(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180953
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】止水シャッター装置
(51)【国際特許分類】
E06B 5/00 20060101AFI20221130BHJP
E06B 7/23 20060101ALI20221130BHJP
E06B 7/18 20060101ALI20221130BHJP
E06B 7/22 20060101ALI20221130BHJP
E06B 9/06 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E06B7/23 A
E06B7/18 A
E06B7/22 A
E06B9/06 610D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087748
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】角 和博
【テーマコード(参考)】
2E036
2E239
【Fターム(参考)】
2E036AA01
2E036BA01
2E036CA01
2E036CA03
2E036DA02
2E036EB07
2E036GA04
2E036HA02
2E036HB08
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】 開閉体と該開閉体を閉鎖方向へ押圧する装置との位置関係を好適化する。
【解決手段】 空間を仕切るようにして閉鎖動作し閉鎖方向端部を対向する不動面Gに当接して全閉する開閉体10と、開閉体10の幅方向端部を閉鎖方向へ案内するガイドレール20と、全閉状態の開閉体10に対し、その開放方向側から当接して開閉体10を閉鎖方向へ押圧する閉鎖方向押圧装置40とを備え、閉鎖方向押圧装置40は、開閉体10に対し開放方向側から接近する可動押圧部41と、開閉体10に対し開放方向側から当接するように可動押圧部41に着脱可能に設けられた押圧スペーサ42とを具備している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を仕切るようにして閉鎖動作し閉鎖方向端部を対向する不動面に当接して全閉する開閉体と、前記開閉体の幅方向端部を閉鎖方向へ案内するガイドレールと、全閉状態の前記開閉体に対し、その開放方向側から当接して前記開閉体を閉鎖方向へ押圧する閉鎖方向押圧装置とを備え、
前記閉鎖方向押圧装置は、前記開閉体に対し開放方向側から接近する可動押圧部と、前記開閉体に対し開放方向側から当接するように前記可動押圧部に着脱可能に設けられた押圧スペーサとを具備していることを特徴とする止水シャッター装置。
【請求項2】
前記閉鎖方向押圧装置は、開閉方向へ位置調整可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の止水シャッター装置。
【請求項3】
前記押圧スペーサが、開閉方向へ複数連結されるようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の止水シャッター装置。
【請求項4】
前記開閉体は、閉鎖方向へ順次に繰出される複数のパネルを積み重ねて全閉状態になるように構成され、これら複数のパネルのうち、最も開放方向側のパネルは、他のパネルよりも開閉方向の寸法が小さいことを特徴とする請求項1~3何れか1項記載の止水シャッター装置。
【請求項5】
前記閉鎖方向押圧装置は、前記可動押圧部を駆動するように具備した押圧ユニットを、開閉体幅方向に間隔を置いて複数備え、
前記押圧スペーサは、複数の前記可動押圧部に跨るようにして開閉体幅方向へ長尺状に設けられることを特徴とする請求項1~4何れか1項記載の止水シャッター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水が流通しないように躯体開口部を閉鎖する止水シャッター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、例えば特許文献1に記載されるように、上下方向へ積み重ねられる複数のパネルからなるシャッターカーテンの最上端部に凹部を設けるとともに、この凹部内に上端面よりも低い当接部を設け、この当接部を、垂直圧迫手段の押圧部により押圧して、シャッターカーテン最下端を水密に保持するようにした防水扉がある。
