(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180894
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】充電制御装置、車両、充電制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20221130BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20221130BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087647
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀竹 直
(72)【発明者】
【氏名】高橋 洸平
(72)【発明者】
【氏名】篠原 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】小野山 洋紀
(72)【発明者】
【氏名】越井 貴也
(72)【発明者】
【氏名】塩住 祐樹
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA11
5G503DA07
5G503FA06
5G503GB03
5G503GD03
5G503GD06
5G503HA01
5H030AA10
5H030AS08
5H030BB01
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】負荷と切り離すことができない組電池においても均等化処理を行う。
【解決手段】充電制御装置としての監視ECU14は、補機バッテリ30を構成する複数の電池セル32の充電を制御する制御部と、前記制御部の制御による充電中において、複数の電池セル32のうち最も電圧が高い電池セル32の電圧値が閾値以上かつ電流値が設定値以下である場合に、複数の電池セル32のCCV(Closed Circuit Voltage)を測定する測定部と、測定されたCCVが最も低い電池セル32の電圧との電位差が所定値以上の電池セル32に対して、前記電位差が解消するように放電処理を実行する実行部と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組電池を構成する複数の電池セルの充電を制御する制御部と、
前記制御部の制御による充電中において、複数の電池セルのうち最も電圧が高い電池セルの電圧値が閾値以上かつ電流値が設定値以下である場合に、複数の電池セルのCCV(Closed Circuit Voltage)を測定する測定部と、
測定されたCCVが最も低い電池セルの電圧との電位差が所定値以上の電池セルに対して、前記電位差が解消するように放電処理を実行する実行部と、
を備える充電制御装置。
【請求項2】
前記制御部は充電時の電圧が高電圧となる領域において所定時間を経過するまで充電を行うように制御する請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項3】
前記測定部は、電流値が前記設定値以下の状態が特定時間経過した場合にCCVを測定する請求項1又は2に記載の充電制御装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の充電制御装置と、
前記組電池に充電を行う充電装置と、
を備える車両。
【請求項5】
組電池を構成する複数の電池セルを充電し、
充電中において、複数の電池セルのうち最も電圧が高い電池セルの電圧値が閾値以上かつ電流値が設定値以下である場合に、複数の電池セルのCCV(Closed Circuit Voltage)を測定し、
測定されたCCVが最も低い電池セルの電圧との電位差が所定値以上の電池セルに対して、前記電位差が解消するように放電処理を実行する
処理をコンピュータが実行する充電制御方法。
【請求項6】
組電池を構成する複数の電池セルを充電し、
充電中において、複数の電池セルのうち最も電圧が高い電池セルの電圧値が閾値以上かつ電流値が設定値以下である場合に、複数の電池セルのCCV(Closed Circuit Voltage)を測定し、
測定されたCCVが最も低い電池セルの電圧との電位差が所定値以上の電池セルに対して、前記電位差が解消するように放電処理を実行する
処理をコンピュータに実行させる制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は充電制御装置、車両、充電制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、リチウムイオン電池である組電池を構成する各電池セルの充電率を均等化する充電率均等化装置が開示されている。当該均等化装置では、充電化処理において複数の電池セルを一括して充電し、ある電池セルが最高電圧に達した場合に所定時間経過後のOCV(Open Circuit Voltage)を取得し、取得したOCVに基づいて電池セルの均等化を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の均等化装置は、常時電力を供給する必要がある車両の補機電池に適用しようとしても、OCVを取得するために当該補機電池と車両の負荷とをリレーで切り離すことはできず適用は難しい。
