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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180610
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】経皮端子を用いた治療装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/36 20060101AFI20221129BHJP
   A61F 2/06 20130101ALI20221129BHJP
【FI】
A61M1/36 143
A61F2/06
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159639
(22)【出願日】2022-10-03
(62)【分割の表示】P 2019122651の分割
【原出願日】2019-07-01
(31)【優先権主張番号】P 2018124023
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000126757
【氏名又は名称】株式会社アドバンス
(72)【発明者】
【氏名】浦壁 伸周
(57)【要約】      (修正有)
【課題】生体皮膚に植立した経皮端子を用いた治療に際し、十分な滅菌状態を形成した状態を、容易に可能とすることで、患者及び医療従事者の負担を軽減し、QOLを向上させると共に生活上での治療スタイルを改善する。
【解決手段】生体内外を連通させる分離結合可能なコネクタ902のコネクタ下部の外周に配置された皮膚組織と結合する生体親和性部材よりなる皮膚上に埋設されて使用される接触体に対し、使用時、前記接触体のコネクタ下部表面に蓋部810を形成又は配置し、端子と蓋部の装着部位に対しマニュピレータで硬化性部材を付着硬化させて形成した密封部を、マニュピレータで機械加工により取り外してコネクタ下部を開放する機械加工工程、使用後、前記接触体のコネクタ下部表面に蓋部を形成又は配置し、端子と蓋部の装着部位に対しマニュピレータで硬化性部材を付着硬化させて密閉部を形成する密閉工程、よりなる経皮端子を用いた治療装置。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内外を連通させる分離結合可能なコネクタのコネクタ下部外周に配置された皮膚組織と結合する生体親和性部材よりなる皮膚上に埋設されて使用される接触体に対し、
使用時、前記接触体のコネクタ下部表面にマニュピレータを用いて硬化性部材を付着硬化させて密封した蓋部に対して、マニュピレータを用いた機械加工により蓋部を取り外してコネクタ下部を開放する機械加工工程、
使用後、前記接触体のコネクタ下部表面にマニュピレータを用いて硬化性部材を付着硬化させて密封した蓋部を形成する密閉工程、を有する経皮端子を用いた治療装置。
【請求項2】
生体内外を連通させる分離結合可能なコネクタのコネクタ下部外周に配置された皮膚組織と結合する生体親和性部材よりなる皮膚上に埋設されて使用される接触体に対し、
使用時、前記接触体のコネクタ下部表面に蓋部を配置し、端子と蓋部の装着部位に対しマニュピレータを用いて硬化性部材を付着硬化させて形成した密封部を、マニュピレータを用いた機械加工により取り外してコネクタ下部を開放する機械加工工程、
使用後、前記接触体のコネクタ下部表面に蓋部を配置し、端子と蓋部の装着部位に対しマニュピレータを用いて硬化性部材を付着硬化させて密閉部を形成する密閉工程、を有する経皮端子を用いた治療装置。
【請求項3】
前記マニュピレータは3Dプリンター、アーム型ロボット、パラレルリンク型アームロボット、CAD/CAMから1乃至複数選ばれる請求項1及び2に記載の経皮端子を用いた治療装置。
【請求項4】
前記硬化性部材は、光硬化性樹脂、水硬化性セラミックス、接着硬化性部材の何れかである請求項1及び2に記載の経皮端子を用いた治療装置。
【請求項5】
前記機械加工は、レーザー光による切削、溶融、蒸散除去、樹脂用の回転加工具、歯科用ドリル、エンドミルから選ばれる請求項1及び2に記載の経皮端子を用いた治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内外を導管を用いて連通させる為の皮膚に植立した端子を用いた治療装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、血液透析の際、腎不全の患者の血液を外部へ取りだして、ダイアライザで血液を濾過し、その後血液を戻す血液回路を形成する際、およそ毎分200mlもの大量の血液を循環させる必要がある。
このような大量の血液を体の外へ取りだすことは、静脈だけでは、不可能な為に、動脈の血流を利用すべく、動脈と静脈を人工血管を介するか又は直接つなぐ手術を行って近傍の静脈から血液を採りだし、ダイアライザを経て濾過された血液を静脈へ戻す工夫がされる(内シャント)。
透析時は、この内シャント付近の動脈付近の血管と、近くの静脈の2カ所に中空穿刺型導管(針)を刺して血液の入出力をおこなうが、中空穿刺用導管(針)を毎回2カ所、皮膚表面から血管まで刺すことは、患者にとって大変な苦痛であり、又、穿刺型導管の穿刺により皮膚が硬化したり、損傷したりするため、内シャントが使用できなくなる場合や、穿刺損傷部から感染が生じ、内シャントの位置の移動手術等をしなければならず、患者には、更に大変な苦痛を与えることになる。
又、血液透析治療時の抜針事故は、血液回路中を大量の血液が循環するため、血液が外部へ漏れ出すことは、重大な事故となる場合が多く、又最も多い事故となっている。
【0003】
そこで、生体親和性をそなえた経皮端子を生体皮膚に留置し、これを経由して腹膜透析用の透析液用導管を形成することが、例えば、特開2000-24016号公報で示されるように、ハイドロキシアパタイトにより形成された経皮端子を用いて行うことが提案された。また、この提案された経皮端子が、生体内外に跨る形で皮膚組織への結合による長期留置を可能とすることができることが、報告されている。
【0004】
国際公開WO2007/61100号公報には、ハイドロキシアパタイト複合体粒子等を短繊維状化したものが経皮端子として使用されている。
又、人工血管についても、実用化がされ、血液透析治療時のシャント形成に用いられるようになった。
