(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018050
(43)【公開日】2022-01-26
(54)【発明の名称】皮革製ケースおよび皮革製ケースの製造方法
(51)【国際特許分類】
A45C 11/00 20060101AFI20220119BHJP
A45C 1/02 20060101ALI20220119BHJP
B65D 33/25 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
A45C11/00 Q
A45C1/02 Z
A45C11/00 C
B65D33/25 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020148922
(22)【出願日】2020-09-04
(31)【優先権主張番号】P 2020120363
(32)【優先日】2020-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】711005134
【氏名又は名称】日本エスワイエヌ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 央雄
【テーマコード(参考)】
3B045
3E064
【Fターム(参考)】
3B045BA01
3B045BA26
3B045CE06
3B045DA22
3B045DA31
3B045DA44
3B045DA45
3B045EA02
3B045EA06
3B045EB04
3B045EB12
3B045FC02
3B045FC04
3B045FC05
3B045IA01
3E064AA01
3E064BA60
3E064EA05
3E064EA30
3E064GA10
3E064HM01
3E064HN26
(57)【要約】
【課題】美的外観を有し、マスクを寄れなくスムーズに収納し保管でき、菌またはウイルスの不活性化が可能な、皮革ケースを提供する。
【解決手段】皮革ケース100は、第一外側部1、第二外側部101、第一内側部2と、第二内側部102と、第一外側部1の第一辺1aが第一内側部2の第一辺2aへ折り返され両者が縫製31される、第一重なり縫製部1a1と、第二外側部101の第一辺101aが第二内側部102の第一辺102aへ折り返され縫製される、第二重なり縫製部101a1と、第一重なり縫製部1a1と第二重なり縫製部101a1とで形成される、収納物の出し入れとなる開口部100aとを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮革で構成される、主面が矩形状の第一外側部(1)、
第一外側部と同じ皮革または異なる素材で構成される、主面が矩形状の第二外側部(101)、
収納物サイズより大きく、かつ前記第一外側部(1)より小さいサイズの、主面が矩形状の第一内側部(2)であって、菌および/またはウイルスを不活性化する不活性化剤を含むまたは表面に形成された樹脂シートで構成される第一内側部(2)と、
収納物サイズより大きく、かつ前記第二外側部(101)より小さいサイズの、主面が矩形状の第二内側部(102)であって、菌および/またはウイルスを不活性化する不活性化剤を含むまたは表面に形成された樹脂シートで構成される第二内側部(102)と、
前記第一外側部(1)の第一辺(1a)が前記第一内側部(2)の第一辺(2a)へ折り返され両者が縫製(31)される、第一重なり縫製部(1a1)と、
前記第二外側部(101)の第一辺(101a)が前記第二内側部(102)の第一辺(102a)へ折り返され縫製(1031)される、第二重なり縫製部(101a1)と、
前記第一重なり縫製部(1a1)と前記第二重なり縫製部(101a1)とで形成される、収納物の出し入れとなる開口部(100a)と、
前記第一外側部(1)の第二辺(1b)が前記第一内側部(2)の第二辺(2b)へ折り返された部分(仮着部分1b1)と、前記第二外側部(101)の第三辺(101c)が前記第二内側部(102)の第三辺(102c)へ折り返された部分(仮着部分101c1)と、が縫製される第一側方縫製部(32)と、
前記第一外側部(1)の第三辺(1c)が前記第一内側部(2)の第三辺(2c)へ折り返された部分(仮着部分1c1)と、前記第二外側部(101)の第二辺(101b)が前記第二内側部(102)の第二辺(102b)へ折り返された部分(仮着部分101b1)と、が(第一、第二外側部および第一、第二内側部の4つの部材が共に)縫製される第二側方縫製部(33)と、
前記第一外側部(1)の第四辺(1d)が前記第一内側部(2)の第四辺(2d)と重ならないように折り返された部分(仮着部分1d1)と、前記第二外側部(101)の第四辺(101d)が前記第二内側部(102)の第四辺(102d)と重ならないように折り返された部分(仮着部分101d1)と、が縫製される底縫製部(34)と、
を有する、皮革ケース。
【請求項2】
前記開口部にかぶさる、フラップまたは留め部が、前記第一外側部および/または第二外側部に同一部材または別部材として設けられる、請求項1に記載の皮革ケース。
【請求項3】
前記樹脂シートの引裂強度は、80N/mmから130N/mmであり、
前記樹脂シートの引張強度は、20Mpa~35Mpaであり、および/または、
樹脂シートの破断伸びは、400%~100%である、請求項1または2に記載の皮革ケース。
【請求項4】
前記皮革ケースの収納物を収納する収納部(第一、第二内側部で挟まれた領域)に、着脱手段で着脱自在にまたは当該皮革ケースと連結されることなくフリーで配置される仕切部を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の皮革ケース。
