(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180952
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】玉掛け玉外し遠隔操作装置
(51)【国際特許分類】
B66C 1/34 20060101AFI20221130BHJP
B66C 13/00 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
B66C1/34 M
B66C13/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087747
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】509328928
【氏名又は名称】株式会社日立プラントコンストラクション
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】森 敬仁
(72)【発明者】
【氏名】和田 政臣
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 隆光
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 祐之
(72)【発明者】
【氏名】横川 穣
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004CD08
(57)【要約】
【課題】高所、狭隘、高線量など人が容易に近づけない箇所であっても現場内に人が入ることなく遠隔操作で玉掛け玉外しが容易に行える玉掛け玉外し遠隔操作装置を提供する。
【解決手段】本発明の玉掛け玉外し遠隔操作装置10は、クレーンから吊り降ろされたワイヤーに連結されるフレーム本体20と、フレーム本体から下方に延出して吊金具12の頂部に磁力で吸着する突き当て部30と、突き当て部とともにフレーム本体から下方に延出して吊金具の開口面に磁力で吸着する受台40と、受台の間に吊金具の開口13を挟んで受台の開口42に向けて開閉移動して玉掛け又は玉外しするフック50と、受台の開口を撮影するカメラ60と、フック及びカメラと有線又は無線の通信回線で電気的に接続し、カメラの撮影画像を表示する表示部72と、クレーンを操作すると共に受台の開口と吊金具の開口が重なったときにフックを開閉制御する制御部74を有する遠隔操作部70と、を備えたことを特徴としている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンから吊り降ろされたワイヤーに連結されるフレーム本体と、
前記フレーム本体から下方に延出して吊金具の頂部に磁力で吸着する突き当て部と、
前記突き当て部とともに前記フレーム本体から下方に延出して前記吊金具の開口面に磁力で吸着する受台と、
前記受台の間に前記吊金具の開口を挟んで前記受台の開口に向けて開閉移動して玉掛け又は玉外しするフックと、
前記受台の開口を撮影するカメラと、
前記フック及び前記カメラと有線又は無線の通信回線で電気的に接続し、前記カメラの撮影画像を表示する表示部と、前記クレーンを操作すると共に前記受台の開口と前記吊金具の開口が重なったときに前記フックを開閉制御する制御部を有する遠隔操作部と、
を備えたことを特徴とする玉掛け玉外し遠隔操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載された玉掛け玉外し遠隔操作装置であって、
前記受台の開口に前記フックが挿入されているときに前記フックを固定する固定ピンを備え、前記制御部は前記受台の開口に前記フックを挿入したときに前記固定ピンを進退制御することを特徴とする玉掛け玉外し遠隔操作装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された玉掛け玉外し遠隔操作装置であって、
前記フレーム本体は、前記遠隔操作部と有線又は無線の通信回線で電気的に接続し、前記フックに係る荷重を測定するロードセルを備えたことを特徴とする玉掛け玉外し遠隔操作装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1に記載された玉掛け玉外し遠隔操作装置であって、