この従来技術によれば、垂直圧迫手段の上下方向の取付位置が、現場の建築躯体等により固定される場合でも、押圧部の上下ストローク内に位置するように、前記当接部の高さ位置を調整することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術によれば、最上部のパネルのみ、上端部に凹部を形成するという面倒な加工を要する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
空間を仕切るようにして閉鎖動作し閉鎖方向端部を対向する不動面に当接して全閉する開閉体と、前記開閉体の幅方向端部を閉鎖方向へ案内するガイドレールと、全閉状態の前記開閉体に対し、その開放方向側から当接して前記開閉体を閉鎖方向へ押圧する閉鎖方向押圧装置とを備え、前記閉鎖方向押圧装置は、前記開閉体に対し開放方向側から接近する可動押圧部と、前記開閉体に対し開放方向側から当接するように前記可動押圧部に着脱可能に設けられた押圧スペーサとを具備していることを特徴とする止水シャッター装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、生産性が良好で簡素な構造により、開閉体と該開閉体を閉鎖方向へ押圧する装置との位置関係を好適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る止水シャッター装置の一例を屋外側から視た正面図である。
【
図2】同止水シャッター装置の閉動途中の状態を示す縦断面図である。
【
図3】
図1の(III)-(III)線に沿う横断面図である。
【
図4】同止水シャッター装置の全閉状態を示す要部縦断面図である。
【
図5】押圧装置の動作を(a)~(c)に順次に示す要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第一の特徴は、空間を仕切るようにして閉鎖動作し閉鎖方向端部を対向する不動面に当接して全閉する開閉体と、前記開閉体の幅方向端部を閉鎖方向へ案内するガイドレールと、全閉状態の前記開閉体に対し、その開放方向側から当接して前記開閉体を閉鎖方向へ押圧する閉鎖方向押圧装置とを備え、前記閉鎖方向押圧装置は、前記開閉体に対し開放方向側から接近する可動押圧部と、前記開閉体に対し開放方向側から当接するように前記可動押圧部に着脱可能に設けられた押圧スペーサとを具備している(
図1~
図5参照)。
【0009】
第二の特徴として、前記閉鎖方向押圧装置は、開閉方向へ位置調整可能に設けられている(
図2及び
図4参照)。
【0010】
第三の特徴として、前記押圧スペーサが、開閉方向へ複数連結されるようにした。
【0011】
第四の特徴として、前記開閉体は、閉鎖方向へ順次に繰出される複数のパネルを積み重ねて全閉状態になるように構成され、これら複数のパネルのうち、最も開放方向側のパネルは、他のパネルよりも開閉方向の寸法が小さい(
図2及び
図4参照)。
【0012】
第五の特徴として、前記閉鎖方向押圧装置は、前記可動押圧部を駆動するように具備した押圧ユニットを、開閉体幅方向に間隔を置いて複数備え、前記押圧スペーサは、複数の前記可動押圧部に跨るようにして開閉体幅方向へ長尺状に設けられる(
図1参照)。
【0013】
<具体的実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
本明細書中、「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の開閉体の厚さ方向を意味する。また、「開閉体幅方向」とは、開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。
また、「開閉体開閉方向」とは、開閉体が空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
【0015】
