(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180740
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】車両用照明装置、および車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/19 20180101AFI20221130BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20221130BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20221130BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20221130BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20221130BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20221130BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20221130BHJP
F21W 103/45 20180101ALN20221130BHJP
F21W 102/30 20180101ALN20221130BHJP
【FI】
F21S43/19
F21S43/14
F21W103:55
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:35
F21W103:00
F21W103:45
F21W102:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087401
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】白石 寛光
(57)【要約】
【課題】結露による機能障害が発生するのを抑制することができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る車両用照明装置は、装着部と、前記装着部の外側面に設けられた複数のバヨネットと、を有するソケットと;前記装着部の、一方の端部に開口する第1の凹部の内部に設けられた発光モジュールと;を具備している。前記発光モジュールは、基板と;前記基板の表面に設けられた配線パターンと;前記配線パターンに電気的に接続された発光素子と;を有している。前記装着部は、前記第1の凹部の底面に開口する少なくとも1つの第2の凹部を有している。車両用照明装置の中心軸に沿った方向から見た場合に、前記第2の凹部は、前記基板の辺と、前記辺に対峙する前記第1の凹部の内壁と、の間に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着部と、前記装着部の外側面に設けられた複数のバヨネットと、を有するソケットと;
前記装着部の、一方の端部に開口する第1の凹部の内部に設けられた発光モジュールと;
を具備し、
前記発光モジュールは、
基板と;
前記基板の表面に設けられた配線パターンと;
前記配線パターンに電気的に接続された発光素子と;
を有し、
前記装着部は、前記第1の凹部の底面に開口する少なくとも1つの第2の凹部を有し、
車両用照明装置の中心軸に沿った方向から見た場合に、前記第2の凹部は、前記基板の辺と、前記辺に対峙する前記第1の凹部の内壁と、の間に設けられている車両用照明装置。
【請求項2】
前記第2の凹部の深さは、1mm以上であり、
前記車両用照明装置の中心軸に沿った方向から見た場合に、前記基板の辺と、前記辺に対峙する前記第1の凹部の内壁と、の間の距離は、1mm以上である請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記車両用照明装置の中心軸に沿った方向から見た場合に、互いに隣接する前記バヨネット同士の間に、前記装着部の外側面と、前記第1の凹部の内壁との間を貫通する切り欠きが設けられている請求項1または2に記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記配線パターン同士の間の隙間は、0.2mm以上である請求項1~3のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
【請求項5】
前記基板の表面に設けられ、前記配線パターンを覆い、ガラスまたは熱硬化性樹脂を含む被覆部をさらに具備した請求項1~4のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
【請求項6】
前記ソケットは、
前記装着部の、前記第1の凹部が開口する側とは反対側に設けられたフランジと;
前記フランジの、前記装着部側とは反対側に設けられた放熱フィンと;
をさらに具備し、
前記装着部、および前記複数のバヨネットの熱伝導率と、前記フランジ、および前記放熱フィンの熱伝導率と、は同じ、
または、
前記装着部、および前記複数のバヨネットの熱伝導率と、前記フランジ、および前記放熱フィンの熱伝導率と、の差が、10W・mK以下である請求項1~5のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載の車両用照明装置と;
