(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180810
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】位置調整機構及び位置調整方法
(51)【国際特許分類】
F01D 25/28 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
F01D25/28 D
F01D25/28 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087513
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】武田 紀行
(57)【要約】
【課題】ケーシングとローターとのクリアランスが計画値よりも小さくなることを抑制する。
【解決手段】位置調整機構は、基礎から露出する外面を有した支持板と、ケーシングから突出するラグと、ラグと対向するように支持板の外面に固定されてラグからの荷重を受けるアンカーブロックと、ラグとアンカーブロックとの間に挿入されたライナーと、を備える。ライナーは、ラグに接触するラグ側面と、アンカーブロックに接触するブロック側面と、を有している。ラグは、ライナーのラグ側面と接触する被受け面を有し、アンカーブロックは、ライナーのブロック側面と接触するブロック受け面を有している。ラグ側面の平面度は、ブロック側面の平面度より高く、被受け面の平面度は、ブロック受け面の平面度より高い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気タービンのケーシングの外面に設けられ、前記ケーシングから突出するラグと、
前記蒸気タービンの設置される基礎に埋め込まれて、少なくとも一部が前記基礎から露出する外面を有した支持板と、
前記ラグと対向するように前記支持板の外面に固定され、前記ラグからの荷重を受けるアンカーブロックと、
前記ラグと前記アンカーブロックとの間に挿入されたライナーと、
を備え、
前記ライナーは、前記ラグに接触するラグ側面と、前記アンカーブロックに接触するブロック側面と、を有し、
前記ラグは、前記ライナーの前記ラグ側面と接触する被受け面を有し、
前記アンカーブロックは、前記ライナーの前記ブロック側面と接触するブロック受け面を有し、
前記ラグ側面の平面度は、前記ブロック側面の平面度より高く、
前記被受け面の平面度は、前記ブロック受け面の平面度より高い
位置調整機構。
【請求項2】
前記支持板の外面に設けられた溶接部を備え、
前記アンカーブロックは、前記溶接部を介して前記支持板の外面に固定されている
請求項1に記載の位置調整機構。
【請求項3】
前記ブロック受け面は、前記蒸気タービンのローター軸線方向から見て左方向又は右方向を向く面である、
請求項1又は2に記載の位置調整機構。
【請求項4】
前記アンカーブロックは、
前記ローター軸線方向から見て左右方向に延びるブロック基部と、
前記ブロック基部から前記ローター軸線方向に延びて前記左右方向に間隔をあけて互いに対向する第一脚部及び第二脚部と、を有し、
前記ブロック基部は、
前記支持板の外面に固定される基礎側面と、
前記基礎側面と背合わせの関係にあるタービン側面と、を有し、
前記第一脚部及び前記第二脚部は、
前記ブロック基部における前記タービン側面から突出し、
前記第一脚部は、
前記ブロック受け面として、前記第一脚部の外面のうちの前記第二脚部と対向する第一ブロック受け面を有し、
前記第二脚部は、
前記ブロック受け面として、前記第二脚部の外面のうちの前記第一脚部と対向する第二ブロック受け面を有し、
前記ラグは、前記被受け面として、
前記左右方向における前記第一ブロック受け面と前記第二ブロック受け面との間に位置して、前記第一ブロック受け面と間隔をあけて対向する第一被受け面と、
前記左右方向における前記第一ブロック受け面と前記第二ブロック受け面との間に位置して、前記第二ブロック受け面と間隔をあけて対向する第二被受け面と、を有し、
前記ライナーとして第一ライナー及び第二ライナーを有し、
前記第一ライナーは、
前記第一ブロック受け面と前記第一被受け面との間に位置して、前記第一ブロック受け面に接触する前記ブロック側面としての第一ブロック側面と、前記第一ブロック受け面と前記第一被受け面との間に位置して、前記第一被受け面に接触する前記ラグ側面としての第一ラグ側面と、を有し、
前記第二ライナーは、
前記第二ブロック受け面と前記第二被受け面との間に位置して、前記第二ブロック受け面に接触する前記ブロック側面としての第二ブロック側面と、前記第二ブロック受け面と前記第二被受け面との間に位置して、前記第二被受け面に接触する前記ラグ側面としての第二ラグ側面と、を有し、
前記第一ラグ側面の平面度及び前記第一被受け面の平面度は、前記第一ブロック受け面の平面度より高く、
前記第二ラグ側面の平面度及び前記第二被受け面の平面度は、前記第二ブロック受け面の平面度より高い、
請求項3に記載の位置調整機構。
【請求項5】
前記ライナーを前記ラグに固定する固定具をさらに備え、
前記ライナーは、前記ラグと前記アンカーブロックとの間に挿入されたライナー本体と、前記ライナー本体の上端から前記左右方向のラグ側に延びるライナフランジと、を有し、
前記固定具は、前記ライナフランジを前記ラグに固定する、
請求項4に記載の位置調整機構。
【請求項6】
前記ラグ側面と前記ブロック側面との間隔は、上側に向かうに連れて漸次拡大する、
請求項1から5の何れか一項に記載の位置調整機構。
【請求項7】
基礎に対して配置された蒸気タービンの位置調整方法であって、
ブロック受け面を有するアンカーブロックと、互に背合わせの関係にあるブロック側面及びラグ側面を有するライナーと、を準備する準備工程と、
前記蒸気タービンのケーシングの外面に予め固定されているラグの被受け面に対して、前記アンカーブロックの前記ブロック受け面が間隔をあけて対向するよう、前記基礎に予め埋め込まれて外面が前記基礎から露出している支持板に、前記アンカーブロックを固定するブロック固定工程と、
前記被受け面と前記ブロック受け面との間隔を測定する間隔測定工程と、
前記間隔測定工程の測定結果に基づき、前記ライナーにおける前記ブロック側面と前記ラグ側面との間の幅を定める幅設定工程と、
前記ライナーにおける前記ブロック側面と前記ラグ側面との間の幅が、前記幅設定工程で定めた幅になるよう、前記ブロック側面を研削する幅調整工程と、
前記ライナーの前記ラグ側面が前記ラグの前記被受け面に接し、且つ前記幅調整工程後の前記ライナーの前記ブロック側面が前記アンカーブロックのブロック受け面に接触するよう、前記幅調整工程後の前記ライナーを前記ラグの前記ラグ側面と前記アンカーブロックの前記ブロック受け面との間に配置するライナー配置工程と、
を含む、
位置調整方法。
【請求項8】
前記支持板及び前記アンカーブロックは、金属で形成され、
前記ブロック固定工程では、前記アンカーブロックを前記支持板の外面に溶接で固定する、
