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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180437
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】炎症性障害の治療及び診断
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7088 20060101AFI20221129BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221129BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20221129BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20221129BHJP
   A61K 31/712 20060101ALI20221129BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20221129BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20221129BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20221129BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20221129BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20221129BHJP
   G01N 33/68 20060101ALI20221129BHJP
   C12N 5/0786 20100101ALN20221129BHJP
   C12N 5/0784 20100101ALN20221129BHJP
【FI】
A61K31/7088
A61P29/00 ZNA
A61K31/713
A61K48/00
A61K31/712
C12N15/113 Z
C12Q1/686 Z
C07K16/18
C12N5/10
G01N33/50 P
G01N33/68
C12N5/0786
C12N5/0784
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022143467
(22)【出願日】2022-09-09
(62)【分割の表示】P 2018560436の分割
【原出願日】2017-01-31
(31)【優先権主張番号】62/291,271
(32)【優先日】2016-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518161684
【氏名又は名称】ジュー ジェンルン
(71)【出願人】
【識別番号】518277516
【氏名又は名称】ガオ ホン
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュー ジェンルン
(72)【発明者】
【氏名】ガオ ホン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】被験体において炎症性障害を治療する方法、および炎症性障害を治療するための組成物を提供する。
【解決手段】治療方法は、Hom-1の発現を阻害する核酸分子を被験体に投与することを含む。特に、核酸分子は、RNAi剤又はアンチセンスモルホリノオリゴヌクレオチドである。被験体から得られる炎症組織サンプルにおいてHom-1の発現レベルを検出することを含む、被験体において炎症性障害の治療剤を選択するか、又は被験体において炎症性障害の治療剤の有効性をモニタリングする方法を更に開示する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体において炎症性障害を治療する方法であって、Hom-1の発現を阻害する核酸分子を被験体に投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記核酸分子がRNAi剤又はアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記核酸分子がモルホリノオリゴヌクレオチドである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記モルホリノオリゴヌクレオチドが配列番号3、4、5又は6の配列を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記核酸分子を局所的に、経口で、直腸に、経鼻的に、静脈内に、関節内に、結膜に、頭蓋内に、腹腔内に、胸膜内に、筋肉内に、髄腔内に又は皮下に投与する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記核酸分子をそのまま投与する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記被験体から得られる炎症組織サンプルが、対照レベルと比較してより高レベルのHom-1を発現する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
投与工程の前に、前記被験体から得られる炎症組織サンプルにおいて対照レベルと比較してより高いHom-1の発現レベルを検出することを更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
