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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180880
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】密集度監視システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20221130BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20221130BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B25/10 A
G08B21/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087618
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】515086908
【氏名又は名称】株式会社トヨタプロダクションエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 琴音
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086CA06
5C086CB27
5C086DA08
5C086DA14
5C086GA09
5C087AA02
5C087AA03
5C087BB20
5C087BB74
5C087DD03
5C087DD20
5C087EE07
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF16
5C087FF23
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG67
5C087GG83
(57)【要約】
【課題】人の密集度を監視する密集度監視エリアを簡易かつ柔軟に形成することができる密集度監視システムを提供すること。
【解決手段】人に携帯させて識別情報を有した無線信号を所定送信電力で送信する1以上の送信機11~18と、無線信号を受信し、受信した無線信号内の識別情報を監視装置20に送信する送受信機1,2と、送受信機1,2に通信接続されて識別情報を受信し、送受信機1,2を中心に送受信機1,2が送信機11~18からの無線信号を受信できるエリアを人の密集度監視エリアE1,E2として規定し、受信した異なる識別情報の数を密集度監視エリアE1,E2内の人数として検知し、密集度監視エリアE1,E2内の人の密集度を監視する監視装置20とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人に携帯させて識別情報を有した無線信号を所定送信電力で送信する1以上の送信機と、
前記無線信号を受信し、受信した無線信号の前記識別情報を外部に送信する送受信機と、
前記送受信機に通信接続されて前記識別情報を受信し、前記送受信機を中心に前記送受信機が前記送信機からの無線信号を受信できるエリアを人の密集度監視エリアとして規定し、受信した異なる識別情報の数を前記密集度監視エリア内の人数として検知し、前記密集度監視エリア内の人の密集度を監視する監視装置と
を備えたことを特徴とする密集度監視システム。
【請求項2】
前記送受信機は複数配置されて複数の密集度監視エリアを形成し、
前記送受信機は、前記識別情報とともに前記密集度監視エリアに対応する送受信機識別情報を前記監視装置に送信し、
前記監視装置は、密集度監視エリア毎に前記密集度を監視することを特徴とする請求項1に記載の密集度監視システム。
【請求項3】
前記送受信機は複数配置されて重複エリアを有する複数の密集度監視エリアを形成し、
前記監視装置は、複数の密集度監視エリアを1つの密集度監視エリアとして前記密集度を監視することを特徴とする請求項1に記載の密集度監視システム。
【請求項4】
前記監視装置に通信接続された警報装置を備え、
前記監視装置は、前記密集度監視エリア内の人数が許容人数を超えた場合に前記警報装置から警報を発することを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の密集度監視システム。
【請求項5】
前記送信機は、一定時間毎に前記無線信号を送信し、
前記送受信機は、前記一定時間を超える所定受信時間内の識別情報を前記監視装置に送信し、
前記監視装置は、前記所定受信期間内の異なる識別情報の数を前記密集度監視エリア内の人数として時系列的に算出し、算出した人数を時間移動平均した平均人数を前記密集度監視エリア内の人数として検知することを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の密集度監視システム。
【請求項6】
前記密集度監視エリアは、前記送信機を携帯する人が入退出する密閉空間毎のエリアに対応し、
前記送受信機は前記密閉空間内に配置され、前記識別情報とともに前記無線信号の受信電界強度を前記監視装置に送信し、
前記監視装置は、同一の識別情報が複数の密閉空間において同時に検知された場合、最も大きい受信電界強度を有する識別情報を有効にし、他の同一の識別情報を無効にし、有効な識別情報をもとに前記密閉空間毎に前記密閉空間内の人数を検知することを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の密集度監視システム。
