(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180936
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】洗浄及び/又はすすぎの状態を確認するために用いられる装置、洗浄機、並びに、洗浄及び/又はすすぎの状態を確認する方法
(51)【国際特許分類】
A47L 15/42 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
A47L15/42 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087713
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000190736
【氏名又は名称】株式会社ニイタカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】福島 隆平
(72)【発明者】
【氏名】的場 安彦
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 聡
(72)【発明者】
【氏名】古里 宏司
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082BL01
3B082BL03
(57)【要約】
【課題】食中毒や異物混入などの食品衛生上の問題を低減するために、洗浄機における洗浄不良やすすぎ不良を容易に確認するために好適に用いられる装置を提供すること。
【解決手段】洗浄機における洗浄及び/又はすすぎの状態を確認するために用いられる装置であって、上記装置は、2つ以上の感知センサを備えることを特徴とする装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄機における洗浄及び/又はすすぎの状態を確認するために用いられる装置であって、
前記装置は、2つ以上の感知センサを備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記感知センサは、感圧センサである請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置は、格子状に配置されている4つ以上の感知センサ及び/又は線状に配置されている3つ以上の感知センサを備える請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記感知センサは、上向きの感知部を有する感知センサと下向きの感知部を有する感知センサを含む請求項1~3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、洗浄ラック又は洗浄対象物に設置するためのものである請求項1~4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、食器洗浄機における洗浄及び/又はすすぎの状態を確認するために用いられる請求項1~5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の装置を含んで構成される洗浄機。
【請求項8】
2つ以上の感知センサを用いて洗浄機における洗浄及び/又はすすぎの状態を確認する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄及び/又はすすぎの状態を確認するために用いられる装置、洗浄機、並びに、洗浄及び/又はすすぎの状態を確認する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食器を自動的に洗浄する食器洗浄機等の洗浄機は広く一般に普及している。
このような自動洗浄機を用いて洗浄対象物を洗浄する際は、まず、自動洗浄機に備わった洗浄室に洗浄対象物をセットする。次いで、洗浄ノズルから洗浄室に洗浄液が噴射され、洗浄対象物が洗浄される。その後、すすぎノズルから洗浄室にすすぎ水が噴射され、洗浄対象物のすすぎが行われる。
特許文献1には、このような食器洗浄機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
食器洗浄機等の洗浄機は、通常、洗浄剤をお湯に溶かした溶液を洗浄液とし、この洗浄液をポンプで吸い込んで、専用ノズル(洗浄液用の洗浄ノズル)から噴射することで、物理力、熱エネルギー、及び、洗浄剤の組成による化学作用で、洗浄対象物に付着した汚れを除去する構造となっている。また、洗浄液を使った洗浄工程後には、清水のお湯をすすぎ液とし、すすぎ液をポンプで吸い込んで、別の専用ノズル(すすぎ液用のすすぎノズル)から噴射することで洗浄液をすすぎ流す、すすぎ工程がある。
洗浄機は、洗浄工程とすすぎ工程において、各ノズルからの噴射が正しく行われることが最も重要である。
【0005】
しかし、食器洗浄機等の洗浄機には、食器等の洗浄対象物に付着した汚れが大量に持ち込まれるため、洗浄液を溜め込む洗浄槽に汚れが流れ込み、洗浄液に混ざってしまう。
そうすると、汚れの大きさや種類により、汚れの混ざった洗浄液が洗浄ノズルを通過することになり、夾雑物等が洗浄ノズルを詰まらせることがある。また、ノズルの詰まりは、すすぎノズルでもしばしば発生することがある。すすぎノズルについては、使用水(清水のお湯)に含まれるカルシウムやマグネシウム、シリカが析出して詰まることがある。
【0006】
