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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180841
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】駐車支援装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/06 20060101AFI20221130BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
B60W30/06
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087560
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100059959
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】河本 和紀
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 和夫
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA21
3D241BB03
3D241CC01
3D241CE01
3D241CE05
3D241DB21Z
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC11
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
5H181LL17
(57)【要約】
【課題】駐車支援時において段差が路面上に存在する場合に、車輪が段差を乗り越え始めてからの車輪回転量に基づき、車両による比較的高い段差の乗り越えを的確に禁止する。
【解決手段】駐車支援システム100のコントローラ10は、駐車の支援を行っている間に段差が路面上に存在する場合に、車両1の車輪が段差を乗り越えるように駆動トルクを車両1に付与し、このような駆動トルクの付与によって車輪が段差を乗り越え始めたときに、車輪が段差を乗り越え始めてからの車輪回転量に基づき、車両1に付与している駆動トルクを低下させる。具体的には、コントローラ10は、車両1が制限高さの段差を乗り越えるときの車輪回転量に基づき設定された制限値R1を用いて、車輪回転量がこの制限値R1に達することを抑制するように、車両1に付与している駆動トルクを低下させる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車支援装置であって、
車両を所定のスペースに駐車させるための支援を行うべく、前記車両を移動及び停止させるように前記車両に付与する駆動トルク及び制動トルクを制御するように構成された制御部であって、前記車両を駐車させるための支援を行っているときに進行方向の路面上に段差が存在する場合に、前記車両の車輪が前記段差を乗り越えるように前記駆動トルクを前記車両に付与するように構成された前記制御部と、
前記制御部による前記駆動トルクの付与によって、前記車両の車輪が段差を乗り越え始めたときに、前記車輪が前記段差を乗り越え始めてからの車輪回転量を取得する車輪回転量取得部と、
を有し、
前記制御部は、前記車両の車輪が段差を乗り越え始めた後に、前記車輪回転量取得部によって取得された前記車輪回転量に基づき、前記車両に付与している前記駆動トルクを低下させることで、前記車輪回転量が所定の制限値に達することを抑制するように構成され、
前記制限値は、前記車両が制限高さ以上の段差を乗り越えることを禁止すべく、前記車両が前記制限高さの段差を乗り越えるときの車輪回転量に基づき設定される、
ことを特徴とする駐車支援装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記車両の車輪が段差を乗り越え始めた後に、前記車輪回転量取得部によって取得された前記車輪回転量が、前記制限値よりも小さい所定の規定値に達するタイミング又は当該タイミングよりも前に、前記車両に付与している前記駆動トルクの低下を完了させるように構成されている、請求項1に記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記車両の車輪が段差を乗り越え始めた後に、前記車輪回転量取得部によって取得された前記車輪回転量と、前記制限値よりも小さい所定の規定値との差分に応じて、前記車両に付与している前記駆動トルクを低下させるように構成されている、請求項1又は2に記載の駐車支援装置。
【請求項4】
前記規定値は、前記車両による乗り越えが許可される最大の高さの段差を前記車両が乗り越えるときの車輪回転量に基づき設定される、請求項2又は3に記載の駐車支援装置。
【請求項5】
前記制御部により前記車両を駐車させるための支援が行われているときに、前記車両の車輪が前記段差に接触した場合に、前記段差に接触する車輪が駆動輪であるか又は従動輪であるかを判定するように構成された判定部を更に有し、
前記制御部は、前記判定部によって段差に接触する車輪が駆動輪であると判定された場合と従動輪であると判定された場合とで、前記車両の車輪が段差を乗り越え始めた後に、前記駆動トルクを低下させる量又は低下させる速度を変えるように構成されている、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の駐車支援装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記車両の車輪が段差を乗り越え始めた後に、前記車両に付与している前記駆動トルクを、前記車両を駐車させるための支援を行う場合において前記車両を停車させるときに付与する駆動トルクまで低下させるように構成されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の駐車支援装置。
【請求項7】
駐車支援方法であって、
車両を所定のスペースに駐車させるための支援を行うべく、前記車両を移動及び停止させるように前記車両に付与する駆動トルク及び制動トルクを制御する制御工程であって、前記車両を駐車させるための支援を行っているときに進行方向の路面上に段差が存在する場合に、前記車両の車輪が前記段差を乗り越えるように前記駆動トルクを前記車両に付与する前記制御工程と、
前記制御工程による前記駆動トルクの付与によって、前記車両の車輪が段差を乗り越え始めたときに、前記車輪が前記段差を乗り越え始めてからの車輪回転量を取得する車輪回転量取得工程と、
を有し、
前記制御工程は、前記車両の車輪が段差を乗り越え始めた後に、前記車輪回転量取得工程によって取得された前記車輪回転量に基づき、前記車両に付与している前記駆動トルクを低下させることで、前記車輪回転量が所定の制限値に達することを抑制し、
前記制限値は、前記車両が制限高さ以上の段差を乗り越えることを禁止すべく、前記車両が前記制限高さの段差を乗り越えるときの車輪回転量に基づき設定される、