【請求項5】
少なくとも2つの、請求項1から4のいずれか1項に記載の皮革ケースが縫製または着脱可能に構成される皮革ケース。
【請求項6】
皮革ケースの底縫製部(34)の一部または全部と、他方の皮革ケースの底縫製部(34)の一部または全部とが固定または着脱可能に取り付けられる、請求項5に記載の皮革ケース。
【請求項7】
第一部材作製工程(S1)と、第二部材作製工程(S2)と、ケース型縫製工程(S3)と、を含み、
前記第一部材作製工程(S1)は、
主面が矩形状の第一外側部(1)の第一辺(1a)を主面が矩形状の第一内側部(2)の第一辺(2a)に折り返し、折り返し箇所で第一外側部(1)と第一内側部(2)とを縫製する第一縫製工程(S11)と、
前記第一外側部(1)の第二辺(1b)を前記第一内側部(2)の第二辺(2b)に折り返し、折り返し箇所で第一外側部(1)と第一内側部(2)とを仮着手段で仮着する第一側方仮着工程(S12)と、
前記第一外側部(1)の第三辺(1c)を前記第一内側部(2)の第三辺(2c)に折り返し、折り返し箇所で第一外側部(1)と第一内側部(2)とを仮着手段で仮着する第二側方仮着工程(S13)と、
前記第一外側部(1)の第四辺(1d)を前記第一内側部(2)の第四辺(2d)側に折り返し、折り返し箇所で第一外側部(1)同士を仮着手段で仮着する第一底仮着工程(S14)と、
前記第二部材作製工程(S2)は、
主面が矩形状の第二外側部(101)の第一辺(101a)を主面が矩形状の第二内側部(102)の第一辺(102a)に折り返し、折り返し箇所で第二外側部(101)と第二内側部(102)とを縫製する第二縫製工程(S21)と、
前記第二外側部(101)の第二辺(101b)を前記第二内側部(102)の第二辺(102b)に折り返し、折り返し箇所で第二外側部(101)と第二内側部(102)とを仮着手段で仮着する第三側方仮着工程(S22)と、
前記第二外側部(101)の第三辺(1c)を前記第二内側部(102)の第三辺(102c)に折り返し、折り返し箇所で第二外側部(101)と第二内側部(102)とを仮着手段で仮着する第四側方仮着工程(S23)と、
前記第二外側部(101)の第四辺(1d)を前記第二内側部(102)の第四辺(102d)側に折り返し、折り返し箇所で第二外側部(101)同士を仮着手段で仮着する第二底仮着工程(S24)と、
前記ケース型縫製工程(S3)は、
前記第一側方仮着工程(S12)で仮着された折り返し箇所と、前記第三側方仮着工程(S22)(または前記第四側方仮着工程(S23))で仮着された折り返し箇所とを、縫製する第一側方縫製工程(S31)と、
前記第二側方仮着工程(S13)で仮着された折り返し箇所と、前記第四側方仮着工程(S23)(または前記第三側方仮着工程(S22)))で仮着された折り返し箇所とを、縫製する第二側方縫製工程(S32)と、
前記第一底仮着工程(S14)で仮着された折り返し箇所と、前記第二底仮着工程(S24)で仮着された折り返し箇所とを、縫製する底縫製工程(S33)と、
を含む、皮革ケースの製造方法。
【請求項8】
収納物を出し入れする少なくとも2つの開口部を備える皮革ケースを製造する方法であって、
請求項5に記載の皮革ケースの製造方法を含み、さらに、
第一部材作製工程(S1)と第二部材作製工程(S2)の前に、一方の皮革ケースの第一または第二外側部と、他方の皮革ケースの第二または第一外側部とを固定する工程を含む、皮革ケースの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮革製ケースに関し、特に、マスク、タブレット、スマートフォンなどを収納する皮革製ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、再封可能なようにチャックの封止手段を有する各種物品の包装袋であって、銀系抗菌剤が配合されていること、が記載されている。しかし、再封可能機能を追求する構成であり、プラスチックフィルム製であるためコシが無く柔軟性があり、マスクとの接触について不完全であり、抗菌機能の発揮も不十分である。
【0003】
特許文献2には、抗菌性の樹脂製シートを中央部で折り曲げて重ね合わせ、この折り曲げ部に隣接する少なくとも一方の辺を溶着して、マスク収納部を形成し、溶着されていない辺をマスクの出入口としたマスクケース、が記載されている。垂直に交わる2辺が閉じられたクリアホルダ型とポーチ型マスクケースとが記載されているが、樹脂製シートであることから、美的外観および風合いが不十分である。
【0004】
特許文献3には、あらかじめ抗菌加工が施されたポリプロピレン材料を用い作成したマスクケースの間に市販のマスクを収納し、衛生的なマスクの使用を補助する機能を持つところを特長とするマスク収納ケース、が記載している。しかし、特許文献2と同様に美的外観および風合いが不十分である。
【0005】
特許文献4には、プラスチックシートを折り曲げて重ね合わせ、折り曲げた辺に隣接する底辺Bを溶着加工して形成されたマスク等を挟み込んで収納するマスク収納ケースであって、一方の面には二つ折りにするための折り筋線Dが形成されており、他方の面には帯状の切除部Fを切り取るためのミシン目Cが形成され、その帯状の切除部Fを切り取り、折り筋線Dを谷折りに折りたたむことを特長とする折りたたみ機能を備えたマスク収納ケース、が記載している。しかし、特許文献2と同様に美的外観および風合いが不十分である。
【0006】
