(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018074
(43)【公開日】2022-01-26
(54)【発明の名称】磁気共鳴画像法用途のための補助極低温剤貯蔵装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20220119BHJP
G01N 24/00 20060101ALI20220119BHJP
G01R 33/3815 20060101ALI20220119BHJP
H01L 39/04 20060101ALI20220119BHJP
F17C 3/04 20060101ALI20220119BHJP
F17C 11/00 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
A61B5/055 360
A61B5/055 370
G01N24/00 600D
G01R33/3815 ZAA
H01L39/04
F17C3/04 Z
F17C11/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021081999
(22)【出願日】2021-05-13
(31)【優先権主張番号】16/928,858
(32)【優先日】2020-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】アーンスト・ウルフギャング・スタウトナー
【テーマコード(参考)】
3E172
4C096
4M114
【Fターム(参考)】
3E172AB01
3E172AB11
3E172AB14
3E172AB15
3E172BA04
3E172BB13
3E172BB17
3E172DA10
3E172EA02
3E172EB02
3E172EB18
3E172FA10
3E172FA18
4C096AB44
4C096AD08
4C096AD23
4C096CA03
4C096CA54
4M114AA04
4M114BB03
4M114BB04
4M114BB09
4M114CC16
4M114CC18
4M114DA12
4M114DA33
4M114DA39
4M114DA40
4M114DA42
(57)【要約】
【課題】本開示は、超伝導ユニット(12)と、超伝導ユニット(12)を冷却するために液体冷却剤を貯蔵するように構成されたリザーバ(16)とを含む撮像システムに関する。
【解決手段】撮像システムはまた、リザーバ(16)に流体結合された1つまたは複数の貯蔵タンク(62)を含む補助極低温剤貯蔵システム(60)を含む。補助極低温剤貯蔵システム(60)は、リザーバ(16)に追加の冷却剤を供給するとともに、リザーバ(16)から冷却剤を受け取って貯蔵するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超伝導ユニット(12)と、
前記超伝導ユニット(12)を冷却するために液体冷却剤を貯蔵するように構成されたリザーバ(16)と、
前記リザーバ(16)に流体結合された1つまたは複数の貯蔵タンク(62)を備える補助極低温剤貯蔵システム(60)であって、前記補助極低温剤貯蔵システム(60)が、
前記リザーバ(16)に追加の冷却剤を供給し、
前記リザーバ(16)から冷却剤を受け取って貯蔵する
ように構成される、補助極低温剤貯蔵システム(60)と
を備える撮像システム。
【請求項2】
前記1つまたは複数の貯蔵タンク(62)が活性炭またはゼオライトを備える、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項3】
前記冷却剤はヘリウムを含む、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項4】
前記補助極低温剤貯蔵システム(60)は、前記超伝導ユニット(12)がランプアップしているときに前記追加の冷却剤を供給し、前記超伝導ユニット(12)がランプアップを終了した後に前記冷却剤を受け取るように構成される、請求項1に記載の撮像システム。
【請求項5】
前記補助極低温剤貯蔵システム(60)は、前記リザーバ(16)への前記追加の冷却剤の流れを可能にするように構成された熱スイッチ(64)を備え、
前記撮像システムは、前記1つまたは複数の貯蔵タンク(62)に貯蔵されている間に前記追加の冷却剤の温度を変更するように前記熱スイッチ(64)を制御するように構成された制御システム(70)を備える、
請求項1に記載の撮像システム。
【請求項6】
前記追加の冷却剤は、液体状態で前記1つまたは複数のタンク(62)内に貯蔵され、
前記制御システム(70)は、前記追加の冷却剤の温度を上昇させ、前記リザーバ(16)に入る前に前記追加の冷却剤を気体状態にするように構成される、
請求項5に記載の撮像システム。
【請求項7】
前記追加の冷却剤が前記リザーバ(16)に入る前に、前記追加の冷却剤を前記気体状態から前記液体状態に凝縮するように構成された凝縮ユニット(28)を備える、請求項6に記載の撮像システム。
【請求項8】
前記超伝導ユニット(16)を熱放射から遮蔽するように構成された熱シールド(66)を備え、
前記1つまたは複数の貯蔵タンク(62)は、第1のタンク(62A)を備え、
前記補助極低温剤貯蔵システム(60)は、前記第1のタンク(62A)と前記熱シールド(66)とを互いに熱的に結合するように構成された第1の熱スイッチ(64A)を備える、
請求項1に記載の撮像システム。
【請求項9】
前記補助極低温剤貯蔵システム(60)が、前記第1の熱スイッチ(64A)に冷却剤を供給するように構成された第1の吸着部(65A)を備える、請求項8に記載の撮像システム。
【請求項10】
前記超伝導ユニット(12)を冷却するように構成された冷却システム(67)を備え、
前記1つまたは複数の貯蔵タンク(62)は、前記第1のタンク(62A)とは異なる第2のタンク(62B)を備え、
前記補助極低温剤貯蔵システム(60)は、前記第1の熱スイッチ(64A)とは異なる第2の熱スイッチ(64B)を備え、前記第2の熱スイッチ(64B)は、前記第2のタンク(62B)と前記冷却システム(67)とを互いに熱的に結合するように構成される、請求項8に記載の撮像システム。
【請求項11】
第1の動作モードにおいて、
前記第1のタンク(62A)は、前記第1の熱スイッチ(64A)を介して熱シールド(66)に熱的に結合され、
前記第2のタンク(62B)は、前記第2の熱スイッチ(64B)を介して前記冷却システム(67)に熱的に結合されず、
前記第1のタンク(62A)は、前記追加の冷却剤を前記リザーバ(16)に供給し、
第2の動作モードにおいて、
前記第1のタンク(62A)は、前記第1の熱スイッチ(64A)を介して熱シールドに熱的に結合されず、
