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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180893
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】固体電池及び固体電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0562 20100101AFI20221130BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALI20221130BHJP
【FI】
H01M10/0562
H01M10/0565
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087643
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】圷 重光
(72)【発明者】
【氏名】藤本 真二
(72)【発明者】
【氏名】鋤柄 宜
【テーマコード(参考)】
5H029
【Fターム(参考)】
5H029AJ06
5H029AK01
5H029AK03
5H029AK05
5H029AL01
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL04
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL12
5H029AM12
5H029AM16
5H029BJ12
5H029CJ22
5H029HJ04
5H029HJ12
(57)【要約】
【課題】固体電解質の積層占積率を低減でき、かつ抵抗率を低減できる固体電池を提供すること。
【解決手段】正極板と、負極板とを交互に積層させてなる積層体を含む固体電池であり、正極板及び負極板のうち、少なくともいずれかの積層面には、固体電解質層が形成される、固体電池。正極板及び負極板のうち少なくともいずれかは、端面の少なくとも一部に固体電解質層が形成され、正極板及び負極板のうち一方の電極板の積層面の面積は、正極板及び負極板のうち他方の電極板の積層面の面積よりも大きく、かつ、一方の電極板の外縁は、他方の電極板の外縁よりも外側に配置され、一方の電極板は、端面の少なくとも一部に固体電解質層が形成されることが好ましい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極板と、負極板とを交互に積層させてなる積層体を含む固体電池であり、
前記正極板及び前記負極板のうち、少なくともいずれかの積層面には、固体電解質層が形成される、固体電池。
【請求項2】
前記正極板及び前記負極板のうち少なくともいずれかは、端面の少なくとも一部に固体電解質層が形成される、請求項1に記載の固体電池。
【請求項3】
前記正極板及び前記負極板のうち一方の電極板の積層面の面積は、前記正極板及び前記負極板のうち他方の電極板の積層面の面積よりも大きく、かつ、前記一方の電極板の外縁は、前記他方の電極板の外縁よりも外側に配置され、
前記一方の電極板は、端面の少なくとも一部に固体電解質層が形成される、請求項1又は2に記載の固体電池。
【請求項4】
前記一方の電極板の端面の、前記他方の電極板から延出する電極タブに対応する位置に、前記電極タブの幅よりも広い凹部を有し、
前記凹部には、固体電解質層が形成され、
前記一方の電極板の積層面に固体電解質層が形成される、請求項3に記載の固体電池。
【請求項5】
前記正極板及び前記負極板の積層面には、固体電解質層が形成され、
前記一方の電極板の端面の、前記他方の電極板から延出する電極タブの端部に対応する位置に凹部を有し、
前記凹部には、固体電解質層が形成される、請求項3に記載の固体電池。
【請求項6】
固体電池用電極の製造工程を含む固体電池の製造方法であって、
前記固体電池用電極の製造工程は、
集電板に電極材を塗工する極材塗工工程と、
電極材が塗工された前記集電板の一部に孔部を形成する穴あけ工程と、
前記孔部が形成された前記集電板に固体電解質を塗工する固体電解質塗工工程と、
前記固体電解質が塗工された前記集電板を、前記孔部を含む切断線で切断することで、前記集電板の端面に凹部が形成されるように前記集電板を切断する切断工程と、をこの順に備える、固体電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体電池及び固体電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高エネルギー密度を有する二次電池として、リチウムイオン二次電池が幅広く普及している。リチウムイオン二次電池は、正極と負極との間にセパレータを存在させ、液体の電解質を充填した構造を有する。
【0003】
