(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180743
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】車両用照明装置、および車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/27 20180101AFI20221130BHJP
F21S 43/19 20180101ALI20221130BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20221130BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20221130BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20221130BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20221130BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20221130BHJP
F21W 103/45 20180101ALN20221130BHJP
F21W 102/30 20180101ALN20221130BHJP
【FI】
F21S43/27
F21S43/19
F21W103:55
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:35
F21W103:00
F21W103:45
F21W102:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087405
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】上野 岬
(57)【要約】
【課題】光学要素が枠部から剥離するのを抑制することができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る車両用照明装置は、ソケットと;前記ソケットの一方の端部側に設けられた基板と;前記基板の上に設けられた少なくとも1つの発光素子と;前記基板の上に設けられ、前記発光素子を囲む枠部と;前記枠部の内側に設けられ、前記発光素子を覆う封止部と;前記封止部および前記枠部の上に設けられた光学要素と;前記枠部の上面と、前記光学要素の、前記枠部の上面に対向する面と、の間に設けられた第1の接合層と;を具備している。前記第1の接合層は、第1の厚みを有する部分と、前記第1の厚みよりも厚い、第2の厚みを有する部分と、を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケットと;
前記ソケットの一方の端部側に設けられた基板と;
前記基板の上に設けられた少なくとも1つの発光素子と;
前記基板の上に設けられ、前記発光素子を囲む枠部と;
前記枠部の内側に設けられ、前記発光素子を覆う封止部と;
前記封止部および前記枠部の上に設けられた光学要素と;
前記枠部の上面と、前記光学要素の、前記枠部の上面に対向する面と、の間に設けられた第1の接合層と;
を具備し、
前記第1の接合層は、第1の厚みを有する部分と、前記第1の厚みよりも厚い、第2の厚みを有する部分と、を有する車両用照明装置。
【請求項2】
前記枠部の下面と、前記基板と、の間に設けられた第2の接合層をさらに具備し、
前記第2の接合層は、第3の厚みを有する部分と、前記第3の厚みよりも厚い、第4の厚みを有する部分と、を有する請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記第1の接合層、および、前記第2の接合層の少なくともいずれかは、前記封止部と同じ材料を含んでいる請求項2記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記枠部の上面、および前記枠部の下面の少なくともいずれかは、前記基板の面に対して傾斜している請求項1~3のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
【請求項5】
前記枠部の上面、および前記枠部の下面の少なくともいずれかには、複数の凹部が設けられている請求項1~4のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
【請求項6】
前記光学要素の、前記枠部の上面に対向する面には、複数の凸部、および複数の凹部の少なくともいずれかが設けられている請求項1~5のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載の車両用照明装置と;
前記車両用照明装置が取り付けられる筐体と;
を具備した車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用照明装置、および車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー化や長寿命化などの観点から、フィラメントを備えた車両用照明装置に代えて発光ダイオードを備えた車両用照明装置の普及が進んでいる。
また、車両用照明装置の小型化を図るために、チップ状の発光ダイオードが用いられる場合がある。チップ状の発光ダイオードは、基板の上に実装される。基板の上には、チップ状の発光ダイオードを囲む枠部と、枠部の内側に設けられ、チップ状の発光ダイオードを覆う封止部と、が設けられる。また、光の取り出し効率を高めたり、所望の配光特性を得やすくしたりするために、封止部の上にレンズなどの光学要素を設ける場合がある。
【0003】
