(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180772
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】監視装置、通信システム、及び監視方法
(51)【国際特許分類】
H04W 24/04 20090101AFI20221130BHJP
H04W 88/18 20090101ALI20221130BHJP
H04B 17/15 20150101ALI20221130BHJP
H04B 17/29 20150101ALI20221130BHJP
【FI】
H04W24/04
H04W88/18
H04B17/15
H04B17/29
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087448
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】鏑木 健壱
(72)【発明者】
【氏名】阿部 聡
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067DD57
5K067EE10
5K067EE16
(57)【要約】
【課題】基地局装置の送信出力に制限がある通信システムにおいて、設備設置費用を抑制する。
【解決手段】複数の基地局装置と、前記基地局装置と無線通信を行う通信装置と、前記基地局装置を監視する監視装置を有する通信システムにおける監視装置であって、前記複数の基地局装置の故障を監視する監視部と、第1基地局装置の故障を検出したとき、前記第1基地局装置を代替する代替基地局装置を選択する選択部と、前記第1基地局装置が無線通信を行う第1通信装置を含む第1通信エリア用の電波送出方向と変調方式を前記代替基地局装置に通知し、前記第1通信エリアと第2通信エリアとを切り替え契機において切り替えるエリア切替処理を実行させる制御部と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基地局装置と、前記基地局装置と無線通信を行う通信装置と、前記基地局装置を監視する監視装置を有する通信システムにおける監視装置であって、
前記複数の基地局装置の故障を監視する監視部と、
第1基地局装置の故障を検出したとき、前記第1基地局装置を代替する代替基地局装置を選択する選択部と、
前記第1基地局装置が無線通信を行う第1通信装置を含む第1通信エリア用の電波送出方向と変調方式を前記代替基地局装置に通知し、前記第1通信エリアと第2通信エリアとを切り替え契機において切り替えるエリア切替処理を実行させる制御部と、
を有する監視装置。
【請求項2】
前記第2通信エリアは、前記第1基地局装置が故障していないときの前記代替基地局装置の通信エリアである
請求項1記載の監視装置。
【請求項3】
前記切り替え契機は、前記第1通信装置が前記第1基地局装置に情報を送信するタイミングに応じて設定される
請求項1記載の監視装置。
【請求項4】
前記エリア切替処理は、無線信号のフレームの切り替えに応じたタイミングで切り替えが実行される
請求項1記載の監視装置。
【請求項5】
前記代替基地局装置は、前記第1基地局装置と所定距離内に位置する前記基地局装置である
請求項1記載の監視装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1通信エリアで使用する変調方式として、前記代替基地局装置が前記第2通信エリアで使用する送信出力で、前記第1通信装置と無線接続が可能な変調方式を選択する
請求項1記載の監視装置。
【請求項7】
前記監視部は、前記第1基地局装置の復旧を監視し、
前記制御部は、前記第1基地局装置が復旧したとき、前記代替基地局装置に前記エリア切替処理を停止させ、前記第2通信エリアに切り替えさせる
請求項2記載の監視装置。
【請求項8】
複数の基地局装置と、前記基地局装置と無線通信を行う通信装置と、前記基地局装置を監視する監視装置を有する通信システムであって、
前記監視装置は、
前記複数の基地局装置の故障を監視し、
第1基地局装置の故障を検出したとき、前記第1基地局装置を代替する代替基地局装置を選択し、
前記第1基地局装置が無線通信を行う第1通信装置を含む第1通信エリア用の電波送出方向と変調方式を前記代替基地局装置に通知し、
前記代替基地局装置は、
前記第1通信エリアと第2通信エリアとを切り替え契機において切り替えるエリア切替処理を実行する
通信システム。
【請求項9】
複数の基地局装置と、前記基地局装置と無線通信を行う通信装置と、前記基地局装置を監視する監視装置を有する通信システムの前記監視装置における監視方法であって、
前記複数の基地局装置の故障を監視し、
第1基地局装置の故障を検出したとき、前記第1基地局装置を代替する代替基地局装置を選択し、
前記第1基地局装置が無線通信を行う第1通信装置を含む第1通信エリア用の電波送出方向と変調方式を前記代替基地局装置に通知し、前記第1通信エリアと第2通信エリアとを切り替え契機において切り替えるエリア切替処理を実行させる