請求項7に記載の位置調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、位置調整機構及び位置調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、蒸気タービンのケーシングを基礎架台に据え付ける際に、基礎架台に対して蒸気タービンのケーシングを位置決めする機体据付調整装置が記載されている。この特許文献1の機体据付調整装置は、蒸気タービンのローター軸と垂直な水平方向へ蒸気タービンのケーシングが変位しないように位置決めを行っている。この機体据付調整装置は、基礎架台に取り付けられたトランスバースアンカブロックと蒸気タービンのケーシングに設けられた脚との間に、L字ライナーを挿入している。このL字ライナーは、ケーシングを据え付ける際に、トランスバースアンカブロックと脚との隙間の大きさに応じてグラインダ等により切削され調整されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の機体据付調整装置では、基礎架台にトランスバースアンカブロックを設け、ケーシングに脚を設けていたが、例えば、基礎架台のアンカーブロックに脚を設けて、この脚とケーシングに設けられたラグとの間にL字ライナーを挿入してケーシングの位置決めを行う場合がある。基礎架台のアンカーブロックは、溶接により取り付けられるため、L字ライナーと接触するアンカーブロックのブロック受け面が歪んでしまう。一方で、L字ライナーは、グラインダ等により切削されるため、加工面が粗い状態となる。そのため、アンカーブロックとL字ライナー及びL字ライナーとラグとの間にガタが生じ、タービンに水平方向への荷重が掛かった際に、ガタの分だけケーシングが変位してしまい、ケーシングとローターとのクリアランスが計画値以上に小さくなってしまう可能性が有るという課題がある。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ケーシングとローターとのクリアランスが計画値以上に小さくなることを抑制可能な位置調整機構及び位置調整方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために以下の構成を採用する。
本開示に係る位置調整機構は、蒸気タービンのケーシングの外面に設けられ、前記ケーシングから突出するラグと、前記蒸気タービンの設置される基礎に埋め込まれて、少なくとも一部が前記基礎から露出する外面を有した支持板と、前記ラグと対向するように前記支持板の外面に固定され、前記ラグからの荷重を受けるアンカーブロックと、前記ラグと前記アンカーブロックとの間に挿入されたライナーと、を備え、前記ライナーは、前記ラグに接触するラグ側面と、前記アンカーブロックに接触するブロック側面と、を有し、前記ラグは、前記ライナーの前記ラグ側面と接触する被受け面を有し、前記アンカーブロックは、前記ライナーの前記ブロック側面と接触するブロック受け面を有し、前記ラグ側面の平面度は、前記ブロック側面の平面度より高く、前記被受け面の平面度は、前記ブロック受け面の平面度より高い(”平面度”はJIS規格(JIS B 0684-1)に則したものである)。
【0007】
本開示に係る位置調整方法は、基礎に対して配置された蒸気タービンの位置調整方法であって、ブロック受け面を有するアンカーブロックと、互に背合わせの関係にあるブロック側面及びラグ側面を有するライナーと、を準備する準備工程と、前記蒸気タービンのケーシングの外面に予め固定されているラグの被受け面に対して、前記アンカーブロックの前記ブロック受け面が間隔をあけて対向するよう、前記基礎に予め埋め込まれて外面が前記基礎から露出している支持板に、前記アンカーブロックを固定するブロック固定工程と、前記被受け面と前記ブロック受け面との間隔を測定する間隔測定工程と、前記間隔測定工程の測定結果に基づき、前記ライナーにおける前記ブロック側面と前記ラグ側面との間の幅を定める幅設定工程と、前記ライナーにおける前記ブロック側面と前記ラグ側面との間の幅が、前記幅設定工程で定めた幅になるよう、前記ブロック側面を研削する幅調整工程と、前記ライナーの前記ラグ側面が前記ラグの前記被受け面に接し、且つ前記幅調整工程後の前記ライナーの前記ブロック側面が前記アンカーブロックのブロック受け面に接触するよう、前記幅調整工程後の前記ライナーを前記ラグの前記ラグ側面と前記アンカーブロックの前記ブロック受け面との間に配置するライナー配置工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
上記態様によれば、ケーシングとローターとのクリアランスが計画値以上に小さくなることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態における蒸気タービンを基礎に据え付ける概略構成を示す分解斜視図である。
【
図2】本開示の実施形態における蒸気タービンを配置する基礎の平面図である。
【
図3】本開示の実施形態におけるアンカーブロック及び支持板の斜視図である。
【
図4】本開示の実施形態における位置調整機構を拡大した分解斜視図である。
【
図5】本開示の実施形態におけるライナーの側面図である。
【
図6】本開示の実施形態における位置調整方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態における位置調整機構及び位置調整方法を図面に基づき説明する。
〈実施形態〉
図1は、本開示の実施形態における蒸気タービンを基礎に据え付ける概略構成を示す分解斜視図である。
図1に示すように、本実施形態における位置調整機構100は、蒸気タービンSTを基礎に据え付ける際に、蒸気タービンSTの水平方向への位置調整を行う機構である。
本実施形態で例示する蒸気タービンSTは、二分流排気型の低圧蒸気タービンである。
【0011】
蒸気タービンSTは、タービンローター11と、複数の静翼セグメント(図示せず)と、ケーシング20と、蒸気流入管19と、を備えている。この実施形態で例示する蒸気流入管19は、上方から下方に向かって延びてタービンローター11に接続されている。二分流排気型の低圧蒸気タービンである蒸気タービンSTにおいては、蒸気流入管19からケーシング20内に流入した蒸気が、タービンローター11の軸線Arが延びるローター軸線方向Daの一方側と他方側とに分流し、それぞれ第一蒸気タービン部10aと第二蒸気タービン部10bとに供給される。蒸気流入管19は、例えば、上記タービンローター11と同軸上に設けられた中圧タービン(図示せず)等から排出された蒸気Wsを、蒸気タービンSTへ供給している。
【0012】
以下の説明においては、軸線Arを中心とした周方向を単に周方向Dcとし、軸線Arに対して垂直な方向を径方向Drとする。さらに、この径方向Drで軸線Arの側を径方向内側Dri、その反対側を径方向外側Droとする。さらに、ローター軸線方向Daで蒸気流入管19に近い側を軸線上流側Dau、その反対側を軸線下流側Dadとする。また、第一蒸気タービン部10aの構成と第二蒸気タービン部10bの構成についての詳細説明は省略する。
【0013】
タービンローター11は、軸線Arを中心として回転する。タービンローター11は、軸線Arを中心としてローター軸線方向Daに延びるローター軸12と、このローター軸12に取り付けられている複数の動翼列(図示せず)と、を有している。タービンローター11は、軸線Arを中心にして回転可能なように軸受(図示せず)に支持されている。第一蒸気タービン部10aのタービンローター11と、第二蒸気タービン部10bのタービンローター11とは、同一の軸線Ar上に位置して互いに連結されて、軸線Arを中心として一体回転する。
なお、第一蒸気タービン部10aと第二蒸気タービン部10bとは、複数の動翼列のそれぞれ軸線上流側Dauに、静翼列(図示せず)を有している。静翼列は、周方向Dcに並んで配置された複数の静翼(図示せず)を有しており、ケーシング20に支持されている。
【0014】
《ケーシングの構成》
ケーシング20は、ケーシング本体22と、排気ケーシング25と、を少なくとも備えている。
ケーシング本体22は、第一蒸気タービン部10a及び第二蒸気タービン部10bを径方向外側Droから覆っている。この実施形態におけるケーシング本体22は、軸線上流側Dauから軸線下流側Dadに向かうにつれて径方向外側に向かうように湾曲する漏斗状のディフューザ部22dを有している。このディフューザ部22dの外面に、本実施形態の位置調整機構100の一部を構成するラグ51が設けられている。
【0015】