ことを特徴とする駐車支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駐車を支援する駐車支援装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の駐車を支援すべく、車両を所定のスペースまで自動で移動させて停止させる制御を行う技術(つまり自動駐車)が知られている。例えば、特許文献1には、駐車の支援中において段差が路面上に存在する場合に、この段差を車両に乗り越えさせるための制御を行うと共に、車輪における回転の変位量に基づき、段差の乗り越え可否を判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-066329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両の駐車支援時において段差が路面上に存在する場合に、比較的低い段差については車両による速やかな乗り越えを確保する一方で、比較的高い段差については車両による乗り越えを禁止するように、駐車支援を行うことが望ましい。後者のようにするのは、車両が車輪止めなどを乗り越えてしまうことを防止するためである。
【0005】
ここで、本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、車両の車輪が段差を乗り越え始めてからの車輪回転量(車輪における回転の変位量)に着目することで、車両による比較的高い段差の乗り越えを的確に禁止できるものと考えた。車輪が段差を乗り越え始めてから乗り越え終わるまでの車輪回転量は、この段差の高さに応じた量になる。そのため、本発明者は、このような車輪が段差を乗り越え始めてからの車輪回転量が、車両による乗り越えを禁止すべき段差の制限高さ(例えば70~80mm以上)に応じた車輪回転量に達しないように、駐車支援に関する制御を行うことで、車両による制限高さ以上の段差の乗り越え禁止を実現できると考えた。
【0006】
他にも、車両が段差を乗り越えようとするときに付与する駆動トルクを、段差の制限高さに応じた所定の制限トルク未満に制限することによって、車両による制限高さ以上の段差の乗り越えを禁止する方法などが考えられる。しかしながら、この方法では、段差に接触する車輪の接地荷重などの影響を受けて、車両による制限高さ以上の段差の乗り越えを的確に禁止できない場合がある。これは、同じ高さの段差であっても、当該段差を乗り越えるのに必要な駆動トルクが、段差に接触する車輪の接地荷重などに応じて変わるからである。すなわち、このようなことを考慮して制限トルクを適切に設定しないと、大き過ぎる制限トルクが適用される場合があり、その場合には、車両が制限高さ以上の段差を乗り越えてしまう可能性があるのである。なお、段差に接触する車輪の接地荷重は、この車輪が駆動輪であるか従動輪であるかによっても異なる。これは、駆動輪にかかる荷重と従動輪にかかる荷重、つまり前輪荷重と後輪荷重(車両の前後重量配分に応じたもの)の違いに起因する。
【0007】
これに対して、車輪が段差を乗り越え始めてからの車輪回転量は、段差に接触する車輪の接地荷重などの影響を受けることはない。したがって、上記した本発明者が考えた車輪回転量に基づき制御を行う方法によれば、車両による制限高さ以上の段差の乗り越えを、より的確に禁止することができると考えられる。
【0008】
なお、上記した特許文献1には、車両による段差の乗り越え可否を判定する技術が記載されているに止まり、車両による段差の乗り越え禁止については何ら記載されていない。
【0009】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、車両の駐車支援時において段差が路面上に存在する場合に、車両の車輪が段差を乗り越え始めてからの車輪回転量に基づき、車両による比較的高い段差の乗り越えを的確に禁止することができる駐車支援装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明は、駐車支援装置であって、車両を所定のスペースに駐車させるための支援を行うべく、車両を移動及び停止させるように車両に付与する駆動トルク及び制動トルクを制御するように構成された制御部であって、車両を駐車させるための支援を行っているときに進行方向の路面上に段差が存在する場合に、車両の車輪が段差を乗り越えるように駆動トルクを車両に付与するように構成された制御部と、制御部による駆動トルクの付与によって、車両の車輪が段差を乗り越え始めたときに、車輪が段差を乗り越え始めてからの車輪回転量を取得する車輪回転量取得部と、を有し、制御部は、車両の車輪が段差を乗り越え始めた後に、車輪回転量取得部によって取得された車輪回転量に基づき、車両に付与している駆動トルクを低下させることで、車輪回転量が所定の制限値に達することを抑制するように構成され、制限値は、車両が制限高さ以上の段差を乗り越えることを禁止すべく、車両が制限高さの段差を乗り越えるときの車輪回転量に基づき設定される、ことを特徴とする。
【0011】
このように構成された本発明によれば、制御部は、駐車の支援を行っている間に段差が路面上に存在する場合に、車両の車輪が段差を乗り越えるように駆動トルクを車両に付与し、このような駆動トルクの付与によって車輪が段差を乗り越え始めたときに、車輪が段差を乗り越え始めてからの車輪回転量に基づき、車両に付与している駆動トルクを低下させる。具体的には、制御部は、車両が制限高さの段差を乗り越えるときの車輪回転量に基づき設定された制限値を用いて、車輪回転量がこの制限値に達することを抑制するように、車両に付与している駆動トルクを低下させる。ここで、上述したように、車両に付与する駆動トルクを制限高さに応じた制限トルク未満に制限することによって制限高さ以上の段差の乗り越えを禁止する比較例による方法などでは、段差に接触する車輪の接地荷重などの影響を受けて、車両による制限高さ以上の段差の乗り越えを的確に禁止できない場合がある。これに対して、本発明に係る制御において用いる車輪回転量は、段差に接触する車輪の接地荷重などの影響を受けることはない。したがって、本発明によれば、接地荷重などの影響を受けることなく、車両による制限高さ以上の段差(車輪止めなど)の乗り越えを、より的確に禁止することができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、制御部は、車両の車輪が段差を乗り越え始めた後に、車輪回転量取得部によって取得された車輪回転量が、制限値よりも小さい所定の規定値に達するタイミング又は当該タイミングよりも前に、車両に付与している駆動トルクの低下を完了させるように構成されている。
このように構成された本発明によれば、制限値よりも小さい所定の規定値に達するタイミング又は当該タイミングよりも前に、駆動トルクの低下を完了させるので、車輪回転量が制限値に達することを確実に抑制することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、制御部は、車両の車輪が段差を乗り越え始めた後に、車輪回転量取得部によって取得された車輪回転量と、制限値よりも小さい所定の規定値との差分に応じて、車両に付与している駆動トルクを低下させるように構成されている。
このように構成された本発明によれば、車輪回転量と制限値よりも小さい規定値との差分に応じて、駆動トルクを低下させるので、車輪回転量が制限値に達することを確実に抑制することができる。
【0014】
本発明において、好適な例では、上記の規定値は、車両による乗り越えが許可される最大の高さの段差を車両が乗り越えるときの車輪回転量に基づき設定されるのがよい。
【0015】
本発明において、好ましくは、制御部により車両を駐車させるための支援が行われているときに、車両の車輪が段差に接触した場合に、段差に接触する車輪が駆動輪であるか又は従動輪であるかを判定するように構成された判定部を更に有し、制御部は、判定部によって段差に接触する車輪が駆動輪であると判定された場合と従動輪であると判定された場合とで、車両の車輪が段差を乗り越え始めた後に、駆動トルクを低下させる量又は低下させる速度を変えるように構成されている。