また、例えば食器洗浄機でバッチ式(ドアタイプ)と呼ばれる機種では、ノズルからの噴射を効率よく洗浄ラック(食器を載置して洗うために洗浄機内に設置するトレーで通常は上から見たときに正方形の形状)全面に行き渡らせるため、中心部から棒状に伸ばした配管に、ノズルを複数配置し、回転させる回転ノズル方式を採用しているものがほとんどである。
この回転ノズルは、ノズルから液を噴射する時の反力で、回転力を確保するものであるが、摺動部等の経年劣化や汚れの蓄積、液を噴射するためのポンプの異常、ノズルの摩耗・変形・劣化等、液中の組成等により、充分に回らないことがある。
ノズルが詰まっていたり、洗浄圧が低かったり、回転ノズルが充分に回転しなかったりすると、食器等の洗浄対象物に洗浄液やすすぎ液が当たらないため、洗浄力不足やすすぎ不足等の問題を発生させてしまう。
【0007】
洗浄力不足やすすぎ不足等の問題が発生すると、洗浄対象物に汚れが残留することになり、有害な菌が増殖したり、異物が混入したりなど、食品衛生上の重大な事故に繋がる可能性が高まる。また、洗浄機内が不衛生になるために、洗浄機内に菌が増殖し、洗浄対象物への交差汚染の可能性も高まる。
【0008】
そのため、食品衛生責任者は、食中毒や異物混入等の問題を取り除くため、従来の食器洗浄機等の洗浄機においては、定期的なノズル及び周辺部の清掃確認が必要であった。
しかしながら、洗浄機でノズルの清掃確認(保守作業)をすることは時間と手間(労力)がかかる作業である。
まず、既存の食器洗浄機等の洗浄機はほとんどがステンレス等の金属でカバーをしているため、洗浄工程、すすぎ工程で動いている状態をそのまま確認することができない。ドアタイプの洗浄機等では、中を確認しようとドアを少しでも開けようとすると、安全装置が働いて、動作を停止してしまう。
【0009】
また、食器洗浄機等の洗浄機は、一般にアルカリ性の強い洗浄剤を使用するため、稼働中に中を確認しようとすると、洗浄液を全身にかぶることになり、大変危険である。
そのため、ノズルが詰まっているかどうかは、洗浄機の場合はノズルを分解して確認することが必要で、特に大型のコンベア式洗浄機では、外壁部分を取り外す必要があり、ノズルの数も多いため、非常に時間と労力がかかる作業になっている。
【0010】
またすすぎノズルが不調で、食器等の洗浄対象物のすすぎ不足が起こると、洗浄対象物に洗浄液のアルカリ成分が残留するため、健康被害の発生や洗浄対象物の劣化を促進させることがある。すすぎ不足かどうかをテストするには、専用ラックに洗浄対象物(例えば、グラス)を並べ、すすぎ工程が終了した段階で、pH試験紙を洗浄対象物に当てて、アルカリ残留を確認するか、フェノールフタレイン試薬を洗浄対象物に滴下することでアルカリ残留を確認するが、すすぎノズルのどの部分が不調なのかに行き着くまで、何度もこの作業を繰り返す必要がある。また、原因の特定には全て分解して目視確認することになる場合が多い。
【0011】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、食中毒や異物混入などの食品衛生上の問題を低減するために、洗浄機における洗浄不良やすすぎ不良を容易に確認するために好適に用いられる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の装置は、洗浄機における洗浄及び/又はすすぎの状態を確認するために用いられる装置であって、2つ以上の感知センサを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の装置は、2つ以上の感知センサを備える。これを洗浄ラック等に設置し、洗浄機にて通常の洗浄動作をすることで、ノズルからの噴射がある時に感知センサが反応する。これにより、どの位置の感知センサが、どのタイミングで反応したのかのデータを取得することができ、洗浄機内の洗浄及び/又はすすぎの状態を網羅的かつ簡便に確認するために用いることができる。更に、ノズルの一部が詰まっている場合は、そのノズルを特定したり、回転ノズルの回転不調も判定しやすくなる。その結果、従来のノズルの保守作業に要する時間を大幅に短縮することができ、その労力も大幅に低減される。
なお、上記データは、必要に応じて、装置内に蓄積したり、リアルタイムでスマートフォン等の携帯通信機器に転送したりすることができる。
【0014】
本発明の装置において、上記感知センサは、感圧センサであることが好ましい。
感圧センサは、ノズルから噴射される液の状態を好適に感知することができるため、本発明の装置が、2つ以上の感圧センサを備えることで、洗浄機内の洗浄及び/又はすすぎの状態をより好適に確認することが可能となる。
【0015】
本発明の装置は、格子状に配置されている4つ以上の感知センサ及び/又は線状に配置されている3つ以上の感知センサを備えることが好ましい。
これにより、より詳細にノズルからの噴射状況が確認できる。例えば、洗浄機の回転ノズルにおける時間当たりの回転数を算出することが容易になる。
【0016】
本発明の装置において、上記感知センサは、上向きの感知部を有する感知センサと下向きの感知部を有する感知センサを含むことが好ましい。
これにより、洗浄機内の上部ノズル(下向きに噴射)と、下部ノズル(上向きに噴射)の動作確認を同時におこなうことができ、洗浄及び/又はすすぎの状態をより網羅的かつ簡便に確認することが可能となる。また、感度を変えられる感知センサを含むことが好ましい。センサの感度を変えることにより、洗浄機の振動やさまざまなノイズによる影響を抑えることが可能になる。
【0017】
