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特開2022-180883映像処理装置および映像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180883
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】映像処理装置および映像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/77 20060101AFI20221130BHJP
   H04N 5/91 20060101ALI20221130BHJP
   H04N 5/92 20060101ALI20221130BHJP
   G11B 27/02 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
H04N5/77
H04N5/91
H04N5/92 010
G11B27/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087622
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000116068
【氏名又は名称】ローランド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】服部 宏平
(72)【発明者】
【氏名】室井 隆成
【テーマコード(参考)】
5C053
5D110
【Fターム(参考)】
5C053FA14
5C053GB06
5C053JA21
5C053LA01
5C053LA11
5D110AA27
5D110AA29
5D110CA16
5D110CD15
5D110FA08
(57)【要約】
【課題】順序立った設定状態の適用における作業員の作業負荷を低減できる映像処理装置および映像処理プログラムを提供すること。
【解決手段】スイッチャ1において、次へボタン5を押すことにより、プリセットメモリの適用やマクロの再現、PGM CHの変更が、シーケンサテーブル11dに記憶された順に実行される。即ち順序立ったプリセットメモリの適用やマクロの再現、PGM CHの変更に際し、適用するプリセットメモリや再現するマクロが割り当てられたプリセットボタン2やマクロボタン3、PGM変更ボタン4を、その順番通りに都度指定する必要が無い。これにより、順序立ったプリセットメモリの適用やマクロの再現、PGM CHの変更における作業員の作業負荷を低減できる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像処理に関する各設定の設定状態を、複数記憶する状態記憶手段と、
その状態記憶手段に記憶された設定状態を前記映像処理に関する設定に適用する状態適用手段と、を備えた映像処理装置であって、
前記状態記憶手段に記憶される複数の設定状態のうち、適用する設定状態の順番を記憶する実行順記憶手段と、
その実行順記憶手段に記憶された順に、前記状態適用手段による設定状態の適用を実行する逐次実行手段と、
を備えていることを特徴とする映像処理装置。
【請求項2】
映像処理に関する設定の一連の変化を一群の変化履歴とし、
その一群の変化履歴を複数記憶する履歴記憶手段と、
その履歴記憶手段に記憶された変化履歴に基づいて前記映像処理に関する設定を変化させることで、前記変化履歴による映像処理に関する設定の一連の変化を再現する履歴再現手段と、を備えた映像処理装置であって、
前記履歴記憶手段に記憶される複数の一群の変化履歴のうち、再現する一群の変化履歴の順番を記憶する実行順記憶手段と、
その実行順記憶手段に記憶された順に、前記履歴再現手段による変化履歴の再現を実行する逐次実行手段と、
を備えていることを特徴とする映像処理装置。
【請求項3】
前記逐次実行手段で実行された前記設定状態の適用を、遡って再実行する遡及実行手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の映像処理装置。
【請求項4】
前記逐次実行手段で実行された一群の前記変化履歴の再現を、遡って再実行する遡及実行手段を備えていることを特徴とする請求項2記載の映像処理装置。
【請求項5】
前記逐次実行手段が実行される直前の前記映像処理に関する各設定の設定状態を、復元情報として記憶する復元情報記憶手段を備え、
前記遡及実行手段は、前記逐次実行手段を遡って再実行する前に、前記復元情報記憶手段に記憶される復元情報であって、遡って再実行する対象の前記逐次実行手段が実行される直前に記憶された復元情報を、前記映像処理の設定に反映することを特徴とする請求項3又は4に記載の映像処理装置。
【請求項6】
前記逐次実行手段が実行される直前の前記映像処理に関する設定の設定値であって、少なくともその逐次実行手段の実行で変更される設定の設定値を、復元情報として記憶する復元情報記憶手段を備え、
前記遡及実行手段は、前記逐次実行手段を遡って再実行する前に、前記復元情報記憶手段に記憶される復元情報であって、遡って再実行する対象の前記逐次実行手段が実行される直前に記憶された復元情報を、前記映像処理の設定に反映することを特徴とする請求項3又は4に記載の映像処理装置。
【請求項7】
前記逐次実行手段が実行される直前の前記映像処理に関する各設定の設定状態を、復元情報として記憶する復元情報記憶手段と、
前記復元情報記憶手段に記憶される復元情報を前記映像処理の設定に反映することで、前記逐次実行手段が実行される直前の前記映像処理の設定を復元する復元手段と、
を備えていること特徴とする請求項1記載の映像処理装置。
【請求項8】
前記逐次実行手段が実行される直前の前記映像処理に関する設定の設定値であって、少なくともその逐次実行手段の実行で変更される設定の設定値を、復元情報として記憶する復元情報記憶手段と、
前記復元情報記憶手段に記憶される復元情報を前記映像処理の設定に反映することで、前記逐次実行手段が実行される直前の前記映像処理の設定を復元する復元手段と、
を備えていること特徴とする請求項2記載の映像処理装置。
【請求項9】
前記映像処理に関する各設定の設定状態を、複数記憶する状態記憶手段と、
その状態記憶手段に記憶された設定状態を前記映像処理に関する設定に適用する状態適用手段と、
前記映像処理に関する設定の一連の変化を一群の変化履歴とし、
その一群の変化履歴を複数記憶する履歴記憶手段と、
その履歴記憶手段に記憶された変化履歴に基づいて前記映像処理に関する設定を変化させることで、前記変化履歴における映像処理に関する設定の一連の変化を再現する履歴再現手段と、を備え