ここで、光学要素の、枠部の上面に対向する部分に平坦な面が設けられる場合がある。光学要素の平坦な面と、枠部の上面とは、接着剤、または封止部の材料を用いて接合される。例えば、光学要素を、硬化前の封止部の材料に押し付けた際に、封止部の材料が枠部の外側に押し出される。そのため、光学要素の平坦な面と、枠部の上面との間に、封止部の材料を含む層が形成される。そして、封止部の材料を含む層が硬化することで、光学要素の平坦な面が、枠部の上面に接合される。
すなわち、光学要素の平坦な面と、枠部の上面との間には、接着剤または封止部の材料を含む接合層が形成される。
【0004】
ところが、枠部の上面と、光学要素の平坦な面とは、略平行となっているので、これらの間に形成される接合層の厚みが薄くなりやすい。発光ダイオードの点灯と消灯に伴い、接合層には熱応力が繰り返し加わるが、接合層の厚みが薄くなると熱応力の緩和が難しくなる。そのため、光学要素が枠部から剥離し易くなる。
そこで、光学要素が枠部から剥離するのを抑制することができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、光学要素が枠部から剥離するのを抑制することができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る車両用照明装置は、ソケットと;前記ソケットの一方の端部側に設けられた基板と;前記基板の上に設けられた少なくとも1つの発光素子と;前記基板の上に設けられ、前記発光素子を囲む枠部と;前記枠部の内側に設けられ、前記発光素子を覆う封止部と;前記封止部および前記枠部の上に設けられた光学要素と;前記枠部の上面と、前記光学要素の、前記枠部の上面に対向する面と、の間に設けられた第1の接合層と;を具備している。前記第1の接合層は、第1の厚みを有する部分と、前記第1の厚みよりも厚い、第2の厚みを有する部分と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、光学要素が枠部から剥離するのを抑制することができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態に係る車両用照明装置を例示するための模式斜視図である。
【
図2】
図1における車両用照明装置のA-A線断面図である。
【
図3】光学要素を例示するための模式側面図である。
【
図4】(a)は、光学要素と、比較例に係る枠部との接合を例示するための模式部分断面図である。(b)は、(a)におけるB部の模式拡大図である。(c)は、(a)におけるB部において発生した剥離を例示するための模式拡大図である。
【
図5】光学要素と、枠部との接合を例示するための模式部分断面図である。
【
図6】基板と、枠部との接合を例示するための模式部分断面図である。
【
図7】(a)、(b)は、他の実施形態に係る枠部を例示するための模式部分断面図である。
【
図8】(a)、(b)は、他の実施形態に係る光学要素を例示するための模式断面図である。
【
図9】(a)、(b)は、他の実施形態に係る光学要素を例示するための模式断面図である。
【
図10】車両用灯具を例示するための模式部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0011】
(車両用照明装置)
本実施の形態に係る車両用照明装置1は、例えば、自動車や鉄道車両などに設けることができる。自動車に設けられる車両用照明装置1としては、例えば、フロントコンビネーションライト(例えば、デイタイムランニングランプ(DRL:Daytime Running Lamp)、ポジションランプ、ターンシグナルランプなどが適宜組み合わされたもの)や、リアコンビネーションライト(例えば、ストップランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、バックランプ、フォグランプなどが適宜組み合わされたもの)などに用いられるものを例示することができる。ただし、車両用照明装置1の用途は、これらに限定されるわけではない。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る車両用照明装置1を例示するための模式斜視図である。
図2は、
図1における車両用照明装置1のA-A線断面図である。
図1および
図2に示すように、車両用照明装置1には、例えば、ソケット10、発光モジュール20、給電部30、および伝熱部40が設けられている。
【0013】
ソケット10は、例えば、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15を有する。
装着部11は、フランジ13の、放熱フィン14が設けられる側とは反対側の面に設けられる。装着部11の外形形状は、柱状とすることができる。装着部11の外形形状は、例えば、円柱状である。装着部11は、例えば、フランジ13側とは反対側の端部に開口する凹部11aを有する。
【0014】
バヨネット12は、例えば、装着部11の外側面に設けられる。バヨネット12は、車両用照明装置1の外側に向けて突出している。バヨネット12は、フランジ13と対向している。バヨネット12は、複数設けることができる。バヨネット12は、車両用照明装置1を、例えば、後述する車両用灯具100の筐体101に装着する際に用いられる。バヨネット12は、ツイストロックに用いることができる。
【0015】
フランジ13は、例えば、板状を呈している。フランジ13は、例えば、円板状を呈している。フランジ13の外側面は、バヨネット12の外側面よりも車両用照明装置1の外方に位置している。
【0016】
放熱フィン14は、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられる。放熱フィン14は、少なくとも1つ設けることができる。例えば、
