(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180868
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】ユーザ装置及び通信制御方法
(51)【国際特許分類】
H04W 88/06 20090101AFI20221130BHJP
H04W 12/45 20210101ALI20221130BHJP
H04W 68/00 20090101ALI20221130BHJP
【FI】
H04W88/06
H04W12/45
H04W68/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087603
(22)【出願日】2021-05-25
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 智之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 秀明
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067DD13
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE24
5K067GG11
5K067JJ12
5K067JJ15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ネットワークにおいてRRCインアクティブ状態へ遷移する場合に、tのネットワークへの通信の切り替えが遅れることを抑制するユーザ装置及び通信制御方法を提供する。
【解決手段】第1加入者識別モジュール(SIM)を用いて第1ネットワーク200Aと通信し、第2SIMを用いて第2ネットワーク200Bと通信するユーザ装置UE100は、第1ネットワークにおいてRRC(無線リソース制御)コネクティッド状態で通信中に、第2ネットワークからのページングメッセージを受信すると、当該受信に応じて、第1ネットワークにおいてRRCインアクティブ状態への遷移を期待するインアクティブ切り替え通知を第1ネットワークへ送信してから、所定時間以内にインアクティブ切り替え通知に対する応答を受信しない場合、制御部のRRC処理部131は、第1ネットワークにおいてRRCコネクティッド状態からRRCアイドル状態へ遷移する制御を行う。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1加入者識別モジュール(111)を用いて第1ネットワーク(200A)と通信し、第2加入者識別モジュール(112)を用いて第2ネットワーク(200B)と通信するユーザ装置(100)であって、
前記第1ネットワーク(200A)においてRRCコネクティッド状態で通信中に、前記第2ネットワーク(200B)からのページングメッセージを受信する通信部120と、
前記ページングメッセージの受信に応じて、前記第1ネットワーク(200A)においてRRCインアクティブ状態への遷移を期待することを示すインアクティブ切り替え通知を前記第1ネットワーク(200A)へ送信してから所定時間以内に、前記第1ネットワーク(200A)から前記インアクティブ切り替え通知に対する応答を受信しない場合、前記第1ネットワーク(200A)において前記RRCコネクティッド状態からRRCアイドル状態へ遷移する制御を行う制御部(130)と、を備える
ユーザ装置。
【請求項2】
前記制御部(130)は、
前記所定時間を計時する受信タイマを保持し、
前記受信タイマが満了する前に、前記第1ネットワーク(200A)から前記インアクティブ切り替え通知に対する前記応答を受信した場合、前記第1ネットワーク(200A)において前記RRCコネクティッド状態から前記RRCインアクティブ状態へ遷移する制御を行い、
前記受信タイマが満了するまでに、前記第1ネットワーク(200A)から前記インアクティブ切り替え通知に対する前記応答を受信しない場合、前記第1ネットワーク(200A)において前記RRCコネクティッド状態から前記RRCアイドル状態へ遷移する制御を行う
請求項1に記載のユーザ装置。
【請求項3】
前記制御部(130)は、前記ページングメッセージの受信に応じて、前記第1ネットワーク(200A)において前記RRCアイドル状態への遷移を期待することを示すアイドル切り替え通知を前記第1ネットワーク(200A)へ送信してから所定時間以内に、前記第1ネットワーク(200A)から前記アイドル切り替え通知に対する応答を受信しない場合、前記第1ネットワーク(200A)において前記RRCコネクティッド状態から前記RRCアイドル状態へ遷移し、
前記受信タイマは、前記アイドル切り替え通知を送信してから前記所定時間を計時するタイマと同じである
請求項2に記載のユーザ装置。
【請求項4】
前記制御部(130)は、前記ページングメッセージの受信に応じて、前記第1ネットワーク(200A)において前記RRCアイドル状態への遷移を期待することを示すアイドル切り替え通知を前記第1ネットワーク(200A)へ送信してから所定時間以内に、前記第1ネットワーク(200A)から前記アイドル切り替え通知に対する応答を受信しない場合、前記第1ネットワーク(200A)において前記RRCコネクティッド状態から前記RRCアイドル状態へ遷移し、
前記受信タイマは、前記アイドル切り替え通知を送信してから前記所定時間を計時するタイマと異なる
請求項2に記載のユーザ装置。
【請求項5】
前記制御部(130)は、
無線リソース制御(RRC)レイヤでの処理を行うRRC処理部(131)と、
前記RRCレイヤよりも上位のレイヤである非アクセス層(NAS)レイヤでの処理を行うNAS処理部(132)と、を有し、
前記NAS処理部(132)は、
前記インアクティブ切り替え通知を前記第1ネットワーク(200A)へ送信する制御を行い、
前記インアクティブ切り替え通知の送信に応じて、前記NAS処理部(132)が保持する前記受信タイマを開始する
請求項2から4のいずれか1項に記載のユーザ装置。
【請求項6】
前記NAS処理部(132)は、前記受信タイマに設定すべき前記所定時間を示すタイマ値を前記第1ネットワーク(200A)から受信する
請求項5に記載のユーザ装置。
【請求項7】
前記NAS処理部(132)は、前記受信タイマの満了に応じて、前記RRCアイドル状態への遷移を開始するための通知を前記RRC処理部(131)へ提供する
請求項5又は6に記載のユーザ装置。
【請求項8】
前記制御部(130)は、
無線リソース制御(RRC)レイヤでの処理を行うRRC処理部(131)と、
前記RRCレイヤよりも上位のレイヤである非アクセス層(NAS)レイヤでの処理を行うNAS処理部(132)と、を有し、
前記RRC処理部(131)は、前記受信タイマを保持する
請求項2から4のいずれか1項に記載のユーザ装置。
【請求項9】
前記RRC処理部(131)は、
前記インアクティブ切り替え通知を前記第1ネットワーク(200A)へ送信する制御を行い、
前記インアクティブ切り替え通知の送信に応じて、前記受信タイマを開始する
請求項8に記載のユーザ装置。
【請求項10】
前記RRC処理部(131)は、前記受信タイマに設定すべき前記所定時間を示すタイマ値を前記第1ネットワーク(200A)から受信する
請求項8又は9のいずれか1項に記載のユーザ装置。
【請求項11】
第1加入者識別モジュールを用いて第1ネットワーク(200A)と通信し、第2加入者識別モジュールを用いて第2ネットワーク(200B)と通信するユーザ装置(100)が実行する通信制御方法であって、
前記第1ネットワーク(200A)においてRRCコネクティッド状態で通信中に、前記第2ネットワーク(200B)からのページングメッセージを受信するステップと、
前記ページングメッセージの受信に応じて、前記第1ネットワーク(200A)においてRRCインアクティブ状態への遷移を期待することを示すインアクティブ切り替え通知を前記第1ネットワーク(200A)へ送信してから所定時間以内に、前記第1ネットワーク(200A)から前記インアクティブ切り替え通知に対する応答を受信しない場合、前記第1ネットワーク(200A)において前記RRCコネクティッド状態からRRCアイドル状態へ遷移する制御を行うステップと、を備える
通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムで用いるユーザ装置及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムの標準化プロジェクトである3GPP(3rd Generation Partnership Project)のリリース17では、複数の加入者識別モジュールを搭載したユーザ装置が、複数の通信事業者のネットワークに在圏しつつデータ通信を行う機能を策定するためのワークアイテムが立ち上がっている。現状、複数のネットワークに在圏するユーザ装置がページングを受ける仕組みは標準仕様上に規定がなく、ユーザ装置の実装依存となっている。そのため、それぞれのネットワークと協調して複数のネットワークからページングを受ける方法が3GPP標準化の場で検討されている。