前記実行順記憶手段には、前記状態記憶手段に記憶される複数の設定状態のうちの適用する設定状態と、前記履歴記憶手段に記憶される複数の一群の変化履歴のうちの再現する一群の変化履歴との順番が記憶され、
前記逐次実行手段は、前記実行順記憶手段に記憶された順に、前記状態適用手段による設定状態の適用と前記履歴再現手段による変化履歴の再現とを実行することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の映像処理装置。
【請求項10】
記憶部を備えたコンピュータに映像処理を実行させる映像処理プログラムであって、
前記記憶部を、
前記映像処理に関する各設定の設定状態を、複数記憶する状態記憶手段と、
その状態記憶手段に記憶される複数の設定状態のうち、適用する設定状態の順番を記憶する実行順記憶手段として動作させ、
前記状態記憶手段に記憶された設定状態を前記映像処理に関する設定に適用する状態適用ステップと、
前記実行順記憶手段に記憶された順に、前記状態適用ステップによる設定状態の適用を実行する逐次実行ステップと、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とする映像処理プログラム。
【請求項11】
記憶部を備えたコンピュータに映像処理を実行させる映像処理プログラムであって、
前記映像処理に関する設定の一連の変化を一群の変化履歴とし、
前記記憶部を、
一群の前記変化履歴を複数記憶する履歴記憶手段と、
その履歴記憶手段に記憶される複数の一群の変化履歴のうち、再現する一群の変化履歴の順番を記憶する実行順記憶手段として動作させ、
前記履歴記憶手段に記憶された変化履歴に基づいて前記映像処理に関する設定を変化させることで、前記変化履歴による映像処理に関する設定の一連の変化を再現する履歴再現ステップと、
前記実行順記憶手段に記憶された順に、前記履歴再現ステップによる変化履歴の再現を実行する逐次実行ステップと、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とする映像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像処理装置および映像処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ボタンSc1~Sc8及びストアボタンStが設けられるビデオミキサー装置が開示されている。ストアボタンStを押しながらボタンSc1~Sc8のいずれかを押すことで、その時点のパネル操作子4Aの各スイッチの設定状態がボタンSc1~Sc8に保存される。保存後、ボタンSc1~Sc8のいずれかのボタンを押すと、ボタンSc1~Sc8毎に保存されたパネル操作子4Aの各スイッチの設定状態が再現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-262179号公報(例えば、段落0023、図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のビデオミキサー装置では、設定状態の切り替えが作業員のボタンSc1~Sc8の操作によって行われる。例えば、設定状態としてのシーン1~8をそれぞれボタンSc1~Sc8に保存させ、シーン1,5,3の順番で設定状態を動的に切り替える場合、作業員は、ボタンSc1,Sc5,Sc3を順に押す必要がある。このように設定状態を順序立って切り替える場合に、作業員は、その順番通りにボタンSc1~Sc8を正確に押さなければならず、作業負荷が増大するという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、順序立った設定状態の適用における作業員の作業負荷を低減できる映像処理装置および映像処理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明の映像処理装置は、映像処理に関する各設定の設定状態を、複数記憶する状態記憶手段と、その状態記憶手段に記憶された設定状態を前記映像処理に関する設定に適用する状態適用手段と、を備え、前記状態記憶手段に記憶される複数の設定状態のうち、適用する設定状態の順番を記憶する実行順記憶手段と、その実行順記憶手段に記憶された順に、前記状態適用手段による設定状態の適用を実行する逐次実行手段と、を備えている。
【0007】
本発明の別の映像処理装置は、映像処理に関する設定の一連の変化を一群の変化履歴とし、その一群の変化履歴を複数記憶する履歴記憶手段と、その履歴記憶手段に記憶された変化履歴に基づいて前記映像処理に関する設定を変化させることで、前記変化履歴による映像処理に関する設定の一連の変化を再現する履歴再現手段と、を備え、前記履歴記憶手段に記憶される複数の一群の変化履歴のうち、再現する一群の変化履歴の順番を記憶する実行順記憶手段と、その実行順記憶手段に記憶された順に、前記履歴再現手段による変化履歴の再現を実行する逐次実行手段と、を備えている。
【0008】
また、本発明の映像処理プログラムは、記憶部を備えたコンピュータに映像処理を実行させるプログラムであり、前記記憶部を、前記映像処理に関する各設定の設定状態を、複数記憶する状態記憶手段と、その状態記憶手段に記憶される複数の設定状態のうち、適用する設定状態の順番を記憶する実行順記憶手段として動作させ、前記状態記憶手段に記憶された設定状態を前記映像処理に関する設定に適用する状態適用ステップと、前記実行順記憶手段に記憶された順に、前記状態適用ステップによる設定状態の適用を実行する逐次実行ステップと、を前記コンピュータに実行させるものである。
【0009】
本発明の別の映像処理プログラムは、記憶部を備えたコンピュータに映像処理を実行させるプログラムであり、前記映像処理に関する設定の一連の変化を一群の変化履歴とし、前記記憶部を、一群の前記変化履歴を複数記憶する履歴記憶手段と、その履歴記憶手段に記憶される複数の一群の変化履歴のうち、再現する一群の変化履歴の順番を記憶する実行順記憶手段として動作させ、前記履歴記憶手段に記憶された変化履歴に基づいて前記映像処理に関する設定を変化させることで、前記変化履歴による映像処理に関する設定の一連の変化を再現する履歴再現ステップと、前記実行順記憶手段に記憶された順に、前記履歴再現ステップによる変化履歴の再現を実行する逐次実行ステップと、を前記コンピュータに実行させるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】スイッチャの概要を説明する図である。
図2】スイッチャの機能ブロック図である。
図3】スイッチャの電気的構成を示すブロック図である。