監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置、通信システム、及び監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
企業や自治体などにおいて、例えば、ローカル5Gを利用した、所定の敷地内で行うプライベート無線の通信システムがある。例えば、工場などのテナント内に設置された通信システムでは、IoT(Internet of Things)を用いて作業機器から情報を取得することで、製造作業を管理する。
【0003】
プライベート無線では、例えば、複数の基地局装置が敷地内に設置され、IoTを搭載した作業機器と無線通信を行う。複数の基地局装置は、可能な限り通信エリアが重複しないように設置される。
【0004】
プライベート無線に関する技術としては、例えば、以下の先行技術文献に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-177700号公報
【特許文献2】特開2001-83231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、プライベート無線では、基地局装置に故障が発生すると、当該基地局装置が通信を行っていた作業機器と通信を行うことができず、情報を取得することができない。
【0007】
そのため、例えば、予備の基地局装置を設置し、故障した基地局装置を予備の基地局装置に代替し、通信を行う通信システムがある。この通信システムでは、予備の基地局装置を設置するため、コストが増大となる。
【0008】
また、例えば、高出力の基地局装置を設置し、故障した基地局装置の通信エリアまでカバーする通信システムがある。しかし、基地局装置の出力パワーには上限制限がある場合や、他の基地局装置の通信エリアとの干渉調整などの要因で、基地局装置の出力を無条件に高くすることができない通信システムがある。このような通信システムでは、故障時に他の基地局装置で出力を高くすることで通信範囲を拡大することができない場合がある。
【0009】
そこで、一開示は、基地局装置の送信出力に制限がある通信システムにおいて、設備設置費用を抑制しつつ故障が発生した基地局装置の通信エリアをカバーする監視装置、通信システム、及び監視方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
複数の基地局装置と、前記基地局装置と無線通信を行う通信装置と、前記基地局装置を監視する監視装置を有する通信システムにおける監視装置であって、前記複数の基地局装置の故障を監視する監視部と、第1基地局装置の故障を検出したとき、前記第1基地局装置を代替する代替基地局装置を選択する選択部と、前記第1基地局装置が無線通信を行う第1通信装置を含む第1通信エリア用の電波送出方向と変調方式を前記代替基地局装置に通知し、前記第1通信エリアと第2通信エリアとを切り替え契機において切り替えるエリア切替処理を実行させる制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
一開示は、基地局装置の送信出力に制限がある通信システムにおいて、設備設置費用を抑制しつつ故障が発生した基地局装置の通信エリアをカバーすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、通信システム10の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、監視装置300の構成例を表す図である。
【
図3】
図3は、基地局装置200の構成例を表す図である。
【
図4】
図4は、障害監視処理のシーケンスの例を示す図である。
【
図5】
図5は、障害監視処理S10の処理フローチャートの例を示す図である。
【
図6】
図6は、通信リカバリ処理S20の処理フローチャートの例を示す図である。
【
図7】
図7は、障害監視処理の通常エリアへの切り替えのシーケンスの例を示す図である。
【
図8】
図8は、障害復旧監視処理の処理フローチャートの例を示す図である。
【
図9】
図9は、第2の実施の形態における、障害監視処理のシーケンスの例を示す図である。
【
図10】
図10は、第2の実施の形態における、通信リカバリ処理S40の処理フローチャートの例を示す図である。
【
図11】
図11は、エリア切替開始指示受信処理S50の処理フローチャートの例を示す図である。
【
図12】
図12は、第2の実施の形態における、障害監視処理の通常エリアへの切り替えのシーケンスの例を示す図である。
【
図13】
図13は、第2の実施の形態における、障害復旧監視処理の処理フローチャートの例を示す図である。
【
図14】
図14は、エリア切替停止指示受信処理S70の処理フローチャートの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、通信システム10の構成例を示す図である。通信システム10は、監視装置300、コアネットワーク装置400、通信装置100-1,2、及び基地局装置200-1,2を有する。