車両の前後重量配分により、駆動輪にかかる荷重と従動輪にかかる荷重とが異なるため、段差に接触する車輪が駆動輪である場合と従動輪である場合とで、車輪が段差を乗り越え始めた後における段差の乗り越え易さ(段差を乗り越える可能性)が変わってくる。そのため、本発明では、段差に接触する車輪が駆動輪である場合と従動輪である場合とで、駆動トルクを低下させる量又は低下させる速度を変えるようにしている。これにより、車両による制限高さ以上の段差の乗り越えを確実に禁止することができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、制御部は、車両の車輪が段差を乗り越え始めた後に、車両に付与している駆動トルクを、車両を駐車させるための支援を行う場合において車両を停車させるときに付与する駆動トルクまで低下させるように構成されている。
このように構成された本発明によれば、駆動トルクを、車両を停車させるためのトルクまで低下させるので、車両による制限高さ以上の段差の乗り越えを確実に禁止することができる。
【0017】
他の観点では、上記の目的を達成するために、本発明は、駐車支援方法であって、車両を所定のスペースに駐車させるための支援を行うべく、車両を移動及び停止させるように車両に付与する駆動トルク及び制動トルクを制御する制御工程であって、車両を駐車させるための支援を行っているときに進行方向の路面上に段差が存在する場合に、車両の車輪が段差を乗り越えるように駆動トルクを車両に付与する制御工程と、制御工程による駆動トルクの付与によって、車両の車輪が段差を乗り越え始めたときに、車輪が段差を乗り越え始めてからの車輪回転量を取得する車輪回転量取得工程と、を有し、制御工程は、車両の車輪が段差を乗り越え始めた後に、車輪回転量取得工程によって取得された車輪回転量に基づき、車両に付与している駆動トルクを低下させることで、車輪回転量が所定の制限値に達することを抑制し、制限値は、車両が制限高さ以上の段差を乗り越えることを禁止すべく、車両が制限高さの段差を乗り越えるときの車輪回転量に基づき設定される、ことを特徴とする。
このように構成された本発明によっても、接地荷重などの影響を受けることなく、車両による制限高さ以上の段差(車輪止めなど)の乗り越えを的確に禁止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る駐車支援装置及び方法によれば、車両の駐車支援時において段差が路面上に存在する場合に、車両の車輪が段差を乗り越え始めてからの車輪回転量に基づき、車両による比較的高い段差の乗り越えを的確に禁止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態による駐車支援装置が適用された駐車支援システムを示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態による駐車支援の基本動作の説明図である。
図3】本発明の実施形態による段差乗り越え制御の一例を示すタイムチャートである。
図4】本発明の実施形態よる段差乗り越え制御において、車輪回転量に適用される制限値及び規定値の設定方法についての説明図である。
図5】本発明の実施形態による段差乗り越え制御の全体処理を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態による段差対応処理を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態の変形例による段差乗り越え制御の全体処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による駐車支援装置及び方法について説明する。
【0021】
[基本構成]
まず、図1及び図2を参照して、本実施形態による駐車支援装置の基本的な構成について説明する。図1は、本実施形態による駐車支援装置が適用された駐車支援システムを示すブロック図であり、図2は、本実施形態による駐車支援の基本動作の説明図である。
【0022】
図1に示す駐車支援システム100は、車両1に搭載され、図2に示すように、車両1を所定のスペースSPまで自動で移動させて停止させるための駐車支援(自動駐車)を行うよう動作する。基本的には、駐車支援システム100は、車外にいるユーザUによる通信端末5の操作に応じて、このような駐車支援を行う。この場合、ユーザUは、通信端末5を操作することで、駐車支援の開始(つまり車両1の移動開始)や、車両1の移動停止や、車両1の移動再開などを指示する。通信端末5は、例えば車両1のドアの施解錠を行うキーフォブであり、ユーザUは、このキーフォブに設けられた駐車支援に関する1つ以上のスイッチ(駐車スイッチ)を操作する。なお、このようにユーザUが車外から通信端末5を用いて駐車支援のための操作を行うことに限定はされず、他の例では、ユーザUが車内において車室内に設けられた所定のスイッチを用いて(車内で通信端末5を用いても構わない)、駐車支援のための操作を行えるようにしてもよい。
【0023】
駐車支援システム100は、図1に示すように、主に、カメラ21と、ソナー22と、車輪速センサ23と、加速度センサ24と、通信部25と、コントローラ10と、エンジン制御システム31と、ブレーキ制御システム32と、ステアリング制御システム33と、を有する。このような駐車支援システム100においては、コントローラ10が、カメラ21、ソナー22、車輪速センサ23、加速度センサ24、及び通信部25から入力された信号に基づき、エンジン制御システム31、ブレーキ制御システム32、及びステアリング制御システム33に制御信号を出力することで、車両1の移動、操舵及び停止を自動で制御することにより、車両1のスペースSPへの駐車の支援が実現されるようになっている。
【0024】
カメラ21は、車両1の前方及び後方を撮影する複数のカメラ(前方カメラ及び後方カメラ)を含む。また、カメラ21は、車両1の前方及び後方のそれぞれの路面を含む範囲を撮影可能なように、斜め下方に向けて設けられる。カメラ21は、撮影した画像に対応する画像信号をコントローラ10に出力する。
【0025】
ソナー22は、車両1の周囲の所定範囲内(例えば車両1の比較的近傍)に存在する物体の有無を検出すると共に、車両1から当該物体までの距離を検出する。例えば、ソナー22は、アクティブ超音波ソナーであり、車両1の4つの各コーナーに配設される。ソナー22は、車両1の周囲に存在する物体に関する検出信号を、コントローラ10に出力する。なお、ソナー22の代わりに、若しくはソナー22に加えて、レーザ(ミリ波レーダやレーザレーダ)などを用いて、車両周囲の物体の有無及び物体までの距離を検出してもよい。
【0026】
車輪速センサ23は、車両1の4輪それぞれの回転速度(車輪速)を検出し、その検出信号をコントローラ10に出力する。例えば、車輪速センサ23は、ロータリエンコーダを含み、単位時間当たりの車輪(車軸)における回転の変位量(車輪回転量)から車輪速を検出する。加速度センサ24は、車両1の加速度を検出し、その検出信号をコントローラ10に出力する。
【0027】
通信部25は、上記した通信端末5と通信を行う装置である。通信部25は、ユーザUによる通信端末5に対する操作に対応する信号、特にユーザUによる駐車支援に関する指示を示す信号(指示信号)を、通信端末5から受信する。この指示信号は、上述したように、駐車支援の開始(つまり車両1の移動開始)や、車両1の移動停止や、車両1の移動再開などを示す。通信部25は、通信端末5から受信した指示信号をコントローラ10に出力する。
