(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180991
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】光学ユニット及びスマートフォン
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20221130BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20221130BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20221130BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G02B7/02 Z
H04N5/225 400
H04N5/232 480
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087801
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】大坪 京史
【テーマコード(参考)】
2H044
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AJ06
2K005CA03
2K005CA04
2K005CA44
2K005CA46
2K005CA53
5C122DA09
5C122EA01
5C122EA41
5C122FB15
5C122GE04
5C122GE06
5C122GE11
5C122HA82
(57)【要約】 (修正有)
【課題】可動体と支持体の分離を抑制できる構造の提供。
【解決手段】光学ユニットは、可動体と、第1支持部材と、支持体と、揺動機構とを有する。可動体は、光の進行方向を変える光学要素を有する。第1支持部材は、可動体を支持する。支持体は、第1支持部材を介して、揺動軸線を中心として揺動可能に、可動体を支持する。揺動機構は、揺動軸線を中心として可動体を揺動する。第1支持部材は、揺動軸線上に配置される。第1支持部材は、可動体側に位置する可動体側支持部と、支持体側に位置する支持体側支持部とを有する。可動体側支持部と支持体側支持部とは、互いに接触する。可動体側支持部及び支持体側支持部の一方は、磁石を含む。可動体側支持部及び支持体側支持部の他方は、磁性体又は磁石を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の進行方向を変える光学要素を有する可動体と、
前記可動体を支持する第1支持部材と、
前記第1支持部材を介して、揺動軸線を中心として揺動可能に、前記可動体を支持する支持体と、
前記揺動軸線を中心として前記可動体を揺動する揺動機構と
を有し、
前記第1支持部材は、前記揺動軸線上に配置され、
前記第1支持部材は、
前記可動体側に位置する可動体側支持部と、
前記支持体側に位置する支持体側支持部と
を有し、
前記可動体側支持部と前記支持体側支持部とは、互いに接触し、
前記可動体側支持部及び前記支持体側支持部の一方は、磁石を含み、
前記可動体側支持部及び前記支持体側支持部の他方は、磁性体又は磁石を含む、光学ユニット。
【請求項2】
前記可動体側支持部及び前記支持体側支持部の一方は、前記可動体側支持部及び前記支持体側支持部の他方に向かって突出する、請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項3】
前記可動体側支持部は、前記支持体側支持部に向かって突出し、
前記可動体側支持部は、前記磁性体を含み、
前記支持体側支持部は、前記磁石を含む、請求項2に記載の光学ユニット。
【請求項4】
前記揺動軸線の延びる方向を示す揺動軸方向から見て、前記可動体側支持部の前記磁性体は、前記支持体側支持部の前記磁石の外縁内に収まる、請求項3に記載の光学ユニット。
【請求項5】
前記可動体側支持部は、前記可動体に固定される、請求項3又は請求項4に記載の光学ユニット。
【請求項6】
前記可動体側支持部は、曲面を含み、
前記曲面は、前記支持体側支持部に対して点接触する、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の光学ユニット。
【請求項7】
前記可動体側支持部は、球体である、請求項6に記載の光学ユニット。
【請求項8】
前記支持体側支持部は、前記磁石の少なくとも一部を覆うコーティング層をさらに含む、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の光学ユニット。
【請求項9】
