(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180601
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】パーソナルケア用電気器具
(51)【国際特許分類】
B26B 19/28 20060101AFI20221129BHJP
B26B 19/38 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
B26B19/28 H
B26B19/38 B
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022157764
(22)【出願日】2022-09-30
(62)【分割の表示】P 2019554596の分割
【原出願日】2018-04-10
(31)【優先権主張番号】17168469.9
(32)【優先日】2017-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】508117514
【氏名又は名称】ブラウン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト クラウス
(72)【発明者】
【氏名】トマス ベルステージ
(72)【発明者】
【氏名】ウーベ ショーバー
(72)【発明者】
【氏名】フランク ツィーグラー
(57)【要約】
【課題】パーソナルケア器具において、磁場の伝播を低減するために、ハウジングに取り付けられた金属板などの磁気シールドを、駆動ユニットを少なくとも部分的に取り囲むように提供することは、コンパクトな設計を必要とするため、ハウジングの寸法を拡大することなく、金属板をハウジング内に収容することは困難である。
【解決手段】本発明は、パーソナルケア用電気器具に関し、具体的には、互いに磁気的に相互作用するように適合された第1及び第2の駆動部品を有する駆動ユニットと、駆動ユニットを少なくとも部分的に取り囲む磁気シールドとを備える電気シェーバーに関する。当該磁気シールドは、駆動ユニットを支持し、かつ/又は駆動ユニットの駆動運動を伝達する構造部品によって形成され、こうした構造部品は軟磁性材料で作製される。より具体的には、取付けフレーム及び伝達部フレームは共に、磁気シールドケージを形成し、取付けフレーム及び伝達部フレームは互いに対して移動可能であるため、磁気シールドケージは移動可能である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナルケア用電気器具、具体的には電気シェーバーであって、互いに対して磁気的に相互作用して互いに対して実質的に線形様式で振動するように適合された第1及び第2の駆動部品(6、7)を有する磁気線形駆動ユニット(5)と、前記駆動部品(6、7)のうちの1つを作業工具に接続する駆動列(100)と、前記駆動ユニット(5)を前記電気器具のハウジング(2)又は構造要素に対して支持するための駆動支持体(160)と、前記駆動ユニット(5)を少なくとも部分的に取り囲む磁気シールド(200)と、を備え、前記磁気シールド(200)は、前記駆動支持体(160)及び/又は前記駆動列(100)の構造部品によって少なくとも部分的に形成され、前記構造部品が、透磁率μr>10を有する材料及び/又は軟磁性材料から作製され、かつその側面で前記駆動ユニット(5)を取り囲むように構成されていることを特徴とする、パーソナルケア用電気器具であって、
前記磁気シールド(200)及び/又は前記磁気シールド(200)を形成する前記構造部品は、その4つ以上の側面で前記駆動ユニット(5)を取り囲む、軟磁性材料で作製された実質的閉ループを形成する、磁気シールドフレーム(203、204)を形成し、
第2の磁気シールドフレーム(204)は、前記駆動ユニット(5)の可動駆動部品(6)にしっかりと接続され、かつ前記作業工具を駆動するために駆動ピンに接続される伝達部フレーム(10)によって形成され、
前記伝達部フレーム(10)は、前記2つの駆動部品(6、7)の間の間隙の前を延在する板状シールド部分(10t)を含み、前記板状シールド部分(10t)は、前記駆動部品(6、7)の振動軸に実質的に平行に、かつ/又は前記間隙を通る平面を横断して延在する、
パーソナルケア用電気器具。
【請求項2】
前記磁気シールド(200)を形成する前記構造部品は、前記駆動ユニット(5)を前記電気器具の前記ハウジング若しくは前記構造部品に接続し、それによって前記駆動ユニット(5)を支持するように構成されている、又は前記駆動ユニット(5)の駆動運動及び/若しくは駆動振動を前記電気器具の作業工具に伝達するように構成されている、請求項1に記載の電気器具。
【請求項3】
前記駆動支持体(160)及び/又は前記駆動列(100)の前記構造部品は、金属シートから作製される、請求項1又は2に記載の電気器具。
【請求項4】
前記磁気シールド(200)及び/又は前記磁気シールド(200)を形成する前記構造部品は、その4つ以上の側面で前記駆動ユニット(5)を取り囲む、軟磁性金属及び/又は透磁率μr>10の金属で作製された磁気シールドフレーム(203、204)を形成する、請求項1の前文又は請求項1~3のいずれか一項に記載の電気器具。
【請求項5】