【0028】
エンジン制御システム31は、車両1のエンジン(不図示)を制御する。エンジン制御システム31は、エンジンの駆動トルク(エンジントルク)を調整可能な構成部であり、例えば、点火プラグや、燃料噴射弁や、スロットルバルブや、吸排気弁の開閉時期を変化させる可変動弁機構などを含む。エンジン制御システム31は、コントローラ10から、車両1を加速又は減速させるための制御信号などが入力されると、この制御信号に応じて、エンジンの駆動トルクを調整するよう動作する。
【0029】
ブレーキ制御システム32は、車両1のブレーキ装置(不図示)を制御する。ブレーキ制御システム32は、ブレーキ装置の制動トルクを調整可能な構成部であり、例えば液圧ポンプやバルブユニットなどを含む。ブレーキ制御システム32は、コントローラ10から、車両1を減速させるための制御信号が入力されると、この制御信号に応じて、ブレーキ装置の制動トルクを調整するよう動作する。なお、ブレーキ制御システム32による制御対象として、上記のブレーキ装置に加えて、いわゆるパーキングブレーキ装置を含めてもよい。
【0030】
ステアリング制御システム33は、車両1のステアリング装置(不図示)を制御する。ステアリング制御システム33は、ステアリング装置の操舵角を調整可能な構成部であり、例えば電動パワーステアリングシステムの電動モータなどを含む。ステアリング制御システム33は、コントローラ10から、車両1の進行方向を変更するための制御信号が入力されると、この制御信号に応じて、ステアリング装置による操舵方向を変更するよう動作する。
【0031】
コントローラ10は、1つ以上のマイクロプロセッサ10a(典型的にはCPU)と、各種プログラムを記憶するメモリ10b(ROM、RAMなど)と、入出力装置などを備えたコンピュータにより構成される。コントローラ10は、カメラ21、ソナー22、車輪速センサ23、加速度センサ24、及び通信部25から入力された信号に基づいて種々の演算を実行し、エンジン制御システム31、ブレーキ制御システム32、及びステアリング制御システム33に対して、エンジン、ブレーキ装置、及びステアリング装置をそれぞれ適宜に作動させるための制御信号を出力する。
【0032】
本実施形態では、コントローラ10は、本発明における「駐車支援装置」の一例に相当し、「制御部」、「車輪回転量取得部」及び「判定部」として機能する。すなわち、コントローラ10は、車両1を所定のスペースSPに駐車させるための支援を行うべく、車両1を移動及び停止させるように当該車両1に付与する駆動トルク及び制動トルクを制御するように構成される。具体的には、まず、コントローラ10は、カメラ21やソナー22などからの信号に基づき、車両1を駐車すべき所定のスペースSPを特定する。このスペースSPは、車両1を駐車可能なある程度広い範囲を意味するだけでなく、ここでは、このような範囲内において車両1を実際に駐車させる位置(停車位置)を意味する(以下同様とする)。
【0033】
そして、コントローラ10は、車両1を特定されたスペースSPに移動させるべく、車両1の進行方向を適宜調整するようにステアリング制御システム33を制御しながら、車両1に駆動トルクを付与するようにエンジン制御システム31を制御する。この場合、コントローラ10は、駆動トルクに加えて、制動トルクも車両1に付与するようにブレーキ制御システム32を制御する。より詳しくは、コントローラ10は、車両1に付与する駆動トルクを一定に維持するようにエンジン制御システム31を制御する一方で、車両1が所定の目標車速で移動するように、制動トルクを適宜調整するようにブレーキ制御システム32を制御する。これにより、目標車速を実現するように、応答遅れの小さい制動トルクを制御することで、安定した応答を確保することができると共に、制御対象を制動トルクに限定することで、制御構成を簡素化することができる。この後、車両1のスペースSPへの移動が完了すると、コントローラ10は、車両1を停止させるようにブレーキ制御システム32を制御する。
【0034】
また、本実施形態では、コントローラ10は、上記のような駐車の支援を行っている間に段差が路面上に存在する場合に、車両1の車輪がこの段差を乗り越えるように、車両1に付与する駆動トルクを増加させるようにエンジン制御システム31を制御する。そして、コントローラ10は、このような駆動トルクの付与によって車輪が段差を乗り越え始めたときに、車輪速センサ23からの検出信号に基づき、車輪が段差を乗り越え始めてからの車輪回転量を取得し、この車輪回転量に基づき駆動トルクを低下させる。具体的には、コントローラ10は、車輪回転量が所定の制限値に達することを抑制するように、車両1に付与している駆動トルクを低下させる(基本的には車両1による段差の乗り越えを確実に抑制できるような駆動トルクまで低下させる)。この制限値は、車両1が制限高さ(例えば70~80mm)の段差を乗り越えるときの車輪回転量に基づき設定される。このように、車輪が段差を乗り越え始めた後に車輪回転量が制限値に達することを抑制するように駆動トルクを低下させることで、制限高さ未満の段差の車両1による乗り越えを確保しつつ、制限高さ以上の段差の車両1による乗り越えを禁止することができる。
【0035】
より具体的には、コントローラ10は、車輪が段差を乗り越え始めた後に、取得された車輪回転量と、制限値よりも小さい所定の規定値との差分に応じて、車両1に付与している駆動トルクを低下させていくと共に、車輪回転量がこの規定値に達するタイミング又は当該タイミングよりも前に、車両1に付与している駆動トルクの低下を完了させる。この規定値は、車両1による乗り越えが許可される最大の高さの段差を車両1が乗り越えるときの車輪回転量に基づき設定される。このような規定値に基づき駆動トルクを低下させることにより、車輪回転量が制限値に達することを確実に抑制することができる。また、コントローラ10は、車輪が段差を乗り越え始めてから駆動トルクを低下させる場合に、この駆動トルクを、駐車支援において車両1を停車させるときに付与する駆動トルクまで低下させる。これにより、車両1が制限高さ以上の段差を乗り越えることを確実に禁止することができる。
【0036】
[段差乗り越え制御]
次に、本実施形態において、駐車支援中において進行方向の路面上に段差が存在する場合に行われる制御、具体的には制限高さ未満の段差を乗り越えさせる一方で制限高さ以上の段差の乗り越えを禁止するようにする制御(以下では適宜「段差乗り越え制御」と呼ぶ。)、について説明する。
【0037】
図3は、本実施形態による段差乗り越え制御の一例を示すタイムチャートである。ここでは、駐車支援中において進行方向の路面上に制限高さ以上の段差が存在する場合に行われる段差乗り越え制御の流れについて説明する。図3は、上から順に、車速の時間変化(実線は目標車速を表し、破線は実車速を表す)、車輪速センサ23からの検出信号に対応する車輪回転量の時間変化、駆動トルクの時間変化、制動トルクの時間変化を示す。なお、駆動トルク及び制動トルクは、コントローラ10によって指示される、車両1に付与すべ目標駆動トルク及び目標制動トルクを示す。
【0038】