投与工程の後に、前記被験体から得られる炎症組織サンプルにおいてHom-1又は炎症性サイトカインの発現レベルを検出することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記対照レベルが非炎症組織サンプルにおけるHom-1の発現レベルに相当する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
炎症性障害を治療するための組成物であって、Hom-1の発現を阻害する核酸分子と薬学的に許容可能な担体とを含む、組成物。
【請求項12】
前記核酸分子が配列番号3、4、5又は6の配列を有するモルホリノオリゴヌクレオチドである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
局所、経口、直腸、経鼻、静脈内、関節内、結膜、頭蓋内、腹腔内、胸膜内、筋肉内、髄腔内又は皮下投与経路用に配合される、請求項11又は12に記載の組成物。
【請求項14】
炎症性障害の治療剤を同定する方法であって、
炎症組織サンプルと試験治療剤とを接触させることと、
前記組織サンプルにおいてHom-1の発現レベルを検出することと、
を含み、前記発現レベルが対照レベル以下である場合に、前記試験治療剤を前記炎症性障害の候補治療剤とする、方法。
【請求項15】
被験体において炎症性障害の治療剤を選択する方法であって、
前記被験体から得られる炎症組織サンプルと治療剤とを接触させることと、
前記組織サンプルにおいて対照レベルと比較してより低いか又は同じHom-1の発現
レベルを検出することと、
前記治療剤を前記被験体に投与することと、
を含む、方法。
【請求項16】
被験体において炎症性障害の治療剤の有効性をモニタリングする方法であって、
前記被験体に前記治療剤を投与した後に該被験体から得られる炎症組織サンプルにおいてHom-1の発現レベルを検出することと、
検出レベルと対照レベルとを比較することと、
前記比較に基づいて治療決定を行うことと、
を含み、前記検出レベルが前記対照レベルよりも高い場合に、前記被験体への前記治療剤又は異なる治療剤の投与を継続する、方法。
【請求項17】
前記治療剤がステロイド性、非ステロイド性の抗炎症薬、免疫抑制剤である、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記治療剤がHom-1阻害剤である、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記治療剤がタンパク質、ペプチド、ペプチド模倣薬、ペプトイド、細胞、抗体若しくはそのフラグメント、小分子化合物、核酸分子、又は植物抽出物である、請求項15~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記対照レベルが、非炎症組織サンプル又は治療剤と接触させる前の前記炎症組織サンプルにおけるHom-1の発現レベルに相当する、請求項15~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
被験体において炎症性障害を治療する方法であって、
Hom-1阻害剤で処理した、又はHom-1阻害剤を発現する発現構築物を含有する改変マクロファージ、単球又は樹状細胞を準備することであって、該改変マクロファージ、単球又は樹状細胞が対照レベルと比較してより低レベルのHom-1を発現することと、
前記改変マクロファージ、単球又は樹状細胞を前記被験体に有効量投与することと、
を含む、方法。
【請求項22】
前記Hom-1阻害剤がHom-1の発現を阻害する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記Hom-1阻害剤がRNAi剤又はアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
準備工程の前に、前記被験体から得られる炎症組織サンプルにおいて対照レベルよりも高いHom-1の発現を検出することを更に含む、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
組織マクロファージが、病原体侵入に対する宿主防御及び免疫恒常性において重要な役割を果たす。可塑性がマクロファージの特徴である。マクロファージは、宿主細胞及び微生物からのシグナルに満ちた微小環境中に存在することで、炎症誘発性(M1)表現型又は抗炎症性(M2)表現型を示すように活性化され得る。マクロファージの異常な分化及び活性化が、炎症の発生機序において重要な役割を果たす。例えばIBD患者では、M1炎症誘発性表現型を示す粘膜CD14+マクロファージの増加が見られる。先天免疫及び適応免疫の両方の中心的な実行者としてのその役割から、マクロファージが自己免疫性障害及び炎症性障害の制御に理想的な標的とみなされている。しかしながら、マクロファージの可塑性がどのように調節されるかは、依然として完全には理解されておらず、マクロファージ機能を調整するために操作することができる細胞内因子は、殆ど不明のままである。
【発明の概要】
【0002】
一態様では、被験体において炎症性障害を治療する方法であって、Hom-1の発現を阻害する核酸分子を、それを必要とする被験体に投与することを含む、方法が記載される。
【0003】
一実施の形態では、上記核酸分子はRNAi剤又はアンチセンスオリゴヌクレオチドである。上記核酸分子を局所的に、経口で、直腸に、経鼻的に、静脈内に、関節内に、結膜に、頭蓋内に、腹腔内に、胸膜内に、筋肉内に、髄腔内に又は皮下に投与することができる。一実施の形態では、上記核酸分子をそのまま投与する。
【0004】
