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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180981
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】外壁構造
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/00 20060101AFI20221130BHJP
   E04B 1/64 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
E02D27/00 E
E04B1/64 C
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087791
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】東田 豊彦
(72)【発明者】
【氏名】小野村 寛
(72)【発明者】
【氏名】峯 永治
(72)【発明者】
【氏名】有本 浩治
【テーマコード(参考)】
2D046
2E001
【Fターム(参考)】
2D046AA18
2E001DA03
2E001FA04
2E001FA21
(57)【要約】
【課題】基礎とこれに支持される被支持部材との境界部分から建物内部への水の侵入を効果的に抑制することができる外壁構造を提供する。
【解決手段】前記課題を解決するために、本発明は、建物の外壁構造であって、建物の基礎と、前記基礎の上に支持される被支持部材と、を備える。前記基礎は、第1基礎部を有し、この第1基礎部は、前記被支持部材を支持するための第1支持面を有する第1本体部と、前記第1本体部における前記第1支持面よりも外側の部分から前記第1支持面よりも上方に延びるとともに前記被支持部材と前記第1支持面との境界部分を通じた水の侵入を抑制するために前記境界部分を外側から覆う第1立上部と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁構造であって、
建物の基礎と、
前記基礎の上に支持される被支持部材と、を備え、
前記基礎は、前記被支持部材を支持するための第1支持面を有する第1本体部と、前記第1本体部における前記第1支持面よりも外側の部分から前記第1支持面よりも上方に延びるとともに前記被支持部材と前記第1支持面との境界部分である第1境界部分を通じた水の侵入を抑制するために前記第1境界部分を外側から覆う第1立上部と、を含む第1基礎部を有する、外壁構造。
【請求項2】
請求項1に記載の外壁構造において、
前記被支持部材は、前記建物の外側と内側とを連通するための開口部が形成された開口形成部を有し、
前記基礎は、前記第1立上部の上端部よりも下方の領域において前記開口部を開放するように前記開口形成部を支持するための第2支持面を有するとともに前記第1基礎部に隣接して設けられる第2基礎部をさらに有する、外壁構造。
【請求項3】
請求項2に記載の外壁構造において、
前記基礎は、前記被支持部材を支持するための第3支持面を有するとともに前記開口部の開口幅方向における前記第1基礎部の反対側で前記第2基礎部に隣接する第3本体部と、前記第3本体部における前記第3支持面よりも外側の部分から前記第3支持面よりも上方に延びるとともに前記基礎と前記被支持部材との境界部分である第3境界部分を通じた水の侵入を抑制するために前記第3境界部分を外側から覆う第3立上部と、を含む第3基礎部をさらに有し、
当該外壁構造は、水の侵入を抑制するための止水部材を、前記開口部における前記第1立上部の上端部及び前記第3立上部の上端部よりも下方の領域を外側から覆った状態で前記第1立上部から前記第3立上部に亘って取り付けるための取付手段をさらに有する、外壁構造。
【請求項4】
請求項3に記載の外壁構造において、
前記取付手段は、前記基礎に設けられるとともに前記止水部材の建物内外方向への移動を規制するように前記止水部材を係止する、外壁構造。
【請求項5】
請求項4に記載の外壁構造において、
前記取付手段は、前記止水部材の上下方向への移動を許容するように当該止水部材を保持する、外壁構造。
【請求項6】
請求項3~5のいずれか1項に記載の外壁構造において、
前記止水部材を前記第1立上部又は前記第3立上部と前記被支持部材との間に収納するための収納部をさらに有する、外壁構造。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の基礎とこれに支持される被支持部材との境界部分から建物内部への水の侵入を抑制することができる外壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の基礎とこれに支持される外壁との境界部分から建物内部への雨水の侵入を抑制するために、特許文献1に記載のような水切装置が知られている。この水切装置は、布基礎と、この布基礎天端に立設固定したL字形の土台金具と、この土台金具上に設置した外壁パネルと、土台金具の略中央高さから布基礎にかけてそれらの屋外領域に被覆形成したモルタル上塗層と、モルタル上塗層の上面に配置した水切板と、を備える。
【0003】
