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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018085
(43)【公開日】2022-01-26
(54)【発明の名称】ワイヤ締め装置
(51)【国際特許分類】
   A43C 7/00 20060101AFI20220119BHJP
   B65H 75/38 20060101ALI20220119BHJP
【FI】
A43C7/00
B65H75/38 S
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021110469
(22)【出願日】2021-07-02
(31)【優先権主張番号】10-2020-0087038
(32)【優先日】2020-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521292847
【氏名又は名称】スピンオン カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】517294288
【氏名又は名称】ハ ヨンホ
【氏名又は名称原語表記】HA, Young Ho
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ハ ヨンホ
【テーマコード(参考)】
3F068
4F050
【Fターム(参考)】
3F068AA14
3F068BA00
3F068DA01
3F068FA03
3F068GA03
3F068JB06
4F050GA30
4F050MA06
(57)【要約】
【課題】靴等に設置され、ワイヤを締める締め動作が円滑に行われるようにするとともに、ワイヤを巻き取る部分の位置をハウジング内において高くする構造を形成するワイヤ締め装置を提供すること。
【解決手段】ハウジングの内部空間に位置し、中央に上下方向の貫通孔が形成された巻取ホイールと、前記巻取ホイールの貫通孔に位置し、ラチェット結合により、巻取ホイールと結合し、下部にハウジングの係止歯に係止される噛合歯が備えられた昇降部材と、を含む。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間が形成され、底部に係止歯が形成されたハウジングと、
中央に上下方向の貫通孔が形成され、前記貫通孔の周囲の外周面にワイヤが巻かれる巻取溝が形成され、前記巻取溝の下側において、前記貫通孔の内周面に第1ラチェット部が設置され、上部に結合歯が形成され、前記ハウジングの内部空間に位置する巻取ホイールと、
前記巻取ホイールの前記貫通孔に位置し、下部に前記第1ラチェット部と噛み合わせられ、前記巻取ホイールに対して一方向の回転を許容し、他方向の回転を遮断する第2ラチェット部を備え、下部に前記係止歯に係止される噛合歯が設けられた昇降部材と、
前記ハウジングの上部を覆っており、下降時、前記結合歯と結合され、ワイヤを巻く方向に前記巻取ホイールを回転させるための締め歯が形成され、前記昇降部材と結合され、前記昇降部材と一緒に昇降作動する巻締めキャップと、を含む
ことを特徴とするワイヤ締め装置。
【請求項2】
前記昇降部材と前記巻締めキャップは、係止溝と係止段が互いに係止された状態で結合が行われ、上下方向には互いに拘束されて一緒に昇降し、回転方向には互いに相対的な回転を許容する
請求項1に記載のワイヤ締め装置。
【請求項3】
内部空間を取り囲む側壁を有し、底部に係止歯が形成されたハウジングと、
前記ハウジングの上部と結合され、昇降運動が可能な巻締めキャップと、
前記内部空間に位置し、中央の貫通孔が形成され、外周面の巻取溝においてワイヤを巻く巻取ホイールと、
前記貫通孔に位置して、前記巻取ホイールと結合され、前記巻締めキャップと結合されて、前記貫通孔内において一緒に昇降運動するものであり、前記昇降運動時、前記係止歯に係止されるか分離される昇降部材と、を含み、
前記巻締めキャップの上昇時、前記昇降部材が前記係止歯から分離され、前記巻取ホイールがワイヤを送り出す方向に自由に回転するように許容し、
前記巻締めキャップの下降時、前記昇降部材が前記係止歯と結合され、前記巻取ホイールがワイヤを巻く方向への回転のみを許容し、反対方向の回転は遮断する
ことを特徴とするワイヤ締め装置。
【請求項4】
前記昇降部材と前記巻締めキャップの結合は、前記昇降部材の上部と前記巻締めキャップに形成された下面突部が互いに係止された状態で行われ、上下方向には互いに拘束されて一緒に昇降し、回転方向には互いに相対的な回転を許容する
請求項3に記載のワイヤ締め装置。
【請求項5】
内部空間を取り囲む側壁を有し、底部に係止歯が形成されたハウジングと、
前記内部空間に位置するものであり、中央に上下方向の貫通孔が形成され、前記貫通孔の周囲の外周面にワイヤが巻かれる巻取溝が形成され、前記巻取溝の下側において、前記貫通孔の内周面に第1ラチェット部が設置され、上部に結合歯が形成される巻取ホイールと、
前記巻取ホイールの前記貫通孔に位置するものであり、下部に前記第1ラチェット部と噛み合わされる第2ラチェット部を備え、下部に前記係止歯と係止される噛合歯が設けられた昇降部材と、
前記ハウジングの上部に昇降運動が可能なように結合され、上昇時、前記結合歯から分離され、下降時、前記結合歯と結合されて、ワイヤを締める方向に前記巻取ホイールを回転させるための締め歯を備え、前記昇降部材の回転は許容するが、上下移動方向に拘束されて一緒に昇降作動するように前記昇降部材と結合された巻締めキャップと、を含む
ことを特徴とするワイヤ締め装置。
【請求項6】
前記第1ラチェット部と前記第2ラチェット部の噛み合わせ構造は、
前記昇降部材に対して、前記巻取ホイールが、ワイヤを巻く方向に相対的に回転することを許容し、ワイヤを送り出す方向に相対的に回転することは遮断するように、ラチェット歯の傾斜方向が設定されている