図1に例示をしたソケット10には複数の放熱フィン14が設けられている。複数の放熱フィン14は、所定の方向に並べて設けることができる。放熱フィン14は、板状を呈している。
【0017】
コネクタホルダ15は、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられている。コネクタホルダ15は、放熱フィン14と並べて設けることができる。コネクタホルダ15は、フランジ13の周縁近傍に設けることができる。コネクタホルダ15は、筒状を呈し、内部にシール部材105aを有するコネクタ105が挿入される。
【0018】
ソケット10は、発光モジュール20、および給電部30を保持する機能と、発光モジュール20において発生した熱を外部に伝える機能を有する。そのため、ソケット10は、熱伝導率の高い材料から形成するのが好ましい。例えば、ソケット10は、アルミニウム合金などの金属から形成することができる。
【0019】
また、近年においては、ソケット10は、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができ、且つ、軽量であることが望まれている。そのため、ソケット10は、高熱伝導性樹脂から形成することが好ましい。高熱伝導性樹脂は、例えば、樹脂と、無機材料を用いたフィラーと、を含む。高熱伝導性樹脂は、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)やナイロン等の樹脂に、炭素や酸化アルミニウムなどを用いたフィラーを混合させたものである。
【0020】
高熱伝導性樹脂を含み、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15が一体に成形されたソケット10とすれば、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができる。また、ソケット10の重量を軽くすることができる。この場合、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15は、射出成形法などを用いて、一体成形することができる。また、インサート成形法などを用いて、ソケット10と給電部30を一体成形することもできる。
【0021】
給電部30は、例えば、給電端子31、および保持部32を有する。
給電端子31は、棒状体とすることができる。給電端子31の一方の端部は、凹部11aの底面11a1から突出している。給電端子31は、例えば、所定の方向に並べて設けられる。給電端子31の一方の端部は、基板21に設けられた配線パターン21aと半田付けされる。給電端子31の他方の端部は、コネクタホルダ15の孔の内部に露出している。コネクタホルダ15の孔の内部に露出する給電端子31には、コネクタ105が嵌め合わされる。給電端子31は、例えば、銅合金などの金属から形成される。なお、給電端子31の形状、配置、材料などは例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0022】
前述したように、ソケット10は熱伝導率の高い材料から形成することが好ましい。ところが、熱伝導率の高い材料は導電性を有している場合がある。例えば、アルミニウム合金などの金属や、炭素からなるフィラーを含む高熱伝導性樹脂などは、導電性を有している。そのため、保持部32は、給電端子31と、導電性を有するソケット10との間を絶縁するために設けられている。また、保持部32は、給電端子31を保持する機能をも有する。なお、ソケット10が絶縁性を有する高熱伝導性樹脂(例えば、酸化アルミニウムからなるフィラーを含む高熱伝導性樹脂など)から形成される場合には、保持部32を省くことができる。この場合、ソケット10が給電端子31を保持する。保持部32は、例えば、絶縁性を有する樹脂から形成される。保持部32は、例えば、ソケット10に設けられた孔10aに圧入したり、孔10aの内壁に接着したりすることができる。
【0023】
伝熱部40は、例えば、凹部11aの底面11a1に開口する凹部11cの内部に設けることができる。伝熱部40は、例えば、凹部11cの内部に接着される。伝熱部40を接着する接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。例えば、接着剤は、無機材料を用いたフィラーが混合された接着剤とすることができる。接着剤の熱伝導率は、例えば、0.5W/(m・K)以上、10W/(m・K)以下である。
【0024】
また、伝熱部40は、熱伝導グリス(放熱グリス)を含む層を介して、凹部11cの内部に設けることもできる。熱伝導グリスは、例えば、変性シリコーンに、無機材料を用いたフィラーが混合されたものである。熱伝導グリスの熱伝導率は、例えば、1W/(m・K)以上、5W/(m・K)以下である。
【0025】
なお、伝熱部40は、例えば、凹部11aの底面11a1に接着したり、凹部11aの底面11a1に熱伝導グリスを含む層を介して取り付けたりすることもできる。伝熱部40は、例えば、インサート成形法を用いて、凹部11aの底面11a1に埋め込むこともできる。
【0026】
伝熱部40は、発光モジュール20において発生した熱が、ソケット10に伝わりやすくするために設けられる。そのため、伝熱部40は、熱伝導率の高い材料から形成される。伝熱部40は、板状を呈し、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などの金属から形成される。
なお、ソケット10が金属から形成されていたり、発光モジュール20において発生する熱が少なかったりする場合には、伝熱部40を省くこともできる。伝熱部40が省かれる場合には、例えば、発光モジュール20を凹部11aの底面11a1などに接着することができる。
【0027】
