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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180950
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】建具装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/23 20060101AFI20221130BHJP
   E06B 3/36 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
E06B7/23 A
E06B3/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087743
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 誠
【テーマコード(参考)】
2E014
2E036
【Fターム(参考)】
2E014AA02
2E014DA05
2E014DB02
2E036AA01
2E036AA02
2E036BA01
2E036CA01
2E036CA03
2E036DA02
2E036DA07
2E036DA08
2E036DA09
2E036EB02
2E036EB07
2E036EC03
2E036EC05
2E036GA02
2E036GA07
2E036HA02
2E036HB00
2E036HB14
(57)【要約】
【課題】 水密性を向上する。
【解決手段】 扉体20と、扉体20の戸尻側で扉体20を開閉回動する回転軸と、閉鎖状態の扉体20の戸尻部に対向するように設けられた戸尻側枠部材11と、戸尻側枠部材11に設けられた第一の弾性部材40と、扉体20の戸尻部に設けられた第二の弾性部材50とを備え、第一の弾性部材40には、扉体20が閉鎖動作した際に第二の弾性部材50と、戸尻側枠部材11との間に挟まれるように突片部が設けられている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉体と、前記扉体の戸尻側で前記扉体を開閉回動する回転軸と、閉鎖状態の前記扉体の戸尻部に対向するように設けられた戸尻側枠部材と、前記戸尻側枠部材に設けられた第一の弾性部材と、前記扉体の戸尻部に設けられた第二の弾性部材とを備え、
前記第一の弾性部材には、前記扉体が閉鎖動作した際に前記第二の弾性部材と、前記戸尻側枠部材との間に挟まれるように突片部が設けられていることを特徴とする建具装置。
【請求項2】
前記第一の弾性部材は、閉鎖する前記扉体の戸尻側部分によって見込み方向へ押圧され収縮する被押圧部を有し、
前記突片部は、前記被押圧部から突出していることを特徴とする請求項1記載の建具装置。
【請求項3】
前記戸尻側枠部材には、閉鎖状態の前記扉体における閉鎖方向側の面に対向するように溝部が設けられ、前記第一の弾性部材は、前記溝部に嵌り合っていることを特徴とする請求項2記載の建具装置。
【請求項4】
前記扉体の戸尻側には、前記扉体が閉鎖する際に前記第一の弾性部材に押し付けられるように押圧突起が設けられていることを特徴とする請求項1~3何れか1項記載の建具装置。
【請求項5】
前記第二の弾性部材は、前記扉体の戸尻部を戸厚方向の略全長にわたって覆っていることを特徴とする請求項1~4何れか1項記載の建具装置。
【請求項6】
前記第二の弾性部材は、独立気泡の発泡体により形成されていることを特徴とする請求項1~5何れか1項記載の建具装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉体を回動させて開閉動作する建具装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、例えば特許文献1に記載されるように、扉体と、扉体の戸尻側における戸厚方向の一方側に設けられて扉体を開閉回動する回転軸と、閉鎖状態の扉体の戸尻部に対向するように設けられた戸尻側枠部材と、閉鎖状態の扉体の戸尻側において前記一方側に対する他方側に設けられた気密部材とを備えた密閉・防音ドアがある。
この従来技術によれば、扉体を全閉した際、この扉体が気密部材に押し付けられて、気密部材が弾性変形するため、扉体と戸尻側枠部材の隙間を塞いで、気密性及び水密性を保持することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-229674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、洪水等により屋外側に大きな水圧がかかった場合等には、前記従来構造では、水密性や止水性能が不足するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
