(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180801
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】配管支持具
(51)【国際特許分類】
F16L 3/00 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
F16L3/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087499
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】517416651
【氏名又は名称】竹野 孝司
(74)【代理人】
【識別番号】100187791
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 晃志郎
(72)【発明者】
【氏名】竹野 孝司
【テーマコード(参考)】
3H023
【Fターム(参考)】
3H023AA01
3H023AC01
3H023AE07
(57)【要約】
【課題】設置される方向にかかわらず、配管を支持するときの変形が少ない配管支持具を提供する。
【解決手段】配管支持具1は、壁面11に設置され、配管10を支持する支持具である。配管支持具1は、壁面11に設置される設置部2と、設置部2を貫通し、壁面に取り付けられる固定部材3を備える。固定部材3に繋がる軸部4と、設置部2に繋がって形成され、第一方向に沿う方向に外側に向かって形成される立設部5を備える。立設部5に繋がって形成され、軸部4を支持する軸支持部6と、軸部4に連続し、配管10を保持する配管保持部7を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に設置され、配管を支持する支持具であって、
前記壁面に設置する状態において、前記壁面に対する垂直方向を第一方向とし、前記第一方向と直交する方向のうちの一方を第二方向とし、前記第一方向及び前記第二方向とに直交する方向を第三方向とし、前記第一方向のうち前記壁面の側を内側とし反対側を外側とし、
前記壁面に設置される設置部と、
前記設置部を貫通し、前記壁面に取り付けられる固定部材と、
前記固定部材に繋がる軸部と、
前記設置部に繋がって形成され、前記第一方向に沿う方向に外側に向かって形成される立設部と、
前記立設部に繋がって形成され、前記軸部を支持する軸支持部と、
前記軸部に連続し、前記配管を保持する配管保持部を備える配管支持具。
【請求項2】
前記固定部材は、前記第二方向において、前記設置部の両端部と前記軸部との間に、該軸部に対する略対称の位置の二箇所に取り付けられる第一固定部材を含む請求項1に記載の配管支持具。
【請求項3】
前記壁面に設置される状態において、
前記設置部は、
設置される前記壁面に沿う方向に形成される設置面部を備え、
前記設置面部は、前記第一固定部材によって前記壁面に固定され、
前記立設部は、前記第二方向に沿う方向に連続する立設面部を備え、
二つの前記立設面部が、互いに前記軸部を挟んで対向し、
前記軸支持部は、二つの前記立設面部の間に繋がれ、前記設置面部と略平行に軸支持面部が形成される請求項2に記載の配管支持具。
【請求項4】
前記立設部から、前記第三方向において前記軸部から遠ざかる方向に向かって面状の第一リブが形成され、
前記第一リブは前記設置部に繋がって形成される請求項1から3のいずれかに記載の配管支持具。
【請求項5】
軸締結部材を備え、
前記軸締結部材は、前記軸支持部の前記第一方向の外側において、前記軸部との間で締結され、
前記軸部が前記軸締結部材によって締結されることにより、前記軸支持部は前記第一方向における内側方向への圧力を受け、前記軸部と該軸部に繋がる前記固定部材は、前記軸支持部と、前記固定部材が取り付けられる前記壁面とに挟まれて圧縮方向の力が発生する請求項1から4のいずれかに記載の配管支持具。
【請求項6】
前記固定部材は、前記軸部と同軸上にあり、該軸部に連続する第二固定部材を含む請求項1から5のいずれかに記載の配管支持具。
【請求項7】
前記設置部に固定される連結雌ネジ部材を備え、
前記第二固定部材は、少なくとも一部に雄ネジが形成される雄ネジ固定部材であり、
前記雄ネジ固定部材は、前記壁面に固定されて一部が前記第一方向に露出し、
前記軸部は、先端を含む少なくとも一部に雄ネジ部が形成され、