【0005】
特許第4144647号公報には、穿刺針を同心円状に2層構造とし、外周を脱血用、内周を返血用とする構成が開示されている。
特開2008-279138号公報には、生体内臓器もしくは人工臓器と外部機器との接続に使用される経皮端子としてチタン、及び金属不織布をもちいたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4144647号公報
【特許文献2】国際公開WO2007/61100号公報
【特許文献3】特開2000-24016号公報
【特許文献3】特開2008-279138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
血液透析治療は、上述の様に、2本の穿刺針を静脈へ穿刺して使用される為、苦痛を伴うことから、毎回の穿刺を回避する手段が求められている。
そこで、経皮端子の利用も検討はされるが、単に、皮膚の内外に配置された生体親和性部材の存在だけでは、動脈と接続した勢いのある静脈の血流(事実上 動脈流)を利用する血液透析で経皮端子を用いることは、実用上未解明な部分が多い。又、経皮端子の内側を複雑な着脱構成とすると生体に内外を貫通する経皮端子の内側からの感染が課題となる。
皮膚に一部を埋設したハイドロキシアパタイトよりなる端子は、軟組織との結合後、接触面がバリヤになり、消毒液の塗布などを要しないで、生活活動が行うことができることが、知られているが、生体内外を接続する導菅、電気接続用線等を着脱自在で、装着する場合は、着脱部の殺菌消毒のために、蓋をしても包帯などで保護せざるを得ず、結局、患者は、腕に包帯を何重にも巻いた生活が必要になる。

【課題を解決するための手段】
【0008】
上記に鑑み本発明は、硬化性樹脂、硬化性セラミックスを蓋部表面に塗布し硬化させて、完全な密閉状態を形成することで、包帯の過剰な装着をせず、または包帯をしないで、感染(コンタミネーション)を防止する。
硬化性樹脂、硬化性セラミックスを蓋部表面に塗布し蓋部を完全に密閉した後、治療を行う場合は、この部分に、レーザー光、切削具で完全に密封した部分を切削、除去して、埋もれた脱血部、返血部に血液用導路を接続し、止血状態を解除して使用する。
この一連の工程で用いられる埋設蓋形成、 埋設蓋除去工程は、現在市販されている3Dプリンターの造形工程と切削工程で実現可能であり、手首をおくだけで、一連の工程を短時間で行う。
治療以外は、被覆した端子が、肌と同化した色で、包帯など固定保護部材を要せず使用されるため、一見した程度では透析患者とはわかりにくい状態で生活可能となり、生活のクオリティを向上させる。
通院をしなくても透析治療ができるようになり、また、除水を在宅で行い、老廃物を一週間に一度通院して限外濾過装置によりおこなうことも可能となる。
3Dプリンターの一例としてはCERABOT(商標)のようなパラレルリンクアームのロボットや接触体製造用として CERAMAKER 900(商標)が例示される。
【0009】
本発明における接触体は、ハイドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム等のリン酸カルシウムセラミックス材の緻密体、多孔質体、チタン、アルミナ等の金属体であって、鏡面研磨した表面にリン酸カルシウム含有高濃度溶液中に浸漬し、加圧水熱処理して得られる酸化皮膜を形成したもの等が例示される。接触体(経皮端子)の製造方法は、公知の手法が用いられれば良く、湿式合成法により製造したハイドロキシアパタイトを、加圧整形した後、焼成処理を施す手法が例示される。
酸化皮膜形成手法は、例えば特開2014-50610号公報に記載された人工歯根と歯肉接触面に形成される酸化膜形成手法と同様の方法が好適である。
【0010】
即ち、リン酸カルシウムが過飽和状態の溶液に、表面を鏡面研磨した経皮端子芯材を浸漬し、水熱処理を施す。
鏡面研磨は、例えば、表面の微小な凹凸を除去する為、予め研磨紙、面バフ、ローラーバニシング等による機械研磨、化学研磨、電解研磨などの方法を用いて研磨を行う。
鏡面研磨を行った後に、リン酸とカルシウム成分を含む過飽和水溶液に浸漬し、水熱処理を行うことによりリン成分とカルシウム成分を含む水熱合成皮膜を形成する。
水熱合成被膜処理は、例えば、鏡面研磨したチタンよりなる経皮端子をPH5.5~12のリン酸イオン及びカルシウムイオンが共存した水溶液であって、リン酸等の濃度が過飽和又は局所的に過飽和になる状態の水溶液に9時間から28時間、温度110℃~125℃、圧力0.1~0.2MPaの状態で浸漬する。形成される皮膜は、酸化皮膜であって
、少なくとも、リン酸とカルシウムが含まれていれば良い。
【0011】
本発明における接触体は、穿刺針が2本または、1本挿入できる程度の大きさから、内径10mm程度までの管状体が1乃至2本程度の内径を備えた円筒体が例示される。 好ましくは、接触体施術の容易性から、患者の負担を抑えることができる為、小さいものが好ましい。
又、本発明は、接触体を形成する経皮端子内で、上下に分離可能な接続構造を形成し、前記接続構造は、上下に分離した際、下部において、管状体を閉じる開閉部が形成されている。
この開閉部は、少なくとも、コネクタ上部又は蓋部が取り外された時に、閉じ、コネクタ上部が装着し、使用時に開く構成であって、 例えば、図4で示す穿刺用中空体が示される。
又、開閉部は、使用時、返血部用の中空部からの血液の放出を防ぐものであればよいことから、加圧空間を形成して、交換すれば、開閉部を要しない場合もある。
【0012】

経皮端子の成形
湿式合成により製造した合成アパタイト粉末を3Dプリンターにより経皮端子を造形する。皮膚との接触面は、成形後、凹凸のない鏡面状に仕上げる。
3Dプリンターに限らず、射出成形等従来使用されている成形法であってもよいが、内部で制御機能を働かせる場合は、成形に柔軟性のある3Dプリンターが好ましい。
【0013】

経皮端子の蓋部

経皮端子の蓋部は、治療以外の時、脱血部と返血部を遮蔽し、細菌の感染や、漏血を防止する為のもので、着脱自在であって、装着時に、細菌の感染を防止する構成が好ましいが、その機能を実現するためには、さらに厳重な処置が必要となる。
