(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180803
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】多連同軸コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/46 20060101AFI20221130BHJP
H01R 24/38 20110101ALI20221130BHJP
【FI】
H01R13/46 A
H01R24/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087501
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】岩本 侑大
【テーマコード(参考)】
5E087
5E223
【Fターム(参考)】
5E087EE08
5E087RR11
5E087RR25
5E223AB17
5E223BA12
5E223CA13
5E223GA08
5E223GA19
(57)【要約】
【課題】コンタクトの座屈を防止し、また嵌合時の挿入力を低減することができる多連同軸コネクタを提供する。
【解決手段】プラグは、ハウジングとハウジングから所定の長さA突出した状態でハウジングに収容される複数のプラグシェルと、プラグシェルのそれぞれに収容される複数のプラグボディと、プラグボディのそれぞれに固定される複数のプラグコンタクトを含む。レセプタクルは、ハウジングから突出した複数のプラグシェルの先端を全て収容しその挿入方向長さBがB<Aを満たす収容部と、プラグシェルのそれぞれが挿通される複数の挿通穴と、収容部と挿通穴との間に位置して収容部と挿通穴とを連絡し収容部から挿通穴の方向に進むにつれて窄まっていくように形成されたガイド穴を含むレセプタクルシェルと、挿通穴のそれぞれに収容されるレセプタクルボディと、レセプタクルボディに固定されプラグコンタクトと嵌合するレセプタクルコンタクトを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグと、前記プラグと接続されるレセプタクルとを含む多連同軸コネクタであって、
前記プラグは、
ハウジングと、
前記ハウジングから所定の長さA突出した状態で前記ハウジングに収容される複数のプラグシェルと、
前記プラグシェルのそれぞれに収容される複数のプラグボディと、
前記プラグボディのそれぞれに固定される複数のプラグコンタクトを含み、
前記レセプタクルは、
コネクタ挿入時に前記ハウジングから突出した複数のプラグシェルの先端を全て収容し、その挿入方向長さBがB<Aを満たす収容部と、前記プラグシェルのそれぞれが挿通される複数の挿通穴と、前記収容部と前記挿通穴との間に位置して前記収容部と前記挿通穴とを連絡し、前記収容部から前記挿通穴の方向に進むにつれて窄まっていくように形成されたガイド穴を含むレセプタクルシェルと、
前記挿通穴のそれぞれに収容されるレセプタクルボディと、
前記レセプタクルボディに固定され、前記プラグコンタクトと嵌合するレセプタクルコンタクトを含む
多連同軸コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載の多連同軸コネクタであって、
Cを前記ガイド穴の挿入方向長さとし、Tを所定のしきい値とし、|B+C-A|≦Tとなるように前記レセプタクルシェルを形成した
多連同軸コネクタ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の多連同軸コネクタであって、
前記ガイド穴は、円錐台形状とされている
多連同軸コネクタ。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載の多連同軸コネクタであって、
前記レセプタクルコンタクトの先端は、前記挿通穴または前記ガイド穴に収容され前記プラグコンタクトの先端から前記プラグシェルの先端までの挿入方向長さDと、前記レセプタクルコンタクトの先端から前記レセプタクルボディの先端までの挿入方向長さEとの関係が、D-E>0を満たす
多連同軸コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多連同軸コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
装着孔に対する挿入抵抗を低減できるコネクタの例として、例えば特許文献1のコネクタがある。特許文献1のコネクタは、ケースの装着孔に対して挿入方向に沿って挿入されるコネクタハウジングと、コネクタハウジングの外周面に設けられ、コネクタハウジングの外周面と装着孔の内周面との間を防水するゴムリングと、コネクタハウジングの外周面に設けられたゴムリングとを有する。ゴムリングは、油を含有した含油ゴムからなる。ゴムリングは、ゴムリングよりも挿入方向の手前側に設けられている。ゴムリングは、ゴムリングよりも潰し代が小さく設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術のコネクタはプラグとレセプタクルの嵌合に関し、傾き、軸ずれを補正する機構が弱く、傾きや軸ずれにより挿入時にコンタクトに掛かる力が大きくなり、コンタクトが座屈してしまう可能性があった。
【0005】
そこで本発明では、プラグとレセプタクルの嵌合時の傾き、軸ずれを補正する機構を備え、コンタクトの座屈を防止し、また嵌合時の挿入力を低減することができる多連同軸コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の多連同軸コネクタは、プラグと、プラグと接続されるレセプタクルとを含む。
【0007】
プラグは、ハウジングと、ハウジングから所定の長さA突出した状態でハウジングに収容される複数のプラグシェルと、プラグシェルのそれぞれに収容される複数のプラグボディと、プラグボディのそれぞれに固定される複数のプラグコンタクトを含む。
【0008】
