(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180970
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】風力発電装置
(51)【国際特許分類】
F03D 13/20 20160101AFI20221130BHJP
F03D 3/06 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
F03D13/20
F03D3/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087777
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安達 貴弥
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA12
3H178AA22
3H178AA43
3H178BB71
3H178BB75
3H178BB77
3H178CC22
3H178DD67X
(57)【要約】
【課題】設置面積を小さくしつつ、水平配置が可能な風力発電装置を提供する。
【解決手段】風力発電装置は、風車と、第1主面及び第1主面の反対面である第2主面を含む第1プレートと、第1主面に固定され、かつ第1主面から第1主面の法線方向に沿って延在し、かつ風車を支持している支柱と、第3主面及び第3主面の反対面である第4主面を含む第2プレートと、角度調整機構とを備える。角度調整機構は、第2主面と第3主面とが間隔を空けて対向している状態において、第1プレートの第2プレートに対する角度を調整可能に構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風車と、
第1主面及び前記第1主面の反対面である第2主面を含む第1プレートと、
前記第1主面に固定され、かつ前記第1主面から前記第1主面の法線方向に沿って延在し、かつ前記風車を支持している支柱と、
第3主面及び前記第3主面の反対面である第4主面を含む第2プレートと、
角度調整機構とを備え、
前記角度調整機構は、前記第2主面と前記第3主面とが間隔を空けて対向している状態において、前記第1プレートの前記第2プレートに対する角度を調整可能に構成されている、風力発電装置。
【請求項2】
前記第1プレートには、前記第1主面から前記第2主面に向かう方向に沿って前記第1プレートを貫通している複数の第1貫通穴が形成されており、
前記第2プレートには、前記第3主面から前記第4主面に向かう方向に沿って前記第2プレートを貫通している複数の第2貫通穴が形成されており、
前記複数の第1貫通穴の各々は、前記第2主面が前記第3主面と間隔を空けて対向している状態において、前記複数の第2貫通穴の各々と重なる位置にあり、
前記角度調整機構は、複数のボルトと、複数の第1ナット、複数の第2ナット及び複数の第3ナットとを有し、
前記複数のボルトの各々は、前記第2主面が前記第3主面と間隔を空けて対向している状態において前記第4主面側から前記第1貫通穴及び前記第2貫通穴に挿入されており、
前記複数の第1ナットの各々は、前記複数のボルトの各々に螺合され、かつ前記複数のボルトの各々の頭部との間で前記第2プレートを締結しており、
前記複数の第2ナットの各々及び前記複数の第3ナットの各々は、前記第1プレートを締結するように前記複数のボルトの各々に螺合されている、請求項1に記載の風力発電装置。
【請求項3】
複数の第1リブをさらに備え、
前記複数の第1リブの各々は、前記第1主面から前記第1主面の法線方向に沿って延在し、かつ前記支柱に連結されている、請求項1又は請求項2に記載の風力発電装置。
【請求項4】
前記第4主面に固定され、かつ前記第4主面の法線方向に沿って延在している管部材をさらに備える、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の風力発電装置。
【請求項5】
複数の第2リブをさらに備え、
前記複数の第2リブの各々は、前記第4主面から前記第4主面の法線方向に沿って延在し、かつ前記管部材に連結されている、請求項4に記載の風力発電装置。
【請求項6】
コンクリート層をさらに備え、
前記管部材は、地盤面から地盤中に鉛直下方に延在している穴に挿入され、
前記コンクリート層は、前記穴の内壁面と前記管部材との間に充填されている、請求項4又は請求項5に記載の風力発電装置。
【請求項7】
前記コンクリート層は、前記管部材内にさらに充填されている、請求項6に記載の風力発電装置。
【請求項8】