蓋部は、二重の蓋 以上の多重蓋としてそれぞれにシーリングを施す構成が好ましい。 蓋を開けるタイミングは、治療時またはメンテナンス時に限られることから、蓋を設けず、そのまま硬化性部材の塗布により、シールする方が感染などに対応するためには有効である。したがって、セラミックス、樹脂等の硬化性部材を塗布して、硬化させることで、このまま埋設し、硬化させる。
治療時、この埋設部分を切削、研削、切除することで、端子内部の脱血部、返血部と接続する構成を示す。
治療等終了後、再び硬化性部材の塗布と硬化により埋設する。
上記一連の作業は、操作アームを持つ3Dプリンター構造によって自動で行うことが示されるが、埋設型の蓋部の形成を3Dプリンターによって行い、その他は、手動で行ってもよい。
これは、皮膚に一部を埋設したハイドロキシアパタイトよりなる端子は、軟組織との結合後、接触面がバリヤになり、消毒液の塗布などを要しないで、生活活動が行うことができることが、知られているが、生体内外を接続する導菅、電気接続用線等を着脱自在で、装着する場合は、着脱部の殺菌消毒のために、蓋をしても包帯などで保護せざるを得ず、結局、患者は、腕に包帯を何重にも巻いた生活が必要になることから、蓋を着脱自在にするのではなく、硬化性樹脂、硬化性セラミックスを蓋部表面に塗布し硬化させて、完全な密閉状態を形成することで、包帯の過剰な装着をせず、または包帯をしないで、感染(コンタミネーション)を防止する。
硬化性樹脂、硬化性セラミックスを蓋部表面に塗布し蓋部を完全に密閉した後、治療を行う場合は、この部分に、レーザー光、切削具で完全に密封した部分を切削、除去して、埋もれた脱血部、返血部に血液用導路を接続し、止血状態を解除して使用する。
この一連の工程で用いられる埋設蓋形成、 埋設蓋除去工程は、現在市販されている3Dプリンターの造形工程と切削工程で実現可能であり、手首をおくだけで、一連の工程を短時間で行い、透析装置と脱血部、返血部を血液用導管で接続して透析治療を行う。治療以外は、被覆した端子が、肌と同化した色で、包帯など固定保護部材を要せず使用されるため、一見した程度では透析患者とはわかりにくい状態で生活可能となり、生活のクオリティを向上させる。
通院をしなくても透析治療ができるようになり、また、除水を在宅で行い、老廃物を一週間に一度通院して限外濾過装置によりおこなうことも可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、硬化性樹脂、硬化性セラミックスを蓋部表面に塗布し硬化させて、完全な密閉状態を形成することで、包帯の過剰な装着をせず、または包帯をしないで、感染(コンタミネーション)を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施例を示す図である。
図2】本発明の一実施例を説明する為の図である。
図3】本発明の一実施例を説明する為の図である。
図4】本発明の他の実施例を示す図である。
図5】本発明の他の実施例を示す図である。
図6】本発明の他の実施例を示す図である。
図7】本発明の他の実施例を示す図である。
図8】本発明の他の実施例を示す図である。
図9】本発明の他の実施例を説明するための図である。
図10】本発明の他の実施例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、少なくとも、生体内外を連結する皮膚接触部へ生体親和性部材を配置した接触体(経皮端子)、脱血部形成用管状体、及び返血部形成用管状体が、前記端子部で接合離脱可能なコネクタ状態を有する構成を示す。
接触体は、少なくとも、生体内外を連通する部位に形成され、湿式合成、骨粉抽出等で得られたハイドロキシアパタイト、カルシウム欠損型ハイドロキシアパタイト、α、乃至 βのリン酸三カルシウム等のリン酸カルシウム系セラミックス、アルミナセラミックス等の生体親和性部材による成形緻密体、チタン芯材表面を鏡面研磨させ、更にリン酸塩およびカルシウム塩を含む過飽和水溶液に浸漬し、加熱加圧する水熱処理して得られる酸化皮膜を形成したものが例示される。
その形状は、特に指定するものではないが、より小さく安定性のある形状が好ましい。小さくすることで、手術を簡素化させ、患者の負担を軽減することができる。
当該接触体は、例えば筒状、底部の縁部の直径が上部より広いボビン状であり、その中心に、コネクタが配置され、生体内外を連通する環状体を分離可能とするコネクタが形成されると共に、例えば、動脈からの流れに抵抗を加えたり、静脈流及び動脈流を遮断したりする構成とすることで、例えばシャント合併症の軽減等を可能とする。特に、動脈流を制御可能な構成をコネクタ内部に形成することで、静脈流の負担を軽減させることも可能となる。
管状体は、少なくとも、生体親和性を備え、且つ人工血管として使用可能なものであれば良く、通常内シャントを形成する際に用いるものであれば良い。
【0017】
尚、本発明は、皮膚との接触体の内側に、脱血部と返血部を着脱自在に構成可能とする他、脱血部と返血部を今まで通り、穿刺中空針とし、接触体内に内シャントを人工血管とした場合における、動脈から静脈へ接続する人工血管のその中間を接触体内に内包し、この内包された人工血管の管状側面を外部から押圧する構成のみ形成することで、動脈から静脈へ流れ込む血流量を外部から調整可能とする構成を取る場合もある。
これは、動脈流のように勢いのある血流を任意に外部から調整可能とすることで、静脈におけるシャント合併症を軽減可能とすると共に、事実上、透析治療時だけの内シャントを可能とする。この場合、外部からの操作は、接触体内部の管状体側面を押圧するだけのものであることから生体内外を完全に遮断できる構成となり、安定した経皮端子の利用が可能となる。
【0018】
即ち、生体内外で皮膚組織と接触する生体親和性部材よりなる接触体、前記接触体の内部を通過する管状体、前記接触体内部に配置され、前記管状体の側面を操作することで、閉塞状態を形成可能とする操作駆動部、前記操作駆動部を接触体の生体外部面で操作可能とする操作部よりなる。
接触体とは、上述した、円筒体でなく、例えば、円柱体、直方体、等であって、その一部が、皮膚表面に露出する様に埋入される。 内部は、生体外へ表出しない状態で設置された人工血管等の管状体が、通過しており、途中、外部からの圧力で内部が閉塞状態になる操作駆動部が形成されている。接触体の内部には、管状体側面を押圧する構成が形成されており、この押圧力を形成する操作部が、接触体上部の生体外に表出する部位にくみこまれており、外部からの操作が可能となっている。