別の態様では、炎症性障害を治療するための組成物であって、Hom-1の発現を阻害する核酸分子と薬学的に許容可能な担体とを含む、組成物が本明細書に記載される。一実施の形態では、上記核酸分子は配列番号3、4、5又は6の配列を有するモルホリノオリゴヌクレオチドである。上記組成物は局所、経口、直腸、経鼻、静脈内、関節内、結膜、頭蓋内、腹腔内、胸膜内、筋肉内、髄腔内又は皮下投与経路用に配合することができる。一実施の形態では、核酸分子(例えば、配列番号3、4、5又は6の配列を有するモルホリノオリゴヌクレオチド)は、そのままの核酸分子である。
【0005】
更に別の態様では、炎症性障害の治療剤を同定する方法が記載される。該方法は、炎症組織サンプルと試験治療剤とを接触させることと、上記組織サンプルにおいてHom-1の発現レベルを検出することとを含む。上記発現レベルが対照レベル以下である場合に、上記試験治療剤を上記炎症性障害の候補治療剤とする。
【0006】
一態様では、炎症性障害の治療剤を、それを必要とする被験体において選択する方法であって、上記被験体から得られる炎症組織サンプルと治療剤とを接触させることと、上記組織サンプルにおいて対照レベルと比較してより低いか又は同じHom-1の発現レベルを検出することと、上記治療剤を上記被験体に投与することとを含む、方法が記載される。
【0007】
別の態様では、炎症性障害の治療剤の有効性を、それを必要とする被験体においてモニタリングする方法が記載される。該方法は、上記被験体に上記治療剤を投与した後に該被験体から得られる炎症組織サンプルにおいてHom-1の発現レベルを検出することと、検出レベルと対照レベルとを比較することと、上記比較に基づいて治療決定を行うこととを含み、上記検出レベルが上記対照レベルよりも高い場合に、上記被験体への上記治療剤
又は異なる治療剤の投与を継続する。
【0008】
別の態様では、炎症性障害の治療を必要とする被験体において炎症性障害を治療する方法が記載される。該方法は、Hom-1阻害剤で処理した、又はHom-1阻害剤を発現する発現構築物を含有する改変マクロファージ、単球又は樹状細胞を準備することであって、該改変マクロファージ、単球又は樹状細胞が対照レベルと比較してより低レベルのHom-1を発現することと、上記改変マクロファージ、単球又は樹状細胞を上記被験体に有効量投与することとを含む。一実施の形態では、該方法は、準備工程の前に、上記被験体から得られる炎症組織サンプルにおいて対照レベルよりも高いHom-1の発現を検出することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つ以上の実施形態の詳細を、以下の詳細な説明に示す。本実施形態のその他の特徴、課題及び利点は、詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0010】
予期せぬことに、組織マクロファージにおけるHom-1発現のノックダウンにより、組織炎症が軽減され、粘膜上皮細胞の生存能力が保護され得ることが発見された。
【0011】
ヒトホメオボックス転写因子であるHom-1は、標準Wntシグナル伝達のアンタゴニストである。Hom-1の核酸配列(配列番号1)及びHom-1がコードするアミノ酸配列(配列番号2)を以下に示す:
acctggccgc catgcgcctc tcctcctccc cacctcgtgg cccgcagcag ctctccagct ttggctccgt ggactggctc tcccagagca gctgctcagg gccgacccac acccccaggc ctgccgactt ctccctgggg agcctccctg gcccaggcca gacatccggc gcccgggagc cccctcaggc cgtcagcatc aaggaggccg ccgggtcctc aaatctgcct gcgccggaga ggaccatggc cgggttgagt aaggagccaa ataccttgcg ggccccccgt gtccgcacag ccttcaccat ggagcaggtc cgcaccttgg agggcgtctt ccagcaccac cagtacctga gccctctgga gcggaagagg ctggccaggg agatgcagct ctcagaggtc cagataaaaa cctggtttca gaatcgccgc atgaaacaca aacggcaaat gcaggacccc cagctgcaca gccccttctc ggggtctctc catgcgcccc
cagctttcta ctcaacgtct tctggccttg ccaatggcct gcagctgctg tgcccttggg cacccctgtc cgggccccag gctctgatgc tgccccctgg ctccttctgg ggtctctgcc aagtggcaca agaggccctg gcatctgcgg gagcttcctg ctgcgggcag cctctggcgt cccacccccc taccccaggc cggccttcgc tgggaccagc cctgtccacg gggccccggg gcctgtgtgc tatgccacag acgggggatg cattttgagg aggcacctct gactcccaca ctcgcggtct tgctgatcgc acctggctcc tacctggagg actcagttgt tctgtttaca tcctggtggc acctctcacc ctgacccaca caaaggttct ggagattact ggagaatata tataaatata tatatgtacg tatatatgta aatacacata tacgtatata taaatatata tatacatatg tgtgtgtata tatatatata tttttttttt tttttttttt tttgagacgg agtgttgctc tgtcacccag gctggagtgc aatgacgcaa tctcggctca ctgcaacctc cgcctcctgg gttcaagcga ttctccagcc tcagcctccc gagtagctgg gattacagac acccgccacc acgcccggct aattttttct atttttagta gaaatggggt ttcaccatgt tagccaggct ggtctcaaac tcctgaccct gtgatccgcc cgcctcggcc tcccaaagtg ctgggattac aggcatgagc