また、「開閉体幅方向外側」とは、開閉体幅方向に沿って開閉体の外側へ向かう方向側を意味する。例えば、向かって右側のガイドレールを基準にすると、開閉体幅方向外側は、右方向側になる。
また、「開閉体幅方向内側」とは、開閉体幅方向に沿って開閉体の内側へ向かう方向側を意味する。例えば、向かって右側のガイドレールを基準にすると、開閉体幅方向内側は、左方向側になる。
【0016】
また、「開閉体厚さ方向外側」とは、開閉体の厚みの中央部から開閉体厚さ方向に沿って離れる方向側を意味する。
また、「開閉体厚さ方向内側」とは、開閉体厚さ方向に沿って開閉体の厚みの中央部へ向かう方向側を意味する。
【0017】
この止水シャッター装置1は、空間を仕切るようにして閉鎖動作し閉鎖方向端部を対向する不動面Gに当接して全閉する開閉体10と、開閉体10の幅方向の両端部をそれぞれ囲んで閉鎖方向へ案内する左右のガイドレール20,20と、開閉体10を上方側で収納したり繰り出したりする開閉体収納部30と、全閉状態の開閉体10上端の被押圧部10aに対し、その開放方向側から当接して開閉体10を閉鎖方向へ押圧する閉鎖方向押圧装置40とを備える。
この止水シャッター装置1は、建物等の躯体開口部を開閉体10によって開閉するように設置される。
【0018】
開閉体10は、開閉体収納部30によって閉鎖方向へ順次に繰出される複数のパネル11,12を積み重ねて全閉状態になるように構成される(
図2参照)。全閉状態の開閉体10の最上端部は、開閉体収納部30によって押圧される被押圧部10aとして機能する(
図5参照)。
【0019】
この開閉体10は、複数のパネル11,12と、これらパネル11,12に接続されたパネル連繋チェーン14とを具備する(
図2~
図4参照)。
複数のパネル11,12のうち、最も開放方向側のパネル12は、他のパネル11よりも開閉方向の寸法が小さい。
【0020】
パネル11は、開閉体幅方向へ長尺な正面視矩形板状の部材である。このパネル11は、金属材料を引抜成形又は押出成形することで、
図4に例示するように、上下に仕切られた空洞を有する縦断面枠状に形成される。
このパネル11の下端部は、開閉体幅方向の全長にわたって縦断面略V字状に突出しており、その突出する外面には、シール部16が一体的に設けられる。
【0021】
シール部16は、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性材料から、パネル11下端に沿う縦断面V字状に形成され、パネル11の下端部に開閉体幅方向の全長にわたって接合されている。
【0022】
また、パネル11の上端部には、シール部16に嵌り合うように、開閉体幅方向の全長にわたって縦断面略V溝状の凹部11aが形成される。
そして、パネル11の上部側には、開閉体幅方向の両端からそれぞれ、突出するように支持軸部13が設けられる。
【0023】
最上部のパネル12は、開閉体幅方向へ長尺状に連続する正面視矩形状を呈し、パネル11よりも高さ寸法が小さい。
このパネル12は、パネル11と略同様に、金属材料を引抜成形又は押出成形することで、開閉体幅方向に連続する空洞を内在する縦断面枠状に形成される。
このパネル12の下端側と上端側には、パネル11と同様に、シール部16と支持軸部13が設けられる。また、パネル12の上端には、開閉体幅方向へわたって連続する凹部12aが設けられる。
【0024】
なお、複数のパネル11のみによって所望とする高さ寸法の開閉体10を構成できる場合には、パネル12を省くことも可能である。この場合、最上部には、パネル11が位置し、このパネル11の上端部が、被押圧部10aとして機能する。
【0025】
支持軸部13は、各パネル11,12の幅方向(
図1によれば左右方向)の両端部から、それぞれ、開閉体幅方向外側へ突出している。
この支持軸部13は、パネル連繋チェーン14に挿通された軸状部材の先端側に、ローラを回転自在に支持してなる。
【0026】
パネル連繋チェーン14は、動力伝達用等に用いられる所謂ローラチェーンであり、その長さ方向において所定間隔置きに支持軸部13を回転自在に挿通させている。
このパネル連繋チェーン14は、上下方向のすべてのパネル11,12を、支持軸部13を介して連結し、その上端側が開閉体収納部30のスプロケット31に掛けられている。
【0027】