特許文献5には、プラスチックフィルムを折り曲げることにより、表面フィルムと裏面フィルムを形成し、裏面フィルムから連続するフタ部をもって構成し、底辺となる折曲線に隣接する辺d、辺eをそれぞれ折曲線側に三分の一~ 二分の一の幅で溶着加工し、フタを開く際に裏面フィルムを外側にたわませることを特徴とするチケット収納ケースであって、材料であるプラスチックフィルムに印刷等を用い抗菌加工を施すことにより、収納するマスク等を清潔に収納し携行することができること、が記載されている。しかし、特許文献2と同様に美的外観および風合いが不十分である。
【0007】
特許文献6には、マスクを見栄えよく、かつ衛生的に収容するためのマスクケースであって、折り畳まれることによりマスクの本体部を挟み込む、抗菌性を有する紙製の保護シートと、折り畳まれることによりマスクの本体部および保護シートを挟み込む、保護シートよりも厚手の紙製の内側シートと、折り畳まれることによりマスクの本体部および保護シートを挟み込んだ内側シートを収容する紙製の外側シートとを備えている、ことが記載されている。しかし、特許文献2と同様に美的外観および風合いが不十分である。
【0008】
特許文献7には、抗ウイルス加工、抗菌加工または花粉付着防止加工のうち、少なくとも1種類以上加工した生地を、表生地または/および内側の生地に使用した携帯用マスク収納ケースであって、内側の生地がナイロンタフタ、ポリエステルタフタ、レーヨンである、表地は無地、プリント生地、ドビー柄などの織物またはニット生地であること、が記載されている。しかし、生地で構成されているためコシが無く、特許文献2と同様に美的外観および風合いが不十分である。
【0009】
特許文献8には、裏地に抗菌消臭加工をした生地を使用し、且つ一方長手側縁を縫い合わせると共に、他方長手側縁及び両方側縁と連なる左右短手側縁をファスナーにて閉塞される上下カバーにて構成されたケース本体と、前記上カバーの内面に備えられると共に、ファスナー、ボタン等の封止具にて使用済みマスクを収納する一方の内側袋部と、更に前記上カバーの外面に備えられると共に、健康保険証、自動車免許証等のカードを収納する表側袋部と、前記下カバーの内面に備えられると共にファスナー、ボタン等の封止具にて未使用マスクを収納する他方の内側袋部と、更に前記上下カバーの夫々の袋部間に使用途中のマスクを一時的に収納保管する空間とを具備して成したことを特徴とする抗菌消臭マスク保管ケース、が記載されている。
しかし、ケース内の生地製の袋部にマスクを収納させる構成であるため、収納時にマスクが寄れたり、しわが形成されやすい。
【0010】
特許文献9には、ぬいぐるみか、或いはこのぬいぐるみの詰め物を除いたキャラクターを本体表面に取付けるとともに、裏面に、複数枚のマスクが収納可能で且つ、開口部に開閉自在な手段を有する蓋を備えたポケットを設けたマスクケースであって、少なくともポケットの内側生地には、抗ウイルス加工、抗菌加工、花粉付着防止加工の全て、或いはその内の、少なくとも何れか1種の加工が施されると共に、該内側の生地がナイロンタフタかポリエステルタフタ、或いはレーヨンであること、が記載されている。
しかし、生地製であるため、収納時にマスクが寄れたり、しわが形成されやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2019-142540号
【特許文献2】実用新案登録第3158317号
【特許文献3】実用新案登録第3170827号
【特許文献4】実用新案登録第3213720号
【特許文献5】実用新案登録第3221330号
【特許文献6】実用新案登録第3222103号
【特許文献7】実用新案登録第3155669号
【特許文献8】実用新案登録第3158159号
【特許文献9】実用新案登録第3159961号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記特許文献1から9では、プラスチック製ケースあるいは生地製のケースであるため、それら特徴は一長一短であり、需要者の要求を十分に対応できていなかった。
そこで、本発明は、美的外観を有し、マスクを寄れなくスムーズに収納し保管でき、菌またはウイルスの不活性化(除菌、殺菌、滅菌、増殖制限など)が可能な、皮革ケースを提供することを目的とする。
また、マスク以外の紙幣、硬貨、携帯端末、カードも収納することが可能な皮革ケースを提供することを目的とする。
また、美的外観を有し、収納物(紙幣、硬貨、タブレット、スマートフォン、携帯電話、カードなど)をスムーズに収納し保管でき、菌またはウイルスの不活性化(除菌、殺菌、滅菌、増殖制限など)が可能な皮革ケースを提供することを目的とする。
また、上記の皮革ケースの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の皮革ケースは、
(天然または人工)皮革で構成される、主面が矩形状の第一外側部(1)、
第一外側部と同じ皮革または異なる素材で構成される、主面が矩形状の第二外側部(101)、
収納物(例えば、マスク)サイズより大きく、かつ前記第一外側部(1)より小さいサイズの、主面が矩形状の第一内側部(2)であって、菌および/またはウイルスを不活性化する不活性化剤を含むまたは表面に形成された樹脂シートで構成される第一内側部(2)と、
収納物(例えば、マスク)サイズより大きく、かつ前記第二外側部(101)より小さいサイズの、主面が矩形状の第二内側部(102)であって、菌および/またはウイルスを不活性化する不活性化剤を含むまたは表面に形成された樹脂シートで構成される第二内側部(102)と、
前記第一外側部(1)の第一辺(1a)が前記第一内側部(2)の第一辺(2a)へ折り返され両者が縫製(31)される、第一重なり縫製部(1a1)と、
