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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180411
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】撮像装置用部品及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20221129BHJP
   H01R 13/6581 20110101ALI20221129BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20221129BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20221129BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20221129BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20221129BHJP
   G03B 15/00 20210101ALN20221129BHJP
【FI】
G02B7/02 Z
H01R13/6581
G03B17/02
H04N5/225 430
H05K9/00 L
G03B30/00
G03B15/00 V
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140023
(22)【出願日】2022-09-02
(62)【分割の表示】P 2020194750の分割
【原出願日】2016-11-15
(31)【優先権主張番号】P 2016021157
(32)【優先日】2016-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】坂本 徹馬
(72)【発明者】
【氏名】坂上 淳哉
(72)【発明者】
【氏名】関根 貴志
(57)【要約】
【課題】電磁波ノイズ対策を施しつつ、安価で容易に製造できる撮像装置用部品及び撮像装置を提供する。
【解決手段】隔壁71bを有する樹脂製の外枠部材7と、隔壁71bの一方側に位置する内部接続ピンと、隔壁71bの他方側に位置する外部接続ピンとを有するピン端子と、隔壁71bの一方側に配置されるシールド用の底壁部60bと、外部接続ピンを包囲するピンシールド53とを備え、底壁部60bと、ピンシールド53とが別体で設けられる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器が備えるコネクタが着脱可能に接続される樹脂製の外枠部材と、
コネクタ端子と、
シールド用の金属薄板と、
シールド用の金属成形体とを備えており、
前記外枠部材は、前記金属成形体と接触してこれを保持する隔壁を有し、
前記コネクタ端子は、前記金属成形体の内側に保持されており、前記隔壁の一方側に位置して前記コネクタと導通接続する外部接触部と、前記隔壁の他方側に位置する内部接触部とを有し、
前記金属薄板は、前記他方側に配置されるものであり、
前記金属薄板と、前記金属成形体とが別体で設けられ、前記金属薄板と、前記金属成形体とが導通接続し、
前記金属成形体及び前記外部接触部は、前記コネクタの取付け前には外部に露出しており、前記コネクタが接続されることによって前記外枠部材と前記コネクタとに覆われる
撮像装置用部品。
【請求項2】
前記金属薄板は、前記隔壁による壁面に配置される
請求項1記載の撮像装置用部品。
【請求項3】
前記金属成形体は、前記金属薄板を貫通する筒状本体を有する
請求項1又は請求項2記載の撮像装置用部品。
【請求項4】
前記金属成形体は、その内部に、前記コネクタ端子と前記コネクタ端子を保持する樹脂材でなる端子保持体とを有する
請求項1~請求項3何れか1項記載の撮像装置用部品。
【請求項5】
請求項1~請求項4何れか1項記載の撮像装置用部品を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置に関し、特に車載用カメラ等の撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のドライブレコーダーや車両後方の視認性の向上のために用いられる車載用カメラや、銀行や商店等において防犯のために用いる監視カメラ等のように、撮像素子を内蔵する小型の撮像装置が利用されている。その従来の撮像装置の一例は、例えば特開2007-1334号公報(特許文献1)に記載されている。
