(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180896
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】揺動装置
(51)【国際特許分類】
F16H 21/46 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
F16H21/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087650
(22)【出願日】2021-05-25
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】信時 正嗣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 信太郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 亨基
(72)【発明者】
【氏名】森田 知樹
(72)【発明者】
【氏名】末次 恵久
(72)【発明者】
【氏名】小久保 嘉人
(72)【発明者】
【氏名】多田隈 建二郎
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 将広
(72)【発明者】
【氏名】西城 直人
【テーマコード(参考)】
3J062
【Fターム(参考)】
3J062AC10
3J062BA40
(57)【要約】
【課題】立体的に揺動する二部材間の相対移動に対応した揺動装置を提供する。
【解決手段】揺動装置1は、ベース軌道RTBを形成するベースフレーム3と、第1及び第2の出力軌道RTa,RTbを形成する第1及び第2の出力フレーム5a,5bとを備える。また、揺動装置1は、ベース軌道RTB上を移動する第1及び第2のベーススライダ9a,9bと、第1及び第2の出力軌道RTa,RTb上を移動する第1及び第2の出力スライダ10a,10bとを備える。更に、第1及び第2の出力フレーム5a,5bは、共有する軸線6x周りに所定角度αを有して第1及び第2の出力軌道RTa,RTbを配置する状態で連結される。そして、ベース軌道RTB並びに第1及び第2の出力軌道RTa,RTbが中心位置P0を共有する状態で、第1及び第2のベーススライダ9a,9bと第1及び第2の出力スライダ10a,10bとが、それぞれ相対回転可能に連結される。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1仮想球面上に第1軌道を形成するとともに前記第1仮想球面と中心位置を共有する第2仮想球面上に第2軌道を形成する第1揺動要素と、
前記中心位置を共有する第3仮想球面上に第3軌道を形成するとともに前記中心位置を共有する第4仮想球面上に第4軌道を形成する第2揺動要素と、
前記第1軌道上の第1移動位置及び前記第3軌道上の第3移動位置を有して前記第1揺動要素と前記第2揺動要素とを連結する第1連結要素と、
前記第2軌道上の第2移動位置及び前記第4軌道上の第4移動位置を有して前記第1揺動要素と前記第2揺動要素とを連結する第2連結要素と、を備え、
前記第1揺動要素及び前記第2揺動要素の前記連結により前記中心位置を通って互いに直交する第1軸、第2軸、及び第3軸が規定されるとともに、
前記第1移動位置及び前記第2移動位置が同一方向に変位することにより、前記第1軸周りに前記第1揺動要素及び前記第2揺動要素の相対回転が許容され、
前記第1移動位置及び前記第2移動位置の相対距離が変化することにより、前記第2軸周りに前記第1揺動要素及び前記第2揺動要素の相対回転が許容される揺動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の揺動装置において、
前記第1軌道は、前記第1軸に直交する第1仮想平面と前記第1仮想球面との交線上に設定される円弧軌道であり、前記第2軌道は、前記第1軸に直交する第2仮想平面と前記第2仮想球面との交線上に設定される円弧軌道であること、を特徴とする揺動装置。
【請求項3】
請求項2に記載の揺動装置において、
前記第1揺動要素は、前記第1軌道及び前記第2軌道を兼ねた前記第1移動位置及び前記第2移動位置の共有軌道を形成すること、を特徴とする揺動装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか一項に記載の揺動装置において、
前記第1移動位置を形成する第1移動部材と、
前記第2移動位置を形成する第2移動部材と、
前記第3移動位置を形成する第3移動部材と、
前記第4移動位置を形成する第4移動部材と、を備え、
前記第1連結要素は、前記第1移動部材と前記第3移動部材とを相対回転可能に連結してなり、
前記第2連結要素は、前記第2移動部材と前記第4移動部材とを相対回転可能に連結してなるとともに、
前記第3軌道は、前記第1軸及び前記第3軸を含む第1第3軸仮想平面上に設定された前記中心位置を通る交差軸を含んだ第3仮想平面と前記第3仮想球面との交線上に設定される円弧軌道であり、
前記第4軌道は、前記交差軸を含んで該交差軸周りに前記第3仮想平面と所定角度をなす第4仮想平面と前記第4仮想球面との交線上に設定される円弧軌道であること、
を特徴とする揺動装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れか一項に記載の揺動装置において、
前記第3軸周りに前記第1揺動要素及び前記第2揺動要素の相対回転を規制する第3軸回転規制要素を備えること、を特徴とする揺動装置。
【請求項6】
請求項2又は請求項3に記載の揺動装置において、
前記第1移動位置を形成する第1移動部材と、
前記第2移動位置を形成する第2移動部材と、
前記第3移動位置を形成する第3移動部材と、
前記第4移動位置を形成する第4移動部材と、を備え、
前記第1連結要素は、前記第1移動部材と前記第3移動部材とを相対回転可能に連結してなり、
前記第2連結要素は、前記第2移動部材と前記第4移動部材とを相対回転不能に連結してなるとともに、
前記第3軌道は、前記第1軸及び前記第3軸を含む第1第3軸仮想平面上に設定された前記中心位置を通る交差軸を含んだ第3仮想平面と前記第3仮想球面との交線上に設定される円弧軌道であり、
前記第4軌道は、前記第2軸周りの前記相対回転に依らず、前記第2連結要素が形成する前記第2移動位置と前記第4移動位置との連結軸周りに前記第2軌道との間になす角度が一定となるように構成された曲線軌道であること、を特徴とする揺動装置。
【請求項7】
請求項2又は請求項3に記載の揺動装置において、
前記第1移動位置を形成する第1移動部材と、
前記第2移動位置を形成する第2移動部材と、
前記第3移動位置を形成する第3移動部材と、
前記第4移動位置を形成する第4移動部材と、を備え、
前記第1連結要素は、前記第1移動部材と前記第3移動部材とを相対回転不能に連結してなり、
前記第2連結要素は、前記第2移動部材と前記第4移動部材とを相対回転不能に連結してなるとともに、
前記第3軌道は、前記第2軸周りの前記相対回転に依らず、前記第1連結要素が形成する前記第1移動位置と前記第3移動位置との連結軸周りに前記第1軌道との間になす角度が一定となるように構成された曲線軌道であり、
前記第4軌道は、前記第2軸周りの前記相対回転に依らず、前記第2連結要素が形成する前記第2移動位置と前記第4移動位置との連結軸周りに前記第2軌道との間になす角度が一定となるように構成された曲線軌道であること、を特徴とする揺動装置。
【請求項8】
請求項4に記載の揺動装置において、
前記第2揺動要素は、前記中心位置を共有する第5仮想球面と前記第1軸及び前記第3軸を含む第1第3軸仮想平面との交線上に設定される円弧状の第5軌道を形成し、
前記第1揺動要素は、前記中心位置を共有する第6仮想球面と前記第2軸及び前記第3軸を含む第2第3軸仮想平面との交線上に設定される円弧状の第6軌道を形成するとともに、
前記第5軌道上の第5移動位置と前記第6軌道上の第6移動位置とを有して前記第1揺動要素と前記第2揺動要素とを連結する第3連結要素を備え、
前記第5軌道を間に挟んで、前記第3軌道、前記第4軌道、及び前記第5軌道が前記交差軸周りに均等角度間隔で配置されるとともに、
前記第3連結要素は、前記第5移動位置を形成する第5移動部材と、前記第6移動位置を形成する第6移動部材と、を相対回転不能に連結してなること、
を特徴とする揺動装置。
【請求項9】
請求項4に記載の揺動装置において、
前記第2揺動要素は、前記中心位置を共有する第5仮想球面と前記第1軸及び前記第3軸を含む第1第3軸仮想平面との交線上に設定される円弧状の第5軌道を形成し、
前記第1揺動要素は、前記中心位置を共有する第6仮想球面と前記第2軸及び前記第3軸を含む第2第3軸仮想平面との交線上に設定される円弧状の第6軌道を形成するとともに、
前記第5軌道上の第5移動位置と前記第6軌道上の第6移動位置とを有して前記第1揺動要素と前記第2揺動要素とを連結する第3連結要素を備え、
前記第5軌道を間に挟んで、前記第3軌道、前記第4軌道、及び前記第5軌道が前記交差軸周りに均等角度間隔で配置されるとともに、
前記第3連結要素は、前記第5移動位置を形成する第5移動部材と、前記第6移動位置を形成する第6移動部材と、を相対回転可能に連結してなること、
を特徴とする揺動装置。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載の揺動装置において、
前記第1揺動要素は、前記第1軌道及び前記第2軌道、並びに前記第6軌道を兼ねた前記第1移動位置及び前記第2移動位置、並びに前記第6移動位置の共有軌道を形成すること、を特徴とする揺動装置。
【請求項11】
請求項4に記載の揺動装置において、
前記第2揺動要素は、前記中心位置を共有する第5仮想球面と前記第1軸及び前記第3軸を含む第1第3軸仮想平面との交線上に設定される円弧状の第5軌道を形成し、
前記第5軌道を間に挟んで、前記第3軌道、前記第4軌道、及び前記第5軌道が前記交差軸周りに均等角度間隔で配置されるとともに、
前記第1揺動要素は、前記第1軸上に固定点を形成するものであって、
前記第5軌道上の第5移動位置と前記固定点に対する固定位置とを有して前記第1軸周りに前記第1揺動要素と前記第2揺動要素とを相対回転可能に連結する第3軸回転規制部材を備えること、を特徴とする揺動装置。
【請求項12】
請求項5~請求項11の何れか一項に記載の揺動装置において、
前記第1連結要素に駆動力を付与して前記第1移動位置を制御する第1位置制御部と、
前記第2連結要素に駆動力を付与して前記第2移動位置を制御する第2位置制御部と、
を備えること、を特徴とする揺動装置。
【請求項13】
円弧状に延びるベース軌道を形成するベースフレームと、
円弧状に延びる第1の出力軌道を形成する第1の出力フレームと、
円弧状に延びる第2の出力軌道を形成する第2の出力フレームと、
円弧状に延びる第3の出力軌道を形成する第3の出力フレームと、
前記ベース軌道上を移動する第1~第3のベーススライダと、
前記第1の出力軌道上を移動する第1の出力スライダと、
前記第2の出力軌道上を移動する第2の出力スライダと、
前記第3の出力軌道上を移動する第3の出力スライダと、を備え、
前記第1及び第2の出力フレームの間の位置に前記第3の出力フレームを配置する状態で、共有する軸線周りに均等角度間隔で前記第1~第3の出力軌道が形成されるように前記第1~第3の出力フレームが連結されるとともに、
前記ベース軌道及び前記第1~第3の出力軌道が中心位置を共有する状態で、
前記第1のベーススライダと前記第1の出力スライダとが相対回転可能に連結され、
前記第2のベーススライダと前記第2の出力スライダとが相対回転可能に連結されるとともに、
前記第3のベーススライダと前記第3の出力スライダとが相対回転不能に連結された