排気ケーシング25は、タービンローター11の最終動翼列から流出した蒸気Wsを復水器(図示せず)に向けて排出する。本実施形態の排気ケーシング25は、ローター軸線方向Daから見て、ケーシング本体22から軸線Arと垂直な水平方向Dhの第一側Dh1(言い換えれば、左方向又は右方向)へ延びて、軸線Arと垂直な水平方向Dhの第一側Dh1へ向く開口26を有している。このような排気ケーシング25を有するケーシング20には、蒸気タービンSTの運転時に、排気ケーシング25内の圧力と、大気圧との圧力差によって、軸線Arと垂直な水平方向Dhの第二側Dh2から第一側Dh1へ向かう荷重が掛かる。すなわちケーシング20には、水平方向Dhにおける軸線Arを基準として排気ケーシング25の配置されている側に向かう荷重が掛かる。
【0016】
図2は、本開示の実施形態における蒸気タービンを配置する基礎の平面図である。
図1、
図2に示すように、基礎Bは、平面視で上述した蒸気タービンSTの周囲の床面F上に設置されている。基礎Bは、例えば、コンクリートブロック等からなり、床面Fから鉛直上方に向かって延びている。本実施形態における基礎Bは、軸線Arと垂直な水平方向Dhに延びて互いにローター軸線方向Daに間隔をあけて配置された第一支持部31及び第二支持部32と、これら第一支持部31及び第二支持部32の端部同士を繋ぐようにローター軸線方向Daに延びる接続支持部33と、を備えている。上述したタービンローター11は、第一支持部31と第二支持部32とを渡るように設置されている。第一支持部31の上面31aと、第二支持部32の上面32aとには、それぞれタービンローター11を回転自在に支持する軸受28(
図2参照)が設置される。接続支持部33は、軸線Arと垂直な水平方向Dhにおいて、排気ケーシング25とは反対側に設けられている。なお、基礎Bにおいては、ケーシング20を下方から支持する他のコンクリートブロックを、ローター軸線方向Daにおける第一支持部31と第二支持部32との間に設けるようにしてもよい。
【0017】
《位置調整機構》
次に、本実施形態の位置調整機構を
図1から
図5に基づき説明する。
図3は、本開示の実施形態におけるアンカーブロック及び支持板の斜視図である。
図4は、本開示の実施形態における位置調整機構を拡大した分解斜視図である。
図5は、本開示の実施形態におけるライナーの側面図である。
位置調整機構100は、基礎Bに対するケーシング20の位置調整を行う。具体的には、本実施形態の位置調整機構100は、基礎Bに対して、ケーシング20の軸線Arに垂直な水平方向Dhの位置決めを行う。
図1、
図3、
図4に示すように、位置調整機構100は、支持板41と、溶接部42と、アンカーブロック43と、ラグ51と、ライナー52と、を備えている。
【0018】
支持板41は、上述した基礎Bに埋め込まれ、少なくとも一部が基礎Bから露出する外面41foを有している。本実施形態の位置調整機構100は、支持板41として、基礎Bの第一支持部31に埋め込まれた第一支持板41Aと、基礎Bの第二支持部32に埋め込まれた第二支持板41Bとを備えている。第一支持板41A及び第二支持板41Bは、それぞれ、平板状の支持板本体41bと、支持板本体41bから垂直な方向(本実施形態では、ローター軸線方向Da)に延びる複数のスタッドジベル41sとを備えている。支持板本体41bは、軸線Arに垂直な水平方向Dh及び上下方向に広がる平板状に形成されている。そして、支持板本体41bの外面41foは、基礎Bから露出する露出面であり、支持板本体41bの内面41fiは基礎Bの内部に位置する非露出面である。上記スタッドジベル41sは、非露出面である内面41fiに固定されて、この内面41fiから基礎Bの内部に向かって延びる。なお、第一支持板41A及び第二支持板41Bは、同一構成であるため、以下の説明においては、第一支持板41A及び第二支持板41Bを区別せずに単に支持板41と称する場合がある。また、ケーシング20に対して、第一支持部31側と第二支持部32側とに設けられた位置調整機構100の構成は同等の構成であるため、重複する構成についても説明は省略する。
【0019】
溶接部42は、支持板本体41bの41foに設けられている。この溶接部42を介してアンカーブロック43が支持板41に固定されている。本実施形態の溶接部42は、例えば、アーク溶接等により形成することができる。
【0020】
アンカーブロック43は、ケーシング20に設けられたラグ51からの荷重を受ける。アンカーブロック43は、ラグ51と対向するように溶接部42を介して支持板41の外面41foに固定されている。アンカーブロック43は、ライナー52のブロック側面と接触するブロック受け面43rを有している。ブロック受け面43rは、軸線Arと垂直な水平方向Dhの第一側Dh1又は第二側Dh2(言い換えれば、ローター軸線方向Daから見て左方向又は右方向)を向いている。
【0021】
本実施形態のアンカーブロック43は、ブロック基部44と、第一脚部45Aと、第二脚部45Bと、を有している。
ブロック基部44は、ローター軸線方向Daから見て軸線Arと垂直な水平方向Dhに延びている。ブロック基部44は、支持板41の外面41foに固定される基礎側面44fb(
図1参照)と、基礎側面44fbと背合わせの関係にあるタービン側面44ftと、を有している。本実施形態のブロック基部44には、支持板41の外面41foに近い側に開先46が形成されている。溶接部42は、この開先46を用いた開先溶接により形成されている。
【0022】
第一脚部45A及び第二脚部45Bは、ブロック基部44からローター軸線方向Daに延びて軸線Arと垂直な水平方向Dhに間隔をあけて互いに対向するように形成されている。本実施形態の第一脚部45Aと第二脚部45Bとは、上下方向に延びており、第一脚部45A及び第二脚部45Bのそれぞれの上下方向の長さ寸法は、ブロック基部44の上下方向の長さ寸法と同等の大きさになっている。
アンカーブロック43は、上記のようなブロック基部44、第一脚部45A及び第二脚部45Bを備えることで、軸線Arと垂直な上下方向から見て、U字状をなしている。
【0023】
図1に示すように、ラグ51は、ケーシング20の外面20oに設けられている。本実施形態のラグ51は、ローター軸線方向Daにおけるケーシング20の第一支持部31側と第二支持部32側との両方に形成されている。本実施形態のラグ51は、上述したようにケーシング20のディフューザ部22dの外面41foに設けられている。ラグ51は、ディフューザ部22dの外面41foからローター軸線方向Daの外側(言い換えれば、軸線下流側Dad)に向かって突出している。本実施形態のラグ51は、軸線Arに垂直な上下方向(例えば、鉛直方向)に延びている。また、本実施形態において、軸線Arに垂直な水平方向Dhにおけるラグ51の幅寸法は、一定になっている。
【0024】
図1、
図4に示すように、ラグ51は、ライナー52のラグ側面(後述する)と接触する被受け面51rを有している。本実施形態におけるラグ51は、被受け面51rとして第一被受け面51raと第二被受け面51rbとを有している。これら第一被受け面51ra及び第二被受け面51rbは、互いに背合わせとなるように軸線Arと垂直な水平方向Dhの第一側Dh1と第二側Dh2とをそれぞれ向いている。さらに、本実施形態の第一被受け面51ra及び第二被受け面51rbは、互いに平行な平面状をなしている。ラグ51は、第一被受け面51raと第二被受け面51rbとを上方で繋ぐラグ上面51uを更に備えている。本実施形態のラグ上面51uの高さ位置は、第一脚部45A及び第二脚部45Bの上面45uの高さ位置と同一になっている。ラグ上面51uには、ライナー52を固定するための雌ネジ51hが形成されている。
【0025】
図3、