前記フックは、前記吊金具の開口の大きさに応じて挿入できる直径の異なる複数のシャフトと、前記複数のシャフトのうちいずれか1のシャフトを着脱可能に支持するフック本体を有することを特徴とする玉掛け玉外し遠隔操作装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1に記載された玉掛け玉外し遠隔操作装置であって、
前記遠隔操作部と有線又は無線通信回線で電気的に接続し、前記フックが前記受台の開口に挿入された閉状態と、前記フックが前記受台の開口から引き抜かれた開状態を検出するフック検知センサを備えたことを特徴とする玉掛け玉外し遠隔操作装置。
【請求項6】
請求項2、請求項2に従属する請求項3ないし5のいずれか1に記載された玉掛け玉外し遠隔操作装置であって、
前記遠隔操作部と有線又は無線通信回線で電気的に接続し、前記固定ピンが前記フックを固定している固定状態と、前記固定ピンが前記フックを固定していない開放状態を検出する固定ピン検知センサを備えたことを特徴とする玉掛け玉外し遠隔操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所、狭隘、高線量など人が容易に近づけない箇所の吊搬作業を遠隔で行う玉掛け玉外し遠隔操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大型クレーンによる構造物の据え付け作業等において構造物を吊り上げたり吊り下げたりする際に用いる玉掛け装置として特許文献1に開示の技術がある。この装置は、ピン(フック)を吊金具に係合または解除するようにスライド動作させるピン駆動機構を有している。そして玉掛け作業においては、玉掛け作業員によって装置を吊金具の上方へ誘導させて、クレーン操縦者がワイヤーを降下させる間、玉掛け作業員はフックを吊金具に係合または解除する装置の凹部内に吊金具が侵入するように位置合わせ及び支持している。しかし、作業現場によっては高所、狭隘、高線量など人が容易に近づけない箇所で吊搬作業を行う場合もあり、このような場所での適用は極めて難しい。またピン駆動機構によりピンをスライドさせてプレートの間に挟んだ吊金具を係合又は解除しているが、遠隔のクレーン操縦者からはピンの挿入状況の確認が困難であり、安全作業のためには何らかの確認手段が必要となる。
【0003】
また、結束された長尺物に巻回セットしたスリングベルトの玉掛け外し作業を行う特許文献2に開示の玉外し装置は、スリングベルトに揺動(回動)して引掛け係合するフックを有するスイングアームを備えている。フックにはスリングベルトが外れるのを防ぐロック機構を有している。しかし揺動するスイングアーム本体には何らロック機構がなく、吊搬作業などフックに荷重が加わったときにモーメントによりフックが開く(解除する)おそれがあった。
【0004】
図9は構造物に取り付けた吊金具の説明図である。図示のように構造物の上面に取り付ける吊金具12は頂部が湾曲し頂部から所定の間隔を開けて開口13を設けた板部材で取付面に対して所定高さ、地面に対して垂直方向の位置に取り付けていることが多い(
図9(1)参照)。しかしながら構造物によっては必ずしも垂直方向の位置ではなく、例えば半円状の構造物は荷重バランスを考慮して吊金具12が曲面の接線方向となる斜めに傾いて取り付けられたり、あるいは規格の所定高さよりも上方又は下方に位置ずれした位置に穴がある状態で取り付けられたりしていることがある(
図9(2)参照)。このような場合、装置を降下させるだけでは吊金具12に係合または解除するフックの位置合わせが極めて困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5546674号公報
【特許文献2】特許第6228740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、高所、狭隘、高線量など人が容易に近づけない箇所であっても現場内に人が入ることなく遠隔操作で玉掛け玉外しが容易に行える玉掛け玉外し遠隔操作装置を提供することにある。
また構造物に対して斜めに取り付けるなどの吊金具であっても玉掛け玉外しが容易に行える玉掛け玉外し遠隔操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、クレーンから吊り降ろされたワイヤーに連結されるフレーム本体と、
前記フレーム本体から下方に延出して吊金具の頂部に磁力で吸着する突き当て部と、
前記突き当て部とともに前記フレーム本体から下方に延出して前記吊金具の開口面に磁力で吸着する受台と、
前記受台の間に前記吊金具の開口を挟んで前記受台の開口に向けて開閉移動して玉掛け又は玉外しするフックと、