揺動装置。
【請求項14】
円弧状に延びるベース軌道を形成するベースフレームと、
円弧状に延びる第1の出力軌道を形成する第1の出力フレームと、
円弧状に延びる第2の出力軌道を形成する第2の出力フレームと、
円弧状に延びる第3の出力軌道を形成する第3の出力フレームと、
前記ベース軌道上を移動する第1~第3のベーススライダと、
前記第1の出力軌道上を移動する第1の出力スライダと、
前記第2の出力軌道上を移動する第2の出力スライダと、
前記第3の出力軌道上を移動する第3の出力スライダと、を備え、
前記第1及び第2の出力フレームの間の位置に前記第3の出力フレームを配置する状態で、共有する軸線周りに均等角度間隔で前記第1~第3の出力軌道が形成されるように前記第1~第3の出力フレームが連結されるとともに、
前記ベース軌道及び前記第1~第3の出力軌道が中心位置を共有する状態で、
前記第1のベーススライダと前記第1の出力スライダとが相対回転可能に連結され、
前記第2のベーススライダと前記第2の出力スライダとが相対回転可能に連結されるとともに、
前記第3のベーススライダと前記第3の出力スライダとが相対回転可能に連結された
揺動装置。
【請求項15】
請求項13又は請求項14に記載の揺動装置において、
前記第1のベーススライダに駆動力を付与して前記ベース軌道上の第1移動位置を制御する第1位置制御部と、
前記第2のベーススライダに駆動力を付与して前記ベース軌道上の第2移動位置を制御する第2位置制御部と、を備えること、を特徴とする揺動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揺動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、二部材を基準平面に沿って相対移動可能に連結する構造がある。例えば、特許文献1に示すテーブルの縦横移動機構は、二組の直動駆動機構を用いて支持台上に支持されたテーブルの二次元座標を制御可能に構成されている。そして、この従来技術においては、各直動駆動機構を支持台上に配置することで、その支持台からテーブルまでの高さを低く抑える構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来技術の結構造では、立体的に揺動する二部材間の相対移動には対応できないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する揺動装置は、第1仮想球面上に第1軌道を形成するとともに前記第1仮想球面と中心位置を共有する第2仮想球面上に第2軌道を形成する第1揺動要素と、前記中心位置を共有する第3仮想球面上に第3軌道を形成するとともに前記中心位置を共有する第4仮想球面上に第4軌道を形成する第2揺動要素と、前記第1軌道上の第1移動位置及び前記第3軌道上の第3移動位置を有して前記第1揺動要素と前記第2揺動要素とを連結する第1連結要素と、前記第2軌道上の第2移動位置及び前記第4軌道上の第4移動位置を有して前記第1揺動要素と前記第2揺動要素とを連結する第2連結要素と、を備え、前記第1揺動要素及び前記第2揺動要素の前記連結により前記中心位置を通って互いに直交する第1軸、第2軸、及び第3軸が規定されるとともに、前記第1移動位置及び前記第2移動位置が同一方向に変位することにより、前記第1軸周りに前記第1揺動要素及び前記第2揺動要素の相対回転が許容され、前記第1移動位置及び前記第2移動位置の相対距離が変化することにより、前記第2軸周りに前記第1揺動要素及び前記第2揺動要素の相対回転が許容される。
【0006】
上記構成によれば、各仮想球面が共有する中心位置周りに、第1揺動要素及び第2揺動要素の相対回転が許容される。そして、これにより、立体的に揺動する二部材間の相対移動に対応することができる。
【0007】
また、仮想球面の径方向において、構成要素の薄型化を図ることができる。そして、同じく仮想球面の径方向において、その第1揺動要素及び第2揺動要素の配置を入れ替えることができる。
【0008】
上記課題を解決する揺動装置において、前記第1軌道は、前記第1軸に直交する第1仮想平面と前記第1仮想球面との交線上に設定される円弧軌道であり、前記第2軌道は、前記第1軸に直交する第2仮想平面と前記第2仮想球面との交線上に設定される円弧軌道であることが好ましい。
【0009】
上記構成によれば、第1移動位置及び第2移動位置の変位に基づいた第1軸周りの円滑な第1揺動要素及び第2揺動要素の相対回転を確保することができる。
上記課題を解決する揺動装置において、前記第1揺動要素は、前記第1軌道及び前記第2軌道を兼ねた前記第1移動位置及び前記第2移動位置の共有軌道を形成することが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、構成を簡素化することができる。また、円弧軌道としての構成を有した第1軌道及び第2軌道に同一の曲率が設定される。そして、これにより、円滑な動作を確保することができる。
【0011】
上記課題を解決する揺動装置は、前記第1移動位置を形成する第1移動部材と、前記第2移動位置を形成する第2移動部材と、前記第3移動位置を形成する第3移動部材と、前記第4移動位置を形成する第4移動部材と、を備え、前記第1連結要素は、前記第1移動部材と前記第3移動部材とを相対回転可能に連結してなり、前記第2連結要素は、前記第2移動部材と前記第4移動部材とを相対回転可能に連結してなるとともに、前記第3軌道は、前記第1軸及び前記第3軸を含む第1第3軸仮想平面上に設定された前記中心位置を通る交差軸を含んだ第3仮想平面と前記第3仮想球面との交線上に設定される円弧軌道であり、前記第4軌道は、前記交差軸を含んで該交差軸周りに前記第3仮想平面と所定角度をなす第4仮想平面と前記第4仮想球面との交線上に設定される円弧軌道であることが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、第1移動位置及び第2移動位置の変位に基づいた第2軸周りの円滑な第1揺動要素及び第2揺動要素の相対回転を確保することができる。
上記課題を解決する揺動装置は、前記第3軸周りに前記第1揺動要素及び前記第2揺動要素の相対回転を規制する第3軸回転規制要素を備えることが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、第1移動位置及び第2移動位置の変位に基づいて、第1軸及び第2軸周りに、第1揺動要素及び第2揺動要素の相対回転を制御することができる。即ち、第1移動位置及び前記第2移動位置を同一方向に変位させることにより、第1軸周りに、第1揺動要素及び第2揺動要素を相対回転させることができる。そして、第1移動位置と第2移動位置との相対距離を変化させることにより、第2軸周りに第1揺動要素及び第2揺動要素を相対回転させることができる。
【0014】
上記課題を解決する揺動装置は、前記第1移動位置を形成する第1移動部材と、前記第2移動位置を形成する第2移動部材と、前記第3移動位置を形成する第3移動部材と、前記第4移動位置を形成する第4移動部材と、を備え、前記第1連結要素は、前記第1移動部材と前記第3移動部材とを相対回転可能に連結してなり、前記第2連結要素は、前記第2移動部材と前記第4移動部材とを相対回転不能に連結してなるとともに、前記第3軌道は、前記第1軸及び前記第3軸を含む第1第3軸仮想平面上に設定された前記中心位置を通る交差軸を含んだ第3仮想平面と前記第3仮想球面との交線上に設定される円弧軌道であり、前記第4軌道は、前記第2軸周りの前記相対回転に依らず、前記第2連結要素が形成する前記第2移動位置と前記第4移動位置との連結軸周りに前記第2軌道との間になす角度が一定となるように構成された曲線軌道であることが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、第1軸及び第2軸周りの円滑な第1揺動要素及び第2揺動要素の相対回転を確保しつつ、その第3軸周りの相対回転を規制することができる。そして、これにより、第1移動位置及び第2移動位置の変位に基づいて、第1軸及び第2軸周りに、第1揺動要素及び第2揺動要素の相対回転を制御することができる。
【0016】
更に、第2連結要素においては、回転ジョイントのような第2移動部材及び第4移動部材を相対回転させるための構成が不要になる。そして、これにより、構成の簡素化を図ることができる。
【0017】
上記課題を解決する揺動装置は、前記第1移動位置を形成する第1移動部材と、前記第2移動位置を形成する第2移動部材と、前記第3移動位置を形成する第3移動部材と、前記第4移動位置を形成する第4移動部材と、を備え、前記第1連結要素は、前記第1移動部材と前記第3移動部材とを相対回転不能に連結してなり、前記第2連結要素は、前記第2移動部材と前記第4移動部材とを相対回転不能に連結してなるとともに、前記第3軌道は、前記第2軸周りの前記相対回転に依らず、前記第1連結要素が形成する前記第1移動位置と前記第3移動位置との連結軸周りに前記第1軌道との間になす角度が一定となるように構成された曲線軌道であり、前記第4軌道は、前記第2軸周りの前記相対回転に依らず、前記第2連結要素が形成する前記第2移動位置と前記第4移動位置との連結軸周りに前記第2軌道との間になす角度が一定となるように構成された曲線軌道であることが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、第1軸及び第2軸周りの円滑な第1揺動要素及び第2揺動要素の相対回転を確保しつつ、その第3軸周りの相対回転を規制することができる。そして、これにより、第1移動位置及び第2移動位置の変位に基づいて、第1軸及び第2軸周りに、第1揺動要素及び第2揺動要素を相対回転させることができる。加えて、第1連結要素及び第2連結要素に回転ジョイントのような構成が不要となることにより、その構成の簡素化を図ることができる。
【0019】
上記課題を解決する揺動装置において、前記第2揺動要素は、前記中心位置を共有する第5仮想球面と前記第1軸及び前記第3軸を含む第1第3軸仮想平面との交線上に設定される円弧状の第5軌道を形成し、前記第1揺動要素は、前記中心位置を共有する第6仮想球面と前記第2軸及び前記第3軸を含む第2第3軸仮想平面との交線上に設定される円弧状の第6軌道を形成するとともに、前記第5軌道上の第5移動位置と前記第6軌道上の第6移動位置とを有して前記第1揺動要素と前記第2揺動要素とを連結する第3連結要素を備え、前記第5軌道を間に挟んで、前記第3軌道、前記第4軌道、及び前記第5軌道が前記交差軸周りに均等角度間隔で配置されるとともに、前記第3連結要素は、前記第5移動位置を形成する第5移動部材と、前記第6移動位置を形成する第6移動部材と、を相対回転不能に連結してなることが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、第1軸及び第2軸周りの円滑な第1揺動要素及び第2揺動要素の相対回転を確保しつつ、その第3軸周りの相対回転を規制することができる。更に、第3連結要素が形成する第5移動部材と第6移動部材との連結軸上に第3軸が形成される。そして、これにより、第6移動位置を基準として、精度よく、その第1移動位置及び第2移動位置の変位に基づいて、第1軸及び第2軸周りに、第1揺動要素及び第2揺動要素の相対回転を制御することができる。
【0021】
上記課題を解決する揺動装置において、前記第2揺動要素は、前記中心位置を共有する第5仮想球面と前記第1軸及び前記第3軸を含む第1第3軸仮想平面との交線上に設定される円弧状の第5軌道を形成し、前記第1揺動要素は、前記中心位置を共有する第6仮想球面と前記第2軸及び前記第3軸を含む第2第3軸仮想平面との交線上に設定される円弧状の第6軌道を形成するとともに、前記第5軌道上の第5移動位置と前記第6軌道上の第6移動位置とを有して前記第1揺動要素と前記第2揺動要素とを連結する第3連結要素を備え、前記第5軌道を間に挟んで、前記第3軌道、前記第4軌道、及び前記第5軌道が前記交差軸周りに均等角度間隔で配置されるとともに、前記第3連結要素は、前記第5移動位置を形成する第5移動部材と、前記第6移動位置を形成する第6移動部材と、を相対回転可能に連結してなることが好ましい。