【0014】
基地局装置200-1,2(以降、基地局装置200と呼ぶ場合がある)は、それぞれ通信エリアA200-1、A200-2を有する。基地局装置200は、通信エリア内の通信装置と無線接続し、通信を行う。また、基地局装置200は、指向性アンテナを有し、多値変調方式の変更や指向性アンテナを用いて、電波の送信方向を制御することができる。
【0015】
通信装置100-1,2(以降、通信装置100と呼ぶ場合がある)は、基地局装置200と無線接続し、通信を行う。通信装置100は、例えば、IoTに対応した通信デバイスである。通信装置100は、例えば、基地局装置200を介して、情報を監視装置300や情報を収集する装置(図示しない)に送信する。
【0016】
監視装置300は、基地局装置200の故障の有無を監視する装置であり、例えば、サーバマシンやコンピュータである。監視装置300は、基地局装置200の故障を監視し、故障が発生した場合、代替の基地局装置200を選択し、代替基地局装置に故障した基地局装置の代替処理を実行させる。
【0017】
コアネットワーク装置400は、監視装置300、基地局装置200を相互に接続する装置であり、例えば、EPC(Evolved Packet Core)制御信号のゲートウェイであるMME(Mobility Management Entity)、ユーザーのデータのゲートウェイであるSGW(Serving Gateway)、ネットワークに接続するためのゲートウェイであるPGW(Packet data network Gateway)などの機能を備える。
【0018】
なお、
図1において、基地局装置200は2台であるが、3台以上であってもよい。また、
図1において、通信装置100は2台であるが、1台又は3台以上であってもよい。
【0019】
<監視装置300の構成例>
図2は、監視装置300の構成例を表す図である。監視装置300は、CPU(Central Processing Unit)310、ストレージ320、メモリ330、及び通信回路340を有する。
【0020】
ストレージ320は、プログラムやデータを記憶する、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、又はSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置である。ストレージ320は、基地局装置制御プログラム321、基地局装置故障検知プログラム322、障害監視プログラム323、障害復旧監視プログラム324、基地局装置情報325、及び通信装置情報326を記憶する。
【0021】
基地局装置情報325は、通信システム10内に設置されている基地局装置200に関する情報を含む。基地局装置情報325は、例えば、基地局装置200の設置位置、送信出力、受信感度、通信を行う通信装置100の識別子などの情報を含む。
【0022】
通信装置情報326は、通信システム10内に設置されている通信装置100に関する情報を含む。通信装置情報326は、例えば、通信装置100の設置位置、送信出力、受信感度、通信を行う基地局装置200の識別子などの情報を含む。
【0023】
メモリ330は、ストレージ320に記憶されているプログラムをロードする領域である。また、メモリ330は、プログラムがデータを記憶する領域としても使用されてもよい。
【0024】
通信回路340は、コアネットワーク装置400を介して、基地局装置200や通信装置100と通信を行う装置である。通信回路340は、例えば、NI(Network Interface)などの有線の通信回路であってもよいし、無線接続に対応する通信回路であってもよい。
【0025】
CPU310は、ストレージ320に記憶されているプログラムを、メモリ330にロードし、ロードしたプログラムを実行し、各部を構築し、各処理を実現するプロセッサである。
【0026】
CPU310は、基地局装置制御プログラム321を実行することで、制御部を構築し、基地局装置制御処理を行う。基地局装置制御処理は、基地局装置200の通信エリアを制御する処理である。監視装置300は、基地局装置制御処理において、所定のメッセージを基地局装置200に送信し、電波の送出方向(通信方向)や使用する変調方式などを指示する。
【0027】
変調方式は、無線を送受信する無線信号に対して、振幅、周波数、位相などを変調させる無線信号を伝送する方式である。変調方式は、例えば、多値変調方式を含む。多値変調方式は、伝送容量に応じた複数種類の方式(例えば、QPSK,16QAM,64QAM,256QAMなど)がある。多値変調方式を変更することで、搬送波電力対雑音レベル比(C/N比)が変化する。搬送波電力対雑音レベル比に応じて、電波距離も変化する。例えば、多値変調方式を256QAM方式からQPSK方式に変更することで、電波距離を伸長することができる。変調方式は、例えば、データ送信量が少ない方式ほど、電波距離が長くなる。監視装置300は、この変調方式における特性を利用し、基地局装置200に変調方式の変更を指示することで電波距離を調整し、故障した基地局装置200の通信エリアをリカバリする。