まず、時刻t11において、ユーザUは、通信端末5を操作することで、駐車支援の開始(つまり車両1の移動開始)を指示する。このときに、コントローラ10は、設定する目標車速を上昇させ、この目標車速の上昇に応じて、一定の駆動トルクの付与を開始すると共に、付与している制動トルクを低下させる。しかしながら、この例では、駆動トルクを付与し且つ制動トルクを低下させても、車両1の車輪が路面上の段差に接触しているため、実車速が0のままである、つまり車両1が停止したままである。この場合、コントローラ10は、時刻t12において、ユーザUから更なる指示があるまで、車両1に付与する駆動トルクを、車両1を停止させ続けるためのトルクT1まで一旦低下させる。この後、時刻t13において、ユーザUは、通信端末5に対して所定の操作を行うことで、車両1の移動再開(つまり段差の乗り越え)を指示する。例えば、ユーザUは、通信端末5への再操作(ボタンの再押し下げ操作)や、通信端末5への所定時間継続する操作(長押し操作)などを行う。
【0039】
このような時刻t13より、コントローラ10は、車両1が段差を乗り越えるように、車両1に付与する駆動トルクを徐々に増加させていく。この場合、コントローラ10は、制動トルクを上記のように低下させたトルクに維持して、付与する駆動トルクを徐々に増加させることにより、車両1が段差を乗り越えるようにする。これにより、車両1が少しずつ移動していくことで、ある程度の実車速が発生する。そして、時刻t14において、車両1が段差を乗り越え始める(上り始める)。例えば、コントローラ10は、加速度センサ24によって検出された車両の加速度の変化量や変化速度に基づき、車両1による段差の乗り越え始めを判断する。コントローラ10は、この時刻t14より、これまで増加させていた駆動トルクの低下を開始する。
【0040】
具体的には、コントローラ10は、車輪速センサ23からの検出信号に基づき、車輪が段差を乗り越え始めてからの車輪回転量を取得し、この車輪回転量に基づき駆動トルクを低下させることで、車輪回転量が制限値R1に達することを抑制するようにする。より詳しくは、コントローラ10は、車輪回転量と規定値R2(<制限値R1)との差分に応じて、車両1に付与している駆動トルクを低下させていくことで、車輪回転量が規定値R2に達する時刻t15、つまり車輪回転量と規定値R2との差分が0になる時刻t15において(他の例では時刻t15よりも前でもよい)、車両1に付与している駆動トルクを、上記した停車のためのトルクT1まで低下させるようにする。これにより、時刻t15以降において、車両1の慣性により、車輪回転量が規定値R2よりも若干大きくなるが、車輪回転量が制限値R1を超えることはない、つまり車両1が段差を乗り越えることはない。よって、車両1による制限高さ以上の段差の乗り越えが禁止されることとなる。この場合、車両1は、途中まで上っていた段差を下りていくことで、負の実車速(進行すべき方向と逆方向に進むときの実車速)が発生する。
【0041】
なお、図3では、駐車支援中において進行方向に制限高さ以上の段差が存在するときに本実施形態に係る段差乗り越え制御を適用する場合を例示したが、この段差乗り越え制御を制限高さ未満の段差に適用した場合には以下のようになる。本実施形態では、コントローラ10は、制限高さ未満の段差が存在する場合にも、上記した制限高さ以上の段差が存在する場合と同様の段差乗り越え制御を行う。つまり、コントローラ10は、段差の高さに関わらずに同一の段差乗り越え制御を行う。このような段差乗り越え制御が行われると、段差の高さが制限高さ未満である場合には、車両1が段差を乗り越え始めた後、駆動トルクを低下させている間に(時刻t14~t15の間)、車両1が段差を乗り越え終える。これは、駆動トルクを低下させている最中において増加していく車輪回転量が、段差(制限高さ未満の段差)に対応する車輪回転量を超えるからである。この場合には、実車速が目標車速まで大きく上昇した後(実車速が目標車速を若干超えることもある)、目標車速に維持されることとなる。一方で、段差の高さが制限高さ以上である場合には、上述したように(図3参照)、時刻t14~t15の間に、規定値R2に向けて増加していく車輪回転量が段差に対応する車輪回転量(制限値R1以上となる)を超えないので、車両1が段差を乗り越えることはない(結局、時刻t15以降も含めて、車輪回転量が制限値R1未満に制限されることで、車輪回転量が段差に対応する車輪回転量を超えることはない)。
【0042】
次に、図4を参照して、本実施形態による段差乗り越え制御において車輪回転量に適用される制限値R1及び規定値R2の設定方法の具体例について説明する。上述したように、制限値R1は、車両1が制限高さ(例えば70~80mm)の段差を乗り越えるときの車輪回転量に基づき設定される値であり、規定値R2は、この制限値R1よりも小さい値であって、車両1による乗り越えが許可される最大の高さの段差を車両1が乗り越えるときの車輪回転量に基づき設定される値である。
【0043】
図4は、車両1の車輪2と、当該車輪2に接触する段差Stとを模式的に表した側面図である。図4において、「r」はタイヤ半径であり、「h」は段差Stの高さであり、「θ」は、車輪2と段差Stの先端との接触点と、車輪2の中心点とから規定される角度である。この角度θは、「θ=sin-1{(r-h)/r}」と表される。
【0044】
車輪2が段差Stを乗り越えるときの車輪回転量は、図4に示すような車輪2の中心点の移動距離Dに対応するものとなる。そして、移動距離Dは、上記の角度θなどを用いて、「D=r(π/2-θ)」と表される。この移動距離Dは、車輪2が段差Stを乗り越えるときの車輪回転量に対応する。移動距離Dを表す式中の「θ」が段差Stの高さhにより規定されることから、移動距離Dも段差Stの高さhに応じた値となるので、この式より、車輪2が高さhの段差Stを乗り越えるために必要な車輪回転量が得られる。よって、車両1による段差乗り越えを禁止すべき高さh(制限高さ)を決めてから、この高さhの段差Stについて移動距離Dを求めることで、この移動距離Dに基づき制限値R1を設定することができる。基本的には、求められた移動距離Dを制限値R1に設定すればよい。更に、車両1による乗り越えが許可される最大の高さh(上記の制限高さよりも若干低い高さ)を決めてから、この高さhの段差Stについて移動距離Dを求めることで、この移動距離Dに基づき規定値R2を設定することができる。基本的には、求められた移動距離Dを規定値R2に設定すればよい。
【0045】
ここで、タイヤ半径rが0.3425mであり、制限高さhを70mmとする場合を例に挙げる。この場合、角度θは約0.920となる。そして、車輪2がこの制限高さhの段差Stを乗り越えるために必要な移動距離Dは、「D=r(π/2-θ)」という式より、約0.223mとなる。よって、制限値R1を0.223mに設定すればよい。また、車両1による乗り越えが許可される最大の高さhを60mmとした場合、角度θは約0.970となる。この最大の高さhの段差Stを乗り越えるために必要な移動距離Dは約0.206mとなるので、規定値R2を0.206mに設定すればよい。
【0046】
なお、図4において説明した制限値R1及び規定値R2の設定方法は一例であり、他の方法を用いて制限値R1及び規定値R2を設定してもよい。例えば、車輪が段差に接触したときのばね力やへこみを考慮して、制限値R1及び規定値R2を設定してもよい。
【0047】
[制御フロー]
次に、図5及び図6を参照して、本実施形態による段差乗り越え制御に係る処理の流れ(制御フロー)について説明する。
【0048】
