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特開2022-180559医療デバイスに供給される無線エネルギーの伝送を制御する装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180559
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】医療デバイスに供給される無線エネルギーの伝送を制御する装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/378 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
A61N1/378
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022152151
(22)【出願日】2022-09-26
(62)【分割の表示】P 2020130828の分割
【原出願日】2008-10-10
(31)【優先権主張番号】60/960,832
(32)【優先日】2007-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】60/960,861
(32)【優先日】2007-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517409413
【氏名又は名称】インプランティカ・パテント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(72)【発明者】
【氏名】フォーセル,ペーター
(57)【要約】      (修正有)
【課題】患者に移植された医療デバイスに無線エネルギーを供給する装置を提供する。
【解決手段】外部エネルギー源と、移植可能な医療デバイスとの間の無線エネルギーの伝送を制御する装置であって、前記外部エネルギー源から伝送された前記無線エネルギーを前記医療デバイスに供給する内部エネルギー受信器と、患者内に設置され、前記エネルギーが前記医療デバイスに供給される前に、前記内部エネルギー受信器によって受信された前記エネルギーを安定化および/または蓄積するエネルギー安定化ユニットと、前記内部エネルギー受信器によって受信されるエネルギーと、前記医療デバイスによって消費されるエネルギー、または、移植可能なエネルギー蓄積デバイスに蓄積されるエネルギーとの間のエネルギー・バランスを決定し、前記エネルギー・バランスに基づいて、前記外部エネルギー源からの前記無線エネルギーの伝送を制御する制御ユニットと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部エネルギー源と、電気的に動作可能かつ移植可能な医療デバイスとの間の無線エネルギーの伝送を制御する装置であって、
前記外部エネルギー源から伝送された前記無線エネルギーを受信し、受信したエネルギーを、直接的または間接的に、前記電気的に動作可能かつ移植可能な医療デバイスに供給するために、前記電気的に動作可能かつ移植可能な医療デバイスに接続されている内部エネルギー受信器と、
患者内に設置され、前記エネルギーが、前記電気的に動作可能かつ移植可能な医療デバイスに、直接的または間接的に供給される前に、前記内部エネルギー受信器によって受信された前記エネルギーを安定化し、および/または、蓄積するように構成されているエネルギー安定化ユニットと、
前記内部エネルギー受信器によって受信されるエネルギーと、前記電気的に動作可能かつ移植可能な医療デバイスによって消費されるエネルギー、または、移植可能なエネルギー蓄積デバイスに蓄積されるエネルギーとの間のエネルギー・バランスを決定し、前記エネルギー・バランスに基づいて、前記外部エネルギー源からの前記無線エネルギーの伝送を制御するように構成される制御ユニットと
を備える装置。
【請求項2】
前記外部エネルギー源は、
エネルギーを無線伝送するための一次コイルを備え、
前記内部エネルギー受信器は、
無線伝送されたエネルギーを受信するための二次コイルを備える
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御ユニットは、
検出された前記エネルギー・バランスの変化が、前記エネルギー・バランスが向上していることを示す場合、伝送される前記無線エネルギーの量を低減させ、検出された前記エネルギー・バランスの変化が、前記エネルギー・バランスが低下していることを示す場合、伝送される前記無線エネルギーの量を増大させるように構成されている
請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記制御ユニットは、
決定された前記エネルギー・バランスが、受信されたエネルギーが、前記電気的に動作可能かつ移植可能な医療デバイスによって消費される、または、前記移植可能なエネルギー蓄積デバイスに蓄積されるエネルギーより大きいことを示す場合に、伝送される前記無線エネルギーの量を低減させるように構成されている
請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記エネルギー安定化ユニットは、
受信されるエネルギーを安定化するための、アキュムレータ、キャパシタ、または半導体の少なくとも1つを備える
請求項1~4の何れか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記制御ユニットは、
消費されたエネルギー量、または、蓄積されたエネルギー量、あるいは、消費されたエネルギー量および蓄積されたエネルギー量における検出された経時的な変化に基づいて、前記エネルギー・バランスを決定する
請求項1~5の何れか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記制御ユニットは、
前記消費されたエネルギー量、または、前記蓄積されたエネルギー量、あるいは、前記消費されたエネルギー量および蓄積されたエネルギー量に関する測定された電気的パラメータの導関数を経時的に決定することによって、前記消費されたエネルギー量、または、前記蓄積されたエネルギー量、あるいは、前記消費されたエネルギー量および蓄積されたエネルギー量における前記検出された経時的な変化を決定する
請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記エネルギー安定化ユニットは、
少なくとも1つの定電圧回路、および少なくとも1つの定電流回路を有する
請求項1~7の何れか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記移植可能なエネルギー蓄積デバイスは、
充電可能なバッテリ、アキュムレータ、またはキャパシタの少なくとも1つを有する
請求項1~8の何れか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、患者に移植された医療デバイスに無線エネルギーを供給する方法および装置に関する。特に、本発明は、患者の外部のエネルギー源から患者の内部のエネルギー受信器に伝送されるエネルギーの量の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の体内に移植されるように構成された医療デバイスは通常、電力によって操作される。このような医療デバイスは、様々な身体機能を支援または刺激するように構成された電気的刺激部材および機械刺激部材、モータ、ポンプなどを含む。このような移植された医療デバイスには、同様に移植された電池、あるいは必要な量の電力を外科手術を繰り返し行う必要無しに間欠的または連続的に供給することのできる外部エネルギー源から電力を供給することができる。
【0003】
外部エネルギー源は、患者の内部に配置され、医療デバイスに接続され、受け取ったエネルギーを医療デバイスに供給する移植された内部エネルギー受信器に、無線エネルギーを伝送することができる。このように無線エネルギーを伝送することのできるいわゆるTET(経皮エネルギー伝送Transcutaneous Energy Transfer)デバイスが公知である。それによって、医療デバイスを電池などの外部エネルギー源に接続する場合に、皮膚を貫通するリード線を使用する必要が無くなる。
【0004】
TETデバイスは通常、好ましくは患者の皮膚のすぐ下に移植された内部エネルギー受信器内の二次コイルに電圧を誘導することによって任意の量の無線エネルギーを誘導的に伝送するように構成された一次コイルを含む外部エネルギー源を備える。一次コイルが皮膚の近くに、二次コイルに隣接してかつ二次コイルに対して整列して位置するとき、すなわち、一次コイルの対称軸が二次コイルの対称軸に平行であるときに、最高の伝送効率が得られる。
【0005】
通常、移植された医療デバイスを動作させるのに必要なエネルギーの量は、デバイスの動作特性に応じて経時的に変化する。たとえば、デバイスは、ある間隔を置いてオンとオフが切り替わるか、あるいはその動作を変更して適切な電気的または機械刺激などを与えるように構成することができる。このように動作が変化すると、当然のことながら、それに応じて必要なエネルギーの量も変化する。
【0006】
さらに、移植された内部エネルギー源に対する外部エネルギー源の位置は、エネルギー源と受信器との間の距離および相対角度に著しく依存するエネルギー伝送の効率に影響を与える要因である。たとえば一次コイルおよび二次コイルを使用する際、コイル間隔が変化すると、それに応じて、誘導される電圧も変化する。医療デバイスの動作時には、患者が移動すると通常、任意に外部エネルギー源と内部受信器の相対間隔が変化し、したがって、伝送効率が大幅に変化する。
【0007】
伝送効率が低くなると、医療デバイスに供給されるエネルギーの量が、デバイスを適切に動作させるのに不十分なものになる可能性があり、したがって、デバイスの動作を一時的に停止しなければならず、当然のことながらデバイスの目的とされる医療効果が損なわれる。
【0008】
一方、外部エネルギー源と内部受信器の相対位置が、意図せずに伝送効率を高めるように変化した場合、医療デバイスに供給されるエネルギーも大幅に増大する可能性がある。この状況では、インプラントが大量の供給エネルギーを急激に「消費する」ことはできないために重大な問題が生じる恐れがある。使用されない過度のエネルギーは何らかの方法で吸収しなければならず、その結果熱が発生し、これは極めて望ましくない。したがって、外部エネルギー源から内部エネルギー受信器に過度のエネルギーが伝送された場合、インプラントの温度が上昇し、周囲の組織に損傷を与えるか、場合によっては身体機能に悪影響をもたらす恐れがある。一般に、このような問題を回避するために体温が3度を超えてはならないと考えられている。
【0009】
したがって、適切な動作を確保し、かつ/あるいは温度の上昇を回避するには、移植された医療デバイスに適切な量のエネルギーを供給することが極めて望ましい。受容側インプラントの様々な状態に応じて伝送されるエネルギーの量を調節する様々な方法が公知である。しかし、移植された医療デバイスへの無線によるエネルギーの伝送を制御する現在利用可能な解決策は、この点に関する精度が不十分である。
【0010】
たとえば、米国特許第5995874号は、一次コイルから伝送されるエネルギーの量が、負荷電流や負荷電圧のような二次コイルの測定された特徴に応じて調節されるTETシステムを開示している。伝送されるエネルギーは、一次コイルの電流および電圧、伝送周波数、またはコイル寸法を変化させることによって調節することができる。特に、電力伝送効率を調整するためにコイル同士の間の磁界の飽和点が変化させられる。しかし、使用可能な磁界レベルを仮定した場合、ヒトの組織には飽和点が生じないため、この解決策が実際にうまく働く可能性は低い。さらに、たとえばコイル同士の整列および/または間隔の変化による損失を補償するためにエネルギー伝送量をかなり増大しなければならない場合、公知のように、生成されるかなり大量の放射線が患者に損傷を与えるか、あるいは患者の健康を損ねるかまたは患者にとって不快である恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5995874号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、移植された医療デバイスに伝送されるエネルギーの量を正確に調節して医療デバイスを適切に動作させる有効な解決策が必要である。さらに、組織の損傷および患者の不健康または不快感を回避するには、医療デバイスの温度を上昇させる過度のエネルギー伝送および/または電力サージを回避する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、患者に移植された電気操作可能な医療デバイスに供給される無線エネルギーの伝送を制御する方法が提供される。無線エネルギーは、患者の外部に配置された外部エネルギー源から送られ、かつ患者の内部に配置され、医療デバイスに接続され、受け取ったエネルギーを直接または間接的に医療デバイスに供給する内部エネルギー受信器によって受け取られる。内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーと医療デバイスに使用されるエネルギーとのエネルギー・バランスが求められる。次に、外部エネルギー源からのエネルギーの伝送が、求められたエネルギー・バランスに基づいて制御される。
【0014】
患者に移植された電気操作可能な医療デバイスに供給される無線エネルギーの伝送を制御する装置も提供される。装置は、患者の内部に配置され、医療デバイスに接続され、受け取ったエネルギーを直接または間接的に医療デバイスに供給する内部エネルギー受信器によって受け取られる無線エネルギーを、患者の外部に配置された外部エネルギー源から伝送するように構成される。装置はさらに、内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーと医療デバイスに使用されるエネルギーとのエネルギー・バランスを判定し、外部エネルギー源からの無線エネルギーの伝送を、求められたエネルギー・バランスに基づいて制御するように構成される。