リチウムイオン二次電池の電解液は、通常、可燃性の有機溶媒であるため、特に、熱に対する安全性が問題となる場合があった。そこで、有機系の液体の電解質に代えて、無機系の固体電解質を用いた固体電池が提案されている。例えば、正極層、負極層、並びに、正極層及び負極層の間に配置される固体電解質層を有する積層体を備える固体電池に関する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-205479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された固体電池は、各電極層の間に加圧成型されたシート状の固体電解質層が配置される。シート状の固体電解質層は強度を要するため、数十μm程度の厚みが必要となる。このため、固体電解質の積層占積率が高くなる点、及び電極間の距離増大により抵抗率が増大する点から改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、固体電解質の積層占積率を低減でき、かつ抵抗率を低減できる固体電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明は、正極板と、負極板とを交互に積層させてなる積層体を含む固体電池であり、前記正極板及び前記負極板のうち、少なくともいずれかの積層面には、固体電解質層が形成される、固体電池に関する。
【0008】
(1)の発明によれば、固体電解質の積層占積率を低減でき、かつ抵抗率を低減できる固体電池を提供できる。
【0009】
(2) 前記正極板及び前記負極板のうち少なくともいずれかは、端面の少なくとも一部に固体電解質層が形成される、(1)に記載の固体電池。
【0010】
(2)の発明によれば、正極板及び負極板のうち少なくともいずれかの端面と、他の電極板の端面との間の絶縁を確保できる。
【0011】
(3) 前記正極板及び前記負極板のうち一方の電極板の積層面の面積は、前記正極板及び前記負極板のうち他方の電極板の積層面の面積よりも大きく、かつ、前記一方の電極板の外縁は、前記他方の電極板の外縁よりも外側に配置され、前記一方の電極板は、端面の少なくとも一部に固体電解質層が形成される、(1)又は(2)に記載の固体電池。
【0012】
(3)の発明によれば、シート状の固体電解質層に代えて、電極板上に薄い固体電解質層を形成した場合においても、電極板間の絶縁を確保できる。
【0013】
(4) 前記一方の電極板の端面の、前記他方の電極板から延出する電極タブに対応する位置に、前記電極タブの幅よりも広い凹部を有し、前記凹部には、固体電解質層が形成され、前記一方の電極板の積層面に固体電解質層が形成される、(3)に記載の固体電池。
【0014】
(4)の発明によれば、一方の電極板の端面と、他方の電極板から延出する電極タブとの絶縁を確保できると共に、他方の電極板上に固体電解質層を形成せずに積層体を構成できるため、固体電池の製造工程を簡略化できる。
【0015】
(5) 前記正極板及び前記負極板の積層面には、固体電解質層が形成され、前記一方の電極板の端面の、前記他方の電極板から延出する電極タブの端部に対応する位置に凹部を有し、前記凹部には、固体電解質層が形成される、(3)に記載の固体電池。
【0016】
(5)の発明によれば、一方の電極板の端面と、他方の電極板から延出する電極タブとの絶縁を確保できる積層体を構成できる。
【0017】
(6) また、本発明は、固体電池用電極の製造工程を含む固体電池の製造方法であって、前記固体電池用電極の製造工程は、集電板に電極材を塗工する極材塗工工程と、電極材が塗工された前記集電板の一部に孔部を形成する穴あけ工程と、前記孔部が形成された前記集電板に固体電解質を塗工する固体電解質塗工工程と、前記固体電解質が塗工された前記集電板を、前記孔部を含む切断線で切断することで、前記集電板の端面に凹部が形成されるように前記集電板を切断する切断工程と、をこの順に備える、固体電池の製造方法に関する。
【0018】
(6)の発明によれば、端面の少なくとも一部に固体電解質層が形成される電極板を効率よく製造でき、固体電池の製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る固体電池の概要を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る積層体の概要を示す図である。
図3A図2のA-A線断面図である。
図3B図2のB-B線断面図である。
図3C図2のC-C線断面図である。
図3D図2のD-D線断面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る積層体の概要を示す図である。
図5A図4のA-A線断面図である。
図5B図4のB-B線断面図である。
図6】本発明の第3実施形態に係る積層体の概要を示す図である。
図7A図6のA-A線断面図である。
図7B図6のB-B線断面図である。
図7C図6のC-C線断面図である。