【0005】
本発明は、負荷と切り離すことができない組電池においても均等化処理を行うことが可能な充電制御装置、車両、充電制御方法及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の充電制御装置は、組電池を構成する複数の電池セルの充電を制御する制御部と、前記制御部の制御による充電中において、複数の電池セルのうち最も電圧が高い電池セルの電圧値が閾値以上かつ電流値が設定値以下である場合に、複数の電池セルのCCV(Closed Circuit Voltage)を測定する測定部と、測定されたCCVが最も低い電池セルの電圧との電位差が所定値以上の電池セルに対して、前記電位差が解消するように放電処理を実行する実行部と、を備えている。
【0007】
請求項1に記載の充電制御装置は、制御部が電池セルの充電を行うと、測定部が充電中において最も電圧が高い電池セルの電圧値が閾値以上かつ電流値が設定値以下である場合に各電池セルのCCVを測定する。そして、当該充電制御装置では、実行部が、測定されたCCVが最も低い電池セルの電圧との電位差が所定値以上の電池セルに対して当該電位差が解消するように放電処理を実行する。当該充電制御装置によれば、CCVに基づいて電位差のある電池セルの放電処理を実行することで、負荷と切り離すことができない組電池においても均等化処理を行うことができる。
【0008】
請求項2に記載の充電制御装置は、請求項1に記載の充電制御装置において、前記制御部は充電時の電圧が高電圧となる領域において所定時間を経過するまで充電を行うように制御する。
【0009】
請求項2に記載の充電制御装置では、組電池のSOC(充電率:State Of Charge)が高い状態を維持するように制御部が充電を行う。これにより、リン酸鉄系リチウムイオン電池のようなSOC‐OCV曲線においてOCVの変化が少ないフラット領域を有する組電池であっても、SOCに対して電圧が変動する領域で電池セルの均等化処理を行うことができる。
【0010】
請求項3に記載の充電制御装置は、請求項1又は2に記載の充電制御装置において、前記測定部は、電流値が前記設定値以下の状態が特定時間経過した場合にCCVを測定する。
【0011】
請求項3に記載の充電制御装置では、測定部は電流値が前記設定値以下の状態が特定時間経過した場合にCCVを測定することで、電池セルにおける分極をできる限り解消させてOCVに近い状態のCCVを測定することができる。これにより、CCVを使用する場合であっても精度良く電池セルの均等化処理を行うことができる。
【0012】
請求項4に記載の車両は、請求項1~3の何れか1項に記載の充電制御装置と、前記組電池に充電を行う充電装置と、を備えている。
【0013】
請求項4に記載の車両によれば、組電池が電力の供給を遮断できず、補機類に電力を常時供給する補機電池であっても、電池セルの均等化処理を行うことができる。
【0014】
請求項5に記載の充電制御方法は、組電池を構成する複数の電池セルを充電し、充電中において、複数の電池セルのうち最も電圧が高い電池セルの電圧値が閾値以上かつ電流値が設定値以下である場合に、複数の電池セルのCCV(Closed Circuit Voltage)を測定し、測定されたCCVが最も低い電池セルの電圧との電位差が所定値以上の電池セルに対して、前記電位差が解消するように放電処理を実行する処理をコンピュータが実行する。
【0015】
請求項5に記載の充電制御方法は、コンピュータが電池セルの充電を行うと、充電中において最も電圧が高い電池セルの電圧値が閾値以上かつ電流値が設定値以下である場合に各電池セルのCCVを測定する。そして、コンピュータが測定されたCCVが最も低い電池セルの電圧との電位差が所定値以上の電池セルに対して当該電位差が解消するように放電処理を実行する。当該充電制御方法によれば、CCVに基づいて電位差のある電池セルの放電処理を実行することで、負荷と切り離すことができない組電池においても均等化処理を行うことができる。
【0016】
請求項6に記載の制御プログラムは、組電池を構成する複数の電池セルを充電し、充電中において、複数の電池セルのうち最も電圧が高い電池セルの電圧値が閾値以上かつ電流値が設定値以下である場合に、複数の電池セルのCCV(Closed Circuit Voltage)を測定し、測定されたCCVが最も低い電池セルの電圧との電位差が所定値以上の電池セルに対して、前記電位差が解消するように放電処理を実行する処理をコンピュータに実行させる。
【0017】
請求項6に記載の制御プログラムは、コンピュータに次の処理を実行させる。コンピュータが電池セルの充電を行うと、充電中において最も電圧が高い電池セルの電圧値が閾値以上かつ電流値が設定値以下である場合に各電池セルのCCVを測定する。そして、コンピュータが測定されたCCVが最も低い電池セルの電圧との電位差が所定値以上の電池セルに対して当該電位差が解消するように放電処理を実行する。当該制御プログラムによれば、CCVに基づいて電位差のある電池セルの放電処理を実行することで、負荷と切り離すことができない組電池においても均等化処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、負荷と切り離すことができない組電池においても均等化処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態に係る車両及び電力供給システムの概略構成図である。