【0003】
この特許文献1に記載の車載カメラ1(撮像装置)は、内部に電子部品を収容するカメラケースを構成する樹脂成形体でなる後側ケース9を備えており、この後側ケース9には筒型の外部接続用のコネクタ部11が形成されている。そしてカメラケースには、一端側が後側ケース9に突出し、他端側がコネクタ部11に突出して、後側ケース9の内部の電子部品をコネクタ部11に接続する車両側ハーネス101の相手方コネクタ100と導通接続するピン状のコネクタ端子11bを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-1334号公報、図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうした撮像装置については、その高性能化に伴って外部から侵入する電磁波ノイズ対策を施したハウジング(カメラケース)が要望されている。この要望に対しては、硬質樹脂の成形体でなるハウジングをアルミ材のダイカスト品とすることが考えられるが、ダイカスト品では重量が嵩むことに加えて製造費用が高くなるという問題がある。また、他の方法としては、後側ケース9とコネクタ部11とをプレスによる金属薄板の絞り成形の成形体により形成することも考えられる。しかしながら、コネクタ部11は後側ケース9よりも細径の筒形状であり、こうした細径のコネクタ部11をそれよりも大きい後側ケース9と一体に絞り成形で製造するのは非常に難易度が高い上に、成形金型も複雑となり製造コストが高くついてしまうことから、量産に適する現実的な解決策とはいえない。
【0006】
以上のような従来技術を背景になされたのが本発明である。その目的は電磁波ノイズ対策を施しつつ、安価で容易に製造できる撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく本発明は以下の特徴を有するものとして構成される。
【0008】
本発明は、撮像部品を内部に収容するケース部と、外部導体を接続するコネクタ部と、前記ケース部と前記コネクタ部の間にある隔壁とを有する樹脂製の外枠部材と、前記ケース部の内部に露出する内部接触部と、前記コネクタ部の内部に露出する外部接触部とを有するコネクタ端子と、を備える撮像装置用部品について、前記ケース部の内部で前記内部接触部を収容する箱状金属シェルでなるケース部シールド体と、前記コネクタ部の内部で前記外部接触部を収容する筒状金属シェルでなるコネクタ部シールド体と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、箱状金属シェルのケース部シールド体によってケース部の内部で、コネクタ端子の内部接触部に対する電磁波ノイズの影響を抑制することができる。また筒状金属シェルのコネクタ部シールド体によって外部導体を接続するコネクタ部の内部で、コネクタ端子の外部接触部に対する電磁波ノイズの影響を抑制することができる。したがって外部の電磁波ノイズが導通路となるコネクタ端子に与える悪影響を抑制することができ、特に高周波信号の伝送にも適する撮像装置用部品を実現できる。また、箱状金属シェルのケース部シールド体と、筒状金属シェルのコネクタ部シールド体とは別体であることから、それぞれ別々に金属薄板のプレス加工による成形体として比較的容易に製造することができる。
【0010】
前記コネクタ部シールド体については、前記ケース部シールド体と導通接触する接触片を有することができる。これによれば接触片を介してコネクタ部シールド体とケース部シールド体とを導通接触させることができるので、その導通路を使って例えばケース部に収容する撮像部品を接地接続することができる。また、発熱する撮像部品を収容するケース部シールド体が接触片を介してコネクタ部シールド体に繋がる放熱経路を形成することができるので、ケース部シールド体の放熱効率を高めることができる。
【0011】
前記接触片は、前記ケース部シールド体に押圧接触するばね片とすることができる。これによれば、ばね片でなる接触片がばね片の弾発力よってケース部シールド体に対して押圧接触する。このためケース部シールド体やコネクタ部シールド体の取付位置にずれが生じても、ばね片でなる接触片がその位置ずれを吸収してケース部シールド体に押圧接触することができる。また、接触片とケース部シールド体との導通接触を取るためにはんだ付け等の作業工程が不要であり、ハウジングにケース部シールド体とコネクタ部シールド体とを組み付けることで確実な導通接触を得ることができる。
