(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180972
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】洗面ボウル装置、および汚物流しユニット
(51)【国際特許分類】
A47K 1/04 20060101AFI20221130BHJP
E03D 11/00 20060101ALI20221130BHJP
A47K 17/00 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
A47K1/04 B
E03D11/00 Z
A47K17/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087779
(22)【出願日】2021-05-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】517357826
【氏名又は名称】株式会社シェルタージャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196106
【弁理士】
【氏名又は名称】杉田 一直
(72)【発明者】
【氏名】矢野 昭彦
【テーマコード(参考)】
2D037
2D039
【Fターム(参考)】
2D037EA00
2D039AB00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】オストメイト用設備を有するトイレ個室、あるいは多機能トイレの省スペース化が、より一層可能となる洗面ボウル装置、この洗面ボウル装置を用いた汚物流しユニットを提供する。
【解決手段】洗面ボウル装置1は、汚物排出ボウル5に設けられた開口部52を開閉できる装置であり、開口部52を覆う洗面ボウル11を有している。また、回動した洗面ボウル11を回動した位置で静止する回動静止機構を有している。さらに、裏面13bにパウチ視認鏡20が装着されている。洗面ボウル11を回動して所定の位置で静止させることで、パウチ視認鏡20を用いてパウチの着装位置が視認できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚物排出ボウルの開口部を覆う洗面ボウルと、
軸支されることで前記洗面ボウルが回動可能となる前記洗面ボウルに固定される軸支軸と、
前記洗面ボウルを回動させた状態で静止させる回動静止機構と、を備え、
前記洗面ボウルを回動させることで、前記開口部が開口することを特徴とする洗面ボウル装置。
【請求項2】
前記洗面ボウルにパウチの着装状態を視認するためのパウチ視認鏡が装着され、前記パウチ視認鏡は、前記洗面ボウルを回動した状態で前記パウチの着装位置が視認できることを特徴とする請求項1に記載の洗面ボウル装置。
【請求項3】
前記回動静止機構は、前記軸支軸を回動させることで前記洗面ボウルを回動させるモータと、セルフロック機能を具備する減速機とを有し、前記モータは、前記減速機を介して前記軸支軸に連結することを特徴とする請求項1または2に記載の洗面ボウル装置。
【請求項4】
請求項1~3に記載の汚物排出ボウル装置および洗面ボウルと、シャワー装置と、を備え、
前記シャワー装置は、前記洗面ボウル、前記汚物排出ボウルのいずれにも水を注ぐことができることを特徴とする汚物流しユニット。
【請求項5】
前記シャワー装置は、水を吐出するシャワーヘッドと、前記シャワーヘッドを着脱可能に固定するシャワーフックと、前記シャワーフックを回動可能に支持する軸支金具と、を有し、前記シャワーフックを所定の位置まで回動することで、前記洗面ボウルは、前記シャワー装置と干渉することなく回動できることを特徴とする請求項4に記載の汚物流しユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚物排出ボウルの開口部を覆うとともに、回動することで開口部を開口する洗面ボウル、この洗面ボウルを用いた汚物流しユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
オストメイトの方々は、外出時のトイレ利用に不安を持っており、訪れたトイレが利用できない場合があるとトイレ自体の利用を諦めることもある。このようなトラブルを懸念して、外出の際の水分補給を控えたり、外出時間を短縮するなどの対策を講じたり、さらには外出自体を諦めたりする人も一定程度存在している。オストメイトの方々のトイレ利用の不安を少しでも解消するために、ストレスなく利用できるトイレ環境を整備することが望まれる。