cactgcaccc ggccctgaga atatatttat taaagccacc tcttcactga aagttaccga aagagtcggt ttaggaagga aacgaagggt cagtgaacag agtcaaatgc agaagtgggc ttgtcatggg tagggctttc ggcgtacgat aaaaggatca tttgtttttt aaaaggggtt ggaaaaactg gttttccagt tggaaacagt aaaggttgta agctttgtgt gtacaaaaga aaacagggaa tgcaggtgtg tttatagcgt tgtggttcaa gtccctctta acaagaactc caaagctgga aagcaggagg gaacaaaggt gaacatgaag gcgaggatgc tggggccctg cagtgcgctc taggctgtgc gtgagccggg actgtaccca cagcttgctg agggctgctc ttcttgggcc agggaaagca gggcagccgg gacctgcggc tgtgcctgga ctgaagctgt cccgcaggtc cccaccctcc aacacgtgct cacctgtccc cctcctcgca gcagcctcgg gacaaaacaa tgactcaagg acagcacttc tcgcagaagg tctggaagtg cccagaatgg gaggcacgga agcccctccc ggggaggact cccgcgttga tggaccgttc ttggtgcaga ctcctgactg cgtgcatgaa acctgagaca agtgcaattc cttccatgtc gccccagagt gcccaggagg caggcagtgc ggggtgccca ggcagacggg ttcagcctgc agaactggag gcgacctgtg aaacccaccc
gggcacccca acaggaacag aagcgtggtc ctgcggctgc gtccccagcg agtttcactt tccccttgct cgtttctccc ttgttgtaag tgtttacaac tggcatgtgc ttttaaacgt caggtaagag gggaacagct gctgtacatc gtcctggcga gtgacaatgt gacagaagcc tgggcgaggc cctcggaggg cagcagctgg acaggggcta ctgggtttgg cctggacagc actgatttgt ggatgtggat gggggcacgt tgtccgtgat aaaagtacaa gtgcccctca caaaaaaaaa aaaaaaaa(配列番号1、下線:コーディング配列)
mrlssspprg pqqlssfgsv dwlsqsscsg pthtprpadf slgslpgpgq tsgareppqa vsikeaagss nlpapertma glskepntlr aprvrtaftm eqvrtlegvf qhhqylsple rkrlaremql sevqiktwfq nrrmkhkrqm qdpqlhspfs gslhappafy stssglangl qllcpwapls gpqalmlppg sfwglcqvaq ealasagasc cgqplashpp tpgrpslgpa lstgprglca mpqtgdaf(配列番号2、下線:アミノ酸91~1
51/ホメオドメイン)
【0012】
被験体にHom-1阻害剤、例えばHom-1の発現を阻害する核酸分子を投与することによって、炎症性障害の治療を必要とする被験体において炎症性障害を治療する方法が本明細書に記載される。
【0013】
核酸分子は、RNAi剤又はアンチセンスオリゴヌクレオチドとすることができる。一実施形態では、核酸分子はモルホリノオリゴヌクレオチドである。モルホリノオリゴヌクレオチドは、標準DNA塩基(A、C、G、T)を有するが、塩基はモルホリン環に結合し、ホスホロジアミデート基を介して連結している。抗Hom-1モルホリノオリゴヌクレオチドは、
5’-TACTCAACCCTGACATAGAGGGTAA-3’(配列番号3)、
5’-GAGCCCGGTTTGCATACACGGCTAA-3’(配列番号4)、
5’-GCCCAGATAAGCAGCGCCTAATTGC-3’(配列番号5)、及び、
5’-CTGTAGGAAAAGCAAGATCAGAACA-3’(配列番号6)から選択される配列を有し得る
【0014】
「RNAi剤」という用語は、RNA干渉を指向するために標的RNAに対して十分な配列相補性を有するRNA(又はその類似体)を指す。概して、干渉RNA(「iRNA」)は、特定のmRNAの触媒分解をもたらす二本鎖低分子干渉RNA(siRNA)又は小ヘアピンRNA(shRNA)である。アンチセンスオリゴヌクレオチドは通例、標的核酸分子に結合することができる配列を有する一本鎖DNA、RNA又はその類似体である。
