IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 小橋工業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180627
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】作業経路提供方法
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
A01B69/00 301
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160506
(22)【出願日】2022-10-04
(62)【分割の表示】P 2017218222の分割
【原出願日】2017-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】池田 幸治
(72)【発明者】
【氏名】三浦 謙二
(57)【要約】
【課題】作業条件から導出された効率の良い複数の作業経路を作業者に提供すること。
【解決手段】作業経路提供方法は、圃場を作業する作業機の走行方向に直交する前記作業機の作業幅と、前記走行方向及び前記作業幅によって決まる作業領域のうち、互いに隣接する前記作業領域がオーバーラップするラップ幅と、に基づいて、第1作業領域の第1経路を導出し、前記作業機を牽引する走行機体の前記走行方向における長さに関連する情報と、前記作業幅と、に基づいて、前記第1作業領域の周辺に位置する第2作業領域の第2経路を導出する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場を作業する作業機の走行方向に直交する前記作業機の作業幅と、前記走行方向及び前記作業幅によって決まる作業領域のうち、互いに隣接する前記作業領域がオーバーラップするラップ幅と、に基づいて、第1作業領域の第1経路を導出し、
前記作業機を牽引する走行機体の前記走行方向における長さに関連する情報と、前記作業幅と、に基づいて、前記第1作業領域の周辺に位置する第2作業領域の第2経路を導出する作業経路提供方法。
【請求項2】
前記第2経路は、前記第1経路の周囲に沿って周回する経路である、請求項1に記載の作業経路提供方法。
【請求項3】
前記第2経路は、前記長さに関連する情報と前記作業幅との大小関係に基づいて導出される、請求項2に記載の作業経路提供方法。
【請求項4】
前記第2経路は、前記走行機体と前記作業機との組み合わせによって決まる情報であって、前記走行機体の一部から前記作業機の一部までの前記長さに関連する情報と、前記作業幅と、に基づいて導出される、請求項1に記載の作業経路提供方法。
【請求項5】
前記長さに関連する情報は、前記走行機体の前端から前記作業機までの長さである、請求項4に記載の作業経路提供方法。
【請求項6】
前記第1経路の導出において、前記ラップ幅を変数として、一部の領域の前記作業幅が他の領域の前記作業幅より小さい経路を導出する、請求項1に記載の作業経路提供方法。
【請求項7】
導出された前記第1経路及び前記第2経路を画面に表示する、請求項1に記載の作業経路提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業経路提供方法に関する。特に、圃場に対する作業を行う作業機の作業経路提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、農作業の労働時間を軽減するために作業機のオートマチック化が進められ、様々な作業機が開発されている。特に、トラクタ等の走行機体の後方に装着され、耕耘や代かきなど、作業の種類に応じて交換可能な作業機(耕耘機や代かき機)は、トラクタ等の走行機体に対してアタッチメントのように交換するだけで様々な農作業に対応することが可能であり、農作業のコスト低減に大きく寄与している。
【0003】
また、従来の農作業は各農家の経験と勘に頼っていた。したがって、各農家によって農作業の効率にばらつきが生じていたため、農作物の収穫量および品質にもばらつきが生じていた。さらに、各農家が世代交代すると、新たな世代を担う農家は、その経験と勘のすべてを引き継ぐことは困難であり、農作業の経験の蓄積が活かされない。
【0004】
耕耘機や代かき機によって圃場に対して耕耘又は代かきの作業を行う場合、その作業経路は作業者に依存する。経験が豊富な作業者であれば、その圃場に適した作業経路で作業をすることができるが、経験が浅い作業者は非効率的な作業経路で作業をしてしまうことが多い。また、経験が豊富な作業車であっても、過去の経験に頼る傾向があるため、効率が良くない作業経路で作業を続けてしまう傾向があった。そこで、例えば引用文献1に示すように、作業車に対して作業経路をガイダンスする技術が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-14208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、作業機が予め決められた作業経路を作業することしかできず、その作業経路よりも効率が良い作業経路の有無の判断は、結局作業者の経験や勘に頼っていた。本発明は、そのような課題に鑑みてなされたものであり、作業条件から導出された効率の良い複数の作業経路を作業者に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態による作業経路提供方法は、圃場サイズと、前記圃場を作業する作業機の走行方向に直交する前記作業機の作業幅と、前記走行方向及び前記作業幅によって決まる作業領域のうち、互いに隣接する前記作業領域がオーバーラップするラップ幅と、に基づいて、それぞれ作業開始位置及び作業終了位置を含む複数の第1作業経路を導出し、導出された前記第1作業経路を画面に表示する。
【0008】
前記複数の第1作業経路の各々について、前記圃場の作業にかかる予測時間又は作業距離を前記画面に表示してもよい。
【0009】
前記作業幅に関する情報は、前記作業機を前記走行機体に接続したときに、前記作業機から前記走行機体に自動的に送信され、前記自動的に送信された前記作業幅に関する情報に基づいて前記第1作業経路が導出されてもよい。
【0010】
前記複数の第1作業経路の各々に対して、前記ラップ幅を変数として第2作業経路を再計算し、前記第2作業経路を前記画面に表示してもよい。
【0011】
前記複数の第1作業経路の各々に対して、前記作業幅及び前記ラップ幅を変数として前記第1作業経路よりも短い第3作業経路を再計算し、前記第3作業経路を前記画面に表示してもよい。
【0012】
前記複数の第2作業経路の各々に対して、前記作業幅及び前記ラップ幅を変数として前記第2作業経路よりも経路長の短い第3作業経路を再計算し、前記第3作業経路を前記画面に表示してもよい。
【0013】
前記第1作業経路のうち、前記作業機が前記圃場を作業しながら通過した領域に、前記作業機の作業によって得られた圃場の状態の判定結果を表示してもよい。
【0014】
前記判定結果に基づいて、前記第1作業経路、前記第2作業経路、又は前記第3作業経路の作業の次に前記圃場を作業する第4作業経路を導出してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、作業条件から導出された効率の良い複数の作業経路を作業者に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る走行機体及び作業機の全体構成を示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る走行機体及び作業機の機能構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る作業機の全体構成を示す上面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る作業経路ガイダンスの動作フローを示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る作業経路ガイダンスにおいて、作業条件設定の画面に表示されるインターフェースの一例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係る作業経路ガイダンスにおいて、各作業条件の設定値を説明する図である。
図7】本発明の一実施形態に係る圃場状態の判定方法において、圃場登録画面に表示されるインターフェースの一例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る作業経路ガイダンスにおいて、作業経路選択の画面に表示されるインターフェースの一例を示す図である。
図9】本発明の一実施形態に係る作業経路ガイダンスにおいて、作業経路パターンの一例を示す図である。
図10】本発明の一実施形態に係る作業経路ガイダンスにおいて、隣接する作業領域のオーバーラップ幅を変数として作業経路を導出する例を示す図である。
図11】本発明の一実施形態に係る作業経路ガイダンスにおいて、作業経路パターンの一例を示す図である。
図12】本発明の一実施形態に係る作業経路ガイダンスにおいて、作業経路パターンの一例を示す図である。
図13】本発明の実施形態に係る作業経路ガイダンスにおいて、作業者に進行方向を表示する一例を示す図である。
図14】本発明の一実施形態に係る作業経路ガイダンスの作業経路パターン選択画面において、作業経路の再計算結果を表示する一例を示す図である。
図15】本発明の一実施形態に係る作業経路ガイダンスにおいて、作業経路の再計算によって得られたデータテーブルの一例を示す図である。
図16】本発明の一実施形態に係る作業経路ガイダンスにおいて、選択された推薦作業経路候補を表示する一例を示す図である。
図17】本発明の一実施形態に係る作業経路ガイダンスにおいて、走行機体長及び作業機幅が作業経路パターンに与える影響を示す図である。
図18】本発明の一実施形態に係る作業経路ガイダンスにおいて、走行機体長及び作業機幅が作業経路パターンに与える影響を示す図である。
図19】本発明の一実施形態に係る作業機のレベラ角度検出機構の全体構成を示す側面図である。
図20】本発明の実施形態に係る圃場状態の判定方法を示す図である。
図21】本発明の実施形態に係る圃場状態の判定方法を示す図である。
図22】本発明の実施形態に係る圃場状態の判定方法を示す図である。
図23】本発明の実施形態に係る圃場状態の判定に用いられるルックアップテーブル(LUT)に関連するインターフェースを示す図である。
図24】本発明の実施形態に係る圃場状態の判定方法によって得られたデータの一例を示す図である。
図25】本発明の実施形態に係る圃場状態の判定結果をモニタに表示する一例を示す図である。
図26】本発明の実施形態に係る圃場状態の判定結果を用いて、適正な作業経路を表示する一例を示す図である。
図27】本発明の一実施形態に係る圃場状態の判定方法において、圃場登録画面に表示されるインターフェースの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明に係る作業経路提供方法について説明する。但し、本発明の作業機は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の数字を付し、又は同一の数字の後にアルファベットを付し、その繰り返しの説明は省略する。また、説明の便宜上、上方(上部)又は下方(下部)という語句を用いて説明するが、上方(上部)又は下方(下部)は、作業機が圃場に対して作業をしている状態における上下方向を示す(図1参照)。また、同様に、前方(前側)又は後方(後側)という語句を用いて説明する場合、前方(前側)は作業機に対する作業機を牽引する走行機体の方向を示し、後方(後側)は走行機体に対する作業機の方向を示す(図1参照)。