【0019】
このような構成は、生体内外を連通することなく、動脈流の流れを調整可能とするため、シャント合併症の軽減を可能とするものである。
本発明は、皮膚にハイドロキシアパタイト等のリン酸カルシウム緻密体による経皮端子を埋入し、動脈と静脈を人工血管で連結したシャント部近傍から人工血管による脱血部を形成すると共に、透析装置で浄化された血液を体に戻す返血部を人工血管により形成し、経皮端子を経て体の静脈へ戻す構成である。
即ち、経皮端子部の返血部と脱血部をソケットとすれば、これをプラグ状の外部血液伝達路で接続することで、透析治療時における血液回路が形成されることから、今まで穿刺という医師等医療従事者か本人しかできない行為により取り扱いが限られた血液透析治療を在宅透析の範囲を広くすることができ、更に、例えば、毎日1から2時間の透析を受けるという治療の仕方も可能となる。
また、経皮端子の利用は、透析装置との接続をおこなっていた血液チューブを用いず、より患者と透析装置が近い状態での利用を行うことができることから、動脈の利用を抑えることができる可能性がある。
【実施例0020】
1は、経皮端子であり、ハイドロキシアパタイト等のリン酸カルシウム系セラミックスのブロック、チタン材の表面に形成したアパタイト系酸化膜による被覆層等で形成される。 経皮端子1は、円柱状の本体部101の底部に、直径が長い円盤円筒状の底部縁部103、上部に、直径が底部縁部102より短い円盤円筒状の上部縁部103が形成されている。
2.は、内シャント用管状体を示し、ゴアテックス(登録商標)、expanded-polytetra fluethylene (ePTFE)、polyurethane (PU)、polyolefin-elastomer-poluester (PEP)等で形成される人工血管が用いられる。
3.は、脱血用管状体であり、人工血管と同様の材料により形成され、4は、返血用管状体であり、人工血管と同様の材料により形成されている。
【0021】
5は、コネクタであり、ハイドロキシアパタイト等のセラミックス、ポリエステル、PGA樹脂、CF樹脂等のプラスチック、形状記憶合金、チタン等の金属であって、生体親和性(適合性)部材で形成され、経皮端子1の内側に密閉収容され、上下分離可能な構成を備えており上部を5a、下部を5bとした。コネクタ5を金属とした場合等は、生体接触面に、鏡面研磨を施した後、上述したリン酸、カルシウムを含む過飽和水溶液に浸漬した水熱処理を行っても良い場合もある。
【0022】
コネクタ5は、上部5aと下部5bが分離している場合は、下部5b側の脱血部口5b1、及び返血部口5b2が閉じた状態が形成され、上部5aと結合すると、上下連通する為の開閉部が形成されることが好ましい。
又、その他の実施例に用いられる樹脂、プラスチック、金属、及びセラミックス材における生体組織に接触する部位は、少なくとも生体適合性(生体親和性)を備えたものが好ましい。
6は、血液回路であり、体外で形成され、脱血用口5a1→血液駆動ポンプ7→ダイアライザ8→返血用口5b1の血液の流れを形成し、その他、通常用いられる透析装置用機器が接続される。
【0023】
7は、血液駆動ポンプであり、およそ毎分200mlの血流を形成するための駆動ポンプであって、例えばインペラの回転によって血流を形成するローラー式のポンプ等の電気入力による回転部材(電気入力を調整することで回転数が変化する等の調整ができる状態が好ましい。)が示される。
8は、ダイアライザであって、側面に孔部を設けた中空糸が1万本前後収容され、中空糸内部を血液が流れ、外部を血液とは、逆方向に、透析液が流れる構造を有する。
9は、蓋部であり、コネクタ下部5b上を密閉状態に挿入装着される形状を備え、密閉性を形成するために、シーリングが施されている。
10は、開閉弁であり、蓋部9が装着される場合は、そのまま閉じているが、コネクタ上部5aが装着される場合は、開いて、上下の導管が連通する構成が示される。一例を図4に示した。
【0024】
11は、脱血用流路であり、12は、返血用流路であり、コネクタ5内に、空洞、又は、管状体の延長として形成される。
13は、脱血側流路であり、血液回路6の脱血側(動脈側)血液流路を示す。16は、返血側流路であり、血液回路6の脱血側(動脈側)血液流路を示す。
15は、透析液供給流路であり、透析液をダイアライザ8へ供給するためのものである。14は、透析液戻り流路であり、余分な水や老廃物を含む透析液を外部排出装置(図示せず)へ供給するためのものである。
【0025】
次に動作を説明する。
経皮端子1を皮膚に埋設し、更に、血液透析治療を人工血管を用いた内シャントを形成する際と同様に、上腕部1A上の動脈1Bに内シャント用管状体2の動脈側端部を接続し、静脈1Cに内シャント用管状体2の静脈側端部を接続する。接続の仕方は、人工血管を接続する際と同様の施術によりおこなわれる。コネクタ下部5bには既に脱血用管状体3及び返血用管状体4が固定装着されている。
返血用管状体4の一端を、静脈1Dに接続する。
この一連の接続及び配置した状態で、縫合し、固定するまで、保護カバー(図示せず)等を添えて安静にする。
安静後、蓋部9を取り外し、図1のコネクタ5aを装着して血液回路6を形成して、血液透析治療を行う。図2は、その際の動作を説明する図である。尚、経皮端子は、半分ほど皮膚内に埋め込まれた状態(図1図2の2aから下の部分)であり、隠れているが、説明を明確にするため、すべて実線でしめした。
【0026】
図1,2で示す実施例は、内シャントを人工血管で形成する際、その一部から分岐した管状体を利用した構成を示し、血管との縫合部を少なくすることができるが、通常の内シャントを形成した状態でも図3で示す第2脱血用管状体31を用いて本発明の実施例を形成できる。第2脱血用管状体31は、図1の脱血用管状体3と同様の材料で形成されている。
本発明の他の実施例を図4乃至図6で示し説明する。
401は、カバー部材であり、テフロン(登録商標)、PET、PP等のプラスチック等で形成され、皮膚接触体402を上から覆い、固定する為の構成備えている。401aは、外周縁部であり、カバー部材401と一体的に形成され、外周に延びることで、経皮端子の安定化を図っている。
402は、皮膚接触体であり、図1で示す経皮端子と同様の材料で同様の形状で形成されている。
