IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ センティ バイオサイエンシズ インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180471
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】組み合わせがん免疫療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/28 20150101AFI20221129BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221129BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20221129BHJP
   A61K 38/19 20060101ALI20221129BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20221129BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
A61K35/28
A61P35/00
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61K39/395 U
A61K38/19
A61K38/20
A61P43/00 111
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147539
(22)【出願日】2022-09-16
(62)【分割の表示】P 2019555932の分割
【原出願日】2018-04-13
(31)【優先権主張番号】62/583,343
(32)【優先日】2017-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/485,295
(32)【優先日】2017-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519028678
【氏名又は名称】センティ バイオサイエンシズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ル ティモシー クアン-タ
(72)【発明者】
【氏名】ゴードリー ラッセル モリソン
(72)【発明者】
【氏名】リン ジャック ズ-シャオ
(72)【発明者】
【氏名】ガリソン ブライアン スコット
(72)【発明者】
【氏名】リー フィリップ ジャンミン
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス-ジュンカ アルバ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ドン-ホン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】がんにおける複数の免疫抑制機構を動的に制御およびターゲティングするための方法および組成物を提供する。
【解決手段】いくつかの局面では、各々が腫瘍の異なる免疫抑制機構を調節する複数のエフェクタ分子を産生するように操作された細胞、およびこれらの細胞を卵巣がん、乳がん、または結腸がんなどのがんを処置するために使用する方法を提供する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍媒介免疫抑制機構を調節する複数のエフェクタ分子を産生するように操作された間葉幹細胞を含む組成物を、腫瘍の体積を低減させるのに有効な量で、腫瘍を有する対象に送達する段階を含む、対象における腫瘍体積を低減させる方法。
【請求項2】
複数のエフェクタ分子が、サイトカイン、受容体/リガンド、抗体、ヌクレオチド、ペプチド、および酵素から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
腫瘍が、膀胱腫瘍、脳腫瘍、乳房腫瘍、子宮頸部腫瘍、結腸直腸腫瘍、食道腫瘍、神経膠腫、腎臓腫瘍、肝臓腫瘍、肺腫瘍、黒色腫、卵巣腫瘍、膵臓腫瘍、前立腺腫瘍、皮膚腫瘍、甲状腺腫瘍、および子宮腫瘍から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物が、(a) 第1のエフェクタ分子を産生するように操作された第1の間葉幹細胞および(b) 第2のエフェクタ分子を産生するように操作された第2の間葉幹細胞を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物が、第1のエフェクタ分子および第2のエフェクタ分子を産生するように操作された間葉幹細胞を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
第1のエフェクタ分子がIL-12であり、かつ第2のエフェクタ分子がCCL21である、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
第1のエフェクタ分子がIFN-βであり、かつ第2のエフェクタ分子がIFN-γである、請求項4または5に記載の方法。
【請求項8】
間葉幹細胞が、IL-12、CCL21、IFN-β、IFN-γ、またはこれらの2つもしくはそれ以上の任意の組み合わせを産生するように操作されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物がチェックポイント阻害剤をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体、抗PD-1L抗体、または抗CTLA-4抗体である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
チェックポイント阻害剤が抗CTLA-4抗体である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が抗CD40抗体をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
腫瘍が乳房腫瘍である、請求項3~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
腫瘍が結腸直腸腫瘍である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
腫瘍の体積が対照と比べて少なくとも25%低減され、任意で対照が非改変間葉幹細胞である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
腫瘍の体積が対照と比べて少なくとも50%低減され、任意で対照が非改変間葉幹細胞である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
腫瘍の体積が対照と比べて少なくとも75%低減され、任意で対照が非改変間葉幹細胞である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
腫瘍が乳房腫瘍であり、第1のエフェクタ分子がIL-12であり、第2のエフェクタ分子がCCL21であり、かつ任意で前記組成物が抗CTLA-4抗体をさらに含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項19】
腫瘍が結腸直腸腫瘍であり、第1のエフェクタ分子がIL-12であり、第2のエフェクタ分子がCCL21であり、かつ任意で前記組成物が抗CD40抗体をさらに含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項20】
腫瘍媒介免疫抑制機構を調節する複数のエフェクタ分子を産生するように操作された間葉幹細胞であって、任意で、エフェクタ分子の1つがIL-12であり、別のエフェクタ分子がCCL21である、前記間葉幹細胞。
【請求項21】
対象における腫瘍の体積を低減させるのに有効な量で製剤化された、腫瘍媒介免疫抑制機構を調節する複数のエフェクタ分子を産生するように操作された間葉幹細胞を含む、組成物。
【請求項22】
複数のエフェクタ分子が、サイトカイン、受容体/リガンド、抗体、ヌクレオチド、ペプチド、および酵素から選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
腫瘍が、膀胱腫瘍、脳腫瘍、乳房腫瘍、子宮頸部腫瘍、結腸直腸腫瘍、食道腫瘍、神経膠腫、腎臓腫瘍、肝臓腫瘍、肺腫瘍、黒色腫、卵巣腫瘍、膵臓腫瘍、前立腺腫瘍、皮膚腫瘍、甲状腺腫瘍、および子宮腫瘍から選択される、請求項21または22に記載の組成物。
【請求項24】
(a) 第1のエフェクタ分子を産生するように操作された第1の間葉幹細胞および(b) 第2のエフェクタ分子を産生するように操作された第2の間葉幹細胞を含む、請求項21~23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
第1のエフェクタ分子および第2のエフェクタ分子を産生するように操作された間葉幹細胞を含む、請求項21~23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
第1のエフェクタ分子がIL-12であり、かつ第2のエフェクタ分子がCCL21である、請求項24または25に記載の組成物。
【請求項27】
第1のエフェクタ分子がIFN-βであり、かつ第2のエフェクタ分子がIFN-γである、請求項24または25に記載の組成物。
【請求項28】
間葉幹細胞が、IL-12、CCL21、IFN-β、IFN-γ、またはこれらの2つもしくはそれ以上の任意の組み合わせを産生するように操作されている、請求項21~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
チェックポイント阻害剤をさらに含む、請求項21~28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体、抗PD-1L抗体、または抗CTLA-4抗体である、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
チェックポイント阻害剤が抗CTLA-4抗体である、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
抗CD40抗体をさらに含む、請求項21~31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
腫瘍が乳房腫瘍である、請求項23~31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
腫瘍が結腸直腸腫瘍である、請求項21~32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
腫瘍の体積が対照と比べて少なくとも25%低減され、任意で対照が非改変間葉幹細胞である、請求項21~34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
腫瘍の体積が対照と比べて少なくとも50%低減され、任意で対照が非改変間葉幹細胞である、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
腫瘍の体積が対照と比べて少なくとも75%低減され、任意で対照が非改変間葉幹細胞である、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
腫瘍が乳房腫瘍であり、第1のエフェクタ分子がIL-12であり、第2のエフェクタ分子がCCL21であり、かつ任意で組成物の間葉幹細胞が、抗CTLA-4抗体を産生するように操作されている、請求項24または25に記載の組成物。
【請求項39】
腫瘍が結腸直腸腫瘍であり、第1のエフェクタ分子がIL-12であり、第2のエフェクタ分子がCCL21であり、かつ任意で組成物の間葉幹細胞が、抗CD40抗体を産生するように操作されている、請求項24または25に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は米国特許法119条(e)の下で、2017年4月13日付で出願された米国仮特許出願第62/485,295号、および2017年11月8日付で出願された米国仮特許出願第62/583,343号の恩典を主張するものであり、それらの各々は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
背景
米国では毎年22,000件超の卵巣がん新規症例および14,000件超の死亡例があり(Siegel RL, et al. (2016) CA Cancer J Clin 66(1):7-30(非特許文献1))、推定年間6億ドル超の医療負担が伴う(Dizon D MJ (2010) Gynecol Oncol 116(3)(非特許文献2))。化学療法(例えば、カルボプラチン/シスプラチンおよび/またはパクリタキセル)のような従来の手法では、多くの場合、卵巣がんを治癒することができない。患者のおよそ70%は第一選択の化学療法で寛解に到達せず、寛解を得た患者の40~50%は3年以内に再発する。
【0003】
乳がんおよび結腸がんなどの他のがんの処置は、それぞれ85%および65%の5年生存率に関連している。多くの場合、処置には侵襲的手術および化学療法の組み合わせが含まれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Siegel RL, et al. (2016) CA Cancer J Clin 66(1):7-30
【非特許文献2】Dizon D MJ (2010) Gynecol Oncol 116(3)
【発明の概要】
【0005】
概要
いくつかの態様において、卵巣がん、乳がん、結腸がん、肺がん、および膵臓がんなどのがんの標的指向型処置のための組み合わせ細胞に基づく免疫療法が、本明細書において提供される。この組み合わせ免疫療法は、腫瘍(「腫瘍微小環境(TME)」)内および/または腫瘍近傍で多因子調節を可能にする操作された細胞回路に依存する。組み合わせ免疫療法の期待高まる進歩にもかかわらず、がんに対するその効力は、部分的には以下の課題により限定されている。重大な副作用を引き起こすことなく最大の効力を達成するために、複数の治療を同時に送達することが困難である。また、臨床試験では、複数の全身投与および/または局所注入療法の適切な投薬およびタイミングを判定することが困難である。しかしながら、本明細書において提供される組み合わせ免疫療法は、腫瘍特異的かつ効果的であり、しかも全身毒性を限定する。この組み合わせ免疫療法は、いくつかの例では、単一の送達媒体から、複数の免疫調節エフェクタ分子を腫瘍微小環境に送達するために用いることができる。有利なことには、本開示の細胞回路は、いくつかの態様において、間葉幹細胞(MSC)において操作され、これは腫瘍(転移を含む)に選択的にホーミングすることができ、炎症誘発性/免疫刺激性セクレトーム、ある種の条件下では、抗炎症性セクレトームを産生することができ、かつ低免疫原性である。これらの特徴は、とりわけ、例えば、重大な安全性の問題、副作用、または拒絶なしに、同種細胞療法のためのその使用を可能にする。
【0006】
腫瘍は、細胞外マトリックス、がん関連間質細胞(MSCおよび線維芽細胞)、腫瘍脈管構造、ならびに免疫系を含む、腫瘍細胞と周囲の間質との間の複雑な相互作用であることが、ますます認識されてきている。TMEは、患者の自然免疫系および適応性免疫系の両方を標的とする複数の機構を通じて抗腫瘍免疫応答を抑制する。例えば、腫瘍は、CCL22のような特定のケモカインを合成することにより、従来のT細胞の抗腫瘍活性を抑制する調節性T細胞を動員かつ誘導することができる。腫瘍は、PD-L1のような免疫チェックポイントなどの、T細胞およびNK細胞の活性を阻害する分子を発現することもできる。したがって、単一の経路をターゲティングすることは、固形腫瘍に対する強力な効力を達成するには不十分である可能性が高い。
【0007】
したがって、本開示は、いくつかの局面において、複数のエフェクタ分子を産生するように操作された間葉幹細胞(MSC)を提供し、少なくとも2つのエフェクタ分子が、異なる腫瘍媒介免疫抑制機構を調節する(例えば、複数の経路をターゲティングする)。いくつかの態様において、エフェクタ分子は、(a) T細胞シグナル伝達、活性、および/もしくは動員を刺激し、(b) 抗原提示および/もしくはプロセッシングを刺激し、(c) ナチュラルキラー細胞媒介細胞傷害性シグナル伝達、活性、および/もしくは動員を刺激し、(d) 樹状細胞分化および/もしくは成熟を刺激し、(e) 免疫細胞動員を刺激し、(f) 炎症性マクロファージシグナル伝達、活性、および/もしくは動員を刺激し、または抗炎症性マクロファージシグナル伝達、活性、および/もしくは動員を阻害し、(g) 間質分解を刺激し、(h) 免疫刺激性代謝産物の産生を刺激し、(i) I型インターフェロンシグナル伝達を刺激し、(j) 負の共刺激シグナル伝達を阻害し、(k) 抗腫瘍免疫細胞(例えば、T細胞/NK細胞)のアポトーシス促進シグナル伝達を阻害し、もしくはがん細胞のアポトーシスを誘導し、(l) T調節(Treg)細胞シグナル伝達、活性、および/もしくは動員を阻害し、(m) 腫瘍チェックポイント分子を阻害し、(n) インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)シグナル伝達を刺激し、(o) 骨髄由来サプレッサ細胞シグナル伝達、活性、および/もしくは動員を阻害し、(p) 免疫抑制因子/代謝産物を分解し、(q) 血管内皮成長因子シグナル伝達を阻害し、ならびに/あるいは(r) 腫瘍細胞を直接的に死滅させる。例えば、操作されたMSCによって産生されるエフェクタ分子の1つは、TMEにおける抗腫瘍免疫媒介機構または免疫刺激機構を刺激しうるが、同じMSC (または異なるMSC)によって産生される別のエフェクタ分子は、TMEにおける免疫抑制機構(例えば、CD28/B7ファミリー経路(例えばPD-1、CTLA-4、CD28)またはIL-10)を阻害しうる。別の例として、操作されたMSCによって産生されるエフェクタ分子の1つは、腫瘍微小環境における炎症経路(例えば、TNF受容体スーパーファミリー経路(例えば、OX40、CD137、CD40、GITR)、一般的なガンマ鎖ファミリー経路(例えばIL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL15、IL-21)またはToll様受容体経路(例えばTLR4、TLR9))を刺激しうるが、同じMSC (または異なるMSC)によって産生される別のエフェクタ分子は、腫瘍微小環境における炎症の負の調節因子(例えば、Stat3、ブルトン型チロシンキナーゼ、c-kit、および/またはSOCS-1)を阻害しうる。
【0008】
本開示によって包含されるエフェクタ分子の非限定的な例としては、サイトカイン、抗体、ケモカイン、ヌクレオチド、ペプチド、酵素、および腫瘍溶解性ウイルスが挙げられる。例えば、MSCは、以下のエフェクタ分子: IL-12、IL-16、IFN-β、IFN-γ、IL-2、IL-15、IL-7、IL-36γ、IL-18、IL-1β、IL-21、OX40-リガンド、CD40L、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA-4抗体、抗TGFβ抗体、抗TNFR2、MIP1α(CCL3)、MIP1β(CCL5)、CCL21、CpGオリゴデオキシヌクレオチド、および抗腫瘍ペプチド(例えば、抗腫瘍活性を有する抗菌ペプチド、例えば、Gaspar, D. et al. Front Microbiol. 2013; 4: 294; Chu, H. et al. PLoS One. 2015; 10(5): e0126390、およびwebsite:aps.unmc.edu/AP/main.phpを参照のこと)の少なくとも1つ、2つ、3つ、またはそれ以上を発現する(かつ典型的には分泌する)ように操作されうる。
【0009】
間葉幹細胞を培養してエフェクタ分子を産生させる段階を含む方法も本明細書において提供される。
【0010】
間葉幹細胞を対象に送達して、間葉幹細胞により産生される少なくとも1つのエフェクタ分子をインビボで産生させる段階を含む方法が、本明細書においてさらに提供される。いくつかの態様において、エフェクタ分子は、腫瘍微小環境において産生されるか、腫瘍微小環境に送達される。
【0011】
さらになお、がんと診断された対象に間葉幹細胞を送達する段階を含む、がんを処置する方法が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、がんは卵巣がんであるが、他のがん/腫瘍も処置されうる。例えば、本明細書において提供される方法は、膀胱腫瘍、脳腫瘍、乳房腫瘍、子宮頸部腫瘍、結腸直腸腫瘍、食道腫瘍、神経膠腫、腎臓腫瘍、肝臓腫瘍、肺腫瘍、黒色腫、卵巣腫瘍、膵臓腫瘍、前立腺腫瘍、皮膚腫瘍、甲状腺腫瘍、および/または子宮腫瘍を処置するために用いられうる。
[本発明1001]
腫瘍媒介免疫抑制機構を調節する複数のエフェクタ分子を産生するように操作された間葉幹細胞を含む組成物を、腫瘍の体積を低減させるのに有効な量で、腫瘍を有する対象に送達する段階を含む、対象における腫瘍体積を低減させる方法。
[本発明1002]
複数のエフェクタ分子が、サイトカイン、受容体/リガンド、抗体、ヌクレオチド、ペプチド、および酵素から選択される、本発明1001の方法。
[本発明1003]
腫瘍が、膀胱腫瘍、脳腫瘍、乳房腫瘍、子宮頸部腫瘍、結腸直腸腫瘍、食道腫瘍、神経膠腫、腎臓腫瘍、肝臓腫瘍、肺腫瘍、黒色腫、卵巣腫瘍、膵臓腫瘍、前立腺腫瘍、皮膚腫瘍、甲状腺腫瘍、および子宮腫瘍から選択される、本発明1001または1002の方法。
[本発明1004]
前記組成物が、(a) 第1のエフェクタ分子を産生するように操作された第1の間葉幹細胞および(b) 第2のエフェクタ分子を産生するように操作された第2の間葉幹細胞を含む、本発明1001~1003のいずれかの方法。
[本発明1005]
前記組成物が、第1のエフェクタ分子および第2のエフェクタ分子を産生するように操作された間葉幹細胞を含む、本発明1001~1003のいずれかの方法。
[本発明1006]
第1のエフェクタ分子がIL-12であり、かつ第2のエフェクタ分子がCCL21である、本発明1004または1005の方法。
[本発明1007]
第1のエフェクタ分子がIFN-βであり、かつ第2のエフェクタ分子がIFN-γである、本発明1004または1005の方法。
[本発明1008]
間葉幹細胞が、IL-12、CCL21、IFN-β、IFN-γ、またはこれらの2つもしくはそれ以上の任意の組み合わせを産生するように操作されている、本発明1001~1007のいずれかの方法。
[本発明1009]
前記組成物がチェックポイント阻害剤をさらに含む、本発明1001~1008のいずれかの方法。
[本発明1010]
チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体、抗PD-1L抗体、または抗CTLA-4抗体である、本発明1009の方法。
[本発明1011]
チェックポイント阻害剤が抗CTLA-4抗体である、本発明1010の方法。
[本発明1012]
前記組成物が抗CD40抗体をさらに含む、本発明1001~1011のいずれかの方法。
[本発明1013]
腫瘍が乳房腫瘍である、本発明1003~1011のいずれかの方法。
[本発明1014]
腫瘍が結腸直腸腫瘍である、本発明1001~1012のいずれかの方法。
[本発明1015]
腫瘍の体積が対照と比べて少なくとも25%低減され、任意で対照が非改変間葉幹細胞である、本発明1001~1014のいずれかの方法。
[本発明1016]
腫瘍の体積が対照と比べて少なくとも50%低減され、任意で対照が非改変間葉幹細胞である、本発明1015の方法。
[本発明1017]
腫瘍の体積が対照と比べて少なくとも75%低減され、任意で対照が非改変間葉幹細胞である、本発明1016の方法。
[本発明1018]
腫瘍が乳房腫瘍であり、第1のエフェクタ分子がIL-12であり、第2のエフェクタ分子がCCL21であり、かつ任意で前記組成物が抗CTLA-4抗体をさらに含む、本発明1004または1005の方法。
[本発明1019]
腫瘍が結腸直腸腫瘍であり、第1のエフェクタ分子がIL-12であり、第2のエフェクタ分子がCCL21であり、かつ任意で前記組成物が抗CD40抗体をさらに含む、本発明1004または1005の方法。
[本発明1020]
腫瘍媒介免疫抑制機構を調節する複数のエフェクタ分子を産生するように操作された間葉幹細胞であって、任意で、エフェクタ分子の1つがIL-12であり、別のエフェクタ分子がCCL21である、前記間葉幹細胞。
[本発明1021]
対象における腫瘍の体積を低減させるのに有効な量で製剤化された、腫瘍媒介免疫抑制機構を調節する複数のエフェクタ分子を産生するように操作された間葉幹細胞を含む、組成物。
[本発明1022]
複数のエフェクタ分子が、サイトカイン、受容体/リガンド、抗体、ヌクレオチド、ペプチド、および酵素から選択される、本発明1021の組成物。
[本発明1023]
腫瘍が、膀胱腫瘍、脳腫瘍、乳房腫瘍、子宮頸部腫瘍、結腸直腸腫瘍、食道腫瘍、神経膠腫、腎臓腫瘍、肝臓腫瘍、肺腫瘍、黒色腫、卵巣腫瘍、膵臓腫瘍、前立腺腫瘍、皮膚腫瘍、甲状腺腫瘍、および子宮腫瘍から選択される、本発明1021または1022の組成物。
[本発明1024]
(a) 第1のエフェクタ分子を産生するように操作された第1の間葉幹細胞および(b) 第2のエフェクタ分子を産生するように操作された第2の間葉幹細胞を含む、本発明1021~1023のいずれかの組成物。
[本発明1025]
第1のエフェクタ分子および第2のエフェクタ分子を産生するように操作された間葉幹細胞を含む、本発明1021~1023のいずれかの組成物。
[本発明1026]
第1のエフェクタ分子がIL-12であり、かつ第2のエフェクタ分子がCCL21である、本発明1024または1025の組成物。
[本発明1027]
第1のエフェクタ分子がIFN-βであり、かつ第2のエフェクタ分子がIFN-γである、本発明1024または1025の組成物。
[本発明1028]
間葉幹細胞が、IL-12、CCL21、IFN-β、IFN-γ、またはこれらの2つもしくはそれ以上の任意の組み合わせを産生するように操作されている、本発明1021~1027のいずれかの組成物。
[本発明1029]
チェックポイント阻害剤をさらに含む、本発明1021~1028のいずれかの組成物。
[本発明1030]
チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体、抗PD-1L抗体、または抗CTLA-4抗体である、本発明1029の組成物。
[本発明1031]
チェックポイント阻害剤が抗CTLA-4抗体である、本発明1030の組成物。
[本発明1032]
抗CD40抗体をさらに含む、本発明1021~1031のいずれかの組成物。
[本発明1033]
腫瘍が乳房腫瘍である、本発明1023~1031のいずれかの組成物。
[本発明1034]
腫瘍が結腸直腸腫瘍である、本発明1021~1032のいずれかの組成物。
[本発明1035]
腫瘍の体積が対照と比べて少なくとも25%低減され、任意で対照が非改変間葉幹細胞である、本発明1021~1034のいずれかの組成物。
[本発明1036]
腫瘍の体積が対照と比べて少なくとも50%低減され、任意で対照が非改変間葉幹細胞である、本発明1035の組成物。
[本発明1037]
腫瘍の体積が対照と比べて少なくとも75%低減され、任意で対照が非改変間葉幹細胞である、本発明1036の組成物。
[本発明1038]
腫瘍が乳房腫瘍であり、第1のエフェクタ分子がIL-12であり、第2のエフェクタ分子がCCL21であり、かつ任意で組成物の間葉幹細胞が、抗CTLA-4抗体を産生するように操作されている、本発明1024または1025の組成物。
[本発明1039]
腫瘍が結腸直腸腫瘍であり、第1のエフェクタ分子がIL-12であり、第2のエフェクタ分子がCCL21であり、かつ任意で組成物の間葉幹細胞が、抗CD40抗体を産生するように操作されている、本発明1024または1025の組成物。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】人工的な5' UTR (copGFP上流のバー)および3' UTR (copGFP下流のバー)を備えたヌクレオフェクションプラスミドを用いたヒトMSCでのGFPの発現を示す。生存しているMSCの80%超が、このプロトコルにおいて高レベルのGFPを発現している(濃い灰色のヒストグラム)。
図2】2A発現ベクターのデザインおよびフローサイトメトリーのヒストグラムを示し、「エフェクタ1」(BFP)および「エフェクタ2」(GFP)の二重発現を示している。左プロット: 2番目のピークヒストグラム(中間の灰色)は、BFP-2A-GFP構築体を含有する細胞を表し、3番目のピークヒストグラム(暗い灰色)は、GFP発現構築体のみを含有する細胞を表し、1番目のピークヒストグラム(明るい灰色)はトランスフェクションされていない細胞を表す。右プロット: 3番目のピークヒストグラム(中間の灰色)は、BFP-2A-GFP構築体を含有する細胞を表し、2番目のピークヒストグラム(明るい灰色)は、GFP発現構築体のみを含有する細胞を表し、1番目のピークヒストグラム(中間の灰色)はトランスフェクションされていない細胞を表す。右プロットにおけるシフト曲線は、2Aデザインにより、BFPを共発現してもいるGFP+細胞が得られることを示す。
図3】腹腔内に注入されたネズミBM由来MSC (BM-MSC)がインビボで4T1乳がん細胞の腫瘍部位にホーミングすることを示しているデータを示す。4T1乳房腫瘍細胞を担持するマウスに蛍光標識BM-MSC (治療用細胞)を注射した。乳房腫瘍細胞はルシフェラーゼレポーターを発現する。左側の最初の上2つのパネルは、表示されているように、注射後1日目および7日目の腫瘍担持マウスでの治療用細胞(BM-MSC)の画像を示す。左側の3番目の上パネルは、注射後7日目の腫瘍担持マウスでの腫瘍細胞の画像を示す。左側の下の2つのパネルは、表示されているように、注射後1日目および7日目の腫瘍を担持しない正常マウスでの治療用細胞の画像を示す。治療用細胞のホーミングに及ぼす腫瘍の影響を示す概略図が右方に提供されている。
図4】IL-12およびCCL21aを発現する操作されたMSCが乳がんの同所性マウスモデルにおいて有意な腫瘍成長遅延を誘導したことを示しているデータを示す。左側のチャートは、マウスでの4T1乳房腫瘍成長に及ぼす操作されたMSCの効果を示す(n = 8)。チャート中の各線は、0日目および7日目の対照MSC成長培地または操作されたMSCの腹腔内注射を受けたマウスでの腫瘍体積を表す。マウスは、IL-12を発現する操作されたMSCおよびCCL21aを発現する操作されたMSCの腹腔内注射を受けた。腫瘍体積は、1日おきにキャリパ測定によって判定された。データは平均±SEMを表す。対照培地群と比較してp< 0.05, **p< 0.005。右側の概略図は、処置の時間軸ならびに処置マウスでの腫瘍負荷に及ぼす組み合わせ遺伝子IL-12およびCCL21aを発現した操作されたMSCの効果を示す。
図5A図5A: IFN-β、IFN-γ、IL-12、CCL21a、またはそれらの組み合わせを発現する操作されたMSCが、乳がん(4T1三重陰性乳がん)の同所性マウスモデルにおいて腫瘍成長を阻害することを示しているデータを含む。各エフェクタは異なるMSCにより発現され、組み合わせ処置のためにMSCを組み合わせた(1:1の比率)。各チャートは、マウス(n = 6~8)での4T1乳房腫瘍の成長に及ぼす表示された免疫療法を単独でまたは組み合わせで発現する操作されたMSCの効果を示す。図5Aの各線は個々のマウスを表す。
図5B図5Bの左グラフは、14日目の各処置における個々のマウスの腫瘍重量を示す。図5Bの右グラフは、経時的に各処置を受けたマウスの平均±SEMとして表された腫瘍体積を示す。
図6A図6A: OX40L、TRAIL、IL15、cGAS、またはそれらの組み合わせを発現する操作されたMSCが、乳がん(4T1三重陰性乳がん)の同所性マウスモデルにおいて腫瘍成長を有意に阻害しないことを示しているデータを含む。各エフェクタは異なるMSCにより発現され、組み合わせ処置のためにMSCを組み合わせた(1:1の比率)。各チャートは、マウス(n = 6~8)での4T1乳房腫瘍の成長に及ぼす表示された免疫療法を単独でまたは組み合わせで発現する操作されたMSCの効果を示す。図6Aの各線は個々のマウスを表す。
図6B図6Bの左グラフは、各処置における個々のマウスの腫瘍重量を示す。図6Bの右グラフは、経時的に各処置を受けたマウスの平均±SEMとして表された体重を示す。
図7A図7A: IL-12およびCCL21aを発現する操作されたMSCが、乳がん(4T1三重陰性乳がん)の同所性マウスモデルにおいて腫瘍成長を阻害するが、抗CD40抗体の添加は腫瘍成長を低減しないことを示しているデータを含む。各エフェクタは異なるMSCにより発現され、組み合わせ処置のためにMSCを組み合わせた(1:1の比率)。各チャートは、マウス(n = 6~8)での4T1乳房腫瘍の成長に及ぼす表示された免疫療法を単独でまたは組み合わせで発現する操作されたMSCの効果を示す。図7Aの各線は個々のマウスを表す。
図7B図7B: 各処置における個々のマウスの腫瘍重量を示す。
図8A図8A: OX40L、TRAIL、IL15、HACvPD-1、またはそれらの組み合わせを発現する操作されたMSCが、乳がん(4T1三重陰性乳がん)の同所性マウスモデルにおいて腫瘍成長を有意に阻害しないことを示しているデータを含む。各エフェクタは異なるMSCにより発現され、組み合わせ処置のためにMSCを組み合わせた(1:1の比率)。各チャートは、マウス(n = 6~8)での4T1乳房腫瘍の成長に及ぼす表示された免疫療法を単独でまたは組み合わせで発現する操作されたMSCの効果を示す。図8Aの各線は個々のマウスを表す。
図8B図8Bの左グラフは、各処置における個々のマウスの腫瘍重量を示す。図8Bの右グラフは、経時的に各処置を受けたマウスの平均±SEMとして表された体重を示す。
図9A図9A: IL-12およびCCL21aを発現する操作されたMSCが、乳がん(4T1三重陰性乳がん)の同所性マウスモデルにおいて腫瘍成長を阻害するが、CCL21a、IL-36ガンマ、およびIL-7を発現するMSCの組み合わせは腫瘍成長を低減しないことを示しているデータを含む。しかしながら、試験されたエフェクタの組み合わせのいくつかは、毒性を引き起こしうる。各エフェクタは異なるMSCにより発現され、組み合わせ処置のためにMSCを組み合わせた(1:1の比率)。各チャートは、マウス(n = 6~8)での4T1乳房腫瘍の成長に及ぼす表示された免疫療法を単独でまたは組み合わせで発現する操作されたMSCの効果を示す。図9Aの各線は個々のマウスを表す。
図9B図9B: 各処置における個々のマウスの腫瘍重量を示す。
図10A図10A~10B: 毒性およびスクリーニングに関するGFP用量漸増試験のデータを含む。図10A: GFPを発現する操作されたMSCが毒性を誘発しないことを示す。各エフェクタは異なるMSCにより発現され、組み合わせ処置のためにMSCを組み合わせた(1:1の比率)。各チャートは、マウス(n = 6~8)での4T1乳房腫瘍の成長に及ぼす表示された免疫療法を単独でまたは組み合わせで発現する操作されたMSCの効果を示す。図10Aの各線は個々のマウスを表す。
図10B図10A~10B: 毒性およびスクリーニングに関するGFP用量漸増試験のデータを含む。図10B: 各処置における個々のマウスの腫瘍重量を示す。
図11A図11A: 操作されたヒトMSCがマウス4T1腫瘍にホーミングしないことを示す。図11B: 各処置における個々のマウスの腫瘍重量を示す。効力を、1日おきにキャリパ測定から腫瘍体積によって判定した。
図11B図11Aの説明を参照のこと。
図12】IL-12およびCCL21aが腫瘍拡大を低減できることを示しているデータを含む。
図13A図13A: IL-12およびCCL21を発現する操作されたMSCが、乳がん(4T1三重陰性乳がん)の同所性マウスモデルにおいて腫瘍成長を阻害するのに十分であり、チェックポイント阻害剤(抗PD-1抗体または 抗CTLA-4抗体)の添加は効力を増加させなかったことを示しているデータを含む。各エフェクタは異なるMSCにより発現され、組み合わせ処置のためにMSCを組み合わせ(1:1の比率)、チェックポイント阻害剤を別々に注射した。各チャートは、マウス(n = 6~8)での4T1乳房腫瘍の成長に及ぼす表示された免疫療法を単独でまたは組み合わせで発現する操作されたMSCの効果を示す。図13Aの各線は個々のマウスを表す。
図13B図13B: 各処置における個々のマウスの腫瘍重量を示す。
図14】IL-12およびCCL21aを発現する操作されたMSCが結腸直腸がんのマウスモデルにおいて有意な腫瘍成長遅延を誘導したことを示しているデータを示す。左側のグラフは、マウスでのCT26結腸直腸腫瘍成長に及ぼす操作されたMSCの効果を示す(n = 8)。チャート中の各線は、0日目および7日目の対照MSC成長培地または操作されたMSCの腹腔内注射を受けたマウスでの腫瘍体積を表す。マウスは、IL-12を発現する操作されたMSCおよびCCL21aを発現する操作されたMSCの腹腔内注射を受けた。腫瘍体積は、1日おきにキャリパ測定によって判定された。データは平均±SEMを表す。対照培地群と比較してp< 0.05, **p< 0.005。右側の概略図は、処置の時間軸ならびに処置マウスでの腫瘍負荷に及ぼす組み合わせ遺伝子IL-12およびCCL21aを発現した操作されたMSCの効果を示す。
図15】操作されたMSC細胞を投与するのに最適な時間を判定するためのCT26マウスモデルにおける腫瘍成長動態を示しているグラフである。
図16A図16A~16B: 結腸がんの同系マウスモデルにおける平均腫瘍成長に及ぼす抗CD40抗体または抗CTLA4抗体と組み合わせてIL-12およびCCL21aを発現する操作されたMSCの効果を示しているデータを含む。CT26結腸腫瘍を担持するマウスを、7つの処置の1つで処置した(処置群あたりn=5~6)。MSC-IL-12+MSC-CCL21aは、組み合わせ処置のためのIL-12を発現する操作された細胞でのおよびCCL21aを発現する操作された細胞(1:1の比率)での処置を示す。図16Bの左グラフは、各処置における個々のマウスの腫瘍重量を示す。図16Bの右グラフは、経時的に各処置を受けたマウスの平均±SEMとして表された腫瘍体積を示す。
図16B図16Aの説明を参照のこと。
図17A図17A~17B: 用量依存的な長期生存試験のデータを含む。図17A: 個々の群の腫瘍体積を示す。
図17B図17A~17B: 用量依存的な長期生存試験のデータを含む。図17B: 体重(上)、腫瘍体積(下)、および生存率(右)を示す。
図18A図18A: IL-12、CCL21a、およびIL15またはHACvPD-1のいずれかを発現する操作されたMSCが、マウスモデル結腸直腸がんにおける腫瘍成長を有意に阻害することを示しているデータを含む。各エフェクタは異なるMSCにより発現され、組み合わせ処置のためにMSCを組み合わせた(1:1の比率)。各チャートは、マウス(n = 6~8)でのCT26結腸直腸腫瘍の成長に及ぼす表示された免疫療法を単独でまたは組み合わせで発現する操作されたMSCの効果を示す。図18Aの各線は個々のマウスを表す。
図18B図18B: 各処置における個々のマウスの腫瘍重量を示す。
図18C図18C: 腫瘍微小環境内の浸潤性免疫集団の代表的なグラフである。
図18D図18D: 総CD3集団中の調節性T細胞(Treg)の割合を示す。操作されたMSC-IL2およびCCL21aで処理された腫瘍微小環境ではTreg数の大幅な減少が認められた。
図18E図18E: 免疫浸潤の割合を腫瘍重量と相関させている。高リンパ球(CD3+)を有するサンプルは低腫瘍重量と相関することが分かったが、高骨髄(CD11b+)浸潤を有するサンプルは高腫瘍負荷と相関していた。
図19】腹腔内に注射されたネズミBM由来MSC (BM-MSC)がインビボでCT26結腸がん腫瘍の部位にホーミングすることを示しているデータを含む。簡単な実験プロトコルが左上隅に提供されている。左下の画像(ルシフェラーゼシグナル(腫瘍特異的))は、MSC注射前にインビボでルシフェラーゼレポーターを発現しているCT26腫瘍細胞の可視化を示す。蛍光標識MSCを、CT26腫瘍を担持するマウス(腫瘍+)に腹腔内注射し、MSCの位置をDiRシグナル分析で可視化した。CT26腫瘍を担持するマウス(腫瘍+)におけるMSCの局在は、MSC注射後1日および3日について示されている(DiRシグナル(MSC特異的), 腫瘍+)。対照(MSCのみ、腫瘍のみ、および陰性対照)に対して行われたDiRシグナル分析の結果が表示のように示されている。
図20A図20A: 操作されたヒトMSCがマウスCT26腫瘍にホーミングしないことを示す。図20B: 各処置における個々のマウスの腫瘍重量を示す。効力を、1日おきにキャリパ測定から腫瘍体積によって判定した。
図20B図20Aの説明を参照のこと。
図21A図21A~21B: 腹腔内空間におけるCT26-LUC (ルシフェラーゼ)腫瘍成長の動態を示す。CT26細胞株を0日目に注射し、3匹のマウスを7日目、10日目、14日目、および18日目に収集して、腫瘍成長の動態を判定した。図21Aの第一列では、腫瘍負荷をモニターするために、IVISイメージャでマウスの体重およびROIを測定している。第二列では、各群における個々のマウスの腫瘍重量および腫瘍ROIをモニターしている。第三列では、腫瘍重量を全身ROIまたは腫瘍ROIと相関させている。
図21B図21A~21B: 腹腔内空間におけるCT26-LUC (ルシフェラーゼ)腫瘍成長の動態を示す。CT26細胞株を0日目に注射し、3匹のマウスを7日目、10日目、14日目、および18日目に収集して、腫瘍成長の動態を判定した。図21B: 腫瘍微小環境をさらによく特徴付けるための18日目の群における3匹のマウスの免疫プロファイルを示す。
図22A図22A: IL-12およびCCL21aを発現する操作されたMSCが結腸直腸がんの皮下マウスモデルにおける腫瘍成長を阻害するが、CCL21aおよびIL-36ガンマまたはIL-7を発現するMSCの組み合わせは腫瘍成長を低減しないことを示すデータを含む。各エフェクタは異なるMSCにより発現され、組み合わせ処置のためにMSCを組み合わせた(1:1の比率)。各チャートは、マウス(n = 6~8)でのCT26結腸腫瘍の成長に及ぼす表示された免疫療法を単独でまたは組み合わせで発現する操作されたMSCの効果を示す。図22Aの各線は個々のマウスを表す。
図22B図22B: 各処置群における個々のマウスの腫瘍重量を示す。
図23A図23A~23B: 図22A~22Bによって表される実験からの腫瘍免疫浸潤の統計を含む。PBS、ナイーブMSC、およびMSC-IL12+MSC-CCL21a (コンボ)群から3匹のマウスを選択し、フローサイトメトリーを実行して腫瘍微小環境の免疫プロファイルを調べた。図23A: ナイーブMSCを投与した群と比較して、コンボ群における浸潤性CD3およびCD8細胞傷害性T集団の有意な増加を示す。