【0003】
「多様な利用者に配慮したトイレの整備方策に関する調査研究報告書」によると、多機能トイレで待たされた経験を持つオストメイトの方々は、57.4%と多く、待つのが困難で利用を諦めたことがよくある方々は55.2%となっている。また、多機能トイレが不足していると感じている方々の割合は、67.5%に昇っている。
【0004】
このような状況に鑑みると、当面の対策として多機能トイレに集中していた機能を、他のトイレ個室に分散配置する取り組みが要望される。例えば、既存のトイレ施設を改築してレイアウトを変更し、一般のトイレ個室とオストメイト用設備を有するトイレ個室を併設する等である。
【0005】
オストメイト用設備を有するトイレ個室は、一般のトイレ個室に比べて専有面積が大きく改築に伴って一般のトイレ個室を大きく削減する必要がある。また、新設する場合も広い敷地を確保する必要がある。このようなことが、普及促進を阻害する一因となっていたと考えられる。
【0006】
特許文献1、2では、コンパクト化が可能となるオストメイト用の流しユニットが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018―174971号公報
【特許文献2】特開2019―76446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1、2で提案されているオストメイト用の流しユニットを、オストメイト用設備を有するトイレ個室、あるいは多機能トイレに用いる場合、オストメイトの方々の利便性を考慮すると、別途手洗い用の設備を設けることが適当である。手洗い設備を省略することは、衛生面での不安が残り、またトイレの使い勝手も必ずしも良いものとはならないからである。
【0009】
本発明は、これらの問題点に着目してなされたものであり、オストメイト用設備を有するトイレ個室、あるいは多機能トイレの省スペース化が、より一層可能となる洗面ボウル装置、この洗面ボウル装置を用いた汚物流しユニットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための発明は、洗面ボウル装置であって、汚物排出ボウルの開口部を覆う洗面ボウルと、軸支されることで洗面ボウルが回動可能となる洗面ボウルに固定される軸支軸と、洗面ボウルを回動させた状態で静止させる回動静止機構を備え、洗面ボウルを回動させることで、開口部が開口することを特徴とする。
【0011】
ここでいう汚物排出ボウルは、パウチ(オストメイトの方々が、ストーマ(腹部皮膚の開口部)に取り付けて汚物を一時的に貯める袋)に溜まった汚物を流すための汚物排出設備である。
【0012】
この構成によれば、汚物排出ボウルの開口部を洗面ボウルが覆った状態で洗面(手洗い)が可能となるので、汚物排出ボウルの上方に直接手をかざして手洗いすることを回避できる。これにより、手洗いのために注いだ水が汚物排出ボウルに跳ね返って手に触れることはない。すなわち、効率よく、かつ衛生的な手洗いが可能となる。
また、洗面ボウルを回動させることで、開口した開口部に汚物を投入できる。すなわち、洗面機能と汚物処理機能の双方を具備する。これにより新たに洗面設備を設けることは不要となることから、省スペース化を図ることができる。
【0013】
好ましくは、洗面ボウルにパウチの着装状態を視認するためのパウチ視認鏡が装着され、パウチ視認鏡は、洗面ボウルを回動した状態でパウチの着装位置が視認できることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、洗面ボウルに、洗面ボウルを回動した状態でパウチの着装位置が視認できるパウチ視認鏡が装着されているので、パウチ視認鏡でパウチの着装状態を視認することで、オストメイトの方々のパウチの着装が容易となる。
【0015】
好ましくは、回動静止機構は、軸支軸を回動させることで洗面ボウルを回動させるモータと、セルフロック機能を具備する減速機とを有し、モータは、減速機を介して軸支軸に連結することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、回動静止部は、軸支部を回動させるモータと、セルフロック機能を具備する減速機とを有しており、モータは、減速機を介して軸支軸に連結しているので、モータの回動に伴って洗面ボウルは回動する。また、モータの回動を止めたときは、減速機のセルフロック機能によって洗面ボウルの回動位置は維持される。
【0017】