【
図2】実施形態の監視部におけるハードウェアの構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態の監視部におけるCPUの機能構成を示すブロック図である。
【
図4】実施形態における均等化処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】リン酸鉄系リチウムイオン電池のSOC‐OCVの対応関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。本発明の充電制御装置は、車両における電力供給システムに組み込まれている。この充電制御装置は、リン酸鉄系リチウムイオン電池における各電池セルのSOC(充電率:State Of Charge)を均等化する処理(以下、「均等化処理」という。)を行う。
【0021】
図5にリン酸鉄系リチウムイオン電池のSOC‐OCVの対応関係を例示する。
図5に示されるように、リン酸鉄系リチウムイオン電池において、充電時のOCVを示す充電側OCV、及び放電時のOCVを示す放電側OCVは共にSOCが35~95%にかけてOCVの変化が少ないフラット領域を有している。また、リン酸鉄系リチウムイオン電池は、充電側OCV及び放電側OCVの電圧差が示すように、充放電の間にヒステリシスを有している。そのため、SOC‐OCVの対応関係に一意性があり、充放電の間にヒステリシスのほとんどない三元系リチウムイオン電池と同様の均等化処理であって、OCVに基づいた均等化処理を行うことは困難である。
【0022】
また、補機バッテリのように補機類に常時電力を供給するバッテリの場合、リレーにより補機バッテリから負荷を遮断することができず、OCVを測定することは困難である。そのため、本発明の充電制御装置は、CCVを用いた監視により均等化処理を実現する。
【0023】
(構成)
図1に示されるように、本実施形態の電力供給システム10は、車両12に搭載されている。車両12は、EV(Electric Vehicle)又はHV(Hybrid Vehicle)が例示される。本実施形態の車両12は、電力供給システム10により電力が供給される。この車両12は、車両12の各部を動作させる機器である補機類26、及び補機類26を含む車両12の各部を制御する制御ECU28を含んでいる。
【0024】
電力供給システム10は、充電制御装置としての監視ECU14、高圧バッテリ22、DCDCコンバータ24及び補機電池としての補機バッテリ30を含んで構成されている。なお、
図1において、符号Gはグラウンドを示す。監視ECU14の詳細については後述する。
【0025】
高圧バッテリ22は、車両12の駆動に関わる走行モータ等を動作させるための高電圧のバッテリであり、例えばリチウムイオン電池やニッケル水素電池などの充放電可能な二次電池で構成されている。高圧バッテリ22は、DCDCコンバータ24に接続されている。
【0026】
DCDCコンバータ24は、高圧バッテリ22が出力する電力を、補機バッテリ30及び補機類26に供給する機能を有している。DCDCコンバータ24は、入力側に高圧バッテリ22が接続され、出力側に補機バッテリ30及び補機類26が接続されている。電力供給の際、DCDCコンバータ24は、入力電圧である高圧バッテリ22の出力電圧を、制御ECU28からの指示に基づく所定の電圧に降圧して、補機バッテリ30及び補機類26に向けて出力する。本実施形態のDCDCコンバータ24は充電装置の一例である。
【0027】
制御ECU28は、例えばマイコンで構成され、DCDCコンバータ24を制御する機能を有している。これにより、制御ECU28は、高圧バッテリ22の電力を、DCDCコンバータ24を介して補機バッテリ30及び補機類26に給電する。
【0028】
補機バッテリ30は、補機類26を動作させることができるバッテリである。本実施形態の補機バッテリ30は、充放電可能なリン酸鉄系リチウムイオン電池である。また、補機バッテリ30は、複数の電池セル32から構成される組電池である。補機バッテリ30は、DCDCコンバータ24に接続されており、DCDCコンバータ24から電力の供給を受けることが可能である。また、補機バッテリ30は、車両12の補機類26に接続されており、補機類26に対して電力を供給する。
【0029】
監視ECU14は、監視ユニット14A及び放電ユニット14Bを含んで構成されている。監視ユニット14Aは、マイコンから構成される監視部20と、電池セル32毎に設けられた複数の電圧計34と、補機バッテリ30の配線上に設けられた電流計35と、を含む。放電ユニット14Bは、電池セル32毎に設けられた複数の放電部36を含む。放電部36は、例えば、電池セル32に接続された放電用の抵抗と、電池セル32から当該抵抗への通電を制御するスイッチを含んで構成されている。