モルタル上塗層の上方から降り注いだ雨水は、水切板により一旦受け止められた後、モルタル上塗層の屋外面を伝って地上へ排水される。雨水がモルタル上塗層の上面から布基礎の天端に向けて浸み込むことがないので床下空間への雨水の侵入を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭58-79608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のようにモルタル自体は水の透過を許容する性質を有するため、特許文献1に記載の水切装置においては、例えば洪水が発生して水位が布基礎天端よりも高くなると、水がモルタル上塗層の屋外面から建物内部に向かって侵入するおそれがある。
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、基礎とこれに支持される被支持部材との境界部分から建物内部への水の侵入を効果的に抑制することができる外壁構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明に係る外壁構造は、建物の外壁構造であって、建物の基礎と、前記基礎の上に支持される被支持部材と、を備え、前記基礎は、前記被支持部材を支持するための第1支持面を有する第1本体部と、前記第1本体部における前記第1支持面よりも外側の部分から前記第1支持面よりも上方に延びるとともに前記被支持部材と前記第1支持面との境界部分である第1境界部分を通じた水の侵入を抑制するために前記第1境界部分を外側から覆う第1立上部と、を含む第1基礎部を有する。
【0008】
洪水等の発生により水位が上昇した状況において、基礎とこれに支持される被支持部材との境界部分からの水の侵入を抑制するために、例えば、基礎における被支持部材を支持するための面の高さを上げることが考えられる。しかし、この場合、建物全体の高さ位置を上げる、または、基礎を高くした部分に支持される被支持部材の長さを短くする等、通常の仕様とは異なる設計が必要となる。
【0009】
これに対し、本発明の外壁構造によれば、水の透過を抑制する特性を持つ基礎自体(第1基礎部)が被支持部材と第1支持面との境界部分を外側から覆う第1立上部を有している。そのため、被支持部材を支持する第1支持面の高さを維持したまま、前記境界部分を通じた水の侵入を抑制することができる。
【0010】
したがって、建物全体の高さ位置を上げる、または、被支持部材の長さを短くする等の特殊な設計を行うことなく、洪水時等における水の侵入を効果的に抑制することができる。
【0011】
前記外壁構造において、前記被支持部材は、前記建物の外側と内側とを連通するための開口部が形成された開口形成部を有し、前記基礎は、前記第1立上部の上端部よりも下方の領域において前記開口部を開放するように前記開口形成部を支持するための第2支持面を有するとともに前記第1基礎部に隣接して設けられる第2基礎部をさらに有するのが好ましい。
【0012】
この構成によれば、第2基礎部は、第1立上部の上端部よりも下方の領域において開口部を開放するように開口形成部を支持するための第2支持面を有する。このため、通常時(洪水等による水位の上昇の無い状況)は、開口部による採光を有効に図ることができる。
【0013】
一方、上記のように第1立上部の上端部よりも下方の領域に開口部が配置されている場合、洪水等により水位が開口部下端部よりも上がった状況において、開口部における水位以下の領域を外側から覆う必要がある。
【0014】
そこで、前記外壁構造において、前記基礎は、前記被支持部材を支持するための第3支持面を有するとともに前記開口部の開口幅方向における前記第1基礎部の反対側で前記第2基礎部に隣接する第3本体部と、前記第3本体部における前記第3支持面よりも外側の部分から前記第3支持面よりも上方に延びるとともに前記基礎と前記外壁との境界部分である第3境界部分を通じた水の侵入を抑制するために前記境界部分を外側から覆う第3立上部と、を含む第3基礎部をさらに有し、当該外壁構造は、水の侵入を抑制するための止水部材を、前記開口部における前記第1立上部の上端部及び前記第3立上部の上端部よりも下方の領域を外側から覆った状態で前記第1立上部から前記第3立上部に亘って取り付けるための取付手段をさらに有するのが好ましい。
【0015】
この構成によれば、取付手段が設けられているため、開口部における第1立上部の上端部及び第3立上部の上端部よりも下の領域を外側から覆った状態で止水部材を第1立上部から第3立上部に亘って取り付けることができる。したがって、上述のように、通常時(洪水等による水位の上昇の無い状況)において開口部による採光を有効に図りつつ、洪水等により水位が開口部の下端部よりも上に上昇した場合には止水部材により水の侵入を抑制することができる。
【0016】
前記外壁構造において、前記取付手段は、前記基礎に設けられるとともに前記止水部材の建物内外方向への移動を規制するように前記止水部材を係止するのが好ましい。
【0017】
この構成によれば、止水部材の建物内外方向への移動が規制されるので、洪水等により水位が上昇したときに、止水部材が水圧により建物内側方向へ倒れるのを抑制することができる。このため、効果的に水の侵入を抑制することができる。
【0018】
前記外壁構造において、前記取付手段は、前記止水部材の上下方向への移動を許容するように当該止水部材を保持するのが好ましい。
【0019】
この構成によれば、止水部材を上下方向に移動させることができる。このため、止水部材の建物内外方向への移動が規制された状態であっても、この止水部材を上下方向に移動させることによりこの止水部材を取付手段に対して着脱することができる。
【0020】
前記外壁構造は、前記止水部材を前記第1立上部又は前記第3立上部と前記被支持部材との間に収納するための収納部をさらに有するのが好ましい。
【0021】