前記車両用照明装置が取り付けられる筐体と;
を具備した車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用照明装置、および車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー化や長寿命化などの観点から、フィラメントを備えた車両用照明装置に代えて発光ダイオードを備えた車両用照明装置の普及が進んでいる。また、車両用照明装置は、車室外に設けられる場合がある。車室外に設けられる車両用照明装置は、高温、低温、高湿、振動、衝撃などの過酷な使用環境に耐え得る、高い信頼性を有している必要がある。
【0003】
ここで、例えば、車両用照明装置の点灯と消灯に伴い車両用照明装置の温度が変化する。また、環境の温度が変化することで車両用照明装置の温度が変化する場合もある。車両用照明装置が多湿環境に置かれ、且つ、車両用照明装置の温度が変化すると、結露により、車両用照明装置に水が付着する場合がある。車両用照明装置に水が付着すると、例えば、発光ダイオードが接続された配線パターンなどにおいて短絡やイオンマイグレーションなどが発生するおそれがある。
【0004】
そこで、多湿環境に置かれたとしても、結露による機能障害が発生するのを抑制することができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、結露による機能障害が発生するのを抑制することができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る車両用照明装置は、装着部と、前記装着部の外側面に設けられた複数のバヨネットと、を有するソケットと;前記装着部の、一方の端部に開口する第1の凹部の内部に設けられた発光モジュールと;を具備している。前記発光モジュールは、基板と;前記基板の表面に設けられた配線パターンと;前記配線パターンに電気的に接続された発光素子と;を有している。前記装着部は、前記第1の凹部の底面に開口する少なくとも1つの第2の凹部を有している。車両用照明装置の中心軸に沿った方向から見た場合に、前記第2の凹部は、前記基板の辺と、前記辺に対峙する前記第1の凹部の内壁と、の間に設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、結露による機能障害が発生するのを抑制することができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態に係る車両用照明装置を例示するための模式斜視図である。
【
図2】
図1における車両用照明装置をA方向から見た模式平面図である。
【
図3】凹部11bを例示するための模式拡大平面図である。
【
図4】車両用灯具を例示するための模式部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0011】
(車両用照明装置)
本実施の形態に係る車両用照明装置1は、例えば、自動車や鉄道車両などに設けることができる。自動車に設けられる車両用照明装置1としては、例えば、フロントコンビネーションライト(例えば、デイタイムランニングランプ(DRL:Daytime Running Lamp)、ポジションランプ、ターンシグナルランプなどが適宜組み合わされたもの)や、リアコンビネーションライト(例えば、ストップランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、バックランプ、フォグランプなどが適宜組み合わされたもの)などに用いられるものを例示することができる。ただし、車両用照明装置1の用途は、これらに限定されるわけではない。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る車両用照明装置1を例示するための模式斜視図である。
図2は、
図1における車両用照明装置1をA方向から見た模式平面図である。
なお、A方向は、車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向である。
図1および
図2に示すように、車両用照明装置1には、例えば、ソケット10、発光モジュール20、および給電部30が設けられている。
【0013】
ソケット10は、例えば、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15を有する。
装着部11は、フランジ13の、放熱フィン14が設けられる側とは反対側の面に設けられる。装着部11の外形形状は、柱状とすることができる。装着部11の外形形状は、例えば、円柱状である。装着部11は、例えば、フランジ13側とは反対側の端部に開口する凹部11a(第1の凹部の一例に相当する)を有する。この場合、凹部11aの内径(車両用照明装置1の中心軸1aに直交する方向の長さ)は、10mm以上、20mm以下とすることができる。
【0014】
バヨネット12は、例えば、装着部11の外側面に設けられる。バヨネット12は、車両用照明装置1の外側に向けて突出している。バヨネット12は、フランジ13と対向している。バヨネット12は、複数設けることができる。バヨネット12は、車両用照明装置1を、例えば、後述する車両用灯具100の筐体101に装着する際に用いられる。バヨネット12は、ツイストロックに用いることができる。
【0015】