前記雄ネジ固定部材と前記軸部の前記雄ネジ部は、前記連結雌ネジ部材に螺合されて連続する請求項6に記載の配管支持具。
【請求項8】
前記連結雌ネジ部材は、二つの前記立設部と結合される請求項7に記載の配管支持具。
【請求項9】
前記設置部から、前記第三方向に沿って前記立設部に繋がる面状の第二リブを備え、
前記立設部は、前記第二リブが挿入されるリブ穴を備え、
前記第二リブは、前記リブ穴を通して前記連結雌ネジ部材に結合される請求項7又は8に記載の配管支持具。
【請求項10】
前記第二固定部材は、少なくとも一部に雌ネジが形成される雌ネジ固定部材であり、
前記雌ネジ固定部材は、前記壁面に固定され、
前記軸部は、少なくとも一部に雄ネジ部が形成され、前記雌ネジ固定部材に螺合される請求項6に記載の配管支持具。
【請求項11】
前記軸部は、先端部を含む一部が前記第二固定部材であって、前記軸部と前記第二固定部材とは一体に形成され、
少なくとも前記先端部が前記壁面に直接固定される請求項1から6のいずれかに記載の配管支持具。
【請求項12】
前記軸部が固定される軸固定部を備え、
前記軸固定部は、前記設置部に連続して形成され、
前記軸部は、前記軸固定部と前記設置部を介して前記固定部材に繋がる請求項1から4のいずれかに記載の配管支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面に設置され、配管を支持する配管支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配管支持具がいくつか提案されている。特許文献1に記載の配管支持具は、配管を保持するバンド部と、バンド部をコンクリート壁に支持するバンド支持部とを備える。バンド部は、配管を周方向に囲繞するバンド本体と、バンド本体の両端部からそれぞれ延在し、バンド本体を配管に緊結する緊結部およびヒンジ部と、バンド本体の外周面に突設され、バンド支持部に固定するための2つの被支持片部とを有している。
【0003】
この構成によれば、バンド本体の外周面に突設した1以上の被支持片部を用いて、バンド部を、バンド支持部を介して壁体に支持することができる。この場合、1以上の被支持片部をバンド本体のどの部分に設けるかにより、バンド支持部を任意の方向に配設することができる。これにより、障害物を避け、或いは周囲の壁体の向き等に応じて、バンド支持部を設置することができる。したがって、配管支持具自体を、狭いスペースに一定の自由度をもって設置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来例では、配管を保持するバンド部はバンド支持部のみによって支持されていた。バンド支持部は、脚状支持部のみによって剛性が保たれていたため、任意の方向に配設したときに、変形してしまうという課題があった。例えば、コンクリート壁が鉛直方向に形成された壁の場合、バンド支持部は配管とバンド部の重量によって撓んでしまい、配管を意図した状態に維持できないという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、従来の課題を解決すべくなされたものであり、設置される方向にかかわらず、配管を支持するときの変形が少ない配管支持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係る配管支持具は、壁面に設置され、配管を支持する支持具であって、前記壁面に設置する状態において、前記壁面に対する垂直方向を第一方向とし、前記第一方向と直交する方向のうちの一方を第二方向とし、前記第一方向及び前記第二方向とに直交する方向を第三方向とし、前記第一方向のうち前記壁面の側を内側とし反対側を外側とし、前記壁面に設置される設置部と、前記設置部を貫通し、前記壁面に取り付けられる固定部材と、前記固定部材に繋がる軸部と、前記設置部に繋がって形成され、前記第一方向に沿う方向に外側に向かって形成される立設部と、前記立設部に繋がって形成され、前記軸部を支持する軸支持部と、前記軸部に連続し、前記配管を保持する配管保持部を備える。
【0008】
これによれば、配管支持具は、固定部材が壁面に取り付けられ、固定部材に繋がる軸部が、設置部に繋がって形成される立設部、さらに立設部に繋がって形成される軸支持部に支持される。よって、固定部材に繋がる軸部は、第一方向において軸支持部と壁面とによって固定、及び支持されるので、荷重が加わった場合の変形がより低減される。
