(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180822
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】ミシン
(51)【国際特許分類】
D05B 27/10 20060101AFI20221130BHJP
D05B 35/02 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
D05B27/10
D05B35/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087532
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003399
【氏名又は名称】JUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 伸夫
(72)【発明者】
【氏名】横山 正
(72)【発明者】
【氏名】新井 富夫
(72)【発明者】
【氏名】橋口 俊一
(72)【発明者】
【氏名】川口 渉
(72)【発明者】
【氏名】森島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】立川 充宏
【テーマコード(参考)】
3B150
【Fターム(参考)】
3B150AA07
3B150CC03
3B150CE23
3B150DE03
3B150DE27
3B150DE33
3B150EB01
3B150EB13
3B150ED06
3B150ED08
3B150ED09
3B150GD13
3B150GD14
3B150QA01
3B150QA06
3B150QA07
(57)【要約】
【課題】適正な突き合わせ荷重で二つの被縫製物の端縁部の接ぎ合わせ縫製を行う。
【解決手段】二つの被縫製物C1,C2の端縁部C11,C21同士を突き合わせて接ぎ合わせ縫製を行うミシン10において、二つの被縫製物C1,C2に対して個別に突き合わせ方向に沿って移動させる横送り機構30と、二つの被縫製物C1,C2の端縁部C11,C21に接して突き合わせ荷重を検出する突き合わせ荷重検出部40と、突き合わせ荷重検出部40によって検出された突き合わせ荷重が目標突き合わせ荷重となるように前記横送り機構30による二つの被縫製物C1,C2の移動動作を制御する制御装置90とを備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの被縫製物の端縁部同士を突き合わせて接ぎ合わせ縫製を行うミシンにおいて、
二つの前記被縫製物に対して個別に突き合わせ方向に沿って移動させる横送り機構と、
二つの前記被縫製物の端縁部に接して突き合わせ荷重を検出する突き合わせ荷重検出部と、
前記突き合わせ荷重検出部によって検出された突き合わせ荷重が目標突き合わせ荷重となるように前記横送り機構による二つの前記被縫製物の移動動作を制御する制御装置とを備えることを特徴とするミシン。
【請求項2】
前記突き合わせ荷重検出部は、二つの前記被縫製物から個別に突き合わせ荷重を検出し、
前記制御装置は、二つの前記被縫製物が各々の目標突き合わせ荷重となるように前記横送り機構による二つの前記被縫製物の移動動作を個別に制御することを特徴とする請求項1に記載のミシン。
【請求項3】
前記目標突き合わせ荷重は、縫製の進度に応じて異なる値が定められていることを特徴とする請求項1又は2に記載のミシン。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記突き合わせ荷重検出部により検出された突き合わせ荷重から二つの前記被縫製物の縫製目標位置の終端を検出し、
検出された前記縫製目標位置の終端に基づいて縫製を終了することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のミシン。
【請求項5】
前記制御装置は、前記突き合わせ荷重検出部により検出された突き合わせ荷重から二つの前記被縫製物の縫製開始前の配置の適否を判定し、その判定結果を通知する処理を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のミシン。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記横送り機構が二つの前記被縫製物に移動動作の付与を行わない状態で縫製を実行すると共に、
当該縫製中に前記突き合わせ荷重検出部により検出された突き合わせ荷重を、その後の縫製の目標突き合わせ荷重として記録する教示モード制御を行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のミシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被縫製物と被縫製物とを接ぎ合わせるミシンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のミシンは、被縫製物の曲線に沿った端部に縫製を行うために、傾斜して回転する車輪と半球状の回転体とを被縫製物に当接させて曲線に沿った送りを実現していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年は、被縫製物の曲線に沿った端縁部と他の被縫製物の曲線に沿った端縁部とを縫い合わせることにより、被縫製物同士を立体的な形状に縫い合わせる縫製の要求がある。
