の各々における気体の質についての情報が表示された画面を生成する。
【0052】
この画面では、センサ44により得られた画像の平均輝度値が、予め定められた閾値を超えた検知箇所が示されている。言い換えると、この画面では、検知部40にて特定の物質が検出されたと画像解析部202により判断された検知箇所が示されている。
より具体的には、この画面では、平均輝度値が予め定められた閾値を超えた検知箇所に対する着色が行われ、特定物質の検出が行われた検知箇所が示されている。
【0053】
より具体的には、この例では、画面生成部203は、特定の物質が検出されたと画像解析部202により判断された検知箇所に対して、赤色の画像を付している。
言い換えると、画面生成部203は、特定の物質を含んだ気体を収集した収集部材30の設置箇所に、赤色の画像を付している。
【0054】
これにより、ユーザは、この画面を参照することで、コンテナ10の一部にて、例えば、収容物の状態が悪化したことを把握できる。
収容物が生鮮品である場合、この生成品が腐敗等すると、これに応じて、検知部40では、特定の物質が検知される。本実施形態のように、特定の物質が検知された箇所を特定して表示すると、ユーザは、収容物の状態が悪化したことを把握できる。
また、本実施形態のように、特定の物質が検知された箇所を特定して表示すると、ユーザは、状態が悪化した収容物の収容箇所を把握できる。
【0055】
画面生成部203により生成された画面は、例えば、情報処理装置100(
図1参照)に設けられた表示装置に表示される。
また、これに限らず、生成されたこの画面についての情報を、ユーザが有するPC(Personal Computer)やスマートフォンなどの装置に送信し、生成されたこの画面が、この装置にて表示されるようにしてもよい。
【0056】
なお、その他に、検知箇所毎に、検知箇所に収容された収容物を把握するようにし、この収容物に応じて、検知箇所毎に、上記の閾値を設定してもよい。
言い換えると、収容物に応じて、検知箇所毎に、センサ44により得られた画像の平均輝度値との比較に用いる閾値を設定してもよい。言い換えると、収容物に応じて、検知箇所毎に、検知部40にて特定の物質が検知されたか否かの判断に用いる閾値を設定してもよい。
【0057】
このように、検知箇所毎に閾値を設定する場合は、検知箇所毎に得られる検知結果(平均輝度値)と、検知箇所毎に設定した閾値とを比較する。
そして、平均輝度値が閾値を超えている検知箇所がある場合には、画像解析部202が、この検知箇所にて特定の物質が検出されたことを示す情報を出力する。
【0058】
また、平均輝度値が閾値を超えている検知箇所がある場合には、画面生成部203が、上記と同様、この検知箇所に対して、着色された画像を付したうえで、上記の画面を生成する。
これにより、この場合も、収容物の状態が悪化したことを把握可能となり、また、状態が悪化した収容物の収容箇所の把握も可能となる。
【0059】
図7は、収容物に応じて閾値を設定したうえで画面を生成する上記の処理の流れを示したフローチャートである。
収容物に応じて閾値を設定したうえで画面を生成する場合は、まず、収容物把握部204(
図4参照)が、複数の検知箇所毎に、検知箇所に収容された収容物を把握する(ステップS101)。
より具体的には、本実施形態では、
図5に示すように、第1検知箇所K1~第8検知箇所K8の複数の検知箇所が設けられているが、収容物把握部204は、この複数の検知箇所毎に、検知箇所に収容された収容物を把握する。
【0060】
より具体的には、この処理を行う場合は、例えば、ユーザにより、各検知箇所に収容された収容物についての情報を、情報処理装置100に設けられた入力用装置を介して入力してもらうようにする。そして、収容物把握部204は、入力されたこの情報に基づき、検知箇所毎の収容物を把握する。
なお、その他に、コンテナ10内にカメラを設置し、収容物把握部204は、このカメラにより得られた映像を解析することで、検知箇所毎の収容物を把握してもよい。
【0061】
そして、収容物把握部204は、検知箇所毎に把握した収容物についての情報を、
図8(記憶装置105に格納された登録テーブルを示した図)にて示す登録テーブルに登録する(ステップS102)。
具体的には、収容物把握部204は、登録テーブルのうちの符号8Aで示す欄に、収容物についての情報を登録する。
図8では、記憶装置105(
図3参照)に登録された登録テーブルを示しており、収容物把握部204は、この登録テーブルのうちの、検知箇所の各々に対応した箇所に、検知箇所に収容された収容物についての情報を登録する。
【0062】
次いで、閾値設定部205(
図4参照)が、検知箇所毎に、閾値を設定する(ステップS103)。
より具体的には、閾値設定部205は、検知箇所毎に得られる上記の平均輝度値(検知結果)との比較に用いられる閾値を、検知箇所毎に設定する。
より具体的には、本実施形態では、
図9(記憶装置105に格納された閾値テーブルを示した図)に示すように、記憶装置105に、収容物の種類と閾値との対応関係を記した閾値テーブルが登録されている。
【0063】
閾値設定部205は、この閾値テーブルを参照して、収容物毎に、収容物に対応した閾値を取得し、取得したこの閾値を、平均輝度値との比較に用いる閾値として設定する。
そして、閾値設定部205は、設定した閾値を登録テーブルに登録する(ステップS104)。
【0064】
具体的には、閾値設定部205は、登録テーブル(
図8参照)のうちの符号8Bで示す欄に、設定した閾値を登録する。より具体的には、閾値設定部205は、閾値の設定の対象となった収容物に対応した箇所に、設定した閾値を登録する。
なお、閾値については、ユーザにより入力してもらい、閾値設定部205は、ユーザにより入力されたこの閾値を、登録テーブルに登録してもよい。
【0065】
次いで、画像解析部202が、検知箇所毎に、センサ44により得られた画像を解析し、検知箇所毎に得られる平均輝度値(検知結果)と、検知箇所毎に設定された閾値(登録テーブルに登録された閾値)とを比較する(ステップS105)。
そして、画像解析部202は、閾値を超えている検知箇所がある場合には、この検知箇所(閾値を超えている検知箇所)を特定し、出力する(ステップS106)。
【0066】
次いで、画面生成部203(
図4参照)が、画像解析部202からの出力を基に、画面を生成する(ステップS107)。
画面生成部203は、ステップS106にて、閾値を超えている検知箇所が特定された場合、特定したこの検知箇所に対して、着色された画像を付して、上記の画面を生成する。
【0067】
収容物の種類によって、状態の悪化の進行度合いが異なる。
この場合に、閾値が固定値であると、状態が悪化していないにも関わらず状態が悪化していると判断されたり、状態が悪化しているにも関わらず状態が悪化していないと判断されたりする。
本実施形態のように、収容物の種類に応じて閾値を設定すると、このような不具合が生じにくくなる。
【0068】
なお、上記では、着色された画像を表示して、状態が悪化した収容物の収容箇所を表示したが、これに限らず、検知箇所の各々に対応付けて、検知部40による検知結果自体を表示してもよい。
より具体的には、検知箇所の各々に対応付けて、例えば、検知結果を示す具体的な数値(平均輝度値などの具体的な数値)や、検知結果を示す文字情報を表示してもよい。