図23B図23A~23B: 図22A~22Bによって表される実験からの腫瘍免疫浸潤の統計を含む。PBS、ナイーブMSC、およびMSC-IL12+MSC-CCL21a (コンボ)群から3匹のマウスを選択し、フローサイトメトリーを実行して腫瘍微小環境の免疫プロファイルを調べた。図23B: ナイーブMSCで処置した群と比較してコンボ群での顆粒球性骨髄由来サプレッサ細胞(gMDSC)およびマクロファージ集団の有意な低減を示す。
図24A図24A~24B: 図22A~22Bによって表される実験に関連した、免疫割合および腫瘍重量に関するデータを含む。図24Aおよび図24B: より多くのCD3+およびCD8+ T細胞を有するサンプル(左上および中央のグラフ)が腫瘍重量の減少と強く相関することを示す。これらの図はまた、マクロファージ、樹状細胞、およびMDSCを含めて、より少ないCD11b骨髄細胞を有するサンプルが、より低い腫瘍負荷を呈することを示す(図24Aの下中央および右グラフならびに図24Bの上列)。
図24B図24Aの説明を参照のこと。
図25A図25A~25B: 腹腔内および皮下結腸直腸がんマウスモデルにおけるMSC-IL-12+CCL21a療法のデータを含む。レンチウイルス形質導入系統の3つの異なるロットをMSC-IL12およびCCL21aについて試験した(TLOO8-3/4、TL019-01/02、およびTL022-01/02; 各TL番号は1ロットを表す)。図25A: MSC-IL12 + MSC-CCL21aの全3ロットが、皮下および腹腔内モデルの両方で腫瘍負荷を低減できることを示す(最初の5グラフはSCモデルからのものであり、最後の3つはIPモデルからのものである)。全てのマウスからの腫瘍を11日目に収集した。
図25B図25A~25B: 腹腔内および皮下結腸直腸がんマウスモデルにおけるMSC-IL-12+CCL21a療法のデータを含む。レンチウイルス形質導入系統の3つの異なるロットをMSC-IL12およびCCL21aについて試験した(TLOO8-3/4、TL019-01/02、およびTL022-01/02; 各TL番号は1ロットを表す)。図25B: 各群からの平均腫瘍重量を示す。
図26A図26A: 操作された組み合わせ処置MSC-IL-12+MSC-CCL21a、またはMSC-CCL21a+MSC-IFN-βが結腸直腸がんの皮下マウスモデルにおいて腫瘍成長を阻害するが、CCL21aおよびs41BBLを発現するMSCの組み合わせでは、腫瘍成長が低減されないことを示しているデータを含む。各エフェクタは異なるMSCにより発現され、組み合わせ処置のためにMSCを組み合わせた(1:1の比率)。各チャートは、マウス(n = 6~8)でのCT26腫瘍の成長に及ぼす表示された免疫療法を単独でまたは組み合わせで発現する操作されたMSCの効果を示す。図26Aの各線は個々のマウスを表す。図26B: 各処置における個々のマウスの腫瘍重量を示す。MSC-IL12 + MSC-CCL21aは、ナイーブMSCを注射したマウスと比較して最良の効力を示す。MSC-IFNb + MSC-CCL21aで処置された群においても処置効力が観察された。
図26B図26Aの説明を参照のこと。
図27A図27A~27B: 図26A~26Bによって表される実験からの追加データを提供する。図27A~27B: 表示の操作されたMSCで処置された各群の免疫プロファイルを示すグラフである。MSC-IL12 + MSC-CCL21aで処理した後に、マクロファージ集団の一貫した減少が観察された(図27A)。ナイーブMSCに対してMSC-IL12 + MSC-CCL21aで処置した群と比較した場合、CD3+集団の浸潤の増加およびCD11b+集団の浸潤の減少の一般的な傾向も観察された(図27Aおよび図27B)。
図27B図27Aの説明を参照のこと。
図28A図28A~28B: 図26A~26Bによって表される実験からの追加データを同様に提供する。図28A~28B: 免疫浸潤と腫瘍重量との相関関係を示す。少ないマクロファージおよび樹状細胞を有するサンプルは、いっそう低い腫瘍負荷を有する(図28B, 中央上および右上)。
図28B図28Aの説明を参照のこと。
図29】上記の結腸直腸がんモデルからのインビボデータ(図22Aおよび図26A)を組み合わせたグラフを示す。図22Aおよび図26Aから組み合わされたCT26データにより、3つの群が捕捉されている: 腫瘍のみ(PBS)の群、ナイーブMSCで処理された群、およびMSC-IL12 + MSC-CCL21aで処理された群。
図30A図30A~30C: 図22Aおよび図26Aから組み合わされたデータを示す。グラフは、フローサイトメトリー実験データからの免疫浸潤の平均数を示す。統計的有意性が図30AからのCD8+ Tにおいて観察され、MSC-IL12 + MSC-CCL21aが腫瘍微小環境を再分極し、より多くの細胞傷害性T細胞浸潤を可能にする能力を実証している。さらに、MSC-IL12 + MSC-CCL21aによって処置された群では、CD11b+骨髄細胞集団の浸潤の低減が認められた(図30B)。収集されたデータは、樹状細胞およびマクロファージ集団が統計的に有意であったことを示している。
図30B図30Aの説明を参照のこと。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
間葉幹細胞(MSC) (間葉間質細胞とも呼ばれる)は、中胚葉に由来する非造血成体幹細胞のサブセットである。それらは、自己再生能ならびに、軟骨細胞、骨細胞、および脂肪細胞のような中胚葉系統だけでなく、外胚葉系細胞および内胚葉系細胞への多系統分化を保有する。倫理的懸念および奇形腫形成の両方がないMSCは、免疫疾患と非免疫疾患の両方の処置のための細胞療法に用いられる主要な幹細胞型である。それらは、骨髄、脂肪組織、臍帯、胎児肝臓、筋肉、および肺から容易に単離することができ、インビトロで成功裏に増殖させることができる。さらに、MSCがヒトおよび動物に外因的かつ全身的に送達されると、それらは、腫瘍微小環境および転移領域を含む、炎症を有する損傷組織部位にホーミングする(直接遊走する)傾向がある。炎症指向MSCホーミングには、ケモカイン、接着分子、およびマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)を含むいくつかの重要な細胞輸送関連分子が関与している。
【0014】
MSCのような免疫細胞を操作して、異なる腫瘍媒介免疫抑制機構を調節するエフェクタ分子を産生させる方法が、本明細書において提供される。これらのMSCは、本明細書において「操作されたMSC」と呼ばれる。操作された核酸を通常含有するこれらのMSCは、自然界には存在しない。いくつかの態様において、MSCは、エフェクタ分子(例えば、免疫応答を刺激するもの)をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結されたプロモーターを含む核酸を含むように操作される。
【0015】
「エフェクタ分子」は、別の分子に結合して、それが結合する分子の生物学的活性を調節する分子(例えば、DNAもしくはRNAのような核酸、またはタンパク質(ポリペプチド)もしくはペプチド)をいう。例えば、エフェクタ分子は、酵素活性、遺伝子発現、または細胞シグナル伝達を増加または減少させるリガンドとして作用しうる。したがって、いくつかの態様において、エフェクタ分子は、異なる免疫調節機構を調節(活性化または阻害)する。分子に直接結合して調節することにより、エフェクタ分子は、第二の下流分子を間接的に調節することもできる。いくつかの態様において、エフェクタ分子は分泌分子であるが、他の態様において、エフェクタ分子は細胞表面に結合するか、細胞内に留まる。例えば、エフェクタ分子は、細胞の内部状態を改変して、例えば、細胞の免疫調節活性、ホーミング特性、または持続性を増強させる、細胞内転写因子、マイクロRNA、およびshRNAを含む。エフェクタ分子の非限定的な例としては、サイトカイン、ケモカイン、代謝産物レベルを調節する酵素、サイトカイン、ホーミング分子、および/もしくはインテグリンを調節する抗体またはデコイ分子が挙げられる。
【0016】
「調節する」という用語は、生物学的活性の維持、生物学的活性の阻害(部分的または完全)、および生物学的活性の刺激/活性化(部分的または完全)を包含する。この用語は、生物学的活性の減少または増加(例えば、増強)も包含する。2つの異なるエフェクタ分子は、一方のエフェクタ分子が他方のエフェクタによって調節される腫瘍媒介免疫抑制機構(例えば、抗原提示および/またはプロセッシングを刺激する)とは異なる腫瘍媒介免疫抑制機構を調節する(例えば、T細胞シグナル伝達を刺激する)場合に「異なる腫瘍媒介免疫抑制機構を調節する」とみなされる。
【0017】
エフェクタ分子による調節は、直接的または間接的でありうる。エフェクタ分子が別の分子に結合し、その分子の活性を調節する場合に、直接的な調節が行われる。間接的な調節は、エフェクタ分子が別の分子に結合し、その分子の活性を調節する場合に行われ、その調節の結果として、(エフェクタ分子が結合していない)さらに別の分子の活性が調節される。
【0018】
いくつかの態様において、少なくとも1つのエフェクタ分子による腫瘍媒介免疫抑制機構の調節は、少なくとも10% (例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、または200%)の免疫刺激および/または抗腫瘍免疫応答の増加を(例えば、全身的にまたは腫瘍微小環境において)もたらす。例えば、腫瘍媒介免疫抑制機構の調節は、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%の免疫刺激および/または抗腫瘍免疫応答の増加をもたらしうる。いくつかの態様において、腫瘍媒介免疫抑制機構の調節は、10~20%、10~30%、10~40%、10~50%、10~60%、10~70%、10~80%、10~90%、10~100%、10~200%、20~30%、20~40%、20~50%、20~60%、20~70%、20~80%、20~90%、20~100%、20~200%、50~60%、50~70%、50~80%、50~90%、50~100%、または50~200%の免疫刺激および/または抗腫瘍免疫応答の増加をもたらす。例えば全身的または腫瘍微小環境での、免疫刺激および/または抗腫瘍免疫応答の「増加」は、エフェクタ分子の非存在下において、起こりうる免疫刺激および/または抗腫瘍免疫応答と相対的なものであると理解されるべきである。
【0019】
いくつかの態様において、少なくとも1つのエフェクタ分子による腫瘍媒介免疫抑制機構の調節は、少なくとも2倍(例えば、2、3、4、5、10、25、20、25、50、または100倍)の免疫刺激および/または抗腫瘍免疫応答の増加を(例えば、全身的にまたは腫瘍微小環境において)もたらす。例えば、腫瘍媒介免疫抑制機構の調節は、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、または少なくとも100倍の免疫刺激および/または抗腫瘍免疫応答の増加をもたらしうる。いくつかの態様において、腫瘍媒介免疫抑制機構の調節は、2~10、2~20、2~30、2~40、2~50、2~60、2~70、2~80、2~90、または2~100倍の免疫刺激および/または抗腫瘍免疫応答の増加をもたらす。
【0020】
免疫刺激および/または抗腫瘍免疫機構の非限定的な例としては、T細胞シグナル伝達、活性、および/もしくは動員、抗原提示および/もしくはプロセッシング、ナチュラルキラー細胞媒介細胞傷害性シグナル伝達、活性、および/もしくは動員、樹状細胞分化および/もしくは成熟、免疫細胞動員、炎症性マクロファージシグナル伝達、活性、および/もしくは動員、間質分解、免疫刺激性代謝産物の産生、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)シグナル伝達(これはIFN分泌およびTh1分極を増加させ、抗腫瘍免疫応答を促進させる)、ならびに/またはI型インターフェロンシグナル伝達が挙げられる。エフェクタ分子は、前述の免疫刺激機構の少なくとも1つ(1つまたは複数)を刺激し、したがって免疫刺激応答の増加をもたらしうる。前述の免疫刺激および/または抗腫瘍免疫機構の変化は、例えば、T細胞の増殖もしくは細胞毒性に関するインビトロアッセイ法、インビトロ抗原提示アッセイ法、発現アッセイ法(例えば、特定のマーカーの)、および/または細胞分泌アッセイ法(例えば、サイトカインの)を用いて評価されうる。
【0021】
いくつかの態様において、少なくとも1つのエフェクタ分子による腫瘍媒介免疫抑制機構の調節は、少なくとも10% (例えば、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、または200%)の免疫抑制応答の減少を(例えば、全身的にまたは腫瘍微小環境において)もたらす。例えば、腫瘍媒介免疫抑制機構の調節は、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%の免疫抑制応答の減少をもたらしうる。いくつかの態様において、腫瘍媒介免疫抑制機構の調節は、10~20%、10~30%、10~40%、10~50%、10~60%、10~70%、10~80%、10~90%、10~100%、10~200%、20~30%、20~40%、20~50%、20~60%、20~70%、20~80%、20~90%、20~100%、20~200%、50~60%、50~70%、50~80%、50~90%、50~100%、または50~200%の免疫抑制応答の減少をもたらす。例えば全身的または腫瘍微小環境での、免疫抑制応答の「減少」は、エフェクタ分子の非存在下において、起こりうる免疫抑制応答と相対的なものであると理解されるべきである。
【0022】
いくつかの態様において、少なくとも1つのエフェクタ分子による腫瘍媒介免疫抑制機構の調節は、少なくとも2倍(例えば、2、3、4、5、10、25、20、25、50、または100倍)の免疫抑制応答の減少を(例えば、全身的にまたは腫瘍微小環境において)もたらす。例えば、腫瘍媒介免疫抑制機構の調節は、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、または少なくとも100倍の免疫抑制応答の減少をもたらしうる。いくつかの態様において、腫瘍媒介免疫抑制機構の調節は、2~10、2~20、2~30、2~40、2~50、2~60、2~70、2~80、2~90、または2~100倍の免疫抑制応答の減少をもたらす。
【0023】
免疫抑制機構の非限定的な例としては、負の共刺激シグナル伝達、細胞傷害性細胞(例えば、T細胞および/もしくはNK細胞)のアポトーシス促進シグナル伝達、T調節(Treg)細胞シグナル伝達、腫瘍チェックポイント分子産生/維持、骨髄由来サプレッサ細胞シグナル伝達、活性、および/もしくは動員、免疫抑制因子/代謝産物産生、および/または血管内皮成長因子シグナル伝達が挙げられる。エフェクタ分子は、前述の免疫抑制機構の少なくとも1つ(1つまたは複数)を阻害し、したがって免疫抑制応答の減少をもたらしうる。前述の免疫抑制機構の変化は、例えば、T細胞増殖の増加および/またはIFNγ産生の増加(負の共刺激シグナル伝達、Treg細胞シグナル伝達および/もしくはMDSC)のアッセイ; アネキシンV/PIフロー染色(アポトーシス促進シグナル伝達); 発現、例えば、PDL1発現(腫瘍チェックポイント分子の産生/維持)のフロー染色; ELISA、LUMINEX(登録商標)、qPCRを介したRNA、酵素アッセイ法、例えばIDOトリプトファン異化(免疫抑制因子/代謝産物産生); ならびにPI3K、Akt、p38のリン酸化(VEGFシグナル伝達)によって評価されうる。
【0024】
いくつかの態様において、MSCは、膜繋留型抗CD3および/または抗CD28アゴニスト細胞外ドメインを発現するように操作される。
【0025】
いくつかの態様において、MSCは、各々が異なる腫瘍媒介免疫抑制機構を調節する少なくとも2つの(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の)エフェクタ分子を産生するように操作される。他の態様において、MSCは、MSCによって天然に産生されない少なくとも1つのエフェクタ分子を産生するように操作される。そのようなエフェクタ分子は、例えば、MSCによって天然に産生されるエフェクタ分子の機能を補完しうる。
【0026】
いくつかの態様において、エフェクタ分子は相加的に機能する: 例えば、2つのエフェクタ分子の効果は、別々に機能する2つのエフェクタ分子の効果の合計に等しくてもよい。他の態様において、エフェクタ分子は相乗的に機能する: 例えば、2つのエフェクタ分子の効果は、2つのエフェクタ分子の組み合わされた機能より大きくてもよい。本開示はまた、エフェクタ分子と、それらが産生される免疫細胞(例えば、MSC)との間の相加性および相乗作用を包含する。
【0027】
腫瘍媒介免疫抑制機構を調節するエフェクタ分子は、例えば、分泌因子(例えば、免疫系に関与する細胞外機構を調節するサイトカイン、ケモカイン、抗体、および/もしくはデコイ受容体)、細胞状態を制御する細胞内因子(例えば、細胞の状態を調節して炎症誘発性を増強するマイクロRNAおよび/もしくは転写因子)、エキソソームにパッケージ化された因子(例えば、マイクロRNA、サイトゾル因子、および/もしくは細胞外因子)、表面提示因子(例えば、チェックポイント阻害剤、TRAIL)、ならびに/または代謝遺伝子(例えば、代謝産物もしくはアミノ酸を産生/調節または分解する酵素)でありうる。
【0028】
いくつかの態様において、エフェクタ分子は、以下の非限定的なクラスの分子: サイトカイン、抗体、ケモカイン、ヌクレオチド、ペプチド、および酵素から選択されうる。前述のクラスのエフェクタ分子の非限定的な例を以下に記載する。
【0029】
(表1)例示的なエフェクタ分子
【0030】
いくつかの態様において、MSCは、エフェクタ分子をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結されたプロモーターを含む操作された核酸を含む。いくつかの態様において、操作された核酸は、少なくとも2つのエフェクタ分子をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結されたプロモーターを含む。例えば、操作された核酸は、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個のエフェクタ分子をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結されたプロモーターを含みうる。いくつかの態様において、操作された核酸は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上のエフェクタ分子をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結されたプロモーターを含む。
【0031】
MSCは、いくつかの態様において、少なくとも1つの(例えば、1、2または3つの)エフェクタ分子をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結されたプロモーターを各々が含む少なくとも2つの操作された核酸を含むように操作される。例えば、MSCは、少なくとも1つの(例えば、1、2または3つの)エフェクタ分子をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結されたプロモーターを各々が含む少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも8個、少なくとも9個、または少なくとも10個の操作された核酸を含むように操作されうる。いくつかの態様において、MSCは、少なくとも1つの(例えば、1、2または3つの)エフェクタ分子をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結されたプロモーターを各々が含む2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれ以上の操作された核酸を含むように操作される。
【0032】
「操作された核酸」は、自然界には存在しない核酸である。しかしながら、操作された核酸は全体として天然に存在するわけではないが、自然界に存在するヌクレオチド配列を含みうることが理解されるべきである。いくつかの態様において、操作された核酸は、異なる生物由来の(例えば、異なる種由来の)ヌクレオチド配列を含む。例えば、いくつかの態様において、操作された核酸は、ネズミヌクレオチド配列、細菌ヌクレオチド配列、ヒトヌクレオチド配列、および/またはウイルスヌクレオチド配列を含む。「操作された核酸」という用語は、組み換え核酸および合成核酸を含む。「組み換え核酸」は、核酸分子をつなぎ合わせることにより構築され、いくつかの態様において、生細胞内で複製することができる分子をいう。「合成核酸」は、増幅されまたは化学的に、あるいは他の手段により合成される分子をいう。合成核酸は、化学的に修飾されたもの、または別の方法で修飾されたものを含むが、天然に存在する核酸分子と塩基対合することができる。組み換え核酸および合成核酸は、前述のいずれかの複製から生じる分子も含む。本開示の操作された核酸は、単一分子(例えば、同じプラスミドもしくは他のベクターに含まれる)によってまたは複数の異なる分子(例えば、複数の異なる独立複製分子)によってコードされうる。
【0033】
本開示の操作された核酸は、標準的な分子生物学的方法を用いて産生されうる(例えば、Green and Sambrook, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2012, Cold Spring Harbor Pressを参照のこと)。いくつかの態様において、操作された核酸構築体は、GIBSON ASSEMBLY(登録商標)クローニングを用いて産生される(例えば、各々が参照により本明細書に組み入れられるGibson, D.G. et al. Nature Methods, 343-345, 2009; およびGibson, D.G. et al. Nature Methods, 901-903, 2010を参照のこと)。GIBSON ASSEMBLY (登録商標)では典型的には、単管反応において3種の酵素活性: 5'エキソヌクレアーゼ、DNAポリメラーゼの'Y伸長活性、およびDNAリガーゼ活性を用いる。5'エキソヌクレアーゼ活性は5'末端配列を一本化し(chew back)、アニーリングのための相補配列を露出する。ポリメラーゼ活性が次いで、アニールされた領域のギャップを埋める。次にDNAリガーゼがニックを封鎖し、DNA断片を共有結合する。隣接する断片の重複配列は、ゴールデンゲートアセンブリ(Golden Gate Assembly)で用いられるものよりもはるかに長いため、正しいアセンブリの割合が高くなる。いくつかの態様において、操作された核酸構築体は、IN-FUSION (登録商標)クローニング(Clontech)を用いて産生される。
【0034】
「プロモーター」は、核酸配列の残部の転写の開始および速度が制御される核酸配列の制御領域をいう。プロモーターは、RNAポリメラーゼおよび他の転写因子のような調節タンパク質および調節分子が結合しうるサブ領域も含みうる。プロモーターは、構成的、誘導的、抑制的、組織特異的、またはそれらの任意の組み合わせでありうる。プロモーターは、それが調節する核酸配列の発現を駆動し、または転写を駆動する。本明細書において、プロモーターは、それが調節する核酸配列との関連で、その配列の転写開始および/または発現を制御(「駆動」)するのに正しい機能的位置および配向にある場合に「機能的に連結され」ているとみなされる。
【0035】
プロモーターは、所与の遺伝子または配列のコードセグメントの上流に位置する5'非コード配列を単離することによって得られるように、遺伝子または配列にもともと関連するものでありうる。そのようなプロモーターは「内因性」ということができる。いくつかの態様において、コード核酸配列は組み換えまたは異種プロモーターの制御下に位置することができ、それは通常、その天然環境においてコードされる配列に関連していないプロモーターをいう。そのようなプロモーターは、他の遺伝子のプロモーター; 任意の他の細胞から単離されたプロモーター; ならびに例えば、異なる転写調節領域の異なる要素および/または当技術分野において公知である遺伝子工学の方法によって発現を変化させる変異を含むものなどの、「天然に存在し」ない合成プロモーターまたはエンハンサーを含みうる。プロモーターおよびエンハンサーの核酸配列を合成的に産生することに加えて、組み換えクローニングおよび/またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む、核酸増幅技術を用いて配列が産生されうる(例えば、米国特許第4,683,202号および米国特許第5,928,906号を参照のこと)。
【0036】
操作された核酸のプロモーターは「誘導性プロモーター」であってもよく、これはシグナルの存在下、影響下または接触下にある場合に転写活性を調節する(例えば、開始または活性化する)ことによって特徴付けられるプロモーターをいう。シグナルは、誘導性プロモーターからの転写活性の調節において活性であるような方法で誘導性プロモーターと接触する内因性または通常は外因性の条件(例えば、光)、化合物(例えば、化学的もしくは非化学的化合物)またはタンパク質(例えば、サイトカイン)でありうる。転写の活性化は、転写を駆動するためにプロモーターに直接作用すること、またはプロモーターが転写を駆動するのを妨げているリプレッサーを不活性化することによりプロモーターに間接的に作用することを伴いうる。逆に、転写の不活性化は、転写を防ぐためにプロモーターに直接作用すること、またはプロモーターに作用するリプレッサーを活性化することによりプロモーターに間接的に作用することを伴いうる。
【0037】
プロモーターは、局所腫瘍状態(例えば、炎症もしくは低酸素)またはシグナルに、その状態またはシグナルの存在下において、プロモーターからの転写が活性化され、不活性化され、増やされ、または減らされる場合に「応答して」または「調節されて」いる。いくつかの態様において、プロモーターは応答要素を含む。「応答要素」は、プロモーターからの遺伝子発現を調節(modulate/regulate)する特定の分子(例えば、転写因子)に結合するプロモーター領域内の短いDNA配列である。本開示によって用いられうる応答要素は、非限定的に、フロレチン調節可能制御要素(PEACE)、亜鉛フィンガーDNA結合ドメイン(DBD)、インターフェロンγ活性化配列(GAS) (参照により本明細書に組み入れられるDecker, T. et al. J Interferon Cytokine Res. 1997 Mar;17(3):121-34)、インターフェロン刺激応答要素(ISRE) (参照により本明細書に組み入れられるHan, K. J. et al. J Biol Chem. 2004 Apr 9;279(15):15652-61)、NF-κB応答要素(参照により本明細書に組み入れられるWang, V. et al. Cell Reports. 2012; 2(4): 824-839)、およびSTAT3応答要素(参照により本明細書に組み入れられるZhang, D. et al. J of Biol Chem. 1996; 271: 9503-9509)を含む。本明細書において他の応答要素が包含される。
【0038】
応答性プロモーター(例えば、TGF-β応答性プロモーター)の非限定的な例が表2に記載されており、表2には、プロモーターおよび転写因子のデザインが示されているだけでなく、転写因子(TF)および導入遺伝子転写(T)に対する誘導因子分子の効果も示されている(B, 結合; D, 解離; n.d., 未決定) (A, 活性化; DA, 脱活性化; DR, 抑制解除) (Horner, M. & Weber, W. FEBS Letters 586 (2012) 20784-2096m、およびその中で引用されている参考文献を参照のこと)。
【0039】
(表2)応答性プロモーターの例
【0040】
プロモーターの他の非限定的な例としては、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、伸長因子1-α(EF1a)プロモーター、伸長因子(EFS)プロモーター、MNDプロモーター(骨髄増殖性肉腫ウイルスエンハンサーとともに改変MoMuLV LTRのU3領域を含む合成プロモーター)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーター、脾臓フォーカス形成ウイルス(SFFV)プロモーター、シミアンウイルス40 (SV40)プロモーター、およびユビキチンC (UbC)プロモーター(表3参照)が挙げられる。
【0041】
(表3)例示的なプロモーター
【0042】
いくつかの態様において、本開示のプロモーターは、腫瘍微小環境内のシグナルによって調節される。腫瘍微小環境の存在下で、プロモーターの活性が腫瘍微小環境の非存在下でのプロモーターの活性と比べて、少なくとも10%増加または減少した場合、腫瘍微小環境はプロモーターを調節するとみなされる。いくつかの態様において、プロモーターの活性は、腫瘍微小環境の非存在下でのプロモーターの活性と比べて、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%増加または減少する。例えば、プロモーターの活性は、腫瘍微小環境の非存在下でのプロモーターの活性と比べて、10~20%、10~30%、10~40%、10~50%、10~60%、10~70%、10~80%、10~90%、10~100%、10~200%、20~30%、20~40%、20~50%、20~60%、20~70%、20~80%、20~90%、20~100%、20~200%、50~60%、50~70%、50~80%、50~90%、50~100%、または50~200%増加または減少する。
【0043】
いくつかの態様において、プロモーターの活性は、腫瘍微小環境の非存在下でのプロモーターの活性と比べて、少なくとも2倍(例えば、2、3、4、5、10、25、20、25、50、または100倍)増加または減少する。例えば、プロモーターの活性は、腫瘍微小環境の非存在下でのプロモーターの活性と比べて、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、または少なくとも100倍増加または減少する。いくつかの態様において、プロモーターの活性は、腫瘍微小環境の非存在下でのプロモーターの活性と比べて、2~10、2~20、2~30、2~40、2~50、2~60、2~70、2~80、2~90、または2~100倍増加または減少する。
【0044】
いくつかの態様において、本開示のプロモーターは、低酸素状態の下で活性化される。「低酸素状態」は、身体または身体の領域が組織レベルで適切な酸素供給を受けられない状態である。低酸素状態は炎症を引き起こしうる(例えば、低酸素状態下では炎症性サイトカインのレベルが上昇する)。いくつかの態様において、低酸素状態の下で活性化されるプロモーターが、炎症性サイトカインの活性の発現を減少させるエフェクタ分子をコードするヌクレオチドに機能的に連結され、したがって低酸素状態により引き起こされる炎症を低減する。いくつかの態様において、低酸素状態の下で活性化されるプロモーターは、低酸素応答要素(HRE)を含む。「低酸素応答要素(HRE)」は、低酸素誘導因子(HIF)に応答する応答要素である。HREは、いくつかの態様において、コンセンサスモチーフNCGTG (ここでNはAまたはGのいずれかである)を含む。
【0045】
いくつかの態様において、操作されたMSCは複数のエフェクタ分子を産生する。例えば、MSCは2~20種の異なるエフェクタ分子を産生するように操作されうる。いくつかの態様において、MSCは2~20、2~19、2~18、2~17、2~16、2~15、2~14、2~13、2~12、2~11、2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、3~20、3~19、3~18、3~17、3~16、3~15、3~14、3~13、3~12、3~11、3~10、3~9、3~8、3~7、3~6、3~5、3~4、4~20、4~19、4~18、4~17、4~16、4~15、4~14、4~13、4~12、4~11、4~10、4~9、4~8、4~7、4~6、4~5、5~20、5~19、5~18、5~17、5~16、5~15、5~14、5~13、5~12、5~11、5~10、5~9、5~8、5~7、5~6、6~20、6~19、6~18、6~17、6~16、6~15、6~14、6~13、6~12、6~11、6~10、6~9、6~8、6~7、7~20、7~19、7~18、7~17、7~16、7~15、7~14、7~13、7~12、7~11、7~10、7~9、7~8、8~20、8~19、8~18、8~17、8~16、8~15、8~14、8~13、8~12、8~11、8~10、8~9、9~20、9~19、9~18、9~17、9~16、9~15、9~14、9~13、9~12、9~11、9~10、10~20、10~19、10~18、10~17、10~16、10~15、10~14、10~13、10~12、10~11、11~20、11~19、11~18、11~17、11~16、11~15、11~14、11~13、11~12、12~20、12~19、12~18、12~17、12~16、12~15、12~14、12~13、13~20、13~19、13~18、13~17、13~16、13~15、13~14、14~20、14~19、14~18、14~17、14~16、14~15、15~20、15~19、15~18、15~17、15~16、16~20、16~19、16~18、16~17、17~20、17~19、17~18、18~20、18~19、または19~20種のエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、MSCは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20種のエフェクタ分子を産生するように操作される。
【0046】
本開示の操作されたMSCは、典型的には、複数のエフェクタ分子を産生し、そのうちの少なくとも2つは異なる腫瘍媒介免疫抑制機構を調節する。いくつかの態様において、エフェクタ分子の少なくとも1つは腫瘍微小環境における炎症経路を刺激し、エフェクタ分子の少なくとも1つは腫瘍微小環境における炎症の負の調節因子を阻害する。
【0047】
「腫瘍微小環境」は、腫瘍が存在する細胞環境であり、周囲の血管、免疫細胞、線維芽細胞、骨髄由来の炎症細胞、リンパ球、シグナル伝達分子、および細胞外マトリックス(ECM)を含む(例えば、Pattabiraman, D.R. & Weinberg, R.A. Nature Reviews Drug Discovery 13, 497-512 (2014); Balkwill, F.R. et al. J Cell Sci 125, 5591-5596, 2012; およびLi, H. et al. J Cell Biochem 101(4), 805-15, 2007を参照のこと)。
【0048】
いくつかの態様において、MSCは、少なくとも1つのホーミング分子を産生するように操作される。「ホーミング」とは、標的部位(例えば、細胞、組織(例えば、腫瘍)、または臓器)への細胞の能動的なナビゲーション(遊走)をいう。「ホーミング分子」とは、MSCを標的部位に向ける分子をいう。いくつかの態様において、ホーミング分子は、標的部位へのMSCの相互作用を認識および/または開始するように機能する。ホーミング分子の非限定的な例としては、CXCR1 CCR9、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CCR2、CCR4、FPR2、VEGFR、IL6R、CXCR1、CSCR7、およびPDGFRが挙げられる。
【0049】
いくつかの態様において、ホーミング分子はケモカイン受容体(ケモカインに結合する細胞表面分子)である。ケモカインは、細胞内で有向の走化性を誘導できる、細胞によって分泌される小さなサイトカインまたはシグナル伝達タンパク質である。ケモカインは4つの主要なサブファミリー: CXC、CC、CX3C、およびXCに分類することができ、これらの全てが、標的細胞の表面に位置するケモカイン受容体に選択的に結合することにより生物学的効果を発揮する。いくつかの態様において、MSCは、間質細胞由来因子1 (SDF1、CXCモチーフケモカイン12、およびCXCL12としても公知)を発現する細胞、組織または腫瘍に向けケモカイン勾配に沿ってMSCがホーミングすることを可能にするケモカイン受容体CXCR4を産生するように操作される。本開示の操作されたMSCによって産生されうるケモカイン受容体の非限定的な例としては、CXCケモカイン受容体(例えば、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、CXCR6、およびCXCR7)、CCケモカイン受容体(CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、およびCCR11)、CX3Cケモカイン受容体(例えば、CX3CL1に結合するCX3CR1)、ならびにXCケモカイン受容体(例えば、XCR1)が挙げられる。いくつかの態様において、ケモカイン受容体は、Gタンパク質結合膜貫通受容体、または腫瘍壊死因子(TNF)受容体スーパーファミリー(TNFRSF1A、TNFRSF1Bを含むがこれらに限定されない)の一員である。いくつかの態様において、MSCは、CXCL8、CXCL9、および/もしくはCXCL10 (T細胞動員を促進する)、CCL3ならびに/またはCXCL5、CCL21 (Th1動員および極性化)を産生するように操作される。
【0050】
いくつかの態様において、MSCは、N-ホルミル化含有オリゴペプチドを検出するGタンパク質結合受容体(GPCR) (FPR2およびFPRL1を含むがこれらに限定されない)を産生するように操作される。
【0051】
いくつかの態様において、MSCは、インターロイキンを検出する受容体(IL6Rを含むがこれに限定されない)を産生するように操作される。
【0052】
いくつかの態様において、MSCは、他の細胞、組織、または腫瘍から分泌される成長因子を検出する受容体(FGFR、PDGFR、EGFR、ならびにVEGF-CおよびVEGF-Dを含むがこれらに限定されない、VEGFファミリーの受容体を含むがこれらに限定されない)を産生するように操作される。
【0053】
いくつかの態様において、ホーミング分子はインテグリンである。インテグリンは、細胞と細胞外マトリックス(ECM)との接着を促進する膜貫通受容体である。インテグリンは、2つのサブユニット: α(アルファ)およびβ(ベータ)を有する絶対的ヘテロ二量体である。インテグリンのαサブユニットは、非限定的に、ITGA1、ITGA2、ITGA3、ITGA4、ITGA5、ITGA6、IGTA7、ITGA8、ITGA9、IGTA10、IGTA11、ITGAD、ITGAE、ITGAL、ITGAM、ITGAV、ITGA2B、ITGAXでありうる。インテグリンのβサブユニットは、非限定的に、ITGB1、ITGB2、ITGB3、ITGB4、ITGB5、ITGB6、ITGB7、およびITGB8でありうる。本開示のMSCは、インテグリンαおよびβサブユニットの任意の組み合わせを産生するように操作されうる。
【0054】
いくつかの態様において、ホーミング分子はマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)である。MMPは、内皮細胞壁の下にある基底膜の成分を切断する酵素である。MMPの非限定的な例としては、MMP-2、MMP-9、およびMMPが挙げられる。いくつかの態様において、MSCは、MMPを阻害する分子(例えば、タンパク質)阻害剤を産生するように操作される。例えば、MSCは、膜1型MMP (MT1-MMP)の阻害剤(例えば、RNAi分子)またはTIMPメタロペプチダーゼ阻害剤1 (TIMP-1)を発現するように操作されうる。
【0055】
いくつかの態様において、ホーミング分子は、例えば、標的組織の内皮上のセレクチンに結合するリガンド(例えば、造血細胞E-/L-セレクチンリガンド(HCELL), Dykstra et al., Stem Cells. 2016 Oct;34(10):2501-2511)である。
【0056】
「ホーミング分子」という用語は、MSCのホーミングを改善/増強する分子の産生を調節する転写因子も包含する。
【0057】
いくつかの態様において、MSCホーミングは、対象における腫瘍/がん細胞を局所的に照射することにより増加する。放射線組織損傷は、MSCホーミング、および損傷した組織への内因性T細胞ホーミングを補助する。
【0058】
操作された細胞の例
本明細書において提供される細胞(例えば、MSC)は、複数のエフェクタ分子を産生するように操作され、少なくとも2つのエフェクタ分子が、異なる腫瘍媒介免疫抑制機構を調節する。いくつかの態様において、少なくとも1つの(例えば、1、2、3、4、5、またはそれ以上の)エフェクタ分子は、腫瘍微小環境における少なくとも1つの免疫刺激機構を刺激し、または腫瘍微小環境における少なくとも1つの免疫抑制機構を阻害する。いくつかの態様において、少なくとも1つの(例えば、1、2、3、4、5、またはそれ以上の)エフェクタ分子は、腫瘍微小環境における少なくとも1つの免疫抑制機構を阻害し、および少なくとも1つの(例えば、1、2、3、4、5、またはそれ以上の)エフェクタ分子は、腫瘍微小環境における少なくとも1つの免疫抑制機構を阻害する。さらに他の態様において、少なくとも2つの(例えば、2、3、4、5、またはそれ以上の)エフェクタ分子は、腫瘍微小環境における少なくとも1つの免疫刺激機構を刺激する。さらに他の態様において、少なくとも2つの(例えば、1、2、3、4、5、またはそれ以上の)エフェクタ分子は、腫瘍微小環境における少なくとも1つの免疫抑制機構を阻害する。