図4】(a)は、プリセットメモリテーブルを模式的に示す図であり、(b)は、マクロテーブルを模式的に表す図である。
図5】(a)は、シーケンサテーブルを模式的に表す図であり、(b)は、一時メモリを模式的に示す図であり、(c)は、プリセットメモリが適用されている場合の設定値メモリを模式的に示す図であり、(d)は、プリセットメモリが適用されていない場合、又はプリセットメモリが適用された後、その他の操作子の操作により映像処理の設定が変化した場合の設定値メモリを模式的に示す図である。
図6】メイン処理のフローチャートである。
図7】(a)は、PGM適用処理のフローチャートであり、(b)は、映像出力処理のフローチャートであり、(c)は、プリセットメモリ適用処理のフローチャートであり、(d)は、マクロ再現処理のフローチャートである。
図8】次ステップ処理のフローチャートである。
図9】前ステップ処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1を参照して、本実施形態のスイッチャ1の概要を説明する。図1は、スイッチャ1の概要を説明する図である。スイッチャ1は、ビデオカメラ20やビデオゲーム機21、ハードディスク・レコーダ(図示せず)等から入力された動画Mvに所定の映像処理を付加した映像である出力映像を出力する装置(映像処理装置)である。スイッチャ1には、プリセットボタン2と、マクロボタン3と、PGM変更ボタン4と、次へボタン5と、前へボタン6とが設けられる。プリセットボタン2は、付加する映像処理の各設定の設定状態が割り当てられたボタンである。
【0012】
本実施形態のスイッチャ1に設けられる映像処理の一例としては、出力映像において主に表示される映像の入力元(図3で後述の第1入力端子16a~第8入力端子16h)を指定する「PGM CH」と、出力映像に小窓を設け、その小窓に更に別の映像を表示する「PinP & KEY1,2」と、出力映像に文字列(テロップ)を付加する「DSK1,2」とが挙げられるが、これ以外の映像処理が設けられても良い。
【0013】
「PinP & KEY1」は、出力映像に設けられる小窓(図1においては出力映像の左下)に対する設定であり、「PinP & KEY2」は、出力映像における「PinP & KEY1」とは別に設けられる小窓(図1においては出力映像の右下)に対する設定である。「PinP & KEY1,2」による小窓は、それぞれ出力映像内の任意の位置に、任意の大きさで表示される。なお、「PinP & KEY1,2」による小窓の形状は、図1に示すような矩形状に限られず、円形や星形等、他の形状でも良い。
【0014】
「DSK1」は、出力映像の上位に重ねられるレイヤ(図1においては出力映像の左下に付加される文字列)に対する設定であり、「DSK2」は、「DSK1」のレイヤよりも更に上位に重ねられるレイヤ(図1においては出力映像の右下に付加される文字列)に対する設定である。「DSK1,2」のレイヤに付加されるのは文字列に限られず、画像等、他の情報でも良い。
【0015】
プリセットボタン2に割り当てられる「映像処理の各設定の設定状態」とは、「PGM CH」等、スイッチャ1に設けられる一部または全ての映像処理に関する設定の設定状態のことを表す。以下「映像処理の各設定の設定状態」のことを「プリセットメモリ」とも称す。
【0016】
本実施形態のスイッチャ1には、複数のプリセットボタン2が設けられ、それぞれのプリセットボタン2には、図4(a)で後述のプリセットメモリテーブル11bに記憶されるプリセットメモリが割り当てられている。プリセットボタン2を押すことで、該当するプリセットメモリがプリセットメモリテーブル11bから取得され、出力映像に適用される。なお、プリセットメモリとして、スイッチャ1に設けられる全ての映像処理に関する設定の設定状態に限られず、例えば「PGM CH」と「PinP & KEY1」とのみのように、映像処理に関する一部の設定の設定状態としても良い。
【0017】
マクロボタン3は、映像処理に関する設定の一連の変化がその変化した順に記憶された一群の変化履歴が割り当てられるボタンである。変化履歴として、例えば、「PGM CH」を後述の第2入力端子16bに変更した後、その状態で「5秒間待機」し、その後「PinP & KEY1」を「非表示」にすると同時に「DSK2」を「表示」するもの等が挙げられる。即ち映像処理に関する設定の一連の変化と共に、所定の時間間隔待機することも変化履歴に含まれる。以下「変化履歴」のことを「マクロ」とも称す。
【0018】
また、このようなマクロを作成する手法としては、スイッチャ1に設けられる「PGM CH」や「PinP & KEY1」等を個別に設定するための操作子(図示せず)の操作を記録する手法と、後述の操作用モニタ22に表示される画面において「PGM CH」や「PinP & KEY1」等の操作に相当するイベントを入力する手法とが挙げられるが、これ以外の手法を用いてマクロを作成しても良い。
【0019】
本実施形態のスイッチャ1には、複数のマクロボタン3が設けられ、それぞれのマクロボタン3には、図4(b)で後述のマクロテーブル11cに記憶されるマクロが割り当てられている。マクロボタン3を押すことで、出力映像に対し、割り当てられたマクロに記憶された映像処理の設定がその記憶された順に適用される。
【0020】
PGM変更ボタン4は、出力映像に主に表示される映像の入力元を選択するボタンである。本実施形態においてPGM変更ボタン4が複数設けられ、それぞれ後述の第1入力端子16a~第8入力端子16hに割り当てられている。PGM変更ボタン4を押すことで、出力映像に主に表示される映像の入力元がそのPGM変更ボタン4に割り当てられている第1入力端子16a~第8入力端子16hに変更される。
【0021】
次へボタン5は、図5(a)で後述のシーケンサテーブル11dに記憶されているプリセットメモリの適用やマクロの再現、PGM CHの変更を、シーケンサテーブル11dに記憶される順に実行するためのボタンである。一方で前へボタン6は、直近よりも1つ前に次へボタン5を押すことで実行された、プリセットメモリの適用やマクロの再現、PGM CHの変更を再実行するためのボタンである。
【0022】
スイッチャ1には、撮影された動画Mvを入力するビデオカメラ20と、ユーザのビデオゲームの結果による動画Mvを入力するビデオゲーム機21と、スイッチャ1による映像処理の付加状況を表示する編集用の操作用モニタ22と、出力映像が表示される外部モニタ23とが接続される。入力される動画Mvの解像度として「横方向:1980画素、縦方向:1080画素」が例示されるが、動画Mvの解像度はこれ以上でもこれ以下でも良い。
【0023】