図2に示されるように、監視部20は、CPU(Central Processing Unit)20A、ROM(Read Only Memory)20B、RAM(Random Access Memory)20C、入出力I/F(Interface)20D及び通信I/F20Eを含んで構成されている。CPU20A、ROM20B、RAM20C、入出力I/F20D及び通信I/F20Eは、内部バス20Fを介して相互に通信可能に接続されている。
【0030】
CPU20Aは、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU20Aは、ROM20Bからプログラムを読み出し、RAM20Cを作業領域としてプログラムを実行する。
【0031】
ROM20Bは、各種プログラム及び各種データを記憶している。実施形態のROM20Bには、制御プログラム100が記憶されている。
【0032】
制御プログラム100は、監視部20を制御するためのプログラムである。制御プログラム100により制御される監視部20が補機バッテリ30の充電及び放電の制御を行う。
【0033】
RAM20Cは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。
入出力I/F20Dは、監視部20と電圧計34、電流計35及び放電部36のそれぞれとを電気的に接続するためのインタフェースである。
【0034】
通信I/F20Eは、制御ECU28などの各ECUと接続するためのインタフェースである。当該インタフェースは、例えば、CANプロトコルによる通信規格が用いられる。監視部20は、通信I/F20Eに接続された制御ECU28を介してDCDCコンバータ24を制御し、補機バッテリ30の充電を制御することができる。
【0035】
なお、監視部20は、ROM20Bに加えて又はROM20Bに代えて記憶部としてのストレージを含んでいてもよい。このストレージは、例えば、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成される。
【0036】
図3に示されるように本実施形態の監視部20では、CPU20Aが、制御プログラム100を実行することで、制御部200、測定部210及び実行部220として機能する。
【0037】
制御部200は、補機バッテリ30の充電を制御する機能を有している。本実施形態の制御部200は、充電時の電圧が高電圧となる領域において所定時間を経過するまで充電を行うように各電池セル32の充電を制御する。ここで、「高電圧となる領域」とは、SOCがフラット領域よりも高い、SOCに対する電池セル32の電圧が変化する領域である(
図5参照)。また、「所定時間」とは、少なくとも電流値及び電圧値が安定するまでの時間である。
【0038】
測定部210は、電圧計34により各電池セル32の電圧を、電流計35により補機バッテリ30の電流を、それぞれ測定する機能を有している。本実施形態の測定部210は、補機バッテリ30の充電中において、複数の電池セル32のうち最も電圧が高い電池セルの電圧値が閾値以上かつ電流値が設定値以下である場合に、複数の電池セル32のCCVを測定する。ここで、電圧における「閾値」は、フラット領域(
図5参照)の電池セル32の電圧以上の値に設定されている。すなわち、閾値はSOCに対する電池セル32の電圧が変化する電圧値である。また、電流における「設定値」は、電池セル32の内部抵抗に伴う電圧の低下が許容できる電流値に設定されている。
【0039】
また、測定部210は、電流値が設定値以下の状態が特定時間経過した場合にCCVを測定する。ここで、「特定時間」は、少なくとも電池セル32における分極が解消される時間に設定されている。
【0040】
実行部220は、放電部36により各電池セル32の放電を実行する機能を有している。本実施形態の実行部220は、測定されたCCVが最も低い電池セルの電圧との電位差が所定値以上の電池セルに対して、当該電位差が解消するように放電処理を実行する。ここで、「所定値」は、電圧計34及び電流計35などのセンサが有する誤差を電圧値に換算して積み上げた値に設定されている。
【0041】
(制御の流れ)
本実施形態の監視部20において実行される充電制御方法としての均等化処理の流れについて、
図4のフローチャートを用いて説明する。監視部20における均等化処理は、CPU20Aが、上述した制御部200、測定部210及び実行部220として機能することにより実現される。
【0042】
図4のステップS100において、CPU20Aは充電処理を開始する。CPU20Aは、補機バッテリ30の電圧が高電圧となる領域まで充電処理を行うと共に、各電池セル32が高電圧となる領域を保持する。ここで、CPU20Aは、少なくとも電流値及び電圧値が安定するまでの時間、充電処理を保持する。
【0043】
ステップS101において、CPU20Aは最高電圧の電池セル32の電圧値が閾値以上でかつ、電流値が設定値以下であるか否かの判定を行う。CPU20Aは最高電圧の電池セル32の電圧値が閾値以上でかつ、電流値が設定値以下であると判定した場合(ステップS101でYESの場合)、ステップS102に進む。一方、CPU20Aは最高電圧の電池セル32の電圧値が閾値以上でかつ、電流値が設定値以下ではないと判定した場合(ステップS101でNOの場合)、均等化処理を終了させる。
【0044】