【0069】
また、画面生成部203が生成する画面では、着色された画像や、検知結果の他に、例えば、検知箇所の各々に対応付けて、検知箇所に収容されている収容物についての情報を表示してもよい。
具体的には、ステップS101にて取得した、収容物についての情報を、検知箇所の各々に対応付けて表示してもよい。
【0070】
〔第3の実施形態〕
図10は、第3の実施形態に係るコンテナ10を示した図である。なお、この
図10では、第1の実施形態と同様の機能を有する箇所には上記と同じ符号を付している。
第3の実施形態では、収集部材30の切り替えを行う切り替え機構63が設けられている。
切り替え手段の一例としてのこの切り替え機構63は、検知部40へ供給される気体の収集を行う一部の収集部材30を他の一部の収集部材30に切り替える。
【0071】
この第3の実施形態でも、切り替え機構63が設けられることによって、上記の第2の実施形態と同様、一部の収集部材30から、検知部40への気体の供給が行われる。
さらに、この第3の実施形態でも、切り替え機構63によって、第2の実施形態と同様、検知部40へ供給される気体の収集を行う一部の収集部材30が、他の一部の収集部材30へ切り替えられる。
これにより、この第3の実施形態でも、検知箇所毎に、気体の質の検知を行える。
【0072】
この第3実施形態では、共通管路50は設けられておらず、収集部材30毎に、収集部材30と検知部40とを接続する接続管路61が複数設けられている。
さらに、この実施形態では、上記の通り、切り替え機構63が設けられ、この切り替え機構63は、検知部40に対して接続されている管路である検知部側管路62に対して、上記の複数の接続管路61に含まれる一部の接続管路61を接続する。
【0073】
具体的には、切り替え機構63には、管状部材63Aが設けられており、この管状部材63Aにより、一部の接続管路61と検知部側管路62とが接続される。
切り替え機構63では、制御部201(
図4参照)からの指示に応じて管状部材63Aが移動し、管状部材63Aが、一の接続管路61に接続される位置から、他の接続管路61に接続される位置へ移動する。この結果、検知部側管路62に接続される接続管路61が切り替えられる。
これにより、検知箇所の各々における気体の質の検知を行える。
【0074】
なお、この実施形態でも、検知箇所の各々における気体の質の検知を行えるため、上記と同様に、気体の質についての情報が検知箇所毎に表示された画面の生成を行える。
また、この実施形態でも、上記と同様、検知箇所毎に、収容物についての情報を取得し、検知箇所毎に、検知結果との比較に用いる閾値を設定してもよい。
また、上記と同様、画面生成部203が生成する画面にて、検知箇所毎に、収容物についての情報が表示されるようにしてもよい。
【0075】
〔他の構成例〕
図11は、収集部材30の他の構成例を示した図である。
この構成例では、収集部材30の長さの調整が可能となっている。具体的には、この構成例では、収集部材30が蛇腹状となっており、収集部材30は、伸縮可能となっている。
より具体的には、この構成例では、収集部材30に筒状部32が設けられ、この筒状部32には、筒状部32の軸方向に並ぶ山折り部、谷折り部が設けられている。この山折り部と谷折り部とは交互に並んでいる。本実施形態では、この山折り部と谷折り部とによって、収集部材30の伸縮が可能となっている。
【0076】
図1にて示した実施形態では、収集部材30を巻き取り、又は、収集部材30の巻き取りを解くことで、収集部材30の長さを調整する。
これに対し、
図11に示す構成例では、収集部材30を構成する部材自体を変形させることで、収集部材30の長さを調整する。
【0077】
また、
図12は、検知部40の他の構成例を示した図である。
この構成例では、検知部40の温度を調整する温度調整手段の一例としての温度調整部79が設けられている。
図1にて示した構成例では、検知部40に供給される気体の温度を調整して、検知部40による検知により適した環境を形成したが、気体の温度の調整に替えて、又は、気体の温度の調整に加えて、検知部40自体の温度の調整を行ってもよい。
【0078】
温度調整部79には、加温部および冷却部が設けられ、この加温部および冷却部を稼働させることで、検知部40の温度を上昇させたり、検知部40の温度を低下させたりする。
なお、
図12に示した構成例では、温度調整部79が、検知部40を構成する各種の部材から離間した状態で設けられているが、例えば、温度調整部79を基板43に接触させるなど、検知部40を構成する部材に、温度調整部79を接触させてもよい。
【0079】
また、上記では、検知ユニット20(
図1、5、10、11参照)が設置される収容容器として、コンテナ10を一例に説明したが、この収容容器は、コンテナ10に限られない。
このコンテナ10よりも小さいサイズの収容容器や、このコンテナ10よりも大きいサイズの収容容器に対して、検知ユニット20を設置してもよい。
【0080】
例えば、収容容器の他の一例としては、冷蔵庫や、食品の熟成に用いられる熟成庫を挙げることができ、この冷蔵器や熟成庫に対して、検知ユニット20を設置してもよい。
また、検知ユニット20は、倉庫や住宅などに設置してもよい。この場合、倉庫や住宅における気体の質の検知を行える。
また、検知ユニット20は、冷蔵環境で収容物を収容する収容容器に適用することに限らず、冷凍環境または常温環境で収容物を収容する収容容器に適用してもよい。
【0081】
なお、上記で説明した各構成は、上記の実施形態及びその変形例に限られるものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で変更できる。言い換えると、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解される。
例えば、上記にて説明した各構成の一部を省略したり、上記にて説明した各構成に対して他の機能を付加したりしてもよい。
また、上記では、複数の実施形態を説明したが、一の実施形態に含まれる構成と他の実施形態に含まれる構成とを入れ替えたり、一の実施形態に含まれる構成を他の実施形態に付加したりしてもよい。
【0082】
ここで、上記にて説明した実施形態の各々は、以下のように捉えることができる。
対象空間における複数の検知箇所に設けられ、気体を収集する複数の収集部材30と、複数の収集部材30よりも少なく設置され、収集部材30により収集された気体の質を検知する検知部40と、を備える検知ユニット20。
この場合、気体の質の検知を行う検知部40を収集部材30毎に設ける場合に比べ、検知部40の数を減らすことができ、対象空間の気体の質の検知をより低いコストで行える。
【0083】
ここで、この検知ユニット20では、収集部材30の位置の調整が可能である。この場合、収集部材30の位置の変更を行うことができ、収集部材30の設置箇所にて、気体の採取を行う箇所を変更することができる。
また、この検知ユニット20では、収集部材30の長さの調整が可能である。この場合、収集部材30の長さの変更を行うことができ、収集部材30の設置箇所にて、気体の採取を行う箇所を変更することができる。
【0084】