【0015】
抗Hom-1核酸分子は任意の投与経路、例えば局所、経口、直腸、経鼻、静脈内、関節内、結膜、頭蓋内、腹腔内、胸膜内、筋肉内、髄腔内又は皮下投与経路により被験体に投与することができる。経路は、炎症部位に基づいて選択することができる。抗Hom-1核酸分子を含有する医薬組成物は、任意の投与経路用に、例えば注射液、丸薬、カプセル、点眼剤、噴霧剤、吸入剤、局所クリーム若しくはゲル、又はエアロゾルとして配合することができる。
【0016】
一実施形態では、抗Hom-1核酸分子は、そのまま投与される。言い換えると、リポソーム又はウイルスベクター等の送達ビヒクルが核酸分子と共に使用されない。
【0017】
任意のHom-1阻害剤を被験体に投与する前に、被験体を試験することで、対照レベルと比較してHom-1の発現レベルの上昇及び/又は炎症性サイトカインの発現レベルの上昇を有するかを決定することができる。一実施形態では、被験体から得られる炎症組織サンプルにおいて発現レベルを検出する。Hom-1の発現レベルが増大した被験体を、Hom-1阻害剤で治療することができる。対照レベルは非炎症組織、若しくは炎症性障害を有しない被験体におけるHom-1発現レベルの代表的なレベル、又は治療対象の被験体の非炎症組織において見られるレベルとすることができる。
【0018】
「被験体」は、ヒト及び非ヒト動物を指す。「治療する」又は「治療」は障害、障害の症状、障害に伴う病状又は障害に対する素因を治癒する、軽減する、緩和する、矯正する、発症を遅らせる又は改善する目的での障害を有する被験体への化合物又は作用物質の投与を指す。「有効量」は、治療された被験体において医学的に望ましい結果を生じることが可能な化合物の量を指す。治療方法は単独で、又は他の薬物若しくは療法と併せて行うことができる。
【0019】
炎症性障害の治療剤を同定するスクリーニング方法も本明細書に記載される。該方法は、炎症組織サンプルと試験治療剤とを接触させることと、組織サンプルにおいてHom-1の発現レベルを検出することとを含む。発現レベルが対照レベル以下である場合、試験治療剤が炎症性障害の候補治療剤となる。
【0020】
炎症性障害の治療剤を、それを必要とする被験体において選択する方法も記載する。該方法は、被験体から得られる炎症組織サンプルと治療剤とを接触させることと、組織サンプルにおいて対照レベルと比較してより低いか又は同じHom-1の発現レベルを検出することと、治療剤を被験体に投与することとを含む。
【0021】
炎症性障害の治療剤の有効性を、それを必要とする被験体においてモニタリングする方法が更に記載される。該方法は、治療剤を被験体に投与した後に被験体から得られる炎症組織サンプルにおいてHom-1の発現レベルを検出することと、検出レベルと対照レベルとを比較することと、比較に基づいて治療決定を行うこととを含む。検出レベルが対照レベルより低い場合、治療剤が被験体における炎症の治療に効果的であることが示される。検出レベルが対照レベル以上である場合、同じ治療剤を与え続けるか、又は異なる治療剤を試みるという決定を下すことができる。
【0022】
治療剤又は試験治療剤はタンパク質、ペプチド、ペプチド模倣薬、ペプトイド、細胞、抗体若しくはそのフラグメント、小分子化合物、核酸分子又は植物抽出物とすることができる。一実施形態では、治療剤又は試験治療剤はステロイド性、非ステロイド性の抗炎症薬又は免疫抑制剤であり得る。
【0023】
上記のスクリーニング、選択又はモニタリングの方法では、対照レベルは、非炎症組織におけるHom-1の発現レベルの代表的なレベルとすることができる。対照レベルは、治療剤又は試験治療剤と接触させる前の炎症組織サンプルにおけるHom-1の発現レベルとすることもできる。当業者であれば好適な対照レベルを決定することが可能である。
【0024】
一態様では、改変マクロファージ、単球又は樹状細胞を用いて炎症性障害を治療する方法が記載される。該方法は、Hom-1阻害剤で処理した、又はHom-1阻害剤を発現する発現構築物を含有する改変マクロファージ、単球又は樹状細胞を準備することを含む。改変マクロファージ、単球又は樹状細胞は、対照レベルと比較してより低レベルのHom-1を発現する。有効量の改変マクロファージ、単球又は樹状細胞を、炎症性障害を有する被験体に投与する。
【0025】
Hom-1阻害剤はタンパク質、ペプチド、ペプチド模倣薬、ペプトイド、細胞、抗体若しくはそのフラグメント、小分子化合物、核酸分子又は植物抽出物とすることができる。一実施形態では、阻害剤は、RNAi剤又はアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、モルホリノオリゴヌクレオチド)である。
【0026】
改変細胞を被験体に投与する前に、被験体から得られるサンプル(例えば、炎症組織サンプル)におけるHom-1の発現レベルを決定することができる。発現レベルが対照レ
ベルよりも高い場合、被験体が治療に好適であるとみなされる。対照レベルは、非炎症組織におけるレベルの代表的なレベル又は治療対象の被験体から得られる非炎症組織サンプルにおいて検出されるレベルとすることができる。この場合も、当業者であれば好適な対照レベルを決定することが可能である。
【0027】
Hom-1発現レベルは、mRNAレベル又はタンパク質レベルのいずれかで決定することができる。mRNAレベル及びタンパク質レベルを測定する方法は、当該技術分野で既知である。
【0028】