【0009】
また、前記配管支持具は、前記固定部材が、前記第二方向において、前記設置部の両端部と前記軸部との間に、該軸部に対する略対称の位置の二箇所に取り付けられる第一固定部材を含んでもよい。
【0010】
この場合、設置部は第一固定部材によって壁面に固定されるので、設置部に繋って形成される立設部と、立設部に繋がって形成される軸支持部の剛性が高くなる。よって、固定部材に繋がる軸部は、荷重が加わった場合の変形がより低減される。
【0011】
また、前記配管支持具は、前記壁面に設置される状態において、前記設置部は、設置される前記壁面に沿う方向に形成される設置面部を備え、前記設置面部は、前記第一固定部材によって前記壁面に固定され、前記立設部は、前記第二方向に沿う方向に連続する立設面部を備え、二つの前記立設面部が、互いに前記軸部を挟んで対向し、前記軸支持部は、二つの前記立設面部の間に繋がれ、前記設置面部と略平行に軸支持面部が形成されてもよい。
【0012】
この場合、立設部は、第二方向に沿う方向に連続する立設面部を備え、二つの立設面部が互いに軸部を挟んで対向するので、より剛性が高くなる。よって、立設部に繋がって形成される軸支持面部に支持される軸部は、荷重が加わった場合の変形がより低減される。
【0013】
また、前記配管支持具は、前記立設部から、前記第三方向において前記軸部から遠ざかる方向に向かって面状の第一リブが形成され、前記第一リブは前記設置部に繋がって形成されてもよい。
【0014】
この場合、立設部から形成される第一リブによって、第三方向における立設部の変形を防止することができる。よって、立設部に繋がって形成される軸支持部に支持され、第二固定部材に繋がる軸部は、荷重が加わった場合の第三方向への変形がより低減される。
【0015】
また、前記配管支持具は、軸締結部材を備え、前記軸締結部材は、前記軸支持部の前記第一方向の外側において、前記軸部との間で締結され、前記軸部が前記軸締結部材によって締結されることにより、前記軸支持部は前記第一方向における内側方向への圧力を受け、前記軸部と該軸部に繋がる前記固定部材は、前記軸支持部と、前記固定部材が取り付けられる前記壁面とに挟まれて圧縮方向の力が発生してもよい。
【0016】
この場合、軸部と軸部に繋がる固定部材は、軸支持部と、固定部材が取り付けられる壁面とに挟まれて圧縮方向の力が発生する。よって、配管支持具は、壁面に対する固定強度が高くなり、固定部材に繋がる軸部は、荷重が加わった場合の変形がより低減される。
【0017】
また、前記配管支持具の前記固定部材は、前記軸部と同軸上にあり、該軸部に連続する第二固定部材を含んでもよい。この場合、固定部材は軸部と同軸上にあるので、軸部は壁面に対する強度が高くなる。
【0018】
また、前記配管支持具は、前記設置部に固定される連結雌ネジ部材を備え、前記第二固定部材は、少なくとも一部に雄ネジが形成される雄ネジ固定部材であり、前記雄ネジ固定部材は、前記壁面に固定されて一部が前記第一方向に露出し、前記軸部は、先端を含む少なくとも一部に雄ネジ部が形成され、前記雄ネジ固定部材と前記軸部の前記雄ネジ部は、前記連結雌ネジ部材に螺合されて連続してもよい。
【0019】
この場合、設置部に固定される連結雄ネジ部材が、雄ネジ固定部材及び軸部の雄ネジ部と螺合される。よって、軸部と、第二固定部材である雄ネジ固定部材とが一体的に連続するので、軸部に荷重が加わった場合の変形がより低減される。
【0020】
また、前記配管支持具は、前記連結雌ネジ部材が二つの前記立設部と結合されてもよい。この場合、連結雌ネジ部材は立設部と結合されるので、互いの剛性がより高くなる。よって、立設部に繋がって形成される軸支持部に支持され、第二固定部材に連続する軸部は、荷重が加わった場合の変形がより低減される。
【0021】
また、前記配管支持具は、前記設置部から、前記第三方向に沿って前記立設部に繋がる面状の第二リブを備え、前記立設部は、前記第二リブが挿入されるリブ穴を備え、前記第二リブは、前記リブ穴を通して前記連結雌ネジ部材に結合されてもよい。
【0022】
この場合、リブは、第三方向に沿って設置部から立設部に繋がり、さらに連結雌ネジ部に結合される。よって、設置部と立設部、及び連結雌ネジ部材とが一体的に結合されるので互いの剛性が高くなり、軸部に荷重が加わった場合の変形がより低減される。
【0023】