また、本実施形態では、複数の収集部材30により収集された気体が合流して検知部40へ供給される。この場合、複数の収集部材30の各々に対応させて管路を設け、複数の収集部材30の各々により収集された気体が個別に検知部40へ供給される場合に比べ、気体を検知部40へ供給するための管路を減らすことができ、構成を簡素化ができる。
また、本実施形態では、複数の収集部材30の一部の収集部材30から検知部40に気体が供給され、検知部40への気体の供給が行われる一部の収集部材30を他の一部の収集部材30に切り替える切り替え機構63を更に備える。この場合、一の収集部材30のみからに限らず、一の収集部材30とは異なる他の収集部材30からも、検知部40への気体の供給を行うことができる。
【0085】
また、本実施形態では、検知部40は、対象空間の外部に設置される。この場合、対象空間の内部に検知部40が設けられる場合に比べ、対象空間の容積を増やすことができる。
また、本実施形態では、検知部40は、対象空間の内部に設置される。この場合、温度などの制御がなされることがある対象空間の内部の環境下に検知部40を配置でき、検知部40を、より適正な環境下に配置することが可能となる。
また、本実施形態では、対象空間と対象空間の外部とを区画する区画部11によって、収集部材30が支持される。この場合、収集部材30を支持するための専用の構造を設けずに収集部材30を支持でき、収集部材30の支持をより安価に行える。
【0086】
また、本実施形態では、収集部材30により収集された気体の温度を調整する温度調整部70を更に備え、温度調整部70により温度が調整された後の気体が検知部40に供給される。この場合、収集部材30により収集された気体の温度が調整されずに、この気体が検知部40に供給される場合に比べ、温度が高い状態の気体や温度が低い状態の気体が検知部40へ供給されることを抑制できる。この場合、検知部40の機能が低下することや検知部40による検知が行われなくなることを抑えられる。
【0087】
また、本実施形態では、検知部40により検知された、検知箇所の各々における気体の質に基づき、気体の質についての情報が表示された画面を生成する画面生成部203をさらに備える。この場合、ユーザが、検知箇所の各々における気体の質の状況を把握しやすくなる。
また、本実施形態では、検知部40の温度を調整する温度調整部79をさらに備える。この場合、検知部40の温度が高い状態となることや、検知部40の温度が低い状態となることを抑制でき、検知部40の機能が低下することや検知部40による検知が行われなくなることを抑えられる。
【0088】
また、本実施形態では、検知部40は、生物的要素を用いて、収集部材30により収集された気体の質を検知する。この場合、電子的なデバイスよりも、高感度であって高い応答性で、気体の質を検知できる。
【0089】
また、本開示の収容容器は、気体の質の検知を行う検知部40へ接続され又は検知部40を収容し、物が収容される収容空間800と、収容空間800の複数の検知箇所に設けられ、検知部40へ供給される気体を収集する複数の収集部材30であって、検知部40よりも多く設置された複数の収集部材30と、を備えるコンテナ10である。この場合、気体の質の検知を行う検知部40を収集部材30毎に設ける場合に比べ、対象空間の気体の質の検知をより低いコストで行える。
【0090】
ここで、本実施形態では、収集部材30により収集された気体が収容空間800の外部へ移動し、気体が、外部に設けられた検知部40に供給される。この場合、気体の質の検知を行う検知部40がコンテナ10の内部に設けられ、この内部にて、気体の質の検知が行われる場合に比べ、コンテナ10の内部に、物を収容するための空間を確保しやすくなる。
また、コンテナ10には、収集部材30により収集された気体をコンテナ10の外部へ移動させるための開口12が設けられている。この場合、コンテナ10の外部にて気体の質の検知を行うことが可能となり、コンテナ10の内部にて、気体の質の検知が行われる場合に比べ、コンテナ10の内部に、物を収容するための空間を確保しやすくなる。
【0091】
また、本実施形態では、収集部材30は、コンテナ10内の気体を吸い込む吸い込み口31Aを有し、吸い込み口31Aの位置の変更が可能である。この場合、収集部材30の吸い込み口31Aの位置をずらすことができ、収集部材30の設置箇所にて、気体の採取を行う箇所を変更することができる。
また、本実施形態では、収集部材30は、可撓性を有する管状部材により構成されている。この場合、収集部材30を動かすことができ、収集部材30の設置箇所にて、気体の採取を行う箇所を変更することができる。
【0092】
〔第4の実施形態〕
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
図13は、本実施形態に係るコンテナ510の一例を示した図である。
収容容器の一例であるこのコンテナ510は、物の輸送に用いられるコンテナ510である。このコンテナ510は、船舶、航空機、車両などの輸送機器に載せられた状態で、輸送先へ運ばれる。
【0093】
本実施形態では、コンテナ510内の気体に含まれる特定の物質を検知する検知装置520が設けられている。
検知装置520は、主要な構成要素として、気体を収集する複数の収集部材530と、収集部材530により収集された気体の供給先となる被供給部541とが設けられている。
なお、「気体」としては、空気が一例に挙げられるが、本実施形態の検知装置520は、空気以外の気体に含まれる、特定の物質の検知も行える。
【0094】
また、本実施形態では、検知装置520が、コンテナ510に設けられた場合を一例に説明するが、検知装置520の設置箇所は、コンテナ510に限られない。例えば、このコンテナ510よりも小さいサイズの収容容器に対して、検知装置520を設置してもよい。
収容容器の他の一例としては、冷蔵庫や、食品の熟成に用いられる熟成庫を挙げることができる。また、検知装置520は、倉庫や住宅などの収容容器以外の箇所に設置してもよい。
【0095】
さらに、本実施形態では、検知装置520にて得られた検知結果の処理や、検知装置520等の各部の制御を行う情報処理装置600が設けられている。
ここで、本実施形態では、コンテナ510、検知装置520、情報処理装置600が設けられている部分を、検知対象である特定の物質の検知を行う検知システムとして捉えることができる。
【0096】
〔情報処理装置600〕
図14は、情報処理装置600のハードウエアの構成を示した図である。
情報処理装置600には、プロセッサの一例としてのCPU(Central Processing Unit)601、ROM(Read Only Memory)602、RAM(Random Access Memory)603が設けられている。また、情報処理装置600には、ハードディスク装置などにより構成され、情報を記憶する記憶装置605が設けられている。さらに、情報処理装置600には、外部との通信を行う通信装置604(通信I/F)が設けられている。
この他、情報処理装置600には、キーボード、マウス等の情報の入力に用いられる入力用装置、液晶ディスプレイ等の表示装置が設けられている。
【0097】
ROM602、記憶装置605は、CPU601により実行されるプログラムを記憶する。CPU601は、ROM602や記憶装置605に記憶されているプログラムを読み出し、RAM603を作業エリアにしてプログラムを実行する。