本発明の装置は、洗浄ラック又は洗浄対象物に設置するためのものであることが好ましい。
洗浄ラックは、一般的に50cm×50cmや、25cm×50cmの大きさで、ドア型洗浄機やコンベア型洗浄機などは一般的なラックが入る大きさに設計されている。
本発明の装置が、洗浄ラックに設置するためのものであるとは、洗浄ラックに後付けで設置する形態であってもよいし、始めから洗浄ラックに固定する形態であってもよい。
これにより、より好適にノズルからの噴射状況が確認できる。
中でも、本発明の装置は、上から見たときに長方形等の洗浄ラックにも使用できるが、正方形の洗浄ラックに設置するためのものであることが好ましい。
【0018】
本発明の装置は、食器洗浄機における洗浄及び/又はすすぎの状態を確認するために用いられることが好ましい。
これにより、高度な衛生管理が求められる食器洗浄機においてノズルの保守作業に要する時間を大幅に短縮し、また、その労力を大幅に低減することができ、大きな技術的意義がある。
【0019】
本発明は、本発明の装置を含んで構成される洗浄機でもある。
本発明の洗浄機は、洗浄不良やすすぎ不良を好適に確認することができるものである。
【0020】
本発明は、2つ以上の感知センサを用いて洗浄機における洗浄及び/又はすすぎの状態を確認する方法でもある。
本発明の方法は、洗浄不良やすすぎ不良を好適に確認することができるものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の装置は、洗浄機における洗浄不良やすすぎ不良を確認するために好適に用いられる。また、本発明の洗浄機は、洗浄不良やすすぎ不良を好適に確認することができるものである。更に、本発明の方法は、洗浄機における洗浄不良やすすぎ不良を好適に確認することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の装置を用いて回転ノズル方式の洗浄機における洗浄及び/又はすすぎの状態を確認した場合の、洗浄及び/又はすすぎが良好なときのパターン例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の装置を用いて回転ノズル方式の洗浄機における洗浄及び/又はすすぎの状態を確認した場合の、洗浄不良及び/又はすすぎ不良のときのパターン例、並びに、不調が疑われるノズルを示す模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の装置を用いてコンベア式洗浄機における洗浄及び/又はすすぎの状態を確認した場合の、洗浄及び/又はすすぎが良好なときのパターン例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の装置を用いてコンベア式洗浄機における洗浄及び/又はすすぎの状態を確認した場合の、洗浄不良及び/又はすすぎ不良のときのパターン例、並びに、不調が疑われるノズルを示す模式図である。
【
図5】
図5は、本発明の装置における感知センサの配置例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、本発明の装置における感知センサの配置例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、本発明の装置における感知センサの配置例を示す模式図である。
【
図8】
図8は、本発明の装置における感知センサの配置例を示す模式図である。
【
図9】
図9は、本発明の装置を用いて回転ノズル方式の洗浄機における洗浄及び/又はすすぎの状態を確認した場合の、洗浄及び/又はすすぎが良好なときの積分パターン例を示す模式図である。
【
図10】
図10は、本発明の装置を用いて回転ノズル方式の洗浄機における洗浄及び/又はすすぎの状態を確認した場合の、洗浄不良及び/又はすすぎ不良のときの積分パターン例を示す模式図である。
【
図11】
図11(a)は、洗浄ラックに設置した本発明の装置を含んで構成される洗浄機の内部構造を模式的に示す模式図である。
図11(b)は、洗浄対象物に設置した本発明の装置を含んで構成される洗浄機の内部構造を模式的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の装置は、洗浄機における洗浄及び/又はすすぎの状態を確認するために用いられる装置である。
洗浄及び/又はすすぎの状態を確認するとは、ノズルの詰まりの有無、洗浄圧が充分なものであるか、回転ノズルが充分に回転しているかの少なくともいずれか1つを確認することをいう。
【0024】
本発明の装置は、2つ以上の感知センサを備えることを特徴とする。本発明の装置が2つ以上の感知センサを備えることで、洗浄機において、洗浄不良やすすぎ不良を好適に確認することができる。
洗浄不良やすすぎ不良の原因の1つとして、ノズルの詰まりが挙げられる。ここで、ノズルが詰まっている疑いがあると判断する場合、感知センサによる測定結果が予め設定した正常な洗浄・すすぎが実施された時の物理量に達していないことにより疑いがあると判断してもよいし、各感知センサで測定した物理量どうしの比較から、有意に物理量が異なるものについて疑いがあると判断してもよい。
【0025】