【0022】
上記構成によれば、第3連結要素が形成する第5移動部材と第6移動部材との連結軸上に第3軸が形成される。また、第1移動位置と第6移動位置との離間距離及び第2移動位置と第6移動位置との離間距離を変化させることにより、第3軸周りに、第1揺動要素及び第2揺動要素を相対回転させることができる。そして、これにより、第6移動位置を基準として、その第1移動位置及び第2移動位置の変位に基づいて、第1軸、第2軸、及び第3軸周りに、第1揺動要素及び第2揺動要素の相対回転を制御することができる。
【0023】
上記課題を解決する揺動装置において、前記第1揺動要素は、前記第1軌道及び前記第2軌道、並びに前記第6軌道を兼ねた前記第1移動位置及び前記第2移動位置、並びに前記第6移動位置の共有軌道を形成することが好ましい。
【0024】
上記構成によれば、構成を簡素化することができる。そして、第1軌道及び第2軌道に同一の曲率が設定されることで、容易に、その第1移動位置及び第2移動位置の変位に基づいて、その第1揺動要素及び第2揺動要素の相対回転を制御することができる。
【0025】
上記課題を解決する揺動装置において、前記第2揺動要素は、前記中心位置を共有する第5仮想球面と前記第1軸及び前記第3軸を含む第1第3軸仮想平面との交線上に設定される円弧状の第5軌道を形成し、前記第5軌道を間に挟んで、前記第3軌道、前記第4軌道、及び前記第5軌道が前記交差軸周りに均等角度間隔で配置されるとともに、前記第1揺動要素は、前記第1軸上に固定点を形成するものであって、前記第5軌道上の第5移動位置と前記固定点に対する固定位置とを有して前記第1軸周りに前記第1揺動要素と前記第2揺動要素とを相対回転可能に連結する第3軸回転規制部材を備えることが好ましい。
【0026】
上記構成によれば、第3軸回転規制部材によって、その第1揺動要素と第2揺動要素との間の第1軸周りの相対回転が許容される。また、第5移動位置が変位することにより、その第1揺動要素と第2揺動要素との間の第2軸周りの相対回転が許容される。更に、第3軸回転規制部材が固定点に対する固定位置を有することで、その第1揺動要素と第2揺動要素との間の第3軸周りの相対回転が規制される。そして、これにより、第1移動位置及び第2移動位置の変位に基づいて、第1軸及び第2軸周りに、第1揺動要素及び第2揺動要素の相対回転を制御することができる。
【0027】
上記課題を解決する揺動装置は、前記第1連結要素に駆動力を付与して前記第1移動位置を制御する第1位置制御部と、前記第2連結要素に駆動力を付与して前記第2移動位置を制御する第2位置制御部と、を備えることが好ましい。
【0028】
上記構成によれば、その第1移動位置及び第2移動位置を自在に変更することができる。そして、これにより、容易に、その第1揺動要素及び第2揺動要素の相対回転を制御することができる。
【0029】
上記課題を解決する揺動装置は、円弧状に延びるベース軌道を形成するベースフレームと、円弧状に延びる第1の出力軌道を形成する第1の出力フレームと、円弧状に延びる第2の出力軌道を形成する第2の出力フレームと、円弧状に延びる第3の出力軌道を形成する第3の出力フレームと、前記ベース軌道上を移動する第1~第3のベーススライダと、前記第1の出力軌道上を移動する第1の出力スライダと、前記第2の出力軌道上を移動する第2の出力スライダと、前記第3の出力軌道上を移動する第3の出力スライダと、を備え、前記第1及び第2の出力フレームの間の位置に前記第3の出力フレームを配置する状態で、共有する軸線周りに均等角度間隔で前記第1~第3の出力軌道が形成されるように前記第1~第3の出力フレームが連結されるとともに、前記ベース軌道及び前記第1~第3の出力軌道が中心位置を共有する状態で、前記第1のベーススライダと前記第1の出力スライダとが相対回転可能に連結され、前記第2のベーススライダと前記第2の出力スライダとが相対回転可能に連結されるとともに、前記第3のベーススライダと前記第3の出力スライダとが相対回転不能に連結される。
【0030】
上記構成によれば、周方向にベース軌道が延在する状態で、その円弧形状の中心位置を通る第1軸が形成される。そして、第1及び第2のベーススライダが、そのベース軌道上を同一方向に移動することで、第1軸周りに、そのベースフレームと第1~第3の出力フレームを含む第2揺動要素との間の相対回転を許容することができる。
【0031】
また、第1軸に直交するとともに、その中心位置を通って互いに直交する第2軸及び第3軸が形成される。更に、第1及び第2のベーススライダの相対距離が変化することで、第1及び第2の出力スライダが、それぞれ、その対応する第1及び第2の出力軌道上を同一方向に移動する。そして、これにより、第2軸周りに、そのベースフレームと第1~第3の出力フレームとの間の相対回転を許容することができる。
【0032】
また、第3のベーススライダ及び第3の出力スライダが配置された位置を通って第3軸が形成される。更に、この第3軸周りに、そのベースフレームと第1~第3の出力フレームとの間の相対回転が規制される。そして、これにより、第3のベーススライダの位置を基準として、第1及び第2のベーススライダの位置に基づいて、第1軸及び第2軸周りに、そのベースフレームと第1~第3の出力フレームとの間の相対回転を制御することができる。
【0033】
上記課題を解決する揺動装置は、円弧状に延びるベース軌道を形成するベースフレームと、円弧状に延びる第1の出力軌道を形成する第1の出力フレームと、円弧状に延びる第2の出力軌道を形成する第2の出力フレームと、円弧状に延びる第3の出力軌道を形成する第3の出力フレームと、前記ベース軌道上を移動する第1~第3のベーススライダと、前記第1の出力軌道上を移動する第1の出力スライダと、前記第2の出力軌道上を移動する第2の出力スライダと、前記第3の出力軌道上を移動する第3の出力スライダと、を備え、前記第1及び第2の出力フレームの間の位置に前記第3の出力フレームを配置する状態で、共有する軸線周りに均等角度間隔で前記第1~第3の出力軌道が形成されるように前記第1~第3の出力フレームが連結されるとともに、前記ベース軌道及び前記第1~第3の出力軌道が中心位置を共有する状態で、前記第1のベーススライダと前記第1の出力スライダとが相対回転可能に連結され、前記第2のベーススライダと前記第2の出力スライダとが相対回転可能に連結されるとともに、前記第3のベーススライダと前記第3の出力スライダとが相対回転可能に連結される。
【0034】
上記構成によれば、第3のベーススライダ及び第3の出力スライダが配置された位置を通って第3軸が形成される。更に、第1のベーススライダと第3のベーススライダとの離間距離、及び第2のベーススライダと第2のベーススライダとの離間距離を変化させることで、その第3軸周りに、ベースフレームと第1~第3の出力フレームとを相対回転させることができる。そして、これにより、第1及び第2のベーススライダの位置に基づいて、第1軸、第2軸、及び第3軸周りに、そのベースフレームと第1~第3の出力フレームとの間の相対回転を制御することができる。
【0035】
上記課題を解決する揺動装置は、前記第1のベーススライダに駆動力を付与して前記ベース軌道上の第1移動位置を制御する第1位置制御部と、前記第2のベーススライダに駆動力を付与して前記ベース軌道上の第2移動位置を制御する第2位置制御部と、を備えることが好ましい。
【0036】
上記構成によれば、ベース軌道上を移動する第1及び第2のベーススライダの配置を自在に変更することができる。そして、これにより、容易に、そのベースフレームと第1~第3の出力フレームとの間の相対回転を制御することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、立体的に揺動する二部材間の相対移動を許容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図20】参考例の平面揺動装置を仮想平面モデルに表す説明図。
【
図21】仮想平面モデルに表される平面揺動装置の動作説明図。
【
図22】仮想平面モデルに表される平面揺動装置の動作説明図。
【
図23】仮想平面モデルに表される平面揺動装置の動作説明図。
【
図24】仮想平面モデルに表される平面揺動装置の動作説明図。
【
図25】揺動装置の展開可能性を仮想球面モデルに表す説明図。
【
図26】仮想球面モデルに表される揺動装置の説明図。
【
図27】仮想球面モデルに表される揺動装置の説明図。
【
図28】仮想球面モデルに表される揺動装置の動作説明図。
【
図29】仮想球面モデルに表される揺動装置の動作説明図。
【
図30】仮想球面モデルに表される揺動装置の動作説明図。
【
図31】仮想球面モデルに表される揺動装置の動作説明図。
【
図32】揺動装置の展開可能性を仮想球面モデルに表す説明図。
【
図34】別例の揺動装置を仮想球面モデルに表す説明図。
【
図35】仮想球面モデルに表される揺動装置に適用される別例の第3軌道及び第4軌道の斜視図。
【
図36】仮想球面モデルに表される揺動装置に適用される別例の第3軌道及び第4軌道のY-Z平面図。
【
図37】仮想球面モデルに表される揺動装置に適用される別例の第3軌道及び第4軌道のX-Z平面図。
【
図38】仮想球面モデルに表される揺動装置に適用される別例の第3軌道及び第4軌道のX-Y平面図。
【
図39】別例の揺動装置を仮想球面モデルに表す説明図。
【
図41】別例の揺動装置を仮想球面モデルに表す説明図。
【
図42】別例の揺動装置を仮想球面モデルに表す説明図。
【
図43】別例の揺動装置を仮想球面モデルに表す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、揺動装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1~
図3に示すように、本実施形態の揺動装置1は、略四角箱枠状の支持フレーム2に固定されたベースフレーム3と、このベースフレーム3に連結された状態で揺動可能に支持された出力部材4と、を備えている。
【0040】
本実施形態のベースフレーム3は、半円弧状の外形を有している。そして、このベースフレーム3は、支持フレーム2に固定されることにより、その両端部が上方に延びる状態で垂直に立設されている。
【0041】
また、
図3~
図7に示すように、本実施形態の出力部材4は、棒状をなす連結シャフト6の軸線6x周りに、半円弧状の外形を有した複数の出力フレーム5を均等角度間隔で固定してなる略球形のかご型形状をなしている。具体的には、この出力部材4は、その共有する軸線6x周りに60°間隔で配置された6本の出力フレーム5を有している。また、本実施形態の揺動装置1において、この出力部材4は、その第1~第3の出力フレーム5a~5cを下方に向けた状態で、ベースフレーム3の上方に配置されている。そして、本実施形態の揺動装置1は、その出力部材4を構成する第1~第3の出力フレーム5a~5cとベースフレーム3とを連結する第1~第3の連結ユニット7a~7cを備えている。
【0042】
詳述すると、本実施形態の揺動装置1において、ベースフレーム3、及び出力部材4を構成する各出力フレーム5は、それぞれ、長尺の湾曲板形状をなしている。更に、連結シャフト6の軸方向両端には、略円板状の外形を有した連結部材8,8が固定されている。そして、本実施形態の揺動装置1においては、これらの各連結部材8,8を介して各出力フレーム5が連結シャフト6に固定されることにより、その略球形をなす出力部材4のかご型形状が形成されている。