請求項5に記載のワイヤ締め装置。
【請求項7】
前記第2ラチェット部に形成されたラチェット羽根歯は、前記昇降部材の昇降運動時、前記第1ラチェット部のラチェット歯に沿って上下にスライドされながら噛み合わせ状態を維持する
請求項1、2、5、6のいずれかに記載のワイヤ締め装置。
【請求項8】
前記貫通孔は、
上部貫通孔と、前記上部貫通孔よりも大きな直径であり、周囲に沿って前記第1ラチェット部が形成された下部貫通孔とに分けられ、
前記第1ラチェット部は、周囲に一方向に傾斜して形成したラチェット歯を含み、
前記第2ラチェット部は、前記昇降部材の周囲に複数個が渦状に固定され、自由端に前記ラチェット歯と噛み合わせられてラチェット結合するラチェット羽根歯が備えられたラチェット羽根を含む
請求項1、2、5、6のいずれかに記載のワイヤ締め装置。
【請求項9】
前記ハウジングには、前記巻取ホイールが前記内部空間内に位置を維持するように、上昇を遮断する拘束部が形成されている
請求項1ないし6のいずれかに記載のワイヤ締め装置。
【請求項10】
前記ハウジングには、前記巻取ホイールが上昇することを遮断する拘束部が形成され、
前記巻取ホイールには、前記貫通孔の上部の外側に側方向に隆起した隆起部が形成され、
前記巻締めキャップには、前記隆起部を弾性により乗り越えるものであり、前記隆起部よりも上側の高さにおいて前記噛合歯が前記係止歯から離隔し、前記隆起部よりも下側の高さにおいて前記噛合歯が前記係止歯と係止されるようにする位置設定部が形成されている
請求項1ないし6のいずれかに記載のワイヤ締め装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤ締め装置に関する。より詳しくは、靴、かばん、帽子、衣服等に設置され、ワイヤを巻き取って締めるか、送り出して緩めることができる構造のワイヤ締め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、靴の着用時、靴紐の結び目を結んだり緩めたりしなければならないという煩雑さを解消するために、靴紐を簡便に締めたり緩めたりすることができる締め装置が多く開発されている。
【0003】
この種の締め装置は、靴だけではなく、かばん、帽子、衣服等にも設置され、紐またはワイヤを締める用途として活用されることにより、その使用範囲が次第に広がっている。
【0004】
図1と、図2の(a)及び(b)は、従来のワイヤ締め装置を示す図であって、特許文献1に記載されたものである。
【0005】
図1と、図2の(a)及び(b)を参考すると、ワイヤ締め装置は、ハウジング1、巻取ホイール2、ギア部材3、スプリング部4、及び巻締めキャップ5が下側から順次に積層されて組み立てられる。
【0006】
図2の(a)に示すように、巻締めキャップ5及びギア部材3を押圧して、スプリング部4の弾性により下降した状態で、ギア部材3と巻取ホイール2が相互結合して、一体で回転される。この状態で、第1方向への回転が拘束されるので、ワイヤを巻く方向にのみ回転される。
【0007】
また、巻締めキャップ5及びギア部材3を上げて、スプリング部4の弾性により上昇した状態では、ギア部材3と巻取ホイール2との間の結合が解除される。この状態で、巻取ホイール2が自由に回転され、ワイヤを自由に送り出すことができる。
【0008】
しかしながら、従来のワイヤ締め装置の構成は、スプリング部4等の組み立てられる部品の数が多く、組立てが難しくて、製作過程が煩雑であるという問題があった。
【0009】
また、従来、ワイヤ締め装置の積層構造は、ワイヤを巻き取る巻取ホイール2がハウジング1の内部において最も下層に位置し、ワイヤがハウジング1の底部から出入りするので、ワイヤ締め装置が設置される靴等の製品の表面にワイヤが持続的に干渉されるという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】大韓民国登録特許第10-1648815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記した観点から導き出されたものである。
【0012】
本発明の目的は、靴等に設置され、ワイヤを締める締め動作が円滑に行われるようにするとともに、全体の部品数を減らすことができ、組立てが比較的容易に行われる構造のワイヤ締め装置を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、靴等の製品に設置するとき、突出する全体の高さを高めることなく、ワイヤを巻き取る部分の位置を、ハウジング内において高くする構造を形成することにより、ハウジングを出入りするワイヤが製品の表面に干渉されないようにするワイヤ締め装置を提供することである。
【0014】
本発明のまた他の目的は、スプリングのような、別途製作され、組立ても難しい位置保持手段を備えることなく、上昇及び下降位置を維持する作動が円滑に行われることができる構成のワイヤ締め装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記した目的を達成するために、本発明によるワイヤ締め装置は、内部空間が形成され、底部に係止歯が形成されたハウジングと、中央に上下方向の貫通孔が形成され、前記貫通孔の周囲の外周面にワイヤが巻かれる巻取溝が形成され、前記巻取溝の下側において、前記貫通孔の内周面に第1ラチェット部が設置され、上部に結合歯が形成され、前記ハウジングの内部空間に位置する巻取ホイールと、前記巻取ホイールの前記貫通孔に位置し、下部に前記第1ラチェット部と噛み合わせられ、前記巻取ホイールに対して一方向の回転を許容し、他方向の回転を遮断する第2ラチェット部を備え、下部に前記係止歯に係止される噛合歯が設けられた昇降部材と、前記ハウジングの上部を覆っており、下降時、前記結合歯と結合され、ワイヤを巻く方向に前記巻取ホイールを回転させるための締め歯が形成され、前記昇降部材と結合され、前記昇降部材と一緒に昇降作動する巻締めキャップと、を含む。