従来のミシンが有する傾斜して回転する車輪と半球状の回転体とを利用すれば、被縫製物を曲線に沿った端縁部に沿って送ることは可能となるが、上記のような被縫製物の縫い合わせには、二つの被縫製物の端縁部同士に適度な突き合わせ荷重を与えて縫製する必要があった。しかしながら、上記従来のミシンでは、そのような突き合わせ荷重を調整して付与することはできなかった。
【0005】
本発明は、二つの被縫製物の端縁部同士に適度な突き合わせ荷重を与えて縫製することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
二つの被縫製物の端縁部同士を突き合わせて接ぎ合わせ縫製を行うミシンにおいて、
二つの前記被縫製物に対して個別に突き合わせ方向に沿って移動させる横送り機構と、
二つの前記被縫製物の端縁部に接して突き合わせ荷重を検出する突き合わせ荷重検出部と、
前記突き合わせ荷重検出部によって検出された突き合わせ荷重が目標突き合わせ荷重となるように前記横送り機構による二つの前記被縫製物の移動動作を制御する制御装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上のように、本発明によれば、二つの被縫製物の端縁部同士に適度な突き合わせ荷重を与えて縫製することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態であるミシンの主要部の構成を示す側面図である。
【
図4】被縫製物と被縫製物の一例を示す平面図である。
【
図5】千鳥縫いの縫い目の一例を示す平面図である。
【
図6】第一及び第二の横送り機構の構成を図示した断面図である。
【
図8】制御装置のCPUがプログラムに基づいて実行する被縫製物の端縁部の接ぎ合わせ縫製時の動作制御を示したフローチャートである。
【
図9】配置判定処理の詳細を示したフローチャートである。
【
図10】被縫製物の端縁部が全長に渡って離隔しているために初期位置が不適正な例を示すミシンの主要部の平面図である。
【
図11】被縫製物の端縁部の前端部のみが突き合わされ、後端部が大きく離隔しているために初期位置が不適正となる例を示すミシンの主要部の平面図である。
【
図12】
図12(A)は両方の被縫製物について配置が適正である場合の通知部の状態を示す正面図、
図12(B)は両方の被縫製物について配置エラーである場合の通知部の状態を示す正面図である。
【
図13】被縫製物の端縁部の終端が突き合わせ荷重検出部を通過した状態を示すミシンの主要部の平面図である。
【
図14】教示モード制御の詳細を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[発明の実施形態]
本発明の実施形態について説明する。
図1は本実施形態であるミシン10の主要部の構成を示す側面図、
図2はミシン10の針板周辺の平面図、
図3はミシン10の制御系を示すブロック図である。
上記ミシン10は、二つの被縫製物C1,C2のそれぞれの端縁部同士を突き合わせて接ぎ合わせ縫製を行う。このため、ミシン10は、被縫製物C1,C2の送り方向に直交する方向に沿った針振りにより被縫製物C1,C2に交互に針落ちを行って接ぎ合わせを行うことが可能ないわゆる千鳥縫いを行うミシンを例示する。なお、被縫製物C1,C2の端縁部C11,C21の接ぎ合わせを行うことが可能な他の縫製を行うミシンであっても良い。
【0010】
なお、ミシン10は、水平面上に置いた状態で、被縫製物C1,C2を載置する針板の上面が水平となる。以下の説明では、この被縫製物C1,C2の針板の上面に沿った送り方向をX軸方向、針板の上面に平行であってX軸方向に直交する方向をY軸方向、鉛直上下方向をZ軸方向とする。
また、X軸方向に平行であって被縫製物C1,C2の送り方向下流側を「前」、上流側を「後」とし、Y軸方向に平行であって前を向いた状態で左手側を「左」、右手側を「右」とし、Z軸方向の一方を「上」、他方を「下」とする。
【0011】
図4は被縫製物C1と被縫製物C2の一例を示す平面図である。ここでは、被縫製物C1,C2は、いずれも、弾性的な柔軟性を有するシート材料を例示する。なお、これは例示であって、薄い他の素材のシート材料の接ぎ合わせ縫製を行うことも可能である。
接ぎ合わせが行われる被縫製物C1におけるY軸方向の一端部(右端部)に位置する端縁部C11の形状と被縫製物C2におけるY軸方向の他端部(左端部)に位置する端縁部C21の形状が異なっており、これらが接ぎ合わせ縫製によって結合されることにより、各被縫製物C1,C2が曲面形状となり、縫製後の完成品はカップ状の立体的な形状となる。例えば、被縫製物C1,C2の端縁部C11,C21は、外側に凸となるように湾曲した形状を例示する。
