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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180750
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】ノズルチップ
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/14 20140101AFI20221130BHJP
   B23K 26/342 20140101ALI20221130BHJP
【FI】
B23K26/14
B23K26/342
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087417
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂根 雄斗
(72)【発明者】
【氏名】藤田 大河
(72)【発明者】
【氏名】久保 大智
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 諒祐
(72)【発明者】
【氏名】堀内 悠平
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168BA32
4E168EA24
4E168FA01
4E168FB01
(57)【要約】
【課題】チップ本体とカバーとの間に形成されるシールドガス用通路内でのシールドガスの流れを整流とすることができるノズルチップを提供する。
【解決手段】ノズルチップ3は、チップ本体30と、チップ本体30に重ね合わされるカバー6を含む。チップ本体30は、レーザービーム10を保護ガスと共に放出するための中央穴7と、金属パウダーをキャリアガスと共に放出するための少なくとも1つのパウダー用通路を有する。チップ本体30とカバー6との間には、シールドガスを放出するための環状のシールドガス用通路9が形成されている。カバー6におけるチップ本体30との接触面には、シールドガス用通路9を取り巻くシールドガス用環状溝62が形成されている。カバー6には、シールドガス用環状溝62とシールドガス用通路9とを仕切る隔壁63が設けられており、この隔壁63には周方向に分布する複数の開口が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LMDノズルの先端に取り付けられるノズルチップであって、
前記LMDノズルから放出されるレーザービームを保護ガスと共に放出するための中央穴、および前記中央穴の回りで金属パウダーをキャリアガスと共に放出するための少なくとも1つのパウダー用通路を有するチップ本体と、
前記チップ本体に重ね合わされる、前記チップ本体との間に、前記少なくとも1つのパウダー用通路の回りでシールドガスを放出するための環状のシールドガス用通路を形成するカバーと、を備え、
前記カバーにおける前記チップ本体との接触面には、前記シールドガスが導入される、前記シールドガス用通路を取り巻くシールドガス用環状溝が形成されており、
前記カバーには、前記シールドガス用環状溝と前記シールドガス用通路とを仕切る隔壁が設けられており、この隔壁には周方向に分布する複数の開口が設けられている、ノズルチップ。
【請求項2】
前記チップ本体は、前記LMDノズルと当接する第1部品と、前記第1部品に重ね合わされる、前記第1部品と共に前記中央穴を構成する第2部品を含む、請求項1に記載のノズルチップ。
【請求項3】
前記カバーには、前記シールドガス用環状溝から径方向外向きに延びるシールドガス導入溝が形成されており、
前記複数の開口の1つは前記シールドガス導入溝の延長線上に位置しており、
前記カバーには、前記シールドガス導入溝と前記1つの開口との間に邪魔板が設けられている、請求項1または2に記載のノズルチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LMD(Laser Metal Deposition)ノズルの先端に取り付けられるノズルチップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ワーク上にレーザービームを照射するとともにその照射位置に金属パウダーを供給して肉盛溶接を行うLMD装置が知られている。LMD装置は、レーザービームを放出するLMDノズルと、LMDノズルの先端に取り付けられるノズルチップを含む。
【0003】
例えば、特許文献1には、図10に示すようなノズルチップ100が開示されている。このノズルチップ100は、レーザービームを保護ガスと共に放出するための中央穴110と、中央穴110の回りで金属パウダーを放出するための4つのパウダー用通路120(図10では、そのうちの2つを図示)を有する。
【0004】
パウダー用通路120は、中央穴110の周囲に90度の等角度間隔で配置されている。一般的に、金属パウダーは、キャリアガスと共に放出される。なお、複数のパウダー用通路120に代えて、中央穴110を取り巻く環状のパウダー用通路を採用することも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2010/142283号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
