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特開2022-180819画像撮影方法、コンピュータ装置およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180819
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】画像撮影方法、コンピュータ装置およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G03B 37/00 20210101AFI20221130BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20221130BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20221130BHJP
   G03B 17/18 20210101ALI20221130BHJP
【FI】
G03B37/00 A
H04N5/232 220
H04N5/232 380
H04N5/232 930
G03B15/00 W
G03B17/18 Z
G03B15/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087528
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】521225971
【氏名又は名称】山木 啓二
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】山木 啓二
【テーマコード(参考)】
2H059
2H102
5C122
【Fターム(参考)】
2H059AA08
2H059BA11
2H102AA71
2H102BB02
2H102BB08
2H102BB22
5C122EA48
5C122FA03
5C122FH11
5C122FH20
5C122FK34
5C122FK37
5C122FK41
5C122HA76
5C122HA78
5C122HB01
5C122HB05
(57)【要約】
【課題】先の撮影画像を透過性に表したガイド表示を、表示装置に表示させている撮影装置の撮影範囲に重複して表示させることを可能とする技術を提供する。
【解決手段】撮影装置および表示装置を備える移動端末を用いて行う画像撮影方法であって、撮影工程と、画像配置工程と、出力工程と、ガイド表示工程を含み、利用者が、被写体の表示位置と前記ガイド表示に写り込んでいる当該被写体の表示位置とが重なる場所まで前記移動端末を移動させた後に、前記先の撮影工程の次の前記撮影工程を行い、前記画像配置工程において、前記先の撮影画像と前記次の撮影画像との前記作業領域における相対的な位置関係が、前記ガイド表示工程における前記ガイド表示の表示位置と前記撮影装置の撮影範囲の表示位置との相対的な位置関係によって定まる、ことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が、撮影装置および前記撮影装置の撮影範囲を表示する表示装置を備える移動端末を用いて行う画像撮影方法であって、
前記撮影装置が撮影画像を撮影する撮影工程と、
前記撮影装置が撮影した撮影画像を、前記移動端末が処理可能な作業領域に配置する画像配置工程と、
前記撮影工程と前記画像配置工程とを繰り返すことによって前記作業領域に配置された複数の撮影画像が、前記移動端末によって合成されて出力される出力工程と、
を含み、
更に、先の前記撮影工程において撮影画像が撮影されたとき、前記移動端末が、当該撮影画像を透過性に表したガイド表示を、前記表示装置に表示させている前記撮影装置の撮影範囲に重複して表示させるガイド表示工程を含み、
利用者が、前記表示装置に表示されている前記撮影装置の撮影範囲における被写体の表示位置と前記ガイド表示に写り込んでいる当該被写体の表示位置とが重なる場所まで前記移動端末を移動させた後に、前記先の撮影工程の次の前記撮影工程を行い、
前記画像配置工程において、前記先の撮影工程において撮影された撮影画像と前記次の撮影工程において撮影された撮影画像との前記作業領域における相対的な位置関係が、前記ガイド表示工程における前記ガイド表示の表示位置と前記撮影装置の撮影範囲の表示位置との相対的な位置関係によって定まる、ことを特徴とする画像撮影方法。
【請求項2】
前記画像配置工程において前記移動端末が撮影画像を前記作業領域に配置した後に、利用者によって指示された撮影画像の配置に応じて前記移動端末が前記作業領域における撮影画像の配置を変更する変更工程を含む、請求項1に記載の画像撮影方法。
【請求項3】
前記撮影工程において、前記表示装置は、前記撮影装置の撮影範囲の表示位置とは重ならない位置に、前記作業領域に配置されている撮影画像を表示し、
前記撮影工程において、利用者は、当該撮影工程より前に前記作業領域に配置された撮影画像の配置を視認して前記移動端末の指定を調整できる、請求項1または2に記載の画像撮影方法。
【請求項4】
前記撮影工程において、利用者が前記移動端末の姿勢を調整し、前記移動端末が特定の姿勢になったときに前記撮影装置が撮影画像を撮影する、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像撮影方法。
【請求項5】
前記特定の姿勢は複数あり、前記利用者が前記複数の特定の姿勢のうち何れとするかを指定できる、請求項4に記載の画像撮影方法。
【請求項6】
前記ガイド表示工程において、前記移動端末は、利用者による指示に応じて、前記ガイド表示の表示位置を変更可能である請求項1から5のいずれか一項に記載の画像撮影方法。
【請求項7】
前記出力工程において、前記複数の撮影画像が、前記移動端末によって合成されて出力された後に、利用者によって前記合成された複数の撮影画像が選択されると、前記移動端末が、当該合成された複数の撮影画像に対応した撮影画像を読み込み、前記作業領域に配置し、当該作業領域に配置されたデータを用いて所定の撮影画像を削除する削除工程を含む請求項1から6のいずれか一項に記載の画像撮影方法。
【請求項8】
前記出力工程において、前記複数の撮影画像が、前記移動端末によって合成されて出力された後に、利用者によって前記合成された複数の撮影画像が選択されると、前記移動端末が、当該合成された複数の撮影画像に対応した撮影画像を読み込み、前記作業領域に配置し、当該作業領域に配置されたデータを新たに撮影した撮影画像と差し替える差替工程を含む請求項1から7のいずれか一項に記載の画像撮影方法。
【請求項9】
撮影画像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段の撮影範囲を表示する表示手段と、
前記撮影手段が撮影した撮影画像を、自機が処理可能な作業領域に配置する画像配置手段と、
前記撮影手段による撮影画像の撮影と前記画像配置手段による撮影画像の配置とを繰り返すことによって前記作業領域に配置された複数の撮影画像を合成して出力する出力手段と、
を備えるコンピュータ装置であって、
前記撮影手段によって撮影画像が撮影されたとき、前記表示手段は、当該撮影画像を透過性に表したガイド表示を、前記撮影手段の撮影範囲に重複して表示し、
前記画像配置手段は、先に撮影された撮影画像と当該撮影画像の次に撮影された撮影画像との前記作業領域における相対的な位置関係を、前記表示手段における前記ガイド表示の表示位置と前記撮影手段の撮影範囲の表示位置との相対的な位置関係によって定める、ことを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項10】
撮影装置および前記撮影装置の撮影範囲を表示する表示装置を備えるコンピュータ装置に実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記撮影装置に撮影画像を撮影させる撮影処理と、
前記撮影装置が撮影した撮影画像を、前記コンピュータ装置が処理可能な作業領域に配置する画像配置処理と、
前記撮影処理と前記画像配置処理とを繰り返すことによって前記作業領域に配置された複数の撮影画像を合成して、前記コンピュータ装置から出力可能なデータ形式の画像データを生成する画像合成処理と、
前記撮影処理によって撮影画像が撮影されたとき、前記表示装置に表示されている前記撮影装置の撮影範囲に重複して、当該撮影画像を透過性に表したガイド表示を前記表示装置に表示させるガイド表示処理と、
を前記コンピュータ装置に実行させ、