【請求項7】
前記監視装置は、ポーリングにより前記送受信機から前記識別情報を取得することを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載の密集度監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の密集度を監視する密集度監視エリアを簡易かつ柔軟に形成することができる密集度監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
感染症の感染拡大を回避するために、必要とされる社会的距離(ソーシャルディスタンス)を確保するために有用な人の密集度情報を施設利用者等に報知する手段が求められている。
【0003】
そこで、特許文献1には、監視画像から監視領域内の混雑度を検知して監視者に報知するシステムが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、入室管理部屋における在室人数を監視し、現在の材質者人数を在室者人数情報として保持するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-42049号公報
【特許文献2】特許5452103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、監視画像を用いて密集度監視エリアにおける人の密集度を監視する場合、監視方向によっては、人が重なった画像を取得する場合があり、人数検知に誤差が生じる可能性がある。また、奥行きのある画像では、監視カメラからの距離の遠近により人の大きさが変わるため、監視カメラ毎の事前調整が必要であった。
【0007】
一方、入退室管理装置を用いて部屋の密集度を監視する場合、在室者人数を精度よく監視することができるが、入退室管理装置の設置コストがかかり、また、密集度監視エリアを柔軟に設定することができない。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、人の密集度を監視する密集度監視エリアを簡易かつ柔軟に形成することができる密集度監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、人に携帯させて識別情報を有した無線信号を所定送信電力で送信する1以上の送信機と、前記無線信号を受信し、受信した前記識別情報を外部に送信する送受信機と、前記送受信機に通信接続されて前記識別情報を受信し、前記送受信機を中心に前記送受信機が前記送信機からの無線信号を受信できるエリアを人の密集度監視エリアとして規定し、受信した異なる識別情報の数を前記密集度監視エリア内の人数として検知し、前記密集度監視エリア内の人の密集度を監視する監視装置とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記の発明において、前記送受信機は複数配置されて複数の密集度監視エリアを形成し、前記送受信機は、前記識別情報とともに前記密集度監視エリアに対応する送受信機識別情報を前記監視装置に送信し、前記監視装置は、密集度監視エリア毎に前記密集度を監視することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記の発明において、前記送受信機は複数配置されて重複エリアを有する複数の密集度監視エリアを形成し、前記監視装置は、複数の密集度監視エリアを1つの密集度監視エリアとして前記密集度を監視することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記の発明において、前記監視装置に通信接続された警報装置を備え、前記監視装置は、前記密集度監視エリア内の人数が許容人数を超えた場合に前記警報装置から警報を発することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記の発明において、前記送信機は、一定時間毎に前記無線信号を送信し、前記送受信機は、前記一定時間を超える所定受信時間内の識別情報を前記監視装置に送信し、前記監視装置は、前記所定受信期間内の異なる識別情報の数を前記密集度監視エリア内の人数として時系列的に算出し、算出した人数を時間移動平均した平均人数を前記密集度監視エリア内の人数として検知することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記の発明において、前記密集度監視エリアは、前記送信機を携帯する人が入退出する密閉空間毎のエリアに対応し、前記送受信機は前記密閉空間内に配置され、前記識別情報とともに前記無線信号の受信電界強度を前記監視装置に送信し、前記監視装置は、同一の識別情報が複数の密閉空間において同時に検知された場合、最も大きい受信電界強度を有する識別情報を有効にし、他の同一の識別情報を無効にし、有効な識別情報をもとに前記密閉空間毎に前記密閉空間内の人数を検知することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記の発明において、前記監視装置は、ポーリングにより前記送受信機から前記識別情報を取得することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、人の密集度を監視する密集度監視エリアを簡易かつ柔軟に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本実施の形態に係る密集度監視システムの構成を模式的に示した図である。