図7D図6のD-D線断面図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る固体電池用電極の製造工程を示す図である。
図9】本発明の第1実施形態に係る固体電池用電極の製造工程を示す図である。
図10】本発明の第3実施形態に係る固体電池用電極の製造工程を示す図である。
図11】本発明の第1実施形態に係る固体電池の製造工程を示すフロー図である。
図12】本発明の第3実施形態に係る固体電池の製造工程を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
《第1実施形態》
<固体電池>
図1は、本発明の実施形態に係る固体電池10を示す断面模式図である。図1に示すように、固体電池10は、電極板としての複数の正極板20及び負極板30が交互に積層されてなる、積層体1を有する。積層体1は、外装体5に収容される。複数の正極板20は正極2に対して電気的に接続され、複数の負極板30は負極3に対して電気的に接続される。正極2及び負極3の周囲には、絶縁体Iが配置される。
【0021】
(正極板)
正極板20は、図2及び図3A図3Dに示すように、正極集電板21と、正極集電板21上に形成された正極活物質を含む正極活物質層22と、正極活物質層22上に形成された固体電解質を含む固体電解質層40と、正極集電板21が延出して形成される正極タブ211と、を有する。
【0022】
正極集電板21は、特に限定されるものではなく、固体電池の正極に用いうる公知の集電物質により構成される。例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス、ニッケル、鉄、チタン等により構成される。
【0023】
正極活物質層22を構成する正極活物質としては、特に限定されず、リチウムイオン等の電荷移動媒体を吸蔵及び放出することができる公知の材料を適宜選択して用いることができる。例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、異種元素置換Li-Mnスピネル、リン酸金属リチウム、硫化リチウム、硫黄等が挙げられる。具体的には、LiCoO、Li(Ni5/10Co2/10Mn3/10)O2、Li(Ni6/10Co2/10Mn2/10)O2、Li(Ni8/10Co1/10Mn1/10)O2、Li(Ni0.8Co0.15Al0.05)O2、Li(Ni1/6Co4/6Mn1/6)O2、Li(Ni1/3Co1/3Mn1/3)O2、LiCoO、LiMn、LiNiO、LiFePO等が挙げられる。正極活物質層22には、正極活物質以外に、任意に、導電助剤や結着剤等が含まれていてもよい。
【0024】
(負極板)
負極板30は、図2及び図3A図3Dに示すように、負極集電板31と、負極集電板上に形成された負極活物質を含む負極活物質層32と、負極活物質層32上に形成された固体電解質を含む固体電解質層40と、負極集電板31が延出して形成される負極タブ311と、を有する。
【0025】
負極集電板31は、特に限定されるものではなく、固体電池の負極に用いうる公知の集電物質により構成される。例えば、ニッケル、銅又は銅合金、ステンレス等により構成される。
【0026】
負極活物質層32を構成する負極活物質としては、特に限定されず、リチウムイオン等の電荷移動媒体を吸蔵及び放出することができる公知の材料を適宜選択して用いることができる。例えば、チタン酸リチウム等のリチウム遷移金属酸化物、TiO、Nb及びWO等の遷移金属酸化物、Si、SiO、金属硫化物、金属窒化物、並びに人工黒鉛、天然黒鉛、グラファイト、ソフトカーボン及びハードカーボン等の炭素材料、並びに金属リチウム、金属インジウム及びリチウム合金等が挙げられる。負極活物質層32には、負極活物質以外に、任意に、導電助剤や結着剤等が含まれていてもよい。
【0027】
固体電解質層40は、積層体1の積層面である、正極活物質層22及び負極活物質層32上に形成される数μm程度の厚みを有する層であり、固体又はゲル状の電解質である固体電解質材料を少なくとも含む層である。上記固体電解質材料を介して、正極活物質及び負極活物質の間の電荷移動を行うことができる。固体電解質層40に含まれる固体電解質材料としては、特に限定されないが、例えば、硫化物固体電解質材料、酸化物固体電解質材料、窒化物固体電解質材料、ハロゲン化物固体電解質材料等を用いることができる。
【0028】
正極活物質層22及び負極活物質層32上に固体電解質層40が形成されることで、固体電解質層40の厚みを数μm程度とすることができるため、固体電解質の積層占積率を低減でき、かつ抵抗率を低減できる。また、以下に説明する構成により、固体電池10は薄層の固体電解質層を有しながら、電極間の絶縁を確保でき、更に製造工程や構造を簡略化できる利点を有する。
【0029】
[積層体]