前記画像配置処理は、先に撮影された撮影画像と当該撮影画像の次に撮影された撮影画像との前記作業領域における相対的な位置関係を、前記ガイド表示処理における前記ガイド表示の表示位置と前記撮影装置の撮影範囲の表示位置との相対的な位置関係によって定める、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の撮影画像の撮影技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の撮影画像を撮影する方法として、既に撮影した1枚目の再生画像を表示し、2枚目の撮影用に電子ファインダによるスルー画像を再生画像に重ねるように表示するものがある(特許文献1)。
また、複数の撮影画像を撮影する方法として、既に撮影した1枚目の撮影画像から透明に表示する表示画像を決定し、カメラの移動に伴いディスプレイ上に透明な表示画像を移動させるものがある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-218104号公報
【特許文献2】特開2005-223905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、既に撮影した1枚目の再生画像に電子ファインダによるスルー画像を重ねるように表示するため、スルー画像を重ねて表示した際に再生画像を視認し難い可能性があり、ガイド表示としては機能不足であった。
また、特許文献2の場合、カメラの移動に伴い透明な表示画像が移動してしまうため、カメラを撮影したい位置に合わせるのが難しかった。
【0005】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、先の撮影画像を透過性に表したガイド表示を表示装置に表示させている撮影装置の撮影範囲に重複して表示させることを可能とする技術に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、利用者が、撮影装置および前記撮影装置の撮影範囲を表示する表示装置を備える移動端末を用いて行う画像撮影方法であって、前記撮影装置が撮影画像を撮影する撮影工程と、前記撮影装置が撮影した撮影画像を、前記移動端末が処理可能な作業領域に配置する画像配置工程と、前記撮影工程と前記画像配置工程とを繰り返すことによって前記作業領域に配置された複数の撮影画像が、前記移動端末によって合成されて出力される出力工程と、を含み、更に、先の前記撮影工程において撮影画像が撮影されたとき、前記移動端末が、当該撮影画像を透過性に表したガイド表示を、前記表示装置に表示させている前記撮影装置の撮影範囲に重複して表示させるガイド表示工程を含み、利用者が、前記表示装置に表示されている前記撮影装置の撮影範囲における被写体の表示位置と前記ガイド表示に写り込んでいる当該被写体の表示位置とが重なる場所まで前記移動端末を移動させた後に、前記先の撮影工程の次の前記撮影工程を行い、前記画像配置工程において、前記先の撮影工程において撮影された撮影画像と前記次の撮影工程において撮影された撮影画像との前記作業領域における相対的な位置関係が、前記ガイド表示工程における前記ガイド表示の表示位置と前記撮影装置の撮影範囲の表示位置との相対的な位置関係によって定まる、ことを特徴とする画像撮影方法に関する。
【0007】
また、本発明は、撮影画像を撮影する撮影手段と、前記撮影手段の撮影範囲を表示する表示手段と、前記撮影手段が撮影した撮影画像を、自機が処理可能な作業領域に配置する画像配置手段と、前記撮影手段による撮影画像の撮影と前記画像配置手段による撮影画像の配置とを繰り返すことによって前記作業領域に配置された複数の撮影画像を合成して出力する出力手段と、を備えるコンピュータ装置であって、前記撮影手段によって撮影画像が撮影されたとき、前記表示手段は、当該撮影画像を透過性に表したガイド表示を、前記撮影装置の撮影範囲に重複して表示し、前記画像配置手段は、先に撮影された撮影画像と当該撮影画像の次に撮影された撮影画像との前記作業領域における相対的な位置関係を、前記表示手段における前記ガイド表示の表示位置と前記撮影装置の撮影範囲の表示位置との相対的な位置関係によって定める、ことを特徴とするコンピュータ装置に関する。
【0008】
また、本発明は、撮影装置および前記撮影装置の撮影範囲を表示する表示装置を備えるコンピュータ装置に実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記撮影装置に撮影画像を撮影させる撮影処理と、前記撮影装置が撮影した撮影画像を、前記コンピュータ装置が処理可能な作業領域に配置する画像配置処理と、前記撮影処理と前記画像配置処理とを繰り返すことによって前記作業領域に配置された複数の撮影画像を合成して、前記コンピュータ装置から出力可能なデータ形式の画像データを生成する画像合成処理と、前記撮影処理によって撮影画像が撮影されたとき、前記表示装置に表示されている前記撮影装置の撮影範囲に重複して、当該撮影画像を透過性に表したガイド表示を前記表示装置に表示させるガイド表示処理と、を前記コンピュータ装置に実行させ、前記画像配置処理は、先に撮影された撮影画像と当該撮影画像の次に撮影された撮影画像との前記作業領域における相対的な位置関係を、前記ガイド表示処理における前記ガイド表示の表示位置と前記撮影装置の撮影範囲の表示位置との相対的な位置関係によって定める、ことを特徴とするコンピュータプログラムに関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により提供される技術によれば、先の撮影画像を透過性に表したガイド表示を表示装置に表示させている撮影装置の撮影範囲に重複して表示させることで、移動端末を移動させ次の撮影を行う際に利用者が次の撮影位置を把握し易くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】撮影イメージを示した図であり、(a)は複数の撮影画像、(b)は(a)の撮影画像を合成した画像イメージ図である。
図2】移動端末150で、撮影アプリケーションを起動したときのイメージ図である。
図3】画像撮影方法のメインフローチャートである。
図4】撮影モードフローチャートである。
図5】撮り直しモードフローチャートである。
図6】配置変更モードフローチャートである。
図7】作業領域200の概念図である。
図8】表示装置100の画面イメージ図である。
図9】表示装置100の画面イメージ図である。
図10】表示装置100の画面イメージ図である。
図11】表示装置100の画面イメージ図である。
図12】コンピュータ装置500のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。
はじめに、本実施形態の概要について説明する。
本実施形態の画像撮影方法(以下、本方法と表示する場合がある)は、利用者が、撮影装置および撮影装置の撮影範囲を表示する表示装置を備える移動端末を用いて行うものである。
本方法は、撮影工程、画像配置工程、出力工程、および、ガイド表示工程を含む。撮影工程は、撮影装置が撮影画像を撮影する工程である。画像配置工程は、撮影装置が撮影した撮影画像を移動端末が処理可能な作業領域に配置する工程である。出力工程は、撮影工程と画像配置工程とを繰り返すことによって作業領域に配置された複数の撮影画像が移動端末によって合成されて出力される工程である。ガイド表示工程は、先の撮影工程において撮影画像が撮影されたとき、移動端末が、当該撮影画像を透過性に表したガイド表示を、表示装置に表示させている撮影装置の撮影範囲に重視して表示させる工程である。そして、利用者が表示装置に表示されている撮影装置の撮影範囲における被写体の表示位置とガイド表示に写り込んでいる当該被写体の表示位置とが重なる場所まで移動端末を移動させた後に、先の撮影工程の次の撮影工程を行う。さらに、画像配置工程において、先の撮影工程において撮影された撮影画像と次の撮影工程において撮影画像との作業領域における相対的な位置関係が、ガイド表示工程におけるガイド表示の表示位置と撮影装置の撮影範囲の表示位置との相対的な位置関係によって定まる。
【0012】
以下、本方法について更に詳細に説明する。
「移動端末」とは、利用者が携帯可能な程度に小型のコンピュータ装置である。本発明の実施に用いる移動端末は、少なくとも撮影装置と表示装置を備えている移動端末である必要があり、一般的に移動端末と称されるもの(携帯電話、タブレット端末、PDA、モバイルパーソナルコンピュータなど)の他に、デジタルカメラも該当しうる。
移動端末に備えられた撮影装置は撮影画像を撮影することができる。撮影装置による撮影の契機は、利用者が手動で撮影装置を操作することであってもよいし、特定の条件が成立したこと(例えば、移動端末に設けた姿勢センサが、移動端末が特定の姿勢となったことを検知したこと)を契機に自動的に撮影されることであってもよい。