【0015】
この方法および装置は、以下の様々な実施形態および特徴に従って実施することができる。
【0016】
無線エネルギーは、外部エネルギー源内の一次コイルから内部エネルギー受信器内の二次コイルに誘導的に伝送することができる。エネルギー・バランスの変化を検出して、検出されたエネルギー・バランスの変化に基づいて無線エネルギーの伝送を制御することができる。内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーと医療デバイスに使用されるエネルギーとの差を検出し、検出されたエネルギー差に基づいて無線エネルギーの伝送を制御することもできる。
【0017】
エネルギー伝送を制御する際、検出されたエネルギー・バランスの変化が、エネルギー・バランスが増大していることを示す場合には、無線エネルギー伝送量を低減させ、エネルギー・バランスが低減していることを示す場合には、無線エネルギー伝送量を増大させることができる。エネルギー伝送量の増減を検出された変化率に対応させることもできる。
【0018】
さらに、検出されたエネルギー差が、受け取られたエネルギーが使用されるエネルギーより多いことを示す場合に、伝送される無線エネルギーの量を低減させることができ、検出されたエネルギー差が、受け取られたエネルギーが使用されるエネルギーより少ないことを示す場合に、伝送される無線エネルギーの量を増大させることができる。その場合、エネルギー伝送量の増減を検出されたエネルギー差の大きさに対応させることができる。
【0019】
上述のように、医療デバイスに使用されるエネルギーは、医療デバイスを動作させるために消費し、かつ/あるいは医療デバイスの少なくとも1つのエネルギー蓄積デバイスに蓄積することができる。
【0020】
一代替実施形態では、医療デバイスに使用されるほぼすべてのエネルギーが、医療デバイスを動作させるために(たとえば、図2の消費部分200aによって)消費される。この場合、エネルギーは、医療デバイスの少なくとも1つの安定化ユニットで安定化された後で消費することができる。
【0021】
他の実施形態では、医療デバイスに使用されるほぼすべてのエネルギーが少なくとも1つのエネルギー蓄積デバイスに蓄積される。他の実施形態では、医療デバイスに使用されるエネルギーは、一部が医療デバイスを動作させるために消費され、一部が少なくとも1つのエネルギー蓄積デバイスに蓄積される。
【0022】
内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーは、医療デバイスに直接または間接的に供給される前にコンデンサによって安定化することができる。
【0023】
内部エネルギー受信器による総エネルギー受信量と総エネルギー消費量および/または総エネルギー蓄積量との差は、直接または間接的に経時的に測定することができ、次に、総量差の検出された変化に基づいてエネルギー・バランスを求めることができる。
【0024】
内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーは、医療デバイスに供給される前にエネルギー安定化ユニットで蓄積し安定化することができる。その場合、エネルギー消費量および/またはエネルギー蓄積量の検出される経時的な変化に基づいて、エネルギー・バランスを求めることができる。さらに、エネルギー消費量および/またはエネルギー蓄積量に関する測定された電気的パラメータの導関数を経時的に求めることによって、エネルギー消費量および/またはエネルギー蓄積量の変化を検出することができ、その場合、第1の所与の瞬間における導関数は、第1の所与の瞬間における変化率に対応し、変化率は変化の方向および速度を含む。さらに、導関数は、電気的パラメータの検出された変化率に基づいて求めることができる。
【0025】
内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーは、少なくとも1つの一定の電圧によって医療デバイスに供給することができ、その場合、一定の電圧は定電圧回路によって生成される。この場合、エネルギーは、少なくとも1つの一定の電圧を含む、少なくとも2つの異なる電圧によって供給することができる。
【0026】
内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーは、少なくとも1つの一定の電流によって医療デバイスに供給することもでき、その場合、一定の電流は定電流回路によって生成される。この場合、エネルギーは、少なくとも1つの一定の電流を含む、少なくとも2つの異なる電流によって供給することができる。
【0027】
エネルギー・バランスは、内部エネルギー受信器による総エネルギー受信量と総エネルギー消費量および/または総エネルギー蓄積量との検出された差に基づいて求めることもでき、その場合、検出された差は、エネルギー・バランスに関する測定された少なくとも1つの電気的パラメータの経時的な積分に関する差である。この場合、電気的パラメータの値は、パラメータ-時間図のグラフとして時間に対してプロットすることができ、プロットされたグラフの下方の領域のサイズから積分を求めることができる。電気的パラメータの積分は、内部エネルギー受信器による総エネルギー受信量と総エネルギー消費量および/または総エネルギー蓄積量との蓄積された差としてエネルギー・バランスに関係付けることができる。
【0028】
医療デバイス内のエネルギー蓄積デバイスは、再充電可能な電池、アキュムレータ、コンデンサの少なくとも1つを含んでよい。エネルギー安定化ユニットは、受け取られたエネルギーを安定化するように構成されたアキュムレータ、コンデンサ、または半導体の少なくとも1つを含んでよい。
【0029】
内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーを、医療デバイスおよび/またはエネルギー蓄積デバイスに供給する前に安定化ユニットにおいて蓄積し安定化すると、定電圧回路に維持されている少なくとも1つの一定の電圧によって医療デバイスおよび/またはエネルギー蓄積デバイスにエネルギーを供給することができる。その場合、定電圧回路に維持され、少なくとも一方の電圧が一定である2つの異なる電圧を、医療デバイスおよびエネルギー蓄積デバイスに供給することができる。
【0030】
あるいは、内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーを、医療デバイスおよび/またはエネルギー蓄積デバイスに供給する前に安定化ユニットにおいて蓄積し安定化すると、定電流回路に維持されている少なくとも1つの一定の電流によって医療デバイスおよび/またはエネルギー蓄積デバイスにエネルギーを供給することができる。その場合、定電流回路に維持され、少なくとも一方の電流が一定である2つの異なる電流を、医療デバイスおよびエネルギー蓄積デバイスに供給することができる。
【0031】
無線エネルギーは最初、所定のエネルギー消費率と蓄積率とに従って伝送することができる。その場合、無線エネルギーの伝送は、所定の総エネルギー量が伝送されたときにオフにすることができる。この場合、内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーは、所定の総エネルギー量が消費されかつ/あるいは蓄積されるまで医療デバイスを動作させるのに消費されかつ/あるいはエネルギー蓄積デバイスに蓄積される前に、エネルギー安定化ユニットにおいて蓄積し安定化しておくこともできる。
【0032】
さらに、無線エネルギーをまず所定のエネルギー率で伝送し、次に、エネルギー安定化ユニットにおける総エネルギー蓄積量を検出することによって求めることのできるエネルギー・バランスに基づいて伝送することができる。あるいは、エネルギー安定化ユニットにおける現在のエネルギー蓄積量の変化を検出することによってエネルギー・バランスを求めることができる。他の代替実施形態では、エネルギー安定化ユニットにおける現在のエネルギー蓄積量の変化の方向および率を検出することによってエネルギー・バランスを求めることができる。
【0033】
無線エネルギーの伝送は、内部エネルギー受信器におけるエネルギー受信率がエネルギー消費率および/または蓄積率に対応するように制御することができる。その場合、無線エネルギーの伝送は、所定の総エネルギー量が消費されたときにオフにすることができる。
【0034】
内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーは、まずエネルギー安定化ユニットにおいて蓄積し安定化して、次に、所定の総エネルギー量が消費されるまで医療デバイスによって消費するかあるいは蓄積しておくことができる。その場合、エネルギー安定化ユニットにおける検出された総エネルギー蓄積量に基づいてエネルギー・バランスを求めることができる。あるいは、エネルギー安定化ユニットにおける現在のエネルギー蓄積量の変化を検出することによってエネルギー・バランスを求めることができる。他の代替実施形態では、エネルギー安定化ユニットにおける現在のエネルギー蓄積量の変化の方向および率を検出することによってエネルギー・バランスを求めることができる。センサを使用して、医療デバイスを適切に動作させるのに必要なエネルギーの必要量を何らかの点で反映する、医療デバイスのある特性の測定および/または患者の現在の状態の検出を行うことができる。したがって、医療デバイスの電気的パラメータおよび/または物理的パラメータならびに/あるいは患者の物理的パラメータを求めることができ、次に、パラメータに基づいて求められる伝送率でエネルギーを伝送することができる。さらに、総エネルギー伝送量がパラメータに基づく量になるように無線エネルギーの伝送を制御することもできる。
【0035】
内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーは、まずエネルギー安定化ユニットにおいて蓄積し安定化して、次に、所定の総エネルギー量が消費されるまで消費することができる。さらに、内部エネルギー受信器におけるエネルギー受信率が所定のエネルギー消費率に対応するように無線エネルギーの伝送を制御することもできる。
【0036】
さらに、医療デバイスの電気的パラメータおよび/または物理的パラメータならびに/あるいは患者の物理的パラメータを求め、パラメータに基づいて総エネルギー伝送量を求めることができる。その場合、内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーを、まずエネルギー安定化ユニットにおいて蓄積し安定化して、次に、所定の総エネルギー量が消費されるまで蓄積しておくことができる。
【0037】
エネルギーは、所定の蓄積率に従ってエネルギー蓄積デバイスに蓄積される。次に、所定の総エネルギー量が蓄積されたときに無線エネルギーの伝送をオフにすることができる。さらに、内部エネルギー受信器におけるエネルギー受信率が所定の蓄積率に対応するように無線エネルギーの伝送を制御することができる。
【0038】
医療デバイスのエネルギー蓄積デバイスは、第1の蓄積デバイスと第2の蓄積デバイスとを備えてよく、その場合、内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーは、まず第1の蓄積デバイスに蓄積され、次に、第1の蓄積デバイスから後段の第2の蓄積デバイスに供給される。
【0039】
エネルギー蓄積デバイス内の第1および第2の蓄積デバイスを使用すると、エネルギー・バランスをそれぞれの異なる方法で求めることができる。第1に、第1の蓄積デバイスにおける現在のエネルギー蓄積量を検出することによってエネルギー・バランスを求めることができ、次に、第2の蓄積デバイスにおける蓄積率が内部エネルギー受信器におけるエネルギー受容率に対応するように無線エネルギーの伝送を制御することができる。第2に、第1の蓄積デバイスにおける検出された総エネルギー蓄積量に基づいてエネルギー・バランスを求めることができる。第3に、第1の蓄積デバイスにおける現在のエネルギー蓄積量の変化を検出することによってエネルギー・バランスを求めることができる。第4に、第1の蓄積デバイスにおける現在のエネルギー蓄積量の変化の方向および率を検出することによってエネルギー・バランスを求めることができる。
【0040】
安定化されたエネルギーはまず、第2の蓄積デバイスで測定された電圧が所定の最大電圧に達するまで、定電流回路によって維持されている一定の電流によって第1の蓄積デバイスから第2の蓄積デバイスに供給し、その後、定電圧回路によって維持されている一定の電圧によって第1の蓄積デバイスから第2の蓄積デバイスに供給することができる。その場合、所定の最低エネルギー伝送率に達したときに無線エネルギーの伝送をオフにすることができる。
【0041】
エネルギーの伝送はさらに、内部エネルギー受信器によるエネルギー受コンデンサが第2の蓄積デバイスにおけるエネルギー蓄積量に対応するように制御することができる。その場合、内部エネルギー受信器におけるエネルギー受容率が第2の蓄積デバイスにおけるエネルギー蓄積率に対応するように、エネルギーの伝送を制御することができる。内部エネルギー受信器における総エネルギー受容量が第2の蓄積デバイスにおける総エネルギー蓄積量に対応するように、エネルギーの伝送を制御することもできる。
【0042】
所定の総エネルギー量が蓄積されたときに無線エネルギーの伝送がオフにされる場合、医療デバイスの電気的パラメータおよび/または物理的パラメータならびに/あるいは患者の物理的パラメータを第1のエネルギー蓄積手順の間に求めることができ、その後のエネルギー蓄積手順の間に、パラメータに基づいて所定の総エネルギー量を蓄積することができる。
【0043】