図2は、本実施形態に係る積層体1の概要を示す図である。本実施形態において、一方の電極板としての正極板20の積層面の面積は、他方の電極板としての負極板30の積層面の面積よりも大きい。正極板20の外縁は、負極板30の外縁を含むように。負極板30の外縁よりも外側に配置される。これにより、図3A図3Cに示すように、正極板20の端面と負極板30の端面との間に絶縁距離L1を確保できる。以降の説明において、一方の電極板を正極板20として、他方の電極板を負極板30として説明するが、一方の電極板が負極板であり、他方の電極板が正極板であってもよい。
【0030】
一方の電極板である正極板20の端面には、凹部23が形成される。凹部23は、図2に示すように、負極タブ311の両端部に対応する位置にそれぞれ配置される。凹部23の端面には、固体電解質層40が形成される。これにより、正極板20の凹部23を除く箇所と、負極タブ311との間に絶縁距離L3を確保できる。
【0031】
負極タブ311は、図3Cに示すように、積層面に、タブ延出方向に一定の長さL2を有する固体電解質層40が形成される。これにより、負極タブ311と正極板20の端面との間に絶縁距離L2を確保できる。一方で、負極タブ311は、端面に固体電解質層40を有していないため、正極板20が凹部23を有しない場合には、負極タブ311の端面と正極板20の端面との交差線上の絶縁距離が確保できない。しかし、本実施形態において、正極板20は、図3Dに示すように、負極タブ311の端面との交差線を含む範囲、即ち負極タブ311の両端部に対応する位置に、固体電解質層40が形成された一対の凹部23を有しているため、正極板20と負極タブ311との絶縁を確保できる。
【0032】
<固体電池の製造方法>
本実施形態に係る固体電池の製造方法は、図11に示すように、正極板製造工程S1と、負極板製造工程S2と、積層工程S3と、加圧工程S4と、を有する。
【0033】
正極板製造工程S1は、図11に示すように、極材塗工工程S11と、乾燥工程S12と、穴あけ工程S13と、固体電解質塗工工程S14と、乾燥工程S15と、切断工程16と、をこの順に有する。
【0034】
極材塗工工程S11は、図8に示すように、シート状の正極集電板21の両面に正極活物質層22を形成する工程である。正極活物質層22を形成する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、正極活物質を含む正極合材を調製し、正極合材を正極集電体上に塗布する方法が挙げられる。塗布する方法についても特に限定されるものではなく、例えば、ドクターブレード法、スプレー塗布、スクリーン印刷等が挙げられる。乾燥工程S12は塗布された正極合材を乾燥させる工程であり、乾燥方法としては特に限定されない。
【0035】
穴あけ工程S13は、両面に正極活物質層22が形成されたシート状の正極集電板21に孔部を形成する工程である。孔部を形成する方法としては特に限定されず、パンチング金型により穴あけ加工を行う方法、レーザー処理による方法等、従来公知の方法を用いることができる。
【0036】
固体電解質塗工工程S14は、図8に示すように、両面に正極活物質層22が形成され、孔部が形成されたシート状の正極集電板21の両面に固体電解質層40を形成する工程である。固体電解質層40を形成する方法は特に限定されず、極材塗工工程S11と同様、ドクターブレード法、スプレー塗布、スクリーン印刷等により固体電解質を塗工する方法が挙げられる。孔部が形成された正極集電板21に対し、固体電解質を塗工することで、孔部の端面に固体電解質が回り込み、孔部の端面に対しても固体電解質層40を形成できる。乾燥工程S15は塗布された固体電解質層40を乾燥させる工程であり、乾燥方法としては特に限定されない。
【0037】
切断工程S16は、シート状の正極集電板21を、穴あけ工程S13により形成された孔部を含む切断線で切断することで、端面に凹部23が形成された正極板20を形成する工程である。また切断工程S16により、正極タブ211が形成される。
【0038】
上記工程を有する正極板製造工程S1によれば、端面に凹部23が形成され、凹部23の端面に固体電解質層40が形成された正極板20を製造することができる。即ち、シート状の正極集電板21を切断する前に、孔部の端面に固体電解質を塗工して端面の少なくとも一部に固体電解質層40が形成された正極板20を製造することができるため、正極板20の生産効率の観点から好ましい。
【0039】
負極板製造工程S2は、図11に示すように、極材塗工工程S21と、乾燥工程S22と、固体電解質塗工工程S23と、乾燥工程S24と、切断工程25と、をこの順に有する。負極板製造工程S2の各工程は、図9に示すように、穴あけ工程S13を有していないこと以外は正極板製造工程S1と同様の工程を有する。
【0040】
積層工程S3は、正極板製造工程S1により製造された正極板20と、負極板製造工程S2により製造された負極板30とを積層する工程である。
【0041】
加圧工程S4は、積層された正極板20及び負極板30をプレス機等で挟んで加圧することで一体化させる工程である。