前記管部材の表面には、防錆処理が施されている、請求項4~請求項6のいずれか1項に記載の風力発電装置。
【請求項9】
前記第2主面と前記第3主面との間に充填されているセメント層をさらに備える、請求項4~請求項8のいずれか1項に記載の風力発電装置。
【請求項10】
前記セメント層内に配置されているワイヤメッシュをさらに備える、請求項9に記載の風力発電装置。
【請求項11】
前記管部材は、前記第4主面の法線方向に直交している断面視において、円環状又は多角形環状である、請求項4~請求項10のいずれか1項に記載の風力発電装置。
【請求項12】
前記第2プレートは、平面視において、円形状又は多角形状である、請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の風力発電装置。
【請求項13】
太陽電池、照明機器、前記風車又は前記太陽電池により発電された電力を蓄電する蓄電池の少なくともいずれかを備え、
前記太陽電池、前記照明機器及び前記太陽電池は、前記支柱に取り付けられている、請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の風力発電装置。
【請求項14】
前記風車は、垂直軸型風車である、請求項1~請求項13のいずれか1項に記載の風力発電装置。
【請求項15】
前記風車は、水平軸型風車である、請求項1~請求項13のいずれか1項に記載の風力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2006-348772号公報(特許文献1)には、風力発電装置が記載されている。特許文献1に記載の風力発電装置は、風車と、支柱部と、基礎部とを有している。風車は、支柱部により支持されている。支柱部は、地盤面から鉛直上方に延在している。基礎部は、支柱部の下端に取り付けられている。特許文献1に記載の風力発電装置は、地盤中に基礎部を埋設することにより、設置される。すなわち、特許文献1に記載の風力発電装置は、直接基礎を用いて設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の風力発電装置は、直接基礎を用いて設置されているため、設置面積が大きくなってしまう。風力発電装置の設置面積を小さくするために、直接基礎に代えて埋込基礎を用いることが考えられる。埋込基礎が用いられる場合、地盤面から地盤中に鉛直下方に延在している穴を深く形成し、当該穴に基礎が埋め込まれる。しかしながら、埋込基礎では、穴が深く形成されるため、基礎上に風力発電装置を水平に配置することが困難である。
【0005】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本発明は、設置面積を小さくしつつ、水平配置が可能な風力発電装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の風力発電装置は、風車と、第1主面及び第1主面の反対面である第2主面を含む第1プレートと、第1主面に固定され、かつ第1主面から第1主面の法線方向に沿って延在し、かつ風車を支持している支柱と、第3主面及び第3主面の反対面である第4主面を含む第2プレートと、角度調整機構とを備える。角度調整機構は、第2主面と第3主面とが間隔を空けて対向している状態において、第1プレートの第2プレートに対する角度を調整可能に構成されている。
【0007】
上記の風力発電装置では、第1プレートに、第1主面から第2主面に向かう方向に沿って第1プレートを貫通している複数の第1貫通穴が形成されていてもよい。第2プレートには、第3主面から第4主面に向かう方向に沿って第2プレートを貫通している複数の第2貫通穴が形成されていてもよい。複数の第1貫通穴の各々は、第2主面が第3主面と間隔を空けて対向している状態において、複数の第2貫通穴の各々と重なる位置にあってもよい。角度調整機構は、複数のボルトと、複数の第1ナット、複数の第2ナット及び複数の第3ナットとを有していてもよい。複数のボルトの各々は、第2主面が第3主面と間隔を空けて対向している状態において第4主面側から第1貫通穴及び第2貫通穴に挿入されていてもよい。複数の第1ナットの各々は、複数のボルトの各々に螺合され、かつ複数のボルトの各々の頭部との間で第2プレートを締結していてもよい。複数の第2ナットの各々及び複数の第3ナットの各々は、第1プレートを締結するように複数のボルトの各々に螺合されていてもよい。
【0008】
上記の風力発電装置は、複数の第1リブをさらに備えていてもよい。複数の第1リブの各々は、第1主面から第1主面の法線方向に沿って延在し、かつ支柱に連結されていてもよい。
【0009】