前記第2のタンク(62B)は、前記第2の熱スイッチ(64B)を介して前記冷却システム(67)に熱的に結合され、
前記第2のタンク(62B)は、前記追加の冷却剤を前記リザーバ(16)に供給する、
請求項10に記載の撮像システム。
【請求項12】
補助極低温剤貯蔵システム(60)の第1の熱スイッチ(64A)に冷却剤を供給するステップであって、前記補助極低温剤貯蔵システム(60)は、超伝導ユニット(12)を冷却するために使用される液体冷却剤を貯蔵するように構成されたリザーバ(16)に流体結合された1つまたは複数の貯蔵タンク(62)を備え、前記第1の熱スイッチ(64A)に冷却剤を供給するステップは、前記1つまたは複数の貯蔵タンク(62)のうちの第1のタンク(62A)を熱シールド(66)に熱的に結合させる、ステップと、
前記超伝導ユニット(12)のランプアップを実行するステップと、
前記ランプアップを実行することによって引き起こされる温度上昇に応答して、前記第1のタンク(62A)から前記リザーバ(16)に冷却剤を供給するステップと
を含む方法(100、150、200)。
【請求項13】
高い磁石勾配相互作用(MGI)を伴う1つまたは複数の磁気共鳴画像法(MRI)シーケンスを実行するステップと、
高いMGIを伴う前記1つまたは複数のMRIシーケンスを実行することによって引き起こされる温度上昇に応答して、前記冷却剤を前記第1のタンク(62A)から前記リザーバ(16)に供給するステップと
を含む、請求項12に記載の方法(100、150、200)。
【請求項14】
前記温度上昇が、前記熱シールド(66)の温度上昇である、請求項12に記載の方法(100、150、200)。
【請求項15】
前記ランプアップを実行する前に、前記補助極低温剤貯蔵システム(60)の第2の熱スイッチ(64B)から冷却剤を排出するステップを含む、請求項12に記載の方法(100、150、200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は、工業および極低温の冷却に関し、より具体的には、撮像システムなどのシステムにオンデマンドで冷却剤を供給するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却は、様々な工業用途および極低温用途で使用され得る。多くの場合、システムは、システムに供給される冷却剤(例えば、液体ヘリウムなどの液体極低温剤)を使用して冷却することができる。例えば、磁気共鳴画像法(MRI)システムの磁石は、MRIシステムの動作中に冷却剤によって冷却され得る。場合によっては、システムを冷却するのに望ましい冷却剤の量は変動し得る。例えば、システムの始動中などの比較的高負荷の状況の間、MRIシステムの通常動作中に使用される冷却剤の量に比べてより多くの冷却剤が望ましい場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、冷却システムは、超伝導ユニットと、超伝導ユニットを冷却するために液体冷却剤を貯蔵するように構成されたリザーバとを含む。さらに、冷却システムは、リザーバに流体結合された1つまたは複数の貯蔵タンクを含む補助貯蔵システムを含む。補助貯蔵システムは、リザーバに追加の冷却剤を供給するとともに、リザーバから冷却剤を受け取って貯蔵するように構成される。
【0005】
別の実施形態では、撮像システムは、超伝導ユニットと、超伝導ユニットを熱放射から遮蔽するように構成された熱シールドと、超伝導ユニットを冷却するために液体冷却剤を貯蔵するように構成されたリザーバとを含む。さらに、画像システムは、リザーバに流体結合された1つまたは複数の貯蔵タンクを含む補助貯蔵システムを含む。補助貯蔵システムは、リザーバに追加の冷却剤を供給するとともに、リザーバから冷却剤を受け取って貯蔵するように構成される。
【0006】
さらに別の実施形態では、方法は、超伝導ユニットを冷却するために使用される液体冷却剤を貯蔵するように構成されたリザーバに流体結合された1つまたは複数の貯蔵タンクを含む補助貯蔵システムの第1の熱スイッチに冷却剤を供給することを含む。冷却剤を第1の熱スイッチに供給することにより、1つまたは複数の貯蔵タンクのうちの第1のタンクが熱シールドに熱的に結合される。方法はまた、超伝導ユニットのランプアップを実行することと、ランプアップを実行することによって引き起こされる温度上昇に応答して、第1のタンクからリザーバに冷却剤を供給することとを含む。
【0007】
本発明のこれらの特徴、態様、および利点、ならびに他の特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明を添付の図面を参照しつつ検討することで、よりよく理解されるであろう。添付の図面において、類似の符号は、図面の全体を通して、類似の部分を表している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態による、熱サイフォン冷却システムのブロック図である。
【
図2】一実施形態による、
図1の熱サイフォン冷却の冷却剤による初期充填を実行するためのプロセスの流れ図である。
【
図3】一実施形態による、
図1の熱サイフォン冷却システムを大容量動作モードで動作させるためのプロセスの流れ図である。
【
図4】一実施形態による、
図1の熱サイフォン冷却システムを小容量動作モードで動作させるためのプロセスの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下で、本主題の1つまたは複数の具体的な実施形態を説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を提供しようと努力しても、実際の実施態様のすべての特徴を本明細書に記載することができるというわけではない。エンジニアリングまたは設計プロジェクトなどの実際の実施態様の開発においては、開発者らの特定の目的を達成するために、例えばシステム関連および事業関連の制約条件への対応など実施態様に特有の決定を数多くしなければならないし、また、これらの制約条件は実施態様ごとに異なる可能性があることを理解されたい。さらに、このような開発努力は、複雑で時間がかかるが、それでもなお本開示の利益を有する当業者にとっては、設計、製作、および製造の日常的な仕事であることを理解されたい。
【0010】
本開示の様々な実施形態の要素を紹介するとき、「1つの(a、an)」、「この(the)」、および「前記(said)」という冠詞は、それらの要素が1つまたは複数存在することを意味するものとする。「・・・を備える(comprising)」、「・・・を含む(including)」、および「・・・を有する(having)」という用語は、包括的であるように意図され、列挙された要素以外のさらなる要素が存在してもよいことを意味する。