また、各パネル11の下端側における屋内寄りには、ガイド軸部15が設けられている(
図2~
図4参照)。
ガイド軸部15は、各パネル11の幅方向端部から突出する軸状部材の先端側にローラを回転自在に支持してなる。
このガイド軸部15は、各パネル11が開閉体収納部30によって収納される際に、開閉体収納部30のガイド部材34(
図2参照)に係合し案内され、開閉体厚さ方向の振れを抑制する。
なお、このガイド軸部15は、省くことも可能である。
【0028】
ガイドレール20は、閉鎖状態の開閉体10の幅方向端部を囲むように、横断面凹状もしくはコ字状に形成される(
図3参照)。このガイドレール20は、不動面Gから開閉体収納部30へわたる長尺状に形成される。
ガイドレール20内には、閉鎖状態の開閉体10を屋外側から屋内側へ押圧する厚さ方向押圧装置50と、この厚さ方向押圧装置50によって押動された開閉体10を屋内側から受ける受部材51とが設けられる。
【0029】
厚さ方向押圧装置50は、全閉状態の開閉体10を、上下方向にわたって屋内側へ押圧する装置である。この厚さ方向押圧装置50は、例えば、開閉体10の屋外側面に当接する当接部材と、該当接部材を屋内側へ平行移動するリンク機構と、モータ等の駆動源とを具備して構成される。
【0030】
また、受部材51は、閉鎖状態の開閉体10に対し、上下方向の全長にわたって接するようにした長尺状の部材である。この受部材51は、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性材料から形成され、開閉体10の屋内側面に弾性的に接触して、屋外側の水が、ガイドレール20内を通って屋内側へ浸入するのを阻む。
【0031】
開閉体収納部30は、当該止水シャッター装置1の設置対象物である躯体等の壁面に固定される。
この開閉体収納部30は、
図2に示すように、パネル連繋チェーン14を掛け回したスプロケット31と、このスプロケット31を電動で双方向へ回転させる駆動機構32(例えば、回転モータやチェーン、スプロケット等から構成される)と、パネル11,12を、支持軸部13を介して吊持して前後方向へ導く収納レール33と、パネル11下端側のガイド軸部15を水平方向へ案内するガイド部材34とを具備している。
この開閉体収納部30は、駆動機構32によりスプロケット31を一方向へ回転させることで、収納状態にある複数のパネル11,12を屋外側へ順次に繰り出して下方へ閉鎖動作させる。また、同開閉体収納部30は、駆動機構32によりスプロケット31を逆方向へ回転させることで、閉鎖状態にあるパネル11,12を開放動作させ、上方側で屋内側へ収納する。
なお、この開閉体収納部30は、例えば特開2010-37849号公報に記載される構造を適用することが可能である。
【0032】
また、閉鎖方向押圧装置40は、開閉体収納部30を構成するケースや枠体等の不動部位に対し、開閉体幅方向に間隔を置いて複数の押圧ユニット40aを装着してなる(
図1参照)。
【0033】
各押圧ユニット40aは、開閉体10上端の被押圧部10aに対し開放方向側から接近するように直進運動する可動押圧部41と、可動押圧部41を所定の軌跡に沿って移動させるリンク機構43と、可動押圧部41を動かす駆動源となる伸縮機構44と、リンク機構43及び伸縮機構44を不動部位に対し開閉方向へ位置調整可能に支持する支持部材45とを具備している。
そして、複数の押圧ユニット40aの可動押圧部41には、これらを開閉体幅方向へ跨る長尺状の押圧スペーサ42が、着脱可能に装着される。
【0034】
可動押圧部41は、金属等の硬質材料によって略ブロック状に形成され、開閉体10上端面である被押圧部10aに対し、略平行(図示例によれば略水平)に対向する平坦状の押圧面41aを有する。
この可動押圧部41は、伸縮機構44の伸縮ロッド44aの先端側に、回転自在に枢支される。
そして、この可動押圧部41は、後述するリンク機構43により支持されることで、押圧面41aの水平状態を維持したまま、円弧状の軌跡を描くようにして被押圧部10aに対し接近したり離隔したりする。
【0035】
押圧スペーサ42は、金属等の硬質材料から開閉体幅方向へわたる長尺角柱状に形成され、複数の押圧ユニット40aにおける可動押圧部41の押圧面41aに着脱可能に止着される。