図5は、本実施形態による段差乗り越え制御の全体処理を示すフローチャートである。特に、この段差乗り越え制御の全体処理は、車両1の車輪が段差に既に接触している状態(より詳しくは車両1が段差に接触しているため動かない状態)において、ユーザUが車両1を移動させるべく通信端末5を操作したときに開始されるものである。この開始時には、コントローラ10は、駆動トルクを一定に維持する一方で、車両1が所定の目標車速で移動するように、制動トルクを適宜調整するように制御を行う。他方で、図6は、図8の段差乗り越え制御の全体処理において行われる、路面上の段差に対処するための具体的な処理(以下では「段差対応処理」と呼ぶ。)を示すフローチャートである。なお、コントローラ10(詳しくはマイクロプロセッサ10a)が、メモリ10bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、図5及び図6に示す処理が実現される。また、これらの処理は所定の周期で繰り返し実行される。
【0049】
まず、図5の段差乗り越え制御の全体処理が開始されると、ステップS101において、コントローラ10は、段差乗り越え制御に必要な各種情報を取得する。具体的には、コントローラ10は、カメラ21、ソナー22、車輪速センサ23、加速度センサ24、及び通信部25から入力された信号を少なくとも取得する(図1参照)。
【0050】
次いで、ステップS102において、コントローラ10は、段差に接触する車輪(以下では適宜「段差接触輪」と呼ぶ。)を判定する、つまり段差接触輪が駆動輪であるか又は従動輪であるかを判定(判別)する。1つの例では、コントローラ10は、車両1の前方及び後方のそれぞれの路面を含む範囲を撮影するカメラ21による撮影画像に基づき、段差接触輪が駆動輪であるか又は従動輪であるかを判定する。この例では、コントローラ10は、前輪が駆動輪で且つ後輪が従動輪である場合(この情報はメモリ10bなどに記憶されており、コントローラ10は、こうして記憶された情報を読み出して用いるものとする。以下同様とする。)、車両1の前方を撮影するカメラ21の撮影画像に段差が含まれているときには、段差接触輪が駆動輪であると判定する一方で、車両1の後方を撮影するカメラ21の撮影画像に段差が含まれているときには、段差接触輪が従動輪であると判定する。他の例では、コントローラ10は、カメラ21を用いる代わりに、若しくはカメラ21を用いると共に、ソナー22を用いて、上記のカメラ21を用いた場合と同様の方法により、段差接触輪が駆動輪であるか又は従動輪であるかを判定する。すなわち、コントローラ10は、前輪が駆動輪で且つ後輪が従動輪である場合、車両1の前方をカバーするソナー22によって段差が検出されたときには、段差接触輪が駆動輪であると判定する一方で、車両1の後方をカバーするソナー22によって段差が検出されたときには、段差接触輪が従動輪であると判定する。更に他の例では、コントローラ10は、ユーザUが通信端末5を用いて指示した車両1の進行方向(前進及び後退のいずれかの方向であり、基本的にはこの方向の先に段差が存在する)に基づき、段差接触輪が駆動輪であるか又は従動輪であるかを判定する。この例では、コントローラ10は、前輪が駆動輪で且つ後輪が従動輪である場合、ユーザUが車両1の前進を指示したときには、段差接触輪が駆動輪であると判定する一方で、ユーザUが車両1の後退を指示したときには、段差接触輪が従動輪であると判定する。
【0051】
次いで、ステップS103において、コントローラ10は、路面上の段差に対処するために、具体的には次の段差対応処理(ステップS104)を行う前に、駐車支援での通常走行時に適用される目標車速を低下させた車速を、段差対応処理時に適用すべき目標車速として設定する。そして、ステップS104において、コントローラ10は、図6に示す段差対応処理を行う(詳細は後述する)。
【0052】
次いで、ステップS105において、コントローラ10は、ステップS104の段差対応処理により、車両1が段差を乗り越えたか否かを判定する。具体的には、コントローラ10は、車輪速センサ23により検出された車輪速に対応する車両1の実車速が所定速度以上になった場合に、車両1が段差を乗り越えたと判定し(ステップS105:Yes)、ステップS106に進む。
【0053】
ステップS106において、コントローラ10は、車両1が段差を乗り越えているので、駐車支援において段差が存在しない場合に行う通常走行制御を開始する。具体的には、コントローラ10は、駐車支援での通常走行時に適用する駆動トルクを付与するようにエンジン制御システム31を制御する一方で、駐車支援での通常走行時に適用する目標速度で車両1が移動するように、制動トルクを適宜調整するようにブレーキ制御システム32を制御する。この場合、コントローラ10は、車両1が所定のスペースSPに到達するまで、このような通常走行制御を行う。そして、コントローラ10は、ステップS107に進む。
【0054】
他方で、コントローラ10は、ステップS105において、車両1が段差を乗り越えたと判定しなかった場合(ステップS105:No)、具体的には車両1の実車速が所定速度以上にならなかった場合、上記のステップS106の通常走行制御を行わずに、ステップS107に進む。
【0055】
ステップS107において、コントローラ10は、車両1を停車させる。具体的には、コントローラ10は、車両1への駆動トルクの付与を終了するようにエンジン制御システム31を制御すると共に、車両1が停止し続けるように制動トルクを付与すべくブレーキ制御システム32を制御する。より詳しくは、コントローラ10は、車両1が段差を乗り越えられた場合には、駐車支援に関する指令に従って目標車速を0に設定して、このように車両1を停車させる制御を行う一方で、車両1が段差を乗り越えられなかった場合には、駐車支援に関する指令によらずに目標車速を強制的に0に設定して、このように車両1を停車させる制御を行う。後者の場合には、車両1が乗り越えられなかった段差の手前で、車両1が停車することとなる。以上のステップS107の後、コントローラ10は、段差乗り越え制御の全体処理を終了する。
【0056】
次に、図6に示す段差対応処理について具体的に説明する。この段差対応処理は、図5のステップS104において行われるサブルーチンである。段差対応処理が開始されると、まず、ステップS201において、コントローラ10は、車両1を走行(移動)させる指示を確認する。具体的には、コントローラ10は、ユーザUによる走行指示の継続を確認すると共に(つまりユーザUによる段差乗り越えの意思を確認する)、この走行指示があるが車両1が動いていないことを確認する(つまり段差が確かに存在することを確認する)。
【0057】
次いで、ステップS202において、コントローラ10は、車両1が段差に接触していることを確認するために、車両1の車輪を段差に押し当てるための駆動トルクを付与するように、エンジン制御システム31を制御する。そして、ステップS203に進み、コントローラ10は、車両1が動かないか否か、つまり段差への車輪の押し当てが完了したか否かを判定する。その結果、コントローラ10は、車両1が動かない場合(ステップS203:Yes)、段差への車輪の押し当てが完了しているため、ステップS204に進む。これに対して、コントローラ10は、車両1が動いている場合(ステップS203:No)、段差への車輪の押し当てが完了していないため、ステップS202に戻る。この場合、コントローラ10は、車両1が動かなくなるまで、ステップS202、S203を繰り返す。
【0058】
ステップS204において、コントローラ10は、段差を車両1に乗り越えさせるべく、車両1に付与する駆動トルクを増加させるようにエンジン制御システム31を制御する。具体的には、コントローラ10は、事前に設定された所定の変化率にて、駆動トルクを徐々に増加させるようにする。
【0059】