403は、返血用コネクタであり、プラスチック又は、ガラス、金属等であって、生体適合性を有する硬質性管状体で形成され、他端は、、返血用チューブ403aと接続し、他端の開口部には、ゴム、プラスチックで形成された返血用栓体405が固定されている。
404は、脱血用コネクタであり、上記と同様のプラスチック、ガラス、又は金属等の硬質性管状体で形成され、他端は、脱血用チューブ404aと接続し、他端の開口部には、ゴム、プラスチックで形成された脱血用栓体406が固定されている。
【0027】
返血用栓体405、脱血用栓体406は、一般的に用いられている採血管のゴム栓と同様の素材で形成され、脱血用穿刺中空体414,返血用穿刺中空体415が刺通可能な硬度を有する。
407は、伝達体Aであり、硬質性プラスチック、金属の棒状体で形成され、一端を操作部408と接続し、他端は、開閉ユニット用伝達体と着脱自在に接合可能とする。 408は、操作部であり、プラスチック材、チタン材等で形成され返血部用管状体412と脱血部用管状体413を閉じるための操作を行うものであって、回転弁410を回転させるための回転力を加える部分である。 409は、回転弁用伝達体であり、プラスチック、金属の棒状体で形成され、回転弁410を一端に接続し、他端を伝達体Aに結合可能な形状を有する。回転弁用伝達体409は、伝達体Aから伝達される回転力を、回転弁410に伝達させるためのものである。
【0028】
410は、回転弁であり、長方形状であって、少なくとも短軸方向は、管状体の直径と同等か、それ以上の大きさを備えている。
図4(a)の状態で、管状体を側面から局部圧迫して閉じる状態から、図4(b)で示すように管状体の局部圧迫から解放するように回転可能とする。
411は、伝達体A407及び回転弁用伝達体409に回転のみを行わせ、左右のぶれを抑える為に、軌道維持の為のガイド体であり、チタン材等の金属材料、又は、セラミックス材料で形成されている。
ガイド体411は、皮膚接触体402内に収容され、管状体を皮膚接触体402の内部に固定すると共に、回転弁410の回転により、管状体が効率よく変形して、内部遮断状体を形成できるための支持体として、形成されるその一部である場合もある。
【0029】
412は、返血部用管状体であり、一端には、返血用穿刺中空体415を接続し、他端には、図2の返血用管状体4と接続している。返血部用管状体412は、回転弁410の押圧力により変形し、閉じる程度の柔軟性のある樹脂チューブ(例えば、上述の人工血管の材料)で形成されるのであれば、図2の返血用管状体4と一体的に形成されても良い。 413は脱血部用管状体 であり、一端には、脱血用穿刺中空体414を接続し、他端には、図2の3と接続している。脱血部用管状体413は、回転弁410の押圧力により変形し、閉じる程度の柔軟性のある樹脂チューブ(例えば、上述の人工血管の材料)で形成されるのであれば、図2の返血用環状体4と一体的に形成されても良い。
脱血部用管状体413、脱血用穿刺中空体414は、いずれも経皮に接触する皮膚接触体402の内側に、密閉固定され、感染路を遮断する。
【0030】
414は、脱血用穿刺中空体であり、先端は、少なくとも、脱血用栓体406を刺通可能に鋭角状を形成する。
415は、返血用穿刺中空体であり、先端は、少なくとも、返血用栓体405を刺通可能に鋭角状を形成する。
416は、固定バンドであり、カバー部材401と一体的に形成され、腕に巻き付け固定される状態で経皮端子上のコネクタを保持する。固定保持の仕方は、様々であり、例えば腕時計用ベルト状やゴムバンドのような弾力性、伸縮性部材による環状体が示される。
【0031】
図5は、治療時以外の状態において蓋部417を装着した状態と蓋を取り外した状態を示す。蓋部417は、治療時以外、感染を防止するため脱血用穿刺中空体414、返血用穿刺中空体415を外部と遮断し、且つ、血液凝固を阻止する構成を要する為のものである。
417は、蓋部であって、カバー部材401と同様の素材で形成されており、底面方向に、脱血用穿刺中空体414及び返血用穿刺中空体415を穿刺保持する脱血部用キャップ418と返血部用キャップ419が形成されている。蓋部417は、1回限りの使用にのみ利用されることが好ましい。
蓋部以外は、図3で示す、経皮端子部と同じ構成であるため、同一の記号を付して、説明を省略する。
【0032】
418は、脱血部用キャップであり、中空円筒状を有し、例えばウレタン、天然ゴム等の素材で形成され、長さが、脱血用穿刺中空体414を全部覆う程度の長さを有する。脱血部用キャップ418内部には、脱血用穿刺中空体414内で血液が凝固しないように、中空部に挿入して使用される棒状の脱血部用芯材418aが設けられ、その周辺には、血液凝固阻止剤が含浸、塗布されている。
419は、返血部用キャップであり、中空円筒状を有し、例えばウレタン、天然ゴム等の素材で形成され、長さが、返血用穿刺中空体415を全部覆う程度の長さを有する。返血部用キャップ419内部には、返血用穿刺中空体415内で血液が凝固しないように、中空部に挿入して使用される棒状の返血部用芯材419aが設けられ、その周辺には、血液凝固阻止剤が含浸、塗布されている。
【0033】
次に図4図5及び図6で示す実施例の動作を説明する。
図1図3で示すように皮膚に対して皮膚接触体402の植立、及び内シャントの形成を行う。図6で示すように蓋部417の脱血部用キャップ418と返血部用キャップ419は、それぞれ、脱血用穿刺中空体414と返血用穿刺中空体415に穿刺された状態で、脱血用穿刺中空体414と返血用穿刺中空体415を保護し、外部との遮断を行っている。 回転弁410は、それぞれ返血部用管状体412,脱血部用管状体413を外部から押圧して閉塞状態としており、脱血用穿刺中空体414及び返血用穿刺中空体415から外部へ、血液等が漏れ出さないようになっている。
血液凝固剤が脱血部用キャップ418,返血部用キャップ419のそれぞれに塗布されながら、脱血部用芯材418a、返血部用芯材419aと脱血部用キャップ418,返血部用キャップ419のそれぞれが、脱血用穿刺中空体414、返血用穿刺中空体415の栓となって血液の漏洩を防止する。
【0034】
使用時、この蓋部417を取り外して、図3で示すカバー部材401を挿入装着する。カバー部材401の脱血用栓体406は、脱血用穿刺中空体414の刺通により、返血部用管状体412と返血用コネクタ403が連結し、カバー部材401の返血用栓体405は、脱血用穿刺中空体414の刺通により、脱血部用管状体413と脱血用コネクタ404が連結する。この刺通により、コネクタは、経皮端子上で固定されるが、更に、固定バンド416により、固定される事が好ましい。