【0012】
前記ケース部シールド体については、前記ケース部を形成する筒状周壁の内周面に配置する周壁部と、前記隔壁の前記ケース部に面する壁面に配置する底壁部とを有するものとして構成することができる。これによればケース部と隔壁とで形成される内部空間をケース部シールド体の周壁部と底壁部とで確実に電磁波に対してシールドすることができる。
【0013】
前記コネクタ部シールド体については、前記コネクタ部の内部から前記隔壁を貫通して前記ケース部シールド体の内部に突出する筒状本体を有することができる。これによれば、筒状本体によってコネクタ部の内部から隔壁を貫通してケース部シールド体の内部まで至るコネクタ端子の導通路を途切れることなく確実にシールドすることができる。
【0014】
前記コネクタ部シールド体については、その内部に、前記コネクタ端子と前記コネクタ端子を保持する樹脂材でなる端子保持体とを有することができる。これによれば、コネクタ部シールド体の内部に、前記コネクタ端子とこれを保持する端子保持体とを有するシールド内コネクタ部を備えるので、コネクタ部シールド体によって確実に導通路となるコネクタ端子をシールドすることができる。また、コネクタ部シールド体の内部にシールド内コネクタ部を備えることで、シールド内コネクタ部とコネクタ部シールド体とを一体に、つまり一部品として取り扱うことができるので、製造工程における取り扱いも容易である。
【0015】
前記コネクタ部シールド体については、その外面から突出して前記外枠部材に係止する係止部を有することができる。これによれば、コネクタ部シールド体の係止部によって外枠部材に対する取付状態を正しく保持することができる。
【0016】
また、本発明は以上の何れかの撮像装置用部品を備える撮像装置を提供する。これによれば箱状金属シェルでなるケース部シールド体と筒状金属シェルでなるコネクタ部シールド体とによって、撮像部品からの電気信号の伝送路となるコネクタ端子での高周波信号の伝送にも耐えうる確実な電磁波シールドを実現できる。そしてそれらを別体として構成することで安価で容易に製造することが可能であり、また外枠部材が樹脂製であるためダイカスト品よりもはるかに軽量である撮像装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、箱状金属シェルでなるケース部シールド体と筒状金属シェルでなるコネクタ部シールド体とによって、撮像部品からの電気信号の伝送路となるコネクタ端子による高周波信号の伝送にも耐えうる確実な電磁波シールドを実現しつつ、それらを別体として構成することで、安価で容易に製造することができる撮像装置を提供することができる。また、外枠部材が樹脂製であることからダイカスト品よりもはるかに軽い軽量性を特徴とする撮像装置を提供することができる。したがって本発明は高性能な撮像装置の普及拡大に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態による撮像装置の分解斜視図。
図2図1のX方向から見た撮像装置の分解図。
図3図1の撮像装置のX-Z平面に沿う中央縦断面図。
図4図1の撮像装置のY-Z平面に沿い固定部材の軸心を通る縦断面図。
図5図1のハウジングの正面、右側面、平面を含む斜視図。
図6図1のハウジングの背面、左側面、平面を含む斜視図。
図7図1のハウジングを一部破断して示す斜視図。
図8図1の内枠部材の正面、右側面、平面を含む斜視図。
図9図1の内枠部材の背面、左側面、平面を含む斜視図。
図10図1の外部接続用コネクタの正面、右側面、平面を含む斜視図。
図11図1の外部接続用コネクタの平面図。
図12図1の外部接続用コネクタの背面、左側面、平面を含む斜視図。
図13図1の外部接続用コネクタの背面図。
図14図11のXIV-XIV線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本明細書、特許請求の範囲、図面では、図1で示すX方向を撮像装置及びその構成部品の左右方向とし、Y方向を前後方向とし、Z方向を光軸方向、高さ方向、上下方向として説明する。しかしながら、このような方向の特定は本発明の撮像装置等の実装方向、使用方向を限定するものではない。
【0020】
撮像装置1の構成
