(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180778
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】衛生用マスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A41D13/11 H
A41D13/11 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087460
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】521225834
【氏名又は名称】医療法人花仁会
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(72)【発明者】
【氏名】花輪 峰夫
(57)【要約】
【課題】飲食の際に取り外す必要がない衛生用マスクを実現する。
【解決手段】衛生用マスク100において、鼻及び口を被覆するシート状のマスク本体部1と、一端が前記マスク本体部の上部の両側端部に夫々固定され、夫々の他端を着用者の頭部の後方で結ぶことで前記マスク本体部を前記頭部に固定する一対の固定紐2と、前記一対の固定紐により前記マスク本体部を前記頭部に固定した状態で、前記マスク本体部の上下方向の略中央を折り目として折り畳んだ状態を保持する粘着テープ3と、を備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼻及び口を被覆するシート状のマスク本体部と、
一端が前記マスク本体部の上部の両側端部に夫々固定され、夫々の他端を着用者の頭部の後方で結ぶことで前記マスク本体部を前記頭部に固定する一対の固定紐と、
前記一対の固定紐により前記マスク本体部を前記頭部に固定した状態で、前記マスク本体部の上下方向の略中央を折り目として折り畳んだ状態を保持する保持手段と、
を備えたことを特徴とする衛生用マスク。
【請求項2】
前記保持手段は、前記マスク本体部の上端部又は下端部に取り付けられた粘着テープを備えることを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の衛生用マスク。
【請求項3】
前記保持手段は、前記マスク本体部の両側端部に上下方向に沿って配置された第1形状保持部材を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の衛生用マスク。
【請求項4】
前記マスク本体部の下端部において長手方向に沿って配置された第2形状保持部材を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の衛生用マスク。
【請求項5】
前記衛生用マスクは手術用マスクであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の衛生用マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生用マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な衛生用マスクは、不織布やガーゼなどの素材を用いて鼻と口を覆うシート状のマスク本体部と、このマスク本体部の両側端のそれぞれの上下端に取り付けて耳に掛けられるようにしたゴム輪状の耳掛紐で構成されている。
しかしながら、衛生用マスクを外して食事テーブル上に置いた場合、鼻や口に接するマスク本体部の内側面に飛沫などが付着して清潔な状態を保てないため、感染リスクが増大するという課題があるとともに、そもそも、衛生用マスクを付けたり外したりする手間が煩雑である。
【0003】
このような課題を解決するものとして、マスク本体部に折れ線を有し、2つ折りにすることでマスク本体部の内側面を清潔に保ちつつ、サイズが半分になって収納しやすい折り畳み式マスクが考案されている。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の折り畳み式マスクはサイズを半分にすることができるが、飲食の際には一旦マスクを外す必要があるという課題は依然として残っている。
特に、手術用マスクのように着用者の頭部に紐で結んで固定するマスクの場合の付け外しの煩雑さは顕著である。
【0006】
本発明の目的は、飲食の際に取り外す必要がない衛生用マスクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る衛生用マスクは、
鼻及び口を被覆するシート状のマスク本体部と、
一端が前記マスク本体部の上部の両側端部に夫々固定され、夫々の他端を着用者の頭部の後方で結ぶことで前記マスク本体部を前記頭部に固定する一対の固定紐と、
前記一対の固定紐により前記マスク本体部を前記頭部に固定した状態で、前記マスク本体部の上下方向の略中央を折り目として折り畳んだ状態を保持する保持手段と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、飲食の際に取り外す必要がない衛生用マスクが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態の衛生用マスクの正面図である。
【
図2】本発明の実施形態の衛生用マスクを折り畳んで使用した状態を示す図である。
【
図3】
図1の変形例1の衛生用マスクの正面図である。
【
図4】
図1の変形例2の衛生用マスクの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明に係る衛生用マスクの実施形態について詳細に説明する。
なお、本実施形態では、衛生用マスク100は手術用マスクとして説明するが、必ずしもそれに限るものではなく、一般の感染症予防を目的とした衛生用マスクにも適用可能である。
【0011】
本実施形態の衛生用マスク100は、例えば、
図1(a)(b)に示すように、着用者の口及び鼻を覆うシート状のマスク本体部1と、マスク本体部1を着用者の頭部に固定するための一対の固定紐2等を備えて構成されている。
【0012】
マスク本体部1は、布あるいは不織布などのシート状の一般的な衛生用マスクの素材による。マスク本体部1の形状は略長方形である。ただし、各辺は直線でなくてもよく、曲線でもよい。また、四隅部は面取りされていてもよい。
また、マスク本体部1の内側面及び外側面は平面であってもよいが、基材をずらしながら折り重ねたプリーツを有する構造であってもよい。どちらの形態も、本明細書における「シート状」に含まれるものとする。
【0013】