前記可動体側支持部と前記支持体側支持部との間に潤滑剤が配置される、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の光学ユニット。
【請求項10】
前記揺動軸線から離隔した位置に配置され、前記可動体と前記支持体とを接続する複数の弾性部をさらに有し、
前記弾性部は、前記揺動軸線を中心として揺動可能に前記可動体を支持する、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の光学ユニット。
【請求項11】
前記可動体と前記支持体との間に配置され、前記可動体を支持する複数の第2支持部材を更に有し、
前記複数の第2支持部材は、前記揺動軸線から離隔した位置に配置され、
前記第1支持部材及び前記複数の第2支持部材は、同一円周上に配置される、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の光学ユニット。
【請求項12】
前記可動体は、
前記光学要素を保持するホルダと、
前記揺動軸線と交差するホルダ揺動軸線を中心として揺動可能に、前記ホルダを支持するホルダ支持部と
を有し、
前記光学ユニットは、前記ホルダ揺動軸線を中心として前記ホルダを前記ホルダ支持部に対して揺動するホルダ揺動機構をさらに有する、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の光学ユニット。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の光学ユニットを有する、スマートフォン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学ユニット及びスマートフォンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光学部材駆動機構は、第1可動部、固定部、及び、第1駆動アセンブリを含む(例えば、特許文献1参照)。第1可動部は、光学部材に接続される。第1可動部は、固定部に対して可動である。第1駆動アセンブリは、第1可動部を駆動して、固定部に対して移動するように構成される。
【0003】
固定部は、ベース、ハウジング、及び、回路基板を含み、ベース及びハウジングは、スナップフィットジョイント又は接着剤を使用して組み立てることができる。
【0004】
第1駆動アセンブリは、少なくとも1つの磁石、少なくとも1つのコイル、位置センサ、及び、コントローラを含む。磁石は、第1可動部に取り付けられ、収容凹部に収容される。コイルに電流が流れると、磁石とコイルとの間に電磁効果が発生し、第1可動部が駆動されて固定部に対して作動する。
【0005】
更に、従来の光学部材駆動機構は、少なくとも1つの透磁率部材を含む。透磁率部材は、回路基板上に配置され、磁石に対応する。従って、第1可動部は、透磁率部材と磁石との間の磁気引力により、ベースに密着することができる。従って、第1可動部とベースとの間の分離が回避される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/72530号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、従来の光学部材駆動機構では、ベースを含む固定部(支持体)と第1可動部(可動体)との分離は、第1可動部を駆動するための磁石と、固定部の透磁率部材との間の磁気引力によって回避される。
【0008】
本開示の目的は、可動体と支持体との分離を抑制できる新規な構造を有する光学ユニット及びスマートフォンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の例示的な光学ユニットは、可動体と、第1支持部材と、支持体と、揺動機構とを有する。可動体は、光の進行方向を変える光学要素を有する。第1支持部材は、前記可動体を支持する。支持体は、前記第1支持部材を介して、揺動軸線を中心として揺動可能に、前記可動体を支持する。揺動機構は、前記揺動軸線を中心として前記可動体を揺動する。前記第1支持部材は、前記揺動軸線上に配置される。前記第1支持部材は、前記可動体側に位置する可動体側支持部と、前記支持体側に位置する支持体側支持部とを有する。前記可動体側支持部と前記支持体側支持部とは、互いに接触する。前記可動体側支持部及び前記支持体側支持部の一方は、磁石を含む。前記可動体側支持部及び前記支持体側支持部の他方は、磁性体又は磁石を含む。
【0010】
本開示の他の例示的なスマートフォンは、上記の光学ユニットを有する。
【発明の効果】
【0011】