この構成によれば、開口部に隣接した位置である第1立上部又は第3立上部と被支持部材との間に止水部材を収納することができる。このため、洪水時等において水位が上昇する過程で、第1立上部と第3立上部との間に位置する開口部を通じて迅速に止水部材を基礎に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明の外壁構造によれば、基礎とこれに支持される被支持部材との境界部分から建物内部への水の侵入を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係る外壁構造を示す正面図である。
図2図1のII-II断面図である。
図3図2のIII-III断面図である。
図4図2のIV-IV断面図である。
図5図2のV-V断面図である。
図6】前記外壁構造に係る基礎の施工方法であって、支持面を形成する工程を示す縦断面図である。
図7】前記施工方法であって、立上部を形成する工程を示す縦断面図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る外壁構造を示す正面図である。
図9図8のIX-IX断面図である。
図10図8のX-X断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0025】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る外壁構造1について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態の外壁構造1を有する建物の一部を示す。なお、以下では、図1の紙面手前側を建物の外側、図1の紙面奥側を建物の内側、図1の紙面左側を単に左側、図1の建物右側を単に右側と記載する。
【0026】
外壁構造1は、基礎5と、基礎5上に支持される被支持部材3と、建物内部への水の侵入を抑制する止水部材7を基礎5に取り付けるための取付手段70と、を有する。
【0027】
基礎5は、図1図3に示すように、被支持部材3における開口形成部40(後述)よりも左側の領域を支持する第1基礎部10と、第1基礎部10の右側に隣接するとともに開口形成部40を支持する第2基礎部20と、第2基礎部20の右側に隣接するとともに被支持部材3における開口形成部40よりも右側の領域を支持する第3基礎部30とを有する。
【0028】
基礎5の材質としては、コンクリートが用いられる。基礎5の材質としてコンクリートを用いることで、モルタルを用いる場合に比べて基礎5の密度を上げることができ、建物内部への水の侵入をより効果的に抑制することができる。また、コンクリートを硬化させる過程でコンクリート内のケイ素膜(Si膜)が表面に析出する。このため、基礎5の内部に水が侵入することを効果的に抑制し、建物内部への水の侵入をより一層抑制することができる。
【0029】
第1基礎部10は、図3に示すように、被支持部材3の後述する柱9及び床8を支持するための第1支持面12aを有する第1本体部12と、第1本体部12における第1支持面12aよりも外側の部分から第1支持面12aよりも上方に延びるとともに後述する柱9の下端部及び床8の縁部と第1支持面12aとの境界部分である第1境界部分を通じた水の侵入を抑制するために第1境界部分を外側から覆う第1立上部14と、を含む。
【0030】
第1支持面12aは、後述するように、被支持部材3の床8の縁部及び柱9の下端部を支持する。第1支持面12aは、地面Gの表面に対して平行な面となるように第1本体部12の上端面に形成される。第1支持面12aの地面Gからの高さは、床8上面の地面Gからの高さに応じて決定される。具体的に、第1支持面12aが被支持部材3を支持している状態において、床8上面の地面Gからの高さが予め設定された高さとなるように、第1支持面12aの地面Gからの高さが決定される。
【0031】
第1立上部14は、後述する柱9の下端部と第1支持面12aとの間の境界部分及び床8の下端部と第1支持面12aとの間の境界部分を外側から覆うように、第1本体部12における第1支持面12aよりも外側の部分から上方に立ち上がる。第1立上部14の上端部の地面Gからの高さは、第1支持面12aの地面Gからの高さよりも高くされており、洪水時の建物の外側の水位として想定される水位よりも高い位置となるように設定される。
【0032】
第1立上部14における建物内側面には、図3に示すように、板状の止水部材7を第1立上部14と柱9との間に収納するための収納部6が形成されている。具体的に、収納部6は、止水部材7の高さ、幅、奥行きのそれぞれの寸法よりも大きな寸法を有し、止水部材7がこの収納部6に収納される。
【0033】
第2基礎部20は、図1及び図2に示すように、第1本体部12の右側にこの第1本体部12と一体に形成される。第2基礎部20の上端面には、図4に示すように、第1立上部14の上端部よりも下方の領域において後述する開口部Aを開放するように開口形成部40と床8を支持する第2支持面20aが形成されている。第2支持面20aの地面Gからの高さは、第1支持面12aの地面Gからの高さと等しくされている。
【0034】
第3基礎部30は、図1図2に示すように、第2基礎部20の右側にこの第2基礎部20と一体に形成される。第3基礎部30は、図5に示すように、後述する柱9及び床8を支持するための第3支持面32aを有する第3本体部32と、第3本体部32における第3支持面32aよりも外側の部分から第3支持面32aよりも上方に延びるとともに後述する柱9の下端部及び床8の縁部と第3支持面32aとの境界部分である第3境界部分を通じた水の侵入を抑制するために第3境界部分を外側から覆う第3立上部34と、を含む。