【0059】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、T細胞シグナル伝達、活性、および/または動員を刺激する少なくとも1つのエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、抗原提示および/またはプロセッシングを刺激する少なくとも1つのエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、ナチュラルキラー細胞媒介細胞傷害性シグナル伝達、活性、および/または動員を刺激する少なくとも1つのエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、樹状細胞分化および/または成熟を刺激する少なくとも1つのエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、免疫細胞動員を刺激する少なくとも1つのエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、M1マクロファージシグナル伝達、活性、および/または動員を刺激する少なくとも1つのエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、Th1分極を刺激する少なくとも1つのエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、間質分解を刺激する少なくとも1つのエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、免疫刺激性代謝産物の産生を刺激する少なくとも1つのエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、I型インターフェロンシグナル伝達を刺激する少なくとも1つのエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、負の共刺激シグナル伝達を阻害する少なくとも1つのエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、抗腫瘍免疫細胞のアポトーシス促進シグナル伝達(例えば、TRAILを介した)を阻害する少なくとも1つのエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、T調節(Treg)細胞シグナル伝達、活性、および/または動員を阻害する少なくとも1つのエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、腫瘍チェックポイント分子を阻害する少なくとも1つのエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)シグナル伝達を活性化する少なくとも1つのエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、骨髄由来サプレッサ細胞シグナル伝達、活性、および/または動員を阻害する少なくとも1つのエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、免疫抑制因子/代謝産物を分解する少なくとも1つのエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、血管内皮成長因子シグナル伝達を阻害する少なくとも1つのエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、腫瘍細胞を直接的に死滅させる少なくとも1つのエフェクタ分子(例えば、グランザイム、パーフォリン、腫瘍溶解性ウイルス、細胞溶解性ペプチドおよび酵素、例えばADCCを誘発する抗腫瘍抗体)を産生するように操作される。
【0060】
いくつかの態様において、少なくとも1つのエフェクタ分子は、T細胞シグナル伝達、活性、および/もしくは動員を刺激し、抗原提示および/もしくはプロセッシングを刺激し、ナチュラルキラー細胞媒介細胞傷害性シグナル伝達、活性、および/もしくは動員を刺激し、樹状細胞分化および/もしくは成熟を刺激し、免疫細胞動員を刺激し、マクロファージシグナル伝達を刺激し、間質分解を刺激し、免疫刺激性代謝産物の産生を刺激し、またはI型インターフェロンシグナル伝達を刺激し; かつ少なくとも1つのエフェクタ分子は、負の共刺激シグナル伝達を阻害し、抗腫瘍免疫細胞のアポトーシス促進シグナル伝達を阻害し、T調節(Treg)細胞シグナル伝達、活性、および/もしくは動員を阻害し、腫瘍チェックポイント分子を阻害し、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)シグナル伝達を活性化し、骨髄由来サプレッサ細胞シグナル伝達、活性、および/もしくは動員を阻害し、免疫抑制因子/代謝産物を分解し、血管内皮成長因子シグナル伝達を阻害し、または腫瘍細胞を直接的に死滅させる。
【0061】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-12、IFN-β、IFN-γ、IL-2、IL-15、IL-7、IL-36γ、IL-18、IL-1β、OX40リガンド、およびCD40Lから選択される少なくとも1つのエフェクタ分子; ならびに/または抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA-4抗体、および抗IL-35抗体から選択される少なくとも1つのエフェクタ分子; ならびに/またはMIP1α (CCL3)、MIP1β (CCL5)、およびCCL21から選択される少なくとも1つのエフェクタ分子; ならびに/またはCpGオリゴデオキシヌクレオチドから選択される少なくとも1つのエフェクタ分子; ならびに/または微生物ペプチドから選択される少なくとも1つのエフェクタ分子を産生するように操作される。
【0062】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βならびにサイトカイン、抗体、ケモカイン、ヌクレオチド、ペプチド、酵素、およびインターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)から選択される少なくとも1つのエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βならびに少なくとも1つのサイトカインまたは受容体/リガンド(例えば、IL-12、IFN-γ、IL-2、IL-15、IL-7、IL-36γ、IL-18、IL-1β、OX40-リガンド、および/もしくはCD40L)を産生するように操作される。
【0063】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βならびに少なくとも1つのサイトカインまたは受容体/リガンド(例えば、IL-12、IFN-γ、IL-2、IL-15、IL-7、IL-36γ、IL-18、IL-1β、OX40-リガンド、および/もしくはCD40L)を産生するように操作される。
【0064】
いくつかの態様において、サイトカインは、Treg細胞に結合し、CD8およびNK細胞に選択的に結合することを妨げる抗体断片に融合されたIL-2とのような、サイトカインに自己結合して細胞特異的な標的指向型結合を誘導する抗体、抗体断片、または受容体との操作された融合タンパク質として産生される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βならびに少なくとも1つの抗体(例えば、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA-4抗体、抗VEGF抗体、抗TGF-β抗体、抗IL-10抗体、抗TNF-α抗体、および/または抗IL-35抗体)を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βならびに少なくとも1つのケモカイン(MIP1α (CCL3)、MIP1β (CCL5)、および/またはCCL21)を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βおよび少なくとも1つのヌクレオチド(例えば、CpGオリゴデオキシヌクレオチド)を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βおよび少なくとも1つのペプチド(例えば、抗腫瘍ペプチド)を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βおよび少なくとも1つの酵素を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βおよび少なくとも1つのSTING活性化因子を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βおよび直接的な抗腫瘍活性を有する少なくとも1つのエフェクタ(例えば、腫瘍溶解性ウイルス)を産生するように操作される。
【0065】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-αおよびMIP1-αを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-αおよびMIP1-βを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-αおよびCXCL9を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-αおよびCXCL10を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-αおよびCXCL11を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-αおよびCCL21を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IL-12、IFN-γ、IL-2、IL-7、IL-15、IL36-γ、IL-18、CD40Lおよび/または41BB-Lをさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、抗CD40抗体、抗CTLA4抗体、抗PD-L1抗体、および/またはOX40Lをさらに産生するように操作される。
【0066】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βおよびMIP1-αを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βおよびMIP1-βを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βおよびCXCL9を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βおよびCXCL10を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βおよびCXCL11を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βおよびCCL21を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IL-12、IFN-γ、IL-2、IL-7、IL-15、IL36-γ、IL-18、CD40Lおよび/または41BB-Lをさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、抗CD40抗体、および抗CTLA4抗体、抗PD-L1抗体、および/またはOX40Lをさらに産生するように操作される。
【0067】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-12およびMIP1-αを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-12およびMIP1-βを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-12およびCXCL9を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-12およびCXCL10を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-12およびCXCL11を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-12およびCCL21を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IFN-β、IFN-γ、IL-2、IL-7、IL-15、IL36-γ、IL-18、CD40Lおよび/または41BB-Lをさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、抗CD40抗体、抗CTLA4抗体、抗PD-L1抗体、および/またはOX40Lをさらに産生するように操作される。
【0068】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)およびMIP1-αを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、TRAILおよびMIP1-βを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、TRAILおよびCXCL9を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、TRAILおよびCXCL10を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、TRAILおよびCXCL11を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、TRAILおよびCCL21を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IL-12、IFN-γ、IL-2、IL-7、IL-15、IL36-γ、IL-18、CD40L、および/または41BB-Lをさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、抗CD40抗体、抗CTLA4抗体、抗PD-L1抗体、および/またはOX40Lをさらに産生するように操作される。
【0069】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)およびMIP1-αを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、STINGおよびMIP1-βを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、STINGおよびCXCL9を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、STINGおよびCXCL10を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、STINGおよびCXCL11を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、STINGおよびCCL21を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IL-12、IFN-γ、IL-2、IL-7、IL-15、IL36-γ、IL-18、CD40Lおよび/または41BB-Lをさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、抗CD40抗体、抗CTLA4抗体、抗PD-L1抗体、および/またはOX40Lをさらに産生するように操作される。
【0070】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CD40LおよびMIP1-αを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CD40LおよびMIP1-βを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CD40LおよびCXCL9を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CD40LおよびCXCL10を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CD40LおよびCXCL11を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CD40LおよびCCL21を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IL-12、IFN-γ、IL-2、IL-7、IL-15、IL36-γ、IL-18および/または41BB-Lをさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、抗CD40抗体、抗CTLA4抗体、抗PD-L1抗体、および/またはOX40Lをさらに産生するように操作される。
【0071】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、シトシンデアミナーゼおよびMIP1-αを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、シトシンデアミナーゼおよびMIP1-βを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、シトシンデアミナーゼおよびCXCL9を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、シトシンデアミナーゼおよびCXCL10を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、シトシンデアミナーゼおよびCXCL11を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、シトシンデアミナーゼおよびCCL21を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IL-12、IFN-γ、IL-2、IL-7、IL-15、IL36-γ、IL-18、CD40L、および/または41BB-Lをさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、抗CD40抗体、抗CTLA4抗体、抗PD-L1抗体、および/またはOX40Lをさらに産生するように操作される。
【0072】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-αおよびIL-12を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-αおよびIFN-γを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-αおよびIL-2を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-αおよびIL-7を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-αおよびIL-15を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-αおよびIL-36γを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-αおよびIL-18を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-αおよびCD40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-αおよび41BB-Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、MIP1-α、MIP1-β、CXCL9、CXCL10、CXCL11、および/またはCCL21をさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、抗CD40抗体、抗CTLA4抗体、抗PD-L1抗体、および/またはOX40Lをさらに産生するように操作される。
【0073】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βおよびIL-12を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βおよびIFN-γを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βおよびIL-2を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βおよびIL-7を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βおよびIL-15を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βおよびIL-36γを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βおよびIL-18を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βおよびCD40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βおよび41BB-Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、MIP1-α、MIP1-β、CXCL9、CXCL10、CXCL11、および/またはCCL21をさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、抗CD40抗体、抗CTLA4抗体、抗PD-L1抗体、および/またはOX40Lをさらに産生するように操作される。
【0074】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)およびIL-12を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、TRAILおよびIFN-γを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、TRAILおよびIL-2を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、TRAILおよびIL-7を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、TRAILおよびIL-15を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、TRAILおよびIL-36γを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、TRAILおよびIL-18を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、TRAILおよびCD40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、TRAILおよび41BB-Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、MIP1-α、MIP1-β、CXCL9、CXCL10、CXCL11、および/またはCCL21をさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、抗CD40抗体、抗CTLA4抗体、抗PD-L1抗体、および/またはOX40Lをさらに産生するように操作される。
【0075】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)およびIL-12を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、STINGおよびIFN-γを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、STINGおよびIL-2を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、STINGおよびIL-7を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、STINGおよびIL-15を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、STINGおよびIL-36γを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、STINGおよびIL-18を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、STINGおよびCD40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、STINGおよび41BB-Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、MIP1-α、MIP1-β、CXCL9、CXCL10、CXCL11、および/またはCCL21をさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、抗CD40抗体、抗CTLA4抗体、抗PD-L1抗体、および/またはOX40Lをさらに産生するように操作される。
【0076】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CD40LおよびIL-12を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CD40LおよびIFN-γを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CD40LおよびIL-2を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CD40LおよびIL-7を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CD40LおよびIL-15を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CD40LおよびIL-36γを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CD40LおよびIL-18を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CD40Lおよび41BB-Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、MIP1-α、MIP1-β、CXCL9、CXCL10、CXCL11、および/またはCCL21をさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、抗CD40抗体、抗CTLA4抗体、抗PD-L1抗体、および/またはOX40Lをさらに産生するように操作される。
【0077】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、シトシンデアミナーゼおよびIL-12を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、シトシンデアミナーゼおよびIFN-γを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、シトシンデアミナーゼおよびIL-2を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、シトシンデアミナーゼおよびIL-7を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、シトシンデアミナーゼおよびIL-15を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、シトシンデアミナーゼおよびIL-36γを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、シトシンデアミナーゼおよびIL-18を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、シトシンデアミナーゼおよびCD40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、シトシンデアミナーゼおよび41BB-Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、MIP1-α、MIP1-β、CXCL9、CXCL10、CXCL11、および/またはCCL21をさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、抗CD40抗体、抗CTLA4抗体、抗PD-L1抗体、および/またはOX40Lをさらに産生するように操作される。
【0078】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、MIP1-αおよびIL-12を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、MIP1-αおよびMIP1-γを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、MIP1-αおよびIL-2を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、MIP1-αおよびIL-7を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、MIP1-αおよびIL-15を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、MIP1-αおよびIL-36γを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、MIP1-αおよびIL-18を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、MIP1-αおよびCD40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、MIP1-αおよび41BB-Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IFN-α、IFN-β、TRAIL、STING、CD40L、および/またはシトシンデアミナーゼをさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、抗CD40抗体、抗CTLA4抗体、抗PD-L1抗体、および/またはOX40Lをさらに産生するように操作される。
【0079】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、MIP1-βおよびIL-12を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、MIP1-βおよびMIP1-γを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、MIP1-βおよびIL-2を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、MIP1-βおよびIL-7を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、MIP1-βおよびIL-15を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、MIP1-βおよびIL-36γを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、MIP1-βおよびIL-18を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、MIP1-βおよびCD40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、MIP1-βおよび41BB-Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IFN-α、IFN-β、TRAIL、STING、CD40L、および/またはシトシンデアミナーゼをさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、抗CD40抗体、抗CTLA4抗体、抗PD-L1抗体、および/またはOX40Lをさらに産生するように操作される。
【0080】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL9およびIL-12を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL9およびIFN-γを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL9およびIL-2を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL9およびIL-7を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL9およびIL-15を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL9およびIL-36γを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL9およびIL-18を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL9およびCD40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL9および41BB-Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IFN-α、IFN-β、TRAIL、STING、CD40L、および/またはシトシンデアミナーゼをさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、抗CD40抗体、抗CTLA4抗体、抗PD-L1抗体、および/またはOX40Lをさらに産生するように操作される。
【0081】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL10およびIL-12を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL10およびIFN-γを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL10およびIL-2を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL10およびIL-7を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL10およびIL-15を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL10およびIL-36γを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL10およびIL-18を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL10およびCD40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL10および41BB-Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IFN-α、IFN-β、TRAIL、STING、CD40L、および/またはシトシンデアミナーゼをさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、抗CD40抗体、抗CTLA4抗体、抗PD-L1抗体、および/またはOX40Lをさらに産生するように操作される。
【0082】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL11およびIL-12を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL11およびIFN-γを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL11およびIL-2を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL11およびIL-7を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL11およびIL-15を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL11およびIL-36γを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL11およびIL-18を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL11および41BB-Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IFN-α、IFN-β、TRAIL、STING、CD40L、および/またはシトシンデアミナーゼをさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、抗CD40抗体、抗CTLA4抗体、抗PD-L1抗体、および/またはOX40Lをさらに産生するように操作される。
【0083】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CCL21およびIL-12を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CCL21およびIFN-γを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CCL21およびIL-2を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CCL21およびIL-7を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CCL21およびIL-15を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CCL21およびIL-36γを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CCL21およびIL-18を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CCL21およびCD40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CCL21および41BB-Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IFN-α、IFN-β、TRAIL、STING、CD40L、および/またはシトシンデアミナーゼをさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、抗CD40抗体、抗CTLA4抗体、抗PD-L1抗体、および/またはOX40Lをさらに産生するように操作される。
【0084】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-αおよび抗PD-L1抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-αおよびOX40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-αおよび抗CTLA4抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-αおよび抗CD47抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、MIP1-α、MIP1-β、CXCL9、CXCL10、CXCL11、および/またはCXCL21をさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IL-12、IFN-γ、IL-2、IL-7、IL-15、IL-36γ、IL-18、CD40L、および/または41BB-Lをさらに産生するように操作される。
【0085】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βおよび抗PD-L1抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βおよびOX40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βおよび抗CTLA4抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-βおよび抗CD47抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、MIP1-α、MIP1-β、CXCL9、CXCL10、CXCL11、および/またはCXCL21をさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IL-12、IFN-γ、IL-2、IL-7、IL-15、IL-36γ、IL-18、CD40L、および/または41BB-Lをさらに産生するように操作される。
【0086】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、TRAILおよび抗PD-L1抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、TRAILおよびOX40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、TRAILおよび抗CTLA4抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、TRAILおよび抗CD47抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、MIP1-α、MIP1-β、CXCL9、CXCL10、CXCL11、および/またはCXCL21をさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IL-12、IFN-γ、IL-2、IL-7、IL-15、IL-36γ、IL-18、CD40L、および/または41BB-Lをさらに産生するように操作される。
