(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180899
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】水栓
(51)【国際特許分類】
E03C 1/05 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
E03C1/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087658
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社KVK
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山田 篤則
(72)【発明者】
【氏名】長江 拓磨
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA03
2D060BB03
2D060BB07
2D060CA04
(57)【要約】
【課題】水栓のメンテナンス性を向上させる。
【解決手段】給水源からの配管に接続される接続部材10と、センサからの検知信号に基づいて通水路を開閉する弁ユニット20と、通水路内の水を吐出する吐水口が設けられた吐水部材30とを備えた水栓であって、接続部材10には、吐水口からの吐水を手動で停止するための止水栓14が設けられ、接続部材10、弁ユニット20、及び吐水部材30は別体で形成され、接続部材10に弁ユニット20が組み付けられているとともに、弁ユニット20に吐水部材30が組み付けられており、接続部材10に対する弁ユニット20の組付方向と、弁ユニット20に対する吐水部材30の組付方向が一致している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水源からの配管に接続される接続部材と、
センサからの検知信号に基づいて通水路を開閉する弁ユニットと、
前記通水路内の水を吐出する吐水口が設けられた吐水部材と
を備えた水栓であって、
前記接続部材には、前記吐水口からの吐水を手動で停止するための止水栓が設けられ、
前記接続部材、前記弁ユニット、及び前記吐水部材は別体で形成され、
前記接続部材に前記弁ユニットが組み付けられているとともに、前記弁ユニットに前記吐水部材が組み付けられており、
前記接続部材に対する前記弁ユニットの組付方向と、前記弁ユニットに対する前記吐水部材の組付方向が一致していることを特徴とする水栓。
【請求項2】
前記接続部材、前記弁ユニット、及び前記吐水部材は、前記組付方向に並んで配置されていることを特徴とする請求項1に記載の水栓。
【請求項3】
前記弁ユニットは、前記通水路を開閉するダイヤフラム弁と、前記ダイヤフラム弁が離間着座する弁座とは反対側に設けられた背圧室と、前記検知信号に基づいて前記背圧室を減圧するパイロット弁とを備え、
前記パイロット弁と前記ダイヤフラム弁は、前記組付方向に並んで配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の水栓。
【請求項4】
前記弁座と前記背圧室は、前記組付方向に直交する方向に並んで配置されていることを特徴とする請求項3に記載の水栓。
【請求項5】
前記パイロット弁は、前記組付方向に移動するように配置されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ式の水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
物体を検知するためのセンサが取り付けられ、センサからの検知信号に基づいて吐水口からの吐水及び止水を自動的に行うようにした水栓が知られている。
特許文献1に記載される自動水栓は、吐水部、弁部、電源供給部、及び制御回路部等が筒状のケース内に組み付けられて構成されている。吐水部は、自動水栓から外部へ延びる配管を介して給水源としての上水道に接続されるとともに、内部に通水路が設けられた吐水部材を備えている。弁部は、電源供給部からの電源の供給によって作動する電磁弁を備えている。電磁弁は、制御回路部からの指令に基づいて通水路を開閉動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、水栓の長期の使用等によって水栓が正常に作動しない場合がある。例えば、通水路内に異物が流れ込んで弁座に対する弁体のシール性が低下したり、電気系統を構成する配線が断線したりすることが考えられる。そのため、水栓の点検、部材の交換が必要になる。