【0035】
操作部408を回転操作すると、回転は、伝達体A407、回転弁用伝達体409を介して回転弁410に伝達され、回転して、図4の(b)の状態となり、血液回路に血液が流れる状態が形成される。
使用後、操作部408を操作して回転弁410を回転させ、図4(a)の状態に戻し、返血部用管状体412、脱血部用管状体413を内部で閉塞させる。
回転弁410は、治療時だけ、図4(b)で示すように、返血部用管状体412、脱血部用管状体413の閉塞を解除する状態となれば良く、カバー部材401が装着された状態でのみ回転する構成が好ましい。
【0036】
回転弁410は、必ずしも必要ではなく、少なくとも、蓋とコネクタの交換の際、穿刺中空体から血液が漏れることのない状態で交換出来ればよい。
例えば、経皮端子のコネクタを覆う密閉空間を形成して高圧とした状態で、中空体から血液が漏れ出ない状況を形成して、交換を行う等の方法がある。
本発明は、動脈に直結する血流の遮断、接続を行う際、血液の漏出がなく、しかもシンプルで、感染が無い構成であれば良い。
本実施例は、簡単な構成で、血液透析時に形成される血液回路に容易に接続されると共に、感染等がなく、また、患者にとって負担が少ない構成を有する。
【0037】
次に本発明の他の実施例を図7を参照して説明する。
図7(a)において、
701は、コネクタ下部であり、樹脂、金属、セラミックス等で形成され、内部に、脱血用流路と返血用流路が形成されている他、外部駆動操作により、流路の開閉を行い、流れる量を調整可能とする流体回路の構成を有する。
コネクタ下部の底部は、生体組織との接触面を備えていることから、この部分を生体適合性部材で、被覆したり、コネクタ下部701自体を生体適合性部材で形成する。
【0038】
702は、蓋部であり、血液透析治療以外は、脱血用キャップ717、返血用キャップ718を覆う様にして挿入は位置され、且つ底部の固定ストッパ714は、凸部711が回転しないように固定する為に凸部711と嵌合関係をそなえたものである。
703は、皮膚接触体であり、底部の直径が上部の直径より大きいボビン状の円筒体を有している。皮膚接触体703は、上述したハイドロキシアパタイト緻密体等の生体親和性部材により形成され、皮膚に上部が表出した状態で、人工血管を動脈及び静脈に接続する際、埋入される。
704は、動脈側管状体であり、人工血管等用いられている材料で形成されている。705は、静脈側管状体Aであり、人工血管等用いられている材料で形成されており、動脈側管状体704と静脈側管状体A705は、他端で接続し、内シャントを形成することが可能となっている。
【0039】
706は、返血用管状体であり、静脈8cと一端が接続し、他端は、返血用管状体A708を介して返血用穿刺中空体710と接続する。
707は、脱血用管状体であり、静脈側管状体A705と動脈側管状体704と接続している。脱血用管状体707は、動脈側管状体704と静脈側管状体A705と一体的に形成しており、つなぎ目が無いことが好ましく、実施例では説明のために記載した部分である。
脱血用管状体707は、コネクタ下部701内で、弁体713の押圧を受けて変形閉塞可能な配置をとる。
【0040】
708は返血用管状体であり、返血用管状体706と一体的に形成されており、他端を返血用穿刺中空体710と接続する。返血用管状体708は、弁体の押圧等により、変形閉塞可能な状態になる部分を示すため返血用管状体706と区別して示した。
もともと人工血管等も可撓性をそなえているが、弁体713の押圧力による変形が繰り返し行われても、損傷が生じづらい材質が好ましく、コネクタ下部701内だけ天然ゴム等の素材にしてもよい。
709は、脱血用穿刺中空体であり、穿刺針状であって、透析時十分な血液の移動が出来る程度の口径をそなえている。
【0041】
710は、返血用穿刺中空体であり、穿刺針状であって、透析時十分な血液の移動が出来る程度の口径をそなえている。
711は、凸部であり、支持連結部712を介して弁体713と接続し、 凸部711は、外部からの凹部と嵌合後、回転力が加わると、弁体を回転させる。
712は、支持連結部であり、凸部711と弁体713を棒状の軸で連結し、長軸方向に回転し、凸部711の回転を弁体713に伝達する。
713は、弁体であり、長方形状に形成され、例えば90度の回転により、管状体を押圧閉塞させたり、更に90度回転させると、押圧閉塞を開放する動作を行う。
【0042】
714は、固定ストッパであり、上記のように、凸部711と嵌合するための凹部が形成されており、嵌合することで、弁体が回転しないように固定するためのものである。 715は、棒状の栓体Aであり、脱血用穿刺中空体709の中空部に挿入され、中空体内が血栓などで詰まらないようにする。
716は、棒状の栓体Bであり、返血用穿刺中空体710の中空部に挿入され、中空体内が血栓などで詰まらないようにする。
717は、脱血用キャップであり、天然ゴム等で形成され、脱血用穿刺中空体709の周囲を覆い保護固定するためのものである。
718は、返血用キャップであり、天然ゴム等で形成され、返血穿刺用中空体710の周囲を覆い保護固定するためのものである。これらのキャップは、天然ゴム、樹脂等で形成され、中空体の穿刺によって、貫通可能な弾性材料で形成される。
【0043】
図7(b)において、
719は、コネクタ上部であり、生体外部の血液回路6へ血液を供給するための脱血用管状体720及び血液回路6を経由して戻った血液を体内へ戻す返血用管状体721を内蔵し、更に、中央上部に、弁体を回転させるための回転操作部728が形成されている。 720は、脱血用管状体であり、一端は、血液回路用脱血側管状体726と接続し、他端は、栓体A722と接続する。
721は、返血用管状体であり、一端は、血液回路の血液回路用返血側管状体727と接続し、他端は、栓体B723と接続する。
722は、栓体Aであり、脱血用中空体により穿刺貫通可能なゴム、樹脂で形成され、貫通後、中空体を押さえつける様な力が働き、血液の漏洩を防ぐ構造を有する。
【0044】
723は、栓体Bであり、返血用穿刺中空体により穿刺貫通可能なゴム、樹脂で形成され、貫通後、中空体を押さえつける様な力が働き、血液の漏洩を防ぐ構造を有する。