【0035】
第3支持面32aの地面Gからの高さは、第1支持面12aの地面Gからの高さ及び第2支持面20aの地面Gからの高さと等しくされている。
【0036】
第3立上部34は、柱9の下端部と第3支持面32aとの間の境界部分及び床8の下端部と第3支持面32aとの間の境界部分を外側から覆うように、第3本体部32における第3支持面32aよりも外側の部分から上方に立ち上がる。第3立上部34の上端部の地面Gからの高さは、第1立上部14の上端部の地面Gからの高さと等しくされている。
【0037】
被支持部材3は、図2に示すように、建物の床8と、床8の周縁に設けられる内壁2と、内壁2の建物外側に設けられるとともに鉛直方向への荷重を受ける複数の柱9と、柱9の建物外側に取り付けられる外壁パネル4と、建物の外側と内側とを連通する開口部Aを有する開口形成部40と、を有する。
【0038】
床8の縁部は、基礎5の第1、第2、第3支持面12a、20a、32aにおける内側の領域に支持される。内壁2は、床8の縁部の上面に配置されている。床8と内壁2の材質等については、本実施形態では周知の床と内壁を用いるので詳細な説明を省略する。
【0039】
柱9は、内壁2の建物外側において第1~第3支持面12a、20a、32aに支持されている。柱9は、鉛直方向からの荷重を受けるために上下方向に延びるとともに、外壁パネル4を支持するために左右方向に並んで配置されている。柱9としては、本実施形態では図2及び図3に示すように、リップ溝形鋼(C型鋼)が用いられるが、柱9の構造及び材質はこれに限られない。例えば、柱9として木製のものを採用することもできる。
【0040】
外壁パネル4は、図3及び図5に示すように、その下端部が第1立上部14又は第3立上部34の上端部よりも上方に位置するように、柱9の外側面に設けられている。
【0041】
開口形成部40は、図4に示すように、第2基礎部20の上面に設けられたスペーサー43と、スペーサー43上に設けられるとともに上下方向に延びる枠体42(図1参照)と、枠体42に設けられた2枚の窓44,44と、を有する。枠体42の内側には建物の内側と外側とを連通するための開口部Aが形成されている。開口部Aは、枠体42に形成されている。
【0042】
取付手段70は、止水部材7を第1立上部14から第3立上部34に亘って取り付けるためのものである。具体的に、取付手段70は、図1及び図2に示すように、第1立上部14の右側の端面に設けられるとともに止水部材7の左端部に係止される第1係止部72と、第3立上部34の左側の端面に設けられるとともに止水部材7の右端部に係止される第3係止部74と、を有する。
【0043】
本実施形態で用いられる止水部材7は、図1に示すように、第1立上部14と第3立上部34との間を覆うことができる大きさを有する板材である。具体的に、止水部材7の高さは、第1立上部14及び第3立上部34の高さにほぼ等しく、止水部材7の幅方向の長さは、第1立上部14の右端面と第3立上部34の左端面との間の長さにほぼ等しい。止水部材7の材質としては、鉄やアルミニウム等の金属、又は樹脂等が用いられる。
【0044】
止水部材7は、第1立上部14から第3立上部34に亘って取り付けられた状態で、第1立上部14の上端部及び第3立上部34の上端部よりも下方の領域における開口部Aへの建物外側からの水の侵入を抑制する。
【0045】
第1係止部72は、図1図2図4に示すように、右方向に開くとともに、上下方向に延びる溝72aを有する。第3係止部74は、図1図2に示すように、左方向に開くとともに、上下方向に延びる溝74aを有する。これら第1、第3係止部72、74の溝72a、74aは、止水部材7が嵌合可能となるように、止水部材7の厚みとほぼ同じ長さの幅を有する。止水部材7は、これらの溝72a、74aに嵌合されることにより、建物内外方向への移動が規制された状態で第1係止部72及び第2係止部74に係止される。また、これらの溝72a、74aは、基礎5に取り付けられた止水部材7の上方向への移動を許容するために上方向に開口している。これらの溝72a、74aの下端部は第2基礎部20の上面により閉じられており、これにより止水部材7が下方向に抜け落ちることが規制される。
【0046】
このように、止水部材7は、その左端部が第1係止部72の溝に係止され、右端部が第3係止部74の溝に係止されることにより、上下方向への移動が許容されかつ止水部材7の建物内外方向への移動が規制された状態で第1係止部72及び第3係止部74に係止される。
【0047】
また、止水部材7の係止状態において、止水部材7と第1係止部72との間、止水部材7と第3係止部74との間、止水部材7と第2支持面20aとの間には、シール材を設けるのが好ましい。これにより、止水部材7と第1係止部72、第3係止部74、第2支持面20aとの間をシールし、建物外側からの水の侵入をより効果的に抑制することができる。
【0048】
(施工手順)
以下、基礎5の施工手順、特に第1基礎部10及び第3基礎部30の施工手順について、図6及び図7を用いて説明する。
【0049】
まずは、第1支持面12a及び第3支持面32aに対応する上面51aを有するコンクリート部材51を形成する。
【0050】
具体的に、図6に示すように、上下方向に延びるとともに互いに対向する一対の板状の枠板55、55を、地盤Hの上に設置する。そして枠板55にコンクリートを流し込んで硬化させ、コンクリート部材51を形成する。この時、振動を加えつつコンクリートを硬化させることが好ましい。これにより、コンクリート部材51の密度を向上させて水の侵入をより効果的に抑制することができる。