医療デバイスの電気的パラメータおよび/または物理的パラメータならびに/あるいは患者の物理的パラメータを求めると、パラメータに基づいて求められた蓄積率でエネルギー蓄積デバイスにエネルギーを蓄積することができる。その場合、パラメータに基づいて求められる総エネルギー量をエネルギー蓄積デバイスに蓄積することができる。次に、総エネルギー量が蓄積されたときに無線エネルギーの伝送を自動的にオフにすることができる。内部エネルギー受信器におけるエネルギー受容率が蓄積率に対応するように無線エネルギーの伝送を制御することもできる。
【0044】
医療デバイスの電気的パラメータおよび/または物理的パラメータならびに/あるいは患者の物理的パラメータを求めると、前記パラメータに基づいて求められた総エネルギー量をエネルギー蓄積デバイスに蓄積することができる。次に、内部エネルギー受信器における総エネルギー受容量が総エネルギー蓄積量に対応するように無線エネルギーの伝送を制御することができる。さらに、総エネルギー量が蓄積されたときに無線エネルギーの伝送を自動的にオフにすることができる。
【0045】
医療デバイスに使用されるエネルギーの一部が消費され、一部が蓄積されるとき、所定のエネルギー消費率および所定のエネルギー蓄積率に基づいて無線エネルギーの伝送を制御することができる。その場合、消費され蓄積される所定の総エネルギー量が受け取られたときにエネルギーの伝送をオフにすることができる。消費され蓄積される所定の総エネルギー量が受け取られたときにエネルギーの伝送をオフにすることができる。
【0046】
医療デバイスの電気的パラメータおよび/または物理的パラメータならびに/あるいは患者の物理的パラメータを求めると、前記パラメータに基づいて求められる単位時間当たり伝送率に従ってエネルギーを伝送して、消費し蓄積することができる。総エネルギー伝送量を前記パラメータに基づいて求めることもできる。
【0047】
医療デバイスの電気的パラメータおよび/または物理的パラメータならびに/あるいは患者の物理的パラメータを求めると、前記パラメータに基づいて求められた供給率でエネルギーをエネルギー蓄積デバイスから医療デバイスに供給して消費することができる。その場合、エネルギー蓄積デバイスから医療デバイスに供給されて消費される総エネルギー量を前記パラメータに基づく量にすることができる。
【0048】
医療デバイスの電気的パラメータおよび/または物理的パラメータならびに/あるいは
患者の物理的パラメータを求めると、総エネルギー量をエネルギー蓄積デバイスから医療
デバイスに供給して消費することができ、その場合、総エネルギー供給量はパラメータに
基づいて求められる。
【0049】
内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーをエネルギー安定化ユニットにおいて蓄積し安定化すると、エネルギー蓄積デバイスにおける蓄積率が内部エネルギー受信器におけるエネルギー受容率に対応するように、エネルギー安定化ユニットにおける蓄積率に基づいてエネルギー・バランスを求めることができる。
【0050】
内部エネルギー受信器によって受け取られた総エネルギー量と総エネルギー消費量および/または総エネルギー蓄積量との差が検出され、検出された差がエネルギー・バランスに関する測定された少なくとも1つの電気的パラメータの経時的な積分に関する差であるときに、エネルギー・バランスに関する監視された電圧および/または電流について積分を求めることができる。
【0051】
エネルギー消費量および/またはエネルギー蓄積量に関する測定された電気的パラメータの経時的な導関数を求めると、エネルギー・バランスに関する監視された電圧および/または電流について導関数を求めることができる。
【0052】
エネルギー蓄積デバイス内の第1および第2の蓄積デバイスを使用する際、第2の蓄積デバイスはエネルギーを直接または間接的に医療デバイスに供給することができ、その場合、差の変化は、第1の蓄積ユニットに蓄積されたエネルギー量の変化に対応する。この場合、第1の蓄積デバイスにおけるエネルギー蓄積率の経時的な変化を検出することによってエネルギー・バランスを求めることができ、エネルギー・バランスは変化に対応する。エネルギー蓄積量を示す測定された電気的パラメータの導関数を経時的に求めることによって、エネルギー蓄積量の変化を検出することもでき、この導関数は、エネルギー蓄積量の変化に対応する。電気的パラメータの変化率を検出することもでき、導関数が変化率に関係付けられる。電気的パラメータは、エネルギー・バランスに関する測定された電圧および/または電流であってよい。
【0053】
第1の蓄積デバイスは、コンデンサおよび半導体の少なくとも一方を含んでよく、第2の蓄積デバイスは、再充電可能な電池、アキュムレータ、およびコンデンサの少なくとも1つを含む。
【0054】
上述のように、無線エネルギーは、外部エネルギー源内の一次コイルから内部エネルギー受信器内の二次コイルに誘導的に伝送することができる。しかし、無線エネルギーを非誘導的に伝送することもできる。たとえば、無線エネルギーを音声または圧力の変化、無線、あるいは光によって伝送することができる。無線エネルギーをパルスまたは波で伝送し、かつ/あるいは電界によって伝送することもできる。
【0055】
無線エネルギーが外部エネルギー源から内部エネルギー受信器にパルスで伝送されるとき、パルスの幅を調整することによって無線エネルギーの伝送を制御することができる。
【0056】
内部エネルギー受信器による総エネルギー受容量と総エネルギー消費量との差を直接または間接的に経時的に測定すると、差の変化を検出することによってエネルギー・バランスを求めることができる。その場合、エネルギー消費量に関する測定された電気パラメータの導関数を経時的に求めることによってエネルギー消費量の変化を検出することができ、この導関数は、エネルギー消費量の変化率に対応し、変化率は変化の方向および速度を含む。この場合、電気パラメータの変化率を検出することができ、導関数が検出された変化率に関係付けられる。
【0057】
エネルギー蓄積デバイス内の第1および第2の蓄積デバイスを使用するとき、第2の蓄積デバイスと比べて比較的高いエネルギー充填率で充填され、それによって比較的高速の充填が可能になるように第1の蓄積デバイスを構成することができる。第1の蓄積デバイスは、第2の蓄積デバイスと比べてより頻繁に複数の個々の充填機会に充填され、それによって充填機会に関して比較的長い寿命が得られるように構成することもできる。第1の蓄積デバイスは少なくとも1つのコンデンサを備えてよい。通常、第1の蓄積デバイスのみを第2の蓄積デバイスに必要なよりも頻繁に充填することができる。
【0058】
第2の蓄積デバイスを充填する必要があるときは、充填に必要な時間を短縮するために、第1の蓄積デバイスが複数の個々の充填機会に充填され、それによって、第1の蓄積デバイス用の充填機会同士の間に、比較的低いエネルギー充填率で第2の蓄積デバイスを充填する時間が残る。医療デバイスの電気的パラメータを求めると、パラメータに基づいて第2の蓄積デバイスの充填を制御することができる。定電流回路または安定化電圧回路を使用して第2の蓄積デバイスにエネルギーを蓄積することができる。
【0059】
フィードバック・システムに基づいて無線エネルギー供給を制御するシステム 外部エネルギー源からの無線エネルギーの伝送は、立ち上がりおよび立下りを有する第1の電気回路からの電気パルスを外部エネルギー源に印加して無線エネルギーを伝送し、電気パルスの連続する立ち上がりと立下りとの間の第1の時間間隔の長さおよび/または電気パルスの連続する立下りと立ち上がりとの間の第2の時間間隔の長さを変化させ、第1および/または第2の時間間隔の長さに応じて変化する電力を有する電気パルスから生成された無線エネルギーを伝送することによって制御することができる。
【0060】
したがって、人体の外部に配置された外部エネルギー伝送デバイスから人体の内部に配置された内部エネルギー受信器に無線エネルギーを伝送する方法であって、
立ち上がりおよび立下りを有する第1の電気回路からの電気パルスを外部伝送デバイスに印加して無線エネルギーを伝送することと、
電気パルスの連続する立ち上がりと立下りとの間の第1の時間間隔の長さおよび/または電気パルスの連続する立下りと立ち上がりとの間の第2の時間間隔の長さを変化させることと、
第1および/または第2の時間間隔の長さに応じて変化する電力を有する電気パルスから生成された無線エネルギーを伝送することとを含む方法が提供される。
【0061】
人体の外部に配置された外部エネルギー伝送デバイスから人体の内部に配置された内部エネルギー受信器に無線エネルギーを伝送するように構成された装置であって、
無線エネルギーを供給するように構成された外部伝送デバイスに、立ち上がりおよび立下りを有する電気パルスを供給する第1の電気回路を備え、
電気回路は、電気パルスの連続する立ち上がりと立下りとの間の第1の時間間隔の長さおよび/または電気パルスの連続する立下りと立ち上がりとの間の第2の時間間隔の長さを変化させるように構成され、
伝送される無線エネルギーは、第1および/または第2の時間間隔の長さに応じて変化する電力を有する電気パルスから生成される装置も提供される。
【0062】
この方法および装置は、以下の様々な実施形態および特徴に従って実施することができる。
【0063】
その場合、第1および/または第2の時間間隔を変化させる際に電気パルスの周波数はほぼ一定であってよい。電気パルスを印加する際、電気パルスは、第1および/または第2の時間間隔が変化することを除いて変化しなくてよい。第1および/または第2の時間間隔を変化させる際、電気パルスの振幅はほぼ一定であってよい。さらに、電気パルスは、電気パルスの連続する立ち上がりと立下りとの間の第1の時間間隔の長さを変化させることによってのみ変化させることができる。
【0064】
2つ以上の電気パルスの列を一列として供給することができ、その場合、パルス列を印加する際、パルス列は、パルス列の開始位置に第1の電気パルスを有し、かつパルス列の終了位置に第2の電気パルスを有し、2つ以上のパルス列を一列として供給することができ、第1のパルス列内の第2の電気パルスの立下りとそれに続く、第2のパルス列の第1の電気パルスの立ち上がりとの間の第2の時間間隔の長さが変化する。
【0065】
電気パルスを印加する際、電気パルスは、ほぼ一定の電流とほぼ一定の電圧とを有してよい。電気パルスは、ほぼ一定の電流とほぼ一定の電圧とを有してもよい。さらに、電気パルスは、ほぼ一定の周波数を有してもよい。同様に、パルス列内の電気パルスは、ほぼ一定の周波数を有してよい。
【0066】
外部エネルギー源に電気パルスを印加すると、電気パルスは、第1および第2の時間間隔を変化させることによって変化する電磁界を外部エネルギー源上で生成することができ、電磁界は、内部エネルギー受信器に伝送されるエネルギーを保持する電気パルスを内部エネルギー受信器内に誘導することができる。その場合、無線エネルギーは、外部エネルギー源から内部エネルギー受信器にほぼ純粋に誘導的に伝送される。
【0067】
電気パルスは、第1および/または第2の時間間隔を変化させると、結果的に伝送されるエネルギーが変化するような、連続するパルス同士の間の周波数および/または時間周期で第1の電気回路から放出することができる。電気パルスを印加する際、電気パルスはほぼ一定の周波数を有してよい。
【0068】
第1の電気回路および外部エネルギー源によって形成される回路は、第1の固有時間周期または第1の時定数を有してよく、伝送されるエネルギーを効果的に変化させる際、そのような周波周期は、第1の固有時間周期または時定数の範囲以下であってよい。
【0069】
エネルギー・フィードバック・システムと一緒に使用される装置および方法の一実施形態 無線エネルギーを使用して、患者の器官の組織壁によって形成される内腔内の流体および/または他の体物質の流れを制御することができる。その場合、組織壁の少なくとも一部を軽く狭さくさせて内腔内の流れに影響を与えることができ、かつ狭さくした壁部を刺激し、壁部を収縮させて内腔内の流れにさらに影響を及ぼすことができる。
【0070】
本実施形態の目的は、体器官の組織壁によって形成される内腔内の流体および/または体物質の流れを制御するように構成された装置または制御する方法であって、そのような体器官を狭さくさせる移植された従来技術によって生じる組織壁の損傷の問題を少なくともほぼ解消するか、あるいは場合によっては完全に解消する装置または方法を提供することである。
【0071】
本発明のこの目的によれば、体器官の組織壁によって形成される内腔内の流体および/または体物質の流れを制御するように構成された装置または制御する方法であって、装置が、組織壁の一部を軽く狭さくさせて内腔内の流れに影響を与える移植可能な狭さくデバイスと、組織壁の壁部を刺激する刺激デバイスと、狭さくデバイスが壁部を狭さくさせるときに壁部を刺激し、壁部を収縮させて内腔内の流れにさらに影響を与えるように刺激デバイスを制御する制御デバイスとを備える装置または方法が提供される。
【0072】
本発明は、体器官内の流体および/または他の体物質の流れに2段階で影響を与える、狭さくデバイスと刺激デバイスの有利な組合せを提供する。したがって、狭さくデバイスは、比較的弱い力を壁部に加えることによって組織壁を軽く狭さくさせることができ、刺激デバイスは、狭さくした壁部を刺激して、内腔内の流れに所望の最終的な影響を及ぼすことができる。句「組織壁の一部を軽く狭さくさせる」は、組織壁内の血液循環をほとんど阻害せずに壁部を狭さくさせることと理解されたい。
【0073】
したがって、内腔内の流れを制御する方法と内腔内の流れを制御するように構成された
装置はどちらも、以下の様々な実施形態および特徴に従って実施することができる。
【0074】
好ましくは、刺激デバイスは、狭さくデバイスが壁部を狭さくさせるときに壁部のそれぞれの異なる領域を刺激するように構成され、制御デバイスは、壁部の各領域を間欠的にかつ個別に刺激するように刺激デバイスを制御する。器官の壁部のそれぞれの異なる領域をこのように間欠的にかつ個別に刺激すると、壁部の組織は、本発明の装置の動作時にほぼ正常な血液循環を維持することができる。
【0075】