【0003】
ここで、一方のネットワーク(以下、「第1ネットワーク」)においてRRCコネクティッド状態で通信中に、他方のネットワーク(以下、「第2ネットワーク」)からのページングメッセージを受信したケースにおいて、第1ネットワークとの通信よりも第2ネットワークとの通信を優先する場合、ユーザ装置は、第1ネットワークから第2ネットワークへ通信を切り替えるために、一時的に第1ネットワークにおいてRRCコネクティッド状態から遷移する(すなわち、離脱する)旨の切り替え通知を第1ネットワークへ送信することが検討されている(例えば、非特許文献1参照)。第1ネットワークにおいてユーザ装置がRRCコネクティッド状態でなくなることにより、第2ネットワークとの通信中に、第1ネットワークとの不要な通信の発生を抑制できる。
【0004】
第1ネットワークにおいてRRCコネクティッド状態からの遷移は、RRCアイドル状態へ遷移するケースに加えて、第1ネットワークにおいてユーザ装置のコンテキスト情報が保持されるRRCインアクティブ状態へ遷移するケースも検討されている(例えば、非特許文献2参照)。
【0005】
ユーザ装置は、第1ネットワークにおいてRRCコネクティッド状態からRRCインアクティブ状態への遷移を期待する旨を示す切り替え通知を第1ネットワークへ送信することで、第2ネットワークとの通信中に第1ネットワークにおいてRRCインアクティブ状態を維持できる。これにより、第2ネットワークとの通信の終了後に、第1ネットワークとの通信を開始するための手順を簡略化することができる。
【0006】
なお、ユーザ装置は、第1ネットワークにおいてRRCインアクティブ状態へ遷移するためには、RRCインアクティブ状態へ遷移するために必要な設定情報を第1ネットワークから受信しなければならない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】3GPP寄書「R1-2100474」
【非特許文献2】3GPP寄書「R1-2104301」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ユーザ装置が第1ネットワークとの通信よりも第2ネットワークとの通信を優先する場合に、第1ネットワークにおいてRRCコネクティッド状態からRRCインアクティブ状態への遷移を期待する旨を示す切り替え通知をユーザ装置から第1ネットワークへ送信するケースを想定する。
【0009】
ユーザ装置は、第1ネットワークから切り替え通知に対する応答を受信できない場合、第1ネットワークから必要な設定情報を受信することなく自律的にRRCインアクティブ状態へ遷移することができないため、第1ネットワークからの応答を待ち続ける虞がある。これにより、第1ネットワークとの通信よりも第2ネットワークとの通信を優先したにもかかわらず、第1ネットワークから第2ネットワークへの通信の切り替えが遅れるという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、第1ネットワークにおいてRRCインアクティブ状態への遷移を期待する場合に、第1ネットワークから第2ネットワークへの通信の切り替えが遅れることを抑制するユーザ装置及び通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様に係るユーザ装置は、第1加入者識別モジュール(111)を用いて第1ネットワーク(200A)と通信し、第2加入者識別モジュール(112)を用いて第2ネットワーク(200B)と通信するユーザ装置(100)であって、前記第1ネットワークにおいてRRCコネクティッド状態で通信中に、前記第2ネットワークからのページングメッセージを受信する通信部と、前記ページングメッセージの受信に応じて、前記第1ネットワークにおいてRRCインアクティブ状態への遷移を期待することを示すインアクティブ切り替え通知を前記第1ネットワークへ送信してから所定時間以内に、前記第1ネットワークから前記インアクティブ切り替え通知に対する応答を受信しない場合、前記第1ネットワークにおいて前記RRCコネクティッド状態からRRCアイドル状態へ遷移する制御を行う制御部と、を備える。
【0012】
第2の態様に係る通信制御方法は、第1加入者識別モジュールを用いて第1ネットワーク(200A)と通信し、第2加入者識別モジュールを用いて第2ネットワーク(200B)と通信するユーザ装置(100)が実行する通信制御方法であって、前記第1ネットワークにおいてRRCコネクティッド状態で通信中に、前記第2ネットワークからのページングメッセージを受信するステップと、前記ページングメッセージの受信に応じて、前記第1ネットワークにおいてRRCインアクティブ状態への遷移を期待することを示すインアクティブ切り替え通知を前記第1ネットワークへ送信してから所定時間以内に、前記第1ネットワークから前記インアクティブ切り替え通知に対する応答を受信しない場合、前記第1ネットワークにおいて前記RRCコネクティッド状態からRRCアイドル状態へ遷移する制御を行うステップと、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、第1ネットワークにおいてRRCインアクティブ状態への遷移を期待する場合に、第1ネットワークから第2ネットワークへの通信の切り替えが遅れることを抑制するユーザ装置及び通信制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係る移動通信システムの構成例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る移動通信システムのプロトコルスタックの構成例を示す図である。
【
図3】実施形態に係るUE(ユーザ装置)の構成例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る第1ネットワークの基地局の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照しながら、実施形態に係る移動通信システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0016】
[実施形態]
(システム構成)
図1を参照して、実施形態に係る移動通信システム1の構成について説明する。以下において、移動通信システム1が3GPP規格の第5世代システム(5G/NR:New Radio)である一例を主として説明するが、移動通信システム1には、第4世代システム(4G/LTE:Long Term Evolution)システム及び/又は第6世代システムが少なくとも部分的に適用されてもよい。
【0017】
図1に示すように、実施形態に係る移動通信システム1は、ユーザ装置(UE:User Equipment)100と、第1ネットワーク200Aと、第2ネットワーク200Bとを有する。
【0018】
UE100は、移動可能な無線通信装置である。UE100は、ユーザにより利用される装置であればよいが、例えば、UE100は、携帯電話端末(スマートフォンを含む)やタブレット端末、ノートPC、通信モジュール(通信カード又はチップセットを含む)、センサ若しくはセンサに設けられる装置、車両若しくは車両に設けられる装置(Vehicle UE)、飛行体若しくは飛行体に設けられる装置(Aerial UE)である。
【0019】
UE100は、複数の加入者識別モジュール(SIM:Subscriber Identity Module)に対応するマルチSIMデバイスである。UE100は、複数のSIMを用いて複数のネットワークと通信する。以下において、UE100が対応するSIMが2つである一例について主として説明するが、UE100は、3つ以上のSIMに対応していてもよい。「複数のSIMに対応する」とは、UE100が複数のSIMを取り扱う能力を有していることをいい、必ずしもUE100に複数のSIMが搭載されていなくてもよい。このようなUE100は、「複数のSIMをサポートするUE」と呼ばれることがある。なお、SIMは、カード型のSIM(いわゆる、SIMカード)に限らず、予めUE100に組み込まれた組み込み型のSIM(いわゆる、eSIM)であってもよい。SIMは、USIM(Universal Subscriber Identity Module)と呼ばれることがある。
【0020】