「移動端末が処理可能な作業領域」とは、移動端末にインストールされている撮影アプリケーションソフトにおける仮想的な処理空間であり、撮影アプリケーションソフトの一機能として複数の撮影画像を配置する処理に用いられる。
「作業領域に配置された複数の撮影画像が、移動端末によって合成されて出力される」とは、作業領域内(撮影アプリケーションソフトの内部)においてそれぞれ別の撮影画像として扱われる各画像データが、作業領域の外部(撮影アプリケーションソフトの外部)に出力される際に一つの画像データとして結合されて出力される処理をいう。ここで、当該処理における出力には、移動端末とは別の装置に出力すること、および、撮影アプリケーションソフトとは別のソフトウェア(同じ移動端末にインストールされている別のソフトウェアを含む)に出力すること、が含まれる。
「撮影画像を透過性に表したガイド表示を、表示装置に表示させる」とは、撮影画像を表示装置に表示させるにあたって、当該撮影画像より下層のレイヤーに配置されている画像(本発明の実施においては撮影装置の撮影範囲)が透けて見えるようにしたものを、本方法を実施する利用者のガイド表示として取り扱うことをいう。本方法の実施にあたって、ガイド表示の元となる撮影画像は、そのガイド表示が表示されるタイミングより前に行われた撮影工程(先の撮影工程)において撮影されたものの中から適切なものが選択されればよい。例えば、後述する撮影モードにおけるガイド表示は、そのガイド表示が表示される撮影工程の一つ前に行われた撮影工程で撮影された撮影画像が透過表示されたものであり、後述する撮り直しモードにおけるガイド表示は、撮り直し対象として指定された撮影画像が撮影された撮影工程の一つ前の撮影工程と一つ後の撮影工程とで撮影された撮影画像が透過表示されたものである。また、ガイド表示は、元の撮影画像の全領域を透過表示する必要は必ずしもなく、元の撮影画像の一部領域を透過表示することであってもよい。
ここでの透過率はどの程度でもよいが、透過率が高すぎると先の撮影工程において撮影した撮影画像を認識し難くなり、透過率が低すぎると、撮影装置の撮影範囲を視認し難くなるので、これらを考慮して決定することが好ましい。
「画像配置工程において、先の撮影工程において撮影された撮影画像と次の撮影工程において撮影された撮影画像との作業領域における相対的な位置関係が、ガイド表示工程におけるガイド表示の表示位置と撮影装置の撮影範囲の表示位置との相対的な位置関係によって定まる」とは、先の撮影工程において撮影された撮影画像(ガイド表示の元となる撮影画像)と次の撮影工程において撮影された撮影画像(当該ガイド表示に基づいて撮影される撮影画像)との作業領域における相対的な位置関係が、当該ガイド表示の表示位置と当該ガイド表示と重複して表示される撮影装置の撮影範囲の表示位置との相対的な位置関係によって定まることである。
【0013】
<画像撮影方法について>
以下に、本実施形態の画像撮影方法について説明する。
図1は、撮影イメージを示した図であり、図2は、移動端末150で撮影アプリケーションを起動したときのイメージ図である。
利用者は移動端末150に備えられている撮影装置(図示しない)と表示装置100を用いて撮影を行う。本実施形態では、移動端末150としてタブレット端末を用いることとする。また、本実施形態では、図1に示すように、商店街を撮影することとする。一般的に商店街は、横長に形成されており、商店街全てを1枚の撮影画像として撮影することは困難である。そこで、本方法では、1枚の撮影画像としたい商店街の範囲(1枚の撮影画像としたい撮影範囲)に対し、例えば、向かって左端から複数回(複数枚に分けるように)撮影画像を撮影し、撮影した複数枚の撮影画像を合成することで1枚の撮影画像を生成するようにする。
図1(a)に示した、図1(a)-1、図1(a)-2、図1(a)-3、図1(a)-4は、図1(a)-1→図1(a)-2→図1(a)-3→図1(a)-4の順で撮影された撮影画像である。図1(b)に示す画像は、図1(a)-1、図1(a)-2、図1(a)-3、および、図1(a)-4が合成され出力された画像である。
ここで、図2に示すように、利用者は移動端末150の表示装置100に撮影範囲を表示し、撮影したい範囲が撮影範囲として表示装置100の撮影範囲を表示する撮影範囲領域10(以下、表示装置100の撮影範囲を表示する撮影範囲領域10を撮影範囲領域10とだけ表示することもある)に表示されると撮影装置が撮影を行う。ここで、撮影装置が撮影を行うのは、例えば、移動端末150に設けられた姿勢センサ(図示しない)の姿勢が特定の姿勢になったことに基づき自動で撮影されてもよいし、利用者が手動で撮影装置を操作して撮影されてもよい。そして、図1(a)-1の撮影画像を撮影したとき(先の撮影工程において撮影画像が撮影されたとき)、移動端末150の表示装置100に当該撮影画像を透過性に表したガイド表示を行い、ガイド表示を参考に、撮影範囲を撮影範囲領域10に表示するように移動端末150を移動させ、撮影装置が撮影を行う。なお、ガイド表示については後述する。また、撮影装置が撮影を行うと、撮影画像は逐次、作業領域200に配置され、次の撮影が行われると先の撮影画像の一部と重なるように作業領域200に配置される。そして、作業領域200に配置された撮影画像を表示装置100に逐次表示する。したがって、利用者は撮影するたびに重なった撮影画像を視認することができる。そして、複数枚の撮影画像を合成して出力したものを図1(b)に示す。
【0014】
次に、図3~6に本画像撮影方法の処理の流れを示す。
図3に、本画像撮影方法のメインフローチャート、図4に、撮影モードフローチャート、図5に、撮り直しモードフローチャート、図6に、配置変更モードフローチャート示す。また、図7に示す作業領域200の概念図、図8から図11に示す表示装置100の画面イメージを用いて説明する。
【0015】
図3の本画像撮影方法のメインフローは、本画像撮影方法によって処理される撮影アプリケーションソフトのメインフローチャートでもある。
ステップS100は、撮影アプリケーションソフトの起動をする処理である。撮影アプリケーションソフトの起動方法は、どのような方法でもよい。本実施形態では、移動端末150にインストールされている撮影アプリケーションソフトを、利用者が移動端末150の表示装置100に表示されている撮影アプリケーションソフトを示すアイコン(図示しない)をタッチすることで起動することとする。
【0016】
ステップS101は、新規撮影か否かを判定する処理である。
撮影アプリケーションは主として、新たに撮影を行う「撮影モード(ステップS200)」、既に撮影した撮影画像の一部を撮り直す「撮り直しモード(ステップS300)」、既に撮影した撮影画像の位置を変更する「配置変更モード(ステップS400)」から構成される。
利用者は、撮影アプリケーションを起動した後、何れのモードの処理を行うか指定する。指定方法として、撮影アプリケーションを起動した後、所定のアイコンを操作することによってモードの指定を行う、モードの選択画面から指定するなどどのような方法でもよい。本実施形態では、図8(1)に示すように、表示装置100に表示される所定のアイコン(例えば、撮影モードへ移行されるカメラアイコン60、撮り直しモードまたは配置変更モードへ移行される写真アイコン70)をタッチすることで、該当のモードへ移行される。ステップS101では、撮影アプリケーション起動後にカメラアイコン60をタッチし、シャッターアイコン50がタッチされたか否かを判定し、シャッターアイコン50がタッチされたと判定された場合は、ステップS102へ、タッチされたと判定されなかった場合はステップS103進む。なお、シャッターアイコン50がタッチされると、図8(2)に示すようにシャッターアイコン50の表示態様が変化し、「撮影モード」という文字が表示される。
【0017】
ステップS102は、新規撮影に伴い、新規ファイルを作成する。ここでの新規ファイルとは、移動端末150に備えられる演算装置(図示しない)による処理中に撮影アプリケーションソフトに作業領域200を作成することに相当する。ここで、図7を用いて、新規ファイルおよび作業領域200について説明する。