LMD装置を用いて肉盛溶接を行う際は、溶融池に向かってシールドガスを放出することも行われる。シールドガスは、ノズルチップとは別に設けられるシールドガス専用ノズルから放出されてもよい。あるいは、ノズルチップを、レーザービーム用の中央穴および少なくとも1つのパウダー用通路を有するチップ本体と、チップ本体を覆うカバーとで構成し、チップ本体とカバーとの間に環状のシールドガス用通路を形成することも可能である。
【0007】
しかしながら、チップ本体とカバーとの間にシールドガス用通路を形成した場合には、シールドガスがシールドガス用通路内で偏って流れたり、シールドガス用通路内の乱流によりシールドガス用通路の先端から逆流したりすることがある。
【0008】
そこで、本発明は、チップ本体とカバーとの間に形成されるシールドガス用通路内でのシールドガスの流れを整流とすることができるノズルチップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明のノズルチップは、LMDノズルの先端に取り付けられるノズルチップであって、前記LMDノズルから放出されるレーザービームを保護ガスと共に放出するための中央穴、および前記中央穴の回りで金属パウダーをキャリアガスと共に放出するための少なくとも1つのパウダー用通路を有するチップ本体と、前記チップ本体に重ね合わされる、前記チップ本体との間に、前記少なくとも1つのパウダー用通路の回りでシールドガスを放出するための環状のシールドガス用通路を形成するカバーと、を備え、前記カバーにおける前記チップ本体との接触面には、前記シールドガスが導入される、前記シールドガス用通路を取り巻くシールドガス用環状溝が形成されており、前記カバーには、前記シールドガス用環状溝と前記シールドガス用通路とを仕切る隔壁が設けられており、この隔壁には周方向に分布する複数の開口が設けられている、ことを特徴とする。
【0010】
上記の構成によれば、カバーにおけるチップ本体との接触面にシールドガス用通路を取り巻くシールドガス用環状溝が形成され、このシールドガス用環状溝とシールドガス用通路とを仕切る隔壁に周方向に分布する複数の開口が設けられているので、シールドガス用通路内でのシールドガスの流れを整流とすることができる。これにより、シールドガスの逆流などを防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、チップ本体とカバーとの間に形成されるシールドガス用通路内でのシールドガスの流れを整流とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るノズルチップおよびLMDノズルの断面図である。
図2図1のII-II線に沿った断面図である。
図3図2のIII-III線に沿った断面図である。
図4図2のIV-IV線に沿った断面図である。
図5】前記実施形態におけるチップ本体の第1部品の斜視図である。
図6】別の形状の第1部品の斜視図である。
図7】前記実施形態におけるカバーの斜視図である。
図8】変形例のノズルチップの断面図である。
図9】別の変形例のノズルチップの断面図である。
図10】従来のノズルチップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1~4に、本発明の一実施形態に係るノズルチップ3を含むLMD装置を示す。このLMD装置は、図略のワーク上にレーザービーム10を照射するとともにその照射位置に金属パウダーを供給して肉盛溶接を行うものである。
【0014】
具体的に、LMD装置は、レーザービーム10を出射するレーザー発振器を含む装置本体(図示せず)と、その装置本体から延びる棒状のLMDノズル2と、LMDノズル2の先端に取り付けられたノズルチップ3を含む。LMDノズル2は、中空のノズル本体21を含む。
【0015】
本実施形態では、ノズル本体21の先端に開口21aが設けられており、その開口21aが保護ガラス23で閉塞されている。保護ガラス23は、サポート24を介してノズル本体21に取り付けられている。ノズルチップ3は、保護ガラス23を覆うようにLMDノズル2に取り付けられている。
【0016】
ノズル本体21内には、保護ガラス23と対応する位置に反射ミラー22が配置されている。LMDノズル2は、レーザー発振器から出射されたレーザービーム10を反射ミラー22で反射することで保護ガラス23を透過して放出する。
【0017】
ただし、LMDノズル2は、必ずしも内部でレーザービーム10の光路を屈曲させる必要はなく、レーザー発振器の光軸方向に沿ってレーザービーム10を真っ直ぐに放出してもよい。また、LMDノズル2は保護ガラス23を含まなくてもよい。
【0018】
ノズルチップ3は、レーザービーム10用の中央穴7および4つのパウダー用通路8(図2および図3参照)を有するチップ本体30と、チップ本体30に重ね合わされるカバー6を含む。中央穴7は、レーザービーム10を保護ガスと共に放出するためのものであり、パウダー用通路8は、中央穴7の回りで金属パウダーをキャリアガスと共に放出するためのものである。チップ本体30とカバー6との間には、パウダー用通路8の回りでシールドガスを放出するための環状のシールドガス用通路9が形成されている。
【0019】
保護ガス、キャリアガスおよびシールドガスは、全てが同じガスであってもよいし、そのうちの1つまたは全てが異なるガスであってもよい。例えば、保護ガス、キャリアガスおよびシールドガスの少なくとも1つはアルゴンガスである。