CPU601により、ROM602や記憶装置605に格納されたプログラムが実行されることで、後述する各機能部が実現される。
【0098】
ここで、CPU601によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で、情報処理装置600へ提供できる。また、CPU601によって実行されるプログラムは、インターネットなどの通信手段を用いて、情報処理装置600へ提供してもよい。
【0099】
図15は、情報処理装置600が有する機能を示した機能ブロック図である。なお、この
図15では、気体の検知に関する処理を行う機能部を示している。
本実施形態の情報処理装置600は、制御部701、検知結果取得部702、監視部703を有する。
これらの機能部は、ROM602や記憶装置605に格納されたプログラムをCPU601が実行することにより実現される。
【0100】
制御部701は、コンテナ510や、検知装置520などに設けられた各種の制御対象の制御を行う。
検知結果取得部702は、後述する検知部540A(
図16参照)による検知結果を取得する。より具体的には、後述する検知部540Aには、センサ544が設けられており、検知結果取得部702は、このセンサ544からの出力を取得する。
監視手段の一例としての監視部703は、後述する検知部540Aの状態を監視する。監視部703による処理の詳細については後述する。
【0101】
〔コンテナ510の詳細〕
図13を参照し、収集部材530等についてさらに説明する。
複数の収集部材530は、コンテナ510内の気体を収集するのに用いられる。収集部材530は、互いに異なる複数箇所の各々に設置されている。より具体的には、複数の収集部材530は、コンテナ510の長手方向における位置が互いに異なるように配置されている。
なお、複数の収集部材530は、コンテナ510の短手方向における位置をずらした状態で配置してもよい。また、複数の収集部材530は、高さ方向における位置をずらした状態で配置してもよい。
【0102】
本実施形態では、コンテナ510内の空間が、特定の物質が含まれているか否かの判断の対象となる対象空間となっている。
この対象空間における複数箇所の各々に、収集部材530が設置され、この複数箇所の各々における気体が、収集部材530により取集(採取)される。
また、コンテナ510には、コンテナ510の内部とコンテナ510の外部とを区画する区画部511が設けられている。複数の収集部材530は、この区画部511により支持されている。
【0103】
区画部511としては、天井部511A、側壁部511B、底部511Cが設けられ、本実施形態では、天井部511Aや側壁部511Bにより収集部材530が支持される。
また、本実施形態では、このコンテナ510内に、このコンテナ510によって輸送される物(不図示)が収容される。
以下、本明細書では、コンテナ510に収容される物を、「収容物」と称する。
【0104】
収集部材530の各々は、樹脂材料により構成されている。また、収集部材530の各々は、可撓性を有する管状部材により構成されている。これにより、本実施形態では、収集部材530の位置の調整を行える。
より具体的には、収集部材530の各々は、その先端部531に、気体を吸い込むための吸い込み口531Aを有し、本実施形態では、収集部材530を変形させることで、この吸い込み口531Aの位置の変更を行える。
【0105】
さらに、収集部材530の各々は、巻き取られた形で設けられ、収集部材530の巻き取りを解くことで、また、収集部材530を巻き取ることで、収集部材530の長さの変更を行える。
また、収集部材530は、垂れ下がっており、収集部材530の巻き取りを解くことで、また、収集部材530を巻き取ることで、気体の採取位置が上下方向へ移動する。
【0106】
本実施形態のように、被供給部541が、コンテナ510の外部に設置される場合、収集部材530により収集された気体は、コンテナ510の外部へ移動して、この外部に設けられた被供給部541に供給される。
言い換えると、収集部材530により収集された気体は、収容物を収容する収容空間950の外部へ移動して、この外部に設けられた被供給部541に供給される。
【0107】
さらに、本実施形態では、
図13に示すように、収集部材530の各々により収集された気体が流れ込む共通の管路550(以下、「共通管路550」と称する)が設けられている。
複数の収集部材530の各々により収集された気体は、この共通管路550に流れ込むことで合流し、この気体は、この共通管路550を通じて被供給部541に供給される。
さらに、本実施形態では、収集部材530により収集された気体を被供給部541へ送るためのコンプレッサーやポンプ(不図示)が設けられている。
【0108】
さらに、コンテナ510には、収集部材530により収集された気体をコンテナ510の外部へ送るための開口512が設けられている。言い換えると、コンテナ510には、コンテナ510の内部と外部とを接続するための開口512が設けられている。
共通管路550は、この開口512を通され、コンテナ510の内部から外部にかけて設けられている。
【0109】
〔被供給部541の構成〕
図16は、被供給部541の構成を示した図である。
被供給部541には、この被供給部541に供給される気体に含まれる検知対象を検知する検知部540Aが設けられている。言い換えると、被供給部541には、コンテナ510からの気体に含まれる検知対象を検知する検知部540Aが設けられている。
検知手段の一例としてのこの検知部540Aは、生物的要素を利用して検知対象を検知する。より具体的には、検知部540Aは、生物的要素を利用して、収集部材530により収集された気体に含まれる特定の物質を検知する。
【0110】
検知部540Aには、昆虫の嗅覚受容体タンパク質発現細胞(以下、「受容体発現細胞」と称する)が収容された細胞用容器542が設けられている。本実施形態では、生物的要素の一例としての、この受容体発現細胞を用い、気体に含まれる特定の物質を検知する。
ここで、「生物的要素を用いる」とは、生物から採取したものを用いることを指し、生物から採取したものをそのまま用いる態様に限らず、生物から採取されたものを加工したものを用いる態様や、生物から採取したものを培養したものを用いる態様なども含む。
【0111】
また、検知部540Aには、細胞用容器542を支持する基板543が設けられている。ここで、基板543は、ガラスなどの透明な材料により構成される。
さらに、検知部540Aには、受容体発現細胞が発する光を検出して信号を出力するセンサ544が設けられている。
センサ544からの信号は、情報処理装置600(
図13参照)に出力される。そして、情報処理装置600に設けられた検知結果取得部702(
図15参照)が、このセンサ544からの信号を、検知結果として取得する。
【0112】
受容体発現細胞は、一般的な遺伝子工学的手法により作製できる。
具体的には、特定の匂い物質に対する昆虫の嗅覚受容体タンパク質をコードする遺伝子と、匂い物質がこの嗅覚受容体タンパク質に結合したことを確認するための蛍光タンパク質をコードする遺伝子とを昆虫培養細胞発現用ベクターに組み込む。
そして、この昆虫培養細胞発現用ベクターを宿主細胞にトランスフェクトすることにより、受容体発現細胞が作成される。