724は、駆動伝達軸であり、駆動用凹部725に接続して、駆動用凹部725と凸部711との嵌合により、回転操作部728の回転を、弁体に伝達する。
725は、駆動用凹部であり、凸部711と嵌合する形状を備えており、凸部711と嵌合した状態で、凸部711を回転させ、弁体713を回転させるためのもので、非変形性と耐久性を備えた樹脂、金属で形成されることが好ましい。
726は、血液回路用脱血側管状体であり、図1の13に相当し、727は、血液回路用返血側管状体であり、図1の16に相当する。 具体的には図6で示す様に、コネクタの長軸方向に対し、垂直に延びた管状体と同様の構造を示している。
728は、回転操作部であり、コネクタ上部に平行に回転可能に配置され、、指先で、回動させることができ、この回動により、弁体が回転し、血液が血液回路を循環開始と停止をさせる為のものである。
【0045】
次に図7で示す実施例の動作を説明する。
治療前は、図7(a)のように、コネクタ下部701上に蓋部702が装着されている。
皮膚組織4Aに対し皮膚接触体703は、2aの部分まで皮下に埋入されている。 蓋部702が装着された状態では、脱血用穿刺中空体709、返血用穿刺中空体710に栓体が挿入され、弁体713が回転できないように固定されている。弁体713は、管状体を押圧して閉塞状態にする一方動脈の分岐部を閉塞するため、動脈流は、静脈方向への流れを阻止された状態となる。この阻止により、静脈への影響が抑制され、シャント合併症の一部を回避出来るようになる可能性がある。
治療時、蓋部702を外す。その際、弁体713は、動脈側管状体704と静脈側管状体A705の接合部704a及び返血用管状体708を圧迫し閉塞させている。閉塞状態は、コネクタ上部719の装着以外の期間全てで維持される事が好ましく、閉塞維持状態を監視する状態検出センサと、コンピュータチップをコネクタに内蔵し、WiFi、赤外線通信により外部コンピュータで監視するシステムの形成を行う場合もある。
【0046】
治療時、蓋部702を取り外す。
その際、栓体A715,栓体B716がそれぞれ脱血用穿刺中空体709、返血穿刺用中空体710に挿入されているため、これを取り外すが、取り外す際、固定ストッパ714も凸部711との嵌合状態が解除されるが、凸部711の状態は、変化せず、弁体713を固定する方向に回転したままで、血液が外部へ漏出しない状態となっている。
次にコネクタ上部719を、蓋部702の代わりに装着すると同時に、脱血用穿刺中空体709、返血用穿刺中空体710は、それぞれ栓体A722,栓体B723を貫通穿刺する。駆動伝達軸724の先端は、凸部711と嵌合する。回転操作部728を回すと、駆動伝達軸724が回転し、凸部711、駆動用凹部725も同様に回転する。この回転により、動脈流は、脱血用管状体720及び静脈側管状体A705へ流れ、図1で示す血液回路6に所定速度の血流が形成される。
弁体713は、図7(a)の状態で、動脈側管状体704と静脈側管状体A705の接合部704aを塞いでいたが、駆動用凹部725の回転で閉塞状態が徐々に解除されることから、弁体713の回転量により、動脈からの血液供給量が調整でき、事実上透析治療時のみシャントが形成されるためシャント合併症の一部の改善の可能性も生じる。
【0047】
その他の実施例を図8を参照して詳細に説明する。
図8において、801は、端子部であり、上部を球形を有する円状を有し、中央には凹部が形成され、この凹部に沿った形状で上方向が開放されたガイド体802が形成されている。
802はガイド体であり、チタン等の金属製、アルミナ、ジルコニア、カーボン等のセラミックス製、テフロン(登録商標)、ポリエチレン等の樹脂製で形成され、少なくとも生体親和性を備えた部材であって、切削性に対する強度と、耐衝撃性があることが好ましい。
803は、軸部であり、ガイド体802と一体型に形成されていると共に、軸部803を中心に回転弁が、90度程度まで回動することから、容易に破損することがない程度の耐久強度が必要である。尚、回転弁806が、軸部803を要せずとも、所定の角度の回転ができる場合は、軸部803は、無くても良い場合もある。
【0048】
804は、脱血用管状体であり、血液透析のシャント用に用いられる人工血管よりなる。805は、返血用管状体であり、血液透析のシャント用に用いられる人工血管よりなる。
806は、回転弁であり、円盤状、円筒状で形成され、耐久性と生体親和性、一部抗血栓性のあるプラスチック、樹脂、セラミックスで形成され、軸部803を中心に回動すると共に、表面が、脱血用管状体804、返血用管状体805と接触する面が、抗血栓性、を備えた部材がコーテイング、積層等で配置されている。
又回転弁は、軸部803用の軸受け部を中心に備えている他、軸部803を使用せず、円周上に接触するガイド体802の壁面に接触して回動する場合もある。
807は保護カバーであり、生体親和性がある金属、樹脂、セラミックスで形成され、上下方向に耐久性があり、治療以外の場合の回転弁の回動防止、脱血側連結用管状凸部808と返血側連結用管状凸部809を上からの力から保護する為のものである。
【0049】
808は、脱血側連結用管状凸部であり、中空状で、回転弁806と一体成形されていおり、透析装置から延びてくる導管と接続されるものである。

810は、一体型蓋部であり、透析治療後、形成されるものであり、セラミックス、樹脂の積層構造、又は、補てつ物構造で構成される。
積層構造とは、いわゆる3Dプリンターにより、セラミックス、樹脂粉体が吐出積層させながら、例えば接着剤を吐出させて順次硬化させて積層体を形成したり、リン酸カルシウム系粉末を敷き詰めながら、水、クエン酸等の有機酸を吐出して硬化させながら積層させたり、光硬化性樹脂粉末を塗布して敷き詰めながら紫外線など硬化用光線を照射しながら硬化させる。
【0050】
セラミックス粉末、ペーストを塗布しながらレーザー光を照射して順次焼成溶融して得る。
補てつ物構造とは、いわゆる歯科治療に使われる補てつ物のことで、口腔内に用いられるレジン系補てつ物を形成して一体型蓋部810を形成したり、当該形状物を快削性セラミックス(マシナブルセラミックス)塊状物に対するコンピュータプログラムに基づいた研削、切削するCAM処理で得たあと、これを接着剤で固定するものであってもよく、殆ど一体型で、手動では取り外しのできない蓋を形成することが好ましい。