例示的な本開示によれば、可動体と支持体との分離を抑制できる新規な構造を有する光学ユニット及びスマートフォンを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る光学ユニットを備えたスマートフォンを模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る光学ユニットを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る光学ユニットを可動体と第1支持部材と支持体とに分解した分解斜視図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る光学ユニットの可動体の分解斜視図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る光学ユニットの光学要素及びホルダの分解斜視図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る光学ユニットの光学要素、ホルダ及び第1予圧部を示す分解斜視図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る光学ユニットの光学要素、ホルダ、第1予圧部、第1支持部及び第2磁石を示す分解斜視図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係る光学ユニットの可動体を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、本実施形態に係る光学ユニットの支持体の分解斜視図である。
【
図11A】
図11Aは、本実施形態の第1変形例に係る光学ユニットの第1支持部材を模式的に示す断面図である。
【
図11B】
図11Bは、本実施形態の第2変形例に係る光学ユニットの第1支持部材を模式的に示す断面図である。
【
図12】
図12は、本実施形態の第3変形例に係る光学ユニットの弾性部周辺の構造を模式的に示す断面図である。
【
図13】
図13は、本実施形態の第4変形例に係る光学ユニットの弾性部周辺の構造を模式的に示す断面図である。
【
図14】
図14は、本実施形態の第5変形例に係る光学ユニットの可動体を示す斜視図である。
【
図15A】
図15Aは、本実施形態の第5変形例に係る光学ユニットを示す断面図である。
【
図15B】
図15Bは、本実施形態の第5変形例に係る光学ユニットの可動体において第1支持部材の可動体側支持部及び第2支持部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0014】
本明細書では、理解の容易のため、互いに交差する第1方向X、第2方向Y及び第3方向Zを適宜記載している。また、本明細書では、第1方向X、第2方向Y及び第3方向Zは互いに直交しているが、直交していなくてもよい。また、第1方向の一方側を第1方向Xの一方側X1と記載し、第1方向の他方側を第1方向Xの他方側X2と記載する。また、第2方向の一方側を第2方向Yの一方側Y1と記載し、第2方向の他方側を第2方向Yの他方側Y2と記載する。また、第3方向の一方側を第3方向Zの一方側Z1と記載し、第3方向の他方側を第3方向Zの他方側Z2と記載する。また、便宜上、第1方向Xを上下方向として説明する場合がある。第1方向Xの一方側X1は下方向を示し、第1方向Xの他方側X2は上方向を示す。ただし、上下方向、上方向、及び下方向は、説明の便宜上定めるものであり、鉛直方向に一致する必要はない。また、あくまで説明の便宜のために上下方向を定義したに過ぎず、本開示に係る光学ユニットの使用時及び組立時の向きを限定しない。
【0015】
まず、
図1を参照して、光学ユニット1の用途の一例について説明する。
図1は、本開示の実施形態に係る光学ユニット1を備えたスマートフォン200を模式的に示す斜視図である。スマートフォン200は、光学ユニット1を有する。光学ユニット1は、入射した光を特定の方向に反射する。
図1に示すように、光学ユニット1は、例えばスマートフォン200の光学部品として好適に用いられる。なお、光学ユニット1の用途は、スマートフォン200に限定されず、デジタルカメラ及びビデオカメラなどの種々の装置に使用できる。
【0016】
スマートフォン200は、光の入射するレンズ202を有する。スマートフォン200では、光学ユニット1は、レンズ202よりも内側に配置される。光Lがレンズ202を介してスマートフォン200の内部に入射すると、光Lは光学ユニット1によって進行方向が変更される。そして、光Lは、レンズユニット(図示せず)を介して撮像素子(図示せず)で撮像される。
【0017】
次に、
図2から
図10を参照して、光学ユニット1について説明する。
図2は、本実施形態に係る光学ユニット1を示す斜視図である。
図3は、本実施形態に係る光学ユニット1を可動体2と第1支持部材50と支持体3とに分解した分解斜視図である。