【0113】
昆虫としては、例えば、キイロショウジョウバエ、ハマダラカ、カイコガが挙げられ、これらの昆虫から、100種類以上の嗅覚受容体タンパク質が特定されている。
嗅覚受容体タンパク質は、例えば、フェネチルアルコール、メチルベンゾエート、エチルベンゾエート、ベンジルアルコール、メチルサリシレート、ベンズアルデヒド、ペンタナール、ヘキサナール、E2-ヘキサナール、2-ヘプタノン、6-メチル-5-へプテン-2-オン、2-メチルフェノール等の匂い物質に対して高い応答特性を有する。
【0114】
匂い物質などの特定の物質が受容体に結合すると、受容体発現細胞内へのイオンの流入が起こり、匂い物質が結合した受容体発現細胞は、発光する。
センサ544は、例えば、基板543の裏面側に配置されている。具体的には、センサ544は、基板543を挟み、細胞用容器542とは反対側に設けられている。
センサ544は、例えば、CCD型イメージセンサやCMOS型イメージセンサにより構成される。センサ544には、光電変換素子が2次元アレイ状に配置されている。
【0115】
本実施形態では、センサ544によって、細胞用容器542を撮影した画像が得られる。センサ544により得られたこの画像は、情報処理装置600(
図13参照)へ送信される。
言い換えると、センサ544(検知部540A)による検知結果が、情報処理装置600(
図13参照)へ送信される。
【0116】
そして、情報処理装置600では、検知結果取得部702が、この画像(検知結果)を解析して、コンテナ510からの気体中に、予め定められた特定の物質が含まれているかを判断する。言い換えると、検知結果取得部702は、この画像を解析して、コンテナ510からの気体中に、検知対象が含まれているか否か判断する。
【0117】
より具体的には、検知結果取得部702は、例えば、センサ544により得られた画像の平均輝度値を把握する。ここで、平均輝度値は、各画素の輝度値の和を画素の総数で割った値である。そして、検知結果取得部702は、この平均輝度値が、予め定められた閾値を超える場合に、検知部540Aにて特定の物質が検出されたと判断する。そして、検知結果取得部702は、特定の物質が検出されたことを示す情報を出力する。
そして、この場合、本実施形態では、情報処理装置600に設けられた表示装置などに、特定の物質が検出されたことを示す情報や、収容物の状態が悪化したことを示す情報などが表示される。
なお、検知結果取得部702は、特定の物質が検出されたことを示す情報に限らず、特定の物質の量についての情報を出力してもよい。より具体的には、検知結果取得部702は、被供給部541に供給される気体に含まれる特定の物質の量についての情報を出力してもよい。
具体的には、この場合は、予め、実験等により、上記の平均輝度値と、特定の物質の量との関係を把握しておく。
より具体的には、例えば、特定の物質の含有量が互いに異なる複数種類の気体であって、特定の物質の含有量が既知の複数種類の気体の各々を順に、センサ544に供給するとともに、各気体を供給した際における、上記の平均輝度値を把握する。
そして、特定の物質の量と、把握したこの平均輝度値との関係を登録した関係テーブルを生成する。
検知結果取得部702は、コンテナ510内からセンサ544への気体の供給に伴い得られる平均輝度値を取得すると、関係テーブルに登録されている情報を参照して、取得したこの平均輝度値に対応する、特定の物質の量を把握する。そして、検知結果取得部702は、この量についての情報を出力する。
これにより、特定の物質の有無についての情報だけでなく、特定の物質の量についての情報も得られるようになる。
【0118】
コンテナ510内の収容物が食品である場合、この食品が腐敗等すると、これに応じて、検知部540Aにて、食品の腐敗に伴って食品から発生する特定の物質が検知される。
この場合、本実施形態では、情報処理装置600に設けられた表示装置などに、特定の物質が検出されたことを示す情報や、収容物の状態が悪化したことを示す情報などが表示される。
なお、検知部540Aの構成は、
図16に示す構成に限られず、検知部540Aは、公知の構成により実現すればよい。
【0119】
コンテナ510(
図13参照)からの気体は、基板543(
図16参照)上に設けられた上流側流路545に供給される。そして、気体は、この上流側流路545を通って、細胞用容器542に供給される。その後、この気体は、下流側流路546を通って、排気用容器547に向かう。そして、この気体は、この排気用容器547内にて、大気に放出される。
なお、本実施形態では、コンテナ510からの気体を、直接、細胞用容器542に供給する場合を説明した。ところで、これに限らず、コンテナ510からの気体を液体に供給して、この気体に含まれる成分がこの液体に含まれるようにし、気体に含まれる成分を含んだこの液体を、細胞用容器542に供給してもよい。
【0120】
さらに、
図16に示すように、被供給部541には、受容体発現細胞を培養するための培養液を細胞用容器542に供給する供給機構548が設けられている。
培養液は、炭素源、窒素源、金属塩、ミネラル、ビタミン等を含む通常の培地により構成され、予め定められたタイミング毎に、細胞用容器542に供給される。また、本実施形態では、培養液に、受容体発現細胞も含まれている。
【0121】
〔第1温度調整部〕
さらに、本実施形態では、
図16に示すように、保護手段、機能向上手段の一部として機能する第1温度調整部579が設けられている。さらに、
図16に示すように、検知部540Aの温度を得る温度センサ540Eが設けられている。
第1温度調整部579には、加温部および冷却部が設けられ、この加温部および冷却部を稼働させることで、検知部540Aの温度を上昇させたり、検知部540Aの温度を低下させたりして、検知部540Aの温度を調整する。
【0122】
より具体的には、本実施形態では、制御部701(
図15参照)が、温度センサ540Eからの出力に基づき、第1温度調整部579の制御を行い、検知部540Aの温度を上昇させたり、検知部540Aの温度を低下させたりする。これにより、検知部540Aの温度が特定の範囲内に収まる。
【0123】
検知部540Aの温度が高すぎたり低すぎたりすると、検知部540Aの検知性能が低下したり、検知自体が行えなくなったりするおそれがある。
言い換えると、本実施形態の検知部540Aは、温度、光などの外的要因の影響受けやすく、この外的要因の影響を受け、検知部540A(の受容体発現細胞)が劣化する。この場合、検知部540Aによる検知性能が低下したり、検知自体が行えなくなったりする。
【0124】
これに対し、本実施形態では、この外的要因に基づく検知部540Aの劣化からこの検知部540Aを保護する保護手段として、第1温度調整部579が設けられている。この第1温度調整部579によって、検知部540Aの保護が図られる。
また、第1温度調整部579は、検知部540Aの機能を向上させる機能向上手段としても機能する。本実施形態のように、検知部540Aの温度が特定の範囲内とされると、検知部540Aの温度が特定の温度以外となる場合に比べ、検知部540Aの検知機能が向上する。言い換えると、特定の物質の検知をより精度よく行える。
【0125】
なお、