レセプタクルは、ハウジングから突出した複数のプラグシェルの先端を全て収容し、その挿入方向長さBがB<Aを満たす収容部と、プラグシェルのそれぞれが挿通される複数の挿通穴と、収容部と挿通穴との間に位置して収容部と挿通穴とを連絡し、収容部から挿通穴の方向に進むにつれて窄まっていくように形成されたガイド穴を含むレセプタクルシェルと、挿通穴のそれぞれに収容されるレセプタクルボディと、レセプタクルボディに固定され、プラグコンタクトと嵌合するレセプタクルコンタクトを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の多連同軸コネクタによれば、プラグとレセプタクルの嵌合時の傾き、軸ずれを補正する機構を備え、コンタクトの座屈を防止し、また嵌合時の挿入力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】実施例1の多連同軸コネクタの第1の断面図。
【
図3】実施例1の多連同軸コネクタの第2の断面図。
【
図4】実施例1の多連同軸コネクタの第3の断面図。
【
図5】実施例1の多連同軸コネクタの第4の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例0012】
以下、
図1、
図2を参照して実施例1の多連同軸コネクタの構造を説明する。
図1に示すように、本実施例の多連同軸コネクタは、プラグ1と、プラグ1と接続されるレセプタクル2とを含む。
【0013】
図2に示すように、プラグ1は、ハウジング11と、ハウジング11から所定の長さA突出した状態でハウジング11に収容される複数のプラグシェル12と、プラグシェル12のそれぞれに収容される複数のプラグボディ13と、プラグボディ13のそれぞれに固定される複数のプラグコンタクト14を含む。ハウジング11、プラグボディ13は絶縁材料で形成される。プラグシェル12、プラグコンタクト14は導体材料で形成される。
【0014】
レセプタクル2は、レセプタクルシェル21と、レセプタクルボディ22と、レセプタクルコンタクト23を含む。レセプタクルボディ22は絶縁材料で形成される。レセプタクルシェル21、レセプタクルコンタクト23は導体材料で形成される。
【0015】
レセプタクルシェル21は、収容部211と、複数の挿通穴212と、複数のガイド穴213を含む。コネクタ挿入時には、収容部211は、ハウジング11から突出した複数のプラグシェル12の先端を全て収容し、その挿入方向長さBがB<Aを満たす(理由は後述)。コネクタ嵌合時には、収容部211にハウジング11の一部が隙間なく収容される。挿通穴212には、プラグシェル12のそれぞれが挿通される。ガイド穴213は、収容部211と挿通穴212との間に位置して収容部211と挿通穴212とを連絡し、収容部211から挿通穴212の方向に進むにつれて窄まっていくように形成されている。ガイド穴213は、円錐台形状とすれば好適である。
【0016】
レセプタクルボディ22は、挿通穴212のそれぞれに収容される。レセプタクルコンタクト23は、レセプタクルボディ22に固定され、コネクタ嵌合時には、プラグコンタクト14と嵌合する。
【0017】
ここで、Cをガイド穴213の挿入方向長さとし、Tを所定のしきい値とし、|B+C-A|≦Tとなるようにレセプタクルシェル21を形成すれば好適である(理由は後述)。
【0018】
さらに、同図に示すように、レセプタクルコンタクト23の先端は、挿通穴212またはガイド穴213に収容されており、プラグコンタクト14の先端からプラグシェル12の先端までの挿入方向長さDと、レセプタクルコンタクト23の先端からレセプタクルボディ22の先端までの挿入方向長さEとの関係が、D-E>0を満たすように形成すれば好適である(理由は後述)。
【0019】
[B<Aとすることによる効果の説明]
B<Aを満たすように多連同軸コネクタを形成したことにより、
図3に示すように、ハウジング11が収容部211に嵌合するよりも前に、プラグシェル12の先端が、収容部211の最奥部に到達してガイド穴213の傾斜部2131に導かれる。他のプラグシェル12にもそれぞれ対応するように傾斜部2131が位置しており、同様に誘導されるため、多連であっても嵌合が容易である。これにより、ハウジング11と収容部211の嵌合が始まる前に、傾斜部2131による傾き、軸ずれ補正が実行され、ハウジング11、プラグシェル12に大きな力が加わることを防止することができる。
【0020】
[|B+C-A|≦Tとすることによる効果の説明]
|B+C-A|、すなわち収容部211の挿入方向長さBとガイド穴213の挿入方向長さCの合計(B+C)からプラグシェル12の突出長さAを差し引いた値の絶対値を所定の閾値Tと等しいか、あるいはTよりも小さい値とすることにより、傾斜部2131による傾き、軸ずれ補正がほとんど終了した(T>B+C-A>0)、またはちょうど終了した(B+C-A=0)、あるいは終了して間もなくのタイミング(-T<B+C-A<0)で、ハウジング11と収容部211の嵌合が開始されるため、前述同様、ハウジング11、プラグシェル12に大きな力が加わることを防止することができる。
【0021】
[レセプタクルコンタクトの先端を挿通穴212またはガイド穴213に収容し、D-E>0とすることによる効果]
レセプタクルコンタクトの先端を挿通穴212またはガイド穴213に収容し、D-E>0(すなわちD>E)とすることにより、プラグコンタクト14とレセプタクルコンタクト23の嵌合が始まる前に、プラグシェル12とレセプタクルボディ22の嵌合が始まる。プラグシェル12とレセプタクルボディ22が嵌合することにより、傾き、軸ずれによる歪みが補正され、その後にコンタクト同士が嵌合するため、コンタクトの座屈を防止することができる。
【0022】
[ハウジング11と収容部211嵌合開始時のコンタクトの位置]
図4に示すように、ハウジング11と収容部211嵌合開始時には、プラグコンタクト14とレセプタクルコンタクト23の嵌合が未だ始まらないように、プラグコンタクト14とレセプタクルコンタクト23を配置した。これにより、第1の段階としてガイド穴213による補正、第2の段階としてハウジング11と収容部211嵌合による補正が行われた後、プラグコンタクト14とレセプタクルコンタクト23の嵌合が開始される。これにより、傾き、軸ずれによる歪みは補正されており、コンタクトの座屈を防止することができる。
図5にプラグコンタクト14とレセプタクルコンタクト23の嵌合が終了した状態の断面図を示す。