【0028】
CPU310は、基地局装置故障検知プログラム322を実行することで、監視部を構築し、基地局装置故障検知処理を行う。基地局装置故障検知処理は、基地局装置200の故障を検知する処理である。監視装置300は、例えば、基地局装置200から故障したことを示す通知を受信し、故障を検知する。また、監視装置300は、基地局装置200と行うポーリングが中断したことを検出し、故障を検知する。
【0029】
CPU310は、障害監視プログラム323を実行することで、監視部、選択部、及び制御部を構築し、障害監視処理を行う。障害監視処理は、基地局装置200の故障を監視し、故障が発生した基地局装置200を代替する代替基地局装置を選択し、代替基地局装置に故障した基地局装置200の通信エリアをリカバリさせる処理である。
【0030】
CPU310は、障害監視プログラム323が有する通信リカバリモジュール3231を実行することで、選択部及び制御部を構築し、通信リカバリ処理を行う。通信リカバリ処理は、代替基地局装置に、故障した基地局装置200の通信エリアをリカバリさせる処理である。
【0031】
CPU310は、障害復旧監視プログラム324を実行することで、監視部を構築し、障害復旧監視処理を行う。障害復旧監視処理は、基地局装置200の障害復旧時に、代替基地局装置に対して実行中の通信リカバリ処理を停止させる処理である。
【0032】
<基地局装置200の構成例>
図3は、基地局装置200の構成例を表す図である。基地局装置200は、CPU210、ストレージ220、メモリ230、通信回路240、及び無線通信回路250を有する。
【0033】
ストレージ220は、プログラムやデータを記憶する、フラッシュメモリ、HDD、又はSSDなどの補助記憶装置である。ストレージ220は、無線通信プログラム221、被制御プログラム222、エリア切替開始指示受信プログラム223、及びエリア切替停止指示受信プログラム224を記憶する。
【0034】
メモリ230は、ストレージ220に記憶されているプログラムをロードする領域である。また、メモリ230は、プログラムがデータを記憶する領域としても使用されてもよい。
【0035】
通信回路240は、コアネットワーク装置400を介し、監視装置300と通信を行う装置である。通信回路240は、例えば、NIなどの有線の通信回路であってもよいし、無線接続に対応する通信回路であってもよい。
【0036】
無線通信回路250は、通信装置100と無線接続し、無線通信を行う装置である。無線通信回路250は、指向性アンテナ251を有する。無線通信回路250は、指向性アンテナ251を用いて、電波を送出(受信)する方向を制御することができる。
【0037】
指向性アンテナ251は、指定された方向に対して電波を送信することができる。また、指向性アンテナは、指定された方向から送信された電波を受信することができる。基地局装置200は、指向性アンテナの方向を制御することで、所定の方向に通信エリアを構成する。
【0038】
CPU210は、ストレージ220に記憶されているプログラムを、メモリ230にロードし、ロードしたプログラムを実行し、各部を構築し、各処理を実現するプロセッサである。
【0039】
CPU210は、無線通信プログラム221を実行することで、無線通信処理を行う。無線通信処理は、通信装置100と無線通信を行う処理である。基地局装置200は、自装置の通信エリア内に位置する通信装置100と無線接続し、無線通信を行う。
【0040】
CPU210は、被制御プログラム222を実行することで、被制御処理を行う。被制御処理は、監視装置300の指示に従い、通信エリアを切り替える処理である。基地局装置200は、被制御処理において、監視装置300から指示を受信し、電波送出方向及び変調方式を変更する。
【0041】
CPU210は、エリア切替開始指示受信プログラム223を実行することで、受信部及び切替部を構築し、エリア切替開始指示受信処理を行う。エリア切替開始指示受信処理は、監視装置300からエリア切替開始指示を受信したときの処理である。基地局装置200は、エリア切替開始指示に従い、通信エリアの切り替えを行う。
【0042】
CPU210は、エリア切替停止指示受信プログラム224を実行することで、受信部及び切替部を構築し、エリア切替停止指示受信処理を行う。エリア切替停止指示受信処理は、監視装置300からエリア切替停止指示を受信したときの処理である。基地局装置200は、エリア切替停止指示に従い、エリアの切り替えを停止し、通常の通信エリアへの電波の送信を再開する。
【0043】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態について説明する。第1の実施の形態において、監視装置300は、通常エリア(第2通信エリア)と代替エリア(第1通信エリア)の切り替えタイミングを測定(検出)し、代替基地局装置に通信エリアの切り替えを指示する。