なお、洗浄機は、通常、洗浄液及び/又はすすぎ液を噴射するための複数のノズルを備えている。洗浄機には、例えば、バッチ式(回転ノズル方式)を採用するもの、コンベア式のものがあり、バッチ式では通常、配管に複数配置されたノズルが回転して移動しながら基本的に静止している洗浄対象物に対して洗浄及び/又はすすぎを行い、コンベア式では通常、配管に複数配置されたノズルがコンベアの進行方向に対して垂直方向に並んで設けられており、洗浄対象物がコンベアに載って移動しながら洗浄及び/又はすすぎが順次行われる。なお、バッチ式では、ノズルを複数配置した配管として三叉(Y字型)の配管を用いることが一般的であるが、当該配管は棒状の配管であってもよく、四叉以上の配管であってもよい。また、コンベア式では、ノズルを複数配置した配管として棒状の配管を用いることが一般的であるが、やはり当該配管の形状は特に限定されない。いずれの場合も、ノズルが、洗浄対象物に対して相対的に移動することになる。また、ノズルごとに、洗浄液及び/又はすすぎ液を噴射する領域がある。
本発明の装置において、2つ以上の感知センサは、洗浄機内の1つのノズルが噴射する1つの領域のみに対応して配置されるものではなく、洗浄機内の複数のノズルが噴射する複数の領域に対応するように分かれて配置されるものであることが好ましく、洗浄機内のすべてのノズルが噴射する領域それぞれに対応するように分かれて配置されるものであることが更に好ましい。
以下、本発明の装置について説明する。
【0026】
本発明の装置において、上記感知センサは、圧力、温度、光量、湿度等の物理量の少なくとも1つの変化を感知できるセンサをいう。
中でも、上述したように、上記感知センサは、洗浄液及び/又はすすぎ液による圧力の変化を感知することができる感圧センサであることが好ましい。
上記感圧センサの種類は、感圧スイッチの他、圧力電圧変換素子、圧力抵抗変換素子等のノズルからの噴射に伴う圧力変化を測定できるものであればいずれも使用できる。
なお、感圧センサ等の感知センサとしては、高温に耐えることができ、アルカリの薬液に強い防水タイプのものが特に適している。
【0027】
なお、感圧センサが圧力抵抗変換素子である場合、感圧センサが反応したことによる電気情報を得るために、乾電池等で常に電流を流して、電気信号を得ることもできる。また、感圧センサが圧力電圧変換素子である場合、感圧センサが圧力を受けた状態になった時に起電力が発生し、電気信号を得ることもできる。このように、感圧センサ等の感知センサから、圧力等の物理量が変化した際に電気信号を得ることができる。
これらの電気信号で、感圧センサ等の感知センサの配置された位置と、物理量が変化したタイミングをデータとして、装置本体に蓄積したうえでスマートフォンやコンピューターに取り込んだり、スマートフォン等に転送したりすることができる。したがって、本発明の装置本体が確認結果を表示する機能を有する必要はない。
【0028】
感知センサの配置数を増やすと、より細かく噴射状況が確認できる。
例えば、本発明の装置は、3つ以上の感知センサを備えることが好ましく、5つ以上の感知センサを備えることがより好ましく、8つ以上の感知センサを備えることが更に好ましく、12以上の感知センサを備えることが特に好ましい。
感知センサの配置数は、その上限値は特に限定されず、洗浄ラック等のサイズに合わせて適宜設定することができるが、通常、1300以下である。
感知センサ(好適には、感圧センサ)1個あたりの面積は、0.5cm2以上、100cm2未満が好ましく、1.5cm2以上、20cm2未満がより好ましく、2cm2以上、15cm2未満が更に好ましい。
感知センサ(好適には、感圧センサ)の総面積は、1cm2以上、1000cm2未満が好ましく、2cm2以上、500cm2未満がより好ましく、3cm2以上、300cm2未満が更に好ましい。
【0029】
上記装置における感知センサ(好適には、感圧センサ)は、格子状及び/又は線状に配置されていることが好ましく、格子状及び/又は放射状に配置されていることがより好ましい。
感知センサが格子状に配置されているとは、本発明の装置を上から見たときに、感知センサが格子によって区切られた中の部分に配置されるように規則的に配置されているものであればよいが、例えば、矩形状である各感知センサの縁が格子状となるように配置されているものが好ましい。その場合、感知センサは、格子によって区切られた中の部分それぞれに配置されているものであってもよく、縦・横に隣接することなく市松模様状に配置されているものであってもよい。
本発明の装置において、感知センサが格子状に配置されていると、バッチ式(回転ノズル方式)の洗浄機に対しても、コンベア式の洗浄機に対しても、好適に使用できるものとなる。
【0030】
感知センサが線状に配置されているとは、本発明の装置を上から見たときに、感知センサがある直線上に並ぶように配置されているものであればよい。なお、感知センサがある直線上に並ぶように配置されているという場合、感知センサ間の間隔は、均等であってもよく、均等でなくてもよいか、均等であることが好ましい。例えば、感知センサが直線上に隙間無く並んでいる(感知センサ間の隙間無く並んでいる)ことが本発明における好ましい形態の1つである。
また本発明の装置をコンベア式の洗浄機に用いる場合、感知センサは、コンベアの進行方向に対して、45°以上、90°以下の角度となる直線上に並ぶように配置されていることが好ましく、実質的に垂直方向に並びように配置されていることがより好ましい。
なお、感知センサが、斜めに(斜線上に)並んで配置されていることもまた本発明の装置における好ましい形態の1つである。
本発明の装置において、感知センサが線状に配置されていると、特にコンベア式の洗浄機に対して、好適に使用できるものとなる。
【0031】