扉体と、前記扉体の戸尻側で前記扉体を開閉回動する回転軸と、閉鎖状態の前記扉体の戸尻部に対向するように設けられた戸尻側枠部材と、前記戸尻側枠部材に設けられた第一の弾性部材と、前記扉体の戸尻部に設けられた第二の弾性部材とを備え、前記第一の弾性部材には、前記扉体が閉鎖動作した際に前記第二の弾性部材と、前記戸尻側枠部材との間に挟まれるように突片部が設けられていることを特徴とする建具装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、水密性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る建具装置の一例を示す正面図である。
図2図1における(II)-(II)線に沿う断面図であり、(a)は閉鎖途中状態を示し、(b)は全閉状態を示す。
図3図1における(III)-(III)線に沿う断面図であり、閉鎖途中状態を示す。
図4】同建具装置において、第二の弾性部材とヒンジが重なり合う部分を示す縦断面図である。
図5】同建具装置において、第一の弾性部材の突片部とヒンジが重なり合う部分を示す縦断面図である。
図6図1における(VI)-(VI)線に沿う縦断面図である。
図7】第一の弾性部材の横断面を拡大して示す図である。
図8】両開き式の建具装置の一例について、召し合わせ部分の構造を示す横断面図である。
図9】本発明に係る建具装置の他例について、第二の弾性部材と第一の弾性部材の突片部が重なり合う部分の横断面図であり、(a)は閉鎖途中状態を示し、(b)は扉体が略全閉した状態であり、かつ止水位置になる前の状態を示す。
図10】同建具装置の他例における横断面図であり、扉体が略全閉し止水位置になった状態を示す。
図11】本発明に係る建具装置の他例を示す斜視図であり、第一の弾性部材および第二の弾性部材の図示を省略している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第一の特徴は、扉体と、前記扉体の戸尻側で前記扉体を開閉回動する回転軸と、閉鎖状態の前記扉体の戸尻部に対向するように設けられた戸尻側枠部材と、前記戸尻側枠部材に設けられた第一の弾性部材と、前記扉体の戸尻部に設けられた第二の弾性部材とを備え、前記第一の弾性部材には、前記扉体が閉鎖動作した際に前記第二の弾性部材と、前記戸尻側枠部材との間に挟まれるように突片部が設けられていることを特徴とする建具装置(図1図11参照)。
【0009】
第二の特徴として、前記第一の弾性部材は、閉鎖する前記扉体の戸尻側部分によって見込み方向へ押圧され収縮する被押圧部を有し、前記突片部は、前記被押圧部から突出している(図7参照)。
【0010】
第三の特徴として、前記戸尻側枠部材には、閉鎖状態の前記扉体における閉鎖方向側の面に対向するように溝部が設けられ、前記第一の弾性部材は、前記溝部に嵌り合っている(図2及び図3参照)。
【0011】
第四の特徴として、前記扉体の戸尻側には、前記扉体が閉鎖する際に前記第一の弾性部材に押し付けられるように押圧突起が設けられている(図9及び図10参照)。
【0012】
第五の特徴として、前記第二の弾性部材は、前記扉体の戸尻部を戸厚方向の略全長にわたって覆っている(図2及び図3参照)。
【0013】
第六の特徴として、前記第二の弾性部材は、独立気泡の発泡体により形成されている。
【0014】
なお、後述する実施態様では、以下の構成要件のみを必須とした発明も開示している。
すなわち、この発明は、扉体と、前記扉体の戸尻側で前記扉体を開閉回動する回転軸と、閉鎖状態の前記扉体の戸尻部に対向するように設けられた戸尻側枠部材と、前記戸尻側枠部材に設けられた第一の弾性部材とを備え、前記扉体の戸尻側には、前記扉体が閉鎖する際に前記第一の弾性部材に押し付けられるように押圧突起が設けられていることを特徴とする(図9及び図10参照)。
この発明によれば、扉体が閉鎖した際に押圧突起を第一の弾性部材に押し付けて、水密性をいっそう向上することができる。
【0015】
<第一の実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1に示す建具装置1は、戸尻側枠部材11を含む複数の枠部材から矩形枠状に構成された枠体10と、この枠体内の開口部を開閉する扉体20と、閉鎖状態の扉体20の戸尻側で扉体20を開閉回動させる回転軸を構成するヒンジ30と、枠体10の戸尻側枠部材11に設けられた第一の弾性部材40と、扉体20の戸尻部に設けられた第二の弾性部材50とを備える。
【0017】
枠体10は、閉鎖状態の扉体20の戸尻部に対向する戸尻側枠部材11と、同扉体20の戸先部に対向する戸先側枠部材12と、同扉体20の上下端部にそれぞれ対向する上側枠部材13及び下側枠部材14とを具備して、中央部を開口した一体の矩形枠状に構成される。この枠体10は、建物等の躯体開口部に不動に固定される。