【0011】
冷却は、様々な工業用途および極低温用途で使用され得る。例えば、極低温冷却は、核磁気共鳴画像分光法、磁気共鳴画像法(MRI)、核融合、超伝導駆動装置、モータおよび発電機、加速器磁石システム、前向き赤外線システム、食品貯蔵、製造プロセス、ならびにリサイクルに使用され得る。多くの場合、冷却は、標準的な温度および圧力条件下で気体である流体を使用して達成される。例えば、多くの冷却用途は、液体ヘリウム、液体水素、液体ネオンおよび/または液体窒素またはそれらの混合物の使用を含む。冷却を伴う多くの場合、流体は貯蔵タンクまたは容器に貯蔵され、流体は後に分配または除去されて、システムまたはシステムの構成要素を冷却するために使用される。さらに、冷却されるシステムは、システムを冷却するために異なる量の冷却剤が利用される異なる動作条件を経験する可能性がある。特定の場合には、システムに追加の冷却剤を供給することにより、最終的に、システムによって放出されるガス(例えば、加熱されることによってガス中に蒸発する液体冷却剤)が発生し得る。さらに、例えば、冷却されるシステムにすべての冷却剤が供給された後に、冷却剤の供給源(例えば、冷却剤を貯蔵するガスシリンダ)を交換する必要があり得る。本開示は、極低温流体などの冷却剤によって冷却されるシステムに冷却流体をオンデマンドで供給することを可能にするシステムおよび方法を提供する。より具体的には、以下に説明する技術は、例えば、比較的大量の冷却剤を使用する条件で動作する場合に、より小さな冷却剤源を使用してシステムを動作させることを可能にする一方で、より大量の冷却剤で冷却されるシステムを提供することを依然として可能にし得る。
【0012】
前述のこと、特に以下に説明するシステムおよび方法が多種多様な冷却用途に使用され得ることを念頭に置いて、
図1は、磁気共鳴画像法(MRI)システムの超伝導ユニット12を冷却するために使用され得る熱サイフォン冷却システム10の概略図である。しかしながら、熱サイフォン冷却システム10の実装は、MRIシステムに限定されず、超伝導電気機械、超伝導磁石エネルギー貯蔵システム(SMES)、超伝導(SC)加速器などの他の装置に実装されてもよいことに留意されたい。熱サイフォン冷却システム10は、超伝導ユニット12の温度を極低温以下に維持するように構成され得る。超伝導ユニット12は、超伝導磁石および/またはコイル、勾配システム、ならびにMRIシステム内に保持されたそれらの支持構造を含み得る。特に、熱サイフォン冷却システム10は、超伝導ユニット12に関連する温度が極低温以下に維持されるように、超伝導ユニット12を冷却するかまたは超伝導ユニットから熱を放散するように構成される。「極低温」という用語は、超伝導ユニット12が超伝導状態で動作するように設計されている温度以下の温度を指すために使用される。一実施形態では、極低温は、約2.5K~約5Kの範囲内であり得る。
【0013】
図示のように、熱サイフォン冷却システム10は、超伝導ユニット12によって生成された熱を吸収するように構成された配管ユニット14を含む。配管ユニット14も、配管ユニット14から熱を吸収し得る液体冷却剤を含んでもよい。液体冷却剤は、ヘリウム、水素、ネオン、窒素、またはそれらの組み合わせを含み得る。液体冷却剤はまた、リザーバ16に貯蔵されてもよく、リザーバ16は、液体冷却剤を含む第一部分18と液体冷却剤を含まない第二部分20とを含む。液体冷却剤は、リザーバ16から流出し、配管ユニット14に流入し、配管ユニット14から流出し、リザーバ16に再び流入してもよい。
【0014】
リザーバ16の第一部分18内の液体冷却剤は、配管ユニット14から熱を吸収し得る。リザーバ16内の液体冷却剤が配管ユニット14から熱を吸収すると、液体冷却剤の一部が蒸発し、蒸発した冷却液が冷却される凝縮ユニット28に入り、蒸発した冷却液が凝縮して液体冷却剤になり、液体冷却剤はリザーバ16に再び入ることができる。より具体的には、蒸発した冷却剤は、出口30を介してリザーバ16を出て、チャネル32を通って移動し、出口34を介してチャネル32を出て凝縮ユニット28に入ることができる。凝縮ユニット28は凝縮器36を含み得、凝縮器36は、蒸発した冷却剤を凝縮させて液体冷却剤を形成し得る。凝縮ユニット28内の液体冷却剤は、出口38を介して凝縮ユニット28を出て、チャネル40を通過し、チャネル40を出てリザーバ16に入ることができる。図示のように、液体冷却剤は液滴42として形成され得、液滴42は出口44を介してチャネル40から出てリザーバ16に入ることができる。
【0015】
さらに、リザーバ16内の圧力(例えば、液体冷却剤の蒸発によって引き起こされる)は、解放弁46を介して解放されてもよい。すなわち、リザーバ16内のガスは、出口48を介してリザーバ16から出て、チャネル50を通過し、解放弁46を介してチャネル50から出てもよい。
【0016】
冷却剤は、極低温ガスなどの冷却流体であってもよく、いくつかの供給源からリザーバ16に供給することができる。より具体的には、凝縮ユニット28は、接続部56を介して冷却剤を供給されてもよく、接続部は、凝縮ユニット28を1つまたは複数の極低温剤貯蔵ユニット58および補助極低温剤貯蔵システム60に流体結合する。極低温剤貯蔵ユニット58は、配管ユニット14への極低温ガスを貯蔵する貯蔵タンクを含み得る。図示の実施形態では、極低温ガスは、液体冷却剤(例えば、ヘリウム、水素、ネオン、窒素、またはそれらの組み合わせ)と同じ要素のいずれかであり得る。他の実施形態では、極低温ガスは、圧縮天然ガスまたは液化天然ガスなどの他の流体であってもよい。いくつかの実施形態では、極低温剤貯蔵ユニット58は、熱サイフォン冷却システム10に含まれなくてもよく、または極低温剤貯蔵ユニット58は、熱サイフォン冷却システム10に一時的にのみ含まれてもよいことに留意されたい。例えば、極低温剤貯蔵ユニット58は、熱サイフォン冷却システム10から取り外される前に、補助極低温剤貯蔵システム60に冷却剤を供給するために利用されてもよい。
【0017】