図2図2は、エリア情報の一例を示す図である。
図3図3は、監視装置による密集度監視処理手順を示すフローチャートである。
図4図4は、変形例1による密集度監視エリアの一例を示す図である。
図5図5は、密集度監視エリアを通過する人がいる状態を示す図である。
図6図6は、変形例3による密集度監視エリアの形成の一例を示す図である。
図7図7は、密閉空間に対する密集度監視処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例0018】
以下、添付図面を参照して、本実施の形態に係る密集度監視システムについて説明する。
【0019】
<システム構成>
図1は、本実施の形態に係る密集度監視システム10の構成を模式的に示した図である。密集度監視システム10は、2つの密集度監視エリアE1,E2内の人数を検知し、検した人数を用いて各密集度監視エリアE1,E2内の人の密集度を監視する。密集度監視システム10は、密集度監視エリアE1,E2内の検知人数が許容人数を超えた場合に警報を発する。なお、密集度監視エリア内に許容される許容人数に対する検知人数の比を密集度として、密集度が1を超えた場合に警報を発するようにしてもよい。なお、図1に示した密集度監視エリアE1,E2は、重複エリアE12が形成されている。
【0020】
密集度監視システム10は、送信機11~18、送受信機1,2、警報装置21,22及び監視装置20を有する。送受信機1,2及び警報装置21,22は監視装置20に通信接続される。この通信接続は、無線接続あるいは有線接続であってもよし、無線接続と有線接続とを組み合わせたものであってもよい。
【0021】
送信機11~18は、人に携帯され、識別情報を有した無線信号を所定送信電力で送信する。識別情報は、送信機11~18毎に異なっていればよく、例えば送信機11~18に予め設定されていた機器の識別情報であってもよいし、人が設定した識別情報であってもよい。送受信機1,2は、それぞれ密集度監視エリアE1,E2の中央に配置され、密集度監視エリアE1,E2に入った送信機11~18からの無線信号を受信する。また、送受信機1,2は、受信した無線信号から識別情報を取得し、この識別情報を監視装置20に送信する。この際、自身の送受信機1,2の送受信機識別情報を付加する。なお、監視装置20が各送受信機1,2に対して順番に問い合わせて識別情報を取得するポーリング処理を行ってもよい。
【0022】
密集度監視エリアE1は、送受信機1を中心とする領域であり、送信機11~18の所定送信電力による送受信機1,2に対する電波通達距離によって決定される。すなわち、密集度監視エリアE1は、送受信機1を中心とし、電波通達距離を半径とする円形となる。同様に、密集度監視エリアE2は、送受信機2を中心とし、電波通達距離を半径とする円形となり、密集度監視エリアE1と同じ形状となる。なお、送信機11~18は、無線信号を送信する無指向性アンテナを搭載し、送受信機1,2は、無線信号を受信する無指向性アンテナを搭載している。本実施の形態では、電波通達距離が5mとなるように、送信機11~18の送信電力が設定されている。したがって、密集度監視エリアE1,E2は、送受信機1,2を中心とする半径5mの領域となる。この密集度監視エリアE1,E2の広さを変えたい場合、送信機11~18の所定送信電力の設定を変更すればよい。なお、送信機11~18の所定送信電力の設定は、送信機11~18の全てに対して同じにする。
【0023】
送信機11~18が送信する無線信号は、スマートトラッカーのように、予め設定される一定期間、例えば0.1秒あるいは1秒ごとに定期的に送信され、例えばBLEによるアドバタイズ信号を用いることができる。この場合、送信機11~18の識別情報は、アドバタイズパケット内に設定される。
【0024】
送受信機1,2は、送信機11~18が送信する無線信号を受信するが、密集度監視エリアE1,E2内に存在しない送信機18の無線信号は受信することができない。送受信機1,2は、受信した無線信号から識別情報を取得し、取得した識別情報を監視装置20に通知する。
【0025】
監視装置20は、送受信機1,2に対応する密集度監視エリアE1,E2毎に、受信した異なる識別情報の数を各密集度監視エリアE1,E2内の人数として検知し、密集度監視エリアE1,E2内の人数が許容人数を超えた場合に警報装置21,22から警報を出力させる。例えば、密集度監視エリアE1の許容人数が5である場合、密集度監視エリアE1の検知人数が6であるため、警報装置21から警報が発せられる。なお、図1では、警報装置21,22が送受信機1,2にそれぞれ隣接配置されているが、これに限らず、各密集度監視エリアE1,E2内の人が警報に気が付く位置に配置すればよい。
【0026】
<監視装置の構成>
監視装置20は、入力部23、表示部24、通信部25、記憶部26及び制御部27を有する。入力部23は、キーボード又はマウス等の入力デバイスであり、表示部24は、液晶パネル等の表示デバイスである。通信部25は、送受信機1,2及び警報装置21,22と通信を行うインターフェース部である。