【0005】
しかし、特許文献1に記載される自動水栓では、吐水部材が、給水源への接続機能と、通水路からの吐水機能を併せ持っている。そのため、吐水部材の一部が正常に作動しない場合であっても、吐水部材の全体を取り外して点検、交換しなくてはならない。
【0006】
また、点検、交換時には、筒状のケースを取り外した後、弁部、電源供給部、及び制御回路部等を吐水部材から取り外し、さらに、吐水部材を壁側から取り外す必要がある。そして、取外しと逆の手順で組み付ける必要がある。吐水部材は壁の前方から組み付ける一方で、弁部、電源供給部、及び制御回路部等は、吐水部材の上方から組み付けることになる。組付方向が異なっているため、点検、交換時の作業性が良好とは言えない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の水栓は、給水源からの配管に接続される接続部材と、センサからの検知信号に基づいて通水路を開閉する弁ユニットと、前記通水路内の水を吐出する吐水口が設けられた吐水部材とを備えた水栓であって、前記接続部材には、前記吐水口からの吐水を手動で停止するための止水栓が設けられ、前記接続部材、前記弁ユニット、及び前記吐水部材は別体で形成され、前記接続部材に前記弁ユニットが組み付けられているとともに、前記弁ユニットに前記吐水部材が組み付けられており、前記接続部材に対する前記弁ユニットの組付方向と、前記弁ユニットに対する前記吐水部材の組付方向が一致している。
【0008】
この構成によれば、接続部材、弁ユニット、及び吐水部材は別体で形成されている。そのため、いずれかの部材、ユニットが正常に作動しなくなった場合であっても、その部材、ユニットのみを点検、交換すればよい。また、接続部材、弁ユニット及び吐水部材は、その組付方向が一致している。そのため、点検、交換時には、同じ方向に取り外したり組み付けたりすればよく作業性が良好である。メンテナンス性を向上させることができる。
【0009】
上記の構成において、前記接続部材、前記弁ユニット、及び前記吐水部材は、前記組付方向に並んで配置されていることが好ましい。この構成によれば、組付方向と直交する方向に水栓を小型化することができる。
【0010】
上記の構成において、前記弁ユニットは、前記通水路を開閉するダイヤフラム弁と、前記ダイヤフラム弁が離間着座する弁座とは反対側に設けられた背圧室と、前記検知信号に基づいて前記背圧室を減圧するパイロット弁とを備え、前記パイロット弁と前記ダイヤフラム弁は、前記組付方向に並んで配置されていることが好ましい。この構成によれば、組付方向と直交する方向に弁ユニットを小型化することができる。水栓をよりコンパクトにすることができる。
【0011】
上記の構成において、前記弁座と前記背圧室は、前記組付方向に直交する方向に並んで配置されていることが好ましい。この構成によれば、通水路の構成をシンプルにすることができる。そのため、水栓をよりコンパクトにすることができる。
【0012】
上記構成において、前記パイロット弁は、前記組付方向に移動するように配置されていることが好ましい。この構成によれば、組付方向と直交する方向に弁ユニットを小型化することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、水栓のメンテナンス性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を具体化した一実施形態の水栓1について説明する。本実施形態の水栓1は、電池で作動し、センサで物体を検知することにより弁体を開閉動作させて吐止水を行うセンサ式の自動水栓である。
【0016】
図1に示すように、水栓1は略円柱状に形成されて、その軸線が洗面所等の壁面Wに対して垂直となるように取り付けられている。以下では、水栓1の取付側を基端側、取付側とは反対側を先端側と規定する。また、取り付けられた状態で、水栓1の上下を規定する。水栓1の軸線方向、又は、後述するカバー本体6の軸線方向を軸線方向と言う。
【0017】
図2に示すように、水栓1は、カバー部材2、通水ユニット3、支持部材4、及び弁駆動ユニット5を備えている。
<カバー部材2について>
図1及び