狭さくデバイスと刺激デバイスの組合せは、任意の種類の器官、限定するわけではないが特に管状体器官の任意の場所に本発明の装置または方法を適用するのを可能にするが、これは、括約筋の機能不全を生じさせる電気刺激に制限される従来の刺激デバイスと比べて顕著な進歩である。
【0076】
本発明を使用するたいていの用途では、移植された狭さくデバイスが毎日調整される。したがって、本発明の好ましい実施形態では、狭さくデバイスは、必要に応じて壁部の狭さくを調整するのを可能にするように調整可能であり、その場合、制御デバイスは、壁部の狭さくを調整するように狭さくデバイスを制御する。制御デバイスは、狭さくデバイスと刺激デバイスを互いに独立してかつ同時に制御することができる。任意に、制御デバイスは、壁部の狭さくを変化させるように狭さくデバイスを制御しつつ、壁部を刺激するかあるいは壁部を刺激しないように刺激デバイスを制御することができる。
【0077】
最初、制御デバイスを使用して、壁部を刺激するように刺激デバイスを制御し、一方、内腔内の流れの所望の制限が得られるまで壁部の狭さくを調整するように狭さくデバイスを制御することによって、狭さくデバイスを較正することができる。
【0078】
流れ制限 本発明の装置は、体器官の内腔内の流体および/または他の体物質の流れを制限するのによく適している。したがって、本発明の原理的な実施形態では、狭さくデバイスは、壁部を狭さくさせて内腔内の流れを少なくとも制限するように構成され、制御デバイスは、狭さくした壁部を収縮させ、したがって、内腔内の流れが少なくともさらに制限されるように刺激デバイスを制御する。具体的には、狭さくデバイスは、壁部を狭さくさせ、狭さくした壁部内の血液循環がほぼ制限されず、内腔内の流れが少なくとも制限される狭さく状態にするように構成され、制御デバイスは、壁部を収縮させ、したがって、壁部が狭さくデバイスによって狭さく状態に維持されているときに内腔内の流れが少なくともさらに制限されるように刺激デバイスを制御する。
【0079】
狭さくデバイスおよび刺激デバイスは、本発明の装置の特定の用途で実現されるのが望ましい流れ制限に応じた程度にそれぞれ狭さくおよび刺激を行うように制御することができる。したがって、第1の流れ制限態様によれば、制御デバイスは、壁部を狭さくさせ、したがって、内腔内の流れが制限されるかまたは停止されるように狭さくデバイスを制御し、かつ狭さくした壁部を刺激して収縮させ、したがって、内腔内の流れがさらに制限されるかあるいはより安全に停止されるように刺激デバイスを制御する。より正確には、制御デバイスは、狭さくした壁部を刺激して内腔内の流れをさらに制限するかあるいは停止するように第1のモードで刺激デバイスを制御し、
a)壁部の刺激を停止して内腔内の流量を増大させるように第2のモードで刺激デバイスを制御し、
b)壁部の刺激を停止し、壁部を解放して内腔内の流れを回復するように第2のモードで刺激デバイスおよび狭さくデバイスを制御する。
【0080】
内腔内の流体および/または他の体物質の移動 一実施形態では、狭さくデバイスは、壁部を狭さくさせて内腔内の流れを制限するかあるいは変化させるように構成され、制御デバイスは、狭さくした壁部を内腔の下流側方向または上流側方向で徐々に刺激し、壁部を徐々に収縮させて内腔内の流体および/または他の体物質を移動させるように刺激デバイスを制御する。
【0081】
刺激 制御デバイスは、たとえば、それぞれの異なる領域を順次刺激することによって、壁部の1つまたは複数の領域を一度に刺激するように刺激デバイスを制御することができる。
さらに、制御デバイスは、各領域の刺激を、好ましくは所定の刺激パターンに従って壁部に沿って循環的に伝搬するように刺激デバイスを制御することができる。組織壁の刺激時に組織壁の所望の反応を得るために、制御デバイスは、壁部の刺激の強度を、好ましくは循環的に変化させるように刺激デバイスを制御することができる。
【0082】
本発明の好ましい実施形態では、制御デバイスは、好ましくはパルス列を形成するパルスによって壁部の各領域を間欠的に刺激するように刺激デバイスを制御する。壁部の各領域の少なくとも第1の領域および第2の領域をそれぞれ第1のパルス列および第2のパルス列によって、第1のパルス列と第2のパルス列が経時的に互いに対してずれるように繰り返し刺激することができる。たとえば、第1の領域を第1のパルス列によって刺激し、一方、第2のパルス列による第2の領域の刺激を行わないことができ、また、第2の領域を第2のパルス列によって刺激し、一方、第1のパルス列による第1の領域の刺激を行わないことができる。あるいは、第1のパルス列と第2のパルス列が少なくとも部分的に重なり合うように第1のパルス列と第2のパルス列を互いに対してずらすことができる。
【0083】
パルス列は多数の異なる方法で構成することができる。したがって、制御デバイスは、パルス列のパルスの振幅、各パルス列の個々のパルスを負荷サイクル、パルス列の各パルスの幅、各パルス列の長さ、パルス列の各パルスの繰り返し周波数、各パルス列の繰り返し周波数、各パルス列のパルスの数、および/または各パルス列間のオフ・タイム周期を変化させるように刺激デバイスを制御することができる。それぞれの異なる構成のいくつかのパルス列を使用して所望の効果を得ることができる。
【0084】
制御デバイスが、壁部のそれぞれの領域を刺激する各パルス列間のオフ・タイム周期を変化させるように刺激デバイスを制御する場合、その領域がオフ・タイム周期中に刺激されないときにその領域内にほぼ正常な血液循環を回復するのに十分な時間にわたって持続するように各パルス列間の各オフ・タイム周期を制御することも可能である。
【0085】
電気刺激デバイスは好適には、壁部に係合し、電気パルスによって壁部を刺激する、少なくとも1つ、好ましくは複数の、電極などの電気部材を備える。任意に、各電気部材を互いに対して一定の向きに配置することができる。制御デバイスは、電気部材を一度に1つずつあるいは一度に数群の電気部材を通電するように電気刺激デバイスを制御する。制御デバイスは、電気パルスによって各部材を循環的に通電するように電気刺激デバイスを制御することが好ましい。任意に、制御デバイスは、電気部材が一度に1つずつ順次通電されるか、あるいはいくつかの電気部材または数群の電気部材が同時に通電されるように各電気部材を通電するように刺激デバイスを制御することができる。さらに、数群の電気部材を無作為にあるいは所定のパターンに従って順次通電することができる。
【0086】
電気部材は、電気部材の任意のパターンを形成することができる。好ましくは、電気部材は、電気部材の細長いパターンを形成し、その場合、電気部材の細長いパターンが器官の壁に沿って長さ方向に延び、かつ電気部材が壁部のそれぞれの領域に当接するように、電気部材を患者の器官の壁に取り付けることができる。電気部材の細長いパターンは、器官の壁に沿って長さ方向に延びる一列または複数列の電気部材を含んでよい。電気部材の各列は、電気部材の直線状、らせん状、またはジグザグ状の経路を形成するか、あるいは任意の形態の経路を形成することができる。制御デバイスは、電気部材の細長いパターンに沿って長手方向に、患者の内腔内の流れに対して逆方向または同方向に連続的に通電するように刺激デバイスを制御することができる。
【0087】
本発明の好ましい実施形態によれば、電気部材は、各群が、患者の内腔内の流れ方向に患者の器官に沿って延びる一連の群を形成する、複数部材群を形成する。各電気部材群の電気部材は、患者の器官の周囲の少なくとも一部に沿って延びる部材の経路を形成することができる。第1の代替実施形態では、各電気部材群の電気部材は、患者の器官のそれぞれの異なる側を、好ましくは患者の内腔内の流れ方向をほぼ横切って延びる、2つよりも多くの部材経路を形成することができる。制御デバイスは、一連の群における電気部材群を無作為にあるいは所定のパターンに従って通電するように刺激デバイスを制御することができる。あるいは、制御デバイスは、狭さくした壁部のほぼ中心の位置から、患者の内腔内の流れに対して逆方向または同方向、あるいはその両方向に、一連の群における電気部材群を連続的に通電するように刺激デバイスを制御することができる。たとえば、通電された電気部材の群は、上述のように、通電された電気部材の前進波を形成することができ、すなわち、制御デバイスは、狭さくした壁部の中心から電気部材の細長いパターンの両端に向かう互いに逆の2つの方向に同時に前進する、通電された電気部材の2つの波を形成するように、各電気部材群を通電するように刺激デバイスを制御することができる。
【0088】
機械操作 操作デバイスは、狭さく/刺激ユニットの狭さくデバイスを機械的に動作させる場合、膨張不能であってよい。さらに、操作デバイスは、歯車箱を含んでよいサーボ・システムを備えてよい。語「サーボ・システム」は、サーボ機構の通常の定義、すなわち、非常に小さな力によって大きな力を制御する自動デバイスを包含するが、その代わりにあるいはそれに加えて、長いストロークを有する移動部材に作用する弱い力を短いストロークを有する他の移動部材に作用する強い力に変換する機構の定義を包含してよい。操作デバイスは、狭さくデバイスを非磁気的にかつ/あるいは非手動で動作させることが好ましい。操作デバイスにモータを動作可能に連結することができる。操作デバイスは、少なくとも1つの可逆機能を実行するように動作可能であってよく、モータは、この機能を反転させることができてよい。
【0089】
油圧操作 操作デバイスが、制限/刺激ユニットの狭さくデバイスを油圧式に動作させる場合、操作デバイスは、狭さくデバイスを調整する油圧手段を含む。
【0090】
本発明の一実施形態では、油圧手段は、リザーバと膨張可能/収縮可能なキャビティとを狭さくデバイスに備え、その場合、操作デバイスは、油圧流体をリザーバから分散させてキャビティを膨張させ、油圧流体をキャビティからリザーバまで分散させてキャビティを収縮させる。キャビティは、患者の器官の組織壁部に当接する狭さくデバイスのバルーンによって形成することができ、したがって、患者の壁部は、キャビティの膨張時に狭さくし、キャビティの収縮時に解放される。
【0091】
あるいは、キャビティは、狭さくデバイスの比較的大きな収縮部材、たとえば、壁部に当接する大きなバルーンを変位させる蛇腹部材によって形成することができ、したがって、患者の壁部は、蛇腹部材の収縮時に狭さくし、蛇腹部材の膨張時に解放される。したがって、蛇腹部材に油圧流体を比較的少量添加すると、壁部の狭さくがかなり増大する。このような蛇腹部材は、適切に構成されたピストン/シリンダ機構で置き換えることもできる。
【0092】
油圧手段が狭さくデバイスにキャビティを備える場合、本発明の装置は、以下に列挙する態様に従って構成することができる。
【0093】
1)リザーバは、第1および第2の壁部を備え、操作デバイスは、第1および第2の壁部を互いに対して変位させてリザーバの体積を変化させ、したがって、流体がリザーバからキャビティ、またはキャビティからリザーバに分散する。
【0094】
1a)リザーバの第1および第2の壁部は、磁気デバイス、油圧デバイス、電気制御デバイスの少なくとも1つによって互いに対して変位可能である。
【0095】
2)装置は、リザーバとキャビティとの間に流体導管を備え、その場合、リザーバは導管の一部を形成する。導管およびリザーバおよび装置には逆止め弁はない。リザーバは、可変体積を有する流体チャンバを形成し、チャンバの体積を低減させることによって流体をチャンバからキャビティに分散させ、チャンバの体積を増大させることによって流体をキャビティから引き出す。装置は、チャンバの体積を変化させる可動壁を備えるリザーバを駆動するモータをさらに備える。
【0096】
本発明の特殊な実施形態では、操作デバイスは、油圧手段に動作可能に連結された反転サーボを備える。語「反転サーボ」は、短いストロークを有する移動部材に作用する強い力を長いストロークを有する他の移動部材に作用する弱い力に変換する機構、すなわち、通常のサーボ機構の逆の機能であると理解されたい。したがって、より小さいリザーバ内の流体の量のわずかな変化が、反転サーボによって、より大きなリザーバ内の流体の量の大きな変化に変換される。反転サーボは特に、その手動操作に適している。
【0097】
制御デバイスの構成 制御デバイスは好適には、患者の体外から狭さく/刺激ユニットを制御する。制御デバイスは、患者によって操作可能であることが好ましい。たとえば、制御デバイスは、狭さく/刺激ユニットのオンとオフを切り替える手動スイッチを備えてよく、その場合、スイッチは、患者に皮下移植され、患者の体外から手動であるいは磁気的に操作されるように構成される。あるいは、制御デバイスは、好都合なことに、狭さく/刺激ユニットのオンとオフを切り替えるように患者によって操作可能である手持ち式無線リモート・コントロールを備えることができる。無線リモート・コントロールは、腕時計のように患者の体に取り付けられるように構成することもできる。このような腕時計型のリモート・コントロールは、装置の移植された信号応答手段に患者の体を従わせる制御信号を放出することができる。
【0098】
外部エネルギー伝送デバイスからの無線エネルギーの伝送は、立ち上がりおよび立下りを有する第1の電気回路からの電気パルスを外部エネルギー伝送デバイスに印加し、電気パルスの連続する立ち上がりと立下りとの間の第1の時間間隔の長さおよび/または電気パルスの連続する立下りと立ち上がりとの間の第2の時間間隔の長さを変化させ、第1および/または第2の時間間隔の長さに応じて変化する電力を有する電気パルスから生成された無線エネルギーを伝送することによって制御することができる。
【0099】
したがって、無線エネルギーの伝送を制御する方法であって、
立ち上がりおよび立下りを有する第1の電気回路からの電気パルスを外部伝送デバイスに印加して無線デバイスを伝送することと、
電気パルスの連続する立ち上がりと立下りとの間の第1の時間間隔の長さおよび/または電気パルスの連続する立下りと立ち上がりとの間の第2の時間間隔の長さを変化させることと、
第1および/または第2の時間間隔の長さに応じて変化する電力を有する電気パルスから生成された無線エネルギーを伝送することとを含む方法が提供される。