【0087】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、STINGおよび抗PD-L1抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、STINGおよびOX40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、STINGおよび抗CTLA4抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、STINGおよび抗CD47抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、MIP1-α、MIP1-β、CXCL9、CXCL10、CXCL11、および/またはCXCL21をさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IL-12、IFN-γ、IL-2、IL-7、IL-15、IL-36γ、IL-18、CD40L、および/または41BB-Lをさらに産生するように操作される。
【0088】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CD40Lおよび抗PD-L1抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CD40LおよびOX40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CD40Lおよび抗CTLA4抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CD40Lおよび抗CD47抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、MIP1-α、MIP1-β、CXCL9、CXCL10、CXCL11、および/またはCXCL21をさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IL-12、IFN-γ、IL-2、IL-7、IL-15、IL-36γ、IL-18、CD40L、および/または41BB-Lをさらに産生するように操作される。
【0089】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、シトシンデアミナーゼおよび抗PD-L1抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、シトシンデアミナーゼおよびOX40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、シトシンデアミナーゼおよび抗CTLA4抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、シトシンデアミナーゼおよび抗CD47抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、MIP1-α、MIP1-β、CXCL9、CXCL10、CXCL11、および/またはCXCL21をさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IL-12、IFN-γ、IL-2、IL-7、IL-15、IL-36γ、IL-18、CD40L、および/または41BB-Lをさらに産生するように操作される。
【0090】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、MIP1-αおよび抗PD-L1抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、MIP1-αおよびOX40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、MIP1-αおよび抗CTLA4抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、MIP1-αおよび抗CD47抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IFN-α、IFN-β、TRAIL、STING、CD40L、および/またはシトシンデアミナーゼをさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IL-12、IFN-γ、IL-2、IL-7、IL-15、IL-36γ、IL-18、CD40L、および/または41BB-Lをさらに産生するように操作される。
【0091】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、MIP1-βおよび抗PD-L1抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、MIP1-βおよびOX40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、MIP1-βおよび抗CTLA4抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、MIP1-βおよび抗CD47抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IFN-α、IFN-β、TRAIL、STING、CD40L、および/またはシトシンデアミナーゼをさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IL-12、IFN-γ、IL-2、IL-7、IL-15、IL-36γ、IL-18、CD40L、および/または41BB-Lをさらに産生するように操作される。
【0092】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL9および抗PD-L1抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL9およびOX40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL9および抗CTLA4抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL9および抗CD47抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IFN-α、IFN-β、TRAIL、STING、CD40L、および/またはシトシンデアミナーゼをさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IL-12、IFN-γ、IL-2、IL-7、IL-15、IL-36γ、IL-18、CD40L、および/または41BB-Lをさらに産生するように操作される。
【0093】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL10および抗PD-L1抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL10およびOX40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL10および抗CTLA4抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL10および抗CD47抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IFN-α、IFN-β、TRAIL、STING、CD40L、および/またはシトシンデアミナーゼをさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IL-12、IFN-γ、IL-2、IL-7、IL-15、IL-36γ、IL-18、CD40L、および/または41BB-Lをさらに産生するように操作される。
【0094】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL11および抗PD-L1抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL11およびOX40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL11および抗CTLA4抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CXCL11および抗CD47抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IFN-α、IFN-β、TRAIL、STING、CD40L、および/またはシトシンデアミナーゼをさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IL-12、IFN-γ、IL-2、IL-7、IL-15、IL-36γ、IL-18、CD40L、および/または41BB-Lをさらに産生するように操作される。
【0095】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CCL21および抗PD-L1抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CCL21およびOX40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CCL21および抗CTLA4抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CCL21および抗CD47抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IFN-α、IFN-β、TRAIL、STING、CD40L、および/またはシトシンデアミナーゼをさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IL-12、IFN-γ、IL-2、IL-7、IL-15、IL-36γ、IL-18、CD40L、および/または41BB-Lをさらに産生するように操作される。
【0096】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-12および抗PD-L1抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-12およびOX40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-12および抗CTLA4抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-12および抗CD47抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IFN-α、IFN-β、TRAIL、STING、CD40L、および/またはシトシンデアミナーゼをさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、MIP1-α、MIP1-β、CXCL9、CXCL10、CXCL11、および/またはCCL21をさらに産生するように操作される。
【0097】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-γおよび抗PD-L1抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-γおよびOX40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-γおよび抗CTLA4抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IFN-γおよび抗CD47抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IFN-α、IFN-β、TRAIL、STING、CD40L、および/またはシトシンデアミナーゼをさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、MIP1-α、MIP1-β、CXCL9、CXCL10、CXCL11、および/またはCCL21をさらに産生するように操作される。
【0098】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-2および抗PD-L1抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-2およびOX40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-2および抗CTLA4抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-2および抗CD47抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IFN-α、IFN-β、TRAIL、STING、CD40L、および/またはシトシンデアミナーゼをさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、MIP1-α、MIP1-β、CXCL9、CXCL10、CXCL11、および/またはCCL21をさらに産生するように操作される。
【0099】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-7および抗PD-L1抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-7およびOX40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-7および抗CTLA4抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-7および抗CD47抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IFN-α、IFN-β、TRAIL、STING、CD40L、および/またはシトシンデアミナーゼをさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、MIP1-α、MIP1-β、CXCL9、CXCL10、CXCL11、および/またはCCL21をさらに産生するように操作される。
【0100】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-15および抗PD-L1抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-15およびOX40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-15および抗CTLA4抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-15および抗CD47抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IFN-α、IFN-β、TRAIL、STING、CD40L、および/またはシトシンデアミナーゼをさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、MIP1-α、MIP1-β、CXCL9、CXCL10、CXCL11、および/またはCCL21をさらに産生するように操作される。
【0101】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-36-γおよび抗PD-L1抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-36-γおよびOX40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-36-γおよび抗CTLA4抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-36-γおよび抗CD47抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IFN-α、IFN-β、TRAIL、STING、CD40L、および/またはシトシンデアミナーゼをさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、MIP1-α、MIP1-β、CXCL9、CXCL10、CXCL11、および/またはCCL21をさらに産生するように操作される。
【0102】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-18および抗PD-L1抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-18およびOX40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-18および抗CTLA4抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、IL-18および抗CD47抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IFN-α、IFN-β、TRAIL、STING、CD40L、および/またはシトシンデアミナーゼをさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、MIP1-α、MIP1-β、CXCL9、CXCL10、CXCL11、および/またはCCL21をさらに産生するように操作される。
【0103】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CD40Lおよび抗PD-L1抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CD40LおよびOX40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CD40Lおよび抗CTLA4抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、CD40Lおよび抗CD47抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IFN-α、IFN-β、TRAIL、STING、CD40L、および/またはシトシンデアミナーゼをさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、MIP1-α、MIP1-β、CXCL9、CXCL10、CXCL11、および/またはCCL21をさらに産生するように操作される。
【0104】
いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、41BB-Lおよび抗PD-L1抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、41BB-LおよびOX40Lを産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、41BB-Lおよび抗CTLA4抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞(例えば、MSC)は、41BB-Lおよび抗CD47抗体を産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、IFN-α、IFN-β、TRAIL、STING、CD40L、および/またはシトシンデアミナーゼをさらに産生するように操作される。いくつかの態様において、細胞は、MIP1-α、MIP1-β、CXCL9、CXCL10、CXCL11、および/またはCCL21をさらに産生するように操作される。
【0105】
細胞型
本開示は主に、複数のエフェクタ分子を産生するように操作された間葉幹細胞(MSC) (例えば、ヒトMSC)に言及する。しかしながら、本開示はMSCに限定されるのではなく、他の細胞型(例えば、免疫系の細胞型)を包含するよう意図されることが理解されるべきである。例えば、本明細書において提供される、操作された細胞(エフェクタ分子を産生するように操作された)は、ナチュラルキラー(NK)細胞、NKT細胞、自然リンパ系細胞、肥満細胞、好酸球、好塩基球、マクロファージ、好中球、および樹状細胞、T細胞(例えば、CD8+ T細胞、CD4+ T細胞、ガンマ-デルタT細胞、およびT調節細胞(CD4+、FOXP3+、CD25+))ならびにB細胞から選択されうる。したがって、本開示のMSCは、任意の態様において、前述の細胞型のうちの1つまたは複数の代わりに用いられうる。
【0106】
いくつかの態様において、操作された間葉幹細胞は骨髄由来である(例えば、骨髄から得られる、または骨髄に由来する)。いくつかの態様において、操作された間葉幹細胞は脂肪組織由来である(例えば、脂肪組織から得られる、または脂肪組織に由来する)。いくつかの態様において、操作された間葉幹細胞は臍帯由来である(例えば、臍帯から得られる、または臍帯に由来する)。いくつかの態様において、操作された間葉幹細胞は多能性幹細胞(例えば、胚性幹細胞または人工多能性幹細胞)由来である。
【0107】
したがって、本開示は、複数のエフェクタ分子を産生するように操作されたT細胞(例えば、CD8+ T細胞、CD4+ T細胞、ガンマ-デルタT細胞、またはT調節細胞(CD4+、FOXP3+、CD25+))であって、少なくとも2つのエフェクタ分子が、異なる腫瘍媒介性の免疫抑制機構を調節する、T細胞を提供する。いくつかの態様において、B細胞が、少なくとも2つが異なる腫瘍媒介性の免疫抑制機構を調節する複数のエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、NK細胞が、少なくとも2つが異なる腫瘍媒介性の免疫抑制機構を調節する複数のエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、NKT細胞が、少なくとも2つが異なる腫瘍媒介性の免疫抑制機構を調節する複数のエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、自然リンパ系細胞が、少なくとも2つが異なる腫瘍媒介性の免疫抑制機構を調節する複数のエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、肥満細胞が、少なくとも2つが異なる腫瘍媒介性の免疫抑制機構を調節する複数のエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、好酸球が、少なくとも2つが異なる腫瘍媒介性の免疫抑制機構を調節する複数のエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、好塩基球が、少なくとも2つが異なる腫瘍媒介性の免疫抑制機構を調節する複数のエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、マクロファージが、少なくとも2つが異なる腫瘍媒介性の免疫抑制機構を調節する複数のエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、好中球が、少なくとも2つが異なる腫瘍媒介性の免疫抑制機構を調節する複数のエフェクタ分子を産生するように操作される。いくつかの態様において、樹状細胞が、少なくとも2つが異なる腫瘍媒介性の免疫抑制機構を調節する複数のエフェクタ分子を産生するように操作される。
【0108】
いくつかの態様において、エフェクタ分子の少なくとも1つは、腫瘍微小環境における免疫刺激機構を刺激し、および/または腫瘍微小環境における免疫抑制機構を阻害する。
【0109】
いくつかの態様において、エフェクタ分子の少なくとも1つは、(a) T細胞シグナル伝達、活性、および/もしくは動員を刺激し、(b) 抗原提示および/もしくはプロセッシングを刺激し、(c) ナチュラルキラー細胞媒介細胞傷害性シグナル伝達、活性、および/もしくは動員を刺激し、(d) 樹状細胞分化および/もしくは成熟を刺激し、(e) 免疫細胞動員を刺激し、(f) 炎症性マクロファージシグナル伝達、活性、および/もしくは動員を刺激し、または抗炎症性マクロファージシグナル伝達、活性、および/もしくは動員を阻害し、(g) 間質分解を刺激し、(h) 免疫刺激性代謝産物の産生を刺激し、(i) I型インターフェロンシグナル伝達を刺激し、(j) 負の共刺激シグナル伝達を阻害し、(k) 抗腫瘍免疫細胞のアポトーシス促進シグナル伝達を阻害し、(l) T調節(Treg)細胞シグナル伝達、活性、および/もしくは動員を阻害し、(m) 腫瘍チェックポイント分子を阻害し、(n) インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)シグナル伝達を刺激し、(o) 骨髄由来サプレッサ細胞シグナル伝達、活性、および/もしくは動員を阻害し、(p) 免疫抑制因子/代謝産物を分解し、(q) 血管内皮成長因子シグナル伝達を阻害し、ならびに/あるいは(r) 腫瘍細胞を直接的に死滅させる。
【0110】
免疫系は自然免疫系および適応系を含み、それぞれが、特定の機能を有する異なる種類の細胞を含む。自然免疫系は、他の生物による感染から宿主を防御する細胞および機構を含む。感染に対する即時防御を提供する自然免疫系は、非特異的な方法で病原体を認識して、それに応答し、長期にわたる免疫を宿主に提供することはない。自然免疫系の主な機能(例えば、哺乳動物のような脊椎動物における)は、以下を含む: サイトカインおよびケモカインと呼ばれる特殊な化学メディエータを含む、化学因子の産生を通じて感染部位に免疫細胞を動員すること; 補体カスケードを活性化して細菌を特定し、細胞を活性化し、抗体複合体または死細胞のクリアランスを促進すること; 特殊な白血球によって臓器、組織、血液およびリンパ液に存在する外来物質を特定および除去すること; 抗原提示として知られるプロセスを通じて適応免疫系を活性化すること; ならびに感染性因子に対する物理的および化学的障壁として作用すること。
【0111】
自然免疫系の構成要素は、物理的障壁(皮膚、胃腸管、気道)、防御機構(分泌物、粘液、胆汁)、および一般的な免疫応答(炎症)を含む。白血球 (白血球細胞とも呼ばれる)および食細胞は、自然免疫系および応答において機能する主要な細胞型であり、これは感染を引き起こす可能性のある病原体を特定し排除する。
【0112】
白血球は特定の臓器または組織と密接に関連せず、独立した単細胞生物のそれと同様に機能する。白血球は自由に動き、細胞残屑、外来粒子、および侵入微生物と相互作用し、それらを捕捉しうる。体内の他の多くの細胞とは異なり、ほとんどの自然免疫白血球はそれ自体で分裂または再生することはできないが、骨髄に存在する多能性造血幹細胞の産物である。白血球の種類は、非限定的に、肥満細胞、好塩基球、好酸球、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、自然リンパ球(ILC)、およびガンマ-デルタT細胞を含む。
【0113】
肥満細胞は、結合組織および粘膜に存在する自然免疫細胞の一種である。肥満細胞は創傷治癒および病原体に対する防御に関連しているが、アレルギーおよびアナフィラキシーにも関連していることが多い。活性化されると、肥満細胞はヒスタミンおよびヘパリンが豊富な、特徴的な顆粒を、さまざまなホルモンメディエータおよびケモカイン、または走化性サイトカインとともに環境中に急速に放出する。ヒスタミンは血管を拡張し、炎症の特徴的な兆候を引き起こし、好中球およびマクロファージを動員する。
【0114】
好塩基球および好酸球は、好中球に関連する細胞である。病原体との遭遇によって活性化されると、ヒスタミン放出好塩基球は寄生虫に対する防御に重要であり、喘息のようなアレルギー反応に関与する。活性化により、好酸球は、寄生虫を死滅させるのに非常に効果的であるが、アレルギー反応中に組織を損傷する可能性もある一連の非常に毒性の高いタンパク質およびフリーラジカルを分泌する。それゆえ、好酸球による毒素の活性化および放出は、不適切な組織破壊を防ぐために厳重に調節されている。
【0115】
ナチュラルキラー細胞(NK細胞)は、侵入微生物を直接攻撃しない自然免疫系の構成要素である。NK細胞はむしろ、宿主細胞のウイルス感染で起こりうる状況であるMHC I (主要組織適合遺伝子複合体)と呼ばれる細胞表面マーカーのレベルが異常に低い、腫瘍細胞またはウイルス感染細胞のような、易感染性宿主細胞を破壊する。NK細胞は、表面のMHC I分子が低い細胞を死滅させるために活性化を必要としないという最初の概念から、そのように命名されている。
【0116】
ガンマ-デルタT細胞は、それらを自然免疫と適応免疫の境界に位置付ける特徴を示す。場合によっては、ガンマ-デルタT細胞は、TCR遺伝子を再構成して接合部の多様性を生み出し、記憶表現型を発達させるという点で、適応免疫の構成要素と考えられうる。さまざまなサブセットはまた、拘束されたTCRまたはNK受容体がパターン認識受容体として使用されうる自然免疫系の一部と見なされうる。例えば、多数のVgamma9/Vdelta2 T細胞は、微生物が産生する一般的な分子に迅速に応答し、高度に拘束された上皮内Vdelta1 T細胞はストレスを受けた上皮細胞に応答する。
【0117】
食細胞は、病原体または粒子を飲み込む、または「貪食する」自然免疫細胞である。粒子または病原体を飲み込むために、食細胞はその原形質膜の一部を伸ばし、その膜で粒子が包み込まれる(もはや粒子が細胞内にある)まで粒子を包んでいく。細胞内に入ると、侵入病原体はエンドソーム内に含まれ、これがリソソームと一体化する。リソソームは、粒子または生物を死滅させ消化する酵素および酸を含有する。一般に、食細胞は病原体を探して身体をパトロールするが、サイトカインと呼ばれる他の細胞によって生成される高度に特殊化された分子シグナルの群に反応することもできる。食細胞の種類は、非限定的に、マクロファージ、好中球、および樹状細胞を含む。
【0118】
マクロファージは大きな食細胞であり、毛細血管の壁を横切って遊走し、侵入病原体を追跡して細胞間の領域に入ることにより、血管系の外側に移動することができる。組織では、臓器特異的マクロファージは、単球と呼ばれる血液中に存在する食細胞とは区別される。マクロファージは最も効率的な食細胞であり、かなりの数の細菌または他の細胞もしくは微生物を貪食することができる。細菌分子がマクロファージ表面の受容体に結合することにより、「呼吸バースト」の発生を通してマクロファージが細菌を飲み込み破壊することが誘発され、活性酸素種の放出を引き起こす。また、病原体はマクロファージを刺激してケモカインを産生し、ケモカインは他の細胞を感染部位に動員する。炎症を促進するマクロファージはM1マクロファージと呼ばれ、炎症を減少させ組織修復を促進するマクロファージはM2マクロファージと呼ばれる。
【0119】
好中球は、他の2種類の細胞型(好酸球および好塩基球)とともに、その細胞質内における顆粒の存在のために顆粒球として、またはその特徴的な葉状核のために多形核細胞(PMN)として知られている。好中球顆粒は、細菌および真菌を死滅させ、またはその成長を阻害する種々の傷害性物質を含有する。マクロファージと同様に、好中球は呼吸バーストを活性化することにより病原体を攻撃する。好中球呼吸バーストの主な産物は、過酸化水素、遊離酸素ラジカル、および次亜塩素酸塩を含む、強力な酸化剤である。好中球は豊富であり、通常、感染部位に到達する最初の細胞である。
【0120】
樹状細胞(DC)は外部環境、主に皮膚(ランゲルハンス細胞と呼ばれることが多い)、ならびに鼻、肺、胃、および腸の粘膜内層に接触している組織に存在する食細胞である。それらは、ニューロンの樹状突起に似ていることにちなんで名付けられているが、樹状細胞は神経系に接続されていない。樹状細胞は、抗原提示のプロセスにおいて非常に重要であり、自然免疫系と適応免疫系との間のリンクとして働く。
【0121】
自然リンパ球(ILC)は、防御免疫ならびに恒常性および炎症の調節に重要な役割を果たす。ILCは、産生するサイトカインと、その発達および機能を調節する転写因子に基づいて分類される。グループI ILCは1型サイトカインを産生し、ナチュラルキラー細胞を含む。グループ2 ILCは2型サイトカインを産生し、グループ3 ILCはサイトカインIL-17AおよびIL-22を産生する。ナチュラルキラー細胞は、腫瘍細胞またはウイルス感染細胞のような易感染性宿主細胞を破壊する。それらは抗体の非存在下でストレスを受けた細胞を認識し、易感染性宿主細胞に迅速に反応することを可能にしうる。
【0122】
骨髄細胞は、自然免疫系で機能する細胞である。骨髄細胞は、非限定的に、単球、マクロファージ、好中球、好塩基球、好酸球、赤血球、樹状細胞、および巨核球または血小板を含む。リンパ系細胞は、T細胞、B細胞、およびナチュラルキラー細胞を含む。
【0123】
適応免疫系は適応免疫応答を生ずる。適応免疫応答は、その一般的な形態では、抗原断片(細胞表面に提示するためにMHC Iおよび/またはMHC IIに結合する抗原に由来する特定のアミノ酸配列)に関連する主要組織適合性(MHC)クラスIまたはクラスII分子を発現する抗原提示細胞(APC)との相互作用を通じたヘルパー(TH, CD4+)および細胞傷害性(CD8+) T細胞サブセットの感作から始まる。感作またはプライミングされたCD4+ T細胞は、B細胞およびさまざまなT細胞サブセットの活性化に関与するリンホカインを産生する。感作されたCD8+ T細胞は、リンホカインに応答して数が増加し、一致するMHCにコードされたクラスI分子に関連する特定の抗原断片を発現する任意の細胞を破壊しうる。したがって、がん性腫瘍の過程で、CTLはがん関連抗原またはがん特異的抗原を発現している細胞を根絶し、それによって腫瘍の広がりと疾患の発症の進行を制限する。
【0124】
「Bリンパ球」または「B細胞」は、白血球の一種である。B細胞は、抗体を分泌することにより、適応免疫系の体液性免疫成分で機能する。B細胞は2つの主要な機能を有する: それらはT細胞に抗原を提示し、さらに重要なことには、それらは感染性微生物を中和する抗体を産生する。抗体は病原体の表面を覆い、3つの主要な役割: 中和、オプソニン化、および補体活性化を果たす。
【0125】
中和は、病原体が抗体で覆われているために、宿主細胞に結合して感染することができない場合に起こる。オプソニン化では、抗体結合した病原体が好中球およびマクロファージのような免疫細胞に警告を発し、病原体を飲み込み消化するための危険信号として働く。補体は、細菌を直接破壊または溶解するためのプロセスである。
【0126】
抗体は2つの方法で発現される。B細胞の表面にあるB細胞受容体(BCR)は、実際には抗体である。B細胞はまた、拡散して病原体に結合する抗体を分泌する。最初の問題、例えば細菌は、独特のBCRにより認識され、B細胞を活性化するため、この二重発現は重要である。活性化されたB細胞は、本質的にBCRであるが可溶型の抗体を分泌することにより応答する。これにより、プロセス全体を開始した細菌に対して応答が特異的であることが確実とされる。
【0127】
あらゆる抗体は独特であるが、一般的なカテゴリーの分類: IgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEに入る。(Igは免疫グロブリンの省略であり、これは抗体に対する別の単語である。) それらは重複した役割を有するが、IgMは一般的に補体活性化に重要であり; IgDは好塩基球の活性化に関与しており; IgGは中和、オプソニン化、および補体活性化に重要であり; IgAは消化管での中和に不可欠であり; IgEは寄生反応およびアレルギー反応において肥満細胞を活性化するために必要である。
【0128】
記憶B細胞の活性化は、その親B細胞によって共有されるその標的抗原の検出および結合から始まる。ある種のウイルス特異的記憶B細胞のような一部の記憶B細胞はT細胞の助けなしに活性化されうるが、T細胞の助けを必要とするものもある。抗原結合により、記憶B細胞は受容体を介したエンドサイトーシスによって抗原を取り込み、それを分解し、それを細胞膜上のMHC-II分子と複合体化したペプチド片としてT細胞に提示する。同じ抗原で活性化されたT細胞に由来する記憶Tヘルパー(TH)細胞、典型的には記憶濾胞Tヘルパー(TFH)細胞は、そのTCRを通じてこれらのMHC-II-ペプチド複合体を認識かつ結合する。TCR-MHC-II-ペプチド結合および記憶TFH細胞からの他のシグナルのリレーに続いて、記憶B細胞が活性化され、卵胞外応答を介して形質芽細胞および形質細胞に分化するか、または胚細胞反応に入り、そこで形質細胞およびより多くの記憶B細胞を生じる。
【0129】
調節性B細胞(Breg)は、免疫調節および免疫応答の抑制に関与するB細胞の小集団に相当する。これらの細胞は、異なる機構によって免疫系を調節する。主な機構は、抗炎症性サイトカイン・インターロイキン10 (IL-10)の産生である。Bregの調節効果は、炎症、自己免疫疾患、移植反応のさまざまなモデルにおいて、および抗腫瘍免疫において記述されている。
【0130】
T細胞は種々の役割を有し、サブセットによって分類されている。T細胞は、どのタンパク質が細胞の表面に存在するかに基づいて2つの広いカテゴリー: CD8+ T細胞またはCD4+ T細胞に分類される。T細胞は、感染細胞の死滅化および他の免疫細胞の活性化または動員を含めて、複数の機能を実行する。
【0131】
CD8+ T細胞は、細胞傷害性T細胞または細胞傷害性リンパ球(CTL)とも呼ばれる。それらはウイルスに感染した細胞およびがん細胞を認識して除去するために不可欠である。CTLは、アポトーシス(プログラム細胞死)を引き起こす細胞毒を含有する特殊な区画または顆粒を有する。その効力のため、顆粒の放出は免疫系によって厳重に調節されている。
【0132】
4つの主要なCD4+ T細胞サブセットは、Th1、Th2、Th9、Th17、Tfh (T濾胞性ヘルパー)、およびTregであり、「Th」は「Tヘルパー細胞」を意味する。Th1細胞は、細胞内微生物、特に細菌に対する免疫応答を調整するために不可欠である。それらは、細菌を取り込むマクロファージのような他の免疫細胞を警告かつ活性化する分子を産生および分泌する。Th2細胞は、B細胞、顆粒球、および肥満細胞に警告を出すことにより、寄生蠕虫(寄生虫)のような細胞外病原体に対する免疫応答を調整するために重要である。Th17細胞は、免疫細胞および非免疫細胞を活性化するシグナル伝達分子であるインターロイキン17 (IL-17)を産生するその能力にちなんで名付けられている。Th17細胞は、好中球の動員に重要である。
【0133】
調節性T細胞(Treg)は、他のT細胞の活性を監視および阻害する。それらは有害な免疫活性化を抑止し、寛容性、または身体自体の細胞および抗原に対する免疫応答の抑止を維持する。1型調節性T (Tr1)細胞は、寛容性の促進および維持に極めて重要な役割を果たす調節性T細胞の誘導性サブセットである。Tr1細胞が免疫応答を制御する主な機構は、高レベルのIL-10の分泌、およびグランザイムBの放出による骨髄細胞の死滅化である。さらに、Th3 (TGF-β分泌)、iTreg (Treg細胞に変換した非胸腺Tconv)、およびiTR35 (IL-35がTconvをTreg細胞に変換した)が存在する。
【0134】
記憶T細胞は、抗原特異的T細胞のサブセットであり、初期T細胞応答後も長期間持続する。それらは、その同種抗原への再曝露により、すぐに多数のエフェクタT細胞に増殖して、免疫系に過去の抗原に対する「記憶」を提供する。本明細書において記述されるがんワクチンは、腫瘍特異抗原に対する「記憶」を免疫系に提供し、それにより、新たに出現したがん細胞または転移したがん細胞に対する強力な免疫応答を誘発する。
【0135】
リンパ球またはリンパ系細胞は、脊椎動物の適応免疫系における白血球である。リンパ球は、ナチュラルキラー細胞(NK細胞) (これは細胞性、細胞傷害性の自然免疫において機能する)、T細胞(細胞性、細胞傷害性適応免疫のため)、およびB細胞(体液性、抗体駆動型適応免疫のため)を含む。
【0136】
方法
本開示の操作されたMSC (または他の操作された免疫細胞)を培養する段階を含む方法も、本明細書において提供される。MSCを培養する方法は公知である。いくつかの態様において、MSCは増殖培地(例えば、MSCGMヒト間葉幹細胞増殖BULLETKIT(商標)培地(血清含有)、THERAPEAK(商標) MSCGM-CD(商標)間葉幹細胞既知組成培地(無血清)、またはRoosterBio xeno-free MSC培地)中で培養される。
【0137】
MSCにより産生される少なくとも1つのエフェクタ分子をインビボで産生するために本明細書において提供される操作されたMSCを対象(例えば、ヒト対象)に送達または投与する段階を含む方法が、本明細書においてさらに提供される。いくつかの態様において、MSCは、静脈内、腹腔内、気管内、皮下、腫瘍内、経口、肛門、鼻腔内(例えば、送達粒子中に詰められた)、または動脈(例えば、内頸動脈)経路を介して投与される。したがって、MSCは、全身的にまたは局所的に(例えば、TMEに)投与されうる。
【0138】
いくつかの方法は、腫瘍(またはがん)を有する対象(または患者集団)を選択する段階、および腫瘍媒介免疫抑制機構を調節する操作されたMSCでその対象を処置する段階を含む。
【0139】
本開示の操作されたMSCは、場合によっては、卵巣がんなどのがんを処置するために用いられうる。他のがんは本明細書において記述される。例えば、操作されたMSCは、膀胱腫瘍、脳腫瘍、乳房腫瘍、子宮頸部腫瘍、結腸直腸腫瘍、食道腫瘍、神経膠腫、腎臓腫瘍、肝臓腫瘍、肺腫瘍、黒色腫、卵巣腫瘍、膵臓腫瘍、前立腺腫瘍、皮膚腫瘍、甲状腺腫瘍、および/または子宮腫瘍を処置するために用いられうる。
【0140】
本明細書において提供される方法はまた、操作されたMSCなどの操作された細胞の調製物を送達する段階を含む。調製物は、いくつかの態様において、例えば、5%未満(例えば、4%、3%、2%、または1%未満)のMSC以外の細胞を含有する実質的に純粋な調製物である。調製物は、MSCなどの細胞を1×105個/kg~1×107個/kgで含みうる。
【0141】
さらなる態様
1. 対象における腫瘍の体積を低減させるのに有効な量で任意で製剤化されていてもよい、複数のエフェクタ分子を産生するように操作された間葉幹細胞であって、少なくとも2つのエフェクタ分子が、異なる腫瘍媒介免疫抑制機構を調節する、間葉幹細胞; または腫瘍媒介免疫抑制機構を調節する複数のエフェクタ分子を産生するように操作された間葉幹細胞を含む、組成物。