図2に示すように、カバー部材2は、略円筒状のカバー本体6と、カバー本体6の基端部を被覆する化粧カバー7と、カバー本体6の先端縁を閉塞するキャップ8を備えている。カバー本体6の周面には複数の開口(切り欠きを含む)が形成されている。カバー本体6の下面には、先端側からセンサ用開口6a、吐水口用開口6bが形成されている。吐水口用開口6bからは、通水ユニット3に取り付けられた後述する吐水口35が突出している。カバー部材2の基端部下面には、後述する止水栓14が露出する止水栓用切り欠き6cが形成されている。また、化粧カバー7の下面には、止水栓用切り欠き6cと連通するとともに、止水栓14が露出する止水栓用開口7aが形成されている。
【0018】
図2に示すように、通水ユニット3、支持部材4、及び弁駆動ユニット5は、カバー部材2の内部に収容されている。
<支持部材4及び弁駆動ユニット5について>
支持部材4は通水ユニット3の上部に組み付けられて、その上部に弁駆動ユニット5を収容している。弁駆動ユニット5は、電池ボックス51、センサユニット52、及び配線53を備えている。電池ボックス51の内部には、図示しない電池が収容される。センサユニット52は、センサと、センサからの検知信号に基づいて吐水を制御する制御部を備えている。配線53は、電池ボックス51とセンサユニット52を繋ぐ配線53aと、センサユニット52と弁ユニット20を繋ぐ配線53bを備えている。電池ボックス51及びセンサユニット52は、支持部材4の先端部に設けられた電源収容部42に収容されている。配線53a、53bは、支持部材4の基端部に設けられた配線収容部41に収容されている。
【0019】
<通水ユニット3について>
図3に示すように、通水ユニット3は、接続部材10、弁ユニット20、及び吐水部材30を備えている。接続部材10、弁ユニット20,及び吐水部材30は、水栓1の基端側から軸線方向に、この順に並んで配置されている。
【0020】
図3及び
図4に示すように、接続部材10の基端部には、接続筒11が形成されている。接続部材10は、接続筒11の外周面に螺設された雄ネジ11aによって壁面Wに取り付けられている。接続部材10の先端部には、接続筒12が形成されている。接続筒12の外周面にはパッキン12aが取り付けられている。接続筒11、12は、水栓1の軸線方向に延びている。
【0021】
接続部材10の内部には、接続筒11、12間を繋ぐように、図示しない配管を介して給水源に接続された通水路13が設けられている。接続部材10の内部には、軸線方向の中間部に、止水栓14が取り付けられている。止水栓14は水栓1のメンテナンス時等に吐水口35からの吐水を手動で停止するためのものである。止水栓14は、筒状のボンネット14aとボンネット14aの内周に螺合したスピンドル14bを備えている。スピンドル14bを回転させてボンネット14aの軸線方向に移動させることによって吐止水が切り換えられる。
【0022】
図3に示すように、接続部材10の上部には、軸線方向と直交する方向に延びて上方に開口するネジ孔15が形成されている。また、接続部材10の接続筒12の両側には、軸線方向に延びて先端側に開口する一対のネジ孔16が形成されている。さらに、接続部材10の基端部には、軸線方向と直交する方向に延びて上方に開口するネジ孔17と、側方に開口するネジ孔18が形成されている。
【0023】
図3及び
図4に示すように、弁ユニット20は接続部材10に組み付けられている。
図4に示すように、弁ユニット20の基端部には、軸線方向に延びて接続部材10の接続筒12が挿入された接続凹部21が形成されている。そのため、弁ユニット20の接続部材10に対する組付方向は、水栓1の軸線方向に一致している。また、弁ユニット20の先端部には、開口25cが形成されている。
【0024】
図3に示すように、弁ユニット20の基端部には取付部22が形成されている。取付部22には、軸線方向と直交する方向に貫通する貫通孔22aが形成されている。また、基端部の両側には取付部23が形成されている。取付部23には軸線方向に貫通する貫通孔23aが形成されている。弁ユニット20の先端部の両側には、軸線方向に延びるネジ孔24が形成されている。弁ユニット20は、貫通孔22aに挿入されたネジS1が接続部材10のネジ孔15に螺合し、貫通孔23aに挿入されたネジS2が接続部材10のネジ孔16に螺合することによって接続部材10に組み付けられている。
【0025】
図4に示すように、弁ユニット20の内部には、接続部材10の通水路13に連通する通水路25が形成されている。通水路25は、主水路25a及びパイロット水路25bを有している。主水路25aは軸線方向に延びて、弁ユニット20の接続凹部21と開口25cを繋いでいる。パイロット水路25bは、後述する主弁部26の背圧室Pから延びて、主水路25aにおけるダイヤフラム弁26aの下流側に連通している。