一対の磁気シールドフレーム(203、204)が提供され、前記一対の磁気シールドフレームは、互いに対して横方向に延在するループ軸(201、202)を中心にした一対のループ内に前記駆動ユニット(5)を取り囲む、請求項1~4のいずれか一項に記載の電気器具。
【請求項6】
前記一対の磁気シールドフレーム(203、204)のそれぞれは、前記対応するループ軸(201、202)と実質的に平行に向けられる主軸を有するシート状材料から作製され、それにより前記ループ軸のうち対応する1つと実質的に平行な周壁を備えるスリーブ状本体を形成する、請求項1~5のいずれか一項に記載の電気器具。
【請求項7】
前記一対の磁気シールドフレーム(203、204)は共に、その6つの側面で前記駆動ユニット(5)の前記磁気相互作用する駆動部品(6、7)を取り囲む磁気シールドケージを形成し、前記磁気シールドケージは互いに対して移動可能な部分を含み、前記部分は前記一対のシールドフレーム(203、204)によって形成される、請求項5又は6に記載の電気器具。
【請求項8】
第1の磁気シールドフレーム(203)は、前記駆動ユニット(5)を取付けフレーム(16)上に移動可能に支持するばね装置(17)によって前記駆動ユニット(5)に接続される前記取付けフレーム(16)によって形成され、前記取付けフレーム(16)は、前記電気器具の前記ハウジング(2)又は前記構造部品に取り付けられる取り付け部分を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の電気器具。
【請求項9】
前記取付けフレーム(16)及び前記伝達部フレーム(10)は共に、その6つの側面で前記駆動ユニット(5)の前記磁気相互作用する駆動部品(6、7)を取り囲む磁気シールドケージを形成し、前記磁気シールドケージは、互いに対して移動可能であり、かつ前記取付けフレーム(16)及び前記伝達部フレーム(10)によって形成される部分を含む、請求項1及び8に記載の電気器具。
【請求項10】
前記伝達部フレーム(10)は、前記2つの駆動部品(6、7)の間の前記間隙を完全に覆う、請求項1又は9に記載の電気器具。
【請求項11】
前記駆動支持体(160)及び/又は前記駆動列(100)の前記構造部品は、相対透磁率μr>10、又はμr>100、又はμr>1000を有する軟磁性材料から作製される、請求項1~10のいずれか一項に記載の電気器具。
【請求項12】
前記磁気シールド(200)を形成する前記構造部品は、フェライト及び/又はマルテンサイト鋼で作製される、請求項1~11のいずれか一項に記載の電気器具。
【請求項13】
前記磁気シールド(200)を形成する前記構造部品は、電気亜鉛コーティング鋼シートで作製される、請求項1~12のいずれか一項に記載の電気器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルケア用電気器具に関し、具体的には、互いに磁気的に相互作用するように適合された第1及び第2の駆動部品を有する駆動ユニットと、駆動される作業工具に当該駆動部品のうちの1つを接続する駆動列と、当該駆動ユニットを電気器具のハウジング及び/又は構造部品に対して支持するための駆動支持体と、当該駆動ユニットを少なくとも部分的に取り囲む磁気シールドと、を備える電気シェーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
小型のパーソナルケア用電気器具は、電気式、より詳細には磁気式の駆動ユニットによって駆動される機能要素又は作業工具を含んでいる場合が多く、この駆動ユニットは、手持ちされるハンドピース、又はこれに接続されるツールヘッドを形成し得るハウジング要素内に受容されている場合がある。
【0003】
例えば、電気シェーバーは、電気駆動ユニットによって、カッター要素がせん断フォイル下で往復運動する振動様式で駆動される1つ以上のカッター要素を有してもよく、こうしたカッター要素又はアンダーカッターは、細長い形状を有している場合があり、それらの長手方向軸に沿って往復運動し得る。他の種類の電気シェーバーでは、振動様式又は連続様式で駆動され得る回転式カッター要素を用いている。当該電気駆動ユニットは、電動式又は磁気式線形モータを含んでもよく、駆動ユニットは、モータの駆動動作をカッター要素に伝達するための細長い駆動伝達部を含んでもよい。
【0004】
こうした駆動システムは、第1及び第2の駆動部品を備える線形型駆動ユニットを含んでいることもある。第1及び第2の駆動部品は、互いに対して実質的に線形様式で(すなわち実質的に線形軸に沿って)往復又は振動する。駆動力は磁界によってもたらされ得る。当該の駆動部品は、通常、線形電気モータの能動部品を形成し、互いの磁気的相互作用による駆動力を提供するように構成されている。例えば、駆動部品の1つに永久磁石が含まれている場合があるが、駆動部品の別の1つに1つ以上の磁気コイルが含まれていてもよく、磁気コイルにパルス状電流が印加されてパルス状磁界が形成され、その結果、2つの駆動部品が互いに対して振動する。したがって、当該駆動部品は、通常、駆動される器具などの電気アプリカンス(applicance)の被駆動部品、又は線形モータによって駆動され、当該工具を駆動する伝達部部品とは異なる。より具体的には、当該駆動部品のうちの少なくとも1つは、当該工具を駆動するために、アンダーカッター、又はシェーバー、又は歯ブラシのブラシキャリアなどの電気器具の工具に接続されてもよい。駆動部品の少なくとも1つは、駆動部品の振動運動を、駆動すべき機能要素(例えば、前述のカッター要素)に伝達する伝達列に接続している。こうした伝達列は、伝達部ピンであって、カッター要素に直接接続するか、又はカッター要素の旋回運動を可能にする可縮性ブリッジ構造によってカッター要素に間接的に接続される伝達部ピンを含んでいてもよい。