【0018】
〈第1実施形態〉
本実施形態では、圃場状態を判定するための作業機として代かき機が用いられた構成について例示するが、この構成に限定されない。例えば、圃場状態を判定するための作業機として、代かき機以外に耕耘機、畦塗り機、草刈り機、ねぎ収穫機、砕土機、プラウなどが用いられてもよい。
【0019】
[全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る走行機体及び作業機の全体構成を示す概略図である。図1に示すように、圃場を走行する走行機体10の後方に作業機20が装着されている。ただし、作業機20に自走機構が設けられる場合は、走行機体10を省略することができる。なお、この場合、以下に説明する本発明の実施形態を実現するための走行機体10の各機能は作業機20に設けられる。
【0020】
走行機体10は、車体100、モニタ110、三点リンク機構120、及び位置検出器130を備える。モニタ110は車体100の前方に設けられる。三点リンク機構120は車体100の後方に設けられる。位置検出器130は車体100の上方に設けられる。後述するように、モニタ110には各種条件の設定画面、作業経路を作業者に提案する作業経路ガイダンス、及び圃場状態の判定結果等の情報が表示される。なお、モニタ110はタッチセンサ付きディスプレイであることが好ましい。本実施形態では、モニタ110は走行機体10に備えられているが、モニタ110は作業者が保有する通信端末(例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレットPC、PDA、ノートPC、及びPHS)に置き換えることができる。
【0021】
位置検出器130は車体100の上方に限らず、車体100に対して自由な位置に配置することができる。位置検出器130は走行機体10の現在位置を検出する。位置検出器130として、例えば全球測位衛星システム(GNSS;Global Navigation Satellite System)を用いることができる。GNSSとして、GPS、GLONASS、Galileo、準天頂衛星(QZSS)等の衛星測位システムを用いることができる。ただし、位置検出器130はGNSSに限定されず、走行機体10の位置情報を検出する他の機器を用いることができる。なお、以下の説明において、GNSSとしてGPSが用いられた例について説明する。
【0022】
作業機20は、三点リンク機構120に対して連結される。走行機体10は三点リンク機構120を制御することで、走行機体10に対する作業機20の高さを変えることができる。なお、走行機体10には作業機20の高さ調節機能が備えられていてもよい。当該調節機能によって、例えば、後述するシールドカバー210に対するエプロン220の角度を一定に保つように作業機20の高さが自動調節されてもよい。三点リンク機構120の構造は公知であるため、詳細な説明は省略する。
【0023】
本実施形態では、作業機20は代かき機である。作業機20はフレーム200、ロータ207、シールドカバー210、エプロン220、及びレベラ230を備える。ロータ207はフレーム200に対して回転自在に取り付けられている。ロータ207は複数の作業爪を有しており、その作業爪を回転させながら圃場に作用させることで圃場を耕耘又は攪拌する。エプロン220はロータ207の後方において、フレーム200及びシールドカバー210に対して回転移動(回動)可能に設けられている。なお、シールドカバー210とフレーム200との位置関係は固定されているため、シールドカバー210をフレーム200の一部と見なすこともでき、上記の構成を、エプロン220はフレーム200に対して回動可能に接続されている、ということもできる。レベラ230はエプロン220に対して回動可能に設けられている。エプロン220及びレベラ230は、圃場に接触することで、ロータ207の作業によって荒れた圃場を均平化する。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態に係る走行機体及び作業機の機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、走行機体10は、制御部191、表示部193、及び位置検出部195を有する。作業機20は、制御部291及び検出部293を有する。制御部191と制御部291とは通信部121によって接続されている。制御部291は、通信部121を介して制御部191に対して各種情報を送信又は送受信する。通信部121は有線であってもよく、無線であってもよい。通信部121の通信方法として、例えばCAN(Controller Area Network)、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等を用いることができる。
【0025】
作業機20が走行機体10に装着されると、制御部191及び制御部291の少なくとも一方は、両者が通信部121を介して接続されたことを検知する。そして、例えば、制御部191は、制御部291から作業機20を特定する情報を取得し、走行機体10に装着された作業機20の種類を自動的に取得してもよい。つまり、後述する作業機20の作業機幅701に関する情報は、作業機20を走行機体10に接続したときに、作業機20から走行機体10に自動的に送信される。
【0026】
後述するように、制御部291は制御部191にレベラ230の上下動の変化に関する情報を送信することができる。また、制御部291は制御部191から上記の高さ調節機能によって設定された情報を受信することができる。
【0027】
モニタ110を作業者が保有する通信端末に置き換える場合、少なくとも制御部191及び表示部193は通信端末の中央演算処理装置(CPU)によって実現される。もちろん、位置検出部195が通信端末に設けられていてもよい。
【0028】
表示部193は制御部191によって制御され、作業者が視認できるようにモニタ110に画像を表示する。ただし、上記のように、表示部193は走行機体10に備えられたモニタ110に画像を表示する代わりに、作業者が保有する通信端末に画像を表示させてもよい。位置検出部195は、位置検出器130に相当し、走行機体10の現在位置情報を検出する。位置検出部195によって検出された位置情報は制御部191に送信される。位置検出部195は走行機体10に設けられる代わりに作業機20に設けられてもよく、走行機体10及び作業機20の両方に設けられてもよい。制御部191、表示部193、及び位置検出部195は、上記と同様に有線又は無線で接続される。
【0029】
検出部293は、レベラ230のエプロン220に対する回動角度を検出する。換言すると、検出部293は、レベラ230の圃場に対する上下動の変化を検出する。検出部293によって検出されたレベラ230の上下動の変化は制御部291に送信される。検出部293として、詳細は後述するが、例えばポテンショメータを用いることができる。ただし、検出部293はポテンショメータに限定されず、レベラ230の上下動の変化を検出する他の機器を用いることができる。制御部291及び検出部293は、上記と同様に有線又は無線で接続される。
【0030】
制御部291に送信されたレベラ230の上下動の変化に関する情報は、通信部121を介して制御部191に送信される。そして、レベラ230の上下動の変化に関する情報は制御部191によって解析され、圃場状態を判定する。なお、圃場状態の判定方法の詳細は後述する。ただし、制御部291がレベラ230の上下動の変化に関する情報を解析し、圃場状態を判定してもよい。なお、制御部191及び制御部291は、ネットワークを介してサーバと通信してもよい。つまり、検出部293によって検出されたレベラ230の上下動の変化に関する情報が制御部191又は制御部291からサーバに送信され、サーバがその情報を解析して、圃場状態を判定してもよい。
【0031】
詳細は後述するが、位置検出部195によって検出された位置情報は走行機体10の現在位置を表示するために用いられるだけではなく、検出部293によって検出されたレベラ230の上下動の変化に基づいて得られた圃場状態の判定結果と併せてモニタ110に表示される。
【0032】
[作業機20の構成]
図3は、本発明の一実施形態に係る作業機の全体構成を示す上面図である。図3に示すように、作業機20は、フレーム200、中央作業部300、延長作業部400、レベラ拡張部490、レベラ角度検出機構500、及びレベラ制御部600を有する。作業機20は走行機体10の後方に装着される。図1に示すように、中央作業部300及び延長作業部400のそれぞれの下方には複数の作業爪を有するロータ207が設けられる。
【0033】
フレーム200は、メインフレーム201、伝動フレーム(チェーンケース203が設けられた側のフレーム)、及びサイドフレーム205を有する。メインフレーム201は作業機20の長手方向(走行機体の進行方向に対して直交または単に交差する方向)に延びている。メインフレーム201の左右両端部にはチェーンケース203及びサイドフレーム205が配置される。チェーンケース203とサイドフレーム205との間にはロータ207がフレーム200に対して回転自在に支持される。具体的には、ロータ207は後述する中央シールドカバー310及び延長シールドカバー410のそれぞれの下方に取り付けられる。つまり、ロータ207に設けられた複数の作業爪は作業機20の長手方向に配列される。
【0034】
中央作業部300は、中央シールドカバー310、中央エプロン320、及び中央レベラ330を有する。中央シールドカバー310及び中央エプロン320は、第1接続部(図示せず)を回転移動の軸(回動軸)として接続される。また、中央エプロン320及び中央レベラ330は、第2接続部332を回動軸として接続される。第1接続部および第2接続部332は、蝶番状のヒンジを有する。つまり、第1接続部及び第2接続部332の各々は、円筒状部及び柱状部を有する。ここで、上記接続部の円筒状部は接続部によって接続される2つの部材の一方に固定されており、柱状部は円筒状部の内部を貫通し、柱状部の両端がこれらの部材の他方に固定される。
【0035】
中央シールドカバー310及び中央エプロン320はロータ207の作業によって飛散された飛散物が外部に放出されることを抑制する。つまり、中央シールドカバー310及び中央エプロン320をカバー部材ということができる。中央レベラ330はロータ207の作業によって耕耘又は撹拌された圃場に接触することで当該圃場を均平化する。つまり、中央レベラ330を均平部材又は接地部材ということができる。
【0036】
延長作業部400は中央作業部300の左右両端部に設けられ、中央作業部300の上方に折り畳まれた収納状態(図示せず)と、図3に示すように展開された作業状態とを切り替え可能に中央作業部300に接続される。
【0037】
延長作業部400は、中央作業部300と同様に延長シールドカバー410、延長エプロン420、及び延長レベラ430を有する。延長シールドカバー410及び延長エプロン420は、接続部422を回動軸として接続される。また、延長エプロン420及び延長レベラ430は、接続部432を回動軸として接続される。接続部422、432は、上記の第1接続部、第2接続部332と同様の構造を有する。
【0038】
