(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180454
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】レスポンダ装置、通信方法及び集積回路
(51)【国際特許分類】
H04B 7/0452 20170101AFI20221129BHJP
H04B 7/06 20060101ALI20221129BHJP
H04B 7/08 20060101ALI20221129BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20221129BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20221129BHJP
【FI】
H04B7/0452
H04B7/06 950
H04B7/08 800
H04W16/28 130
H04W84/12
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146242
(22)【出願日】2022-09-14
(62)【分割の表示】P 2019078100の分割
【原出願日】2019-04-16
(31)【優先権主張番号】62/661,538
(32)【優先日】2018-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホァン レイ
(72)【発明者】
【氏名】本塚 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】坂本 剛憲
(57)【要約】
【課題】802.11ad規格のビームフォーミングトレーニング(BFT)を実行する時間を短縮すること。
【解決手段】TXSS(送信セクタスイープ)終了後、SU-MIMO(Single User Multi-Input Multi-Output)のBFT(ビームフォーミングトレーニング)を実施するか否かを示すBF training type FIELDを含む第1フィードバックフレームをイニシエータから受信し、前記BF training type FIELDが前記SU-MIMOのBFTを実施することを示す場合、前記TXSSの結果に基づいた、SNR(Signal to Noise Ratio)とセクタID(Identifier)オーダーとを含む第2フィードバックを前記イニシエータに送信し、前記SNRと前記セクタIDオーダーとに基づいて、前記レスポンダとの間で、前記SU-MIMOのBFTを実施する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信セクタスイープ(TXSS)終了後、SISOのビームフォームトレーニング(BFT)、シングルユーザMIMO(SU-MIMO)のBFT、マルチユーザMIMO(MU-MIMO)のBFTのいずれかを示す値が設定されたBF training typeフィールドを含むフィードバック要求フレームをイニシエータ装置から受信する受信部と、
前記TXSSにおける受信に用いられた複数のセクタの少なくとも一部に対応する複数のセクタIDと複数のアンテナとを示すセクタIDオーダーサブフィールドと、前記複数のセクタでのSignal to Noise Ratio(SNR)を示すSNRサブフィールドとを含むフィードバックフレームを前記イニシエータ装置に送信する送信部と、
前記セクタIDオーダーサブフィールドと前記SNRサブフィールドとに基づいて、前記イニシエータ装置との間で、前記BF training typeフィールドにより示された種類のBFTを実施する制御部と、
を具備するレスポンダ装置。
【請求項2】
前記TXSSは、DMG Beaconフレーム、SSW(Sector Sweep)フレーム、Short SSWフレーム及びDMG BRP(Beam Refinement Protocol)-TXフレームのいずれかを用いて実行される、
請求項1記載のレスポンダ装置。
【請求項3】
前記BF training typeフィールドは、前記SISOのBFTを示す場合は0に設定され、前記SU-MIMOのBFTを示す場合は1に設定され、前記MU-MIMOのBFTを示す場合は2に設定される、
請求項1又は2記載のレスポンダ装置。
【請求項4】
前記フィードバック要求フレームは、フィードバックを要求するか否かを示すTXSSフィードバック要求フィールドと、SNRのフィードバックを要求するか否かを示すSNR要求サブフィールドとをさらに含む、
請求項1記載のレスポンダ装置。
【請求項5】
前記BF training typeフィールドが前記SISOのBFTを示す0に設定され、前記TXSSフィードバック要求フィールドが1に設定され、前記SNR要求サブフィールドが1に設定されている場合、前記フィードバックフレームは、0に設定された第2のBF training typeサブフィールドを含む、
請求項4記載のレスポンダ装置。
【請求項6】
前記BF training typeフィールドが前記SU-MIMOのBFTを示す1に設定され、前記TXSSフィードバック要求フィールドが1に設定され、前記SNR要求サブフィールドが1に設定されている場合、前記フィードバックフレームは、1に設定された第2のBF training typeサブフィールドを含む、
請求項4記載のレスポンダ装置。
【請求項7】
前記BF training typeフィールドが前記MU-MIMOのBFTを示す2に設定され、前記TXSSフィードバック要求フィールドが1に設定され、前記SNR要求サブフィールドが1に設定されている場合、前記フィードバック要求フレームは、前記レスポンダ装置を含む複数のレスポンダ装置の各々に送信されるものであり、前記フィードバックフレームは、2に設定された第2のBF training typeサブフィールドを含む、
請求項4記載のレスポンダ装置。
【請求項8】
前記フィードバック要求フレーム及び前記フィードバックフレームは、いずれもBRPフレームである、
請求項1記載のレスポンダ装置。
【請求項9】
レスポンダ装置の通信方法であって、
送信セクタスイープ(TXSS)終了後、SISOのビームフォームトレーニング(BFT)、シングルユーザMIMO(SU-MIMO)のBFT、マルチユーザMIMO(MU-MIMO)のBFTのいずれかを示す値が設定されたBF training typeフィールドを含むフィードバック要求フレームをイニシエータ装置から受信し、
前記TXSSにおける受信に用いられた複数のセクタの少なくとも一部に対応する複数のセクタIDと複数のアンテナとを示すセクタIDオーダーサブフィールドと、前記複数のセクタでのSignal to Noise Ratio(SNR)を示すSNRサブフィールドとを含むフィードバックフレームを前記イニシエータ装置に送信し、
前記セクタIDオーダーサブフィールドと前記SNRサブフィールドとに基づいて、前記イニシエータ装置との間で、前記BF training typeフィールドにより示された種類のBFTを実施する、
通信方法。
【請求項10】
前記TXSSは、DMG Beaconフレーム、SSW(Sector Sweep)フレーム、Short SSWフレーム及びDMG BRP(Beam Refinement Protocol)-TXフレームのいずれかを用いて実行される、
請求項9記載の通信方法。
【請求項11】
前記BF training typeフィールドは、前記SISOのBFTを示す場合は0に設定され、前記SU-MIMOのBFTを示す場合は1に設定され、前記MU-MIMOのBFTを示す場合は2に設定される、
請求項9又は10記載の通信方法。
【請求項12】
前記フィードバック要求フレームは、フィードバックを要求するか否かを示すTXSSフィードバック要求フィールドと、SNRのフィードバックを要求するか否かを示すSNR要求サブフィールドとをさらに含む、
請求項9記載の通信方法。
【請求項13】
前記BF training typeフィールドが前記SISOのBFTを示す0に設定され、前記TXSSフィードバック要求フィールドが1に設定され、前記SNR要求サブフィールドが1に設定されている場合、前記フィードバックフレームは、0に設定された第2のBF training type サブフィールドを含む、
請求項12記載の通信方法。
【請求項14】
前記BF training typeフィールドが前記SU-MIMOのBFTを示す1に設定され、前記TXSSフィードバック要求フィールドが1に設定され、前記SNR要求サブフィールドが1に設定されている場合、前記フィードバックフレームは、1に設定された第2のBF training typeサブフィールドを含む、
請求項12記載の通信方法。
【請求項15】
前記BF training typeフィールドが前記MU-MIMOのBFTを示す2に設定され、前記TXSSフィードバック要求フィールドが1に設定され、前記SNR要求サブフィールドが1に設定されている場合、前記フィードバック要求フレームは、前記レスポンダ装置を含む複数のレスポンダ装置の各々に送信されるものであり、前記フィードバックフレームは、2に設定された第2のBF training typeサブフィールドを含む、
請求項12記載の通信方法。
【請求項16】
前記フィードバック要求フレーム及び前記フィードバックフレームは、いずれもBRPフレームである、
請求項9記載の通信方法。
【請求項17】
レスポンダ装置の集積回路であって、
送信セクタスイープ(TXSS)終了後、SISOのビームフォームトレーニング(BFT)、シングルユーザMIMO(SU-MIMO)のBFT、マルチユーザMIMO(MU-MIMO)のBFTのいずれかを示す値が設定されたBF training typeフィールドを含むフィードバック要求フレームをイニシエータ装置から受信するするステップと、
前記TXSSにおける受信に用いられた複数のセクタの少なくとも一部に対応する複数のセクタIDと複数のアンテナとを示すセクタIDオーダーサブフィールドと、前記複数のセクタでのSignal to Noise Ratio(SNR)を示すSNRサブフィールドとを含むフィードバックフレームを前記イニシエータ装置に送信するステップと、
前記セクタIDオーダーサブフィールドと前記SNRサブフィールドとに基づいて、前記イニシエータ装置との間で、前記BF training typeフィールドにより示された種類のBFTを実施するステップと、
を制御する集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信装置及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ミリ波通信にMIMO方式を適用し、高速データ伝送を実現する方式として、IEEE802.11ay規格(11ay規格という)の標準化が行われている(非特許文献2、3、4を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】IEEE802.11ad-2016
【非特許文献2】IEEE802.11-17/1233r1
【非特許文献3】IEEE802.11-18/0430r2
【非特許文献4】IEEE802.11-18/0089r0
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
802.11ad規格(非特許文献1を参照)のビームフォーミングトレーニング(BFT)を実行する時間を短縮することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る通信方法では、イニシエータは、TXSS(送信セクタスイープ)終了後、SU-MIMO(Single User Multi-Input Multi-Output)のBFT(ビームフォーミングトレーニング)を実施するか否かを示すBF training type FIELDを含む第1フィードバックフレームをレスポンダに送信し、前記レスポンダは、前記第1フィードバックフレームを受信し、前記BF training type FIELDが前記SU-MIMOのBFTを実施することを示す場合、前記TXSSの結果に基づいた、SNR(Signal to Noise Ratio)とセクタID(Identifier)オーダーとを含む第2フィードバックを前記イニシエータに送信し、前記イニシエータは、前記前記第2フィードバックを受信し、前記SNRと前記セクタIDオーダーとに基づいて、前記レスポンダとの間で、前記SU-MIMOのBFTを実施する。
【0006】