前記第二外側部(101)の第一辺(101a)が前記第二内側部(102)の第一辺(102a)へ折り返され縫製(1031)される、第二重なり縫製部(101a1)と、
前記第一重なり縫製部(1a1)と前記第二重なり縫製部(101a1)とで形成される、収納物の出し入れとなる開口部(100a)と、
前記第一外側部(1)の第二辺(1b)が前記第一内側部(2)の第二辺(2b)へ折り返された部分(仮着部分1b1)と、前記第二外側部(101)の第三辺(101c)が前記第二内側部(102)の第三辺(102c)へ折り返された部分(仮着部分101c1)と、が(第一、第二外側部および第一、第二内側部の4つの部材が共に)縫製される第一側方縫製部(32)と、
前記第一外側部(1)の第三辺(1c)が前記第一内側部(2)の第三辺(2c)へ折り返された部分(仮着部分1c1)と、前記第二外側部(101)の第二辺(101b)が前記第二内側部(102)の第二辺(102b)へ折り返された部分(仮着部分101b1)と、が(第一、第二外側部および第一、第二内側部の4つの部材が共に)縫製される第二側方縫製部(33)と、
前記第一外側部(1)の第四辺(1d)が前記第一内側部(2)の第四辺(2d)と重ならないように折り返された部分(仮着部分1d1)と、前記第二外側部(101)の第四辺(101d)が前記第二内側部(102)の第四辺(102d)と重ならないように折り返された部分(仮着部分101d1)と、が(第一、第二外側部が共に)縫製される底縫製部(34)と、
を有する。
前記開口部(100a)は、通常は閉じられており、収納物を出し入れするときに開くことができ、皮革ケースが矩形状の3辺を縫製しており、皮革と樹脂シートとの弾性力(平坦に戻る復元力)によって収納物を挟み込む挟持力を発揮している。
【0014】
前記第一重なり縫製部(1a1)は、縫製(31)とは別に、前記第一外側部(1)と前記第一内側部(2)との接触箇所が、全体または一部で、熱溶着、粘着剤、接着剤、両面テープの内、1種または2種以上の方法で仮着されていてもよい。
前記第二重なり縫製部(101a1)は、縫製(1031)とは別に、前記第二外側部(101)と前記第二内側部(102)との接触箇所が、全体または一部で、熱溶着、粘着剤、接着剤、両面テープの内、1種または2種以上の方法で仮着されていてもよい。
【0015】
前記第一、第二側方縫製部(32、33)は、縫製とは別に、前記第一外側部(1)と前記第一内側部(2)との接触箇所が全体または一部で、前記第二外側部(101)と前記第二内側部(102)との接触箇所が全体または一部で、第一外側部(1)の折り返し部分と第二外側部(101)の折り返し部分との全体または一部で、熱溶着、粘着剤、接着剤、両面テープの内、1種または2種以上の方法で仮着されていてもよい。
前記底縫製部(34)は、縫製とは別に、第一外側部(1)の折り返し部分と第二外側部(101)の折り返し部分との全体または一部で、熱溶着、粘着剤、接着剤、両面テープの内、1種または2種以上の方法で仮着されていてもよい。
前記仮着部分101b1、101c1、101d1は、全体または一部で、粘着剤、接着剤、両面テープの内、1種または2種以上の方法で仮着されていてもよい。
【0016】
前記開口部(の一部、全部)にかぶさる、フラップまたは留め部(例えば、ゴムバンドなど)が、前記第一外側部(1)および/または第二外側部(101)に同一部材または別部材として設けられていてもよい。
フラップの形状は矩形状でもよく、三角状、多角形、円形でもよい。
一方の外側部(1)のフラップにスナップボタンの雌/雄、他方の外側部(101)にそのスナップボタンの雌/雄が設けられていてもよい。スナップボタンに限定されず、バックル、フック止めなどでもよい。
フラップに面ファスナーの雌/雄が、他方の外側にその面ファスナーの雌/雌が設けられていてもよい。
前記フラップが前記第一または第二外側部の1辺(一部または全部)から延設される場合、フラップが延設された1辺(一部または全部)の端部は、前記第一または第二内側部の1辺の端部に重ならない構成である。帯状の別部材で重ねて、第一または第二内側部と別部材とを縫製してもよく、重なり部がない状態で第一または第二内側部を第一または第二外側部と縫製してもよい。
前記開口部側の第一、第二内側部の表面(収納物を接する面)に面ファスナーの雌/雄がそれぞれ設けられていてもよい。これにより、開口部を閉じれる構成となる。
【0017】
少なくとも2つの前記皮革ケースが固定(縫製、接着)または着脱可能(面ファスナー、スナップボタンなど)に構成された皮革ケースであってもよい。この場合に、外側部と内側部の必要以上の固定をなくしフリー状態を維持させるために、内側部の主面中央と外側部の主面中央とが一緒に縫製されないことが好ましい。
少なくとも2つの開口部が同じ方向で開口するように、または別々の方向に開口するように固定(縫製、接着)または着脱可能に取り付けられていてもよい。
接触している外側部同士の面積は、その外側部の主面の面積の50%以下、30%以下でもよい。
開口部を維持したまま一方の皮革ケースの第一重なり縫製部の一部または全部と、他方の皮革ケースの第二重なり縫製部(または第一重なり縫製部)の一部または全部とが固定(縫製、接着)または着脱可能に取り付けられていてもよい。
一方の皮革ケースの底縫製部(34)の一部または全部と、他方の皮革ケースの底縫製部(34)の一部または全部とが固定(縫製、接着)または着脱可能に取り付けられていてもよい。
一方の皮革ケースの第一側方縫製部(32)の一部または全部と、他方の皮革ケースの第二側方縫製部(33)(または第一側方縫製部)の一部または全部とが固定(縫製または接着)または着脱可能に取り付けられていてもよい。