延長シールドカバー410及び延長エプロン420は中央シールドカバー310及び中央エプロン320と同様に、延長作業部400に配置されたロータ207の作業によって飛散された飛散物が外部に放出されることを抑制する。つまり、延長シールドカバー410及び延長エプロン420をカバー部材ということができる。また、延長レベラ430は、中央エプロン320と同様に、延長作業部400に配置されたロータ207の作業によって耕耘又は撹拌された圃場に接触することで当該圃場を均平化する。つまり、延長レベラ430を均平部材又は接地部材ということができる。なお、図示しないが、延長シールドカバー410と延長エプロン420との間にはエプロン加圧機構が設けられている。当該エプロン加圧機構は、延長エプロン420が延長シールドカバー410に対して下方に回動するように延長エプロン420を加圧する。
【0039】
中央シールドカバー310と延長シールドカバー410とを特に区別しない場合、単にシールドカバー210という。中央エプロン320と延長エプロン420とを特に区別しない場合、単にエプロン220という。中央レベラ330と延長レベラ430とを特に区別しない場合、単にレベラ230という。
【0040】
延長レベラ430の端部には、整地可能な幅をさらに広げることができるレベラ拡張部490が設けられている。レベラ拡張部490は延長レベラ430に回動可能に接続される。また、レベラ拡張部490は作業機20の長手方向に対して走行機体側に傾斜した誘導面491を有する。
【0041】
レベラ角度検出機構500は、制御ボックス501に接続されている。制御ボックス501は中央シールドカバー310の上方に設けられている。制御ボックス501は、図2の制御部291の機能を有し、レベラ角度検出機構500によって検出された中央レベラ330の中央エプロン320に対する回動角度を走行機体10に設けられた制御部191に送信する。
【0042】
レベラ制御部600は、中央エプロン320に対する中央レベラ330の角度を制御する。延長レベラ430は中央レベラ330と連動して中央レベラ330の角度と同じ角度に制御される。例えば、作業状態において、レベラ制御部600が中央レベラ330を下方に押し込むことで、中央レベラ330及び延長レベラ430が中央エプロン320及び延長エプロン420に対して下方に回動した状態(土寄せ状態)を実現することができる。
【0043】
[作業経路ガイダンス方法]
図4図15を用いて、本実施形態の作業機20を用いた作業経路ガイダンス方法について説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る作業経路ガイダンスの動作フローを示す図である。作業者がモニタ110を操作し、作業経路ガイダンスのプログラムを起動することで、プログラム動作が開始する。
【0044】
プログラム動作が開始されると、モニタ110にメニュー画面が表示される(S601)。作業者がメニュー画面から『作業条件設定』を選択する(S603)と、例えば図5に示すような、作業条件を設定するインターフェースが表示される。
【0045】
図5は、本発明の一実施形態に係る作業経路ガイダンスにおいて、作業条件設定の画面に表示されるインターフェースの一例を示す図である。図5に示すように、モニタ110には作業条件設定画面700が表示されている。作業条件設定画面700には、作業機幅701、ラップ幅703、目盛数値705、GPS位置から走行機体前端までの距離(走行機体前方長707)、走行機体前端幅709、ずれ量表示711、GPS受信状態713、及びタッチパネル補正715が表示されている。作業機幅701、ラップ幅703、走行機体前方長707、及び走行機体前端幅709のそれぞれの項目には、入力枠が設けられており、作業者の数値入力を受け付ける。ただし、上記のように、作業機20が走行機体10に装着されたときに、制御部191が制御部291から作業機20を特定する情報を取得することで、上記のうちラップ幅703以外の入力枠に自動的に数値が入力されてもよい。ラップ幅703は作業者が任意に決定する数値であるが、各作業機20に対して推奨のラップ幅が設定されている場合は、その推奨値がラップ幅703の入力枠に自動的に入力されてもよい。
【0046】
作業機幅701は、作業機20の長手方向の幅である。作業機幅701は、作業機20の長手方向において両端に配置されたロータ207間の距離(換言すると、図3の左側の延長シールドカバー410の左端と右側の延長シールドカバー410の右端との間の距離)である。ラップ幅703は、作業機20の走行方向及び作業機幅701によって決まる作業領域のうち、互いに隣接する作業領域が上面視においてオーバーラップする幅である。換言すると、ラップ幅703は、作業跡と作業機幅701との重ね合わせ量である。目盛数値705は表示グリッドの最小グリッドの大きさを設定する項目である。図5では、複数の値から1つの値を選択する構成を例示したが、目盛数値705に任意の数値を入力できるようにしてもよい。
【0047】
走行機体前方長707は、図1の位置検出器130から走行機体10の前端までの距離である。詳細は後述するが、作業機20が走行機体10によって牽引されることで圃場を作業する場合、走行機体10の前端が圃場の端部(例えば畦)に達する位置までしか作業をすることができない。つまり、作業機20から走行機体10の前端までの間の圃場は作業されない。このような圃場端部の作業されない領域(周辺作業領域)は後でまとめて作業されるが、その周辺作業領域の大きさを導出するために走行機体前方長707が用いられる。詳細には、走行機体前方長707に走行機体10のGPSから作業機20までの距離を加えた「走行機体実効長」を用いて周辺作業領域の大きさを導出する。
【0048】
上記の作業機幅701、ラップ幅703、走行機体前方長707、及び走行機体前端幅709について、図6を用いて説明する。図6は、本発明の一実施形態に係る作業経路ガイダンスにおいて、各作業条件の設定値を説明する図である。図6では、作業機幅701は作業機の長手方向において両端に配置されたロータ207間の距離として定義されている。図6に示すように、作業機20が圃場を作業しながら走行機体10に牽引されると、圃場の作業された領域には作業跡702が形成される。作業跡702は走行機体10の走行方向及び作業機幅701によって決まる作業領域である。隣接する作業跡702が互いにオーバーラップする幅(作業機幅701と同じ方向の幅)がラップ幅703である。なお、作業跡702は作業機20の耕幅に相当する。
【0049】
走行機体前方長707は、位置検出器130から走行機体10の先端までの長さである。走行機体前端幅709は走行機体10の前端(例えばバンパー等)の幅である。図6に示すように、走行機体前方長707は、走行機体10の全長を表すものではないため、走行機体10の走行方向の長さに関する情報ということができる。
【0050】
図5のずれ量表示711は、位置検出器130から推定される走行機体10の現在位置と予定された作業経路との間のずれをどのように表示するかを選択する項目である。ずれ量表示711において「ずれている方向」を選択すると、現在の走行機体10が予定された作業経路からどの方向にどの程度ずれているか、が表示される。一方、ずれ量表示711において「ラインに戻す方向」を選択すると、現在の走行機体10の位置を予定された作業経路に戻すためには、どの方向にどの程度移動させればよいか、が表示される。
【0051】
GPS受信状態713は、位置検出器130のGPS情報の受信状態を表示する項目である。例えば、位置検出器130がGPSから走行機体10の位置情報を受信できていない場合は、図5に示すように「No Data」と表示することができる。また、GPS受信状態713にはGPSからの電波強度やGPSによって検出される位置情報の位置精度が表示されてもよい。タッチパネル補正715は、タッチパネルの機能に関する設定を行う項目である。例えば、タッチパネル補正715を調整することで、タッチセンサの感度などの設定を調整することができる。
【0052】
図4のS603において、図5の作業条件設定画面700に記載された各種項目の設定が完了すると、続いて、圃場の位置及び大きさを登録する(S605)。『圃場登録』が選択されると、図7に示す圃場登録画面がモニタ110に表示される。図7は、本発明の一実施形態に係る圃場状態の判定方法において、圃場登録画面に表示されるインターフェースの一例を示す図である。図7に示すように、モニタ110には入力領域611及び位置選択領域613が表示される。
【0053】
入力領域611には、圃場の名称、長辺サイズ、及び短辺サイズを入力可能な入力枠615が設けられている。なお、圃場の名称、長辺サイズ、及び短辺サイズは互いに関連付けて保存され、例えば圃場の名称をプルダウン形式で選択することで、事前に登録された長辺サイズ及び短辺サイズが自動的に入力されてもよい。
【0054】
位置選択領域613には、長方形の圃場の模式図及び走行機体10のアイコンが表示されている。作業者は走行機体10を圃場の角に移動した状態で、走行機体10と圃場の位置関係に相当する画像を選択する。画像が選択されると、走行機体10の備えられたGPSによって、走行機体10の位置情報が検出され、当該位置情報及び入力枠615に入力された圃場のサイズに基づいて圃場の外縁の位置情報が登録される。なお、圃場の位置情報は走行機体10に備えられたメモリに記憶されてもよく、インターネットを介して本プログラムに関連するサーバの外部ストレージに登録されてもよい。このようにして、圃場の位置情報が登録される。
【0055】
図4のS605において、図7の圃場登録の設定が完了すると、図5の作業条件設定画面700によって設定された作業機幅701及びラップ幅703、並びに図7の圃場登録によって設定された圃場サイズに基づいて、作業開始位置及び作業終了位置を含む複数の作業経路を導出する(S607)。なお、作業経路の導出は上記の作業機幅701、ラップ幅703、及び圃場サイズだけでなく、さらに走行機体前方長707及び走行機体前端幅709に基づいて導出されてもよい。続いて、S607で導出された複数の作業経路を図8に示すように、モニタ110に表示する(S609)。作業者がモニタ110に表示された複数の作業経路から1つの作業経路を選択する(S611)ことで、経路ガイダンスが開始する(S613)。
【0056】
[作業経路選択について]
図8は、本発明の一実施形態に係る作業経路ガイダンスにおいて、作業経路選択の画面に表示されるインターフェースの一例を示す図である。図8に示すように、モニタ110には作業経路選択画面720が表示されている。作業経路選択画面720には、複数の作業経路パターン730、740、750、760及び作業開始位置選択部770が表示されている。
【0057】
複数の作業経路パターン730、740、750、760には、それぞれ異なる作業経路パターンが表示されている。複数の作業経路パターン730、740、750、760のそれぞれには、作業経路パターン名称731、741、751、761と、作業予測時間733、743、753、763と、作業距離735、745、755、765と、第1経路端737、747、757、767と、作業経路738、748、758、768と、第2経路端739、749、759、769と、が表示されている。作業経路738、748、758、768は、それぞれの基本パターンに対して、作業機幅701、ラップ幅703、及び圃場サイズを適用することで導出された経路である。以下に示すように、作業開始位置選択部770によって、第1経路端及び第2経路端の一方が作業開始位置として設定され、第1経路端及び第2経路端の他方が作業終了位置として設定される。
【0058】