【0043】
図1~
図3に示すように、本実施形態の揺動装置1において、ベースフレーム3の円弧形状は、各出力フレーム5の円弧形状よりも、その曲率半径が大きく設定されている。そして、本実施形態の揺動装置1は、これにより、その支持フレーム2に支持されたベースフレーム3の上方、その円弧形状の内側に、出力部材4が配置される構成になっている。
【0044】
また、
図1~
図6に示すように、本実施形態の揺動装置1は、ベースフレーム3に係合する状態で、その延伸方向に沿って摺動自在に設けられた第1~第3のベーススライダ9a~9cを備えている。更に、揺動装置1は、それぞれ、対応する第1~第3の出力フレーム5a~5cに係合する状態で、独立に、その延伸方向に沿って摺動自在に設けられた第1~第3の出力スライダ10a~10cを備えている。そして、本実施形態の揺動装置1においては、これら第1~第3の出力スライダ10a~10cを、それぞれ、その対応する第1~第3のベーススライダ9a~9cに連結することにより、その第1~第3の連結ユニット7a~7cが形成されている。
【0045】
具体的には、本実施形態の揺動装置1においては、ベースフレーム3の延伸方向、第1及び第2のベーススライダ9a,9bの間の位置に、第3のベーススライダ9cが配置されている。更に、本実施形態の出力部材4において、第3の出力フレーム5cは、第1及び第2の出力フレーム5a,5bの間の位置において、その共有する軸線6x周りに均等角度間隔で配置されている。そして、これにより、第3の出力スライダ10cもまた、その軸線6x周りに、第1及び第2の出力スライダ10a,10bの間の位置に配置されている。
【0046】
即ち、本実施形態の揺動装置1において、第1の連結ユニット7aは、第1のベーススライダ9aと第1の出力スライダ10aとを連結することにより形成されている。また、第2の連結ユニット7bは、第2のベーススライダ9bと第2の出力スライダ10bとを連結することにより形成されている。そして、第3の連結ユニット7cは、これら第1及び第2の連結ユニット7a,7bの間の位置において、その第3のベーススライダ9cと第3の出力スライダ10cとを連結することにより形成されている。
【0047】
さらに詳述すると、
図8~
図11に示すように、本実施形態の揺動装置1において、第1~第3のベーススライダ9a~9cは、それぞれ、断面略矩形をなすベースフレーム3の湾曲板形状を、その幅方向に挟み込む二組のローラー対11,11を備えている。同様に、第1~第3の出力スライダ10a~10cもまた、それぞれ、断面略矩形をなす出力フレーム5の湾曲板形状を、その幅方向に挟み込む二組のローラー対12,12を備えている。更に、これらの各ローラー対11,11及びローラー対12,12には、それぞれ、断面略H型のフランジ形状が設定されている。そして、本実施形態の揺動装置1は、これにより、これらの各第1~第3のベーススライダ9a~9c及び各第1~第3の出力スライダ10a~10cが脱離することなく、その対応するベースフレーム3及び各出力フレーム5に沿って移動する構成になっている。
【0048】
即ち、本実施形態の揺動装置1においては、第1~第3のベーススライダ9a~9cが、そのベースフレーム3が形成する円弧形状のベース軌道RTB上を、それぞれ、独立に移動する。また、第1の出力スライダ10aが、第1の出力フレーム5aが形成する第1の出力軌道RTa上を移動し、第2の出力スライダ10bが、第2の出力フレーム5bが形成する第2の出力軌道RTb上を移動する。そして、第3の出力スライダ10cが、その第3の出力フレーム5cが形成する第3の出力軌道RTc上を移動する。
【0049】
また、
図4、
図8及び
図9に示すように、本実施形態の揺動装置1において、第1の連結ユニット7aは、第1のベーススライダ9aと第1の出力スライダ10aとを相対回転可能に連結する第1の回転ジョイント13aを備えている。更に、第2の連結ユニット7bもまた、第2のベーススライダ9bと第2の出力スライダ10bとを相対回転可能に連結する第2の回転ジョイント13bを備えている。具体的には、第1の回転ジョイント13aは、ベースフレーム3及び第1の出力フレーム5aに直交する連結軸Na周りに、その第1のベーススライダ9aと第1の出力スライダ10aとの相対回転を許容する。そして、第2の回転ジョイント13bは、ベースフレーム3及び第2の出力フレーム5bに直交する連結軸Nb周りに、第2のベーススライダ9bと第2の出力スライダ10bとの相対回転を許容する。
【0050】
一方、
図10及び
図11に示すように、本実施形態の揺動装置1において、第3の連結ユニット7cは、第3のベーススライダ9cと第3の出力スライダ10cとを相対回転不能に連結する。即ち、この第3の連結ユニット7cは、ベースフレーム3及び第3の出力フレーム5cに直交する連結軸Nc周りに、その第3のベーススライダ9cと第3の出力スライダ10cとの相対回転を規制する。そして、本実施形態の揺動装置1は、これにより、この第3の連結ユニット7cが形成する連結軸Nc周りにベース軌道RTBと第3の出力軌道RTcとのなす角度が直角に保持された状態で、そのベースフレーム3と出力部材4とが連結される構成になっている。
【0051】
また、
図3~
図6に示すように、本実施形態の揺動装置1は、この第1~第3の連結ユニット7a~7cを介したベースフレーム3と出力部材4との連結により、そのベース軌道RTB及び第1~第3の出力軌道RTa~RTcが中心位置P0を共有する。そして、本実施形態の揺動装置1は、この中心位置P0周りに相対回転する態様で、そのベースフレーム3上に支持された出力部材4の立体的な揺動を許容する構成になっている。
【0052】
詳述すると、本実施形態の揺動装置1は、その円弧状に延びるベース軌道RTBの中心位置P0を通って、このベース軌道RTBを含むベース仮想平面FSBに直交する第1軸L1を形成する。換言すると、周方向にベース軌道RTBが延在する状態で、その中心位置P0を通る第1軸L1が形成される。また、本実施形態の揺動装置1においては、ベースフレーム3と出力部材4との連結によって、そのベース仮想平面FSB上に、中心位置P0を通って互いに直交する第2軸L2及び第3軸L3が形成される。更に、第3軸L3は、その第3の連結ユニット7cが形成する連結軸Nc上に形成される。そして、本実施形態の揺動装置1は、これにより、第3軸L3周りの相対回転が規制された状態で、第1軸L1及び第2軸L2周りに、そのベースフレーム3と出力部材4との相対回転を許容する構成になっている。
【0053】
具体的には、
図12及び
図13に示すように、本実施形態の揺動装置1においては、第1~第3の連結ユニット7a~7cを構成する第1~第3のベーススライダ9a~9cが、そのベース軌道RTB上を同一方向に移動することができる。そして、本実施形態の揺動装置1は、これにより、これらの第1~第3の連結ユニット7a~7cを介してベースフレーム3に連結された出力部材4が、その第1~第3のベーススライダ9a~9cの移動方向に応じて、第1軸L1周りに回転する構成になっている。
【0054】
また、
図14~
図17に示すように、本実施形態の揺動装置1においては、第1及び第2のベーススライダ9a,9bが、その中間位置に配置された第3のベーススライダ9cに接近又は離間する態様でベース軌道RTB上を移動することができる。そして、これにより、これら第1及び第2のベーススライダ9a,9bの相対距離Dが変化することで、第1~第3の出力スライダ10a~10cが、それぞれ、その対応する第1~第3の出力軌道RTa~RTc上を同一方向に移動する。
【0055】
即ち、共有する軸線6x周りに所定角度で配置された第1及び第2の出力軌道RTa,RTbの間隔は、連結シャフト6に連結された第1及び第2の出力フレーム5a,5bの長手方向端部に近い位置ほど狭くなる。このため、第1及び第2のベーススライダ9a,9bの相対距離Dが縮まることで、共有する軸線6x周りに所定角度で配置された第1及び第2の出力軌道RTa,RTbの間隔が狭まる方向に、第1~第3の出力スライダ10a~10cが移動する。また、第1及び第2のベーススライダ9a,9bの相対距離Dが広がることで、その第1及び第2の出力軌道RTa,RTbの間隔が広がる方向に、第1~第3の出力スライダ10a~10cが移動する。そして、本実施形態の揺動装置1は、これにより、その第2軸L2周りに、ベースフレーム3と出力部材4とが相対回転する構成になっている。
【0056】
具体的には、本実施形態の揺動装置1においては、第1及び第2のベーススライダ9a,9bの相対距離Dが縮小することで、
図15中、反時計回り方向に、その出力部材4が回転する。そして、第1及び第2のベーススライダ9a,9bの相対距離Dが拡大することで、出力部材4は、
図17中、時計回り方向に、その出力部材4が回転する。
【0057】
また、
図12~
図17に示すように、本実施形態の揺動装置1では、ベース軌道RTB上における第3のベーススライダ9cの位置が保持されることで、そのベースフレーム3と出力部材4との間の第1軸L1周りの相対回転が発生しない。更に、第1及び第2のベーススライダ9a,9bの相対距離Dが保持されることで、そのベースフレーム3と出力部材4との間の第2軸L2周りの相対回転が発生しない。そして、本実施形態の揺動装置1は、これにより、その第1及び第2のベーススライダ9a,9bの配置に基づいて、その第1軸L1及び第2軸L2周りに、ベースフレーム3と出力部材4との相対回転を、それぞれ、独立に制御することが可能になっている。
【0058】
即ち、
図18に示すように、第3軸L3上に位置する第3のベーススライダ9cの位置を基準として、第1軸L1周りに、そのベース軌道RTB上に配置された第1及び第2のベーススライダ9a,9bの位置角度を、それぞれ「φ1」「φ2」と定義する。更に、共有する軸線6x周りに、その第1及び第2の出力軌道RTa,RTbに設定された所定角度を「α」と定義する。そして、本実施形態の揺動装置1は、このとき、そのベースフレーム3上に支持された出力部材4の揺動により生ずる第1軸L1及び第2軸L2周りの相対的な回転角度を、それぞれ「θ1」「θ2」として、以下の(1)式に表すことができる。
【0059】
【数1】
そして、第1軸L1の周方向に沿って延びるベース軌道RTBの延在角度範囲を「η」と定義した場合、その第1軸L1及び第2軸L2周りの可動範囲は、それぞれ、以下の(2)式に表すことができる。
【0060】
【数2】
尚、本実施形態の揺動装置1においては、ベースフレーム3上に出力部材4を配置した初期位置において、その第3軸L3が上下方向に延在する状態で配置される。そして、これにより、この第3軸L3を「ヨー軸」として、例えば、その第1軸L1を「ロール軸」、その第2軸L2を「ピッチ軸」と呼称することができる。
【0061】
また、
図19に示すように、本実施形態の揺動装置1は、第1のベーススライダ9aに駆動力を付与することにより、そのベースフレーム3が形成するベース軌道RTB上を移動させる第1のアクチュエータ15aを備えている。また、揺動装置1は、第2のベーススライダ9bに駆動力を付与することにより、同じくベース軌道RTB上を移動させる第2のアクチュエータ15bを備えている。そして、本実施形態の揺動装置1は、これら第1及び第2のアクチュエータ15a,15bの作動を制御する制御装置16を備えている。
【0062】
詳述すると、本実施形態の揺動装置1において、第1及び第2のアクチュエータ15a,15bは、それぞれ、駆動源となるモータ17a,17bを備えている。また、これらの第1及び第2のアクチュエータ15a,15bは、それぞれ、その対応する第1及び第2のベーススライダ9a,9bに設けられた各ローラー対11,11に駆動力を付与する(