上記被縫製物C1,C2に対して、ミシン10は、端縁部C11,C21同士が離れないように突き合わせ荷重を付与して針落ち位置に送り込み、双方の端縁部C11,C21に縫い目が渡るように千鳥縫いを施して接ぎ合わせ縫製を行う。
【0012】
図5は千鳥縫いの縫い目の一例を示す平面図である。図示のように、千鳥縫いの縫い目は、左右に交互に斜行する縫い目がX軸方向に沿って連続して鋸歯状をなし、左方と右方とに斜行する各々の縫い目が突き合わされた端縁部C11,C21を跨ぐことにより、端縁部C11,C21同士を密着させた状態で連結する。
なお、
図5は、端縁部C11,C21に対して三針ずつ交互に針落ちを行ういわゆる四点千鳥縫いの縫い目を例示しているが、端縁部C11,C21に対して一針ずつ交互に針落ちを行ういわゆる二点千鳥縫いの縫い目を形成しても良い。
【0013】
[ミシンの概略構成]
図1~
図3に示すように、ミシン10は、針落ち位置Fにおいて縫い針11を上下動させる針上下動機構と、Y軸方向に沿って縫い針11の針振りを行う針振り機構と、縫い針11の針落ち位置Fにおいて送り歯21によって所定の送りピッチで被縫製物C1,C2の送りを行う送り機構と、送り歯21の下側で縫い針11に通された上糸に下糸を絡める釜機構と、針落ち位置Fの幾分後方(送り方向上流側)でY軸方向に沿って並んで配置された被縫製物C1,C2のそれぞれにY軸方向の移動成分を含む方向の移動動作を付与する横送り機構30と、横送り機構30の後方(送り方向上流側)で針振り方向の一方と他方とにそれぞれ配置された二つの被縫製物C1,C2のそれぞれの端縁部C11,C21における突き合わせ荷重を検出する突き合わせ荷重検出部40と、上記各構成を格納又は支持するミシンフレームと、上記各構成を制御する制御装置90とを備えている。
【0014】
針上下動機構は、ミシンモーター12を駆動源としてクランク機構により縫い針11を保持する針棒に上下動を付与する周知の構造である。
針振り機構は、針振りモーター13を駆動源として、針棒を上下動可能に支持する針棒台をY軸方向に沿って任意に移動させる周知の構造である。
送り機構は、ミシンフレームのミシンベッド部上面に装備された図示しない針板に形成された左右の開口部から出没可能な送り歯21と、ミシンモーター12から動力を得て、X-Z平面に沿った長円運動を送り歯21に付与する動力伝達機構とを備える周知の構成である。長円運動の軌跡の上部を移動する際に、送り歯21が針板の開口部から上方に突出して、その移動方向に被縫製物C1,C2を送ることができる。なお、この送り機構は、一回の送り量(送りピッチ)を送り調節モーター14により任意に調整することができる。
また、針板における送り歯21の出没位置の上方には各被縫製物C1,C2を一定のバネ圧で押さえる押さえ足23が設けられている。
釜機構は、回転により上糸のループを捕捉する外釜と、下糸を巻いたボビンを格納する内釜と、ミシンモーター12から動力を得て外釜に回転力を付与する動力伝達機構とを備える周知の構成である。
【0015】
ミシン10は、図示しないミシンフレームのミシンベッド部の上面(針板上面を含む)が各被縫製物C1,C2の搬送面Hとなっている。この搬送面Hは、X-Y平面に平行であり、図示しない針板の上面と面一である。以下の説明では、針板の上面も含めて搬送面Hとする。
搬送面Hの針棒の直下位置には、許容される最大の針振り幅に応じた長円状の針穴が針落ち位置Fとして形成されている。この針穴は、その長手方向がY軸方向に平行となっている。
なお、針振り機構は、針落ち位置Fとしての針穴のY軸方向における中間点を中心として左右方向に同一の幅で針振りを行う。この針穴の中間点を通過するX軸方向に沿った直線を針振りの基線Kとする。
縫製の際には、搬送面H上において、基線Kの左側に一方の被縫製物C1が配置され、基線Kの右側に他方の被縫製物C2が配置される。
【0016】
[横送り機構]
横送り機構30は、基線Kにおいて、被縫製物C1の端縁部C11と被縫製物C2の端縁部C21とが互いに目標とする突き合わせ荷重で突き合わせられるように各被縫製物C1,C2のY軸方向に沿って移動動作を付与する。突き合わせ荷重とは、被縫製物C1の場合には、その端縁部C11が被縫製物C2の端縁部C21に向かって加える押圧荷重であり、被縫製物C2の場合には、その端縁部C21が被縫製物C1の端縁部C11に向かって加える押圧荷重である。
被縫製物C1の突き合わせ荷重の目標値と被縫製物C2の突き合わせ荷重の目標値とは、一致する場合もあるし不一致の場合もある。これら目標値については、制御装置90に縫製前に予め記録されている。
【0017】
横送り機構30は、
図1及び
図2に示すように、基線Kの左側に配置され、被縫製物C1に対して上方からY軸方向に沿った移動動作を付与する第一の横送り機構30Aと、基線Kの右側に配置され、被縫製物C2に対して上方からY軸方向に沿った移動動作を付与する第二の横送り機構30Bとこれら横送り機構30A,30Bを上方に退避させた退避位置と被縫製物C1,C2に接する送り位置とに切り替える図示しない昇降装置としての昇降用エアシリンダーとを備えている。
図1では第一の横送り機構30Aの図示を省略している。