【0005】
例えば、米国特許出願公開第2009/0025229(A1)号又は米国特許第7,841,090(B2)号には、電気シェーバーとして、せん断フォイルの下に設けられた一対のカッター要素を有し、振動様式で駆動されるものが開示されている。更に、国際公開第03/103905(A1)号及び欧州特許第0674979(A1)号では、シェーバー用の線形振動駆動ユニットが開示されており、互いに対して線形様式で振動する駆動部品には、一方に永久磁石及び他方に磁気コイルが含まれている。
【0006】
こうしたシステムでは、駆動部品の1つは、内部に駆動ユニットが受容される電気器具のハウジング部分によって形成されるハンドピース又はツールヘッドであることが多い、取付構造体又は設置環境に強固に接続される場合がある。例えば、欧州特許第1548917(B1)号によって示されるように、永久磁石がハンドピースの内側に、駆動キャリア又はそれに接続された取付構造体を介して堅固に支持されるか又はしっかりと接続される場合もあるが、一方で、磁気コイルを含む他の駆動部品が、例えば板ばね又はC字形ばねを含むプラスチックばね装置によって当該駆動キャリア上に可動に支持されて、線形振動を可能にしている場合もある。
【0007】
更に、国際公開第03/103905(A1)号では、駆動部品の1つを固定しないが、2つの駆動部品を互いにリンクさせるリンク機構又は振り子バーを、駆動キャリアに、ひいてはハンドピースハウジングの内側部分としての設置環境に固定することが提案されている。第1の駆動部品が左に移動するときに他方の駆動部品が右に移動し、逆もまた同様である。
【0008】
欧州特許第3038242(A1)号は、2つの別個のばね装置を備えるシェーバー用の線形モータを提案しており、ここで第1のばね装置は、駆動ユニットの2つの駆動部品を互いに接続する共振ばねを形成し、第2のばね装置は、シェーバーのハウジングに固定されてそのハンドルを形成する取付構造体に駆動ユニットを連結する懸架ばねを形成する。こうした第2のばね装置により、駆動ユニット全体がシェーバーのハンドルに対して運動して、それにより振動がハンドル上に伝達するのを低減することができる。
【0009】
駆動ユニットの駆動部品が互いに磁気的に相互作用すると、磁場は器具のハウジングを越えて伝播する場合があり、環境に望ましくない影響を及ぼす場合がある。例えば、こうした磁場は、他の電気器具に干渉する場合があり、又は更に悪いことに、特にシェーバーなどの器具がユーザの頭部又はペースメーカーなどのパーソナル装置に非常に近接して保持されると、ユーザに有害な影響を及ぼす場合がある。こうした磁場の伝播を低減するために、ハウジングに取り付けられた金属板などの磁気シールドを、駆動ユニットを少なくとも部分的に取り囲むように提供することができる。
【0010】
しかしながら、電気シェーバー又は歯ブラシなどの非常にコンパクトな設計を必要とするパーソナルケア器具においては、ハウジングの寸法を拡大することなく、こうした金属板をハウジング内に収容することはいささか困難である。これは、駆動部品の線形変位を可能にするのに十分な空間を必要とする懸架ばね及び共振ばねなどの複数の異なるばね装置を用い得る磁気線形駆動ユニットの場合のように、駆動支持体及び駆動列又は伝達列がいささか精巧及び複雑になる場合に更により当てはまる。磁気クリープ又は磁気短絡を回避するために、シールド板は、駆動ユニットの磁気相互作用構成要素からの十分な距離を必要とし、これは駆動ユニットを取り囲むこうした磁気シールドを提供するために必要とされる空間を更に増加させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0025229(A1)号
【特許文献2】米国特許第7,841,090(B2)号
【特許文献3】国際公開第03/103905(A1)号
【特許文献4】欧州特許第0674979(A1)号
【特許文献5】欧州特許第1548917(B1)号
【特許文献6】欧州特許第3038242(A1)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の基礎をなす目的は、従来技術の不利点の少なくとも1つを回避する、及び/又は既存の解決方法を更に発展させる、改善されたパーソナルケア用の電気器具を提供することである。具体的には、磁場の伝播を防止する又は少なくとも低減するための、改善されたコンパクトかつ省スペースな磁気シールドが望まれる。
【0013】
本発明の基礎をなすより具体的な目的は、容易に製造及び取り付けのできる単純な構造を有しつつも、駆動ユニットの磁気相互作用構成要素の効率的な磁気シールドをなお達成する、改良された駆動ユニットを提供することである。
【0014】
もう1つの目的は、追加的な空間を必要とすることなく、又は既に確立した人間工学的ハウジングを再デザインすることなく、複雑な取付構造体を避け、かつハンドピースを形成するハウジング要素内への駆動ユニット及び磁気シールドの効率的な設置を可能にすることである。