【0018】
戸尻側枠部材11は、上下方向へ長尺状に連続する部材であり、図2に示すように横断面略枠状に形成される。
この戸尻側枠部材11は、全閉状態の扉体20の戸尻部に対向する戸尻対向部11aと、全閉状態の扉体20の閉鎖方向側の面における戸尻寄り部分に対向する溝部11bとを有する。
戸尻側枠部材11は、戸尻対向部11aから溝部11bにわたる範囲を横断面略L字状に形成しており、このL字状部分を、全閉状態の扉体20における裏面と戸尻面が交差する角部分に嵌め合わせる(図2(b)参照)。
【0019】
戸尻対向部11aは、全閉状態の扉体20の戸尻面に対し、上下方向にわたって連続的に対向する平面視矩形状の平坦面である。
この戸尻対向部11aには、ヒンジ30の一片部31がネジやボルト等の止着具によって止着されている。
【0020】
溝部11bは、図2に示すように、戸尻対向部11aから見込み方向へ連続する面と、該部分から見付け方向へ曲げられた底面と、前記底面から突出するとともに戸尻対向部11aとの間に空間を置いた面とからなる横断面凹状に形成される。
この溝部11bは、その開口を全閉状態の扉体20の閉鎖方向側面に対向させて、戸尻側枠部材11の上下方向の全長にわたって連続している。
【0021】
扉体20は、所定の厚みを有する正面視矩形板状に構成され、図示例によれば、厚み方向に間隔を置いた表板21と裏板22を、これらの間に位置する複数の骨材23に固定してなる。
この扉体20の戸先側の端部は、上下方向の全長にわたって連続する平面視矩形状の平坦面である。
【0022】
ヒンジ30は、平板状の一片部31と、同様の平板状の他片部32とを、軸部33を中心に自在に回転するように支持してなり、蝶番等と呼称される場合もある。図示例のヒンジ30は、周知構造の旗蝶番である。
このヒンジ30は、扉体20と戸尻側枠部材11の間における表面側に軸部33を配置するようにして、一片部31を戸尻側枠部材11の戸尻対向部11aに止着し、他片部32を扉体20の戸尻面に止着している。
【0023】
第一の弾性部材40は、全閉した際の扉体20に弾性的に圧接されて、枠体10と扉体20の間の隙間を塞ぐ部材である。
この第一の弾性部材40は、戸尻側枠部材11の溝部11bに嵌り合う基部41と、この基部41の扉体開放方向側に接続された被押圧部42と、この被押圧部42の外面から突出する第一の突片部43及び第二の突片部44とを具備している。
この第一の弾性部材40は、エラストマー樹脂や、合成ゴム等の弾性材料から一体に形成される。
【0024】
基部41は、中空部を有する横断面略矩形状に形成され(図7参照)、戸尻側枠部材11の上下方向の全長にわたって連続している。この基部41の外面には、溝部11bの内側面に弾性的に圧接されて抜止めとなる抜止片41aが、見込み方向へ間隔を置いて複数設けられる。
【0025】
被押圧部42は、中空部を有する略円筒状に形成され、戸尻側枠部材11の上下方向の全長にわたって連続している。
この被押圧部42は、閉鎖する扉体20裏面の戸尻側部分によって見込み方向へ押圧され弾性的に収縮する。
【0026】
第一の突片部43は、被押圧部42の外面から突出して上下方向へ連続する部材であり、扉体20の裏面に対し、上下方向の全長にわたって圧接される。
【0027】
第二の突片部44は、被押圧部42の外面から突出するとともに、戸尻側枠部材11の上下方向の全長にわたって連続する部材であり、上下方向へ長尺な平面視矩形状に形成される。
【0028】
この第二の突片部44は、戸尻側枠部材11の戸尻対向部11a及びヒンジ30の一片部31に対し面接触する。
詳細に説明すれば、第二の突片部44は、上下方向においてヒンジ30の一片部31を有する部分では、一片部31に面接触し(図3参照)、上下方向の他の部分では、戸尻対向部11aに面接触する(図2参照)。
【0029】
この第二の突片部44は、扉体20が閉鎖動作した際に、扉体20の上下方向の全長にわたって、扉体20側の第二の弾性部材50と、戸尻対向部11a又は一片部31との間に挟まれて圧縮される。
すなわち、第二の突片部44は、上下方向においてヒンジ30の一片部31を有する部分では、この一片部31と第二の弾性部材50の間に挟まれ(図3参照)、上下方向の他の部分では、戸尻対向部11aと第二の弾性部材50の間に挟まれる(図2(b)参照)。
【0030】
第二の突片部44の上下方向の長さは、少なくとも扉体20の上下方向の長さよりも長く設定される。
また、第二の突片部44の見込み方向の寸法Lは、この第二の突片部44が戸尻対向部11aに重なり合うように設定され、図示例によれば、扉体20の厚み寸法の2分の1以上に設定してある(図2(b)参照)。
【0031】