感知センサが放射状に配置されているとは、本発明の装置を上から見たときに、感知センサが装置の中心部から少なくとも2方向へ直線上に並ぶように配置されていることをいい、装置の中心部から4方向へ直線上に並ぶように配置されていることが好ましい。例えば、洗浄ラックを上から見たときに、正方形又は長方形の洗浄ラックの少なくとも1つの対角線上に感知センサが並ぶように配置されるものとすることができ、正方形又は長方形の洗浄ラックの2つの対角線上に感知センサが並ぶように配置されるものであることが好ましい。
本発明の装置において、感知センサが放射状に配置されていると、バッチ式(回転ノズル方式)の洗浄機に対しても、コンベア式の洗浄機に対しても、好適に使用できるものとなる。
【0032】
上述したように、本発明の装置は、格子状に配置されている4つ以上の感知センサ及び/又は線状に配置されている3つ以上の感知センサを備えることが好ましい。
格子状に配置されている4つ以上の感知センサは、9つ以上であることがより好ましい。例えば、枡目が縦m個、横n個の正方形又は長方形の格子によって区切られた中の部分それぞれに分かれて配置されたものや、当該格子に市松模様状に配置されたものが好ましく、枡目が縦n個、横n個の正方形の格子によって区切られた中の部分それぞれに分かれて配置されたものや、当該格子に市松模様状に配置されたものがより好ましい。なお、m、nは、それぞれ、2以上の整数であり、3以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましく、5以上であることが更に好ましい。
【0033】
線状に配置されている3つ以上の感知センサは、4つ以上であることがより好ましく、5つ以上であることが更に好ましい。
【0034】
上述したように、本発明の装置において、上記感知センサは、上向きの感知部を有する感知センサと下向きの感知部を有する感知センサを含むことが好ましい。例えば、感知センサとして感圧センサを用いる場合、感圧センサは、上向きの感圧部を有する感圧センサと下向きの感圧部を有する感圧センサを含むことが好ましい。これにより、洗浄機において、上部ノズル(下向きに噴射)と下部ノズル(上向きに噴射)の動作確認が同時にできる。
なお、感知センサの感知部が片側のみの本発明の装置を、例えば1回目は上面向き、2回目は下面向きで測定し、上部ノズルと下部ノズルの動作確認をおこなうことも可能である。
【0035】
本発明の装置は、網目状であってもよく、シート状であってもよいが、例えば網目状であることが好ましい。本発明の装置が、網目状であり、網目の一部に感知センサが配置され、その他の部分が感知センサが配置されていない開口部となっていると、本発明の装置を洗浄ラックに設置した際に、開口部を介して洗浄ラックに洗浄対象物をセットすることができ、洗浄対象物の洗浄・すすぎをおこないながら、本発明の装置を好適に使用できる。
例えば、本発明の装置が、網目状であり、感知センサが、市松模様状に配置されており、その他の網目部分が開口部であることが、本発明における好ましい形態の1つである。
【0036】
上述したように、本発明の装置は、洗浄ラック又は洗浄対象物に設置するためのものであることが好ましい。
本発明の装置が、洗浄ラックに設置するためのものである場合、上述したように、本発明の装置は、洗浄ラックに後付けで設置する形態のほか、始めから洗浄ラックに固定する形態も可能である。洗浄ラックに後付けで設置する形態の場合、本発明の装置を複数の洗浄機で使用できるため、本発明の装置の活用の幅が広がる。例えば、食器洗浄機を設置している飲食店等で、定期的に本発明の装置を使って、ノズル噴射の状態をチェックすることができる。また、洗浄ラックに固定する形態の場合、後付けで設置するよりも、位置のズレが少なく、またノズルからの噴射の勢いで本発明の装置が吹き飛ぶといったことが防ぎやすい。
また洗浄ラックは、洗浄機に用いるものであり、洗浄機内に固定されていてもよいが、その必要はなく、着脱可能(持ち運び可能)なものであってもよい。すなわち、食器等の洗浄対象物を洗浄ラックにセットして、洗浄ラックごと洗浄機に入れて用いるものであってもよい。多くの洗浄機において、洗浄ラックはこのタイプである。この場合、本発明の装置は、洗浄ラックに設置し、洗浄ラックごと洗浄機に入れて用いることができる。
また本発明の装置が、洗浄対象物に設置するためのものであるとは、例えば、食器等の洗浄対象物に設置し、当該洗浄対象物を洗浄ラックにセットし、洗浄ラックごと洗浄機に入れて用いることができるものである。また、本発明の装置を、食器等の洗浄対象物に設置し、必要に応じて当該洗浄対象物を洗浄ラックにセットしたうえで、ベルトコンベア付き洗浄機に入れて用いることもできる。
【0037】
また本発明の装置では、上述したように、感知センサから、電気信号を得ることができる。
これらの電気信号で、感圧センサ等の感知センサの配置された位置と、物理量が変化したタイミングをデータとして、装置本体に蓄積し、その後でUSBケーブル等で接続し、データをスマートフォンやコンピューターに取り込むこともできる。また、本発明の装置に乾電池等のバッテリーを搭載して、データをリアルタイムで無線通信でスマートフォン等に転送することもできる。
これら感知センサの反応信号に位置情報が紐付いたデータを、解析ソフト等でグラフ化したり、実際の感知センサの配置位置を画面上に表示し、そこでの反応信号を連続で再現した動画的な処理を行うこともできる。
また、感知センサの反応信号を位置情報に合わせて、積分処理をして、洗浄液・すすぎ液の当たりの悪い位置をグラフ化することもできる。
