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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180808
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】電力量計
(51)【国際特許分類】
   G01R 11/04 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
G01R11/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087506
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】309042071
【氏名又は名称】東光東芝メーターシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】良知 慎一
(57)【要約】
【課題】計量装置背面に流れた雨水が流れても、下方にある端子ブロック側に雨水が流れ込むことを抑止することができる電力量計。
【解決手段】ケース5Aを備える計量装置と、計量装置に取り付けられ且つ計量装置で計量された電力量を外部に送信する通信装置と、計量装置に取り付けられ且つ電線と接続する端子ブロック10と、計量装置、通信装置及び端子ブロック10を覆うカバー11とを有し、ケース5Aの背面5Afにおいて、中心軸を軸として左右対称に中心軸からケース6Aの左右両側面に向けて下がる傾斜が形成された複数の傾斜凹部5A1a~5A1eを設け、複数の傾斜凹部5A1a~5A1eは、背面に流れ込む雨水を左右両側面に排水する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースを備える計量装置と、前記計量装置に取り付けられ且つ前記計量装置で計量された電力量を外部に送信する通信装置と、前記計量装置に取り付けられ且つ電線と接続する端子ブロックと、前記計量装置、前記通信装置及び前記端子ブロックを覆うカバーとを有し、
前記ケースの背面において、中心軸を軸として左右対称に前記中心軸から前記ケースの左右両側面に向けて下がる傾斜が形成された複数の傾斜凹部を設け、前記複数の傾斜凹部は、前記背面に流れ込む雨水を前記左右両側面に排水することを特徴とする電力量計。
【請求項2】
前記ケースの前記左右両側面の下端部を端子ブロックの左右両側面下端部まで延長したケース延長部を設け、前記ケース延長部は、前記複数の傾斜凹部で排水した雨水を前記端子ブロックの前記左右両側面下端部まで排水することを特徴とする請求項1記載の電力量計。
【請求項3】
前記ケースの前記左右両側面に前記ケース延長部を通る排水用凹部を設け、前記排水用凹部は、前記複数の傾斜凹部で排水した雨水を下方に排水することを特徴とする請求項2記載の電力量計。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力量計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力量計は、計量装置と、計量装置に取り付けられ且つ計量装置で計量された電力量を外部に送信する通信装置と、端子ブロック、カバーを有している。図4(a)~図4(d)は、従来の電力量計において、計量装置、端子ブロック、通信装置、カバーを組立てる手順を示した工程図である。
【0003】
図4(a)は、計量装置に端子ブロックを取り付けた状態を示し、図4(b)は、計量装置に通信装置を取り付けた状態を示し、図4(c)、(d)は、端子ブロックにカバーを取り付けて完成した電力量計を示す。図5(a)、(b)は、従来の電力量計の分解図を示す。図6(a)は、従来の電力量計用通信装置の外観を示し、図6(b)は、通信装置に設けられた計量装置取付部24aを示す。
【0004】
計量装置は、図5(a)~図5(b)に示すように、電力量を表示する表示部1aと通信装置接続部1bと開閉検出部1cと導体接続部1dとセンサ接続部1eとベース取付部1fを有する回路部1、回路部1のセンサ接続部1eに接続するセンサ側回路接続部2aを有し電流を測定するセンサ部2、回路部1の導体接続部1dに接続して電源供給する導体側回路接続部3aと端子ブロックの端子9の端子側導体接続部9bと接続する導体側端子接続部3bを備えている導体3、通信装置接続部通し穴4aと通信装置取付部4bとブロック取付部4cと開閉検出部通し穴4dとケース取付部4eと導体通し穴4fと回路取付部4gを備えるベース4、それらを収納し、表示窓5aとケース側ベース取付部5bとケース防水用リブ収納部5cとケース防水用リブ5dとケース側固定ねじ取付部5eとケース背面5fを備えているケース5で構成されている。