【0051】
次に図7に示すように、断面視L字状のコンクリート部材53をコンクリート部材51に隣接した位置に形成する。具体的に、コンクリート部材53は、コンクリート部材51の一方側(本実施形態では図7の紙面左側)の面に隣接するとともに上下方向に延びる第1部分と、第1部分の下端部から一方側に延びる第2部分と、を含む。また、第1部分の上端部は、コンクリート部材51の上面51aよりも高い位置まで立ち上がる。
【0052】
このようなコンクリート部材53を形成するために、本実施形態では、図7に示すように枠板54,56,57,58、を用いる。
【0053】
具体的に、コンクリート部材51の外側における地盤Hより高く地面Gよりも低い位置でコンクリート部材51の外側面から外側に延びるように枠板56を設置する。また、枠板57は、内外方向に所定の厚みを有する。この枠板57の下面が枠板56の上面と対向し、枠板57の内側面がコンクリート部材51の外側面と対向し、枠板57がコンクリート部材51の上端を超えて上に延び、さらに枠板57の外側面が枠板56の外側面と同一平面状に位置するように枠板57を設置する。枠板54は、枠板56、57間で外側に開く開口を閉じるように枠板56、57の外側面に密着して配置される。枠板58の外側面が枠板57の内側面と対向し、かつ、枠板58の外側面とコンクリート部材51の外側面とが同一平面状に位置するように枠板58をコンクリート部材51上に設置する。
【0054】
このように、枠板54、56~58を設置した状態で、これら枠板54、56~58及びコンクリート部材51の間に形成された空間、つまり、コンクリート部材53の断面形状に相当する空間にコンクリートを流し込んで硬化させ、コンクリート部材53を形成する。これにより、コンクリート部材51とコンクリート部材53は一体に形成され、本実施形態の第1基礎部10又は第3基礎部30として用いられる。なお、コンクリート部材53における、コンクリート部材51の上面51aよりも地面Gの表面からの高さが高い部分は、第1基礎部10の第1立上部14又は第3立上部34に対応する。
【0055】
また、次のような方法で一体化をより強固なものにすることができる。すなわち、図7に示すように、コンクリート部材51における外側面に埋め込みナット60を埋め込んだ状態で、コンクリート部材51を硬化させ、枠板55の取り外し後に、埋め込みナット60にボルト61を螺合する。そしてこれら枠板54、56~58及びコンクリート部材51の間に形成された空間にコンクリートを流し込んでコンクリート部材53を形成する。これにより、コンクリート部材51とコンクリート部材53との一体化をより強固なものにすることができる。
【0056】
なお、コンクリート部材53の硬化のために、水圧に抵抗するための鉄筋をコンクリート部材53の内部に配置してもよい。
【0057】
上記手順において、地盤によりコンクリート部材53の下端部が形成できる場合には、地盤を枠板56の代わりに用いることにより枠板56の設置を省略することができる。
【0058】
また、図7の二点鎖線で示すように、止水部材7の高さ、幅、奥行きのそれぞれの寸法よりも大きな寸法を有する枠板59を枠板58の一方側に隣接して配置した状態で、コンクリートを流し込んで硬化させることで、第1基礎部10の立上部14の凹部を形成することができる。
【0059】
なお、コンクリートが完全に硬化すると、コンクリート部材51とコンクリート部材53は一体化される。そのため、図3では、第1基礎部10におけるコンクリート部材51、53の境界線に対応する線を省略している。このことは、図5の第3基礎部30でも同様である。
【0060】
第2基礎部20の施工方法については、公知の基礎の施工方法と同様なのでその詳細な説明を省略する。
【0061】
(作用効果)
本実施形態の外壁構造1によれば、水の透過を抑制する性質を有する特性を持つ基礎自体(第1基礎部10)が被支持部材3と第1支持面12aとの境界部分を外側から覆う第1立上部14を有している。そのため、被支持部材3を支持する第1支持面12aの高さを維持したまま、境界部分を通じた水の侵入を抑制することができる。
【0062】
したがって、建物全体の高さ位置を上げる、または、被支持部材3の長さを短くする等の特殊な設計を行うことなく、洪水時等における水の侵入を効果的に抑制することができる。
【0063】
また、第2基礎部20は、第1立上部14の上端部よりも下方の領域において開口部Aを開放するように開口形成部40を支持するための第2支持面20aを有する。このため、通常時(洪水等による水位の上昇の無い状況)は、開口部Aによる採光を有効に図ることができる。
【0064】
一方、上記のように第1立上部14の上端部よりも下方の領域に開口部Aが配置されている場合、洪水等により水位が開口部Aの下端部よりも上がった状況において、開口部Aにおける水位以下の領域を外側から覆う必要がある。
【0065】
また、止水部材7を基礎5に取り付けるための取付手段70が設けられているため、開口部Aにおける第1立上部14の上端部及び第3立上部34の上端部よりも下の領域を外側から覆った状態で止水部材7を第1立上部14から第3立上部34に亘って取り付けることができる。したがって、上述のように、通常時(洪水等による水位の上昇の無い状況)において開口部Aによる採光を有効に図りつつ、洪水等により水位が開口部Aの下端部よりも上に上昇した場合には止水部材7により水の侵入を抑制することができる。