上記課題を解決するための他の態様の発明は、汚物流しユニットであって、前述した汚物排出ボウル装置および洗面ボウルと、シャワー装置を備え、シャワー装置は、洗面ボウル、汚物排出ボウルのいずれにも水を注ぐことができることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、洗面ボウルと汚物排出ボウルのいずれにも水を注ぐことができるシャワー装置を一体的に備えているので、オストメイト用設備を有するトイレ個室、あるいは多機能トイレの省スペース化が図れるとともに、設置の省力化が可能となる。
【0019】
好ましくは、シャワー装置は、水を吐出するシャワーヘッドと、シャワーヘッドを着脱可能に固定するシャワーフックと、シャワーフックを回動可能に支持する軸支金具を有し、シャワーフックを所定の位置まで回動することで、洗面ボウルは、シャワー装置と干渉することなく回動できることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、シャワーヘッドはシャワーフックに着脱可能に固定されているので、シャワーとして、または蛇口として利用できる。また、シャワー部を所定の位置まで回動することで、洗面ボウルはシャワー装置と干渉することなく簡単に回動できるので、シャワー装置の取付位置を自由に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】汚物排出ボウルに洗面ボウル装置を取り付けた状態の側面断面図である。
【
図3】洗面ボウルの開閉を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、
図1~3を参照して、洗面ボウル装置1の実施形態を詳述する。
【0023】
図1に示す通り、洗面ボウル装置1は、汚物排出ボウル5に設けられた開口部52を開閉できる装置である。汚物排出ボウル5は、下部壁面32に固定されている。パウチに滞留した汚物は、開口部52に投入されることで汚物排出口53を経由して外部に排出される。パウチとは、オストメイトの方々が、ストーマ(腹部皮膚の開口部)に取り付けて汚物を一時的に貯めるための袋である。また、開口部52は、汚物排出ボウル5の外縁端51によって画定される領域であり、上方に向かって開口している。外縁端51は、汚物排出ボウル5の上端に設けられた環状の端部である。
【0024】
洗面ボウル装置1は、開口部52を覆う洗面ボウル11を有している。洗面ボウル11は、外縁端51の全周に渡って接触する接触部12と、注がれた水を受けるためのボウル部13を有している。ボウル部13は壁面3に向かって下り勾配の傾斜面13aが設けられており、傾斜面13aが下りきった最下地点近傍に排水口14が設けられている。ボウル部13に注がれた水は、排水口14を経由して、汚物排出ボウル5に落水し、汚物排出口53を経由して外部に排出される。洗面ボウル11は、外縁端51の全周に渡って接触しているので、汚物排出ボウル5に落水した水が、はね返って汚物排出ボウル5の外部に飛散することはない。
【0025】
傾斜面13aに対向する面となる裏面13bに、パウチ視認鏡20が装着されている。洗面ボウル11を回動して所定の位置でパウチ視認鏡20を静止させることで、パウチの着装位置が視認できる。傾斜面13a、および裏面13bの勾配は同一に設定されている。したがって、裏面13bに着装されるパウチ視認鏡20の取付角度は、傾斜面13a、裏面13bと同一の勾配となる。
【0026】
一般的に、パウチは腹部に着装されることから、着装位置は、目の位置より低くなっている。そのため、パウチ視認鏡20は、鉛直に対して開口部52の方向に若干傾いた状態であると、オストメイトの方々が、ストーマにパウチを着装する状態を視認しやすくなる。パウチ視認鏡20の取付角度を傾斜面13aの勾配よりも大きくすると、本実施形態に比べて、適正な視認角度を得るための洗面ボウル11の回動角度を小さくできる。逆に、パウチ視認鏡20の取付角度を傾斜面13aの勾配よりも小さくすると、洗面ボウル11の回動角度は大きくなる。パウチ視認鏡20の取付角度は、傾斜面13aの勾配より若干大きくすることが好ましい。
【0027】
壁面3は、側面視で階段状の壁であり、上部壁面31と下部壁面32は、中間壁面33を介して接続している。汚物排出ボウル5は、下部壁面32に固定されている。
【0028】
図2に示す通り、軸支軸15は、接触部12から上部壁面31の方向に延びる接続部16と、接続部16から中間壁面33が延びる方向に沿って突設する軸部材15a、15bで構成されている。軸部材15aは、軸受部材30aに軸支されている。また、軸部材15bは、軸受部材30bに軸支されるとともに、減速機42を介してモータ41に接続している。軸受部材30a、30bは上部壁面31に固定されている。