フランジ13は、装着部11の、凹部11aが開口する側とは反対側に設けられている。フランジ13は、例えば、板状を呈している。フランジ13は、例えば、円板状を呈している。フランジ13の外側面は、バヨネット12の外側面よりも車両用照明装置1の外方に位置している。
【0016】
放熱フィン14は、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられる。放熱フィン14は、少なくとも1つ設けることができる。例えば、
図1に例示をしたソケット10には複数の放熱フィン14が設けられている。複数の放熱フィン14は、所定の方向に並べて設けることができる。
図1に例示をした放熱フィン14は、柱状を呈している。
【0017】
コネクタホルダ15は、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられている。コネクタホルダ15は、放熱フィン14と並べて設けることができる。コネクタホルダ15は、フランジ13の周縁近傍に設けることができる。コネクタホルダ15は、筒状を呈し、内部にシール部材105aを有するコネクタ105が挿入される。
【0018】
ソケット10は、発光モジュール20、および給電部30を保持する機能と、発光モジュール20において発生した熱を外部に伝える機能を有する。そのため、ソケット10は、熱伝導率の高い材料から形成するのが好ましい。例えば、ソケット10は、アルミニウム合金などの金属から形成することができる。この場合、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15は、ダイカスト法などを用いて、一体成形することができる。
【0019】
また、近年においては、ソケット10は、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができ、且つ、軽量であることが望まれている。そのため、ソケット10は、高熱伝導性樹脂から形成することが好ましい。高熱伝導性樹脂は、例えば、樹脂と、無機材料を用いたフィラーと、を含む。高熱伝導性樹脂は、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)やナイロン等の樹脂に、炭素や酸化アルミニウムなどを用いたフィラーを混合させたものである。
【0020】
高熱伝導性樹脂を含み、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15が一体に成形されたソケット10とすれば、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができる。また、ソケット10の重量を軽くすることができる。この場合、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15は、射出成形法などを用いて、一体成形することができる。また、インサート成形法などを用いて、ソケット10と給電部30を一体成形することもできる。
【0021】
なお、例えば、装着部11およびバヨネット12の材料と、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15の材料とが異なっていてもよい。例えば、高熱伝導性樹脂から形成された装着部11およびバヨネット12と、金属から形成されたフランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15とを接合することもできる。
【0022】
発光モジュール20は、装着部11の凹部11aの内部に設けられている。
発光モジュール20は、例えば、基板21、発光素子22、枠部23、封止部24、および素子25を有する。
基板21は、例えば、凹部11aの底面に接着される。この場合、接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。例えば、接着剤は、無機材料を用いたフィラーが混合された接着剤とすることができる。接着剤の熱伝導率は、例えば、0.5W/(m・K)以上、10W/(m・K)以下である。
【0023】
基板21は、板状を呈している。基板21の平面形状は、例えば、四角形である。基板21は、例えば、セラミックス(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなど)などの無機材料、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料などから形成することができる。また、基板21は、金属板の表面を絶縁性材料で被覆したメタルコア基板などであってもよい。発光素子22の発熱量が多い場合には、放熱の観点から熱伝導率の高い材料を用いて基板21を形成することが好ましい。熱伝導率の高い材料としては、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、高熱伝導性樹脂、メタルコア基板などを例示することができる。基板21は、単層構造を有するものであってもよいし、多層構造を有するものであってもよい。
【0024】
また、基板21の表面には、配線パターン21aが設けられている。配線パターン21aは、例えば、銀を主成分とする材料や、銅を主成分とする材料などから形成される。
【0025】
また、基板21の表面に設けられ、配線パターン21aや、後述する膜状の抵抗器などを覆う被覆部21bを設けることもできる。被覆部21bは、例えば、ガラスまたは熱硬化性樹脂を含むことができる。
