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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180802
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】供給装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 13/08 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
G01G13/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087500
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000251211
【氏名又は名称】冷化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【弁理士】
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】谷口 徹
【テーマコード(参考)】
2F046
【Fターム(参考)】
2F046BA01
2F046BA10
2F046BB04
2F046DA06
(57)【要約】
【課題】後続の装置への供給量を正確に把握することが可能な供給装置を提供する。
【解決手段】本例の供給装置1は、水平方向の軸周りに回転する回転体12に設けられた搬送室14を有し、第1の回転位置P1で搬送室14に粉状又は粒状の供給物を導入し、その供給物を第1の回転位置P1とは異なる第2の回転位置P2まで搬送して搬送室14から排出する搬送機構10と、搬送機構10により搬送された供給物が載置される載置部21を有し、載置部21上の供給物の重量を計測した後に載置部21上の供給物を後続の装置に供給する供給機構20とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の軸周りに回転する回転体に設けられた搬送室を有し、第1の回転位置で該搬送室に粉状又は粒状の供給物を導入し、該供給物を該第1の回転位置とは異なる第2の回転位置まで搬送して該搬送室から排出する搬送機構と、
該搬送機構により搬送された供給物が載置される載置部を有し、該載置部上の供給物の重量を計測した後に該載置部上の供給物を後続の装置に供給する供給機構とを備えることを特徴とする供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の供給装置において、
該載置部上の供給物の重量の計測値と所定の目標値との差分を求め、該差分に基づき、該後続の装置に対する単位時間当たり供給量が一定になるように該回転体の回転を制御することを特徴とする供給装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の供給装置において、
該第1の回転位置にある該搬送室に供給物を導入する導入口を、該回転体の回転軸の直上に対して該回転体の回転方向と逆方向にシフトした位置に有することを特徴とする供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉状又は粒状の供給物を供給するための供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉状又は粒状の供給物を供給するための供給装置として、種々の態様のものが開発されている。例えば、特許文献1には、被計量物が投入される投入口が上部に、計量後の被計量物を一時的に貯留して供給路に連通する供給シュート口が下部に形成されている計量筐体と、外周側面に適宜間隔毎に計量穴が配列形成されていて、計量筐体内に配置した規制体の内側面に摺接しながら回転される供給円盤と、この供給円盤の下方で計量筐体に開口形成された前記供給シュート部位で計量穴から被計量物を落下させるエアを噴射する噴射口と、被計量物を落下させた後で回転通過する計量穴の通過数を計数する計数器とを備えた計量供給装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-106163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された計量供給装置は、計量穴の通過数を計数することで、供給物(被計量物)の供給量を計量する仕組みとなっている。これは、各計量穴に収容される供給物の量が一定であることを前提としている。しかしながら、装置の動作環境(例えば、湿度)や装置稼働時に発生する振動などの種々の要因により、各計量穴に実際に収容される供給物の量は、必ずしも一定ではない。したがって、後続の装置への供給量が目標値とは異なる量になる場合があるが、これを把握することはできない。その結果、後続の装置での処理を適切に行えない場合があり、歩留りが低下する懸念がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、上述したような問題を解決し、後続の装置への供給量を正確に把握することが可能な供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の供給装置は、以下のような技術的特徴を備えている。
(1) 所定の軸周りに回転する回転体に設けられた搬送室を有し、第1の回転位置で該搬送室に粉状又は粒状の供給物を導入し、該供給物を該第1の回転位置とは異なる第2の回転位置まで搬送して該搬送室から排出する搬送機構と、該搬送機構により搬送された供給物が載置される載置部を有し、該載置部上の供給物の重量を計測した後に該載置部上の供給物を後続の装置に供給する供給機構とを備えることを特徴とする供給装置。
【0007】