本開示の一態様に係るイニシエータの通信方法では、TXSS終了後、SU-MIMOのBFTを実施するか否かを示すBF training type FIELDを含むフィードバックフレームをレスポンダに送信し、前記レスポンダから前記TXSSの結果に基づいた、SNRとセクタIDオーダーと、を含む第2フィードバック受信した場合、前記SNRと前記セクタIDオーダーとに基づいて、前記レスポンダとの間で、前記SU-MIMOのBFTを実施する。
【0007】
本開示の一態様に係るレスポンダの通信方法では、TXSS(送信セクタスイープ)終了後、SU-MIMO(Single User Multi-Input Multi-Output)のBFT(ビームフォーミングトレーニング)を実施するか否かを示すBF training type FIELDを含む第1フィードバックフレームをイニシエータから受信し、前記BF training type FIELDが前記SU-MIMOのBFTを実施することを示す場合、前記TXSSの結果に基づいた、SNR(Signal to Noise Ratio)とセクタID(Identifier)オーダーとを含む第2フィードバックを前記イニシエータに送信し、前記SNRと前記セクタIDオーダーとに基づいて、前記レスポンダとの間で、前記SU-MIMOのBFTを実施する。
【0008】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0009】
開示された実施形態のさらなる利益や利点は、明細書および図面から明らかになる。利益および/または利点は、明細書および図面のさまざまな実施形態および特徴によって個々に得られてもよく、実施形態および特徴すべてがこうした利益および/または利点の1または複数を得るために提供される必要はない。
【0010】
本開示の前述および他の特徴は、添付図面に関連して、以下の記載および添付の特許請求の範囲によって、より完全に明確となる。これらの図面は本開示に係るいくつかの実施形態を描写しているだけであり、したがって、その範囲を限定するものと考えられるべきではないことを理解して、本開示は、添付図面を使用して、さらに具体的かつ詳細に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係るMIMO通信システムの構成の一例を示す図
【
図3】802.11ad規格のBFT手順の一例を示す図
【
図4】802.11ayドラフト規格のSISO BRP TXSS手順を示す図
【
図5】802.11ayドラフト規格のSU-MIMO BFT手順の一例を示す図
【
図6】802.11ayドラフト規格のSU-MIMO BFT手順の一例を示す図
【
図7】802.11ayドラフト規格のMU-MIMO BFT手順の例を示す図
【
図8】802.11ayドラフト規格のMU-MIMO BFT手順の例を示す図
【
図9】
図3から
図8において用いるBRPフレームのフォーマットを示す図
【
図13】イニシエータが
図10A~
図10D、
図11のBRPフレームを各手順の先頭BRPフレームとして用いることにより、SU-MIMO BFTのSISO Feedback procedureと組み合わせて用いることのできるSISO BFTの種類を示す図
【
図15】共通のFeedback BRPフレームのフォーマットを示す図
【
図16】実施の形態2のBRPフレームのフォーマットを示す図
【
図17】イニシエータ及びレスポンダが
図16のBRPフレームを用いて、SISO BRP TXSS及びSU-MIMO BFTを行う手順を示す図
【
図19】BRPフレームの
図16とは別のフォーマットの一例を示す図
【
図21】イニシエータ及びレスポンダがSISO BFTとSU-MIMO BFTを行う手順の一例を示す図
【
図22】イニシエータ及びレスポンダがSISO BFTとSU-MIMO BFTを行う手順の一例を示す図
【
図23】イニシエータ及びレスポンダがSISO BFTとSU-MIMO BFTを行う手順の一例を示す図
【
図24】BRPフレームのフォーマットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な説明では、添付図面を参照しており、説明の一部に組み込まれている。図面において、文脈が別途指示しない限り、類似の符号は通常、類似のコンポーネントを識別する。本開示の態様を、多種多様の異なる構成においてアレンジ、置き換え、混合、および設計できることは容易に理解され、そのすべては明示的に予期され、本開示の一部をなす。
【0013】
802.11ad規格(非特許文献1を参照)のビームフォーミングトレーニング(BFT)手順について、図を用いて説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態に係るMIMO通信システムの構成の一例を示す図である。通信装置100、通信装置200、通信装置300はそれぞれ1つ以上のアンテナアレイを備える。各アンテナアレイは、1つ以上のアンテナ素子を含む。
【0015】
通信装置100は、例えば2つのアンテナアレイ101a、101bを備え、いずれかのアンテナアレイ(例えばアンテナアレイ101a)を用いて、通信装置200及び通信装置300とSISO(Single Input Single Output)通信を行う。
【0016】
また、通信装置100は、複数のアンテナアレイ(例えばアンテナアレイ101a及び101b)を用いて、通信装置200及び通信装置300とSU-MIMO(Single User Multi-Input Multi-Output)通信を行う。
【0017】
また、通信装置100は、複数のアンテナアレイ(例えばアンテナアレイ101a及び101b)を用いて、通信装置200及び通信装置300とMU-MIMO(Multi User-MIMO)通信を行う。SU-MIMOでは、同一時点(1つの送信フレーム)で1つの通信装置(例えば通信装置200と通信装置300のいずれか)と通信を行うのに対し、MU-MIMOでは、同一時点(1つの送信フレーム)で複数の通信装置(例えば通信装置200と通信装置300のそれぞれ)と通信を行う。
【0018】
図2Aは、通信装置100の構成の一例を示す図である。通信装置100は、一例として、ホスト130、MAC回路120、PHY回路110、RFモジュール回路109を備える。
【0019】
RFモジュール回路109は、一例として、アンテナアレイ101a、101b、スイッチ回路(SW)102a、102b、送信RF(Radio Frequency)回路103a、103b、受信RF回路104a、104bを備える。なお、送信RF(Radio Frequency)回路103a、103b、受信RF回路104a、104bは、送信高周波回路、受信高周波回路と呼んでもよい。
【0020】
アンテナアレイ101a、101bは、無線信号の送信及び受信を行う。スイッチ回路102a、102bは、アンテナアレイ101a、101bの接続先を切り替え、動作モードが送信である場合、送信RF回路103a、103bへ接続し、動作モードが受信である場合、受信RF回路104a、104bへ接続することで、アンテナアレイ101a、101bを送信と受信とに対応させるための回路である。
【0021】
なお、通信装置100は、スイッチ回路102a、102bを備える代わりに、送信アンテナアレイ(例えば、図示しない101a―1及び101a―2)及び受信アンテナアレイ(例えば、図示しない102a―1及び102a―2)をそれぞれ備えてもよい。
【0022】
送信RF回路103a、103bは、D/Aコンバータ111a、111bが出力する送信ベースバンド信号を変調し、高周波(例えば60GHz帯信号)へ変換し、アンテナアレイ101a、101bへ出力する。また、送信RF回路103a、103bは、アンテナアレイ101a、101bを構成するアンテナ素子(図示しない)毎に出力信号の位相及び/又は出力を制御することにより、アンテナアレイ101a、101bの送信指向性制御を行う。なお、送信指向性制御とは、送信方向によって無線信号の送信強度を制御することである。
【0023】
受信RF回路104a、104bは、アンテナアレイ101a、101bが出力する受信無線信号を受信ベースバンド信号へ変換し、A/Dコンバータ112a、112bへ出力する。また、受信RF回路104a、104bは、アンテナアレイ101a、101bを構成するアンテナ素子(図示しない)毎に入力信号の位相及び/又は出力を制御することにより、アンテナアレイ101a、101bの受信指向性制御を行う。なお、受信指向性制御とは、受信方向によって無線信号の受信感度を制御することである。
【0024】
PHY回路110は、一例として、D/Aコンバータ111a、111b、A/Dコンバータ112a、112b、符号化・変調回路114、復調・復号回路115を備える。
【0025】
D/Aコンバータ111a、111bは、符号化・変調回路114が出力する送信ディジタルベースバンド信号をディジタル/アナログ変換し、送信RF回路103a、103bへ出力する。
【0026】
A/Dコンバータ112a、112bは、受信RF回路104a、104bが出力する受信アナログベースバンド信号をアナログ/ディジタル変換し、復調・復号回路115へ出力する。
【0027】
アレイ制御回路113は、MAC回路120のBF制御回路124からの指示に基づき、送信RF回路103a、103b及び受信RF回路104a、104bへ送信指向性制御、受信指向性制御の指示を行う。
【0028】
符号化・変調回路114は、MAC回路120のフレーム生成回路122が出力する送信MACフレーム(送信PHYペイロードという)の符号化(例えば、LDPC:Low Density Parity Check符号化)、変調(例えば、π/2-BPSK:Binary Phase Shift Keying)を行い、送信ディジタルベースバンド信号を生成し、D/Aコンバータ111a、111bへ出力する。
【0029】
復調・復号回路115は、A/Dコンバータ112a、112bが出力する受信ディジタルベースバンド信号の復調及び復号を行い、復号したPHYデータ(受信MACフレームという)をMAC回路120のフレーム受信回路123へ出力する。
【0030】
復調・復号回路115が行う復調処理は、例えば、同期処理(プリアンブル検出、周波数同期、タイミング同期)、等化(受信信号のひずみを補正すること)、データ復調(例えばπ/2-BPSKのシンボルデータをビットデータ及び尤度データに変換)を含む。また、復号処理は、例えば、LDPC復号を含む。
【0031】
MAC回路120は、一例として、アクセス制御回路121、フレーム生成回路122、フレーム受信回路123、BF(ビームフォーミング)制御回路124を備える。
【0032】
アクセス制御回路121は、ホスト130から入力されるユーザデータ、及び受信されたデータに応じ、送信モードと受信モードとの切り替え、送信タイミングの決定を行い、フレーム生成回路122、フレーム受信回路123、BF制御回路124の制御を行う。また、ホスト130から入力されるユーザデータを送信するため、送信タイミングを決定し、フレーム生成回路122を制御する。また、ビームフォーミングトレーニング(BFT)を実施するため、BFT実施タイミングを決定し、BF制御回路124を制御する。
【0033】
ホスト130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、または、SoC(System on Chip)を備え、OS(Operating System)、または、アプリケーションソフトウェア(一例として、ウェブブラウザ、ファイル管理ソフト)を実行する。OS、または、アプリケーションソフトウェアの要求に応じて、MAC回路に対し、例えば、起動、停止、ステータス情報の取得の制御、データ送信要求、受信データの取得を行う。
【0034】
図2Bは、通信装置100aの構成の一例を示す図である。通信装置100とは異なる別の一例を示す。通信装置100aは、一例として、ホスト130、MAC回路120、PHY回路110a、RFモジュール回路109aを備える。
【0035】
PHY回路110aは、IF(Intermediate Frequency)転送回路152を備える。IF転送回路152は、D/Aコンバータ111a、111bが出力したアナログベースバンド信号(IQ信号と呼ぶ)を送信IF(Intermediate Frequency)帯信号と呼ばれる送信ベースバンド信号とRF信号の中間周波数に変調し、IFケーブル153を経由してRFモジュール回路へ転送する。また、IF転送回路152は、アレイ制御回路113が出力する制御信号をIF帯制御信号に変調し、送信IF帯信号と多重してIFケーブル153に出力してもよい。