補助極低温剤貯蔵システム60はまた、接続部56を介してリザーバ16および極低温剤貯蔵ユニット58に流体結合されてもよい。補助極低温剤貯蔵システム60は、熱サイフォン冷却システム10に追加の極低温剤補助極低温剤貯蔵システム60を提供するとともに、リザーバ16から冷却剤を受け取ることができる。例えば、補助極低温剤貯蔵システム60は、極低温流体(例えば、液相および/または気相で)などの冷却剤を貯蔵することができる貯蔵タンク62(例えば、第1の貯蔵タンク62Aおよび第2の貯蔵タンク62B)を含む。より具体的には、貯蔵タンク62は、第1のタンク62Aおよび第2のタンク62Bが気体形態で貯蔵することができる冷却剤の量を増加させるために、冷却剤に加えて炭素(例えば、物理吸着に使用される活性炭またはグラフェン層)またはゼオライトなどの吸着材料を含むことができる第1のタンク62Aおよび第2のタンク62Bを含むことができる。一実施形態では、第1のタンク62Aおよび第2のタンク62Bは各々、約7キログラムの活性炭を含み、貯蔵タンク62は、室温で約10リットルの液体冷却剤(例えば、液体ヘリウム)および約6,600リットルの気体冷却剤を貯蔵することができる。後述するように、補助極低温剤貯蔵システム60は、貯蔵タンク62A、62Bに貯蔵された冷却剤をリザーバ16に供給するとともに、リザーバ16から冷却剤を受け取り、受け取った冷却剤を補助極低温剤貯蔵システム60に貯蔵することができる。言い換えると、貯蔵タンク62A、62Bに貯蔵された冷却剤(例えば、液体形態で、または吸着材料によって気体形態で吸着される)をリザーバ16(および配管ユニット14)に供給して、例えば、MRIシステムがランプアップしているとき、または高い磁石勾配相互作用(MGI)を伴うMRIシーケンスを実行しているときなどの比較的高負荷の状況において、超伝導ユニット12を冷却することができる。
【0018】
補助極低温剤貯蔵システム60はまた、熱スイッチ64(例えば、第1の熱スイッチ64Aおよび第2の熱スイッチ64B)を含み、熱スイッチはガスギャップ・ヒートスイッチであってもよく、比較的少量の冷却剤(例えば、1リットル未満の液体冷却剤)を貯蔵することができる吸着部65(例えば、第1の吸着部65Aおよび第2の吸着部65B)を含むか、またはそれに流体結合される。熱スイッチ64A、64Bのガスギャップスイッチは、互いにインターレースするフィン付き構造を含み得る。熱スイッチ64A、64B(またはその中に貯蔵されている冷却剤)の温度に応じて、熱スイッチ64A、64Bを開閉することができる。熱スイッチ64A、64Bを開閉することによって、それぞれの貯蔵タンク62A、62Bへの熱接続を確立し、終了することができる。例えば、吸着部65A、65Bは、極低温冷凍機によって冷却され得る1つまたは複数の冷却剤源を含むか、またはそれに流体結合されてもよい。吸着部65A、65Bを、熱スイッチ64A、64Bと熱サイフォン冷却システム10の別の構成要素との間の熱接続が存在しない「オフ」状態にするために、吸着部65A、65Bから冷却剤を排出してもよい。しかしながら、冷却剤が吸着部65A、65Bに加えられると、貯蔵タンク62A、62Bと熱サイフォン冷却システム10の他の構成要素との間の熱接続を、熱スイッチ64A、64Bを介して確立することができる。言い換えると、熱スイッチ64A、64Bを、貯蔵タンク62A、62Bと熱サイフォン冷却システム10に含まれる他の構成要素との間の熱接続を形成および遮断するために利用してもよい。熱スイッチ64A、64Bを使用して熱接続を確立または終了することにより、貯蔵タンク62A、62B内の温度を変更することができる。以下でより詳細に説明するように、貯蔵タンク62A、62B内の温度を変化させることによって、冷却剤はタンク62A、62Bに流入または流出し得る。
【0019】
特に、熱スイッチ64Aは、第1のタンク62Aおよび熱シールド66に熱的に結合されてもよい。熱シールド66は、超伝導ユニット12などの熱サイフォン冷却システム10の部分を囲み、熱サイフォン冷却システム10の部分を熱放射から遮蔽し得る。いくつかの実施形態では、熱シールドの温度は、約30K~50Kであってもよい。冷却剤を吸着部65Aに供給することにより(例えば、熱スイッチ64Aを「オン」状態にするために)、第1のタンク62Aと熱シールド66との間の熱接続が熱スイッチ64Aを介して確立される。逆に、熱スイッチ64Aが「オフ」状態にあるとき(例えば、冷却剤が吸着部65Aから排出された場合)、貯蔵タンク62Aと熱シールド66との間の熱接続は存在しない。
【0020】
熱スイッチ64Bは、第2のタンク62Bおよび冷却システム67に熱的に結合される。冷却システム67は、超伝導ユニット12に連結され、超伝導ユニット12を冷却してもよい。吸着部65Bに冷却液を供給することにより(例えば、熱スイッチ64Bを「オン」状態にするために)、第2のタンク62Bと冷却システム67との間の熱接続が熱スイッチ64Bを介して確立される。熱スイッチ64Bが「オフ」状態であるとき(例えば、冷却剤が吸着部65Bから排出された場合)、第2の貯蔵タンク62Bと熱シールド66との間の熱接続は存在しない。
【0021】
冷却剤は、貯蔵タンク62に加えられると、接続部56から接続部68に、そして第1のタンク62Aおよび第2のタンク62Bに入ることができる。同様に、冷却剤が補助極低温剤貯蔵システム60からリザーバ16に供給されると、冷却剤は貯蔵タンク62から接続部68に流入する。冷却剤は、接続部68から接続部56および凝縮ユニット28に流入する。例えば、冷却剤(例えば、気体冷却剤)が補助極低温剤貯蔵システム60から供給される場合、凝縮ユニット28は冷却剤を受け取り、冷却剤を凝縮して液体冷却剤を生成し、液体冷却剤はチャネル40を介してリザーバ16に供給される。
【0022】
特に、熱スイッチ64A、64Bは、補助極低温剤貯蔵システム60内(例えば、貯蔵タンク62内)の温度を変化させるために開閉されてもよい。言い換えると、熱スイッチ64A、64Bを、補助極低温剤貯蔵システム60内の冷却剤の温度を変化させるために利用することができる。補助極低温剤貯蔵システム60内の温度を上昇させるために、スイッチ64Aを利用してもよい。逆に、補助極低温剤貯蔵システム60内の温度を低下させるために、スイッチ64Bを利用してもよい。
【0023】
補助極低温剤貯蔵システム60内の温度を調整することにより、(温度変化に応じて)冷却剤が補助極低温剤貯蔵システム60に流入または流出する。例えば、補助極低温剤貯蔵システム60の貯蔵タンク62内の温度が上昇すると、貯蔵タンク62内の圧力は、例えば、液体冷却剤が気体冷却剤に蒸発するために上昇する。貯蔵タンク62とリザーバ16との間の温度および/または圧力勾配により、冷却剤は貯蔵タンク62からリザーバ16に流れ得る。別の例として、補助極低温剤貯蔵システム60内の温度が低下すると、反対のことが起こり得る。例えば、補助極低温剤貯蔵システム60内の温度を低下させると、冷却剤がリザーバ16から補助極低温剤貯蔵システム60に戻り、貯蔵タンク62内に貯蔵され得る。
【0024】