(2) 上記(1)に記載の供給装置において、該載置部上の供給物の重量の計測値と所定の目標値との差分を求め、該差分に基づき、該後続の装置に対する単位時間当たり供給量が一定になるように該回転体の回転を制御することを特徴とする。
【0008】
(3) 上記(1)又は(2)に記載の供給装置において、該第1の回転位置にある該搬送室に供給物を導入する導入口を、該回転体の回転軸の直上に対して該回転体の回転方向と逆方向にシフトした位置に有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る供給装置は、所定の軸周りに回転する回転体に設けられた搬送室を有し、第1の回転位置で該搬送室に粉状又は粒状の供給物を導入し、該供給物を該第1の回転位置とは異なる第2の回転位置まで搬送して該搬送室から排出する搬送機構と、該搬送機構により搬送された供給物が載置される載置部を有し、該載置部上の供給物の重量を計測した後に該載置部上の供給物を後続の装置に供給する供給機構とを備えたので、後続の装置への供給量を正確に把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る供給装置を示す縦断面図である。
図2図1のA-A’線に沿った断面図である。
図3】回転体の回転を開始させる直前(前回の計量直後)の状態を示す図である。
図4】回転体の回転を停止させて計量する際の状態を示す図である。
図5】供給物を後続の装置へ供給する際の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る供給装置について、図面を参照して説明する。なお、以下に示す例によって本発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る供給装置を示す縦断面図である。図2は、図1のA-A’線に沿った断面図である。本例の供給装置1は、図1図2に示すように、主たる構成要素として、搬送機構10と、供給機構20とを備える。また、供給装置1の下方には、供給装置1から供給される供給物を用いて所定の処理を行う後続の装置(不図示)が配置される。
【0012】
搬送機構10は、略円柱状の内部空洞を有する筐体(ケーシング)11と、筐体11の内部空洞に収容される回転体12と、水平方向の回転軸13に連結されたモータ15とを有する。回転体12は、外周面に一定間隔で凹状に設けられた複数(図1では8つ)の搬送室14を有する。本例の搬送室14は、回転体12の外周面に対して半球状に凹んだ形状であるが、これに限定されず、供給物の導入や排出をスムーズに行える形状であればよい。回転体12は、例えば、約15cmの直径を有する。また、回転体12の外周面に設けられた搬送室14はそれぞれ、例えば、約4cmの直径、及び、約17cm3 の容量を有する。回転体12は、その外周面が筐体11の内部空洞の内周面に接触するように設けられ、モータ15の駆動によって所定方向(図1の例では右回り)に回転される。
【0013】
筐体11は、その上部にあるホッパーHに収容された供給物を搬送室14に導入するための導入口15と、搬送室14から供給物を排出するための排出口16とを有する。本例では、回転軸13の直上に対して回転体12の回転方向とは逆方向にシフトした位置(第1の回転位置P1)に導入口15を設け、回転軸13の直下に対して回転体12の回転方向とは逆方向にシフトした位置(第2の回転位置P2)に排出口16を設けてある。つまり、導入口15を通じて搬送室14に導入された供給物は、回転体12の回転に伴って排出口16の位置まで搬送され、排出口16を通じて搬送室14から排出される仕組みである。
【0014】
供給機構20は、搬送機構10により搬送された供給物が載置される載置部21と、載置部21上の供給物の重量を計測する計量部22と、載置部21及び計量部22を支える支持体に連結されたモータ23とを有する。供給機構20は、排出口16から排出された供給物を載置部21で受けるように、搬送機構10の下側に配置される。計量部22は、例えば、感圧センサを用いて構成される。
【0015】
本例では、搬送機構10の下側の略全体を覆うように載置部21を設けてあるが、載置部21は少なくとも排出口16の下側が覆われる程度の大きさでもよく、排出口16からの供給物を溢さずに載置できればよい。載置部21の姿勢(傾き)は、モータ23の駆動によって動的に変化させることができる。すなわち、載置部21上の供給物をその下方にある後続の装置(不図示)に供給する際は、載置面が約45度又はそれ以上の角度になるように制御され、他の期間(例えば、載置部21上の供給物を計量する際)は、載置面が略水平になるように制御される。
【0016】
以下、本例の供給装置1の動作について説明する。ここでは、本例の回転体12が有する8つの搬送室14を、「A」~「H」の符号で区別する(図3図5参照)。
図3には、搬送室14(A)によって搬送された供給物の計量・供給を行った直後の状態、すなわち、回転体12の回転を開始させる直前の状態を示してある。このとき、第1の回転位置P1にある搬送室14(E)が、導入口15を通じてホッパーHと連通している。このため、搬送室14(E)は、ホッパーHから導入口15を通じて供給物が導入された状態となっている。
【0017】
次に、回転体12は、モータ15の駆動によって搬送室1つ分の角度だけ回転して停止し、図4のような状態となる。その結果、第2の回転位置P2に移動した搬送室14(B)内の供給物が、排出口16を通じて排出され、搬送機構10の下側にある供給機構20の載置部21に載置される。
【0018】
計量部22は、回転体12の回転が停止すると、載置部21上の供給物の重量を計測する。また、供給物の重量の計測結果は、後続の装置で処理を行う際の参考となるように、後続の装置(又はその制御装置)に伝達される。ここで、供給物の重量として、回転体12の回転を停止させた直後の計測値を採用するのではなく、装置の振動が収まるまで所定時間待機した後の計測値を採用することで、重量計測の正確性を高めることができる。