本明細書に記載される方法のいずれにおいても、炎症(例えば、炎症の存在又は程度)の指標としてHom-1の発現レベルを検出することに加えて又は代替的に、炎症誘発性サイトカインの発現及び/又は分泌、抗炎症性サイトカインの発現及び/又は分泌、M1又はM2マクロファージのマーカーの発現、DC分化及び活性化のマーカーの発現の検出を用いて炎症を測定することもできる。
【0029】
炎症性障害は、局所又は全身の急性又は慢性炎症によって特徴付けられる。炎症性障害としては、炎症性皮膚疾患(例えば皮膚炎、乾癬、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、蕁麻疹、壊死性血管炎、皮膚血管炎、過敏性血管炎、好酸球性筋炎、多発性筋炎、皮膚筋炎又は好酸球性筋膜炎)、炎症性腸疾患(例えば、クローン病及び潰瘍性大腸炎)、急性呼吸促迫症候群、劇症肝炎、膵炎、過敏性肺疾患(例えば過敏性肺炎、好酸球性肺炎、遅延型過敏症、間質性肺疾患又はILD、特発性肺線維症、及び関節リウマチと関連するILD)、喘息、COPD、アレルギー性鼻炎、関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、若年発症性糖尿病、糸球体腎炎、自己免疫性甲状線炎、強直性脊椎炎、全身性硬化症、多発性硬化症、原発性側索硬化症、筋萎縮性側索硬化症、アナフィラキシー、全身性アナフィラキシー、過敏性応答、全身炎症状態、薬物アレルギー、昆虫刺傷アレルギー、同種移植片拒絶反応、移植片対宿主病、シェーグレン症候群、ヒト免疫不全、ウイルス感染、アテローム性動脈硬化症、高血圧、糖尿病、並びに慢性腎疾患、眼炎症性疾患、ブドウ膜炎及び結膜炎、神経炎が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
当業者であれば、個体が炎症性障害を有するかを決定することが可能である。炎症性障害を有することが疑われる被験体から得られるサンプル(例えば組織、細胞又は体液サンプル)におけるHom-1の発現レベルを、診断ツールとしても用いることができる。
【0031】
以下の特定の実施例は単なる例示と解釈され、それ以外の開示を何ら限定するものではない。更に詳述しなくても、当業者であれば本明細書における説明に基づき、最大限に本開示を使用することができると思われる。
【実施例0032】
マクロファージは、先天免疫及び適応免疫の両方の主要調節因子である。マクロファージの可塑性が細胞内因子によってどのように調節されるかは、完全には理解されていない。下記のデータから、ヒトホメオボックス転写因子Hom-1が、M1表現型へのマクロファージ極性化の指向において極めて重要な役割を果たすことが実証される。Hom-1発現は、IBD患者の炎症粘膜から単離された組織マクロファージにおいて異常に上昇している。en bloc培養モデルを用いることで、モルホリノオリゴヌクレオチドによる組織マクロファージにおけるHom-1発現のノックダウンにより組織炎症が軽減され、粘膜上皮細胞の生存能力が保護され得ることが示された。まとめると、本発明者らのデータから、Hom-1を炎症性障害の管理のための新規の標的とすることができることが示唆される。
【0033】
Hom-1発現は、炎症胃腸粘膜から単離されたマクロファージにおいて上方調節される
in vitro単球由来マクロファージモデルを用いることで、Hom-1が単球からマクロファージへの分化及び炎症誘発性活性化を制御することが示された。組織マクロファージの分化及び活性化におけるHom-1の潜在的役割を検証するために、IBD患者の粘膜から単離された粘膜マクロファージにおけるHom-1発現を検査した。Hom-1発現が、炎症粘膜から単離されたマクロファージにおいて、同じ患者の正常粘膜から単離された対照マクロファージと比較して顕著に上昇していることが見出された。FACAS及びELISA分析を用いることで、Hom-1の発現の上昇と同時にCD40、CD80及びCD86等のM1表面マーカーの発現、並びにM1炎症誘発性サイトカインの発現及び分泌が、炎症粘膜から単離されたマクロファージにおいて上昇していることが見出された。加えて、炎症粘膜から単離されたマクロファージにおいて活性酸素種(ROS)及び一酸化窒素(NO)の発現も上昇していることが見出された。
【0034】
Hom-1は、粘膜マクロファージの可塑性を調節し、粘膜マクロファージをM1表現型へと極性化する
可塑性がマクロファージの特徴である。環境信号に応答して、マクロファージは、古典的炎症誘発性M1表現型から顕著な特徴を有する様々なM2表現型に及ぶ幅広い表現型を示す。コルチコステロイドは、炎症性障害を管理するために広く使用されており、マクロファージのM2表現型を誘導することが示されている。Hom-1が粘膜マクロファージの可塑性の調節において役割を果たすかを決定するために、Hom-1の発現に対するコルチコステロイドの影響を検査した。粘膜CD14マクロファージとプレドニゾロン(predinisolone)とのインキュベーションにより、Hom-1発現レベルの顕著な低減及び
M1サイトカインIL12分泌の特徴的な低減がもたらされたが、M2サイトカインIL10の分泌は増大した。マクロファージ可塑性の調節におけるHom-1の潜在的役割と一致して、GFP-Hom-1をトランスフェクトした粘膜マクロファージではなく、GFPをトランスフェクトした粘膜マクロファージの形態を、PDにより特徴的なラウンドアップ(roundup)表現型を示すように誘導することができることが見出された。GPF