【0005】
通信装置は、図6(a)~図6(b)に示すように、計量装置接続部21a、計量装置取付部24aを有している。端子ブロックは、図5(a)~図5(b)に示すように、ブロック取付ねじ6、導体接続ねじ7、電線取付ねじ8、電線収納部9aと端子側導体接続部9bを備える端子9、ブロック側ベース取付部10aとカバー取付用雌ネジ部10bと電線通し穴10cと端子取付部10dとブロック側固定ねじ取付部10eとブロック防水用リブ収納部10fを備えるブロック10で構成されている。
【0006】
カバーは、図5(a)~図5(b)に示すように、検出用凸部11aと防水用リブ11bを備えるカバー11とカバー取付ねじ12で構成されている。
【0007】
このように構成された計量装置、通信装置、端子ブロック、カバーを電力量計に組立てる手順を以下に記す。まず、図4(a)に示すように、計量装置を端子ブロックに篏合させた後、計量装置の導体側端子接続部3bを、端子ブロックの導体接続ねじ7で端子9の端子側導体接続部9bに固定し、計量装置のブロック取付部4cを、ブロック取付ねじ6で端子ブロックのブロック側ベース取付部10aに固定することで、計量装置を端子ブロックに取り付けることができる。
【0008】
その後、図4(b)に示すように、通信装置の計量装置取付部24aを、計量装置のベース4の通信装置取付部4bに嵌合させ、通信装置の計量装置接続部21aを、計量装置のベース4の通信装置接続部通し穴4aを通して、回路部1の通信装置接続部1bに接続することで、通信装置を計量装置に取付ける。
【0009】
その後、図4(c)に示すように、カバー11のカバー防水用リブをケース5のケース防水用リブ収納部5cに挿入し、カバー11に備えてあるカバー取付ねじ12を、ブロック10のカバー取付用雌ネジ部10bに取り付けることで、電力量計が組み立てられることになる。設置された電力量計において、図4(d)の矢印に示すように、計量装置のケース背面を上から下の方向に雨水が流れ、計量装置のケース背面から端子ブロック側に雨水が流れることがわかる。
【0010】
参考として、端子台に接続されている電源側給電用導線および負荷側給電用導線を取り外す必要がなく、給電制御装置の着脱作業を容易かつ安全に行うことができる電力量計が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第4991340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
設置された電力量計において、計量装置のケース背面に雨水が流れて、計量装置のケース背面の凹凸や、端子ブロック背面の凹凸や、計量装置のケースと端子ブロックの隙間に雨水が溜まり、計量装置交換時において、溜まった雨水が端子ブロック側に流れ出す場合があり、短絡事故を起こすことがある。
【0013】
本発明は、計量装置背面に流れた雨水が流れても、下方にある端子ブロック側に雨水が流れ込むことを抑止することができる電力量計を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1は、ケースを備える計量装置と、前記計量装置に取り付けられ且つ前記計量装置で計量された電力量を外部に送信する通信装置と、前記計量装置に取り付けられ且つ電線と接続する端子ブロックと、前記計量装置、前記通信装置及び前記端子ブロックを覆うカバーとを有し、前記ケースの背面において、中心軸を軸として左右対称に前記中心軸から前記ケースの左右両側面に向けて下がる傾斜が形成された複数の傾斜凹部を設け、前記複数の傾斜凹部は、前記背面に流れ込む雨水を前記左右両側面に排水することを特徴とする。
【0015】