一方の皮革ケースと他方の皮革ケースとを、別部材を介して取り付け可能に構成されていてもよい。
一方の皮革ケースのフラップが、複数の開口部を覆う構成であってもよい。
一方の皮革ケースのフラップが、一方の皮革ケースの開口部を覆う構成であってもよく、他方の皮革ケースの開口部を覆う構成であってもよい。
【0018】
前記皮革ケースは、
当該皮革ケースの収納物を収納する収納部(第一、第二内側部で挟まれた領域)に、着脱手段で着脱自在にまたは皮革ケースと連結されることなくフリーで配置される仕切部(300)をさらに有していてもよい。
前記仕切部(300)は、前記第一内側部(2)の主面よりも小さいサイズの矩形状の前記樹脂シート(301)と、前記樹脂シートの一部または全部の周囲を縫製(縫製ライン305)される、第一外側部(1)と同じまたは異なる皮革(302)と、を有して構成されていてもよい。
収納部に2種類の収納物を入れる場合に、第一収納物(マスク)と第二収納物(スマートフォン、紙幣など)との間に仕切部(300)を挟むことで、第一収納物と第二収納物とに付着したウイルスに対しても樹脂シートの作用(不活性化)を施すことができる。
前記仕切部は、着脱手段(例えば、紐、バンド、スナップボタンなど)で、皮革ケースと連結されていてもよい。
【0019】
皮革ケースの製造方法は、
第一部材作製工程(S1)と、第二部材作製工程(S2)と、ケース型縫製工程(S3)と、を含み、
前記第一部材作製工程(S1)は、
主面が矩形状の第一外側部(1)の第一辺(1a)を主面が矩形状の第一内側部(2)の第一辺(2a)に折り返し、折り返し箇所で第一外側部(1)と第一内側部(2)とを縫製する第一縫製工程(S11)と、
前記第一外側部(1)の第二辺(1b)を前記第一内側部(2)の第二辺(2b)に折り返し、折り返し箇所で第一外側部(1)と第一内側部(2)とを仮着手段で仮着する第一側方仮着工程(S12)と、
前記第一外側部(1)の第三辺(1c)を前記第一内側部(2)の第三辺(2c)に折り返し、折り返し箇所で第一外側部(1)と第一内側部(2)とを仮着手段で仮着する第二側方仮着工程(S13)と、
前記第一外側部(1)の第四辺(1d)を前記第一内側部(2)の第四辺(2d)側に折り返し、折り返し箇所で第一外側部(1)同士を仮着手段で仮着する第一底仮着工程(S14)と、
前記第二部材作製工程(S2)は、
主面が矩形状の第二外側部(101)の第一辺(101a)を主面が矩形状の第二内側部(102)の第一辺(102a)に折り返し、折り返し箇所で第二外側部(101)と第二内側部(102)とを縫製する第二縫製工程(S21)と、
前記第二外側部(101)の第二辺(101b)を前記第二内側部(102)の第二辺(102b)に折り返し、折り返し箇所で第二外側部(101)と第二内側部(102)とを仮着手段で仮着する第三側方仮着工程(S22)と、
前記第二外側部(101)の第三辺(1c)を前記第二内側部(102)の第三辺(102c)に折り返し、折り返し箇所で第二外側部(101)と第二内側部(102)とを仮着手段で仮着する第四側方仮着工程(S23)と、
前記第二外側部(101)の第四辺(1d)を前記第二内側部(102)の第四辺(102d)側に折り返し、折り返し箇所で第二外側部(101)同士を仮着手段で仮着する第二底仮着工程(S24)と、
前記ケース型縫製工程(S3)は、
前記第一側方仮着工程(S12)で仮着された折り返し箇所と、前記第三側方仮着工程(S22)(または前記第四側方仮着工程(S23))で仮着された折り返し箇所とを、縫製する第一側方縫製工程(S31)と、
前記第二側方仮着工程(S13)で仮着された折り返し箇所と、前記第四側方仮着工程(S23)(または前記第三側方仮着工程(S22))で仮着された折り返し箇所とを、縫製する第二側方縫製工程(S32)と、
前記第一底仮着工程(S14)で仮着された折り返し箇所と、前記第二底仮着工程(S24)で仮着された折り返し箇所とを、縫製する底縫製工程(S33)と、
を含む。
【0020】
収納物を出し入れする少なくとも2つの開口部を備える皮革ケースを製造する方法であって、
上記皮革ケースの製造方法を含み、さらに、
第一部材作製工程(S1)と第二部材作製工程(S2)の前に(内側部と外側部を縫製する前に)、一方の皮革ケースの第一または第二外側部と、他方の皮革ケースの第二または第一外側部とを固定(縫製、接着)する工程を含んでいてもよい。この場合に、外側部と内側部とが必要以上に固定されることなくフリー状態を維持させるために、内側部の主面中央と外側部の主面中央とが一緒に縫製されないことが好ましい。
また、一方の皮革ケースの第一または第二外側部と、他方の皮革ケースの第一または第二外側部とを着脱可能にできるように、着脱手段(例えば、面ファスナ、スナップボタンなど)を取り付ける工程を含んでいてもよい。
【0021】
[効果]
(1)第一、第二外側部が皮革であるため、風合いも良く手触り感、高級感がある。
(2)第一、第二内側部の少なくとも1辺(開口部と対向して配置される第四辺)は、第一、第二外側部と固定されておらず、お互いの伸縮率が異なっているものの、第一、第二外側部の伸縮時に対応しても逃げ余裕がある。
(3)第一、第二内側部が樹脂シートであるため、ケース自体に強度、コシがあり、マスクを収納時のマスクを挟み込む力が働き、樹脂シートとマスクなど収納物とが密着することで菌またはウイルスの不活性化を行える。
(4)フラップ、留め部、面ファスナーを設けることで、樹脂シートとマスクなど収納物との密着性を向上できる。
(5)マスク以外の収納物、厚みのあるスマートフォン、タブレット、携帯電話、カードなども、伸縮性の皮革とコシのある樹脂シートによって密着性を保持しながら収納できる。