【0015】
前述の目的のうちの少なくとも1つを達成するために、駆動ユニットの磁気相互作用構成要素を少なくとも部分的に取り囲み、それにより、一方では磁気シールド、及びもう一方では駆動ユニットの支持/懸架、又は駆動運動の伝達を含む二重の機能をこうした構造部品に付与する磁気シールドが、駆動支持体及び/又は駆動列の構造部品内に組み込まれ、これは磁気シールド壁のための追加的な空間を避けるのに役立つ。具体的には、駆動列又は駆動ユニット支持体のこうした構造部品は、磁気相互作用する駆動部品によって放射される磁場に対するシールドを形成し、ひいては追加部品を回避し、磁気シールド以外の理由のために必要とされる構造部品を活用するように構成され得る。
【0016】
一態様によれば、磁気シールドは、当該駆動支持体及び/又は当該駆動列の構造部品によって少なくとも部分的に形成され、構造部品は軟磁性材料で作製され、その複数の側面で駆動ユニットを取り囲むように構成されている。
【0017】
これら及び他の利点は、図面及び可能な例に言及する以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】シェーバーのハンドピースを形成するシェーバーハウジング内に受容される線形型駆動ユニットによって振動様式で駆動可能である2つのカッター要素を含むシェーバーヘッドを有する電気シェーバーとしてのパーソナルケア用の小型電気器具の斜視部分図である。
【
図2】線形振動のために支持された磁気式駆動部品と、
図1の電気器具の周囲の取付構造体と、を含む駆動ユニットの平面図である。
【
図3】駆動ユニットの2つの磁気駆動部品を互いに接続する第1のばね装置と、駆動ユニットを電気器具の取付構造体に接続する第2のばね装置と、を示す
図2の駆動ユニットの平面図である。
【
図4】第1及び第2のばね装置を示す
図3の駆動ユニットの斜視図である。
【
図5】前述の図に示される駆動ユニットの取付けフレーム及び駆動伝達フレームの分解斜視図であり、当該取付けフレーム及び伝達フレームは、互いを横断するループ軸を中心に駆動ユニットの磁気相互作用構成要素を包囲する一対の磁気シールドフレームを形成している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
駆動ユニットを収容するための追加的な空間を必要とせずに効率的な磁気シールドを達成するために、駆動ユニットを少なくとも部分的に取り囲む磁気シールドが、駆動支持体の構造部品及び/又は駆動列の構造部品によって少なくとも部分的に形成され、構造部品が、透磁率μr>10を有する材料及び/又は軟磁性材料から作製され、かつその2つ以上の側面上で駆動ユニットを取り囲むように構成されていることが提案される。
【0020】
磁気シールドを形成するこうした構造部品は、駆動ユニットを電気器具のハウジング又は構造部品に接続し、それによって駆動ユニットを支持又は懸架するように構成され得る。代替的に又は追加的に、磁気シールドを形成する駆動列の構造部品は、駆動ユニットの駆動運動及び/又は駆動振動を電気器具の作業工具に伝達するように構成されてもよい。駆動ユニットを支持若しくは懸架する、及び/又は駆動運動を伝達するその自然な機能に加えて、構造部品は、磁気相互作用する駆動部品を少なくとも部分的に取り囲み、当該磁気相互作用する駆動部品から生じる磁場の伝播を防止する、又は少なくとも低減する磁気シールドとして作用するように構成される。
【0021】
磁場の伝播を効率的に防止又は少なくとも低減するために、当該磁気シールド及び/又は磁気シールドを形成する上述の構造部品は、その4つ、5つ、又は全ての側面で駆動ユニットを実質的に取り囲む少なくとも1つのフレームを形成してもよく、こうしたフレームは、有利には、透磁率μr>10を有する軟磁性金属又は別の金属又は材料で作製される。磁場をより効率的に捕捉するために、当該フレームは、フレームの磁気的に有効な経路を遮断するスロット又は間隙などの中断なしに軟磁性金属で作製された連続的な閉ループ経路を提供する閉ループフレームを形成するように構成されてもよい。
【0022】
こうした磁気シールドループフレームは、間隙、中断などをブリッジングすることなしに、磁場が当該ループの周囲を通ることができるように完全に閉じられてもよい。しかしながら、こうした磁気シールドループが実質的に閉じられていれば十分であり得る。例えば、フレームが複数の部品から組み立てられる場合、こうしたフレーム部品は、糊着又は接着によって互いに接続されてもよく、そのため、金属部品間には、ごくわずかな接着ブリッジが存在する。同様に、フレームが、材料のストリップを曲げることによってループ状に形成され、その端部が互いに糊着されるときは、接着剤によって充填された薄い間隙も存在する。それにもかかわらず、こうしたループフレームは、実質的に閉ループであると考えられ得る。更に、ループフレームはまた、窓などの凹部又は凹部の周囲に構築されたフレーム構造を含んでもよく、こうした窓又は凹部は周囲のフレーム構造を通る磁場によって通過され得るため、これは閉鎖ループ内の材料を通って磁界が通過し得る閉ループ構造を提供し得る。同様に、互いに圧入された複数のフレーム部品を備えるフレーム構造は、圧入された接触面において均質な材料分布がないものの、実質的に閉ループと見なされ得る。それでもなお、圧入された接触面は、磁場がフレーム構造によって提供されるループに沿って移動し、当該圧入された接触面を横断することを可能にし得る。