【0036】
RFモジュール回路109aは、IF転送回路151を備える。また、
図2Aの送信RF回路103a、103b及び受信RF回路104a、104bの代わりに、送信RF回路103c、103d及び受信RF回路104c、104dを備える。
【0037】
IF転送回路151は、IFケーブル153から、IF帯制御信号を分離し、アレイ制御回路113が出力した制御信号を復調し、送信RF回路103c、103d及び受信RF回路104c、104dへ出力する。
【0038】
また、IF転送回路151は、送信IF帯信号を分離して送信RF回路103c、103dへ出力する。送信RF回路103c、103dは、送信IF帯信号を送信RF信号への変調、増幅を行う。また、IF帯制御信号をIF転送回路151が復調した信号に基づき、送信RF信号の振幅及び位相を制御し、送信指向性の制御を行う。
【0039】
また、
図2Aでは、受信RF回路104a、104bが受信RF信号を受信ベースバンド信号に復調したが、
図2Bでは、受信RF回路104c、104dは、受信RF信号を受信IF帯信号に復調する。IF転送回路151は、受信IF帯信号を他の信号と多重し、IFケーブル153へ出力する。IF転送回路152は、受信IF帯信号を復調し、受信ベースバンド信号を生成し、A/Dコンバータ112a、112bへ出力する。
【0040】
図2Bの構成は、
図2Aと比べ、複数の信号をIFケーブル153に多重して送信するため、IFケーブル153を延長することができ、PHY回路110a及びMAC回路120と、RFモジュール回路109aを離して設置することができる。しかしながら、通信装置100a、200a、300aは、IFケーブル153において伝送される信号はPHY回路110a及びRFモジュール回路109aの構成に応じて設計されるものであるから、PHY回路110a及びRFモジュール回路109aが離れて配置されていても、一体の機能をなすものと考えられる。
【0041】
図3は、802.11ad規格のBFT手順の一例を示す図である。BFTは、SLS(Sector Level Sweep)とBRP(Beam Refinement Protocol)の少なくとも1つを含む。
【0042】
SLSでは、通信装置は、パケット毎に、送信アンテナの指向性(送信セクタ、または、送信AWV:Antenna Weight Vectorという)または受信アンテナの指向性(受信セクタ、または、受信AWVという)を切り替え、BFTを行う。BRPでは、通信装置は、パケット内のトレーニングフィールド内で送信セクタまたは受信セクタを切り替えて、BFTを行う。
【0043】
また、SLS及びBRPでは、応答フレームにおいて、トレーニングにより得られた最良の送信セクタの情報(ベストセクタという)を含めて送信することにより、BFTを行う。
【0044】
なお、BFTを開始する通信装置をイニシエータ(Initiator)と呼ぶ。Initiatorからの要求に応答する通信装置をレスポンダ(Responder)と呼ぶ。
【0045】
イニシエータは、SLSを行う場合、まず、イニシエータ送信セクタスイープ(Initiator TXSS)を行う。Initiator TXSSにおいては、イニシエータは、セクタスイープ(Sector Sweep、SSW)フレーム511、512、513毎に、送信セクタを切り替え、各SSWを送信する。レスポンダは、レスポンダ送信セクタスイープ(Responder TXSS)を行って、Initiator TXSSへ応答する。Responder TXSSにおいて、レスポンダは、SSWフレーム521、522、523毎に、送信セクタを切り替え、各SSWを送信する。
【0046】
イニシエータは、SSWフィードバック(SSW-FB)フレーム531を送信し、レスポンダは、SSW Acknowledgement(SSW-ACK)フレーム541を送信し、SLSを完了する。
【0047】
イニシエータは、BRPを行う場合、レスポンダへBRPフレーム601を送信する。レスポンダは、BRPフレーム601を受信した場合、BRPフレーム601に含まれる要求の種類(後述)に応じ、応答を含めたBRPフレーム602をイニシエータへ送信する。
【0048】
BRPは、イニシエータとレスポンダとの間でBRPフレームの送信を繰り返すことにより行われる(Beam Refinement Transaction、以下BRTという。)。BRPは、BRTの前に、1つ以上のサブフェーズ(Subphase)を含むでもよい。サブフェーズは、一例として、セットアップサブフェーズ、MID(Multiple Sector Identifier)サブフェーズ、BC(Beam Combining)サブフェーズ、MIDC(MID Capture)サブフェーズがあり、BRTと同様に、イニシエータ及びレスポンダからのBRPフレームの送信により行われる。
【0049】
レスポンダが要求を含まないBRPフレームを送信した場合、イニシエータは、BRPフレームの送信を停止することにより、BRTを終了し、BRPを終了してもよい。
【0050】
なお、イニシエータ及びレスポンダは、BRPフレームの要求をSSW-FB及びSSW-ACKフレームに含め、SLSに続けてBRPを行ってもよい。一例として、
図3において、イニシエータは、SSW-FBフレーム531のTX-TRN-REQサブフィールドの値を1に設定し、SLSの完了後にBRPを行い、送信BFTを行うことをレスポンダに要求する。
【0051】
イニシエータは、SSW-FBフレーム531のL-RXサブフィールドの値を1以上に設定し(
図3では、L-RX>0)、SLSの完了後にBRPを行い、受信BFTを行うことをレスポンダに要求する。
【0052】
イニシエータは、セットアップサブフェーズにおいて、Capability Requestサブフィールドを1に設定してBRPフレーム601を送信する。Capability Requestサブフィールドを0に設定したBRPフレーム604、605をレスポンダ及びイニシエータが送信することにより、セットアップサブフェーズは終了する。
【0053】
イニシエータは、BRPフレーム601において、TX―FBCK-REQサブフィールドを1に設定し、SNR Requestedサブフィールドを1に設定して送信する。
【0054】
レスポンダは、BRPフレーム601のSNR Requestedサブフィールドが1に設定されていることに応答し、BRPフレーム602に、Channel Measurement Feedbackエレメントを含め、Channel Measurement FeedbackエレメントのSNRフィールドに、BRPフレーム601を受信中に測定したSNR(Signal to Noise Ratio)の値、つまり受信品質の値を設定する。なお、SNRの値は複数であってもよい。SNR Presentサブフィールドを1に設定し、Channel Measurement FeedbackエレメントのSNRフィールドの値が有効であることをイニシエータに通知する。
【0055】
また、レスポンダは、後述するChannel Measurement FeedbackエレメントのSector ID Orderフィールドに、SNRの値に対応する送信セクタID及びアンテナIDの値を含めて送信する。Sector ID Order Presentサブフィールドを1に設定し、Channel Measurement FeedbackエレメントのSector ID Orderフィールド値が有効であることをイニシエータに通知する。
【0056】
このように、送信装置は、ベストセクタを通知することに加え、Channel Measurement FeedbackエレメントのSNRフィールド及びSector ID Orderフィールドに複数の送信セクタに対応する受信品質の測定結果、つまり測定結果のリストを通知する。これにより、送信装置は、測定結果のリストに含まれるSector IDを候補送信セクタとみなし、候補送信セクタと受信セクタの組み合わせをテストするようにBeam Refinement Transactionを行うことにより、SLSにより得られた暫定的なベストセクタより通信品質の良い、真のベストセクタを発見することができる。
【0057】
図4は、802.11ayドラフト規格のSISO BRP TXSS手順を示す図である。SISO BRP TXSSは、イニシエータ及びレスポンダがBPRフレームを用いて送信及び受信BFTを行う一方法である。
図3のBRPと異なり、各BRPフレームの役割及び送信順序があらかじめ定められているため、イニシエータ及びレスポンダにおける応答に要する処理(BRPフレームを受信してから次のBRPフレームを送信するまでの処理)時間を短縮することができる。
【0058】
図4のSISO BRP TXSS期間にイニシエータ及びレスポンダに送信されるフレームは全てBRPフレームであるが、
図4では役割名(例えば、Setup、EDMG(Enhanced directional multi-gigabit) BRP-TX)を記載する。
【0059】
Setup BRPフレーム701、702は、BRPフレームのBRP-TXSSフィールドを1、TXSS-MIMOフィールドを0に設定することで、SISO BRP TXSS手順の開始を通知するフレームである。イニシエータは、Setup BRPフレーム701を送信してSISO BRP TXSS手順の開始を通知し、レスポンダは、Setup BRPフレーム702を送信してSISO BRP TXSS手順の開始を受け入れる。
【0060】
EDMG BRP-TXフレーム703は、イニシエータの送信BFTを行うBRPフレームである。
【0061】
Feedback BRPフレーム704は、イニシエータの送信BFTの結果を通知するフレームである。レスポンダは、Feedback BRPフレーム704のBS-FBCKサブフィールドに、ベストセクタ(最良AWV)の情報を含めて送信する。レスポンダは、Feedback BRPフレーム704にEDMG Channel Measurement Feedbackエレメントを含め、EDMG Sector ID Orderフィールドに、送信BFTの結果を示す情報として、AWV、送信アンテナID、受信アンテナIDの組を複数含め、Channel Measurement FeedbackエレメントのSNRフィールドに、前述のAWV、送信アンテナID、受信アンテナIDの組み合わせ毎にSNRの値を含めてもよい。
【0062】
レスポンダは、
図3のBRPフレーム602のSector ID Orderフィールドと同様に、EDMG Sector ID Orderフィールドに送信BFTの結果を示すAWVのリストを含めることができる。
【0063】
レスポンダは、EDMG Sector ID Orderフィールドに、例えば、最良AWV、第2最良AWV、・・・、第n最良AWVのように、複数のAWVに関するトレーニング結果(SNR,受信品質)を含めてもよい。
【0064】
レスポンダは、EDMG Sector ID Orderフィールドに、例えば、送信アンテナID、受信アンテナIDの組み合わせ(0,0)に対する最良AWV、(0,1)に対する最良AWV、(1,0)に対する最良AWV、(1,1)に対する最良AWVのように、送信アンテナID、受信アンテナIDの組み合わせ毎にAWVに関するトレーニング結果(SNR,受信品質)を含めてもよい。
【0065】
EDMG BRP-RXフレーム705は、レスポンダの受信BFTを行うBRPフレームである。
【0066】
EDMG BRP-TXフレーム706、Feedback BRPフレーム707は、それぞれ、レスポンダの送信BFT、及び、フィードバックを行うBRPフレームである。EDMG BRP-RXフレーム708は、イニシエータの受信BFTを行うBRPフレームである。なお、EDMG BRP-TXフレーム706、Feedback BRPフレーム707、EDMG BRP-RXフレーム708の送受信は、省略してもよい。
【0067】
イニシエータがAck BRPフレーム709を送信し、SISO BRP TXSS手順の終了をレスポンダへ通知する。イニシエータは、Ack BRPフレームを送信した場合、Feedback Ackフレーム704に含まれるBS-FBCKフィールドの値の基づき、送信AWVを変更する。また、イニシエータは、EDMG BRP-RXフレーム708を受信することにより、受信BFTを行い、その結果に基づき、イニシエータの受信AWVを変更する。