なお、図8では、作業経路パターンとして、隣接パターン、1本飛ばしパターン、及びラストパスと呼ばれる基本パターンが表示されているが、上記の基本パターンに限定されない。上記の基本パターンのうち一部の基本パターンだけが表示されてもよく、上記の基本パターン以外の基本パターンが表示されてもよい。又は、作業経路パターンとして作業者によって準備された基本パターンが表示されてもよい。ここで、基本パターンとは、作業経路を導出するための基本となる経路(ひな形)であり、以下に説明するように各基本パターンに基づいて作業経路が導出される。
【0059】
また、図8では、複数の作業経路パターンを同一画面に並べて配置したインターフェースを例示したが、このインターフェースに限定されない。例えば、1つの画面には1つの作業経路パターンが表示され、複数の作業経路パターンがある場合は、モニタ110の左右に左右方向の矢印等を表示させ、作業者がモニタ110を左右にスワイプする、又は上記の左右方向の矢印等をタップすることで、他の作業経路パターンを表示してもよい。
【0060】
[第1作業経路の導出について]
それぞれの基本パターンの特徴は後述するが、それぞれの基本パターンに対して、作業機幅701、ラップ幅703、及び圃場サイズを適用し、後述する直線作業領域の往復回数、及び周辺作業領域の周回数等が調整されることで、作業経路が導出される。作業経路が導出されると、その作業経路に基づいて作業予測時間及び作業距離が導出される。なお、作業予測時間を導出する場合、予め設定された走行機体10の標準的な走行速度に基づいて作業予測時間が導出される。
【0061】
ここで、図5で設定された作業機幅701及びラップ幅703に基づいて導出された作業経路を「第1作業経路」という。一方、詳細は後述するが、第1作業経路に対してラップ幅703を調整することで導出された作業経路を「第2作業経路」という。第1作業経路及び第2作業経路を明確に区別する必要がない場合は、両者を併せて単に作業経路という。
【0062】
作業開始位置選択部770では、「遠」又は「近」を選択することができる。作業開始位置選択部770で「遠」を選択すると、図7で圃場登録をしたときの走行機体10の位置から遠い方の経路端を作業開始位置として作業経路が決定される。一方、作業開始位置選択部770で「近」を選択すると、上記とは逆に走行機体10の位置から近い方の経路端を作業開始位置として作業経路が決定される。
【0063】
[作業経路パターンについて]
図9を用いて図8に示した複数の作業経路パターンの各々の特徴について説明する。図9の(A)は、図8の作業経路パターン730に表示された「隣接パターン」を示す。図9の(B)は、図8の作業経路パターン740に表示された「1本飛ばしパターン」を示す。図9の(C)は、図8の作業経路パターン750に表示された「ラストパス」を示す。
【0064】
図9の(A)に示す作業経路パターン730は、直線作業領域7301及び周辺作業領域7303に区分される。直線作業領域7301では、圃場の長辺方向に沿って直線的に作業を繰り返す。直線作業領域7301において、第1経路端737(作業開始位置)から第1直線作業部7305の端部まで作業が終了すると、その端部で折り返し、第1直線作業部7305に隣接する第2直線作業部7307の作業が開始する。この作業が繰り返されることで、直線作業領域7301の全域が作業される。直線作業領域7301の作業経路は、作業機幅701及びラップ幅703に基づいて導出される。直線作業領域7301の全域の作業が完了すると、周辺作業領域7303の作業が行われる。周辺作業領域7303では、直線作業領域7301の周囲に沿って周回する。そして、周辺作業領域7303の作業経路の最後の位置が第2経路端739(作業終了位置)に一致する。なお、第2経路端739は圃場の出入口に相当する。
【0065】
図9の(A)では、周辺作業領域7303を2周周回しており、周辺作業領域7303の外側の端部が第2経路端739である。周辺作業領域7303の作業経路は、第2経路端739を起点として作業機幅701及びラップ幅703に基づいて導出される。そして、周辺作業領域7303が導出されると、周辺作業領域7303の内側の領域が直線作業領域7301として規定され、直線作業領域7301の直線作業部(例えば、第1直線作業部7305及び第2直線作業部7307)の直線方向の長さ、及び直線作業部の折り返し数が決定される。なお、直線作業領域7301の作業経路は、周辺作業領域7303の内周側の端部を直線作業領域7301の起点として導出される。換言すると、作業経路パターン730は、作業機幅701及びラップ幅703に基づき、第2経路端739から第1経路端737に向かって順に経路が導出される。
【0066】
図9の(B)に示す作業経路パターン740は、作業経路パターン730に類似しているが、直線作業領域7401の作業経路が直線作業領域7301の作業経路とは異なる。それ以外の点において、作業経路パターン740は作業経路パターン730と同じなので、説明を省略する。直線作業領域7401では、直線作業領域7301と同様に圃場の長辺方向に沿って作業を繰り返すが、第1経路端747(作業開始位置)から第1直線作業部7405の端部まで作業が終了すると、その端部で折り返し、第1直線作業部7405に隣接する第2直線作業部7406を越えて第3直線作業部7407の作業が開始する。つまり、第1直線作業部7405の作業が終了すると、第2直線作業部7406を1本飛ばして第3直線作業部7407の作業を行う。上記のようにして、直線作業領域7401の第1直線作業部7405とは逆側の第4直線作業部7408まで作業が終了すると、作業済み領域を飛ばしながら未作業領域の作業が行われる。作業経路パターン740も、上記と同様に、作業機幅701及びラップ幅703に基づき、第2経路端749から第1経路端747に向かって順に経路が導出される。
【0067】
図9の(C)に示す作業経路パターン750は、上記の作業経路パターン730、740とは異なり、作業済み領域の周囲を周回しながら第1経路端757(作業開始位置)から第2経路端759(作業終了位置)に向かう経路パターンである。作業経路パターン750も、上記と同様に、作業機幅701及びラップ幅703に基づき、第2経路端759から第1経路端757に向かって順に経路が導出される。
【0068】
[第2作業経路の導出について]
図9に示す規定の作業経路パターンに対して、圃場サイズ、作業機幅701、及びラップ幅703を適用することで作業経路を導出する場合、直線作業領域7301、7401における直線作業方向については、折り返しの位置を調整することで、周辺作業領域7303、7403の幅を調整することができる。一方、上記の直線作業方向に直交する方向については、周辺作業領域7303、7403の幅は作業機幅701及びラップ幅703によって決定されるため、周辺作業領域7303、7403の幅を調整することができない。その結果、上記の直線作業方向に直交する方向において、直線作業領域7301、7401と周辺作業領域7303、7403との間に僅かに隙間が生じてしまう、又は直線作業領域7301、7401と周辺作業領域7303、7403とがオーバーラップする幅がラップ幅703に比べて過剰に大きくなってしまう場合がある。
【0069】
図10は、本発明の一実施形態に係る作業経路ガイダンスにおいて、隣接する作業領域のオーバーラップ幅を変数として作業経路を導出する例を示す図である。図10の(A)では、図5で設定された作業条件に基づいて作業経路を導出した場合に、直線作業領域7301と周辺作業領域7303との間に僅かに隙間7302が生じてしまう例を示した。なお、図10において、隣接する作業跡702の間のラップ幅703は斜線で示されている。図10の(A)のように隙間7302が生じてしまう場合、ラップ幅703を変数として再計算することで、図10の(B)のように、ラップ幅703を小さくすることで隙間7302が生じないような作業経路を導出する。図10の例とは逆に、直線作業領域7301と周辺作業領域7303とがオーバーラップする幅がラップ幅703に比べて過剰に大きい場合は、ラップ幅703を大きくすることで直線作業領域7301と周辺作業領域7303とがオーバーラップする幅を小さくするような作業経路を導出する。
【0070】
上記の構成を換言すると、第1作業経路において、直線作業領域7301と周辺作業領域7303との間に隙間7302が生じてしまう場合、又は直線作業領域7301と周辺作業領域7303とがオーバーラップする幅がラップ幅703に比べて過剰に大きい場合は、ラップ幅703を変数として再計算することで第2作業経路を導出することができる。再計算によって導出された第2作業経路は、第1作業経路に代わり、モニタ110に表示される。
【0071】
[作業機20の耕幅を調整する作業経路の導出について]
なお、直線作業領域7301と周辺作業領域7303とがオーバーラップする幅がラップ幅703に比べて過剰に大きい場合、図10に示す方法以外に、作業機20の耕幅を調整する動作を含む作業経路を導出してもよい。図3で説明したように、本実施形態の作業機20は、一方又は両方の延長作業部400を折り畳むことができる。したがって、上記のオーバーラップ幅がラップ幅703に比べて過剰に大きい領域については、延長作業部400を折り畳むことで作業機20の耕幅を小さくした作業経路を導出してもよい。
【0072】
図11は、本発明の一実施形態に係る作業経路ガイダンスにおいて、作業経路パターンの一例を示す図である。上記のように、直線作業領域7301と周辺作業領域7303とがオーバーラップする幅がラップ幅703に比べて過剰に大きい場合、図11に示すように、直線作業領域7301において、第1直線作業部7305及び第2直線作業部7307に比べて耕幅が小さい第3直線作業部7309(斜線の領域)を含む作業経路を導出してもよい。第3直線作業部7309は、延長作業部400を折り畳むことで作業機20の耕幅が小さい状態で作業をする領域である。なお、第3直線作業部7309は他の領域とは異なる条件で作業機20を動作させるため、他の領域と識別可能なように表示されてもよい。例えば、第3直線作業部7309は他の領域とは異なる模様又は色で表現されていてもよい。また、第3直線作業部7309の作業を開始する直前に、テロップ表示などの方法で、作業機20の作業条件が変わることを作業者に通知してもよい。
【0073】
上記のように、作業機20の耕幅を調整する動作を含む作業経路の他の例について、図12を用いて説明する。図12は、本発明の一実施形態に係る作業経路ガイダンスにおいて、作業経路パターンの一例を示す図である。図12では、矩形ではない形状の圃場に対する作業経路について説明する。特に、矩形領域と矩形領域の各辺に対して傾斜した辺を有する非矩形領域とが組み合わせられた形状の圃場に対する作業経路について説明する。
【0074】
図12に示すように、作業経路パターン780は直線作業領域7801、周辺作業領域7803、及び非矩形作業領域7811に区分される。例えば、第1経路端787を作業開始位置として直線作業領域7801を作業し、続いて周辺作業領域7803を作業し、最後に非矩形作業領域7811を作業する作業経路において、作業機20の耕幅を調整する動作を含む作業経路について説明する。非矩形作業領域7811のうち、直線作業領域7801とオーバーラップする領域(オーバーラップ領域7813)では、作業機20の耕幅を変更せずに作業を続けると、部分的に過剰に作業される領域が生じてしまう。そのような領域をできるだけ小さくするため、オーバーラップ領域7813に耕幅縮小領域7815が設けられる。
【0075】