図示のように、熱サイフォン冷却システム10はまた、制御システム70と、制御システム70に通信可能に結合されたいくつかの弁72A、72B、72C(例えば、ソレノイド弁)とを含む。より具体的には、制御システム70は処理回路74を含み得、処理回路74は、処理回路に通信可能に結合されたメモリ76または記憶装置78に記憶され得るコンピュータ可読命令を実行することによって、弁72A、72B、72Cおよび熱スイッチ64A、64Bの位置を制御する。処理回路74は、1つまたは複数の汎用マイクロプロセッサ、1つまたは複数の特定用途向けプロセッサ(ASIC)、1つまたは複数のフィールドプログラマブルロジックアレイ(FPGA)、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。メモリ76および/または記憶装置78は、処理回路74によって実行可能な命令および処理されるデータを記憶する有形の非一時的コンピュータ可読媒体であってもよい。例えば、メモリ76は、ランダムアクセスメモリ(RAM)を含んでもよく、記憶装置78は、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリ、ハードドライブ、光ディスクなどを含んでもよい。例として、命令を含むコンピュータプログラム製品は、オペレーティングシステムまたはアプリケーションプログラムを含むことができる。例えば、図示の実施形態では、記憶装置78は、熱サイフォン冷却システム10の動作を制御するためのアプリケーション80を含む。より具体的には、処理回路74は、後述する熱サイフォン冷却システム10の様々な動作モードに従って、弁72A、72B、72Cおよび熱スイッチ64A、64Bの位置を制御するためにアプリケーション80を実行することができる。
【0025】
制御システム70はまた、処理回路74に通信可能に結合されたディスプレイ82および1つまたは複数の入力装置84を含み得る。ディスプレイ82は、制御システム70のユーザにグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を提示することができ、ユーザは、制御システム70の動作を制御するために、入力装置84を使用してGUIと対話することができる。入力装置は、例えば、動作モードを選択するために、または弁72A、72B、72Cおよび/またはスイッチ64A、64Bの位置を手動で設定するために、ユーザが制御システム70と対話することを可能にする。入力装置84は、ボタン、キーボード、マウス、トラックパッドなどを含み得る。追加的または代替的に、ディスプレイ82は、その画面(例えば、電子ディスプレイ82の表面)に触れる物体の発生および/または位置を検出することによって制御システム70へのユーザ入力を可能にするタッチ構成要素を含み得る。
【0026】
補助極低温剤貯蔵システム60によって貯蔵された冷却剤は、熱サイフォン冷却システム10の動作条件に応じて、リザーバ16に供給されてもよく、またはリザーバから供給されてもよい。より具体的には、後述するように、熱サイフォン冷却システム10が最初に冷却剤で満たされた後、熱サイフォン冷却システム10は、小容量モードおよび大容量モードで動作することができる。小容量モードは、熱サイフォン冷却システム10が定常状態で動作しているときなど、熱サイフォン冷却システム10の通常動作に対応する。例えば、MRIシステムの超伝導ユニット12がアイドル状態である(例えば、使用されていない場合、または既に超伝導状態にある場合)か、またはMRIシステムの通常の使用中に利用されている場合(例えば、MRIデータを収集している場合)、熱サイフォン冷却システム10は、熱サイフォン冷却システム10によって利用される冷却剤の量が大容量モード中に利用される冷却剤の量よりも比較的少ない小容量モードで動作し得る。大容量動作モードは、一般に、超伝導ユニット12に対してより高い需要がある期間に対応し、それによって超伝導ユニット12を冷却するためにより多くの冷却剤が使用される。一例として、大容量動作モードは、MRIシステムがランプアップしているとき(例えば、初期化)、ランプダウンしているとき、MRIシステムが長期間利用されるとき、およびMRIシステムがMGIシーケンス(例えば、高いヒートスパイクを引き起こし得るMGIシーケンス)を実行しているときに利用され得る。熱サイフォン冷却システム10が大容量モードで動作しているとき、補助極低温剤貯蔵システム60は、リザーバ16に冷却剤を供給し得る。さらに、熱サイフォン冷却システム10が小容量モードで動作している間、補助極低温剤貯蔵システム60は、リザーバに冷却剤を供給せず、冷却剤を受け取ってもよい。大容量および小容量の動作モードをより詳細に説明する前に、熱サイフォン冷却システム10の充填について最初に説明する。
【0027】
より具体的には、冷却剤で熱サイフォン冷却システム10の初期充填を行うことを、ここで
図2に関して説明する。特に、
図2は、冷却剤で熱サイフォン冷却システム10の初期充填を行うためのプロセス100の流れ図を示す。熱サイフォン冷却システム10は、初期化プロセスを開始する要求を示すユーザ入力を(例えば、入力装置84を介して)制御システム70が受信したことに応答して、プロセス100を実行し得る。
【0028】
プロセスブロック102において、弁72Aが閉じられる。例えば、制御システム70は、弁72Aを閉じるためのコマンドを送信してもよく、弁72Aは、そのようなコマンドの受信に応答して閉じてもよい。弁72Aを閉じることにより、補助極低温剤貯蔵システム60の貯蔵タンク62A、62Bとリザーバ16との間の流体経路(例えば、接続部56を介する)が閉じられる。
【0029】
プロセスブロック104において、補助極低温剤貯蔵システム60の貯蔵タンク62A、62Bが排気され、これは、補助極低温剤貯蔵システム60に貯蔵された冷却剤が補助極低温剤貯蔵システム60から除去されることを意味する。例えば、補助極低温剤貯蔵システム60は、貯蔵タンク62A、62Bに貯蔵された極低温剤を貯蔵タンク62A、62Bから引き出す1つまたは複数のポンプを含んでもよい。追加的または代替的に、貯蔵タンク62A、62Bの内部と貯蔵タンク62A、62Bの外部との圧力差を利用して、貯蔵タンク62A、62B内の冷却剤を貯蔵タンク62A、62Bから引き出してもよい。
【0030】
プロセスブロック106において、熱サイフォン冷却システム10は、熱サイフォン冷却システム10が動作温度に近い動作温度まで冷却されるシステム冷却を実行し得る。例えば、熱サイフォン冷却システム10の構成要素は、約4Kに冷却されてもよい。
【0031】
プロセスブロック108において、補助極低温剤貯蔵システム60およびリザーバ16に冷却剤が供給され得る。特に、極低温剤貯蔵ユニット58からの冷却剤は、補助極低温剤貯蔵システム60の貯蔵タンク62A、62Bならびにリザーバ16に供給され得る。例えば、リザーバ16に冷却剤を供給することに関して、弁90を開くためのコマンドを制御システム70が送信することに応答して、気体冷却剤が凝縮ユニット28に供給され得る。冷却剤は、気体冷却剤を凝縮させて、チャネル40を介してリザーバ16に供給される液体冷却剤にしてもよい。制御システム70が、極低温剤貯蔵ユニット58から貯蔵タンク62A、62Bへの冷却剤の流れを可能にするために弁92を開くコマンドを送信することに応答して、貯蔵タンク62A、62Bに冷却剤が供給され得る。