発光モジュール20(基板21)は、ソケット10の一方の端部側に設けられている。
図1および
図2に示すように、発光モジュール20は、例えば、基板21、発光素子22、枠部23、封止部24、素子25、および光学要素26を有する。
基板21は、例えば、伝熱部40の上に接着される。この場合、接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。例えば、接着剤は、前述した、伝熱部40とソケット10とを接着する接着剤と同じとすることができる。
【0028】
基板21は、板状を呈している。基板21の平面形状は、例えば、四角形である。基板21は、例えば、セラミックス(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなど)などの無機材料、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料などから形成することができる。また、基板21は、金属板の表面を絶縁性材料で被覆したメタルコア基板などであってもよい。発光素子22の発熱量が多い場合には、放熱の観点から熱伝導率の高い材料を用いて基板21を形成することが好ましい。熱伝導率の高い材料としては、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、高熱伝導性樹脂、メタルコア基板などを例示することができる。基板21は、単層構造を有するものであってもよいし、多層構造を有するものであってもよい。
【0029】
また、基板21の表面には、配線パターン21aが設けられている。配線パターン21aは、例えば、銀を主成分とする材料や、銅を主成分とする材料などから形成される。
【0030】
また、配線パターン21aや、後述する膜状の抵抗器などを覆う被覆部を設けることもできる。被覆部は、例えば、ガラス材料を含むことができる。
【0031】
発光素子22は、基板21の上(ソケット10側とは反対側)に設けられている。発光素子22は、配線パターン21aと電気的に接続される。発光素子22は、少なくとも1つ設けることができる。複数の発光素子22を設ける場合には、複数の発光素子22を互いに直列接続することができる。
発光素子22は、例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオードなどとすることができる。
【0032】
発光素子22は、例えば、チップ状の発光素子とすることができる。チップ状の発光素子22とすれば、発光素子22が設けられる領域を小さくすることができるので、基板21の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を図ることができる。チップ状の発光素子22は、COB(Chip On Board)により配線パターン21aに実装することができる。チップ状の発光素子22は、例えば、上部電極型の発光素子、上下電極型の発光素子、フリップチップ型の発光素子などとすることができる。
図1および
図2に例示をした発光素子22は、上下電極型の発光素子である。上部電極型の発光素子の電極、または上下電極型の発光素子の上部電極は、配線21bにより配線パターン21aと電気的に接続することができる。この場合、配線21bは、例えば、ワイヤーボンディング法により接続することができる。フリップチップ型の発光素子22は、配線パターン21aに直接実装することができる。
【0033】
発光素子22の数、大きさ、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく、車両用照明装置1の大きさや用途などに応じて適宜変更することができる。
【0034】
枠部23は、基板21の上に設けられている。枠部23は、枠状を呈し、基板21に接合されている。枠部23は、発光素子22を囲んでいる。枠部23は、例えば、樹脂から形成される。樹脂は、例えば、PBT(polybutylene terephthalate)、PC(polycarbonate)、PET、ナイロン(Nylon)、PP(polypropylene)、PE(polyethylene)、PS(polystyrene)などの熱可塑性樹脂とすることができる。
【0035】
枠部23は、封止部24の形成範囲を規定する機能と、リフレクタの機能とを有することができる。そのため、枠部23は、反射率を向上させるために、酸化チタンの粒子などを含んでいたり、白色の樹脂を含んでいたりすることができる。
【0036】
封止部24は、枠部23の内側に設けられる。封止部24は、枠部23により囲まれた領域を覆うように設けられる。封止部24は、発光素子22を覆うように設けられる。封止部24は、透光性を有する樹脂を含んでいる。封止部24は、例えば、枠部23の内側に樹脂を充填することで形成される。樹脂の充填は、例えば、ディスペンサなどを用いて行われる。充填する樹脂は、例えば、シリコーン樹脂などである。
【0037】
また、封止部24には蛍光体を含めることができる。蛍光体は、例えば、YAG系蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体)などとすることができる。ただし、蛍光体の種類は、車両用照明装置1の用途などに応じて所定の発光色が得られるように適宜変更することができる。
【0038】
素子25は、発光素子22を有する発光回路を構成するために用いられる受動素子または能動素子とすることができる。素子25は、例えば、枠部23の周辺に設けられ、配線パターン21aと電気的に接続される。素子25は、少なくとも1つ設けることができる。
【0039】
素子25は、例えば、抵抗25a、および制御素子25bなどとすることができる。