なお、図中符号49は、基部41と溝部11bの底面との間に単数又は複数設けられて、第一の弾性部材40の突出量を適正にするスペーサである。このスペーサ49は、基部41に対し切離可能に一体成形されているが、別体の部材とすることも可能である。
【0032】
また、第二の弾性部材50は、扉体20の戸尻部の略全面を覆う平面視長尺矩形状に形成され、扉体20の戸尻部を戸厚方向の略全長にわたって覆っている。
この第二の弾性部材50は、特に水密性の良好な態様として、弾性を有する合成樹脂からなる独立気泡の発泡体により形成される。本実施態様では、前記合成樹脂として、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)を用いている。
【0033】
この第二の弾性部材50は、上下方向においてヒンジ30の他片部32を有する部分では、他片部32に面接触するように接着され、上下方向の他の部分では、扉体20の戸尻部に面接触するように接着される(図5参照)。
【0034】
また、戸先側枠部材12は、戸尻側枠部材11と左右対称に形成される。この戸先側枠部材12の溝部12aには、上下方向の全長にわたって、弾性部材60が嵌め合わせられる。
弾性部材60は、第一の弾性部材40から第一の突片部43及び第二の突片部44を省いたものである。
なお、他例としては、この弾性部材60を、左右を逆にした上記第一の弾性部材40に置換することが可能である。
【0035】
また、上側枠部材13と下側枠部材14には、それぞれ、戸先側のものと略同様にして弾性部材(図示せず)が、見付け方向の略全長にわたって設けられる。
【0036】
次に上記構成の建具装置1について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
先ず、扉体20の開放状態では、図2(a)及び図3に示すように、第一の弾性部材40及び第二の弾性部材50が、圧縮変形していない初期状態にある。
【0037】
扉体20が枠体10内の開口を略閉鎖した全閉状態では、扉体20の戸尻部と、戸尻側枠部材11の戸尻対向部11aとの間に、第二の弾性部材50及び第二の突片部44が重なり合った状態で挟まれる。
【0038】
詳細に説明すれば、戸厚方向における扉体閉鎖方向寄り(図2(b)における寸法Lの範囲)では、扉体20戸尻部と戸尻対向部11aの間や、ヒンジ30の他片部32と戸尻対向部11aの間、扉体20戸尻部とヒンジ30の一片部31との間等、これら各間に、第二の弾性部材50と第二の突片部44が重なり合った状態で挟まれる。
また、戸厚方向における扉体開放方向寄りでは、前記各間に、第二の弾性部材50のみが挟まれる(図2(b)参照)。
【0039】
また、この全閉状態では、扉体20の裏面と戸尻面が交差する角部分が、第一の弾性部材40の被押圧部42に圧接され被押圧部42が弾性的に収縮し、扉体20の裏面が第一の弾性部材40の第一の突片部43に圧接され第一の突片部43が弾性的に撓む(図2(b)参照)。
【0040】
一方、扉体20の戸先側では、扉体20裏面が弾性部材60に圧接される(図6参照)。さらに、扉体20の上下側では、扉体20の裏面が、図示しない弾性部材に圧接される。
【0041】
よって、上記構成の建具装置1によれば、扉体20周囲の気密性及び水密性を向上することができ、特に戸尻側における気密性及び水密性の低下を防ぐことができる。
したがって、建具装置1によれば、例えば、洪水等により屋外側に大きな水圧がかかった場合等でも、良好な止水性能を得ることができる。
【0042】
<第二の実施態様>
以下に示す実施態様は、上記建具装置1について、一部を変更したものであるため、主にその変更部分について詳述し、略同一の構成については重複する説明を省略する。
【0043】
図9及び図10は、本発明の他例である建具装置2について、戸尻側の防水構造を示す。
建具装置2は、建具装置1について、扉体20に押圧突起25を設け、ヒンジ30を、ヒンジ30’に置換したものである。
【0044】
詳細に説明すれば、扉体20の戸尻側には、扉体20が閉鎖する際に第一の弾性部材40の被押圧部42に押し付けられるように押圧突起25が設けられている。
押圧突起25は、扉閉鎖方向へ突出するとともに上下方向へ連続する突条であり、図示例によれば横断面略山形状に形成される。
【0045】
ヒンジ30’は二軸蝶番である。
このヒンジ30’は、戸尻側枠部材11の見付け面11cに固定された一方の支持部31’と、扉体20表面の戸尻側に止着された他方の支持部32’と、一端側と他端側がそれぞれ支持部31’,32’に枢支されたリンク部材33’とを具備し、扉体20を開閉回動可能であって且つ見込み方向へ直線運動可能(揺動可能)に支持している。
なお、このヒンジ30’は、同様に機能するものであれば、三以上の軸を具備した態様とすることも可能である。
【0046】