(6)マスクよりも薄い紙幣も収納できる。
(7)複数の皮革ケースを縫製固定できるため、複数の収納物を収納できる。
(8)複数の皮革ケースを着脱自在に取り付け可能にでき、複数の収納物を収納できるとともに、皮革ケースを使用ニーズに応じて分離して使用できる。
(9)皮革ケースの内側が樹脂シートであることで、アルコール液、次亜塩素酸水、水などの液体が付着したマスクなどを収納することも可能であり、さらに、アルコール液や次亜塩素酸水などで、樹脂シート表面の殺菌・除菌も可能になる。通常の革の場合、アルコールなどをかけた場合は、革にアルコールなどが染み込み、革の表面が凸凹になるが、樹脂シートに耐水性、耐アルコール性があることから、樹脂シートである内部をアルコールなどで拭いても、革には影響が出ず、皮革の形状、風合いを損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態1の皮革ケースおよび製造方法の一例を示す図である。
【
図2】実施形態2のフラップ付き皮革ケースの一例を示す図である。
【
図3】実施形態3の複数の開口部を有する皮革ケースの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施形態1)
以下、本実施形態について図面を参照しながら説明するが、以下の実施形態に制限されるものではない。
図1に天然皮革ケース100の一例を示す。
天然皮革ケース100は、第一外側部1、第二外側部101、第一外側部1と固定される不活性化樹脂シートと有する第一内側部2と、第二外側部101と固定される不活性化樹脂シートを有する第二内側部102とを有して構成されてる。
第一外側部1、第二外側部101は、天然皮革で構成される。
第一内側部2、第二内側部102は、不活性化樹脂シートで構成される。
【0024】
第一重なり縫製部1a1は、第一外側部1の第一辺1aが第一内側部2の第一辺2aへ折り返され両者が縫製(縫製ライン31)されている。
第二重なり縫製部101a1は、第二外側部101の第一辺101aが第二内側部102の第一辺102aへ折り返され縫製(縫製ライン1031)されている。
第一重なり縫製部1a1と第二重なり縫製部101a1とで、収納物の出し入れとなる開口部100aが形成される。
【0025】
第一側方縫製部(縫製ライン32)は、第一外側部1の第二辺1bが第一内側部2の第二辺2bへ折り返された部分(仮着部分1b1)と、第二外側部101の第三辺101cが第二内側部102の第三辺102cへ折り返された部分(仮着部分101c1)と、が第一、第二外側部および第一、第二内側部の4つの部材が共に縫製されている。
第二側方縫製部(縫製ライン33)は、第一外側部1の第三辺1cが第一内側部2の第三辺2cへ折り返された部分(仮着部分1c1)と、第二外側部101の第二辺101bが第二内側部102の第二辺102bへ折り返された部分(仮着部分101b1)と、が第一、第二外側部および第一、第二内側部の4つの部材が共に縫製されている。
【0026】
底縫製部(縫製ライン34)は、第一外側部1の第四辺1dが第一内側部2の第四辺2dと重ならないように折り返された部分(仮着部分1d1)と、第二外側部101の第四辺101dが第二内側部102の第四辺102dと重ならないように折り返された部分(仮着部分101d1)と、が第一、第二外側部が共に縫製されている。
【0027】
(不活性化樹脂シート:各内側部)
不活性化樹脂シートは、収納物(マスク)サイズより大きく、かつ各外側部より小さいサイズの矩形状であり、菌および/またはウイルスを不活性化する不活性化剤を含むまたは表面に形成(塗布形成など)された樹脂シートである。
【0028】
樹脂シートは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、PET、ABS、ポリスチレン、レーヨン、塩化ビニル、EVAC、PVAL、PVDC、PTFE、シリコンなどの樹脂シートが挙げられる。
樹脂シート厚みは、例えば、50μm以上2mm未満、100μmから2mm未満が好ましく、120μmから1.5mm未満がより好ましい。コシがあり寄れを低減して皮革との縫製にも対応できるように、130μmから500μm未満の厚みであってもよい。
樹脂シートは、透明または半透明であることが好ましい。皮革と縫製された際に、皮革の裏地が透けてみえることで皮革の高級感、美観を維持できる。
【0029】
不活性化剤は、銀粉末、銅粉末などであり、樹脂に含まれていてもよく、シート表面に塗布されていてもよい。
不活性化銅粉末(抗菌性・抗ウイルス性銅粉末)は、を平均粒径15~75μmの球状粉(A)と、長さ10~75μm、幅10~75μm、厚さ3~10μmのフレーク状粉(B)とを含み、銅の全重量に対して、50~90重量%の球状粉(A)と50~10重量%のフレーク状粉(B)の配合比であってもよい。
樹脂シート100重量%に対して、樹脂が95重量%から97重量%と、不活性化銅粉末を含むマスターバッチが3~5重量%を配合してもよい。
不活性化銅粉末を含むマスターバッチの全重量に対し以下の配合比でもよい。
(1)樹脂シートの樹脂成分が82重量%から88重量%
(2)球状粉(A)+フレーク状粉(B)が8重量%から12重量%
(3)分散剤が3重量%から5重量%(例えば、エステル化合物系分散剤)
(4)吸収剤が0.5重量%から3重量%(例えば、酸化カルシウム系吸収剤)
また、マスターバッチを使用せずに銅粉を直接混合する場合には、樹脂シートの樹脂分が96.5重量%から98.5重量%、不活性化銅粉末が0.5重量%~2重量%、分散剤が0.5重量%~1.5重量%、吸湿剤が0.05重量%~0.1重量%が混合されていてもよい。