この耕幅縮小領域7815では、作業機20の延長作業部400が折り畳まれた状態で作業するように作業者に通知する。例えば、耕幅縮小領域7815では、走行機体10の進行方向の左側又は右側の延長作業部400だけを折り畳んだ状態で作業をしてもよく、左右両側の延長作業部400を折り畳んだ状態で作業をしてもよい。上記のように、非矩形作業領域7811を圃場の外側から作業していくと、直線作業領域7801と非矩形作業領域7811のうち作業済みの領域との間に残存領域7817が残る。この残存領域7817は、場所によって幅が異なるため、その幅に合わせて作業機20の耕幅を調整して作業するように作業者に通知する。例えば、幅が狭い残存領域7817-1、7817-3では延長作業部400を折り畳んだ状態で作業するように通知し、幅が広い残存領域7817-2では延長作業部400を展開した状態で作業するように通知する。そして、第2経路端789を作業終了位置として作業が終了する。
【0076】
[作業中の作業経路ガイダンスについて]
図13を用いて作業中の作業経路のガイダンスについて詳細に説明する。図13は、本発明の実施形態に係る作業経路ガイダンスにおいて、作業者に進行方向を表示する一例を示す図である。例えば、図9の(B)に示す1本飛ばしパターンでは、第1直線作業部7405の端部まで作業が終了した後に、その端部で折り返し、第3直線作業部7407の作業を開始する際に、作業者が第3直線作業部7407の位置を認識することが困難な場合がある。また、次にどちらに旋回すれば分からなくなる場合がある。そこで、このような場合に、作業中の作業者に対して、モニタ110に作業経路を表示する。
【0077】
図13に示すように、モニタ110には圃場マップ650、諸情報表示部670、及び作業経路ガイダンス690が表示される。圃場マップ650は、図7に示す『圃場登録』によって登録された圃場の位置情報、並びに、図5で設定された作業条件に基づいて作業区間単位に区分される。圃場マップ650には、走行機体アイコン657が表示され、作業を行っている圃場における走行機体10の現在位置を認識することができる。図13に示すように、走行機体アイコン657が圃場の端部(直線作業部の端部)に近づくと、圃場マップ650の上方に作業経路ガイダンス690が表示される。作業経路ガイダンス690は、例えば、走行機体アイコン657が、最も圃場の端部に近い作業区間に入ったときに表示することができる。
【0078】
作業経路ガイダンス690は、作業者に注意を促すために強調表示(例えば、点滅表示又は動きを伴う表示)がなされてもよい。図13では、作業経路ガイダンス690として、現在の直線作業部の作業が終了した後に左右のどちらに旋回するかをガイダンスする旋回方向ガイダンス691、及び次に作業する直線作業部の位置をガイダンスする次作業位置ガイダンス693が表示されている。ただし、作業経路ガイダンス690は、上記の2つのガイダンスに限定されない。また、図13では、図9の(B)に示す1本飛ばしパターンの場合に作業経路ガイダンス690を表示する構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、図9の(A)又は(C)に示す作業経路パターンの場合に、上記のような作業経路ガイダンスを表示してもよい。
【0079】
以上のように、本実施形態によると、作業条件を設定することで、複数の作業経路パターンに基づく複数の作業経路を作業者に提供することができるので、作業者は、作業条件から導出された効率の良い複数の作業経路を作業者に提供することができる。また、複数の作業経路のそれぞれに、作業にかかる予想時間又は作業距離が表示されていることで、作業者に作業経路を選択するための判断基準を提供することができる。また、第1作業経路に対して、ラップ幅703を変数として再計算することで第2作業経路を導出することで、作業者が設定したラップ幅703よりも適したラップ幅703で作業経路を導出することで、より効率的な作業経路を作業者に提供することができる。
【0080】
〈第2実施形態〉
本実施形態では、第1実施形態のように、設定された作業機幅701及びラップ幅703に基づいて導出された作業経路の他に、当該作業経路よりも作業効率が良い作業経路を導出し、作業者に提示する構成について説明する。第1実施形態でも述べたように、図5に示すように作業者によって設定された各設定値に対してラップ幅703を調整することは可能であるが、作業機幅701は作業機20の機種によって決まるため、作業機20の機種を変えない限り変更することはできない。同様に、走行機体前方長707も走行機体10の機種によって決まるため、走行機体10の機種を変えない限り変更することはできない。
【0081】
しかし、作業機20及び走行機体10の少なくともいずれかの機種を変えることで、作業効率が改善する場合がある。従来、作業者は、単に作業機幅701が大きければ作業効率が良い、という程度の認識しか持っていないことが多いため、作業機20を買い換えるメリット又は必要性を事前に認識することができない場合が多い。しかし、本実施形態に示すように、作業機幅701及び走行機体前方長707を変更することで、作業効率がどの程度向上するかを明確化することで、作業者に対して作業機20及び走行機体10の少なくともいずれかの機種を変えることによるメリットを明確に伝えることができる。以下、本実施形態について、図14図16を用いて説明する。
【0082】
図14は、本発明の一実施形態に係る作業経路ガイダンスの作業経路パターン選択画面において、作業経路の再計算結果を表示する一例を示す図である。図14に示す作業経路選択画面720Aは、図8に示す作業経路選択画面720と類似しているが、例えば作業経路パターン730Aに作業経路738Aとは異なる作業経路の候補(以下、推薦作業経路候補793Aという)が表示されている点において、作業経路選択画面720とは相違する。同様に、作業経路パターン740A、750A、760Aには、それぞれ推薦作業経路候補794A、795A、796Aが表示されている。
【0083】
推薦作業経路候補793A、794A、795A、796A(これらを特に区別しない場合は「推薦作業経路候補790A)という)のそれぞれには、複数の候補が表示されており、それぞれの候補について作業予測時間が表示されている。上記の推薦作業経路候補790Aは、作業経路738A、748A、758A、768Aに対して、少なくとも作業機幅701A及びラップ幅703Aを変数として再計算されて導出された作業経路である。推薦作業経路候補790Aとして表示される作業経路の数は1つであってもよく、3つ以上であってもよい。作業経路738A、748A、758A、768Aは、作業機幅701A及びラップ幅703Aに基づいて導出された第1作業経路(設定された作業機幅701A及びラップ幅703Aに基づいて導出された作業経路)であってもよく、第1作業経路に対してラップ幅703Aを調整することで導出された第2作業経路であってもよい。このように、第1作業経路又は第2作業経路に対して、少なくとも作業機幅701A及びラップ幅703Aを変数として導出された作業経路を「第3作業経路」という。なお、第3作業経路は、第1作業経路又は第2作業経路よりも短い作業経路である。
【0084】
図15は、本発明の一実施形態に係る作業経路ガイダンスにおいて、作業経路の再計算によって得られたデータテーブルの一例を示す図である。図15を参照して、上記の第3作業経路の導出方法について説明する。第3作業経路を導出するための計算において、変数として扱われる作業機幅701Aは、作業機20Aの代わりとなる機種の作業機幅が用いられる。例えば、上記の第1作業経路又は第2作業経路(作業経路738A、748A、758A、768A)の導出に用いられた作業機20が「TXA(作業機幅は3.0m(現在の作業機種))」である場合、上記の作業機幅701Aは、TXAとは異なる機種である「TXB(作業機幅は3.5m(候補1の作業機種))」又は「TXC(作業機幅は4.0m(候補2の作業機種))」等の作業機幅が作業機幅701Aの変数として用いられる。つまり、例えば上記の例では、作業機幅701Aの値が3.5m又は4.0mの場合について、ラップ幅703Aを変数として第3作業経路を導出する。変数として用いられる作業機幅の数は図15のように2つに限定されず、もっと多い数であってもよい。また、図15の他の候補として挙げられる作業機種は、現在の作業機種の作業機幅よりも小さい作業機幅の作業機種であってもよい。
【0085】
変数として用いられる作業機幅及びその数は、走行機体10Aの制御部191Aに接続された記憶装置に記憶されていてもよく、作業機20Aの制御部291Aに接続された記憶装置に記憶されていてもよく、ネットワークを介して走行機体10A又は作業機20Aの通信部に接続されたサーバの記憶装置又はサーバにネットワークを介して接続された記憶装置(例えば、サーバの外部に設けられた外部ストレージ)に記憶されていてもよい。例えば、変数として用いられる作業機幅及びその数が走行機体10A又は作業機20Aの記憶装置に記憶されている場合、走行機体10A及び作業機20Aの製品ラインナップが更新されたときに、上記の記憶装置の情報が更新される。また、上記作業機幅及びその数がサーバ等の記憶装置に記憶されている場合、作業経路ガイダンスのプログラムの起動の後に製品ラインナップの情報を取得することで、上記作業機幅及びその数を決定してもよい。
【0086】
上記のようにして導出された複数の第3作業経路に関する情報は、図15に示すデータテーブル800Aに記憶される。図15には、圃場面積、作業機種、作業機幅、ラップ幅、走行機体種、走行機体長、全走行距離、作業予測時間、直線走行回数、周辺走行回数が項目値として記載されている。そして、データテーブル800Aには、現在の作業機に対する各項目値、及び推薦作業経路候補790Aの作業機に対する各項目値が記憶されている。データテーブル800Aの「現在」は、作業経路738A、748A、758A、768Aの導出に用いられた走行機体10A及び作業機20Aに関する情報、及び上記の作業経路に関する条件である。
【0087】
推薦作業経路候補790Aとして上げられる作業経路は、少なくともデータテーブル800Aの「現在」の条件よりも全走行距離が短い条件、及び「現在」の条件よりも作業予想時間が短い条件である。つまり、走行機体10A及び作業機20Aの製品ラインナップの全ての条件に対して第3作業経路を導出し、それらのうち「現在」の条件よりも全走行距離が短い条件だけを推薦作業経路候補790Aとして表示してもよい。ただし、作業機20Aに対してのみ、製品ラインナップの全ての条件に対して第3作業経路を導出してもよく、作業機20Aの製品ラインナップのうち、「現在」の条件よりも作業機幅が大きい作業機に対してのみ、作業経路を導出してもよい。
【0088】
図16は、本発明の一実施形態に係る作業経路ガイダンスにおいて、選択された推薦作業経路候補を表示する一例を示す図である。図14において、作業者が推薦作業経路候補790Aのうち「候補1」を選択すると、図16に示すようなポップアップウインドウ810Aが表示され、図15の「候補1」の条件に対する各項目値をウインドウ中に表示する。ポップアップウインドウ810Aには、作業機種及びその作業機幅、走行機体種及びその機体長、走行距離及び現在の条件から短縮される距離、並びに作業予想時間及び現在の条件から短縮される時間が表示されている。ただし、ポップアップウインドウ810Aに表示される項目は、上記の内容に限定されない。また、「候補1」に関連する情報は、ポップアップウインドウ以外の方法で作業者に通知されてもよい。
【0089】
図15のデータテーブル800Aにおいて、「現在」及び「候補1」の条件では周辺走行回数が2回であるのに対して、「候補2」の条件では周辺走行回数が1回である。周辺走行回数(例えば、周辺作業領域7303Aの周回回数)の数を1回にするために必要な条件について、以下に説明する。