【0026】
図4に示すように、弁ユニット20は内部パイロット式であり、主弁としてのダイヤフラム弁26aを備える主弁部26と、副弁としてのパイロット弁27aを備える副弁部27とを有している。主弁部26は、ダイヤフラム弁26a、弁座26b、バネ26c、背圧室Pを有している。ダイヤフラム弁26aは、軸線方向と直交する方向に移動して、弁座26bに着座離間することによって主水路25aを開閉する。バネ26cは、ダイヤフラム弁26aの上部に配置されて、ダイヤフラム弁26aを下方へ付勢する。背圧室Pは、ダイヤフラム弁26aの背面側(
図4における上側)に形成されている。
【0027】
副弁部27は、パイロット弁27a、弁座27b、コイル27c、及びコア27dを有している。パイロット弁27aはコア27dの先端に取り付けられている。パイロット弁27aの弁座27bは、主弁部26においてパイロット水路25bが形成された部分の先端縁に形成されている。パイロット弁27aは、パイロット水路25bを開閉することによってダイヤフラム弁26aをパイロット操作する弁である。パイロット弁27aは軸線方向に移動して、弁座27bに着座離間することによってパイロット水路25bを開閉する。
【0028】
図3及び
図4に示すように、主弁部26及び副弁部27は、軸線方向に並んで配置されている。副弁部27は主弁部26の先端側であって、吐水部材30の上部に配置されている。主弁部26の上下方向寸法は、副弁部27の上下方向寸法より大きく吐水部材30の上下方向寸法より大きい。副弁部27が配置された部分の通水ユニット3の上下方向寸法は、主弁部26が配置された部分の通水ユニット3の上下方向寸法と同等になっている。
【0029】
図3及び
図4に示すように、吐水部材30は、弁ユニット20に組み付けられている。吐水部材30の内部には、弁ユニット20の通水路25に連通する通水路31が形成されている。吐水部材30の基端部には、軸線方向に延びて、弁ユニット20の開口25cに挿入される接続筒32が形成されている。そのため、吐水部材30の弁ユニット20に対する組付方向は、軸線方向に一致している。接続筒32の外周面にはパッキン32aが取り付けられている。吐水部材30の先端部には、下方に向かって開口する開口33が形成されている。開口33の内周面には雌ネジ33aが螺設されている。
【0030】
図3に示すように、吐水部材30の基端部の両側には、軸線方向に貫通する貫通孔34が形成されている。吐水部材30は、貫通孔34に挿入されたネジS3が弁ユニット20のネジ孔24に螺合することによって弁ユニット20に組み付けられている。
【0031】
<水栓1の動作について>
次に本実施形態の水栓1の動作について、
図4に従って説明する。
センサで物体を検知しない状態では、パイロット弁27aは弁座27bに着座して、パイロット水路25bを閉塞している。ダイヤフラム弁26aは背圧室P内の水圧と、バネ26cによる付勢によって弁座26bに着座している。主水路25aは閉塞されて、吐水口35からの吐水は停止されている。
【0032】
センサ用開口6aに手を近づけると、センサからの検知信号に基づいて制御部がコイル27cを駆動する。これによりパイロット弁27aが軸線方向に移動して、弁座27bから離間する。背圧室P内の水はパイロット水路25bに流れ込んで、背圧室Pが減圧される。ダイヤフラム弁26aは、バネ26cの付勢力に抗して軸線方向と直交する方向へ移動して、弁座26bから離間する。ダイヤフラム弁26aが開弁することにより、通水路13からの水は、主水路25aを軸線方向に流れて吐水口35から吐出される。
【0033】
センサ用開口6aから手を退避させると、制御部がコイル27cの駆動を停止する。これによりパイロット弁27aが軸線方向に移動して、弁座27bに着座する。パイロット水路25bが閉塞することで、背圧室Pの水圧が上昇し、バネ26cからの付勢力とともにダイヤフラム弁26aが下方へ移動する。ダイヤフラム弁26aが弁座26bに着座することにより、主水路25aが閉塞する。
【0034】
<水栓1のメンテナンス時の作業について>