前記受台の開口を撮影するカメラと、
前記フック及び前記カメラと有線又は無線の通信回線で電気的に接続し、前記カメラの撮影画像を表示する表示部と、前記クレーンを操作すると共に前記受台の開口と前記吊金具の開口が重なったときに前記フックを開閉制御する制御部を有する遠隔操作部と、
を備えたことを特徴とする玉掛け玉外し遠隔操作装置を提供することにある。
上記第1の手段によれば、受台及び突き当て部の磁力で受台とフックの間に吊金具を誘導でき、高所、狭隘、高線量など人が容易に近づけない箇所であっても現場内に人が入ることなく遠隔操作で玉掛け玉外しが容易に行える。また構造物に対して斜めに取り付けるなどの吊金具であっても玉掛け玉外しが容易に行える。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための第2の手段として、第1の手段において、前記受台の開口に前記フックが挿入されているときに前記フックを固定する固定ピンを備え、前記制御部は前記受台の開口に前記フックを挿入したときに前記固定ピンを進退制御することを特徴とする玉掛け玉外し遠隔操作装置を提供することにある。
上記第2の手段によれば、開閉(回転)動作するフックのシャフトに荷重が加わったときにモーメントでフックが開くことがない。従ってフックの玉掛け状態を維持することができ吊搬作業中に誤ってフックが受台の開口から外れることを防止できる。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するための第3の手段として、第1又は第2の手段において、前記フレーム本体は、前記遠隔操作部と有線又は無線の通信回線で電気的に接続し、前記フックに係る荷重を測定するロードセルを備えたことを特徴とする玉掛け玉外し遠隔操作装置を提供することにある。
上記第3の手段によれば、フックに荷重が掛かっていることがわからずにフックを開放してしまう誤操作を防止できる。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するための第4の手段として、第1ないし第3のいずれか1の手段において、前記フックは、前記吊金具の開口の大きさに応じて挿入できる直径の異なる複数のシャフトと、前記複数のシャフトのうちいずれか1のシャフトを着脱可能に支持するフック本体を有することを特徴とする玉掛け玉外し遠隔操作装置を提供することにある。
上記第4の手段によれば、耐荷重によって異なる吊金具の穴径に対応できる。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するための第5の手段として、第1ないし第4のいずれか1の手段において、前記遠隔操作部と有線又は無線通信回線で電気的に接続し、前記フックが前記受台の開口に挿入された閉状態と、前記フックが前記受台の開口から引き抜かれた開状態を検出するフック検知センサを備えたことを特徴とする玉掛け玉外し遠隔操作装置を提供することにある。
上記第5の手段によれば、夜間又は暗所などカメラの撮影画像の目視確認では不十分な場合にフックの開閉状態を確実に検知することができる。また現場内に人が入ることなく遠隔操作であっても容易にフックの開閉状態を確認できる。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するための第6の手段として、第2、第2に従属する第3ないし第5のいずれか1の手段において、前記遠隔操作部と有線又は無線通信回線で電気的に接続し、前記固定ピンが前記フックを固定している固定状態と、前記固定ピンが前記フックを固定していない開放状態を検出する固定ピン検知センサを備えたことを特徴とする玉掛け玉外し遠隔操作装置を提供することにある。
上記第6の手段によれば、固定ピンの固定又は開放状態を確実に検知することができる。また現場内に人が入ることなく遠隔操作であっても容易に固定ピンの開閉状態を確認できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、受台及び突き当て部の磁力で受台とフックの間に吊金具を誘導でき、高所、狭隘、高線量など人が容易に近づけない箇所であっても現場内に人が入ることなく遠隔操作で玉掛け玉外しが容易に行える。
また構造物に対して斜めに取り付けるなどの吊金具であっても玉掛け玉外しが容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の玉掛け玉外し遠隔操作装置の斜視図である。