次いで、ステップS205において、コントローラ10は、車両1が段差を乗り越え始めたか否かを判定する。具体的には、コントローラ10は、加速度センサ24によって検出された車両1の加速度の変化量や変化速度に基づき、車両1が段差を乗り越え始めたか否かを判定する。その結果、コントローラ10は、車両1が段差を乗り越え始めた場合(ステップS205:Yes)、ステップS206に進む。これに対して、コントローラ10は、車両1が段差を乗り越え始めていない場合(ステップS205:No)、ステップS204に戻る。この場合、コントローラ10は、車両1が段差を乗り越え始めるまで、車両1に付与する駆動トルクを徐々に増加させていく。
【0060】
次いで、ステップS206において、コントローラ10は、車両1に付与する駆動トルクを低下させるようにエンジン制御システム31を制御する。具体的には、コントローラ10は、車輪速センサ23からの検出信号に基づき、車輪が段差を乗り越え始めてからの車輪回転量(車輪における回転の変位量)を取得し、この車輪回転量に基づき駆動トルクを低下させることで、車輪回転量が制限値R1に達することを抑制するようにする。より詳しくは、コントローラ10は、取得された車輪回転量と規定値R2との差分に応じて、車両1に付与している駆動トルクを徐々に低下させていくことで、車輪回転量が規定値R2に達するタイミング(つまり差分が0になるタイミング)又は当該タイミングよりも前に、車両1に付与している駆動トルクを、駐車支援において車両1を停車させるためのトルクT1まで低下させる(図3参照)。以上のステップS206の後、コントローラ10は、段差対応処理を終了する。
【0061】
なお、好適な例では、コントローラ10は、段差接触輪が駆動輪である場合と従動輪である場合とで(図5のステップS102での判定結果による)、ステップS206において駆動トルクを低下させる量又は低下させる速度を変えてもよい。具体的には、コントローラ10は、車両重量に関して駆動輪にかかる荷重と従動輪にかかる荷重との大小関係に応じて、すなわち前輪荷重と後輪荷重との大小関係に応じて、段差接触輪が駆動輪である場合と従動輪である場合とで、駆動トルクを低下させる量又は低下させる速度を変える。より詳しくは、コントローラ10は、前輪荷重と後輪荷重との大小関係に基づき、段差接触輪(駆動輪及び従動輪の一方)にかかる荷重が段差非接触輪(駆動輪及び従動輪の他方)にかかる荷重よりも大きいと判断される場合には、駆動トルクを低下させる量又は低下させる速度を小さくする。この場合には、段差接触輪にかかる荷重が比較的大きいため、段差接触輪が段差を乗り越え始めた後に段差を乗り越える可能性は低いので、駆動トルクを低下させる量又は低下させる速度を抑えている。他方で、コントローラ10は、前輪荷重と後輪荷重との大小関係に基づき、段差接触輪(駆動輪及び従動輪の一方)にかかる荷重が段差非接触輪(駆動輪及び従動輪の他方)にかかる荷重よりも小さいと判断される場合には、駆動トルクを低下させる量又は低下させる速度を大きくする。この場合には、段差接触輪にかかる荷重が比較的小さいため、段差接触輪が段差を乗り越え始めた後に段差を乗り越える可能性があり得るので、この段差の乗り越えを確実に禁止すべく、駆動トルクを低下させる量又は低下させる速度を大きくしている。
【0062】
例えば、コントローラ10は、前輪荷重が後輪荷重よりも大きい車両1において、段差接触輪が前輪(駆動輪)である場合には、段差接触輪が後輪(従動輪)である場合よりも、駆動トルクを低下させる量又は低下させる速度を小さくする。こうするのは、前輪(駆動輪)にかかる荷重が比較的大きいため、前輪が段差を乗り越え始めた後に段差を乗り越える可能性は低いからである。他方で、コントローラ10は、前輪荷重が後輪荷重よりも大きい車両1において、段差接触輪が後輪(従動輪)である場合には、段差接触輪が前輪(駆動輪)である場合よりも、駆動トルクを低下させる量又は低下させる速度を大きくする。こうするのは、後輪(従動輪)にかかる荷重が比較的小さいため、後輪(従動輪)が段差を乗り越え始めた後に段差を乗り越える可能性があり得るので、後輪が段差を乗り越えることを確実に禁止するためである。なお、コントローラ10は、前輪荷重が後輪荷重よりも小さい車両1では、上記した制御と逆の制御を行うこととなる。
【0063】
次に、図7を参照して、段差乗り越え制御の別の全体処理について説明する。図7は、本実施形態の変形例による段差乗り越え制御の全体処理を示すフローチャートである。図7に示す段差乗り越え制御の全体処理は、図5に示す全体処理と異なり、車両1の車輪が段差に接触していない状態、つまり駐車支援での通常走行中において実行される。この場合には、車両1が駐車支援による移動中に段差に接触する可能性がある。なお、コントローラ10(詳しくはマイクロプロセッサ10a)が、メモリ10bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、図7に示す全体処理が実現される。また、この処理は所定の周期で繰り返し実行される。
【0064】
まず、図7の段差乗り越え制御の全体処理が開始されると、ステップS301において、コントローラ10は、段差乗り越え制御に必要な各種情報を取得する。具体的には、コントローラ10は、カメラ21、ソナー22、車輪速センサ23、加速度センサ24、及び通信部25から入力された信号を少なくとも取得する(図1参照)。
【0065】
次いで、コントローラ10は、路面上に存在する段差が検出されたか否か、具体的には車両1の車輪が段差に接触したか否かを判定する。1つの例では、コントローラ10は、車両1の走行抵抗の変化量及び/又は変化速度が所定以上である場合に、路面上に段差が存在すると判定する。この走行抵抗は、車両1に付与している駆動トルク及び制動トルクから、車両1の運動方程式を示すオブザーバモデルにより求めることができる。他の例では、コントローラ10は、車両1の目標加速度と、加速度センサ24によって検出された実加速度との差が所定以上である場合に、路面上に段差が存在すると判定する。コントローラ10は、このようにして段差が存在すると判定した場合(ステップS302:Yes)、ステップS303に進み、これに対して、段差が存在すると判定しなかった場合(ステップS302:No)、段差乗り越え制御の全体処理を終了する。後者の場合には、コントローラ10は、駐車支援での通常走行制御を継続する。
【0066】
次いで、ステップS303において、コントローラ10は、段差接触輪を判定する、つまり段差接触輪が駆動輪であるか又は従動輪であるかを判定(判別)する。1つの例では、コントローラ10は、段差が存在すると判定されたとき(つまり車輪が段差に接触したとき)に車輪速センサ23により検出された4輪の各々の車輪速の変化態様、特に4輪各々の車輪速の低下タイミングに基づき、段差接触輪が駆動輪であるか又は従動輪であるかを判定する。この例では、コントローラ10は、前輪が駆動輪で且つ後輪が従動輪である場合、前輪の車輪速の低下タイミングが後輪の車輪速の低下タイミングよりも早かったときには、段差接触輪が駆動輪であると判定する一方で、後輪の車輪速の低下タイミングが前輪の車輪速の低下タイミングよりも早かったときには、段差接触輪が従動輪であると判定する。他の例では、コントローラ10は、図5のステップS102と同様に、カメラ21の撮影画像や、ソナー22の検出結果や、車両1の進行方向(ユーザUが通信端末5を用いて指示した進行方向に限定されず、車両1の現在の進行方向でもよい)などに基づき、段差接触輪が駆動輪であるか又は従動輪であるかを判定してもよい。
【0067】
