(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180975
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】毛髪用処理剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/36 20060101AFI20221130BHJP
A61K 8/22 20060101ALI20221130BHJP
A61Q 5/08 20060101ALI20221130BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
A61K8/36
A61K8/22
A61Q5/08
A61Q5/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087782
(22)【出願日】2021-05-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年6月5日に毛髪用処理剤の試供品を宅配便により配付
(71)【出願人】
【識別番号】000108672
【氏名又は名称】タカラベルモント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】白石 晃
(72)【発明者】
【氏名】武鹿 直樹
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB012
4C083AB411
4C083AB412
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC311
4C083AC312
4C083AC892
4C083CC35
4C083CC36
4C083DD06
4C083EE01
4C083EE05
4C083EE09
4C083EE26
4C083EE27
(57)【要約】 (修正有)
【課題】染毛処理や脱色処理による毛髪の強度(ハリ・コシ、切れにくさ、櫛通り)の低下を抑制しつつ、同時に、これらの毛髪処理に起因する毛髪の不快臭の発生を抑制することができ、さらに長期間、安定保存が可能な毛髪用処理剤を提供することを目的とする。
【解決手段】カルボン酸またはその塩と、酸化剤を含有する毛髪用処理剤であって、カルボン酸が酒石酸及びリンゴ酸の少なくとも一方であり、pHが2.0~4.0であり、カルボン酸またはその塩の含有量が、5.0質量%以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボン酸またはその塩と、酸化剤を含有する毛髪用処理剤であって、
前記カルボン酸が酒石酸及びリンゴ酸の少なくとも一方であり、
pHが2.0~4.0であり、
前記カルボン酸またはその塩の含有量が、5.0質量%以下であることを特徴とする毛髪用処理剤。
【請求項2】
サリチル酸をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の毛髪用処理剤。
【請求項3】
前記サリチル酸の含有量が0.001~3.0質量%であることを特徴とする請求項2に記載の毛髪用処理剤。
【請求項4】
前記酸化剤が過酸化水素水であることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の毛髪用処理剤。
【請求項5】
前記過酸化水素の含有量が1.5~9.0質量%であることを特徴とする請求項4に記載の毛髪用処理剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染色処理や脱色処理等の毛髪の処理において使用する毛髪処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
染毛処理、脱色処理、パーマネントウェーブ処理や縮毛矯正処理等の毛髪変形処理は、毛髪を所望の明度と色調に変えることができる一方で、毛髪のツヤやまとまり感を低下させ、毛髪に様々なダメージを与える。
【0003】
そこで、これらの毛髪のダメージを軽減するための毛髪用処理剤が提案されている。より具体的には、炭酸塩を含むアルカリ剤と、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等の特定のアルカリ性キレート剤を含有する酸化染毛剤が提案されている。そして、このような酸化染毛剤を使用することにより、刺激臭が少なく、低刺激で、毛髪に良好な明度を付与するとともに、十分な染毛力も確保できると記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、アルカリ剤、油性成分、界面活性剤、酸化剤、及びキレート剤を含有し、キレート剤がグルコン酸又はその塩の少なくとも1種を含むとともに、配合量が0.002~0.2質量%未満である毛髪脱色剤及び酸化染毛剤が提案されている。そして、このような毛髪脱色剤及び酸化染毛剤を使用することにより、乳化安定性、脱色力、染毛力及び風合いが良好で、施術時における刺激及び毛髪へのダメージを十分に低減することができると記載されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、アルカリ剤を含有する剤と混合して染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として使用される酸化剤含有組成物であって、酸化剤、フェノキシエタノール、アミノカルボン酸系キレート化剤、及び酸を含有する酸化剤含有組成物が提案されている。そして、このような酸化剤含有組成物を使用することにより、製剤安定性及び酸化剤の安定性を向上することができると記載されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6196753号公報