上記の風力発電装置は、第4主面に固定され、かつ第4主面の法線方向に沿って延在している管部材をさらに備えていてもよい。
【0010】
上記の風力発電装置は、複数の第2リブをさらに備えていてもよい。複数の第2リブの各々は、第4主面から第4主面の法線方向に沿って延在し、かつ管部材に連結されていてもよい。
【0011】
上記の風力発電装置は、コンクリート層をさらに備えていてもよい。管部材は、地盤面から地盤中に鉛直下方に延在している穴に挿入されていてもよい。コンクリート層は、穴の内壁面と管部材との間に充填されていてもよい。上記の風力発電装置では、コンクリート層が、管部材内にさらに充填されていてもよい。上記の風力発電装置では、管部材の表面に、防錆処理が施されていてもよい。
【0012】
上記の風力発電装置は、第2主面と第3主面との間に充填されているセメント層をさらに備えていてもよい。上記の風力発電装置は、セメント層内に配置されているワイヤメッシュをさらに備えていてもよい。
【0013】
上記の風力発電装置では、管部材が、第4主面の法線方向に直交している断面視において、円環状又は多角形環状であってもよい。上記の風力発電装置では、第2プレートが、平面視において、円形状又は多角形状であってもよい。
【0014】
上記の風力発電装置は、太陽電池、照明機器、風車又は太陽電池により発電された電力を蓄電する蓄電池の少なくともいずれかを備えていてもよい。太陽電池、照明機器及び太陽電池は、前記支柱に取り付けられていてもよい。
【0015】
上記の風力発電装置では、風車が、垂直軸型風車であってもよい。上記の風力発電装置では、風車が、水平軸型風車であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の風力発電装置によると、設置面積を小さくしつつ、水平配置が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図6】風力発電装置100の設置方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面では、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0019】
(実施形態に係る風力発電装置の構成)
以下に、実施形態に係る風力発電装置(「風力発電装置100」とする)の構成を説明する。
【0020】
図1は、風力発電装置100の正面図である。
図1に示されるように、風力発電装置100は、第1プレート10と、支柱20と、複数の第1リブ30と、風車ユニット40とを有している。
【0021】
第1プレート10は、板状の部材である。第1プレート10は、第1主面10aと、第2主面10bとを有している。第1主面10a及び第2主面10bは、第1プレート10の厚さ方向の端面である。第2主面10bは、第1主面10aの反対面である。
【0022】
図2は、
図1のII-IIにおける断面図である。
図2に示されるように、第1プレート10は、平面視において、例えば、矩形形状である。但し、第1プレート10の平面形状は、これに限られるものではない。第1プレート10は、平面視において、矩形形状の以外の多角形形状であってもよく、円形状であってもよい。
【0023】
第1プレート10には、複数の第1貫通穴10cが形成されている。第1貫通穴10cは、第1主面10aから第2主面10bに向かう方向(第1プレート10の厚さ方向)に沿って第1プレート10を貫通している。第1貫通穴10cは、平面視において、例えば円形状である。第1貫通穴10cは、例えば、平面視における第1プレート10の四隅近傍に配置されている。第1貫通穴10cは、例えば、平面視における第1プレート10の四隅近傍にある第1貫通穴10cの間にも配置されている。
【0024】
図1に示されるように、支柱20は、第1主面10aに固定されている。支柱20の第1主面10aへの固定は、例えば、溶接により行われる。但し、支柱20の第1主面10aへの固定方法は、これに限られるものではない。支柱20は、第1主面10aから第1主面10aの法線方向に沿って延在している。第1主面10aの法線方向は、鉛直上方に向かっていることが好ましい。
【0025】
第1リブ30は、板状の部材である。第1リブ30は、第1主面10aに固定されている。第1リブ30の第1主面10aへの固定は、例えば、溶接により行われる。但し、第1リブ30の第1主面10aへの固定方法は、これに限られるものではない。第1リブ30は、第1主面10aから第1主面10aの法線方向に沿って延在している。第1リブ30は、第1主面10aと支柱20とを連結している。