ただし、素子25の種類は例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22を有する発光回路の構成に応じて適宜変更することができる。例えば、素子25は、前述したものの他に、コンデンサ、正特性サーミスタ、負特性サーミスタ、インダクタ、サージアブソーバ、バリスタ、FETやバイポーラトランジスタなどのトランジスタ、集積回路、演算素子などであってもよい。
【0040】
抵抗25aは、基板21の上に設けられている。抵抗25aは、配線パターン21aと電気的に接続される。抵抗25aは、例えば、表面実装型の抵抗器、リード線を有する抵抗器(酸化金属皮膜抵抗器)、スクリーン印刷法などを用いて形成された膜状の抵抗器などとすることができる。なお、
図1に例示をした抵抗25aは、膜状の抵抗器である。
【0041】
膜状の抵抗器の材料は、例えば、酸化ルテニウム(RuO2)である。膜状の抵抗器は、例えば、スクリーン印刷法および焼成法を用いて形成される。抵抗25aが膜状の抵抗器であれば、抵抗25aと基板21との接触面積を大きくすることができるので、放熱性を向上させることができる。また、複数の抵抗25aを一度に形成することができる。そのため、生産性を向上させることができる。また、複数の抵抗25aにおける抵抗値のばらつきを抑制することができる。
【0042】
ここで、発光素子22の順方向電圧特性には、ばらつきがあるので、アノード端子とグランド端子との間の印加電圧を一定にすると、発光素子22から照射される光の明るさ(光束、輝度、光度、照度)にばらつきが生じる。そのため、発光素子22から照射される光の明るさが所定の範囲内に収まるように、発光素子22に直列接続された抵抗25aにより、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。この場合、抵抗25aの抵抗値を変化させることで、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。
【0043】
抵抗25aが表面実装型の抵抗器やリード線を有する抵抗器などの場合には、発光素子22の順方向電圧特性に応じて適切な抵抗値を有する抵抗25aを選択する。抵抗25aが膜状の抵抗器の場合には、抵抗25aの一部を除去すれば、抵抗値を増加させることができる。例えば、膜状の抵抗器にレーザ光を照射すれば、膜状の抵抗器の一部を容易に除去することができる。なお、抵抗25aの数、大きさなどは、例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22の数や仕様などに応じて適宜変更することができる。
【0044】
制御素子25bは、基板21の上に設けられている。制御素子25bは、配線パターン21aと電気的に接続される。制御素子25bは、例えば、逆方向電圧が発光素子22に印加されないようにするため、および、逆方向からのパルスノイズが発光素子22に印加されないようにするために設けられる。制御素子25bは、例えば、表面実装型のダイオードや、リード線を有するダイオードなどである。
図1に例示をした制御素子25bは、表面実装型のダイオードである。
【0045】
光学要素26は、枠部23および封止部24の上に設けられる。光学要素26は、例えば、発光素子22から出射した光の拡散、集光などを行う。一例として、
図1および
図2に例示をした光学要素26は、凸レンズである。凸レンズである光学要素26は、光を集光して、所定の配光特性が得られるようにする。なお、光学要素26は、凸レンズに限定されるわけではなく、例えば、凹レンズや導光体などであってもよい。
【0046】
図3は、光学要素26を例示するための模式側面図である。
図3に示すように、光学要素26は、例えば、光学部26a、光学部26b、およびフランジ26cを有する。光学部26a、光学部26b、およびフランジ26cは、一体に形成することができる。
【0047】
光学部26aは、フランジ26cの、封止部24側とは反対側に突出している。光学部26aは、光学要素26の中心軸26dに沿った方向に突出した形状を有している。光学部26aの外面26a1は、例えば、凸状の曲面である。
【0048】
光学部26bは、フランジ26cの、封止部24側に突出している。光学部26bは、光学要素26の中心軸26dに沿った方向において、光学部26aとは反対側に突出している。光学部26bの外面26b1は、例えば、凸状の曲面である。光学部26aの中心軸および光学部26bの中心軸は、例えば、光学要素26の中心軸26dと重なっている。光学部26aおよび光学部26bは、例えば、凸レンズの機能を有する。
【0049】
なお、光学部26bは省くこともできる。光学部26bが省かれる場合であっても、光学部26aにより、凸レンズの機能を維持することができる。ただし、光学部26bが設けられていれば、硬化前の封止部24の材料に、光学要素26を押し付けた際に、封止部24の材料を枠部23の外側に押し出すのが容易となる。そのため、光学要素26と封止部24の材料との間に巻き込まれた空気を排出するのが容易となる。また、発光素子22や配線21bに過大な圧力が作用するのを抑制することができる。
【0050】
フランジ26cは、板状を呈している。フランジ26cは、例えば、リング状を呈している。光学要素26の中心軸26dに沿った方向において、フランジ26cは、光学部26aと光学部26bとの間に位置している。光学要素26の中心軸26dに直交する方向において、フランジ26cの周端は、光学部26aおよび光学部26bの外側に設けられている。例えば、フランジ26cは、光学部26aの周縁および光学部26bの周縁を囲んでいる。
【0051】
光学要素26は、透光性材料から形成される。透光性材料は、例えば、ガラス、透光性樹脂などである。この場合、透光性材料を用いて光学要素26を形成すれば、製造コストの低減を図ることができる。透光性樹脂を含む光学要素26は、例えば、射出成形法やモールド成形法などにより形成される。