【0100】
さらに、人体の外部に配置された外部エネルギー伝送デバイスから人体の内部に配置された内部エネルギー受信器に無線エネルギーを伝送するように構成された装置であって、 無線エネルギーを供給するように構成された外部エネルギー伝送デバイスに、立ち上がりおよび立下りを有する電気パルスを供給する第1の電気回路を備え、
電気回路が、電気パルスの連続する立ち上がりと立下りとの間の第1の時間間隔の長さおよび/または電気パルスの連続する立下りと立ち上がりとの間の第2の時間間隔の長さを変化させるように構成され、
伝送されるエネルギーが、第1および/または第2の時間間隔の長さに応じて変化する電力を有する電気パルスから生成される装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0101】
図1】電気的に動作可能な医療デバイスに正確な量のエネルギーを供給する構成を示す概略ブロック図である。
図2】患者に移植された電気的に動作可能な医療デバイスに供給される無線エネルギーの伝送を制御する装置のより詳細なブロック図である。
図3】可能な実施例による、無線エネルギーの伝送を制御する装置の提案された構成を示す概略回路図である。
図4図3の回路図による本発明の方法および装置を実施する際に得られる様々な測定値を示す図である。
図5図3の回路図による本発明の方法および装置を実施する際に得られる様々な測定値を示す図である。
図6図3の回路図による本発明の方法および装置を実施する際に得られる様々な測定値を示す図である。
図7図3の回路図による本発明の方法および装置を実施する際に得られる様々な測定値を示す図である。
図8図3の回路図による本発明の方法および装置を実施する際に得られる様々な測定値を示す図である。
図9図3の回路図による本発明の方法および装置を実施する際に得られる様々な測定値を示す図である。
図10図3の回路図による本発明の方法および装置を実施する際に得られる様々な測定値を示す図である。
図11図3の回路図による本発明の方法および装置を実施する際に得られる様々な測定値を示す図である。
図12図3の回路図による本発明の方法および装置を実施する際に得られる様々な測定値を示す図である。
図13a】本発明による装置の一般的な実施形態のそれぞれの異なる動作状態を概略的に示す図である。
図13b】本発明による装置の一般的な実施形態のそれぞれの異なる動作状態を概略的に示す図である。
図13c】本発明による装置の一般的な実施形態のそれぞれの異なる動作状態を概略的に示す図である。
図13d】本発明による装置の一般的な実施形態のそれぞれの異なる動作状態を概略的に示す図である。
図13e】本発明による装置の一般的な実施形態のそれぞれの異なる動作状態を概略的に示す図である。
図13f】一般的な実施形態の変形例のそれぞれの異なる動作状態を示す図である。
図13g】一般的な実施形態の変形例のそれぞれの異なる動作状態を示す図である。
図13h】一般的な実施形態の変形例それぞれの異なる動作状態を示す図である。
図13i】一般的な実施形態の変形例の他の動作モードを示す図である。
図13j】一般的な実施形態の変形例の他の動作モードを示す図である。
図13k】一般的な実施形態の変形例の他の動作モードを示す図である。
図14】狭さくデバイスおよび電気刺激デバイスを含む本発明による装置の好ましい実施形態の長手方向断面図である。
図15図10の線III-IIIに沿った断面図である。
図16図11に示されているのと同じ断面図であるが、異なる動作状態にある装置を示す図である。
図17a】パルスの変形例を示す図である。
図17b】パルス列の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0102】
次に、本発明について、添付の図面を参照して詳しく説明する。
【0103】
簡単に説明すると、無線エネルギーが、患者の外部に配置された外部エネルギー源から送られ、患者の内部に配置された内部エネルギー受信器によって受け取られる。内部エネルギー受信器は、患者に移植された電気的に動作可能な医療デバイスに接続されており、受け取られたエネルギーを医療デバイスに直接または間接的に供給する。内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーと医療デバイスに使用されるエネルギーとのエネルギー・バランスが求められ、次に、求められたエネルギー・バランスに基づいて無線エネルギーの伝送が制御される。したがって、エネルギー・バランスは、温度を過度に上昇させずに医療デバイスを適切に動作させるのに十分な、必要とされるエネルギーの正しい量を正確に示す。
【0104】
図1には、患者に移植された電気的に動作可能な医療デバイス100に正確な量のエネルギーを供給する構成が概略的に示されており、患者の皮膚が、患者の内部「Int」を外部「Ext」から分離する縦線Sによって示されている。医療デバイス100は、患者の内部の、好ましくは皮膚Sのすぐ下に配置された内部エネルギー受信器102に接続されている。一般的に言えば、エネルギー受信器102は、腹部、胸部、(たとえば、副壁内の)筋膜、皮下、または任意の他の適切な位置に配置することができる。エネルギー受信器102は、皮膚Sの外側の、エネルギー受信器102の近傍に配置された外部エネルギー源104から送られた無線エネルギーEを受け取るように構成されている。
【0105】
当技術分野で公知のように、無線エネルギーEは一般に、エネルギー源104内に配置された一次コイルと、エネルギー受信器102内に配置された隣接する二次コイルとを含むデバイスのような、任意の適切なTETデバイスによって送ることができる。一次コイルを通って電流が送られると、電圧の形態のエネルギーが二次コイル内で誘導され、たとえば、受け取られたエネルギーを電池やコンデンサのような、エネルギー蓄積デバイスまたはアキュムレータに蓄積した後で、このエネルギーを使用して医療デバイスを動作させることができる。しかし、本発明は一般に、特定のエネルギー伝送技術や、TETデバイスや、エネルギー蓄積デバイスに限定されず、あらゆる種類の無線エネルギーを使用することができる。
【0106】
伝送されるエネルギーの量は、上述のように求められたエネルギー・バランスに基づいてエネルギー源104を制御する外部制御ユニット106によって調整することができる。正しい量のエネルギーを伝送するには、医療デバイス100に接続された内部制御ユニット108によってエネルギー・バランスおよびエネルギー必要量を求めることができる。制御ユニット108は、医療デバイス100を適切に動作させるのに必要な必要エネルギー量を何らかの点で反映する医療デバイス100のある特性を測定する適切なセンサなど(不図示)によって得られる様々な測定値を受け取るように構成することができる。さらに、患者の現在の状態を適切な測定デバイスまたはセンサによって検出し、患者の状態を反映するパラメータを得ることもできる。したがって、このような特性および/またはパラメータを電力消費量、動作モード、温度のような医療デバイス100の現在の状態と、たとえば体温、血圧、脈拍、呼吸によって反映される患者の状態に関係付けることができる。
【0107】
さらに、エネルギー蓄積デバイスまたはアキュムレータ(不図示)をエネルギー受信器102に接続して、後で医療デバイス100によって使用される受け取られたエネルギーを蓄積することもできる。この代わりにあるいはこれに加えて、やはりエネルギー必要量を反映するエネルギー蓄積デバイスの特性を測定することもできる。エネルギー蓄積デバイスは電池であってよく、測定された特性は、電圧、温度のような電池の現在の状態に関係付けることができる。医療デバイス100に十分な電圧および電流を供給し、さらに過度の加熱を回避するには、エネルギー受信器102から正しい量のエネルギー、すなわち、少な過ぎずかつ多過ぎないエネルギーを受け取ることによって電池を最適に充電する必要があることを明確に理解されたい。エネルギー蓄積デバイスは、対応する特性を有するコンデンサであってもよい。
【0108】
たとえば、電池の特性を定期的に測定して電池の現在の状態を判定し、次に、この状態を内部制御ユニット108内の適切な蓄積手段に状態情報として蓄積することができる。したがって、新しい測定が行われるたびに、それに応じて、蓄積されている電池状態情報を更新することができる。このように、正しい量のエネルギーを伝送することによって電池の状態を「較正」し、電池を最適な状態に維持することができる。
【0109】
したがって、内部制御ユニット108は、医療デバイス100、または患者、またはエネルギー蓄積デバイスが使用される場合にはエネルギー蓄積デバイス、またはそれらの任意の組合せにおける上述のセンサまたは測定デバイスによる測定値に基づいてエネルギー・バランスおよび/または現在のエネルギー必要量(単位時間当たりエネルギー量またはエネルギー蓄積量)を求めるように構成されている。内部制御ユニット108はさらに、求められたエネルギー必要量を反映する制御信号を、外部制御ユニット106に接続された外部信号受信器112に送信するように構成された内部信号送信器110に接続されている。したがって、エネルギー源104から伝送されるエネルギーの量は、受信された制御信号に応じて調整することができる。
【0110】
あるいは、センサ測定値を外部制御ユニット106に直接送ることができ、その場合、エネルギー・バランスおよび/または現在のエネルギー必要量を外部制御ユニット106によって求め、したがって、外部制御ユニット106内の内部制御ユニット108の上述の機能を統合することができる。この場合、内部制御ユニット108を省略することができ、センサ測定値は、測定値を受信器112および外部制御ユニット106に送る信号送信器110に直接供給される。したがって、エネルギー・バランスおよび現在のエネルギー必要量は、このようなセンサ測定値に基づいて外部制御ユニット106によって求めることができる。
【0111】
したがって、本解決手段は、たとえばエネルギーの量、エネルギー差、医療デバイスによるエネルギー使用率に対するエネルギー受容率に関する、受け取られたエネルギーと実際のエネルギー使用との比較に基づくものであるために従来の解決手段よりも効率的である、必要なエネルギーを示す情報のフィードバックを使用する。医療デバイスは、受け取られたエネルギーを使用してエネルギーを消費するかあるいはエネルギー蓄積デバイスなどに蓄積することができる。したがって、必要に応じて、さらに実際のエネルギー・バランスを求める手段として、上述の差分パラメータを使用することができる。しかし、そのようなパラメータはまた、基本的に、体内で特に医療デバイスを動作させるために取られるあらゆる措置に関して必要になることがある。
【0112】
内部信号送信器110および外部信号受信器112は、無線信号、IR(赤外線)信号、超音波信号のような適切な信号転送手段を使用する別個のユニットとして実施することができる。あるいは、基本的に同じ伝送技術を使用してエネルギー伝送に対する逆方向に制御信号を搬送するように、信号送信器110および信号受信器112をそれぞれ内部エネルギー受信器102およびエネルギー源104に組み込むことができる。制御信号は、周波数、位相、または振幅に関して変調することができる。
【0113】
結論として、図1に示されているエネルギー供給構成は基本的に以下のように動作することができる。まず、内部制御ユニット108によってエネルギー・バランスが求められる。エネルギー必要量を反映する制御信号Sも内部制御ユニット108によって生成され、制御信号Sは、信号送信器110から信号受信器112に送信される。あるいは、その代わりに、上述のように実施例に応じて、外部制御ユニット106によってエネルギー・バランスを求めることができる。その場合、制御信号Sは、様々なセンサからの測定結果を搬送することができる。したがって、たとえば、受信された制御信号Sに応答して、求められたエネルギー・バランスに基づいて、エネルギー源104から放出されたエネルギーの量を外部制御ユニット106によって調整することができる。このプロセスは、実行中のエネルギー伝送時にある間隔で間欠的に繰り返すか、あるいはエネルギー伝送時にほぼ連続的に実行することができる。
【0114】
エネルギー伝送量は一般に、電圧、電流、振幅、波周波数、パルス特性のような、エネルギー源104における様々な伝送パラメータを調整することによって調整することができる。
【0115】
図2は、受け取られたエネルギーが医療デバイス200にどのように供給されかつ医療デバイス200によってどのように使用されるかについての、いくつかの異なる実施形態を示している。図1の例と同様に、内部エネルギー受信器202は、伝送制御ユニット206によって制御される外部エネルギー源204から無線エネルギーEを受け取る。内部エネルギー受信器202は、図では破線のボックス「定V」として示され、医療デバイス200に一定の電圧でエネルギーを供給する定電圧回路を備えてよい。内部エネルギー受信器202は、図では破線のボックス「定C」として示され、医療デバイス200に一定の電流でエネルギーを供給する定電流回路を備えてよい。
【0116】
医療デバイス200は、モータ、ポンプ、制限デバイス、または電気的に操作されるためのエネルギーを必要とする任意の他の医療機器であってよいエネルギー消費部200aを備えている。医療デバイス200は、内部エネルギー受信器202から供給されたエネルギーを蓄積するエネルギー蓄積デバイス200bをさらに備えてよい。したがって、供給されたエネルギーは、エネルギー消費部200aによって直接消費するかまたはエネルギー蓄積デバイス200bによって蓄積することができ、あるいは供給されたエネルギーの一部を消費し、一部を蓄積することができる。医療デバイス200は、内部エネルギー受信器202から供給されたエネルギーを安定化するエネルギー安定化ユニット200cをさらに備えてよい。したがって、エネルギーは、消費または蓄積される前に安定化する必要が生じるように変動状態で供給することができる。
【0117】