この押圧スペーサ42を押圧面41aに対し着脱可能に止着する手段は、例えば、ねじ止めや、嵌合、係合等とすればよい。
【0036】
この押圧スペーサ42は、開閉体開閉方向(図示例によれば上下方向)へ複数連結したり、その連結を解除したりして、連結数を変更することが可能である。
開閉方向に隣接する押圧スペーサ42間を着脱可能に連結する手段は、ねじ止めや、嵌合、係合等とすればよい。
【0037】
リンク機構43は、支持部材45に固定された基部43aと、基部43aに枢支されるとともに回動端側を可動押圧部41に枢支した第一のリンク部材43bと、基部43aと可動押圧部41に対しそれぞれ第一のリンク部材43bとは異なる位置で枢支された第二のリンク部材43cとを具備し、可動押圧部41の押圧面41aを略水平に維持したまま、この可動押圧部41を昇降する平行リンク機構(四節リンク機構)を構成している。
【0038】
伸縮機構44は、一端側が不動部位である支持部材45に対し回転自在に枢支された本体部44bと、この本体部44bの他端側から突出して伸縮するように進退運動する伸縮ロッド44aとを具備し、本体部44b内の図示しない駆動源及び動力伝達機構(例えば電動モータ及びボールねじ機構等)により、伸縮ロッド44aを進退させる。
【0039】
支持部材45は、上下方向へ連続する長尺状の剛性部材であり、当該止水シャッター装置1が設置対象である躯体壁面等の不動部位に固定される。
この支持部材45には、上下方向へわたる長尺状の係合部45aが設けられる。この係合部45aには、本体部44bの基端側と、リンク機構43の基部43aとが、上下方向へ位置調整可能に接続される。
より具体的に説明すれば、図示例の係合部45aは、上下方向へわたる長孔であり、本体部44b及び基部43aは、前記長孔に挿通されるボルトや、該ボルトの端部側に螺合されるナット等によって弛緩可能に締結されている。
【0040】
また、撓み抑制装置60は、上下方向へ長尺状に延設された可動柱61、可動柱61を吊持して開閉体幅方向へ移動するガイド機構62等を具備し、可動柱61を開閉体幅方向の端部側から中央側へ移動して開閉体10の屋内側面に押し付け、開閉体10の撓みを抑制する。
【0041】
なお、
図1中の符号71は、上下方向へ並ぶ複数の光軸センサにより障害物を感知するようにした障害物センサである。
【0042】
次に、上記構成の止水シャッター装置1について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
開閉体10を止水位置にするには、駆動機構32等を作動することにより、開閉体収納部30に収納されている複数のパネル11,12を、屋内側から屋外側へ移動し、さらにガイドレール20に沿って下方へ移動する。
複数のパネル11,パネル12は、不動面G上に順次に積み重ねられ全閉状態となる。そして、これらパネルの最上部に、パネル12が位置する。
【0043】
次に、厚さ方向押圧装置50によって開閉体10を受部材51に押し付ける(
図3参照)。そして、この後、閉鎖方向押圧装置40によって開閉体10上端の被押圧部10aに押圧スペーサ42を押し付ける。
詳細に説明すれば、伸縮機構44を駆動して伸縮ロッド44aを伸長させると、可動押圧部41及び押圧スペーサ42が、押圧面41a側を下方へ向けた姿勢を維持しながら、リンク機構43による円弧状の軌跡を描いて下方へ移動する(
図5(a)~(c)参照)。
【0044】
この軌跡の途中で、押圧スペーサ42の下端面は、開閉体10上端の屋外寄り部分に当接する(
図5(b)参照)。
さらに、押圧スペーサ42は、開閉体10上端を下方へ押圧しながら屋内側へ移動し、開閉体10上端面の全体に接する位置となる(
図5(c)参照)。
【0045】
前記動作は、開閉体幅方向へ並ぶ複数の伸縮ロッド44aが長尺状の押圧スペーサ42により連結されているため、複数の閉鎖方向押圧装置40が略同期するようにして行われる。
【0046】
よって、開閉体10最下端部がシール部16を介して不動面Gに対し弾性的に押し付けられ、各パネル11,11(又は12)の間も、シール部16を介して弾性的に押し付けられる。
そして、開閉体10の下端側及び左右両端側、隣接するパネル11,11(又は12)間が、それぞれ水密に保持される。