撮像装置1は、前側が開口部81となっているハウジング8と、ハウジング8の内部に設けられた「撮像部品」としての撮像回路ユニット4と、ハウジング8の開口部81に取り付けられるレンズユニット3と、ハウジング8の内部に設けられ撮像回路ユニット4を外部機器と接続する外部接続用コネクタ5と、撮像回路ユニット4をハウジング8内に固定する固定部材9とを備えて構成されている。
【0021】
ハウジング8は、外枠部材7と、外枠部材7の内部に密着して設けられた「ケース部シールド体」としての箱状金属シェルでなる内枠部材6とを備える。内枠部材6は外枠部材7に対してインサート成形されており、したがってハウジング8は外枠部材7と内枠部材6とを一体化した成形体として形成されている。
【0022】
外枠部材7は、熱伝導率が1~20W/mKである熱伝導性樹脂の成形体でなり、前方に「ケース部」としての箱状部71、後方に「コネクタ部」としての筒状部72が形成されている。
【0023】
箱状部71は、筒状周壁71aを有し、その前側は開口部77となっており、その反対側の後側には隔壁71bによる底壁71cが形成されており、全体として矩形の箱状に形成されている。箱状部71の内部には、内枠部材6を収容する空洞部76が形成されている。空洞部76の対向する2カ所の隅部には、それぞれZ方向に沿う柱状部78が設けられている。柱状部78にはネジを螺合するためのネジ穴79が形成されている。底壁71cには、後述する第1挿入孔73の孔縁に設けた筒状支持壁71dが形成されている。筒状支持壁71dは円筒状の樹脂壁であり、その外周には第1の凹部71eと第2の凹部71fが形成されている。第1の凹部71eは、後述するピンシールド53に設けた「係止部」としての位置決め突起533が嵌まり込み、第2の凹部71fは接触片532が弾性変形可能な状態で入り込む(図7参照)。また、筒状支持壁71dは、後述するピンシールド53を第1挿入孔73に挿入する際に、内枠部材6と擦れるように接触するのを絶縁する隔壁としても機能する。このためピンシールド53の挿入時に内枠部材6と擦れることで短絡の原因となる金属カスの発生を防ぐことができる。
【0024】
筒状部72は、円筒形に形成されており、その前側には隔壁71bを貫通して空洞部76と連通するとともに、外部接続用コネクタ5を挿入して取付ける第1挿入孔73が形成されている。他方、筒状部72の後側には第1挿入孔73と連通し中継コネクタ2のソケット21を挿入可能な第2挿入孔74が形成されている。また筒状部72の外周部には中継コネクタ2を係止するための突起である係止爪75が形成されている。
【0025】
「ケース部シールド体」としての内枠部材6は、箱状部71の筒状周壁71aを覆う周壁部60aと、箱状部71の底壁71cを覆う底壁部60bとを有する有底筒状に形成されている。内枠部材6は、アルミニウムや銅合金等、熱伝導性に優れた金属材で形成されている。内枠部材6の前側は開口部61となっており、内枠部材6の内部には空洞部63が形成され、底壁部60bには空洞部63と連通し、外部接続用コネクタ5を挿入可能な第3挿入孔62が形成されている。内枠部材6の開口部61における対向する一対の角部には、空洞部63の内部に向けて内向きフランジ状に突出する取付板67が突出して形成されている。取付板67には、ネジである固定部材9と螺合する、ネジ溝が設けられた取付孔68が形成されている。この内枠部材6は外枠部材7とインサート成形により一体の成形体として形成されている。そのため外枠部材7と内枠部材6との接触面は互いに隙間無く密着しており、したがって両部材間の良好な熱伝導性が得られるようにしている。
【0026】
撮像回路ユニット4は、各種の電気素子と回路配線を有する基板41a、41b、41cと、基板41aと基板41bを接続するコネクタ42aと、基板41bと基板41cを接続するコネクタ42bと、基板41aに実装した撮像素子44と、中継コネクタ48とを備えて構成されている。
【0027】
基板41a、41b、41cはプリント配線基板である。このうち基板41aの表面と裏面には放熱用金属配線43、47が形成されている。放熱用金属配線43、47は、撮像素子44の電気信号を伝送する回路配線とは異なるものであるが、グランド回路配線として機能させることができる。基板41aには固定部材9を挿通するための貫通孔45が設けられている。本実施形態では貫通孔45の内部に放熱用金属配線43に繋がる金属膜45aが形成されている。基板41b、41cにはそれぞれ切欠部49a、49bが形成されている。切欠部49a、49bは、これらの基板41b、41cを内枠部材6の中に挿入するときに、取付板67と当たらずにスムーズに組み込みができるように形成されている。基板41cには外部接続用コネクタ5と導通接続する中継コネクタ48が設けられている。中継コネクタ48は撮像回路ユニット4を外部接続用コネクタ5を介して外部機器に接続する機能を有する。中継コネクタ48には、外部接続用コネクタ5が有する4本のピン端子52と導通接続するため、当該ピン端子52の数と同数の4つのソケット端子がハウジングに設けられている(図示略)。