【0068】
レスポンダは、Ack BRPフレームを受信した場合、Feedback Ackフレーム707に含まれるBS-FBCKフィールドの値の基づき、送信AWVを変更する。また、レスポンダは、EDMG BRP-RXフレーム705を受信することにより、受信BFTを行い、その結果に基づき、レスポンダの受信AWVを変更する。
【0069】
イニシエータ及びレスポンダは、SISO BRP TXSS手順により設定したベストセクタ(AWV)を用いて、送信及び受信を行う。一例として、イニシエータは、フィードバックBRPフレーム704のBS-FBCKフィールドに指定される最適送信AWVを用いてシングルストリーム(SISO)データフレーム710、712を送信する。また、イニシエータは、EDMG BRP-RXフレーム705の受信を通じて決定した最適受信AWVを用いてBA(BlockAck)フレーム711、713を受信する。
【0070】
図5、
図6は、802.11ayドラフト規格のSU-MIMO BFT手順の一例を示す図である。SU-MIMO BFT手順は、イニシエータ及びレスポンダがBPRフレームを用いて、複数アンテナの送信及び受信BFTを行う一方法である。SU-MIMO BFT手順は、SU-MIMOデータ通信に先立って行われる。
【0071】
SU-MIMO BFT手順は、SISOフェーズ及びMIMOフェーズを含む。SISOフェーズは、MIMO BRP TXSS手順を用いる方法(
図5)と、SISO Feedback Procedureを用いる方法(
図6)がある。
【0072】
図5の手順について説明する。Setup BRPフレーム801、802は、BRPフレームのBRP-TXSSフィールドを1、TXSS-MIMOフィールドを1に設定することで、MIMO BRP TXSS手順の開始を通知するフレームである。イニシエータは、Setup BRPフレーム801を送信してMIMO BRP TXSS手順の開始を通知し、レスポンダは、Setup BRPフレーム802を送信してMIMO BRP TXSS手順の開始を受け入れる。
【0073】
EDMG BRP-TXフレーム803は、イニシエータの送信BFTを行うBRPフレームである。イニシエータは、複数の送信アンテナ(アンテナアレイ)101a、101bを備える場合、EDMG BRP-TXフレーム803の送信中に送信アンテナを切り替えることで送信アンテナ101a、101bそれぞれからトレーニングパターンを送信してもよい。また、イニシエータは、送信アンテナ101a、101b毎に複数のBRP-TXフレーム803を送信することで、送信アンテナ101a、101b毎のトレーニングを行ってもよい。また、イニシエータは、レスポンダの受信アンテナ(アンテナアレイ)101a、101bの数に応じて、BRP-TXフレーム803の送信を繰り返すことにより、イニシエータの各送信アンテナと、レスポンダの各受信アンテナのすべての組み合わせについてトレーニングを行う。
【0074】
Feedback BRPフレーム804は、イニシエータの送信BFTの結果を通知するフレームである。レスポンダは、Feedback BRPフレーム804にEDMG Channel Measurement Feedbackエレメントを含め、EDMG Sector ID Orderフィールドに、送信BFTの結果を示す情報として、AWV、送信アンテナID、受信アンテナIDの組を複数含め、Channel Measurement FeedbackエレメントのSNRフィールドに、前述のAWV、送信アンテナID、受信アンテナIDの組毎にSNRの値を含める。
【0075】
イニシエータは、EDMG Sector ID Orderフィールドに、イニシエータの送信アンテナとレスポンダの受信アンテナとの組み合わせ毎に、複数のAWVをフィードバックする。各組み合わせにおいてAWVの数が16以下である場合、すべてのAWVを選択し、16を超える場合は、イニシエータは16個を選択して(例えば、受信品質が良い16個を選択)EDMG Sector ID Orderフィールドに含める。
【0076】
次に、レスポンダがEDMG BRP-TXフレーム805を送信し、イニシエータがFeedback BRPフレーム806を受信する。これにより、イニシエータが、EDMG BRP-TXフレーム803及びFeedback BRPフレーム804と同様のトレーニングを行う。その後、レスポンダがAck BRPフレーム807を送信し、MIMO BRP TXSS手順を完了する。
【0077】
MIMOフェーズでは、イニシエータ及びレスポンダは、MIMO BF Setup BRPフレーム851及び852を送信し、MIMOフェーズの開始を通知する。なお、イニシエータ及びレスポンダは、SISOフェーズで受信したフィードバック結果(Feedback BRPフレーム804、806)に基づき、MIMO BFTのトレーニングを行う送受信アンテナ及びAWVの組み合わせのリストをMIMO BF Setup BRPフレーム851、852に含める。
【0078】
イニシエータ及びレスポンダは、それぞれ、EDMG BRP-RX/TXフレーム853、854を送信してMIMO BFTトレーニングを行う。これは、MIMO BF Setup BRPフレーム851及び852に含まれる送受信アンテナ及びAWVの組み合わせに基づき、MIMOトレーニングパターン(トレーニング信号を複数アンテナで同時送信すること)をEDMG BRP-RX/TXフレーム853、854に含めることにより行われる。
【0079】
イニシエータ及びレスポンダは、MIMO BF Feedbackフレーム855、856を送信し、MIMOフェーズ及びSU-MIMO BFTを完了する。
【0080】
イニシエータ及びレスポンダは、SU-MIMO BFTが完了後、MIMO BF Feedbackフレーム855、856により通知された、送受信アンテナ及びAWVの組み合わせを用いて、SU-MIMOデータフレーム(図示しない)を送信する。
【0081】
図6の手順について説明する。MIMOフェーズの手順は
図5と同様であるから、説明を省略する。
【0082】
イニシエータ及びレスポンダは、SU-MIMO BFT開始前に、SISO BFT811を完了している場合、SISOフェーズとしてMIMO BFT TXSSの代わりにSISO Feedback procedureを行ってもよい。SISO BFT811は、例えば、SLS(
図3を参照)、SISO BRP TXSS(
図4を参照)、及びMIMO BRP TXSS(
図5を参照)であってもよい。
【0083】
イニシエータは、SISO BFT811を実施する場合、イニシエータの各送信アンテナとレスポンダの各受信アンテナとのすべての組み合わせについてトレーニングを行う。レスポンダは、結果を保持しておく。例えば、BF制御回路124がメモリに送受信アンテナ、AWVの組み合わせに対するSNRの値を保持しておく。
【0084】
同様に、レスポンダは、SISO BFT811を実施する場合、レスポンダの各送信アンテナとイニシエータの各受信アンテナとのすべての組み合わせについてトレーニングを行う。イニシエータは、結果を保持しておく。
【0085】
なお、SU-MIMO BFTにおけるイニシエータとレスポンダは、SISO BFTにおけるイニシエータとレスポンダと同一でもよく、逆(イニシエータとレスポンダが入れ替わる)でもよい。
【0086】
イニシエータとレスポンダとは、Feedback BRPフレーム812、813にEDMG Channel Measurement Feedbackエレメントを含め、EDMG Sector ID Orderフィールドに、送信BFTの結果を示す情報として、AWV、送信アンテナID、受信アンテナIDの組み合わせをそれぞれ1つ以上含め、Channel Measurement FeedbackエレメントのSNRフィールドに、前述のAWV、送信アンテナID、受信アンテナIDの組み合わせ毎にSNRの値を含める。これは、
図5のFeedback BRPフレーム806及び804に含まれる情報に相当する。
【0087】
イニシエータ及びレスポンダは、受信したフィードバック結果(Feedback BRPフレーム812、813)に基づき、MIMO BFTのトレーニングを行う送受信アンテナ及びAWVの組み合わせのリストをMIMO BF Setup BRPフレーム851a、852aに含める。
【0088】
なお、SISO BFT811とFeedback BRPフレーム812との間は、時間があいてもよい。たとえば、SISO BFT811の後に、他の通信装置(図示しない)がデータ通信を行ってもよい。
【0089】
このように、
図6のSISO Feedback procedureは、
図5のMIMO BRP TXSSに比べ送受信するフレーム数が少ないため短時間で完了することが可能であるが、イニシエータ及びレスポンダは、SISO BFTにおいて送受信アンテナ及びAWVの組み合わせに対するトレーニング結果を保持しておく必要がある。
【0090】
図7、
図8は、802.11ayドラフト規格のMU-MIMO BFT手順の例を示す図である。MU-MIMO BFT手順は、イニシエータ及び複数のレスポンダがBPRフレームを用いて、複数アンテナの送信及び1又は複数の受信アンテナのBFTを行う一方法である。MU-MIMO BFT手順は、MU-MIMOデータ通信に先立って行われる。
【0091】
MU-MIMO BFT手順は、SISOフェーズ及びMIMOフェーズを含む。MIMOフェーズは、SU-MIMO BFTのMIMOフェーズと同様に、MIMO送信のトレーニングを行う手順である。詳細の説明は省略する。SISOフェーズは、Initiator TXSSサブフェーズとSISO Feedbackサブフェーズを含む(
図7を参照)が、Initiator TXSS subphaseを省略する場合(
図8)がある。
【0092】
図7の手順について説明する。
図7において、イニシエータ(例えば通信装置100)、レスポンダ1(例えば通信装置200)、レスポンダ2(例えば通信装置300)がMU-MIMO BFTを行う。
【0093】
Initiator TXSSサブフェーズにおいて、イニシエータは、複数のShort SSWフレーム901、902毎に、送信セクタを変え、各Short SSWフレームを送信する。レスポンダ1及びレスポンダ2はShort SSWフレーム901、902の受信品質を測定し、保持しておく。例えば、BF制御回路124がメモリに送受信アンテナ、セクタの組み合わせに対するSNRの値を保持しておく。
【0094】
SISO Feedbackサブフェーズにおいて、イニシエータは、各レスポンダにPoll BRPフレームを送信し、Feedback BRPフレームによる応答を求める。イニシエータは、レスポンダ1宛にPoll BRPフレーム911を送信する。
【0095】
レスポンダ1は、Feedback BRPフレーム912に、EDMG Channel Measurement Feedbackエレメントを含め、EDMG Sector ID Orderフィールドに、送信BFTの結果を示す情報として、AWV、送信アンテナID、受信アンテナIDの組を複数含め、Channel Measurement FeedbackエレメントのSNRフィールドに、前述のAWV、送信アンテナID、受信アンテナIDの組毎にSNRの値を含める。また、レスポンダ912は、Feedback BRPフレーム912に、EDMG BRP Requestエレメントを含め、L-TX-RXフィールド及びRequested EDMG TRN UNIT Mフィールドに、MIMOフェーズにおいてトレーニングを行う受信AWVの個数に関する情報を含める。
【0096】
イニシエータは、レスポンダ2宛にPoll BRPフレーム913を送信する。レスポンダ2は、Feedback BRPフレーム914にEDMG Channel Measurement Feedbackエレメント及びEDMG BRP Requestエレメントを含めて送信する。なお、Feedback BRPフレーム912と同様であるため、その他の説明は省略する。
【0097】
MIMOフェーズでは、Feedback BRPフレーム912、914に含まれるフィードバック情報に指定される送受信アンテナ及びAWVの組み合わせ、及び受信AWV数についてMIMOトレーニングを行い、MU-MIMOデータ通信に用いる送受信アンテナ及びAWVの組み合わせが決定される。
【0098】