図16に示した構成例では、第1温度調整部579が、検知部540Aを構成する各種の部材から離間した状態で設けられているが、例えば、第1温度調整部579を基板543に接触させるなど、検知部540Aを構成する部材に、第1温度調整部579を接触させてもよい。
【0126】
さらに、
図16に示した構成例では、保護手段の他の一例としての覆い部材540Xが設けられている。
この覆い部材540Xは、板状に形成され、検知部540Aの対向位置に配置されている。この構成例では、覆い部材540Xは、基板543、細胞用容器542、第1温度調整部579よりも、図中、上方に配置されている。
本実施形態では、検知部540Aが、覆い部材540Xにより覆われている。これにより、本実施形態では、紫外線などの光線が検知部540Aに照射されにくくなる。
【0127】
図13に示すように、被供給部541は、コンテナ510の外部に設置される。言い換えると、被供給部541は、気体についての検知を行う対象空間の外部に設置される。
この場合、検知部540Aに、紫外線などの光線が照射されやすくなる。本実施形態のように、覆い部材540Xが設けられていると、光線が検知部540Aに照射されにくくなる。
【0128】
〔第2温度調整部〕
さらに、本実施形態では、
図13に示すように、収集部材530により収集された気体の温度を調整する第2温度調整部589が設けられている。
本実施形態では、被供給部541(検知部540A)に向かう気体の移動方向において、最も下流側に位置する接続部555(符号501Cで示す接続部555)よりも下流側に且つ被供給部541(検知部540A)よりも上流側に、第2温度調整部589が設けられている。
【0129】
本実施形態では、収集部材530と共通管路550とが接続する接続部555が複数設けられているが、この複数の接続部のうちの最も下流側に位置する接続部555よりも下流側に、第2温度調整部589が設けられている。
また、被供給部541(検知部540A)よりも上流側に、第2温度調整部589が設けられている。
【0130】
第2温度調整部589は、加温部および冷却部を有し、共通管路550を通ってきた気体の加温や冷却を行ったうえで、この気体を下流側に流す。言い換えると、第2温度調整部589は、検知対象の物質を含みうる気体の加温や冷却を行ったうえで、この気体を下流側に流す。これにより、温度が調整された後の気体が、被供給部541(検知部540A)に供給される。
ここで、この第2温度調整部589も、保護手段、機能向上手段として機能し、本実施形態では、被供給部541(検知部540A)に供給される気体を処理することで、検知部540Aの保護や、検知部540Aの機能の向上を図る。具体的には、気体の加温処理や冷却処理を行うことで、検知部540Aの保護や、検知部540Aの機能の向上を図る。
【0131】
第2温度調整部589では、被供給部541に供給される気体に対する加温処理や冷却処理を行うことで、被供給部541に供給される気体の温度が特定の範囲内に収まるようにする。
これにより、被供給部541に設けられた検知部540Aの保護が図られ、また、検知部540Aの検知機能が向上する。
【0132】
より具体的には、第2温度調整部589には、温度センサ(不図示)が設けられており、制御部701(
図15参照)が、この温度センサによる検知結果に基づき、第2温度調整部589に達した気体に対する加温処理や冷却処理を行う。
これにより、第2温度調整部589を通過した後の気体の温度が、特定の範囲内に収まり、検知部540Aの保護が図られ、また、検知部540Aの検知機能が向上する。
【0133】
なお、本実施形態では、コンテナ510の外部に、第2温度調整部589が設けられているが、これに限らず、コンテナ510の内部に、第2温度調整部589を設けてもよい。
また、上記の通り、検知部540Aには、気体に含まれている成分を含んだ液体を供給してもよく、この場合、第2温度調整部589では、この液体に対する加温処理や冷却処理を行う。
また、本実施形態では、第1温度調整部579、第2温度調整部589の2つの温度調整部が設けられているが、一方の温度調整部のみを設けてもよい。
【0134】
また、上記の構成では、収集部材530の各々と共通管路550とを単に接続した構成であったが、収集部材530と共通管路550との接続部555の各々に、収集部材530と共通管路550との接続および接続の遮断を行う弁(不図示)を設けてもよい。弁は、例えば、電磁弁により構成される。
【0135】
そして、この場合、制御部701によって、複数設けられた弁のうちの、例えば1つの弁のみが開放される。また、制御部701によって、開放される弁の切り替えが順に行われる。
これにより、複数の収集部材530のうちの一部の収集部材530から、被供給部541への気体の供給が順に行われる。この場合、被供給部541に設けられた検知部540Aでは、収集部材530の設置箇所の各々における気体の質の検知が順に行われる。
【0136】
〔気体や液体に対する他の処理〕
検知部540Aに供給される気体や液体に対する処理としては、気体や液体の温度を調整する処理に限られない。
検知部540Aに供給される気体や液体に対する処理としては、その他に、例えば、検知部540Aに設けられた受容体発現細胞を死滅等させてしまう特定の成分を、気体や液体から除去したり、この特定の成分を気体や液体から減じたりする処理が挙げられる。
【0137】
受容体発現細胞を死滅等させてしまう特定の成分の除去や低減は、例えば、この気体や液体を、フィルターを通すことにより行う。
また、その他に、検知部540Aに供給される気体や液体に対する処理としては、気体や液体に対して、予め定められた物質を添加する処理が挙げられる。物質を添加することにより、気体や液体の改質がなされ、検知部540Aの保護や検知部540Aの機能の向上を図れる。
ここで、物質を添加する処理の一例としては、液体のpHを変化させる物質を、この液体に添加する処理が挙げられる。
また、物質を添加する処理の他の一例としては、コンテナ510内から得られた気体とは異なる気体を、コンテナ510内から得られたこの気体に供給する処理が挙げられる。
【0138】
〔コンテナ510等の他の構成例〕
図17は、検知部540Aが、コンテナ510の内部に設置された構成例を示している。さらに、この構成例では、コンテナ510の内部の温度や湿度を制御する空調機器952が設けられている。
この構成例では、空調機器952が、環境調整手段として機能しており、この空調機器952により、検知部540Aが設置された環境が、予め定められた環境に調整される。
より具体的には、検知部540Aが設置された環境が、予め定められた温度や予め定められた湿度とされる。これにより、この場合も、検知部540Aの保護が図られ、また、検知部540Aの機能の向上が図られる。
なお、この構成例でも、検知部540Aには、
図16にて示した第1温度調整部579が設けられており、コンテナ510の内部の温度の調整とは別に、検知部540A自体の温度の調整を行えるようになっている。
【0139】
〔被供給部541の他の構成例〕
図18は、被供給部541の他の構成例を示した図である。
この構成例では、被供給部541に、受容体発現細胞を有する検知部540Aが複数設けられている。より具体的には、この構成例では、受容体発現細胞を収容した細胞用容器542を有する検知部540Aが複数設けられている。