【0018】
図6は第一及び第二の横送り機構30A,30Bの構成を図示した断面図である。なお、これら第一及び第二の横送り機構30A,30Bは、同一構造、同一構成であるため、その構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0019】
第一及び第二の横送り機構30A,30Bは、被縫製物C1又はC2を外周の接線方向に送るローラー31と、ローラー31の外周に沿って均一間隔で配置された複数のホイール32と、ローラー31が固定装備された回転軸33と、回転軸33を回転可能に支持する支持枠34と、駆動源からのトルクを回転軸33に伝達する一対のスプロケット35,36及びタイミングベルト37と、駆動源としての横送りモーター38とを備えている。
【0020】
各ホイール32は、ローラー31の外周に均一間隔で設けられ、それぞれの取り付け位置における接線方向に沿った軸回りに回転可能であり、ローラー31の外周に接して接線方向に送られる被縫製物C1又はC2が、当該ローラー31に対して、回転軸33に沿った方向又は回転軸33に対して幾分傾斜した方向に移動することを許容する。
なお、厳密には、ローラー31は各ホイール32を介して被縫製物C1又はC2に接することになるが、本明細書では説明の簡略化のために、被縫製物C1又はC2が「ローラー31の外周に接する」又は「ローラー31に接する」と記載する。
また、第一及び第二の横送り機構30A,30Bは、それぞれの横送りモーター38の回転量が制御装置90によって制御され、ローラー31を通じて、被縫製物C1又はC2のY軸方向に沿った横送り量を任意に調整することができる。
【0021】
[突き合わせ荷重検出部]
図7は突き合わせ荷重検出部40の斜視図である。
図1,
図2及び
図7に示すように、突き合わせ荷重検出部40は、針落ち位置Fの後方(送り方向上流側)近傍であって搬送面Hの上方に配置されている。
突き合わせ荷重検出部40は、被縫製物C1,C2それぞれの端縁部C11,C21に接する接触片411,421を備えた一対の検出体41,42と、これらの検出体41,42を個別にZ軸回りに回動可能に支持する支持部材43と、各検出体41,42から突き合わせ荷重に応じた押圧力を個別に検出する感圧センサ44,45と、感圧センサ44,45を保持する保持板46とを備えている。
【0022】
一対の検出体41,42は、いずれも、支持部材43に対してZ軸回りに回動するための軸部412,422と、各軸部412,422の下端部から略前方に延出された検出側回動腕413,423と、各軸部412,422の上端部から略後方に延出された出力側回動腕414,424とを有する。
【0023】
一対の検出体41,42の検出側回動腕413,423は、いずれもほぼX軸方向に沿っており、各々の前端部の下面から接触片411,421が垂下支持されている。
各接触片411,421は、いずれも、X-Z平面に概ね沿っている矩形の薄板である。接触片411は、検出側回動腕413の下面の前端であって右端に位置しており、接触片421は、検出側回動腕423の下面の前端であって左端に位置している。そして、接触片411と接触片421とは、互いに近接対向している。
さらに、接触片411,421は、搬送面Hの上方であって、その下端部が搬送面Hに接触しない範囲で接近して配置されている。また、平面視において、接触片411は、基線Kの左側近傍に位置し、接触片421は、基線Kの右側近傍に位置している。
検出側回動腕413,423は、それぞれZ軸方向に沿った軸部412,422を中心に回動可能であるため、接触片411と接触片421とは、回動によりその間隔が変動する。但し、検出体41,42には、いずれも接触片411,421同士が離隔する方向に個別に回動を付与する図示しないバネが設けられており、接触片411と接触片421とは接近可能だが接触はしないように構成されている。また、検出体41,42には、接触片411,421が離れすぎないように回り止めが設けられている。
【0024】
検出体41の出力側回動腕414は、軸部412の上端部から右斜め後に延出され、検出体42の出力側回動腕424は、軸部422の上端部から左斜め後に延出され、平面視において、これらは途中で交差している。
さらに、出力側回動腕414は、途中から屈曲してその後端部までほぼ真っ直ぐ後方に延出されている。同様に、出力側回動腕424も、途中から屈曲してその後端部までほぼ真っ直ぐに後方に延出されている。
【0025】
上記形状により、被縫製物C1の端縁部C11が被縫製物C2の端縁部C21側(右側)に移動して、検出体41の接触片411が突き合わせ荷重を受けると、出力側回動腕414は、基線K側(左側)に回動する。
同様に、被縫製物C2の端縁部C21が被縫製物C1の端縁部C11側(左側)に移動して、検出体42の接触片421が突き合わせ荷重を受けると、出力側回動腕424は、基線K側(右側)に回動する。
【0026】
保持板46は、X-Z平面に沿った平板であり、支持部材43により、検出体41の出力側回動腕414と検出体42の出力側回動腕424との間に支持されている。