図8の手順について説明する。イニシエータとレスポンダ1、イニシエータとレスポンダ2がそれぞれSISO BFT(例えばSISO BFT921、922)を完了している場合、Initiator TXSSサブフェーズを省略することができる。
【0099】
レスポンダ1は、イニシエータとSISO BFT921を行い、トレーニング結果を保持しておく。詳細は
図6のSISO BFT811と同様である。レスポンダ2は、イニシエータとSISO BFT922を行い、トレーニング結果を保持しておく。
【0100】
レスポンダ1は、Feedback BRPフレーム912aに、SISO BFT921において保持したトレーニング結果に基づき、送受信アンテナとAWVの組み合わせのリスト、及び組み合わせ毎のSNRの値を含めて送信する。
【0101】
レスポンダ3は、Feedback BRPフレーム914aに、SISO BFT922において保持したトレーニング結果に基づき、送受信アンテナとAWVの組み合わせのリスト、及び組み合わせ毎のSNRの値を含めて送信する。
【0102】
図8のMIMOフェーズ950は、
図7と同様であるから、説明を省略する。
【0103】
なお、SISO BFT921の終了からSISO BFT922の開始までの間、SISO BFT922の終了からSISOフェーズの開始までの間は、それぞれ時間があいてもよい。たとえば、SISO BFT922の後に、他の通信装置(図示しない)がデータ通信を行ってもよい。
【0104】
このように、
図8のSISOフェーズは、
図7のSISOフェーズに比べ送受信するフレーム数が少ないため短時間で完了することが可能である。なお、イニシエータ及び各レスポンダは、SISO BFTにおいて送受信アンテナ及びAWVの組み合わせに対するトレーニング結果を保持しておく。
【0105】
図9は、
図3から
図8において用いるBRPフレームのフォーマットを示す図である。BRPフレームは、Frame Controlフィールド、Durationフィールド、Address1フィールド、Address2フィールド、Categoryフィールド、Unprotected DMG(Directional multi-gigabit) Actionフィールド、BRP Requestフィールド、DMG Beam Refinementエレメント、Channel Measurement Feedbackエレメント、EDMG Partial Sector Level Sweepエレメント、EDMG BRP Requestエレメント、EDMG Channel Measurement Feedbackエレメントを含む。
【0106】
Frame Controlフィールド、Durationフィールド、Address1フィールド、Address2フィールド、Categoryフィールド、Unprotected DMG Actionフィールド、BRP Requestフィールドを<fields>と省略して記載する。
【0107】
Channel Measurement Feedbackエレメント、EDMG Partial Sector Level Sweepエレメント、EDMG BRP Requestエレメント、EDMG Channel Measurement Feedbackエレメントはオプションのエレメントであり、省略してもよい。
【0108】
BRPフレームは、
図9に示す単一のフォーマットであるが、
図3から
図8において示したように、異なる役割を持つフレーム(例えば、Setup BRPフレームやFeedback BRPフレーム等)として機能する。
【0109】
以上、802.11ad規格におけるBFTの手順について説明したが、BRPフレームのフォーマットが共通であるため、通信装置100(レスポンダ)は、受信したBRPフレームが、
図3のBRPフレーム601(イニシエータはSISO BRPのSetupサブフェーズを意図)か、
図4のSetup BRPフレーム(イニシエータはSISO BRP TXSSを意図)か、
図5のSetup BRPフレーム(イニシエータはSU-MIMOのMIMO BRP TXSSを意図)か、
図6のFeedback BRPフレーム(イニシエータはSU-MIMOのSISO Feedback procedureを意図)か、
図8のPoll BRPフレーム(イニシエータはMU-MIMOのSISOフェーズを意図)か、判別が困難である。
【0110】
また、
図6及び
図8のTXSSが、SISO BFTを意図したものであるので、レスポンダは、TXSSの後にSU-MIMO BFTのSISO phase(
図6を参照)が実行されるか否か、及びInitiator TXSS subphaseを省略したMU-MIMO BFT(
図8を参照)が実行されるか否かを、あらかじめ知ることは困難である。
【0111】
例えば、
図6のTXSSにおいて、レスポンダがSISO BFTを意図してベストセクタの選択を行った場合、Feedback BRPフレーム813に、送受信アンテナ及びAWVの組み合わせと、SNRの情報と、を含めて送信することが困難である。つまり、レスポンダが、Feedback BRPフレーム812の意図がSISO Feedback procedureであると判別できた場合であっても、適切に応答することが困難である。
【0112】
以下において、通信装置100が受信したBRPフレームの意図を判別し、適切に応答するための方法について説明する。
【0113】
(実施の形態1)
通信装置100は、BRPフレームを用いて実行するBFT手順の種類(
図3、
図4、
図5、
図6、
図7、
図8)に応じて、始めに送信するBRPフレームに含めるエレメントの種類を決定し、他のオプションのエレメントを含めないで送信する。これにより、レスポンダは、BFT手順の種類を判別することができる。
【0114】
図10A~
図10D、
図11は、通信装置100(イニシエータ及びレスポンダ)が、
図3、
図4、
図5、
図6、
図7、
図8のBFT手順を行う場合、始めに送信するBRPフレームのフォーマットを示す図である。
図10A~
図10Dは、BRPフレームが含むエレメントを示し、
図11は、エレメント、フィールド、サブフィールドの値を示す。なお、
図11において、一部のエレメント、フィールド、サブフィールドを示し、他を省略する。
【0115】
図10Aに示すように、イニシエータは、SISO TXSSのBRP(
図3を参照)を行う場合、Setupサブフェーズにおいて、BRPフレーム601に、7オクテットのDMG Beam Refinementエレメントを含めて送信する。
【0116】
図10Bに示すように、イニシエータは、SISO BRP TXSS(
図4を参照)及びMIMO BRP TXSSを行う場合(
図5を参照)、BRPフレーム701、801に10オクテットのDMG Beam Refinementエレメント、及び、EDMG BRP Requestエレメントを含めて送信する。
図11に示すように、イニシエータは、BRP-TXSSフィールドの値を1に設定する。また、イニシエータは、SISO BRP TXSSの場合、BRPフレーム701のTXSS-MIMOフィールドの値を0に設定し、MIMO BRP TXSSの場合、BRPフレーム801のTXSS-MIMOフィールドの値を1に設定する。
【0117】
なお、
図10Aに示した、7オクテットのDMG Beam Refinementエレメントは、11ad規格に規定されており、
図10Bに示した、10オクテットのDMG Beam Refinementエレメントは、11ayドラフト規格に規定されている。
【0118】
図10Cに示すように、イニシエータは、SU-MIMOのSISO Feedback procedureを行う場合(
図6を参照)、BRPフレーム812に10オクテットのDMG Beam Refinementエレメント、Channel Measurement Feedbackエレメント、及び、EDMGChannel Measurement Feedbakエレメントを含めて送信する。
図11に示すように、イニシエータは、BRP-TXSSフィールドの値を1に設定する。
【0119】
また、イニシエータは、FBCK-REQフィールドのSNR Requestedフィールド及びSector ID Orderサブフィールドをそれぞれ1に設定する。これにより、レスポンダからAWV及びSNRのリストをフィードバックするよう要求する。また、イニシエータは、TXSS-FBCK-REQフィールド、FBCK-TYPEフィールドのSNR Presentサブフィールド及びSector ID Order Presentサブフィールドの値を1に設定する。
【0120】
これにより、イニシエータは、BRPフレーム812のChannel Measurement FeedbakエレメントのSNRフィールドの値、及びEDMG Channel Measurement FeedbackエレメントのEDMG Sector ID Orderフィールドの値が有効であることを通知する。
【0121】
図10Dに示すように、イニシエータは、MU-MIMOのSISO Feedback subphaseを行う場合(
図7、
図8を参照)、BRPフレーム911、911aに10オクテットのDMG Beam Refinementエレメントを含めて送信する。イニシエータは、TXSS-FBCK-REQフィールド、FBCK-TYPEフィールドのSNR Presentサブフィールド及びSector ID Order Presentサブフィールドの値を1に設定する。
【0122】
イニシエータは、DMG Beam RefinementエレメントのLengthフィールドに、DMG Beam Refinementエレメントのオクテット数から2オクテット(Element IDフィールドとLengthフィールドのオクテット数を合わせた値)を減じた値を設定する。
【0123】
【0124】
ステップS1001において、レスポンダはBRPフレームを受信する。
【0125】
ステップS1002において、レスポンダは、DMG Beam Refinementエレメントの長さが10オクテット以上(Lengthフィールドの値が8以上)か否かを判定する。Yesの場合、ステップS1003へ進む。Noの場合、ステップS1020へ進む。
【0126】
なお、ステップS1002において、レスポンダは、DMG Beam Refinementエレメントの長さを判定する代わりに、EDMG Extension Flagフィールドの値が1か否かを判定してもよい。EDMG Extension Flagフィールドの値が1である場合Yes、EDMG Extension Flagフィールドの値が0である場合、及びフィールドが存在しない場合、Noである。
【0127】
ステップS1003において、レスポンダは、EDMG BRP Requestエレメントが存在するか否かを判定する。Yesの場合、ステップS1004へ進む。Noの場合、ステップ1006へ進む。
【0128】
ステップS1004において、レスポンダは、BRP-TXSSフィールド及びTXSS-Initiatorフィールドの値がいずれも1か否かを判定する。Yesの場合、ステップS1005へ進む。Noの場合、ステップ1020へ進む。
【0129】
ステップS1005において、レスポンダは、TXSS-MIMOフィールドの値が1か否かを判定する。Yesの場合、ステップS1011へ進む。Noの場合、ステップ1013へ進む。
【0130】
ステップS1006において、レスポンダは、EDMG Channel Measurement Feedbackエレメントが存在するか否かを判定する。Yesの場合、ステップS1015へ進む。Noの場合、ステップ1017へ進む。
【0131】
なお、ステップS1006において、レスポンダは、EDMG Channel Measurement Feedbackエレメントが存在するか否かを判定する代わりに、Channel Measurement Feedbackエレメントが存在するか否かを判定してもよい。また、レスポンダは、EDMG Channel Measurement Presentサブフィールドの値が1か否かを判定してもよい。また、レスポンダは、FBCK-TYPEフィールドの各サブフィールドに非ゼロの値が含まれるか否かを判定してもよい。
【0132】
以上の判定により、レスポンダは、ステップS1011へ進んだ場合、受信したBRPフレームはSISO BRP TXSS(
図4)のSetup BRPフレーム701であると判定する。ステップS1012において、Setup BRPフレーム702を送信する。
【0133】