【0026】
発光素子22は、基板21の上(ソケット10側とは反対側)に設けられている。発光素子22は、配線パターン21aに電気的に接続される。発光素子22は、少なくとも1つ設けることができる。複数の発光素子22を設ける場合には、複数の発光素子22を互いに直列接続することができる。
発光素子22は、例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオードなどとすることができる。
【0027】
発光素子22は、例えば、チップ状の発光素子とすることができる。チップ状の発光素子22とすれば、発光素子22が設けられる領域を小さくすることができるので、基板21の小型化、ひいては装着部11の外径寸法の小型化を図ることができる。チップ状の発光素子22は、COB(Chip On Board)により配線パターン21aに実装することができる。チップ状の発光素子22は、例えば、上部電極型の発光素子、上下電極型の発光素子、フリップチップ型の発光素子などとすることができる。上部電極型の発光素子の電極、または上下電極型の発光素子の上部電極は、配線により配線パターン21aに電気的に接続することができる。この場合、配線は、例えば、ワイヤーボンディング法により接続することができる。フリップチップ型の発光素子22は、配線パターン21aに直接実装することができる。
【0028】
なお、発光素子22は、例えば、表面実装型の発光素子としたり、砲弾型などのリード線を有する発光素子としたりすることもできる。この場合、発光モジュール20の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を考慮すると、チップ状の発光素子とすることが好ましい。一方、表面実装型の発光素子や砲弾型の発光素子とすれば、枠部23、および封止部24などを省くことができる。
【0029】
発光素子22の数、大きさ、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく、車両用照明装置1の大きさや用途などに応じて適宜変更することができる。
【0030】
枠部23は、基板21の上に設けられている。枠部23は、枠状を呈し、基板21に接着されている。枠部23は、発光素子22を囲んでいる。枠部23は、例えば、樹脂から形成される。樹脂は、例えば、PBT(polybutylene terephthalate)、PC(polycarbonate)、PET、ナイロン(Nylon)、PP(polypropylene)、PE(polyethylene)、PS(polystyrene)などの熱可塑性樹脂とすることができる。
【0031】
枠部23は、封止部24の形成範囲を規定する機能と、リフレクタの機能とを有することができる。そのため、枠部23は、反射率を向上させるために、酸化チタンの粒子などを含んでいたり、白色の樹脂を含んでいたりすることができる。
【0032】
封止部24は、枠部23の内側に設けられる。封止部24は、枠部23により囲まれた領域を覆うように設けられる。封止部24は、発光素子22を覆うように設けられる。封止部24は、透光性を有する樹脂を含んでいる。封止部24は、例えば、枠部23の内側に樹脂を充填することで形成される。樹脂の充填は、例えば、ディスペンサなどを用いて行われる。充填する樹脂は、例えば、シリコーン樹脂などである。
【0033】
また、封止部24には蛍光体を含めることができる。蛍光体は、例えば、YAG系蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体)などとすることができる。ただし、蛍光体の種類は、車両用照明装置1の用途などに応じて所定の発光色が得られるように適宜変更することができる。
【0034】
素子25は、発光素子22を有する発光回路を構成するために用いられる受動素子または能動素子とすることができる。素子25は、例えば、枠部23の周辺に設けられ、配線パターン21aに電気的に接続される。素子25は、少なくとも1つ設けることができる。
【0035】
素子25は、例えば、抵抗25a、および制御素子25bなどとすることができる。
ただし、素子25の種類は例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22を有する発光回路の構成に応じて適宜変更することができる。例えば、素子25は、前述したものの他に、コンデンサ、正特性サーミスタ、負特性サーミスタ、インダクタ、サージアブソーバ、バリスタ、FETやバイポーラトランジスタなどのトランジスタ、集積回路、演算素子などであってもよい。
【0036】
抵抗25aは、基板21の上に設けられている。抵抗25aは、配線パターン21aに電気的に接続される。抵抗25aは、例えば、表面実装型の抵抗器、リード線を有する抵抗器(酸化金属皮膜抵抗器)、スクリーン印刷法などを用いて形成された膜状の抵抗器などとすることができる。なお、
図1に例示をした抵抗25aは、表面実装型の抵抗器である。
【0037】
膜状の抵抗器の材料は、例えば、酸化ルテニウム(RuO2)である。膜状の抵抗器は、例えば、スクリーン印刷法および焼成法を用いて形成される。抵抗25aが膜状の抵抗器であれば、抵抗25aと基板21との接触面積を大きくすることができるので、放熱性を向上させることができる。また、複数の抵抗25aを一度に形成することができる。そのため、生産性を向上させることができる。また、複数の抵抗25aにおける抵抗値のばらつきを抑制することができる。