2. エフェクタ分子の少なくとも1つが腫瘍微小環境における免疫刺激機構を刺激し、および/または腫瘍微小環境における免疫抑制機構を阻害する、パラグラフ1の間葉幹細胞または組成物。

3. エフェクタ分子の少なくとも1つが、(a) T細胞シグナル伝達、活性、および/もしくは動員を刺激し、(b) 抗原提示および/もしくはプロセッシングを刺激し、(c) ナチュラルキラー細胞媒介細胞傷害性シグナル伝達、活性、および/もしくは動員を刺激し、(d) 樹状細胞分化および/もしくは成熟を刺激し、(e) 免疫細胞動員を刺激し、(f) 炎症性マクロファージシグナル伝達、活性、および/もしくは動員を刺激し、または抗炎症性マクロファージシグナル伝達、活性、および/もしくは動員を阻害し、(g) 間質分解を刺激し、(h) 免疫刺激性代謝産物の産生を刺激し、(i) I型インターフェロンシグナル伝達を刺激し、(j) 負の共刺激シグナル伝達を阻害し、(k) 抗腫瘍免疫細胞のアポトーシス促進シグナル伝達を阻害し、(l) T調節(Treg)細胞シグナル伝達、活性、および/もしくは動員を阻害し、(m) 腫瘍チェックポイント分子を阻害し、(n) インターフェロン遺伝子の刺激因子(STING)シグナル伝達を刺激し、(o) 骨髄由来サプレッサ細胞シグナル伝達、活性、および/もしくは動員を阻害し、(p) 免疫抑制因子/代謝産物を分解し、(q) 血管内皮成長因子シグナル伝達を阻害し、ならびに/あるいは(r) 腫瘍細胞を直接的に死滅させる、パラグラフ1の間葉幹細胞または組成物。