また、前記配管支持具の前記第二固定部材は、少なくとも一部に雌ネジが形成される雌ネジ固定部材であり、前記雌ネジ固定部材は、前記壁面に固定され、前記軸部は、少なくとも一部に雄ネジ部が形成され、前記雌ネジ固定部材に螺合されてもよい。
【0024】
この場合、軸部は、壁面に固定される雌ネジ固定部材に螺合されるので、壁面に対して剛性が高くなる。よって、軸部に荷重が加わった場合の変形がより低減される。
【0025】
また、前記配管支持具の前記軸部は、先端部を含む一部が前記第二固定部材であって、前記軸部と前記第二固定部材とは一体に形成され、少なくとも前記先端部が前記壁面に直接固定されてもよい。この場合、軸部は、先端部が第二固定部材であり、少なくとも先端部が壁面に直接固定されるので、簡単な構成で配管支持具を提供することができる。
【0026】
また、前記配管支持具は、前記軸部が固定される軸固定部を備え、前記軸固定部は、前記設置部に連続して形成され、前記軸部は、前記軸固定部と前記設置部を介して前記固定部材に繋がってもよい。この場合、軸部は壁面に固定される設置部に固定されるので、壁面に対する強度を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第一実施形態の配管支持具1aを示す平面図である。
【
図2】本発明の第一実施形態の配管支持具1aの一部を示す斜視図である。
【
図3】
図1における断面S1-S1を示す断面図であり、各部材を組み立てる前の状態を示す。
【
図4】
図1における断面S1-S1を示す断面図であり、各部材を組み立てた状態を示す。
【
図5】
図1における断面S2-S2を示す断面図であり、各部材を組み立てた状態を示す。
【
図6】本発明の第二実施形態の配管支持具1bを示す断面図であり、
図1の断面S1-S1に相当する断面図である。
【
図7】本発明の第二実施形態の配管支持具1bを示す断面図であり、
図1の断面S2-S2に相当する断面図である。
【
図8】本発明の第三実施形態の配管支持具1cを示す断面図であり、
図1の断面S1-S1に相当する断面図である。
【
図9】本発明の第三実施形態の配管支持具1cを示す断面図であり、
図1の断面S2-S2に相当する断面図である。
【
図10】本発明の第四実施形態の配管支持具1dを示す平面図である。
【
図11】本発明の第四実施形態の配管支持具1dの一部を示す斜視図である。
【
図12】本発明の第四実施形態の配管支持具1dを示す断面図であり、
図10の断面S3-S3を示す断面図である。
【
図13】本発明の第五実施形態の配管支持具1eを示す断面図であり、
図1の断面S1-S1に相当する断面図である。
【
図14】本発明の第五実施形態の配管支持具1eを示す断面図であり、
図1の断面S2-S2に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照し、本発明を具現化した配管支持具1を説明する。なお、発明を実施するための形態、及び参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。本発明はこれらに限定されるものではない。図面に記載されている装置の構成は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0029】
<配管支持具1共通の構成>
図1から
図14までの例を参照して、本発明の配管支持具1の各実施形態に共通する構成を説明する。
図2、
図3等に示すように、配管支持具1は、壁面11に設置され、配管10を支持する支持具である。配管支持具1は、壁面11に設置する状態において、壁面11に対する垂直方向を第一方向とし、第一方向と直交する方向のうちの一方を第二方向とし、第一方向及び第二方向とに直交する方向を第三方向とする。第一方向のうち壁面11の側を内側とし反対側を外側とする。
【0030】
例として、
図4に示すように配管支持具1が鉛直方向に形成された壁面11に取り付けられるとき、第二方向は鉛直方向となり、第一方向は水平方向のうち壁面11に直交する方向となる。第三方向は、
図2に示すように水平方向のうち第二方向と直交する方向である。
【0031】
図4等に示すように、配管支持具1は、壁面11に設置される設置部2(12)と、設置部2等を貫通し、壁面11に取り付けられる固定部材3を備える。固定部材3に繋がる軸部4を備える。設置部2に繋がって形成され、第一方向に沿う方向に外側に向かって形成される立設部5を備える。立設部5に繋がって形成され、軸部4を支持する軸支持部6と、軸部4に連続し、配管10を保持する配管保持部7を備える。