【0028】
撮像素子44はCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージングデバイスであり、レンズユニット3から導かれる光を電気信号に変換して外部機器への出力を行う。
【0029】
レンズユニット3は、ハウジング8の前面側の開口部81を塞ぐようにして固定される部材であり、板状の本体部32の中央部分には撮像素子44に光を導くレンズ31が設けられている。レンズユニット3のハウジング8への取り付けは嵌合のほか、接着やネジによる固定等、任意の方法を採用することができる。本体部32は正方形状で板状の樹脂成形体にて形成されており、外部の光を透過しない非透光性とされている。レンズ31は外部の光を集光し、撮像素子44の表面に結像する樹脂又はガラス製の部材である。レンズ31は本実施形態においてはインサート成形により本体部32と一体化しているものを想定しているが、接着等により一体化されていてもよい。
【0030】
外部接続用コネクタ5は、撮像回路ユニット4を外部機器と導通接続する。外部接続用コネクタ5は、撮像回路ユニット4の中継コネクタ48と接続する複数の(本実施形態においては4本の)ピン端子52と、ピン端子52が圧入固定される「端子保持体」としてのハウジング51と、ハウジング51とピン端子52の周囲を覆うようにハウジング51に固定される「コネクタ部シールド体」としてのピンシールド53を有している。
【0031】
ピン端子52は、撮像回路ユニット4の中継コネクタ48のソケット端子(図示略)に差し込まれて導通接続される。ピン端子52は、撮像回路ユニット4が生成する電気信号を伝送するほか、外部機器から撮像回路ユニット4への電源供給に使用される。ハウジング51は、各ピン端子52を圧入固定する端子保持孔511が形成された円柱状の樹脂成形体である。各ピン端子52は端子保持孔511に圧入により固定され、ハウジング51の前端からはピン端子52の「内部接触部」としての内部接続ピン521が突出する。また、ハウジング51の後端からはピン端子52の「外部接触部」としての外部接続ピン522が突出する。外部接続ピン522は、円筒状のピンシールド53に覆われて、その内部空間に配置されることとなる。そして、第2挿入孔74の内部に中継コネクタ2のソケット21が挿入されると、ソケット21の内部の接続端子22がピンシールド53の内部に挿入されて、その内部で接続端子22が外部接続ピン522と導通接続されることになる。なお、ハウジング51へのピン端子52の固定は圧入に限らずインサート成形でもよい。
【0032】
ピンシールド53は、ピン端子52を電磁的にシールドする円筒形状の金属成形体であり、筒状本体531と、筒状本体531の前端側においてピンシールド53の筒軸を中心とする放射方向(+X方向、-X方向)にそれぞれ伸びる一対の接触片532が形成されている。接触片532は筒状本体531から片持ち梁状に伸長するばね片として形成されている。したがって接触片532は、弾性変形によって内枠部材6の底壁部60bに対して押圧接触することができる。接触片532は、弾性変形により押圧接触しているため、撮像装置1の組立時にZ方向で各構成部材が僅かに位置ずれしたり、使用時に受ける衝撃や振動により各構成部材が僅かに位置ずれしたりしても、内枠部材6に対する押圧接触を確実に維持することができる。
【0033】
また、ピンシールド53には前方に突出した4本のグランド接続用ピン57が設けられている。
【0034】
ピンシールド53には、外方に突出する位置決め突起533が形成されている。位置決め突起533は、前述の通り箱状部71の底壁71cに形成した筒状支持壁71dの第1の凹部71eに嵌め込まれる。これによりピンシールド53が第1挿入孔73の内部で回転するような外力を受けても、位置決め突起533が第1の凹部71eに対して当接することで回り止めすることができ、ピンシールド53の緩みや脱落を防止することができ、正しい取付状態を維持することができる。
【0035】