一方、抵抗25aが、表面実装型の抵抗器、またはリード線を有する抵抗器であれば、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0038】
ここで、発光素子22の順方向電圧特性には、ばらつきがあるので、発光回路のアノード端子とグランド端子との間の印加電圧を一定にすると、発光素子22から照射される光の明るさ(光束、輝度、光度、照度)にばらつきが生じる。そのため、発光素子22から照射される光の明るさが所定の範囲内に収まるように、発光素子22に直列接続された抵抗25aにより、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。この場合、抵抗25aの抵抗値を変化させることで、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。
【0039】
抵抗25aが表面実装型の抵抗器やリード線を有する抵抗器などの場合には、発光素子22の順方向電圧特性に応じて適切な抵抗値を有する抵抗25aを選択する。抵抗25aが膜状の抵抗器の場合には、抵抗25aの一部を除去すれば、抵抗値を増加させることができる。例えば、膜状の抵抗器にレーザ光を照射すれば、膜状の抵抗器の一部を容易に除去することができる。なお、抵抗25aの数、大きさなどは、例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22の数や仕様などに応じて適宜変更することができる。
【0040】
制御素子25bは、基板21の上に設けられている。制御素子25bは、配線パターン21aに電気的に接続される。制御素子25bは、例えば、逆方向電圧が発光素子22に印加されないようにするため、および、逆方向からのパルスノイズが発光素子22に印加されないようにするために設けられる。制御素子25bは、例えば、表面実装型のダイオードや、リード線を有するダイオードなどである。
図1に例示をした制御素子25bは、表面実装型のダイオードである。
【0041】
なお、以上においては、素子25が、基板21の、ソケット10側とは反対側の面に設けられる場合を例示したが、素子25は、基板21の両面の少なくともいずれかに設けることができる。
【0042】
また、必要に応じて、封止部24の上に光学要素を設けることができる。光学要素は、例えば、凸レンズ、凹レンズ、導光体などである。
【0043】
給電部30は、例えば、複数の給電端子31、および保持部32を有する。
給電端子31は、棒状体とすることができる。給電端子31の一方の端部は、凹部11aの底面から突出している。給電端子31は、例えば、所定の方向に並べて設けられる。給電端子31の一方の端部は、基板21に設けられた配線パターン21aと半田付けされる。給電端子31の他方の端部は、コネクタホルダ15の孔の内部に露出している。コネクタホルダ15の孔の内部に露出する給電端子31には、コネクタ105が嵌め合わされる。給電端子31は、例えば、銅合金などの金属から形成される。なお、給電端子31の形状、配置、材料などは例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0044】
前述したように、ソケット10は熱伝導率の高い材料から形成することが好ましい。ところが、熱伝導率の高い材料は導電性を有している場合がある。例えば、アルミニウム合金などの金属や、炭素からなるフィラーを含む高熱伝導性樹脂などは、導電性を有している。そのため、保持部32は、給電端子31と、導電性を有するソケット10との間を絶縁するために設けられている。また、保持部32は、給電端子31を保持する機能をも有する。なお、ソケット10が絶縁性を有する高熱伝導性樹脂(例えば、酸化アルミニウムからなるフィラーを含む高熱伝導性樹脂など)から形成される場合には、保持部32を省くことができる。この場合、ソケット10が給電端子31を保持する。保持部32は、例えば、絶縁性を有する樹脂から形成される。保持部32は、例えば、ソケット10に設けられた孔に圧入したり、孔の内壁に接着したりすることができる。
【0045】
また、発光モジュール20(基板21)とソケット10との間に伝熱部を設けることができる。例えば、伝熱部は、熱伝導率の高い接着剤を用いて凹部11aの底面に接着したり、熱伝導グリス(放熱グリス)を含む層を介して凹部11aの底面に取り付けたり、インサート成形法を用いて凹部11aの底面に埋め込んだりすることができる。
【0046】
例えば、伝熱部は、板状を呈し、アルミニウム合金などの熱伝導率の高い材料から形成される。なお、ソケット10が金属から形成されていたり、発光モジュール20において発生する熱が少なかったりする場合には、伝熱部を省くことができる。
【0047】
ここで、車両用照明装置1は、車室外に設けられる場合がある。例えば、フロントコンビネーションライトや、リアコンビネーションライトなどに用いられる車両用照明装置1は、車室外に設けられる。車室外に設けられる車両用照明装置1は、環境の温度変化、エンジンなどの他の部品からの熱干渉、走行に伴う振動や衝撃などの過酷な使用環境に耐え得る、高い信頼性を有している必要がある。
【0048】