第1ネットワーク200Aは、UE100の一方のSIMと対応付けられたネットワークである。第2ネットワーク200Bは、UE100の他方のSIMと対応付けられたネットワークである。UE100は、一方のSIMを用いて第1ネットワーク200Aへの位置登録を行っており、他方のSIMを用いて第2ネットワーク200Bへの位置登録を行っているものとする。すなわち、UE100は、第1ネットワーク200A及び第2ネットワーク200Bのそれぞれに在圏している。第1ネットワーク200A及び第2ネットワーク200Bは、互いに異なる通信事業者のネットワークであってもよい。但し、第1ネットワーク200A及び第2ネットワーク200Bは、同一の通信事業者のネットワークであってもよい。第1ネットワーク200A及び第2ネットワーク200Bには、互いに異なるPLMN(Public Land Mobile Network) IDが割当てられていてもよい。
【0021】
第1ネットワーク200Aは、無線アクセスネットワークを構成する基地局210Aと、コアネットワーク220Aとを有する。コアネットワーク220Aは、コアネットワーク装置として、モビリティ管理装置221Aと、ゲートウェイ装置222Aとを有する。同様に、第2ネットワーク200Bは、無線アクセスネットワークを構成する基地局210Bと、コアネットワーク220Bとを有する。コアネットワーク220Bは、コアネットワーク装置として、モビリティ管理装置221Bと、ゲートウェイ装置222Bとを有する。以下において、基地局210A及び200Bを区別しないときは単に基地局210と呼び、モビリティ管理装置221A及び221Bを区別しないときは単にモビリティ管理装置221と呼び、ゲートウェイ装置222A及び222Bを区別しないときは単にゲートウェイ装置222と呼ぶ。
【0022】
基地局210は、UE100との無線通信を行う無線通信装置である。基地局210は、1又は複数のセルを管理する。基地局210は、自セルとの無線リソース制御(RRC)レイヤにおける接続を確立したUE100との無線通信を行う。基地局210は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(以下、単に「データ」という)のルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として用いられる。「セル」は、UE100との無線通信を行う機能又はリソースを示す用語としても用いられる。1つのセルは1つのキャリア周波数に属する。
図1において、基地局210AがセルC1を管理し、基地局210BがセルC2を管理する一例を示している。UE100は、セルC1及びセルC2の重複領域に位置している。
【0023】
基地局210は、5G/NRの基地局であるgNB、又は4G/LTEの基地局であるeNBであってもよい。以下において、基地局210がgNBである一例について主として説明する。基地局210は、CU(Central Unit)とDU(Distributed Unit)とに機能分割されていてもよい。基地局210は、IAB(Integrated Access and Backhaul)ノード等の中継ノードであってもよい。
【0024】
モビリティ管理装置221は、制御プレーンに対応した装置であって、UE100に対する各種モビリティ管理を行う装置である。モビリティ管理装置221は、NAS(Non-Access Stratum)シグナリングを用いてUE100と通信し、UE100が在圏するトラッキングエリアの情報を管理する。モビリティ管理装置221は、UE100に対して着信を通知するために、基地局210を通じてページングを行う。モビリティ管理装置221は、5G/NRのAMF(Access and Mobility Management Function)、又は4G/LTEのMME(Mobility Management Entity)であってもよい。
【0025】
ゲートウェイ装置222は、ユーザプレーンに対応した装置であって、UE100のデータの転送制御を行う装置である。ゲートウェイ装置222は、5G/NRのUPF(User Plane Function)、又は4G/LTEのS-GW(Serving Gateway)であってもよい。
【0026】
(プロトコルスタックの構成例)
図2を参照して、移動通信システム1のプロトコルスタックの構成例について説明する。
図2に示すように、UE100と基地局210との間の無線区間のプロトコルは、物理(PHY)レイヤと、MAC(Medium Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、RRC(Radio Resource Control)レイヤとを有する。
【0027】
PHYレイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100のPHYレイヤと基地局210のPHYレイヤとの間では、物理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0028】
MACレイヤは、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理、及びランダムアクセスプロシージャ等を行う。UE100のMACレイヤと基地局210のMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。基地局210のMACレイヤはスケジューラを含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及びUE100への割当リソースを決定する。
【0029】
RLCレイヤは、MACレイヤ及びPHYレイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。UE100のRLCレイヤと基地局210のRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0030】
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
【0031】
PDCPレイヤの上位レイヤとしてSDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤが設けられていてもよい。SDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤは、コアネットワークがQoS制御を行う単位であるIPフローとAS(Access Stratum)がQoS制御を行う単位である無線ベアラとのマッピングを行う。
【0032】
RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCレイヤと基地局210のRRCレイヤとの間では、各種設定のためのRRCシグナリングが伝送される。UE100のRRCと基地局210のRRCとの間にRRC接続がある場合、UE100はRRCコネクティッド状態にある。UE100のRRCと基地局210のRRCとの間にRRC接続がない場合、UE100はRRCアイドル状態にある。UE100のRRCと基地局210のRRCとの間のRRC接続がサスペンドされている場合、UE100はRRCインアクティブ状態にある。
【0033】
RRCレイヤの上位に位置するNASレイヤは、UE100のセッション管理及びモビリティ管理を行う。UE100のNASレイヤとモビリティ管理装置221のNASレイヤとの間では、NASシグナリングが伝送される。
【0034】
UE100のNASレイヤにおけるモード(NAS状態)は、アイドルモードとコネクティッドモードとがある。コネクティッドモードでは、UE100のコンテキスト情報がネットワークに保持されており、アイドルモードでは、UE100のコンテキスト情報がネットワークに保持されていない。UE100がコネクティッドモードにある場合、UE100は、RRCコネクティッド状態又はRRCインアクティブ状態にある。UE100がアイドルモードにある場合、UE100は、RRCアイドル状態にある。
【0035】
NASレイヤにおけるモードは、5GMM(5G Mobility Management)モードであってよい。当該モードでは、コネクティッドモードは5GMM-コネクティッドモードであり、アイドルモードは5GMM-アイドルモードであってよい。
【0036】
なお、UE100は、無線インターフェイスのプロトコル以外にアプリケーションレイヤ等を有する。
【0037】
(UEの構成例)
図3を参照して、UE100の構成例について説明する。
図3に示すように、UE100は、アンテナ101と、SIM111と、SIM112と、通信部120と、制御部130とを有する。アンテナ101は、UE100の外部に設けられてもよい。SIM111及びSIM112は、SIMカード又はeSIMである。