4. エフェクタ分子をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結されたプロモーターを含む操作された核酸を含む、パラグラフ1~3のいずれかの間葉幹細胞または組成物。

5. (a) 少なくとも2つのエフェクタ分子をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結されたプロモーターを含む操作された核酸; または(b) 各々が少なくとも1つのエフェクタ分子をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結されたプロモーターを含む少なくとも2つの操作された核酸を含む、パラグラフ1~4のいずれかの間葉幹細胞または組成物。

6. 腫瘍が、膀胱腫瘍、脳腫瘍、乳房腫瘍、子宮頸部腫瘍、結腸直腸腫瘍、食道腫瘍、神経膠腫、腎臓腫瘍、肝臓腫瘍、肺腫瘍、黒色腫、卵巣腫瘍、膵臓腫瘍、前立腺腫瘍、皮膚腫瘍、甲状腺腫瘍、および子宮腫瘍から選択される、パラグラフ1~5のいずれかの間葉幹細胞または組成物。

7. 間葉幹細胞または組成物によって産生されるエフェクタ分子の少なくとも1つが、サイトカイン、受容体/リガンド、抗体、ヌクレオチド、ペプチド、および酵素から選択される、パラグラフ1~6のいずれかの間葉幹細胞または組成物。

8. サイトカインが、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、リンホカイン、および腫瘍壊死因子から選択される、パラグラフ7の間葉幹細胞または組成物。

9. ケモカインが、MIP1a (CCL3)、MIP1b (CCL5)、CCL21、CXCL9、CXCL10、およびCXCL11から選択される、パラグラフ8の間葉幹細胞または組成物。

10. インターフェロンがIFN-βおよびIFN-γから選択される、パラグラフ8または9の間葉幹細胞または組成物。

11. インターロイキンが、IL-12、IFN-β、IFN-γ、IL-2、IL-15、IL-7、IL-36γ、IL-18、およびIL-1βから選択される、パラグラフ8~10のいずれかの間葉幹細胞または組成物。

12. 受容体/リガンドがOX40-リガンドおよびCD40Lから選択される、パラグラフ7~11のいずれかの間葉幹細胞または組成物。

13. 抗体がチェックポイント阻害剤および抗IL-35抗体から選択される、パラグラフ7~12のいずれかの間葉幹細胞または組成物。

14. チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、および抗CTLA-4抗体から選択される、パラグラフ13の間葉幹細胞または組成物。

15. ヌクレオチドがCpGオリゴデオキシヌクレオチドから選択される、パラグラフ7~14のいずれかの間葉幹細胞または組成物。

16. ペプチドが抗腫瘍ペプチドである、パラグラフ7~15のいずれかの間葉幹細胞または組成物。

17. 酵素が、間質を分解する酵素、免疫抑制代謝産物を分解する酵素、および免疫刺激代謝産物の産生を刺激する酵素から選択される、パラグラフ7~16のいずれかの間葉幹細胞または組成物。

18. エフェクタ分子の少なくとも1つがIFN-βであり、エフェクタ分子の少なくとも1つがサイトカイン、抗体、ケモカイン、ヌクレオチド、酵素、および腫瘍溶解性ウイルスから選択される、パラグラフ1~17のいずれかの間葉幹細胞または組成物。

19. エフェクタ分子の少なくとも1つが腫瘍微小環境における炎症経路を刺激し、および/またはエフェクタ分子の少なくとも1つが腫瘍微小環境における炎症の負の調節因子を阻害する、パラグラフ1~18のいずれかの間葉幹細胞または組成物。

20. 炎症経路が、TNF受容体スーパーファミリー経路、共通のγ鎖ファミリー経路、またはToll様受容体経路である、パラグラフ19の間葉幹細胞または組成物。

21. 炎症の負の調節因子が、Stat3、ブルトン型チロシンキナーゼ、c-kit、またはSOCS-1である、パラグラフ19または20の間葉幹細胞または組成物。

22. ホーミング分子を産生するように操作されている、パラグラフ1~21のいずれかの間葉幹細胞または組成物。

23. ホーミング分子が、CCR9、CXCR3、CXCR4、CCR2、CCR4、FPR2、VEGFR、IL6R、CXCR1、CSCR7、およびPDGFRから選択される、パラグラフ22の間葉幹細胞または組成物。

24. プロモーターが誘導性プロモーターである、パラグラフ4~23のいずれかの間葉幹細胞または組成物。

25. プロモーターが、CMVプロモーター、EF1aプロモーター、EFSプロモーター、MNDプロモーター、PGKプロモーター、SFFVプロモーター、SV40プロモーター、または UbCプロモーターである、パラグラフ4~23のいずれかの間葉幹細胞または組成物。

26. プロモーターが、転写因子結合ドメインを任意で含んでいてもよい合成プロモーターである、パラグラフ2~22のいずれかの間葉幹細胞または組成物。

27. プロモーターが局所腫瘍状態によって調節される、パラグラフ2~26のいずれかの間葉幹細胞または組成物。

28. 局所腫瘍状態が低酸素症である、パラグラフ27の間葉幹細胞または組成物。

29. 局所腫瘍状態が炎症である、パラグラフ27の間葉幹細胞または組成物。

30. 誘導性プロモーターがフロレチン調節可能制御要素(PEACE)または亜鉛フィンガーDNA結合ドメイン(DBD)を含む、パラグラフ25の間葉幹細胞または組成物。

31. 骨髄、脂肪組織、臍帯、または多能性幹細胞由来である、パラグラフ1~30のいずれかの間葉幹細胞または組成物。

32. IL-12およびCCL21を産生するように操作されている、パラグラフ1~31のいずれかの間葉幹細胞または組成物。

33. IFN-βおよび/またはIFN-γを産生するように操作されている、パラグラフ32の間葉幹細胞または組成物。

34. 抗CD40抗体および/または抗CTLA4抗体を産生するように操作されている、パラグラフ32または33の間葉幹細胞または組成物。

35. エフェクタ分子を産生するためにパラグラフ1~34のいずれかの間葉幹細胞を培養する段階を含む、方法。

36. 間葉幹細胞により産生される少なくとも1つのエフェクタ分子をインビボで産生するためにパラグラフ1~34のいずれかの間葉幹細胞または組成物を対象に送達する段階を含む、方法。