図4に示すように、上述したアンカーブロック43の第一脚部45Aは、第一脚部45Aの外面のうち第二脚部45Bと対向する第一ブロック受け面43raを有している。アンカーブロック43の第二脚部45Bは、第二脚部45Bの外面のうち第一脚部45Aと対向する第二ブロック受け面43rbを有している。そして、上述したラグ51の第一被受け面51raは、軸線Arと垂直な水平方向Dhにおける第一ブロック受け面43raと第二ブロック受け面43rbとの間に位置して、第一ブロック受け面43raと間隔をあけて対向している。さらに、ラグ51の第二被受け面51rbは、軸線Arと垂直な水平方向Dhにおける第一ブロック受け面43raと第二ブロック受け面43rbとの間に位置して、第二ブロック受け面43rbと間隔をあけて対向している。アンカーブロック43の第一ブロック受け面43raと第二ブロック受け面43rbとは、互いに下方に向かうほど近づくように傾斜している。
【0026】
図4、
図5に示すように、ライナー52は、ラグ51とアンカーブロック43との間に上方から挿入されている。本実施形態のライナー52は、ラグ51とアンカーブロック43との間に配置されて上下方向に延びるライナー本体53と、ライナー本体53の上端部から左方向又は右方向(言い換えれば、ライナー本体53の延びる方向と交差する方向)に延びるライナフランジ部54とを有している。ライナフランジ部54は、ボルト等の固定具60によりラグ51に対して着脱可能に固定されている。
【0027】
ライナー52のライナー本体53は、ラグ51に接触するラグ側面55と、アンカーブロック43に接触するブロック側面56とを有している。本実施形態におけるライナー52は、ライナフランジ部54の下面54uとラグ側面55とが垂直に形成されている。そして、本実施形態のライナー本体53のブロック側面56は、下方に向かって漸次ラグ側面55に近づくように傾斜している。言い換えれば、ローター軸線方向Daから見て、ライナー本体53は、下方に向かって先細りとなるように形成されている。
【0028】
ライナー52の形状は、ラグ51とアンカーブロック43との隙間の形状に応じてグラインダ等により切削されて調整されている。調整前のライナー本体53は、ライナフランジ部54の延びる方向とは反対側(言い換えれば、ブロック側面56となる側)に、所定厚さの削り代が設定された被切削部57を有している。言い換えれば、ブロック側面56は、被切削部57を切削することにより形成される。この被切削部57は、ライナー本体53の長さ方向の全域に設けられている。なお、
図5に示すライナー52は、調整前のライナー52を示しており、
図5において切削可能な限界の位置を二点鎖線で示している。
【0029】
図1、
図4に示すように、本実施形態の位置調整機構100は、ライナー52として、第一ライナー52aと第二ライナー52bとを備えている。これら第一ライナー52aと第二ライナー52bとの組み合わせは、それぞれ基礎Bの第一支持部31側と、第二支持部32側とに一組ずつ設けられている。すなわち、本実施形態においては、第一ライナー52a及び第二ライナー52bは、二組設けられている。
【0030】
第一ライナー52aは、アンカーブロック43の第一脚部45Aと第二脚部45Bとの間にラグ51が配置された状態で、第一脚部45Aとラグ51との隙間に上方から挿入されてラグ51に固定されている。同様に、第二ライナー52bは、アンカーブロック43の第一脚部45Aと第二脚部45Bとの間にラグ51が配置された状態で、第二脚部45Bとラグ51との隙間に上方から挿入されてラグ51に固定されている。すなわち、第一ライナー52aと第二ライナー52bとは、ローター軸線方向Daから見て左右対称に配置されている。
【0031】
第一ライナー52aは、ブロック側面56としての第一ブロック側面56aと、ラグ側面55としての第一ラグ側面55aと、を有している。第一ブロック側面56aは、第一ブロック受け面43raと第一被受け面51raとの間に位置して、第一ブロック受け面43raに接触する。第一ラグ側面55aは、第一ブロック受け面43raと第一被受け面51raとの間に位置して、第一被受け面51raに接触する。
【0032】
第二ライナー52bは、ブロック側面56としての第二ブロック側面56bと、ラグ側面55としての第二ラグ側面55bと、を有している。第二ブロック側面56bは、第二ブロック受け面43rbと第二被受け面51rbとの間に位置して、第二ブロック受け面43rbに接触する。第二ラグ側面55bは、第二ブロック受け面43rbと第二被受け面51rbとの間に位置して第二被受け面51rbに接触する。
【0033】
《平面度》
ライナー52のラグ側面55の平面度は、ライナー52のブロック側面56の平面度より高い。つまり、第一ラグ側面55aの平面度が、第一ブロック側面56aの平面度より高く、第二ラグ側面55bの平面度が、第二ブロック側面56bの平面度より高い。第一ラグ側面55aの平面度と第二ラグ側面55bの平面度とは同等である。これら第一ラグ側面55aと第二ラグ側面55bとは、例えば、工場における機械加工で精密に成形された状態を維持している。そのため、第一ラグ側面55aと第二ラグ側面55bとの各平面度は高くなっている。これに対し、第一ライナー52aの第一ブロック側面56a及び第二ライナー52bの第二ブロック側面56bは、ラグ51とアンカーブロック43との間に挿入される前に、グラインダ等を用いて作業者の手作業により切削調整される。そして、この切削によりブロック側面56の表面は荒れて凹凸が形成される。したがって、第一ブロック側面56a及び第二ブロック側面56bの平面度は、第一ラグ側面55a及び第二ラグ側面55bの平面度よりも低くなる。
【0034】
ラグ51の被受け面51rの平面度は、アンカーブロック43のブロック受け面43rの平面度より高い。つまり、第一被受け面51raの平面度は第一ブロック受け面43raの平面度より高く、第二被受け面51rbの平面度は第二ブロック受け面43rbの平面度よりも高い。ラグ51の第一被受け面51raと第二被受け面51rbとは、上述したラグ側面55と同様に、例えば、工場における機械加工で精密に成形された状態を維持している。これに対し、溶接部42を介して支持板41に固定される際に、アンカーブロック43の第一ブロック受け面43ra及び第二ブロック受け面43rbには溶接歪みが生じている。そのため、第一ブロック受け面43raの平面度と、第二ブロック受け面43rbの平面度とは、何れもラグ51の被受け面51r(第一被受け面51ra及び第二被受け面51rb)の平面度よりも低くなっている。
つまり、第一ライナー52aの第一ラグ側面55aの平面度及び、ラグ51の第一被受け面51raの平面度は、アンカーブロック43の第一ブロック受け面43raの平面度よりも高い。同様に、第二ライナー52bの第二ラグ側面55bの平面度及び、ラグ51の第二被受け面51rbの平面度は、アンカーブロック43の第二ブロック受け面43rbの平面度よりも高い。
【0035】
《位置調整方法》
次に、本開示の実施形態における位置調整方法について図面を参照しながら説明する。
図6は、本開示の実施形態における位置調整方法のフローチャートである。
図6に示すように、本実施形態の位置調整方法は、準備工程S1と、ブロック固定工程S2と、間隔測定工程S3と、幅設定工程S4と、幅調整工程S5と、ライナー配置工程S6と、を含んでいる。
【0036】
まず、準備工程S1においては、ブロック受け面43rを有するアンカーブロック43と、互に背合わせの関係にあるブロック側面56及びラグ側面55を有するライナー52と、を準備する。これらアンカーブロック43及びライナー52(第一ライナー52a及び第二ライナー52b)は、何れも蒸気タービンSTの設置場所とは異なる場所(例えば、工場等)において機械加工されて製造される。ここで、上述した支持板41は、基礎Bを形成する際に予め埋め込まれており、また、上述したラグ51は、ケーシング20を形成する際等にケーシング20の外面20oに予め固定される。さらに、ケーシング20は、基礎Bの第一支持部31と第二支持部32との間に予め配置される。