請求項2の発明は、前記ケースの前記左右両側面の下端部を端子ブロックの左右両側面下端部まで延長したケース延長部を設け、前記ケース延長部は、前記複数の傾斜凹部で排水した雨水を前記端子ブロックの前記左右両側面下端部まで排水することを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明は、前記ケースの前記左右両側面に前記ケース延長部を通る排水用凹部を設け、前記排水用凹部は、前記複数の傾斜凹部で排水した雨水を下方に排水することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、計量装置背面に流れた雨水を左右両側面に流し出すことができるため、充電部である端子ブロック側に雨水が流れ込むことを抑止することができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、計量装置背面に流れた雨水を左右両側面に流し出すとともに、ケース延長部により端子ブロックの左右両側面下端まで雨水を流すことができるため、さらに充電部である端子ブロック側に雨水が流れ込むことを抑止することができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、請求項2に対して、雨水を排水用凹部にまとめて排水することで、排水スピードが上がるため、さらに充電部である端子ブロック側に雨水が流れ込むことを抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施形態に係る電力量計の背面斜視図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係る電力量計の背面斜視図である。
図3】本発明の第3の実施形態に係る電力量計の背面斜視図である。
図4】従来の電力量計の斜視図である。
図5】従来の電力量計の分解図である。
図6】従来の電力量計用通信装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係る電力量計について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電力量計の背面斜視図である。電力量計は、図1に示すように、ケース5Aを有する計量装置と、計量装置に取り付けられ且つ計量装置で計量された電力量を外部に送信する通信装置(図4(b)に示す上ケース23と下ケース24)と、計量装置に取り付けられ且つ電線と接続する端子ブロックと、計量装置、通信装置及び端子ブロックを覆うカバーとを有している。
【0023】
図1に示すケース5Aは、図5(a)~図5(b)に示すケース5同様に、正面と左右両側面と上面と背面5Af(正面と対向する面)とを有する。
【0024】
背面5Afにおいて、中心軸を軸として左右対称に中心軸から左右両側面に向けて下がる傾斜が形成された第1傾斜凹部5A1a、第2傾斜凹部5A1b、第3傾斜凹部5A1c、第4傾斜凹部5A1d、第5傾斜凹部5A1eを設けている。
【0025】
次に、このように構成された第1の実施形態の電力量計の動作を説明する。まず、第1傾斜凹部5A1aは、ケース5Aの上部から背面5Afに流れ込む雨水を、ケース5Aの左右両側面に排水する。
【0026】
次に、第2傾斜凹部5A1bは、第1傾斜凹部5A1aを乗り越えた雨水をケース5Aの左右両側面に排水し、第3傾斜凹部5A1cは、第2傾斜凹部5A1bを乗り越えた雨水をケース5Aの左右両側面に排水する。
【0027】
第4傾斜凹部5A1dは、第3傾斜凹部5A1cを乗り越えた雨水をケース5Aの左右両側面に排水し、第5傾斜凹部5A1eは、第4傾斜凹部5A1dを乗り越えた雨水をケース5Aの左右両側面に排水する。
【0028】
このようにすることで、下方にある端子ブロック側に極力雨水を流さないようにすることができる。これにより、計量装置取付時の短絡を防止することができる。
【0029】
なお、第1の実施形態では、5つの傾斜凹部を用いているが、例えば、傾斜凹部は、2つ以上でもよい。
【0030】
このように第1の実施形態に係る電力量計によれば、計量装置であるケース5Aの背面5Afに流れた雨水を背面5Afに形成された複数の傾斜凹部5A1a~5A1eによりケース5Aの左右両側面に流し出すことができる。このため、充電部である端子ブロック側に雨水が流れ込むことを抑止することができる。
【0031】
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態に係る電力量計の背面斜視図である。図2に示すケース5Bは、図5(a)~図5(b)に示すケース5同様に、正面と左右両側面と上面と背面5Bf(正面と対向する面)とを有する。背面5Bfにおいて、中心軸を軸として左右対称に中心軸から左右両側面に向けて下がる傾斜が形成された第1傾斜凹部5B1a、第2傾斜凹部5B1b、第3傾斜凹部5B1c、第4傾斜凹部5B1d、第5傾斜凹部5B1eを設けている。
【0032】