水栓1の使用中に漏水が発生したり、弁ユニット20が正常に作動しなくなって、通水ユニット3を点検、交換する必要が生じる場合がある。正常に作動しなくなる場合としては、例えば、通水路13、25、31から弁ユニット20にゴミが流れ込んで、ダイヤフラム弁26aの弁座26bが傷付いてしまう場合が挙げられる。また、施工時やメンテナンス時に配線53a、53bに負荷が掛かって断線してしまう場合が挙げられる。さらに、メンテナンス時に止水栓14のスピンドル14bを強く締め付け過ぎてしまう場合が挙げられる。以下では、弁ユニット20が正常に作動しなくなった場合について説明する。
【0035】
まず、止水栓14のスピンドル14bを回転させて強制的に止水状態にする。続いて、吐水口35を取り外すとともに、
図1に示すネジS5を外して化粧カバー7を取り外す。さらに、
図2に示すネジS4を外してカバー本体6及びキャップ8を取り外すとともに、通水ユニット3の上から支持部材4及び弁駆動ユニット5を取り外す。これにより、
図4に示すように、通水ユニット3が露出した状態となる。
【0036】
図3に示すように、吐水部材30の両側の貫通孔34からネジS3を外して、吐水部材30を軸線方向に移動させて弁ユニット20から取り外す。続いて、弁ユニット20の両側の貫通孔23a、及び上側の貫通孔22aからネジS1、S2を外して、弁ユニット20を軸線方向に移動させて接続部材10から取り外す。吐水部材30の接続筒32、接続部材10の接続筒12は軸線方向に延びているため、吐水部材30、弁ユニット20はいずれも軸線方向に抜き取ることで取り外せる。また、貫通孔22a、34は軸線方向に延びているため、ネジS2、S3は水栓1の先端側から軸線方向に抜き取ることができる。
【0037】
弁ユニット20の取り外しが終わったら、新しい弁ユニット20を組み付ける。組付作業は、取外し作業の逆の手順で行えばよい。新しい弁ユニット20を接続部材10の先端側から軸線方向に移動して、接続部材10の接続筒12に、弁ユニット20の接続凹部21を外嵌する。弁ユニット20の先端側から貫通孔23a内にネジS2を挿入して締め付けるとともに、弁ユニット20の上方から貫通孔22a内にネジS1を挿入して締め付ける。同様に、新しい弁ユニット20に対して、ネジS3によって吐水部材30を組み付ける。取外し作業と同様の理由から、吐水部材30、弁ユニット20はいずれも軸線方向に組み付け、その組付方向が一致している。また、ネジS2、S3は水栓1の先端側から軸線方向に締め付けることができる。
【0038】
組み付けられた通水ユニット3の上方から支持部材4及び弁駆動ユニット5を組み付け、先端側からカバー本体6及び化粧カバー7を組み付けて、ネジS4、S5で固定する。最後に吐水口35を取り付け、スピンドル14bを回転させて吐水可能状態とする。
【0039】
<本実施形態の水栓1の効果について>
(1)水栓1の通水ユニット3は、接続部材10、弁ユニット20、及び吐水部材30が別体で形成されている。そのため、例えば、弁ユニット20が正常に作動しなくなった場合に、通水ユニット3全体ではなく、正常に作動しない弁ユニット20のみを点検、交換すればよい。また、通水ユニット3は、接続部材10に対する弁ユニット20の組付方向と、弁ユニット20に対する吐水部材30の組付方向が一致している。そのため、点検、交換時には、同じ方向に取り外したり組み付けたりすればよい。メンテナンス性を向上させることができる。
【0040】
(2)接続部材10には止水栓14が設けられている。例えば、通水路13に流れ込んだゴミ等によって止水栓14の弁座が傷ついた場合であっても、通水ユニット3全体の交換が不要である。コスト的にも有利である。
【0041】
(3)接続部材10、弁ユニット20、及び吐水部材30は、略円筒状のカバー部材2の内部で、軸線方向に並んで配置されている。そのため、軸線方向と直交する方向の水栓1の寸法を小型化することができる。
【0042】
(4)弁ユニット20では、主弁部26と副弁部27が軸線方向に並んで配置されている。そのため、弁ユニット20が軸線方向と直交する方向に小型化する。軸線方向と直交する方向の水栓1の寸法を小型化することができる。
【0043】
(5)主弁部26のダイヤフラム弁26aの弁座26bと背圧室Pは、軸線方向と直交する方向に並んで配置されていることで、ダイヤフラム弁26aは軸線方向と直交する方向に移動する。ここで、ダイヤフラム弁26aが軸線方向に移動して背圧室Pがダイヤフラム弁26aの先端側にある構成だと、主水路25aをダイヤフラム弁26aより先端側まで形成する必要があって、主水路25aの形状が複雑になる。この点、ダイヤフラム弁26aが軸線方向と直交する方向に移動する構成とすることで、主水路25aの構成をシンプルにすることができる。水栓1をより小型化することができる。
【0044】