【0027】
記憶部26は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ又はハードディスク装置等の二次記憶媒体等からなる記憶デバイスであり、エリア情報Dを記憶する。エリア情報Dは、図2に示すように、密集度監視エリア毎に、送受信機識別情報、許容人数及び警報装置識別情報をそれぞれ対応付けた情報である。図2では、密集度監視エリアE1では、送受信機識別情報が「0001」、許容人数が「5」、警報装置識別情報が「0021」であることを示している。
【0028】
制御部27は、監視装置20を全体制御する制御部であり、人数検知部31、密集度判定部32及び警報出力部33を有する。実際には、これら機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPU(Central Processing Unit)にロードして実行することにより、人数検知部31、密集度判定部32及び警報出力部33に対応するプロセスを実行させることになる。
【0029】
人数検知部31は、密集度監視エリアE1,E2毎に、各密集度監視エリアE1,E2内における異なる識別情報の数を各密集度監視エリアE1,E2内に存在する人数として検知する。人数検知部31は、同じ識別情報が複数存在しても1つの識別情報として検知する。
【0030】
密集度判定部32は、密集度監視エリアE1,E2毎に、各密集度監視エリアE1,E2内の人数が許容人数を超えたか否かを判定する。
【0031】
警報出力部33は、密集度判定部32が許容人数を超えたと判定した場合、許容人数を超えた密集度監視エリアE1,E2にそれぞれ対応する警報装置21,22に対して警報を出力させる処理を行う。
【0032】
<密集度監視処理手順>
図3は、監視装置20による密集度監視処理手順を示すフローチャートである。図3に示すように、監視装置20は、送受信機1,2から、識別情報及び送受信機識別情報を受信する(ステップS110)。その後、一定時間(送信機11~18の送信周期)を超える所定受信時間が経過したか否かを判定する(ステップS120)。所定受信時間を経過していないならば(ステップS120:No)、ステップS110に移行してステップS110の受信処理を繰り返す。
【0033】
一方、所定受信時間を経過しているならば(ステップS120:Yes)、受信した識別情報及び送受信機識別情報をもとに密集度監視エリアE1,E2内の人数を算出する(ステップS130)。すなわち、密集度監視エリアE1,E2毎に、異なる識別情報の数を検出人数として算出する。
【0034】
その後、検出人数が許容人数を超える密集度監視エリアがあるか否かを判定する(ステップS140)。検出人数が許容人数を超える密集度監視エリアがあるならば(ステップS140:Yes)、この密集度監視エリアに対応する警報装置から警報出力させて(ステップS150)、本処理を終了する。一方、検出人数が許容人数を超える密集度監視エリアがないならば(ステップS140:No)、そのまま本処理を終了する。
【0035】
本実施の形態では、送信機11~18の送信電力を所定送信電力に設定することにより、送受信機1,2まわりの所望の広さを有する密集度監視エリアを簡易かつ柔軟に設定することができる。
【0036】
<変形例1>
上記の実施の形態では、密集度監視エリアE1,E2毎の密集度を監視していたが、本変形例1では、図4に示すように、重複エリアE12を有する複数の密集度監視エリアE1,E2を1つの密集度監視エリアE3とし、1つの密集度監視エリアE3の密集度を監視する。
【0037】
例えば、密集度監視エリアE3の許容人数が11である場合、密集度監視エリアE3内に存在する人数は7であり、許容人数以下であるため、警報は発せられない。なお、変形例1の監視装置20は、密集度監視エリアE3内の人数を検知する場合、送受信機1,2は、重複エリアE12の送信機15の識別情報を重複して受信するが、1つの密集度監視エリアE3内では異なる識別情報でないため、1人として検知される。
【0038】
なお、このような同一形状のエリアである複数の密集度監視エリアE1、E2の統合が可能であるため、密集度監視エリアE1をエリア単位として複数の密集度監視エリアを重複させつつ統合することにより、1つの任意形状の密集度監視エリアを形成することが可能になる。また、送信機11~18の所定送信電力を変えなくても広いエリアの密集度監視エリアを形成することができる。
【0039】
<変形例2>
図5に示すように、最初に密集度監視エリアE1内に送信機11,12,13に対応する人が存在し、その後、送信機14、15が密集度監視エリアE1内に入った場合、密集度監視エリアE1内の人数は、5となり、警報出力されない。
【0040】
ここで、送信機18,19に対応する人が密集度監視エリアE1を一時的に通過する場合、密集度監視エリアE1内の人数は一時的に7となり、許容人数の5を超えるため、警報出力される。
【0041】
この場合、許容人数を超えるのは一時的であるため、このときに警報出力を行うのは好ましくない。すなわち、通過する人の検知により、密集度は一時的に高まるが、その起因となる人は移動中であり、密集化を回避している人でもあり、警告は無駄なものとなるからである。また、人の通過によって、その都度、警報出力されるとは密集度監視エリアE1内に居る人にとって煩わしい。