【
図2】本発明の玉掛け玉外し遠隔操作装置のフックを開いた状態の説明図である。
【
図3】本発明の玉掛け玉外し遠隔操作装置のフックを閉じた状態の説明図である。
【
図4】本発明の玉掛け玉外し遠隔操作装置のブロック図である。
【
図5】本発明の玉掛け玉外し遠隔操作装置を用いた玉掛けの処理フロー図である。
【
図6】本発明の玉掛け玉外し遠隔操作装置を用いた玉外しの処理フロー図である。
【
図7】本発明の玉掛け玉外し遠隔操作装置の工程図である。
【
図8】本発明の玉掛け玉外し遠隔操作装置の工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の玉掛け玉外し遠隔操作装置の実施形態について、図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
本発明の取付対象となる吊金具は、逆U字形状で製缶又は鍛造吊金具であり、構造物の上面から上方へ突出するように取付けられていることが多い。この際、垂直方向で所定高さ位置に取り付けた吊金具の他にも、斜めに傾いた状態、あるいは規格の所定高さよりも上方又は下方に位置ずれした位置に穴がある状態で取り付けられたりしている吊金具であっても良い。
【0016】
[玉掛け玉外し遠隔操作装置10]
図1は本発明の玉掛け玉外し遠隔操作装置の斜視図である。
図2は本発明の玉掛け玉外し遠隔操作装置のフックを開いた状態の説明図である。
図3は本発明の玉掛け玉外し遠隔操作装置のフックを閉じた状態の説明図である。
図4は本発明の玉掛け玉外し遠隔操作装置のブロック図である。本実施形態の玉掛け玉外し遠隔操作装置10は、作業現場のクレーンから吊り降ろされたワイヤーに連結されるフレーム本体20(
図1―3参照)と、作業現場から離れた場所にある遠隔操作部70(
図4参照)の2つの構成で成り立っている。フレーム本体20と遠隔操作部70とは、優先又は無線による通信回線を通じて電気的に接続している。
【0017】
本発明の玉掛け玉外し遠隔操作装置10は、クレーンから吊り降ろされたワイヤーに連結されるフレーム本体20と、前記フレーム本体20の下面から下方に延出して吊金具12の頂部に磁力で吸着する突き当て部30と、前記突き当て部30とともに前記フレーム本体20の下面から下方に延出して前記吊金具12の開口面に磁力で吸着する受台40と、前記受台40の間に前記吊金具12の開口13を挟んで前記受台40の開口42に向けて開閉移動して玉掛け又は玉外しするフック50と、前記受台40の開口42を撮影するカメラ60と、前記フック50及び前記カメラ60と有線又は無線の通信回線で電気的に接続し、前記カメラ60の撮影画像を表示する表示部72と、前記クレーンを操作すると共に前記受台40の開口42と前記吊金具12の開口13が重なったときに前記フック50を開閉制御する制御部74を有する遠隔操作部70(
図4参照)と、を備えている。
【0018】
(フレーム本体20)
フレーム本体20は、箱型のフレーム形状であり、上面にクレーンから吊り降ろされたワイヤーが連結する吊フック22を取り付けている。吊フック22は垂直方向に配置した軸心の軸回りを回転自在となるようにフレーム本体20の上面に取り付けている。フレーム本体20と吊りフック22の固定部分にはロードセル24を取り付けている。ロードセル24はフレーム本体20で吊り上げる構造物の重量を測定でき、あらかじめフレーム本体の重量を除く設定にしてある。これにより吊り上げる構造物の重量を測定できる。フレーム本体20には、後述する遠隔操作部70との通信部を備えている。
【0019】
(突き当て部30)
突き当て部30は、フレーム本体20から下方に延出して吊金具12の頂部に接触する凹形部材32と、凹形部材32とフレーム本体20の間に垂直方向に配置した支持棒と支持棒の外周に巻き付けて伸縮するスプリングバネを有するスライド機構34からなる。凹形部材32は吊金具12の頂部と接触する面にマグネットを配置している。スライド機構34は、スプリングバネにより伸長した状態で凹形部材32を支持し、フレーム本体20を下げると吊金具12に押されて上方へ縮小するバネ力に調整されている。また凹形部材32の磁力は、フレーム本体20を一定の力以上に引っ張ると凹形部材32から吊金具12が外れる強さに調整されている。
【0020】
(受台40)