【0037】
ブロック固定工程S2においては、支持板41にアンカーブロック43を固定する。より具体的には、ラグ51の被受け面51rに対してアンカーブロック43のブロック受け面43rが間隔をあけて対向するように、アンカーブロック43を支持板41の外面41foに固定する。本実施形態においては、アンカーブロック43の上面45uとラグ51のラグ上面51uとが、高さ方向で同一位置となるように、アンカーブロック43を配置して、アンカーブロック43に形成された開先46に沿って溶接してアンカーブロック43を支持板41に固定する。
【0038】
間隔測定工程S3においては、被受け面51rとブロック受け面43rとの間隔を測定する。より具体的には、第一被受け面51raと第一ブロック受け面43raとの間隔を測定し、第二被受け面51rbと第二ブロック受け面43rbとの間隔を測定する。ここで、第一被受け面51raと第一ブロック受け面43raとの間隔、及び、第二被受け面51rbと第二ブロック受け面43rbとの間隔は、それぞれ鉛直方向の各位置における水平方向の間隔である。
【0039】
幅設定工程S4においては、間隔測定工程S3の測定結果に基づき、ライナー52のブロック側面56とラグ側面55との間の幅を定める。より具体的には、第一被受け面51raと第一ブロック受け面43raとの間隔の測定結果に基づいて第一ライナー52aの第一ブロック側面56aと第一ラグ側面55aとの間の幅を設定する。さらに、第二被受け面51rbと第二ブロック受け面43rbとの間隔の測定結果に基づいて第二ライナー52bの第二ブロック側面56bと第二ラグ側面55bとの間の幅を設定する。
【0040】
幅調整工程S5においては、ライナー52におけるブロック側面56とラグ側面55との間の幅が、幅設定工程S4で定めた幅になるよう、ブロック側面56を研削する。より具体的には、第一ライナー52aにおける第一ブロック側面56aと第一ラグ側面55aとの間の幅が幅設定工程S4で定めた幅となるように第一ブロック側面56aを研削する。同様に、第二ライナー52bにおける第二ブロック側面56bと第二ラグ側面55bとの間の幅が幅設定工程S4で定めた幅となるように第二ブロック側面56bを研削する。上述したように、幅調整工程S5における研削作業は、作業者の手作業によりグラインダ等の工具を用いて行われる。なお、この幅調整工程S5における研削作業は、精密な加工ができないため、研削作業後のブロック側面56の平面度は、溶接歪みの生じたブロック受け面43rの平面度と同等か、又は、溶接歪みの生じたブロック受け面43rの平面度よりも低くなっている。
【0041】
ライナー配置工程S6においては、幅調整工程S5後のライナー52を、ラグ51のラグ側面55とアンカーブロック43のブロック受け面43rとの間に配置する。より具体的には、第一ライナー52aを第一ラグ側面55aと第一ブロック受け面43raとの間に挿入し、第二ライナー52bを第二ラグ側面55bと第二ブロック受け面43rbとの間に挿入する。これにより、第一ライナー52aの第一ラグ側面55aがラグ51の第一被受け面51raに接し、且つ第一ライナー52aの第一ブロック側面56aがアンカーブロック43の第一ブロック受け面43raに接触する状態となる。同様に、第二ライナー52bの第二ラグ側面55bがラグ51の第二被受け面51rbに接し、且つ第二ライナー52bの第二ブロック側面56bがアンカーブロック43の第二ブロック受け面43rbに接触する状態となる。本実施形態においては、更に、ボルト等の固定具60によってライナフランジ部54をラグ51に固定して、ライナー配置工程S6を終了する。
【0042】
《作用効果》
上記実施形態の位置調整機構100は、蒸気タービンSTのケーシングの外面に設けられ、ケーシング20から突出するラグ51と、蒸気タービンSTの設置される基礎Bに埋め込まれて、少なくとも一部が基礎Bから露出する外面41foを有した支持板41と、ラグ51と対向するように支持板41の外面41foに固定され、ラグ51からの荷重を受けるアンカーブロック43と、ラグ51とアンカーブロック43との間に挿入されたライナー52と、を備えている。ライナー52は、ラグ51に接触するラグ側面55と、アンカーブロック43に接触するブロック側面56と、を有している。ラグ51は、ライナー52のラグ側面55と接触する被受け面51rを有している。アンカーブロック43は、ライナー52のブロック側面56と接触するブロック受け面43rを有している。ラグ側面55の平面度は、ブロック側面56の平面度より高く、被受け面51rの平面度は、ブロック受け面43rの平面度より高くなっている。
このように構成することで、平面度の低いライナー52のブロック側面56とアンカーブロック43のブロック受け面43rとが接触し、平面度の高いライナー52のラグ側面55とラグ51の被受け面51rとが接触する状態で、ラグ51とアンカーブロック43との間にライナー52を配置することができる。つまり、平面度の高いライナー52のラグ側面55と平面度の高いラグ51の被受け面51rを接触させて、これらラグ側面55と被受け面51rとの間にガタが生じることを抑えることができる。また、平面度の低いライナー52のブロック側面56と平面度の低いアンカーブロック43のブロック受け面43rとが接触している箇所に生じるガタは、例えば、ライナー52のラグ側面55の平面度をライナー52のブロック側面56の平面度よりも低くした場合に生じるラグ51とライナー52との間のガタと、ライナー52とアンカーブロック43との間のガタとの合計よりも小さくなる。したがって、ライナー52をグラインダ等により切削して調整した場合であっても、ケーシング20が変位することを抑えて、ラグ51とアンカーブロック43ケーシングとタービンローター11とのクリアランスが計画値以上に小さくなることを抑制できる。
【0043】
上記実施形態の位置調整機構100は、支持板の外面に設けられた溶接部42を備え、前記アンカーブロック43は、前記溶接部42を介して前記支持板41の外面41foに固定されている。
このように構成することで、アンカーブロック43が溶接部42を介して支持板41に固定される際に、溶接歪みが生じて平面度が低下しているアンカーブロック43のブロック受け面43rに平面度の低いライナー52のブロック側面56を接触させ、平面度の高いライナー52のラグ側面55とラグ51の被受け面51rとを接触させることができる。そのため、ケーシング20が変位することを抑えて、ケーシング20とタービンローター11とのクリアランスが計画値以上に小さくなることを抑制できる。
【0044】
上記実施形態の位置調整機構100におけるブロック受け面43rは、軸線Arと垂直な水平方向Dhの第一側Dh1又は第二側Dh2を向く面である。
したがって、上記実施形態のケーシング20のように、排気ケーシング25がローター軸線方向Daから見てケーシング本体22から軸線Arと垂直な水平方向Dhへ延びて、排気ケーシング25が配置されている側へ向かう荷重がケーシング20に掛かる場合であっても、ケーシング20が基礎Bに対して軸線Arと垂直な水平方向Dhへ変位することを抑えることができる。
【0045】