そして、保持板46の右側面には、検出体41の出力側回動腕414に対向して感圧センサ44が設けられ、保持板46の左側面には、検出体42の出力側回動腕424に対向して感圧センサ45が設けられている。
感圧センサ44,45は、感圧面に対する押圧荷重を検出するセンサである。感圧センサ44,45は、押圧荷重を検出可能であれば方式は問わない。例えば、ピエゾ抵抗方式、歪みゲージ式、ロードセル等が挙げられる。
【0027】
前述した検出体41は、被縫製物C1の端縁部C11から検出側回動腕413の接触片411に突き合わせ荷重が入力されると、出力側回動腕414が感圧センサ44の感圧面を押圧し、突き合わせ荷重に応じた検出信号が制御装置90に出力される。
同様に、前述した検出体42は、被縫製物C2の端縁部C21から検出側回動腕423の接触片421に突き合わせ荷重が入力されると、出力側回動腕424が感圧センサ45の感圧面を押圧し、突き合わせ荷重に応じた検出信号が制御装置90に出力される。
【0028】
[制御装置]
図3に示すように、ミシン10は、縫製時においてミシン全体を制御する制御装置90を備えている。
制御装置90には、前述した針上下動機構のミシンモーター12、針振り機構の針振りモーター13、送り機構の送り調節モーター14、第一及び第二の横送り機構30A,30Bの横送りモーター38がそれぞれ駆動回路12a,13a,14a,38aを介して接続されている。
また、ミシンモーター12により回転駆動する図示しないミシン主軸には、その軸角度を検出するエンコーダー15が設けられており、インターフェイス15aを介して検出軸角度を制御装置90に出力するようになっている。このエンコーダー15の出力から主軸の回転数(針数)や回転角度を検出することができる。
【0029】
また、制御装置90には、第一及び第二の横送り機構30A,30Bを昇降させる昇降用エアシリンダーを作動させる電磁弁391と押さえ足23を昇降させる押さえ足昇降用エアシリンダーを作動させる電磁弁231とがそれぞれ駆動回路391a,231aを介して接続されている。
また、制御装置90には、突き合わせ荷重検出部40の感圧センサ44,45がインターフェイス44a,45aを介して接続されている。
さらに、制御装置90には、後述する配置判定処理において、二つの被縫製物C1,C2の縫製開始前の配置の適否を通知する通知部49の左右のランプ47,48が駆動回路47a,48aを介して接続されている。
【0030】
そして、制御装置90は、各種の演算処理を行うCPU91と、上述した各構成の動作制御に関するプログラムが格納されたROM92と、CPU91の処理に関する各種データをワークエリアに格納するRAM93と、各種の設定データ、縫製データ等を記録する記憶部としてのEEPROM94とを備えている。
なお、各種の設定データ、縫製データ等の記録媒体は、EEPROM94に替えて、不揮発性のあらゆる記録媒体を使用することが可能である。
さらに、ミシン10は、各種設定を入力したり、各種情報を表示したりするための操作パネル95を備えており、かかる操作パネル95もインターフェイス95aを介して制御装置90に接続されている。
また、制御装置90には、ミシン10に対する縫製スタートを指示する踏部と押さえ足23の昇降動作を指示する踏部とを備えるミシンペダル96がインターフェイス96aを介して接続されている。
【0031】
[制御装置による縫製制御]
図8は制御装置90のCPU91がプログラムに基づいて実行する被縫製物C1,C2の端縁部C11,C21の接ぎ合わせ縫製時の動作制御を示したフローチャートである。このフローチャートに基づいてCPU91の処理、制御について説明する。
【0032】
図示のように、CPU91は、まず、縫製開始の前提として、搬送面H上の縫製開始前の被縫製物C1,C2の配置の適否を判定する配置判定処理を実行する(
図8:ステップS1)。
【0033】
図9は配置判定処理の詳細を示したフローチャートである。針落ちによる縫い目の形成開始前に、第一及び第二の横送り機構30A,30Bを上方の退避位置に退避させた状態で、ミシンのオペレータが各被縫製物C1,C2の前端部を針落ち位置Fの手前に配置する。その際に、突き合わせ荷重検出部40の感圧センサ44,45の検出する突き合わせ荷重から、CPU91は、被縫製物C1,C2の配置の適否を判定する。
即ち、オペレータが各被縫製物C1,C2を搬送面H上に配置すると、CPU91は、感圧センサ44,45から各被縫製物C1,C2の突き合わせ荷重を読み取り、それぞれが予め定められた突き合わせ荷重の初期値に達しているか否かを判定する(
図9:ステップS21)。
【0034】
CPU91は、上記被縫製物C1,C2の初期配置の適否の判定結果を、通知部49により通知する。
通知部49は、オペレータから見やすい場所、例えば、ミシンフレームにおけるオペレータ正面側に設置されており、左の被縫製物C1の配置が適正な場合に点灯する左側のランプ47と右の被縫製物C2の配置が適正な場合に点灯する右側のランプ48とを備えている。
【0035】
CPU91は、感圧センサ44,45からそれぞれの被縫製物C1,C2について突き合わせ荷重が初期値に達しているか判定し(