【0032】
立設部5は、
図5に示す例の場合、第一方向に略平行に形成される。また、
図11及び
図12に示す例の場合、立設部5は、壁面11から軸支持部6に向かうに従って対向する距離が短くなるように、第一方向に対して所定の角度θ傾いて形成される。第一方向に沿う方向とは、第一方向に平行な方向に加えて、第一方向に対して所定の角度θをなして傾く方向を含む。所定の角度θは、
図12に示すように設置部2と立設部5とがなす角度であり、θは90度に加えて鋭角の範囲である。
【0033】
また、
図2から
図4までに示すように、固定部材3は、第一固定部材30を含む。第一固定部材30は、第二方向において、設置部2の両端部と軸部4との間に、軸部4に対する略対称の位置の二箇所に取り付けられる。第一固定部材30は、第二方向において、設置部2の両端部である端部2g及び端部2hと、軸部4との間に取り付けられる。第一固定部材30であるボルトは、
図2、
図4等に示すように設置面部2aに形成される貫通孔2bを通して壁面11に固定される。第一固定部材30は、設置部2の第二方向において製作可能な範囲で両端部に近い位置に取り付けられることが好ましい。
【0034】
また、配管支持具1は、壁面11に設置される状態において以下の構成である。
図4等に示すように、設置部2は、設置される壁面11に沿う方向に形成される設置面部2a(12a)を備える。設置面部2a等は、第一固定部材30によって壁面11に固定される。立設部5は、第二方向に沿う方向に連続する立設面部5aを備える。二つの立設面部5aは、互いに軸部4を挟んで対向する。軸支持部6は、二つの立設面部5aの間に繋がれ、設置面部2aと略平行に軸支持面部6aが形成される。なお、後述する第一実施形態の配管支持具1aから第四実施形態の配管支持具1dまでにおいては、第二固定部材31、及び第二固定部材31に連続する軸部4は、第一方向において、軸支持面部6aと設置面部2aとの間で支持される。また、第二方向に沿う方向とは、第二方向に対して所定の角度傾いた範囲を含むものとし、二つの立設面部5aは必ずしも互いに平行に形成されなくてもよい。
【0035】
また、
図1から
図5までの例に示すように、配管支持具1の立設部5から、第三方向における軸部4から遠ざかる方向に向かって面状の第一リブ2cが形成される。第一リブ2cは設置部2に繋がって形成される。
図2等に示す例では、第一リブ2cは立設面部5aにおける第一方向の高さの途中から始まって、設置面部2aの第三方向における端部にまで延びている。第一リブ2cの形状とサイズは
図2等の例に限定されず、種々の形状とサイズを採用することができる。例えば、第一リブ2cは立設面部5aの第一方向における最も高い位置から形成されてもよい。なお、後述する第四実施形態の配管支持具1cの例を示す
図10から
図12までには第一リブ2cが示されていないが、立設面部5aに第三方向への第一リブ2cが備えられてもよい。
【0036】
また、
図3から
図5まで、
図7から
図9まで、さらに
図12から
図14までに示すように、配管支持具1は軸締結部材8を備える。軸締結部材8は、軸支持部6の第一方向の外側において、軸部4との間で締結される。軸部4が軸締結部材8によって締結されることにより、軸支持部6は第一方向における内側方向への圧力を受ける。軸部4と軸部4に繋がる固定部材3は、軸支持部6と、固定部材3が取り付けられる壁面11とに挟まれて圧縮方向の力が発生する。
【0037】
具体的な例として、軸部4は、少なくとも一部に雄ネジ部4aが形成され、軸締結部材8は雌ネジが形成されたナット部材である。軸部4に対して軸締結部材8であるナット部材を締め付け方向に締結すると、軸支持部6における軸支持面部6aに対して第一方向における内側へ向かって圧力が加えられる。固定部材3である第一固定部材30は、壁面11に固定された状態である。さらに、後述するように固定部材3に第二固定部材31が含まれる場合は、第二固定部材31も合わせて壁面11に固定された状態である。よって、軸締結部材8によって軸支持部6の軸支持面部6aに圧力が加えられると、軸部4はより強固に壁面11に固定される。
【0038】
<配管支持具1に共通する構成による効果>
以上説明した、各実施形態に共通する配管支持具1の構成によれば、以下の効果を奏する。