レスポンダは、ステップS1013へ進んだ場合、受信したBRPフレームはMIMO BRP TXSS(
図5)のSetup BRPフレーム801であると判定する。ステップS1014において、Setup BRPフレーム802を送信する。
【0134】
レスポンダは、ステップS1015へ進んだ場合、受信したBRPフレームはSU-MIMO BFTのSISO Feedback procedureのFeedback BRPフレーム812であると判定する。ステップS1016において、Feedback BRPフレーム813を送信する。
【0135】
レスポンダは、ステップS1017へ進んだ場合、受信したBRPフレームはMU-MIMO BFTのPoll BRPフレーム911、911aであると判定する。ステップS1018において、Feedback BRPフレーム912、912aを送信する。
【0136】
レスポンダは、ステップS1020へ進んだ場合、受信したBRPフレームはEDMGBRP手順(
図4、
図5、
図6、
図7、
図8のいずれか)ではないと判定し、
図3のSISO BRP手順を行うため、BRPフレーム602を送信する。
【0137】
図13は、イニシエータが
図10A~
図10D、
図11のBRPフレームを各手順の先頭BRPフレームとして用いることにより、SU-MIMO BFTのSISO Feedback procedureと組み合わせて用いることのできるSISO BFTの種類を示す図である。
【0138】
一例として、通信装置(STA)100は、STA200と、
図3のSLSを行い、
図6のSISO Feedback procedure及びMIMO Phaseを行うことにより、SISO BFTとSU-MIMO BFTを完了する。
【0139】
別の一例として、STA100は、STA200と、
図4のSISO BRP TXSSを行い、
図6のSISO Feedback procedure及びMIMO Phaseを行うことにより、SISO BFTとSU-MIMO BFTを完了する。
【0140】
別の一例として、STA100は、STA200と、
図5のMIMO BRP TXSS及びMIMO Phaseを行うことにより、1回目のSU-MIMO BFTを完了する。
【0141】
また、STA100は、1回目のSU-MIMO BFT完了した場合、
図6のSISO Feedback procedure及びMIMO Phaseを行うことにより、2回目のSU-MIMO BFTを完了してもよい。
【0142】
例えば、STA100及びSTA200は、1回目のSU-MIMO BFTを完了し、SU-MIMOデータ送信を行うが、STA100とSTA200間の遮蔽物が発生した場合に、1回目のSU-MIMO BFTにおいて保持している送受信アンテナ及びAWVの組み合わせとSNRとを
図6のFeedback BRPフレーム812、813に含めて送信し、SU-MIMO BFTを完了する。これにより、2回目のSU-MIMO BFTでは、MIMO BRP TXSS及びSISO TXSS(
図6の811)を省略でき、SU-MIMO BFTを実行する時間を短縮することができる。
【0143】
図14は、通信装置(イニシエータ及びレスポンダ)が、
図10A~
図10D、
図11に示すBRPフレームを用いて
図6のSU-MIMO BFTを行う場合の手順の詳細を示す図である。
図6と同じBRPフレームには同じ番号を付し、説明を省略する。
【0144】
イニシエータ及びレスポンダは、SU-MIMO BFTを開始する前に、Capability情報401、402を送信する。
【0145】
Capability情報は、イニシエータ及びレスポンダがそれぞれサポートする機能のリストを含み、SU-MIMO及びMU-MIMOをサポートするか否かを示すフィールドを含む。なお、イニシエータ及びレスポンダは、Capability情報401、402に、SISO BRP TXSS(
図4)、MIMO BRP TXSS(
図5)、SISO Feedback procedure(
図6)、Initiator TXSSを省略したMU-MIMO BFT(
図8)をサポートするか否かをそれぞれ示すビットを含めてもよい。
【0146】
イニシエータ及びレスポンダは、イニシエータ及びレスポンダがSU-MIMOをサポートすることをCapability情報により互いに通知された場合、TXSS811aの実行中に、SISO BFTを行い、MIMO用TXSSトレーニング結果として、SU-MIMO BFTに用いられる送受信アンテナ及びAWVの組み合わせと組み合わせ毎のSNRの値とを測定し、保持する。
【0147】
イニシエータ及びレスポンダは、保持したMIMO用TXSSトレーニング結果をFeedback BRPフレーム812、813に含めて送信するため、SU-MIMO BFTを正しく実行することができる。
【0148】
イニシエータ及びレスポンダは、Capability情報401、402を送信する前に、TXSS811aを実行する場合がある。このため、イニシエータは、Capability情報401、402の送信後にTXSS811aを実行した場合、Feedback BRPフレーム812を送信してSISO Feedback procedureを開始するようにしてもよい。
【0149】
イニシエータは、レスポンダとTXSS811aを実行する前にSU-MIMO及びMU-MIMOをそれぞれサポートするか否かを示す情報を含むCapability情報をレスポンダへ送信する。このため、レスポンダは、TXSS811aの実行中にMIMO用TXSSトレーニング結果を保持し、Feedback BRPフレーム813にMIMO用TXSSトレーニング結果を含めることができる。
【0150】
なお、レスポンダは、BRPフレームを受信した場合、
図12のフローチャートを用いて受信したBRPフレームの意図に応じた応答(Setup BRPフレーム602、Setup BRPフレーム701、802、またはFeedback BRPフレーム813、912)を行う代わりに、共通のFeedback BRPフレーム981のフォーマットを用いて応答を行ってもよい。
【0151】
図15は、共通のFeedback BRPフレーム981のフォーマットを示す図である。レスポンダは、BRPフレーム981に10オクテットのDMG Beam Refinementエレメント、Channel Measurement Feedbakエレメント、EDMG BRP Requestエレメント、EDMG Channel Measurement Feedbakエレメントを含める。
【0152】
レスポンダは、BRPフレーム981のDMG Beam RefinementエレメントのEDMG Extension Flagフィールドの値を1、EDMG Channel Measurement Presentフィールドの値を1、FBCK-TYPEフィールドのSNR Presentサブフィールド及びSector ID Order Presentサブフィールドの値をそれぞれ1に設定する。
【0153】
レスポンダは、SU-MIMOまたはMU-MIMOをサポートする場合、EDMG Channel Measurement FeedbackエレメントのEDMG Sector ID Orderフィールドに、イニシエータの送信アンテナとレスポンダの受信アンテナとの組み合わせ毎に、複数のAWVをフィードバックする。送受信アンテナの各組み合わせにおいてAWVの数が16以下である場合、すべてのAWVを選択し、16を超える場合は、イニシエータは16個を選択して(例えば、受信品質が良い16個を選択)、EDMG Sector ID Orderフィールドに含める。この情報は、SU-MIMO BFT及びMU-MIMO BFTにおいて必須の情報として用いられるが、SISO BFTに用いてもよい。
【0154】
レスポンダは、AWV毎にSNRの値をChannel Measurement FeedbakエレメントのSNRフィールドに含める。
【0155】
レスポンダは、EDMG BRP RequestエレメントのL-RXフィールドRequested EDMG TRN UNIT Mフィールドに、SISO BRP TXSSのEDMG BRP-RXフレーム705を受信した時にトレーニングを行う受信AWVの個数に関する情報を含める。
【0156】
レスポンダは、MU-MIMOをサポートする場合、EDMG BRP RequestエレメントのL-TX-RXフィールド及びRequested EDMG TRN UNIT Mフィールドに、MU-MIMO BFTのMIMOフェーズにおいてトレーニングを行う受信AWVの個数に関する情報を含める。
【0157】
このように、レスポンダは、イニシエータが送信した初めのBRPフレームに対し、共通のFeedback BRPフレーム981を用いて応答するので、イニシエータの意図したBFTがSISO BFT、SU-MIMO BFT、MU-MIMO BFTのいずれであっても、適切な応答を行うことができる。
【0158】
(実施の形態2)
通信装置100は、BRPフレームを用いて実行するBFT手順の種類(
図3、
図4、
図5、
図6、
図7、
図8)に応じて、SISO、SU-MIMO、MU-MIMOの種別を示すフィールドを始めに送信するBRPフレームに含めて送信する。レスポンダは、種別を示すフィールドと他のフィールドとの組み合わせにより、BFT手順の種類(
図3、
図4、
図5、
図6、
図7、
図8)を判別することができる。
【0159】
図16は、実施の形態2のBRPフレームのフォーマットを示す図である。
図9のBRPフレームと異なり、DMG Beam RefinementエレメントにBF Training Typeフィールドを含む。BF Training Typeフィールドは、値0はSISO、値1はSU-MIMO、値2はMU-MIMOを表す。値3は予約値(Reserved)である。
【0160】
イニシエータは、SISO BRPのSetupサブフェーズ(
図3)を行う場合、BRPフレーム601のBF Training Typeフィールドの値を0(SISO)に設定する。
【0161】
イニシエータは、SISO BRP TXSS(
図4)を行う場合、Setup BRPフレーム701のBF Training Typeフィールドの値を0(SISO)に設定する。
【0162】
イニシエータは、MIMO BRP TXSS(
図5)を行う場合、Setup BRPフレーム801のBF Training Typeフィールドの値を1(SU-MIMO)に設定する。
【0163】
イニシエータは、SU-MIMOのSISO Feedback procedure(
図6)を行う場合、Feedback BRPフレーム812のBF Training Typeフィールドの値を1(SU-MIMO)に設定する。
【0164】
イニシエータは、MU-MIMOのSISO Feedbackサブフェーズ(
図8)を行う場合、Poll BRPフレーム911aのBF Training Typeフィールドの値を2(MU-MIMO)に設定する。
【0165】
図17は、イニシエータ及びレスポンダが
図16のBRPフレームを用いて、SISO BRP TXSS及びSU-MIMO BFTを行う手順を示す図である。
図4、
図14と同じBRPフレームには同一の番号を付与し、説明を省略する。
【0166】
イニシエータは、SISO BRP TXSSを行うため、Setup BRPフレーム701aのBF Training Typeフィールドを0に設定して送信する。
【0167】
レスポンダは、SISO BRP TXSSを実行可能であることをイニシエータへ応答するため、Setup BRPフレーム702aのBF Training Typeフィールドを0に設定して送信する。
【0168】
イニシエータは、SISO BRP TXSSを完了した場合、SU-MIMOのSISO Feedback procedureを行うため、を行うため、Feedback BRPフレーム812aのBF Training Typeフィールドを1に設定して送信する。
【0169】
レスポンダは、SISO Feedback procedureを実行可能であることをイニシエータへ応答するため、Feecdback BRPフレーム813aのBF Training Typeフィールドを1に設定して送信する。
【0170】
図18は、レスポンダが
図16のBRPフレームを受信した場合、BFT手順の種類(
図3、
図4、
図5、
図6、
図7、
図8)を判別する手順を示すフローチャートである。
図12と同じ処理には同一の番号を付し、説明を省略する。
【0171】