【0023】
より具体的には、一対の磁気シールドフレームは、互いに実質的に垂直又は横方向に延在する一対のループ軸を中心に駆動ユニットを取り囲むように提供及び構成されてもよい。したがって、異なる方向に延在する一対の閉ループを提供するこうした一対の磁気シールドフレームによって、磁場の伝搬は、駆動ユニットに隣接する周囲空間内への実質的に全ての可能な6方向の磁場伝播において防がれ得る。
【0024】
有利な一態様によれば、駆動支持体及び駆動列の構造部品は、駆動ユニットの磁気相互作用構成要素を取り囲む磁気シールドケージを形成し、当該シールドケージのこうした構造部品は、互いに対して移動可能である。当該磁気シールドケージは、互いに対して移動可能であり、駆動ユニットの駆動部品をその6つの側面で取り囲むことができる少なくとも2つのシールド部品を含む。より具体的には、取付けフレーム、及び当該取付けフレーム(mouting frame)に対して移動可能な伝達部フレームは、全体で当該磁気シールドケージを形成する。
【0025】
より具体的には、当該一対の磁気シールドフレームのうちの第1のものは、駆動支持体の一部であり、一方では駆動ユニットに、他方では器具のハウジング、又は例えば、駆動ユニットがシェーバーヘッド内に取り付けられたときはシェーバーヘッドなどの、駆動ユニットの周囲で装置の環境を形成する別の構造部品に接続され得る取付けフレームによって形成され得る。より具体的には、第1の磁気シールドフレームを形成する当該取付けフレームは、駆動ユニットを当該取付けフレーム上に移動可能に支持するばね装置によって駆動ユニットに接続されてもよく、当該取付けフレームは、電気器具のハウジング又は当該構造部品に取り付けられるねじ穴ボス又は圧入ノーズなどの取り付け部分を含んでもよい。
【0026】
駆動支持体の当該取付けフレームによって形成されたこうした第1の磁気シールドフレームは、駆動ユニットの駆動部品の線形振動軸に対して垂直又は横方向に延在し得るループ軸を中心に閉ループを形成してもよい。換言すれば、取付けフレームによって形成された第1の磁気シールドフレームは、作業工具の線形変位軸及び振動軸を含む平面内に、又はこれと実質的に平行に延在してもよい。例えば、駆動部品が左から右に振動するとき、取付構造体によって形成された当該第1の磁気シールドフレームは、駆動ユニットの右側及び左側並びに上側及び下側に沿って延在してもよい。
【0027】
当該一対の磁気シールドフレームのうち第2のものは、駆動ユニットの駆動部品のうちの1つの振動又は駆動運動を器具の作業工具に伝達するための駆動列の一部である伝達フレームによって形成されてもよい。より具体的には、磁気シールドフレームを形成する当該伝達フレームは、実質的に剛性の方式で当該駆動ユニットの可動駆動部品に接続されてもよく、また他方では、作業工具、又は作業工具が接続される別の駆動列要素を駆動するための駆動ピンに接続されてもよい。
【0028】
当該第2の磁気シールドフレームは、駆動ユニットの線形変位軸に実質的に平行に延在する第2のループ軸を中心に閉ループを形成してもよい。換言すれば、伝達部フレームによって形成された第2の磁気シールドフレームは、駆動部品の線形変位軸に対して横方向に延在する平面内に、又はこれと実質的に平行に延在してもよい。
【0029】
構造部品の伝達及び/又は支持機能に十分な構造的剛性を達成し、また同時に、効率的な磁気シールドを達成するために、磁気シールドを形成する構造部品は、金属シートなどのシート状又は板状の材料で作製されてもよい。したがって、磁気シールドを形成する構造部品は、板状の形状を有してもよく、こうした板状形状を画定する主軸のうちの1つは、ループ軸に実質的に平行に延在してもよく、構造部品はそれを中心に閉ループを形成する。したがって、フレームのように駆動ユニットを取り囲むスリーブ状フレームは、シート材料で作製された当該構造部品によって形成されてもよい。
【0030】
より具体的には、シート材料で作製された構造部品によって形成されるこうした磁気シールドフレームは、ループ軸に実質的に平行に延在する円筒軸を有する実質的に円筒形の本体を画定することができる。誤解を避けるために、こうした円筒構成は、円形の基部輪郭を有してもよいが、その必要はないことに留意すべきである。例えば、円筒は、矩形又は多角形の基部輪郭を有し、したがって、矩形又は多角形の断面を有する真っ直ぐな角柱を形成してもよい。
【0031】
より具体的には、駆動支持体及び/又は伝達部の構造部品を形成する板状シート材料は、2つの磁気相互作用構成要素間の間隙を通って延在する平面に対して実質的に垂直に延在してもよい。磁気相互作用構成要素間の当該間隙の少なくとも周囲で、磁気シールドは、当該間隙を通る直線に対して実質的に垂直に延在してもよい。
【0032】
磁気シールドを形成する構造部品は、透磁率μr>10、又はμr>100、又はμr>1000を有するように選択された軟磁性鋼又は別の磁気シールド材料から作製されてもよく、こうした透磁率は、相対透磁率であり得る。
【0033】
より具体的には、磁気シールドを形成する構造部品は、フェライト鋼及び/又はマルテンサイト鋼で作製されてもよい。基本的に、オーステナイト鋼は、使用することができるがより少ない磁気効果を提供する。
【0034】