【0090】
走行機体10Aの前端から作業機20Aのロータ207Aまでの距離(以下、「走行機体実効長719」という)と作業機幅701Aとの間の関係によっては、上記の周辺走行回数を1回に変更可能な場合がある。図17及び図18を用いて、作業機幅701A及び走行機体実効長719Aが周辺作業領域7303Aの周辺走行回数に与える影響について説明する。
【0091】
図17及び図18は、本発明の一実施形態に係る作業経路ガイダンスにおいて、走行機体長及び作業機幅が作業経路パターンに与える影響を示す図である。図17は、走行機体実効長719Aよりも作業機幅701Aの方が大きい構成を示す。図18は、図17とは逆に作業機幅701Bよりも走行機体実効長719Bの方が大きい構成を示す。それぞれの図において、圃場30A、30Bの端部31A、31Bを作業する場合を示した。図17及び図18において、走行機体10A、10B及び作業機20A、20Bが、畦40A、40Bの内側の圃場30A、30Bを走行する構成が示されている。
【0092】
図17に示すように、走行機体実効長719Aよりも作業機幅701Aの方が大きい場合、走行機体10A-1が圃場30Aの端部31Aに達すると、作業機20A-1から畦40Aまでの領域は作業をすることができない。つまり、畦40Aから距離D1の範囲の圃場30Aは、走行機体10A-1がこの向きの状態では作業をすることができない。なお、距離D1は走行機体実効長719Aに相当する。つまり、例えば図14に示す直線作業領域7301Aの直線作業方向において、できるだけ畦40Aに近い領域まで作業を行おうとしても、畦40Aから距離D1の範囲の圃場30Aに対して作業を行うことはできない。したがって、畦40Aから距離D1の範囲の圃場30Aは周辺作業領域7303Aとして、走行機体10A-2及び作業機20A-2の向きで作業をする必要がある。
【0093】
ここで、図17に示す構成の場合、走行機体実効長719Aよりも作業機幅701Aの方が大きいため、走行機体10A-1及び作業機20A-1の向きでは作業を行うことができない領域(畦40Aから距離D1の範囲)の圃場30Aは、走行機体10A-2及び作業機20A-2の向きで一度に作業を行うことができる。つまり、このような条件の場合、例えば図14に示す周辺作業領域7303Aの周辺走行回数を1回にすることができる。
【0094】
一方で、図18に示すように、作業機幅701Bよりも走行機体実効長719Bの方が大きい場合、走行機体10B-1及び作業機20B-1の向きで作業を行うことができない領域(畦40Bから距離D2の範囲)の圃場30Bが作業機幅701Bよりも大きいため、走行機体10B-2及び作業機20B-2の向きで一度に作業を行うことはできない(一度の作業では距離D3の範囲が作業されない)。つまり、このような条件の場合、例えば図14に示す周辺作業領域7303Aの周辺走行回数は少なくとも2回にする必要がある。
【0095】
上記のように、作業機幅701Aが走行機体実効長719Aよりも大きい場合、図14に示す周辺作業領域7303Aの周辺走行回数を1回にすることができる。図15のデータテーブル800Aにおいて、「候補2」の条件では、作業機幅(4.0m)が走行機体実効長(3.0m)よりも大きいため、周辺走行回数を1回にすることができる。このように、作業機幅701Aと走行機体実効長719Aとの間の大小関係に基づいて作業経路を導出することができる。特に、作業機幅701Aと走行機体実効長719Aとの間の大小関係に基づいて周辺作業領域7303Aの周辺走行回数を決定することができる。
【0096】
以上のように、本実施形態によると、作業者によって設定された作業機幅701A及び走行機体実効長719Aとは異なる作業幅及び走行機体前方長の作業機を用いた場合の作業経路を提案することができる。さらに、上記のように作業機を交換することによって得られるメリットを明確に作業者に伝えることができるため、作業者の作業機を購入する意欲を向上させることができる。
【0097】
〈第3実施形態〉
本実施形態では、第1実施形態のように、作業経路をガイダンスしながら、作業機によって作業された後の圃場(つまり、作業機が作業をしながら通過した領域)の状態を判定した結果を表示する構成について説明する。本実施形態では、圃場状態を判定するための作業機として代かき機が用いられた構成について例示するが、この構成に限定されない。例えば、圃場状態を判定するための作業機として、代かき機以外に、作業中に圃場に対して接触可能な接地部材を備えた作業機を用いることができる。例えば、このような作業機として、耕耘機、砕土機、プラウなどが用いられてもよい。なお、本実施形態では作業機として代かき機が用いられるため、上記接地部材は均平部材(レベラ)に相当する。
【0098】
図19を用いて、レベラ角度検出機構500C(図3参照)の詳細な構成について説明する。図19は、本発明の一実施形態に係る作業機のレベラ角度検出機構の全体構成を示す側面図である。図19に示すように、検出部材(レベラ角度検出機構500C)は、角度検出器(ポテンショメータ510C)、第1アーム部520C、第2アーム部530C、第1弾性部540C、及び第2弾性部550Cを有する。第1アーム部520C、第2アーム部530C、第1弾性部540C、及び第2弾性部550Cを併せて伸縮ロッド590Cという場合がある。ポテンショメータ510Cは中央シールドカバー310Cに設けられた台座314Cに固定されている。ポテンショメータ510Cと第1アーム部520Cとは回動可能に接続されている。第2アーム部530Cは中央レベラ330Cに設けられた台座334Cに固定されている。第2アーム部530Cと台座334Cとは回動可能に接続されている。上記の構成を換言すると、伸縮ロッド590Cはポテンショメータ510Cと中央レベラ330Cとを連結する。
【0099】
第1アーム部520Cと第2アーム部530Cとは互いにスライド移動可能に接続されている。第1弾性部540Cは伸縮ロッド590Cが縮む方向に第1アーム部520C及び第2アーム部530Cに弾性力を付与する。一方、第2弾性部550Cは伸縮ロッド590Cが伸びる方向に第1アーム部520C及び第2アーム部530Cに弾性力を付与する。
【0100】
なお、ポテンショメータ510Cに原点復帰用の弾性部が設けられている場合、第1弾性部540C及び第2弾性部550Cのそれぞれの弾性率は、当該原点復帰用の弾性部の弾性率に比べて大きい。したがって、中央レベラ330Cが圃場の凹凸の影響を受けて中央エプロン320Cに対して回動したとき、中央レベラ330Cの回動に伴って第1アーム部520C及び第2アーム部530Cを介してポテンショメータ510Cが動作する。上記のようにして、中央レベラ330Cの中央エプロン320Cに対する回動角度をポテンショメータ510Cで検出することができる。
【0101】
延長レベラ430Cは中央レベラ330Cと連結されており、中央レベラ330Cと共に回動するため、ポテンショメータ510Cによって中央レベラ330C及び延長レベラ430C(レベラ230C)の回動角度を検出することができる。換言すると、レベラ角度検出機構500Cを用いてレベラ230Cの上下動の変化を検出することができる。
【0102】
図19では、中央レベラ330Cは中央エプロン320Cに対して回動し、中央エプロン320Cは中央シールドカバー310Cに対して回動するため、ポテンショメータ510Cは中央エプロン320C及び中央レベラ330Cの両方の回動を検出することになる。しかし、ポテンショメータ510Cによって得られたデータに対して、中央エプロン320Cの回動による影響を排除する演算処理することで、中央レベラ330Cの回動のみを検出することができる。
【0103】
なお、本実施形態では、レベラ角度検出機構500Cがレベラ230C(中央レベラ330C)のエプロン220C(中央エプロン320C)に対する回動角度を検出する構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、圃場に接する接地部材がフレーム200C又はシールドカバー210C(例えば、中央シールドカバー310C)に対して回動可能に接続された構成において、当該接地部材の回動角度を検出してもよい。なお、当該接地部材はフレーム200C又はシールドカバー210Cに対して回動しなくてもよい。ただし、その場合は、ポテンショメータ510Cに代えて接地部材の上下動の変化を検出可能な検出器が設けられる。
【0104】
ここで、図20図25を用いて、レベラ230Cの上下動の変化に基づいて圃場状態を判定する方法について詳細に説明する。図20図22は、本発明の実施形態に係る圃場状態の判定方法を示す図である。図23は、本発明の実施形態に係る圃場状態の判定に用いられるルックアップテーブル(LUT)に関連するインターフェースを示す図である。まず、図20に示すように、走行機体10Cに設けられた位置検出器130Cによって検出された位置情報、及び作業機20Cに設けられたレベラ角度検出機構500Cによって検出されたレベラ230Cの上下動の変化に基づいて、走行機体10Cの位置に対するレベラ230Cの上下動の変化がプロットされる。図20では、圃場が作業区間L1、L2及びL3に区分されている。図20に示すプロットデータは、圃場の作業区間L1、L2及びL3毎に解析され、それぞれの区間に対して判定結果が導出される。図20に示す例では、一定の作業区間毎にプロットデータを解析する例が示されている。ただし、解析対象の作業区間の間隔は一定でなくてもよい。
【0105】
図21を用いて、レベラ230Cの上下動を検出したプロットデータを解析する方法を説明する。圃場状態の判定は、凹凸の変化の大きさに基づいて行われる。具体的には、圃場状態の判定は、プロットデータにおいて検出された、隣接する山と谷の差に基づいて行われる。この隣接する山と谷の差を隣接PV(Peak to Valley)値という。1つの作業区間における各々の隣接PV値を算出し、これらの隣接PV値に対する統計値に基づいて圃場状態の判定が行われる。具体的に説明すると、1つめの山p1と1つめの谷v1との差(レベラ230Cの上下動の変化の大きさ)をPV1、1つめの谷v1と2つめの山p2との差をPV2、2つめの山p2と2つめの谷v2との差をPV3とする。そして、例えばPV1~PV3の平均値に基づいて判定を行う。この隣接PV値に基づく判定方法の詳細は後述する。
【0106】
上記の解析において山と谷を検出する際に、例えば微振動領域r1、r2を無視するようにフィルタ処理を行う。このフィルタ処理として、例えばローパスフィルタ処理を用いてもよい。また、その他のフィルタ処理として、隣接PV値が所定の値よりも小さい場合に、その隣接PV値に関連する山と谷を無視して処理を行ってもよい。
【0107】
図22を用いて、作業停止を検出する方法を説明する。作業機20Cが圃場を作業している間は、レベラ230Cは一定の範囲内で上下動するが、作業を停止して作業機20Cが上方に持ち上げられると、レベラ230Cはその可動範囲の限界まで下方に回動し、ほとんど上下動しなくなる。例えば、図22に示すように、作業機20Cが上方に持ち上げられると、プロットデータは下限付近まで落ち込み、ほとんど上下動しなくなる(図22の符号z1)。このようにプロットデータが特異的な挙動を示した場合に、作業が停止されたと判断してもよい。作業停止と判断された場合にプロットデータの取り込みを中断してもよい。また、作業停止と判断された状態が開始された位置(図22の符号z2)よりも前の情報だけを解析の対象としてもよい。
【0108】