【0052】
この場合、発光素子22が点灯した際に生じた熱により光学要素26の温度が上昇することを考慮すると、耐熱性を有する透光性樹脂とすることが好ましい。また、発光素子22から照射された光や日光には紫外線が含まれているので、紫外線に対する耐性を有する透光性樹脂とすることが好ましい。例えば、透光性樹脂は、シリコーン樹脂とすることが好ましい。
【0053】
次に、光学要素26と、枠部23との接合についてさらに説明する。
まず、光学要素26と、比較例に係る枠部123との接合について説明する。
図4(a)は、光学要素26と、比較例に係る枠部123との接合を例示するための模式部分断面図である。
図4(b)は、
図4(a)におけるB部の模式拡大図である。
図4(c)は、
図4(a)におけるB部において発生した剥離を例示するための模式拡大図である。
【0054】
図4(a)に示すように、硬化前の封止部24の材料に光学要素26を押し付けると、封止部24の材料が枠部123の外側に押し出される。そのため、光学要素26のフランジ26cと、枠部123の上面との間に、封止部24の材料を含む層が形成される。そして、封止部の材料を含む層が硬化することで、光学要素26のフランジ26cが、枠部123の上面に接合される。すなわち、光学要素26のフランジ26cと、枠部123の上面との間には、封止部24の材料を含む接合層24aが形成される。
【0055】
ここで、発光素子22の点灯に伴い熱が発生すると、枠部123、封止部24、および光学要素26が加熱される。この場合、これらの要素と発光素子22との間の距離がそれぞれ異なり、放熱性もそれぞれ異なるものとなる。そのため、これらの要素の温度が異なるものとなりやすい。また、これらの要素の熱膨張係数がそれぞれ異なるものとなる場合がある。
【0056】
そのため、
図4(b)に示すように、フランジ26cと接合層24aとの間には熱応力σ1が発生し、枠部123と接合層24aとの間には、熱応力σ1とは異なる熱応力σ2が発生する場合がある。また、車両用照明装置1においては、発光素子22の点灯と消灯が繰り返し行われるため、熱応力σ1と熱応力σ2が繰り返し発生することになる。
【0057】
接合層24aのフランジ26c側と、接合層24aの枠部123側とで、異なる熱応力が繰り返し発生すると、
図4(c)に示すように、接合層24aに亀裂24a1が発生する場合がある。この場合、フランジ26cと枠部123の上面は、互いに略平行となる平坦な面となっているので、これらの間に形成される接合層24aは、厚みが薄くなりやすい。接合層24aの厚みが薄くなると、発生した熱応力を緩和しづらくなるので、亀裂24a1がさらに発生しやすくなる。
【0058】
接合層24aに亀裂24a1が発生すると、光学要素26が枠部123から剥離するおそれがある。この場合、接合層24aの厚みを厚くすれば、発生した熱応力を緩和し易くなるので、亀裂24a1の発生を抑制することができる。しかしながら、単に、接合層24aの厚みを厚くすれば、封止部24の材料が硬化するまでの間に、光学要素26の位置がズレたり、光学要素26が傾いたりするおそれがある。光学要素26の位置がズレたり、光学要素26が傾いたりすれば、所定の配光特性が得られなくなるおそれがある。
【0059】
図5は、光学要素26と、枠部23との接合を例示するための模式部分断面図である。
図5に示すように、枠部23の上面23aは、例えば、基板21の面に対して傾斜している。枠部23の上面23aの内縁と、基板21の面との間の距離L1は、枠部23の上面23aの外縁と、基板21の面との間の距離L2よりも小さい。そのため、フランジ26cと枠部23の上面23aとの間に形成される接合層24bの厚みは、上面23aの内縁側になるほど厚くなる。そのため、発生した熱応力を緩和することができる。
【0060】
この場合、
図5に示すように、枠部23の上面23aの外縁をフランジ26cに接触させることができる。この様にすれば、封止部24の材料が硬化するまでの間に、光学要素26の位置がズレたり、光学要素26が傾いたりするのを抑制することができる。そのため、所定の配光特性を得るのが容易となる。
【0061】
また、基板21と、枠部23との接合も、封止部24の材料を用いて行うことができる。例えば、
図5に示すように、基板21と枠部23との間の隙間に、封止部24の材料を流入させ、これを硬化させることで、枠部23を基板21に接合することができる。ところが、この様にすると、枠部23と基板21との間に形成される接合層24cの厚みが薄くなる。そのため、前述した光学要素26の場合と同様に、枠部23が基板21から剥離し易くなる。ただし、
図5に示すように、枠部23の外側面には、フィレット24dを形成することができるので、光学要素26の場合と比べて、枠部23の剥離は生じ難い。
【0062】
しかしながら、十分な大きさのフィレット24dが形成されなかったり、枠部23の外側面の一部にしかフィレット24dが形成されなかったりする場合もある。そのため、基板21と、枠部23との接合の場合も、光学要素26と、枠部23との接合と同様にすることもできる。
【0063】
図6は、基板21と、枠部223との接合を例示するための模式部分断面図である。
図6に示すように、枠部223の上面223aは、例えば、基板21の面に対して傾斜している。すなわち、枠部223の上面223aは、前述した枠部23の上面23aと同じとすることができる。
枠部223の下面223bは、例えば、基板21の面に対して傾斜している。下面223bは、上面223aとは反対方向に傾斜している。例えば、
図6に示すように、枠部223の下面223bの外縁を基板21に接触させ、下面223bの内縁を基板21から離隔させることができる。この様にすれば、基板21と枠部223の下面223bとの間に形成される接合層24eの厚みは、下面223bの内縁側になるほど厚くなる。そのため、発生した熱応力を緩和することができる。