又はGFP-Hom-1を発現するマクロファージの培養培地におけるCD80の細胞表面発現のFACS分析及びIL12分泌のELISA分析から、Hom-1がマクロファージをPDにより誘導されるCD80の低減及びIL12の分泌に抵抗性を示すようにすることが示された。Hom-1がマクロファージの極性化を調節するかを更に検証するために、M2からM1へのスイッチの誘導時のHom-1発現を、前述のin vitroマクロファージ分化モデルを用いて検査した。Hom-1発現がM2からM1への極性化の誘導時に上昇することが見出された。マクロファージの極性化におけるHom-1の主要な調節的役割を明確にするために、LPSにより誘導されるM2からM1への表現型スイッチにおけるHom-1のノックダウンの影響を検査した。Hom-1の下方調節により、マクロファージがLPSにより誘導されるM1極性化に抵抗性を示すようになることが見出され、その過程におけるHom-1の主要な調節的役割が示唆される。マクロファージ極性化におけるHom-1の機能を更に明確にするために、M2マクロファージにおけるHom-1の異所性発現の影響を検証したが、Hom-1の過剰発現によりM1マーカーCD80の表面発現の顕著な増大、並びにM1サイトカインIL1b、IL12及びTNFaの分泌の上昇がもたらされることが見出された。まとめると、データから、Hom-1がマクロファージの可塑性の調節において重要な役割を果たし、マクロファージをM1表現型へと極性化することが示唆された。
【0035】
Hom-1は、M1遺伝子及びM2遺伝子の発現を差次的に調節する
Hom-1により調節されるマクロファージの極性化の潜在的機構を検証するために、M1遺伝子及びM2遺伝子の特徴的発現に対するHom-1の異所性発現の影響を検査した。Hom-1発現がIL1、IL12及びTNFa等のM1遺伝子の発現を促進するが、IL10及びTGFb等のM2遺伝子の発現を抑制することが見出された。Hom-1
発現が試験したM2遺伝子の発現ではなく、M1遺伝子の発現に必要とされるという本発明者らの以前の所見と合わせると、本発明者らのデータにより、Hom-1がM1遺伝子及びM2遺伝子の発現を極性化することによってマクロファージの可塑性を調節することが示唆された。
【0036】
組織炎症の発生機序におけるHom-1により調節されるマクロファージ可塑性の標的化
Hom-1により調節されるマクロファージを標的化し、組織炎症を軽減することができるかを更に決定するために、潰瘍性大腸炎(UC)患者の炎症又は正常粘膜から得られる組織のen bloc培養物を使用した。臨床所見と一致して、TNFa、IL1β及び硝酸塩等の炎症性サイトカインの分泌が炎症組織の培養物中で顕著に上昇していることが見出された。次いで、抗Hom-1モルホリノオリゴヌクレオチド(MO)を組織培養物に添加し、それが粘膜マクロファージにおけるHom-1の発現を下方調節することができるかを検査した。Hom-1 Moがen bloc組織培養物中でマクロファージにおけるHom-1発現を効率的に阻害することが見出された。組織炎症に対するHom-1 MOの影響を更に検証するために、en bloc組織とHom-1とのインキュベーション時のTNFaの濃度を、ELISAアッセイを用いて検査した。Hom-1 MOにより培養物中のTNFaの量が用量依存的に低減することが見出された。他の炎症誘発性サイトカインの分泌に対するHom-1 MOの影響を更に検証するために、IL1及び硝酸塩の分泌に対するHom-1 MOの影響を検査したが、TNFaと同様に、Hom-1 MOがen bloc培養系においてこれらの炎症誘発性サイトカインの強い阻害をもたらすことが見出された。ex vivoでのen bloc培養物がin vivoでの組織微小環境を反映し得るため、本発明者らのデータから、組織炎症を軽減するためにHom-1 MOにより組織マクロファージを標的化することができることが示唆された。
【0037】
Hom-1 MOは、炎症組織の炎症における上皮細胞の生存能力を奪回する
粘膜潰瘍を引き起こす上皮細胞のアポトーシスがIBDの特徴である。組織炎症は、粘膜上皮細胞のアポトーシスの大きな要因であると考えられていた。en bloc組織培養物を用いることで、炎症粘膜から単離された組織において、正常対照組織の上皮細胞のアポトーシス率と比較して、より高い粘膜上皮細胞のアポトーシス率が見られることが見出された。Hom-1 MOをen bloc組織培養物に添加した場合、対照MOではなくHom-1 MOが組織培養物中の上皮細胞のアポトーシスに対して強い阻害効果を及ぼすことが見出された。Hom-1 MOが組織炎症を軽減し得るという本発明者らの所見と合わせると、データから、Hom-1 MOが炎症を管理する作用物質として機能し得ることが示唆された。
【0038】
単球の単離及び培養
ボストン小児病院での健常な成人ドナーに由来する末梢血単核細胞(PBMC)を、フィコール密度勾配遠心分離によって単離した。ヒト物質を用いた実験は、ブリガムアンドウィメンズ病院の施設内審査委員会により認可されたガイドラインに従って行った。CD14単球を、抗CD14コーティングマイクロビーズ(Miltenyi Biotec)を用いてP
BMCから精製した。新たに単離したCD14単球の純度は、フローサイトメトリーにより分析したところ95%超であった。単球を、10%ウシ胎仔血清(FBS)を含有するRPMI 1640培地を用いて12ウェルプレートにおいて1×10細胞/mlで培養した。M-CSF、GM-CSF及びIL3はPeproTechから購入し、最終濃度10
0ng/mlで使用した。サイトカインを、2日又は3日に1回培養物に添加した。
【0039】
RNA干渉
ヒト初代単球を、Human Monocyte Nucleofector Kit(Lonza)を用い、製造業者の取扱説明書に従ってトランスフェクトした。簡潔に述べる