【0019】
次に、図5に示すように、モータ23の駆動によって載置部21を傾けて、載置部21上の供給物をその下方にある後続の装置(不図示)に供給する。載置部21上の供給物が後続の装置に供給された後、載置部21の傾きは元に戻される。なお、この時点で、第1の回転位置P1にある搬送室14(F)は、供給物の導入を終えた状態となっている。
本例の供給装置1は、上記の動作を連続的に繰り返すことで、一定時間毎に所定量(搬送室1つ分)の供給物を後続の装置に供給する。
【0020】
一例として、回転体12は、1.5秒をかけて搬送室1つ分の角度(約45°)だけ回転し、6秒停止する動作を繰り返すものとする。これに連動し、載置部21は、回転体12が回転を開始してから5.5秒間(すなわち、回転体12が回転を停止して4秒が経過するまで)は載置面を略水平に維持し、その後の2秒間で、載置面を傾けて供給物を後続の装置に供給し、載置面の傾きを元に戻す動作を行う。ここで、1つの搬送室14によって搬送される供給物の重量を約15gと想定すると、7.5秒毎に約15gの供給物が後続の装置に供給されることになる。なお、これらの数値は一例に過ぎないことは言うまでもない。
【0021】
以上のように、本例の供給装置1は、水平方向の軸周りに回転する回転体12に設けられた搬送室14を有し、第1の回転位置P1で搬送室14に粉状又は粒状の供給物を導入し、その供給物を第1の回転位置P1とは異なる第2の回転位置P2まで搬送して搬送室14から排出する搬送機構10と、搬送機構10により搬送された供給物が載置される載置部21を有し、載置部21上の供給物の重量を計測した後に載置部21上の供給物を後続の装置に供給する供給機構20とを備えている。そして、搬送室14が第2の回転位置P2に到達する毎に、その搬送室14から載置部21に排出された供給物の重量の計測及び後続の装置への供給を行うように構成されている。
【0022】
このような構成によれば、後続の装置に対して一定時間毎に供給する供給物の重量を正確に把握することができる。その結果、後続の装置での処理をより適切に行えるようになり、歩留りを向上させることが可能となる。
【0023】
また、本例の供給装置1は、搬送室14に供給物を導入するための導入口15を、回転体12の回転軸13の直上に対して回転体12の回転方向と逆方向にシフトした位置に有している。これは、回転体12の外周面と筐体11の内部空洞の内周面との間に供給物が入り込むことで回転体12の回転が阻害されることを防止するためのものである。
【0024】
図3を例にして説明すると、導入口15の位置にある搬送室14(E)は、ホッパーH内の供給物の荷重も加わるため、搬送室が拡大する方向に作用する外力が他の搬送室よりも大きくなる。その結果、導入口15の位置にある搬送室14(E)とその右側にある搬送室14(D)との間において、回転体12の外周面と筐体11の内部空洞の内周面との間の隙間ができる場合がある。このとき、供給物の粒度によっては、その隙間に供給物が入り込んで回転体12の回転が阻害されるという問題が発生する可能性がある。これは、回転体12の回転軸13の直上や、そこから回転体12の回転方向にシフトした位置に導入口15を設けた構成で発生しやすい。
【0025】
これに対し、回転体12の回転軸13の直上に対して回転体12の回転方向とは逆方向にシフトした位置に導入口15を設ければ、搬送室14(D)の方向に作用する外力を抑えることができるため、上記問題の発生を抑制することが可能となる。なお、導入口15の位置にある搬送室14(E)とその左側にある搬送室14(F)との間においても、回転体12の外周面と筐体11の内部空洞の内周面との間の隙間ができて供給物が入り込む可能性があるが、その供給物は搬送室14(F)に流れ込む余地があるため、特に問題とはならない。
【0026】
ここで、上記の説明では、供給物の重量の計測結果を、後続の装置で処理を行う際の参考となるように、後続の装置(又はその制御装置)に伝達しているが、回転体12の回転の制御に利用するようにしてもよい。すなわち、載置部21上の供給物の重量の計測値と所定の目標値との差分を求め、その差分に基づき、後続の装置に対する単位時間当たり供給量が一定になるように回転体12の回転を制御する。
【0027】
一例として、後続の装置に対して7.5秒毎に15gの供給物を供給することが求められているとする。この場合、計測値が14gであれば、目標値の15gよりも1g少ないので、次回の供給タイミングが本来(7.5秒後)よりも0.5秒だけ早くなるように、回転体12の回転速度を速くする。一方、計測値が16gであれば、目標値の16gよりも1g多いので、次回の供給タイミングが本来(7.5秒後)よりも0.5秒だけ遅くなるように、回転体12の回転速度を遅くする。このような制御を行うことで、後続の装置に対する単位時間当たり供給量を一定にすることが可能となる。
【0028】
以上、幾つかの実施例に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した内容に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更可能であることはいうまでもない。例えば、各実施例を組み合わせた構成とすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、粉状又は粒状の供給物を供給するための供給装置に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 供給装置
10 搬送機構
11 筐体
12 回転体
13 回転軸
14 搬送室
15 モータ
20 供給機構
21 載置部
22 計量部
23 モータ
H ホッパー
図1
図2
図3
図4
図5