【0042】
以下、本発明の他の実施形態について説明する。上記で説明した構成と同様の構成については、説明を省略する場合がある。
【0043】
《第2実施形態》
図4は、第2実施形態に係る固体電池の積層体1aの概要を示す図である。積層体1aは、正極板20a及び負極板30aが交互に積層されてなる。積層体1aにおける、正極タブ211と負極タブ311の延出方向は、互いに離間する方向である。上記以外は、積層体1aの構成は積層体1と同様である。正極板20aの外縁は、負極板30aの外縁を含むように。負極板30aの外縁よりも外側に配置される。これにより、図5A図5Bに示すように、正極板20aの端面と負極板30aの端面との間に絶縁距離L1を確保できる。一方の電極板である正極板20aの端面には、凹部が形成され、凹部は、図4に示すように、負極タブ311の両端部に対応する位置に配置される。このように、車載用等に用いられるタブの延出方向が異なる固体電池に対しても、本発明の構成を適用できる。
【0044】
《第3実施形態》
図6は、第3実施形態に係る固体電池の積層体1bの概要を示す図である。積層体1bは、図7A図7Dに示すように、正極板20b及び負極板30bが交互に積層されてなる。本実施形態において、一方の電極板である正極板20bの積層面には固体電解質層40が形成されるが、他方の電極板である負極板30bの積層面には固体電解質層40が形成されない。以下の説明において、第1実施形態と同様、一方の電極板としての正極板20bの構成と、他方の電極板としての負極板30bの構成を入れ替え、一方の電極板を負極板として、他方の電極板を正極板としてもよい。
【0045】
正極板20b及び負極板30bは、第1実施形態と同様、一方の電極板としての正極板20bの積層面の面積は、他方の電極板としての負極板30bの積層面の面積よりも大きい。正極板20bの外縁は、負極板30bの外縁を含むように、負極板30bの外縁よりも外側に配置される。これにより、図7A図7Dに示すように、正極板20bの端面と負極板30bの端面との間に絶縁距離L1を確保できる。
【0046】
負極板30bは、積層面に固体電解質層を有しない。従って、図7Cに示すように、負極タブ311の表面にも固体電解質層は形成されていない。このため、負極タブ311と正極板20bとの間の絶縁を確保する必要がある。
【0047】
一方の電極板である正極板20bの端面には、凹部23bが形成される。凹部23bは、図6に示すように、負極タブ311に対応する位置に配置される。凹部23bは、凹部23とは異なり、単一の凹部であり、負極タブ311の幅よりも広い凹部である。凹部23b端面には、固体電解質層40が形成される。凹部23bにより、正極板20bの凹部23bを除く箇所と、負極タブ311との間に絶縁距離L3を確保できる。
【0048】
正極板20bは、負極タブ311の幅よりも広い凹部23bを有し、凹部23b端面には、図7Cに示すように固体電解質層40が形成される。これにより、正極板20bと負極タブ311との絶縁を確保できる。
【0049】
本実施形態に係る積層体1bは、負極板30bの表面に固体電解質層を形成することなく、正極板20bとの間の絶縁を確保できる。これにより、積層体1bを有する固体電池の製造工程を簡略化することができる。
【0050】
<固体電池の製造方法>
本実施形態に係る固体電池の製造方法は、図12に示すように、正極板製造工程S1と、負極板製造工程S2aと、積層工程S3と、加圧工程S4と、を有する。本実施形態に係る固体電池の製造方法は、図10に示す正極板製造工程を有する。図10に示す正極板製造工程は、穴あけ工程S13により形成される孔部の大きさが、負極タブ311の幅よりも広い凹部23bを形成できる大きさであること以外は、第1実施形態に係る正極板製造工程S1と同様である。
【0051】
本実施形態に係る負極板製造工程は、図12に示すように、負極板製造工程S2aを有する。負極板製造工程S2aは、固体電解質塗工工程S23及び乾燥工程S24を有しないこと以外は、第1実施形態に係る負極板製造工程S2と同様である。これにより、固体電池の製造工程を簡略化できる。
【0052】
本実施形態に係る固体電池の製造方法は、図12に示すように、第1実施形態と同様の積層工程S3と、加圧工程S4とを有する。
【0053】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されず、適宜変更を加えたものも本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
10 固体電池
1、1a、1b 積層体
20、20a、20b 正極板(一方の電極板)
211 正極タブ
23、23b 凹部
30、30a、30b 負極板(他方の電極板)
311 負極タブ(電極タブ)
40 固体電解質層
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10
図11
図12