【0016】
また、本発明では、前記昇降部材と前記巻締めキャップが、係止溝と係止段が互いに係止された状態で結合が行われ、上下方向には互いに拘束されて一緒に昇降し、回転方向には互いに相対的な回転を許容することを他の特徴とする。
【0017】
一方、他の観点において、本発明は、内部空間を取り囲む側壁を有し、底部に係止歯が形成されたハウジングと、前記ハウジングの上部と結合され、昇降運動が可能な巻締めキャップと、前記内部空間に位置し、中央の貫通孔が形成され、外周面の巻取溝においてワイヤを巻く巻取ホイールと、前記貫通孔に位置して、前記巻取ホイールと結合され、前記巻締めキャップと結合されて、前記貫通孔内において一緒に昇降運動するものであり、前記昇降運動時、前記係止歯に係止されるか分離される昇降部材と、を含み、前記巻締めキャップの上昇時、前記昇降部材が前記係止歯から分離され、前記巻取ホイールがワイヤを送り出す方向に自由に回転するように許容し、前記巻締めキャップの下降時、前記昇降部材が前記係止歯と結合され、前記巻取ホイールがワイヤを巻く方向への回転のみを許容し、反対方向の回転は遮断することを特徴とする。
【0018】
また、本発明では、前記昇降部材と前記巻締めキャップの結合が、前記昇降部材の上部と前記巻締めキャップに形成された下面突部が互いに係止された状態で行われ、上下方向には互いに拘束されて一緒に昇降し、回転方向には互いに相対的な回転を許容することを他の特徴とする。
【0019】
一方、また他の観点において、本発明は、内部空間を取り囲む側壁を有し、底部に係止歯が形成されたハウジングと、前記内部空間に位置するものであり、中央に上下方向の貫通孔が形成され、前記貫通孔の周囲の外周面にワイヤが巻かれる巻取溝が形成され、前記巻取溝の下側において、前記貫通孔の内周面に第1ラチェット部が設置され、上部に結合歯が形成される巻取ホイールと、前記巻取ホイールの前記貫通孔に位置するものであり、下部に前記第1ラチェット部と噛み合わされる第2ラチェット部を備え、下部に前記係止歯と係止される噛合歯が設けられた昇降部材と、前記ハウジングの上部に昇降運動が可能なように結合され、上昇時、前記結合歯から分離され、下降時、前記結合歯と結合されて、ワイヤを締める方向に前記巻取ホイールを回転させるための締め歯を備え、前記昇降部材の回転は許容するが、上下移動方向に拘束されて一緒に昇降作動するように前記昇降部材と結合された巻締めキャップと、を含むことを特徴とする。
【0020】
また、本発明では、前記第1ラチェット部と前記第2ラチェット部の噛み合わせ構造が、前記昇降部材に対して、前記巻取ホイールが、ワイヤを巻く方向に相対的に回転することを許容し、ワイヤを送り出す方向に相対的に回転することは遮断するように、ラチェット歯の傾斜方向が設定されたことを他の特徴とする。
【0021】
また、本発明では、前記第2ラチェット部に形成されたラチェット羽根歯が、前記昇降部材の昇降運動時、前記第1ラチェット部のラチェット歯に沿って上下にスライドされながら噛み合わせ状態を維持することをまた他の特徴とする。
【0022】
また、本発明では、前記貫通孔が、上部貫通孔と、前記上部貫通孔よりも大きな直径であり、周囲に沿って前記第1ラチェット部が形成された下部貫通孔とに分けられ、前記第1ラチェット部は、周囲に一方向に傾斜して形成したラチェット歯を含み、前記第2ラチェット部は、前記昇降部材の周囲に複数個が渦状に固定され、自由端に前記ラチェット歯と噛み合わせられてラチェット結合するラチェット羽根歯が備えられたラチェット羽根を含むことをまた他の特徴とする。
【0023】
また、本発明では、前記ハウジングに、前記巻取ホイールが前記内部空間内に位置を維持するように、上昇を遮断する拘束部が形成されたことをまた他の特徴とする。
【0024】
また、本発明では、前記ハウジングに、前記巻取ホイールが上昇することを遮断する拘束部が形成され、前記巻取ホイールには、前記貫通孔の上部の外側に側方向に隆起した隆起部が形成され、前記巻締めキャップには、前記隆起部を弾性により乗り越えるものであり、前記隆起部よりも上側の高さにおいて前記噛合歯が前記係止歯から離隔し、前記隆起部よりも下側の高さにおいて前記噛合歯が前記係止歯と係止されるようにする位置設定部が形成されたことをまた他の特徴とする。
【0025】
また、本発明では、前記巻締めキャップが、外側キャップと、前記外側キャップの内部に固定される内側キャップとを含み、前記内側キャップに前記位置設定部が形成されたことをまた他の特徴とする。
【0026】
また、本発明では、前記ハウジングに、前記巻取ホイールが上昇することを遮断する拘束部が形成され、前記ハウジングの上端部の内周面には、側方向に隆起した隆起部が形成され、前記巻締めキャップには、前記隆起部を弾性により乗り越えるものであり、前記隆起部よりも上側の高さにおいて前記噛合歯が前記係止歯から離隔し、前記隆起部よりも下側の高さにおいて前記噛合歯が前記係止歯と係止されるようにする位置設定部が形成されたことをまた他の特徴とする。
【0027】
また、本発明では、前記巻取ホイールの上端部に上端引っ掛け部が形成され、前記巻締めキャップには、組立時、前記上端引っ掛け部を弾性により乗り越えて係止される係止引っ掛け部が形成され、前記上端引っ掛け部が制限する範囲まで、前記巻締めキャップが上昇することが可能であり、前記巻締めキャップの上昇は、前記噛合歯が前記係止歯から離隔可能な範囲まで行われることをまた他の特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、巻取ホイールの貫通孔に昇降部材を配置し、昇降部材が、前記貫通孔内において昇降作用できるように構成することにより、ワイヤを締める締め動作が円滑に行われるとともに、空間効率的に部品が配置されることができる。