より具体的には、電気亜鉛コーティング鋼を使用することができ、磁気シールドを形成する構造部品は、電気亜鉛コーティング鋼シートから作製されてもよく、こうした鋼シートは、冷間圧延又は冷間延伸されてもよい。
【0035】
容易に製造され、かつパーソナル器具のハウジングの制限された空間内に取り付けられ得る十分に剛性で堅い駆動ユニット構造を達得るために、駆動ユニットの2つの駆動部品を互いに移動可能に接続する第1のばね装置は、プラスチックから作製された1つ以上のばね要素を含み、駆動ユニットを器具の構造構成要素に移動可能に連結する第2のばね装置は、金属製の1つ以上のばね要素を含むことが提案される。
【0036】
プラスチックで作製された第1のばね装置は、第1及び第2の駆動部品をプラスチックで作製された1つ以上のばね要素に容易に接続し、それによって、容易な取り付けを可能にするための取付構造体を含んでもよい。少なくとも1つの金属ばね要素を含む第2のばね装置は、駆動ユニット構造体の十分な剛性及び硬さを提供し、それによって安定した振幅及び所望の振動数で振動を効率的に伝達することを達成する。
【0037】
当該第1のばね装置は、共振ばねを形成して、駆動ユニットの2つの駆動部品を、固有振動数で振動させることを可能にし、かつ支援することができる。より具体的には、当該第1のばね装置は、第1の駆動部品を形成する磁気コイル装置を、第2の駆動部品を形成する永久磁石装置に、基本的に直線状に互いに対して移動可能な方式で互いに接続してもよい。
【0038】
当該第2のばね装置は、駆動ユニットの当該第1若しくは第2の駆動部品又は駆動ユニットの別の構成要素を取付構造体に接続する懸架ばね装置を形成してよく、取付構造体は、器具のハウジングに固定されてもよく、又は器具のハウジングによって直接形成されてもよい。第2のばね装置によって形成されたこうした懸架ばね装置は、駆動ユニット全体が、駆動ユニットを支持する取付構造体に対して移動することを可能にしてもよく、こうした取付構造体は、例えば、シェーバーのハウジングによって形成され得る器具のハンドルに堅く取り付けられてもよく、若しくは器具のハンドルによって形成されてもよく、又は器具のツールヘッドに堅く取り付けられてもよく、若しくは器具のツールヘッドによって形成されてもよい。
【0039】
第1及び第2のばね装置のばね要素は、駆動ユニットの両側及び/又はその第1及び第2の駆動構成部品の両側に沿って延在し得る板ばねとして形成されてもよい。より具体的には、第1及び第2のばね装置の両方の各ばね要素は、駆動ユニットの直線運動軸に対して実質的に垂直又は交差して延在する長手方向軸を備える細長い平坦な板状輪郭を有する板ばねからなってもよい。
【0040】
より具体的には、第1及び第2のばね装置の板ばね要素は、少なくとも駆動ユニットの駆動部品が中立の非動作位置にあるときに、駆動ユニットの両側に沿って互いに実質的に平行に延在してもよい。
【0041】
パーソナルケア用の電気器具は、電気シェーバーであってもよく、シェーバーハウジングによって形成されたハンドピースと、当該ハンドピース上に1つ以上の旋回軸の周りに旋回可能に支持されたシェーバーヘッド(そのためシェーバーヘッドは剃毛すべき皮膚の外形に自己適応できる)と、を含んでいてもよい。
【0042】
シェーバーヘッドは1つのカッター要素のみを含んでいてもよいが、シェーバーヘッドはまた、2つ、3つ、又はそれ以上のカッター要素を含んでいてもよい。シェーバーヘッドは、更なるカッティング又は非カッティング機能要素、例えば剃毛される皮膚部分を冷却若しくは加熱するための熱要素、又は長髪カッター、又は流体(例えば、脱臭剤、クリーム、又は潤滑剤)を皮膚上に塗布する流体塗布器を含んでいてもよい。
【0043】
電気リニアモータの駆動力及び動きを少なくとも1つのカッター要素に伝達するための伝達列は、モータの型及びその配列に応じて、種々のアーキテクチャ及び構造を有していてもよい。例えば、駆動ユニットは、前述のカッター要素又はアンダーカッターに直接又は振動ブリッジを介して結合された往復ピンであって、当該ピンの長手方向軸の角度方向に対してカッター要素が旋回することを可能にする往復ピンを含んでいてもよい。
【0044】
これら及び他の特徴は図面に示す例から明らかになる。
【0045】
図1から分かるように、シェーバー1は、シェーバーを保持するためのハンドピースを形成するシェーバーハウジング2を有していてもよい。シェーバーハウジング2は、様々な形状を有していてもよく、形状としては、例えば、大まかに言うと、シェーバーを人間工学的に掴んで保持することを可能にする実質的に円筒形状又は箱形又は骨形状などが挙げられる。こうしたシェーバーハウジングは、こうしたハウジングの細長い形状(
図1を参照)に起因して長手方向のシェーバーハウジング軸25を有している。
【0046】
シェーバーハウジング2の一方の端部では、シェーバーヘッド3がシェーバーハウジング2に取り付けられており、シェーバーヘッド3は、前述の長手方向のシェーバーハウジング軸に実質的に垂直に延在しているシェーバーヘッド旋回軸xを中心に、及び/又は当該軸xに対して垂直な軸yを中心に旋回可能に支持され得る。シェーバーハウジング2は、シェーバーハウジング2のシェーバーヘッドエンドから突き出た一対の支持アームを有していてもよく、シェーバーヘッド3のキャリア構造(例えば、シェーバーヘッドフレームという形で)を、これら支持アーム間に、当該シェーバーヘッド旋回軸xの周りで旋回可能に取付けることができる。