【0020】
本実施形態では、チップ本体30が、LMDノズル2のノズル本体21と当接する板状の第1部品4と、第1部品4に重ね合わされる第2部品5を含む。中央穴7およびパウダー用通路8は第1部品4および第2部品5に形成されている。つまり、第2部品5は、第1部品4と共に中央穴7およびパウダー用通路8を構成する。カバー6は、第2部品5に重ね合わされる。
【0021】
なお、図示は省略するが、ノズル本体21と第1部品4との間、第1部品4と第2部品5との間、および第2部品5とカバー6との間には、シール性を確保するためのシール材(例えば、Oリング)が挟持されてもよい。
【0022】
第2部品5は、第1部品4と平行な板状部51と、板状部51から中央穴7に沿って第1部品4と反対向きに突出する突出部52を含む。突出部52は、先端に向かって縮径する外周面を有する。一方、カバー6は、突出部52が挿入される収容穴6aを有し、この収容穴6aの内周面は、突出部52の突出方向に向かって縮径している。この収容穴6aの内周面と突出部52の外周面との間にシールドガス用通路9が形成されている。
【0023】
中央穴7内では、保護ガスが保護ガラス23から離れる方向に流れる。中央穴7は、保護ガラス23側の基端から中間位置70までの近位部71と、中間位置70から先端までの遠位部72を含む。レーザービームの焦点11は、遠位部72内に位置する。
【0024】
近位部71は保護ガラス23から離れるにつれて縮径する逆円錐状である。一方、遠位部72における少なくとも一部は保護ガラス23から離れるにつれて拡径する円錐状である。円錐状のテーパー角度は、遠位部72の内周面からの保護ガスの剥離が生じない程度に設定される(例えば、10度以下)。
【0025】
本実施形態では、遠位部72が、近位部71に近い領域で円柱状であり、先端に近い領域で円錐状である。ただし、図8に示す変形例のノズルチップ3Aのように、遠位部72は全長に亘って円錐状であってみもよい。あるいは、図9に示す別の変形例のノズルチップ3Bのように、中央穴7の遠位部72の全体が円柱状であってもよい。
【0026】
例えば、中央穴7の中間位置70での直径は、中央穴7への保護ガスの供給流量が2.5×10-43/sのときに、当該中間位置70での流速が10~15m/sとなるように設定される。ただし、中央穴7は必ずしも中間位置70で最小径となる必要はなく、図示は省略するが中央穴7の全体が逆円錐状であってもよい。
【0027】
図1~4に戻って、中央穴7には、LMDノズル2から保護ガスが供給される。図5に示すように、第1部品4におけるノズル本体21との接触面には、中央穴7を取り巻く保護ガス用環状溝42が形成されているとともに、保護ガス用環状溝42から径方向外向きに延びる保護ガス導入溝41が形成されている。
【0028】
一方、ノズル本体21には、図1に示すように保護ガス導入溝41と連通する保護ガス供給路25が形成されている。この保護ガス供給路25から保護ガス導入溝41を通じて保護ガス用環状溝42へ保護ガスが導入される。
【0029】
図5に示すように、第1部品4には、保護ガス用環状溝42と中央穴7とを仕切る隔壁44が設けられている。また、第1部品4には、保護ガス用環状溝42と中央穴7とを連通する複数の連通穴43が中央穴7の回りに等角度間隔で設けられている。各連通穴43は、保護ガス用環状溝42から中央穴7に向かって保護ガラス23から離れる方向に傾斜している。このため、保護ガスを連通穴43から中央穴7の先端に向かう方向に噴射することができる。
【0030】
4つのパウダー用通路8は、図2に示すように、中央穴7の周囲に90度の等角度間隔で配置されている。なお、パウダー用通路8の先端が中央穴7の先端の周囲に90度の等角度間隔で位置する限り、パウダー用通路8の延在方向は適宜変更可能である。
【0031】
ただし、パウダー用通路8の数は、当該パウダー用通路8の先端が中央穴7の先端の周囲に等角度間隔で位置する限り特に限定されるものではない。あるいは、複数のパウダー用通路8に代えて、中央穴7を取り巻く環状のパウダー用通路8が採用されてもよい。
【0032】
各パウダー用通路8には、LMDノズル2から金属パウダーおよびキャリアガスが供給される。図5に示すように、各パウダー用通路8の基端は、第1部品4におけるノズル本体21との接触面に開口している。一方、ノズル本体21には、図3に示すように4つのパウダー用通路8と連通するパウダー供給路26が形成されている。このパウダー供給路26から各パウダー用通路8へ金属パウダーおよびキャリアガスが導入される。
【0033】
シールドガス用通路9には、LMDノズル2からシールドガスが供給される。図7に示すように、カバー6における第2部品5との接触面には、シールドガス用通路9(すなわち、上述した収容穴6a)を取り巻くシールドガス用環状溝62が形成されているとともに、シールドガス用環状溝62から径方向外向きに延びるシールドガス導入溝61が形成されている。また、第2部品5および第1部品4には、図4に示すように、シールドガス導入溝61の外側端部と対応する位置に、第2部品5および第1部品4を貫通する貫通穴91が設けられている。
【0034】
一方、ノズル本体21には、貫通穴91と連通するシールドガス供給路27が形成されている。このシールドガス供給路27から貫通穴91およびシールドガス導入溝61を通じてシールドガス用環状溝62へシールドガスが導入される。