【特許文献2】特許第5914555号公報
【特許文献3】特開2019-11293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1~2に記載の酸化染毛剤等においては、上述のキレート剤により染毛及び脱色力を向上させながら、処理時の刺激や毛髪へのダメージを低減させているが、これらのキレート剤により、脱色処理等において、毛髪の強度(ハリ・コシ、切れにくさ、櫛通り)が低下するという問題があった。
【0008】
また、上記特許文献3に記載の酸化剤含有組成物においては、フェノキシエタノール及び特定の酸を併用することにより、酸化剤含有組成物の製剤安定性及び酸化剤の安定性を向上させているが、フェノキシエタノール及び特定の酸により、脱色処理等において、毛髪の強度(ハリ・コシ、切れにくさ、櫛通り)が低下するという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、染毛処理や脱色処理による毛髪の強度(ハリ・コシ、切れにくさ、櫛通り)の低下を抑制しつつ、同時に、これらの毛髪処理に起因する毛髪の不快臭の発生を抑制することができ、さらに長期間、安定保存が可能な毛髪用処理剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の毛髪用処理剤は、カルボン酸またはその塩と、酸化剤を含有する毛髪用処理剤であって、カルボン酸が酒石酸及びリンゴ酸の少なくとも一方であり、pHが2.0~4.0であり、カルボン酸またはその塩の含有量が、5.0質量%以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、染毛処理や脱色処理による毛髪の強度(ハリ・コシ、切れにくさ、櫛通り)の低下を抑制しつつ、同時に、これらの毛髪処理に起因する毛髪の不快臭の発生を抑制することができる。また、長期間、安定保存が可能な毛髪用処理剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において、適宜、変更して適用することができる。
【0013】
本発明の毛髪用処理剤は、酸化染毛剤または脱色剤の第二剤として使用されるものであり、カルボン酸またはその塩と、酸化剤とを含有する。
【0014】
(カルボン酸またはその塩)
カルボン酸又はその塩としては、酒石酸及びリンゴ酸の少なくとも一方のカルボン酸またはその塩が使用される。
【0015】
これらのカルボン酸またはその塩は、ケラチン繊維のアミノ基との反応性が高いため、毛髪内部へ浸透して、毛髪内部に弾力のある芯を形成し、染毛処理や脱色処理による強度(ハリ・コシ、切れにくさ、櫛通り)の低下を抑制するものである。
【0016】
また、これらのカルボン酸またはその塩は、酸化染毛剤または脱色剤の酸化反応によって副次的に生じる、毛髪成分であるタンパク質、またはその構成単位のアミノ酸の酸化に由来した刺激性の硫黄酸化化合物に特異的に吸着して、その発生を抑制することができるため、染毛処理や脱色処理に起因する毛髪の不快臭の発生を抑制することができる。
【0017】
また、本発明の毛髪用処理剤においては、上述のカルボン酸又はその塩が含まれているため、例えば、酸化剤として過酸化水素を使用する場合に、過酸化水素の分解が抑制されて、毛髪用処理剤の安定性(すなわち、酸化剤の安定性)が向上することになる。
【0018】
また、本発明においては、毛髪用処理剤の全体に対するカルボン酸又はその塩の配合量が5.0質量%以下であり、下限値としては、0.001質量%以上が好ましい。
【0019】
これは、カルボン酸又はその塩が0.001質量%未満では、上述の強度の低下を十分に抑制できない場合がある。また、5質量%より多いと、pHが下がり過ぎて、酸化染毛剤または脱色剤として使用することが困難になる場合があり、また、髪への過剰吸着と部分的に強い収斂作用が生じるため、毛髪の立体構造に変化を生じさせてしまい、強度が低下する場合があるためである。また、濃度が高くなることに起因して、製剤の粘度低下と乳化の安定性の低下が生じて、使用時に製剤の不均一性が生じるため、染色力や脱色力が著しく低下するとともに、染色処理中や脱色処理中における反応臭や毛髪処理後の残臭(不快臭)が発生する場合があるためである。
【0020】
(酸化剤)
本発明の毛髪用処理剤の主剤である酸化剤としては、特に限定されず、ヘアカラーの第2剤に用いられるものであればよい。例えば、過酸化水素が挙げられる。
【0021】
また、毛髪の損傷を抑制して、十分な毛髪染色効果を得るとの観点から、毛髪用処理剤の全体に対する酸化剤の配合量は、1.5~9.0質量%が好ましい。
【0022】
また、毛髪強度の低下を抑制するとの観点から、毛髪用処理剤中のカルボン酸またはその塩と酸化剤との含有比が、質量基準で1:0.8~1:30000であることが好ましい。