【0038】
SIM111は、UE100が第1ネットワーク200Aと通信するために必要な加入者情報及び設定情報を記憶する。SIM111は、第1ネットワーク200AにおけるUE100の識別情報、例えば、電話番号及びIMSI(International Mobile Subscriber Identity)等を記憶する。SIM111は、第1加入者情報モジュールに対応する。UE100は、SIM111を用いて第1ネットワーク200Aと通信する。
【0039】
SIM112は、UE100が第2ネットワーク200Bと通信するために必要な加入者情報及び設定情報を記憶する。SIM112は、第2ネットワーク200BにおけるUE100の識別情報、例えば、電話番号及びIMSI等を記憶する。SIM112は、第2加入者情報モジュールに対応する。UE100は、SIM112を用いて第2ネットワーク200Bと通信する。
【0040】
通信部120は、制御部130の制御下で、アンテナ101を介して第1ネットワーク200Aとの無線通信及び第2ネットワーク200Bとの無線通信を行う。通信部120は、受信部(RX:Receiver)121を1つのみ有していてもよい。この場合、通信部120は、第1ネットワーク200Aからの受信及び第2ネットワーク200Bからの受信を同時に行うことができない。通信部120は、送信部(TX:Transmitter)122を1つのみ有していてもよい。但し、通信部120は、複数の送信部122を有していてもよい。受信部121は、アンテナ101が受信する無線信号をベースバンド信号である受信信号に変換し、受信信号に対する信号処理を行ったうえで制御部130に出力する。送信部122は、制御部130が出力するベースバンド信号である送信信号に対する信号処理を行ったうえで無線信号に変換し、無線信号をアンテナ101から送信する。
【0041】
制御部130は、通信部120を制御するとともに、UE100における各種の制御を行う。制御部130は、SIM111を用いて第1ネットワーク200Aとの通信を制御するとともに、SIM112を用いて第2ネットワーク200Bとの通信を制御する。制御部130は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。メモリは、ROM、EPROM、EEPROM、RAM及びフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでもよい。プロセッサは、デジタル信号のデジタル処理を行うデジタル信号プロセッサ(DSP)と、プログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)とを含んでもよい。なお、メモリの一部は通信部120に設けられていてもよい。また、DSPは、通信部120に設けられていてもよい。
【0042】
制御部130は、RRC処理部131と、NAS処理部132とを含む。RRC処理部131は、RRCレイヤの処理での処理を行う。NAS処理部132は、RRCレイヤよりも上位のレイヤであるNASレイヤの処理での処理を行う。なお、RRC処理部131及びNAS処理部132は、1つのプロセッサにより構成されてもよいし、複数のプロセッサにより構成されてもよい。
【0043】
このように構成されたUE100は、SIM111を用いて第1ネットワーク200Aと通信し、SIM112を用いて第2ネットワーク200Bと通信する。通信部120は、第1ネットワーク200AにおいてRRCコネクティッド状態で通信中に、第2ネットワーク200Bからのページングメッセージを受信する。制御部130は、ページングメッセージの受信に応じて、第1ネットワーク200AにおいてRRCインアクティブ状態への遷移を期待することを示すインアクティブ切り替え通知を第1ネットワーク200Aへ送信してから所定時間以内に、第1ネットワーク200Aからインアクティブ切り替え通知に対する応答を受信しない場合、第1ネットワーク200AにおいてRRCコネクティッド状態からRRCアイドル状態へ遷移する制御を行う。これにより、UE100は、所定時間が経過した後に、第1ネットワーク200Aからのインアクティブ切り替え通知に対する応答を待ち続けることがないため、第1ネットワーク200Aから第2ネットワーク200Bへの通信の切り替えが遅れることを抑制できる。
【0044】
また、制御部130は、所定時間を計時する受信タイマを保持してよい。制御部130は、受信タイマが満了する前に、第1ネットワーク200Aからインアクティブ切り替え通知に対する応答を受信した場合、第1ネットワーク200AにおいてRRCコネクティッド状態からRRCインアクティブ状態へ遷移する制御を行ってよい。制御部130は、受信タイマが満了するまでに、第1ネットワーク200Aからインアクティブ切り替え通知に対する応答を受信しない場合、第1ネットワーク200AにおいてRRCコネクティッド状態からRRCアイドル状態へ遷移する制御を行ってよい。これにより、UE100は、受信タイマが満了する前にインアクティブ切り替え通知に対する応答を受信した場合には、所定時間が経過する前に、RRCインアクティブ状態へ遷移する制御を開始することができると共に、所定時間が経過した後に、第1ネットワーク200Aからのインアクティブ切り替え通知に対する応答を待ち続けることがない。従って、第1ネットワーク200Aから第2ネットワーク200Bへの通信の切り替えが遅れることを抑制できる。
【0045】
また、制御部130は、ページングメッセージの受信に応じて、第1ネットワーク200AにおいてRRCアイドル状態への遷移を期待することを示すアイドル切り替え通知を第1ネットワーク200Aへ送信してから所定時間以内に、第1ネットワーク200Aからアイドル切り替え通知に対する応答を受信しない場合、第1ネットワーク200AにおいてRRCコネクティッド状態からRRCアイドル状態へ遷移してよい。受信タイマは、アイドル切り替え通知を送信してから所定時間を計時するタイマと同じであってよい。これにより、UE100は、複数のタイマを管理する必要がないため、UE100の負荷を低減できる。
【0046】
また、制御部130は、ページングメッセージの受信に応じて、第1ネットワーク200AにおいてRRCアイドル状態への遷移を期待することを示すアイドル切り替え通知を第1ネットワーク200Aへ送信してから所定時間以内に、第1ネットワーク200Aからアイドル切り替え通知に対する応答を受信しない場合、第1ネットワーク200AにおいてRRCコネクティッド状態からRRCアイドル状態へ遷移してよい。受信タイマは、アイドル切り替え通知を送信してから所定時間を計時するタイマと異なってよい。これにより、インアクティブ切り替え通知を送信した場合と、アイドル切り替え通知を送信した場合とで、応答の待ち時間(所定時間)を変えることができる。
【0047】
また、制御部130は、RRC処理部131と、NAS処理部132と、を有してよい。NAS処理部132は、インアクティブ切り替え通知を第1ネットワーク200Aへ送信する制御を行う。NAS処理部132は、インアクティブ切り替え通知の送信に応じて、NAS処理部132が保持する受信タイマを開始してよい。これにより、NAS処理部132において、切り替え通知の送信と受信タイマとの起動とを行うことができるため、RRC処理部131とNAS処理部132との間でやり取りを低減でき、UE100の処理負荷を軽減できる。
【0048】
また、NAS処理部132は、受信タイマに設定すべき所定時間を示すタイマ値を第1ネットワーク200Aから受信してよい。これにより、第1ネットワーク200Aがタイマ値を設定できるため、第1ネットワーク200AにおいてRRCコネクティッド状態から遷移するまでの時間を柔軟に制御することができる。
【0049】
また、NAS処理部132は、受信タイマの満了に応じて、RRCアイドル状態への遷移を開始するための通知をRRC処理部131へ提供してよい。これにより、RRC処理部131は、RRCアイドル状態への遷移を適切に開始することができる。
【0050】
また、制御部130は、RRC処理部131と、NAS処理部132と、を有してよい。RRC処理部131は、受信タイマを保持してよい。これにより、RRC処理部131は、NAS処理部132からの通知なく、受信タイマの満了に応じて、RRCアイドル状態への遷移を開始することができる。RRC処理部131とNAS処理部132との間でやり取りを低減でき、UE100の処理負荷を軽減できる。
【0051】