上記実施形態の位置調整機構100のアンカーブロック43は、ローター軸線方向Daから見て軸線Arと垂直な水平方向Dhに延びるブロック基部44と、ブロック基部44からローター軸線方向Daに延びて軸線Arと垂直な水平方向Dhに間隔をあけて互いに対向する第一脚部45A及び第二脚部45Bと、を有している。ブロック基部44は、支持板41の外面41foに固定される基礎側面44fbと、基礎側面44fbと背合わせの関係にあるタービン側面44ftと、を有している。第一脚部45A及び第二脚部45Bは、ブロック基部44におけるタービン側面44ftから突出している。第一脚部45Aは、ブロック受け面43rとして、第一脚部45Aの外面のうちの第二脚部45Bと対向する第一ブロック受け面43raを有している。第二脚部45Bは、ブロック受け面43rとして、第二脚部45Bの外面のうちの第一脚部45Aと対向する第二ブロック受け面43rbを有している。ラグ51は、被受け面51rとして、軸線Arと垂直な水平方向Dhにおける第一ブロック受け面43raと第二ブロック受け面43rbとの間に位置して、第一ブロック受け面43raと間隔をあけて対向する第一被受け面51raと、軸線Arと垂直な水平方向Dhにおける第一ブロック受け面43raと第二ブロック受け面43rbとの間に位置して、第二ブロック受け面43rbと間隔をあけて対向する第二被受け面51rbと、を有している。さらに、ライナー52として第一ライナー52a及び第二ライナー52bを有している。また、第一ライナー52aは、第一ブロック受け面43raと第一被受け面51raとの間に位置して、第一ブロック受け面43raに接触するブロック側面56としての第一ブロック側面56aと、第一ブロック受け面43raと前記第一被受け面51raとの間に位置して、第一被受け面51raに接触するラグ側面55としての第一ラグ側面55aと、を有している。第二ライナー52bは、第二ブロック受け面43rbと第二被受け面51rbとの間に位置して、第二ブロック受け面43rbに接触するブロック側面56としての第二ブロック側面56bと、第二ブロック受け面43rbと第二被受け面51rbとの間に位置して、第二被受け面51rbに接触する前記ラグ側面55としての第二ラグ側面55bと、を有している。第一ラグ側面55aの平面度及び第一被受け面51raの平面度は、第一ブロック受け面43raの平面度より高くなっている。第二ラグ側面55bの平面度及び第二被受け面51rbの平面度は、第二ブロック受け面43rbの平面度より高くなっている。
このようにすることで、上記のようにアンカーブロック43が第一脚部45Aと第二脚部45Bとを有し、これら第一脚部45Aと第二脚部45Bとの間にラグ51が配置され、ラグ51と第一脚部45Aとの間に第一ライナー52aが挿入され、ラグ51と第二脚部45Bとの間に第二ライナー52bが挿入されている場合においても、ガタを抑えることができる。すなわち、上記実施形態によれば、平面度の低い第一ブロック側面56aと平面度の低い第一ブロック受け面43raとが接触し、平面度の高い第一ラグ側面55aと平面度の高い第一被受け面51raとが接触する状態で、ラグ51とアンカーブロック43との間に第一ライナー52aを配置することができる。同様に、平面度の低い第二ブロック側面56bと平面度の低い第二ブロック受け面43rbとが接触し、平面度の高い第二ラグ側面55bと平面度の高い第二被受け面51rbとが接触する状態で、ラグ51とアンカーブロック43との間に第二ライナー52bを配置することができる。したがって、平面度の高い面同士を接触させるとともに、平面度の低い面同士を接触させることができるため、第一ライナー52a及び第二ライナー52bをグラインダ等により切削して調整した場合であっても上記のようなラグ51とアンカーブロック43との間に生じるガタを低減できる。
【0046】
上記実施形態の位置調整機構100は、ライナー52をラグ51に固定する固定具60をさらに備えている。ライナー52は、ラグ51とアンカーブロック43との間に挿入されたライナー本体53と、ライナー本体53の上端から軸線Arと垂直な水平方向Dhのラグ51側に延びるライナフランジ部54と、を有している。固定具60は、ライナフランジ部54をラグ51に固定している。
このように構成することで、ラグ51とアンカーブロック43との間からライナー本体53が抜ける方向へ変位することを規制できる。また、固定具60を介してライナフランジ部54をラグ51に固定することができるため、容易にライナフランジ部54をラグ51に固定することができる。
【0047】
上記実施形態の位置調整機構100におけるライナー52のラグ側面55とブロック側面56との間隔は、上側に向かうに連れて漸次拡大している。
このように構成することで、ライナー52をラグ51とアンカーブロック43との間に挿入すると、ライナー52が楔として作用して、ラグ51とアンカーブロック43とを互いに離間する方向へ押圧する状態となる。したがって、ラグ側面55を被受け面51rに密着させ、ブロック側面56をブロック受け面43rに密着させることができる。したがって、更なるガタの低減を図ることができる。
【0048】
上記実施形態の位置調整方法は、準備工程S1と、ブロック固定工程S2と、間隔測定工程S3と、幅設定工程S4と、幅調整工程S5と、ライナー配置工程S6と、を含んでいる。そして、準備工程S1では、ブロック受け面43rを有するアンカーブロック43と、互に背合わせの関係にあるブロック側面56及びラグ側面55を有するライナー52と、を準備している。ブロック固定工程S2では、蒸気タービンSTのケーシング20の外面に予め固定されているラグ51の被受け面51rに対してアンカーブロック43のブロック受け面43rが間隔をあけて対向するように、基礎Bに予め埋め込まれて外面41foが基礎Bから露出している支持板41に、アンカーブロック43を固定している。間隔測定工程S3では、被受け面51rとブロック受け面43rとの間隔を測定している。幅設定工程S4では、間隔測定工程S3の測定結果に基づき、ライナー52におけるブロック側面56とラグ側面55との間の幅を定めている。幅調整工程S5では、ライナー52におけるブロック側面56とラグ側面55との間の幅が、幅設定工程S4で定めた幅になるよう、ブロック側面56を研削している。ライナー配置工程S6では、ライナー52のラグ側面55がラグ51の被受け面51rに接し、且つ幅調整工程S5後のライナー52のブロック側面56がアンカーブロック43のブロック受け面43rに接触するよう、幅調整工程S5後のライナー52をラグ51のラグ側面55とアンカーブロック43のブロック受け面43rとの間に配置している。
このようにすることで、グラインダ等で研削されていない平面度の高いライナー52のラグ側面55と、工場などで機械加工されて平面度の高い状態が維持されたラグ51の被受け面51rとを接触させることができる。そのため、ライナー52のラグ側面55とラグ51の被受け面51rとの間に生じるガタを低減できる。その一方で、ブロック固定工程S2によりアンカーブロック43が支持板41に固定されるため、この固定作業の影響によりアンカーブロック43のブロック受け面43rの平面度が低下する。そして、上記実施形態では、この平面度の低いブロック受け面43rに対して、研削により荒れて平面度の低下したライナー52のブロック側面56を接触させることで、平面度の低い面同士を接触させることができる。したがって、平面度の高い面が平面度の低い面と接触しないため、ライナー52とラグ51との間、及びライナー52とアンカーブロック43との間の両方でガタが大きくなることを抑制できる。
【0049】
上記実施形態の位置調整方法においては、支持板41及びアンカーブロック43は、金属で形成されている。そして、ブロック固定工程S2では、アンカーブロック43を支持板41の外面41foに溶接で固定している。
したがって、アンカーブロック43を支持板41の外面41foに溶接して固定した際に溶接歪みが生じてブロック受け面43rの平面度が低い場合であっても、ラグ51とアンカーブロック43との間に生じるガタが大きくなることを抑制できる。
【0050】
《他の実施形態》
この発明は上述した実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