【0044】
<障害監視処理>
図4は、障害監視処理のシーケンスの例を示す図である。障害監視処理S10は、監視装置300が基地局装置200の通信状態、故障状態を監視し、障害による通信が実行できない通信エリアに対して、通信を一時的にカバーする(リカバリする)処理である。
【0045】
基地局装置200-2は、通信装置100-2と通信が行えないレベルの、何らかの障害が発生する(S100)。基地局装置200-2は、障害が発生していることを、コアネットワーク装置400を介して(S101)、監視装置300に通知する(S102)。
【0046】
監視装置300は、障害監視処理S10を実行する。
図5は、障害監視処理S10の処理フローチャートの例を示す図である。監視装置300は、基地局装置200に故障が発生しているか否かを監視する(S10-1)。監視装置300は、基地局装置200に故障が発生したことを検出するのを待ち受ける(S10-1のNo)。
【0047】
監視装置300は、基地局装置200に故障が発生したことを検出すると(S10-1のYes)、故障した基地局装置200の代替基地局装置を選択し(S10-2)、通信リカバリ処理S20を実行し、再度監視処理S10-1を実行する。監視装置300は、例えば、基地局装置情報や通信装置情報に基づき、代替基地局装置を選択する。
【0048】
監視装置300は、例えば、故障した基地局装置200から所定距離内に位置する基地局装置200を、代替基地局装置として選択する。また、監視装置300は、例えば、故障した基地局装置200と通信を行う通信装置100から所定距離内に位置する基地局装置を、代替基地局装置として選択する。代替基地局装置は、故障した基地局装置200と通信を行う通信装置100に無線通信が可能である範囲に位置する基地局装置である。
【0049】
図6は、通信リカバリ処理S20の処理フローチャートの例を示す図である。監視装置300は、代替基地局装置が故障している基地局装置200と通信を行う通信装置100をカバーする代替エリア用の電波送出方向を決定する(S20-1)。電波送出方向は、指向性アンテナ251により電波を送信する方向である。電波送出方向は、例えば、電波を受信する方向、あるいは通信を行う方向を含んでもよい。
【0050】
また、監視装置300は、代替エリア用の変調方式を決定する(S20-2)。代替エリアは、例えば、故障が発生している基地局装置200と通信を行っている通信装置100をカバーする通信エリアである。監視装置300は、変調方式を切り替えることで、例えば、送信出力が制限されている(基地局装置200の性能による、又は無線使用許可時の制限事項など)場合でも、通信エリア(電波距離)を伸長することができる。
【0051】
また、監視装置300は、変調方式の決定において、MCS(Modulation and Coding Scheme)を選択してもよい。
【0052】
監視装置300は、代替基地局装置が通常時(基地局装置に故障が発生していない状態)における通信エリアである通常エリアと代替エリアの切り替えタイミングを待ち受ける(S20-3のNo)。切り替えタイミングは、例えば、通信装置100が情報を送信するタイミングに応じたタイミングである。また、切り替えタイミングは、例えば、フレームの切り替えに応じたタイミングである。
【0053】
監視装置300は、切り替えタイミングになると(S20-3のYes)、通常エリア用の電波を送出中か否かを確認する(S20-4)。監視装置300は、通常エリア用の電波を送出している場合(S20-4のYes)、代替エリア用の電波を送出するよう代替基地局装置に指示し(S20-6)、再度切り替えタイミングを待ち受ける(S20-3)。
【0054】
一方、監視装置300は、代替エリア用の電波を送出している場合(S20-4のNo)、通常エリア用の電波を送出するよう代替基地局装置に指示し(S20-5)、再度切り替えタイミングを待ち受ける(S20-3)。
【0055】
図4のシーケンスに戻り、監視装置300は、障害監視処理S10において、基地局装置200-2に故障が発生していることを検出する(S102、
図5のS10-1のYes)。監視装置300は、故障した基地局装置200-2の代替基地局装置として、隣接する基地局装置200-1を選択する(
図5のS10-2)。そして、監視装置300は、代替エリア用の電波送出方向及び変調方式を決定し(
図5のS10-3、4)、通信リカバリ処理S20を実行する。
【0056】
監視装置300は、例えば、通信装置100-2の方向を、電波送出方向と決定する。また、監視装置300は、電波の送信出力を変更する(増大させる)ことなく、通信装置100-2と無線通信可能な変調方式を決定する。監視装置300は、例えば、基地局装置200-1が通常エリアで使用している変調方式では、通信装置100-2と無線通信することができない場合、より電波距離が長い(データ送信量が少ない、データ伝送率が低い)変調方式を代替エリア用の変調方式として決定する。
【0057】