【0140】
上記に説明した構成例(
図16にて示した構成例)では、検知部540Aが、細胞用容器542、基板543、センサ544の3つの要素により構成されていた。
この構成例では、検知部540Aの各々は、細胞用容器542の1つの要素とこの細胞用容器542を収容する容器540Yとにより構成されている。
また、センサ544については、共用化が図られ、1つのセンサ544によって、細胞用容器542の各々の画像が取得される。
【0141】
この構成例では、気体に含まれる特定の物質の検知に、複数の検知部540Aのうちの、符号506Aで示す、一部の検知部540Aが用いられる。言い換えると、この構成例では、検知対象の検知に、一部の検知部540Aが用いられる。
この構成例では、この一部の検知部540A以外の他の検知部540A(符号506Bで示す複数の他の検知部540A)については、使用されるまでの間、保護される。
この構成例では、他の検知部540Aの各々(細胞用容器542の各々)は、密閉された空間に収容されている。言い換えると、細胞用容器542の各々は、密閉された容器540Yに収容されている。
【0142】
さらに、この構成例では、他の検知部540Aの各々(細胞用容器542の各々)は、いわゆる冷蔵され、低温の環境下に置かれている。
より具体的には、この構成例では、低温の収容室541Xが設けられており、他の検知部540Aの各々は、この収容室541Xに収容され、一定の温度に保たれている。
これにより、本実施形態では、未だ使用されていない状態にある、この他の検知部540Aの各々が、保護された状態となっている。
【0143】
この構成例では、例えば、一の検知部540A(符号506Aで示す検知部540A)の使用時間が予め定められた時間を超えると、不図示の第1移動機構が作動し、この一の検知部540Aは、廃棄用容器541Zへ移動し、廃棄される。
一の検知部540Aが使用されているときには、この一の検知部540Aは、センサ544の対向位置に配置されるが、一の検知部540Aの使用時間が予め定められた時間を超えると、この一の検知部540Aは、センサ544の対向位置から外れた箇所へ移動する。
【0144】
次いで、この場合、1つの他の検知部540Aが、収容室541Xから、コンテナ510からの気体の供給箇所541G(以下、「気体供給箇所541G」と称する)へ移動する。
より具体的には、第2移動機構910が作動し、1つの他の検知部540Aが、収容室541Xから押し出されて、気体供給箇所541Gへ移動する。言い換えると、この1つの他の検知部540Aは、センサ544の対向位置へ移動する。
【0145】
さらに、この1つの他の検知部540Aは、開封される。これにより、以後は、この他の検知部540Aが用いられて検知が行われる。
また、この1つの他の検知部540Aの使用時間が、予め定められた時間を超えると、収容室541X内の他の検知部540Aが、気体供給箇所541Gへ新たに供給され、この他の検知部540Aが用いられて検知が行われる。
【0146】
対象物の検知に用いる生物的要素は、時間の経過に伴い、検知性能が低下する。
図18にて示す構成例では、予め定められた時間が経過する度に、新たな検知部540Aが用いられるようになり、検知部540Aによる検知精度が低下することを抑えられる。言い換えると、予め定められた時間が経過する度に、新たな生物的要素が用いられるようになり、検知部540Aによる検知精度が低下することを抑えられる。
なお、
図18にて示した構成例では、第2移動機構910に、進出部材911が設けられ、この進出部材911を、収容室541Xに向けて進出させることで、他の検知部540Aを、気体供給箇所541Gに供給した。
気体供給箇所541Gへの他の検知部540Aの供給は、この構成に限らず、例えば、ベルトコンベアを用いるなど、他の公知の構成により行ってもよい。
【0147】
〔監視部による監視処理〕
次に、監視部703(
図15参照)による監視処理について説明する。
監視部703は、検知部540A(
図16参照)が特定の状態となった場合に、検知部540Aに異常がある旨の情報を出力する。なお、監視部703は、異常がある旨の情報の出力に替え、又は、異常がある旨の情報の出力に加え、検知部540Aの交換が必要である旨の情報を出力してもよい。
【0148】
ここで、監視部703は、例えば、検知部540Aの検知結果を取得し、取得したこの検知結果に基づき、検知部540Aの状態を把握する。より具体的には、監視部703は、センサ544からの出力を取得し、取得したこの出力に基づき、検知部540Aの状態を把握する。
より具体的には、監視部703は、成分が調整済みの気体又は液体が検知部540Aに供給された場合における、検知部540Aの検知結果を取得する。
より具体的には、この場合、ユーザが手動で、又は、供給機構(不図示)を作動させ、検知部540Aにより検知されうる物質を予め定められた量含んだ気体又は液体を、検知部540Aに供給する。
【0149】
そして、この場合、検知部540Aによる検知結果が検知部540Aから出力されてくるが、この場合、監視部703が、この検知結果により特定される値が、特定の範囲内に収まっているか否かを判断する。より具体的には、監視部703は、平均輝度値が、特定の範囲内に収まっているか否かを判断する。
そして、監視部703は、この検知結果により特定される値が、特定の範囲内に収まっていない場合に、上記の通り、検知部540Aに異常がある旨の情報を出力したり、検知部540Aの交換が必要である旨の情報を出力したりする。
【0150】
言い換えると、この場合、監視部703は、検知部540Aが予め定められた特定の状態にある旨の情報を出力する。
これらの情報は、例えば、情報処理装置600の表示装置や、ユーザが有するPC(Personal Computer)などに送信される。これにより、ユーザは、検知部540Aが異常であることや、検知部540Aの交換が必要であることを把握できる。
【0151】
また、監視部703は、複数の検知部540Aの各々からの検知結果を比較して、特定の状態にある検知部540Aを検出してもよい。
より具体的には、このように、複数の検知部540Aの各々からの検知結果を比較する場合は、例えば、
図19(検知部540Aの他の構成例を示した図)に示すように、細胞用容器542およびセンサ544を複数組設けるとともに、この細胞用容器542の各々に、コンテナ510からの気体や液体が供給されるようにする。
【0152】
そして、この場合、監視部703は、複数のこの検知部540Aの各々からの検知結果(平均輝度値)を比較して、異常がある検知部540Aや、交換が必要である検知部540Aを検出する。
複数設けられた検知部540Aの中に、異常がある一の検知部540Aが存在する場合、この一の検知部540Aにて得られる平均輝度値が、他の残りの検知部540Aにて得られる平均輝度値とは異なるようになる。この場合、監視部703は、この一の検知部540Aが異常である旨の情報や、この一の検知部540Aの交換が必要である旨の情報を出力する。
【0153】
より具体的には、この処理を行う場合、監視部703は、1つの検知部540A毎に、異常があるか否か、あるいは、交換が必要であるか否かを判断する。