図7に示すように、作業領域200には、撮影画像(n)、撮影画像(n+1)、撮影画像(n+2)・・・が撮影順に配置される。ステップS102で新規ファイルが作成された時点では、作業領域200には撮影画像が一つも配置されていない。ステップS102で作成された新規ファイルは、新規撮影として撮影画像が撮影されてからステップS200で撮影モードが終了するまで撮影画像が撮影順に配置され、1ファイルとして管理される。また、図7に示すように、撮影画像(n)と撮影画像(n+1)は所定領域重なってまた、撮影画像(n+1)と撮影画像(n+2)とは所定領域重なって配置される。詳細は後述するが、撮影画像と撮影画像とを合成して出力する際には、作業領域200に重ねて配置された領域分、重なって処理される。
【0018】
ステップS200は、撮影モードの処理が行われる。撮影モードの処理について、図4の撮影モードフローチャートを用いて説明する。
ステップS201は、移動端末150の撮影範囲領域10に撮影範囲を表示する処理である。本実施形態では、移動端末150の撮影範囲領域10に表示された撮影範囲が撮影画像として撮影される。例えば、図8(2)に示すように、利用者が撮影したい撮影範囲(図8(2)の場合であれば、24の看板があるお店と店前にのぼりのあるお店とを含む領域)を移動端末150の撮影範囲領域10に撮影範囲として表示する。
【0019】
ステップS202は、変数nに1を設定する処理である。ここで、変数nは、撮影モード中に撮影された順序に等しいシーケンシャルな番号である。従って、最初に撮影された撮影画像についてはn=1であり、以下、変数nが1ずつ加算されていく。なお、変数nの定め方は上述の態様に限られず、撮影画像をユニークに管理できればどのような番号でもよい。
【0020】
ステップS203は、撮影モードが終了か否か判定する処理である。本実施形態では、利用者が表示装置100に表示されているシャッターアイコン50をタッチすることにより、撮影モードが終了する。図8(1)でのシャッターアイコン50は○の中が白であるのに対し、撮影モード中のシャッターアイコン50は図8(2)のように○の中がハッチングされている。言い換えると、ステップS101で撮影アプリケーション起動後にカメラアイコン60がタッチされ、利用者がシャッターアイコン50をタッチした後、利用者がシャッターアイコン50をタッチするまで撮影モードは継続される。そして、ステップS203で撮影モードが終了であると判定されると、撮影モード処理は終了となる。一方、撮影モードが終了でないと判定されると、ステップS204の処理へ進む。
【0021】
ステップS204は、利用者が移動端末150を撮影位置に移動する処理である。
1回目の撮影(n=1)の場合は、利用者が撮影範囲領域10に撮影範囲がおさまるように移動端末150を移動させる(例えば、図8(2)参照)。
2回目以降の撮影(n+1)の場合は、利用者が移動端末150の撮影範囲領域10に表示されている撮影範囲における被写体の表示位置と、撮影画像(n)に対するガイド表示20に写り込んでいる当該被写体の表示位置とが重なる場所まで移動端末150を移動する処理である。後述するステップS210で行われる処理により、撮影(n+1)の場合、図9(4)に示すように、撮影画像(n)に対するガイド表示20は透過性の処理が施されており、ガイド表示20を介して撮影範囲領域10に表示される撮影範囲も利用者は視認できる(図9(4)のガイド表示20には、ガイド表示20を介して視認できる撮影範囲は記載されていないが、実際には、理髪店の向かって左側の店舗が視認できる)。そこで、利用者は、透過性の処理が施されたガイド表示20の画像およびガイド表示20を介して視認できる撮影範囲を含む撮影範囲領域10に表示される撮影範囲を確認しながら移動端末150を移動する。図9(4)は、具体的にはガイド表示20の屋根に対し、撮影範囲領域10の理髪店のむかって左側の店舗屋根はずれ表示されている。これは、移動端末150の位置が適切でないためである。この状態を表示装置で確認した利用者は、撮影範囲領域10に表示されているガイド表示20と撮影範囲領域10に表示されている撮影範囲とが一致するように(例えば、図9(5)のように店舗屋根の位置が一致している)、移動端末150を移動させる。このようにすることで、利用者は撮影画像(n)と連続した撮影を行える位置に移動端末150を移動させやすくできる。
利用者が移動端末150を移動させる際の利用者の動作について説明する。本方法は、図1に示したような、1枚の撮影画像としたい商店街の範囲(1枚の撮影画像としたい撮影範囲)に対し、例えば、向かって左端から複数回(複数枚に分けるように)撮影画像を撮影し、撮影した複数枚の撮影画像を合成することで1枚の撮影画像を生成することが可能である。そして、複数枚の撮影画像を撮影する際には、利用者が撮影範囲に対して(図1の場合であれば商店街に対して)同一の距離を保ちつつ、所定方向(図1の場合であれば水平方向)に移動端末150を移動させる必要がある。しかし、利用者(人)が何の指標もなく撮影範囲に対して同一の距離を保ちつつ、先の撮影画像に連続するように所定方向に移動端末150を移動させることは困難なことである。そこで、本方法では、先の撮影画像に対応した透過性を施したガイド表示20を、後の撮影画像を撮影する際に撮影範囲領域10に表示することで、利用者が先の撮影画像に連続した撮影範囲の撮影画像を撮影する位置に移動端末150を移動しやすいように構成した。この構成により、利用者の作業効率および撮影位置の向上が図れる。
【0022】
ステップS205は、利用者が移動端末150の姿勢を調整することで、撮影装置の姿勢を調整する。移動端末150の姿勢は、移動端末150に設けられている姿勢センサを用いて行う。利用者が移動端末150の姿勢を調整し易いように、移動端末150の表示装置100には撮影範囲領域10を表示するとともに、姿勢情報(例えば、1回目の撮影の場合は図8(2)に表示されている姿勢情報11、2回目以降の撮影の場合は図9(4)に表示されている姿勢情報11)を表示する。なお、この姿勢情報11は、移動端末150の姿勢に応じて数値が変化する。また、本実施形態では、水平方向の位置(姿勢情報11の上下および上下の下に表される値)と回転方向の位置(姿勢情報11の左右および左右の下に表される値)について移動端末150に設けられている姿勢センサによって計測されている。
【0023】
ステップS206は、移動端末150の姿勢が特定の姿勢となったか否かを判定する処理である。これは、移動端末150が、移動端末150に備えられた姿勢センサの値で判定を行う。本実施形態では、水平方向について0もしくは許容範囲に移動端末150の姿勢センサの値が入ると、姿勢情報11の上下の文字の下に○印が表示され、回転方向について0もしくは許容範囲に移動端末150の姿勢センサの値が入ると姿勢情報11の左右の文字の下に○印が表示される(例えば、図8(3)、図9(5)参照)。このように、特定の姿勢になったことを利用者に報知することにより、特定の姿勢での撮影を行いやすくできる。特定の姿勢になっている場合は、ステップS207へ進み、特定の姿勢になっていない場合は、ステップS205へ進む。
【0024】
本方法は、ステップS204~ステップS206において説明したように、被写体との距離および姿勢を一定の範囲に保ちながら撮影装置を備えた移動端末150を移動させて撮影した複数の画像を合成して一枚の画像より広範囲を収めた画像(いわゆるパノラマ画像)を生成することが、大きな特徴である。
一般的には、所定の位置を中心に撮影装置を回転させながら撮影した複数の画像を合成してパノラマ画像を生成する方法が知られている。この方法を採用する場合、各々の画像を撮影したアングル(撮影方向)に基づいて、各々の画像を仮想的な球面に配置して合成し、合成した画像をピクセル単位で平面座標に落とし込む処理(球面に表される合成画像を平面に補正する処理)を実行してパノラマ画像を出力することになる。従って、この方法によって生成されるパノラマ画像に映り込んでいる被写体は、実際の被写体の形状と比べて、歪みが生じてしまう。
一方で、本方法は、被写体との距離および姿勢を一定の範囲に保ちながら被写体を撮影した複数の画像を合成するので、図7に図示した作業領域200のように、仮想的な平面領域に各画像を配置することができるので、合成画像を平面座標に落とし込む処理が不要となる。これにより、本方法は、一般的なパノラマ画像の撮影方法に比べ、歪みの少ないパノラマ画像を作成することが可能となる。従って、本方法によって生成されるパノラマ画像は、そのパノラマ画像に映り込んでいる被写体の形状や配置を、より正確に表すことができる。
【0025】
ステップS207は、撮影画像(n)を撮影する処理である。ここで、ステップS200の撮影モード処理に入って1回目の場合は、nはステップS202で設定した数値になるため、n=1である。また、2回目以降の場合は、nは後述するステップ211で設定した数値になる。本実施形態では、ステップS206で特定の姿勢になると自動的に撮影装置が撮影画像を撮影する。しかし、これに限らず、ステップS206で特定の姿勢になると、利用者がシャッターアイコン50を操作可能とし、利用者の指示によって撮影するようにしてもよい。