固定部材9は、金属製のネジである。固定部材9の軸の部分に形成されたネジ山が基板41aに設けられている貫通孔45のネジ溝と螺合するとともに、さらに内枠部材6に設けられた取付孔68のネジ溝と螺合することで、撮像回路ユニット4をハウジング8に固定することができる。
【0036】
撮像回路ユニット4とハウジング8とが固定部材9により固定された状態において、固定部材9のネジの頭部は基板41aの撮像素子44が形成されている側の放熱用金属配線43と接触し、軸は基板41aの貫通孔45の内部に形成されている金属膜と当接する。
その金属膜は、基板41aの撮像素子44が実装されている面の反対側の面に形成された放熱用金属配線47に繋がっている。放熱用金属配線47は内枠部材6の取付板67に接触しており、さらに内枠部材6は接触片532によりピンシールド53と接触している。
これにより撮像素子44から放熱用金属配線43、固定部材9、貫通孔45の内部の金属膜、放熱用金属配線47を経て、内枠部材6、ピンシールド53に至る熱伝導性に優れる金属材どうしが繋がる熱伝導経路が形成されることになり、撮像素子44の放熱を撮像装置1の構成部品を使って効果的に行えるようにしている。
【0037】
以上のような撮像装置1は、中継コネクタ2を介して外部機器へと接続される。中継コネクタ2は、撮像装置1と外部機器とを接続するコネクタであり、ソケット21と、ソケット21の内部に設けられた接続端子22と、ソケット21に設けられた係止爪23と、ソケット21の後方に伸長するケーブル24と、金属製のケーブル用シールド25とを備えて構成されている。
【0038】
ソケット21は筒状の樹脂成形体にて形成されており、ハウジング8の筒状部72に形成された第2挿入孔74に挿入可能な外形を有している。接続端子22は、撮像装置1の外部接続用コネクタ5のピン端子52と導通接続される。係止爪23は、筒状部72の外周部に形成されている係止爪75と係合することで、中継コネクタ2が筒状部72の内部から脱落しないようにする。ケーブル24は撮像回路ユニット4で生成された電気信号を外部機器に伝達する同軸ケーブルであり、ピン端子52の数に対応した導線が内封されている。なお、撮像装置1の反対側の中継コネクタ2の端部には、外部機器との接続のためのソケットや端子等が形成されている。ケーブル用シールド25は、ピンシールド53の筒状本体531に挿入される接続端子22の基端部分からケーブル24の先端側部分までの間を電磁波シールドするものであり(図3)、円筒状の金属材にて形成されている。中継コネクタ2が撮像装置1に接続されると、ケーブル用シールド25の先端部はピンシールド53の先端部に対して突き当たるように接触する。以上のような中継コネクタ2が撮像装置1に接続されることで、撮像装置1で生成される電気信号を外部機器へと伝達することができる。
【0039】
撮像装置1の作用・効果
本実施形態の撮像装置1の作用・効果について説明済みのものを除き説明する。
【0040】
撮像装置1では、撮像素子44が生じる熱は、放熱用金属配線43、固定部材9、貫通孔45の金属膜、放熱用金属配線47を経て内枠部材6へと伝導され、さらに内枠部材6から外枠部材7へと伝導される熱伝導経路が形成されている。放熱用金属配線43、固定部材9、貫通孔45の金属膜、放熱用金属配線47、内枠部材6は何れも金属材でなり良好な熱伝導性を有する。また外枠部材7も熱伝導性樹脂でなり良好な熱伝導性を有する。すなわち、撮像素子44から外枠部材7へと至る熱伝導経路は良好な熱伝導性を有し、撮像素子44が生じる熱を外枠部材7まで伝導して外枠部材7から大気に放熱することができる。したがって撮像回路ユニット4の放熱を効果的に行うことができる。
【0041】
また、内枠部材6に伝わる熱は、さらに接触片532を介して接触している金属製のピンシールド53にも伝わり、ピンシールド53を介してハウジング8の箱状部71の外に出て筒状部72にも伝わる。これによりハウジング8の箱状部71の内部に熱を貯めずに放熱することができる。さらにピンシールド53に伝わる熱は、その先端部が中継コネクタ2の金属製のケーブル用シールド25の先端部に突き当たっているため、ケーブル用シールド25にも伝わる。したがって内枠部材6に伝わる熱はケーブル用シールド25を介して中継コネクタ2の構成部品にも伝えて放熱することができる。
【0042】
撮像回路ユニット4は、金属製の内枠部材6の周壁部60aと底壁部60bにより覆われている。このため撮像回路ユニット4は、外部の電磁波に対してシールドされており、電磁波の影響によるノイズの発生を効果的に防止することができる。また、外部接続用コネクタ5のピン端子52は、端子保持孔511の固定部分と外部接続ピン522が、ピンシールド53の筒状本体531に覆われる。このため外部機器に繋がる中継コネクタ2と導通接続する箇所についても確実に電磁波シールド効果を発揮することができる。