監視装置300は、故障している基地局装置200-2の通信エリア内の通信装置100-2をカバーする代替エリアRA200-1の、電波送出方向を決定し(
図6のS20-1)、さらに変調方式を決定する(
図6のS20-2)。
【0058】
監視装置300は、切り替えタイミングになると(
図6のS20-3のYes)、通常エリア用の電波を送信している(
図6のS20-4のYes)基地局装置200-1に、代替エリア用の電波を送出するように、コアネットワーク装置400を介して指示する(S103、S104、
図6のS20-6)。
【0059】
基地局装置200-1は、監視装置300からの指示を受信すると(S104)、指示された電波送出方向(A200-1-aの方向)に電波の送出方向を変更する(S105)。さらに、基地局装置200-1は、指示された変調方式に変更することで、電波の到達範囲を拡張し(S106)、代替エリアRA200-1の通信エリアをカバーする。これにより、通信装置100-2は、代替基地局装置である基地局装置200-1と通信を行うことができる。
【0060】
図7は、障害監視処理の通常エリアへの切り替えのシーケンスの例を示す図である。監視装置300は、代替エリアRA200-1に電波を送信している状態において、切り替えタイミングになると(
図6のS20-3のYes)、代替エリア用の電波を送信している(
図6のS20-4のNo)基地局装置200-1に、通常エリアA200-1の電波を送出するように、コアネットワーク装置400を介して指示する(S107、S108、
図6のS20-5)。
【0061】
基地局装置200-1は、監視装置300からの指示を受信すると(S108)、指示された電波送出方向(A200-1の方向)に電波の送出方向を変更し、さらに指示された変調方式に変更する(S109)。これにより、通信装置100-1は、従来通信している基地局装置200-1と通信を行うことができる。
【0062】
以降、監視装置300は、切り替えタイミングを検出するごとに(
図6のS20-3のYes)、代替エリアと通常エリアの切り替えを行うよう、代替基地局装置である基地局装置200-1に指示を行う(
図6のS20-5,6)。すなわち、代替基地局装置は、故障が発生した基地局装置200の通信エリア、及び通常の状態における通信エリアの両方をカバーすることができる。
【0063】
第1の実施の形態において、監視装置300は、切り替えタイミングにおいて代替基地局装置の送信する電波を変更し、代替エリアと通常エリアを切り替えることで、故障が発生している基地局装置と通信を行う通信装置100の通信を維持することができる。
【0064】
<障害復旧監視処理>
図8は、障害復旧監視処理の処理フローチャートの例を示す図である。障害復旧監視処理S30は、監視装置300が通信に障害が発生している基地局装置200の復旧を監視し、通信リカバリ処理S20を停止する処理である。
【0065】
監視装置300は、故障している基地局装置200が復旧したか否かを監視する(S30-1のNo)。監視装置300は、故障している基地局装置200が復旧したことを検出すると(S30-1のYes)、代替基地局装置に、通常エリア用の電波を送出するように指示し(S30-2)、通信リカバリ処理S20を停止し(S30-3)、処理を終了する。
【0066】
代替基地局装置は、通常エリア用の電波を送出する指示を受信したとき、代替エリア用の電波を送信中である場合、通常エリア用の電波に切り替える。一方、代替基地局装置は、通常エリア用の電波を送出する指示を受信したとき、通常エリア用の電波を送信中である場合、そのまま通常エリア用の電波の送出を維持する。これにより、監視装置300は、通信システム10を、基地局装置200に故障が発生する前の通信エリアに戻すことができる。
【0067】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態において、基地局装置200は、自装置において切り替えタイミングを検出し、通常エリアと代替エリアの切り替えを行う。これにより、基地局装置200と監視装置300との間の通信量を抑制することができる。
【0068】
<障害監視処理>
図9は、第2の実施の形態における、障害監視処理のシーケンスの例を示す図である。基地局装置200-2は、何らかの障害が発生し、無線通信ができなくなる(S200)。基地局装置200-2は、障害が発生していることを、コアネットワーク装置400を介して(S201)、監視装置300に通知する(S202)。
【0069】
監視装置300は、障害監視処理S10を実行する。監視装置300は、障害監視処理S10において、基地局装置200-2に故障が発生していることを検出する(S202、
図5のS10-1のYes)。監視装置300は、故障した基地局装置200-2の代替基地局装置として、隣接する基地局装置200-1を選択する(
図5のS10-2)。そして、監視装置300は、通信リカバリ処理S40を実行する。
【0070】