【0066】
また、第1係止部72が第1立上部14に設けられ、第3係止部74が第3立上部34に設けられるので、止水部材7を第1係止部72と第3係止部74を介して第1立上部14と第3立上部34に亘って設けることができる。このため、止水部材7を安定して基礎5に取り付けることができ、開口部Aからの水の侵入をより一層抑制することができる。
【0067】
また、取付手段70は、基礎5に設けられるとともに止水部材7の建物内外方向への移動を規制するように止水部材7を係止するので、洪水等により水位が上昇したときに、止水部材7が水圧により建物内側方向へ倒れるのを抑制することができる。このため、効果的に水の侵入を抑制することができる。
【0068】
また、取付手段70は、止水部材7の上下方向への移動を許容するように止水部材7を保持するので、止水部材7の建物内外方向への移動が規制された状態であっても、この止水部材7を上下方向に移動させることによりこの止水部材7を取付手段70に対して着脱することができる。
【0069】
また、外壁構造1は、止水部材7を第1立上部14又は第3立上部34と被支持部材3との間に収納するための収納部6をさらに有するので、開口部Aに隣接した位置である第1立上部14又は第3立上部34と被支持部材3との間に止水部材7を収納することができる。このため、洪水時等において水位が上昇する過程で、第1立上部14と第3立上部34との間に位置する開口部Aを通じて迅速に止水部材7を基礎5に取り付けることができる。
【0070】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態に係る外壁構造100について、第1実施形態に係る外壁構造1との相違点を中心に説明する。図8は、本実施形態の外壁構造100を有する建物の玄関を示す。
【0071】
具体的に外壁構造100は、図8図10に示すように、基礎105と、基礎105上に支持される被支持部材103と、建物内部への水の侵入を抑制するための止水部材107A、107Bを基礎105に取り付けるための取付手段170と、を備える。なお、以下では、図9の紙面右方向を右方向、紙面左方向を左方向、紙面上方向を後方向、紙面下方向を前方向と、記載する。
【0072】
なお、被支持部材103は、図9に示すように、左右方向に延びる第1被支持部材103Aと、第1被支持部材103Aの右側の端部から後方向に延びる第2被支持部材103Bと、第2被支持部材103Bの後側の端部から右方向に延びる第3被支持部材103Cと、第3被支持部材103Cの右側の端部から後方向に延びる103Dと、を含む。
【0073】
基礎105は、図9に示すように、第1被支持部材103Aを支持する第1基礎部110と、第1基礎部110の右側に隣接するとともに第2、第3被支持部材103B、103Cを支持する第2基礎部120と、第2基礎部120の後側に隣接するとともに第4被支持部材103Dを支持する第3基礎部130とを有する。
【0074】
第1基礎部110は、第1被支持部材103Aの後述する柱109を支持するための第1支持面112aを有する第1本体部112と、第1本体部112における第1支持面112aよりも外側(建物前側)の部分から第1支持面112aよりも上方に延びるとともに第1被支持部材103Aの柱109の下端部と第1支持面112aとの境界部分及び床と第1支持面112aとの境界部分である第1境界部分を通じた水の侵入を抑制するために第1境界部分を外側(建物前側)から覆う第1立上部114と、を含む。
【0075】
第1支持面112aの地面Gからの高さは、第1実施形態の第1支持面12aの地面Gからの高さと等しくされている。
【0076】
第1立上部114における建物内側面には、図8の点線に示すように、板状の止水部材107Aを第1立上部114と第1被支持部材103Aの柱109との間に収納するための収納部106が形成されている。収納部106は、107Aの高さ、幅、奥行きのそれぞれの寸法よりも大きな寸法を有する。
【0077】
第2基礎部120は、第1本体部112の右側にこの第1本体部112と一体に形成されている。第2基礎部120の上端面には、第2被支持部材103Bの柱109及び第3被支持部材103Cの柱109を支持する第2支持面120aが形成されている。第2支持面120aの地面からの高さは、図10に示すように、後述するポーチ床Pの上面の地面からの高さはほぼ等しくされている。
【0078】
なお、建物の設計においては、床よりも土間の方が地面からの高さが低くされるのが通常なので、第2支持面120a及びポーチ床Pの上面の地面からの高さは、第1実施形態の第2支持面20aの地面からの高さよりも低く設定されている。
【0079】
第3基礎部130は、図9に示すように、第4被支持部材103Dの柱109を支持するための第3支持面132aを有する第3本体部132と、第3本体部132における第3支持面132aよりも外側(建物右側)の部分から第3支持面132aよりも上方に延びるとともに第4被支持部材103Dの柱109の下端部と第3支持面132aとの境界部分である第3境界部分を通じた水の侵入を抑制するために第3境界部分を外側(建物右側)から覆う第3立上部134と、を含む。
【0080】
第3支持面132aの地面Gからの高さは、第1支持面112a及び第2支持面120aの地面Gからの高さに等しくされている。
【0081】
第3立上部134における建物内側面(左側面)には、板状の止水部材107Bを第3立上部134と第4被支持部材103Dの柱109との間に収納するための収納部(不図示)が形成されている。第3立上部134の収納部は、107Bの高さ、幅、奥行きのそれぞれの寸法よりも大きな寸法を有する。