これにより、ノズルからの噴射水流がよく当たっているところと、当たりの悪いところ、全く当たっていないところの可視化が可能となり、ノズルや回転ノズルの不調箇所の特定がしやすくなる。
【0038】
本発明の装置の測定結果を解析することにより、回転ノズルが時間あたりに何回転しているかを算出することも可能となる。回転数が一定数以下であると、回転ノズルの摺動部の異常である可能性が高く、このような異常も検知しやすくなる。
【0039】
洗浄機において通常使用している洗浄ラック等に、これらの仕組みを組み込ませると、普通に洗浄作業をしているときに、ノズル噴射状況のデータの測定及び蓄積も可能となる。例えば、IoTの通信装置と組み合わせて、リアルタイムでデータ通信をすれば、洗浄機の動作状況を監視することも可能となる。
【0040】
本発明の装置により、食器洗浄機等の洗浄機のノズル噴射や回転ノズルの状態が、容易に確認できるようになる。よって、ノズル保守作業の大幅な時間短縮を行えるようになる。
コンベア式のように洗浄工程を連続的に行っている食器洗浄機でも、その作業を止めることなく、例えば2つ以上の感知センサを備える本発明の装置を設置した洗浄ラックを流すだけで、状態が把握できる。
よって、ノズル保守作業の大幅な時間短縮を行えるようになる。
更に、洗浄現場にて、スマートフォン等でデータを解析することで、即座に不調が発見でき、しかも不調のノズルの位置が特定しやすくなる。よって、ノズル詰まりの除去等の作業が効率的に行えるようになる。
また、食器洗浄機を設置している飲食店等で、定期的に本発明の装置を使って、ノズル噴射の状態をチェックすることで、食器の洗浄不足及びすすぎ不足による不衛生な状態を回避することができる。
【0041】
本発明の装置を用いる洗浄機としては、上述したように、食器洗浄機であることが好ましい。すなわち、本発明の装置は、食器洗浄機における洗浄及び/又はすすぎの状態を確認するために用いられることが好ましい。
【0042】
(本発明の洗浄機)
本発明は、本発明の装置を含んで構成される洗浄機でもある。
本発明の洗浄機は、上述したように、本発明の装置が、洗浄機内の着脱可能な洗浄ラック又は洗浄対象物に設置されていてもよく、洗浄機内に固定されている洗浄ラックに設置されていてもよく、コンベア式の洗浄機内のベルトコンベア上に設置されているものであってもよい。
【0043】
本発明の洗浄機は、自動洗浄機であることが好ましく、中でも、バッチ式(ドアタイプ)の自動洗浄機であることがより好ましい。本発明の洗浄機は、例えば、洗浄室及び/又はすすぎ室である内部空間と、上記内部空間に洗浄液を供給する洗浄液供給機構と、上記洗浄液供給機構から上記内部空間に供給された上記洗浄液を回収する回収機構と、上記回収機構により回収された上記洗浄液を上記内部空間に循環させる循環機構と、上記内部空間にすすぎ液を供給するすすぎ液供給機構とを備える自動洗浄機とすることができる。
また本発明の洗浄機は、食器洗浄機であることが好ましく、自動食器洗浄機であることがより好ましい。
【0044】
図1は、本発明の装置を用いて回転ノズル方式の洗浄機における洗浄及び/又はすすぎの状態を確認した場合の、洗浄及び/又はすすぎが良好なときのパターン例を示す模式図である。
図2は、本発明の装置を用いて回転ノズル方式の洗浄機における洗浄及び/又はすすぎの状態を確認した場合の、洗浄不良及び/又はすすぎ不良のときのパターン例、並びに、不調が疑われるノズルを示す模式図である。
図1及び
図2には、6×6の枡目が示されている。
図1及び
図2中、枡目が塗りつぶされた箇所は、ノズルからの噴射により圧力等の物理量が充分に変化している箇所を示す。また、
図2中、枡目の外枠が太線で示されているが、塗りつぶされずに白抜きとなっている箇所は、ノズルからの噴射により圧力等の物理量が充分に変化していない箇所を示す。後述する
図3、
図4、表1~表4においても同様である。
【0045】
図1では、回転する各ノズルに対応して圧力等の物理量が充分に変化していることが示されており、各ノズルからの噴射が正常であり、洗浄及び/又はすすぎが良好であることが示されている。一方、
図2では、
図1と比べて、左端の枡目の、外枠が太線で示されているが白抜きとなっている箇所が、圧力等の物理量が充分に変化しておらず、回転するノズルのうち、端部のノズルの異常が疑われる。
このようなパターンは、例えば、
図5に示したように感知センサを配置した本発明の装置を用いて好適に測定することができるが、例えば、
図6又は
図7に示したように感知センサを配置した本発明の装置を用いることでも充分に測定することができる。
【0046】
図3は、本発明の装置を用いてコンベア式洗浄機における洗浄及び/又はすすぎの状態を確認した場合の、洗浄及び/又はすすぎが良好なときのパターン例を示す模式図である。
図4は、本発明の装置を用いてコンベア式洗浄機における洗浄及び/又はすすぎの状態を確認した場合の、洗浄不良及び/又はすすぎ不良のときのパターン例、並びに、不調が疑われるノズルを示す模式図である。
図3及び
図4においても、6×6の枡目が示されている。
図3及び
図4では、ベルトコンベアを上から見たときに、ベルトコンベアが右方向に移動し、縦方向に並ぶように配置されたノズルからの噴射を順次受ける。
図3では、各ノズルに対応して圧力等の物理量が充分に変化していることが示されており、各ノズルからの噴射が正常であり、洗浄及び/又はすすぎが良好であることが示されている。一方、
図4では、上から2番目の枡目の白抜きとなっている箇所が、圧力等の物理量が充分に変化しておらず、対応するノズルの異常が疑われる。
このようなパターンは、例えば、