37. 少なくとも1つのエフェクタ分子が対象の腫瘍微小環境において産生される、パラグラフ36の方法。

38. がんと診断された対象にパラグラフ1~34のいずれかの間葉幹細胞または組成物を送達する段階を含む、がんを処置する方法。

39. がんが卵巣がんである、パラグラフ38の方法。

40. がんが乳がんである、パラグラフ38の方法。

41. がんが結腸がんである、パラグラフ38の方法。

42. 抗CD40抗体および/または抗CTLA4抗体を対象に投与する段階をさらに含む、パラグラフ36~41のいずれかの方法。

43. IL-12およびCCL21を産生するように操作された間葉幹細胞の調製物の治療的有効量を、乳房腫瘍を有する対象に送達する段階を含む、対象における乳がんを処置する方法。

44. 調製物が抗CD40抗体および/または抗CTLA4抗体をさらに含む、パラグラフ43の方法。

45. 抗CD40抗体および/または抗CTLA4抗体を対象に投与する段階をさらに含む、パラグラフ43の方法。

46. 調製物が、薬学的に許容される担体および/または薬学的に許容される賦形剤を含む、パラグラフ43~45のいずれかの方法。

47. 治療的有効量が乳房腫瘍の体積を少なくとも20%低減させる、パラグラフ43~46のいずれかの方法。

48. 対象に調製物を送達してから14日以内に、乳房腫瘍の体積が少なくとも20%低減される、パラグラフ47の方法。

49. 対象に調製物を送達してから7日以内に、乳房腫瘍の体積が少なくとも20%低減される、パラグラフ48の方法。

50. 治療的有効量が乳房腫瘍の体積を少なくとも50%低減させる、パラグラフ43~46のいずれかの方法。

51. 対象に調製物を送達してから14日以内に、乳房腫瘍の体積が少なくとも50%低減される、パラグラフ47の方法。

52. 対象に調製物を送達してから7日以内に、乳房腫瘍の体積が少なくとも50%低減される、パラグラフ48の方法。

53. IL-12およびCCL21を産生するように操作された間葉幹細胞の調製物の治療的有効量を、結腸腫瘍を有する対象に送達する段階を含む、対象における結腸がんを処置する方法。

54. 調製物が抗CD40抗体および/または抗CTLA4抗体をさらに含む、パラグラフ53の方法。

55. 抗CD40抗体および/または抗CTLA4抗体を対象に投与する段階をさらに含む、パラグラフ53の方法。

56. 調製物が、薬学的に許容される担体および/または薬学的に許容される賦形剤を含む、パラグラフ53~55のいずれかの方法。

57. 治療的有効量が結腸腫瘍の体積を少なくとも20%低減させる、パラグラフ53~56のいずれかの方法。

58. 対象に調製物を送達してから14日以内に、結腸腫瘍の体積が少なくとも20%低減される、パラグラフ57の方法。

59. 対象に調製物を送達してから7日以内に、結腸腫瘍の体積が少なくとも20%低減される、パラグラフ58の方法。

60. 治療的有効量が結腸腫瘍の体積を少なくとも50%低減させる、パラグラフ53~56のいずれかの方法。

61. 対象に調製物を送達してから14日以内に、結腸腫瘍の体積が少なくとも50%低減される、パラグラフ57の方法。

62. 対象に調製物を送達してから7日以内に、結腸腫瘍の体積が少なくとも50%低減される、パラグラフ58の方法。
【実施例0142】
実施例1
本実施例では、間葉幹細胞(MSC)を操作してヒト免疫療法(hIT)ペイロード(hMSC-hIT)を発現させ、マウスMSC (mMSC)を操作してマウス免疫療法(mIT)ペイロード(mMSC-mIT)を発現させることについて記述する。ヒトおよびマウス免疫調節遺伝子をコードするDNA (抗PD1抗体、抗CTLA4抗体、CCL21、IL2、IL12、IL15、および構成的に活性なSTING (インターフェロン遺伝子の刺激因子); Woo SR, et al. (2015) Trends Immunol 36(4):250-256)変異体)を合成し、発現ベクターにクローニングし、それらのそれぞれのマウスおよびヒトMSCに導入し、その発現を特徴付ける。免疫調節遺伝子をコードするDNAを次に、IFN-βと組み合わせてMSCで発現させる。
【0143】
方法:
異なる作用機構を有する免疫療法ペイロードをコードする遺伝子を合成する: 1) チェックポイント阻害剤、2) ケモカイン、3) サイトカイン、および4) STING (インターフェロン遺伝子の刺激因子)経路調節因子(Woo SR, et al. (2015) Trends Immunol 36(4):250-256)。チェックポイント阻害剤については、抗PD1抗体および抗CTLA4抗体を発現させる。ケモカインについては、樹状細胞、CD4+ T細胞、およびCD8+ T細胞の輸送を媒介することが知られているCCL21 (Dubinett SM, et al. (2010) Cancer J 16(4):325-335)を発現させる。サイトカインについては、IL2、IL12、およびIL15を発現させる。STING経路調節因子については、構成的に活性な細胞内STING変異体(Tang ED & Wang CY (2015) PLoS One 10(3):e0120090)を発現させる。マウス型およびヒト型の両方の免疫療法(それぞれmITおよびhIT)を用いる。試験されたさらなるエフェクタ分子は以下を含む: IL1ベータ、IFN-ガンマ、IL17、およびIL7 (Cieri N, et al. (2013) Blood 121(4):573-584)。
【0144】
これらの遺伝子をCMVプロモーターの下流にコード化して、高レベルの発現を達成する。図1に示されるように、GFPは、CMVプロモーターを有するエレクトロポレーションされたプラスミド(ヌクレオフェクション技術)を用いMSCにおいて高レベルで発現できる。これらのプラスミドをMSCにヌクレオフェクションする。ヒト骨髄由来MSC (hMSC)は商業的供給源から購入する。マウスMSC (mMSC)は大腿骨骨髄に由来する(Kidd S, et al. (2009) Stem Cells 27(10):2614-2623)。
【0145】
分泌された治療用ペイロードの発現を、ペイロードを認識する市販の抗体を用いたELISAまたはビーズに基づくマルチプレックスアッセイ法を使って確認する。あるいは、ペイロードをMycタグと融合し、標識に抗Myc抗体を使用する。構成的STING変異体の場合、IFN-ベータプロモーターからルシフェラーゼを発現するレポータープラスミドを用いて、活性化を確認する(Fitzgerald KA, et al. (2003) Nat Immunol 4(5):491-496)。ペイロードの機能試験も実行し、実施例2においてさらに詳細に記述する。
【0146】
次に、これらの免疫療法ペイロードを、IFN-ベータと組み合わせて発現させる。目標の1つは、卵巣がん細胞に対してIFN-ベータと相加的または相乗的な活性を有するエフェクタを同定することである。2つの戦略を用いて、MSCから組み合わせ免疫療法ペイロードを発現させる。(1) 上記のリストからのペイロードを発現するプラスミドおよびIFN-ベータをコードするプラスミドの2種類のプラスミドでMSCをヌクレオフェクションし、これらの遺伝子を発現する細胞の混合集団を得る。(2) 上記のリストからのペイロードとIFN-ベータの両方を共発現するプラスミドを、単一のベクター内で構築する。このアプローチのために3種類のアーキテクチャを用いる: (i) 2Aの「リボソームスキッピング」タグで区切られた、ペイロードとIFN-ベータを発現する単一のプロモーター(図2); (ii) 内部リボソーム侵入部位(IRES)で区切られた、ペイロードとIFN-ベータを発現する単一のプロモーター; および(iii) 2つのプロモーターを用いて、ペイロードとIFN-ベータの発現を独立して駆動する。ペイロードとIFN-ベータを発現する別個のプロモーターを用いる(例えば、SFFV、CMV、および/またはMNDプロモーター)。これらのプロモーターと終端配列のさまざまな組み合わせを評価して、両方のペイロードを発現する構成を同定する。
【0147】
これらの戦略を試験し、免疫療法ペイロードおよびIFN-ベータの発現レベルを評価する。MSCの生存も評価する。CMV、SFFV、およびMNDプロモーターは、MSCにおいて既に検証されている。
【0148】
プラスミドトランスフェクションおよびエレクトロポレーションの代用として、レンチウイルスベクターを用いて、ペイロード発現構築体をMSCに形質導入することができる。レンチウイルスベクターを用いて、MSCにおいてGFPを発現させることができる(データ示さず)。レンチウイルスにより操作されたMSCは、今後の臨床試験のための移行に関して実行可能であり、それに向けて準備されなければならない(Deng P, et al. (2016) Neural Regen Res 11(5):702-705; Beegle JR, et al. (2016) Mol Ther Methods Clin Dev 3:16053)。いくつかの態様において、発現構築体は、トランスポゾンを用いてMSCに導入され、PhiC31を用いてゲノム偽部位(genomic pseudosite)に、または亜鉛フィンガー(ZF)、クラスタ化されて規則的に間隔があいた短い回文構造の繰り返し(CRISPR)、もしくは転写活性化因子様エフェクタヌクレアーゼ(TALEN)のようなヌクレアーゼを用いて組み込まれうる。
【0149】
組み合わせ免疫療法の発現のために実行できるさらなる戦略は、ペイロードごとに1つのプラスミドを構築し、各プラスミドをMSC集団に独立してヌクレオフェクションし、得られた細胞集団を混合することである。あるいは、ペイロードをレンチウイルスにコード化し、複数のレンチウイルスをMSCにゲノム的に組み込むことができる。
【0150】
実施例2
本実施例では、個別および組み合わせの免疫療法ペイロードを備えたMSCのインビトロでの特性評価について記述する。がん細胞に対する免疫療法発現性MSCの直接的な抗がん効果を最初に測定する。次に、免疫療法発現性MSCが初代免疫細胞(T細胞に焦点を合わせている)とがん細胞との共培養に及ぼす効果を測定する。免疫療法発現性MSCの免疫刺激特性を、マウスとヒトの両方の細胞系における炎症性バイオマーカーパネルに基づいてランク付けする。がん細胞の死滅化を単独でまたはT細胞と一緒に著しく増強する免疫療法発現性MSCを特定し、インビボ試験に進むための上位候補を選択する。
【0151】
方法:
実施例1からの免疫療法発現性MSCを、がん療法に関連するインビトロモデルを用いその機能的効果について評価する。ヒト卵巣がん細胞(例えば、OVCAR8およびSKOV3)ならびに循環血中PBMCから単離されたヒト免疫細胞を用いて、hITを発現するhMSCを試験する。マウス卵巣がん細胞(例えば、ID8)およびマウス免疫細胞を用いて、mITを発現するmMSCを試験する。
【0152】
チェックポイント阻害剤
細胞結合アッセイ法を用いて、発現された抗体の活性を検証する。抗体の標的であるCTLA4およびPD1は両方とも、T細胞を負に調節するが、T細胞活性化のさまざまな段階で上方制御される(Boutros C, et al. (2016) Nat Rev Clin Oncol 13(8):473-486; Valsecchi ME (2015) New Engl J Med 373(13):1270-1270)。CTLA4はプライミング段階において短時間上方制御されるが、PD1はT細胞活性化のエフェクタ段階において一貫して発現される(Pardoll DM (2012) Nat Rev Cancer 12(4):252-264; Legat A, et al. (2013) Front Immunol 4:455)。抗CTLA4抗体はT細胞表面のCTLA4に結合し、CTLA4が初期段階でT細胞活性化を遮断するのをブロックし、ヒト抗PD1抗体はPD1に結合し、腫瘍細胞がT細胞活性を阻害するのを防ぐ。
【0153】
EASYSEP(商標)磁気ビーズ(STEMCELL Technologies)を用いたネガティブ選択により、T細胞をPBMCから単離する。単離されたT細胞をHuman T-Activator CD3/28 Dynabeads (Thermo Fisher)によって活性化し、CTLA-4およびPD-1の発現を5日間にわたりモニターして、各表面マーカーの発現の最適なタイミングを選択する。適切な日に、CTLA-4またはPD-1に対する抗体を発現するMSCからの馴化培地、または非発現性MSCからの対照馴化培地を活性化T細胞に適用して、これらの抗体の直接的な細胞表面受容体結合を検証する。フローサイトメトリーとともに蛍光色素標識二次検出抗体によって、結合が確認されるはずである。
【0154】
ケモカイン
細胞遊走アッセイ法およびCCL21走化性に応答するケモカイン受容体CCR7を発現する単離されたナイーブT細胞を用いて、CCL21ケモカインの機能性を確認する。具体的には、CCL21発現MSCまたは対照MSCをトランスウェルの1区画に添加し、その後、他の区画からの単離ナイーブT細胞によって細胞遊走を評価し、引き続いて遊走したT細胞の数を列挙する(Justus CR, et al. (2014) J Vis Exp (88))。
【0155】
サイトカイン
IL2、IL12、およびIL15の活性を測定する。IL2、IL12、およびIL15に特異的なELISAアッセイ法を用いて、MSC上清中のこれらのサイトカインのレベルを検出する。機能的生物活性アッセイ法では、CTLL-2細胞株を利用してIL2またはIL15を介した増殖を評価し、NKG細胞株を利用してMSC上清によるIL12を介したIFN-ガンマ産生を評価する。LUMINEX(登録商標)技術を用いた多重サイトカインプロファイリングアッセイ法を使って、サイトカイン発現および免疫細胞に及ぼす効果を評価してもよい。
【0156】
STING経路
STING経路の活性化を、構成的STING変異体ペイロードで測定する。LUMINEX(登録商標)ビーズを用いて、STING変異体の発現を伴うI型インターフェロン(例えばIFN-アルファ2およびIFN-ベータ)の分泌をMSCにおいてプロファイルする。
【0157】
卵巣がん細胞に及ぼす免疫療法発現性MSCの直接的な効果
卵巣がん細胞の成長および生存性に及ぼすMSCのいずれかの直接的な効果を、インビトロにおいて試験する。例えば、mMSCまたはhMSC候補を、マウス卵巣がん細胞株(ID8)またはヒト卵巣がん細胞株(OVCAR8およびSKOV3)と共培養し、がん細胞傷害性を、十分に特徴付けられた乳酸脱水素酵素(LDH)アッセイ法によって測定する。24時間の共培養後、上清を回収し、プレートリーダーでの特定の吸光度によって後に定量化される酵素反応を介して細胞死に関連するLDHレベルを測定する。さらに、トリパンブルー排除によって生細胞 vs 死細胞を、ならびにアネキシン-Vおよびヨウ化プロピジウム染色を用いたフローサイトメトリー測定により生細胞 vs アポトーシス/死細胞をカウントすることにより、がん細胞数を評価する。
【0158】
T細胞および卵巣がん細胞の共培養系に及ぼす免疫療法発現性MSCの効果
試験により、免疫療法発現性MSCがT細胞のような免疫細胞を刺激して、インビトロで卵巣がん細胞に対する改善された抗がん活性を有しうるかどうかを判定する。具体的には、mMSC-mIT候補をマウス脾細胞およびID8がん細胞株と共培養し、またはhMSC-hIT候補をヒトPBMCおよびOVCAR8またはSKOV3細胞株と共培養する。共培養アッセイ法では、MSC有りでまたは無しで、卵巣がん細胞とともにPBMC/脾細胞を使用し、抗CD3/28ビーズで刺激することを伴う。がん細胞死を評価するため、LDH細胞傷害性測定のような技法の使用、色素標識卵巣がん細胞と非標識エフェクタPBMC/脾細胞との一定の比率での組み合わせ、フローサイトメトリーによる死滅化のアッセイ(Jedema I, et al. (2004) Blood 103(7):2677-2682)、およびアネキシン-Vとヨウ化プロピジウムとを用いたフローサイトメトリーによるアポトーシスの読み出しにより16時間の死滅化アッセイ法を実施する。T細胞の活性化/増殖は、3~5日でのCFSE細胞分裂および1~3日でのIFN-ガンマのサイトカイン産生による特異的なアッセイである。
【0159】
CTLA-4およびPD1を発現するT細胞を作製する代替戦略は、フィトヘマグルチニン(PHA)で活性化して細胞表面受容体PD1およびCTLA4を発現させることである。3日目に、活性化T細胞のおよそ99%がPD1を発現するはずであり、それらのおよそ15%がCTLA4を発現するはずである(Pardoll DM (2012) Nat Rev Cancer 12(4):252-264; Legat A, et al. (2013) Front Immunol 4:455)。10日目に、CTLA4発現が下方制御されているがPD1発現が維持されている場合、活性化T細胞はエフェクタ段階にあるはずである。これらの抗体の直接的な細胞表面受容体結合を評価する。誘導後3日目および10日目に、各チェックポイント阻害剤抗体発現構築体を有するMSCを、T細胞培養に適用する。標識された検出抗体をフローサイトメトリーとともに用いて、結合を確認する。市販の抗体を対照として用いる。
【0160】
実施例3
本実施例では、同系卵巣がんモデルにおいて免疫療法ペイロードを発現するMSCのインビボでの特性評価について記述する。免疫療法発現性MSCの抗腫瘍効力は、卵巣がんの同系マウスモデル(マウス免疫系を有するmMSC-mIT)を用いて特徴付けられる。同系卵巣マウスモデルにおいて操作されたMSCの腫瘍ホーミングならびに個々のおよび組み合わせでの免疫療法の発現を測定する。操作されたMSC処置での卵巣腫瘍負荷およびマウス生存性も測定する。本実施例では、卵巣腫瘍 vs 他の身体部位での操作されたMSCのTMEへの選択的ホーミングおよび免疫療法因子の局所的産生が実証されるはずである。本実施例では、免疫療法発現性の操作されたMSCによる腫瘍負荷の有意な低減およびマウス生存性の延長も実証されるはずである。
【0161】
方法:
マウス卵巣上皮表面細胞(MOSE)の自発的形質転換に由来するマウスID8細胞株を用いて同系卵巣腫瘍モデルを作製する(Roby KF, et al. (2000) Carcinogenesis 21(4):585-591)。ID8細胞株にウミシイタケ(Renilla)ルシフェラーゼ(rLuc)を発現するレンチウイルスを感染させ、ホタル(Firefly)ルシフェラーゼ(ffLuc)を発現するMSCに無関係なインビボ生物発光画像化を可能にする。成功裏のrLuc発現は、マウスでの同系卵巣がんモデルを樹立する前にインビトロにおいてID8で確認される。同系モデルの場合、6~8週齢の間に5×105個のID8細胞をC57BL/6マウスの腹腔に注入する(36, 54)。MSCを、ffLuc発現プラスミドとともに、実施例1のプラスミドを発現するペイロードでヌクレオフェクションする。
【0162】
mMSC-mIT候補を25日間(腫瘍細胞注射後)に開始して同系マウスモデルに5週間、週1回、動物あたり106個のMSCの用量で導入する(Dembinski JL, et al. (2013) Cytotherapy 15(1):20-32)。卵巣腫瘍負荷およびmMSC-mIT候補はそれぞれ、rLucおよびffLuc生物発光画像化、ならびに最終時点後の組織学的分析により経時的に視覚化される。マウスは、体重減少、被毛の乱れ、姿勢不良、腹部膨張、および黄疸のような、苦痛の兆候を発したら安楽死させる。マウスの生存曲線を測定する。腫瘍細胞の遠位への転移は、生物発光画像化(BLI)によりおよび安楽死時の検死により定量化される。免疫系のプロファイリングおよび活性は、治療に対する応答のバイオマーカーとして、さまざまな時点で測定される。
【0163】
MSCの予想される抗腫瘍効果の可変性を評価するために、モデルを樹立するために用いられるID8細胞の用量を変化させ(例えば、細胞数を5×106個に増やす)、使用されるMSCの用量を変更し、 腫瘍樹立後にMSCが送達される時間を調節する。
【0164】
マウスモデルではmMSCが卵巣腫瘍にホーミングすることが示されているが、一部のペイロードはこのホーミング活性を妨害する可能性がある。これらの場合には、これらのペイロードの発現は、誘導性であるように操作されうる。これは、例えば、フロレチン誘導系で達成することができる(Gitzinger M, et al. (2009) Proc Natl Acad Sci U S A 106(26):10638-10643)。あるいは、Dimerizer系を用いて、合成亜鉛フィンガーDNA結合ドメインとトランス活性化因子ドメインとを小分子により結び付けてもよい(Clackson T, et al. (1998) Proc Natl Acad Sci U S A 95(18):10437-10442)。あるいはまたはさらに、低O2のようなシグナルに基づいて腫瘍微小環境で誘発される誘導性ペイロード発現構築体が構築されてもよい。
【0165】
レンチウイルスffLuc構築体を用いて、MSCに感染させてもよい。
【0166】
実施例4
本実施例では、ヒト免疫細胞を有するマウスでのヒト卵巣がんの異種移植モデルにおいて免疫療法ペイロードを発現するMSCの効力のインビボでの特性評価について記述する。CD34+細胞移植を介してヒト免疫細胞が移植された免疫不全マウスのヒト卵巣がんモデルにおける操作されたMSC (ヒト化免疫系を備えたhMSC-hIT)の活性を試験する。操作されたMSCのホーミングならびにヒト免疫細胞を有するマウスのヒト異種移植卵巣腫瘍における個々のおよび組み合わせでの免疫療法の発現を測定する。操作されたMSC処置での卵巣腫瘍負荷およびマウス生存性も測定する。本実施例では、マウスでのヒト異種移植卵巣腫瘍 vs 他の身体部位への操作されたMSCのホーミングの上昇および免疫療法因子の局所的産生が実証されるはずである。本実施例では、免疫系組成の変化と相関して免疫療法発現性の操作されたMSCによる腫瘍負荷の有意な低減およびマウス生存性の延長も実証されるはずである。
【0167】
方法
操作されたMSCのヒト臨床試験への移行を可能にするため、ヒトがんのヒト化マウスモデルにおいてhMSC-hIT構築体を試験する。マウスにおける免疫療法発現性hMSCの効果は、CD34+造血幹細胞(HSC)が移植された免疫不全マウス(NSG)におけるヒト卵巣がん細胞株の異種移植片を用いることによりモデル化される。
【0168】
ヒト卵巣がん細胞として、OVCAR8およびSKOV3細胞株を用いる。実施例3に記述されているのと同様のアッセイ法を用いて、経時的な腫瘍負荷およびマウス生存性を調べる。
【0169】
2つの代替的手法が用いられてもよい。(1) ヒトT細胞をマウスに注入することができる。(2) ヒトPBMCをマウスに注入することができる。
【0170】
発現ベクター: pL+MCS
【0171】
実施例5. 4T1三重陰性乳がん
以下の実験では、MSCを操作して以下のエフェクタ分子の1つを発現させ、その後、単独でまたは組み合わせで、同所性乳がんマウスモデルに投与した: IFNβ、IFNγ、IL12、IL15、IL36γ、IL7、TRAIL、cGAS、CCL21a、OX40L、CD40L、またはHACv-PD1。いくつかの例では、チェックポイント阻害剤(抗CD40抗体、抗PD1抗体、または抗CTLA-4抗体)を、操作されたMSCでの投与と組み合わせて注射した。
【0172】
MSCホーミング
以下の実験では、ネズミMSCが乳がんの同所性マウスモデルにおいて腫瘍にホーミングすることを実証する。ルシフェラーゼ発現4T1乳房腫瘍細胞(5×105)を、雌性BALB/cJマウスの背部脂肪体に同所移植した。5日後、マウスに100万個の蛍光標識(XenoLight DiR (Caliper Life Sciences)による)ネズミBM由来MSC (BM-MSC, 治療用細胞)を腹腔内注射した。MSC注入後1日および7日の時点で、Ami HTライブ動物イメージャ(Spectral Instruments)を用いてMSC局在化を判定するために蛍光分析を使用した。7日目に、Ami HTイメージャを用いて4T1細胞のルシフェラーゼ生物発光レポーターにより腫瘍の局在およびサイズを判定した。図3に示されるように、注射されたMSCは腫瘍部位に共局在化し、これらの細胞が実際に4T1乳房腫瘍の部位にインビボで特異的にホーミングすることを示している。注射されたMSCは1日以内に腫瘍にホーミングし、7日を超えて存続する。対照的に、注射されたMSCは、正常マウスにおいて腫瘍の非存在下では背部にホーミングしない。これらの結果は、抗がん分子、タンパク質、または化合物の送達媒体としてMSCを使用できることを示唆している。
【0173】
操作されたヒトMSCがマウス腫瘍にホーミングできるかどうかを判定するために、GFP、IL2、またはCCL21aのいずれかを発現する操作されたヒトMSCの異なる系統を、4T1腫瘍を有するBALB/cマウスに注射した。効力を、1日おきにキャリパ測定から腫瘍体積によって判定した。図11A~11Bは、ヒトMSCがマウス4T1腫瘍にホーミングしないことを示している。
【0174】
インビボ効力
以下の実験は、乳がんの同所性モデルにおいて免疫療法エフェクタ(ペイロード)を発現するMSCのインビボでの効力を実証する。4T1-Neo-Flucマウス乳房腫瘍細胞(Imanis Life Sciences, 細胞5×105個)を、雌性BALB/cJマウス(The Jackson Laboratory)の背部脂肪体に同所移植した。次に、腫瘍移植の5日後にマウスを処置群に無作為化した。マウスは、対照MSC成長培地または異なる免疫療法エフェクタ(ペイロード)を発現する操作されたMSC (細胞2×106個)の腹腔内注射を週1回、2週間受けた。各免疫療法は異なるMSCにより表され、組み合わせ処置のためにMSCを組み合わせた(1:1の比率)。腫瘍の成長をキャリパ測定により1日おきにモニターし、マウスの体重を週2回記録した。最初のMSC処置の14日後にマウスを安楽死させ、さらなる分析のために組織を収集した。
【0175】
図4は、培地で処置した対照と比較して、組み合わせ遺伝子IL-12およびCCL21aを発現した、操作されたMSCで処置したマウスにおいて、腫瘍成長が遅延されたことを示す。
【0176】
図5A~5Cは、単一の免疫療法エフェクタ(例えば、IFN-β、IFN-γ、IL-12、またはCCL21a)を発現する操作されたMSCが、培地で処置したマウスと比較して同系4T1マウス腫瘍の成長を阻害したことを示す。驚くべきことに、免疫療法エフェクタを組み合わせた場合、特に、IL-12およびCCL21aの組み合わせ、ならびにIFN-β、IFN-γ、IL-12、およびCCL21aの組み合わせで、腫瘍成長に及ぼす相乗効果が観察された(図5A~5C)。
【0177】
図6A~6Bは、OX40L、TRAIL、IL15、cGAS、またはそれらの組み合わせを発現する操作されたMSCが腫瘍成長を阻害しないことを示す。
【0178】
図7A~7Bは、IL-12およびCCL21aを発現する操作されたMSCが腫瘍成長を阻害するが、抗CD40抗体の添加は腫瘍成長を低減しないことを示す。
【0179】
図8A~8Bは、OX40L、TRAIL、IL15、HACvPD-1、またはそれらの組み合わせを発現する操作されたMSCが腫瘍成長を有意に阻害しないことを示す。
【0180】
図9A~9Bは、IL-12およびCCL21aを発現する操作されたMSCが腫瘍成長を阻害するが、CCL21a、IL-36ガンマ、およびIL-7を発現するMSCの組み合わせは腫瘍成長を低減しないことを示す。しかしながら、試験したエフェクタの組み合わせのいくつかは、毒性を引き起こしうる。
【0181】
用量漸増および毒性
GFP群で上記の実験のいくつかにおいて毒性が観察されたため、用量漸増試験を行って根底にある毒性原因を判定した。本実験により、操作されたMSC細胞発現GFPは毒性を誘発せず(図10A~10B)、MSC懸濁培地が毒性の主な原因でありうることが分かった。
【0182】
大きな腫瘍に及ぼす効果
本実験では、IL12およびCCL21aを発現する操作されたマウスMSCが、腫瘍負荷を、より大きな腫瘍(800 mm3超)から低減できるかどうかを試験した。より大きな腫瘍は小さな腫瘍よりも処置することがいっそう困難であり、本実験はこのエフェクタの組み合わせが腫瘍拡大を低減できることを実証している(図12A~12B)。
【0183】
チェックポイント阻害剤
図13Aは、IL-12およびCCL21を発現する操作されたMSCが、腫瘍成長を阻害するのに十分であり、注射によるチェックポイント阻害剤(抗PD-1抗体または抗CTLA-4抗体)の添加が効力を増加させなかったことを示す。
【0184】
実施例6. CT26結腸直腸がん
以下の実験では、MSCを操作して以下のエフェクタ分子の1つを発現させ、その後、単独でまたは組み合わせで結腸直腸がんマウスモデルに投与した: IFNβ、IL12、IL15、IL36γ、IL7、CCL21a、HACv-PD1、または41BB。いくつかの例では、チェックポイント阻害剤(抗CD40抗体または抗CTLA-4抗体)を、操作されたMSCとの投与と組み合わせて注射した。
【0185】
図14は、IL-12およびCCL21aを発現する操作されたMSCが有意な腫瘍成長遅延を誘導したことを示す。
【0186】
図15は、操作されたMSC細胞を投与するための最適な時間を判定するためのCT26マウスモデルにおける腫瘍成長動態を示す。
【0187】
インビボ効力
以下の実験は、結腸(結腸直腸)がんの皮下マウスモデルで免疫療法エフェクタ(ペイロード)を発現するMSCのインビボでの効力を実証する。CT26-Neo-Flucマウス結腸がん細胞(Imanis Life Sciences, 5×105個)を雌性BALB/cJマウス(The Jackson Laboratory)の脇腹に皮下注射した。腫瘍移植の7日後に、マウスを次いで以下の処置群に無作為化した: 対照MSC成長培地、操作されたMSC (MSC-12+CCL21a)、抗CD40抗体、抗CTLA4抗体(Bio X細胞)、抗CD40抗体と組み合わせたMSC-12+CCL21a、または抗CTLA4抗体と組み合わせたMSC-12+CCL21a。操作されたMSC (細胞2×106個)を2週間、週1回(0日目および7日目)腹腔内(ip)注射した。抗CD40抗体を0日目および3日目にip (100μg)注射した。抗CTLA4抗体を0日目、3日目、および7日目にip (100μg)注射した。腫瘍の成長をキャリパ測定により1日おきにモニターし、マウスの体重を週2回記録した。最初のMSC処置の11日後にマウスを安楽死させ、腫瘍を収集および秤量した。各処置群における個々のマウスの腫瘍重量を測定し、結果を図16B (左グラフ)の左下に示す。各処置群の平均腫瘍体積を経時的にモニターした(図16B, 右グラフ)。処置群2 (IL-12+CCL21a+抗CTLA4抗体)、4 (IL-12+CCL21a)、および7 (IL-12+CCL21a+抗CD40抗体)は、GFP処置マウスと比較してCT26結腸腫瘍の平均成長を阻害した(図16B, 右グラフ)。各処置群における個々のマウスの腫瘍体積を経時的に測定した場合、同様の結果が観察された(図16A)。したがって、免疫療法を発現するMSCによる組み合わせ処置は、インビボでの結腸がん細胞の成長を阻害した。
【0188】
図18Aは、IL-12、CCL21a、およびIL15またはHACvPD-1のいずれかを発現する操作されたMSCが、マウスモデル結腸直腸がんにおいて腫瘍成長を著しく阻害することを示す。図18Bは、各処置における個々のマウスの腫瘍重量を示す。図18Cは、腫瘍微小環境内の浸潤免疫集団の代表的なグラフである。図18Dは、総CD3集団中の調節性T細胞(Treg)の割合を示す。操作されたMSC-IL2およびCCL21aで処理された腫瘍微小環境では、Treg数の大幅な減少が認められた。図18Eは、免疫浸潤の割合を腫瘍重量と相関させている。リンパ球(CD3+)の増加を伴うサンプルは低い腫瘍重量と相関することが分かったが、高い骨髄(CD11b+)浸潤を伴うサンプルは、より高い腫瘍負荷と相関していた。
【0189】
長期生存
注射された抗CD40抗体と組み合わせて、異なる濃度の操作されたMSC-IL12およびCCL21a療法をマウスに2回施与した。2回目の施与後、腫瘍負荷が1500 mm3を超えるまで週2回腫瘍体積をモニターし、マウスを殺処理した。図17Aは、個々の群の腫瘍体積を示す。図17Bの左グラフは、個々の群からのマウス体重および腫瘍体積を経時的に追跡している。図17Bの右グラフは、異なる群の生存プロットを示す。
【0190】
MHCホーミング
以下の本実験は、ネズミMSCが結腸がんのマウスモデルにおいて腫瘍にホーミングすることを実証する。簡単な実験プロトコルが図19の左上セクションに提供されている。ルシフェラーゼ発現CT26結腸がん腫瘍細胞(5×105個)を、雌性BALB/cJマウスの右大腿に皮下移植した。4日後、Ami HTライブ動物イメージャ(Spectral Instruments)を用いてCT26細胞のルシフェラーゼレポーターにより腫瘍の局在およびサイズを判定した(図19, 左下パネル, ルシフェラーゼシグナル(腫瘍特異的))。腫瘍移植後5日の時点で、XenoLight DiR (Caliper Life Sciences)で蛍光標識された200万個のマウスBM-MSCを、腹腔内注射により腫瘍担持マウス(腫瘍+)に移植した。MSC注射後1日目および3日目の時点で、XenoLight DiR蛍光標識MSCの局在をAmi HTイメージャを用いて判定した(図19, 右パネル, DiRシグナル(MSC特異的))。注射されたMSCはCT26結腸腫瘍の部位に共局在化した(図19, 左下パネルにおけるMSC注射前のマウスでの腫瘍特異的ルシフェラーゼシグナルの局在と、右側の注射後1日目および3日目の腫瘍+マウスでのMSC特異的DiRシグナルを比較している)。それゆえ、MSCはインビボでCT26結腸腫瘍の部位に特異的にホーミングし、これらの結果は、MSCを抗がん分子、タンパク質、または化合物の送達媒体として使用できることを示す。
【0191】
図20Aは、操作されたヒトMSCがマウスCT26腫瘍にホーミングしないことを示す。図20Bは、各処置における個々のマウスの腫瘍重量を示す。効力を1日おきにキャリパ測定から腫瘍体積によって判定した。
【0192】
腫瘍成長動態
図21A~21Bは、腹腔内空間におけるCT26-LUC (ルシフェラーゼ)腫瘍成長の動態を示す。CT26細胞株を0日目に注射し、3匹のマウスを7日目、10日目、14日目、および18日目に収集して、腫瘍成長の動態を判定した。図21Aの第一列では、腫瘍負荷をモニターするために、IVISイメージャでマウスの体重およびROIを測定している。第二列では、各群における個々のマウスの腫瘍重量および腫瘍ROIをモニターしている。第三列では、腫瘍重量を全身ROIまたは腫瘍ROIと相関させている。図21Bは、腫瘍微小環境をさらによく理解するための18日目の群における3匹のマウスの免疫プロファイルを示す。
【0193】
腫瘍浸潤統計/免疫割合/腫瘍重量
皮下マウスモデル
図22Aは、IL-12およびCCL21aを発現する操作されたMSCが結腸直腸がんの皮下マウスモデルにおける腫瘍成長を阻害するが、CCL21aおよびIL-36ガンマまたはIL-7を発現するMSCの組み合わせは腫瘍成長を低減しないことを示すデータを含む。図23A~23Bは、腫瘍免疫浸潤の統計を含む。PBS、ナイーブMSC、およびMSC-IL12+MSC-CCL21a (コンボ)群から3匹のマウスを選択し、フローサイトメトリーを実行して腫瘍微小環境の免疫プロファイルを調べた。図23Aは、ナイーブMSCを投与した群と比較して、コンボ群における浸潤性CD3およびCD8細胞傷害性T集団の有意な増加を示す。図23Bは、ナイーブMSCで処置した群と比較してコンボ群での顆粒球性骨髄由来サプレッサ細胞(gMDSC)およびマクロファージ集団の有意な低減を示す。
【0194】
図24A~24Bは、免疫割合および腫瘍重量に関するデータを含み、より多くのCD3+およびCD8+ T細胞を有するサンプル(左上および中央のグラフ)が腫瘍重量の減少と強く相関することを示している。これらの図はまた、マクロファージ、樹状細胞、およびMDSCを含めて、より少ないCD11b骨髄細胞を有するサンプルが、より低い腫瘍負荷を呈することを示す(図24Aの下中央および右グラフならびに図24Bの上列)。
【0195】
同所性マウスモデル
図26Aは、IL-12およびCCL21aまたはCCL21aおよびIFN-βを発現する操作されたMSCが結腸直腸がんの同所性マウスモデルにおいて腫瘍成長を阻害するが、CCL21aおよびs41BBLを発現するMSCの組み合わせでは腫瘍成長が低減されないことを示す。各エフェクタは異なるMSCにより発現され、組み合わせ処置のためにMSCを組み合わせた(1:1の比率)。各チャートは、マウス(n = 6~8)での4T1乳房腫瘍の成長に及ぼす表示された免疫療法を単独でまたは組み合わせで発現する操作されたMSCの効果を示す。図26Aの各線は個々のマウスを表す。図26Bは、各処置における個々のマウスの腫瘍重量を示す。MSC-IL12 + MSC-CCL21aは、ナイーブMSCを注射したマウスと比較して最良の効力を示す。処置効力がまた、MSC-IFNb + MSC-CCL21aで処置された群において観察された。
【0196】
図27A~27Bは、表示の操作されたMSCで処置された各群の免疫プロファイルを示すグラフである。MSC-IL12 + MSC-CCL21aで処理した後に、マクロファージ集団の一貫した減少が観察された(図27A)。ナイーブMSCに対してMSC-IL12 + MSC-CCL21aで処置した群と比較した場合、CD3+集団の浸潤の増加およびCD11b+集団の浸潤の減少の一般的な傾向も観察された(図27Aおよび図27B)。
【0197】
図28A~28Bは、免疫浸潤と腫瘍重量との相関関係を示す。少ないマクロファージおよび樹状細胞を有するサンプルは、いっそう低い腫瘍負荷を有する(図28B, 中央上および右上)。図28Cは、各群の平均腫瘍重量を示す。統計的有意性がナイーブMSCと比較して、MSC-IL12 + MSC-CCL21a、またはMSC-IFNb + MSC-CCL21aの両方で観察された。
【0198】
図29は、上記の結腸直腸がんモデルからのインビボデータ(図22Aおよび図26A)を組み合わせたグラフを示す。図22Aおよび図26Aから組み合わされたCT26データにより、3つの群が捕捉されている: 腫瘍のみ(PBS)の群、ナイーブMSCで処理された群、およびMSC-IL12 + MSC-CCL21aで処理された群。
【0199】
図30A~30Cはまた、図22Aおよび図26Aから組み合わされたデータを示す。グラフは、フローサイトメトリー実験データからの免疫浸潤の平均数を示す。統計的有意性が図30AからのCD8+ Tにおいて観察され、MSC-IL12 + MSC-CCL21aが腫瘍微小環境を再分極し、より多くの細胞傷害性T細胞浸潤を可能にする能力を実証している。さらに、MSC-IL12 + MSC-CCL21aによって処置された群では、CD11b+骨髄細胞集団の浸潤の低減が認められた(図30B)。樹状細胞およびマクロファージ集団を用いて収集されたデータは、統計的に有意であった。
【0200】
結腸直腸がんの腹腔内および皮下マウスモデルにおけるIL12およびCCL21a療法
図25A~25Bは、腹腔内および皮下結腸直腸がんマウスモデルにおけるMSC-IL-12+CCL21a療法のデータを含む。レンチウイルス形質導入系統の3つの異なるロットをMSC-IL12およびCCL21aについて試験した(TLOO8-3/4、TL019-01/02、およびTL022-01/02; 各TL番号は1ロットを表す)。図25Aは、MSC-IL12 + MSC-CCL21aの全3ロットが、皮下および腹腔内モデルの両方で腫瘍負荷を低減できることを示す(最初の5つのグラフはSCモデルからのものであり、最後の3つはIPモデルからのものである)。全てのマウスからの腫瘍を11日目に収集した。図25Bは、各群からの平均腫瘍重量を示す。
【0201】
参考文献:
【0202】
本明細書において開示される全ての参考文献、特許、および特許出願は、それぞれが引用される主題に関して参照により組み入れられ、場合によっては文書全体を包含しうる。
【0203】
本明細書および特許請求の範囲において本明細書で用いられる不定冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、明確に反対の指示がない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0204】
また、明確に反対の指示がない限り、2つ以上の段階または行為を含む本明細書において主張される任意の方法において、方法の段階または行為の順序は、方法の段階または行為が列挙されている順序に必ずしも限定されないことも理解されるべきである。
【0205】
特許請求の範囲において、および上記の本明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「持つ(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「関与する(involving)」、「保持する(holding)」、「から構成される(composed of)」などのような全ての移行句は、制限がない、すなわち、含むがそれらに限定されるものではないことを意味すると理解されるべきである。米国特許庁の特許審査手続マニュアル、セクション2111.03に記載されているように、「からなる」および「から本質的になる」という移行句のみを、それぞれ閉じたまたは半ば閉じた移行句であるものとする。
【0206】
配列情報
SEQUENCE LISTING
<110> Senti Biosciences, Inc.
<120> COMBINATORIAL CANCER IMMUNOTHERAPY
<150> US 62/485,295
<151> 2017-04-13
<150> US 62/583,343
<151> 2017-11-08
<160> 9
<170> PatentIn version 3.5

<210> 1
<211> 588
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic polynucleotide
<400> 1
gttgacattg attattgact agttattaat agtaatcaat tacggggtca ttagttcata 60
gcccatatat ggagttccgc gttacataac ttacggtaaa tggcccgcct ggctgaccgc 120
ccaacgaccc ccgcccattg acgtcaataa tgacgtatgt tcccatagta acgccaatag 180
ggactttcca ttgacgtcaa tgggtggagt atttacggta aactgcccac ttggcagtac 240
atcaagtgta tcatatgcca agtacgcccc ctattgacgt caatgacggt aaatggcccg 300
cctggcatta tgcccagtac atgaccttat gggactttcc tacttggcag tacatctacg 360
tattagtcat cgctattacc atggtgatgc ggttttggca gtacatcaat gggcgtggat 420
agcggtttga ctcacgggga tttccaagtc tccaccccat tgacgtcaat gggagtttgt 480
tttggcacca aaatcaacgg gactttccaa aatgtcgtaa caactccgcc ccattgacgc 540
aaatgggcgg taggcgtgta cggtgggagg tctatataag cagagctc 588