図1から
図14までに示すように、配管支持具1は、固定部材3が壁面11に取り付けられ、固定部材3に繋がる軸部4が、設置部2に繋がって形成される立設部5、さらに立設部5に繋がって形成される軸支持部6に支持される。よって、固定部材3に繋がる軸部4は、第一方向において軸支持部6と壁面11とによって固定、及び支持されるので、配管10の重量等により荷重が加わった場合の変形が低減される。
【0039】
また、
図2から
図4までに示すように、設置部2は、第二方向に離間した位置で第一固定部材30によって壁面11に固定される。設置部2に繋って形成される立設部5と、立設部5に繋がって形成される軸支持部6の剛性が高くなる。よって、固定部材3である第一固定部材30に繋がる軸部4は、荷重が加わった場合の変形がより低減される。
【0040】
特に、第二方向が鉛直方向の場合に効果が大きい。すなわち、設置部2が第一固定部材30によって鉛直方向に形成された壁面11に取り付けられる場合である。荷重は、配管支持具1の構成要素である配管保持部7、立設部5、軸支持部6、軸部4、及び配管保持部7に取り付けられる配管10の重力等によって発生する。設置部2を壁面11に固定する第一固定部材30が、鉛直方向に発生する荷重に対抗して、配管支持具1に発生する荷重を支えることができる。
【0041】
また、
図2及び
図5に示すように、立設部5は、第二方向に沿う方向に連続する立設面部5aを備え、二つの立設面部5aが互いに軸部4を挟んで対向するので、第二方向においてより剛性が高くなる。よって、立設部5に繋がって形成される軸支持部6に支持される軸部4は、荷重が加わった場合の変形がより低減される。さらに、後述する配管支持具1aから配管支持具1dまでの場合は、立設部5に繋がって形成される軸支持面部6a、軸支持面部6aに支持され第二固定部材31に連続する軸部4は、第二方向における剛性が高くなるという効果を奏する。特に、第二方向が鉛直方向の場合に効果が大きい。すなわち、配管支持具1は、立設面部5aによって鉛直方向の剛性が高くなるので、配管支持具1に発生する重力等による荷重に対抗するためである。
【0042】
また、
図2等に示すように、第一リブ2cは立設部5と設置部2とを繋ぐ補強部材となる。よって、第三方向において、軸部4に荷重が加わった場合に補強された立設部5が支持するので、変形を防止することができる。
【0043】
また、
図3から
図5等に示すように、配管保持部7は、配管10を保持するバンドであり、軸部4の取付板部4bに二つのボルト7cとナット7dによって締結される。
【0044】
また、
図4等に示すように、軸部4と、軸部4に繋がる固定部材3は、軸締結部材8によって、軸支持部6における軸支持面部6aに対して第一方向における内側へ向かって圧力が加えられる。よって、配管支持具1は、壁面11に対してより強固に固定され、固定部材3に繋がる軸部4は、荷重が加わった場合の変形がより低減される。例えば、第二方向又は第三方向が鉛直方向の場合、軸部4は、配管10等の重量等による荷重による変形がより低減される。特に、後述するように、固定部材3に第二固定部材31が含まれる場合、軸部4は第二固定部材31に同軸上に連続するので、荷重が加わった場合の変形がより低減される。
【0045】
<第一実施形態の配管支持具1aから第三実施形態の配管支持具1cまでに共通の構成と効果>
次に、本発明の態様に係る、第一実施形態の配管支持具1aから第三実施形態の配管支持具1cまでに共通の構成を説明する。
図4等に示すように、固定部材3は、軸部4と同軸上にあり軸部4に連続する第二固定部材31を含む。すなわち、軸部4は、第二固定部材31に連続するので、直接的又は間接的に壁面11に固定される。
図3に示すように、第二固定部材31は、設置部2の貫通孔2dに通される。
【0046】
以上説明した、第一実施形態の配管支持具1aから第三実施形態の配管支持具1cまでに共通の構成は、以下の効果を奏する。
図4等に示すように、配管支持具1の固定部材3である第二固定部材31は、軸部4と同軸上にあるので、軸部4は壁面11に対する強度が高くなる。
【0047】
<第一実施形態の配管支持具1aの構成>
次に、
図1から
図5までを参照して、本発明の態様に係る第一実施形態の配管支持具1aの構成を説明する。すでに説明した配管支持具1に共通する構成は説明を省略する。以下に説明する他の実施形態も同様である。