即ち、一体型蓋部は、手動で外すことが出来ないくらいに強固に接合し、一見して一体型に見える状態を示す。
一体型蓋部810は、単独では取り外しができず、切削 溶融 等の加工工程により、取り外され、装着時は積層硬化によるものであることから、経皮端子からの感染がなく日常生活においても、特別な保護を必要とせず、負担のかからない取り扱いが可能となる。
【0051】
次に図8の構成の動作を図9図10を用いて説明する。
901は、加工具であり、切削、研削、溶融、蒸散等の手段で、ミル、ドリル、レーザー光等で形成され、振動を抑えたCAM(Computer Aided Machine)による除去加工であって、レーザー光による切削、溶融、蒸散除去、樹脂用の回転加工具、歯科用ドリル、エンドミル等が例示され、一体型蓋部810を切削、研削して取り除くものである。一体型蓋部810は、例えばセラミックスの場合は、硬度は低くし、加工振動をおさえた形で除去されてもよい。樹脂カバーの場合は、切削容易性があるので、生体に親和性のある材料で、切削加工容易なものが好ましい。
一体型蓋部810は、少なくとも外部からのある程度の刺激に耐え、密閉状態を形成できれば良く、生体親和性は必ずしも必要とせず、接着剤等で結合し、容易に取り外しができないような除隊が形成されればよい。 ガイド体802への密な結合により、細菌の感染等の防止ができる。
【0052】
加工具901で一体型蓋部810を除去した後、保護カバー807を取り除く、807は、保護カバーであって、細菌の感染防止用と、回転弁806への外圧の除去用であり、一体型蓋部810を除去した際の残渣の侵入や、一体型蓋部810加工時の振動からの保護など保護カバー的役割を有する。保護カバー807は、樹脂、金属で形成され、非変形性と、滅菌材料で形成される。
保護カバー807を取り除いた後、透析装置から延びるアクセスコネクタ902の脱血用コネクタ903と返血用コネクタ904をそれぞれ脱血側連結用管状凸部808と一体型蓋部810に接続する。
アクセスコネクタ902は、プラスチック、金属による筐体であって、ロボットアーム構造をとり、透析装置から延びている。アクセスコネクタと透析装置の接続は、透析時間中、患者がリラックスできるように柔軟性コードタイプが好ましいが、短時間であれば、ロボットアーム状を形成しても良い。
【0053】
アクセスコネクタ902を装着した回転弁806を、アクセスコネクタ902を回転させることで、連動して90度程度回転させる。
この回転により、脱血用管状体804と返血用管状体805が脱血用コネクタ903と返血用コネクタ904とそれぞれ連通し、血液回路が形成される。 透析治療が終了すると、図10(a)の状態からアクセスコネクタを回転させることで、回転弁を回転させる。回転弁806の回転により、回転弁806の底面により脱血用管状体804の開口部,返血用管状体805の開口部は遮蔽され、固定された後、アクセスコネクタを取り外す。
アクセスコネクタが取り外されたあと、保護カバー807を装着する(c)、更に、射出治具からセラミックス粉、金属粉末をノズル1001から吐出し敷き詰めながら、レーザー光を照射し、積層体を形成したり、光硬化樹脂粉末をノズル1001から吐出し敷き詰めながら、紫外線など、硬化用光を照射し、一体型蓋部810を形成する。
【0054】
以上の工程は、好ましくは、1つのプログラムしたコンピュータ処理を含むCAMにより自動的に行われる。
CAMによる作業部は、患者上に埋入された端子部801の周縁部を密閉保持し、上部に滅菌化した作業空間を形成する。端子部801は、作業空間に肯定された状態で紫外線、消毒剤が照射され滅菌処理が行われる(図9(a)に作業部底部9mに形成された端子部801を保持する孔状の上部保持部9sを示す。
作業部9Rは、作業部底部9m以外は省略した。
一軸式又はパラレルリンク式のマニュピレータ上に設置したレーザー光による切削工具で、図9(a)で示すように一体型蓋部810を切削除去する。
次に 図9(b)で示すように、保護カバー807をマニュピレータで取り外す。 アクセスコネクタ902を回転弁806のそれぞれ脱血用コネクタ903,返血用コネクタ904が 脱血側連結用管状凸部808、809に接続する用に位置決めした状態でマニュピレータで接続する。
【0055】
図9(c)で示すように、アクセスコネクタ902を回転させて、脱血側連結用管状凸部808,809と脱血用管状体804,返血用管状体805が一致又は、一部一致させ、透析装置に血液が供給できるように血液回路を形成する。(図9(d))
905は、脱血用導管であり、脱血用コネクタ903と接続しており、体内の血液を透析装置へ送るための管状体である。
906は、返血用導管であり 返血用コネクタ904と接続しており、透析装置から浄化された血液が体内へ戻るための管状体である。

透析治療中は、この作業空間から、端子部が取り外すことが出来、透析装置から延びた脱血用導管905、返血用導管906は、伸縮可能としてあり、患者の状態によって、延び縮することで、患者はリラックスした状態でアクセスコネクタ902経由の透析治療が形成される。
【0056】
治療後、図10で示すように、
治療終了後、再び端子部801の上部を作業部の端子部保持孔へ当接する。
即ち、図9(a)で示す密閉された端子上部をレーザー光、電動ミルにより切削し、 これらの自動化された工程により、血液透析は、在宅、医療機関へ立ち寄る程度で治療を行うことができるようになる。

【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、3Dプリンターの造形工程と切削工程で実現可能であり、手首をおくだけで、一連の工程を短時間で行う。治療以外は、被覆した端子が、包帯など固定保護部材を要せず、通院をしなくても治療ができるようになり、患者の生活のクオリティを向上させる。
【符号の説明】
【0058】
1 経皮端子
2 内シャント用管状体
3 脱血用管状体
5 コネクタ
6 血液回路
7 血液駆動ポンプ
8 ダイアライザ
9 蓋部
10 開閉弁(開閉部)
11 脱血用流路
12 返血用流路
13 脱血側流路
14 透析液戻り流路
15 透析液供給流路
16 返血側流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10