【0082】
基礎105の施工方法については、第1実施形態の基礎5の施工方法と同様なので詳細な説明を省略する。
【0083】
なお、本実施形態では、第2被支持部材103Bの右側に面しかつ第3被支持部材103Cの前側に面する領域として、玄関のポーチが区画される。玄関のポーチの床を構成するポーチ床Pは、第2被支持部材103Bの右側及び第3被支持部材103Cの前側に隣接して設けられ、ポーチ床Pの上面の地面Gからの高さは、図10に示すように、第2支持面120aの地面からの高さとほぼ等しくされている。
【0084】
第1~第4被支持部材103A~103Dは、床(不図示)と、この床の周縁に設けられる内壁102と、内壁102の建物外側に設けられる柱109と、柱109の建物外側面に設けられた外壁パネル104と、を有する。
【0085】
床の縁部は、基礎105の第1、第2、第3支持面112a、120a、132aに支持される。内壁102は、床の縁部の上面に配置されている。
【0086】
柱109は、第1、第3被支持部材103A、103Cの内壁102の建物前側及び第2、第4被支持部材103B、103Dの内壁102の建物右側に配置されている。それぞれの柱109は、荷重を負担するために、第1、第2、第3支持面112a、120a、132aに支持されている。柱109の構成については第1実施形態の柱9と同様なので詳細な説明を省略する。
【0087】
外壁パネル104は、その下端部が第1立上部114又は第3立上部134の上端部よりも上方に位置するように、柱109の外側面に取り付けられている。なお、第1、第3被支持部材103A、103Cの外壁パネル104はそれぞれ前側を向くように配置され、第2、第4被支持部材103B、103Dの外壁パネル104はそれぞれ右側を向くように配置されている。
【0088】
第3被支持部材103Cは、図8及び図9に示すように、建物の内外を連通する開口部Bを形成するための開口形成部140をさらに有する。開口形成部140は、前後方向に開口して建物の内部と外部とを連通するための開口部Bが形成された枠体142と、この枠体142に設けられるとともに開口部Bを開閉する開き戸144とを有する。枠体142は、第2基礎部120の第2支持面120aに支持されている。
【0089】
取付手段170は、図9に示すように、ポーチ床P上への水の侵入を抑制する止水部材107A、107Bを中継するための第2立上部173と、止水部材107Aの左端部を係止するための第1係止部171と、止水部材107Aの右端面を係止するための第2係止部172と、止水部材107Bの前端部を係止するための第3係止部174と、止水部材107Bの後端部を係止するための第4係止部175(本発明の第3係止部に対応)と、を有する。
【0090】
本実施形態で用いられる止水部材107Aは、図8に示すように、第1立上部114と第2立上部173との間を覆うことができる大きさを有する板材である。具体的に、止水部材107Aの高さは、第1立上部14及び第2立上部173の高さにほぼ等しく、止水部材107Aの左右方向の長さは、第1立上部14の右端部と第3立上部34の左端部との間の長さにほぼ等しい。
【0091】
また、本実施形態で用いられる止水部材107Bは、第2立上部173と第3立上部134との間を覆うことができる大きさの板材である。具体的に、止水部材107Bの高さは、第2立上部173及び第3立上部134の高さにほぼ等しく、止水部材107Bの前後方向の長さは、第2立上部173の後端部と第3立上部134の前端部との間の長さにほぼ等しい。
【0092】
止水部材107A、107Bは、第1立上部114から第2立上部173を経由して第3立上部34に亘って取り付けられた状態で、第1立上部114の上端部及び第3立上部134の上端部よりも下方の領域における開口部Bへの建物外側からの水の侵入を抑制する。
【0093】
第2立上部173は、図9に示すように、止水部材107A、107Bを第1立上部114と第3立上部134との間で中継するために、ポーチ床Pの上面における建物前側かつ建物右側の隅部に設けられる。また、第2立上部173の上端部の地面Gからの高さは、第1、第3立上部114、134の上端部の地面Gからの高さと等しくされれている。なお、ポーチを覆う屋根が建物に設けられている場合には、第2立上部173を屋根まで延長して、第2立上部173の上端を屋根に接続してもよい。
【0094】
第1係止部171は、第1立上部114の右端部に設けられ、第2係止部172は、第2立上部173の左端部に設けられている。第1係止部171が止水部材107Aの左端部を係止し、第2係止部172が止水部材107Aの右端部を係止することにより、止水部材107Aがポーチ床Pの上面における建物前側に係止される。
【0095】
また、第3係止部174は、第2立上部173の後端部に設けられ、第4係止部175は、第3立上部134の前端部に設けられる。第3係止部174が止水部材107Bの前端部を係止し、第4係止部175が止水部材107Bの後端部を係止することにより、止水部材107Bがポーチ床Pの上面における建物右側に係止される。
【0096】
第1、第2、第3、第4係止部171,172,174,175は、図9に示すように、それぞれ右方向、左方向、後方向、前方向に開くとともに上下方向に延びる溝を有する。そして、止水部材107Aの左右方向の端部、及び止水部材107Bの前後方向の端部が対応する係止部171,172,174,175の溝に係止されることにより、止水部材107A、107Bの上下方向の移動を許容しつつ、止水部材107Aの建物前後方向及び止水部材107Bの建物左右方向への移動を規制した状態で、止水部材107A,107Bを第1立上部と第3立上部134に亘って設けることができる。