本実施形態のスイッチャ1では、次へボタン5を押すことにより、プリセットメモリの適用やマクロの再現、PGM CHの変更が、シーケンサテーブル11dに記憶された順に実行される。即ち順序立ったプリセットメモリの適用やマクロの再現、PGM CHの変更に際し、適用するプリセットメモリや再現するマクロが割り当てられたプリセットボタン2やマクロボタン3、PGM変更ボタン4を、その順番通りに都度指定する必要が無い。これにより、順序立ったプリセットメモリの適用やマクロの再現、PGM CHの変更における作業員の作業負荷を低減できる。
【0024】
更に、前へボタン6を押すことにより、直近よりも1つ前の次へボタン5を押すことで実行されたプリセットメモリの適用やマクロの再現、PGM CHの変更を遡って再実行できる。これにより、シーケンサテーブル11dに、遡って適用されるプリセットメモリ等を記憶させる必要がないので、作業員の再実行の際の作業負荷を低減できると共に、柔軟な映像処理を実現できる。以上により、プリセットメモリの適用やマクロの再現、PGM CHの変更の順序立った実行を、一人の作業員によっても実現できる。
【0025】
次に、図2を参照して、スイッチャ1の機能を説明する。図2は、PC1の機能ブロック図である。図2に示すように、スイッチャ1は、状態記憶手段200と、状態適用手段201と、実行順記憶手段202と、逐次実行手段203とを有する。
【0026】
状態記憶手段200は、映像処理に関する各設定の設定状態(即ち上記のプリセットメモリ)を複数記憶する手段であり、図3で後述のフラッシュROM11で実現される。状態適用手段201は、その状態記憶手段200に記憶された設定状態を映像処理に関する設定に適用する手段であり、図3で後述のCPU10で実現される。また、実行順記憶手段202は、状態記憶手段200に記憶される複数の設定状態のうち、適用する設定状態の順番を記憶する手段であり、フラッシュROM11で実現される。逐次実行手段203は、その実行順記憶手段202に記憶された順に、状態適用手段201による設定状態の適用を実行する手段であり、CPU10で実現される。
【0027】
スイッチャ1においては、実行順記憶手段202に、状態記憶手段200の複数の設定状態のうち、適用する設定状態の順番が記憶され、逐次実行手段203によって実行順記憶手段202に記憶された順に、状態適用手段201による設定状態の適用が実行される。即ち適用する設定状態の順番が実行順記憶手段202に記憶されているため、作業員は、順序立った設定状態の適用に際し、適用する設定状態の順番を都度指定する必要が無い。これにより、順序立った設定状態の適用における作業員の作業負荷を低減できる。
【0028】
次に、図3~5を参照してスイッチャ1の電気的構成を説明する。図3は、スイッチャ1の電気的構成を示すブロック図である。図3に示す通り、スイッチャ1は、CPU10と、フラッシュROM11と、RAM12とを有し、これらはバスライン13を介して入出力ポート44にそれぞれ接続されている。入出力ポート14には更に、上記したプリセットボタン2、マクロボタン3、PGM変更ボタン4、次へボタン5及び前へボタン6と、ビデオ処理装置15とが接続される。
【0029】
CPU10は、バスライン13により接続された各部を制御する演算装置である。フラッシュROM11は、CPU10により実行されるプログラムや固定値データ等を格納した書き換え可能な不揮発性の記憶装置であり、映像処理プログラム11aと、プリセットメモリテーブル11bと、マクロテーブル11cと、シーケンサテーブル11dとが記憶される。CPU10によって映像処理プログラム11aが実行されると、図6のメイン処理が実行される。
【0030】
プリセットメモリテーブル11bは、上記したプリセットメモリが記憶されるデータテーブルであり、マクロテーブル11cは、上記したマクロが記憶されるデータテーブルである。また、シーケンサテーブル11dは、上記した次へボタン5又は前へボタン6の操作によって適用されるプリセットメモリ及び/又は再現されるマクロが記憶されるデータテーブルである。図4図5(a),(b)とを参照して、プリセットメモリテーブル11b、マクロテーブル11c及びシーケンサテーブル11dを説明する。
【0031】
図4(a)は、プリセットメモリテーブル11bを模式的に示す図である。プリセットメモリテーブル11bには、プリセットメモリ毎に、その名称(メモリ1、メモリ2、・・・)と、映像処理の各設定(「PGM CH」、「PinP & KEY1」、・・・)の設定値とが記憶される。プリセットメモリテーブル11bに記憶される「名称」は、後述のシーケンサテーブル11d(図5(a))の「種類」や設定値メモリ12a(図5(c),(d))に記憶される名称とされ、これらに基づいて取得されるプリセットメモリであって、プリセットメモリテーブル11bに記憶されるプリセットメモリを指すものとして用いられる。
【0032】
図4(b)は、マクロテーブル11cを模式的に示す図である。マクロテーブル11cには、マクロ毎に、その名称(マクロ1、マクロ2、・・・)と、変化させる映像処理の設定の設定項目および設定値とが記憶される。具体的に、マクロテーブル11cに記憶されるマクロにおいて変化させる設定(以下「イベント」ともいう)の順番を表す「イベントNo.」と、その順番において対応する映像処理の設定の設定項目(「PGM CH」、「PinP & KEY1」、・・・)およびその設定項目の設定値とが記憶される。図示しないが、上記した所定の時間間隔待機させるイベントの場合は、設定項目には「待機」が、設定値には待機させる時間間隔がそれぞれマクロテーブル11cに記憶される。
【0033】
また、図示しないが、マクロテーブル11cには、イベントNo.ごとに、直前のイベントの完了を待たずに当該イベントを実行するか、直前のイベントの完了後に当該イベントを実行するかが設定される実行フラグが設けられる。具体的に実行フラグには、直前のイベントの完了を待たずに当該イベントを実行する場合には「同時実行」が、直前のイベントの完了後に当該イベントを実行する場合には「逐次実行」がそれぞれ設定される。
【0034】
また、マクロテーブル11cに記憶される名称は、プリセットメモリテーブル11bの名称と同様に、シーケンサテーブル11dの種類に記憶される名称とされ、シーケンサテーブル11dに基づいて取得されるマクロであって、マクロテーブル11cに記憶されるマクロを指すものとして用いられる。
【0035】
図5(a)は、シーケンサテーブル11dを模式的に示す図である。シーケンサテーブル11dには、上記した次へボタン5又は前へボタン6の操作によって変更される順番である「ステップ」毎に、適用されるプリセットメモリ、再現されるマクロ又は変更されるPGM CHである「種類」と、その種類に応じた「設定値」と、「変更前設定値」および「一時メモリ」とが記憶される。