【0029】
また、本発明は、従来のワイヤ締め装置と比べて、全体の部品数を減らし、製品の組立てが簡単に行われるように構成されている。
【0030】
また、本発明は、巻取ホイールにおいて、ワイヤが巻かれる巻取溝を上部に形成し、下部の内部に第1ラチェット部が設置され、昇降部材の第2ラチェット部が、巻取ホイールの下部の内部において第1ラチェット部と結合するように構成されている。これにより、ワイヤを巻き取る巻取溝の位置をハウジング内において高くすることができ、ワイヤ締め装置の全体的な高さは高くしない構造を形成することができる。このような構造は、ハウジングを出入りするワイヤが、製品の表面に干渉されないようにするとともに、靴等の製品の表面からワイヤ締め装置の突出した高さも、従来の高さレベルで形成することができる。
【0031】
また、本発明は、別途製作され、組立てが難しいスプリングのような金属材質の位置保持手段を除去し、巻取ホイールまたはハウジングの隆起部、及び巻締めキャップの位置設定部が、弾性で互いに乗り越えて位置を設定するように構成されている。これにより、本発明は、部品の組立ての便宜を図ることができるとともに、作動を円滑にしている。
【0032】
また、本発明は、巻取ホイールの第1ラチェット部及び昇降部材の第2ラチェット部が互いに噛み合わせられた状態を維持し、昇降部材が昇降運動するように構成されている。これにより、昇降部材の昇降運動時、巻取ホイールと昇降部材が互いに分離されないので、分離及び結合による噛み合わせ不良の問題を引き起こさず、その昇降運動が極めてスムーズに行われ得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】従来のワイヤ締め装置の分解された構成を示す斜視図である。
図2】(a)及び(b)は、図1のワイヤ締め装置が組み立てられた状態における断面及び作用を説明する説明図である。
図3】本発明の第1実施形態によるワイヤ締め装置の組み立てられた外観を示す斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態によるワイヤ締め装置が分解された状態における上面の構成を示す斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態によるワイヤ締め装置が分解された状態における下面の構成を示す斜視図である。
図6】本発明の第1実施形態によるワイヤ締め装置が組み立てられた状態のうち、ワイヤを締めることができるように切り替えられた状態についての断面構成図である。
図7】本発明の第1実施形態によるワイヤ締め装置が組み立てられた状態のうち、ワイヤを送り出すことができるように切り替えられた状態についての断面構成図である。
図8】本発明の第2実施形態によるワイヤ締め装置が分解された状態における上面の構成を示す斜視図である。
図9】本発明の第2実施形態によるワイヤ締め装置が分解された状態における下面の構成を示す斜視図である。
図10】本発明の第2実施形態によるワイヤ締め装置が組み立てられた状態のうち、ワイヤを締めることができるように切り替えられた状態についての断面構成図である。
図11】本発明の第2実施形態によるワイヤ締め装置が組み立てられた状態のうち、ワイヤを送り出すことができるように切り替えられた状態についての断面構成図である。
図12】本発明の第3実施形態によるワイヤ締め装置が分解された状態における上面の構成を示す斜視図である。
図13】本発明の第3実施形態によるワイヤ締め装置が分解された状態における下面の構成を示す斜視図である。
図14】本発明の第3実施形態によるワイヤ締め装置が組み立てられた状態のうち、ワイヤを締めることができるように切り替えられた状態についての断面構成図である。
図15】本発明の第3実施形態によるワイヤ締め装置が組み立てられた状態のうち、ワイヤを送り出すことができるように切り替えられた状態についての断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参考して、本発明の実施形態について詳述する。
【0035】
図3乃至図5を参考すると、本発明の第1実施形態によるワイヤ締め装置は、内部空間14を取り囲む側壁11aを有し、底部に係止歯15が形成されたハウジング10と、前記ハウジング10の上部を覆っており、昇降運動が可能な巻締めキャップ40と、前記内部空間14に位置し、中央の貫通孔21が形成され、外周面の巻取溝23においてワイヤ60を巻く巻取ホイール20と、前記貫通孔21に位置し、巻取ホイール20と結合され、巻締めキャップ40と結合されて、貫通孔21内において一緒に昇降運動するものとして、昇降運動時、係止歯15に係止されか分離される昇降部材30と、を含む。
【0036】
前記ハウジング10は、内部空間14を取り囲む側壁11aを有し、底部に係止歯15が形成された部分である。
【0037】
具体的に、前記ハウジング10は、靴等の製品に付着するものであり、窪んだ収納溝14aを有する基部13と、基部13の収納溝14aに結合され、内部空間14を取り囲んで側壁11aを形成する円筒側壁部11と、を含む。
【0038】
前記係止歯15は、基部13の収納溝14aの底面に設置されることが好ましい。
【0039】
前記ハウジング10の上端には、巻取ホイール20が内部空間14内において位置を維持するように、上昇を遮断する拘束部17が形成され、この拘束部17は、具体的に巻取ホイール20の外周面の上端が係止される段である。
【0040】
組み立てられた状態で、拘束部17は、内部空間14側に突出して、巻取ホイール20の上端が係止され、上昇しないように制限している。
【0041】