<210> 2
<211> 544
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic polynucleotide
<400> 2
ggatctgcga tcgctccggt gcccgtcagt gggcagagcg cacatcgccc acagtccccg 60
agaagttggg gggaggggtc ggcaattgaa ccggtgccta gagaaggtgg cgcggggtaa 120
actgggaaag tgatgtcgtg tactggctcc gcctttttcc cgagggtggg ggagaaccgt 180
atataagtgc agtagtcgcc gtgaacgttc tttttcgcaa cgggtttgcc gccagaacac 240
agctgaagct tcgaggggct cgcatctctc cttcacgcgc ccgccgccct acctgaggcc 300
gccatccacg ccggttgagt cgcgttctgc cgcctcccgc ctgtggtgcc tcctgaactg 360
cgtccgccgt ctaggtaagt ttaaagctca ggtcgagacc gggcctttgt ccggcgctcc 420
cttggagcct acctagactc agccggctct ccacgctttg cctgaccctg cttgctcaac 480
tctacgtctt tgtttcgttt tctgttctgc gccgttacag atccaagctg tgaccggcgc 540
ctac 544

<210> 3
<211> 399
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic polynucleotide
<400> 3
tttatttagt ctccagaaaa aggggggaat gaaagacccc acctgtaggt ttggcaagct 60
aggatcaagg ttaggaacag agagacagca gaatatgggc caaacaggat atctgtggta 120
agcagttcct gccccggctc agggccaaga acagttggaa cagcagaata tgggccaaac 180
aggatatctg tggtaagcag ttcctgcccc ggctcagggc caagaacaga tggtccccag 240
atgcggtccc gccctcagca gtttctagag aaccatcaga tgtttccagg gtgccccaag 300
gacctgaaat gaccctgtgc cttatttgaa ctaaccaatc agttcgcttc tcgcttctgt 360
tcgcgcgctt ctgctccccg agctcaataa aagagccca 399

<210> 4
<211> 511
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic polynucleotide
<400> 4
ggggttgggg ttgcgccttt tccaaggcag ccctgggttt gcgcagggac gcggctgctc 60
tgggcgtggt tccgggaaac gcagcggcgc cgaccctggg tctcgcacat tcttcacgtc 120
cgttcgcagc gtcacccgga tcttcgccgc tacccttgtg ggccccccgg cgacgcttcc 180
tgctccgccc ctaagtcggg aaggttcctt gcggttcgcg gcgtgccgga cgtgacaaac 240
ggaagccgca cgtctcacta gtaccctcgc agacggacag cgccagggag caatggcagc 300
gcgccgaccg cgatgggctg tggccaatag cggctgctca gcggggcgcg ccgagagcag 360
cggccgggaa ggggcggtgc gggaggcggg gtgtggggcg gtagtgtggg ccctgttcct 420
gcccgcgcgg tgttccgcat tctgcaagcc tccggagcgc acgtcggcag tcggctccct 480
cgttgaccga atcaccgacc tctctcccca g 511

<210> 5
<211> 408
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic polynucleotide
<400> 5
gtaacgccat tttgcaaggc atggaaaaat accaaaccaa gaatagagaa gttcagatca 60
agggcgggta catgaaaata gctaacgttg ggccaaacag gatatctgcg gtgagcagtt 120
tcggccccgg cccggggcca agaacagatg gtcaccgcag tttcggcccc ggcccgaggc 180
caagaacaga tggtccccag atatggccca accctcagca gtttcttaag acccatcaga 240
tgtttccagg ctcccccaag gacctgaaat gaccctgcgc cttatttgaa ttaaccaatc 300
agcctgcttc tcgcttctgt tcgcgcgctt ctgcttcccg agctctataa aagagctcac 360
aacccctcac tcggcgcgcc agtcctccga cagactgagt cgcccggg 408

<210> 6
<211> 344
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic polynucleotide
<400> 6
ctgtggaatg tgtgtcagtt agggtgtgga aagtccccag gctccccagc aggcagaagt 60
atgcaaagca tgcatctcaa ttagtcagca accaggtgtg gaaagtcccc aggctcccca 120
gcaggcagaa gtatgcaaag catgcatctc aattagtcag caaccatagt cccgccccta 180
actccgccca tcccgcccct aactccgccc agttccgccc attctccgcc ccatggctga 240
ctaatttttt ttatttatgc agaggccgag gccgcctctg cctctgagct attccagaag 300
tagtgaggag gcttttttgg aggcctaggc ttttgcaaaa agct 344

<210> 7
<211> 1229
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic polynucleotide
<400> 7
gcgccgggtt ttggcgcctc ccgcgggcgc ccccctcctc acggcgagcg ctgccacgtc 60
agacgaaggg cgcaggagcg ttcctgatcc ttccgcccgg acgctcagga cagcggcccg 120
ctgctcataa gactcggcct tagaacccca gtatcagcag aaggacattt taggacggga 180
cttgggtgac tctagggcac tggttttctt tccagagagc ggaacaggcg aggaaaagta 240
gtcccttctc ggcgattctg cggagggatc tccgtggggc ggtgaacgcc gatgattata 300
taaggacgcg ccgggtgtgg cacagctagt tccgtcgcag ccgggatttg ggtcgcggtt 360
cttgtttgtg gatcgctgtg atcgtcactt ggtgagttgc gggctgctgg gctggccggg 420
gctttcgtgg ccgccgggcc gctcggtggg acggaagcgt gtggagagac cgccaagggc 480
tgtagtctgg gtccgcgagc aaggttgccc tgaactgggg gttgggggga gcgcacaaaa 540
tggcggctgt tcccgagtct tgaatggaag acgcttgtaa ggcgggctgt gaggtcgttg 600
aaacaaggtg gggggcatgg tgggcggcaa gaacccaagg tcttgaggcc ttcgctaatg 660
cgggaaagct cttattcggg tgagatgggc tggggcacca tctggggacc ctgacgtgaa 720
gtttgtcact gactggagaa ctcgggtttg tcgtctggtt gcgggggcgg cagttatgcg 780
gtgccgttgg gcagtgcacc cgtacctttg ggagcgcgcg cctcgtcgtg tcgtgacgtc 840
acccgttctg ttggcttata atgcagggtg gggccacctg ccggtaggtg tgcggtaggc 900
ttttctccgt cgcaggacgc agggttcggg cctagggtag gctctcctga atcgacaggc 960
gccggacctc tggtgagggg agggataagt gaggcgtcag tttctttggt cggttttatg 1020
tacctatctt cttaagtagc tgaagctccg gttttgaact atgcgctcgg ggttggcgag 1080
tgtgttttgt gaagtttttt aggcaccttt tgaaatgtaa tcatttgggt caatatgtaa 1140
ttttcagtgt tagactagta aagcttctgc aggtcgactc tagaaaattg tccgctaaat 1200
tctggccgtt tttggctttt ttgttagac 1229

<210> 8
<211> 6029
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic polynucleotide
<400> 8
acgcgtgtag tcttatgcaa tactcttgta gtcttgcaac atggtaacga tgagttagca 60
acatgcctta caaggagaga aaaagcaccg tgcatgccga ttggtggaag taaggtggta 120
cgatcgtgcc ttattaggaa ggcaacagac gggtctgaca tggattggac gaaccactga 180
attgccgcat tgcagagata ttgtatttaa gtgcctagct cgatacaata aacgggtctc 240
tctggttaga ccagatctga gcctgggagc tctctggcta actagggaac ccactgctta 300
agcctcaata aagcttgcct tgagtgcttc aagtagtgtg tgcccgtctg ttgtgtgact 360
ctggtaacta gagatccctc agaccctttt agtcagtgtg gaaaatctct agcagtggcg 420
cccgaacagg gacctgaaag cgaaagggaa accagagctc tctcgacgca ggactcggct 480
tgctgaagcg cgcacggcaa gaggcgaggg gcggcgactg gtgagtacgc caaaaatttt 540
gactagcgga ggctagaagg agagagatgg gtgcgagagc gtcagtatta agcgggggag 600
aattagatcg cgatgggaaa aaattcggtt aaggccaggg ggaaagaaaa aatataaatt 660
aaaacatata gtatgggcaa gcagggagct agaacgattc gcagttaatc ctggcctgtt 720
agaaacatca gaaggctgta gacaaatact gggacagcta caaccatccc ttcagacagg 780
atcagaagaa cttagatcat tatataatac agtagcaacc ctctattgtg tgcatcaaag 840
gatagagata aaagacacca aggaagcttt agacaagata gaggaagagc aaaacaaaag 900
taagaccacc gcacagcaag cggccactga tcttcagacc tggaggagga gatatgaggg 960
acaattggag aagtgaatta tataaatata aagtagtaaa aattgaacca ttaggagtag 1020
cacccaccaa ggcaaagaga agagtggtgc agagagaaaa aagagcagtg ggaataggag 1080
ctttgttcct tgggttcttg ggagcagcag gaagcactat gggcgcagcc tcaatgacgc 1140
tgacggtaca ggccagacaa ttattgtctg gtatagtgca gcagcagaac aatttgctga 1200
gggctattga ggcgcaacag catctgttgc aactcacagt ctggggcatc aagcagctcc 1260
aggcaagaat cctggctgtg gaaagatacc taaaggatca acagctcctg gggatttggg 1320
gttgctctgg aaaactcatt tgcaccactg ctgtgccttg gaatgctagt tggagtaata 1380
aatctctgga acagattgga atcacacgac ctggatggag tgggacagag aaattaacaa 1440
ttacacaagc ttaatacact ccttaattga agaatcgcaa aaccagcaag aaaagaatga 1500
acaagaatta ttggaattag ataaatgggc aagtttgtgg aattggttta acataacaaa 1560
ttggctgtgg tatataaaat tattcataat gatagtagga ggcttggtag gtttaagaat 1620
agtttttgct gtactttcta tagtgaatag agttaggcag ggatattcac cattatcgtt 1680
tcagacccac ctcccaaccc cgaggggacc cgacaggccc gaaggaatag aagaagaagg 1740
tggagagaga gacagagaca gatccattcg attagtgaac ggatctcgac ggtatcggtt 1800
aacttttaaa agaaaagggg ggattggggg gtacagtgca ggggaaagaa tagtagacat 1860
aatagcaaca gacatacaaa ctaaagaatt acaaaaacaa attacaaaaa tcaaaatttt 1920
atctcgacat ggtggcgacc ggtagcgcta gcggatcgat aagcttgata tcgcctgcag 1980
ccgaattcct tgacttggga tccgcgtcaa gtggagcaag gcaggtggac agtcctgcag 2040
gcatgcgtga ctgactgagg ccgcgactct agtttaaact gcgtgactga ctctagaaga 2100
tccggcagtg cggccgcgtc gacaatcaac ctctggatta caaaatttgt gaaagattga 2160
ctggtattct taactatgtt gctcctttta cgctatgtgg atacgctgct ttaatgcctt 2220
tgtatcatgc tattgcttcc cgtatggctt tcattttctc ctccttgtat aaatcctggt 2280
tgctgtctct ttatgaggag ttgtggcccg ttgtcaggca acgtggcgtg gtgtgcactg 2340
tgtttgctga cgcaaccccc actggttggg gcattgccac cacctgtcag ctcctttccg 2400
ggactttcgc tttccccctc cctattgcca cggcggaact catcgccgcc tgccttgccc 2460
gctgctggac aggggctcgg ctgttgggca ctgacaattc cgtggtgttg tcggggaaat 2520
catcgtcctt tccttggctg ctcgcctgtg ttgccacctg gattctgcgc gggacgtcct 2580
tctgctacgt cccttcggcc ctcaatccag cggaccttcc ttcccgcggc ctgctgccgg 2640
ctctgcggcc tcttccgcgt cttcgccttc gccctcagac gagtcggatc tccctttggg 2700
ccgcctcccc gcctggtacc tttaagacca atgacttaca aggcagctgt agatcttagc 2760
cactttttaa aagaaaaggg gggactggaa gggctaattc actcccaacg aaaataagat 2820
ctgctttttg cttgtactgg gtctctctgg ttagaccaga tctgagcctg ggagctctct 2880
ggctaactag ggaacccact gcttaagcct caataaagct tgccttgagt gcttcaagta 2940
gtgtgtgccc gtctgttgtg tgactctggt aactagagat ccctcagacc cttttagtca 3000
gtgtggaaaa tctctagcag tagtagttca tgtcatctta ttattcagta tttataactt 3060
gcaaagaaat gaatatcaga gagtgagagg aacttgttta ttgcagctta taatggttac 3120
aaataaagca atagcatcac aaatttcaca aataaagcat ttttttcact gcattctagt 3180
tgtggtttgt ccaaactcat caatgtatct tatcatgtct ggctctagct atcccgcccc 3240
taactccgcc cagttccgcc cattctccgc cccatggctg actaattttt tttatttatg 3300
cagaggccga ggccgcctcg gcctctgagc tattccagaa gtagtgagga ggcttttttg 3360
gaggcctaga cttttgcaga gacggcccaa attcgtaatc atggtcatag ctgtttcctg 3420
tgtgaaattg ttatccgctc acaattccac acaacatacg agccggaagc ataaagtgta 3480
aagcctgggg tgcctaatga gtgagctaac tcacattaat tgcgttgcgc tcactgcccg 3540
ctttccagtc gggaaacctg tcgtgccagc tgcattaatg aatcggccaa cgcgcgggga 3600
gaggcggttt gcgtattggg cgctcttccg cttcctcgct cactgactcg ctgcgctcgg 3660
tcgttcggct gcggcgagcg gtatcagctc actcaaaggc ggtaatacgg ttatccacag 3720
aatcagggga taacgcagga aagaacatgt gagcaaaagg ccagcaaaag gccaggaacc 3780
gtaaaaaggc cgcgttgctg gcgtttttcc ataggctccg cccccctgac gagcatcaca 3840
aaaatcgacg ctcaagtcag aggtggcgaa acccgacagg actataaaga taccaggcgt 3900
ttccccctgg aagctccctc gtgcgctctc ctgttccgac cctgccgctt accggatacc 3960
tgtccgcctt tctcccttcg ggaagcgtgg cgctttctca tagctcacgc tgtaggtatc 4020
tcagttcggt gtaggtcgtt cgctccaagc tgggctgtgt gcacgaaccc cccgttcagc 4080
ccgaccgctg cgccttatcc ggtaactatc gtcttgagtc caacccggta agacacgact 4140
tatcgccact ggcagcagcc actggtaaca ggattagcag agcgaggtat gtaggcggtg 4200
ctacagagtt cttgaagtgg tggcctaact acggctacac tagaaggaca gtatttggta 4260
tctgcgctct gctgaagcca gttaccttcg gaaaaagagt tggtagctct tgatccggca 4320
aacaaaccac cgctggtagc ggtggttttt ttgtttgcaa gcagcagatt acgcgcagaa 4380
aaaaaggatc tcaagaagat cctttgatct tttctacggg gtctgacgct cagtggaacg 4440
aaaactcacg ttaagggatt ttggtcatga gattatcaaa aaggatcttc acctagatcc 4500
ttttaaatta aaaatgaagt tttaaatcaa tctaaagtat atatgagtaa acttggtctg 4560
acagttacca atgcttaatc agtgaggcac ctatctcagc gatctgtcta tttcgttcat 4620
ccatagttgc ctgactcccc gtcgtgtaga taactacgat acgggagggc ttaccatctg 4680
gccccagtgc tgcaatgata ccgcgagacc cacgctcacc ggctccagat ttatcagcaa 4740
taaaccagcc agccggaagg gccgagcgca gaagtggtcc tgcaacttta tccgcctcca 4800
tccagtctat taattgttgc cgggaagcta gagtaagtag ttcgccagtt aatagtttgc 4860
gcaacgttgt tgccattgct acaggcatcg tggtgtcacg ctcgtcgttt ggtatggctt 4920
cattcagctc cggttcccaa cgatcaaggc gagttacatg atcccccatg ttgtgcaaaa 4980
aagcggttag ctccttcggt cctccgatcg ttgtcagaag taagttggcc gcagtgttat 5040
cactcatggt tatggcagca ctgcataatt ctcttactgt catgccatcc gtaagatgct 5100
tttctgtgac tggtgagtac tcaaccaagt cattctgaga atagtgtatg cggcgaccga 5160
gttgctcttg cccggcgtca atacgggata ataccgcgcc acatagcaga actttaaaag 5220
tgctcatcat tggaaaacgt tcttcggggc gaaaactctc aaggatctta ccgctgttga 5280
gatccagttc gatgtaaccc actcgtgcac ccaactgatc ttcagcatct tttactttca 5340
ccagcgtttc tgggtgagca aaaacaggaa ggcaaaatgc cgcaaaaaag ggaataaggg 5400
cgacacggaa atgttgaata ctcatactct tcctttttca atattattga agcatttatc 5460
agggttattg tctcatgagc ggatacatat ttgaatgtat ttagaaaaat aaacaaatag 5520
gggttccgcg cacatttccc cgaaaagtgc cacctgacgt ctaagaaacc attattatca 5580
tgacattaac ctataaaaat aggcgtatca cgaggccctt tcgtctcgcg cgtttcggtg 5640
atgacggtga aaacctctga cacatgcagc tcccggagac ggtcacagct tgtctgtaag 5700
cggatgccgg gagcagacaa gcccgtcagg gcgcgtcagc gggtgttggc gggtgtcggg 5760
gctggcttaa ctatgcggca tcagagcaga ttgtactgag agtgcaccat atgcggtgtg 5820
aaataccgca cagatgcgta aggagaaaat accgcatcag gcgccattcg ccattcaggc 5880
tgcgcaactg ttgggaaggg cgatcggtgc gggcctcttc gctattacgc cagctggcga 5940
aagggggatg tgctgcaagg cgattaagtt gggtaacgcc agggttttcc cagtcacgac 6000
gttgtaaaac gacggccagt gccaagctg 6029

<210> 9
<211> 1179
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Synthetic polynucleotide
<400> 9
ggctccggtg cccgtcagtg ggcagagcgc acatcgccca cagtccccga gaagttgggg 60
ggaggggtcg gcaattgaac cggtgcctag agaaggtggc gcggggtaaa ctgggaaagt 120
gatgccgtgt actggctccg cctttttccc gagggtgggg gagaaccgta tataagtgca 180
gtagtcgccg tgaacgttct ttttcgcaac gggtttgccg ccagaacaca ggtaagtgcc 240
gtgtgtggtt cccgcgggcc tggcctcttt acgggttatg gcccttgcgt gccttgaatt 300
acttccacct ggctgcagta cgtgattctt gatcccgagc ttcgggttgg aagtgggtgg 360
gagagttcga ggccttgcgc ttaaggagcc ccttcgcctc gtgcttgagt tgaggcctgg 420
cctgggcgct ggggccgccg cgtgcgaatc tggtggcacc ttcgcgcctg tctcgctgct 480
ttcgataagt ctctagccat ttaaaatttt tgatgacctg ctgcgacgct ttttttctgg 540
caagatagtc ttgtaaatgc gggccaagat ctgcacactg gtatttcggt ttttggggcc 600
gcgggcggcg acggggcccg tgcgtcccag cgcacatgtt cggcgaggcg gggcctgcga 660
gcgcgaccac cgagaatcgg acgggggtag tctcaagctg gccggcctgc tctggtgcct 720
gtcctcgcgc cgccgtgtat cgccccgccc cgggcggcaa ggctggcccg gtcggcacca 780
gttgcgtgag cggaaagatg gccgcttccc ggtcctgctg cagggagctc aaaatggagg 840
acgcggcgct cgggagagcg ggcgggtgag tcacccacac aaaggaaaag ggcctttccg 900
tcctcagccg tcgcttcatg tgactccacg gagtaccggg cgccgtccag gcacctcgat 960
tagttctcga gcttttggag tacgtcgtct ttaggttggg gggaggggtt ttatgcgatg 1020
gagtttcccc acactgagtg ggtggagact gaagttaggc cagcttggca cttgatgtaa 1080
ttctccttgg aatttgccct ttttgagttt ggatcttggt tcattctcaa gcctcagaca 1140
gtggttcaaa gtttttttct tccatttcag gtgtcgtga 1179
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図18C
図18D
図18E
図19
図20A
図20B
図21A
図21B
図22A
図22B
図23A
図23B
図24A
図24B
図25A
図25B
図26A
図26B
図27A
図27B
図28A
図28B
図29
図30A
図30B
【配列表】
2022180471000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-10-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍の体積を低減させるのに有効な量で、それぞれが腫瘍媒介免疫抑制機構を調節する第1のエフェクタ分子および第2のエフェクタ分子を少なくとも含む複数のエフェクタ分子を産生するように操作されたナチュラルキラー(NK)細胞を含む、腫瘍を有する対象における腫瘍体積を低減させる方法において使用するための組成物であって、
第1のエフェクタ分子がインターロイキン12(IL-12)を含み、
第1のエフェクタ分子以外の複数のエフェクタ分子がそれぞれ独立して、サイトカイン、受容体/リガンド、抗体、ヌクレオチド、ペプチド、および酵素からなる群より選択され、
組成物が、(a)第1のエフェクタ分子を産生するように操作された第1のNK細胞および(b)第2のエフェクタ分子を産生するように操作された第2のNK細胞を含み、かつ
腫瘍低減が、第1のNK細胞単独または第2のNK細胞単独いずれかの投与後の腫瘍低減より大きい、
前記組成物。
【請求項2】
腫瘍が、膀胱腫瘍、脳腫瘍、乳房腫瘍、子宮頸部腫瘍、結腸直腸腫瘍、食道腫瘍、神経膠腫、腎臓腫瘍、肝臓腫瘍、肺腫瘍、黒色腫、卵巣腫瘍、膵臓腫瘍、前立腺腫瘍、皮膚腫瘍、甲状腺腫瘍、および子宮腫瘍からなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
第2のエフェクタ分子が、MIP1α(CCL3)、MIP1β(CCL5)、CCL21、CXCL9、CXCL10 CXCL11、IFN-β、IFN-γ、IL-2、IL-4、IL-15、IL-16、IL-7、IL-9、IL-36y、IL-18、IL-21、IL-1β、OX40-リガンド、CD40L、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CTLA-4抗体、CCR9、CXCR3、CXCR4、CCR2、CCR4、FPR2、VEGFR、IL6R、CXCR1、CSCR7、およびPDGFRからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
チェックポイント阻害剤と組み合わせて投与される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
チェックポイント阻害剤が、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、または抗CTLA-4抗体である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
チェックポイント阻害剤が、抗CTLA-4抗体である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
抗CD40抗体と組み合わせて投与される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
腫瘍の体積が、対照と比べて少なくとも25%低減される、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
第2のエフェクタ分子がIL-21を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
第2のエフェクタ分子がIL-15を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
静脈内投与される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
腫瘍が、結腸直腸腫瘍または肝臓腫瘍である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
腫瘍低減が、第1のNK細胞および第2のNK細胞の別々の投与後の腫瘍低減の合計に等しいかまたはそれより大きい、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
免疫応答を刺激するのに有効な量で、それぞれが免疫応答を刺激する第1のエフェクタ分子および第2のエフェクタ分子を少なくとも含む複数のエフェクタ分子を産生するように操作されたNK細胞を含む、腫瘍を有する対象における免疫応答を刺激する方法において使用するための組成物であって、
第1のエフェクタ分子がIL-12を含み、
免疫応答を刺激することが、対象において免疫応答を増加させ、それによって、腫瘍体積を低減させることを含み、
第1のエフェクタ分子以外の複数のエフェクタ分子がそれぞれ独立して、サイトカイン、受容体/リガンド、抗体、ヌクレオチド、ペプチド、および酵素からなる群よりなる群より選択され、
組成物が、(a)第1のエフェクタ分子を産生するように操作された第1のNK細胞および(b)第2のエフェクタ分子を産生するように操作された第2のNK細胞を含み、かつ
免疫応答の増加が、第1のNK細胞単独または第2のNK細胞単独いずれかの投与後の免疫応答より大きい、
前記組成物。
【請求項15】
対象が、膀胱腫瘍、脳腫瘍、乳房腫瘍、子宮頸部腫瘍、結腸直腸腫瘍、食道腫瘍、神経膠腫、腎臓腫瘍、肝臓腫瘍、肺腫瘍、黒色腫、卵巣腫瘍、膵臓腫瘍、前立腺腫瘍、皮膚腫瘍、甲状腺腫瘍、および子宮腫瘍からなる群より選択される腫瘍を有する、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
対象が、結腸直腸腫瘍または肝臓腫瘍を有する、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
第2のエフェクタ分子がIL-21を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項18】
第2のエフェクタ分子がIL-15を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項19】
静脈内投与される、請求項14記載の組成物。
【請求項20】
腫瘍体積低減が、第1のNK細胞および第2のNK細胞の別々の投与後の腫瘍体積低減の合計に等しいかまたはそれより大きい、請求項14に記載の組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
2022180471000001.xml