一対の固定紐2は、どちらも一端がマスク本体部1の上部の両側端部に固定されている。マスク着用時にはそれぞれの固定紐2の他端を頭部の後方で結ぶことで、マスク本体部1は上部の両側端部が頭部に固定される。
ただし、固定紐2は必ずしも
図1のようにマスク本体部1の上端部の両側端部に備えられている必要はなく、略長方形のマスク本体部1の上下方向の略中央より上の位置であれば、本明細書における「上部」に含まれるものとする。
【0014】
マスク本体部1の上端部には、略長方形状のノーズピース4が備えられている。ノーズピース4は、例えば針金などの形状保持部材である。着用者の鼻の周辺の形状に合わせて変形し、その形状を保持することでマスク本体部1の上端部を着用者の顔面の形に合わせることができ、隙間を小さくして飛沫の出入りを防ぐことができる。
【0015】
衛生用マスク100は、マスク本体部1の下半分を外側方向におよそ180°回転するように折ることで、マスク本体部1が二つ折りにされた状態になる。マスク本体部1の折り目は、マスク本体部1の上下方向におけるほぼ中間に、両方の側端部を結ぶように形成される。マスク本体部1の素材は柔軟性があるため、明確な折り目を必ずしも備えている必要はなく、マスク本体部1の上下方向におけるほぼ中間の任意の位置で折るような形態も可能である。
【0016】
マスク本体部1の外側面の上端側の二つの隅部には、保持手段としての粘着テープ3が各々設けられている。
粘着テープ3は表面に弱粘着剤が塗布されており、その上に剥離紙を有する。
飲食の際には、粘着テープ3の剥離紙を剥し、マスク本体部1の下半分を外側方向におよそ180°回転するように折る。これにより、マスク本体部1の外側面の上端部と外側面の下端部が接するので、マスク本体部1の外側面の上端部と外側面の下端部は粘着テープ3で固定され、マスク本体部1が上下方向の略中央を折り目として二つに折り畳まれた状態が保たれる。
つまり、一対の固定紐2によってマスク本体部1を頭部に固定した状態で、マスク本体部1の上下方向の略中央を折り目として折り畳んだ状態が保持される。
図2は、マスク本体部1を装着したまま二つに折った図である。この状態であれば、マスクを取り外すことなく飲食が可能である。
【0017】
本実施形態の衛生用マスク100は、従来、一般的であった耳に掛けるタイプのマスクと異なり、マスク本体部1の上部の両側端部に固定された紐部を頭部の後方で結ぶ方式であるので、マスク自体は頭部に固定されたままでありながら目の下で二つに折れ、口が露出し、マスクを外すことなく飲食が可能となる。
よって、本実施形態の衛生用マスク100であれば、飲食の際に外す必要がないため、マスクを置く場所を必要としない。長時間の手術などの場合には何度も水分補給することになるが、その度にマスクを外す必要がないため、衛生的かつスムーズに手術を進めることが可能となる。
【0018】
[変形例1]
また、
図3に示す変形例1の衛生用マスク100Aは、略長方形のマスク本体部1の両方の側端部に上下方向に沿って、保持手段としての第1形状保持部材5を備える。第1形状保持部材5は、ノーズピース4と同様に、例えば針金などにより構成される。
この場合、第1形状保持部材5を手で折ることで折り目を形成し、マスク本体部1を二つに折った状態を容易に保持することができる。
【0019】
[変形例2]
さらに、
図4に示す変形例2の衛生用マスク100Bは、上端部及び両側端部だけでなく、略長方形のマスク本体部1の下端部において長手方向に沿って第2形状保持部材6を備える。第2形状保持部材6は、ノーズピース4と同様に針金などにより構成される。
この場合、下端部に第2形状保持部材6を備えることで顎の周辺の形状に合わせて形状第2形状保持部材6を変形させ、その形状を保持することでマスク本体部1を顎にフィットさせることができる。
したがって、マスク本体部1の下端部に一対の固定紐がなくてもマスク本体部1をある程度顔面に密着させて固定することができる。
【0020】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
固定紐2は、マスク本体部1の上部の両側端部に固定した一対のものだけに限らず、二対あるいはそれ以上備えられてもよい。例えば、マスク本体部1の上下方向の略中央より少し上の両側端部にもう一対の固定紐を備えていてもよい。手術中は会話をしないことが一般的であり、手術用のマスクであれば飛沫の拡散防止はさほど重要ではないが、感染症防止を目的とした一般用のマスクであれば飛沫の拡散を防ぐことが重要である。感染症防止を目的とした一般用のマスクにおいて、固定紐を二対あるいはそれ以上とすることで、より強固に顔面に装着することができ、顔面との間の隙間を少なくすることで飛沫の拡散を防ぐことができる。
【0021】
また、粘着テープ3ではなく、面ファスナーを用いてマスク本体部1が二つに折れた状態を保持してもよい。使い捨てマスクであり、飲食の回数が少ない前提であれば、粘着テープによって固定する方式の方がコストがかからずに簡単に生産できるが、マスクを繰り返し使用することを前提とするのであれば、面ファスナーを用いることで数十回以上、マスクを折って飲食することが可能となる。
あるいは、面ファスナーではなく、スナップボタンを用いてマスク本体部1が二つに折れた状態を保持してもよい。面ファスナーを用いた場合と同様に数十回以上、マスクを折って飲食することが可能である。
また、マスク本体部1の下端部に、針金等で形成された形状保持部材(保持手段)を下方に突出するように設け、マスク本体部1の下半分を外側方向におよそ180°回転するように折ったのち、当該形状保持部材を鉤状に変形させてマスク本体部1の上端部に引っ掛けて折り畳み状態を保持させても良い。
【0022】
粘着テープ3はマスク本体部1の外側面の上端側の二つの隅部ではなく、上端側の任意の位置に備えられていてもよい。また、マスク本体部1の外側面の上端側ではなく、下端側の隅部、あるいは下端側の任意の位置に備えられていてもよい。
また、マスク本体部1の下半分を外側方向におよそ180°回転するように折るのではなく、マスク本体部1の下半分を内側方向におよそ180°回転するように折ることで、マスク本体部1を二つ折りにするような形態も可能である。特に、変形例1、2の場合、どちらにも対応可能である。
また、変形例2の衛生用マスク100Bにおいて、第1形状保持部材5の代わりに粘着テープ3を備えた構成でもよい。
【0023】
その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0024】
1 マスク本体部
2 固定紐
3 粘着テープ
4 ノーズピース
5 第1形状保持部材
6 第2形状保持部材
100 衛生用マスク(手術用マスク)