【0097】
(変形例)
前記実施形態は本発明の好ましい具体例を例示したものに過ぎず、本発明は前記実施形態に限定されない。
【0098】
前記第1実施形態及び第2実施形態では、建物の窓を止水部材7により外側から覆う場合及び建物の玄関のポーチを止水部材107A,107Bにより外側から覆う場合について説明した。しかし、止水部材を取り付けることができる場所はこれに限られない。例えば、第1実施形態の開口形成部40の代わりに勝手口を採用し、この勝手口を止水部材7により外側から覆っても良い。この場合、この勝手口への水の侵入を止水部材7により抑制することができる。
【0099】
また、室外機等の機器を収納するために建物外側方向に開口する凹部を有する外壁を用い、この凹部を止水部材により外側から覆っても良い。具体的に、この外壁を支持する基礎は、凹部の左右方向両側に設けられた第1基礎部と、これら第1基礎部の間で凹部を支持するとともに凹部内に機器を載置するための載置部と、を含む。この第1基礎部は、第1実施形態の第1基礎部10と同様の構成を有する。また、載置部の上端面の地面Gからの高さは、第1基礎部の第1支持面の地面Gからの高さと略等しくされている。これら第1基礎部の第1立上部には、これら第1立上部に亘って止水部材を取り付けるための取付手段が設けられている。この場合、取付手段を用いて止水部材を第1立上部に取り付けることにより、凹部への水の侵入を抑制し、洪水時等に載置部上の機器を保護することができる。なお、止水部材を用いる代わりに、凹部を外側から覆うように第1立上部と同じ高さの立上部を載置部に設けても良い。
【0100】
前記第1実施形態では、第1係止部72と第3係止部74を用いて止水部材7を左右方向の両端部から係止することにより止水部材7を基礎5に取り付けたが、止水部材7を基礎5に取り付けるための取付手段はこれらに限られない。例えば、第1係止部72と第3係止部74を用いるのに加えて、上方向に開くとともに、左右方向に延びる溝を有する第2係止部を第2基礎部20の上面における第1立上部14と第3立上部34との間に設けても良い。この場合、第1係止部72と第2係止部と第3係止部74とにより、止水部材7を左右方向の両端部及び下端部から係止することができる。これにより、止水部材7を基礎5に取り付けた状態において、止水部材7の下端部と第2支持面20aとの間の隙間から水が侵入するのを第2係止部により抑制することができる。
【0101】
前記第1実施形態では、先にコンクリート部材51を形成し、次いでコンクリート部材51の隣にコンクリート部材53を形成するにより第1基礎部10及び第3基礎部30を形成したが、第1基礎部10及び第3基礎部30の施工方法はこれに限られない。例えば、第1基礎部10及び第3基礎部30が結合された形状の空間を区画可能な枠板にコンクリートを流し込むことにより第1基礎部10及び第3基礎部30を形成しても良い。
【0102】
前記第1実施形態では、基礎5に取り付けられた止水部材7が下方に抜け落ちることを規制するために、第1、第3係止部72、74の溝72a、74aの下端部を第2基礎部20の上面により閉じていた。しかし、図1の点線で示すように止水部材7を下方向に取り外すことができるように、溝72a、74aの下端部を開口しても良い。具体的には、図2に示すように、溝72a、74aが下方向に開口するように第1、第3係止部72、74を基礎5の建物外側の面よりも外側に設けても良い。
【0103】
これにより、洪水等による水位上昇が発生していないときには、止水部材7を基礎5の建物外側(図2の点線で示す位置)に設置することができる。また、洪水等による水位上昇が発生しているときには、図2の点線で示す位置に設置された止水部材7を下方から容易に第1、第3係止部72,74に係止することができる。
【0104】
なお、止水部材7を第1、第3係止部72,74に係止する手段は特に限定されないが、例えば、止水部材7と第1、第3係止部72,74の溝72a、74aとの間で発生する摩擦抵抗により止水部材7を第1、第3係止部72,74に係止しても良い。
【0105】
上述した第1実施形態の変形例は、第2実施形態の変形例としても同様に適用される。
【0106】
その他、本発明の特許請求の範囲内で種々の設計変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0107】
1、100 外壁構造
2、102 内壁
3、103 被支持部材
4、104 外壁パネル
5、105 基礎
6、106 収納部
7、107A、107B 止水部材
8 床
9、109 柱
10、110 第1基礎部
12、110 第1本体部
12a、112a 第1支持面
14、114 第1立上部
20、120 第2基礎部
20a、120a 第2支持面
30、130 第3基礎部
32、132 第3本体部
32a、132a 第3支持面
34、134 第3立上部
40、140 開口形成部
51、53 コンクリート部材
54~59 枠板
60 埋め込みナット
61 ボルト
70、170 取付手段
72、171 第1係止部
74、174 第3係止部
172 第2係止部
173 第2立上部
175 第4係止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10