例えば、上記実施形態の位置調整機構100は、基礎Bの第一支持部31及び第二支持部32と、ケーシング20との間で、軸線Arと垂直な水平方向Dhへの位置調整を行う場合について説明した。しかし、位置調整機構100により行う位置調整は、軸線Arと垂直な水平方向Dhへの位置調整に限られない。
【0051】
また、上記実施形態の位置調整機構100においては、アンカーブロック43が上面視でU字状に形成され、アンカーブロック43の第一脚部45Aと第二脚部45Bとの間にラグ51が配置される場合を一例にして説明した。しかし、この構成に限られず、例えば、ラグ51とアンカーブロック43との形状を入れ替えてもよい。具体的には、この場合は、ラグ51を第一脚部45Aと第二脚部45Bとを有する上面視U字状に形成し、アンカーブロック43をこれらラグ51の第一脚部45Aと第二脚部45Bとの間に配置される直方体状等にすればよい。
【0052】
さらに、上記実施形態においては、アンカーブロック43が第一脚部45Aと第二脚部45Bとを一体に備える場合について説明した。しかし、第一脚部45Aを有するアンカーブロック43と第二脚部45Bを有するアンカーブロック43とを個別に設けてもよい。さらに、上記実施形態においては、第一支持部31と第二支持部32とには、それぞれアンカーブロック43が一つずつ設けられている場合を例示した。しかし、第一支持部31と第二支持部32とに、それぞれ複数のアンカーブロック43を設けるようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施形態において、ライナー52のライナフランジ部54がラグ51側に向かって延びてラグ51のラグ上面51uに固定される場合について説明した。しかし、ライナフランジ部54は、アンカーブロック43側に向かって延びて第一脚部45A及び第二脚部45Bの上面45uに固定されるようにしてもよい。
【0054】
さらに、上記実施形態においては、排気ケーシング25がケーシング本体22から軸線Arと垂直な水平方向Dhへ延びているケーシング20について説明したが、本開示の位置調整機構100を適用可能なケーシング20は、この構成に限られない。例えば、排気ケーシング25が下方に延びるケーシング20に適用してもよい。
【0055】
また、上記実施形態においては、位置調整機構100が低圧の蒸気タービンSTの位置調整を行う場合を一例にして説明した。しかし、位置調整機構100が位置調整を行う蒸気タービンSTは、低圧の蒸気タービンSTに限られない。
【0056】
<付記>
実施形態に記載の位置調整機構100は、例えば以下のように把握される。
(1)第1の態様に係る位置調整機構100は、蒸気タービンSTのケーシング20の外面に設けられ、前記ケーシング20から突出するラグ51と、前記蒸気タービンSTの設置される基礎Bに埋め込まれて、少なくとも一部が前記基礎Bから露出する外面41foを有した支持板41と、前記ラグ51と対向するように前記支持板41の外面41foに固定され、前記ラグ51からの荷重を受けるアンカーブロック43と、前記ラグ51と前記アンカーブロック43との間に挿入されたライナー52と、を備え、前記ライナー52は、前記ラグ51に接触するラグ側面55と、前記アンカーブロック43に接触するブロック側面56と、を有し、前記ラグ51は、前記ライナー52の前記ラグ側面55と接触する被受け面51rを有し、前記アンカーブロック43は、前記ライナー52の前記ブロック側面56と接触するブロック受け面43rを有し、前記ラグ側面55の平面度は、前記ブロック側面56の平面度より高く、前記被受け面51rの平面度は、前記ブロック受け面43rの平面度より高い。
このように構成することで、平面度の低いライナー52のブロック側面56とアンカーブロック43のブロック受け面43rとが接触し、平面度の高いライナー52のラグ側面55とラグ51の被受け面51rとが接触する状態で、ラグ51とアンカーブロック43との間にライナー52を配置することができる。つまり、平面度の高いライナー52のラグ側面55と平面度の高いラグ51の被受け面51rを接触させて、これらラグ側面55と被受け面51rとの間にガタが生じることを抑えることができる。また、平面度の低いライナー52のブロック側面56と平面度の低いアンカーブロック43のブロック受け面43rとが接触している箇所に生じるガタは、例えば、ライナー52のラグ側面55の平面度をライナー52のブロック側面56の平面度よりも低くした場合に生じるラグ51とライナー52との間のガタと、ライナー52とアンカーブロック43との間のガタとの合計よりも小さくすることができる。したがって、ライナー52をグラインダ等により切削して調整した場合であっても、ケーシング20が変位することを抑えて、ケーシング20とタービンローター11とのクリアランスが計画値以上に小さくなることを抑制できる。
【0057】
(2)第2の態様に係る位置調整機構100は、(1)の位置調整機構100であって、前記支持板41の外面41foに設けられた溶接部42を備え、前記アンカーブロック43は、前記溶接部42を介して前記支持板41の外面41foに固定されている。
このように構成することで、アンカーブロック43が溶接部42を介して支持板41に固定される際に、溶接歪みが生じて平面度が低下しているアンカーブロック43のブロック受け面43rに平面度の低いライナー52のブロック側面56を接触させ、平面度の高いライナー52のラグ側面55とラグ51の被受け面51rとを接触させることができる。そのため、ケーシング20が変位することを抑えて、ケーシング20とタービンローター11とのクリアランスが計画値以上に小さくなることを抑制できる。
(3)第3の態様に係る位置調整機構100は、(1)又は(2)の位置調整機構100であって、前記ブロック受け面43rは、前記蒸気タービンSTのローター軸線方向Daから見て左方向又は右方向を向く面である。
したがって、例えば、排気ケーシングがローター軸線方向Daから見て軸線Arと垂直な左方向又は右方向へ延びているなど、軸線Arと垂直な左方向又は右方向へ向かう荷重がケーシング20に掛かる場合であっても、ケーシング20が基礎Bに対して左方向又は右方向へ変位することを抑えることができる。
【0058】
(4)第4の態様に係る位置調整機構100は、(3)の位置調整機構100であって、前記アンカーブロック43は、前記ローター軸線方向から見て左右方向Dhに延びるブロック基部44と、前記ブロック基部44から前記ローター軸線方向に延びて前記左右方向Dhに間隔をあけて互いに対向する第一脚部45A及び第二脚部45Bと、を有し、前記ブロック基部44は、前記支持板41の外面41foに固定される基礎側面44fbと、前記基礎側面44fbと背合わせの関係にあるタービン側面44ftと、を有し、前記第一脚部45A及び前記第二脚部45Bは、前記ブロック基部44における前記タービン側面44ftから突出し、前記第一脚部45Aは、前記ブロック受け面43rとして、前記第一脚部45Aの外面のうちの前記第二脚部45Bと対向する第一ブロック受け面43raを有し、前記第二脚部45Bは、前記ブロック受け面43rとして、前記第二脚部45Bの外面のうちの前記第一脚部45Aと対向する第二ブロック受け面43rbを有し、前記ラグ51は、前記被受け面51rとして、前記左右方向Dhにおける前記第一ブロック受け面43raと前記第二ブロック受け面43rbとの間に位置して、前記第一ブロック受け面43raと間隔をあけて対向する第一被受け面51raと、前記左右方向Dhにおける前記第一ブロック受け面43raと前記第二ブロック受け面43rbとの間に位置して、前記第二ブロック受け面43rbと間隔をあけて対向する第二被受け面51rbと、を有し、前記ライナー52として第一ライナー52a及び第二ライナー52bを有し、前記第一ライナー52aは、前記第一ブロック受け面43raと前記第一被受け面51raとの間に位置して、前記第一ブロック受け面43raに接触する前記ブロック側面56としての第一ブロック側面56aと、前記第一ブロック受け面43raと前記第一被受け面51raとの間に位置して、前記第一被受け面51raに接触する前記ラグ側面55としての第一ラグ側面55aと、を有し、前記第二ライナー52bは、前記第二ブロック受け面43rbと前記第二被受け面51rbとの間に位置して、前記第二ブロック受け面43rbに接触する前記ブロック側面56としての第二ブロック側面56bと、前記第二ブロック受け面43rbと前記第二被受け面51rbとの間に位置して、前記第二被受け面51rbに接触する前記ラグ側面55としての第二ラグ側面55bと、を有し、前記第一ラグ側面55aの平面度及び前記第一被受け面51raの平面度は、前記第一ブロック受け面43raの平面度より高く、前記第二ラグ側面55bの平面度及び前記第二被受け面51rbの平面度は、前記第二ブロック受け面43rbの平面度より高い。