【0043】
さらに、内枠部材6とピンシールド53とは別体として形成されているが、電磁波シールドの観点では本来ならば一体物として形成されているのが好ましい。しかしながら、ピンシールド53の筒状本体531は、内枠部材6の底壁部60bを貫通して端部が内枠部材6の内部に位置しており、筒状本体531と内枠部材6とは重なり合い、Z方向で隙間がない。したがって、別体であっても確実に電磁波シールド効果を発揮することができる。
【0044】
コネクタ部シールド体の内部に外部接続用コネクタを備えることで、外部接続用コネクタをコネクタ部シールド体の構成部品として一体に、つまり一部品として取り扱うことができるので、製造工程における取り扱いも容易である。
【0045】
実施形態の変形例
本発明は上述した実施形態に限らず種々の変形例での実施が可能であるため、その一例を説明する。
【0046】
前記実施形態では、固定部材9がネジであり、その頭部は撮像素子44の実装面側の放熱用金属配線43と接触し、軸は貫通孔45の内部の金属膜と内枠部材6と接触し、貫通孔45の金属膜と連続する放熱用金属配線47と内枠部材6とが接触することにより熱伝導経路が形成される例を示している。しかしながら、固定部材9がボルトとナットからなり、ボルトの頭部が放熱用金属配線43と接触し、ナットが内枠部材6と接触することにより、固定部材9を介する放熱用金属配線43と内枠部材6との接続を行う形態としてもよい。こうした形態の固定部材9によっても同様に撮像素子44から内枠部材6へと至る熱伝導経路を形成することができる。
【0047】
固定部材9は熱伝導性接着剤としてもよい。この場合、熱伝導性接着剤が放熱用金属配線43から貫通孔45を経て放熱用金属配線47及び内枠部材6へと連続的に塗布されることにより、これらの部材間を導通する熱伝導経路を形成することができる。
【0048】
前記実施形態では接触片532をばね片とする例を示したが、ばね片ではなく内枠部材6に接触する板片とすることもできる。もちろんこの変形例の接触片では、ばね片に基づく接触片532の作用・効果を奏することはできない。
【0049】
前記実施形態では撮像回路ユニット4が3枚の基板41a、41b、41cを有する例を示したが、この枚数に限られない。また基板間導通接続にコネクタ42a、42bを用いるが、これらは基板間導通接続の一例であり、他の手段による基板間導通接続としてもよい。また、撮像回路ユニット4の構成は、本実施形態の例示に限定するものではなく、1枚の基板と当該基板上に実装した撮像素子44と放熱用金属配線43、当該基板に形成された固定部材9による固定用の貫通孔、そして基板の裏面に配置された中継コネクタ48を設けるような1枚の基板で構成した撮像回路ユニットとしてもよい。もちろん、2枚、4枚等、使用する基板の枚数は問わない。
【符号の説明】
【0050】
1 撮像装置
2 中継コネクタ
21 ソケット
22 接続端子
23 係止爪
24 ケーブル
25 ケーブル用シールド
3 レンズユニット
31 レンズ
32 本体部
4 撮像回路ユニット(撮像部品)
41a、41b、41c 基板
42a、42b コネクタ
43 放熱用金属配線
44 撮像素子
45 貫通孔
47 放熱用金属配線
48 中継コネクタ
49a、49b 切欠部
5 外部接続用コネクタ
51 ハウジング(端子保持体)
511 端子保持孔
52 ピン端子(コネクタ端子)
521 内部接続ピン(内部接触部)
522 外部接続ピン(外部接触部)
53 ピンシールド(コネクタ部シールド体)
531 筒状本体
532 接触片
533 位置決め突起(係止部)
57 グランド接続用ピン
6 内枠部材(ケース部シールド体)
60a 周壁部
60b 底壁部
61 開口部
62 第3挿入孔
63 空洞部
67 取付板
68 取付孔
7 外枠部材(ケース部)
71 箱状部(ケース部)
71a 筒状周壁
71b 隔壁
71c 底壁
71d 筒状支持壁
71e 第1の凹部
71f 第2の凹部
72 筒状部(コネクタ部)
73 第1挿入孔
74 第2挿入孔
75 係止爪
76 空洞部
77 開口部
78 柱状部
79 ネジ穴
8 ハウジング
81 開口部
9 固定部材
図1
図2
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