レスポンダは、ステップS1003またはステップS1004においてNoの場合、ステップS1103aへ進む。
【0172】
ステップS1103aにおいて、レスポンダは、BF Training Typeフィールドの値が0である場合、ステップS1020へ進む。この場合、レスポンダは、受信したBRPフレームがSISO BFTのためのBRPフレームであるが、SISO BRP TXSS及びMIMO BRP TXSSではないと判定する。
【0173】
ステップS1103aにおいて、レスポンダは、BF Training Typeフィールドの値が0以外である場合、ステップS1103bへ進む。
【0174】
ステップS1103bにおいて、レスポンダは、BF Training Typeフィールドの値が1である場合、ステップS1015へ進む。この場合、レスポンダは、受信したBRPフレームはSU-MIMOのためのBRPフレームであり、SISO Feedback procedureの開始を通知するフレームであると判定する。
【0175】
ステップS1103aにおいて、レスポンダは、BF Training Typeフィールドの値が1以外である場合、ステップS1103cへ進む。
【0176】
ステップS1103cにおいて、レスポンダは、BF Training Typeフィールドの値が2である場合、ステップS1017へ進む。この場合、レスポンダは、受信したBRPフレームはMU-MIMOのためのBRPフレームであり、SISO Feedback Subphaseの開始を通知するフレームであると判定する。
【0177】
ステップS1103bにおいて、レスポンダは、BF Training Typeフィールドの値が2以外である場合、ステップS1030へ進む。この場合、レスポンダは、受信したBRPフレームはサポートしない手順(例えば、11ay規格を拡張した将来規格の一部)の開始を通知するフレームであると判定する。
【0178】
イニシエータは、BRPフレームを用いたSISO BFT、SU-MIMO BFT、MU-MIMO BFTを開始する場合、BF Training TypeフィールドをBRPフレームに含めて送信する。レスポンダは、
図18の手順を用いてBFT手順の種類を判別する。レスポンダはBFT手順の種類(
図3、
図4、
図5、
図6、
図7、
図8)を判別することができるため、異なるBFT手順の種類を組み合わせてBFTを実行して、BFTの実行時間を短縮することができる。
【0179】
イニシエータは、BRP手順の初めに
図16のBRPフレームのフォーマットを用いる場合、
図10A~
図10Dのフレームフォーマットを用いる場合と異なり、オプションの(必須でない)エレメントを含めて送信してもよい。一例として、イニシエータは、SISO BRP TXSSのSetup BRPフレーム701にChannel Measurement Feedbackエレメント及びEDMG Channel Meadurement Feedbackエレメントを含め、SU-MIMOのSISO Feedback procedureにおいて送信する送受信アンテナ及びAWVの組み合わせとSNRの情報とを含めてもよい。これにより、イニシエータは、SISO BRP TXSSを完了した後、SU-MIMO BFTのSISO Feedback procedureを省略してMIMO phaseを開始し、SU-MIMO BFTの実行時間を短縮することができる。
【0180】
また、レスポンダは、
図18の手順を用いてBFTの種別を判別するため、BRP手順の初めにイニシエータから送信されるBRPフレームにオプションの(必須でない)エレメントが含まれていてもBFTの種別を正しく判別できるため、上記のようにSISO BRP TXSSのSetup BRPフレーム701にChannel Measurement Feedbackエレメント及びEDMG Channel Meadurement Feedbackエレメントを含む場合、正しくSISO BRP TXSSを実行することができる。
【0181】
なお、
図16のBRPフレームフォーマットにおいて、イニシエータは、SISO BRP TXSS(
図4)又はMIMO BRP TXSS(
図5)を行う場合にBF Training Typeフィールドの値を0に設定し、SU-MIMO BFTのSISO Feedback Procedureを行う場合にBF Training Typeフィールドの値を1に設定し、MU-MIMO BFTのSISO Feedbackサブフェーズを行う場合にBF Training Typeフィールドの値を2に設定しても良い。
【0182】
図19は、BRPフレームの
図16とは別のフォーマットの一例を示す図である。
図16と異なり、BF Training Typeフィールドは1ビットである。
【0183】
イニシエータは、SISO BFT(
図3、
図4、
図5のMIMO BRP TXSS))を行う場合、BF Training Typeフィールドの値を0に設定する。MIMO BFT(
図6、
図7、
図8)を行う場合、BF Training Typeフィールドの値を1に設定する。
【0184】
なお、
図5のMIMO BRP TXSSをSISO BFTとみなし、BF Training Typeフィールドの値を0に設定する場合について説明するが、MIMO BRP TXSSをMIMO BFTとみなし、BF Training Typeフィールドの値を1に設定しても同様である。
【0185】
図20は、レスポンダが
図19のBRPフレームを受信した場合、BFT手順の種類(
図3、
図4、
図5、
図6、
図7、
図8)を判別する手順を示すフローチャートである。
図12と同じ処理には同一の番号を付し、説明を省略する。
【0186】
レスポンダは、ステップS1003またはステップS1004においてNoの場合、ステップS1203へ進む。
【0187】
ステップS1203において、レスポンダは、BF Training Typeフィールドの値が0である場合、ステップS1020へ進む。この場合、レスポンダは、受信したBRPフレームはSISO BFTのためのBRPフレームであるが、SISO BRP TXSS及びMIMO BRP TXSSではないと判定する。
【0188】
ステップS1203において、レスポンダは、BF Training Typeフィールドの値が1である場合、ステップS1006へ進む。この場合、レスポンダは、受信したBRPフレームはSU-MIMO BFTまたはMU-MIMO BFTのためのBRPフレームであると判定する。ステップS1006におけるレスポンダの処理は
図12と同様である。
【0189】
なお、
図19のBRPフレームフォーマットにおいて、イニシエータは、SU-MIMO BFTのSISO Feedback Procedure又はMU-MIMO BFTのSISO Feedbackサブフェーズを行う場合にBF Training Typeフィールドの値を1に設定し、その他の場合にBF Training Typeフィールドを0に設定しても良い。
【0190】
また、
図19のBRPフレームフォーマットにおいて、イニシエータは、MU-MIMO BFTのSISO Feedbackサブフェーズを行う場合にBF Training Typeフィールドの値を1に設定し、その他の場合にBF Training Typeフィールドを0に設定しても良い。レスポンダは、
図20のステップS1203においてBF Training Typeの値が0であるか否かを判定する代わりに、
図12のS1003と同様にEDMG BRP Requestエレメントが存在する場合にステップS1103bへ、存在しない場合にステップS1006へ進むようにし、ステップS1006において、BF Training Typeフィールドの値が0の場合にステップS1015へ進み、1の場合にステップS1017へ進むようにしても良い。
【0191】
イニシエータは、BRPフレームを用いたSISO BFT、SU-MIMO BFT、MU-MIMO BFTを開始する場合、BF Training TypeフィールドをBRPフレームに含めて送信する。レスポンダは、
図18の手順を用いてBFT手順の種類を判別する。レスポンダはBFT手順の種類(
図3、
図4、
図5、
図6、
図7、
図8)を判別することができるため、異なるBFT手順の種類を組み合わせてBFTを実行して、BFTの実行時間を短縮することができる。
【0192】
イニシエータは、
図16のBRPフレームの代わりに
図19のBRPフレームをBRP手順の初めに用いるため、BF Training Typeフィールドのビット数が少なくてよく、多くのReservedビットを残すことができるので、
図19のBRPフレームは将来機能の拡張が容易である。
【0193】
(実施の形態3)
通信装置100は、SU-MIMO BFTのSISO phase(
図6を参照)において送信したフィードバックの値を、SISO BFTのBeam Refinement Transactionに用いる。SISOトレーニングのためのBRPにおけるSetup subphase(
図3を参照)を省略でき、早期にトレーニングを完了することができる。
【0194】
図21は、イニシエータ及びレスポンダがSISO BFTとSU-MIMO BFTを行う手順の一例を示す図である。
図4、
図6、
図17と同様のBRPフレームには同一の番号を付与し、説明を省略する。
【0195】
イニシエータ及びレスポンダは、
図6と同様に、SISO BFT(TXSS811)、SU-MIMO BFT(SISO Feedback procedure及びMIMO phaseを含む)を実行する。なお、SISO Feedback procedureにおいて、イニシエータは、
図10A~
図10D、
図16、
図19のBRPフレームを用いてもよい。
【0196】
イニシエータは、SU-MIMO BFTを完了した後、Beam Refinement Transactionを実行する。(BRPフレーム606,607,608)
【0197】
イニシエータ及びレスポンダは、Beam Refinement Transactionを実行する場合、Feedback BRPフレーム812a及び813aに含まれるChannel Measurement Feedbackエレメント及びEDMG Channel Meadurement Feedbackフィールドの値(EDMGSector ID Orderフィールド及びSNRフィールドの値)を参照して、Beam Refinement Transactionを行うAWVを決定する。このため、イニシエータ及びレスポンダは、Beam Refinement Transactionを実行する前に、SISO BRPのSetup subphase(
図3を参照)を省略することができる。
【0198】
イニシエータ及びレスポンダは、Beam Refinement Transactionを完了することにより、SISO BFTを完了する。
【0199】
図21の手順により、イニシエータ及びレスポンダは、SISO BFTとSU-MIMO BFTを組み合わせて実行することができ、SISO BRPのSetup subphaseを省略して、SISO BFTとSU-MIMO BFTの両方を実行する時間を短縮することができる。
【0200】
(実施の形態3の変形例1)
通信装置100は、SU-MIMO BFTのSISO phase(
図6を参照)において送信したフィードバックの値を、SISO BFTのBeam Refinement Transactionに用い、SISO phaseとMIMO phaseの間にSISO BFT(Beam Refinement Transaction)を挿入して実行する。SISOトレーニングのためのBRPにおけるSetup subphase(
図3を参照)を省略でき、早期にトレーニングを完了することができる。
【0201】
図22は、イニシエータ及びレスポンダがSISO BFTとSU-MIMO BFTを行う手順の一例を示す図である。
図4、
図6、
図17と同様のBRPフレームには同一の番号を付与し、説明を省略する。
【0202】
イニシエータ及びレスポンダは、
図6と同様に、SISO BFT(TXSS811)、SU-MIMO BFT(SISO Feedback procedure)を実行する。なお、SISO Feedback procedureにおいて、イニシエータは、
図10A~
図10D、
図16、
図19のBRPフレームを用いてもよい。
【0203】