図2及び
図3に示すように、光学ユニット1は、可動体2と、第1支持部材50と、支持体3と、第2揺動機構120とを少なくとも有する。本実施形態では、光学ユニット1は、予圧部40を有する。また、本実施形態では、光学ユニット1は、第1揺動機構110をさらに有する。また、本実施形態では、光学ユニット1は、予圧部40をさらに有する。なお、第2揺動機構120は、本開示の「揺動機構」の一例である。第1揺動機構110は、本開示の「ホルダ揺動機構」の一例である。予圧部40は、「ホルダ予圧部」と記載することもできる。以下、詳細に説明する。
【0018】
図4は、本実施形態に係る光学ユニット1の可動体2の分解斜視図である。
図2から
図4に示すように、光学ユニット1は、可動体2と、支持体3とを有する。支持体3は、第1支持部材50を介して、第2揺動軸線A2を中心として揺動可能に、可動体2を支持する。なお、第2揺動軸線A2は、本開示の「揺動軸線」の一例である。
【0019】
可動体2は、光学要素10を有する。また、可動体2は、ホルダ20と、第1支持部30とを有する。なお、第1支持部30は、本開示の「ホルダ支持部」の一例である。また、可動体2は、予圧部40を有する。光学要素10は、光の進行方向を変える。ホルダ20は、光学要素10を保持する。第1支持部30は、第2揺動軸線A2と交差する第1揺動軸線A1を中心として揺動可能に、ホルダ20及び光学要素10を支持する。なお、第1揺動軸線A1は、本開示の「ホルダ揺動軸線」の一例である。また、第1支持部30は、第2揺動軸線A2を中心として揺動可能に、支持体3に支持される。より具体的には、第1支持部30は、第2揺動軸線A2を中心として揺動可能に、支持体3の第2支持部60に支持される。
【0020】
つまり、ホルダ20は第1支持部30に対して揺動可能であり、第1支持部30は第2支持部60に対して揺動可能である。従って、第1揺動軸線A1及び第2揺動軸線A2のそれぞれを中心として光学要素10を揺動できるため、第1揺動軸線A1及び第2揺動軸線A2のそれぞれを中心として光学要素10の姿勢を補正できる。よって、2つの方向において像ブレを抑制できる。その結果、1つの揺動軸線のみを中心として光学要素10を揺動させる場合に比べて、補正精度を向上できる。なお、第1揺動軸線A1は、ピッチング軸とも呼ばれる。第2揺動軸線A2は、ロール軸とも呼ばれる。
【0021】
第1揺動軸線A1は、第1方向X及び第2方向Yに対して交差する第3方向Zに沿って延びる軸線である。また、第2揺動軸線A2は、第1方向Xに沿って延びる軸線である。従って、第1方向X及び第2方向Yと交差する第1揺動軸線A1を中心として光学要素10を揺動できる。また、第1方向Xに沿って延びる第2揺動軸線A2を中心として光学要素10を揺動できる。よって、光学要素10の姿勢を適切に補正できる。また、第1方向X及び第2方向Yは、光L(
図5A)の進行方向に沿った方向である。つまり、光の進行方向である第1方向X及び第2方向Yと交差する第1揺動軸線A1を中心として光学要素10を揺動できる。従って、光学要素10の姿勢をより適切に補正できる。
【0022】
また、第1支持部30は、第3方向Zにホルダ20を支持する。従って、ホルダ20を、第3方向Zに沿って延びる第1揺動軸線A1を中心として容易に揺動できる。具体的には、本実施形態では、第1支持部30は、予圧部40を介して第3方向Zにホルダ20を支持する。
【0023】
次に、
図3及び
図5を参照して、第1支持部材50を説明する。
図3に示すように、第1支持部材50は、可動体2と支持体3との間に配置される。また、第1支持部材50は、第2揺動軸線A2上に配置される。
【0024】
図5Aは、
図2のVA-VA線に沿った断面図である。
図5Aに示すように、第1支持部材50は、第1方向Xの一方側X1から可動体2を支持する。第1支持部材50は、可動体側支持部51と、支持体側支持部52とを有する。可動体側支持部51は、可動体2側に位置する。支持体側支持部52は、支持体3側に位置する。可動体側支持部51と支持体側支持部52とは、互いに接触する。可動体側支持部51及び支持体側支持部52の一方は、磁石を含む。可動体側支持部51及び支持体側支持部52の他方は、磁性体又は磁石を含む。
【0025】
従って、本実施形態によれば、光学ユニット1の姿勢に依存することなく、磁石の磁力に起因する引力によって可動体側支持部51と支持体側支持部52との接触状態が維持される。その結果、光学ユニット1の姿勢に依存することなく、可動体2と支持体3とが第1方向Xに分離することを抑制できる。つまり、可動体2と支持体3との第1方向Xの位置関係が一定に維持される。本実施形態では、第1方向Xは、第2揺動軸線A2(