【0042】
そこで、本変形例2では、監視装置20が、所定受信時間毎に検知された時系列の検知人数に対して時間移動平均処理を施し、この時間移動平均値が収容人数を超えた場合に警報出力する。これにより、密集度監視エリアE1内の実密集度に対応する安定した警報出力を行うことができる。
【0043】
<変形例3>
図6は、変形例3による密集度監視エリアの形成の一例を示す図である。本実施例3では、送信機を携帯する人が入退出する密閉空間毎のエリアに対応した密集度監視エリアを形成している。すなわち、図6では、部屋などの密閉空間ES1,ES2にそれぞれ対応した密集度監視エリアE1,E2を形成している。この密集度監視エリアE1,E2は、密閉空間ES1,ES2を含む最小エリアとして形成される。
【0044】
ここで、隣接する密閉空間ES1と密閉空間ES2との間には、密集度監視エリアE1,E2が重複する重複エリアE12が形成される。重複エリアE12に位置する送信機15からの無線信号は、密集度監視エリアE1内の送受信機1によって受信されるとともに、密集度監視エリアE2内の送受信機2によっても受信される。
【0045】
本変形例3では、各密閉空間ES1,ES2単位で密集度、すなわち人数を検知する必要がある。しかし、送信機15からの無線信号は、密集度監視エリアE1,E2の双方で受信され、人数に加算されるため、各密閉空間ES1,ES2での人数検知が不確かなものとなる。
【0046】
そこで、本変形例3では、密集度監視エリアE1,E2の双方で受信され、かつ、同一の識別情報である場合、最も大きい受信電界強度を有する識別情報を有効にし、他の同一の識別情報を無効にし、有効な識別情報をもとに密閉空間ES1,ES2毎の人数を検知する。このため、送受信機1,2は、無線信号の受信時に、識別情報を取得するとともに、無線信号の受信電界強度を計測し、この受信電界強度を識別情報とともに監視装置20に送信するようにしている。これにより、密閉空間ES1,ES2であっても密閉空間ES1,ES2内の人数を精度高く検知することができる。
【0047】
なお、密閉空間の形状や大きさが基本単位の密集度監視エリアと異なる場合、上記したように、密閉空間の形状に合わせるように、複数の基本単位の密集度監視エリアを統合した1つの密集度監視エリアを形成すればよい。
【0048】
<密閉空間に対する密集度監視処理手順>
図7は、密閉空間に対する密集度監視処理手順を示すフローチャートである。監視装置20は、送受信機1,2から、識別情報、受信電界強度及び送受信機識別情報を受信する(ステップS210)。その後、一定時間(送信機11~18の送信周期)を超える所定受信時間が経過したか否かを判定する(ステップS220)。所定受信時間を経過していないならば(ステップS220:No)、ステップS210に移行してステップS210の受信処理を繰り返す。
【0049】
一方、所定受信時間を経過しているならば(ステップS220:Yes)、さらに複数の密閉空間(複数の密集度監視エリア)に同一の識別情報があるか否かを判定する(ステップS230)。複数の密閉空間ES1,ES2(複数の密集度監視エリアE1,E2)に同一の識別情報があるならば(ステップS230:Yes)、最も大きい受信電界強度を有する識別情報を有効にし、他の同一の識別情報を無効にし(ステップS240)、ステップS250に移行する。一方、複数の密閉空間(複数の密集度監視エリア)に同一の識別情報がないならば(ステップS230:No)、そのままステップS250に移行する。
【0050】
ステップS250では、受信した識別情報(有効な識別情報)及び送受信機識別情報をもとに密閉空間ES1,ES2(密集度監視エリアE1,E2)内の人数を算出する。すなわち、密集度監視エリアE1,E2毎に、異なる識別情報の数を検出人数として算出する。
【0051】
その後、検出人数が許容人数を超える密閉空間があるか否かを判定する(ステップS260)。検出人数が許容人数を超える密閉空間があるならば(ステップS260:Yes)、この密閉空間に対応する警報装置から警報出力させて(ステップS270)、本処理を終了する。一方、検出人数が許容人数を超える密閉空間がないならば(ステップS260:No)、そのまま本処理を終了する。
【0052】
本変形例3では、隣接する密閉空間の双方において1つの送信機からの無線信号が受信される場合であっても、受信電界強度の大きさによってどちらの密閉空間内に送信機が存在するかを判定しているので、各密閉空間内の人数を精度高く検知することができる。
【0053】
なお、上記の実施の形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の密集度監視システムは、人の密集度を監視する密集度監視エリアを簡易かつ柔軟に形成する場合に有用である。
【符号の説明】
【0055】
1,2 送受信機
10 密集度監視システム
11~19 送信機
20 監視装置
21,22 警報装置
23 入力部
24 表示部
25 通信部
26 記憶部
27 制御部
31 人数検知部
32 密集度判定部
33 警報出力部
D エリア情報
E1,E2,E3 密集度監視エリア
E12 重複エリア
ES1,ES2 密閉空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7