【0032】
冷却剤が熱サイフォン冷却システム10のリザーバ16および補助極低温剤貯蔵システム60に供給されると、小容量および大容量の動作モードを利用することができる。後述するように、これらのモードの各々において、補助極低温剤貯蔵システム60内の温度を変更することができる(例えば、熱スイッチ64A、64Bの状態を調整して、熱サイフォン冷却システム10の構成要素間の熱接続を確立または終了することによって)。この温度変化により、リザーバ16に冷却剤が供給されたり、リザーバ16から冷却剤が受け入れられたりすることがある。これを念頭に置いて、
図3は、熱サイフォン冷却システム10を大容量動作モードで動作させるためのプロセス150の流れ図である。プロセス150は、熱サイフォン冷却システム10を大容量モードで動作させる要求を示すユーザ入力の受信に応答して、熱サイフォン冷却システム10を制御する制御システム70によって実行され得る。例えば、制御システム70は、熱サイフォン冷却システム10のランプアップまたはランプダウンさせる要求を受信することができる。この要求に対する要求において、プロセス150が実行されてもよい。
【0033】
プロセスブロック152において、弁72Aが開かれ、熱スイッチ64Aが冷却剤で満たされ、閉じられる。例えば、制御システム70は、弁72Aを開くためのコマンドを送信することができ、弁72Aは、そのようなコマンドの受信に応答して開くことができる。弁72Aを開くことにより、補助極低温剤貯蔵システム60の貯蔵タンク62A、62Bとリザーバ16との間の流体経路(例えば、接続部56、68を介する)が開かれる。さらに、制御システム70は、熱スイッチ64Bを(排気された状態で)閉じるようにコマンドを送信してもよい。熱スイッチ64Aは冷却剤を含むため、熱スイッチ64Aは熱伝導性になり、第1のタンク62Aと熱シールド66との間の熱接続に起因して、補助極低温剤貯蔵システム60(例えば、第1のタンク62A内)の温度を約30Kに変化させ得る。プロセス100を実行した後にプロセス150を実行する場合、これは温度上昇(例えば、4K~30K)になる。温度上昇により、補助極低温剤貯蔵システム60からの冷却剤(例えば、気体形態である)が凝縮ユニット28に供給され、凝縮ユニットは気体冷却剤を液体冷却剤に凝縮させ、液体冷却剤をリザーバ16に供給する。
【0034】
プロセスブロック154において、弁72Aが閉じられる。これは、プロセス100のプロセスブロック102に関して上述した方法と同じ方法で実行され得る。
【0035】
プロセスブロック156において、システムのランプアップまたはランプダウンが実行され得る。言い換えると、超伝導ユニット12は、超伝導になるように(例えば、ランプアップを実行するとき)、または超伝導ループ内でもはや動作しないように(例えば、ランプダウンを実行するとき)準備され得る。この動作中、リザーバ16からの液体冷却剤が加熱され、液体冷却剤の一部が気体冷却剤になる可能性がある。リザーバ16により多くの冷却剤を加えることが望ましい場合、冷却剤は、極低温剤貯蔵ユニット58からリザーバ16に供給されてもよい。いずれの場合も、極低温剤貯蔵ユニット58は、リザーバ16から気体冷却剤を受け取ることができる。後述するように、冷却剤は、小容量モードで動作している間に、補助極低温剤貯蔵システム60の貯蔵タンク62A、62Bに供給されてもよい。しかしながら、続行する前に、プロセスブロック156に関して上述した動作は、MRIシステムが長期間にわたって使用されているとき、またはMGIシーケンスを実行しているときにも実行され得ることに留意されたい。
【0036】
熱シールド66の温度が上昇すると(例えば、ランプアップ中またはMGIシーケンスの実行中に発生する渦電流に起因して)、その温度上昇の度合いに応じて第1のタンク62Aから冷却液が供給される。例えば、熱スイッチ64が熱伝導性であるため、第1のタンク62Aと熱シールド66との間に熱接続が確立される。熱シールド66の温度が高くなるほど、第1のタンク62A内の温度がより急速に上昇する。第1のタンク62A内の温度がより急速に上昇するほど、第1のタンク62A内に貯蔵された液体冷却剤の蒸発速度がより速くなる。そして、より多くの気体冷却剤が形成されるにつれて、第1のタンク62Aから凝縮ユニット28に供給される冷却剤の量がより多くなる。したがって、熱サイフォン冷却システム10の冷却剤の需要に基づいて、補助貯蔵システム60から冷却剤が供給される。言い換えると、熱サイフォン冷却システム10内の温度上昇(例えば、ランプアップまたはMGIシーケンスを実行することによって引き起こされる)があることにより、冷却剤が補助貯蔵システム60から自動的に供給され得る。したがって、補助貯蔵システム60は、制御システム70から独立して凝縮ユニット28に冷却剤を供給することができる。すなわち、凝縮ユニット28に冷却液を供給するコマンド(例えば、検出された温度上昇に応答して行われる)を制御システムが与えることなく、第1のタンク62Aは、凝縮ユニット28に冷却液を供給し得る。
【0037】
大容量モードが利用される場合(例えば、ランプアップを実行するために)、MRIシステムのユーザは、(例えば、ランプアップが終了すると)熱サイフォン冷却システム10を小容量モードで動作させることを望む場合がある。言い換えると、ランプアップが終了すると、ランプアップ中に使用される冷却剤の量に比べて、超伝導ユニット12を冷却するために利用される冷却剤は少なくなり得る。これを念頭に置いて、
図4は、熱サイフォン冷却システム10を小容量動作モードで動作させるためのプロセス200の流れ図である。プロセス200は、熱サイフォン冷却システム10を小容量モードで動作させる要求を示すユーザ入力の受信に応答して、熱サイフォン冷却システム10を制御する制御システム70によって実行され得る。例えば、制御システム70は、ランプアップが完了したと判定したことに応答して、または熱サイフォン冷却システム10を小容量モードで動作させる要求(例えば、入力装置84を介する)を受信したことに応答して、プロセス200を実行し得る。この要求に対する要求において、プロセス200が実行されてもよい。
【0038】