この場合、例えば、発光素子22の点灯と消灯に伴いソケット10の温度が変化する。また、環境の温度が変化することでソケット10の温度が変化する場合もある。車両用照明装置1が多湿環境に置かれ、且つ、ソケット10の温度が変化すると、結露により、ソケット10に水が付着する場合がある。前述したように、ソケット10(装着部11)の凹部11aの内部には、発光モジュール20が設けられている。そのため、結露が生じた際に、基板21、発光素子22、素子25、および配線パターン21aなどに水が付着する場合がある。これらの要素に水が付着すると、短絡やイオンマイグレーションなどが発生するおそれがある。
【0049】
そこで、ソケット10の装着部11には、水分を捕捉する凹部11b(第2の凹部の一例に相当する)が設けられている。
例えば、装着部11は、凹部11aの底面に開口する少なくとも1つの凹部11bを有している。
図2に示すように、車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向(
図1におけるA方向)から見た場合に、凹部11bは、基板21の辺と、当該辺に対峙する凹部11aの内壁との間に設けることができる。凹部11bは、基板21の複数の辺のそれぞれに対して設けることもできるし、基板21の複数の辺のいずれかに対して設けることもできる。また、凹部11bは、基板21の1つの辺に対して、少なくとも1つ設けることができる。
図2に例示をしたソケット10の場合には、基板21の4つの辺のそれぞれに対して、凹部11bが1つ設けられている。
【0050】
また、後述する車両用灯具100の筐体101に、車両用照明装置1を取り付けた際に、基板21の、重力方向下側に凹部11aが位置するようにすることが好ましい。
例えば、車両用照明装置1が車体のルーフなどに設けられる場合には、車両用照明装置1の中心軸1aが略鉛直となる。この様な場合には、凹部11bが、基板21の周辺に位置していればよい。結露により、凹部11aの内部に発生した水は、重力により、基板21の重力方向下側に位置する凹部11bの内部に導かれる。そのため、水が、基板21、発光素子22、素子25、および配線パターン21aなどに付着するのを抑制することができる。
【0051】
例えば、車両用照明装置1がフロントコンビネーションライトやリアコンビネーションライトなどに用いられる場合には、車両用照明装置1の中心軸1aが略水平となる。この様な場合には、少なくとも1つの凹部11bが、基板21の重力方向下側に位置していればよい。結露により、凹部11aの内部に発生した水は、重力により、基板21の重力方向下側に位置する凹部11bの内部に導かれる。そのため、水が、基板21、発光素子22、素子25、および配線パターン21aなどに付着するのを抑制することができる。
【0052】
以上に説明した様に、基板21の周辺に凹部11bが設けられていれば、結露により発生した水を捕捉することができるので、配線パターン21aなどにおいて、短絡やイオンマイグレーションなどが発生するのを抑制することができる。すなわち、結露による機能障害が発生するのを抑制することができる。
【0053】
図3は、凹部11bを例示するための模式拡大平面図である。
なお、
図3は、
図2におけるB部の模式拡大図である。
図3に示すように、車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向から見た場合に、基板21の辺と、当該辺に対峙する凹部11bの内壁との間の距離L(mm)は、1mm以上とすることが好ましい。この様にすれば、水の捕捉が容易となる。そのため、結露による機能障害が発生するのを効果的に抑制することができる。
【0054】
また、凹部11bの深さ(凹部11aの底面と、凹部11bの底面との間の距離)は、1mm以上とすることが好ましい。この様にすれば、捕捉された水が溢れるのを抑制することができる。そのため、結露による機能障害が発生するのを効果的に抑制することができる。
【0055】
また、
図1に示すように、装着部11の外側面と、凹部11aの内壁(装着部11の内側面)との間を貫通する切り欠き11cを設けることができる。切り欠き11cは、少なくとも1つ設けることができる。例えば、
図1に示すように、車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向から見た場合に、互いに隣接するバヨネット12同士の間に切り欠き11cを設けることができる。切り欠き11cが設けられていれば、結露により、凹部11aの内部に水が発生しても、切り欠き11cを介して、発生した水をソケット10の外部に排出することができる。そのため、結露による機能障害が発生するのを抑制することができる。
【0056】
また、後述するように、装着部11のバヨネット12が設けられた部分は、車両用灯具100の筐体101の内部に設けられ、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15は、筐体101の外部に設けられる。この場合、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15が、同じ材料を用いて一体成形されていれば、装着部11、およびバヨネット12の熱伝導率と、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15の熱伝導率とが同じとなる。そのため、ソケット10の、筐体101の内部に設けられた部分の温度と、ソケット10の、筐体101の外部に設けられた部分の温度と、の差を小さくすることができる。そのため、結露の発生を抑制することができる。
【0057】