このようにアンカーブロック43が第一脚部45Aと第二脚部45Bとを有し、これら第一脚部45Aと第二脚部45Bとの間にラグ51が配置され、ラグ51と第一脚部45Aとの間に第一ライナー52aが挿入され、ラグ51と第二脚部45Bとの間に第二ライナー52bが挿入されている場合においても、ガタを抑えることができる。すなわち、上記構成によれば、平面度の低い第一ブロック側面56aと平面度の低い第一ブロック受け面43raとが接触し、平面度の高い第一ラグ側面55aと平面度の高い第一被受け面51raとが接触する状態で、ラグ51とアンカーブロック43との間に第一ライナー52aを配置することができる。同様に、平面度の低い第二ブロック側面56bと平面度の低い第二ブロック受け面43rbとが接触し、平面度の高い第二ラグ側面55bと平面度の高い第二被受け面51rbとが接触する状態で、ラグ51とアンカーブロック43との間に第二ライナー52bを配置することができる。したがって、平面度の高い面同士を接触させるとともに、平面度の低い面同士を接触させることができるため、第一ライナー52a及び第二ライナー52bをグラインダ等により切削して調整した場合であっても上記のようなラグ51とアンカーブロック43との間に生じるガタを低減できる。
【0059】
(5)第5の態様に係る位置調整機構100は、(4)の位置調整機構100であって、前記ライナー52を前記ラグ51に固定する固定具60をさらに備え、前記ライナー52は、前記ラグ51と前記アンカーブロック43との間に挿入されたライナー本体53と、前記ライナー本体53の上端から前記左右方向Dhのラグ51側に延びるライナフランジ部54と、を有し、前記固定具60は、前記ライナフランジ部54を前記ラグ51に固定する。
このように構成することで、ラグ51とアンカーブロック43との間からライナー本体53が抜ける方向へ変位することを規制できる。また、固定具60を介してライナフランジ部54をラグ51に固定することができるため、容易にライナフランジ部54をラグ51に固定することができる。
【0060】
(6)第6の態様に係る位置調整機構100は、(1)から(5)の何れか一つの位置調整機構100であって、前記ラグ側面55と前記ブロック側面56との間隔は、上側に向かうに連れて漸次拡大する。
このように構成することで、ライナー52をラグ51とアンカーブロック43との間に挿入すると、ライナー52が楔として作用して、ラグ51とアンカーブロック43とを互いに離間する方向へ押圧する状態となる。したがって、ラグ側面55を被受け面51rに密着させ、ブロック側面56をブロック受け面43rに密着させることができる。したがって、更なるガタの低減を図ることができる。
【0061】
(7)第7の態様に係る位置調整方法は、基礎Bに対して配置された蒸気タービンSTの位置調整方法であって、ブロック受け面43rを有するアンカーブロック43と、互に背合わせの関係にあるブロック側面56及びラグ側面55を有するライナー52と、を準備する準備工程S1と、前記蒸気タービンSTのケーシングの外面に予め固定されているラグ51の被受け面51rに対して、前記アンカーブロック43の前記ブロック受け面43rが間隔をあけて対向するよう、前記基礎Bに予め埋め込まれて外面41foが前記基礎Bから露出している支持板41に、前記アンカーブロック43を固定するブロック固定工程S2と、前記被受け面51rと前記ブロック受け面43rとの間隔を測定する間隔測定工程S3と、前記間隔測定工程S3の測定結果に基づき、前記ライナー52における前記ブロック側面56と前記ラグ側面55との間の幅を定める幅設定工程S4と、前記ライナー52における前記ブロック側面56と前記ラグ側面55との間の幅が、前記幅設定工程S4で定めた幅になるよう、前記ブロック側面56を研削する幅調整工程S5と、前記ライナー52の前記ラグ側面55が前記ラグ51の前記被受け面51rに接し、且つ前記幅調整工程S5後の前記ライナー52の前記ブロック側面56が前記アンカーブロック43のブロック受け面43rに接触するよう、前記幅調整工程S5後の前記ライナー52を前記ラグ51の前記ラグ側面55と前記アンカーブロック43の前記ブロック受け面43rとの間に配置するライナー配置工程S6と、を含む。
このようにすることで、グラインダ等で研削されていない平面度の高いライナー52のラグ側面55と、工場などで機械加工されて平面度の高い状態が維持されたラグ51の被受け面51rとを接触させることができる。そのため、ライナー52のラグ側面55とラグ51の被受け面51rとの間に生じるガタを低減できる。その一方で、ブロック固定工程S2によりアンカーブロック43が支持板41に固定されるため、この固定作業の影響によりアンカーブロック43のブロック受け面43rの平面度が低下する。そして、上記実施形態では、この平面度の低いブロック受け面43rに対して、研削により荒れて平面度の低下したライナー52のブロック側面56を接触させることで、平面度の低い面同士を接触させることができる。したがって、平面度の高い面が平面度の低い面と接触しないため、ライナー52とラグ51との間、及びライナー52とアンカーブロック43との間の両方でガタが大きくなることを抑制できる。
【0062】
(8)第8の態様に係る位置調整方法は、(7)の位置調整方法であって、前記支持板41及び前記アンカーブロック43は、金属で形成され、前記ブロック固定工程S2では、前記アンカーブロック43を前記支持板41の外面41foに溶接で固定する。
したがって、アンカーブロック43を支持板41の外面41foに溶接して固定した際に溶接歪みが生じてブロック受け面43rの平面度が低い場合であっても、ラグ51とアンカーブロック43との間に生じるガタが大きくなることを抑制できる。
【符号の説明】
【0063】
10a…第一蒸気タービン部 10b…第二蒸気タービン部 11…タービンローター 20…ケーシング 22…ケーシング本体 22d…ディフューザ部 25…排気ケーシング 26…開口 28…軸受 31…第一支持部 32…第二支持部 33…接続支持部 41…支持板 41A…第一支持板 41B…第二支持板 41fi…内面 41fo…外面 42…溶接部 43…アンカーブロック 43r…ブロック受け面 43ra…第一ブロック受け面 43rb…第二ブロック受け面 44…ブロック基部 45A…第一脚部 45B…第二脚部 45u…上面 46…開先 51…ラグ 51r…被受け面 51ra…第一被受け面 51rb…第二被受け面 51h…雌ネジ 52…ライナー 52a…第一ライナー 52b…第二ライナー 53…ライナー本体 54…ライナフランジ部 55…ラグ側面 55a…第一ラグ側面 55b…第二ラグ側面 56…ブロック側面 56a…第一ブロック側面 56b…第二ブロック側面 60…固定具 100…位置調整機構 Ar…軸線 ST…蒸気タービン B…基礎 Ws…蒸気