【0036】
このうち設定値には、適用されるプリセットメモリに該当するプリセットメモリテーブル11bの名称や、再現されるマクロに該当するマクロテーブル11cの名称、または、変更されるPGM CHの後述する第1入力端子16a~第8入力端子16hが記憶される。
【0037】
なお、設定値に、適用されるプリセットメモリ又はマクロに該当するプリセットメモリテーブル11bの名称またはマクロテーブル11cの名称を記憶するものに限られない。例えば、設定値に、適用されるプリセットメモリが記憶されるプリセットメモリテーブル11b内の位置を表す情報や、適用されるマクロが記憶されるマクロテーブル11c内の位置を表す情報を記憶しても良い。
【0038】
変更前設定値には、そのステップを実行することで変更される映像処理の設定の設定値が記憶される。例えば、図5(a)におけるステップ「1」は、種類が「PGM CH変更」なので、その変更前の「PGM CH」が「第1入力端子」であった場合は、変更前設定値に「第1入力端子」が記憶される。なお、変更前設定値には、そのステップを実行することで変更される映像処理の設定の設定値のみならず、その他の映像処理の設定の設定値も記憶しても良い。
【0039】
また種類が「プリセットメモリ」の場合は、そのステップで変更される直前のプリセットメモリが、変更前設定値に記憶される。例えば、図5(a)におけるステップ3のように、その前のステップであるステップ2の設定値が「メモリ2」なので、ステップ3の変更前設定値に「メモリ2」が記憶される。一方で、図5(a)におけるステップ2のように、その前のステップの「種類」がプリセットメモリではない場合や、スイッチャ1に設けられる操作子(図示せず)への操作によって映像処理の設定が変化した場合は、「一時メモリ」に、変更前の映像処理の設定の設定値がプリセットメモリと同じ構成で記憶される。ここで、図5(b)を参照して一時メモリ2を説明する。
【0040】
図5(b)は、一時メモリT2を模式的に示す図である。図5(b)においては、図5(a)のシーケンサテーブル11dのステップ2で一時メモリに記憶される一時メモリT2を説明するが、シーケンサテーブル11dの他のステップで一時メモリに記憶される場合も構成は一時メモリT2と同様なので、その説明は省略する。図5(b)に示す通り、一時メモリT2には、シーケンサテーブル11dのステップ3が実行される直前の映像処理の各設定の設定状態(即ちプリセットメモリ)が記憶される。
【0041】
図5(a)に戻る。シーケンサテーブル11dにおける変更前設定値および一時メモリは、前へボタン6が押されることで、その直前に実行されたステップNの一つ前のステップN-1が実行される場合に用いられる。具体的には、まず、次へボタン5が押された際、実行されるシーケンサテーブル11dのステップNの「種類」(「PGM CH変更」、「プリセットメモリ」又は「マクロ」)に応じて、その時点での映像処理の設定がステップNの変更前設定値および一時メモリに記憶される。その後、ステップNに設定されている「PGM CH変更」、「プリセットメモリ」又は「マクロ」が実行される。
【0042】
その後、前へボタン6が押されることで、まず、ステップNの変更前設定値および一時メモリが映像処理の設定に適用される。これによって、映像処理の設定がステップNを実行する直前の設定とされる。
【0043】
更にその後に、ステップN-1の変更前設定値および一時メモリが適用されることで、映像処理の設定を、ステップN-1を実行する直前の設定と同一のものとすることができる。かかる状態で、ステップN-1におけるプリセットメモリの適用、マクロの再現またはPGM CHの変更をすることで、次へボタン5を押して実行されたステップN-1を正確に再現できる。このようなシーケンサテーブル11dに記憶される変更前設定値および一時メモリが、「復元情報」とされる。なお、変更前設定値や一時メモリは、シーケンサテーブル11dに記憶されるものに限られず、例えば、後述のRAM12に記憶しても良い。この場合、シーケンサテーブル11dに、そのステップに対応する変更前設定値や一時メモリが記憶されるRAM12の位置(アドレス)を記憶すれば良い。
【0044】
図3に戻る。RAM12は、CPU10がプログラムの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するためのメモリであり、映像処理の各設定の設定値が記憶される設定値メモリ12aが設けられる。図5(b),(c)を参照して、設定値メモリ12aを説明する。
【0045】
図5(c)は、プリセットメモリが適用されている場合の設定値メモリ12aを模式的に示す図であり、図5(d)は、プリセットメモリが適用されていない場合、又はプリセットメモリが適用された後、その他の操作子の操作により映像処理の設定が変化した場合の設定値メモリ12aを模式的に示す図である。図5(c),(d)に示す通り、設定値メモリ12aには、映像処理の設定に適用されているプリセットメモリの名称と、映像処理の各設定に適用されている設定値とが記憶される。
【0046】
プリセットメモリが映像処理の設定に適用されている場合は、図5(c)に示すように、「プリセットメモリ」に当該プリセットメモリを表すプリセットメモリテーブル11bの名称が記憶される。一方で、プリセットメモリが適用されていない場合、又はプリセットメモリが適用された後、その他の操作子の操作により映像処理の設定が変化した場合は、図5(d)に示すように、「プリセットメモリ」に「一致なし」が記憶される。
【0047】
図3に戻る。ビデオ処理装置15は、CPU10からの指示に応じて画像処理を行う演算装置である。ビデオ処理装置15には、ビデオ処理装置15で画像処理を行う画像を入力する第1入力端子16a~第8入力端子16hと、ビデオ処理装置15で画像処理を行った画像(映像)を出力するビデオ出力装置17とが接続される。
【0048】
第1入力端子16a~第8入力端子16hには、上記したビデオカメラ20やビデオゲーム機21が接続され、これらからの動画Mvが第1入力端子16a~第8入力端子16hを介してビデオ処理装置15に入力される。またビデオ出力装置16には、上記した操作用モニタ22及び外部モニタ23が接続され、それぞれに応じた映像がビデオ出力装置16を介して操作用モニタ22及び外部モニタ23に出力される。
【0049】
次に、図6~9を参照して、PC1のCPU10で実行されるメイン処理を説明する。図6は、メイン処理のフローチャートである。メイン処理は、スイッチャ1の電源が投入された場合に、実行される処理である。