図10は、第2の実施の形態における、通信リカバリ処理S40の処理フローチャートの例を示す図である。監視装置300は、代替基地局装置が故障している基地局装置200と通信を行う通信装置100をカバーする通信エリア(代替エリア)用の電波送出方向を決定する(S40-1)。また、監視装置300は、代替エリア用の変調方式を決定する(S40-2)。
【0071】
監視装置300は、代替エリア用の電波送出方向及び変調方式と、切り替えタイミングに関する情報を含む、エリア切替開始指示を代替基地局装置に送信し(S40-3)、処理を終了する。
【0072】
図9のシーケンスに戻り、監視装置300は、故障している基地局装置200-2の通信エリア内の通信装置100-2をカバーする代替エリアRA200-1の、電波送出方向を決定し(
図10のS40-1)、変調方式を決定する(
図10のS40-2)。そして、監視装置300は、コアネットワーク装置400を介して(S203)、エリア切替開始指示を、代替基地局装置である基地局装置200-1に送信する(S204、
図10のS40-3)。
【0073】
基地局装置200-1は、エリア切替開始指示を受信すると(S203)、エリア切替開始指示受信処理S50を実行する。
【0074】
図11は、エリア切替開始指示受信処理S50の処理フローチャートの例を示す図である。基地局装置200は、エリア切替開始指示受信処理S50において、切り替えタイミングになるのを待ち受ける(S50-1のNo)。
【0075】
基地局装置200は、切り替えタイミングになると(S50-1のYes)、通常エリア用の電波を送出している場合(S50-2のYes)、代替エリア用の電波に切り替え(S50-4)、代替エリア用の電波を送出している場合(S50-2のNo)、通常エリア用の電波に切り替え(S50-3)、再度切り替えタイミングを待ち受ける(S50-1)。
【0076】
基地局装置200は、代替エリア用の電波に切り替える場合、エリア切替開始指示に含まれる、代替エリア用の電波送出方向、変調方式、切り替えタイミングに従う。
【0077】
図9のシーケンスに戻り、基地局装置200-1は、エリア切替開始指示受信処理S50において、切り替えタイミングになると(
図11のS50-1のYes)、通常エリアA200-1から代替エリアRA200-1に切り替える(S205、
図11のS50-4)。
【0078】
図12は、第2の実施の形態における障害監視処理の通常エリアへの切り替えのシーケンスの例を示す図である。基地局装置200-1は、代替エリアRA200-1に電波を送信している状態において、切り替えタイミングになると(
図11のS50-1のYes)、通常エリアA200-1の電波を送出する(
図11のS50-3)。これにより、通信装置100-1は、従来通信している基地局装置200-1と通信を行うことができる。
【0079】
以降、基地局装置200-1は、切り替えタイミングを検出するごとに(
図11のS50-1のYes)、代替エリアと通常エリアの切り替えを行う(
図11のS50-3、S50-4)。これにより、代替基地局装置である基地局装置200-1は、故障が発生した基地局装置200-2の通信エリア、及び通常の状態における通信エリアの両方をカバーすることができる。
【0080】
<障害復旧監視処理>
図13は、第2の実施の形態における、障害復旧監視処理の処理フローチャートの例を示す図である。監視装置300は、故障している基地局装置200が復旧したか否かを監視する(S60-1のNo)。監視装置300は、故障している基地局装置200が復旧したことを検出すると(S60-1のYes)、代替基地局装置に、エリア切替停止指示を送信し(S60-2)、処理を終了する。
【0081】
代替基地局装置は、エリア切替停止指示を受信すると、エリア切替停止指示受信処理S70を実行する。
【0082】
図14は、エリア切替停止指示受信処理S70の処理フローチャートの例を示す図である。基地局装置200は、エリア切替停止指示受信処理S70において、エリア切替開始指示受信処理S50を停止する(S70-1)。そして、基地局装置200は、通常エリア用の電波を送出していない場合(S70-2のNo)、通常エリア用の電波を送出し(S70-3)、処理を終了する。
【0083】
一方、基地局装置200は、通常エリア用の電波を送出している場合(S70-2のYes)、そのまま通常エリア用の電波の送出を維持し、処理を終了する。
【0084】
[その他の実施の形態]
第2の実施の形態における切り替えタイミングは、例えば、監視装置300が検出し、基地局装置200に対して通知してもよい。また、監視装置300は、基地局装置200の故障を、コアネットワーク装置400を介さずに、検出してもよい。また、基地局装置200の故障は、基地局装置200自身が監視装置300に通知してもよいし、他の装置が基地局装置200の故障を検知し、監視装置300に通知してもよい。
【0085】
また、監視装置300は、通信装置100が移動体通信装置である場合、通信装置100から通信装置情報を取得してもよい。
【0086】
以上まとめると、付記のようになる。