【0026】
ステップS208は、撮影画像(n)を作業領域200に配置する処理である。1回目のステップS208では、作業領域200に撮影画像(n=1)が設けられ、2回目のステップS208では作業領域200に撮影画像(n=2)が設けられ、3回目のステップS208では作業領域200に撮影画像(n=3)が設けられる。
【0027】
ステップS209は、作業領域200に配置されている撮影画像を移動端末150に備えられた表示装置100に表示する処理である。本実施形態においては、作業領域200に配置された撮影画像と撮影装置の撮影範囲とを同じ表示装置100に表示するため、作業領域200に配置された撮影画像は表示装置100の下部の撮影範囲領域10とは重ならない位置に撮影画像領域30を設けて表示することとする(例えば、図9(4)参照)。これは、表示装置100の中心部分には撮影範囲領域10を設ける方が、撮影に適した位置に移動端末150を移動させ易いからである。また、利用者は撮影画像領域30に表示される先の工程で撮影された画像を確認しながら移動端末150を移動することが可能となる。なお、ステップS200の撮影モード処理に入って1回目の場合は、作業領域200に配置される撮影画像が1枚だけであるが、2回目以降は撮影画像が複数枚、配置されることなる。
【0028】
ステップS210は、撮影装置の撮影範囲に重複されてガイド表示20を表示する処理である。ここでは、ガイド表示20について、図8(3)、図9(4)、図9(5)を用いて説明する。
上述したように、1回目のステップS207で、図8(3)に示した撮影範囲での撮影が行われたとすると、ステップS208で作業領域200に撮影画像(n=1)が配置される。そして、撮影画像(n=1)が作業領域200に配置された後、ステップS209で図9(4)に示すように、撮影画像領域30に撮影画像(n=1)が表示され、また、ステップS210で撮影範囲領域10表示される撮影装置の撮影範囲に重複されて撮影画像(n=1)に対応したガイド表示20が表示される。図9(4)に示したように、ガイド表示20は透過性が施されている。したがって、利用者は、ガイド表示20を介して撮影範囲領域10に表示される撮影範囲(被写体)を視認することができる。図9(4)のガイド表示20には記載していないが、ガイド表示20として透過性が施されて表示されている撮影画像(n=1)の一部領域とは別に、撮影範囲(被写体)がガイド表示20を介して表示されている。このように構成することで、利用者は、次の工程で撮影される撮影画像(n+1)を撮影するために移動端末150を移動する際に先の工程で撮影された撮影画像(n)のガイド表示20を参考にすることが可能となる。
2回目のステップS210では、図9(4)の撮影画像領域30に表示される撮影画像は撮影画像(n)と撮影画像(n+1)の2枚であり、撮影範囲領域10には撮影画像(n+1)に対応したガイド表示20が表示される。
【0029】
ステップS211は、撮影画像の管理する番号である変数nに1を加算する処理である。次の撮影が行われ、撮影された撮影画像はステップS211で加算された後の変数で管理される。そして、ステップS203へ進み、ステップS203で撮影モードが終了と判定されるまで処理が繰り返される。
【0030】
図3のステップS108は、画像出力の指示の有無を判定する処理である。ここで画像出力の指示とは、利用者が既に撮影された複数枚の撮影画像を合成して出力すると決定すると生じる指示である。本実施形態では、ステップS203で撮影モードが終了と判定され、撮影モードの処理(ステップS200)が終了されると、画像出力の指示があったと判定される。画像出力の指示があったと判定された場合は。ステップS109へ進み、画像出力の指示がなかったと判定されると、ステップS110へ進む。
【0031】
ステップS109は、移動端末150に備えられた演算装置によって、作業領域200に配置した複数の撮影画像を合成して出力する処理である。
ステップS109の処理において、合成されて生成される一つの画像データ(以下、合成画像と称する)は、作業領域200における配置が反映されたものとなる。特に、作業領域200において複数の撮影画像が重なっている部分については、当該部分において最も上層のレイヤーに配置されている撮影画像の表示内容が合成画像に反映されることになる。
【0032】
ステップ110では、撮影アプリケーションソフトの動作を停止する処理を行う。
【0033】
ステップS103は、ステップS101で新規撮影ではないと判定されると行われる処理であり、既に撮影された撮影画像の変更か否かを判定する処理である。ここで、既に撮影された撮影画像の変更とは、以前に行われた撮影モードにおいて作業領域200に配置された撮影画像に対し、撮り直しや配置位置の変更を行うことである。本実施形態では、利用者が写真アイコン70をタッチすることで、過去に保存された保存済みファイルに含まれる一連の撮影画像の変更を行うことを指示できる。保存済みファイルに含まれる一連の撮影画像の変更を行う場合はステップS104へ進み、保存済みファイルに含まれる一連の撮影画像の変更を行わない場合はステップS108へ進む。
【0034】
ステップS104は、保存済みファイルを読み込む処理である。本実施形態では移動端末150に備えられた表示装置100の写真アイコン70をタッチすることで、撮影アプリケーションソフトに保存されている保存済みファイルのうち少なくとも一部が読み込まれ、読み込んだ保存済みファイルの作業領域200に配置されている一連の撮影画像がファイル毎に表示装置100に表示され、利用者が選択可能となる。ここで、利用者が変更したい一連の撮影画像を選択(本実施形態ではタッチ)すると、当該保存済みファイルの作業領域200およびその作業領域200に配置されている撮影画像が読み出される。
【0035】
ステップS105は、ステップS104で読み込んだ保存済みファイルの作業領域200に配置されている撮影画像を移動端末150に備えられた表示装置100に表示する処理である。表示装置100に表示した画面イメージを図10(1)に示す。図10(1)に示すように、表示装置100には、作業領域200に配置されている撮影画像を表示する保存画像表示領域40と当該保存画像表示領域40に表示された撮影画像を変更する作業を行うために表示する変更表示領域45を設ける。このように表示領域を設けることで、合成された撮影画像全体を保存画像表示領域40で確認し、変更したい撮影画像に対する操作は変更表示領域45で行えるため、利用者は操作がしやすい。
【0036】
ステップS106は、ステップS105で表示装置100に表示された撮影画像を利用者が確認し、再撮影を行いたい撮影画像があると判断した場合、カメラアイコン60をタッチすることでステップS300の撮り直しモードへ進む。すなわち、ステップS103で写真アイコン70がタッチされた後、カメラアイコン60がタッチされたか否かがステップS106での判定となる。そして、再撮影の指示がない場合は、ステップS107へ進む。
【0037】
ステップS300は、撮り直しモードの処理が行われる。撮り直しモードの処理について、図5の撮り直しモードフローチャートを用いて説明する。
ステップS301は、利用者が撮り直し対象の撮影画像(n)の指定を行う処理である。ステップS106でカメラアイコン60がタッチされたと判定されると、表示装置100は図11(1)の撮り直しモードの表示画面になる。図11(1)に示すように、撮り直しモードの表示画面は、保存画像表示領域40の下に撮影範囲領域10が表示される。そして、表示装置100の保存画像表示領域40に表示された撮影画像を用いて利用者が撮り直し対象の撮影画像を指定する。本実施形態では、利用者が撮り直し対象としたい撮影画像をタッチすることで移動端末150に指示を行える。
【0038】
ステップS302は、撮影画像(n-1)、撮影画像(n+1)に基づいてガイド表示20を行う処理である。ここで、撮影画像(n-1)および撮影画像(n+1)は、ステップS301で指定した撮影画像が撮影画像(n=2)であるとした場合、撮影画像(n=1)および撮影画像(n=3)のことである。