図8及び
図9参照)。そして、本実施形態の揺動装置1は、これにより、ベースフレーム3の湾曲板形状を幅方向に挟み込む各ローラー対11,11の回転に基づいて第1及び第2のベーススライダ9a,9bが、そのベース軌道RTB上を移動する構成になっている。
【0063】
また、本実施形態の制御装置16は、各モータ17a,17bに対する駆動電力の供給を通じて、第1及び第2のアクチュエータ15a,15bの作動を、それぞれ、独立に制御する。具体的には、制御装置16は、これらの第1及び第2のアクチュエータ15a,15bの駆動力が付与される各ローラー対11,11の回転を、それぞれ、その第1及び第2のベーススライダ9a,9b毎に制御する。また、制御装置16には、そのベース軌道RTB上を移動する第1及び第2のアクチュエータ15a,15bの動作に同期したパルス信号SP1,SP2が入力される。更に、制御装置16は、これらの各パルス信号SP1,SP2をカウントする。そして、本実施形態の制御装置16は、これにより、ベース軌道RTB上における第1のベーススライダ9aの第1移動位置P1、及びベース軌道RTB上における第2のベーススライダ9bの第2移動位置P2を検出する構成になっている。
【0064】
即ち、本実施形態の揺動装置1においては、第1のアクチュエータ15a及び制御装置16によって、そのベース軌道RTB上における第1のベーススライダ9aの第1移動位置P1を制御する第1位置制御部18aが形成されている。また、第2のアクチュエータ15b及び制御装置16によって、そのベース軌道RTB上における第2のベーススライダ9bの第2移動位置P2を制御する第2位置制御部18bが形成されている。そして、本実施形態の揺動装置1は、これにより、その第1軸L1及び第2軸L2周りに、ベースフレーム3上に支持された出力部材4の相対回転を自在に制御することのできる構成となっている。
【0065】
次に、本実施形態の作用について説明する。
即ち、本実施形態の揺動装置1においては、第1~第3の連結ユニット7a~7cを構成する第1~第3のベーススライダ9a,9bがベース軌道RTBを同一方向に移動することで、ベースフレーム3と出力部材4とが、第1軸L1周りに相対回転する。また、第1及び第2のベーススライダ9a,9bの相対距離Dが変化することで、その出力部材4が、第2軸L2周りに回転する。そして、これにより、第1及び第2のベーススライダ9a,9bの配置に基づいて、その第1軸L1及び第2軸L2周りに、ベースフレーム3と出力部材4との相対回転が制御される。
【0066】
(仮想球面モデル)
次に、上記のように構成された揺動装置1の展開可能性について、その構成要素を仮想球面上に表した仮想球面モデルを用いて考察する。
【0067】
図20は、基準平面FS0に沿った第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2間の二次元並進揺動運動を可能とする参考例の平面揺動装置20について、その構成要素を仮想平面上に表した仮想平面モデルMfsである。尚、この仮想平面モデルMfsには、例えば、第1揺動要素E1を支持台とし、第2揺動要素E2を可動テーブルとして、その可動テーブルの水平方向の移動を許容する支持装置等が該当する。
【0068】
詳述すると、この参考例の平面揺動装置20において、第1揺動要素E1は、基準平面FS0に平行する第1仮想平面FSa上に、直線状に延びる第1軌道RT1を形成する。そして、第1揺動要素E1は、同じく基準平面FS0に平行する第2仮想平面FSb上に、その第1軌道RT1と同一方向に延在する直線状の第2軌道RT2を形成する。
【0069】
一方、第2揺動要素E2は、基準平面FS0に平行する第3仮想平面FSc上において、その基準平面FS0に沿って上記第1軌道RT1に交差する方向に直線状に延びる第3軌道RT3を形成する。また、第2揺動要素E2は、基準平面FS0に平行する第4仮想平面FSd上において、その基準平面FS0に沿って上記第2軌道RT2に交差する方向に直線状に延びる第4軌道RT4を形成する。そして、第2揺動要素E2は、これらの第3軌道RT3と第4軌道RT4とが所定の固定角度β0をなすように構成されている。
【0070】
また、この平面揺動装置20は、第1軌道RT1上の第1移動位置P1と第3軌道RT3上の第3移動位置P3とを有して第1揺動要素E1と第2揺動要素E2とを連結する第1連結要素J1を有している。そして、この平面揺動装置20は、第2軌道RT2上の第2移動位置P2と第4軌道RT4上の第4移動位置P4とを有して第1揺動要素E1と第2揺動要素E2とを連結する第2連結要素J2を有している。
【0071】
更に、この平面揺動装置20において、第1連結要素J1は、基準平面FS0に直交する連結軸N1周りに、その第1軌道RT1と第3軌道RT3とがなす角度を所定の固定角度β1に保持する。そして、第2連結要素J2は、基準平面FS0に直交する連結軸N2周りに、その第2軌道RT2と第4軌道RT4とがなす角度を所定の固定角度β2に保持するように構成されている。
【0072】
即ち、この平面揺動装置20においては、第1連結要素J1及び第2連結要素J2が、それぞれ、上記のような所定の固定角度β1,β2を有することで、その基準平面FS0に沿った第1揺動要素E1と第2揺動要素E2との相対回転が規制されている。
【0073】
また、
図21及び
図22に示すように、この平面揺動装置20においては、第1軌道RT1上の第1移動位置P1及び第2軌道RT2上の第2移動位置P2を同一方向に変位させることができる。そして、この平面揺動装置20は、これにより、同一方向に延在する第1軌道RT1及び第2軌道RT2の延伸方向、つまりは、
図20~
図21中に示す「X軸方向」に沿って、その第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2が相対移動する構成になっている。
【0074】
また、
図23及び
図24に示すように、この平面揺動装置20においては、第1移動位置P1及び第2移動位置P2の少なくとも一方を変位させることにより、第1移動位置P1と第2移動位置P2との相対距離Dを変化させることができる。そして、平面揺動装置20は、この相対距離Dの変化に基づいて、その第3軌道RT3上の第3移動位置P3及び第4軌道RT4上の第4移動位置P4が、同一方向に変位する。
【0075】
即ち、
図23に示すように、第1移動位置P1と第2移動位置P2との相対距離Dが縮まることで、所定の固定角度β0を有して配置された第3軌道RT3と第4軌道RT4との間隔が狭まる方向に、第3移動位置P3及び第4移動位置P4が変位する。また、第1移動位置P1と第2移動位置P2との相対距離Dが広がることで、その第3軌道RT3と第4軌道RT4との間隔が広がる方向に、第3移動位置P3及び第4移動位置P4が変位する。そして、この平面揺動装置20は、これにより、その第1軌道RT1及び第2軌道RT2の延伸方向に直交する方向、つまりは、
図20~
図24中に示す「Y軸方向」に沿って、その第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2が相対移動する構成になっている。
【0076】
具体的には、この平面揺動装置20においては、第1移動位置P1と第2移動位置P2との相対距離Dが縮小することで、見かけ上、その第2揺動要素E2が、
図23中、右側に移動する。そして、第1移動位置P1と第2移動位置P2との相対距離Dが拡大することで、見かけ上、その第2揺動要素E2が、
図24中、左側に移動する。
【0077】
更に、
図21及び
図22に示すように、この平面揺動装置20においては、第1移動位置P1と第2移動位置P2との相対距離Dが保持されることで、その「Y軸方向」に沿った第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2の相対移動が発生しない。そして、この平面揺動装置20は、これにより、その第1移動位置P1及び第2移動位置P2の制御に基づいて、「X軸方向」「Y軸方向」における第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2の相対移動を、それぞれ、独立に制御することが可能になっている。
【0078】
尚、この仮想平面モデルMfsにおいて、第1軌道RT1及び第2軌道RT2の配置は任意である。例えば、
図20~
図24中においては、第1軌道RT1及び第2軌道RT2を同一直線上に配置したが、これらの第1軌道RT1及び第2軌道RT2は、互いにずれた位置に配置することができる。また、第3軌道RT3と第4軌道RT4との固定角度β0、第1軌道RT1と第3軌道RT3との固定角度β1、及び第2軌道RT2と第4軌道RT4との固定角度β2もまた、それぞれ、任意である。そして、第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2の配置も任意である。
【0079】
更に、第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2は、その寸法を無限小として取り扱うことができる。また、第1連結要素J1及び第2連結要素J2についてもまた、その寸法を無限小として取り扱うことができる。そして、これにより、平面揺動装置20を構成する第1揺動要素E1、第2揺動要素E2、第1連結要素J1、及び第2連結要素J2について、これらの各構成要素間の干渉を無視することのできる構成となっている。
【0080】
また、この仮想平面モデルMfsに表される平面揺動装置20は、その第1軌道RT1及び第2軌道RT2、並びに第3軌道RT3及び第4軌道RT4を「Λ」型に配置した形状から「ラムダドライブ」と称される。そして、このような「ラムダドライブ」型の平面揺動装置20については、例えば、以下の参考文献等に、その詳細な記述がある。
【0081】
(参考文献)「Horie, A., Nomura, A., Tadakuma, K., Konyo, M., Nagano, H. and Tadokoro,S., "Enhancing Haptic Experience in a Seat with Two-DoF Buttock SkinStretch.," International AsiaHaptics conference, Singapore, November, 2018.」。
【0082】
また、
図25に示すように、上記の仮想平面モデルMfsを仮想球面SS上に写像することで、本実施形態の揺動装置1と同様、その第1揺動要素E1と第2揺動要素E2との間の立体的な揺動を許容する揺動装置30の仮想球面モデルMss0が得られる。
【0083】
即ち、この仮想球面モデルMss0においては、中心位置P0を共有する第1仮想球面SS1、第2仮想球面SS2、第3仮想球面SS3、及び第4仮想球面SS4が設定される。また、この仮想球面モデルMss0に表される揺動装置30において、第1揺動要素E1は、その第1仮想球面SS1上に第1軌道RT1を形成するとともに、その第2仮想球面SS2上に第2軌道RT2を形成する。そして、第2揺動要素E2は、その第3仮想球面SS3上に第3軌道RT3を形成するとともに、その第4仮想球面SS4上に第4軌道RT4を形成する。
【0084】
更に、この揺動装置30は、第1軌道RT1上の第1移動位置P1及び第3軌道RT3上の第3移動位置P3を有して第1揺動要素E1と第2揺動要素E2とを連結する第1連結要素J1を備える。そして、この揺動装置30は、第2軌道RT2上の第2移動位置P2及び第4軌道RT4上の第4移動位置P4を有して第1揺動要素E1と第2揺動要素E2とを連結する第2連結要素J2を備える。
【0085】