また、ハウジング10の上端には、外側に突出した制限突部18が形成され、巻締めキャップ40がハウジング10に結合された状態で、上側から抜けないように制限する。
【0042】
また、前記円筒側壁部11と基部13が結合された状態で、内部空間14にワイヤ60が出入りすることができるように、1対のワイヤ出入孔16が形成される。
【0043】
前記円筒側壁部11と基部13は、一体化されて一つの構造に形成されてもよい。
【0044】
一方、前記巻締めキャップ40は、ハウジング10の上部を覆うように結合され、昇降運動が可能であり、使用者が手でつかんで回転させることができる部分である。
【0045】
巻締めキャップ40は、円形容器状で、ハウジング10の上端を覆う構造であり、下端に制限段48が形成され、ハウジング10の制限突部18に係止されて、巻締めキャップ40が上側から抜けないように結合されることができる。
【0046】
前記巻締めキャップ40の内部の下面には、昇降運動のうち、下降時、巻取ホイール20の結合歯27と結合され、ワイヤ60を巻く方向に巻取ホイール20を回転させるための締め歯47が形成されている。
【0047】
締め歯47は、巻締めキャップ40の内部の下面において、周囲に沿って環状に形成され、巻取ホイール20の結合歯27と噛み合わせられる結合が行われれば、使用者が巻締めキャップ40を回す回転力が巻取ホイール20にも伝えられて、ワイヤ60を締める方向に巻取ホイール20を一緒に回転させることができる。
【0048】
巻締めキャップ40が上昇運動すれば、締め歯47は、結合歯27から分離される。
【0049】
また、巻締めキャップ40は、昇降部材30と結合され、昇降部材30と一緒に昇降作動することができるが、昇降部材30の回転は、許容するように互いに結合される。
【0050】
このため、係止溝42aと係止段32が互いに係止された結合構造を有し、上下方向には互いに拘束されて一緒に昇降し、回転方向には互いに相対的な回転を許容する。
【0051】
より具体的には、昇降部材30の上部に係止段32が環状に形成され、巻締めキャップ40の内部の下面に下面突部42が設けられ、その下面突部42の周囲に前記係止段32が係止される係止溝42aが形成され、互いに係止された結合構造が得られる。
【0052】
図5において、係止溝42aは、下面突部42が昇降部材30の中心孔38に容易に結合されるように、3分割で切開された下面突部42にそれぞれ形成されたものが示されている。
【0053】
これにより、巻締めキャップ40と昇降部材30は、上下方向には互いに拘束されて一緒に昇降し、回転時は互いに拘束しないことにより、回転方向には互いに相対的な回転を許容するものである。
【0054】
このような構造は、巻締めキャップ40が下降して、巻取ホイール20を回転させることにより、巻取ホイール20がワイヤ60を巻き取る場合、昇降部材30の干渉を受けることなく、巻締めキャップ40が回転することができるようにする。
【0055】
一方、前記巻取ホイール20は、ハウジング10の内部空間14に位置し、中央に上下方向の貫通孔21が形成され、外周面の巻取溝23においてワイヤ60を巻く。
【0056】
巻取ホイール20の上部には、貫通孔21を中心に周囲に沿って環状に結合歯27が形成され、巻締めキャップ40の締め歯47と結合されることができる。
【0057】
前記巻取溝23は、巻取ホイール20の上部において、貫通孔21の周囲に沿って環状に形成され、ハウジング10の1対のワイヤ出入孔16から出入りするワイヤ60を巻いて貯蔵する部分である。
【0058】
巻取溝23には、ワイヤ60の端部が固定されるワイヤ固定溝29が形成される。
【0059】
前記巻取ホイール20の貫通孔21の下部には、貫通孔21の内周面に第1ラチェット部26が設置される。
【0060】
前記貫通孔21は、巻取溝23が周辺の周りに形成された上部貫通孔21aと、前記上部貫通孔21aよりも大きな直径であり、周囲に沿って第1ラチェット部26が形成された下部貫通孔21bとに分けて形成される。
【0061】
下部貫通孔21bの第1ラチェット部26は、周囲に一方向に傾斜して形成されたラチェット歯を含み、第1ラチェット部26に昇降部材30の第2ラチェット部36がラチェット結合され、一方向への回転のみが許容されることができる。
【0062】
一方、前記昇降部材30は、貫通孔21に位置して、巻取ホイール20と結合され、巻締めキャップ40と結合されて、貫通孔21内において一緒に昇降運動する部分である。
【0063】
昇降部材30は、下部に第1ラチェット部26と噛み合わせられ、巻取ホイール20に対して一方向の回転を許容し、他方向の回転を遮断する第2ラチェット部36を備え、下端部にハウジング10の係止歯15に係止される噛合歯35が備えられて、昇降運動時、昇降部材30が係止歯15に係止されるか分離される。
【0064】
前記第1ラチェット部26と第2ラチェット部36の噛み合わせ構造は、昇降部材30に対して、巻取ホイール20が、ワイヤ60を巻く方向に相対的に回転することを許容し、ワイヤ60を送り出す方向に相対的に回転することは遮断するように、ラチェット歯の傾斜方向が設定される。
【0065】
前記第2ラチェット部36には、昇降部材30の周囲に複数個のラチェット羽根36aが渦状に固定され、それぞれのラチェット羽根36aの自由端に、第1ラチェット部26のラチェット歯と噛み合わせられてラチェット結合するラチェット羽根歯36bが備えられている。
【0066】
これにより、昇降部材30が下降して、ハウジング10の係止歯15に係止されて停止された状態で、巻締めキャップ40が、巻取ホイール20を、ワイヤ60を巻き取る方向に回転させる場合、巻取ホイール20は、昇降部材30に対して回転し、第1ラチェット部26のラチェット歯が、第2ラチェット部36のラチェット羽根36aを弾性変形させながら、ラチェット羽根歯36bを乗り越えて回転することができる。