図11(1)に示したように、撮り直しモードでは、表示装置100には、保存画像表示領域40と、保存画像表示領域40の下方に、撮影範囲領域10が設けられる。利用者が撮り直したい撮影画像を保存画像表示領域40を用いて指定する。ここでは、撮影画像(n=2)を指定したため、撮影画像(n=2)に枠線が表示される。そして、撮り直したい撮影画像(n=2)を指定したことにより、図11(2)に示すように、撮影範囲領域10には、撮影範囲に加え、ガイド表示20が表示される。ここで、ガイド表示20を行う対象を撮影画像(n-1)、撮影画像(n+1)とするのは、撮り直し対象の撮影画像(n)に対し、その前後に撮影された撮影画像が撮影画像(n-1)および撮影画像(n+1)であるからである。なお、撮り直し対象画像が最初に撮影された撮影画像(n=1)または最終撮影画像の場合は、前、または、後の一方にしか撮影画像が存在しないため、ガイド表示20を行う撮影画像は1つの撮影画像となる。なお、本実施形態では、図11(1)の保存画像表示領域40で撮り直したい撮影画像(n=2)を指定し、その後、撮影画像(n=2)を削除してから撮影を行うようにしたため、図11(2)の保存画像表示領域40の撮影画像(n=2)には撮影画像が表示されていないが、撮り直し撮影後に、過去の撮影画像(n=2)を削除するようにしてもよい。この場合、図11(2)の保存画像表示領域40の撮影画像(n=2)には、過去の撮影画像(n=2)が表示されている。
【0039】
ステップS303は、ステップS302で表示したガイド表示20を参考に、移動端末150を移動させる処理である。本処理は撮り直しモードでの撮影処理のため、過去の撮影画像に対応したガイド表示20が撮影範囲領域10に表示される。ステップS302で説明したように、本実施形態では、撮影画像(n=n-1)と撮影画像(n=n+1)のガイド表示20が撮影範囲領域10に表示される。利用者は、これらのガイド表示20と撮影範囲領域10に表示される撮影範囲が一致して重なって表示されるように移動端末150の位置を移動する。
【0040】
ステップS304は、利用者が移動端末150の姿勢を調整することで、移動端末150に備えられた撮影装置の姿勢を調整する処理である。ステップS205の処理と同様である。
【0041】
ステップS305は、移動端末150の姿勢が特定の姿勢になったか移動端末150に備えられている姿勢センサで判定する処理である。ステップS206の処理と同様である。
【0042】
ステップS306は、撮影装置が撮影画像(n)を撮影する処理である。本処理は既に撮影されていた撮影画像に替えて新たに撮り直すための撮影である。
【0043】
ステップS307は、ステップS306で撮影した撮影画像(n)を作業領域200に配置する処理である。ここで、ステップS307は、既に撮影されていた撮影画像(n)に替えて、新たに撮影画像(n)を撮影したため、新たに撮影した撮影画像を既に撮影されていた撮影画像(n)と差し替える必要がある。既に撮影されている撮影画像(n)は、既に撮影されている撮影画像(n-1)と撮影画像(n+1)との間のレイヤーに配置されているため、新たに撮影した撮影画像(n)が同様に配置される必要があるからである。そこで、ステップS307の処理では、既に撮影されていた撮影画像(n)が配置されていた作業領域200のレイヤーに配置するようにする。
【0044】
ステップS308は、作業領域200に配置されている撮影画像を表示装置100に表示する処理である。
【0045】
図3のステップS107は、ステップS105で表示装置100に表示された撮影画像を利用者が確認し、撮影画像のうち、何れかの撮影画像の配置を変更したいと判断した場合、写真アイコン70をタッチすることでステップS400の配置変更モードへ進む。ステップS103で写真アイコン70がタッチされた後、写真アイコン70がタッチされたか否かがステップS107での判定となる。
【0046】
ステップS400は、配置変更モードの処理が行われる。配置変更モードの処理について、図6の配置変更モードフローチャートを用いて説明する。
ステップS401は、利用者が配置を変更したい撮影画像を操作したか否かを判定する処理である。本実施形態では表示装置100の保存画像表示領域40に表示された撮影画像の何れかをタッチすると、変更表示領域45に表示されている撮影画像に移動または削除が可能なことを示す枠線が表示され、利用者が撮影画像の移動を行う。図10(1)、図10(2)に画面イメージを示す。保存画像表示領域40に表示された撮影画像のうち移動したい撮影画像を選択し(図10(1)の場合、撮影画像(n=3)を選択)、選択すると、変更表示領域45に表示される撮影画像(n=3)に枠線が表示され、利用者が変更表示領域45に表示されている撮影画像(n=3)を操作した位置に移動することができる。移動した後の画面イメージを図10(2)に示す。図10(1)では、理容店の屋根がずれて合成されていたところ、利用者が撮影画像(n=3)を移動したことにより、図10(2)のように理容店の屋根のずれをなくすことができる。ステップS401では、変更表示領域45に表示される撮影画像の移動の有無に基づき判定を行っている。利用者による移動を判定するとステップS402へ進み、移動する旨の判定が行われなければステップS403へ進む。
【0047】
ステップS402は、ステップS401で利用者が撮影画像の移動を行った場合、作業領域200の位置に再配置する処理である。
【0048】
ステップS403は、利用者による削除操作があったか否かを判定する処理である。利用者が保存画像表示領域40に表示された撮影画像のうち削除したい撮影画像をタッチした後、削除メニュー(図示しない)の選択またはゴミ箱(図示しない)への移動などを行うことにより、選択した撮影画像の削除を行う。そして、削除したと判定した場合はステップS404へ進み、削除したと判定していない場合は、本処理を終了する。
【0049】
ステップS404は、ステップS403で利用者による削除操作があったと判定された場合、作業領域200から対象の撮影画像を削除する処理である。
【0050】
このような画像撮影方法により、汎用的な撮影装置を用いて、複数の撮影画像を合成した撮影画像を出力することが可能となる。また、本方法では、上述したガイド表示20を行うことで、移動端末150が撮影範囲領域10に表示されている撮影範囲が適しているか否かを判定するのではなく、利用者がガイド表示20を参考に撮影範囲領域10に表示される撮影範囲が撮影に適しているか否かを判断することが可能となる。
ここで、ステップS210では、撮影装置の撮影範囲に重複させてガイド表示20を表示する際に、図9(4)、図9(5)に示したように、ガイド表示20の領域分、撮影装置の撮影範囲に重複させて表示することとなる。また、ステップS208で、撮影画像(n)を作業領域200に配置する際に、図7に示したように、作業領域200には、撮影画像(n)、撮影画像(n+1)、撮影画像(n+2)・・・が撮影順に配置され、撮影画像(n)と撮影画像(n+1)は所定領域重なってまた、撮影画像(n+1)と撮影画像(n+2)とは所定領域重なって配置される。そして、画像配置工程において、撮影画像を作業領域200に配置する際の撮影画像(n)と撮影画像(n+1)との位置(重なっている所定領域)は、ガイド表示工程で撮影装置の撮影範囲とガイド表示20との位置(ガイド表示20を重複させる領域)と相対的な位置関係を持つようにした。このように配置することで、撮影画像の管理を容易にするとともに、ガイド表示20に合わせて撮影画像(n+1)を撮影することの効果が高まる。
【0051】
<コンピュータ装置>
次に、上述した画像撮影方法を実行するコンピュータ装置500の概念図を図12に示す。本実施形態では、コンピュータ装置500は、上述した移動端末150である。
図12に示したように、コンピュータ装置500は、撮影手段510、表示手段520、画像配置手段530、出力手段540、および、記憶手段550を備える。また、図示はしていないが、キーボード(タッチキーボードを含む)、ポインティングデバイスなどの入力装置、演算処理装置、記憶部、姿勢センサ等を備えている。
撮影手段510は、撮影画像を撮影する手段であり、コンピュータ装置500が備えるカメラが相当する。
表示手段520は、撮影手段の撮影範囲を表示する手段であり、コンピュータ装置500が備えるディスプレイ装置が相当する。また、表示手段520には、出力手段540によって出力される作業領域に配置された複数の撮影画像を合成して表示する機能、先に撮影された撮影画像を透過性に表したガイド表示20を撮影範囲に重複して表示する機能を備える。
画像配置手段530は、コンピュータ装置500が処理可能な作業領域200に撮影した撮影画像を配置する手段であり、コンピュータ装置500に備えられている演算処理装置が相当する。また、画像配置手段530は、先に撮影された撮影画像と次に撮影された撮影画像との作業領域における相対的な位置関係を、表示手段におけるガイド表示の表示位置と撮影装置の撮影範囲の表示位置との相対的な位置関係によって定める機能を備える。