【0029】
減速機42は、一定速度で回転するモータ41を適正な回転スピードに減速させるものであり、これによって洗面ボウル11を、所定のスピードで回動できる。また、減速機42はセルフロック機構を具備している。セルフロック機構は、モータ41の回動に伴って回動軸42aは従動するが、回動軸42bを直接回動しようとしても回動できない構造である。これにより、モータ41の回動を停止したとき、洗面ボウル11は所定の高さに留まることができる。なお、セルフロック機能を具備する減速機については、周知の一般的構成であることから、構造の説明は省略する。
【0030】
操作台45が、下部壁面32から突設して設けられている。操作台45は、洗面ボウル11を上昇させるための上昇操作スイッチ43、および洗面ボウル11を下降させるための下降操作スイッチ44が装着されている。
【0031】
図3は、回動静止機構40の回動抑止メカニズムを説明するための模式図である。上昇操作スイッチ43、下降操作スイッチ44は、コントローラ46を介してモータ41と電気的に接続している。また、モータ41は減速機42を介して洗面ボウル11と機械的に接続している。
【0032】
上昇操作スイッチ43または下降操作スイッチ44を押して、コントローラ46に操作信号を送信する。信号を受けたコントローラ46によって、モータ41が操作される。操作されたモータ41が回動することで、減速機42がモータ41の回動スピードを減速させながら洗面ボウル11を回動させる。これにより、洗面ボウル11の回動速度の適正化を図り得る。
【0033】
上昇操作スイッチ43または下降操作スイッチ44から手を放すと、コントローラ46に送信されていた操作信号が遮断される。操作信号が遮断されることでモータ41の回動が停止する。このとき、モータ41は物理的に自由に回動できる状態となっているが、減速機42のセルフロック機能によって、洗面ボウル11の回動は抑制されて、回動した位置に静止する。
【0034】
図4~7を参照して、汚物流しユニット100の実施形態について説明する。汚物流しユニット100は、洗面ボウル装置1を組み込んでシステム化した設備であることから、洗面ボウル装置1で説明した事項は省略し、主に相違する構成について説明する。洗面ボウル装置1で説明した構成と同一の構成については、同一の符号を付し、異なる構成については100番台の符号を付す。
【0035】
図4に示す通り、汚物流しユニット100は、前述した汚物排出ボウル5、洗面ボウル装置1に加えて、洗浄ボタン105、シャワー装置110、操作レバー111、鏡121、ソープディスペンサ122、トイレットペーパフォルダ123をさらに有する。
【0036】
洗浄ボタン105、シャワー装置110、操作レバー111、鏡121、ソープディスペンサ122、トイレットペーパフォルダ123は、上部壁面31に設けられている。
【0037】
壁面3の背後に、汚物排出ボウル5を洗浄するための水を貯水する貯水タンク(図示略)が設けられている。洗浄ボタン105を押すことで、貯水タンクに貯水されていた水が流れ出し、汚物排出ボウル5を洗浄する。
【0038】
洗浄ボタン105は、汚物排出ボウル5の洗浄を指示するための操作ボタンである。洗浄ボタン105を操作することにより洗浄水が供給されて、汚物排出ボウル5の内部に投入された汚物が汚物排出口53を経由して外部に放出される。
【0039】
シャワー装置110は、洗面ボウル11、あるいは汚物排出ボウル5に向けて水を吐出する。これにより、オストメイトの方々の手洗いや、パウチ等の洗浄が可能となる。洗面ボウル11に水を貯めることで、入念に、かつ清潔に手洗いすることができる。シャワー装置110は、上部壁面31の背後に収納された可撓性のホースに接続されている。ホースを上部壁面31から引き出すことで、シャワーのように自由な向きに水を吐出することができる。
【0040】
操作レバー111は、レバー操作によってシャワー装置110から吐出される水の水量や温度を調節するものである。鏡121は、汚物処理の前後の身体の状態を視認するものである。ソープディスペンサ122は、内部に石鹸水を貯めて、操作によって貯められた石鹸水を供給するものである。トイレットペーパフォルダ123は、トイレットペーパを着脱可能に保持するものである。
【0041】
洗面ボウル11は、上昇操作スイッチ43、下降操作スイッチ44の操作によって上下方向に回動する。鏡121は洗面ボウル11の上方に設けられている。洗浄ボタン105、シャワー装置110、操作レバー111、ソープディスペンサ122、トイレットペーパフォルダ123は、洗面ボウル11が回動したとき、干渉しない範囲で、可能な限り鏡121に近い中央の位置に設けることが好ましい。これにより、汚物流しユニット100のコンパクト化が可能となる。