【0047】
図1から分かるように、シェーバーヘッド3は一対のカッター要素4を含んでいてもよい。こうしたカッター要素4のうちの1つ又は3つ以上のみを設けてもよい。こうしたカッター要素4は、対応するカッター要素4を覆うせん断フォイルと協働する複数のせん断刃を伴うブロック状のアンダーカッターを形成してもよい。当該カッター要素4は、長手方向軸が前述のシェーバーヘッド旋回軸に実質的に平行に延在する及び/又はカッティング振動軸8(これに沿ってカッター要素4が振動様式で駆動される)に実質的に平行に延在する細長い形状を有し得る。
【0048】
図2から分かるように、シェーバーヘッド3においてカッター要素4を駆動するためにシェーバーハウジング2内に受容され得る駆動ユニット5は、線形振動型であってもよく、また、振動軸9に沿って互いに対して振動してもよい第1の駆動部品6及び第2の駆動部品7を含んでいてもよい。当該第1の駆動部品6は、伝達部10によって前述のカッター要素4に結合された能動駆動部品を形成してもよく、伝達部10は、駆動ユニット5からシェーバーヘッド3に向かって延在する伝達部ピン11を含んでいてもよい。こうした伝達部ピン11をカッター要素4に直接結合してもよい。結合は、例えば、シェーバーヘッド3の旋回を補償する更なる横方向の自由度を可能にする旋回支承によって行なう。代替案では、伝達部10は、更なる伝達部品、例えば伝達ブリッジを含んでいてもよい(それ自体、当該技術分野で公知であるため)。
【0049】
図3によって示すように、当該第2の駆動部品7は1つ以上の振動する磁気コイル12を含んでいてもよいのに対して、第1の駆動部品6は1つ以上の永久磁石13を含んでいてもよく、しかしながら、コイル12が第1の駆動部品6に付随して、永久磁石13が第2の駆動部品7に付随する反対の構成を選択してもよい。
【0050】
当該第1及び第2の駆動部品6及び7は、第1のばね装置14によって互いに対して移動可能に支持されて、第1及び第2の駆動部品6及び7が、カッター振動軸8に実質的に平行に延在する駆動ユニット5の振動軸9に沿って運動することを可能にし得る。振動軸9に沿った、第1及び第2の駆動部品6及び7の互いに対する当該運動は、直線運動と見なすことができる。
【0051】
当該第1のばね装置14は、第1の駆動部品6と第2の駆動部品7との間に配置された1つ以上の共振ばねを含んで、第1及び第2の駆動部品6及び7が互いに対して固有振動数で振動することを促進することができる。
【0052】
より具体的には、第1のばね装置14の当該共振ばねは、これらの長手方向軸線が駆動ユニットの前述の振動軸9に対して実質的に垂直な状態で延在し、かつ第1及び第2の駆動部品6及び7を互いに接続する、1つ以上の板ばね15によって形成されてもよい。より具体的には、少なくとも1対のこうした板ばね15は、当該第1及び第2の駆動部品6及び7の両側に延在してもよく、当該板ばね15は、一方の端部において第1の駆動部品6に接続され、反対側の端部において第2の駆動部品7に接続されている。
【0053】
板ばね15は屈曲して、駆動部品6及び7が互いに対して線形振動することを可能にし得る。こうして、両方の駆動部品6及び7は線形振動を行なってもよい。こうした振動は一種の逆運動でもたらされる。第1の駆動部品6が左に移動するときに第2の駆動部品7が右に移動し、逆もまた同様である。
【0054】
より具体的には、
図3に示すように、第1のばね装置14及びその板ばね15は、リング状ばね要素30によって形成されてもよく、当該板ばね15は、その両側にこうしたリング要素30の一対の脚部を形成する。当該リング要素30は、板ばね15の長手方向軸に実質的に垂直に延在し、当該板ばね15を互いに接続する一対のクロスバー又はクロス要素31を更に含んでもよい。
図3から分かるように、当該リング要素30は、互いに離間配置された一対のクロスバー31及び当該板ばね15によって形成された実質的に矩形の輪郭を有してもよい。
【0055】
当該クロスバー31は、駆動部品6及び7をそれに取り付けるための取付構造体及び/又は取付輪郭32を備えてもよい。こうした取付輪郭32は、当該駆動部品6及び7の取付輪郭とぴったり嵌合するように、及び/又はクロスバー31と駆動部品6及び7とがぴったり合うように、当該駆動部品6及び7の取付輪郭に適合されてもよい。
【0056】
基本的に、駆動部品6及び7は、ボルト、ねじ、リベット、又は接着剤などの他の固定手段によって、当該クロスバー31に固定され得る。数又は部品及び取り付け工程(the number or parts and the mounting steps)を低減するために、駆動部品6及び7は、前述の相補的な圧入輪郭によってばねリング要素30のクロスバー31に堅く固定することができる。
【0057】
クロスバー31及び板ばね15を含む当該リング状の第1のばね装置14は、溶接シーム又は接着ムラなどの不規則部なしに、一体型要素としてプラスチックから形成されてもよい。具体的には、第1のばね装置14全体は、長鎖PPS(long-chained PPS)から形成されてもよい。
【0058】