【0087】
(付記1)
複数の基地局装置と、前記基地局装置と無線通信を行う通信装置と、前記基地局装置を監視する監視装置を有する通信システムにおける監視装置であって、
前記複数の基地局装置の故障を監視する監視部と、
第1基地局装置の故障を検出したとき、前記第1基地局装置を代替する代替基地局装置を選択する選択部と、
前記第1基地局装置が無線通信を行う第1通信装置を含む第1通信エリア用の電波送出方向と変調方式を前記代替基地局装置に通知し、前記第1通信エリアと第2通信エリアとを切り替え契機において切り替えるエリア切替処理を実行させる制御部と、
を有する監視装置。
【0088】
(付記2)
前記第2通信エリアは、前記第1基地局装置が故障していないときの前記代替基地局装置の通信エリアである
付記1記載の監視装置。
【0089】
(付記3)
前記切り替え契機は、前記第1通信装置が前記第1基地局装置に情報を送信するタイミングに応じて設定される
付記1記載の監視装置。
【0090】
(付記4)
前記エリア切替処理は、無線信号のフレームの切り替えに応じたタイミングで切り替えが実行される
付記1記載の監視装置。
【0091】
(付記5)
前記代替基地局装置は、前記第1基地局装置と所定距離内に位置する前記基地局装置である
付記1記載の監視装置。
【0092】
(付記6)
前記通信装置は、IoT(Internet of Things)に対応する装置である
付記1記載の監視装置。
【0093】
(付記7)
前記制御部は、前記第1通信エリアで使用する変調方式として、前記代替基地局装置が前記第2通信エリアで使用する送信出力で、前記第1通信装置と無線接続が可能な変調方式を選択する
付記1記載の監視装置。
【0094】
(付記8)
前記制御部は、前記代替基地局装置が前記第2通信エリアで使用する送信出力及び変調方式では前記第1通信装置と無線通信ができない場合、前記第1通信エリアで使用する変調方式として、前記第2通信エリアで使用する変調方式より電波距離が長い変調方式を選択する
付記1記載の監視装置。
【0095】
(付記9)
前記監視部は、前記第1基地局装置の復旧を監視し、
前記制御部は、前記第1基地局装置が復旧したとき、前記代替基地局装置に前記エリア切替処理を停止させ、前記第2通信エリアに切り替えさせる
付記2記載の監視装置。
【0096】
(付記10)
複数の基地局装置と、前記基地局装置と無線通信を行う通信装置と、前記基地局装置を監視する監視装置を有する通信システムにおける基地局装置であって、
前記監視装置によって、故障した第1基地局装置を代替する代替基地局装置として選択されたとき、前記第1基地局装置が無線通信を行う第1通信装置を含む第1通信エリア用の電波送出方向と変調方式、及び前記第1通信エリアと第2通信エリアの切り替え契機に関する情報を、前記監視装置から受信する受信部と、
前記第1通信エリアと前記第2通信エリアを、前記切り替え契機において切り替えるエリア切替処理を実行する切替部と、
を有する基地局装置。
【0097】
(付記11)
複数の基地局装置と、前記基地局装置と無線通信を行う通信装置と、前記基地局装置を監視する監視装置を有する通信システムであって、
前記監視装置は、
前記複数の基地局装置の故障を監視し、
第1基地局装置の故障を検出したとき、前記第1基地局装置を代替する代替基地局装置を選択し、
前記第1基地局装置が無線通信を行う第1通信装置を含む第1通信エリア用の電波送出方向と変調方式を前記代替基地局装置に通知し、
前記代替基地局装置は、
前記第1通信エリアと第2通信エリアとを切り替え契機において切り替えるエリア切替処理を実行する
通信システム。
【0098】
(付記12)
複数の基地局装置と、前記基地局装置と無線通信を行う通信装置と、前記基地局装置を監視する監視装置を有する通信システムの前記監視装置における監視方法であって、
前記複数の基地局装置の故障を監視し、
第1基地局装置の故障を検出したとき、前記第1基地局装置を代替する代替基地局装置を選択し、
前記第1基地局装置が無線通信を行う第1通信装置を含む第1通信エリア用の電波送出方向と変調方式を前記代替基地局装置に通知し、前記第1通信エリアと第2通信エリアとを切り替え契機において切り替えるエリア切替処理を実行させる
監視方法。
【符号の説明】
【0099】
10 :通信システム
100 :通信装置
200 :基地局装置
210 :CPU
220 :ストレージ
221 :無線通信プログラム
222 :被制御プログラム
223 :エリア切替開始指示受信プログラム
224 :エリア切替停止指示受信プログラム
230 :メモリ
240 :通信回路
250 :無線通信回路
251 :指向性アンテナ
300 :監視装置
310 :CPU
320 :ストレージ
321 :基地局装置制御プログラム
322 :基地局装置故障検知プログラム
323 :障害監視プログラム
3231 :通信リカバリモジュール
324 :障害復旧監視プログラム
325 :基地局装置情報
326 :通信装置情報
330 :メモリ
340 :通信回路
400 :コアネットワーク装置