【0042】
それぞれの設備の配置は、本実施形態に限定されるものではない。上部壁面31には少なくともシャワー装置110、操作レバー111、洗浄ボタン105を設ければよい。また、鏡121、ソープディスペンサ122、トイレットペーパフォルダ123は必要に応じて省略してもよい。
【0043】
図5、6に示す通り、シャワー装置110は、軸支金具115、シャワーフック114、およびシャワーヘッド116を有している。軸支金具115は、上部壁面31に固定されている。シャワーフック114の一方の端部は、回動部117が設けられ、回動部117は、軸支金具115に回動可能に支持されている。他方の端部はシャワーヘッド116を着脱可能に嵌合している。シャワーフック114には回動操作ボタン118が装着されている。回動操作ボタン118を押すことで、シャワーフック114の固定状態が開放されて軸支金具115廻りに回動できる状態となる。
【0044】
図7に示す通り、シャワーフック114の他方の端部は、シャワーヘッド挿入穴114aとシャワーホース挿入溝114bが設けられている。シャワーホース119をシャワーホース挿入溝114bからシャワーヘッド挿入穴114aに押し込んで挿入し、シャワーヘッド116をシャワーヘッド挿入穴114aに上方から下方に向かって挿入することで、シャワーヘッド116はシャワーフック114と嵌合する。また、シャワーヘッド116を下方から上方に向かって押し上げることで嵌合状態は解かれ、シャワーヘッド116とシャワーフック114は分離した状態となる。さらに、シャワーホース119をシャワーヘッド挿入穴114aから引き出すことで、シャワーヘッド116を自由に移動できる。
【0045】
図5を参照して、汚物流しユニット100の使用につて説明する。
【0046】
汚物流しユニット100で手洗いをするときは、ボウル部13、シャワー装置110は
図5の実線の状態に位置している。すなわち、ボウル部13は汚物排出ボウル5の開口部52を覆っており、シャワーヘッド116はボウル部13に水を注ぐことができる状態である。
【0047】
オストメイトの方々が、パウチに滞留した汚物を処理するときは、回動操作ボタン118を押してシャワーフック114を点線の位置まで回動する。上昇操作スイッチ43を押し、ボウル部13を回動させて、開口部52からパウチに滞留した汚物を投入し洗浄ボタン105を押して、投入した汚物を洗い流す。シャワーヘッド116をシャワーフック114から取外し、シャワーヘッド116から吐出する水でパウチ等を洗浄する。
【0048】
シャワーヘッド116をシャワーフック114に嵌合させた後、上昇操作スイッチ43、下降操作スイッチ44を操作して、パウチ視認鏡20の角度を調整し、パウチの装着位置が確認できる位置を確定する。パウチ視認鏡20で状態を視認しながらパウチを着装する。パウチ着装終了後、下降操作スイッチ44を操作して、ボウル部13が開口部52を覆う状態とする。
【0049】
シャワーヘッド116を元の位置に戻し、ボウル部13に注がれた水で手を洗浄する。
【0050】
本実施形態は例示であり、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で改変できることは勿論である。例えば、傾斜面13aは、壁面3に向かって下り勾配に設定されているが、壁面3に向かって上り勾配に設定してもよい。また、パウチ視認鏡20の取付角度は、傾斜面13aの勾配と同一に設定されているが、傾斜面13aの勾配と同一としなくてもよい。すなわち、利便性等を勘案して適宜設定すればよい。
【0051】
回動静止機構は、モータと減速機を有していたが、これに関わらず、ボウル部の回動を静止できる構成であればよい。例えば、ボウル部を壁面に係止する係止金具を具備した構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の汚物処理ユニットを多機能トイレに用いることで、従来の多機能トイレに比べて専有面積を大幅に削減できる。これによって、多機能トイレの普及促進を図れることから、産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0053】
1:洗面ボウル装置
5:汚物排出ボウル
11:洗面ボウル
15:軸支軸
20:パウチ視認鏡
40:回動静止機構
41:モータ
42:減速機
52:開口部
100:汚物流しユニット
110:シャワー装置
114:シャワーフック
115:軸支金具
116:シャワーヘッド