【0023】
(サリチル酸)
また、本発明の毛髪用処理剤は、サリチル酸を含有してもよい。このサリチル酸を含有することにより、例えば、酸化剤として過酸化水素を使用する場合に、過酸化水素の分解が確実に抑制されて、毛髪用処理剤の安定性(すなわち、酸化剤の安定性)が確実に向上することになる。
【0024】
また、本発明においては、毛髪用処理剤の全体に対するサリチル酸の配合量については、特に限定されないが、0.001~3.0質量%であることが好ましい。これは、サリチル酸が0.001質量%未満では、上述の毛髪用処理剤の安定性を十分に向上することができない場合がある。また、3.0質量%より多いと、経時的にサリチル酸自体の結晶化が起こり、安定性が低下する場合がある。
【0025】
また、毛髪処理剤へ安定的に配合するとの観点から、毛髪用処理剤中のカルボン酸またはその塩とサリチル酸との含有比が、質量基準で1:0.02~1:10であることが好ましい。
【0026】
また、毛髪処理剤の安定性の観点から、サリチル酸と酸化剤との含有比が、質量基準で1:8~1:30000であることが好ましい。
【0027】
(溶媒)
また、本発明の毛髪用処理剤において使用される溶媒(分散媒)は特に限定されず、例えば、水が使用されるが、必要に応じて、エタノール、イソプロパノール等の有機溶媒を、人体に接触しても無害な濃度で、水に含有させてもよい。
【0028】
なお、本発明の毛髪用処理剤の態様は、溶液に限定されず、必要に応じて添加する成分が懸濁ないし乳化されているものであってもよい。
【0029】
(pH調整剤)
また、本発明の毛髪処理剤は、pH調整剤を含有してもよい。このpH調整剤は、特に限定されず、通常、毛髪化粧料に用いられるものであればよい。例えば、ピロリン酸ナトリウム、リン酸、炭酸グアニジン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム、セスキ炭酸塩、アルギニン、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、モノエタノールアミン、アンモニア、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、水酸化ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸三ナトリウム、及び、リン酸水素二アンモニウムなどが挙げられる。
【0030】
(pH)
本発明の毛髪用処理剤は、上記pH調整剤により、pHが2.0~4.0に設定されている。例えば、酸化剤として過酸化水素を使用する場合、pHは2.0~4.0に設定される。
【0031】
(防腐剤)
また、本発明の毛髪用処理剤は、防腐剤を含有してもよい。防腐剤を含有することにより、毛髪処理剤の安定性を得ることができる。
【0032】
この防腐剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラベン、フェノキシエタノール、メチルイソチアゾリノンなどが挙げられる。
【0033】
なお、毛髪用処理剤全体に対する防腐剤の配合量は、0.01~0.3質量%であることが好ましい。
【0034】
(その他の成分)
本発明の毛髪用処理剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分、例えば、油性成分(例えば、スフィンゴ脂質、セラミド類、コレステロール誘導体、フィトステロール誘導体、リン脂質、ラノリン脂肪酸誘導体、パーフルオロポリエーテル等)、植物油(例えば、オリーブ油、シア脂、マカデミアナッツ油等)、ロウ類(例えば、ホホバ種子油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ等)、炭化水素(例えば、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン、ワセリン、イソドデカン、イソヘキサデカン等)、高級脂肪酸(例えば、ミリスチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、分岐脂肪酸(C(炭素数)14-28)、ヒドロキシステアリン酸等)、アルコール類(例えば、セタノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、水添ナタネ油アルコール、コレステロール、シトステロール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,2-ヘキサンジオール等)、糖及びその誘導体類(例えば、ブドウ糖、ショ糖、D-ソルビトール、マルトース、トレハロース、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、グリセリルグルコシド等)、エステル類(例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、オレイン酸オクチルドデシル、トリイソステアリン酸グリセリル、コハク酸ジエトキシエチル、乳酸セチル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル等)、シリコーン類(例えば、