【0064】
また、枠部223の下面223bの外縁を基板21に接触させれば、封止部24の材料が硬化するまでの間に、枠部223の位置がズレたり、枠部223が傾いたりするのを抑制することができる。枠部223の上には光学要素26が接合されるため、枠部223の位置がズレたり、枠部223が傾いたりするのを抑制することができれば、所定の配光特性を得るのが容易となる。
【0065】
なお、以上は、封止部24の材料を用いて、光学要素26と枠部23、223とを接合したり、基板21と枠部23、223とを接合したりする場合であるが、接着剤を用いてこれらを接合する場合もある。前述した枠部23、223とすれば、接着剤を含む接合層の厚みを内縁側になるほど厚くすることができるので、発生した熱応力を緩和することができる。すなわち、接着剤を用いてこれらを接合する場合であっても、前述した効果を享受することができる。
【0066】
図7(a)、(b)は、他の実施形態に係る枠部323、423を例示するための模式部分断面図である。
図7(a)に示すように、枠部323の上面には、複数の凹部323aを設けることができる。複数の凹部323aは、例えば、孔であってもよいし、環状の溝であってもよい。枠部323の上面は、光学要素26のフランジ26cと接触させることができる。複数の凹部323aの内部には、封止部24の材料または接着剤を充填することができる。この様にすれば、フランジ26cと、複数の凹部323aとで画された空間に接合層を形成することができる。そのため、接合層の厚みを厚くすることができるので、発生した熱応力を緩和することができる。また、枠部323の上面と、光学要素26のフランジ26cとが接触していれば、光学要素26の位置がズレたり、傾いたりするのを抑制することができる。
【0067】
図7(b)に示すように、枠部423の上面には、複数の凹部423aを設けることができる。凹部423aは、例えば、前述した凹部323aと同様とすることができる。すなわち、枠部423の上面は、前述した枠部323の上面と同じとすることができる。
【0068】
枠部423の下面には、複数の凹部423bを設けることができる。凹部423bは、例えば、凹部423aと同様とすることができる。枠部423の下面は、基板21と接触させることができる。複数の凹部423bの内部には、封止部24の材料または接着剤を充填することができる。この様にすれば、基板21と、複数の凹部423bとで画された空間に接合層を形成することができる。そのため、接合層の厚みを厚くすることができるので、発生した熱応力を緩和することができる。また、枠部423の下面と、基板21とが接触していれば、枠部423の位置がズレたり、傾いたりするのを抑制することができる。
なお、枠部の上面、および枠部の下面の少なくともいずれかに、複数の凹部が設けられるようにしてもよい。
【0069】
また、前述した傾斜面と凹部を組み合わせることもできる。例えば、枠部の上面を傾斜面とし、枠部の下面に複数の凹部を設けることもできる。なお、傾斜面と凹部の組み合わせは例示をしたものに限定される分けではなく、適宜変更することができる。
【0070】
以上に説明した様に、枠部の上面と、光学要素の、枠部の上面に対向する面と、の間には、第1の接合層が設けられている。第1の接合層は、第1の厚みを有する部分と、第1の厚みよりも厚い、第2の厚みを有する部分と、を有している。
また、枠部の下面と、基板と、の間には、第2の接合層が設けられている。第2の接合層は、第3の厚みを有する部分と、第3の厚みよりも厚い、第4の厚みを有する部分と、を有する。
また、第1の接合層、および、第2の接合層の少なくともいずれかは、封止部と同じ材料を含んでいる。
【0071】
図8(a)、(b)は、他の実施形態に係る光学要素126、226を例示するための模式断面図である。
図8(a)に示すように、光学要素126は、例えば、光学部26a、光学部26b、およびフランジ126cを有する。フランジ126cの、枠部123側の面には、複数の凹部126c1を設けることができる。複数の凹部126c1は、例えば、孔であってもよいし、環状の溝であってもよい。フランジ126cは、枠部123の上面に接触させることができる。複数の凹部126c1の内部には、封止部24の材料または接着剤を充填することができる。この様にすれば、枠部123の上面と、複数の凹部126c1とで画された空間に接合層を形成することができる。そのため、フランジ126cと枠部123の上面が、互いに略平行となる平坦な面となっていても、接合層の厚みを厚くすることができるので、発生した熱応力を緩和することができる。また、枠部123の上面と、光学要素126のフランジ126cとが接触していれば、光学要素126の位置がズレたり、傾いたりするのを抑制することができる。
【0072】
なお、枠部123の上面が、基板21の面に略平行な面の場合を例示したが、枠部の上面が、前述した傾斜面であったり、複数の凹部が設けられた面であってもよい。
【0073】
図8(b)に示すように、光学要素226は、例えば、光学部26a、光学部26b、およびフランジ226cを有する。フランジ226cの、枠部123側の面には、複数の凸部226c1を設けることができる。複数の凸部226c1は、例えば、突起であってもよいし、環状の壁であってもよい。複数の凸部226c1の頂部は、枠部123の上面に接触させることができる。複数の凸部226c1の間の空間には、封止部24の材料または接着剤を充填することができる。この様にすれば、複数の凸部226c1の間の空間に接合層を形成することができる。そのため、フランジ226cと枠部123の上面が、互いに略平行となる平坦な面となっていても、接合層の厚みを厚くすることができるので、発生した熱応力を緩和することができる。また、枠部123の上面と、複数の凸部226c1の頂部が接触していれば、光学要素226の位置がズレたり、傾いたりするのを抑制することができる。