尚、この仮想球面モデルMss0においてもまた、揺動装置30を構成する第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2、並びに第1連結要素J1及び第2連結要素J2は、その寸法を無限小として取り扱うことができる。また、これにより、これらの各構成要素間の干渉を無視することができる。更に、第1仮想球面SS1、第2仮想球面SS2、第3仮想球面SS3、及び第4仮想球面SS4の径は、任意に設定することができる。このため、説明の便宜上、この
図25以降に示す仮想球面モデルの説明図については、その第1仮想球面SS1、第2仮想球面SS2、第3仮想球面SS3、及び第4仮想球面SS4を同一の仮想球面SS上に図示する。
【0086】
また、この揺動装置30においては、その第1揺動要素E1と第2揺動要素E2との連結により、仮想球面SSの中心位置P0を通って互いに直交する第1軸L1、第2軸L2、及び第3軸L3が規定される。更に、第1軌道RT1は、第1軸L1に直交する第1仮想平面FS1と第1仮想球面SS1との交線γ1上に設定される円弧軌道としての構成を有する。そして、第2軌道RT2は、第1軸L1に直交する第2仮想平面FS2と第2仮想球面SS2との交線γ2上に設定される円弧軌道としての構成を有する。
【0087】
また、
図25~
図27に示すように、この揺動装置30においては、第1軸L1及び第3軸L3を含む第1第3軸仮想平面FS13上に、仮想球面SSの中心位置P0を通る交差軸Lxが設定される。そして、第3軌道RT3は、この交差軸Lxを含んだ第3仮想平面FS3と第3仮想球面SS3との交線γ3上に設定される円弧軌道として構成を有する。
【0088】
更に、この揺動装置30においては、その交差軸Lxを含んで、この交差軸Lx周りに第3仮想平面FS3と所定角度δ0をなす第4仮想平面FS4が設定される。そして、第4軌道RT4は、この第4仮想平面FS4と第4仮想球面SS4との交線γ4上に設定される円弧軌道としての構成を有する。
【0089】
また、この揺動装置30において、第1連結要素J1は、その第1軌道RT1及び第3軌道RT3に直交する連結軸N1周りに、これらの第1軌道RT1及び第3軌道RT3のなす角度δ1を変更自在に構成される。更に、第2連結要素J2も同様に、その第2軌道RT2及び第4軌道RT4に直交する連結軸N2周りに、これらの第2軌道RT2及び第4軌道RT4のなす角度δ2を変更自在に構成される。具体的には、第1連結要素J1は、第1移動位置P1を形成する第1移動部材M1と第3移動位置P3を形成する第3移動部材M3とを相対回転可能に連結することにより形成される。そして、第2連結要素J2は、第2移動位置P2を形成する第2移動部材M2と第4移動位置P4を形成する第4移動部材M4とを相対回転可能に連結することにより形成される。
【0090】
即ち、
図28及び
図29に示すように、この揺動装置30においても、第1軌道RT1上の第1移動位置P1及び第2軌道RT2上の第2移動位置P2を同一方向に変位させることができる。そして、この揺動装置30は、これにより、第1仮想球面SS1及び第2仮想球面SS2上に形成された第1軌道RT1及び第2軌道RT2の延伸方向に沿った第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2の相対移動を許容する。つまりは、その第1連結要素J1及び第2連結要素J2を介して連結された第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2について、その第1軸L1周りの相対回転を許容する構成になっている。
【0091】
また、
図30及び
図31に示すように、この揺動装置30においては、第1移動位置P1及び第2移動位置P2の少なくとも一方を変位させる態様で、その第1移動位置P1と第2移動位置P2との相対距離Dを変化させることができる。更に、この揺動装置30は、この相対距離Dの変化に基づいて、その第3軌道RT3上の第3移動位置P3及び第4軌道RT4上の第4移動位置P4を同一方向に変位させることができる。そして、この揺動装置30は、これにより、その第1仮想球面SS1及び第2仮想球面SS2上に形成された第1軌道RT1及び第2軌道RT2の延伸方向に直交する方向に沿った第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2の相対移動を許容する。つまりは、これらの第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2について、その仮想球面SSの中心位置P0を通って第1軸L1に直交する第2軸L2周りの相対回転を許容する構成になっている。
【0092】
また、
図32の仮想球面モデルMss1に表される揺動装置31は、上記仮想球面モデルMss0に示す揺動装置30の構成に加え、第3軸L3周りに第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2の相対回転を規制する第3軸回転規制要素ACを備えている。
【0093】
詳述すると、この揺動装置31において、第2揺動要素E2は、中心位置P0を共有する第5仮想球面SS5と第1軸L1及び第3軸L3を含む第1第3軸仮想平面FS13との交線γ5上に円弧状の第5軌道RT5を形成する。また、第1揺動要素E1は、中心位置P0を共有する第6仮想球面SS6と第2軸L2及び第3軸L3を含む第2第3軸仮想平面FS23との交線γ6上に円弧状の第6軌道RT6を形成する。
【0094】
具体的には、この揺動装置31においては、第5軌道RT5を間に挟んで、第3軌道RT3、第4軌道RT4、及び第5軌道RT5が交差軸Lx周りに均等角度間隔で配置される。そして、第6軌道RT6は、その第1軌道RT1及び第2軌道RT2の間に形成されている。
【0095】
また、この揺動装置31は、第5軌道RT5上の第5移動位置P5と第6軌道RT6上の第6移動位置P6とを有して第1揺動要素E1と第2揺動要素E2とを連結する第3連結要素J3を備えている。更に、この第3連結要素J3は、その第5軌道RT5及び第6軌道RT6に直交する連結軸N3周りに、これらの第5軌道RT5及び第6軌道RT6のなす角度δ3を直角に保持する。具体的には、第3連結要素J3は、第5移動位置P5を形成する第5移動部材M5と第6移動位置P6を形成する第6移動部材M6とを相対回転不能に連結することにより形成される。そして、この揺動装置31においては、これにより、その第3軸回転規制要素ACが形成されている。
【0096】
即ち、上記の仮想球面モデルMss0に表される揺動装置30においては、第1連結要素J1の連結軸N1周りに第1軌道RT1及び第3軌道RT3のなす角度δ1が変更自在に構成される。また、第2連結要素J2の連結軸N2周りに第2軌道RT2及び第4軌道RT4のなす角度δ2を変更自在に構成される。更に、第3軸L3周りに第1揺動要素E1と第2揺動要素E2との相対回転が規制されていない場合、第1移動位置P1及び第2移動位置P2、並びに、その相対距離Dを固定した状態でも、これらの角度δ1,角度δ2を自在に変更することができる。つまり、第1移動位置P1及び第2移動位置P2に基づき第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2の揺動を制御するためには、その第3軸L3周りの相対回転が規制された状態にあることが必須となる。
【0097】
しかしながら、この仮想球面モデルMss1に表される揺動装置31においては、第3連結要素J3によって、その第5軌道RT5及び第6軌道RT6のなす角度δ3が固定される。そして、これにより、これらの第3連結要素J3、第5軌道RT5及び第6軌道RT6が第3軸回転規制要素ACとして機能することで、その第3軸L3周りに、第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2の相対回転が規制される。
【0098】
更に、第5軌道RT5及び第6軌道RT6のなす角度δ3が直角に固定されることで、その第3連結要素J3の連結軸N3上に第3軸L3が形成される。つまりは、第5軌道RT5及び第6軌道RT6のなす角度δ3を固定した状態で、その第5軌道RT5の第5移動位置P5及び第6軌道RT6上の第6移動位置P6を変位させることができる。そして、この揺動装置31は、これにより、第1移動位置P1及び第2移動位置P2に基づいて、その第1軸L1及び第2軸L2周りに、第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2の相対回転を制御することが可能になっている。
【0099】
即ち、この揺動装置31においては、第1軌道RT1及び第2軌道RT2の延伸方向に沿って第1移動位置P1及び第2移動位置P2を同一方向に変位させる。そして、この揺動装置31は、これにより、第1連結要素J1及び第2連結要素J2を介して連結された第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2を、その第1軸L1周りに相対回転させることができる。
【0100】
更に、第1移動位置P1と第2移動位置P2との相対距離Dを縮めることで、交差軸Lx周りに所定角度δ0を有して配置された第3軌道RT3と第4軌道RT4との間隔が狭まる方向に、第3移動位置P3及び第4移動位置P4が変位する。また、第1移動位置P1と第2移動位置P2との相対距離Dが広がることで、その第3軌道RT3と第4軌道RT4との間隔が狭まる方向に、第3移動位置P3及び第4移動位置P4が変位する。そして、この揺動装置31は、これにより、その第1仮想球面SS1及び第2仮想球面SS2上に形成された第1軌道RT1及び第2軌道RT2の延伸方向に直交する方向に沿って、第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2が相対移動する。つまりは、これらの第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2を、その仮想球面SSの中心位置P0を通って第1軸L1に直交する第2軸L2周りに相対回転させることができる。
【0101】
また、この揺動装置31においては、第6軌道RT6上の第6移動位置P6が保持されることで、その第1揺動要素E1と第2揺動要素E2との間の第1軸L1周りの相対回転が発生しない。更に、第1移動位置P1と第2移動位置P2との相対距離Dが保持されることで、第1揺動要素E1と第2揺動要素E2との間の第2軸L2周りの相対回転が発生しない。そして、これにより、その第1移動位置P1及び第2移動位置P2の制御に基づいて、第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2について、その第1軸L1及び第2軸L2周りの相対回転を、それぞれ、独立に制御することが可能になっている。
【0102】
更に、
図33に示す仮想球面モデルMss2においては、その第1揺動要素E1によって、第1軌道RT1、第2軌道RT2、及び第6軌道RT6を兼ねた第1移動位置P1、第2移動位置P2、及び第6移動位置P6の共有軌道RT126が形成されている。そして、この仮想球面モデルMss2は、これにより、本実施形態の揺動装置1を表すものとなっている。
【0103】
即ち、
図5及び
図33に示すように、本実施形態の揺動装置1においては、そのベースフレーム3が第1揺動要素E1を構成し、出力部材4が第2揺動要素E2を構成する。また、そのベース軌道RTBが共有軌道RT126を構成する。換言すると、ベースフレーム3は、第1軌道RT1、第2軌道RT2、及び第6軌道RT6としての機能を有したベース軌道RTBを形成する。更に、第1及び第2の出力フレーム5a,5bにより形成される第1及び第2の出力軌道RTa,RTbが、それぞれ、第3軌道RT3及び第4軌道RT4を構成する。そして、第3の出力フレーム5cにより形成される第3の出力軌道RTcが、その第5軌道RT5を構成する。