上記構成の建具装置2によれば、扉体20が略全閉すると、扉体20の戸尻部と枠体10の戸尻対向部11aと間に、第二の弾性部材50及び第二の突片部44が挟まれ、押圧突起25が被押圧部42に圧接される。
【0047】
この後、扉体20が見込み方向へ押し込まれると、押圧突起25が被押圧部42にさらに圧接されて被押圧部42の周壁部が弾性的に凹み、該周壁部の内面が基部41に当接する。
したがって、扉体20が押し込まれすぎて、被押圧部42の弾性による気密性及び水密性が損なわれるのを防ぐことができる。
【0048】
<他の変形例>
上記実施態様では、上述した防水構造を片開き式の建具装置を構成したが、本願発明の他例としては、上記防水構造を両開き式の建具装置に適用することも可能である。
この場合は、例えば、両開き式の建具を構成する親扉20’と子扉20”の戸尻側に、それぞれ、第一の弾性部材40及び第二の弾性部材50を具備した上記防水構造を構成すればよい。
この他例において、親扉20’と子扉20”の召し合わせ部分は、例えば、図8に示すように構成する。
子扉20”は、その戸先側に、親扉20’の裏面に対し閉鎖方向側から重なり合う溝部24’を有する。この溝部24’には、親扉20’裏面に圧接されるように、弾性部材60が嵌め合わせられる。
【0049】
また、上記実施態様では、第一の弾性部材40の被押圧部42を中空状に構成したが、この被押圧部42は、適度な弾性を有する中実状に構成することも可能である。
【0050】
また、上記実施態様では、特に好ましい態様として、第一の弾性部材40を独立気泡の発泡樹脂から形成したが、他例としては、この第一の弾性部材40を連続気泡の発泡樹脂から形成することも可能である。
【0051】
また、上記第一の実施態様ではヒンジ30として旗蝶番を用い、上記第二の実施態様では二軸ヒンジを用いたが、これらヒンジの他例としては、平蝶番やピポットヒンジ、三以上の軸を有するヒンジ等を用いてもよい。
【0052】
特に好ましい他例としては、上記ヒンジに置換して、複数軸のヒンジセット30”を用いることが可能である(図11参照)。
このヒンジセット30”は、縦方向の回転軸を中心に回動する回動部材32”を基部材31”に設けてなる縦軸ヒンジ30a”(図示例によれば、旗蝶番)と、回動部材32”に装着される横軸ヒンジ30b”とを具備している。
横軸ヒンジ30b”は、横方向の回転軸を構成する第一軸部材33”と、一端側が第一軸部材33”に対し回転可能に支持されるとともに他端側を垂下させたリンク部材34”と、第一軸部材33”の下方側に並ぶようにしてリンク部材34”の他端側に回転可能に支持された第二軸部材35”とを備える。
第一軸部材33”は、回動部材32”に接続可能な接続基部33b”を有し、第二軸部材35”は、扉体20に固定可能な固定部35b”を有する。
このヒンジセット30”を用いた建具装置によれば、従来の二軸ヒンジを用いた場合のように建具が厚さ方向へぐらつくのを、扉体20等の自重によって抑制することができる。
【0053】
なお、図11中の表示を省略したが、扉体20の戸尻側面と、戸尻側枠部材11の間には、上述した建具装置1,2と同様にして、第一の弾性部材40及び第二の弾性部材50等が設けられる。
また、図11中、符号20a”は、貫通孔である。この貫通孔20a”は、扉体20の戸尻面及び第二の弾性部材50等を貫通しており、その内縁が、ヒンジ30b”の動作中に接続基部33b”等に干渉しないようにする。
【0054】
また、第一の弾性部材40及び第二の弾性部材50等による上記防水構造は、防水性を有するドア装置や、止水扉等に適用できるのは勿論のこと、回動して開閉する窓や、オーバーヘッドドアを含むシャッター装置、その他の建具装置等に適用することも可能である。
例えば、上記防水構造をシャッター装置に適用する場合、シャッターカーテンを構成している複数のパネル(又はスラット)は、上下に隣接する一方のパネルに対し他方のパネルが回動する構造である。したがって、これら隣接する上下のパネル間に上記防水構造を設けることが可能である。
【0055】
また、上記実施態様に加える構成として、第一の弾性部材40における被押圧部42の内部空間に、凹んだ際の被押圧部42の周壁部の内面を受けるように、基部41と一体の受部を突設することも可能である。
【0056】
また、本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0057】
1:建具装置
10:枠体
11:戸尻側枠部材
20:扉体
25:押圧突起
30:ヒンジ(回転軸)
31:一片部
32:他片部
33:軸部
40:第一の弾性部材
44:第二の突片部
41:基部
42:被押圧部
43:第一の突片部
44:第二の突片部
50:第二の弾性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11