図3)が延びる方向を示す。また、第1方向Xは、本開示の「揺動軸方向」の一例に相当する。磁石は、例えば、合金磁石、フェイライト磁石、又は、希土類磁石である。希土類磁石は、例えば、ネオジム磁石である。磁性体は、磁石の磁力によって磁石に引き付けられる物質を示す。磁性体は、例えば、金属である。金属は、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、又は、合金である。合金(例えば、ステンレス)は、例えば、鉄、コバルト、及び、ニッケルのうちの1以上の成分を含む。
【0026】
例えば、スマートフォンは、ユーザによって様々な姿勢で使用され得る。従って、光学ユニットがスマートフォンに搭載される場合、スマートフォンの姿勢に応じて光学ユニットの姿勢も変化する。この場合、仮に光学ユニットに可動体と支持体との分離を抑制する構造を設けない場合は、スマートフォン(光学ユニット)の姿勢に依存して、可動体と支持体とが分離する可能性がある。これに対して、本実施形態では、光学ユニット1は、第1支持部材50の磁力に起因する引力によって可動体2と支持体3との分離を抑制する新規な構造を有する。
【0027】
なお、本実施形態では、可動体2と支持体3との分離は、可動体2と支持体3との第1方向Xの位置関係が一定に維持されず、可動体2と支持体3とが離散することを示す。従って、可動体側支持部51と支持体側支持部52との接触状態が磁力に起因する引力によって維持される限りにおいて、可動体2と支持体3との分離が抑制される。
【0028】
また、本実施形態では、米国特許出願公開第2021/72530号明細書に記載された技術(以下、「従来技術」)と比較して、光学ユニット1の部品点数を低減できる。具体的には、従来技術では、第1可動部と固定部との分離を回避するためには、2つの透磁率部材と2つの磁石とが必須である。なぜなら、2つの磁石は、第1可動部を駆動するための部材でもあるからである。これに対して、本実施形態では、光学ユニット1は、1つの可動体側支持部51と1つの支持体側支持部52とを有すればよいため、光学ユニット1の部品点数を低減できる。
【0029】
本実施形態では、第1方向Xの一方側X1において、第1支持部材50だけで可動体2を支持する。つまり、第1方向Xの一方側X1において、可動体2が一点支持される。加えて、第1支持部材50は、第2揺動軸線A2上に配置される。従って、摺動半径を実質ゼロにできる。その結果、可動体2が第2揺動軸線A2を中心に揺動する際の摺動抵抗を低減できる。摺動抵抗を低減できるため、可動部9を駆動する際の電力を低減できる。つまり、可動体2を揺動させる際に必要な力を低減できる。
【0030】
「摺動半径」とは、部材と部材とが接触した状態で揺動(回動)する際に、揺動中心(回動中心)から接触位置までの距離のことである。本実施形態では、第1方向Xの一方側X1において、揺動中心である第1支持部材50だけで可動体2を支持するため、摺動半径が実質ゼロになる。「摺動抵抗」は、摺動半径と摩擦力との積によって示される。従って、摺動抵抗が小さいほど、可動体2が揺動し易くなる。
【0031】
なお、従来技術では、3個の案内部材によって第1可動部を支持するため、本実施形態よりも摺動抵抗が大きい。これに対して、本実施形態では、光学ユニット1は、1つの第1支持部材50を有する。そして、1つの第1支持部材50において、1つの可動体側支持部51と1つの支持体側支持部52とは、第2揺動軸線A2上に配置される。従って、可動体2は、第1支持部材50によって、第2揺動軸線A2において1点で支持される。
【0032】
また、本実施形態では、第2揺動軸線A2上に配置される第1支持部材50によって可動体2を支持するだけでなく、第1支持部材50の磁力に起因する引力によって可動体2と支持体3との分離を回避している。従って、可動体2が第2揺動軸線A2を中心に揺動(回動)する際に、揺動方向(回動方向)と逆方向に可動体2が引き戻される磁力が可動体2に作用しない。その結果、可動体2を円滑に駆動できる。つまり、可動部9を駆動する際の電力を低減できる。
【0033】
なお、従来技術では、第1回転軸を挟んで2つの磁石が配置され、第1回転軸を挟んで2つの透磁率部材が配置される。従って、第1回転軸を中心として第1可動部を回転する際に、2つの磁石によって、第1可動部が回転方向の逆方向に引き戻される磁力が第1可動部に作用する。その結果、第1可動部を駆動する際の電力が大きくなる。
【0034】
図5Bは、
図5Aの第1支持部材50の拡大断面図である。
図5Bに示すように、可動体側支持部51及び支持体側支持部52の一方は、可動体側支持部51及び支持体側支持部52の他方に向かって突出する凸部であることが好ましい。