図9:ステップS22)、被縫製物C1,C2の一方又は両方について初期値に達していない場合に該当する被縫製物C1,C2に対応するランプ47,48を消灯する(
図9:ステップS23)。
【0036】
例えば、
図10のように、各被縫製物C1,C2の端縁部C11,C21が全長に渡って離隔している場合には、被縫製物C1,C2のいずれも突き合わせ荷重が得られず、CPU91は、
図12(B)のように、両方の被縫製物C1,C2について配置エラーであることを通知部49の左右両方のランプ47,48の消灯により通知する。
また、
図11のように、各被縫製物C1,C2の端縁部C11,C21の前端部のみが突き合わされ、後端部が大きく離隔している場合も、被縫製物C1,C2のいずれも突き合わせ荷重が得られず、CPU91は、
図12(B)のように、両方の被縫製物C1,C2について配置エラーであることを通知部49の左右両方のランプ47,48の消灯により通知する。
さらに、各被縫製物C1,C2のいずれか一方のみが正しく配置され、他方が基線Kから離れている場合や、各被縫製物C1,C2の端縁部C11,C21の前端部が突き合わされているが、全体的な配置が左右いずれかに偏っているような場合には、左右のランプ47,48の一方のみが点灯した状態で被縫製物C1,C2のいずれか一方が配置エラーであることを通知する。
【0037】
そして、ミシンのオペレータは、通知部49の通知を見て、各被縫製物C1,C2の配置を修正し、CPU91は、再び、ステップS21に処理を戻して、各被縫製物C1,C2の突き合わせ荷重の判定を行う。
一方、各被縫製物C1,C2の両方が正しく配置され、それぞれの突き合わせ荷重が初期値に達している場合には、CPU91は、
図12(A)のように、両方の被縫製物C1,C2について配置が適正であることを通知部49の左右両方のランプ47,48の点灯により通知する(
図9:ステップS24)。
そして、ミシンのオペレータのミシンペダル96に対する操作などによって指示が入力されると(
図9:ステップS25)、CPU91は、押さえ足用昇降用エアシリンダーの電磁弁231を制御して押さえ足23を下降させるとともに(
図9:ステップS26)、昇降用エアシリンダーの電磁弁391を制御し、第一及び第二の横送り機構30A,30Bを送り位置に下降させて被縫製物を保持状態にする。これ以降、ミシンのオペレータは、被縫製物C1,C2から手を離して、ミシン10の送り動作に被縫製物C1,C2を委ねることができる。
【0038】
配置判定処理後、ミシンのオペレータのミシンペダル96に対するペダル操作などによって縫製開始の指示が入力されると、CPU91は、ミシンモーター12を起動し、縫製(縫い目の形成)を開始する(
図8:ステップS3)。
【0039】
各被縫製物C1,C2について、縫製開始からの針数ごと又は複数の針数からなる区間ごとに突き合わせ荷重の目標値(以下、目標突き合わせ荷重とする)が縫製データとしてEEPROM94に記録されている。CPU91は、縫製中において、毎針の突き合わせ荷重が目標突き合わせ荷重となるように第一及び第二の横送り機構30A,30Bの動作制御を実行する。
【0040】
即ち、CPU91は、エンコーダー15の出力から現在の針数を取得し、縫製データを参照して、現在の針数における各被縫製物C1,C2の目標突き合わせ荷重を読み出す。その一方で、CPU91は、感圧センサ44,45により、縫製中の各被縫製物C1,C2から受ける突き合わせ荷重(以下、検出突き合わせ荷重とする)を取得する(
図8:ステップS5)。
【0041】
そして、各被縫製物C1,C2について、検出突き合わせ荷重が目標突き合わせ荷重に対して不足しているか否かを判定する(
図8:ステップS7)。
このとき、各被縫製物C1,C2のいずれか一方又は両方について、検出突き合わせ荷重が目標突き合わせ荷重よりも小さい場合には、対応する第一又は第二の横送り機構30A,30Bの横送りモーター38を被縫製物C1又はC2が基線K側に寄る方向(突き合わせ荷重付加方向)に駆動制御する(
図8:ステップS9)。横送りモーター38の回転量又は回転速度は、検出突き合わせ荷重と目標突き合わせ荷重の偏差に応じて決定する。
そして、ステップS15に処理を進める。
【0042】
そして、両方の被縫製物C1,C2について、検出突き合わせ荷重が目標突き合わせ荷重に対して不足していない場合には、各被縫製物C1,C2について、検出突き合わせ荷重が目標突き合わせ荷重に対して過剰であるか否かを判定する(
図8:ステップS11)。
そして、各被縫製物C1,C2について、検出突き合わせ荷重が目標突き合わせ荷重に対して過剰ではない場合には、ステップS15に処理を進める。
また、各被縫製物C1,C2のいずれか一方又は両方について、検出突き合わせ荷重が目標突き合わせ荷重よりも大きい場合には、対応する第一又は第二の横送り機構30A,30Bの横送りモーター38を被縫製物C1又はC2が基線Kから離隔する方向(突き合わせ荷重低減方向)に駆動制御する(
図8:ステップS13)。横送りモーター38の回転量又は回転速度は、検出突き合わせ荷重と目標突き合わせ荷重の偏差に応じて決定する。