内部エネルギー受信器202から供給されたエネルギーはさらに、医療デバイス200によって消費されかつ/あるいは蓄積される前に、医療デバイス200の外部に配置された別個のエネルギー安定化ユニット208によって蓄積しかつ/あるいは安定化することができる。あるいは、エネルギー安定化ユニット208を内部エネルギー受信器202に組み込むことができる。いずれの場合も、エネルギー安定化ユニット208は、定電圧回路および/または定電流回路を備えてよい。
【0118】
図1および図2は、様々な図示の機能構成部材および機能部材をどのように配置しかつ互いに接続するかに関する可能であるが非制限的ないくつかの実施例を示している。しかし、当業者には、本発明の範囲内で多数の変形および修正を施すことができることが容易に理解されよう。
【0119】
したがって、患者に移植された電気的に操作可能な医療デバイスに供給される無線エネルギーの伝送を制御する方法が提供される。無線エネルギーは、患者の外部に配置された外部エネルギー源から送られ、患者の内部に配置された内部エネルギー受信器によって受け取られ、内部エネルギー受信器は、医療デバイスに接続されており、受け取られたエネルギーを医療デバイスに直接または間接的に供給する。内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーと医療デバイスに使用されるエネルギーとのエネルギー・バランスが求められ、次に、求められたエネルギー・バランスに基づいて外部エネルギー源からの無線エネルギーの伝送が制御される。
【0120】
患者に移植された電気的に操作可能な医療デバイスに供給される無線エネルギーの伝送を制御する装置も提供される。装置は、患者の外部に配置された外部エネルギー源から、患者の内部に配置された内部エネルギー受信器によって受け取られる無線エネルギーを送るように構成されており、内部エネルギー受信器は、医療デバイスに接続されており、受け取られたエネルギーを医療デバイスに直接または間接的に供給する。装置はさらに、内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーと医療デバイスに使用されるエネルギーとのエネルギー・バランスを求め、求められたエネルギー・バランスに基づいて外部エネルギー源からの無線エネルギーの伝送を制御するように構成される。
【0121】
この方法および装置は、以下の様々な実施形態および特徴に従って実施することができる。
【0122】
無線エネルギーは、外部エネルギー源内の一次コイルから内部エネルギー受信器内の二次コイルに誘導的に伝送することができる。エネルギー・バランスの変化を検出し、検出されたエネルギー・バランスの変化に基づいて無線エネルギーの伝送を制御することができる。内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーと医療デバイスに使用されるエネルギーとの差を検出し、検出されたエネルギー差に基づいて無線エネルギーの伝送を制御することもできる。
【0123】
エネルギーの伝送を制御する際、検出されたエネルギー・バランスの変化が、エネルギー・バランスが増大していることを示す場合に無線エネルギー伝送量を低減させ、検出されたエネルギー・バランスの変化が、エネルギー・バランスが低減していることを示す場合に無線エネルギー伝送量を増大させることができる。さらに、エネルギー伝送量の増減を検出された変化率に対応させることができる。
【0124】
検出されたエネルギー差が、受け取られたエネルギーが使用されたエネルギーよりも多いことを示す場合に、無線エネルギー伝送量をさらに低減させ、検出されたエネルギー差が、受け取られたエネルギーが使用されたエネルギーよりも少ないことを示す場合に、無線エネルギー伝送量をさらに増大させることができる。この場合、エネルギー伝送量の増減を検出されたエネルギー差の大きさに対応させることができる。
【0125】
上述のように、医療デバイスに使用されるエネルギーを消費して医療デバイスを動作させ、かつ/あるいは医療デバイスの少なくとも1つのエネルギー蓄積デバイスに蓄積することができる。
【0126】
一代替実施形態では、医療デバイスに使用されるほぼすべてのエネルギーが、医療デバイスを動作させるのに(たとえば、図2の消費部200aによって)消費される。その場合、エネルギーは、医療デバイスの少なくとも1つのエネルギー安定化ユニットで安定化された後に消費することができる。
【0127】
他の代替実施形態では、医療デバイスに使用されるほぼすべてのエネルギーが、少なくとも1つのエネルギー蓄積デバイスに蓄積される。他の代替実施形態では、医療デバイスに使用されるエネルギーの一部が医療デバイスを動作させるのに消費され、一部が少なくとも1つのエネルギー蓄積デバイスに蓄積される。
【0128】
内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーは、直接または間接的に医療デバイスに供給される前にコンデンサによって安定化することができる。
【0129】
内部エネルギー受信器による総エネルギー受容量と総エネルギー消費量および/または総エネルギー蓄積量との差を直接または間接的に経時的に測定することができ、次に、検出された総差分の変化に基づいてエネルギー・バランスを求めることができる。
【0130】
さらに、内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーを、医療デバイスに供給する前にエネルギー安定化ユニットにおいて蓄積し安定化しておくことができる。その場合、エネルギー消費量および/またはエネルギー蓄積量の検出される経時的な変化に基づいて、エネルギー・バランスを求めることができる。さらに、エネルギー消費量および/またはエネルギー蓄積量に関する測定された電気パラメータの導関数を経時的に求めることによって、エネルギー消費量および/またはエネルギー蓄積量の変化を検出することができ、その場合、第1の所与の瞬間における導関数は、第1の所与の瞬間における変化率に対応し、変化率は変化の方向および速度を含む。さらに、導関数は、電気的パラメータの検出された変化率に基づいて求めることができる。
【0131】
内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーは、少なくとも1つの一定の電圧によって医療デバイスに供給することができ、その場合、一定の電圧は定電圧回路によって生成される。この場合、エネルギーは、少なくとも1つの一定の電圧を含む、少なくとも2つの異なる電圧によって供給することができる。
【0132】
内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーは、少なくとも1つの一定の電流によって医療デバイスに供給することもでき、その場合、一定の電流は定電流回路によって生成される。この場合、エネルギーは、少なくとも1つの一定の電流を含む、少なくとも2つの異なる電流によって供給することができる。
【0133】
エネルギー・バランスは、内部エネルギー受信器による総エネルギー受容量と総エネルギー消費量および/または総エネルギー蓄積量との検出された差に基づいて求めることもでき、その場合、検出された差は、エネルギー・バランスに関する測定された少なくとも1つの電気的パラメータの経時的な積分に関する差である。この場合、電気的パラメータの値は、パラメータ-時間図のグラフとして時間に対してプロットすることができ、プロットされたグラフの下方の領域のサイズから積分を求めることができる。電気的パラメータの積分は、内部エネルギー受信器による総エネルギー受容量と総エネルギー消費量および/または総エネルギー蓄積量との蓄積された差としてエネルギー・バランスに関係付けることができる。
【0134】
医療デバイス内のエネルギー蓄積デバイスは、再充電可能な電池、アキュムレータ、コンデンサの少なくとも1つを含んでよい。エネルギー安定化ユニットは、受け取られたエネルギーを安定化するように構成されたアキュムレータ、コンデンサ、または半導体の少なくとも1つを含んでよい。
【0135】
内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーを、医療デバイスおよび/またはエネルギー蓄積デバイスに供給する前に安定化ユニットにいて蓄積し安定化すると、定電圧回路に維持されている少なくとも1つの一定の電圧によって医療デバイスおよび/またはエネルギー蓄積デバイスにエネルギーを供給することができる。その場合、定電圧回路に維持され、少なくとも一方の電圧が一定である2つの異なる電圧を、医療デバイスおよびエネルギー蓄積デバイスに供給することができる。
【0136】
あるいは、内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーを、医療デバイスおよび/またはエネルギー蓄積デバイスに供給する前に安定化ユニットにおいて蓄積し安定化すると、定電流回路に維持されている少なくとも1つの一定の電流によって医療デバイスおよび/またはエネルギー蓄積デバイスにエネルギーを供給することができる。その場合、定電流回路に維持され、少なくとも一方の電流が一定である2つの異なる電流を、医療デバイスおよびエネルギー蓄積デバイスに供給することができる。
【0137】
無線エネルギーは最初、所定のエネルギー消費率と蓄積率とに従って伝送することができる。その場合、無線エネルギーの伝送は、所定の総エネルギー量が伝送されたときにオフにすることができる。この場合、内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーは、所定の総エネルギー量が消費されかつ/あるいは蓄積されるまで医療デバイスを動作させるのに消費されかつ/あるいはエネルギー蓄積デバイスに蓄積される前に、エネルギー安定化ユニットにおいて蓄積し安定化しておくこともできる。
【0138】
さらに、無線エネルギーをまず所定のエネルギー率で伝送し、次に、エネルギー安定化ユニットにおける総エネルギー蓄積量を検出することによって求めることのできるエネルギー・バランスに基づいて伝送することができる。あるいは、エネルギー安定化ユニットにおける現在のエネルギー蓄積量の変化を検出することによって求めることができる。他の代替実施形態では、エネルギー安定化ユニットにおける現在のエネルギー蓄積量の変化の方向および率を検出することによってエネルギー・バランスを求めることができる。
【0139】
無線エネルギーの伝送は、内部エネルギー受信器におけるエネルギー受容率がエネルギー消費率および/または蓄積率に対応するように制御することができる。その場合、無線エネルギーの伝送は、所定の総エネルギー量が消費されたときにオフにすることができる。
【0140】
内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーは、まずエネルギー安定化ユニットにおいて蓄積し安定化して、次に、所定の総エネルギー量が消費されるまで医療デバイスによって消費または蓄積することができる。その場合、エネルギー安定化ユニットにおける検出された総エネルギー蓄積量に基づいてエネルギー・バランスを求めることができる。あるいは、エネルギー安定化ユニットにおける現在のエネルギー蓄積量の変化を検出することによってエネルギー・バランスを求めることができる。他の代替実施形態では、エネルギー安定化ユニットにおける現在のエネルギー蓄積量の変化の方向および率を検出することによってエネルギー・バランスを求めることができる。
【0141】
図1に関連して述べたように、適切なセンサを使用して、医療デバイスを適切に動作させるのに必要なエネルギーの必要量を何らかの点で反映する、医療デバイスのある特性の測定および/または患者の現在の状態の検出を行うことができる。したがって、医療デバイスの電気的パラメータおよび/または物理的パラメータならびに/あるいは患者の物理的パラメータを求めることができ、次に、パラメータに基づいて求められる伝送率でエネルギーを伝送することができる。さらに、総エネルギー伝送量が前記パラメータに基づく量になるように無線エネルギーの伝送を制御することもできる。
【0142】
内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーを、まずエネルギー安定化ユニットにおいて蓄積し安定化して、次に、所定の総エネルギー量が消費されるまで消費することができる。さらに、内部エネルギー受信器におけるエネルギー受容率が所定のエネルギー消費率に対応するように無線エネルギーの伝送を制御することができる。
【0143】
さらに、医療デバイスの電気的パラメータおよび/または物理的パラメータならびに/あるいは患者の物理的パラメータを求め、パラメータに基づいて総エネルギー伝送量を求めることができる。その場合、内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーを、まずエネルギー安定化ユニットにおいて蓄積し安定化して、次に、所定の総エネルギー量が消費されるまで消費することができる。
【0144】
エネルギーは、所定の蓄積率に従ってエネルギー蓄積デバイスに蓄積される。次に、所定の総エネルギー量が蓄積されたときに無線エネルギーの伝送をオフにすることができる。さらに、内部エネルギー受信器におけるエネルギー受容率が所定の蓄積率に対応するように無線エネルギーの伝送を制御することができる。
【0145】
医療デバイスのエネルギー蓄積デバイスは、第1の蓄積デバイスと第2の蓄積デバイスとを備えてよく、その場合、内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーは、まず第1の蓄積デバイスに蓄積され、次に、第1の蓄積デバイスから後段の第2の蓄積デバイスに供給される。
【0146】