図5Bの例では、可動体側支持部51は、支持体側支持部52に向かって突出する凸部である。従って、この好ましい例によれば、可動体側支持部51と支持体側支持部52とが平面と平面とで接触する場合と比較して、可動体側支持部51と支持体側支持部52との間の摩擦を低減できる。
【0035】
図5Bの例では、可動体側支持部51は、可動体2から支持体側支持部52に向かって突出する。具体的には、可動体側支持部51は、可動体2の支持本体31の下対向面31eから、支持体側支持部52に向かって突出する。一方、
図3及び
図5Bの例では、支持体側支持部52は、略平板形状を有する。具体的には、支持体側支持部52は、略円板形状又は略円柱形状を有する。そして、支持体側支持部52は、支持体3において支持本体61の対向面61aと略面一である。
【0036】
また、本実施形態では、可動体側支持部51は、可動体2に固定されることが好ましい。この好ましい例によれば、例えば凸部である可動体側支持部51が可動体2に固定されるため、支持体3に固定される支持体側支持部52を例えば凸部にする場合と比較して、支持体側支持部52に対する可動体側支持部51の位置合わせが容易である。その結果、光学ユニット1の歩留まりが向上する。一方、支持体側支持部52は、支持体3に固定される。
【0037】
また、好ましくは、可動体側支持部51は、曲面CSを含む。そして、曲面CSは、支持体側支持部52に対して点接触する。この好ましい例によれば、可動体側支持部51と支持体側支持部52とが面接触する場合と比較して、可動体側支持部51と支持体側支持部52との間の摩擦抵抗を小さくできる。
図5Bの例では、可動体側支持部51の曲面CSの頂点と支持体側支持部52の表面FSとが接触する。表面FSは、略平坦であり、第1方向Xにおいて可動体側支持部51に対向する。表面FSは、支持本体61の対向面61aと略面一である。
【0038】
更に好ましくは、可動体側支持部51は、球体である。従って、可動体側支持部51を容易に製造できる。
図5Bの例では、可動体側支持部51を構成する球体の一部が可動体2に配置され、球体の他の一部が可動体2から支持体側支持部52に向けて突出する。
【0039】
具体的には、可動体2において支持本体31は凹部33を有する。凹部33は、下対向面31eに対して、支持体側支持部52から離れる側に窪んでいる。つまり、凹部33は第1方向Xの他方側X2に窪んでいる。可動体側支持部51を構成する球体の一部が凹部33に嵌っている。従って、可動体側支持部51は凹部33に固定される。例えば、可動体側支持部51を構成する球体は、圧入又は接着剤によって、凹部33に固定される。
【0040】
可動体側支持部51が凹部33に固定されることによって、可動体側支持部51の中心が第2揺動軸線A2からずれることを抑制できる。その結果、回転中心がずれることに起因する像ブレを抑制できる。また、回転中心がずれることに起因して可動体2の揺動が不安定になることを、抑制できる。その結果、例えば、揺動に必要な電流値が変動することを抑制できる。
【0041】
特に、本実施形態では、可動体側支持部51を構成する球体の一部が凹部33に嵌る。従って、可動体側支持部51を構成する球体を可動体2の支持本体31に配置した状態で可動体2を支持体3に組み付けることができるため、組立作業を容易にできる。
【0042】
一方、支持体3において支持本体61は凹部64を有する。凹部64は、支持本体61の対向面61aに対して、可動体側支持部51から離れる側に窪んでいる。つまり、凹部64は、第1方向Xの一方側X1に窪んでいる。そして、支持体側支持部52が凹部64に嵌っている。従って、支持体側支持部52は凹部64に固定される。例えば、支持体側支持部52は、接着剤又は圧入によって、凹部64に固定される。
【0043】
また、可動体側支持部51と支持体側支持部52との間に潤滑剤が配置されていてもよい。この場合、可動体側支持部51及び支持体側支持部52が摩耗することを低減できる。潤滑剤は、潤滑のために使用する物質である。潤滑剤は、例えば、フッ素溶剤に潤滑成分を溶かした物質である。
【0044】
特に、本実施形態では、可動体側支持部51は、磁性体510を含むことが好ましい。加えて、支持体側支持部52は、磁石520を含むことが好ましい。この好ましい例によれば、例えば球体である可動体側支持部51を磁性体510で構成するため、可動体側支持部51を磁石によって構成する場合と比較して、可動体側支持部51の製造が容易である。一例ではあるが、可動体側支持部51は、比較的小さな部材(例えば、直径約1mm程度の部材)であるため、磁石で構成するよりも、磁性体で構成したほうが製造容易である。更に、可動体側支持部51を磁性体510で構成すると、可動体側支持部51を磁石によって構成する場合と比較して、可動体側支持部51を可動体2に配置する際の作業が容易である。可動体側支持部51の磁性体510は、磁力を有しないからである。