次いで、ステップS304において、コントローラ10は、車両1を減速させる。こうすることで、車両1が慣性力によって比較的高い段差を乗り越えないようにする。よって、車両1を減速させる度合いは、車両1の慣性力により車両1に乗り越えさせないようにする比較的高い段差の高さに応じて決められる。より具体的にステップS304の処理を説明すると、まず、コントローラ10は、設定する目標車速を低下させ、この目標車速を実現するように、駆動トルクをアイドルトルクへと低下させるようにエンジン制御システム31を制御する一方で、制動トルクを増加させるようにブレーキ制御システム32を制御する。そして、コントローラ10は、実車速が一定車速まで減速すると通常の制御に戻す。すなわち、コントローラ10は、駆動トルクを一定に維持する一方で、目標車速に応じて制動トルクを適宜調整するように制御を行う。
【0068】
次いで、ステップS305において、コントローラ10は、車両1が段差を乗り越えたか否かを判定する。具体的には、コントローラ10は、車輪速センサ23により検出された車輪速に対応する車両1の実車速が所定速度以上である場合に、車両1が段差を乗り越えたと判定し(ステップS305:Yes)、ステップS306に進む。
【0069】
ステップS306において、コントローラ10は、車両1が段差を乗り越えているので、駐車支援において段差が存在しない場合に行う通常走行制御を開始する。具体的には、コントローラ10は、駐車支援での通常走行時に適用する駆動トルクを付与するようにエンジン制御システム31を制御する一方で、駐車支援での通常走行時に適用する目標速度で車両1が移動するように、制動トルクを適宜調整するようにブレーキ制御システム32を制御する。この場合、コントローラ10は、車両1が所定のスペースSPに到達するまで、このような通常走行制御を行う。
【0070】
次いで、ステップS307において、コントローラ10は、車両1を停車させる。具体的には、コントローラ10は、車両1への駆動トルクの付与を終了するようにエンジン制御システム31を制御すると共に、車両1が停止し続けるように制動トルクを付与すべくブレーキ制御システム32を制御する。より詳しくは、コントローラ10は、駐車支援に関する指令に従って目標車速を0に設定して、このように車両1を停車させる制御を行う。ステップS307の後、コントローラ10は、段差乗り越え制御の全体処理を終了する。
【0071】
他方で、コントローラ10は、ステップS305において、車両1が段差を乗り越えたと判定しなかった場合(ステップS305:No)、ステップS308に進む。ステップS308において、コントローラ10は、段差を下りたところで車両1を停車させる。こうするのは、車両1が段差の途中で止まっている不安定な状態を回避するためである。具体的には、コントローラ10は、まず、加速度センサ24によって検出された実加速度が負の加速度から正の加速度へと切り替わったときに、車両1が段差から下りたと判定する。そして、コントローラ10は、駆動トルクを元に戻すようにエンジン制御システム31を制御する一方で、車両1を減速させた後に停止状態に保持すべく、制動トルクを増加させるようにブレーキ制御システム32を制御する。
【0072】
次いで、コントローラ10は、ステップS309に進む。この後のステップS309、S310、S311、S306、S307の処理は、それぞれ、図5のステップS103、S104、S105、S106、S107の処理と同様のため、これらの説明を省略する。
【0073】
[作用及び効果]
次に、本発明の実施形態による駐車支援装置の作用及び効果について説明する。
【0074】
本実施形態では、コントローラ10は、駐車の支援を行っている間に段差が路面上に存在する場合に、車両1の車輪が段差を乗り越えるように駆動トルクを車両1に付与し、このような駆動トルクの付与によって車輪が段差を乗り越え始めたときに、車輪が段差を乗り越え始めてからの車輪回転量を取得し、この車輪回転量に基づき駆動トルクを低下させる。具体的には、コントローラ10は、車両1が制限高さの段差を乗り越えるときの車輪回転量に基づき設定された制限値を用いて、車輪回転量がこの制限値に達することを抑制するように、車両1に付与している駆動トルクを低下させる。ここで、上述したように、車両1に付与する駆動トルクを制限高さに応じた制限トルク未満に制限することによって制限高さ以上の段差の乗り越えを禁止する比較例による方法では、段差に接触する車輪の接地荷重などの影響を受けて、車両1による制限高さ以上の段差の乗り越えを的確に禁止できない場合がある。これに対して、本実施形態に係る制御において用いる車輪回転量は、段差に接触する車輪の接地荷重などの影響を受けることはない。したがって、本実施形態によれば、接地荷重などの影響を受けることなく、車両1による制限高さ以上の段差(車輪止めなど)の乗り越えを的確に禁止することができる。
【0075】
また、本実施形態では、コントローラ10は、車輪が段差を乗り越え始めてからの車輪回転量が、制限値R1よりも小さい規定値R2に達するタイミング又は当該タイミングよりも前に、車両1に付与している駆動トルクの低下を完了させるので、車輪回転量が制限値R1に達することを確実に抑制することができる。
【0076】
また、本実施形態では、コントローラ10は、車輪が段差を乗り越え始めてからの車輪回転量と、制限値R1よりも小さい規定値R2との差分に応じて、車両1に付与している駆動トルクを低下させるので、車輪回転量が制限値R1に達することを確実に抑制することができる。
【0077】
また、本実施形態では、コントローラ10は、段差に接触する車輪が駆動輪である場合と従動輪である場合とで、車輪が段差を乗り越え始めた後に、駆動トルクを低下させる量又は低下させる速度を変える。車両1の前後重量配分により、駆動輪にかかる荷重と従動輪にかかる荷重とが異なるため、段差に接触する車輪が駆動輪である場合と従動輪である場合とで、車輪が段差を乗り越える可能性が変わってくる。そのため、段差に接触する車輪が駆動輪である場合と従動輪である場合とで、車輪が段差を乗り越え始めた後に、駆動トルクを低下させる量又は低下させる速度を変えるようにしている。これにより、車両1による制限高さ以上の段差の乗り越えを確実に禁止することができる。
【0078】
また、本実施形態では、コントローラ10は、車輪が段差を乗り越え始めた後に、車両1に付与している駆動トルクを、駐車支援を行う場合において車両1を停車させるときに付与する駆動トルクまで低下させるので、車両1による制限高さ以上の段差の乗り越えを確実に禁止することができる。
【0079】
[変形例]
上記した実施形態では、エンジンを駆動源とする車両1に本発明を適用する例を示したが、本発明は、電気モータを駆動源とする車両(電気自動車やハイブリッド車)にも適用可能である。加えて、上述した実施形態では、ブレーキ装置(ブレーキ制御システム32)により制動トルクを車両1に付与していたが、他の例では、電気モータの回生により制動トルクを車両に付与してもよい。
【0080】
上記した実施形態では、コントローラ10は、車輪速センサ23からの検出信号に基づき車輪回転量を取得していたが、他の例では、コントローラ10は、車輪速センサ23の代わりに、若しくは車輪速センサ23に加えて、車両1の動力伝達軸の回転数、及び/又は、車両1の動力源(エンジンやモータ)の回転数に基づき、車輪回転量を取得(導出)してもよい。これにより、段差乗り越え制御において、正確な車輪回転量を用いることができる。
【符号の説明】
【0081】
1 車両
5 通信端末
10 コントローラ
21 カメラ
22 ソナー
23 車輪速センサ
24 加速度センサ
25 通信部
31 エンジン制御システム
32 ブレーキ制御システム
33 ステアリング制御システム
100 駐車支援システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7