エネルギー蓄積デバイス内の第1および第2の蓄積デバイスを使用すると、エネルギー・バランスをそれぞれの異なる方法で求めることができる。第1に、第1の蓄積デバイスにおける現在のエネルギー蓄積量を検出することによってエネルギー・バランスを求めることができ、次に、第2の蓄積デバイスにおける蓄積率が内部エネルギー受信器におけるエネルギー受容率に対応するように無線エネルギーの伝送を制御することができる。第2に、第1の蓄積デバイスにおける検出された総エネルギー蓄積量に基づいてエネルギー・バランスを求めることができる。第3に、第1の蓄積デバイスにおける現在のエネルギー蓄積量の変化を検出することによってエネルギー・バランスを求めることができる。第4に、第1の蓄積デバイスにおける現在のエネルギー蓄積量の変化の方向および率を検出することによってエネルギー・バランスを求めることができる。
【0147】
安定化されたエネルギーはまず、第2の蓄積デバイスで測定された電圧が所定の最大電圧に達するまで、定電流回路によって維持されている一定の電流によって第1の蓄積デバイスから第2の蓄積デバイスに供給し、その後、定電圧回路によって維持されている一定の電圧によって第1の蓄積デバイスから第2の蓄積デバイスに供給することができる。その場合、所定の最低エネルギー伝送率に達したときに無線エネルギーの伝送をオフにすることができる。
【0148】
エネルギーの伝送はさらに、内部エネルギー受信器によるエネルギー受コンデンサが第2の蓄積デバイスにおけるエネルギー蓄積量に対応するように制御することができる。その場合、内部エネルギー受信器におけるエネルギー受容率が第2の蓄積デバイスにおけるエネルギー蓄積率に対応するように、エネルギーの伝送を制御することができる。内部エネルギー受信器における総エネルギー受容量が第2の蓄積デバイスにおける総エネルギー蓄積量に対応するように、エネルギーの伝送を制御することもできる。
【0149】
所定の総エネルギー量が蓄積されたときに無線エネルギーの伝送がオフにされる場合、医療デバイスの電気的パラメータおよび/または物理的パラメータならびに/あるいは患者の物理的パラメータを第1のエネルギー蓄積手順の間に求めることができ、その後のエネルギー蓄積手順の間に、パラメータに基づいて所定の総エネルギー量を蓄積することができる。
【0150】
医療デバイスの電気的パラメータおよび/または物理的パラメータならびに/あるいは患者の物理的パラメータを求めると、パラメータに基づいて求められた蓄積率でエネルギー蓄積デバイスにエネルギーを蓄積することができる。その場合、パラメータに基づいて求められる総エネルギー量をエネルギー蓄積デバイスに蓄積することができる。次に、総エネルギー量が蓄積されたときに無線エネルギーの伝送を自動的にオフにすることができる。内部エネルギー受信器におけるエネルギー受容率が蓄積率に対応するように無線エネルギーの伝送を制御することもできる。
【0151】
医療デバイスの電気的パラメータおよび/または物理的パラメータならびに/あるいは患者の物理的パラメータを求めると、パラメータに基づいて求められた総エネルギー量をエネルギー蓄積デバイスに蓄積することができる。その場合、パラメータに基づいて求められる総エネルギー量をエネルギー蓄積デバイスに蓄積することができる。次に、内部エネルギー受信器における総エネルギー受容量が総エネルギー蓄積量に対応するように無線エネルギーの伝送を制御することができる。さらに、総エネルギー量が蓄積されたときに無線エネルギーの伝送を自動的にオフにすることができる。
【0152】
医療デバイスに使用されるエネルギーの一部が消費され、一部が蓄積されるとき、所定のエネルギー消費率および所定のエネルギー蓄積率に基づいて無線エネルギーの伝送を制御することができる。その場合、消費され蓄積される所定の総エネルギー量が受け取られたときにエネルギーの伝送をオフにすることができる。消費され蓄積される所定の総エネルギー量が受け取られたときにエネルギーの伝送をオフにすることもできる。
【0153】
医療デバイスの電気的パラメータおよび/または物理的パラメータならびに/あるいは患者の物理的パラメータを求めると、前記パラメータに基づいて求められる単位時間当たり伝送率に従ってエネルギーを伝送して、消費し蓄積することができる。総エネルギー伝送量をパラメータに基づいて求めることもできる。
【0154】
医療デバイスの電気的パラメータおよび/または物理的パラメータならびに/あるいは患者の物理的パラメータを求めると、前記パラメータに基づいて求められた供給率でエネルギーをエネルギー蓄積デバイスから医療デバイスに供給して消費することができる。その場合、エネルギー蓄積デバイスから医療デバイスに供給されて消費される総エネルギー量を前記パラメータに基づく量にすることができる。
【0155】
医療デバイスの電気的パラメータおよび/または物理的パラメータならびに/あるいは患者の物理的パラメータを求めると、総エネルギー量をエネルギー蓄積デバイスから医療デバイスに供給して消費することができ、その場合、総エネルギー供給量はパラメータに基づいて求められる。
【0156】
内部エネルギー受信器によって受け取られたエネルギーをエネルギー安定化ユニットにおいて蓄積し安定化すると、エネルギー蓄積デバイスにおける蓄積率が内部エネルギー受信器におけるエネルギー受容率に対応するように、エネルギー安定化ユニットにおける蓄積率に基づいてエネルギー・バランスを求めることができる。
【0157】
内部エネルギー受信器によって受け取られた総エネルギー量と総エネルギー消費量および/または総エネルギー蓄積量との差が検出され、検出された差がエネルギー・バランスに関する測定された少なくとも1つの電気的パラメータの経時的な積分に関する差であるときに、エネルギー・バランスに関する監視された電圧および/または電流について積分を求めることができる。
【0158】
エネルギー消費量および/またはエネルギー蓄積量に関する測定された電気的パラメータの経時的な導関数を求めると、エネルギー・バランスに関する監視された電圧および/または電流について導関数を求めることができる。
【0159】
エネルギー蓄積デバイス内の第1および第2の蓄積デバイスを使用する際、第2の蓄積デバイスはエネルギーを直接または間接的に医療デバイスに供給することができ、その場合、差の変化は、第1の蓄積ユニットに蓄積されたエネルギー量の変化に対応する。この場合、第1の蓄積デバイスにおけるエネルギー蓄積率の経時的な変化を検出することによって、変化に対応するエネルギー・バランスを求めることができる。エネルギー蓄積量を示す測定された電気的パラメータの導関数を経時的に求めることによってエネルギー蓄積量の変化を求めることもでき、この導関数はエネルギー蓄積量の変化に対応する。電気的パラメータの変化率を検出することもでき、導関数が変化率に関係付けられる。電気的パラメータは、エネルギー・バランスに関する測定された電圧および/または電流であってよい。
【0160】
第1の蓄積デバイスは、コンデンサおよび半導体の少なくとも一方を含んでよく、第2の蓄積デバイスは、再充電可能な電池、アキュムレータ、およびコンデンサの少なくとも1つを含む。
【0161】
上述のように、無線エネルギーは、外部エネルギー源内の一次コイルから内部エネルギー受信器内の二次コイルに誘導的に伝送することができる。しかし、無線エネルギーを非誘導的に伝送することもできる。たとえば、無線エネルギーを音声または圧力の変化、無線、あるいは光によって伝送することができる。無線エネルギーをパルスまたは波で伝送し、かつ/あるいは電界によって伝送することもできる。
【0162】
無線エネルギーが外部エネルギー源から内部エネルギー受信器にパルスで伝送されるとき、パルスの幅を調整することによって無線エネルギーの伝送を制御することができる。
【0163】
内部エネルギー受信器による総エネルギー受容量と総エネルギー消費量との差を直接または間接的に経時的に測定すると、差の変化を検出することによってエネルギー・バランスを求めることができる。その場合、エネルギー消費量に関する測定された電気パラメータの導関数を経時的に求めることによって、エネルギー消費量の変化を検出することができ、この導関数はエネルギー消費量の変化率に対応し、変化率は変化の方向および速度を含む。この場合、電気パラメータの変化率を検出することができ、導関数が検出された変化率に関係付けられる。
【0164】
エネルギー蓄積デバイス内の第1および第2の蓄積デバイスを使用するとき、第2の蓄積デバイスと比べて比較的高いエネルギー充填率で充填され、それによって比較的高速の充填が可能になるように第1の蓄積デバイスを構成することができる。第1の蓄積デバイスは、第2の蓄積デバイスと比べてより頻繁に複数の個々の充填機会に充填され、それによって充填機会に関して比較的長い寿命が得られるように構成することもできる。第1の蓄積デバイスは少なくとも1つのコンデンサを備えてよい。通常、第1の蓄積デバイスのみを第2の蓄積デバイスに必要なよりも頻繁に充填することができる。
【0165】
第2の蓄積デバイスを充填する必要があるときは、充填に必要な時間を短縮するために、第1の蓄積デバイスが複数の個々の充填機会に充填され、それによって、第1の蓄積デバイス用の充填機会同士の間に、比較的低いエネルギー充填率で第2の蓄積デバイスを充填する時間が残る。医療デバイスの電気的パラメータを求めると、パラメータに基づいて第2の蓄積デバイスの充填を制御することができる。定電流回路または安定化電圧回路を使用して第2の蓄積デバイスにエネルギーを蓄積することができる。
【0166】
外部エネルギー源からの無線エネルギーの伝送は、立ち上がりおよび立下りを有する第1の電気回路からの電気パルスを外部エネルギー源に印加して無線エネルギーを伝送し、電気パルスの連続する立ち上がりと立下りとの間の第1の時間間隔の長さおよび/または電気パルスの連続する立下りと立ち上がりとの間の第2の時間間隔の長さを変化させ、第1および/または第2の時間間隔の長さに応じて変化する電力を有する電気パルスから生成された無線エネルギーを伝送することによって制御することができる。
【0167】
その場合、電気パルスの周波数は、第1および/または第2の時間間隔を変化させる際にほぼ一定であってよい。電気パルスを印加する際、電気パルスは、第1および/または第2の時間間隔が変化することを除いて変化しなくてよい。第1および/または第2の時間間隔を変化させる際、電気パルスの振幅はほぼ一定であってよい。さらに、電気パルスは、電気パルスの連続する立ち上がりと立下りとの間の第1の時間間隔の長さを変化させることによってのみ変化させることができる。
【0168】
2つ以上の電気パルスの列を一列として供給することができ、その場合、パルス列を印加する際、パルス列は、パルス列の開始位置に第1の電気パルスを有し、かつパルス列の終了位置に第2の電気パルスを有し、2つ以上のパルス列を一列として供給することができ、第1のパルス列内の第2の電気パルスの立下りとそれに続く、第2のパルス列の第1の電気パルスの立ち上がりとの間の第2の時間間隔の長さが変化する。
【0169】
電気パルスを印加する際、電気パルスは、ほぼ一定の電流とほぼ一定の電圧とを有してよい。電気パルスは、ほぼ一定の電流とほぼ一定の電圧とを有してもよい。さらに、電気パルスは、ほぼ一定の周波数を有してもよい。同様に、パルス列内の電気パルスは、ほぼ一定の周波数を有してよい。
【0170】
外部エネルギー源に電気パルスを印加すると、電気パルスは、第1および第2の時間間隔を変化させることによって変化する電磁界を外部エネルギー源上で生成することができ、電磁界は、内部エネルギー受信器に伝送されるエネルギーを保持する電気パルスを内部エネルギー受信器内に誘導することができる。その場合、無線エネルギーは、外部エネルギー源から内部エネルギー受信器にほぼ純粋に誘導的に伝送される。
【0171】
電気パルスは、第1および/または第2の時間間隔の長さを変化させると、結果的に伝送されるエネルギーが変化するような、連続するパルスの立ち上がり同士の間の周波数および/または時間周期で第1の電気回路から放出することができる。電気パルスを印加する際、電気パルスはほぼ一定の周波数を有してよい。
【0172】
第1の電気回路および外部エネルギー源によって形成される回路は、第1の固有時間周期または第1の時定数を有してよく、伝送されるエネルギーを効果的に変化させる際、そのような周波周期は、第1の固有時間周期または時定数の範囲以下であってよい。
【0173】
本発明について特定の例示的な実施形態を参照して説明したが、この説明は概して、本発明の概念を例示するものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものとみなすべきではない。特に、当業者には、上述の実施形態および例を方法と装置の両方として実施できることが容易に理解されよう。本発明および様々な考えられる実施形態は一般に、以下の特許請求の範囲によって定義される。
【0174】
実施例の説明 概略的な図3は、無線エネルギーの伝送を制御する本発明の装置、すなわちエネルギー・バランス制御システムについての提案された構成のうちの1つの回路図
を示している。
この概略図は、2.5Vを中心とし、エネルギーの不均衡に比例する出力信号を有するエネルギー・バランス測定回路を示している。2.5Vの信号レベルは、エネルギー・バランスが存在することを意味し、レベルが2.5Vより低くなった場合、インプラント内の電源からエネルギーが取り出され、レベルが2.5Vより高くなった場合には、エネルギーが電源に充填される。回路からの出力信号は通常、A/D変換器に送られ、デジタル・フォーマットに変換される。次に、このデジタル情報を外部送信器に送信し、外部送信器が伝送される電力のレベルを調整するのを可能にする。他の可能性として、エネルギー・バランス・レベルをある最大しきい値および最小しきい値と比較し、バランスが最大/最小窓からずれている場合には外部送信器に情報を送信する比較器を使用する完全にアナログなシステムを有することができる。
【0175】
概略的な図3は、誘導的なエネルギー伝送を使用して体外からインプラントに電力を伝送するシステムの回路実施例を示している。誘導エネルギー伝送システムは通常、外部伝送コイルおよび内部受容コイルを使用する。受容コイルL1は、概略的な図3に含まれており、図3では、システムの伝送部が除外されている。
【0176】