そして、ステップS15に処理を進める。
【0043】
ステップS15では、CPU91は、終端検出処理を実行する。
図13に示すように、被縫製物C1,C2の端縁部C11,C21の後端部が突き合わせ荷重検出部40の接触片411,421を通過すると、検出体41,42が突き合わせ荷重から解放され、各感圧センサ44,45の検出突き合わせ荷重が急減する。
終端検出処理では、CPU91は、各感圧センサ44,45の検出突き合わせ荷重から被縫製物C1,C2の端縁部C11,C21の後端部の通過を判定する。被縫製物C1,C2の端縁部C11,C21の後端部の通過は、両方の感圧センサ44,45の検出突き合わせ荷重が予め定められた閾値以下となった場合から判定しても良いし、両方の感圧センサ44,45の検出突き合わせ荷重の減少率が予め定められた閾値以下となったことから判定しても良い。
【0044】
そして、被縫製物C1,C2の端縁部C11,C21の後端部が接触片411,421を通過していないと判定した場合には、ステップS5に処理を戻し、検出突き合わせ荷重に基づいて第一及び第二の横送り機構30A,30Bを制御しつつ縫製を継続する。
【0045】
一方、被縫製物C1,C2の端縁部C11,C21の後端部が接触片411,421を通過したと判定した場合には、CPU91は、接触片411,421の前端部から針落ち位置Fまでの距離に応じた針数分の縫製を行い、ミシンモーター12の駆動を停止して、縫製を終了する。
【0046】
[教示モード制御]
前述したように、ミシン10は、一針ごと又は複数の針数からなる複数の区間ごとに各被縫製物C1,C2の適正な突き合わせ荷重を定めた縫製データを保有し、当該縫製データに基づいて横送り機構30を制御して被縫製物C1,C2の接ぎ合わせ縫製を行っている。
この縫製データは、一針ごと又は複数の針数からなる複数の区間ごとに各被縫製物C1,C2の適正な突き合わせ荷重を求めて、その値を数値入力して作成しても良いが、手作業で被縫製物C1,C2を操って高い縫い品質で接ぎ合わせ縫製を行うことが可能な熟練のオペレータが実際に接ぎ合わせ縫製を行った場合の各被縫製物C1,C2の突き合わせ荷重を検出して縫製データを生成しても良い。
【0047】
ミシン10は、制御装置90により、熟練のオペレータが手作業で各被縫製物C1,C2に対して突き合わせ荷重を加えながら接ぎ合わせ縫製を行い、その際の一連の突き合わせ荷重を突き合わせ荷重検出部40で検出して記録し、そこから縫製データを生成する教示モード制御を行うことができる。
図14は制御装置90のCPU91が教示モード制御を実行する際のフローチャートである。
【0048】
教示モード制御の際には、横送り機構30は使用されないので、昇降用エアシリンダーにより退避位置に退避された状態で縫製が行われる。
操作パネル95により教示モードが選択されている場合、熟練のオペレータが搬送面H上で縫製開始位置に被縫製物C1,C2を手で押さえた状態で、ミシンペダル96を踏むことにより、CPU91は、ミシンモーター12を起動して針落ちを開始する(ステップS31)。
【0049】
また、ミシンモーター12の起動と共に突き合わせ荷重検出部40によって各被縫製物C1,C2の端縁部C11,C21における突き合わせ荷重の検出を行う(ステップS33)。突き合わせ荷重のサンプリング周期は、少なくとも毎針の突き合わせ荷重を検出可能であれば良く、より微細なサンプリング周期で検出を行っても良い。
CPU91は、毎回検出される各被縫製物C1,C2の突き合わせ荷重とエンコーダー15により検出される毎針の針落ちのタイミングとを記録する(ステップS35)。
【0050】
そして、CPU91は、オペレータからの停止(縫製終了)が入力されたか否かを判定し(ステップS37)、入力がなければステップS33に処理を戻して突き合わせ荷重の検出と記録を継続する。
また、オペレータからの停止が入力された場合には、一連の縫製で記録した各被縫製物C1,C2の突き合わせ荷重と毎針の針落ちのタイミングとから、一針ごとに各被縫製物C1,C2の検出突き合わせ荷重を対応付けた縫製データを生成する(ステップS39)。
この縫製データは、これ以降のオペレータの手作業を伴わない各被縫製物C1,C2の接ぎ合わせ縫製(被縫製物C1,C2の初期位置セット作業を除く)の際に、横送り機構30の目標突き合わせ荷重として制御に利用することができる。
なお、複数の針数からなる複数の区間ごとに各被縫製物C1,C2の適正な突き合わせ荷重を定めた縫製データが必要な場合には、上記一針ごとに適正な突き合わせ荷重を定めた縫製データから、各区間に属する針数の突き合わせ荷重の数値を平均化或いは最頻値の選出等の統計処理等によって丸めて、縫製データを生成すれば良い。
【0051】
[発明の実施形態の技術的効果]
以上のように、ミシン10では、制御装置90が、突き合わせ荷重検出部40によって検出された検出突き合わせ荷重が目標突き合わせ荷重となるように横送り機構30による二つの被縫製物C1,C2の移動量を制御しているため、各被縫製物C1,C2の突き合わせ荷重を適正な荷重に維持して縫製を行うことができ、被縫製物C1,C2の間に隙間ができる、被縫製物C1,C2がきつく緊縛状態で縫製される等を回避して縫い品質の高い縫製を行うことが可能となる。