また、ケース5Bの左右両側面の下端部を端子ブロックの左右両側面の下端部まで延長したケース延長部5B2が設けられている。
【0033】
次に、このように構成された第2の実施形態の電力量計の動作を説明する。まず、第1傾斜凹部5B1a、第2傾斜凹部5B1b、第3傾斜凹部5B1c、第4傾斜凹部5B1d、第5傾斜凹部5B1eは、第1の実施形態と同様にケース5Bの背面5Bfに流れこんだ雨水を、ケース5Bの左右両側面に排水する。
【0034】
その後、ケース延長部5B2は、排水された雨水を端子ブロックの左右両側面の下端部まで下方に排水する。これにより、端子ブロック側に極力雨水を流さないようにして、計量装置取付時の短絡を防止することができる。
【0035】
このように第2の実施形態に係る電力量計によれば、ケース5Bの背面5Bfに流れた雨水を左右両側面に流し出すとともに、ケース延長部5B2により端子ブロックの左右両側面下端まで雨水を流すことができるため、さらに充電部である端子ブロック側に雨水が流れ込むことを抑止することができる。
【0036】
(第3の実施形態)
図3は、本発明の第3の実施形態に係る電力量計の背面斜視図である。図3に示すケース5Cは、図5(a)~図5(b)に示すケース5同様に、正面と左右両側面と上面と背面5Cf(正面と対向する面)とを有する。
【0037】
背面5Cfにおいて、中心軸を軸として左右対称に中心軸から左右両側面に向けて下がる傾斜が形成された第1傾斜凹部5C1a、第2傾斜凹部5C1b、第3傾斜凹部5C1c、第4傾斜凹部5C1d、第5傾斜凹部5C1eを設けている。
【0038】
また、ケース5Cの左右両側面の下端部を端子ブロック10の左右両側面の下端部まで延長したケース延長部5C2が設けられている。
【0039】
また、ケース5Cの左右両側面の背面には、ケース延長部5C2を通る排水用凹部5C3が設けられている。
【0040】
次に、このように構成された第3の実施形態の電力量計の動作を説明する。まず、第1傾斜凹部5C1a、第2傾斜凹部5C1b、第3傾斜凹部5C1c、第4傾斜凹部5C1d、第5傾斜凹部5C1eは、第1、2の実施形態と同様に背面5Cfに流れこんだ雨水を、ケース5Cの左右両側面側に流す。
【0041】
その後、雨水を排水用凹部5C3を伝って下方に排水することで、端子ブロック側に極力雨水を流さないようにして、計量装置取付時の短絡を防止することができる。
【0042】
このように第3の実施形態に係る電力量計によれば、第2の実施形態に対して、雨水を排水用凹部5C3にまとめて排水することで、排水スピードが上がる。このため、さらに充電部である端子ブロック側に雨水が流れ込むことを抑止することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 回路部
1a 表示部
1b 通信装置接続部
1c 開閉検出部
1d 導体接続部
1e センサ接続部
1f ベース取付部
2 センサ部
2a センサ側回路接続部
3 導体
3a 導体側回路接続部
3b 導体側端子接続部
4 ベース
4a 通信装置接続部通し穴
4b 通信装置取付部
4c ブロック取付部
4d 開閉検出部通し穴
4e ケース取付部
4f 導体通し穴
4g 回路取付部
5,5A,5B,5C ケース
5a,5Aa,5Ba,5Ca 表示窓
5b,5Ab,5Bb,5Cb ケース側ベース取付部
5c,5Ac,5Bc,5Cc ケース防水用リブ収納部
5d,5Ad,5Bd,5Cd ケース防水用リブ
5e,5Ae,5Be,5Ce ケース側固定ねじ取付部
5f,5Af,5Bf,5Cf ケース背面
5A1a,5B1a,5C1a 第1傾斜凹部
5A1b,5B1b,5C1b 第2傾斜凹部
5A1c,5B1c,5C1c 第3傾斜凹部
5A1d,5B1d,5C1d 第4傾斜凹部
5A1e,5B1e,5C1e 第5傾斜凹部
5B2,5C2 ケース延長部
5C3 排水用凹部
6 ブロック取付ねじ
7 導体接続ねじ
8 電線取付ねじ
9 端子
9a 電線収納部
9b 端子側導体接続部
10 ブロック
10a ブロック側ベース取付部
10b カバー取付用雌ねじ部
10c 電線通し穴
10d 端子取付部
10e ブロック側固定ねじ取付部
10f ブロック防水用リブ収納部
11 カバー
11a 検出用凸部
11b カバー防水用リブ
12 カバー取付ねじ
21 ケーブル
21a 計量装置接続部
22 LED導光部
23 上ケース
24 下ケース
24a 計量装置取付部
図1
図2
図3
図4
図5
図6