エネルギー・バランスの一般的な概念および情報を外部エネルギー送信器に送信する方法はもちろん、多数の異なる方法で実施することができる。概略的な図3および情報を評価し送信する上述の方法は、制御システムをどのように実施すべきかについての例に過ぎないものとみなすべきである。
【0177】
回路の詳細 概略的な図3において、符号Y1、Y2、Y3などは、回路内のテスト・ポイントを示している。テスト・ポイントは、以下の本文で説明する図中のグラフで参照されている。
図中の構成部材およびそのそれぞれの値は、考えられる無限数の構成解決手段のうちの1つに過ぎないこの特定の実施例で作用する値である。
【0178】
回路を駆動するエネルギーは、エネルギー受容コイルL1によって受け取られる。インプラントへのエネルギーは、この特定の場合には25kHzの周波数で伝送される。エネルギー・バランス出力信号はテスト・ポイントY1に存在する。
【0179】
図4は、受容コイルL1上の電圧Y7xと、外部送信器からこのコイルによって受け取られた入力電力Y9とを示している。電力のグラフY9は、正規化されており、0から1の間で変化し、この場合、1が最大電力を、0が零電力を示し、したがって、Y9は、受け取られた電力レベルの絶対値を示すものではない。電力テスト・ポイントY9は概略図には存在しないが、送信器信号電力上の振幅変調信号である。図において、外部送信器からの電力が増大するにつれて受容コイルL1上のY7x電圧が上昇することが分かる。Y7x電圧が、インプラント内の電源C1の実際の充電が開始されるレベルに達すると、電源が受容コイルに加える負荷のために、Y7xレベルは、入力電力が増大するにつれてずっと遅い速度で上昇する。
【0180】
受容コイルL1は、ショットキー・ダイオードD1x~D4xを含む整流ブリッジに接続されている。ブリッジからの出力電圧Y7は、図5に示されている。コンデンサC6は、ブリッジから高周波数充電電流を吸収し、ショットキー・ダイオードD3と一緒に、25kHzエネルギー伝送周波数が回路の残りの部分に進入するのを防止する。このことは、システムのエネルギー・バランスが、C6-D3の組合せ無しで、ハイ・レベルの25kHz交流充電電流を含むR1の両端間の電圧として測定されるため有利である。インプラント内の電源はコンデンサC1である。コンデンサC3は、高周波数減結合コンデンサである。LOADという名前の抵抗器は、インプラント内の電源の仮想負荷である。電源上の電圧Y5も、電力グラフY9と一緒に図5に示されている。
【0181】
図6における電圧Y3は、演算増幅器X1を駆動するのに使用される、安定化された約4.8Vの電圧である。Y3電圧は、MosFet X2、ツェナー・ダイオードD1、コンデンサC4、および抵抗器R3から成るかなり標準的な線形電圧調整器によって安定化される。図6では、調整器への入力電圧はY5として示されており、出力電圧はY3である。
【0182】
X1演算増幅器は、増幅器回路の利得を10倍に設定するR6およびR7と一緒にエネルギー・バランス信号を増幅するのに使用される。回路への入力信号は、図7に示されている。Y4は、ツェナー・ダイオードD1によって約2.74Vのほぼ一定のレベルに固定される。電圧Y4は分流され、コンデンサC5によって高周波数が除外される。Y4のDC電圧の一部は、エネルギーのバランスをとるときにY1出力電圧を2.5Vに集中するために抵抗器R8によってY2電圧に結合される。電圧Y2は、基本的にR1上の電圧Y6と同じ電圧であり、わずかに高い周波数がR9およびC7によって除外され、R8を流れる電流によってDCレベルが変化させられる。Y6とY2を比較する場合は、図7を参照されたい。
【0183】
図8の回路のエネルギー・バランス出力信号Y1はまた、Y6電圧に厳密に対応する。Y1電圧は10倍に増幅され、DCは、Y6電圧の0Vではなく約2.5Vに集中するように変化する。エネルギー・バランス出力信号に接続された回路において、Y1におけるより高い信号レベルおよび約2.5VのDC中心点を実現するのは非常に容易である。
【0184】
図9は、エネルギー・バランス信号Y1とインプラントの電源上の実際の電圧との関係を示している。エネルギー・バランス信号は、電源上の電圧レベルY5の導関数である。エネルギー・バランス信号Y1が2.5Vに対して負であるとき、電圧レベルY5は低下し、エネルギー・バランス信号が2.5Vに対して正であるとき、電圧レベルY5は上昇する。エネルギー・バランス信号Y1が2.5Vに対してより負また正になればなるほど、より高速に電源上のY5電圧は上昇または降下する。
【0185】
他の回路状態の図10はおそらく、エネルギー・バランス信号が電源上のY5電圧にどのように対応するかをずっと明確に示している。各トレースは、電源に投入されるエネルギーが一定のレベルに保持され、負荷が離散した4つのステップにおいて5mAから30mAの間で変化する状況を示している。負荷は、最初の25msの間は30mAで、それに続く25msの間は5mAであり、その後同様に順次30mAおよび5mAになる。電源上のY5電圧が30mAの負荷のために一定のレベルで降下すると、導関数レベルは2.5Vよりも低い一定のレベルになり、Y5電圧が上昇すると、導関数電圧は一定のレベルで正になる。
【0186】
図11の2つの図は、エネルギー・バランス信号Y1と、負荷が変化すると共にインプラントに投入される電力も変化する複合状況の回路内のエネルギーの不均衡との関係を示している。図11の第1の図中の2つのトレースは、電源への充電電流および負荷電流を示している。充電電流はIY12トレースで表されており、負荷電流はIY10トレースである。図11の第2の図は、第1の図に示されている交流電流によって生成されるY1電圧を示している。図示のように、エネルギーの不均衡のために電源におけるエネルギー蓄積量が変化すると、導関数信号Y1が不均衡に高速に応答する。
【0187】
外部電力送信器が伝送された電力をエネルギーの不均衡に従って調整するのを可能にする外部電力送信器へのフィードバック信号としてエネルギー・バランス信号が使用されるシステムでは、最適なエネルギー・バランスを維持し、かつ効率を最大に維持することが可能である。図12は、電源への充電電流および負荷電流を示しており、充電電流はIY12トレースで表されており、負荷電流はIY10トレースであり、図12は、このようなシステムにおける電源上の電圧レベルY5およびエネルギー・バランス信号Y1も示している。このシステムが、充電電流を増大させることによって負荷電流の変化に対して高速に応答することがはっきりと分かる。エネルギー・バランス信号の小さなスパイクは、フィードバック・ループの有限帯域幅のために負荷が高速に変化する縁部の所にのみ存在している。このような小さなスパイクを除いてエネルギーは完全に均衡している。
【0188】
図13a~図13cは、装置がBOで示されている体器官の壁部に取り付けられたときの、本発明による一般的に構成された装置のそれぞれの異なる動作状態を概略的に示している。装置は、CSDで示されている狭さくデバイスおよび刺激デバイスと、CDで示され、狭さくデバイスおよび刺激デバイスCSDを制御する制御デバイスとを含んでいる。図9aは、狭さくデバイスが器官BOを狭さくさせておらず、刺激デバイスが器官BOを刺激していない非作動状態の装置を示している。図13bは、狭さくデバイスが、器官BOの壁部を軽く狭さくさせて、狭さくした壁部内の血液循環がほとんど制限されず、かつ壁部の内腔内の流れが制限される狭さく状態にするように、制御デバイスCDが制御する非狭さく状態の装置を示している。図13cは、刺激デバイスが、狭さくした壁部のそれぞれの異なる領域を刺激し、したがって、器官BOの壁部のほぼ全体が狭さくして(厚くなり)内腔を閉鎖するように、制御デバイスCDが制御する刺激状態の装置を示している。
【0189】
図13dおよび図13eは、壁部の左側の領域(図13d参照)が刺激され、一方、壁部の右側の領域が刺激されない第1の刺激モードと、壁部の右側の領域(図13e参照)が刺激され、一方、壁部の左側の領域が刺激されない第2の刺激モードとの間を、狭さくした壁部の刺激が循環的に変化し、狭さくした壁部において長時間にわたって十分な血液循環が維持される状態を示している。
【0190】
図13dおよび図13eに示されている刺激モードが、器官BOの狭さくした壁部がどのように刺激されるかについての原理的な例を構成するものに過ぎないことに留意されたい。したがって、狭さくした壁部の2つよりも多くの異なる領域を同時に、循環的にあるいは連続的に刺激することができる。さらに、狭さくした壁部のそれぞれの異なる領域の群を連続的に刺激することができる。
【0191】
図13f~図13hは、図13a~図13eに示されている一般的な実施形態の変形例のそれぞれの異なる動作状態を示しており、この場合、狭さくデバイスおよび刺激デバイスCSDは、いくつかの別個の狭さく/刺激部材、ここでは3つの部材CSDE1、CSDE2、およびCSDE3を含んでいる。図13fは、第1の動作状態の部材SADE1が作動して、器官BOを狭さくさせると共に刺激し、したがって、器官BOの内腔を閉鎖し、一方、他の2つの部材CSDE2およびCSDE3が作動しない状態を示している。図13gは、次の第2の動作状態の部材CSDE2が作動し、したがって器官BOの内腔が閉鎖され、一方、他の2つの部材CSDE1およびCSDE3が作動しない状態を示している。図13hは、次の第3の動作状態の部材CSDE3が作動し、したがって器官BOの内腔が閉鎖され、一方、他の2つの部材CSDE1およびCSDE2が作動しない状態を示している。第1の状態と第2の動作状態と第3の動作状態を無作為にあるいは所定の順序に従って切り替えることによって、器官のそれぞれの異なる部分を一時的に狭さくさせ刺激し、一方、器官の内腔を閉鎖したままにしておくことができ、それによって、器官を損傷する危険性が最低限に抑えられる。各部材CSDE1~CSDE3を器官の内腔に沿って連続的に作動させて内腔内の流体および/または他の体物質を移動させることも可能である。
【0192】
図13i~図13kは、一般的な実施形態の変形例の、他の動作モードを示している。したがって、図13iは、第1の動作状態の部材CSDE1が作動して器官BOを狭さくさせると共に刺激し、したがって、器官BOの内腔を閉鎖し、一方、他の2つの部材CSDE2およびCSDE3が作動して器官BOを狭さくさせるが刺激はせず、したがって、器官BOの内腔は完全には閉鎖されず、部材CSDE2およびCSDE3が器官BOに係合する状態を示している。図13jは、次の第2の動作状態の部材CSDE2が作動して器官BOを狭さくさせると共に刺激し、したがって、器官BOの内腔を閉鎖し、一方、他の2つの部材CSDE1およびCSDE3が作動して器官BOを狭さくさせるが刺激はせず、したがって、器官BOの内腔は完全には閉鎖されず、部材CSDE1およびCSDE3が器官BOに係合する状態を示している。図13kは、次の第3の動作状態の部材CSDE3が作動して器官BOを狭さくさせると共に刺激し、したがって、器官BOの内腔を閉鎖し、一方、他の2つの部材CSDE1およびCSDE2が作動して器官BOを狭さくさせるが刺激はせず、したがって、器官BOの内腔は完全には閉鎖されず、部材CSDE1およびCSDE2が器官BOに係合する状態を示している。第1の動作状態と第2の動作状態と第3の動作状態とを無作為にあるいは所定の順序に従って切り替えることによって、器官のそれぞれの異なる部分を一時的に刺激し、一方、器官の内腔を閉鎖されたままにしておくことができ、それによって、器官が損傷する危険性が低減する。部材CSDE1~CSDE3の刺激を器官BOの内腔に沿って連続的に作動させて内腔内の流体および/または他の体物質を移動させることも可能である。
【0193】
図14図16は、患者の器官の組織壁によって形成された内腔内の流体および/または他の体物質の流れを制御する、本発明による装置の実施形態の基本的な構成部材を示している。この装置は、開放端部を有する管状ハウジング1と、ハウジング1内に配置された狭さくデバイス2と、狭さくデバイス2と一体化された刺激デバイス3と、狭さくデバイス2および刺激デバイス3を制御する制御デバイス4(図16に示されている)とを備えている。狭さくデバイス2は、管状ハウジング1内で、図15に示されている引き込み位置と図16に示されているクランプ位置との間を互いに接近したり離れたりするように半径方向に移動可能である細長い2つのクランプ部材5、6を有している。刺激デバイス3は、クランプ部材5、6の一方の電気部材7が他方のクランプ部材の電気部材7に面するようにクランプ部材5、6上に位置する多数の電気部材7を含んでいる。したがって、この実施形態では、狭さくデバイスと刺激デバイスは、狭さくデバイスと刺激デバイスが単一の部材として一体化された狭さく/刺激ユニットを形成している。
【0194】
狭さくデバイスと刺激デバイスを互いに分離してもよい。この場合、電気部材7同士を互いに対して一定の向きに保持する構造を設けることができる。あるいは、電気部材7は、患者の器官の壁部に別個に取り付けられた電極を含んでよい。
【0195】
図17aは、本発明の実施形態による、送られるパルスの一例を示している。パルスは、一定の周波数および振幅を有している。しかし、時間t1と時間t2の関係は変動している。
【0196】
図17bは、本発明の第2の実施形態による、送られるパルスの他の例を示している。時間t1の間にパルス列が送られ、時間t2の間はパルスは送られない。パルスは、一定の周波数および振幅を有している。しかし、時間t1と時間t2の関係は変動している。
【符号の説明】
【0197】
100、200 医療デバイス; 102、202 内部エネルギー受信器; 104、204 外部エネルギー源; 106、206 外部制御ユニット; 108、208 内部制御ユニット; 110 内部信号送信器; 112 外部信号受信器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13a
図13b
図13c
図13d
図13e
図13f
図13g
図13h
図13i
図13j
図13k
図14
図15
図16
図17a
図17b