【0067】
昇降部材30が係止歯15に係止され状態で、昇降部材30に対して上記と反対方向に巻取ホイール20が回転しようとする場合、第1ラチェット部26のラチェット歯が、第2ラチェット部36のラチェット羽根歯36bに係止されて回転が遮断される。
【0068】
第1ラチェット部26のそれぞれのラチェット歯が下部貫通孔21bの高さだけ上下に長く形成されているので、第2ラチェット部36のラチェット歯は、昇降部材30の昇降運動時、第1ラチェット部26のラチェット歯に沿って上下にスライドされながら噛み合わせられた状態を維持する。
【0069】
これは、第1ラチェット部26及び第2ラチェット部36が、昇降部材30の昇降運動時、互いに分離されないので、分離及び結合による噛み合わせ不良の問題を引き起こさず、その昇降運動が極めてスムーズに行われるようになる。
【0070】
前記昇降部材30の外周面の周囲には、環状に隆起部34が形成され、巻取ホイール20の貫通孔21の内周面には、位置設定部24が形成される。昇降部材30が昇降運動するとき、隆起部34も昇降しながら、位置設定部24を、素材それ自体の弾性変形により乗り越えて、隆起部34が位置設定部24の上側及び下側に位置を維持するようにする。
【0071】
これは、昇降部材30と結合された巻締めキャップ40が上昇された状態及び下降された状態を、そのまま維持することができるようにする。
【0072】
以下、本発明の第1実施形態によるワイヤ締め装置の作動過程についてさらに詳述する。
【0073】
まず、ワイヤ60を巻き取って締めるために、図6のように、使用者は、巻締めキャップ40を押圧して下降させ、巻締めキャップ40を回転させる。
【0074】
図6を参考すると、前記巻締めキャップ40の下降時、上下方向に拘束された昇降部材30が一緒に下降して、昇降部材30の噛合歯35がハウジング10の係止歯15と結合され、回転方向、特にワイヤ60を巻く方向に昇降部材30が回転することを係止歯15が遮断する状態になる。
【0075】
また、巻締めキャップ40の下降により、巻締めキャップ40の締め歯47が巻取ホイール20の結合歯27と噛み合わせられて、結合状態をなす。
【0076】
その状態で、使用者が、巻締めキャップ40を、ワイヤ60を巻く方向に回転させると、締め歯47と結合歯27の結合により、巻締めキャップ40が巻取ホイール20を強制回転させながら、ワイヤ60を巻取溝23に巻き取って締める作用が行われる。
【0077】
このとき、巻取ホイール20の第1ラチェット部26と昇降部材30の第2ラチェット部36の噛み合わせ構造は、昇降部材30に対して、巻取ホイール20が、ワイヤ60を巻く方向に相対的に回転することを許容する。すなわち、ハウジング10の係止歯15に係止されて停止状態である昇降部材30に対して、巻取ホイール20の第1ラチェット部26が、昇降部材30の第2ラチェット部36のラチェット羽根36aを弾性変形させながら乗り越えて、巻取ホイール20の回転が可能である。
【0078】
その状態で、巻締めキャップ40が、巻取ホイール20を、ワイヤ60が送り出される方向に回転させようとするか、ワイヤ60を引っ張る外力により、ワイヤ60が送り出される方向に巻取ホイール20が回転しようとする場合、ハウジング10の係止歯15に係止されて停止状態である昇降部材30に対して、巻取ホイール20の第1ラチェット部26は、第2ラチェット部36に係止されて回転が遮断され、ワイヤ60は、送り出されない。
【0079】
したがって、巻締めキャップ40及び昇降部材30が下降状態である場合は、巻取ホイール20がワイヤ60を巻き取って締める方向への回転のみが可能である。
【0080】
一方、ワイヤ60を送り出すために、使用者は、巻締めキャップ40をつかんで上昇させる。
【0081】
図7を参考すると、前記巻締めキャップ40の上昇時、昇降部材30の噛合歯35がハウジング10の係止歯15から分離され、巻取ホイール20が、ワイヤ60を送り出す方向に自由に回転するように許容される。
【0082】
すなわち、昇降部材30は、巻締めキャップ40と上下方向に拘束されて一緒に上昇して、ハウジング10の係止歯15からは分離され、巻取ホイール20は、拘束されず、自由回転することができる。このとき、巻締めキャップ40が巻取ホイール20と一緒に回転してもかまわない。
【0083】
これにより、ワイヤ60が、外力により、外部に引っ張れる場合、巻取ホイール20から自由に送り出され得る。
【0084】
次に、本発明の第2実施形態によるワイヤ締め装置について説明する。
【0085】
図8乃至図11を参考すると、本発明の第2実施形態によるワイヤ締め装置は、内部空間114が形成され、底部に係止歯115が形成されたハウジング110と、中央に上下方向の貫通孔121が形成され、前記貫通孔121の周囲の外周面にワイヤ160が巻かれる巻取溝123が形成され、巻取溝123の下側において、貫通孔121の内周面に第1ラチェット部126が設置され、上部に結合歯127が形成され、ハウジング110の内部空間114に位置する巻取ホイール120と、前記巻取ホイール120の貫通孔121に位置し、下部に第1ラチェット部126と噛み合わせられて、巻取ホイール120の第1方向への回転を許容し、第2方向への回転を遮断するための第2ラチェット部136を備え、下端部に係止歯115に係止される噛合歯135が設けられた昇降部材130と、前記ハウジング110の上端を覆った状態で位置され、下降時、結合歯127と結合されて、ワイヤ160を巻く方向に巻取ホイール120を回転させるための締め歯147が形成され、昇降部材130と結合されて、昇降部材130と一緒に昇降作動する巻締めキャップ140と、を含む。
【0086】
前記ハウジング110は、内部空間114を取り囲む側壁111aを有し、底部に係止歯115が形成された部分である。