【0074】
なお、枠部123の上面が、基板21の面に略平行な面の場合を例示したが、枠部の上面が、前述した傾斜面であったり、複数の凹部が設けられた面であってもよい。
【0075】
また、以上においては、光学要素にフランジが設けられる場合を例示したが、光学要素にフランジが設けられない場合もある。
図9(a)、(b)は、他の実施形態に係る光学要素326、426を例示するための模式断面図である。
図9(a)、(b)に示すように、光学要素326、426には、フランジが設けられていない。
【0076】
図9(a)に示すように、例えば、光学要素326の、枠部23の上面に対向する部分に面326aを設けることができる。面326aは、例えば、前述したフランジ26cの、枠部23の上面に対向する面として機能する。
【0077】
図9(b)に示すように、例えば、光学要素426の、枠部23の上面に対向する部分に面426aを設けることができる。面426aは、例えば、前述したフランジ26cの、枠部23の上面に対向する面として機能する。
【0078】
そのため、光学要素にフランジが設けられていても、光学要素にフランジが設けられていなくても、光学要素の、枠部の上面に対向する部分に面が設けられていれば、前述した作用、効果を享受することができる。
【0079】
また、光学要素326、426の、枠部の上面に対向する面326a、426aには、
図8(a)、(b)において例示をした、複数の凹部126c1、または、複数の凸部226c1をさらに設けることもできる。
【0080】
(車両用灯具)
次に、車両用灯具100について例示する。
なお、以下においては、一例として、車両用灯具100が自動車に設けられるフロントコンビネーションライトである場合を説明する。ただし、車両用灯具100は、自動車に設けられるフロントコンビネーションライトに限定されるわけではない。車両用灯具100は、自動車や鉄道車両などに設けられる車両用灯具であればよい。
【0081】
図10は、車両用灯具100を例示するための模式部分断面図である。
図10に示すように、車両用灯具100は、例えば、車両用照明装置1、筐体101、カバー102、光学要素103、シール部材104、およびコネクタ105を有する。
【0082】
筐体101には、車両用照明装置1が取り付けられる。筐体101は、装着部11を保持する。筐体101は、一方の端部側が開口した箱状を呈している。筐体101は、例えば、光を透過しない樹脂などから形成される。筐体101の底面には、装着部11の、バヨネット12が設けられた部分が挿入される取付孔101aが設けられる。取付孔101aの周縁には、装着部11に設けられたバヨネット12が挿入される凹部が設けられる。なお、筐体101に取付孔101aが直接設けられる場合を例示したが、取付孔101aを有する取付部材が筐体101に設けられていてもよい。
【0083】
車両用照明装置1を車両用灯具100に取り付ける際には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分を取付孔101aに挿入し、車両用照明装置1を回転させる。すると、例えば、取付孔101aの周縁に設けられた嵌合部にバヨネット12が保持される。この様な取り付け方法は、ツイストロックと呼ばれている。
【0084】
カバー102は、筐体101の開口を塞ぐように設けられる。カバー102は、透光性樹脂などから形成される。カバー102は、レンズなどの機能を有することもできる。
【0085】
光学要素103には、車両用照明装置1から出射した光が入射する。光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光の反射、拡散、導光、集光、所定の配光パターンの形成などを行う。例えば、
図10に例示をした光学要素103はリフレクタである。この場合、光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光を反射して、所定の配光パターンを形成する。
【0086】
シール部材104は、フランジ13と筐体101の間に設けられる。シール部材104は、環状を呈し、ゴムやシリコーン樹脂などの弾性を有する材料から形成される。
【0087】
車両用照明装置1が車両用灯具100に取り付けられた際には、シール部材104は、フランジ13と筐体101との間に挟まれる。そのため、シール部材104により、筐体101の内部空間を密閉することができる。また、シール部材104の弾性力により、バヨネット12が筐体101に押し付けられる。そのため、車両用照明装置1が、筐体101から脱離するのを抑制することができる。
【0088】
コネクタ105は、コネクタホルダ15の内部に露出している複数の給電端子31の端部に嵌め合わされる。コネクタ105には、図示しない電源などが電気的に接続される。そのため、コネクタ105を複数の給電端子31の端部に嵌め合わせることで、図示しない電源などと、発光素子22とを電気的に接続することができる。
【0089】
また、コネクタ105には、シール部材105aが設けられている。シール部材105aを有するコネクタ105が、コネクタホルダ15の内部に挿入された際には、コネクタホルダ15の内部が水密となるように密閉される。
【0090】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0091】
1 車両用照明装置、10 ソケット、11 装着部、20 発光モジュール、21 基板、22 発光素子、23 枠部、23a 上面、24 封止部、24a 接合層、24e 接合層、26 光学要素、26a 光学部、26b 光学部、26c フランジ、26d 中心軸