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、環状ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ジメチコノール、PCAジメチコン等)、アミノ酸及びその誘導体類(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン、セリン、メチオニン、トリメチルグリシン、ポリアスパラギン酸ナトリウム、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム、N-ラウロイル-L-リジン等)、PPT及びタンパク類(例えば、加水分解シルク、加水分解コムギ、加水分解ダイズ、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、シリル化加水分解シルク、シリル化加水分解コムギ、カチオン化加水分解シルク、カチオン化加水分解コラーゲン、ケラチン等)、天然高分子類(例えば、アルギン酸塩、マンナン、アラビアゴム、タマリンドガム、キトサン、カラギーナン、ムチン、セラック、ヒアルロン酸塩、カチオン化ヒアルロン酸、キサンタンガム、デキストリン、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化セルロース、グァーガム、カチオン化グァーガム、ハチミツ等)、合成高分子(例えば、アニオン性高分子、カチオン性高分子、非イオン性高分子、両性高分子、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル等)、他のアニオン性界面活性剤(例えば、アルキルエーテルカルボン酸塩、N-アシルグルタミン酸、N-アシルメチルタウリン塩、アルキルスルホコハク酸塩、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキルエーテル硫酸塩等)、他のカチオン性界面活性剤(例えば、アルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩等)、両性界面活性剤(例えば、グリシン型両性界面活性剤、アミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤等)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテルおよびポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルグルコシド、新油型モノステアリン酸グリセリル等)、染料(例えば、タール色素、天然色素等)、植物エキス類(例えば、カミツレエキス、コンフリーエキス、セージエキス、ローズマリーエキス、カキタンニン、チャ乾留液、銅クロロフィリンナトリウム等)、ビタミン類(例えば、L-アスコルビン酸、DL-α-トコフェロール、D-パンテノール、天然ビタミンE等)、紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸、サリチル酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、フェルラ酸等)、酸化防止剤(例えば、亜硫酸水素ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン等)、上記した以外の金属封鎖剤(例えば、ヒドロキシエタンジホスホン酸液、エデト酸塩、ポリリン酸ナトリウム、フィチン酸等)、その他無機化合物(例えば、酸化チタン、銀、白金、塩化鉄、酸化鉄、臭素酸ナトリウム、過酸化水素等)、その他有機化合物(例えば、尿素、ヒドロキシエチル尿素、dl-ピロリドンカルボン酸ナトリウム、グルコン酸銅等)、溶剤(例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ベンジルアルコール等)、噴射剤(例えば、LPG(液化石油ガス)、DME(ジメチルエーテル)、窒素ガス、炭酸ガス等)、香料等の公知の化粧品各成分を配合することができる。
【0035】
本発明の毛髪変形用処理剤は、公知の方法により、液状、ミルク状、クリーム状、泡状(使用時形状)、霧状(使用時形状)等の剤形とすることができ、エアゾール形態とすることもできる。
【実施例0036】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを発明の範囲から除外するものではない。
【0037】
(実施例1~56及び比較例1~30)
<毛髪用処理剤の製造>
水(精製水)と各原料を配合して、表1~6に示す組成(質量%)を有する実施例1~56及び比較例1~30の毛髪用処理剤(第二剤)を製造した。
【0038】
<脱色用の第一剤>
本発明の毛髪用処理剤とは別に、実施例及び比較例の各毛髪用処理剤と組み合わせる第一剤として、市販の脱色用の第一剤(商品名:エドル ライトナーEX)を使用した。
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
<サンプル用の毛髪の準備>
長さ30cmの直毛の毛髪からなる毛束(5g)を用い、化学的処理として市販のヘアカラーを用いて、2回の染色処理を行い、さらに市販のパーマ液で、パーマネントウェーブ処理を行った。その後、処理を行った毛髪を、50℃に保ったポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム水溶液(5質量%)に一晩浸漬させ、十分に水洗したものをサンプル毛髪とした。