【0087】
巻締めキャップ140は、使用者が手でつかむ外側キャップ141と、その外側キャップ141の内部に固定される内側キャップ143とに分離して構成されてもよい。
【0088】
もちろん、外側キャップ141と内側キャップ143は、一体化された一つの部品で製作されてもよいが、手でつかむ部分である外側キャップ141、及び弾性変形及び噛み合わせ作動を要する内側キャップ143を、それぞれの特性に応じて互いに異なる材質で製作するために分離して構成する。
【0089】
前記巻締めキャップ140において、内側キャップ143の下面には、昇降運動のうち、下降時、巻取ホイール120の結合歯127と結合されて、ワイヤ160を巻く方向に巻取ホイール120を回転させるための締め歯147が形成されている。
【0090】
巻取ホイール120の上部には、貫通孔121を中心に周囲に沿って環状に結合歯127が形成され、巻締めキャップ140の締め歯147と結合される。
【0091】
前記巻取ホイール120には、貫通孔121の上部の外側に側方向に隆起した隆起部128が形成される。
【0092】
前記隆起部128は、巻取ホイール120の上端部に一体で形成され、側方向の外側に隆起した隆起部128は、全体が環状に形成される。
【0093】
また、前記巻締めキャップ140の内側キャップ143には、前記隆起部128を弾性により乗り越える位置設定部145が下側に突出して形成され、前記隆起部128の環状の軌跡に沿って複数個の位置設定部145が配置されるようにする。
【0094】
環状の隆起部128及び複数個の位置設定部145の構成は、その構造を互いに変えて、環状の軌跡に沿って配置される複数個の隆起部128及び環状の位置設定部145の構成に取り替えられてもよく、互いに乗り越えるとき、自体の弾性変形により乗り越えるようにする。
【0095】
これは、昇降部材130と結合された巻締めキャップ140が上昇された状態及び下降された状態を、外力のない場合、そのまま維持することができるようにする。
【0096】
巻締めキャップ140の位置設定部145が、隆起部128よりも上側の高さにあるとき、昇降部材も一緒に上昇の高さにあるようになるので、噛合歯135が係止歯115から離隔し、巻締めキャップ140の位置設定部145が隆起部128よりも下側の高さにあるとき、昇降部材も一緒に下降の高さにあるようになり、噛合歯135が係止歯115と係止されるように位置が設定される。
【0097】
上述した隆起部128が、巻取ホイール120の上部において、貫通孔121の外側に形成されており、隆起部128を、巻取ホイール120の貫通孔121よりも大きな直径で周囲に形成することにより、隆起部128と位置設定部145の接触面積及び範囲を、貫通孔121よりも大きな環状の軌跡に沿って広く形成させることができる。
【0098】
これは、巻締めキャップ140、巻取ホイール120等の素材が、弾性変形が大きくなく、小さな変形が発生する素材で製作されても、隆起部128と位置設定部145が互いに乗り越える力を一定の大きさ以上に維持させるように制作しやすく、円滑な作動もできるように構成しやすくする。
【0099】
若し、前記隆起部128及び位置設定部145が、巻取ホイール120の貫通孔121のように狭い領域内に形成される場合、小さ過ぎる力にも作動しないようにするために、弾性が十分に大きくて、十分な変形が発生する素材を選択しなければならないとともに、設計時、隆起部128の形状にかなりの注意を傾けなければならないという困難さがある。
【0100】
また、巻締めキャップ140がハウジングの上端を覆うように組み立てるとき、巻取ホイール120の隆起部128と巻締めキャップ140の位置設定部145が互いに接触しながら組み立てられ、接触状態で昇降運動が行われる。このような構成は、巻取ホイール120に対する巻締めキャップ140の位置が常時正確に維持され、締め歯147と結合歯127の離隔、及び噛み合わせ動作が常時正確に行われるように案内することができる。
【0101】
以下、本発明の第2実施形態によるワイヤ締め装置の作動過程について説明する。
【0102】
まず、ワイヤ160を巻き取って締めるために、図10のように、使用者は、巻締めキャップ140を押圧して下降させ、巻締めキャップ140を回転させる。
【0103】
前記巻締めキャップ140の下降時、上下方向に拘束された昇降部材130が一緒に下降して、昇降部材130の噛合歯135がハウジング110の係止歯115と結合される。
【0104】
このとき、巻締めキャップ140の位置設定部145が、弾性変形により、隆起部128を乗り越え、隆起部128よりも下側の高さにおいて位置を維持し、昇降部材130も一緒に下降の高さに維持されるようになる。
【0105】
巻締めキャップ140の下降により、巻締めキャップ140の締め歯147が巻取ホイール120の結合歯127と噛み合わせられて、結合状態をなす。
【0106】
その状態で、使用者が、巻締めキャップ140を、ワイヤ160を、巻く方向に回転させると、締め歯147と結合歯127の結合により、巻締めキャップ140が、巻取ホイール120を強制回転させながら、ワイヤ160を巻取溝123に巻き取ることができる。
【0107】
このとき、巻取ホイール120の第1ラチェット部126と昇降部材130の第2ラチェット部136の噛み合わせ構造は、昇降部材130に対して、巻取ホイール120がワイヤ160を巻く方向(第1方向)に相対的に回転することを許容する。すなわち、ハウジング110の係止歯115に係止されて停止状態である昇降部材130に対して、巻取ホイール120の第1ラチェット部126が、昇降部材130の第2ラチェット部136のラチェット羽根136aを弾性変形させながら乗り越えて、巻取ホイール120の回転が可能である。
【0108】
一方、ワイヤ160を送り出すために、図11のように、使用者は、巻締めキャップ140をつかんで上昇させる。