図2に示されるように、複数の第1リブ30は、平面視において、支柱20から放射状に延在している。
【0026】
図1に示されるように、風車ユニット40は、支柱20により支持されている。風車ユニット40は、風車41と、回転主軸42とを有している。図示されていないが、風車ユニット40は、発電機をさらに有している。回転主軸42は、支柱20の延在方向に沿っている。回転主軸42の中心軸に沿う方向を、軸方向ということがある。回転主軸42の中心軸を通り、かつ軸方向に直交している方向を、径方向ということがある。
【0027】
風車41は、例えば、垂直軸型風車である。但し、風車41は、水平軸型風車であってもよい。風車41は、複数の翼43と、複数のアーム44とを有している。翼43は、翼本体部43aと、翼端傾斜部43b及び翼端傾斜部43cとを有している。
【0028】
翼本体部43aは、軸方向に沿って延在している。翼端傾斜部43b及び翼端傾斜部43cは、それぞれ、翼本体部43aの上端及び下端にある。翼端傾斜部43bは径方向内側に傾斜しながら翼本体部43aの上端から上方に延在しており、翼端傾斜部43cは径方向内側に傾斜しながら翼本体部43aの下端から下方に延在している。
【0029】
アーム44は、径方向に延在している。アーム44は、回転主軸42と翼本体部43aとを連結している。翼43が風を受けることにより、風車41は、回転主軸42を回転主軸42の中心軸回りに回転させる。風車ユニット40の発電機は、回転主軸42の中心軸回りの回転により発電を行う。
【0030】
図3は、風力発電装置100の断面図である。
図3に示されるように、風力発電装置100は、第2プレート50と、管部材60と、複数の第2リブ70と、角度調整機構80(
図5参照)と、コンクリート層91と、セメント層92とを有している。
【0031】
第2プレート50は、板状の部材である。第2プレート50は、第3主面50aと、第4主面50bとを有している。第3主面50a及び第4主面50bは、第2プレート50の厚さ方向の端面である。第4主面50bは、第3主面50aの反対面である。第2プレート50は、第3主面50aが第2主面10bと間隔を空けて対向するように配置されている。
【0032】
図4は、
図3のIV-IVにおける断面図である。なお、
図4中では、コンクリート層91の図示が省略されている。
図4に示されるように、第2プレート50は、平面視において、例えば、矩形形状である。但し、第2プレート50の平面形状は、これに限られるものではない。第2プレート50は、平面視において、矩形形状の以外の多角形形状であってもよく、円形状であってもよい。
【0033】
第2プレート50には、複数の第2貫通穴50cが形成されている。第2貫通穴50cは、第3主面50aから第4主面50bに向かう方向(第2プレート50の厚さ方向)に沿って第2プレート50を貫通している。第2貫通穴50cは、平面視において、例えば円形状である。第2貫通穴50cは、例えば、平面視における第2プレート50の四隅近傍に配置されている。第2貫通穴50cは、例えば、平面視における第2プレート50の四隅近傍にある第2貫通穴50cの間にも配置されている。複数の第2貫通穴50cの各々は、複数の第1貫通穴10cの各々と重なる位置にある。
【0034】
管部材60は、内部が中空の管状の部材である。管部材60は、例えば、鋼により形成されている。管部材60の表面には、防錆処理が施されている。例えば、管部材60の表面には、溶融亜鉛めっき処理が施されていてもよい。
【0035】
図3に示されるように、管部材60は、第4主面50bに固定されている。管部材60の第4主面50bへの固定は、例えば、溶接により行われる。但し、管部材60の第4主面50bへの固定方法は、これに限られるものではない。管部材60は、第4主面50bから第4主面50bの法線方向に沿って延在している。第4主面50bの法線方向は、鉛直下方に向かっていることが好ましい。
【0036】
図4に示されるように、第4主面50bの法線方向に直交している断面視において、管部材60は、例えば円環状である。但し、管部材60の断面形状は、これに限られるものではない。管部材60は、第4主面50bの法線方向に直交している断面視において、管部材60は、多角形環状であってもよい。
【0037】
図4に示されるように、第2リブ70は、板状の部材である。第2リブ70は、第4主面50bに固定されている。第2リブ70の第4主面50bへの固定は、例えば、溶接により行われる。但し、第2リブ70の第4主面50bへの固定方法は、これに限られるものではない。第2リブ70は、第4主面50bから第4主面50bの法線方向に沿って延在している。第2リブ70は、第4主面50bと管部材60とを連結している。