また、RRC処理部131は、インアクティブ切り替え通知を第1ネットワーク200Aへ送信する制御を行ってよい。RRC処理部131は、インアクティブ切り替え通知の送信に応じて、受信タイマを開始してよい。RRC処理部131において、切り替え通知の送信と受信タイマとの起動とを行うことができるため、RRC処理部131とNAS処理部132との間でやり取りを低減でき、UE100の処理負荷を軽減できる。
【0052】
また、RRC処理部131は、受信タイマに設定すべき所定時間を示すタイマ値を第1ネットワーク200Aから受信してよい。これにより、第1ネットワーク200Aがタイマ値を設定できるため、第1ネットワーク200AにおいてRRCコネクティッド状態から遷移するまでの時間を柔軟に制御することができる。
【0053】
なお、UE100が備える機能部(具体的には、アンテナ101と、SIM111と、SIM112と、通信部120と、制御部130(RRC処理部131及びNAS処理部132)との少なくともいずれか)の動作を、UE100の動作として説明することがある。
【0054】
(基地局の構成例)
図4を参照して、第1ネットワーク200Aの基地局210Aの構成例について説明する。なお、第2ネットワーク200Bの基地局210Bも基地局210Aと同様の構成であるため、説明を省略する。
図4に示すように、基地局210Aは、アンテナ211と、通信部212と、ネットワーク通信部213と、制御部214とを有する。
【0055】
通信部212は、制御部214の制御下で、アンテナ211を介してUE100との通信を行う。通信部212は、受信部212aと、送信部212bとを有する。受信部212aは、アンテナ211が受信する無線信号をベースバンド信号である受信信号に変換し、受信信号に対する信号処理を行ったうえで制御部214に出力する。送信部212bは、制御部214が出力するベースバンド信号である送信信号に対する信号処理を行ったうえで無線信号に変換し、無線信号をアンテナ211から送信する。
【0056】
ネットワーク通信部213は、コアネットワーク220Aと接続される。ネットワーク通信部213は、制御部214の制御下で、モビリティ管理装置221A及びゲートウェイ装置222Aとのネットワーク通信を行う。
【0057】
制御部214は、通信部212を制御するとともに、基地局210Aにおける各種の制御を行う。制御部214は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。メモリは、ROM、EPROM、EEPROM、RAM及びフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでもよい。プロセッサは、デジタル信号のデジタル処理を行うデジタル信号プロセッサ(DSP)と、プログラムを実行する中央演算処理装置(CPU)とを含んでもよい。なお、メモリの一部は通信部212に設けられていてもよい。また、DSPは、通信部212に設けられていてもよい。
【0058】
なお、基地局210Aが備える機能部(具体的には、アンテナ211と、通信部212と、ネットワーク通信部213と、制御部214との少なくともいずれか)の動作を、基地局210Aの動作として説明することがある。
【0059】
(移動通信システムの動作)
移動通信システム1の動作について説明する。
【0060】
(1)第1動作例
図5を参照して、移動通信システム1の第1動作例について説明する。第1動作例は、受信タイマが満了する前に、UE100が切り替え通知に対する応答を受信したケースを説明する。
【0061】
図5に示す動作例おいて、UE100は、第1ネットワーク200Aの基地局210Bが管理するセルC1に在圏しており、第2ネットワーク200Bの基地局210Bが管理するセルC2に在圏している。
【0062】
図5に示すように、UE100は、第1ネットワークにおいてRRCコネクティッド状態にあり、第1ネットワークにおいて通信中である。UE100は、例えば、第1ネットワーク200Aから、音声通話等のサービスの提供を受けている。なお、「第1ネットワークにおいて通信中」とは、UE100が、第1ネットワークにおいて少なくともRRCコネクティッド状態であればよく、必ずしも第1ネットワークとのデータのやり取りを連続的に行っていなくてもよい。
【0063】
図5に示すように、UE100は、第2ネットワーク200BにおいてRRCアイドル状態にある。なお、UE100は、第2ネットワーク200BにおいてRRCインアクティブ状態にあってよい。UE100は、第1ネットワーク200AにおけるRRCコネクティッド状態を維持した状態で、第2ネットワーク200Bからのページングを監視する。UE100は、例えば、第1ネットワーク200Aとの通信中断期間に、ページングを監視できる。
【0064】
なお、第1ネットワーク200Aのコアネットワーク装置であるモビリティ管理装置221A、及び第2ネットワーク200Bのコアネットワーク装置であるモビリティ管理装置221Bのそれぞれが、AMFであるとして、説明を進める。
【0065】
また、以下において、RRC処理部131及びNAS処理部132は、通信部120を介して、第2ネットワーク200Bと通信(具体的には、メッセージ等の送受信/通知)を行うが、説明を簡便にするため、通信部120を介した通信であるとの説明を適宜省略する。また、AMF221Bは、基地局210Bを介して、UE100(具体的には、NAS処理部132)と通信(メッセージ等の送受信/通知)を行うが、説明を簡便にするため、基地局210Bを介した通信であるとの説明を適宜省略する。
【0066】
ステップS101:
AMF221Bは、UE100宛のページングの送信を要求するページング要求(Paging request)を基地局210Bに送信する。基地局210Bのネットワーク通信部213は、ページング要求を受信する。
【0067】
ページング要求は、ページングの理由を示すページング理由情報(Paging Cause)を含んでよい。ページング理由情報は、例えば、ページングの理由が音声通話であるか否かを示すものであってよい。
【0068】
ステップS102:
基地局210Bの通信部212は、ページング要求の受信に応じて、UE100宛のページングメッセージ(Paging)を送信する。UE100の通信部120は、ページングメッセージを受信する。従って、通信部120は、第1ネットワーク200AにおいてRRCコネクティッド状態で通信中に、第2ネットワーク200Bからのページングメッセージを受信する。
【0069】
ページングメッセージは、1以上のUE100への通知に用いられる。ページングメッセージは、RRCレイヤのメッセージである。ページングメッセージは、例えば、UE100のIDを含む。より具体的には、例えば、ページングメッセージは、ページングレコードのリストを含み、当該リスト内の1つのページングレコードは、UE100のIDを含む。例えば、当該IDは、UE100の5G-S-TMSI又はフルI-RNTI(Inactive Radio Network Temporary Identifier)である。
【0070】
ページングメッセージには、ページング理由情報が含まれていてよい。ページング理由情報は、例えば、UE100のIDと関連付けられていてよい。
【0071】
RRC処理部131は、ページングメッセージがUE100のIDを含む場合であって、UE100が、第1ネットワーク200Aと通信中に、第2ネットワーク200BについてRRCインアクティブ状態にある場合に、ステップS103の処理を実行できる。
【0072】
RRC処理部131は、ページングメッセージがUE100のIDを含む場合であって、UE100が、第1ネットワーク200Aと通信中でない場合、例えば、UE100が、第1ネットワーク200AについてRRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態にある場合、ステップS103の処理を行わず、ページングメッセージを受信した際の規定の処理を実行してよい。
【0073】
ステップS103:
RRC処理部131は、ページング受信通知をNAS処理部132へ提供する。NAS処理部132は、ページング受信通知から受け取る。ページング受信通知は、UE100がページングを受信したことを通知するためのものである。RRC処理部131は、ページング受信通知により、UE100がRRCインアクティブ状態であるときにページングメッセージを受信したことをNAS処理部132へ示してよい。
【0074】
ページング受信通知は、ページング理由情報を含んでよい。なお、ページング受信通知は、例えば、UE100がRRCアイドル状態にある場合、UE100の識別子(UE ID)を含んでいてもよい。
【0075】
NAS処理部132は、第1ネットワークとの通信と第2ネットワークとの通信との優先度を判定する。具体的には、NAS処理部132は、第1ネットワーク200Aとの通信と、ページングに対応する第2ネットワーク200Bとの通信とのいずれを優先するか(又はいずれを好むか)を判定する。なお、NAS処理部132は、第1ネットワークとの接続と第2ネットワークとの接続のどちらがより重要であるかを判定してもよい。