なお、ソケット10の、筐体101の内部に設けられた部分の材料と、ソケット10の、筐体101の外部に設けられた部分の材料とが異なる場合がある。例えば、前述したように、装着部11およびバヨネット12の材料と、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15の材料とが異なる場合がある。このような場合には、装着部11およびバヨネット12の熱伝導率と、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15の熱伝導率との差が10W・mK以下となるようにすることが好ましい。このようにすれば、ソケット10の、筐体101の内部に設けられた部分の温度と、ソケット10の、筐体101の外部に設けられた部分の温度と、の差を小さくすることができる。そのため、結露の発生を抑制することができる。
【0058】
また、基板21の表面に設けられた配線パターン21a同士の間の隙間は、0.2mm以上とすることが好ましい。このようにすれば、仮に、配線パターン21aに水が付着したとしても短絡やイオンマイグレーションなどが発生するのを抑制することができる。
【0059】
また、配線パターン21aや、膜状の抵抗器などを覆う被覆部21bが設けられていれば、結露による水が発生したとしても、配線パターン21aや、膜状の抵抗器などに水が付着するのを抑制することができる。
【0060】
(車両用灯具)
次に、車両用灯具100について例示する。
なお、以下においては、一例として、車両用灯具100が自動車に設けられるフロントコンビネーションライトである場合を説明する。ただし、車両用灯具100は、自動車に設けられるフロントコンビネーションライトに限定されるわけではない。車両用灯具100は、自動車や鉄道車両などに設けられる車両用灯具であればよい。
【0061】
図4は、車両用灯具100を例示するための模式部分断面図である。
図4に示すように、車両用灯具100は、例えば、車両用照明装置1、筐体101、カバー102、光学要素103、シール部材104、およびコネクタ105を有する。
【0062】
筐体101には、車両用照明装置1が取り付けられる。筐体101は、装着部11を保持する。筐体101は、一方の端部側が開口した箱状を呈している。筐体101は、例えば、光を透過しない樹脂などから形成される。筐体101の底面には、装着部11の、バヨネット12が設けられた部分が挿入される取付孔101aが設けられる。取付孔101aの周縁には、装着部11に設けられたバヨネット12が挿入される凹部が設けられる。なお、筐体101に取付孔101aが直接設けられる場合を例示したが、取付孔101aを有する取付部材が筐体101に設けられていてもよい。
【0063】
車両用照明装置1を車両用灯具100に取り付ける際には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分を取付孔101aに挿入し、車両用照明装置1を回転させる。すると、例えば、取付孔101aの周縁に設けられた嵌合部にバヨネット12が保持される。この様な取り付け方法は、ツイストロックと呼ばれている。
【0064】
カバー102は、筐体101の開口を塞ぐように設けられる。カバー102は、透光性樹脂などから形成される。カバー102は、レンズなどの機能を有することもできる。
【0065】
光学要素103には、車両用照明装置1から出射した光が入射する。光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光の反射、拡散、導光、集光、所定の配光パターンの形成などを行う。例えば、
図4に例示をした光学要素103はリフレクタである。この場合、光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光を反射して、所定の配光パターンを形成する。
【0066】
シール部材104は、フランジ13と筐体101の間に設けられる。シール部材104は、環状を呈し、ゴムやシリコーン樹脂などの弾性を有する材料から形成される。
【0067】
車両用照明装置1が車両用灯具100に取り付けられた際には、シール部材104は、フランジ13と筐体101との間に挟まれる。そのため、シール部材104により、筐体101の内部空間を密閉することができる。また、シール部材104の弾性力により、バヨネット12が筐体101に押し付けられる。そのため、車両用照明装置1が、筐体101から脱離するのを抑制することができる。
【0068】
コネクタ105は、コネクタホルダ15の内部に露出している複数の給電端子31の端部に嵌め合わされる。コネクタ105には、図示しない電源などが電気的に接続される。そのため、コネクタ105を複数の給電端子31の端部に嵌め合わせることで、図示しない電源などと、発光素子22とを電気的に接続することができる。
【0069】
また、コネクタ105には、シール部材105aが設けられている。シール部材105aを有するコネクタ105が、コネクタホルダ15の内部に挿入された際には、コネクタホルダ15の内部が水密となるように密閉される。
【0070】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 車両用照明装置、10 ソケット、11 装着部、11a 凹部、11b 凹部、11c 切り欠き、20 発光モジュール、21 基板、21a 配線パターン、21b 被覆部、22 発光素子、100 車両用灯具、101 筐体