【0050】
メイン処理はまず、シーケンサテーブル11dのステップを示すカウンタ変数Nに1を設定する(S1)。S1の処理の後、PGM変更ボタン4が押されたかを確認する(S2)。S2の処理において、PGM変更ボタン4が押された場合は(S2:Yes)、押されたPGM変更ボタン4に該当する入力端子、即ち第1入力端子16a~第8入力端子16hのいずれかを取得する(S3)。S3の処理の後、PGM適用処理(S4)を実行する。ここで、図7(a)を参照して、PGM適用処理を説明する。
【0051】
図7(a)は、PGM適用処理のフローチャートである。PGM適用処理はまず、取得した入力端子を設定値メモリ12aの「PGM CH」に設定する(S20)。この際、設定値メモリ12aのプリセットメモリには、「一致なし」が設定される。S20の処理の後、映像出力処理(S21)を実行し、PGM適用処理を終了する。ここで、図7(b)を参照して映像出力処理を説明する。
【0052】
図7(b)は、映像出力処理のフローチャートである。映像出力処理はまず、第1入力端子16a~第8入力端子16hから入力された動画Mvに設定値メモリ12aの各設定値に基づく映像処理を付加した出力映像を作成する(S25)。S21の処理において作成される出力映像は、操作用モニタ22に出力される映像と、外部モニタ23に出力される映像とされる。
【0053】
S25の処理の後、作成した出力映像を、ビデオ出力装置17を介して操作用モニタ22と外部モニタ23とにそれぞれ出力し(S26)、映像出力処理を終了する。かかる映像出力処理によって、設定値メモリ12aに基づく出力映像が作成され、操作用モニタ22と外部モニタ23とに出力される。
【0054】
図6に戻る。S2の処理において、PGM変更ボタン4が押されていない場合は(S2:No)、S3,S4の処理をスキップする。S2,S4の処理の後、プリセットボタン2が押されたかを確認する(S5)。
【0055】
S5の処理において、プリセットボタン2が押された場合は(S5:Yes)、押されたプリセットボタン2に該当するプリセットメモリをプリセットメモリテーブル11bから取得する(S6)。具体的に、プリセットボタン2には、それぞれプリセットメモリテーブル11bに記憶されるプリセットメモリが割り当てられており、押されたプリセットボタン2に該当するプリセットメモリテーブル11bのプリセットメモリが取得される。
【0056】
S6の処理の後、プリセットメモリ適用処理(S7)を実行する。ここで、図7(c)を参照して、プリセットメモリ適用処理を説明する。
【0057】
図7(c)は、プリセットメモリ適用処理のフローチャートである。プリセットメモリ適用処理は、まず、取得したプリセットメモリを設定値メモリ12aに設定する(S30)。この際、設定値メモリ12aの「プリセットメモリ」には、取得したプリセットメモリに該当する名称が、プリセットメモリテーブル11bから取得されて設定される。S30の処理の後、上記したS21の映像出力処理を実行し、プリセットメモリ適用処理を終了する。かかるプリセットメモリ適用処理により、取得したプリセットメモリが設定値メモリ12aに反映され、出力映像に反映される。
【0058】
図6に戻る。S5の処理において、プリセットボタン2が押されていない場合は(S5:No)、S6,S7の処理をスキップする。S5,S7の処理の後、マクロボタン3が押されたかを確認する(S8)。S8の処理において、マクロボタン3が押された場合は(S8:Yes)、押されたマクロボタン3に該当するマクロをマクロテーブル11cから取得する(S9)。S9の処理の後、マクロ再現処理(S10)を実行する。ここで、図7(d)を参照して、マクロ再現処理を説明する。
【0059】
図7(d)は、マクロ再現処理のフローチャートである。マクロ再現処理は、まず、マクロのイベントNo.を表すカウンタ変数Mに1を設定する(S35)。S35の処理の後、取得したマクロのM番目のイベントに設定されている映像処理の設定の設定値を設定値メモリ12aに設定する(S36)。この際、設定値メモリ12aの「プリセットメモリ」には、「一致なし」が設定される。S36の処理の後、上記したS21の映像出力処理を実行する。
【0060】
その後、カウンタ変数Mに1を加算する(S37)。S37の処理の後、カウンタ変数Mが取得したマクロの総イベント数より大きいかを確認する(S38)。S38の処理において、カウンタ変数Mが取得したマクロの総イベント数以下の場合は(S38:No)、S36以下の処理を実行する。この際、マクロに記憶されたイベントが上記した「待機」である場合は、その「設定値」として設定された時間間隔分、待機処理を行った後にS36の処理を再実行する。
【0061】
また、マクロに記憶されたイベントの上記した実行フラグが「同時実行」である場合は、直前のイベントの完了を待たずに当該イベントが実行される。一方で、実行フラグが「逐次実行」である場合は、直前のイベントの完了後に当該イベントが実行される。
【0062】
一方で、S38の処理において、カウンタ変数Mが取得したマクロの総イベント数より大きい場合は(S38:Yes)、マクロ再現処理を終了する。かかるマクロ再現処理により、取得したマクロに設定された映像処理の設定の設定値が、マクロに設定された順に設定値メモリ12aに反映され、出力映像に反映される。
【0063】
図6に戻る。S8の処理において、マクロボタン3が押されていない場合は(S8:No)、S9,S10の処理をスキップする。S8,S10の処理の後、次へボタン5が押されたかを確認する(S11)。S11の処理において、次へボタン5が押された場合は(S11:Yes)、次ステップ処理(S12)を実行する。ここで、図8を参照して、次ステップ処理を説明する。
【0064】
図8は、次ステップ処理のフローチャートである。次ステップ処理はまず、カウンタ変数Nがシーケンサテーブル11dの総ステップ数よりも大きいかを確認する(S50)。S51の処理において、カウンタ変数Nがシーケンサテーブル11dの総ステップ数以下の場合は(S50:No)、シーケンサテーブル11dのN番目のステップの「種類」を確認する(S51)。
【0065】
S51の処理において、シーケンサテーブル11dのN番目のステップの「種類」が「PGM CH変更」の場合は(S51:「PGM CH変更」)、まず、設定値メモリ12aの「PGM CH」に記憶されている入力端子を、シーケンサテーブル11dのN番目の「変更前設定値」に保存する(S52)。
【0066】
S52の処理の後、シーケンサテーブル11dのN番目の「設定値」に記憶されている入力端子を取得し(S53)、上記したS4のPGM適用処理を実行する。これにより、シーケンサテーブル11dのN番目に記憶される入力端子が設定値メモリ12aに設定され、その設定値メモリ12aに基づいた映像処理を行うことで、当該入力端子から入力された動画Mvが出力映像として出力される。