【0104】
また、本実施形態の揺動装置1においては、第1の連結ユニット7aが、第1連結要素J1を構成し、第2の連結ユニット7bが、第2連結要素J2を構成する。そして、第3の連結ユニット7cが、第3連結要素J3を構成する。
【0105】
具体的には、第1のベーススライダ9aが、第1移動位置P1を形成する第1移動部材M1を構成し、第2のベーススライダ9bが、第2移動位置P2を形成する第2移動部材M2を構成する。そして、第3のベーススライダ9cが、第6移動位置P6を形成する第6移動部材M6を構成する。
【0106】
また、第1の出力スライダ10aが、第3移動位置P3を形成する第3移動部材M3を構成し、第2の出力スライダ10bが、第4移動位置P4を形成する第4移動部材M4を構成する。そして、第3の出力スライダ10cが、第5移動位置P5を形成する第5移動部材M5を構成する。
【0107】
また、第1の連結ユニット7aの連結軸Naが、第1連結要素J1の連結軸N1に相当し、第2の連結ユニット7bの連結軸Nbが、第2連結要素J2の連結軸N2に相当する。更に、第3の連結ユニット7cの連結軸Ncが、第3連結要素J3の連結軸N3に相当する。そして、連結シャフト6の軸線6xが、その交差軸Lxを構成する。
【0108】
また、この仮想球面モデルMss2においては、その仮想球面SSの径方向における第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2の配置を任意に変更することが可能である。従って、本実施形態の揺動装置1についてもまた、上記構成要素が干渉しない範囲において、その第1揺動要素E1を構成するベースフレーム3と第2揺動要素E2を構成する出力部材4との配置を任意に変更することができる。
【0109】
例えば、円弧形状をなすベースフレーム3の外側で、その出力部材4が揺動する構成を採用することができる。また、仮想球面モデルMss2では、第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2が、仮想球面SSの中心位置P0周りにおいて相対的に揺動する。このため、本実施形態の揺動装置1についてもまた、例えば、第2揺動要素E2を構成する出力部材4を固定することにより、その略球形のかご型形状に沿うように、ベースフレーム3を含む第1揺動要素E1が揺動する構成を採用することができる。更に、仮想球面モデルMss2は、第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2の揺動により、共有軌道RT126上の第1移動位置P1、第2移動位置P2、及び第6移動位置P6が変位する。従って、本実施形態の揺動装置1についてもまた、その出力部材4の揺動を入力とし、そのベースフレーム3の延伸方向に移動する第1~第3の連結ユニット7a~7cの位置変化を出力とする構成を採用することができる。
【0110】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)揺動装置1は、円弧状に延びるベース軌道RTBを形成するベースフレーム3と、円弧状に延びる第1及び第2の出力軌道RTa,RTbを形成する第1及び第2の出力フレーム5a,5bと、を備える。また、揺動装置1は、ベース軌道RTB上を移動する第1及び第2のベーススライダ9a,9bと、第1及び第2の出力軌道RTa,RTb上を移動する第1及び第2の出力スライダ10a,10bと、を備える。更に、第1及び第2の出力フレーム5a,5bは、共有する軸線6x周りに所定角度αを有して第1及び第2の出力軌道RTa,RTbを配置する状態で連結される。そして、揺動装置1は、ベース軌道RTB並びに第1及び第2の出力軌道RTa,RTbが中心位置P0を共有する状態で、その第1及び第2のベーススライダ9a,9bと第1及び第2の出力スライダ10a,10bとが、それぞれ相対回転可能に連結される。
【0111】
上記構成によれば、ベース軌道RTB並びに第1及び第2の出力軌道RTa,RTbが共有する中心位置P0周りに、ベースフレーム3と第1及び第2の出力フレーム5a,5bとの間の相対回転が許容される。そして、これにより、そのベースフレーム3を含む第1揺動要素E1と第1及び第2の出力フレーム5a,5bを含む第2揺動要素E2との間の立体的な揺動を許容することができる。
【0112】
即ち、周方向にベース軌道RTBが延在する状態で、その中心位置P0を通る第1軸L1が形成される。そして、第1及び第2のベーススライダ9a,9bが、そのベース軌道RTB上を同一方向に移動することで、その第1軸L1周りに、ベースフレーム3と第1及び第2の出力フレーム5a,5bとの間の相対回転を許容することができる。
【0113】
また、第1軸L1に直交するとともに、その中心位置P0を通って互いに直交する第2軸L2及び第3軸L3が形成される。更に、第1及び第2のベーススライダ9a,9bの相対距離Dが変化することで、第1及び第2の出力スライダ10a,10bが、それぞれ、その対応する第1及び第2の出力軌道RTa,RTb上を同一方向に移動する。そして、これにより、その第2軸L2周りに、ベースフレーム3と第1及び第2の出力フレーム5a,5bとの間の相対回転を許容することができる。
【0114】
更に、これらのベースフレーム3及び第1及び第2の出力スライダ10a,10bが揺動する仮想球面SSの径方向において、構成要素の薄型化を図ることができる。そして、同じく仮想球面SSの径方向において、そのベースフレーム3を含んだ第1揺動要素E1と第1及び第2の出力フレーム5a,5bを含んだ第2揺動要素E2との配置を入れ替えることができる。
【0115】
(2)揺動装置1は、ベース軌道RTB上を移動する第3のベーススライダ9cと、円弧状に延びる第3の出力軌道RTcを形成する第3の出力フレーム5cと、その第3の出力軌道RTc上を移動する第3の出力スライダ10cと、を備える。第3の出力フレーム5cは、共有する軸線6x周りに均等角度間隔で第1~第3の出力軌道RTa~RTcが形成されるように、第1及び第2の出力フレーム5a,5bの間の位置に連結される。また、第3の出力軌道RTcは、ベース軌道RTB並びに第1及び第2の出力軌道RTa,RTbと中心位置P0を共有する。そして、揺動装置1は、その第3のベーススライダ9cと第3の出力スライダ10cとが相対回転不能に連結された構成を有する。
【0116】
上記構成によれば、第3のベーススライダ9c及び第3の出力スライダ10cが配置された位置を通って第3軸L3が形成される。更に、この第3軸L3周りにベース軌道RTBと第3の出力軌道RTcとのなす角度が直角に固定される。そして、これにより、第3のベーススライダ9cと一体にベース軌道RTB上を移動する第1及び第2のベーススライダ9a,9bの配置に基づいて、第1軸L1及び第2軸L2周りに、第1揺動要素E1と第2揺動要素E2との相対回転を制御することができる。
【0117】
加えて、その第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2間の揺動を入力とし、そのベースフレーム3の延伸方向に移動する第1~第3の連結ユニット7a~7cの位置変化を出力とする構成を採用することもできる。
【0118】
(3)揺動装置1は、第1のベーススライダ9aに駆動力を付与してベース軌道RTB上の第1移動位置P1を制御する第1位置制御部18aを備える。そして、揺動装置1は、第2のベーススライダ9bに駆動力を付与してベース軌道RTB上の第2移動位置P2を制御する第2位置制御部18bと、を備える。
【0119】
上記構成によれば、第1~第3のベーススライダ9a~9cの配置を自在に変更することができる。そして、これにより、容易に、その第1軸L1及び第2軸L2周りに、第1揺動要素E1と第2揺動要素E2との相対回転を制御することができる。
【0120】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0121】
・上記実施形態の揺動装置1においては、第3の出力フレーム5cが、その仮想球面モデルMss2における第5軌道RT5としての機能を有した第3の出力軌道RTcを形成する。また、そのベースフレーム3が、第6軌道RT6としての機能を有したベース軌道RTBを形成し、第3の連結ユニット7cが、第3連結要素J3として機能する。更に、第3の連結ユニット7cが、そのベース軌道RTBと第3の出力軌道RTcとのなす角度を直角に保持する。そして、これにより、その第3軸L3周りに第1揺動要素E1を構成するベースフレーム3及び第2揺動要素E2を構成する出力部材4の相対回転が規制される態様で、その第3軸回転規制要素ACが形成されることとした。
【0122】
しかし、これに限らず、例えば、
図34の仮想球面モデルMss3に表される揺動装置33のように、その第3軸回転規制要素ACの構成を変更してもよい。
詳述すると、この揺動装置33においては、第1揺動要素E1が、第1軸L1上に固定点FXを形成する。そして、この揺動装置33は、この固定点FXに対する固定位置Pfxと第5軌道RT5上の第5移動位置P5とを有して第1軸L1周りに第1揺動要素E1と第2揺動要素E2とを相対回転可能に連結する第3軸回転規制部材Jfxを備えている。
【0123】
即ち、第3軸回転規制部材Jfxによって、その第1揺動要素E1と第2揺動要素E2との間の第1軸L1周りの相対回転が許容される。また、第5軌道RT5上の第5移動位置P5が変位することにより、その第1揺動要素E1と第2揺動要素E2との間の第2軸L2周りの相対回転が許容される。更に、第3軸回転規制部材Jfxが固定点FXに対する固定位置Pfxを有することで、その第1揺動要素E1と第2揺動要素E2との間の第3軸L3周りの相対回転が規制される。そして、これにより、これらの第5軌道RT5、第3軸回転規制部材Jfx、及び固定点FXによって、その第3軸回転規制要素ACが形成されている。
【0124】
例えば、上記実施形態の揺動装置1を変形する場合、固定点FXは、そのベースフレーム3とともに第1揺動要素E1を構成する支持フレーム2に設定することができる。即ち、上記実施形態の揺動装置1においては、
図3中、領域εに示す位置に第1軸L1が形成される。更に、この領域εに第1及び第2の連結ユニット7a,7bと同様の回転ジョイントを有した連結ユニットを配置する(
図8及び
図9参照)。具体的には、その出力スライダを第3の出力フレーム5cに連結し、そのベーススライダを支持フレーム2に連結する。そして、これにより、この連結ユニットを用いて第3軸回転規制部材Jfxを形成することができる。このような構成を採用しても上記実施形態の揺動装置1と同様の効果を得ることができる。
【0125】
尚、この仮想球面モデルMss3に表される揺動装置33においては、第6軌道RT6及び第3連結要素J3が不要となっている。そして、これにより、第1揺動要素E1は、その第1軌道RT1及び第2軌道RT2を兼ねた第1移動位置P1及び第2移動位置P2の共有軌道RT12を形成する構成になっている。
【0126】
・また、
図25の仮想球面モデルMss0に表される揺動装置30についてもまた、その第1連結要素J1及び第3軌道RT3の構成、並びに、第2連結要素J2及び第4軌道RT4の構成を変更することで、その第3軸回転規制要素ACを付加することができる。
【0127】
例えば、第1移動部材M1と第3移動部材M3とを相対回転不能に連結することにより、その第1連結要素J1を形成するとともに、第2移動部材M2と第4移動部材M4とを相対回転不能に連結することにより、その第2連結要素J2を形成する。
【0128】
更に、
図35~