出力手段540は、撮影手段510による撮影画像の撮影と画像配置手段530による撮影画像の配置とを繰り返すことにより作業領域に配置された複数の撮影画像を合成して出力する手段であり、コンピュータ装置500に備えられている演算処理装置が相当する。
記憶手段550は、上述した画像撮影方法を実行するためのコンピュータプログラムが記憶されている。
【0052】
このようなコンピュータ装置500により、汎用的な撮影手段を用いて、複数の撮影画像を合成した撮影画像を出力することが可能となる。
【0053】
<コンピュータプログラム>
コンピュータ装置500(移動端末150)には、撮影処理、画像配置処理、画像合成処理、および、ガイド表示処理をコンピュータ装置500(移動端末150)に実行させるためのコンピュータプログラム(以下、本プログラム)がインストールされている。本実施形態では、コンピュータプログラムは、上述した撮影アプリケーションソフトである。
撮影処理は、コンピュータ装置500(移動端末150)に備えられた撮影装置に撮影画像を撮影させる処理である。画像配置処理は、撮影装置が撮影した撮影画像を、コンピュータ装置500(移動端末150)が処理可能な作業領域に配置する処理であり、また、先に撮影された撮影画像と当該撮影画像の次に撮影された撮影画像との作業領域における相対的な位置関係を、ガイド表示処理におけるガイド表示の表示位置と撮影装置の撮影範囲の表示位置との相対的な位置関係によって定める処理である。画像合成処理は、撮影処理と画像配置処理とを繰り返すことによって作業領域に配置された複数の撮影画像を合成してコンピュータ装置500から出力可能なデータ形式の画像データを生成する処理である。ガイド表示処理は、撮影処理によって撮影画像が撮影されたとき、コンピュータ装置500(移動端末150)に備えられた表示装置100に表示されている撮影装置の撮影範囲に重複して、撮影画像を透過性に表示したガイド表示を表示装置に表示させる処理である。
【0054】
本プログラムを起動すると、表示装置100には、図2に示すように、撮影範囲領域10、シャッターアイコン50、カメラアイコン60、写真アイコン70が表示される。利用者がカメラアイコン60をタッチした後、シャッターアイコン50をタッチすると、撮影モードとなり、コンピュータ装置500(移動端末150)に備えられた撮影装置(図示しない)での撮影が可能となる。撮影装置は、コンピュータ装置500(移動端末150)が特定の姿勢になると自動的にまたは利用者の撮影指示に伴い撮影画像を撮影する(ステップS207が相当)。撮影装置が撮影画像を撮影すると、コンピュータ装置500(移動端末150)が処理可能な作業領域200に撮影画像を配置する(ステップS208が相当)。撮影処理と画像配置処理を繰り返すことによって作業領域200に配置された複数の撮影画像を合成してコンピュータ装置500(移動端末150)から出力可能なデータ形式の画像データを生成する(ステップS109が相当)。撮影装置によって撮影画像が撮影されたとき、図9(5)に示すように、撮影範囲領域10に表示されている撮影装置の撮影範囲にして、撮影画像を透過性に表示したガイド表示20を表示させる(ステップS210が相当)。
本プログラムを起動し、撮影される画像および撮影された画像から生成された画像は図1に示す通りである。本プログラムを起動した際の表示装置100に表示される画面イメージは、図2図8図9図10、および、図11に示した通りである。本プログラムを実行されることにより、図3図4図5、および、図6のフローチャートに示された処理が実行される。なお、図3図4図5、および、図6のフローチャートには、例えば、ステップS204、ステップS205、ステップS303、および、ステップS304のように、利用者が行う作業(処理)が含まれており、利用者が行う作業(処理)については、本プログラムでは行われないが、利用者が行った作業(処理)に基づき、その後の処理を行うように動作する。
【0055】
<変形例>
本発明の実施は、上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形、改良等が可能である。
【0056】
本実施形態では、図1に示すように、撮影対象に向かって、移動端末150を右に移動して撮影した撮影画像を合成して出力した。しかしこれに限らず、撮影対象に向かって、移動端末150を左に移動して撮影してもよいし、上に移動、下に移動して撮影してもよい。例えば、移動端末150を右に移動した後、上に移動するようにしてもよい。このように構成することで、様々な撮影対象の撮影を行うことができる。また、移動端末150を左に移動して撮影する場合には、図9(5)に示したガイド表示20を、撮影範囲領域10に対し、向かって右側に表示するようにすればよい。移動端末150を上に移動して撮影する場合には、図9(5)に示したガイド表示20を、撮影範囲領域10に対し、向かって下側に表示するようにすればよい。さらに、利用者がガイド表示20を表示する位置(撮影範囲領域10に対し、右側、左側、上側、下側の何れか)を指定できるようにしてもよい。また、例えば、撮影範囲領域10に対し右側に表示されているガイド表示を、利用者のスワイプ操作によって他の位置(例えば、撮影範囲領域10に対し左側)に移動できるようにしてもよい。このように構成することで、撮影対象に応じて利用者が撮影しやすいように移動端末150の移動方向、ガイド表示20の表示位置などを設定できるため、操作性がよい。
【0057】
本実施形態では、移動端末150の姿勢について、水平方向および回転方向について特定の姿勢になったか否かの判定を行った。しかしこれに限らず、例えば、垂直方向の姿勢が特定の姿勢になったか否かの判定を行うようにしてもよい。また、何れの方向について特定の姿勢となったか否かの判定を行うようにするかを、利用者が予め指示(設定)できるようにしてもよい。このようにすると、例えば、テーブルなどに置いた図面を真上から順に撮影を行い、複数の撮影画像を合成して出力するような場合であれば、垂直方向および回転方向についての姿勢を判定することが好ましい。
【0058】
本実施形態では、移動端末150の姿勢について、特定の姿勢となったと判定された撮影画像を合成して出力した。しかしこれに限らず、例えば、水平方向に移動し撮影した撮影画像を合成した画像と、垂直方向に移動し撮影した撮影画像を合成した画像とを組みあわせて出力するようにしてもよい。
【0059】
本実施形態では、移動端末150に備えられた姿勢センサの値が許容範囲に入ったか否かを表示装置100に表示する表示態様(例えば、姿勢情報11)として、水平方向の位置および回転方向の位置について個々に数値で表すようにした。しかし、姿勢情報11の表示態様はこれに限らず、水準器を摸した表示態様としてもよい。
ここで水準器を摸した表示態様とは、例えば、水準器を摸した丸画像を表示し、当該丸画像の中心に十字線が表示されると移動端末150の姿勢が許容範囲に入ったことを示す表示態様であり、丸画像に対し十字線が表示される位置により、移動端末150が水平となった(0となった)ことと許容範囲に入ったこととを区別することができる。このように、水平方向および回転方向の姿勢について感覚的に容易な認識できる水準器を摸した表示態様で姿勢情報11を表示することで、利用者が移動端末150の姿勢を容易に特定の姿勢とすることが可能となる。なお、水準器を摸した表示態様はこれに限らない。
本変形例で説明した水準器を摸した表示態様を実現するにあたって、既知の水準器アプリ(移動端末150の姿勢センサが検知した姿勢を、水準器を摸した表示態様によって移動端末150の表示画面に表示するアプリケーションソフト)を用いてもよい。
【0060】
本実施形態では、配置変更モードの処理を設け、利用者が配置を変更したい撮影画像を選択し、移動可能とした。ここで、合成されていた画像のずれは撮影する際の撮影装置を備えた移動端末150の姿勢のずれや被写体との距離の差が原因の1つとして考えられる。この場合、撮影画像の拡大または縮小を行い移動させることで、ずれて合成されていた画像のずれをなくすことが可能になる場合もある。そこで、配置変更モードの処理に加えて、撮影画像の拡大や縮小を行えるようにすることが好ましい。
また、撮影された画像の端部に複雑な形状の被写体が映り込んでいる場合には、当該画像とそれに隣接する画像とつなぎあわせる際に、当該被写体が妨げになることがある。この対策として、撮影画像の一部を切り抜く処理(トリミング)が可能であるようにすることが好ましい。
なお、上述した撮影画像の拡大や縮小、及び、撮影画像のトリミングを指示する方法は、利用者が変更表示領域45の撮影画像をピンチイン/ピンチアウト、タップ/ダブルタップするなど、方法は問わない。