【0030】
(実験例)
不活性化樹脂シートに、MERS、SERS、COVID-19を付着させ、30分後の不活性化を試験した。
【表1】
皮革ケース100にマスクなどの収納物を入れ、収納物と不活性樹脂シートとを接触させ、収納物に付着した菌やウイルスを不活性化させることができる。
【0031】
(耐久試験)
皮革ケース100を長手方向と直交する方向に2つ折りにすることを1000回繰り返した。その結果、縫製箇所のほつれ、縫製箇所での樹脂シートの破損などは見られなかった。また、皮革ケースの回復性も実用上問題なかった。
【0032】
(引張試験と引裂試験)
樹脂シートの試験片を準備し、引張試験と引裂試験を行った。
樹脂シート:ポリエチレン樹脂シート(銅粉末練り込み)、厚み0.15mm
(1)引張試験
試験温度 23℃
試験湿度 50%
試験装置 インストロン材料試験機(5582型)
試験方法 試験片から、ダンベル試験片(JIS K 6251 1号型)を打ち抜きにより作製した。
つかみ具間距離80mm、試験速度200mm/分にて引張試験を行った。n=3
3試験片の平均の引張強度は、26.7MPaであった。
(26.7=(26.9+26.5+26.8)/3))
3試験の平均の破断伸びは、731.1%であった。
(731.1=(734+725+735)/3)
(2)引裂試験
試験温度 23℃
試験湿度 50%
試験装置 インストロン材料試験機(5582型)
試験方法 試験片から、JIS K 7128 3の直角形引裂き試験片を打ち抜きにより作製した。
つかみ具間距離60mm、試験速度200mm/分にて引張試験を行った。n=3
3試験片の平均の引裂強度は、103N/mmであった。
(103=(100+103+106)/3))
(3)ポリエチレン樹脂シートの厚み0.12mmとして上記と同様の試験を行った。
平均の引張強度は、20.5MPaであった。平均の引裂強度は、90N/mmであった。
(4)ポリエチレン樹脂シートの厚み0.20mmとして上記と同様の試験を行った。
平均の引張強度は、30.4MPaであった。平均の引裂強度は、110N/mmであった。
(5)皮革のサイズと厚みに応じ、かつ風合いを損ねることがなく、製造時および実使用(追従性など)に耐える引張強度と引裂強度を設定する。
皮革は、例えば、牛皮、羊皮であり、その厚みは、0.2mmから4mmの範囲であることが好ましい。
樹脂シートの引裂強度は、80N/mmから130N/mmであることが好ましく、85N/mmから130N/mmがより好ましい。縫製箇所からの引裂きが生じないように、引裂強度は高い方が好ましい。
樹脂シートの引張強度は、18Mpa~40Mpaであることが好ましく、20Mpa~35Mpaがより好ましい。
樹脂シートの破断伸びは、400%~1000%であることが好ましい。皮革との追従性を高く設定したい場合は、破断伸びを高く設定することが好ましい。
【0033】
(実施形態2)
図2はフラップ付きの皮革ケース100を示す。第二外側部101に、別部材のフラップ170が縫製される。
フラップ170の端部は、押し返されて縫製される(縫製ライン1703)。また、フラップ170と第二外側部101とフラップ170が縫製される(縫製ライン1705)。第二内側部102の樹脂シートは一緒に縫製されない。
フラップ170にはスナップボタンの雄171が、第一外側部1にはスナップボタン雌172が取り付けられる。スナップボタンの雄雌をセットすることで、フラップ170が開口部100aを覆う。マスクなどの収納物を入れても、外から収納物が見えないため、美観も良く、挟持性も向上できるため、収納物と不活性樹脂コートとを接触させて、付着した菌やウイルスを不活性化させることができる。
【0034】
(別実施形態)
別実施形態として、フラップ170は、第二外側部101の第一辺から延設されていてもよい。
また、縫製でなく、スラップ170が第二外側部101に着脱手段で着脱自在に取り付けられていてもよい。
【0035】
(実施形態3)
図3は、収納部が2つの皮革ケース200を示す。
2つの皮革ケース100の外側部を向かい合わせて、お互いの第四辺側の端部同士が縫製される(縫製ライン150)。
2つの皮革ケース100の外側部の向かい合わせの部分で、縦方向に2箇所が縫製される(縫製ライン151、152)。
図3において、一点破線は透かしたエリアであって、縫製ライン151、152を示している。縫製ライン151、152は、一方の第二外側部と他方の第一内側部の主面の中央部分に上下方向に形成されている。縫製ライン151から左側方(縫製ライン33)の長さと、縫製ライン151と縫製ライン152との間隔、縫製ライン252から右側方(縫製ライン32)の長さとが同じ長さでもよい。つまり、縫製ライン151と縫製ライン152との位置は皮革ケースの幅方向を3等分した位置であってもよい。
フラップ170は、一方の皮革ケース100に
図2(実施形態2)のように取り付けられている。スナップボタンの雌172がもう一方の外側部に取り付けられている。よって、フラップ170は、2つの開口部100aを覆う。
【0036】
仕切部300は、収納部(第一、第二内側部で挟まれた領域)に皮革ケース100と連結されることなくフリーで配置される。仕切部300は、矩形状の樹脂シート301と、この樹脂シート301の周囲を縫製(縫製ライン305)されている皮革302とで構成されている。例えば、2種類の収納物であるマスクとスマートフォンとの間に仕切部300を挟むことで、それぞれを分離でき、相互に付着したウイルスに対してもこの樹脂シート301の作用で不活性化を施すことができる。