受台40は、突き当て部材30と同様にフレーム本体20から下方に延出して吊金具12の開口面に接触する部材である。受台40と突き当て部材30は並んで取り付けられている。受台40は、後述するフック50のシャフトが嵌る開口42を有している。そして吊金具12の開口面と接触する受台40の主面にはマグネットを配置している。受台40の磁力は、フレーム本体20を一定の力以上に引っ張ると受台40の主面から吊金具12が外れる強さに調整されている。
【0021】
(フック50)
フック50は、受台40の開口42に嵌るシャフト52と、シャフト52を着脱可能に支持するフック本体54と、フック本体54を駆動する(回転させる)アクチュエータ56を有している。シャフト52はボルト状に形成してフック本体54の孔に螺合して取り付けている。フック本体54に螺合して貫通したシャフト52の先端側の直径は任意に変更できる。より具体的には、吊金具12の開口42に嵌る先端側の直径を開口42の大きさに応じて異なる複数の直径のシャフト52をあらかじめ用意している。これにより吊金具の開口に合わせてシャフト径を任意に変更することができ、フレーム本体に係る荷重(負荷)に応じて適正に対応できる。
【0022】
本実施形態のフック50は、受台40の上方に回転軸を取り付けて、シャフト52の軸心が垂直方向から水平方向に回転して受台40の開口42に嵌るように開閉移動する。なおフック50の開閉移動はこれに限らず水平方向に進退移動する構成であっても良い。
フック50には受台40の開口42にシャフト52が嵌った状態を維持する固定ピン80を取り付けている(
図2,3参照)。本実施形態では、フック50の回転軸に交差する方向に延びるピン穴58と、受台40の開口42にシャフト52が嵌った位置でピン穴58に嵌る固定ピン80を備えた構成である。固定ピン80はアクチュエータ82を備え、これによりピン穴58に向けて進退移動する。
【0023】
(カメラ60)
カメラ60は受台40の開口42を撮像するようにフレーム本体20及びフック50に取り付けている。より具体的には、受台40および突き当て部30により吊金具12の開口13を受台40の開口42に誘導して位置合わせする様子を撮影できるように取り付けている。
【0024】
(フック検知センサ90)
フック検知センサ90はフック50のシャフト52が受台40の開口に嵌った閉じた状態(
図3参照)と、嵌っていない開いた状態(
図2参照)を検知するセンサである。具体的なフック検知センサ90の構成は、フック50が開いた状態のときにフック本体54を検知する検知センサと、フック50が閉じた状態のときに受台40の開口42内でシャフト52を検知する検知センサからなる。
【0025】
(固定ピン検知センサ92)
固定ピン検知センサ92は固定ピン80がピン穴58に挿入した状態(
図3参照)と、固定ピン80がピン穴58から抜かれた状態(
図2参照)を検知するセンサである。具体的な固定ピン検知センサ92の構成は、固定ピン80が伸長してピン穴58に挿入された固定状態を検知、固定ピン80が縮小してピン穴58から引き抜いた開放状態を検知するセンサからなる。
【0026】
(遠隔操作部70)
遠隔操作部70は、情報処理装置と記憶装置を有する汎用計算機によって構成され、記憶装置に格納されたプログラムやデータを用いて、情報処理装置で様々な処理を行っている。本実施形態の遠隔操作部70は、表示部72、制御部74と、操作入力部76を備えた構成である。
遠隔操作部70は通信回線によりフレーム本体20のロードセル24、カメラ60、フック50のアクチュエータ56、固定ピン80のアクチュエータ82、フック検知センサ90、固定ピン検知センサ92と電気的に接続している。
【0027】
表示部72は、カメラ60の撮影画像、制御部及び操作入力部による制御操作画面を表示するモニタである。
制御部74は、クレーンを操作すると共に受台40の開口42と吊金具12の開口13が重なったときにフック50を開閉制御して玉掛け又は玉外し作業を行う。具体的には、後述する
図5、6の処理フローを実行する。
操作入力部76は、各種プログラムを実行する操作及び、クレーン及びフレーム本体20を遠隔操作する操作コマンドを入力するキーボード、タッチパネル等である。
【0028】
[作用]
本発明の玉掛け玉外し遠隔操作装置を用いた玉掛け玉外し遠隔操作について以下説明する。
図5は本発明の玉掛け玉外し遠隔操作装置を用いた玉掛けの処理フロー図である。
図6は本発明の玉掛け玉外し遠隔操作装置を用いた玉外しの処理フロー図である。
図7は本発明の玉掛け玉外し遠隔操作装置の工程図である。
図8は本発明の玉掛け玉外し遠隔操作装置の工程図である。
【0029】
(玉掛け)
ステップ1