【0109】
このとき、巻締めキャップ140の位置設定部145が、弾性変形により、隆起部128に乗り越え、隆起部128よりも上側の高さにおいて位置を維持し、昇降部材130も一緒に上昇の高さに維持される。
【0110】
前記巻締めキャップ140の上昇時、昇降部材130の噛合歯135がハウジング110の係止歯115から分離されて離隔し、巻取ホイール120がワイヤ160を送り出す方向に自由に回転するように許容される。
【0111】
これにより、ワイヤ160が、外力により、外部に引っ張れる場合、巻取ホイール120から自由に送り出されることができる。
【0112】
次に、本発明の第3実施形態によるワイヤ締め装置について説明する。
【0113】
図12乃至図15を参照すると、本実施形態のワイヤ締め装置は、第1実施形態及び第2実施形態の構成と比べて、拘束部217及び隆起部218の形成位置、及び巻取ホイール220の上端引っ掛け部228及び巻締めキャップ240の係止引っ掛け部248において異なる。
【0114】
また、巻締めキャップ240のうち、内側キャップ243が、環状中心孔243aを有する環状に形成され、締め歯247及び下面突部242が、外側キャップ241の下面において、外側キャップ241と一体で形成され、環状中心孔243aに位置することが異なる。
【0115】
前記拘束部217は、巻取ホイール220が上昇することを遮断するためのものであり、ハウジング210の下端に環状の段状に形成され、巻取ホイール220の下端に形成された環状の拘束縁部225を拘束部217が上側から覆っている。
【0116】
拘束部217が、環状の段状に形成され、巻取ホイール220の拘束縁部225を覆っているので、巻取ホイール220の回転時、拘束縁部225が、拘束部217の下側において拘束された状態で、巻取ホイール220の回転は許容される。
【0117】
一方、前記隆起部218は、ハウジング210の上端部の内周面に環状に形成され、側方向の内側に隆起されている。
【0118】
前記隆起部218を弾性により乗り越える位置設定部245は、巻締めキャップ240の内側キャップ243において下側に突出して形成される。
【0119】
前記位置設定部245は、切開されて、互いに区分される複数個が、環状の軌跡に配置されるように構成されることがさらに好ましい。これは、弾性変形が行われやすく、隆起部218を乗り越える作用がさらに円滑に行われるからである。
【0120】
上記した構成も、第2実施形態と同様に、隆起部218が、巻取ホイール220の上部において、貫通孔221の外側に形成され、隆起部218を、巻取ホイール220の貫通孔221よりも大きな直径で周囲に形成することにより、隆起部218と位置設定部245の接触面積及び範囲を、貫通孔221に形成する場合よりも広く形成することができる。
【0121】
一方、本実施形態では、巻取ホイール220の上端部に上端引っ掛け部228が形成され、巻締めキャップ240には、組立時、上端引っ掛け部228を弾性により乗り越えて係止される係止引っ掛け部248が形成される。
【0122】
前記上端引っ掛け部228及び係止引っ掛け部248は、両方の一つが環状に形成され、残りの一つは、切開されて互いに区分される複数個が環状の軌跡に配置された構造を有することがさらに好ましいであろう。
【0123】
組立時、弾性変形により、上端引っ掛け部228及び係止引っ掛け部248が互いに係止され、上端引っ掛け部228が制限する範囲まで巻締めキャップが上昇することができる。
【0124】
このとき、上端引っ掛け部228が制限する範囲まで巻締めキャップ240が上昇するが、巻締めキャップ240の上昇は、噛合歯235が係止歯215から完全に離隔できる範囲内で可能であるようにする。
【0125】
上記した構成は、第2実施形態の制限突部118及び制限段148の構成を代替したものである。
【0126】
上記した構成は、巻締めキャップ240の内側キャップ243に係止引っ掛け部248が形成され、巻取ホイール220に上端引っ掛け部228が一体で形成されるので、手でつかむ部分である外側キャップ241や内部部品を保護するハウジングを、弾性素材により製作しにくい場合、有用に活用され得る。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、靴、帽子、かばん、衣服等に設置され、ワイヤ(紐)を引っ張って締める用途として活用され得る。
【符号の説明】
【0128】
10、110、210 ハウジング
11、111、211 円筒側壁部
11a、111a 側壁
13、113、213 基部
14、114、214 内部空間
14a、114a 収納溝
15、115、215 係止歯
16、116、216 ワイヤ出入孔
17、117、217 拘束部
18、118 制限突部
20、120、220 巻取ホイール
21、121、221 貫通孔
21a、121a、221a 上部貫通孔
21b、121b、221b 下部貫通孔
23、123、223 巻取溝
24、145、245 位置設定部
26、126、226 第1ラチェット部
27、127、227 結合歯
29、129、229 ワイヤ固定溝
30、130、230 昇降部材
32 係止段
34、128、218 隆起部
35、135、235 噛合歯
36、136、236 第2ラチェット部
36a、136a、236a ラチェット羽根
36b、136b、236b ラチェット羽根歯
40、140、240 巻締めキャップ
42、142、242 下面突部
42a 係止溝
47、147、247 締め歯
48、148 制限段
60、160、260 ワイヤ
225 拘束縁部
228 上端引っ掛け部
248 係止引っ掛け部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15