(6)副弁部27のパイロット弁27aは、軸線方向に移動するように配置されている。そのため、軸線方向と直交する方向への副弁部27の寸法を小さくすることができる。
(7)吐水部材30の上下方向寸法は、主弁部26の上下方向寸法より小さく、副弁部27は、吐水部材30の上部に配置されている。そして、副弁部27が配置された部分の通水ユニット3の上下方向寸法は、主弁部26が配置された部分の通水ユニット3の上下方向寸法と同等になっている。副弁部27を、主弁部26と吐水部材30との間にできたスペースに入れてやることで、水栓1を小型化することができる。
【0045】
(8)貫通孔22a、34は軸線方向に延びている。そのため、ネジS2、S3の取外し作業や締付作業は、水栓1の先端側から行うことができる。壁面Wに対して垂直に取り付けられた本実施形態の水栓1では、水栓1の前方から作業を行うことができる。取外し作業や締付作業のために広いスペースを確保することができて、作業性が良好となる。
【0046】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・接続部材10に対する弁ユニット20の組付方向と、弁ユニット20に対する吐水部材30の組付方向が一致していれば、接続部材10、弁ユニット20、及び吐水部材30は、組付方向に並んで配置されていなくてもよい。例えば、弁ユニット20と吐水部材30が上下方向に重なるように配置されていてもよい。
【0047】
・弁ユニット20の構成、形状は、上記のものに限定されない。センサからの検知信号に基づいて通水路を開閉するものであればよい。
・弁ユニット20、吐水部材30の構成、形状は、上記のものに限定されない。例えば、吐水部材30の通水路31が主弁部26の下方まで延びていて、ダイヤフラム弁26aの弁座26bが、吐水部材30に設けられていてもよい。
【0048】
・ダイヤフラム弁26aとパイロット弁27aは軸線方向と直交する方向に並んでいてもよい。
・ダイヤフラム弁26aは、軸線方向に移動可能に配置されていてもよい。
【0049】
・ネジS1、S2、S3の締付方向は上記のものに限定されない。ネジS2、S3の締付方向は軸線方向と一致していなくてもよい。
・接続部材10と弁ユニット20は、ネジS1、S2による組付けに限定されない。例えば、ネジS1を省略して、ネジS2のみで組み付けてもよく、ネジS1、S2以外のネジによって組み付けてもよい。弁ユニット20と吐水部材30についても同様である。ネジS3だけによる組付けでなくてもよい。
【0050】
上記実施形態及び変更例から把握される技術的思想について以下に記載する。
(イ)給水源からの配管に接続される接続部材と、センサからの検知信号に基づいて通水路を開閉する弁ユニットと、通水路内の水を吐出する吐水口が設けられた吐水部材とを備えた水栓であって、前記接続部材には、前記吐水口からの吐水を手動で停止するための止水栓が設けられ、前記接続部材、前記弁ユニット、及び前記吐水部材は別体で形成されて、筒状のカバー本体に収容されており、前記接続部材、前記弁ユニット、及び前記吐水部材は、前記カバー本体の軸線方向に組み付けられて、同方向に並んで配置されており、前記弁ユニットは、背圧室の圧力によって前記通水路を開閉するダイヤフラム弁と、前記検知信号に基づいて前記背圧室を減圧するパイロット弁とを備え、前記パイロット弁は、前記吐水部材の上部であって、前記ダイヤフラム弁の前記軸線方向に並んで配置されていることを特徴とする水栓。
【0051】
この構成によれば、接続部材、弁ユニット、及び吐水部材のうち、正常に作動しない部材、ユニットのみを点検、交換すればよい。また、接続部材、弁ユニット、及び吐水部材の組付方向が一致しているため、点検、交換時の作業性が良好である。さらに、弁ユニットのダイヤフラム弁とパイロット弁はカバー本体の軸線方向に並んで配置されているため、水栓を小型化することができる。
【0052】
(ロ)前記吐水部材の上下方向寸法は、前記ダイヤフラム弁が配置された部分での上下方向寸法より小さく、前記パイロット弁は、前記吐水部材の上部に配置されていることを特徴とする前記(イ)に記載の水栓。
【0053】
この構成によれば、パイロット弁は上下方向寸法の小さい吐水部材の上部に配置されているため、水栓の上下方向寸法を小型化することができる。
【符号の説明】
【0054】
P…背圧室、1…水栓、10…接続部材、14…止水栓、20…弁ユニット、25…通水路、26a…ダイヤフラム弁、26b…弁座、27a…パイロット弁、30…吐水部材、35…吐水口。