図23を用いて、図21に示した隣接PV値の統計値(以下、隣接PV統計値という)に基づいて、圃場状態を判定する方法について説明する。図23に示すように、ルックアップテーブルに関連するインターフェース(LUT630Cに基づくインターフェース)は、判定結果631C、選択633C、及び隣接PV統計値判定範囲635Cの項目を有している。
【0109】
判定結果631Cは「不足」、「最適」、及び「過剰」の3つの項目の他に「良1」及び「良2」の項目が設けられている。「不足」は、まだ表面の土塊が大きく圃場表面の砕土性が悪い又は均平状態が悪い状態を指す。具体的には、隣接PV統計値の平均値及び標準偏差が相対的に大きい状態を「不足」と判定する。「過剰」は、表面の土塊が小さく圃場表面の砕土性が良い又は均平状態が良い状態を指すが、必要以上に土塊が小さい又は均平状態が良い状態を指す。この「過剰」の状態に達するには、圃場に対する作業時間が長くなり、効率的ではない。したがって、「過剰」の状態になるまで作業を行う必要はない、という意味で「過剰」の項目が設けられる。具体的には、隣接PV統計値の平均値及び標準偏差が相対的に小さい状態を「過剰」と判断する。「最適」は「不足」と「過剰」との間の領域である。
【0110】
ここで、「良1」は、「最適」と「過剰」との間の状態(「良1」の範囲が「過剰」の範囲と重なっていない状態)を指してもよく、「過剰」の範囲の中で「最適」に近い状態(「良1」の範囲が「過剰」の範囲と重なっている状態)を指してもよい。同様に、「良2」は、「最適」と「不足」との間の状態(「良2」の範囲が「不足」の範囲と重なっていない状態)を指してもよく、「不足」の範囲の中で「最適」に近い状態(「良2」の範囲が「不足」の範囲と重なっている状態)を指してもよい。なお、「良1」及び「良2」の項目は、例えば走行機体10Cの速度を遅く又は速くするなど、作業条件を少し変更することで圃場状態を「最適」にすることができる状態を指す。判定結果が「良1」又は「良2」の場合に、モニタ110Cを介して作業者に「車速を速くしてください」又は「車速を遅くしてください」などの作業ガイダンスを表示してもよい。若しくは、判定結果が「良1」又は「良2」の場合に、モニタ110Cを介して作業者に「ロータの回転速度を下げてください」又は「ロータの回転速度を上げてください」などの作業ガイダンスを表示してもよい。
【0111】
選択633Cは、判定結果631Cの各項目の判定結果を有効又は無効にする。例えば、図23に示すLUT630Cに基づくインターフェースでは、「過剰」、「不足」、及び「最適」の項目にチェックされているため、これらの3つの判定結果だけが有効となり、判定結果が「良1」及び「良2」になることはない。
【0112】
隣接PV統計値判定範囲635Cでは、各判定結果に対する隣接PV統計値の範囲が規定されている。つまり、隣接PV統計値判定範囲635Cは判定基準である。「最適」、「良1」、及び「良2」の項目に対する隣接PV統計値判定範囲635Cでは上限及び下限の両方が設定される。「過剰」の項目に対する隣接PV統計値判定範囲635Cでは少なくとも上限が設定される。「不足」の項目に対する隣接PV統計値判定範囲635Cでは少なくとも下限が設定される。隣接PV統計値判定範囲635Cは数値入力によって変更されてもよく、+ボタン及び-ボタンによってその値が変更されてもよい。なお、+ボタン又は-ボタンが選択されると、隣接PV統計値判定範囲635Cの上限及び下限が共に変化する。つまり、+ボタン又は-ボタンが選択された場合、その上限と下限との差(つまり、範囲の幅)は変わらないように上限及び下限が共に変化する。ただし、+ボタン又は-ボタンが選択された場合に範囲の幅が変更されながら上限及び下限が変化してもよく、上限又は下限だけが変化してもよい。
【0113】
例えば図21に示すようなプロットデータから隣接PV統計値が算出されると、その隣接PV統計値及び図23のLUT630Cに基づくインターフェースに表示された基準に基づいて判定結果が導出される。このようにして、図20に示す作業区間L1、L2及びL3のそれぞれに対して判定結果が導出される。そして、導出された判定結果は走行機体10Cに備えられたモニタ110Cに表示される。なお、判定結果のモニタ110Cへの表示方法の詳細は後述する。
【0114】
[判定結果及び判定結果に関連するデータ]
上記のようにして各作業区間に対して導出された判定結果は、図21のプロットデータ(測定データ)、及びプロットデータから算出された隣接PV統計値と関連付けられてデータテーブル640Cとして記憶装置に記憶される(図24参照)。図24は、本発明の実施形態に係る圃場状態の判定方法によって得られたデータの一例を示す図である。なお、上記のプロットデータ及び隣接PV統計値を併せてレベラ230Cの圃場に対する「上下動の変化に関する情報」ということができる。つまり、上記を換言すると、作業区間毎の圃場状態の判定結果は、作業区間毎のレベラの上下動の変化に関する情報と関連付けて保存される。
【0115】
図24に示すように、データテーブル640Cは、区間641C、プロットデータ643C、隣接PV統計値645C、及び判定結果647Cの項目を有している。区間641Cは、図20に示す作業区間L1、L2及びL3に対応する。なお、区間641Cの情報には、圃場を特定する情報が含まれる。つまり、区間641Cに基づいて、どの圃場のどの位置を示すのか、を認識することができる。プロットデータ643Cは走行機体10Cの走行距離に対するレベラ230Cの上下動を示す測定データである。隣接PV統計値645Cはプロットデータ643Cに基づいて算出された統計値である。図24では、統計値として平均値及び標準偏差が表示されているが、これら以外の統計値が用いられてもよい。判定結果647Cは図23のLUT630Cに基づいて導出される。
【0116】
図24では、データテーブル640Cに上記の4つの項目の情報が記憶された構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、これらの項目以外の情報が追加で記憶されていてもよい。又は、これらの項目の一部の情報だけが記憶されていてもよい。なお、上記の記憶装置は走行機体10Cの制御部191Cに接続された記憶装置であってもよく、作業機20Cの制御部291Cに接続された記憶装置であってもよく、ネットワークを介して走行機体10C又は作業機20Cの通信部に接続されたサーバの記憶装置又はサーバにネットワークを介して接続された記憶装置(例えば、サーバの外部に設けられた外部ストレージ)であってもよい。
【0117】
[判定結果の表示方法]
上記のようにして導出された圃場状態の判定結果の表示方法について、図25を用いて説明する。
【0118】
図25は、本発明の実施形態に係る圃場状態の判定結果をモニタに表示する一例を示す図である。図25に示すように、モニタ110Cには圃場マップ650C、リアルタイム判定結果660C、諸情報表示部670C、及び作業経路677Cが表示される。圃場マップ650Cは、図7に示す『圃場登録』によって登録された圃場の位置情報、及び別途設定された作業機幅などの情報に基づいて作業区間単位に区分される。圃場マップ650Cには、走行機体アイコン657Cが表示され、作業を行っている圃場における走行機体10Cの現在位置を認識することができる。さらに、圃場マップ650Cには、作業者に対してこれから作業を行う経路を提案する作業経路677Cが表示されている。換言すると、作業経路677Cは作業機20Cが走行する経路である。また、圃場マップ650Cには、上記の作業経路677Cと共に作業機20Cによって作業された圃場の状態を判定した判定結果が表示される。
【0119】
本実施形態では、作業区間毎の圃場の状態を判定するブロック判定が行われる。図25に示すように、圃場マップ650Cでは、圃場状態の判定結果は作業経路677Cに沿って表示される。作業及び圃場状態の判定が完了した各作業区間に対して、その判定結果が目視で識別可能に模様又は色を付けて表示される。作業区間毎に付けられる模様又は色は、図25に示す判定結果を反映する。例えば、ブロック651Cは判定結果が「過剰」の作業区間である。ブロック653Cは判定結果が「不足」の作業区間である。ブロック655Cは判定結果が「最適」の作業区間である。これらの判定結果はブロック毎に導出されるため、ブロック判定の結果ということができる。なお、図25の圃場マップ650Cに表示される判定結果は、図23の選択633Cでチェックされた判定結果631Cである。つまり、図23の選択633Cでは、「過剰」、「不足」、及び「最適」の3項目にチェックされているため、図25ではこれら3つの判定結果が表示される。
【0120】
圃場マップ650Cの左上には、リアルタイム判定結果660Cが表示されている。リアルタイム判定結果660Cは、ブロック判定が行われる作業区間よりも短い区間の圃場を判定するリアルタイム判定の結果である。リアルタイム判定結果660Cでは、判定結果がグラデーション表示されている。つまり、圃場マップ650Cには「最適」、「過剰」、及び「不足」の3種類の判定結果しか表示されないのに対して、リアルタイム判定結果660Cにはそれより多い段階の判定結果が表示される。例えば、図25の例では、リアルタイム判定結果660Cとして、圃場の状態に応じて「過剰」661C、「良1」663C、「最適」665C、「良2」667C、及び「不足」669Cの判定結果が表示されている。「最適」665Cは相対的に良好な圃場の状態を示す結果として定義されている。「不足」669Cは相対的に良好ではない圃場の状態を示す結果として定義されている。「良2」667Cはこれらの判定結果の間の圃場の状態を示す結果として定義されている。リアルタイム判定結果660Cの下部にはカーソル666Cが表示されている。カーソル666Cはリアルタイム判定の結果に対応する位置を指している。
【0121】
本実施形態では、リアルタイム判定結果660Cとして図21で説明した隣接PV値(PV1、PV2、PV3)に基づく判定結果が表示される。例えば、図21のPV1、PV2、及びPV3のそれぞれの値について、図23に表示された基準に基づいて判定結果が導出され、導出された判定結果がリアルタイム判定結果660Cとして表示される。ただし、リアルタイム判定結果660Cとして、各ブロック(651C、653C、655C)よりも短い区間の隣接PV統計値に基づく判定結果が表示されてもよい。換言すると、リアルタイム判定結果660Cとして、各ブロックよりも短い区間の複数の隣接PV値(PV1、PV2、PV3)の統計値に基づく判定結果が表示されてもよい。ここで、圃場マップ650Cに表示されたブロック判定の結果は、各ブロックの隣接PV統計値645Cに基づく判定結果なので、ブロック判定の結果は、リアルタイム判定に用いられた情報(プロットデータ643C)が統計処理された情報(隣接PV統計値645C)に基づく判定結果である、ということができる。
【0122】
上記の例では、カーソル666Cは「過剰」661C、「良1」663C、「最適」665C、「良2」667C、及び「不足」669Cの5段階のうちのいずれかを指すが、カーソル666Cが隣接PV値に応じて、上記の5段階よりも多い多段階を指してもよい。つまり、カーソル666Cが隣接PV値をアナログ表示してもよい。この場合、上記の5段階のゲージは図23に示す隣接PV統計値判定範囲635Cの各範囲の幅に応じた幅で表示されてもよい。なお、上記の構成は後で詳しく説明する。
【0123】