【0076】
NAS処理部132は、第1ネットワーク200Aから提供を受けているサービスに基づいて、第1ネットワーク200Aとの通信と、ページングに対応する第2ネットワーク200Bとの通信とのいずれを優先するかを判定してよい。
【0077】
NAS処理部132は、例えば、ページング理由情報を受信した場合、ページング理由情報により示されるページング理由に基づいて、第1ネットワーク200Aとの通信と、ページングに対応する第2ネットワーク200Bとの通信とのいずれを優先するかを判定してよい。
【0078】
NAS処理部132は、第1ネットワーク200Aとの通信を第2ネットワーク200Bとの通信よりも優先すると判定した場合、ステップS104の処理を実行する。一方で、NAS処理部132は、第2ネットワーク200Bとの通信を第1ネットワーク200Aとの通信よりも優先すると判定した場合、ステップS104の処理を行わずに、例えば、制御部130は、第1ネットワーク200AにおいてRRCコネクティッド状態からRRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態へと遷移するための制御を行ってよい。制御部130は、第2ネットワーク200BとのRRC接続の確立し、第2ネットワーク200Bとの通信を行ってよい。
【0079】
ステップS104:
NAS処理部132は、切り替え通知(long time switch)を第1ネットワーク200Aへ送信する制御を行う。本動作例では、NAS処理部132は、NASメッセージにより、切り替え通知をAMF211Aへ送信する。AMF211Aは、切り替え通知をUE100から受信する。
【0080】
切り替え通知は、第1ネットワークから第2ネットワークへ通信を切り替えるために、一時的に第1ネットワーク200Aを離脱する旨の通知である。より具体的には、切り替え通知は、第1ネットワークにおいてRRCコネクティッド状態から遷移する(すなわち、離脱する)旨の通知である。
【0081】
切り替え通知は、第1ネットワーク200AにおいてRRCコネクティッド状態からRRCインアクティブ状態への遷移を期待することを示す場合、インアクティブ切り替え通知と称されてよい。従って、インアクティブ切り替え通知は、例えば、第1ネットワーク200AにおいてRRCコネクティッド状態からRRCインアクティブ状態への遷移を期待することを示す情報(RRC_INACTIVE期待)を含む切り替え通知である。本動作例では、NAS処理部132は、切り替え通知として、インアクティブ切り替え通知を送信する。
【0082】
なお、切り替え通知は、第1ネットワーク200AにおいてRRCコネクティッド状態からRRCアイドル状態への遷移を期待することを示す場合、アイドル切り替え通知と称されてよい。従って、アイドル切り替え通知は、例えば、第1ネットワーク200AにおいてRRCコネクティッド状態からRRCアイドル状態への遷移を期待することを示す情報(RRC_IDLE期待)を含む切り替え通知である。
【0083】
なお、NAS処理部132は、例えば、第1ネットワーク200Aから提供を受けているサービスとページング理由情報(ページング理由)との少なくとも一方に基づいて、RRCインアクティブ状態への遷移を期待するか、RRCアイドル状態への遷移を期待するかを決定してもよい。
【0084】
ステップS105:
NAS処理部132は、受信タイマを開始する。NAS処理部132は、ステップS104においてインアクティブ切り替え通知の送信に応じて、受信タイマを開始する。
【0085】
NAS処理部132は、受信タイマを保持する。受信タイマは、インアクティブ切り替え通知を第1ネットワーク200Aへ送信してからの所定時間を計時するタイマである。従って、受信タイマは、所定時間の経過後に満了する。受信タイマが満了した場合のUE100の動作は、後述する。本動作例では、NAS処理部132が、受信タイマを保持する。
【0086】
NAS処理部132は、受信タイマに設定すべき所定時間を示すタイマ値を第1ネットワーク200Aから受信してよい。NAS処理部132は、例えば、タイマ値をAMF211Aから受信してよい。NAS処理部132は、例えば、UE100を第1ネットワーク200Aへ登録するための登録手順及び/又は第1ネットワーク200Aでの登録を更新するための登録更新手順において、タイマ値を受信してもよい。
【0087】
ステップS106:
AMF211Aは、切り替え通知に対する応答である切り替え通知応答(long time switch response)をUE100へ送信する。NAS処理部132は、切り替え通知応答をAMF211Aから受信する。本動作例では、切り替え通知応答は、NASメッセージにより送信される。
【0088】
NAS処理部132は、切り替え通知応答の受信に応じて、ステップS107の処理を実行してよい。
【0089】
ステップS107:
NAS処理部132は、受信タイマを停止する。
【0090】
ステップS108:
AMF211Aは、RRC解放指示(RRCRelease指示)を基地局210Aへ送信する。基地局210Aのネットワーク通信部213は、RRC解放指示をAMF211Aから受信する。
【0091】
RRC解放指示は、UE100のRRC接続を解放するための指示である。
【0092】
ステップS109:
基地局210Aは、RRC解放メッセージ(RRCRelease)をUE100へ送信する。UE100の通信部120(RRC処理部131)は、RRC解放メッセージを基地局210Aから受信する。
【0093】
RRC解放メッセージは、RRCインアクティブ状態へ遷移するために必要な設定情報(suspendConfig)を含んでよい。
【0094】
ステップS110:
RRC処理部131は、第1ネットワーク200AにおいてRRCコネクティッド状態からRRCインアクティブ状態へと遷移する制御を行う。RRC処理部131は、設定情報に基づいて、RRCインアクティブ状態へと遷移する制御を行う。RRC処理部131は、受信タイマが満了する前に、切り替え通知応答を受信した場合、RRCインアクティブ状態へと遷移する制御を行うことができる。
【0095】
ステップS111:
RRC処理部131は、第1ネットワーク200AにおいてRRCインアクティブ状態へ遷移したことに応じて、インアクティブ遷移完了通知をNAS処理部132へ提供する。NAS処理部132は、インアクティブ遷移完了通知をRRC処理部131から受け取る。
【0096】
インアクティブ遷移完了通知は、RRCインアクティブ状態への遷移が完了したことを通知するためのものである。NAS処理部132は、インアクティブ遷移完了通知の受信に応じて、第1ネットワーク200AにおいてRRCインアクティブ状態への遷移が完了したことを把握する。NAS処理部132は、第1ネットワーク200AにおいてRRCインアクティブ状態への遷移が完了したことに応じて、ステップS112の処理を実行する。
【0097】
ステップS112:
NAS処理部132は、RRC接続指示をRRC処理部131へ提供する。RRC処理部131は、RRC接続指示をNAS処理部132から受け取る。
【0098】
RRC接続処理は、第2ネットワーク200BにおいてRRC接続の確立を開始するための指示である。NAS処理部132は、インアクティブ遷移完了通知の受信に応じて、RRC接続指示をRRC処理部131へ提供できる。RRC処理部131は、RRC接続指示の受信に応じて、ステップS113の処理を開始する。
【0099】
ステップS113:
RRC処理部131は、基地局210BとRRC接続を開始するための処理を行う。RRC処理部131は、例えば、RRCセットアップ手順(Setup)又はRRC再確立手順(Reestablishment)を実行する。
【0100】
ステップS114:
RRC処理部131は、基地局210BとのRRC接続の確立に応じて、RRC切り替え完了通知をNAS処理部132へ提供する。NAS処理部132は、RRC切り替え完了通知をRRC処理部131から受け取る。
【0101】
RRC切り替え完了通知は、第2ネットワーク200BにおいてRRC接続の確立が完了したことを示す通知である。RRC切り替え完了通知は、第2ネットワーク200BにおいてRRCコネクティッド状態への遷移が完了したことを示す通知であってもよい。
【0102】
ステップS115:
NAS処理部132は、第2ネットワーク200Bにおいてページングメッセージに対応する通信を行うための処理を開始する。
【0103】
(2)第2動作例