図5に示したように感知センサを配置した本発明の装置を用いて好適に測定することができるが、例えば、
図6~
図8に示したように感知センサを配置した本発明の装置を用いることでも充分に測定することができる。
【0047】
図5~
図8は、それぞれ、本発明の装置における感知センサの配置例を示す模式図である。
図5に示した感知センサの配置例では、36個の感知センサが格子状に配置されており、具体的には、6×6の枡目のそれぞれに配置されている。
図6に示した感知センサの配置例では、13個の感知センサが格子状に配置されており、具体的には、5×5の枡目において縦・横に隣り合うことなく市松模様状に配置されている。
図7に示した感知センサの配置例では、5個の感知センサが放射状に配置されており、具体的には、5×5の枡目において中心部を通って斜めに(対角線上に)並んで配置されている。
図8に示した感知センサの配置例では、5個の感知センサが線状に配置されており、具体的には、5×5の枡目において左端の枡目を通る直線上に並んで配置されている。
【0048】
図9は、本発明の装置を用いて回転ノズル方式の洗浄機における洗浄及び/又はすすぎの状態を確認した場合の、洗浄及び/又はすすぎが良好なときの積分パターン例を示す模式図である。
図10は、本発明の装置を用いて回転ノズル方式の洗浄機における洗浄及び/又はすすぎの状態を確認した場合の、洗浄不良及び/又はすすぎ不良のときの積分パターン例を示す模式図である。
このように、感知センサの反応信号を位置情報に合わせて、積分処理をして、洗浄液・すすぎ液の当たりの悪い位置をグラフ化することにより、ノズルからの噴射水流がよく当たっているところと、当たりの悪いところ、全く当たっていないところの可視化が可能となり、ノズルや回転ノズルの不調箇所の特定がしやすくなる。
【0049】
図11(a)は、洗浄ラックに設置した本発明の装置を含んで構成される洗浄機の内部構造を模式的に示す模式図である。
図11(b)は、洗浄対象物に設置した本発明の装置を含んで構成される洗浄機の内部構造を模式的に示す模式図である。
図11(a)及び
図11(b)に示す自動洗浄機1は、ドアタイプの食器洗浄用自動洗浄機である。
図11(a)に示すように自動洗浄機1は、洗浄室及びすすぎ室である内部空間10と、内部空間10に洗浄液又はすすぎ液が供給される際に供給口となる上部ノズル71aと下部ノズル71bと、上部ノズル71aと下部ノズル71bとの間に、複数の感知センサを備える本発明の装置61が設置された洗浄ラック60とを備える。なお、本発明の装置61では、感知センサが、市松模様状に配置されている。
図11(b)では、自動洗浄機1の内部空間10の洗浄ラック60に洗浄対象物である食器2が載置される。
図11(b)では、複数の感知センサを備える本発明の装置62が、洗浄ラック60に設置される代わりに、食器2に設置されている。
【0050】
図11(a)及び
図11(b)に示す自動洗浄機1では、上部ノズル71a及び下部ノズル71bが洗浄ノズルとすすぎノズルを兼ねるものになっているが、洗浄ノズルとすすぎノズルがそれぞれ専用のノズルとして設けられていてもよい。
図11(a)及び
図11(b)に示す自動洗浄機1は、更に、上部ノズル71a及び下部ノズル71bに洗浄液又はすすぎ液を供給する配管70と、内部空間10から洗浄液及びすすぎ液を回収する回収機構80を備える。
【0051】
自動洗浄機1は、洗浄液タンク31と、洗浄液タンク31に水を供給する給水口21と、洗浄液タンク31に洗浄剤組成物を供給する洗浄剤組成物供給機構40と、洗浄液タンク31から配管70に洗浄液を供給する第1ポンプ51とを備えている。
また自動洗浄機1は、すすぎ液タンク32と、すすぎ液タンク32に水を供給する給水口22と、すすぎ液タンク32から配管70にすすぎ液を供給する第2ポンプ52とを備えている。
また回収機構80は循環用配管80aと排水口80bとに枝分かれしており、切り替え弁81により洗浄液が流れる方向を制御できる。また、循環用配管80aは、第1ポンプ51に洗浄液を供給することができる。
【0052】
図11(a)及び
図11(b)では、洗浄液タンク31に給水口21及び洗浄剤組成物供給機構40から、それぞれ、水及び洗浄剤組成物が供給され、洗浄液が作製される。
その後、第1ポンプ51により洗浄液が配管70に供給される。
洗浄液は、配管70を通じ、上部ノズル71a及び下部ノズル71bに供給され、上部ノズル71a及び下部ノズル71bから内部空間10に洗浄液が噴射される。
その結果、洗浄液の噴射状態が、本発明の装置により測定される。なお、
図11(b)では、同時に食器2が洗浄される。
その後、洗浄液は、回収機構80により回収され、循環用配管80aを通じて第1ポンプ51に再度供給され、洗浄液が内部空間10に循環されたり、排水口80bから排水されたりすることになる。
【0053】
自動洗浄機1において、洗浄剤組成物供給機構40が供給する洗浄剤組成物の形状は、特に限定されず、液体洗浄剤組成物であってもよく、固形洗浄剤組成物であってもよい。
【0054】
自動洗浄機1において、洗浄剤組成物供給機構40が供給する洗浄剤組成物は、特に限定されず、通常の自動洗浄機用洗浄剤組成物を用いてもよい。また、自動洗浄機用洗浄剤組成物の成分には、界面活性剤、酸剤、アルカリ剤、漂白剤、酵素、金属腐蝕防止剤、高分子分散剤、除菌剤等が含まれていてもよい。
【0055】
自動洗浄機1において、回収機構80は、どのような手段で洗浄液を回収してもよく、例えば、吸引機構により能動的に洗浄液を回収する機構であってもよく、自然に下に溜まる洗浄液を回収する機構であってもよい。