プロセスブロック202において、熱スイッチ64Aが開かれ、熱スイッチ64Bが閉じられて、補助極低温剤貯蔵システム60内の温度を例えば約4Kまで低下させる。言い換えると、熱スイッチ64Aが熱伝導しないように、冷却剤は、吸着部65Aから排出され得る。吸着部65Bには、熱スイッチ64Bを熱伝導するように冷却剤が供給される。第1のタンク62Aが熱シールド66に熱的に結合されていないため、第1のタンク62A内の温度は低下する(例えば、30Kから4Kまで)。熱スイッチ64Bは熱伝導性であるため、第2のタンク62Bと冷却システム67との間の熱接続が確立される。冷却剤は、第1のタンク62A内に補充されるが、第2のタンク62Bは、(例えば、冷却システム67内の)温度の上昇によって冷却剤を凝縮ユニット28に供給し得る。第1のタンク62Aに関する上記の説明と同様に、第2のタンク62Bは、温度上昇に応答して冷却剤を凝縮ユニット28に自動的に供給し得る。すなわち、第2のタンク62Bは、凝縮ユニット28に冷却液を供給するコマンド(例えば、検出された温度上昇に応答して行われる)を制御システムが与えることなく、凝縮ユニット28に冷却液を供給し得る。熱スイッチ64A、64Bの位置は、位置を調整するために(例えば、開いた状態から閉じた状態に、または閉じた状態から開いた状態に)熱スイッチ64A、64Bにコマンドを送信する制御システム70によって変更され得るこのようなコマンドに応じて、熱スイッチ64Aを開き、熱スイッチ64Bを閉じてもよい。
【0039】
プロセスブロック204において、超伝導ユニット12が冷却され得る。例えば、超伝導ユニット12を、約2.5K~約3.5Kの温度に冷却することができる。
【0040】
大容量モードで動作している間、蒸発した冷却剤は、リザーバ16から極低温剤貯蔵ユニット58および/または貯蔵タンク62Bに供給されてもよい。プロセスブロック206において、冷却剤はまた、小容量モードで動作している間に、補助極低温剤貯蔵システム60の貯蔵タンク62A、62Bに供給されてもよい。例えば、極低温剤貯蔵ユニット58のランプアップ中に取り込まれた冷却剤は、補助極低温剤貯蔵システム60の貯蔵タンク62A、62Bに供給され得る。貯蔵タンク62A、62Bの活性炭は、冷却剤を吸収することができる。したがって、補助極低温剤貯蔵システム60は冷却剤(例えば、液体および/またはガス状液体ヘリウム)を有し、それによって、熱サイフォン冷却システム10が、必要に応じて、小容量モードでの動作に続いて、大容量モードでの動作に戻ることを可能にする。例えば、MRIシステムのユーザがMGIシーケンスを実行するためにMRIデータ(例えば、画像)を取り込みたい場合、熱サイフォン冷却システム10は、大容量モードでの動作に切り替わることができる。さらに、大容量モードで動作している間に、極低温剤貯蔵ユニット58から補助極低温剤貯蔵システム60に冷却剤を戻すことができることに留意されたい。ただし、補助極低温剤貯蔵システム60の温度は比較的高い(例えば、小容量モードで動作しているときと比較して)ため、冷却剤は気体であり得る。プロセスブロック206において、補助極低温剤貯蔵システム60は冷却剤を受け取り続けてもよいことにも留意されたい。すなわち、補助極低温剤貯蔵システム60は、極低温剤貯蔵ユニット58からではなく、リザーバ16から直接冷却剤を受け取ってもよい。
【0041】
したがって、本開示の技術は、オンデマンド冷却をシステムに提供することを可能にする。例えば、上述したように、MRIシステム(例えば、超伝導ユニット12を含む)には、変化する超伝導ユニット12を冷却するための要求に応答して、様々な量の冷却剤(例えば、液体ヘリウム)が供給され得る。例えば、定常状態にある間、システムは、比較的少量の冷却剤を使用して動作し得る(例えば、小容量モードで)。より多くの冷却剤が望まれる場合、超伝導ユニット12を冷却するために、補助極低温剤貯蔵システム60からリザーバ16に追加の冷却剤を供給することができる(例えば、大容量モードで動作することによって)。さらに、上述したように、蒸発した液体冷却剤を補助極低温剤貯蔵システム60に戻すことができる。したがって、本技術はまた、冷却剤が熱サイフォン冷却システム10内で効果的にリサイクルされることを可能にする。このため、(例えば、補助極低温剤貯蔵システム60を含まない冷却システムと比較して)比較的少量の冷却剤が利用され得、これにより、熱サイフォン冷却システム10の重量が低減され得る。さらに、補助極低温剤貯蔵システム60によって供給される冷却剤は比較的低温であるため、受け取った冷却剤の温度が高いシステムと比較して冷却剤を冷却する時間が短くなり得、それにより、補助極低温剤貯蔵システム60から受け取った冷却剤の冷却に使用される時間が短縮され得る。
【0042】
本明細書は、最良の様式を含む本発明を開示するため、およびどのような当業者も、任意の装置またはシステムの作製および使用ならびに任意の組み込まれた方法の実行を含む本発明の実践を可能にするために、実施例を使用している。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言と実質的な差のない等価の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図されている。
【0043】
[実施態様1]
超伝導ユニット(12)と、
前記超伝導ユニット(12)を冷却するために液体冷却剤を貯蔵するように構成されたリザーバ(16)と、
前記リザーバ(16)に流体結合された1つまたは複数の貯蔵タンク(62)を備える補助貯蔵システム(60)であって、前記補助貯蔵システム(60)が、
前記リザーバ(16)に追加の冷却剤を供給し、
前記リザーバ(16)から冷却剤を受け取って貯蔵する
ように構成される、補助貯蔵システム(60)と
を備える冷却システム(67)。
[実施態様2]
前記1つまたは複数の貯蔵タンク(62)が活性炭を備える、実施態様1に記載の冷却システム(67)。
[実施態様3]
前記1つまたは複数の貯蔵タンク(62)がゼオライトを含む、実施態様1に記載の冷却システム(67)。
[実施態様4]
前記補助貯蔵システム(60)は、前記超伝導ユニット(12)がランプアップしているときに前記追加の冷却剤を供給し、前記超伝導ユニット(12)がランプアップを終了した後に前記冷却剤を受け取るように構成される、実施態様1に記載の冷却システム(67)。
[実施態様5]
前記補助貯蔵システム(60)は、前記リザーバ(16)への前記追加の冷却剤の流れを可能にするように構成された熱スイッチ(64)を備え、
前記冷却システム(67)は、前記1つまたは複数の貯蔵タンク(62)に貯蔵されている間に前記追加の冷却剤の温度を変更するように前記熱スイッチ(64)を制御するように構成された制御システム(70)を備える、
実施態様1に記載の冷却システム(67)。
[実施態様6]
前記追加の冷却剤は、液体状態で前記1つまたは複数のタンク(62)内に貯蔵され、