ステップS102において、CPU20Aは特定時間が経過したか否かの判定を行う。CPU20Aは特定時間が経過したと判定した場合(ステップS102でYESの場合)、ステップS103に進む。一方、CPU20Aは特定時間が経過していないと判定した場合(ステップS102でNOの場合)、ステップS102を繰り返す。
【0045】
ステップS103において、CPU20AはCCVを測定する。すなわち、CPU20Aは各電圧計34により、各電池セル32の電圧を測定する。
【0046】
ステップS104において、CPU20AはCCVが最低電圧の電池セル32の電圧値及び所定値の和以上となる電池セル32があるか否かの判定、換言するとCCVが最も低い電池セル32の電圧との電位差が所定値以上の電池セル32があるか否かの判定を行う。CPU20AはCCVが最低電圧の電池セル32の電圧値及び所定値の和以上となる電池セル32があると判定した場合(ステップS104でYESの場合)、ステップS105に進む。一方、CPU20AはCCVが最低電圧の電池セル32の電圧値及び所定値の和以上となる電池セル32がないと判定した場合(ステップS104でNOの場合)、均等化処理を終了させる。
【0047】
ステップS105において、CPU20Aは放電処理を開始する。詳しくは、CCVが最も低い電池セル32の電圧との電位差が所定値以上の電池セル32に対して放電処理を開始する。
【0048】
ステップS106において、CPU20Aは一定時間が経過したか否かの判定を行う。CPU20Aは一定時間が経過したと判定した場合(ステップS106でYESの場合)、ステップS107に進む。一方、CPU20Aは一定時間が経過していないと判定した場合(ステップS106でNOの場合)、ステップS106を繰り返す。ここで、「一定時間」は、電池セル32毎の電圧の不均衡が解消される時間に設定するとよい。
【0049】
ステップS107において、CPU20Aは放電処理を終了させる。なお、再度CCVを測定し、CCVが最も低い電池セル32の電圧との電位差が所定値以上の電池セル32が残っている場合は、当該電池セル32に対して、再度放電処理を実行してもよい。そして、均等化処理は終了する。
【0050】
(実施形態のまとめ)
本実施形態の監視部20は、制御部200が電池セル32の充電を行うと、測定部210が充電中において最も電圧が高い電池セル32の電圧値が閾値以上かつ電流値が設定値以下である場合に各電池セル32のCCVを測定する。そして、実行部220が、測定されたCCVが最も低い電池セル32の電圧との電位差が所定値以上の電池セル32に対して当該電位差が解消するように放電処理を実行する。本実施形態によれば、CCVに基づいて電位差のある電池セル32の放電処理を実行することで、リレーにより補機類26と切り離すことができない補機バッテリ30においても均等化処理を行うことができる。
【0051】
また、本実施形態では、補機バッテリ30のSOCが高い状態を維持するように制御部200が充電を行う。これにより、本実施形態によれば、リン酸鉄系リチウムイオン電池のようなSOC‐OCVの対応関係においてOCVの変化が少ないフラット領域を有する(
図5参照)組電池であっても、電池セル32の均等化処理を行うことができる。
【0052】
さらに、本実施形態では、測定部210は電流値が設定値以下の状態が特定時間経過した場合にCCVを測定することで、電池セル32における分極をできる限り解消させてOCVに近い状態のCCVを測定することができる。これにより、本実施形態によれば、CCVを使用する場合であっても精度良く電池セル32の均等化処理を行うことができる。
【0053】
[備考]
なお、上記実施形態では、充電制御装置に相当する監視ECU14が電圧計34、電流計35及び放電部36を含んでいたが、この限りではない。監視ECU14は監視部20を有していればよく、電圧計34、電流計35及び放電部36は、それぞれ監視ECU14とは別体であってもよい。
【0054】
また、上記実施形態における均等化処理は、車両12の走行中に実行しても、停車時に外部充電器を接続した場合に実行しても、何れでもよい。
【0055】
上記実施形態でCPU20Aがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した各種処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、上述した各処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0056】
また、上記実施形態において、各プログラムはコンピュータが読み取り可能な非一時的記録媒体に予め記憶(インストール)されている態様で説明した。例えば、監視部20における制御プログラム100は、ROM20Bに予め記憶されている。しかしこれに限らず、各プログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0057】
上記実施形態で説明した処理の流れも、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【符号の説明】
【0058】
12 車両
14 監視ECU(充電制御装置)
24 DCDCコンバータ(充電装置)
30 補機バッテリ(組電池)
32 電池セル
100 制御プログラム
200 制御部
210 測定部
220 実行部