図6を参照して、第2動作例について、上述の動作例との相違点を主として説明する。第2動作例では、受信タイマが満了するまでに、UE100が切り替え通知に対する応答を受信しないケースを説明する。
【0104】
ステップS201からS205:
ステップS101からS105と同様である。
【0105】
ステップS206:
AMF211Aは、ステップS106と同様に、切り替え通知に対する応答である切り替え通知応答(long time switch response)をUE100へ送信するものの、UE100は、切り替え通知応答を受信できない。
【0106】
ステップS207:
切り替え通知の送信から所定時間経過することにより、受信タイマが満了する。
【0107】
ステップS208:
NAS処理部132は、受信タイマの満了に応じて、受信タイマ満了通知をRRC処理部131へ提供する。RRC処理部131は、受信タイマ満了通知をNAS処理部132から受け取る。
【0108】
受信タイマ満了通知は、受信タイマが満了したことを示す通知である。受信タイマ満了通知は、RRCアイドル状態への遷移を開始するための通知であってよい。
【0109】
ステップS209:
RRC処理部131は、受信タイマ満了通知の受信に応じて、第1ネットワーク200AにおいてRRCコネクティッド状態からRRCアイドル状態へと遷移する制御を行う。従って、UE100の制御部130は、ページングメッセージの受信に応じてインアクティブ切り替え通知を第1ネットワーク200Aへ送信してから所定時間以内に、第1ネットワーク200Aからインアクティブ切り替え通知応答を受信しない場合、第1ネットワーク200AにおいてRRCコネクティッド状態からRRCアイドル状態へ遷移する制御を行う。より具体的には、制御部130は、受信タイマが満了するまでに、第1ネットワーク200Aからインアクティブ切り替え通知応答を受信しない場合、第1ネットワーク200AにおいてRRCコネクティッド状態からRRCアイドル状態へ遷移する制御を行う。
【0110】
ステップS210:
RRC処理部131は、第1ネットワーク200AにおいてRRCアイドル状態へ遷移したことに応じて、アイドル遷移完了通知をNAS処理部132へ提供する。NAS処理部132は、アイドル遷移完了通知をRRC処理部131から受け取る。
【0111】
アイドル遷移完了通知は、RRCアイドル状態への遷移が完了したことを通知するためのものである。NAS処理部132は、アイドル遷移完了通知の受信に応じて、第1ネットワーク200AにおいてRRCアイドル状態への遷移が完了したことを把握する。NAS処理部132は、第1ネットワーク200AにおいてRRCアイドル状態への遷移が完了したことに応じて、ステップS211の処理を実行する。
【0112】
ステップS211からS214:
ステップS112からS115と同様である。
【0113】
(3)第3動作例
図7を参照して、第3動作例について、上述の動作例との相違点を主として説明する。第3動作例では、RRC処理部131が受信タイマを保持すると共に、切り替え通知を送信するケースである。また、受信タイマが満了する前に、UE100が切り替え通知に対する応答を受信するケースである。
【0114】
ステップS301からS303:
ステップS101からS103と同様である。
【0115】
ステップS304:
NAS処理部132は、切り替え通知指示(long time switch指示)をRRC処理部131へ提供する。RRC処理部131は、切り替え通知指示をNAS処理部132から受け取る。
【0116】
切り替え通知指示は、RRC処理部131へ切り替え通知の送信を指示するものである。切り替え通知指示は、インアクティブ切り替え通知の送信を指示するものであってよいし、アイドル切り替え通知の送信を指示するものであってよい。NAS処理部132は、RRCインアクティブ状態への遷移を期待する場合に、インアクティブ切り替え通知の送信を指示してよい。NAS処理部132は、RRCアイドル状態への遷移を期待する場合に、アイドル切り替え通知の送信を指示してよい。
【0117】
NAS処理部132は、ステップS104で説明したように、第1ネットワーク200Aから提供を受けているサービスとページング理由情報(ページング理由)との少なくとも一方に基づいて、RRCインアクティブ状態への遷移を期待するか、RRCアイドル状態への遷移を期待するかを決定してもよい。
【0118】
ステップS305:
RRC処理部131は、切り替え通知を第1ネットワーク200Aへ送信する制御を行う。本動作例では、RRC処理部131は、RRCメッセージにより、切り替え通知を基地局210Aへ送信する。基地局210Aは、切り替え通知をUE100から受信する。
【0119】
ステップS306:
RRC処理部131は、受信タイマを開始する。RRC処理部131は、ステップS305においてインアクティブ切り替え通知の送信に応じて、受信タイマを開始する。
【0120】
RRC処理部131は、受信タイマに設定すべき所定時間を示すタイマ値を第1ネットワーク200Aから受信してよい。RRC処理部131は、例えば、タイマ値を基地局210Aから受信してよい。RRC処理部131は、例えば、RRC再設定メッセージにより、タイマ値を受信してよい。
【0121】
ステップS307:
基地局210Aは、切り替え通知応答をUE100へ送信する。RRC処理部131は、切り替え通知応答を基地局210Aから受信する。本動作例では、切り替え通知応答は、RRCメッセージにより送信される。
【0122】
また、基地局210Aは、RRC解放メッセージをUE100へ送信する。UE100の通信部120(RRC処理部131)は、RRC解放メッセージを基地局210Aから受信する。RRC解放メッセージは、RRCインアクティブ状態へ遷移するために必要な設定情報を含んでよい。
【0123】
なお、基地局210Aは、切り替え通知応答とRRC解放メッセージとを別々に送信しているが、これに限られない。基地局210Aは、例えば、切り替え通知応答として、RRC解放メッセージを送信してもよい。
【0124】
ステップS308:
RRC処理部131は、受信タイマを停止する。RRC処理部131は、切り替え通知応答又はRRC解放メッセージの受信に応じて、受信タイマを停止してよい。
【0125】
また、RRC処理部131は、受信タイマを停止したこと又はRRC解放メッセージの受信に応じて、ステップS309の処理を実行してよい。
【0126】
ステップS309~S314:
ステップS110からS115と同様である。
【0127】
(4)第4動作例
図8を参照して、第4動作例について、上述の動作例との相違点を主として説明する。第4動作例では、第3動作例と同様に、RRC処理部131が受信タイマを保持すると共に、切り替え通知を送信するケースである。また、第4動作例では、受信タイマが満了するまでに、UE100が切り替え通知に対する応答を受信しないケースを説明する。
【0128】
ステップS401からS406:
ステップS101からS105と同様である。
【0129】
ステップS407:
基地局210Aは、ステップS307と同様に、切り替え通知応答をUE100へ送信するものの、UE100は、切り替え通知応答を受信できない。基地局210Aは、RRC解放メッセージをUE100へ送信するものの、UE100は、RRC解放メッセージを受信できなくてもよい。
【0130】
ステップS408:
切り替え通知の送信から所定時間経過することにより、受信タイマが満了する。
【0131】
ステップS409:
RRC処理部131は、受信タイマ満了に応じて、第1ネットワーク200AにおいてRRCコネクティッド状態からRRCアイドル状態へと遷移する制御を行う。
【0132】
ステップS410からS414:
ステップS210からS214と同様である。
【0133】
(5)第5動作例
図9を参照して、第5動作例について、上述の動作例との相違点を主として説明する。第5動作例では、RRC処理部131が受信タイマを保持する一方で、NAS処理部132が切り替え通知を送信するケースである。また、受信タイマが満了する前に、UE100が切り替え通知に対する応答を受信するケースである。
【0134】
ステップS501からS504:
ステップS101からS104と同様である。
【0135】
ステップS505:
NAS処理部132は、受信タイマ開始指示をRRC処理部131へ提供する。RRC処理部131は、受信タイマ開始指示をNAS処理部132から受け取る。NAS処理部132は、インアクティブ切り替え通知の送信に応じて、受信タイマ開始指示を提供する。
【0136】
受信タイマ開始指示は、受信タイマを開始するための指示である。受信タイマ開始指示は、受信タイマに設定すべき所定時間を示すタイマ値を含んでいてもよい。
【0137】
ステップS506:
RRC処理部131は、受信タイマを開始する。RRC処理部131は、受信タイマ開始指示の受信に応じて、受信タイマを開始する。
【0138】
ステップS507:
ステップS106と同様である。
【0139】
ステップS508:
NAS処理部132は、受信タイマ停止指示をRRC処理部131へ提供してもよい。RRC処理部131は、受信タイマ停止指示をNAS処理部132から受け取ってよい。NAS処理部132は、切り替え通知応答の受信に応じて、受信タイマ停止指示を提供できる。受信タイマ停止指示は、受信タイマを停止するための指示である。
【0140】
ステップS509及びS510:
ステップS108及びS109と同様である。
【0141】
ステップS511:
RRC処理部131は、受信タイマを停止する。RRC処理部131は、受信タイマ停止指示の受信に応じて、受信タイマを停止してもよく、RRC解放メッセージの受信に応じて、受信タイマを停止してもよい。
【0142】
また、RRC処理部131は、受信タイマを停止したこと又はRRC解放メッセージの受信に応じて、ステップS512の処理を実行してよい。
【0143】
ステップS512からS517:
ステップS110からS115と同様である。
【0144】
(6)第6動作例
図10を参照して、第6動作例について、上述の動作例との相違点を主として説明する。第6動作例では、第5動作例と同様に、RRC処理部131が受信タイマを保持する一方で、NAS処理部132が切り替え通知を送信するケースである。また、第6動作例では、受信タイマが満了するまでに、UE100が切り替え通知に対する応答を受信しないケースを説明する。
【0145】
ステップS601からS606:
ステップS501からS505と同様である。
【0146】
ステップS607:
AMF211Aは、ステップS206と同様に、切り替え通知に対する応答である切り替え通知応答をUE100へ送信するものの、UE100は、切り替え通知応答を受信できない。
【0147】
ステップS608からS614:
ステップS408からS414と同様である。
【0148】
(7)第7動作例
図11を参照して、第7動作例について、上述の動作例との相違点を主として説明する。第7動作例では、アイドル切り替え通知を送信するケースである。
【0149】
ステップS701からS704:
ステップS401からS404と同様である。
【0150】
ステップS705:
RRC処理部131は、アイドル切り替え通知を第1ネットワーク200Aへ送信する制御を行う。
【0151】
ステップS706:
RRC処理部131は、受信タイマを開始する。受信タイマは、インアクティブ切り替え通知を送信した場合に用いる受信タイマと同じであってよい。従って、受信タイマに設定されるタイマ値、すなわち、受信タイマが開始してから満了するまでの所定時間は、インアクティブ切り替え通知を送信した場合とアイドル切り替え通知を送信した場合とで同じであってよい。
【0152】
或いは、受信タイマは、インアクティブ切り替え通知を送信した場合に用いる受信タイマと異なってよい。従って、受信タイマに設定されるタイマ値、すなわち、受信タイマが開始してから満了するまでの所定時間は、インアクティブ切り替え通知を送信した場合とアイドル切り替え通知を送信した場合とで異なってよい。
【0153】
例えば、インアクティブ切り替え通知を送信した場合に用いる受信タイマ(以下、第1受信タイマ)のタイマ値は、アイドル切り替え通知を送信した場合に用いる受信タイマ(以下、第2受信タイマ)のタイマ値よりも長くてよい。これにより、UE100が、インアクティブ切り替え通知の応答を待つ時間が長くなるため、応答を受け取り易くなる。その結果、UE100が、第2ネットワークとの通信の終了後に、第1ネットワークとの通信を開始するための手順を簡略化することができるRRCインアクティブ状態になり易くすることができる。
【0154】
また、第1受信タイマのタイマ値は、第2受信タイマのタイマ値よりも短くてよい。これにより、第1受信タイマのタイマ値は、第2受信タイマのタイマ値よりも長い場合と比較して、インアクティブ切り替え通知の応答を受け取れない場合に、第1ネットワーク200Aとの通信よりも優先している第2ネットワーク200Bとの通信を早く開始することができる。
【0155】
ステップS707及びS708:
ステップS407及びS408と同様である。
【0156】
ステップS709:
RRC処理部131は、受信タイマ満了通知の受信に応じて、第1ネットワーク200AにおいてRRCコネクティッド状態からRRCアイドル状態へと遷移する制御を行う。従って、UE100の制御部130は、ページングメッセージの受信に応じてアイドル切り替え通知を第1ネットワーク200Aへ送信してから所定時間以内に、第1ネットワーク200Aからアイドル切り替え通知に対する応答を受信しない場合、第1ネットワーク200AにおいてRRCコネクティッド状態からRRCアイドル状態へ遷移する制御を行う。
【0157】
なお、RRC処理部131は、所定時間以内に、第1ネットワーク200Aからアイドル切り替え通知に対する応答又は、RRC解放メッセージを受信した場合、第1ネットワーク200AにおいてRRCコネクティッド状態からRRCアイドル状態へ遷移する制御を行う。
【0158】
ステップS710からS714:
ステップS410及びS414と同様である。
【0159】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、各動作例の切り替え通知は、long time switchと称されてもよいし、他の名称であってもよい。切り替え通知は、例えば、RRCコネクティッド状態から離れるための切り替え手順(switching procedure for leaving RRC_CONNECTED state)において用いられるメッセージ又は情報要素であってよい。
【0160】
上述の実施形態において、タイマ値は、UE100に予め保持されていてもよい。従って、UE100は、第1ネットワーク200Aからタイマ値を受信しなくてもよい。
【0161】
上述の実施形態の動作におけるステップは、必ずしもフロー図又はシーケンス図に記載された順序に沿って時系列に実行されなくてよい。例えば、動作におけるステップは、フロー図又はシーケンス図として記載した順序と異なる順序で実行されても、並列的に実行されてもよい。また、動作におけるステップの一部が削除されてもよく、さらなるステップが処理に追加されてもよい。さらに、上述の各動作フローは、別個独立に実施する場合に限らず、2以上の動作フローを組み合わせて実施可能である。例えば、1つの動作フローの一部のステップを他の動作フローに追加してもよいし、1つの動作フローの一部のステップを他の動作フローの一部のステップと置換してもよい。
【0162】
UE100又は基地局210が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。また、UE100又は基地局210が行う各処理を実行する回路を集積化し、UE100又は基地局210の少なくとも一部を半導体集積回路(チップセット、SoC)として構成してもよい。
【0163】
なお、上述の実施形態において、「送信する(transmit)」は、送信に使用されるプロトコルスタック内の少なくとも1つのレイヤの処理を行うことを意味してもよく、又は、無線又は有線で信号を物理的に送信することを意味してもよい。或いは、「送信する」は、上記少なくとも1つのレイヤの処理を行うことと、無線又は有線で信号を物理的に送信することとの組合せを意味してもよい。同様に、「受信する(receive)」は、受信に使用されるプロトコルスタック内の少なくとも1つのレイヤの処理を行うことを意味してもよく、又は、無線又は有線で信号を物理的に受信することを意味してもよい。或いは、「受信する」は、上記少なくとも1つのレイヤの処理を行うことと、無線又は有線で信号を物理的に受信することとの組合せを意味してもよい。
【0164】
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0165】
1 :移動通信システム
100 :UE
101 :アンテナ
120 :通信部
121 :受信部
122 :送信部
130 :制御部
131 :RRC処理部
132 :NAS処理部
200 :基地局
200A :第1ネットワーク
200B :第2ネットワーク
210A :基地局
210B :基地局
211 :アンテナ
212 :通信部
212a :受信部
212b :送信部
213 :ネットワーク通信部
214 :制御部
220A :コアネットワーク
220B :コアネットワーク
221A :モビリティ管理装置
221B :モビリティ管理装置
222A :ゲートウェイ装置
222B :ゲートウェイ装置