【0052】
特に、突き合わせ荷重検出部40は、感圧センサ44,45により二つの被縫製物C1,C2から個別に突き合わせ荷重を検出し、制御装置90は、二つの被縫製物C1,C2が各々の目標突き合わせ荷重となるように横送り機構30による二つの被縫製物C1,C2の移動量を個別に制御しているので、被縫製物C1,C2について偏りが生じないように適正に突き合わせ荷重を加えて縫製を行うことができ、さらなる縫い品質の向上を図ることが可能となる。
【0053】
また、制御装置90には、目標突き合わせ荷重が、針数ごと又は複数の針数からなる区間ごとに定められる等のように、縫製の進度に応じて異なる値が定められていることから、被縫製物C1,C2の端縁部C11,C21の形状によって強く突き合わせ荷重を付与する必要がある箇所がある場合等に、必要に応じて適正な突き合わせ荷重で縫製を行うことが可能となる。
【0054】
また、制御装置90は、突き合わせ荷重検出部40により検出された突き合わせ荷重から二つの被縫製物C1,C2の縫製目標位置(端縁部C11,C21)の終端を検出し、検出された縫製目標位置の終端に基づいて縫製を終了する制御を行っている。
このため、オペレータが被縫製物C1,C2の縫製終了を監視し、縫製を停止する作業を不要とすることが可能となり、オペレータの負担を軽減することが可能となる。
【0055】
また、制御装置90は、突き合わせ荷重検出部40により検出された突き合わせ荷重から二つの被縫製物C1,C2の縫製開始前の配置の適否を判定し、その判定結果を通知部49によって通知する処理を行っている。
このため、縫製開始前に各被縫製物C1,C2を手作業で搬送面H上にセットする際に、初期値の適正化を図ると共に、それぞれの被縫製物C1,C2を適正な突き合わせ荷重が生じた状態にすることができ、縫製開始当初から適正な突き合わせ荷重で縫製を行うことができ、全体に渡って被縫製物C1,C2の縫い品質の向上を図ることが可能となる。
【0056】
また、制御装置90は、各被縫製物C1,C2を手作業で押さえて接ぎ合わせ縫製を実行し、当該縫製中に検出された突き合わせ荷重をその後の縫製の目標突き合わせ荷重として記録する教示モード制御を行っている。
このため、熟練のオペレータによる接ぎ合わせ縫製を再現し得る高い縫い品質で縫製を行うことが可能となる。
【0057】
[その他]
上記各実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記突き合わせ荷重検出部40は、二つの感圧センサ44,45により各被縫製物C1,C2の突き合わせ荷重を個別に検出しているが、二つの被縫製物C1,C2の端縁部C11,C21の両側から受ける挟持圧を一つの感圧センサで検出し、両側の横送り機構30A,30Bを左右対称となる方向に同一の制御量で制御する構成としても良い。
但し、この場合、被縫製物C1,C2の端縁部C11,C21が基線Kから左右にずれて縫製が行われるおそれがあるので、突き合わせ荷重検出部40による検出位置以外の位置で、被縫製物C1,C2の端縁部C11,C21を基線Kに沿わせるガイド等を設けることが好ましい。
【0058】
また、上記実施形態では、縫製データが、縫製の進度に応じて異なる値となる例を示したが、一連の縫製に対して一つの突き合わせ荷重を定めた縫製データによって縫製を行っても良い。
【0059】
また、被縫製物C1,C2の端縁部C11,C21の接ぎ合わせ縫製の際に、それらの上面側又は下面側の一方又は両方に、テープを送り込んで一緒に縫い付ける縫製を行うことも可能である。
なお、上面側にテープを縫い付ける場合には、突き合わせ荷重検出部40よりも前方でテープを送り込み、下面側にテープを縫い付ける場合には、突き合わせ荷重検出部40の各接触片411,421の下側を通過させてテープを送り込むので、突き合わせ荷重の検出には影響は及ぼさない。
【0060】
また、ミシン10には、一組の被縫製物C1,C2の縫製が終わるごとに糸切りを行う糸切り装置を設けてもよい。その場合、糸切りの実行は、最終針の針落ち後に行われるよう制御される。
但し、上述したテープの縫着を伴う場合、長尺なテープを用意して、複数組の被縫製物C1,C2を数珠つなぎで連続的に縫製を行うことがある。そのような場合には、糸切りは、一組の被縫製物C1,C2の縫製が終わる度に実行せず、必要時のみに行うよう制御しても良い。
【0061】
また、前述した通知部49は、ランプ47,48の点灯により適否を通知したが、これに限定されない。例えば、操作パネル95に表示したり、音声により通知したりするなど、人間が知覚可能ないかなる方法で通知を行っても良い。
【符号の説明】
【0062】
10 ミシン
11 縫い針
12 ミシンモーター
15 エンコーダー
30 横送り機構
30A 第一の横送り機構
30B 第二の横送り機構
40 荷重検出部
41,42 検出体
44,45 感圧センサ
47,48 ランプ
49 通知部
90 制御装置
91 CPU
411,421 接触片
C1,C2 被縫製物
C11,C21 端縁部
F 針落ち位置
H 搬送面
K 基線