前記制御システム(70)は、前記追加の冷却剤の温度を上昇させ、前記リザーバ(16)に入る前に前記追加の冷却剤を気体状態にするように構成される、
実施態様5に記載の冷却システム(67)。
[実施態様7]
前記追加の冷却剤が前記リザーバ(16)に入る前に、前記追加の冷却剤を前記気体状態から前記液体状態に凝縮するように構成された凝縮ユニット(28)を備える、実施態様6に記載の冷却システム(67)。
[実施態様8]
前記冷却剤はヘリウムを含む、実施態様1に記載の冷却システム(67)。
[実施態様9]
超伝導ユニット(12)と、
前記超伝導ユニット(12)を熱放射から遮蔽するように構成された熱シールド(66)と、
前記超伝導ユニット(12)を冷却するために液体冷却剤を貯蔵するように構成されたリザーバ(16)と、
前記リザーバ(16)に流体結合された1つまたは複数の貯蔵タンク(62)を備える補助貯蔵システム(60)であって、前記補助貯蔵システム(60)が、
前記リザーバ(16)に追加の冷却剤を供給し、
前記リザーバ(16)から冷却剤を受け取って貯蔵する
ように構成される、補助貯蔵システム(60)と
を備える撮像システム。
[実施態様10]
前記1つまたは複数の貯蔵タンク(62)は、第1のタンク(62A)を備え、
前記補助貯蔵システム(60)は、前記第1のタンク(62A)と前記熱シールド(66)とを互いに熱的に結合するように構成された第1の熱スイッチ(64A)を備える、
実施態様9に記載の撮像システム。
[実施態様11]
前記補助貯蔵システム(60)は、前記第1の熱スイッチ(64A)に冷却剤を供給するように構成された第1の吸着部(65A)を備える、実施態様10に記載の撮像システム。
[実施態様12]
前記第1のタンク(62A)は、前記第1の吸着部(65A)から冷却剤を受け取った後に前記追加の冷却剤を前記リザーバ(16)に供給するように構成される、実施態様11に記載の撮像システム。
[実施態様13]
前記超伝導ユニット(12)を冷却するように構成された冷却システム(67)を備え、
前記1つまたは複数の貯蔵タンク(62)は、前記第1のタンク(62A)とは異なる第2のタンク(62B)を備え、
前記補助貯蔵システム(60)は、前記第1の熱スイッチ(64A)とは異なる第2の熱スイッチ(64B)を備え、前記第2の熱スイッチ(64B)は、前記第2のタンク(62B)と前記冷却システム(67)とを互いに熱的に結合するように構成される、実施態様10に記載の撮像システム。
[実施態様14]
第1の動作モードにおいて、
前記第1のタンク(62A)は、前記第1の熱スイッチ(64A)を介して熱シールド(66)に熱的に結合され、
前記第2のタンク(62B)は、前記第2の熱スイッチ(64B)を介して前記冷却システム(67)に熱的に結合されず、
前記第1のタンク(62A)は、前記追加の冷却剤を前記リザーバ(16)に供給し、
第2の動作モードにおいて、
前記第1のタンク(62A)は、前記第1の熱スイッチ(64A)を介して熱シールドに熱的に結合されず、
前記第2のタンク(62B)は、前記第2の熱スイッチ(64B)を介して前記冷却システム(67)に熱的に結合され、
前記第2のタンク(62B)は、前記追加の冷却剤を前記リザーバ(16)に供給する、
実施態様13に記載の撮像システム。
[実施態様15]
前記第2の動作モードでは、前記第1のタンク(62A)は前記リザーバ(16)から前記冷却剤を受け取るように構成される、実施態様14に記載の撮像システム。
[実施態様16]
前記第1の熱スイッチ(64A)および前記第2の熱スイッチ(64B)に通信可能に結合された処理回路(74)を有する制御システム(70)を備え、前記処理回路(74)は、前記第1のタンク(62A)を前記熱シールド(66)に熱的に結合するために前記第1の熱スイッチ(64A)に冷却剤を供給させるように構成されている、実施態様14に記載の撮像システム。
[実施態様17]
補助貯蔵システム(60)の第1の熱スイッチ(64A)に冷却剤を供給するステップであって、前記補助貯蔵システム(60)は、超伝導ユニット(12)を冷却するために使用される液体冷却剤を貯蔵するように構成されたリザーバ(16)に流体結合された1つまたは複数の貯蔵タンク(62)を備え、前記第1の熱スイッチ(64A)に冷却剤を供給するステップは、前記1つまたは複数の貯蔵タンク(62)のうちの第1のタンク(62A)を熱シールド(66)に熱的に結合させる、ステップと、
前記超伝導ユニット(12)のランプアップを実行するステップと、
前記ランプアップを実行することによって引き起こされる温度上昇に応答して、前記第1のタンク(62A)から前記リザーバ(16)に冷却剤を供給するステップと
を含む方法(100、150、200)。
[実施態様18]
高い磁石勾配相互作用(MGI)を伴う1つまたは複数の磁気共鳴画像法(MRI)シーケンスを実行するステップと、
高いMGIを伴う前記1つまたは複数のMRIシーケンスを実行することによって引き起こされる温度上昇に応答して、前記冷却剤を前記第1のタンク(62A)から前記リザーバ(16)に供給するステップと
を含む、実施態様17に記載の方法(100、150、200)。
[実施態様19]
前記温度上昇が、前記熱シールド(66)の温度上昇である、実施態様17に記載の方法(100、150、200)。
[実施態様20]
前記ランプアップを実行する前に、前記補助貯蔵システム(60)の第2の熱スイッチ(64B)から冷却剤を排出するステップを含む、実施態様17に記載の方法(100、150、200)。
【符号の説明】
【0044】
10 熱サイフォン冷却システム
12 超伝導ユニット
14 配管ユニット
16 リザーバ
18 第一部分
20 第二部分
28 凝縮ユニット
30 出口
32 チャネル
34 出口
36 凝縮器
38 出口
40 チャネル
42 液滴
44 出口
46 解放弁
48 出口
50 チャネル
56 接続部
58 極低温剤貯蔵ユニット
60 補助極低温剤貯蔵システム
62 貯蔵タンク
62A 第1の貯蔵タンク
62B 第2の貯蔵タンク
64 熱スイッチ
64A 第1の熱スイッチ
64B 第2の熱スイッチ
65 吸着部
65A 第1の吸着部
65B 第2の吸着部
66 熱シールド
67 冷却システム
68 接続部
70 制御システム
72A 弁
72B 弁
72C 弁
74 処理回路
76 メモリ
78 記憶装置
80 アプリケーション
82 ディスプレイ
84 入力装置
90 弁
92 弁
100 プロセス
102 プロセスブロック
104 プロセスブロック
106 プロセスブロック
108 プロセスブロック
150 プロセス
152 プロセスブロック
154 プロセスブロック
156 プロセスブロック
200 プロセス
202 プロセスブロック
204 プロセスブロック
206 プロセスブロック
【外国語明細書】