【0035】
図7に示すように、カバー6には、シールドガス用環状溝62とシールドガス用通路9とを仕切る環状の隔壁63が設けられている。この隔壁63には、周方向に分布する複数の開口64が設けられている。換言すれば、隔壁63は、複数の円弧状のピースに分割されている。図例では、開口64の数が5つであるが、開口64の数は、4つ以下であっても、6つ以上であってもよい。
【0036】
シールドガス用通路9を中心とする周方向において、各開口64の幅は、隔壁63を構成するピースのそれぞれの幅よりも短いことが望ましい。
【0037】
本実施形態では、1つの開口64が、シールドガス導入溝61の延長線上に位置している。このため、カバー6には、その開口64とシールドガス用環状溝62との間であって、シールドガス用環状溝62とシールドガス導入溝61の仮想境界線(シールドガス用環状溝62の外側壁面の延長線)上に邪魔板65が設けられている。
【0038】
以上説明したように、本実施形態のノズルチップ3では、カバー6におけるチップ本体30との接触面にシールドガス用通路9を取り巻くシールドガス用環状溝62が形成され、このシールドガス用環状溝62とシールドガス用通路9とを仕切る隔壁63に周方向に分布する複数の開口64が設けられているので、シールドガス用通路9内でのシールドガスの流れを整流とすることができる。これにより、シールドガスの逆流などを防止することができる。
【0039】
また、本実施形態では、シールドガス導入溝61の延長線上に位置する開口64とシールドガス導入溝61との間に邪魔板65が設けられているので、シールドガス導入溝61から開口64へシールドガスが直接流れることを抑制することができるとともに、シールドガス導入溝61からのシールドガスの流れを邪魔板65によって互いに逆向きの周方向流れに分けることができる。
【0040】
(変形例)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0041】
例えば、図5に示す第1部品4に代えて、図6に示す第1部品4Aを採用することも可能である。この第1部品4Aでは、当該第1部品4Aにおけるノズル本体21との接触面に形成された保護ガス導入溝41が中央穴7から径方向に延びている。この場合、保護ガスが中央穴7内で旋回流を形成したり、中央穴7内の乱流により中央穴7の先端から逆流したりすることがある。
【0042】
これに対し、図5に示すように中央穴7を取り巻く保護ガス用環状溝42、保護ガス用環状溝42と中央穴7との間の隔壁44、および保護ガス用環状溝42と中央穴7とを連通する連通穴43を有する第1部品4であれば、中央穴7内での保護ガスの流れが整流となるため、保護ガスの逆流などを防止することができる。
【0043】
(まとめ)
本発明のノズルチップは、LMDノズルの先端に取り付けられるノズルチップであって、前記LMDノズルから放出されるレーザービームを保護ガスと共に放出するための中央穴、および前記中央穴の回りで金属パウダーをキャリアガスと共に放出するための少なくとも1つのパウダー用通路を有するチップ本体と、前記チップ本体に重ね合わされる、前記チップ本体との間に、前記少なくとも1つのパウダー用通路の回りでシールドガスを放出するための環状のシールドガス用通路を形成するカバーと、を備え、前記カバーにおける前記チップ本体との接触面には、前記シールドガスが導入される、前記シールドガス用通路を取り巻くシールドガス用環状溝が形成されており、前記カバーには、前記シールドガス用環状溝と前記シールドガス用通路とを仕切る隔壁が設けられており、この隔壁には周方向に分布する複数の開口が設けられている、ことを特徴とする。
【0044】
上記の構成によれば、カバーにおけるチップ本体との接触面にシールドガス用通路を取り巻くシールドガス用環状溝が形成され、このシールドガス用環状溝とシールドガス用通路とを仕切る隔壁に周方向に分布する複数の開口が設けられているので、シールドガス用通路内でのシールドガスの流れを整流とすることができる。これにより、シールドガスの逆流などを防止することができる。
【0045】
例えば、前記チップ本体は、前記LMDノズルと当接する第1部品と、前記第1部品に重ね合わされる、前記第1部品と共に前記中央穴を構成する第2部品を含んでもよい。
【0046】
前記カバーには、前記シールドガス用環状溝から径方向外向きに延びるシールドガス導入溝が形成されており、前記複数の開口の1つは前記シールドガス導入溝の延長線上に位置しており、前記カバーには、前記シールドガス導入溝と前記1つの開口との間に邪魔板が設けられてもよい。この構成によれば、シールドガス用導入溝から1つの開口へシールドガスが直接流れることを抑制することができるとともに、シールドガス用導入溝からのシールドガスの流れを邪魔板によって互いに逆向きの周方向流れに分けることができる。
【符号の説明】
【0047】
10 レーザービーム
2 LMDノズル
3,3A,3B ノズルチップ
30 チップ本体
4 第1部品
5 第2部品
6 カバー
61 シールドガス導入溝
62 シールドガス用環状溝
63 隔壁
64 開口
65 邪魔板
7 中央穴
8 パウダー用通路
9 シールドガス用通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10