また、洗浄液を、循環用配管80aを通じてポンプ51に供給するか、排水口80bを通じて排水するかは、切り替え弁81を設けることにより制御することができる。
弁の切り替え時期は、洗浄時間等により決定することができる。
【0056】
自動洗浄機1では、上記のように上部ノズル71a及び下部ノズル71bから洗浄液を噴射した後、すすぎ液を噴射することもできる。
すすぎ液を噴射する際には、まず、すすぎ液タンク32に給水口22から水が供給され、すすぎ液が貯められる。
その後、第2ポンプ52によりすすぎ液が配管70に供給される。つまり、第2ポンプ52は、すすぎ液供給機構である。
【0057】
すすぎ液は、配管70を通じ、上部ノズル71a及び下部ノズル71bに供給され、上部ノズル71a及び下部ノズル71bから内部空間10にすすぎ液が噴射される。
その結果、すすぎ液の噴射状態が、本発明の装置により測定される。なお、
図11(b)では、同時に食器2が、すすぎ液によりすすがれる。そのため、食器に汚れや洗浄液が残留しにくくなる。
【0058】
なお、すすぎ液にはリンス剤を供給してもよい。
リンス剤としては、特に限定されないが、例えば、低級アルキレンオキサイドポリマーがあげられる。
【0059】
その後、すすぎ液は、回収機構80により回収され、排水口80bから排水されることになる。
【0060】
自動洗浄機1では、第1ポンプ51及び第2ポンプ52が分かれていたが、1つのポンプが洗浄液供給機構及びすすぎ液供給機構の機能を備えていてもよい。
【0061】
自動洗浄機1は、ドアタイプの食器洗浄用自動洗浄機であったが、本発明の自動洗浄機は、コンベアタイプの自動食器洗浄機であってもよい。
【0062】
本発明の洗浄機では、内部空間は、食器を洗浄するための洗浄室と、食器をすすぐためのすすぎ室に分かれていてもよい。特にコンベアタイプの自動食器洗浄機である場合、内部空間が、食器を洗浄するための洗浄室と、食器をすすぐためのすすぎ室に分かれていると、効率よく食器を洗浄することができる。
【0063】
また、本発明の洗浄機は、食器を洗浄する食器洗浄機であることが好ましいが、食器以外の洗浄対象物を洗浄する洗浄機であってもよい。食器以外の洗浄対象物としては、例えば、調理器具、工具、実験器具、野菜、果物等が好適なものとして挙げられる。ここで、本発明の洗浄機は、洗浄機自体以外の洗浄対象物を洗浄するものであることが好ましい。
【0064】
(本発明の洗浄及び/又はすすぎの状態を確認する方法)
本発明は、2つ以上の感知センサを用いて洗浄機における洗浄及び/又はすすぎの状態を確認する方法でもある。
2つ以上の感知センサの好適な種類、配置数、配置方法等は、上述した通りである。
本発明の方法は、洗浄機の回転ノズルにおける時間当たりの回転数を算出する工程を含むことが好ましい。これにより、回転ノズルが充分に回転しないことが原因で洗浄力不足やすすぎ不足となる場合に、その原因を特定できる。
本発明の方法により、洗浄機における洗浄不良やすすぎ不良を好適に確認することができる。
【実施例0065】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0066】
ドア型の食器洗浄機として自動食器洗浄機ホシザキJWE-680(ホシザキ株式会社製)を、コンベア型の食器洗浄機として自動食器洗浄機ホシザキJWE-2400(ホシザキ株式会社製)をそれぞれ使用し、下記圧力確認試験をおこなった。また、下記のように単位時間あたりの感圧センサの感知回数を測定した。
【0067】
(圧力確認試験)
洗浄機に、下記表1~表4に示したように配置した感圧センサを装着した洗浄ラックをセットし、洗浄ノズル又はすすぎノズルの状態を確認した。センサごとに10秒間データを採取し、各ピーク値を平均化した。
評価基準
◎:0.1MPa以上
○:0.05MPa以上、0.1MPa未満
△:0.01MPa以上、0.05MPa未満
×:0.01MPa未満
なお、◎、〇は良好であるが、△、×は不良であり、ノズルの詰まりが疑われる。
【0068】
洗浄機に、下記表4に示したように配置した感圧センサを装着した洗浄ラックをセットし、洗浄ノズル又はすすぎノズルの状態を確認した。下記表4中、評価基準は以下の通りである。
(感知回数)
単位時間あたりの感圧センサの感知回数
※ノズルの本数と個数による。下記表4に示した実施例11、12では、ノズルが1回転する毎に感圧センサが3回圧力を感知することになるため、単位時間あたりの感圧センサの感知回数を3で割ったものが単位時間あたりのノズルの回転数となる。
評価基準
◎:3回/秒以上
〇:1回/秒以上、3回/秒未満
×:1回/秒未満
なお、◎は良好であるが、〇、×は回転不良と考えられる。
【0069】
下記表1~表4において、枡目を塗りつぶし、番号を付している箇所がセンサを配置した箇所である。番号は、各実施例・各比較例で用いたセンサの位置を特定するものであり、表1~表4に示している。なお、センサの番号は、左上を1とし、右側・下側に向かってナンバリングした。
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
実施例1~12の装置は、上記表1~表4に示される結果より、ノズル詰まりによる洗浄機における洗浄不良やすすぎ不良を確認するために好適に用いられることが分かった。また実施例11、12の装置は、上記表4に示される結果より、回転ノズルの回転不良による洗浄機における洗浄不良やすすぎ不良を確認するために好適に用いられることが分かった。