こうした第1のばね装置14に加えて、第2のばね装置17が、第1及び第2の駆動部品6及び7のうちの1つ又は駆動ユニット5の別の部分を電気器具の更なる構造部品に移動可能に連結するために提供されてもよく、こうした第2のばね装置17は、駆動ユニット5を懸架するための懸架ばねを形成し得る一対の板ばね18を含んでもよい。より具体的には、駆動ユニット5は、当該第2のばね装置17によって取付構造体又は取付けフレーム16で支持されてもよい。
【0059】
当該取付けフレーム16は、駆動ユニット5を取り囲むフレーム構造体であってもよく、こうした取付けフレームは、駆動ユニット5を取り囲む閉ループ若しくはリング又は矩形のスリーブを形成してもよい。当該取付構造体16は、例えば取付フランジ16fによってシェーバーハウジング2に堅く固定されてもよく、又は好適な固定手段、例えばねじ又はラッチング手段によってシェーバーハウジング2内の固定位置に保持されてもよい。
【0060】
当該取付けフレーム16は、駆動部品6及び7の磁気相互作用に起因する磁場の伝播を防止する、又は少なくとも低減するための磁気シールド200を部分的に形成する。
図5(a)から分かるように、当該取付けフレーム16は、ループ軸201を中心に閉ループを形成し、こうした取付けフレーム16は、フェライト又はマルテンサイト鋼、特に電気亜鉛コーティング鋼などの軟磁性材料で作製される。取付けフレーム16はインテグラル構造を形成し、インテグラル構造はワンピース構造であってもよく、又はマルチピース構造であってもよい。取付けフレーム16が2つ以上の部品から構成される場合には、部品は、磁気的閉ループを確実にするのに十分に大きな部品間の接触面積を用いて互いにしっかりと接続される。
【0061】
図5(a)から分かるように、取付けフレーム16は、冷間圧延又は冷間延伸された金属シートなどのシート材料で作製することができる。
【0062】
取付けフレーム16の板状の輪郭は、前述のループ軸201と実質的に平行に向けられ、よって、スリーブ又は一種の矩形円筒若しくは角柱を形成することができる。
【0063】
図3、4及び
図5から分かるように、取付けフレーム16は、線形振動軸に垂直な方向から駆動部品6及び7を見たときに、その左側及び右側並びにその上側及び下側上で駆動部品6及び7を取り囲んでもよい。換言すると、駆動部品6及び7が左から右に、またその逆に振動する場合、取付けフレーム16は当該駆動部品6及び7をその左側及び右側並びに上側及び下側上で取り囲むことができる。
【0064】
磁気シールド200の別の部品は、駆動部品6及び7の振動軸に実質的に平行に延在し得るループ軸202を中心に閉ループを形成する伝達部フレームを含み得る伝達部10によって形成される。換言すれば、伝達部フレーム204によって形成された磁気シールドフレームは、取付けフレーム16によって形成された他の磁気シールドフレーム203によって形成された閉ループを実質的に横断して延在してもよい。
【0065】
図5(b)から分かるように、磁気シールド200の一部を形成する当該伝達部フレーム203は、シート状材料、具体的には冷間圧延又は冷間延伸された電気亜鉛コーティング鋼シートなどのシート金属から形成されてもよい。
【0066】
伝達部フレーム203は、磁気的閉ループを達成するために、脚部間の十分に大きい接触面積で互いに堅く接続された複数のフレーム脚部を備えてもよい。より具体的には、3つの脚部又はフレーム部分は、一体型のワンピースU字型構造体から形成されてもよく、当該U字体の平行な脚部の端部は、接続ピンによって他のフレーム脚部に堅く接続され得る別のフレーム脚部によって互いに接続され(
図5(b)を参照)、そのため閉じたスリーブ状のフレームを形成することができる。
【0067】
当該伝達部フレーム204は駆動部品6及び7を取り囲み、例えば、永久磁石などの当該駆動部品のうちの1つが当該伝達部フレーム204に堅く固定されてもよい。
図5(b)に示すように、伝達部フレーム204は、駆動部品6の永久磁石がその上に固定され得る底脚部204bを形成する金属板を含んでもよい。
【0068】
こうした底脚部又は駆動部品6が取り付けられる伝達部フレーム204の一部分は、駆動部品6全体が上記フレーム脚部によってその底部側でシールドされるように、当該駆動部品6よりも大きな表面積を有してもよい。
【0069】
伝達部フレーム203及び取付けフレーム16は全体として、磁気相互作用する駆動部品6及び7をその6つの側面で取り囲む磁気シールドケージを形成する。当該伝達部フレーム203が取付けフレーム16に対して移動可能であるため、磁気シールドケージは、互いに対して移動可能な構造部品によって形成される。
【0070】
シェーバーヘッド3は、前述の一対のカッター要素4間に配置されてもよい更なる機能要素、例えば長髪カッターを含んでいてもよい。
【0071】
カッター要素4は、カッティング振動軸8に沿って振動自在に駆動することができる。こうしたカッティング運動に加えて、カッティング要素4は、当該カッティング振動軸8を横断する方向に旋回可能かつ移動可能であってもよい。
【0072】
本明細書で開示する寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限られるとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、こうした寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【外国語明細書】