【0067】
S51の処理において、シーケンサテーブル11dのN番目のステップの「種類」が「プリセットメモリ」の場合は(S51:「プリセットメモリ」)、まず、設定値メモリ12aの「プリセットメモリ」が「一致なし」かどうかを確認する(S54)。
【0068】
S54の処理において、設定値メモリ12aの「プリセットメモリ」が「一致なし」の場合は(S54:Yes)、設定値メモリ12aの各設定値をプリセットメモリと同じ構成でシーケンサテーブル11dのN番目のステップの「一時メモリ」に保存する(S55)。この際、シーケンサテーブル11dのN番目のステップの「変更前設定値」には、「一時メモリ」が記憶されている旨の「プリセットメモリ:一時メモリTN(ただし、N=1,2,3・・・)」が設定される。
【0069】
一方でS54の処理において、設定値メモリ12aの「プリセットメモリ」が「一致なし」ではない場合は(S54:No)、設定値メモリ12aの「プリセットメモリ」に設定されているプリセットメモリの名称をシーケンサテーブル11dのN番目のステップの「変更前設定値」に保存する(S56)。この際、シーケンサテーブル11dのN番目のステップの「一時メモリ」に過去に記憶されたプリセットメモリが記憶されている場合は、その過去に記憶されたプリセットメモリが削除される。
【0070】
S55,S56の処理の後、シーケンサテーブル11dのN番目のステップのプリセットメモリを取得し(S57)、上記したS7のプリセットメモリ適用処理を実行する。これにより、シーケンサテーブル11dのN番目に記憶されるプリセットメモリが設定値メモリ12aに設定され、その設定値メモリ12aに基づいた映像処理を行うことで、当該プリセットメモリに基づく出力映像が出力される。
【0071】
S51の処理において、シーケンサテーブル11dのN番目のステップの「種類」が「マクロ」の場合は(S51:「マクロ」)、設定値メモリ12aの設定であって、シーケンサテーブル11dのN番目のステップのマクロを実行することによって、変更される設定の設定値をシーケンサテーブル11dのN番目のステップの「変更前設定値」に保存する(S58)。
【0072】
S58の処理の後、シーケンサテーブル11dのN番目のステップのマクロを取得し(S59)、上記したS10のマクロ処理を実行する。これにより、シーケンサテーブル11dのN番目に記憶されるマクロに記憶されている映像処理の設定の変化が、順番に設定値メモリ12aに適用されることで、当該マクロが出力映像に再現される。
【0073】
S4,S7,S10の処理の後、カウンタ変数に1を加算する(S60)。S51の処理において、カウンタ変数Nがシーケンサテーブル11dの総ステップ数より大きい場合(S50:Yes)、又は、S60の処理の後、次ステップ処理を終了する。
【0074】
図6に戻る。S11の処理において、次へボタン5が押されていない場合は(S11:No)、S12の処理をスキップする。S11,S12の処理の後、前へボタン6が押されたかを確認する(S13)。S13の処理において、前へボタン6が押された場合は(S13:Yes)、前ステップ処理(S14)を実行する。ここで、図9を参照して、前ステップ処理を説明する。
【0075】
図9は、前ステップ処理のフローチャートである。前ステップ処理はまず、カウンタ変数Nが1より大きいかを確認する(S70)。S70の処理において、カウンタ変数Nが1より大きい場合は(S70:Yes)、カウンタ変数Nから1を減算する(S71)。
【0076】
S71の処理の後、シーケンサテーブル11dのN+1番目のステップ、即ち前へボタン6が押される直前の次へボタン5によって実行されたステップの復元情報、即ち変更前設定値、一時メモリを取得し、設定値メモリ12aに設定する。(S72)。
【0077】
具体的には、シーケンサテーブル11dのN+1番目のステップの「変更前設定値」にプリセットメモリが設定され、且つ当該ステップに一時メモリが記憶されている場合は、その一時メモリに設定されているプリセットメモリを設定値メモリ12aに設定する。シーケンサテーブル11dのN+1番目のステップの「変更前設定値」にプリセットメモリが設定され、且つ当該ステップに一時メモリが記憶されていない場合は、当該ステップの「変更前設定値」に設定されているプリセットメモリをプリセットメモリテーブル11bから取得して設定値メモリ12aに設定する。上記以外の場合は、シーケンサテーブル11dのN+1番目のステップの「変更前設定値」に設定されている設定値が設定値メモリ12aに設定される。
【0078】
かかるS72の処理によって、設定値メモリ12aの設定状態が直前の次へボタン5を押す前の状態に再設定される。
【0079】
S72の処理の後、シーケンサテーブル11dのN番目のステップ、即ち前へボタン6により適用される、直近よりも1つ前の次へボタン5が押されたステップの変更前設定値、一時メモリを取得し、設定値メモリ12aに設定する。(S73)。なお、S73による設定値メモリ12aへの設定手法は、S72のものと同様なので詳細な説明は省略する。かかるS73の処理によって、設定値メモリ12aの状態が、直近よりも1つ前に押された次へボタン5によって実行されたステップを実行する前の状態に再設定される。
【0080】
S73の処理の後、シーケンサテーブル11dのN番目のステップの「種類」を確認する(S74)。S74の処理において、シーケンサテーブル11dのN番目のステップの「種類」が「PGM CH変更」の場合は(S74:「PGM CH変更」)、シーケンサテーブル11dのN番目の「設定値」に記憶されている入力端子を取得し(S75)、上記したS4のPGM適用処理を実行する。
【0081】
S74の処理において、シーケンサテーブル11dのN番目のステップの「種類」が「プリセットメモリ」の場合は(S74:「プリセットメモリ」)、シーケンサテーブル11dのN番目のステップのプリセットメモリを取得し(S76)、上記したS7のプリセットメモリ適用処理を実行する。
【0082】
S74の処理において、シーケンサテーブル11dのN番目のステップの「種類」が「マクロ」の場合は(S74:「マクロ」)、シーケンサテーブル11dのN番目のステップのマクロを取得し(S77)、上記したS10のマクロ処理を実行する。
【0083】
これらの処理によって、直近よりも1つ前に次へボタン5が押されることで実行されたステップの、PGM CHの変更、プリセットメモリの適用またはマクロの再現を再実行することができる。S70の処理において、カウンタ変数Nが1以下の場合(S50:No)、又は、S4,S7,S10の処理の後、前ステップ処理を終了する。