圃場マップ650Cの右上には、諸情報表示部670Cが表示されている。図25では、諸情報表示部670Cに作業済み面積が表示されている。作業済み面積は、作業機20Cが作業を行った面積に相当し、作業機20Cの幅、作業跡との重ね合わせ量、及び走行距離によって決まる面積である。諸情報表示部670Cにはプルダウンボタン671Cが設けられている。プルダウンボタン671Cを選択すると、プルダウンメニューが表示され、現在表示されている「作業済み面積」の他に「作業進行率」及び「作業終了時間」が表示される。「作業進行率」が選択されると、作業予定面積における作業済み面積の割合が表示される。「作業終了時間」が選択されると、作業予定面積から作業済み面積が引かれた残りの作業面積と、現在の走行機体10の車速とに基づいて計算された作業終了予想時間が表示される。
【0124】
図26は、本発明の実施形態に係る圃場状態の判定結果を用いて、適正な作業経路を表示する一例を示す図である。図26に示す例は、一度圃場を作業した後に、その作業による判定結果に基づいて、二回目の作業経路679C(第4作業経路)を決定する例である。特に、この例では、一回目の作業で「不足」と判定されたブロックを優先的に通過する作業経路679Cが示されている。図26の例では、作業経路679Cは、「不足」と判定されたブロックが存在しない列(南北に並ぶブロック)は通らずに、「不足」と判定されたブロックが存在する列だけを通っている。ここでは、説明の便宜上、「一回目の作業経路」及び「二回目の作業経路」と表現するが、これはあくまで作業の順序を意味するに過ぎない。つまり、「一回目の作業経路」は初めて圃場を作業する経路に限定されない。
【0125】
図26では、二回目の作業経路679Cは一回目の作業経路677C(図25参照)と同様に走行機体10Cが列方向(南北方向)に直進する経路であるが、二回目の作業経路679Cは走行機体10Cが行方向(東西方向)に直進する経路であってもよい。また、図26では、二回目の作業経路679Cにおける列方向の直進は、列方向に並ぶ全てのブロックを通っているが、列方向に並ぶブロックの途中で曲がる又は折り返してもよい。なお、図示していないが、二回目の作業による圃場状態の判定結果を表示する際に、一回目の作業による圃場状態の判定結果を上書きするように表示することができる。ただし、一回目及び二回目のそれぞれの作業による判定結果を判別可能にするために、例えば、一回目の作業による判定結果を薄く又は半透過で表示してもよい。又は、一回目の判定結果と二回目の判定結果とをそれぞれ異なるウインドウに表示しても良い。
【0126】
また、一回目の作業経路677C及び二回目の作業経路679Cの各々を決定する際に、作業機20Cの延長作業部400Cの展開又は折り畳みを含めて作業経路を決定することができる。例えば、一回目の作業経路677Cが延長作業部400Cを展開した状態での作業経路であり、二回目の作業経路679Cが延長作業部400Cを折り畳んだ状態での作業経路であってもよい。もちろん、上記とは反対に、一回目の作業経路677Cが延長作業部400Cを折り畳んだ状態での作業経路であり、二回目の作業経路679Cが延長作業部400Cを展開した状態での作業経路であってもよい。
【0127】
また、過去に複数回の作業による判定結果がある場合、最新の二回分の判定結果が表示される。ただし、作業者の選択によって任意の過去の作業による判定結果を読み出すこともできる。
【0128】
以上のように、本実施形態によると、作業者は、圃場を作業しながら、その作業の結果得られた圃場状態を評価することができる。さらに、圃場マップ650Cに判定結果が表示されることで、作業者は一目で作業が不足している領域、及びこれ以上作業する必要がない領域を容易に視認することができる。また、二回目以降の作業経路が判定結果を含む圃場マップ650Cに基づいて決定されることで、追加作業が必要な領域を優先的に作業する作業経路を表示することができるため、効率のよい作業経路を作業者に提案することができる。
【0129】
なお、本実施形態では、レベラ230Cの上下動の変化に基づいて圃場状態の良し悪しを判定する構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、レベラ230Cの上下動の変化に基づいて圃場状態がある特定の条件に含まれるか否かを判定してもよい。また、本実施形態では、レベラ230Cのような接地部材の上下動の変化、つまり圃場表面の凹凸の大きさに基づいて圃場状態を判定する構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、作業機20Cによる作業前後の圃場状態の差を非接触方法で評価し、その評価結果を判定することで圃場状態を判定してもよい。非接触方法として、例えば、カメラで撮影した画像の画像解析、超音波又は赤外線を用いた距離計測器、及び光を用いた距離測定器(LiDAR;Light imaging Detection and Ranging)を用いることができる。その他の方法として、土塊が大きい場合は作業機20の作業に対する抵抗が大きいため、PTO軸のトルクが大きくなる。したがって、PTO軸のトルクの変動に基づいて圃場の状態を判定することができる。又は、エプロン220の下部に取り付けられたレーキ(熊手又は手把)の振動を測定することで圃場の状態を判定してもよい。
【0130】
〈第4実施形態〉
本実施形態では、第1実施形態とは異なる圃場登録の方法について説明する。第1実施形態の図7では、圃場の長辺及び短辺のそれぞれのサイズを入力し、走行機体10と圃場の位置関係に相当する画像を選択することで、圃場の位置情報を登録する圃場登録の方法を示した。本実施形態では、2つの辺のサイズを入力し、圃場に進入した走行機体10Dの移動方向に基づいて圃場の位置情報を登録する方法について図27を用いて説明する。
【0131】
図27は、本発明の一実施形態に係る圃場状態の判定方法において、画面に表示されるインターフェースの一例を示す図である。図27の(A)はモニタ110Dに表示されたインターフェースを示す。図27の(B)は走行機体10Dの移動方向に基づいて圃場の位置情報を決定する方法を示す。
【0132】
図27の(A)のインターフェースは図7のインターフェースと類似しているが、モニタ110Dには入力領域611D及び入場開始ボタン720Dが表示されており、図7のような位置選択領域613は表示されていない。入力領域611Dには、圃場名称617Dの入力枠、第1辺サイズ618Dの入力枠、及び第2辺サイズ619Dの入力枠が設けられている。圃場名称617Dの入力枠には任意の名称が入力される。第1辺サイズ618Dの入力枠には、走行機体10Dが圃場に進入するときの走行機体10Dの進行方向における圃場の辺(第1辺)のサイズが入力される。第2辺サイズ619Dの入力枠には、第1辺と交差する辺(第2辺)のサイズが入力される。入場開始ボタン720Dは、走行機体10Dが圃場に入場する前に押下されるボタンである。
【0133】
本実施形態では、入場開始ボタン720Dが押下された後の走行機体10Dの移動方向に基づいて圃場の位置情報が決定される。まず、第1辺サイズ618D及び第2辺サイズ619Dの大小関係に基づいて、図27の(B)に示された4つの状態のうち、現在の走行機体10Dと圃場の位置関係に対応する状態が選択される。例えば、第1辺サイズ618Dが第2辺サイズ619Dよりも大きい場合は、A又はBの状態が選択される。一方、第1辺サイズ618Dが第2辺サイズ619Dよりも小さい場合は、C又はDの状態が選択される。A又はBの状態が選択された状態で、走行機体10Dが圃場に進入した後に右方向に移動した場合、Bの状態が選択され、圃場の位置情報が決定される。一方、A又はBの状態が選択された状態で、走行機体10Dが圃場に進入した後に左方向に移動した場合、Aの状態が選択され、圃場の位置情報が決定される。このように、作業者は圃場の2つの辺のサイズを入力した後に走行機体10Dを圃場に進入させて移動するだけで、圃場の位置情報を決定することができる。つまり、作業者の操作負担を軽減することができる。なお、モニタ110Dに図27の(B)に示されたA~Dのアイコンが表示され、作業者が第1辺サイズ618D及び第2辺サイズ619Dを入力した後にA~Dのいずれかのアイコンを選択することで、圃場の位置情報が決定されてもよい。
【0134】
以上、本発明について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0135】
10:走行機体、 20:作業機、 30A:圃場、 31A:端部、 40A:畦、 100:車体、 110:モニタ、 120:三点リンク機構、 121:通信部、 130:位置検出器、 191:制御部、 193:表示部、 195:位置検出部、 200:フレーム、 201:メインフレーム、 203:チェーンケース、 205:サイドフレーム、 207:ロータ、 210:シールドカバー、 220:エプロン、 230:レベラ、 291:制御部、 293:検出部、 300:中央作業部、 310:中央シールドカバー、 314C:台座、 320:中央エプロン、 330:中央レベラ、 332:第2接続部、 334C:台座、 400:延長作業部、 410:延長シールドカバー、 420:延長エプロン、 422:接続部、 430:延長レベラ、 432:接続部、 490:レベラ拡張部、 491:誘導面、 500:レベラ角度検出機構、 501:制御ボックス、 510C:ポテンショメータ、 520C:第1アーム部、 530C:第2アーム部、 540C:第1弾性部、 550C:第2弾性部、 590C:伸縮ロッド、 600:レベラ制御部、 611:入力領域、 613:位置選択領域、 615:入力枠、 617D:圃場名称、 618D:第1辺サイズ、 619D:第2辺サイズ、 631C:判定結果、 633C:選択、 635C:隣接PV統計値判定範囲、 640C:データテーブル、 641C:区間、 643C:プロットデータ、 645C:隣接PV統計値、 647C:判定結果、 650:圃場マップ、 651C、653C、655C:ブロック、 657:走行機体アイコン、 660C:リアルタイム判定結果、 666C:カーソル、 670:諸情報表示部、 671C:プルダウンボタン、 677C:作業経路、 679C:作業経路、 690:作業経路ガイダンス、 691:旋回方向ガイダンス、 693:次作業位置ガイダンス、 700:作業条件設定画面、 701:作業機幅、 702:作業跡、 703:ラップ幅、 705:目盛数値、 707:走行機体前方長、 709:走行機体前端幅、 711:ずれ量表示、 713:受信状態、 715:タッチパネル補正、 719A:走行機体実効長、 720:作業経路選択画面、 720D:入場開始ボタン、 730、740、750、760、780:作業経路パターン、 731、741、751、761:作業経路パターン名称、 733、743、753、763、:作業予測時間、 735、745、755、765:作業距離、 737、747、757、767、787:第1経路端、 738、748、758、768:作業経路、 739、749、759、769、789:第2経路端、 770:作業開始位置選択部、 790A、793A、794A、795A、796A:推薦作業経路候補、 800A:データテーブル、 810A:ポップアップウインドウ、 7301、7401、7801:直線作業領域、 7302:隙間、 7303、7403、7803:周辺作業領域、 7305:第1直線作業部、 7307:第2直線作業部、 7309:第3直線作業部、 7405:第1直線作業部、 7406:第2直線作業部、 7407:第3直線作業部、 7408:第4直線作業部、 7811:非矩形作業領域、 7813:オーバーラップ領域、 7815:耕幅縮小領域、 7817:残存領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27