【0037】
(別実施形態)
別実施形態として、第四辺の部分に限らず、第二辺と第三辺の端部の下方部分または下から半分程度までを、縫製または着脱手段で着脱可能に構成されていてもよい。
また、第四辺の部分同士を縫製する構成にかぎらず、着脱手段で着脱自在になるように構成してあってもよい。
【0038】
(実施形態4)
図1、2の皮革ケース100、
図3皮革ケース200は、マスク(新品、一度外したマスク)、紙幣、携帯電話、スマーフォン、タブレットなどを収納できる。
図3の皮革ケース200は、一方の収納部にマスク、他方の収納部にスマートフォンなどを収納してもよい。
【0039】
(実施形態5:製造方法)
第一部材作製工程(S1)と、第二部材作製工程(S2)と、ケース型縫製工程(S3)と、を含み、
前記第一部材作製工程(S1)は、
主面が矩形状の第一外側部(1)の第一辺(1a)を主面が矩形状の第一内側部(2)の第一辺(2a)に折り返し、折り返し箇所で第一外側部(1)と第一内側部(2)とを縫製する第一縫製工程(S11)と、
前記第一外側部(1)の第二辺(1b)を前記第一内側部(2)の第二辺(2b)に折り返し、折り返し箇所で第一外側部(1)と第一内側部(2)とを仮着手段で仮着する第一側方仮着工程(S12)と、
前記第一外側部(1)の第三辺(1c)を前記第一内側部(2)の第三辺(2c)に折り返し、折り返し箇所で第一外側部(1)と第一内側部(2)とを仮着手段で仮着する第二側方仮着工程(S13)と、
前記第一外側部(1)の第四辺(1d)を前記第一内側部(2)の第四辺(2d)側に折り返し、折り返し箇所で第一外側部(1)同士を仮着手段で仮着する第一底仮着工程(S14)と、
前記第二部材作製工程(S2)は、
主面が矩形状の第二外側部(101)の第一辺(101a)を主面が矩形状の第二内側部(102)の第一辺(102a)に折り返し、折り返し箇所で第二外側部(101)と第二内側部(102)とを縫製する第二縫製工程(S21)と、
前記第二外側部(101)の第二辺(101b)を前記第二内側部(102)の第二辺(102b)に折り返し、折り返し箇所で第二外側部(101)と第二内側部(102)とを仮着手段で仮着する第三側方仮着工程(S22)と、
前記第二外側部(101)の第三辺(1c)を前記第二内側部(102)の第三辺(102c)に折り返し、折り返し箇所で第二外側部(101)と第二内側部(102)とを仮着手段で仮着する第四側方仮着工程(S23)と、
前記第二外側部(101)の第四辺(1d)を前記第二内側部(102)の第四辺(102d)側に折り返し、折り返し箇所で第二外側部(101)同士を仮着手段で仮着する第二底仮着工程(S24)と、
前記ケース型縫製工程(S3)は、
前記第一側方仮着工程(S12)で仮着された折り返し箇所と、前記第三側方仮着工程(S22)(または前記第四側方仮着工程(S23))で仮着された折り返し箇所とを、縫製する第一側方縫製工程(S31)と、
前記第二側方仮着工程(S13)で仮着された折り返し箇所と、前記第四側方仮着工程(S23)(または前記第三側方仮着工程(S22)))で仮着された折り返し箇所とを、縫製する第二側方縫製工程(S32)と、
前記第一底仮着工程(S14)で仮着された折り返し箇所と、前記第二底仮着工程(S24)で仮着された折り返し箇所とを、縫製する底縫製工程(S33)と、
を含む。
前記第一部材作製部(S1)の各工程の順番は特に制限されず、治具や機械装置を利用して、平行的に仮着が行われていてもよい。
前記第二部材作製工程(S2)の各工程の順番は特に制限されず、治具や機械装置を利用して、平行的に仮着が行われていてもよい。
前記第一底仮着工程(S14)と前記第二底仮着工程(S24)とが、底縫製工程(S33)のサブ工程として行われてもよい。
【0040】
前記第一縫製工程(S11)は、
縫製する前に、前記折り返し箇所で第一外側部(1)と第一内側部(2)とを仮着手段で仮着する第一仮着サブ工程(S11-1)を含んでいてもよい。
前記第二縫製工程(S21)は、
縫製する前に、前記折り返し箇所で第二外側部(101)と第二内側部(102)とを仮着手段で仮着する第二仮着サブ工程(S21-1)を含んでいてもよい。
【0041】
前記第一部材作製工程(S1)および/または前記第二部材作製工程(S2)は、
第一外側部(1)および/または第二外側部(101)に、フラップを縫製するフラップ縫製工程を、さらに含んでいてもよい。
前記第一部材作製工程(S1)および/または前記第二部材作製工程(S2)は、
フラップ、第一外側部(1)および/または第二外側部(101)に、留め具、スナップボタンおよび/または面ファスナーを取り付ける工程をさらに含んでいてもよい。
【0042】
収納物を出し入れする少なくとも2つの開口部を備える皮革ケースを製造する方法であって、
上記皮革ケースの製造方法を含み、さらに、
第一部材作製工程(S1)と第二部材作製工程(S2)の前に(内側部と外側部を縫製する前に)、一方の皮革ケースの第一または第二外側部と、他方の皮革ケースの第二または第一外側部とを固定(縫製、接着)する工程を含んでいてもよい。この場合に、外側部と内側部とが必要以上に固定されることなくフリー状態を維持させるために、内側部の主面中央と外側部の主面中央とが一緒に縫製されないことが好ましい。
また、一方の皮革ケースの第一または第二外側部と、他方の皮革ケースの第一または第二外側部とを着脱可能にできるように、着脱手段(例えば、面ファスナ、スナップボタンなど)を取り付ける工程を含んでいてもよい。
【符号の説明】
【0043】
100 皮革ケース
1 第一外側部
2 第一内側部
101 第二外側部
102 第二内側部
170 フラップ