【0047】
現場状況等により、開閉体10上端位置が低すぎて、閉鎖方向押圧装置40による開閉体10に対する押圧動作に支障をきたす場合には、押圧スペーサ42の下端にさらに押圧スペーサ42を連結して、最下端の押圧スペーサ42と開閉体10上端との間を狭めればよい。
逆に、開閉体10上端の被押圧部10a位置が、高すぎる場合には、最下端の押圧スペーサ42を外せばよい。
【0048】
よって、最上部のパネルに凹部を設ける等の特殊な加工をすることなく、開閉体10と閉鎖方向押圧装置40との位置関係を好適化することができる。
【0049】
また、閉鎖方向押圧装置40の高さ位置を更に調整する必要がある場合には、閉鎖方向押圧装置40全体を、支持部材45に対し上下方向へ移動して適宜位置で固定すればよい。
【0050】
また、本実施の形態の好ましい一例によれば、開閉体10の上下寸法を変更する際、上端側のパネル12の上下方向の枚数を変更すればよい。このため、当該止水シャッター装置1が設置される躯体開口部の高さ寸法に応じて、開閉体10の上下寸法をきめ細かく適宜に設定することができる。
【0051】
<変形例>
上記実施態様によれば、押圧スペーサ42を硬質材料から長尺状に形成したが、この押圧スペーサ42の他例としては、その開閉体閉鎖方向側の一部又は全部を弾性材料(例えば、ゴムやエラストマー樹脂)から形成するようにしてもよい。
この他例によれば、押圧スペーサ42が開閉体10上端(被押圧部10a)に当接する際の衝撃を緩和することができる。
さらに他例としては、開閉体10上端の被押圧部10aに弾性部材を設け、この弾性部材に押圧スペーサ42が当接するようにしてもよい。
【0052】
また、上記実施態様によれば、特に好ましい一例として、押圧スペーサ42を複数の押圧ユニット40aに跨る長尺状に構成したが、他例としては、押圧ユニット40a毎に独立するように押圧スペーサ42を設けることも可能である。
【0053】
また、上記実施態様によれば、押圧スペーサ42の平坦状の下端面を開閉体10に当接するようにしたが、他例としては、押圧スペーサ42の下端面に、開閉体10上端の凹部12aに嵌りあう凸部を設けるようにしてもよい。
この他例によれば、洪水時等の水圧によって、開閉体10の上端側が屋内側へ押され撓むようなことを防ぐことができる。
【0054】
また、上記実施態様によれば、閉鎖方向押圧装置40によって押圧される被押圧部10aを開閉体10の上端部としたが、他例としては、被押圧部10aを開閉体10からその厚さ方向へ突出するように設けた態様や、被押圧部10aを開閉体10の上端部から段状に下がった位置に設けた態様等とすることも可能である。
すなわち、閉鎖方向押圧装置40によって押圧される被押圧部10aは、開閉体10における開放方向端部でもよいし、開閉体10における開放方向端部に近い部分でもよい。
また、被押圧部10aは、開閉体10を構成するパネル11自体に設けてもよいし、パネル11に設置される受け部等の別部材に設けてもよい。
【0055】
また、上記実施態様によれば、閉鎖方向押圧装置40を開閉方向へ位置調整可能にしたが、他例としては、閉鎖方向押圧装置40を開閉体幅方向へ位置調整可能にした態様や、閉鎖方向押圧装置40を鉛直方向に対し傾斜した方向へ位置調整可能にした態様、これらの態様を組み合わせて閉鎖方向押圧装置40を複合方向へ位置調整可能にした態様等とすることが可能である。
【0056】
また、実施態様では、可動押圧部41を、伸縮機構44による直線運動とリンク機構43による円弧状の回動により、開閉体10の被押圧部10aに対し接近離隔するようにしたが、他例としては、可動押圧部41を直進運動のみにより被押圧部10aに対し接近離隔する態様や、可動押圧部41を円弧状の回動のみにより被押圧部10aに対し接近離隔する態様等とすることも可能である。
【0057】
また、本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0058】
1:止水シャッター装置
10:開閉体
10a:被押圧部
11,12:パネル
20:ガイドレール
30:開閉体収納部
40:閉鎖方向押圧装置
40a:押圧ユニット
41:可動押圧部
42:押圧スペーサ
G:不動面