図3に示すように、配管支持具1aは、設置面部2aに固定される連結雌ネジ部材9を備える。第二固定部材31は、少なくとも一部に雄ネジが形成される雄ネジ固定部材31aである。雄ネジ固定部材31aは、壁面11に固定されて一部が第一方向に露出する。軸部4は、先端部4eを含む少なくとも一部に雄ネジ部4aが形成され、雄ネジ固定部材31aと軸部4の雄ネジ部4aは、連結雌ネジ部材9に螺合されて連続する。
【0048】
また、
図5に示すように、連結雌ネジ部材9は、二つの立設部5における立設面部5aと結合される。連結雌ネジ部材9と二つの立設面部5aとの間は、溶接或いは接着、その他の方法で結合される。
【0049】
図3から
図5までに示す例では、雄ネジ固定部材31aは、壁面11に固定されるアンカーボルトである。軸部4は、いわゆるターボ用羽子板と呼ばれる部材であり、雄ネジ部4aとボルト穴4cを有する取付板部4bからなる。連結雌ネジ部材9は、設置面部2aに固定されるナット部材である。連結雌ネジ部材9の第一方向における高さは、設置面部2aから軸支持面部6aに至る途中まででもよいし、軸支持面部6aに接触する高さでもよい。連結雌ネジ部材9の第一方向における高さが、軸支持面部6aに接触する高さの場合、溶接穴6cにおいて、軸支持面部6aと連結雌ネジ部材9とが溶接されてもよい。
【0050】
また、配管支持具1aは、すでに説明した第一リブ2cに替わって以下に説明する第二リブ20cを備えてもよい。
図5に示すように、立設面部5aは、第二リブ20cが挿入されるリブ穴5bを備える。設置面部2aから第三方向に沿って立設面部5aに繋がる面状の第二リブ20cは、リブ穴5bを通して連結雌ネジ部材9に結合される。結合方法は、溶接或いは接着、その他の方法である。この構成により、立設面部5aと連結雌ネジ部材9、及び第二リブ20cは互いに結合される。
【0051】
<第一実施形態の配管支持具1aの構成による効果>
以上説明したように、第一実施形態の配管支持具1aは、以下の効果を奏する。
図3から
図5までに示すように、設置面部2aに固定される連結雌ネジ部材9が、雄ネジ固定部材31a及び軸部4の雄ネジ部4aと螺合される。よって、軸部4と、第二固定部材31である雄ネジ固定部材31aとが一体的に連続するので、配管10の重量等により軸部4に荷重が加わった場合の変形がより低減される。
【0052】
また、
図5に示すように、連結雌ネジ部材9は立設部5と結合されるので、立設部5と連結雌ネジ部材9とは、互いの剛性がより高くなる。よって、立設部5に繋がって形成される軸支持部6に支持され、第二固定部材31に連続する軸部4は、配管10の重量等により軸部4に荷重が加わった場合の変形がより低減される。
【0053】
また、第二リブ20cは、第三方向に沿って設置面部2aから立設面部5aに繋がり、さらに連結雌ネジ部材9に結合される。よって、設置面部2aと立設面部5a、及び連結雌ネジ部材9とが一体的に結合されるので互いの剛性が高くなり、軸部4に荷重が加わった場合の変形がより低減される。
【0054】
<第二実施形態の配管支持具1bの構成>
次に、
図6及び
図7を参照して、本発明の態様に係る第二実施形態の配管支持具1bの構成を説明する。すでに説明した配管支持具1に共通する構成と、第一実施形態の配管支持具1aと共通の構成は説明を省略する。配管支持具1bは、第二固定部材31が、少なくとも一部に雌ネジが形成される雌ネジ固定部材31bである。雌ネジ固定部材31bは、壁面11に固定される。軸部4は、少なくとも一部に雄ネジ部4aが形成され、雌ネジ固定部材31bに螺合される。
【0055】
<第二実施形態の配管支持具1bの構成による効果>
以上説明した第二実施形態の配管支持具1bは、以下の効果を奏する。
図6及び
図7に示すように、軸部4は、壁面11に固定される雌ネジ固定部材31bに螺合されるので、壁面11に対して剛性が高くなる。よって、軸部4に荷重が加わった場合の変形がより低減される。また、軸部4は雌ネジ固定部材31bに直接螺合できるので、取付が簡単である。
【0056】
<第三実施形態の配管支持具1cの構成とその効果>
次に、
図8及び
図9を参照して、本発明の態様に係る第三実施形態の配管支持具1cの構成を説明する。配管支持具1cは、軸部4の先端部4eを含む一部が第二固定部材31であり、少なくとも先端部4eが壁面11に直接固定される。
図8及び