図4に示されるように、複数の第2リブ70は、平面視において、管部材60から放射状に延在している。
【0038】
図5は、
図3の領域Vにおける拡大図である。
図5に示されるように、角度調整機構80は、複数のボルト81と、複数の第1ナット82と、複数の第2ナット83と、複数の第3ナット84とを有している。
【0039】
ボルト81は、第4主面50b側から第2貫通穴50cに挿入されている。すなわち、ボルト81の頭部は、第4主面50bに接触している。ボルト81は、第1貫通穴10cにさらに挿入されている。第1ナット82は、ボルト81に螺合されている。第1ナット82は、ボルト81の頭部との間で、第2プレート50を締結している。すなわち、第1ナット82は、第3主面50aに接触している。
【0040】
第2ナット83及び第3ナット84は、ボルト81に螺合されている。第2ナット83及び第3ナット84は、第1プレート10を締結している。第2ナット83は第2主面10bに接触しており、第3ナット84は第1主面10aに接触している。1つのボルト81に螺合されている第2ナット83及び第3ナット84の位置を他のボルト81に螺合されている第2ナット83及び第3ナット84に対して移動させることにより、第1プレート10の第2プレート50に対する角度を、調整することができる。
【0041】
なお、角度調整機構80の構成は、上記のものに限られない。第1プレート10の第2プレート50に対する角度を調整可能な機構であれば、角度調整機構80として適用することが可能である。
【0042】
地盤200には、穴210が形成されている。穴210は、地盤200の表面(地盤面220)から鉛直下方に延在している。穴210には、地盤面220側から管部材60が挿入されている。穴210の内壁面と管部材60との間には、コンクリート層91が充填されている。コンクリート層91は、管部材60内にも充填されていてもよい。コンクリート層91は、コンクリートにより形成されている層である。
【0043】
なお、コンクリート層91が充填されることにより、管部材60の周囲にある地盤200が安定化される。そのため、風力発電装置100の転倒抑制及び風力発電装置100の振動軽減が可能となる。
【0044】
セメント層92は、第1プレート10(第2主面10b)と第2プレート50(第3主面50a)との間に充填されている。セメント層92は、セメントを含有している層である。セメント層92は、例えば、モルタルにより形成されている層又はコンクリートにより形成されている層である。セメント層92内には、ワイヤメッシュ93が配置されていてもよい。
【0045】
図1に示されるように、風力発電装置100は、照明器具110と、太陽電池120とをさらに有していてもよい。図示されていないが、風力発電装置100は、蓄電池を有していてもよい。蓄電池は、風車41(風車ユニット40)及び太陽電池120により発電された電力を蓄電する。照明器具110は、例えば、蓄電池により駆動される。照明器具110、太陽電池120及び蓄電池は、支柱20に取り付けられている。
【0046】
(実施形態に係る風力発電装置の設置方法)
以下に、風力発電装置100の設置方法を説明する。
【0047】
図6は、風力発電装置100の設置方法を示す工程図である。
図6に示されるように、風力発電装置100の設置方法は、掘削工程S1と、管部材挿入工程S2と、コンクリート打設工程S3と、支柱取り付け工程S4と、セメント打設工程S5とを有している。
【0048】
掘削工程S1では、地盤200に対する掘削が行われることにより、穴210が形成される。管部材挿入工程S2では、地盤面220側から、第2プレート50、複数の第2リブ70、複数のボルト81及び複数の第1ナット82が取り付けられている管部材60が穴210に挿入される。
【0049】
コンクリート打設工程S3では、穴210に生コンクリートが流し込まれることにより穴210の内壁面と管部材60との間及び管部材60の内部に生コンクリートが充填される。生コンクリートが充填された後、数日間の養生が行われることにより、コンクリート層91が形成されることになる。
【0050】
支柱取り付け工程S4では、複数の第2ナット83及び複数の第3ナット84により、支柱20の取り付けられた第1プレート10が、複数のボルト81に取り付けられる。第1プレート10が水平になっていない場合、1つのボルト81に螺合されている第2ナット83及び第3ナット84の位置を他のボルト81に螺合されている第2ナット83及び第3ナット84に対して移動させることにより、第1プレート10の水平を確保することができる。