【0084】
図6に戻る。S13の処理において、前へボタン6が押されていない場合(S13:No)、又は、S14の処理の後、S2以下の処理を繰り返す。
【0085】
以上、上記実施形態に基づき説明したが、種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0086】
上記実施形態では、次へボタン5を押した場合に、シーケンサテーブル11dにおける現在のステップよりも1つ先のステップのプリセットメモリ等を設定値メモリ12aに適用したが、これに限られない。例えば、次へボタン5を押した場合に、シーケンサテーブル11dにおける現在のステップよりも2つ先のステップのプリセットメモリ等を設定値メモリ12aに適用しても良いし、3つ以上先のステップのプリセットメモリ等を設定値メモリ12aに適用しても良い。
【0087】
また、次へボタン5を押した場合に、シーケンサテーブル11dのステップ「1」からシーケンサテーブル11dの最後のステップまで、昇順に所定の時間間隔(例えば3秒間)で自動で各ステップのプリセットメモリ等を設定値メモリ12aに適用しても良い。なお、かかる動作を次へボタン5と別に設けられたボタン等が操作された場合に実行しても良い。
【0088】
同様に、前へボタン6を押した場合に、シーケンサテーブル11dにおける直近よりも1つ前に次へボタン5が押された場合のステップのプリセットメモリ等を設定値メモリ12aに適用したが、これに限られない。前へボタン6を押した場合に、シーケンサテーブル11dにおける直近よりも2つ前に次へボタン5が押された場合のステップのプリセットメモリ等を設定値メモリ12aに適用しても良いし、直近よりも3つ以上前に次へボタン5が押された場合のステップのプリセットメモリ等を設定値メモリ12aに適用しても良い。
【0089】
また、前へボタン6を押した場合に、シーケンサテーブル11dの現在のステップからシーケンサテーブル11dのステップ「1」まで、降順に所定の時間間隔(例えば3秒間)で自動で各ステップのプリセットメモリ等を設定値メモリ12aに適用しても良い。なお、かかる動作を前へボタン6と別に設けられたボタン等が操作された場合に実行しても良い。
【0090】
更にスイッチャ1に、設定値メモリ12aに適用するシーケンサテーブル11dのステップを指定するボタン等を設け、そのボタン等で指定されたシーケンサテーブル11dのステップのプリセットメモリ等を設定値メモリ12aに適用するように構成しても良い。これにより、作業員が当該ボタン等を操作することで、作業員が所望するシーケンサテーブル11dのステップのプリセットメモリ等を容易かつ迅速に出力映像に適用できる。
【0091】
上記実施形態では、スイッチャ1をPGM CHの変更、プリセットメモリの適用およびマクロの再現をそれぞれ実行可能に構成したが、これに限られない。PGM CHの変更、プリセットメモリの適用またはマクロの再現のいずれかのみを実行可能に構成しても良いし、これらのうちの2種類を実行可能に構成しても良い。
【0092】
また、シーケンサテーブル11dには「種類」としてPGM CH変更、プリセットメモリ及びマクロが記憶されるものを例示したが、これに限られない。例えば、PGM CH変更、プリセットメモリ又はマクロのいずれかのみを記憶しても良いし、これらのうちの2種類を記憶しても良い。
【0093】
上記実施形態では、図9の前ステップ処理においてマクロを再現する際でも、S10のマクロ再現処理を実行することで、マクロのイベントに「待機」が設定されている場合の待機処理を実行した。しかし、これに限られず、図9の前ステップ処理からS10のマクロ再現処理を実行する際、そのマクロのイベントに「待機」が設定されている場合に、「待機」のイベントを省略(スキップ)することで、マクロに記憶される映像処理の設定の変化を瞬時に完了させても良い。これにより、前ステップ処理による再実行の直後に、マクロの再現が完了した後の出力映像が出力されるので、当該出力映像を視聴する視聴者の違和感を抑制できる。
【0094】
上記実施形態では、図9の前ステップ処理のS72以降の処理によって、直近に次へボタン5が押された際に実行されたシーケンサテーブル11dのステップの復元情報(変更前設定値、一時メモリ)と、それよりも1つ前の再実行する対象のステップのシーケンサテーブル11dの復元情報とが設定値メモリ12aに適用された上で、再実行する対象のステップのプリセットメモリの適用等を実行したが、これに限られない。
【0095】
例えば、前ステップ処理のS72以降の処理の代わりに、直近に次へボタン5が押された際に実行されたステップの復元情報を設定値メモリ12aに適用(反映)しても良い。これによって、設定値メモリ12aの状態がその直前に実行されたステップが実行される直前の状態に復元されるので、当該ステップの1つ前のステップを実行した直後の出力映像を迅速に出力できる。
【0096】
上記実施形態では、図8の次ステップ処理において、N番目のステップがプリセットメモリの場合は、復元情報を設定値メモリ12aをプリセットメモリと同じ構成にしたもの(即ち一時メモリ)又は直前に適用されたプリセットメモリテーブルに記憶されているプリセットメモリとし、N番目のステップがPGM CH変更またはマクロの場合は、PGM CHの変更またはマクロの再現によって変化する映像処理の設定の設定値を復元情報とした。
【0097】
しかし、これに限られず、N番目のステップがプリセットメモリの場合も、プリセットメモリによって変化する映像処理の設定の設定値としても良い。また、N番目のステップがPGM CH変更またはマクロの場合も、その際の設定値メモリ12aをプリセットメモリにしたもの(即ち一時メモリ)を復元情報としても良い。
【0098】
上記実施形態では、映像処理プログラム11aを実行する装置としてスイッチャ1を例示したが、これに限られない。例えば、映像処理プログラム11aをPCやスマートフォン、タブレット端末等の情報処理装置で実行しても良い。
【符号の説明】
【0099】
1 スイッチャ(映像処理装置)
11 フラッシュROM(記憶部)
11a 映像処理プログラム
11b プリセットメモリテーブル(状態記憶手段)
11c マクロテーブル(履歴記憶手段)
11d シーケンサテーブル(実行順記憶手段、復元情報記憶手段)
S7 状態適用手段、状態適用ステップ
S10 履歴再現手段
S12 逐次実行手段、逐次実行ステップ
S14 遡及実行手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9