より具体的には、監視部703は、1つの検知部540A毎の判断にあたっては、1つの検知部540Aにより得られた平均輝度値と、残りの他の複数の検知部540Aにより得られた複数の平均輝度値の平均値とを比較する。
【0154】
そして、監視部703は、1つの検知部540Aにより得られた平均輝度値と、残りの他の複数の検知部540Aにより得られた複数の平均輝度値の平均値との差が予め定められた閾値を超える場合、この1つの検知部540Aに異常がある旨の情報を出力する。若しくは、監視部703は、この1つの検知部540Aの交換が必要である旨の情報を出力する。
【0155】
なお、このように、複数の検知部540Aを設けた場合における検知結果は、例えば、この複数の検知部540Aにより得られる複数の検知結果を平均することにより得る。言い換えると、特定の物質の検知を行う通常の処理時における検知結果は、複数の検知部540Aにより得られる複数の平均輝度値を平均することにより得る。
言い換えると、この場合は、複数の検知部540Aにより得られる複数の検知結果の和を、検知部540Aの設置数で割った値を、検知結果とする。
【0156】
〔その他〕
上記では、検知部540Aによる検知対象として、気体、液体を一例に挙げたが、検知部540Aによる検知対象としては、気体、液体に限られず、光や電磁波なども挙げられる。
言い換えると、検知部540Aによる検知対象としては、気体、液体のように検知部540Aに直接触れるものに限らず、光や電磁波などの検知部540Aに直接的には触れないものであってもよい。
例えば、野菜等の生鮮品の鮮度の測定の指標として、クロロフィル蛍光があり、このクロロフィル蛍光を、生物的要素を用いて検知してもよい。
【0157】
また、上記で説明した各構成は、上記の実施形態及びその変形例に限られるものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で変更できる。言い換えると、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解される。
上記にて説明した構成に限らず、上記にて説明した各構成の一部を省略したり、上記にて説明した各構成に対して他の機能を付加したりしてもよい。
また、上記では、複数の実施形態を説明したが、一の実施形態に含まれる構成と他の実施形態に含まれる構成とを入れ替えたり、一の実施形態に含まれる構成を他の実施形態に付加したりしてもよい。
【0158】
ここで、上記にて説明した実施形態の各々は、以下のように捉えることができる。
生物的要素を利用して検知対象を検知する検知部540Aと、外的要因に基づく検知部540Aの劣化から検知部540Aを保護する保護手段と、を備える検知装置520。
この場合、外的要因に基づく検知部540Aの劣化から検知部540Aが保護されるため、検知部540Aの機能がより発揮される。
【0159】
保護手段の一例としては、第1温度調整部579が挙げられ、この第1温度調整部579は、検知部540Aの温度を調整して、検知部540Aを保護する。この場合、検知部540Aの温度を調整しない場合に比べ、検知部540Aを特定の温度とすることができ、検知部540Aを、検知対象の検知に、より適した状態とすることができる。
また、検知部540Aは、複数設けられ、保護手段は、検知対象の検知に一部の検知部540Aが用いられるようにして、他の検知部540Aを保護する。この場合、一部の検知部540Aが用いられる際には、他の検知部540Aが保護され、他の検知部540Aが保護されない場合に比べ、この他の検知部540Aの機能を、より長い時間、維持することができる。
【0160】
また、検知対象の検知に一部の検知部540Aが用いられている際、他の検知部540Aは、密閉された空間に収容されている。この場合、一部の検知部540Aが用いられる際には、他の検知部540Aは、密閉された空間に収容され保護された状態となる。この場合、他の検知部540Aが密閉された空間に収容されない場合に比べ、この他の検知部540Aの機能を、より長い時間、維持することができる。
また、検知対象を含みうる気体又は液体が検知部540Aに供給され、保護手段は、検知部540Aに供給される気体又は液体を処理することで、検知部540Aを保護する。この場合、検知部540Aに供給される気体又は液体の状態を、検知部540Aにより適した状態とすることができ、検知部540Aに供給される気体又は液体に起因して、検知部540Aに不具合が生じることを抑制できる。
【0161】
また、検知部540Aの状態を監視する監視部703を有する。この場合、検知部540Aに不具合が生じていることを把握可能となる。
また、監視部703は、検知部540Aが特定の状態となった場合、検知部540Aに異常がある旨の情報を出力し、及び/又は、検知部540Aの交換が必要である旨の情報を出力する。この場合、ユーザに対して、検知部540Aに異常があることを通知可能となり、また、検知部540Aの交換が必要であることを通知可能となる。
【0162】
また、検知部540Aは、複数設けられ、監視部703は、複数の検知部540Aの各々からの出力を比較して、特定の状態にある検知部540Aを検出する。この場合、複数の検知部540Aの各々からの出力を利用して、特定の状態にある検知部540Aを検出することができる。
また、監視部703は、成分が調整済みの気体又は液体が検知部540Aに供給された場合における、検知部540Aの検知結果を取得し、取得した検知結果に基づき、検知部540Aの状態を把握する。この場合、成分が調整されていない気体や液体が検知部540Aに供給される場合の検知結果に基づき、検知部540Aの状態を把握する場合に比べ、より正確に、検知部540Aの状態を把握できる。
【0163】
また、保護手段としては、覆い部材540Xを一例に挙げることができ、この覆い部材540Xは、検知部540Aの対向位置に配置され検知部540Aを覆う。この場合、検知部540Aを劣化させる要因となる光を遮ることができ、検知部540Aを劣化させる要因となる、検知部540Aへの光の照射を抑制できる。
【0164】
また、本実施形態の検知装置520は、生物的要素を利用して検知対象を検知する検知部540Aと、検知部540Aが有する検知機能を向上させる機能向上手段と、を備える検知装置520である。
この検知装置520では、検知部540Aが有する検知機能が向上し、生物的要素を利用して検知対象を検知する検知部540Aの機能がより発揮される。
【0165】
また、本実施形態の検知システムは、生物的要素を利用して検知対象を検知する検知部540Aと、検知部540Aが設置された環境を、予め定められた環境に調整して、検知部540Aを保護し又は検知部540Aの機能を向上させる空調機器952と、を備える検知システムである。
この検知システムでは、検知部540Aが保護され又は検知部540Aの機能が向上し、生物的要素を利用して検知対象を検知する検知部540Aの機能がより発揮される。
【符号の説明】
【0166】
11…区画部、12…開口、20…検知ユニット、30…収集部材、31A…吸い込み口、40…検知部、63…切り替え機構、70…温度調整部、79…温度調整部、203…画面生成部、800…収容空間、K1~K8…第1検知箇所~第8検知箇所、520…検知装置、540A…検知部、540X…覆い部材、579…第1温度調整部、589…第2温度調整部、952…空調機器、703…監視部