【0051】
セメント打設工程S5では、第1プレート10と第2プレート50との間にセメント層92が充填される。この際、セメント層92内には、ワイヤメッシュ93が配置される。以上により、
図1に示されている状態に風力発電装置100が設置される。
【0052】
(実施形態に係る風力発電装置の効果)
以下に、風力発電装置100の効果を説明する。
【0053】
風力発電装置100の設置では、穴210に管部材60を挿入し、穴210の内壁面と管部材60との間にコンクリート層91が充填されることにより、基礎が形成される。すなわち、風力発電装置100の設置には、埋込基礎が適用されているため、直接基礎が適用される場合と比較して、設置面積を小さくすることができる。より具体的には、直接基礎が適用される場合と比較して、設置面積を1/2以下にすることが可能である。
【0054】
風力発電装置100の設置に際しては、穴210が深く形成されるため、第2プレート50の水平を確保することが容易ではない。しかしながら、風力発電装置100では、角度調整機構80により(具体的には、1つのボルト81に螺合されている第2ナット83及び第3ナット84の位置を他のボルト81に螺合されている第2ナット83及び第3ナット84に対して移動させることにより)、コンクリート層91の充填後に、第1プレート10の第2プレート50に対する角度を容易に調整することができる。そのため、風力発電装置100では、水平設置が容易に実現可能である。
【0055】
なお、風力発電装置100が水平設置されないと、回転主軸42が鉛直方向に対して傾斜することになり、風車41が駆動する際の振動の原因となる。
【0056】
風力発電装置100が複数の第1リブ30を有している場合、支柱20の第1主面10aへの固定を補強することができる。また、風力発電装置100が複数の第2リブ70を有している場合、管部材60の第4主面50bへの固定を補強することができる。
【0057】
管部材60の表面に防錆処理が施されている場合、風力発電装置100が塩害地域に設置される場合であっても、管部材60に腐食が生じることが抑制される。コンクリート層91が管部材60の内部にも充填されている場合は、基礎の重量が増加するため、風力発電装置100の転倒をさらに抑制することができる。また、この場合、穴210を浅くすること及び管部材60を短くすることが可能になるため、掘削工程S1の短縮及び管部材60のコスト削減が可能である。
【0058】
風力発電装置100では、セメント層92が第1プレート10と第2プレート50との間に充填されているため、第2プレート50の全面で支柱20に加わっている荷重を受けることができる。また、これにより、支柱20に加わっている荷重を、管部材60及びコンクリート層91にも分散することができる。ワイヤメッシュ93がセメント層92内に配置されている場合、セメント層92の割れが抑制される。
【0059】
直接基礎を適用して風力発電装置100を設置しようとする場合、捨てコンクリートの打設、鉄筋の配置、アンカーボルトの設置(位置合わせ用テンプレートの設置を含む)、型枠設置、型枠除去など、掘削工程S1~セメント打設工程S5に含まれない工程が必要になる。そのため、風力発電装置100によると、設置工程が簡略化される。
【0060】
(その他の実施形態)
上記の例においては、角度調整機構80を埋込基礎に適用する例を示したが、角度調整機構80は、他の基礎(直接基礎、杭基礎)に用いることができる。
【0061】
以上のように本発明の実施形態について説明を行ったが、上述の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0062】
上記の実施形態は、例えば、垂直軸型風車又は水平軸型風車を有する風力発電装置に特に有利に適用される。
【符号の説明】
【0063】
10 第1プレート、10a 第1主面、10b 第2主面、10c 第1貫通穴、20 支柱、30 第1リブ、40 風車ユニット、41 風車、42 回転主軸、43 翼、43a 翼本体部、43b,43c 翼端傾斜部、44 アーム、50 第2プレート、50a 第3主面、50b 第4主面、50c 第2貫通穴、60 管部材、70 第2リブ、80 角度調整機構、81 ボルト、82 第1ナット、83 第2ナット、84 第3ナット、91 コンクリート層、92 セメント層、93 ワイヤメッシュ、100 風力発電装置、110 照明器具、120 太陽電池、200 地盤、210 穴、220 地盤面、S1 掘削工程、S2 管部材挿入工程、S3 コンクリート打設工程、S4 支柱取り付け工程、S5 セメント打設工程。