図9において、軸部4のうち先端部4eを含み壁面11に埋設される部分が第二固定部材31に相当する部分である。軸部4は、先端部4eに雄ネジ部4aが形成される場合、壁面11に螺合して固定される。また、先端部4eに雄ネジが形成されない場合、軸部4の先端部4eを壁面11に打ち込むか、或いはコンクリート等により固定してもよい。配管支持具1cは、軸部4を壁面11に直接固定できるので、部品点数が少なく安価に構成できる。
【0057】
<第四実施形態の配管支持具1dの構成>
次に、
図10から
図12までを参照して、本発明の態様に係る第四実施形態の配管支持具1dの構成を説明する。すでに説明した要素と同様の機能又は構成の要素は、同様の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0058】
配管支持具1dは、すでに説明した他の実施形態に対して、設置部12と立設部5の構成が異なる。設置部12と立設部5は、設置面部12aと立設面部5aとが連続的に形成される。さらに、軸支持部6は立設面部5aに連続して形成される。例として、設置部2と立設部5、及び軸支持部6は一枚の板状の部材を折り曲げて形成されるか、或いは複数枚の板状の部材を接続して形成される。
【0059】
図12を参照して、配管支持具1dの設置部2等が一枚の板状の部材から形成される例を説明する。二つの立設面部5aは、設置面部12aに対して所定の角度θをなして第一方向の外側に向かって曲げて形成され、先端部が設置面部12aと略平行になるように折り曲げられて軸支持面部6aが形成される。軸支持面部6aは、立設面部5aの先端が二枚重なる状態に形成される。
【0060】
図12に示す例は、軸部4及び第二固定部材31が第三実施形態の配管支持具1cの構成を示しているが、この例に限らず他の実施形態である配管支持具1a、1bの構成を採用してもよい。また、
図10における断面S4-S4は、
図4、
図6、及び
図8と同様であり、図示を省略する。
【0061】
<第四実施形態の配管支持具1dの効果>
以上説明した配管支持具1dによれば、設置部2、立設部5、及び軸支持部6を一体的に形成できるので、構成が簡単であり安価であるという効果を奏する。
【0062】
<第五実施形態の配管支持具1eの構成と効果>
次に、
図13及び
図14を参照して、本発明の態様に係る第五実施形態の配管支持具1eの構成を説明する。配管支持具1eは、軸部4が固定される軸固定部13を備える。軸固定部13は、設置部2に連続して形成される。軸部4は、軸固定部13と設置部2を介して固定部材3に繋がる。
【0063】
具体的に説明すると、
図13、
図14に示す例では、軸固定部13は板状の部材を図示のように曲げて形成された部材である。軸固定部13は、軸部4が挿入される部分は開口して雌ネジが形成され、軸部4に形成される雄ネジ部4aと螺合し、第一方向の外側から内側へ向かってつば付きナット15により固定される。軸固定部13は、ボルト14によって設置部2の設置面部2aに固定される。ボルト14は、設置面部2aを貫通する。第一固定部材30は、ボルト14の先端と壁面11との干渉を防ぐために、台座16を介して壁面11に固定される。なお、軸固定部13が設置部2と一体的に形成されるか、或いは軸固定部13の部材が設置面部2aに溶接或いは接着等によって固定される場合は、台座16は不要である。軸固定部13は、設置部2と別の部材でもよいし、設置部2と一体的に形成されてもよい。
【0064】
以上説明したように、配管支持具1eによれば以下の効果を奏する。軸部4は壁面11に固定される設置部2に固定されるので、壁面11に対する強度を維持することができる。すなわち、軸部4は軸固定部13、設置部2、及び第一固定部材30を介して、壁面11に間接的に固定される。よって、配管支持具1eは、壁面11に対して軸部4の延長上に固定のための部材を埋設させる必要が無いので、壁面11への加工が制限される場合でも強度を維持して設置することができる。
【符号の説明】
【0065】
1、1a、1b、1c、1d、1e 配管支持具
2、12 設置部
2a、12a 設置面部
2c 第一リブ
2g、2h 端部
3 固定部材
4 軸部
4a 雄ネジ部
4e 先端部
5 立設部
5a 立設面部
5b リブ穴
6 軸支持部
6a 軸支持面部
7 配管保持部
8 軸締結部材
9 連結雌ネジ部材
10 配管
11 壁面
13 軸固定部
30 第一固定部材
31 第二固定部材
31a 雄ネジ固定部材
31b 雌ネジ固定部材