図38に示すように、第3軌道RT3は、第1揺動要素E1と第2揺動要素E2との間の第2軸L2周りの相対回転に依らず、第1連結要素J1の連結軸N1周りに第1軌道RT1との間になす角度δ1が一定となるように構成された曲線軌道とする。そして、第4軌道RT4もまた、第1揺動要素E1と第2揺動要素E2との間の第2軸L2周りの相対回転に依らず、第2連結要素J2の連結軸N2周りに第2軌道RT2との間になす角度δ2が一定となるように構成された曲線軌道とする。このような構成を採用することで、その第1軌道RT1、第3軌道RT3、及び第1連結要素J1、並びに第2軌道RT2、第4軌道RT4、及び第2連結要素J2が、第3軸回転規制要素ACとして機能するようになる。
【0129】
即ち、第1軌道RT1及び第3軌道RT3のなす角度δ1、並びに第2軌道RT2及び第4軌道RT4のなす角度δ2の何れかを固定角とすることにより、第1揺動要素E1と第2揺動要素E2との間の第3軸L3周りの相対回転を規制することができる。また、第2軸L2周りの相対回転時にも、第1軌道RT1及び第3軌道RT3のなす角度δ1が一定であれば第1連結要素J1には、その連結軸N1周りに第1移動部材M1及び第3移動部材M3を相対回転させる力が働かない。同様に、第2軌道RT2及び第4軌道RT4のなす角度δ2が一定であれば、第2連結要素J2には、その連結軸N2周りに第2移動部材M2及び第4移動部材M4を相対回転させる力が働かない。従って、このような構成を採用しても、上記実施形態の揺動装置1と同様、その第2軸L2周りに、第1揺動要素E1と第2揺動要素E2との間の円滑な相対回転を担保することができる。更に、各連結軸N1,N2周りの相対回転を許容する回転ジョイントのような可動部品が不要となる。そして、これにより、構成の簡素化を図ることができる。
【0130】
・また、
図35~
図38に示す曲線軌道は、その第1軌道RT1及び第3軌道RT3のなす角度δ1、並びに第2軌道RT2及び第4軌道RT4のなす角度δ2が、ともに「60°」で一定となるように構成されている。しかし、これに限らず、その第3軌道RT3に設定された曲線軌道に基づき一定に保持される角度δ1の値、及び第4軌道RT4に設定された曲線軌道に基づき一定に保持される角度δ2の値は、任意に変更してもよい。更に、これらの角度δ1,δ2に異なる値を設定してもよい。そして、第3軌道RT3又は第4軌道RT4の何れか一方が、
図35~
図38に示すような曲線軌道を有する構成としてもよい。
【0131】
例えば、
図39の仮想球面モデルMss4に表される揺動装置34は、その第1軌道RT1及び第2軌道RT2を兼ねた第1移動位置P1及び第2移動位置P2の共有軌道RT12を有している。更に、この揺動装置34における第3軌道RT3は、上記各仮想球面モデルMss0~Mss3と同じ円弧軌道として構成を有している。そして、第1連結要素J1もまた、その第1移動位置P1を形成する第1移動部材M1と第3移動位置P3を形成する第3移動部材M3とを相対回転に連結する構成となっている。
【0132】
一方、第2連結要素J2は、第2移動部材M2と第4移動部材M4とを相対回転不能に連結する。更に、第4軌道RT4は、第1揺動要素E1と第2揺動要素E2との間の第2軸L2周りの相対回転に依らず、第2連結要素J2の連結軸N2周りに第2軌道RT2との間になす角度δ2が一定となるように構成された曲線軌道としての構成を有している。そして、これにより、第2軌道RT2、第4軌道RT4、及び第2連結要素J2が、第3軸回転規制要素ACとして機能する構成になっている。このような構成を採用しても、上記実施形態の揺動装置1と同様の効果を得ることができる。
【0133】
ここで、この揺動装置34における第4軌道RT4は、その第2連結要素J2の連結軸N2周りに第2軌道RT2との間になす角度δ2が90°で一定となるように、その曲線軌道の形状が設定されている。そして、これにより、この第4軌道RT4は、上記各仮想球面モデルMss1~Mss3における第5軌道RT5と同じ円弧軌道を有するものとなっている。
【0134】
即ち、
図39及び
図40に示すように、この仮想球面モデルMss4に表される揺動装置34は、上記実施形態の揺動装置1から、その第2の出力フレーム5b及び第2の連結ユニット7bを取り外した別例の揺動装置1Bと等価である。そして、このような構成を採用することで、構成の簡素化を図ることができる。
【0135】
尚、この揺動装置1Bにおいては、第3の連結ユニット7cを第2連結要素J2とみなして、その第3のベーススライダ9cを駆動するとよい。そして、これにより、その第1移動位置P1及び第2移動位置P2に基づいて、第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2について、その第1軸L1及び第2軸L2周りの相対回転を、それぞれ、独立に制御することができる。
【0136】
・また、例えば、第1揺動要素E1又は第2揺動要素E2に対する係合部材によって、その第3軸L3周りの相対回転を抑制する等、上記以外の方法で第3軸回転規制要素ACが形成される構成であってもよい。
【0137】
・上記実施形態の揺動装置1では、その第3の連結ユニット7cが、仮想球面モデルMss2における第3連結要素J3を構成する。そして、この第3の連結ユニット7cは、その第5移動位置P5を形成する第5移動部材M5としての第3の出力スライダ10cと、その第6移動位置P6を形成する第6移動部材M6としての第3のベーススライダ9cとを相対回転不能に連結してなることとした。しかし、これに限らず、これらの第3のベーススライダ9cと第3の出力スライダ10cとを相対回転可能に連結することにより、その第3の連結ユニット7cが形成される構成としてもよい。
【0138】
即ち、このような揺動装置35は、
図41及び
図42に示す仮想球面モデルMss5に表すことができる。そして、この揺動装置35においては、その第1移動位置P1及び第2移動位置P2の制御に基づいて、第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2について、その第1軸L1、第2軸L2、及び第3軸L3周りの相対回転を、それぞれ制御することができる。
【0139】
具体的には、この揺動装置35においては、第1移動位置P1と第6移動位置P6との相対距離D16及び第2移動位置P2と第6移動位置P6との相対距離D26の変化を伴って、その第3軸L3周りに第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2が相対回転する。従って、上記実施形態の揺動装置1と同じ、そのベース軌道RTB上の第1移動位置P1を制御する第1位置制御部18a及び第2移動位置P2を制御する第2位置制御部18bによって、この第3軸L3周りの相対回転を制御することができる。
【0140】
例えば、
図41に示すように、第1移動位置P1と第2移動位置P2との相対距離Dを保持する状態で、第1移動位置P1と第6移動位置P6との相対距離D16を縮小し、第2移動位置P2と第6移動位置P6との相対距離D26を拡大する。そして、これにより、見かけ上、その第3軸L3周りに、第1揺動要素E1に対して第2揺動要素E2を、
図41中、時計回り方向に回動させることができる。
【0141】
また、
図42に示すように、同じく第1移動位置P1と第2移動位置P2との相対距離Dを保持する状態で、第1移動位置P1と第6移動位置P6との相対距離D16を拡大し、第2移動位置P2と第6移動位置P6との相対距離D26を縮小する。そして、これにより、見かけ上、その第3軸L3周りに、第1揺動要素E1に対して第2揺動要素E2を、
図42中、反時計回り方向に回動させることができる。
【0142】
更に、この揺動装置35は、このように第3軸L3周りに第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2が相対回転した状態で、その第3軸L3周りの相対回転が発生する前の第1軸L1及び第2軸L2周りの相対回転を制御することができる。そして、その第3軸L3周りの相対回転を考慮した補正を加えることで、この第3軸L3周りの相対回転により形成される新たな第1軸L1´及び第2軸L2´周りの相対回転を制御することもできる。
【0143】
・上記実施形態の揺動装置1においては、円弧軌道としての構成を有したベース軌道RTB上を第1~第3のベーススライダ9a~9cが移動することで、そのベース軌道RTBを含むベース仮想平面FSBに直交する第1軸L1が形成される。更に、この揺動装置1を表す仮想球面モデルMss2においては、第1軌道RT1、第2軌道RT2、及び第6軌道RT6としての機能を有した共有軌道RT126が、そのベース軌道RTBに相当する。そして、上記各仮想球面モデルにおける第1軌道RT1、第2軌道RT2、共有軌道RT12、及び共有軌道RT126は、それぞれ、第1軸L1に直交する仮想平面と、中心位置P0を共有する仮想球面との交線上に設定される円弧軌道であることとした。しかし、これに限らず、第1仮想球面SS1上における第1軌道RT1の配置、及び第2仮想球面SS2上における第2軌道RT2の配置は、任意に変更してもよい。
【0144】
例えば、
図43の仮想球面モデルMss6に表される揺動装置36のように、第2軸L2を含む仮想平面との交線γ7,γ8上に、それぞれ、第1軌道RT1及び第2軌道RT2が設定される構成としてもよい。そして、これらの第1軌道RT1及び第2軌道RT2は、必ずしも、円弧軌道でなくともよい。
【0145】
但し、第1移動位置P1及び第2移動位置P2を制御する観点では、第1軌道RT1及び第2軌道RT2は、第1軸L1に直交する仮想平面と、中心位置P0を共有する仮想球面との交線上に設定される円弧軌道であることが望ましい。更に、これらの第1軌道RT1及び第2軌道RT2が同一の曲率半径を有していることが望ましい。これにより、その第1移動位置P1及び第2移動位置P2を容易に制御することができる。
【0146】
・上記実施形態では、第1及び第2のベーススライダ9a,9bに駆動力を付与してベース軌道RTB上の第1移動位置P1及び第2移動位置P2を制御することとした。しかし、これに限らず、第1及び第2の出力スライダ10a,10bに駆動力を付与する構成としてもよい。そして、第1及び第2の連結ユニット7a,7bの連結軸Na,Nb周りに回転トルクを付与する構成としてもよい。
【0147】
・また、第3の連結ユニット7cに駆動力を付与する構成としてもよい。更に、例えば、上記仮想球面モデルMss5に表される揺動装置35のように、第3のベーススライダ9cと第3の出力スライダ10cとを相対回転可能に連結してなる構成においては、その連結軸Nc周りに回転トルクを付与する構成としてもよい。そして、上記仮想球面モデルMss3に表される揺動装置33のような第3軸回転規制部材Jfxを備える構成では、この第3軸回転規制部材Jfxに回転トルクを付与する構成としてもよい。
【0148】
・また、第1軌道RT1及び第3軌道RT3のなす角度δ1、並びに第2軌道RT2及び第4軌道RT4のなす角度δ2を検出する構成としてもよい。これにより、第1軸L1及び第2軸L2周りの相対回転位置に加え、第3軸L3周りに、その第1揺動要素E1及び第2揺動要素E2の相対回転位置を把握することができる。そして、これらの角度δ1,δ2を、その駆動制御に用いる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0149】
1…揺動装置
3…ベースフレーム
RTB…ベース軌道
5a…第1の出力フレーム
5b…第2の出力フレーム
9a…第1のベーススライダ
9b…第2のベーススライダ
RTa…第1の出力軌道
RTb…第2の出力軌道
10a…第1の出力スライダ
10b…第2の出力スライダ
6x…軸線
α…所定角度
P0…中心位置