クレーン操作によりフレーム本体20を構造物の吊金具12付近(上方)まで移動させる(
図7参照)。
ステップ2
クレーンの巻き下げ動作により受台40のマグネットが吊金具12の開口面、及び突き当て部30のマグネットが吊金具12の頂部に吸着する。巻き下げ動作を一旦停止して、カメラ60による撮影画像で吊金具12の開口位置を確認する(
図7参照)。
【0030】
ステップ3
ステップ2の確認後、再度クレーンの巻き下げ動作を行い、巻き下げ動作と連動して突き当て部30の凹形部材32が吊金具12の頂部と吸着した状態でスライド機構34が縮小して受台40のマグネットに吸着している吊金具12の開口面も上方へスライドする。このとき受台40のマグネットはフレーム本体20を一定の力以上に引っ張ると容易にスライドできる磁力に調整されているため、受台40の主面に吸着した状態でスライドできる。カメラ60による撮影画像で受台40の開口42と吊金具12の開口13が同芯上に配置されるまで移動させる(
図7参照)。
また吊金具12が斜めに傾いた状態、あるいは規格の所定高さよりも上方又は下方に位置ずれした位置に穴がある状態で取り付けられていても、受台40と突き当て部30の磁力によって吸着して、適度な磁力によってスライドさせて吊金具を受台の主面に誘導して受台40の開口42と吊金具12の開口13の位置合わせを容易に行うことができる。
【0031】
ステップ4
フック50を閉動作する。遠隔操作部70の制御部74によりフック50のアクチュエータ56を駆動してシャフト52を受台40の開口42に挿入する(
図7参照)。
ステップ5
シャフト52が受台40の開口42に挿入されると、フック検知センサ90によりフック50の閉状態が検知される(
図8参照)。
【0032】
ステップ6
ステップ5の確認後、固定ピン80を固定動作する。遠隔操作部70の制御部74により固定ピン80のアクチュエータ82を駆動して固定ピン80をフック50のピン穴58に挿入して固定する(
図8参照)。
ステップ7
固定ピン80がピン穴58に挿入されると、固定ピン検知センサ92により固定ピン80の固定状態が検知される(
図8参照)。これにより吊金具の玉掛け作業が完了する。
【0033】
(玉外し)
ステップ11
固定ピン80を開動作する。遠隔操作部70の制御部74により固定ピン80のアクチュエータ82を駆動して固定ピン80をフック50のピン穴58から引き抜く。
ステップ12
固定ピン80をピン穴58から引き抜くと、固定ピン検知センサ92により固定ピン80の開放状態が検知される。
【0034】
ステップ13
ロードセル24で構造物の重量、すなわち荷重がフックにかかっていないことを確認する。重量が検出されなければ、構造物が安定して着地されている。一方、重量が検出された場合には、構造物が一部浮いているなど不安定な状態であるため、クレーン操作で構造物を設置し直す。
ステップ14
フック50を開動作する。遠隔操作部70の制御部74によりフック50のアクチュエータ56を駆動してシャフト52を受台40の開口42から引き抜く。
【0035】
ステップ15
シャフト52が受台40の開口42から引き抜かれると、フック検知センサ90によりフック50の開状態が検知される。
ステップ16
クレーンの巻き上げ動作により受台40及び突き当て部材30と吊金具12の磁力による吸着を解除する。これにより吊金具の玉外し作業が完了する。
【0036】
このような本発明によれば、受台及び突き当て部の磁力で受台とフックの間に吊金具を誘導でき、高所、狭隘、高線量など人が容易に近づけない箇所であっても現場内に人が入ることなく遠隔操作で玉掛け玉外しが容易に行える。
また構造物に対して斜めに取り付けるなどの吊金具であっても玉掛け玉外しが容易に行える。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
また、本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【符号の説明】
【0037】
10 玉掛け玉外し遠隔操作装置
12 吊金具
13 開口
20 フレーム本体
22 吊フック
24 ロードセル
30 突き当て部
32 凹形部材
34 スライド機構
40 受台
42 開口
50 フック
52 シャフト
54 フック本体
56 アクチュエータ
58 ピン穴
60 カメラ
70 遠隔操作部
72 表示部
74 制御部
76 操作入力部
80 固定ピン
82 アクチュエータ
90 フック検知センサ
92 固定ピン検知センサ