【0061】
本実施形態では、生成された合成画像は、単なる静止画像として表示装置100への出力(表示)することとした。しかしこれに限らず、例えば、生成された合成画像のうち一部領域を表示し、表示する一部領域をシームレスにスライドさせていくデータ(以下、ムービー画像と称する)を生成する工程を備えてもよい。ムービー画像は、合成画像を表示する範囲が経時的に変化するものであり、撮影されている被写体自体が変化する(フレーム単位で撮影した画像を連続的に表示して、経時的な被写体の変化を表す)一般的な動画とは異なる。また、ムービー画像は、一枚の静止画像である合成画像を表示するものであり、複数の静止画像を連続的に切り替えて表示する一般的なスライドショーとは異なる。
本方法では、商店街のような横長に形成された被写体の合成画像であるため、合成画像(静止画像)をそのまま表示すると、表示装置100に対し、縦方向には余白部分が多い表示となり、合成画像自体も見難いものとなる可能性がある。そこで、生成した合成画像からムービー画像を生成し、ムービー画像を生成することで、作成された合成画像を表示装置100全体に表示でき、横長の被写体の端から端まで見易くすることが可能となる。また、ムービー画像を再生中に当該ムービー画像をスワイプすることで、再生方向を変更(例えば、ムービー画像に対し、向かって左側から右側へ再生されているものを右側から左側へ再生方向を変更)できる。さらに、当該ムービー画像をタップすることで、再生を停止できるため、静止画像のよう見ることも可能である。加えて、当該ムービー画像をピンチアウトすることで、ムービー画像の詳細な内容も確認することができる。なお、作成したムービー画像を記憶しておくことも可能である。
本工程は生成された合成画像からムービー画像を生成したが、撮影画像からムービー画像を作成してもよい。このようにすることで、撮影画像を拡大し、所定の位置から順に表示されるため、撮影画像の詳細な部分を確認することができる。
【0062】
本実施形態では、移動端末150に備えられた撮影装置で撮影された撮影画像を用いて合成した撮影画像を出力した。しかしこれに限らず、例えば、他の撮影装置、携帯電話に設けられた撮影装置で撮影され撮影画像を移動端末150に取り込み、合成した撮影画像を出力することも可能である。また、合成する撮影画像の一部を他の撮影装置で撮影した撮影画像を用いることも可能である。
【0063】
上記実施形態は以下の技術的思想を包含する。
(1) 利用者が、撮影装置および前記撮影装置の撮影範囲を表示する表示装置を備える移動端末を用いて行う画像撮影方法であって、
前記撮影装置が撮影画像を撮影する撮影工程と、
前記撮影装置が撮影した撮影画像を、前記移動端末が処理可能な作業領域に配置する画像配置工程と、
前記撮影工程と前記画像配置工程とを繰り返すことによって前記作業領域に配置された複数の撮影画像が、前記移動端末によって合成されて出力される出力工程と、
を含み、
更に、先の前記撮影工程において撮影画像が撮影されたとき、前記移動端末が、当該撮影画像を透過性に表したガイド表示を、前記表示装置に表示させている前記撮影装置の撮影範囲に重複して表示させるガイド表示工程を含み、
利用者が、前記表示装置に表示されている前記撮影装置の撮影範囲における被写体の表示位置と前記ガイド表示に写り込んでいる当該被写体の表示位置とが重なる場所まで前記移動端末を移動させた後に、前記先の撮影工程の次の前記撮影工程を行い、
前記画像配置工程において、前記先の撮影工程において撮影された撮影画像と前記次の撮影工程において撮影された撮影画像との前記作業領域における相対的な位置関係が、前記ガイド表示工程における前記ガイド表示の表示位置と前記撮影装置の撮影範囲の表示位置との相対的な位置関係によって定まる、ことを特徴とする画像撮影方法。
(2) 前記画像配置工程において前記移動端末が撮影画像を前記作業領域に配置した後に、利用者によって指示された撮影画像の配置に応じて前記移動端末が前記作業領域における撮影画像の配置を変更する変更工程を含む、(1)に記載の画像撮影方法。
(3) 前記撮影工程において、前記表示装置は、前記撮影装置の撮影範囲の表示位置とは重ならない位置に、前記作業領域に配置されている撮影画像を表示し、
前記撮影工程において、利用者は、当該撮影工程より前に前記作業領域に配置された撮影画像の配置を視認して前記移動端末の指定を調整できる、(1)または(2)に記載の画像撮影方法。
(4) 前記撮影工程において、利用者が前記移動端末の姿勢を調整し、前記移動端末が特定の姿勢になったときに前記撮影装置が撮影画像を撮影する、(1)から(3)のいずれか一に記載の画像撮影方法。
(5) 前記特定の姿勢は複数あり、前記利用者が前記複数の特定の姿勢のうち何れとするかを指定できる、(4)に記載の画像撮影方法。
(6) 前記ガイド表示工程において、前記移動端末は、利用者による指示に応じて、前記ガイド表示の表示位置を変更可能である(1)から(5)のいずれか一に記載の画像撮影方法。
(7) 前記出力工程において、前記複数の撮影画像が、前記移動端末によって合成されて出力された後に、利用者によって前記合成された複数の撮影画像が選択されると、前記移動端末が、当該合成された複数の撮影画像に対応した撮影画像を読み込み、前記作業領域に配置し、当該作業領域に配置されたデータを用いて所定の撮影画像を削除する削除工程を含む請求項(1)から(6)のいずれか一に記載の画像撮影方法。
(8) 前記出力工程において、前記複数の撮影画像が、前記移動端末によって合成されて出力された後に、利用者によって前記合成された複数の撮影画像が選択されると、前記移動端末が、当該合成された複数の撮影画像に対応した撮影画像を読み込み、前記作業領域に配置し、当該作業領域に配置されたデータを新たに撮影した撮影画像と差し替える差替工程を含む(1)から(7)のいずれか一に記載の画像撮影方法。
(9) 撮影画像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段の撮影範囲を表示する表示手段と、
前記撮影手段が撮影した撮影画像を、自機が処理可能な作業領域に配置する画像配置手段と、
前記撮影手段による撮影画像の撮影と前記画像配置手段による撮影画像の配置とを繰り返すことによって前記作業領域に配置された複数の撮影画像を合成して出力する出力手段と、
を備えるコンピュータ装置であって、
前記撮影手段によって撮影画像が撮影されたとき、前記表示手段は、当該撮影画像を透過性に表したガイド表示を、前記撮影手段の撮影範囲に重複して表示し、
前記画像配置手段は、先に撮影された撮影画像と当該撮影画像の次に撮影された撮影画像との前記作業領域における相対的な位置関係を、前記表示手段における前記ガイド表示の表示位置と前記撮影手段の撮影範囲の表示位置との相対的な位置関係によって定める、ことを特徴とするコンピュータ装置。
(10) 撮影装置および前記撮影装置の撮影範囲を表示する表示装置を備えるコンピュータ装置に実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記撮影装置に撮影画像を撮影させる撮影処理と、
前記撮影装置が撮影した撮影画像を、前記コンピュータ装置が処理可能な作業領域に配置する画像配置処理と、
前記撮影処理と前記画像配置処理とを繰り返すことによって前記作業領域に配置された複数の撮影画像を合成して、前記コンピュータ装置から出力可能なデータ形式の画像データを生成する画像合成処理と、
前記撮影処理によって撮影画像が撮影されたとき、前記表示装置に表示されている前記撮影装置の撮影範囲に重複して、当該撮影画像を透過性に表したガイド表示を前記表示装置に表示させるガイド表示処理と、
を前記コンピュータ装置に実行させ、
前記画像配置処理は、先に撮影された撮影画像と当該撮影画像の次に撮影された撮影画像との前記作業領域における相対的な位置関係を、前記ガイド表示処理における前記ガイド表示の表示位置と前記撮影装置の撮影範囲の表示位置との相対的な位置関係によって定める、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0064】
10 撮影範囲領域
11 姿勢情報
20 ガイド表示
30 撮影画像領域
40 保存画像表示領域
45 変更表示領域
50 シャッターアイコン
60 カメラアイコン
70 写真アイコン
100 表示装置
200 作業領域
150 移動端末
500 コンピュータ装置
510 撮影手段
520 表示手段
530 画像配置手段
540 出力手段
550 記憶手段
図1
図2
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図12