と、5×10個の単球を、Hom-1 siRNA(フォワード:5’-UUCAGAAUCGCCGCAUGAAACACAAACGG-3’(配列番号7);リバース:5’-CCGUUUGUGUUUCAUGCGGCGAUUCUGAA-3’(配列番号8))又は非有効GFP siRNA(フォワード:5’-UGACCACCCUGACCUACGGCGUGCAGUGC-3’(配列番号9);5’-リバース:GCACUGCACGCCGUAGGUCAGGGUGGUCA-3’(配列番号10))のいずれか0.5nmolを含む100μlのnucleofector溶液に再懸濁した後、nucleofector II Device(Lonza)でエレクトロポレーションした。次いで、細胞を装置から即座に取り出し
、2mMグルタミン及び10%FBSを含有する1mlの予め温めたHuman Monocyte Nucleofector Mediumと共に一晩インキュベートした。次いで、細胞を完全RPMI培地に再懸濁し、適切なサイトカインで処理して、マクロファージへの分化を誘導した。同様に、単球に由来するマクロファージを、Human Macrophage Nucleofector Kit(Lonza)を用い、製造業者の
取扱説明書に従ってトランスフェクトした。
【0040】
FACS分析
単球/マクロファージの表現型分析を、蛍光染料コンジュゲート抗体による細胞の免疫標識後にフローサイトメトリーを用いて行った。以下の抗体を使用した:PEコンジュゲート抗CD71、CD11b、CD11c、CD16、CD64、CD80、CD86、HLA-DR、CD14、TLR4、IL1-β及びTNF-α、並びにFITCコンジュゲート抗CD40、CD36(eBioscience);FITCコンジュゲート抗マンノース
受容体(MR)、並びに非コンジュゲートマウス抗MCSFR(R&D Systems)。同位体
対照標識を並行して行った。抗体は、供給業者によって推奨されるように希釈した。PEコンジュゲートウサギ抗マウス(rabbit against mouse)IgG抗体を、二次M-CSFR染色に使用した。標識細胞を、FACScanフローサイトメーター(BD Bioscience
)でCellQuestソフトウェアを用いて分析した。結果は陽性細胞のパーセンテージ、及び/又はアイソタイプ対照抗体を用いて得られたMFIを減算した平均蛍光強度(MFI)値として表す。
【0041】
RT-PCR
全RNAをTRIzol試薬によって単離し、等量のRNAをSuperScript
III First-Strand Synthesis System(Invitrogen)による第一鎖cDNA合成に、製造業者のプロトコルに従って使用した。Hom-1 cDNAを従来のPCRにより増幅するために、AccuPrime(商標) Taq DNAポリメラーゼ系(Invitrogen)を製造業者の取扱説明書に従って使用した。PCR産物を2%アガロースゲル上で分離し、エチジウムブロマイドで染色した。GAPDHを内部対照として使用した。SYBR Greenを用いたHom-1及びサイトカイン cDNAの定量的測定を、LightCycler(商標)(480 Real-Time PCR System;Roche)で行った。
【0042】
サイトカイン測定
大腸菌(E. coli)のLPS(Sigma)及びIFN-γ(PeproTech)で処理したマクロ
ファージ又はLPSで処理したU937細胞の上清中のIL-1β及びTNF-α及びIL12p70のレベルを、eBiosciencesから入手したELISAキットを用いて定量化した。分析は製造業者の取扱説明書に従って行った。
【0043】
活性酸素種(ROS)及び一酸化窒素(NO)の検出
活性化マクロファージにおけるROSレベルを、Image-iT(商標) LIVE
Green Reactive Oxygen Species Detection
Kit(Invitrogen)を用い、結果を蛍光顕微鏡及びフローサイトメトリーの両方で分析した以外は、基本的に製造業者の取扱説明書に従って検出した。NOレベルを、Gri
ess Reagent Kit for Nitrite Determination(Invitrogen)により、製造業者によって提示されるプロトコルに従って決定した。
【0044】
細胞染色(Cytostaining)
ライトギムザ染色のために、Sigma製の染色キットを製造業者の取扱説明書に従って使
用した。
【0045】
統計分析
データを、対応のあるスチューデントのt検定(両側)及びウィルコクソンの順位和検定を用いて分析した。p値が0.05未満の差を統計的に有意であるとみなした。
【0046】
その他の実施形態
本明細書に開示される全ての特徴は、あらゆる組み合わせで組み合わされてよい。本明細書に開示される各々の特徴は、同じ目的、同等の目的又は同様の目的にかなう代替となる特徴によって置き換えられてよい。このように、特に明示的に述べられない限り、開示される各々の特徴は、包括的な一連の同等の特徴又は同様の特徴のうちの単なる一例である。
【0047】
上記詳細な説明から、当業者であれば、記載される実施形態の本質的な特性を容易に特定することができ、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な使用法及び条件に適合するために上記実施形態の様々な変更及び修正を行うことができる。このように、その他の実施形態も特許請求の範囲内である。
【配列表】
2022180437000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2022-10-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【外国語明細書】