【0046】
<脱色処理>
次に、準備した毛髪に対して、下記(A)~(C)の脱色処理を行った。
(A)まず、サンプル用の毛髪5gに対して、実施例及び比較例の各毛髪用処理剤(第二剤)と第一剤を用意し、表1~6に示す比率により、毛髪用処理剤と第一剤とを混合して、脱色剤を調製した。
(B)次に、調製した脱色剤を毛髪全体に均一に塗布し、25分放置した。
(C)そして、25分の脱色処理後、脱色剤を洗い流し、シャンプーとトリートメントを行い、その後、ドライヤーを用いて毛髪を乾燥させた。
【0047】
<脱色力評価>
上述の脱色処理を行った毛髪に対して、上述の毛髪用処理剤が、脱色処理の仕上がり感に及ぼす効果について、官能評価を行った。具体的には、以下の評価基準に基づいて、専門パネラー10名による評価を行った。
【0048】
脱色力が非常にある:◎
脱色力がある:〇
脱色力がややない:△
脱色力がない:×
【0049】
<仕上がり感に関する評価>
次に、上述の脱色処理を行った毛髪に対して、上述の毛髪用処理剤が、脱色処理後のドライ後の仕上がり感に及ぼす効果について、官能評価を行った。具体的には、(1)櫛通り、(2)切れにくさ、及び(3)ハリ・コシの3項目について、専門パネラー10名による評価を行った。各評価項目における評価基準を以下に示す。
【0050】
(1)櫛通り
脱色処理後の最終水洗後に乾燥させた毛束をほぐした時の櫛通り(すべり感)を、下記評価基準に従って評価した。
櫛通りが非常によい:◎
櫛通りがよい:○
櫛通りがやや悪い:△
櫛通りが悪い:×
【0051】
(2)ハリ・コシ
脱色処理後のドライ状態におけるハリ・コシを、下記評価基準に従って評価した。
ハリ・コシが非常にある:◎
ハリ・コシがある:○
ハリ・コシがややない:△
ハリ・コシがない:×
【0052】
(3)切れにくさ
脱色処理後のドライ状態における切れにくさを、下記評価基準に従って評価した。
毛髪を一定量引っ張った際、伸びにくく、切れなかった:◎
毛髪を一定量引っ張った際、伸びきったが、切れなかった:○
毛髪を一定量引っ張った際、伸びきって、その後切れた:△
毛髪を一定量引っ張った際、すぐに切れた:×
【0053】
<安定性に関する評価>
実施例及び比較例の各毛髪用処理剤の安定性を、下記評価基準に従って評価した。
50℃で恒温保管した際、3カ月以上、発泡分解(過酸化水素の分解)が起こらなかった:◎
50℃で恒温保管した際、2カ月以上3カ月未満で発泡分解(過酸化水素の分解)が起こった:○
50℃で恒温保管した際、1カ月以上2カ月未満で発泡分解(過酸化水素の分解)が起こった:△
50℃で恒温保管した際、1カ月未満で発泡分解(過酸化水素の分解)が起こった:×
【0054】
<残臭に関する評価>
脱色処理の最終水洗後に乾燥させた毛束をほぐした後、残臭の有無を下記評価基準に従って評価した。
【0055】
残臭がない:◎
残臭がほぼない:○
残臭を少し感じる:△
残臭を強く感じる:×
【0056】
なお、上述の各評価において、「◎」は特に優れていると評価し、「○」は優れていると評価した。また、「△」と「×」は不十分であると評価した。以上の結果を表1~表6に示す。
【0057】
表1~4に示すように、酒石酸及びリンゴ酸の少なくとも一方またはその塩を含有する実施例1~32の毛髪用処理剤は、コハク酸等の他の酸を含有する比較例1~6,8~13,15~20,22~27に比し、脱色処理による強度(櫛通り、切れにくさ、ハリ・コシ)の低下を抑制することができるとともに、脱色処理に起因する毛髪の不快臭(残臭)の発生を抑制することができ、さらに長期間、安定保存が可能であることが分かる。
【0058】
また、表1~6に示すように、酒石酸及びリンゴ酸の少なくとも一方またはその塩を5.0質量%以下含有する実施例1~56の毛髪用処理剤は、脱色処理による強度(櫛通り、切れにくさ、ハリ・コシ)の低下を抑制することができるとともに、脱色処理に起因する毛髪の不快臭(残臭)の発生を抑制することができ、さらに長期間、安定保存が可能であることが分かる。
【0059】
一方、酒石酸及びリンゴ酸の少なくとも一方またはその塩を8.0質量%含有する比較例29~30においては、ピロリン酸ナトリウムを使用しても、pHが1.8までしか上昇せず、pHが下がり過ぎるため、脱色力が著しく低下するとともに、脱色処理による強度(櫛通り、切れにくさ、ハリ・コシ)の低下を抑制することができないことが分かる。また、脱色処理に起因する毛髪の不快臭(残臭)の発生を抑制することができず、長期間の安定保存が困難になることが分かる。
【0060】
また、表5に示すように、サリチル酸を含有する実施例36の毛髪用処理剤は、サリチル酸を含有しない実施例33~35の毛髪用処理剤に比し、毛髪用処理剤の安定性が向上していることが分かる。また、同様に、サリチル酸を含有する実施例40の毛髪用処理剤は、サリチル酸を含有しない実施例37~39の毛髪用処理剤に比し、毛髪用処理剤の安定性が向上していることが分かる。また、同様に、サリチル酸を含有する実施例43~46の毛髪用処理剤は、サリチル酸を含有しない実施例41~42の毛髪用処理剤に比し、毛髪用処理剤の安定性が向上していることが分かる。