イニシエータは、SISO Feedback procedure完了後、SISO BRPのBeam Refinement Transactionを開始する。イニシエータ及びレスポンダは、Beam Refinement Transactionを実行する場合、Feedback BRPフレーム812a及び813aに含まれるChannel Measurement Feedbackエレメント及びEDMG Channel Meadurement Feedbackフィールドの値(EDMGSector ID Orderフィールド及びSNRフィールドの値)を参照して、Beam Refinement Transactionを行うAWVを決定する。このため、イニシエータ及びレスポンダは、Beam Refinement Transactionを実行する前に、SISO BRPのSetup subphase(
図3を参照)を省略することができる。
【0204】
イニシエータは、Beam Refinement Transaction完了後、MIMO phaseを開始する。イニシエータ及びレスポンダは、SISO Feedback procedureは完了済みであるため、省略できる。
【0205】
図22の手順により、イニシエータ及びレスポンダは、SISO BFTとSU-MIMO BFTを組み合わせて実行することができ、SISO BRPのSetup subphaseを省略して、SISO BFTとSU-MIMO BFTの両方を実行する時間を短縮することができる。
【0206】
(実施の形態3の変形例2)
通信装置100は、
図5のMIMO BRP TXSS中にSISOのベストセクタを更新する。これをSISO/MIMO BRP TXSSと呼ぶ。SISOトレーニングを省略でき、早期にトレーニングを完了することができる。
【0207】
図23は、イニシエータ及びレスポンダがSISO BFTとSU-MIMO BFTを行う手順の一例を示す図である。
図4、
図5と同様のBRPフレームには同一の番号を付与し、説明を省略する。
【0208】
イニシエータは、Setup BRPフレーム1701を送信する。
【0209】
図24は、BRPフレーム1701のフォーマットを示す図である。BRPフレーム1701は、TXSS-SISOフィールド、及びTXSS-MIMOフィールドを含む。イニシエータは、
図23のBFT手順を行う場合、Setup BRPフレーム1701において、TXSS-SISOフィールドを1、TXSS-MIMOフィールドを1に設定して送信する。また、イニシエータは、Setup BRPフレーム1701に、受信AWVのトレーニングに関する情報(例えば、L-RXフィールドに受信AWV数を設定する)を含めて送信してもよい。
【0210】
レスポンダは、Setup BRPフレーム1701を受信した場合、Setup BRPフレーム1702のTXSS-SISOフィールドを1、TXSS-MIMOフィールドを1に設定して送信する。
【0211】
イニシエータ及びレスポンダは、EDMG BRP-TXフレーム1703及び1706を送信する。EDMG BRP-TXフレーム1703及び1706は、EDMG BRP-TXフレーム703及び706、及びEDMG BRP-TXフレーム803及び805と同様であるが、イニシエータ及びレスポンダは、EDMG BRP-TXフレーム1706及び1703を受信する場合、SISO BFT及びSU-MIMO BFTのSISOフェーズと同様の処理を行う。つまり、SISO BFTに必要なベストセクタの選択と、MIMO BFTに必要なAWVのリストの保存をそれぞれ行う。
【0212】
イニシエータ及びレスポンダは、Feedback BRPフレーム1704及び1707を送信する。Feedback BRPフレーム1704及び1707は、SISO BFTの結果に相当するベストセクタの情報(例えば、BS-FBCKフィールドに含める)、及びSU-MIMO BFTのSISOフェーズにおけるフィードバック(例えば、Channel Measurement Feedbackエレメント、EDMG Channel Meadurement Feedbackエレメントに含めるEDMG Sector ID Orderフィールド及びSNRフィールドの値)の両方を含む。
【0213】
イニシエータ及びレスポンダは、EDMG BRP-RXフレーム705及び708を用いて、
図4と同様に、SISOにおける受信AWVのトレーニングを行ってもよい。
【0214】
イニシエータは、SISO/MIMO BRP TXSSを完了後、MIMO BF Setup BRPフレーム851aを送信し、MIMOフェーズを行う。
【0215】
なお、イニシエータは、SISO BRP TXSS(
図4)を行う場合、Setup BRPフレーム701において
図24のフォーマットを用い、TXSS-SISOフィールドを1、TXSS-MIMOフィールドを0に設定して送信してもよい。
【0216】
なお、イニシエータは、MIMO BRP TXSS(
図5)を行う場合、Setup BRPフレーム801において
図24のフォーマットを用い、TXSS-SISOフィールドを0、TXSS-MIMOフィールドを1に設定して送信してもよい。
【0217】
イニシエータは、SU-MIMOのSISOフェーズを開始する場合、Setup BRPフレーム1701にTXSS-SISOフィールド及びTXSS-MIMOフィールドを含め、それぞれ1に設定して送信する。
【0218】
以上より、イニシエータ及びレスポンダは、SU-MIMOのSISOフェーズにSISO BFT及びSU-MIMOのSISOフェーズのトレーニングを完了することができるため、SISO BRP TXSSの実行を省略して、SISO BFTとSU-MIMO BFTとを実行する時間を短縮することができる。
【0219】
本開示は、ソフトウェア、ハードウェア、またはハードウェアと連携したソフトウェアによって実現することができる。上記の各実施形態の記載で使用されている各機能ブロックは、集積回路としてLSIによって実現することができ、各実施形態に記載の各プロセスはLSIによって制御してもよい。それらは、個々にチップとして形成してもよく、または一部またはすべての機能ブロックを含むように1つのチップを形成してもよい。それらは、それらに結合されたデータ入出力を含んでもよい。ここで、LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、またはウルトラLSIと称され得る。ただし、集積回路を実装する技術はLSIに限定されず、専用回路または汎用プロセッサを使用して実現されてもよい。また、LSIの製造後にプログラムすることができるFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ:Field Programmable Gate Array)、またはLSI内に配置された回路セルの接続および設定を再構成することができる再構成可能プロセッサを使用してもよい。
【0220】
なお、本開示は、当業者によって、本明細書で提示された記載および既知の技術に基づいて、本開示の内容および範囲から逸脱することなく、種々変更または変形されることを意図しており、かかる変更および応用は、保護を請求する範囲に含まれる。さらに、本開示の内容から逸脱しない範囲において、上記の実施形態の構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0221】
本開示の第1の一般的な態様では、イニシエータは、TXSS(送信セクタスイープ)終了後、SU-MIMO(Single User Multi-Input Multi-Output)のBFT(ビームフォーミングトレーニング)を実施するか否かを示すBF training type FIELDを含む第1フィードバックフレームをレスポンダに送信し、前記レスポンダは、前記第1フィードバックフレームを受信し、前記BF training type FIELDが前記SU-MIMOのBFTを実施することを示す場合、前記TXSSの結果に基づいた、SNR(Signal to Noise Ratio)とセクタID(Identifier)オーダーとを含む第2フィードバックを前記イニシエータに送信し、前記イニシエータは、前記前記第2フィードバックを受信し、前記SNRと前記セクタIDオーダーとに基づいて、前記レスポンダとの間で、前記SU-MIMOOのBFTを実施する、通信方法を提供する。
【0222】
本開示の第2の一般的な態様では、TXSS終了後、SU-MIMOのBFTを実施するか否かを示すBF training type FIELDを含むフィードバックフレームをレスポンダに送信し、前記レスポンダから前記TXSSの結果に基づいた、SNRとセクタIDオーダーと、を含む第2フィードバック受信した場合、前記SNRと前記セクタIDオーダーとに基づいて、前記レスポンダとの間で、前記SU-MIMOのBFTを実施する、イニシエータの通信方法を提供する。
【0223】
本開示の第3の一般的な態様では、TXSS(送信セクタスイープ)終了後、SU-MIMO(Single User Multi-Input Multi-Output)のBFT(ビームフォーミングトレーニング)を実施するか否かを示すBF training type FIELDを含む第1フィードバックフレームをイニシエータから受信し、前記BF training type FIELDが前記SU-MIMOのBFTを実施することを示す場合、前記TXSSの結果に基づいた、SNR(Signal to Noise Ratio)とセクタID(Identifier)オーダーとを含む第2フィードバックを前記イニシエータに送信し、前記SNRと前記セクタIDオーダーとに基づいて、前記レスポンダとの間で、前記SU-MIMOのBFTを実施する、レスポンダの通信方法を提供する。
【0224】
本開示の第4の一般的な態様では、MAC回路は、TXSS終了後、SU-MIMOのBFTを実施するか否かを示すBF training type FIELDを含む第1のフィードバックフレームを生成し、送信回路は、前記第1のフィードバックフレームをレスポンダに送信し、受信回路は、前記レスポンダから第2フィードバックを受信し、前記MAC回路は、前記第2のフィードバックフレームが、前記レスポンダから前記TXSSの結果に基づいた、SNRとセクタIDオーダーと、を含む場合、前記SNRと前記セクタIDオーダーとに基づいて、前記レスポンダとのBFTを前記送信回路、前記受信回路を用いて実施する、イニシエータの通信装置を提供する。
【0225】
本開示の第5の一般的な態様では、受信回路は、TXSS(送信セクタスイープ)終了後、SU-MIMO(Single User Multi-Input Multi-Output)のBFT(ビームフォーミングトレーニング)を実施するか否かを示すBF training type FIELDを含む第1フィードバックフレームをイニシエータから受信し、MAC回路は、前記BF training type FIELDが前記SU-MIMOのBFTを実施することを示す場合、前記TXSSの結果に基づいた、SNR(Signal to Noise Ratio)とセクタID(Identifier)オーダーとを含む第2フィードバックを生成し、送信回路は、前記第2フィードバックを前記イニシエータに送信し、前記MAC回路は、前記送信回路が、前記第2フィードバックを前記イニシエータに送信した後に、前記SNRと前記セクタIDオーダーとに基づいて、前記イニシエータとの間で、前記送信回路と前記受信回路とを用いて、前記SU-MIMOのBFTを実施する、レスポンダの通信装置を提供する。
【産業上の利用可能性】
【0226】
本開示は、802.11ad規格に準拠した通信装置として好適である。
【符号の説明】
【0227】
100、200、300 通信装置
101a、101b、201a、201b、301a、301b アンテナアレイ(送信アンテナ、受信アンテナ)
102a、102b スイッチ回路(SW)
103a、103b 送信RF(Radio Frequency)回路
104a、104b 受信RF回路
109、109a RFモジュール回路
110、110a PHY回路
111a、111b D/Aコンバータ
112a、112b A/Dコンバータ
113 アレイ制御回路
114 符号化・変調回路
115 復調・復号回路
120 MAC回路
121 アクセス制御回路
122 フレーム生成回路
123 フレーム受信回路
124 BF(ビームフォーミング)制御回路
130 ホスト
151、152 IF(Intermediate Frequency)転送回路
153 IFケーブル