【0045】
本実施形態では、一例として、可動体側支持部51の全体が磁性体510であり、支持体側支持部52の全体が磁石520である。つまり、可動体側支持部51は磁性体510からなり、支持体側支持部52は磁石520からなる。
【0046】
図5Cは、
図5Bの第1支持部材50を示す平面図である。
図5Cに示すように、第1方向Xから見て、可動体側支持部51の磁性体510は、支持体側支持部52の磁石520の外縁520a内に収まることが好ましい。この好ましい例によれば、磁石520に対する磁性体510の位置合わせが容易である。従って、光学ユニット1の組立作業が容易である。例えば、磁石520のサイズに製造公差が存在する場合であっても、磁石520に対する磁性体510の位置合わせが容易である。
【0047】
なお、例えば、磁石520が複数の磁石片から構成されていてもよい。この場合、例えば、第1方向Xから見て、複数の磁石片が円環状に配置される。そして、第1方向Xから見て、磁性体510は、複数の磁石片の外接円内に収まることが好ましい。
【0048】
次に、
図5及び
図6を参照して、光学ユニット1の説明を続ける。
図5Dは、
図2のVD-VD線に沿った断面図である。
図5Eは、
図2のVE-VE線に沿った断面図である。
図6は、本実施形態に係る光学ユニット1の光学要素10及びホルダ20の分解斜視図である。
【0049】
図5A、
図5D、
図5E、及び、
図6に示すように、光学要素10は、プリズムからなる。プリズムは、空気よりも屈折率の高い透明な材料から形成される。なお、光学要素10は、例えば、板状の鏡であってもよい。本実施形態では、光学要素10は、略三角柱形状を有する。具体的には、光学要素10は、光入射面11と、光出射面12と、反射面13と、一対の側面14とを有する。光入射面11には、光Lが入射される。光出射面12は、光入射面11に接続する。光出射面12は、光入射面11に対して垂直に配置される。反射面13は、光入射面11及び光出射面12に接続する。反射面13は、光入射面11及び光出射面12のそれぞれに対して約45度傾斜する。反射面13は、第1方向Xの一方側X1に進行する光Lを、第1方向Xと交差する第2方向Yの一方側Y1に反射する。すなわち、光学要素10は、第1方向Xの一方側X1に進行する光Lを、第1方向Xと交差する第2方向Yの一方側Y1に反射する。一対の側面14は、光入射面11、光出射面12及び反射面13に接続する。
【0050】
また、光学要素10の光軸L10と第2揺動軸線A2とは、重なって配置される。従って、可動体2を揺動させた際に光軸L10が第2揺動軸線A2からずれることを抑制できる。なお、本明細書において、光学要素10の光軸L10とは、光学要素10の光入射面11に対して垂直で且つ反射面13の中心を通過する軸線、又は光の入射するレンズ202の光軸、又は反射先にあるレンズユニットの光軸と反射面13との交点を通り、レンズユニットの光軸に対して垂直な方向に延びる軸線、又は、撮像素子の中心を通る直線と反射面13との交点を通り、撮像素子の中心を通る直線に対して垂直な方向に延びる軸線の少なくともいずれかと一致する軸線を意味する。典型的には、光学要素10の光入射面11に対して垂直で且つ反射面13の中心を通過する軸線と、光の入射するレンズ202の光軸と、反射先にあるレンズユニットの光軸と反射面13との交点を通り、レンズユニットの光軸に対して垂直な方向に延びる軸線と、撮像素子の中心を通る直線と反射面13との交点を通り、撮像素子の中心を通る直線に対して垂直な方向に延びる軸線とは全て一致する。
【0051】
ホルダ20及び第1支持部30の少なくとも一方は、予圧部40とは反対側に窪む凹部、又は、予圧部40に向かって突出する凸部を有する。本実施形態では、ホルダ20は、予圧部40とは反対側に窪む軸上凹部22bを有する。
【0052】
具体的には、ホルダ20は、例えば樹脂からなる。ホルダ20は、ホルダ本体21と、一対の側面部22とを有する。また、ホルダ20は、一対の対向側面22aと、軸上凹部22bとを有する。
【0053】
ホルダ本体21は、第3方向Zに延びる。ホルダ本体21は、支持面21aと、複数の凹部21dとを有する。本実施形態では、ホルダ本体21は、3つの凹部21dを有する。支持面21aは、光学要素10を支持する。支持面21aは、光学要素10の反射面13に面し、一対の側面部22に接続される面である。支持面21aは、光Lの入射方向に対して約45度傾斜した傾斜面であり、傾斜面の略全域にわたって光学要素10の反射面13と接触する。光Lの入射方向は、第1方向Xの一方側X1に向かう方向である。凹部21dは、支持面21aに配置される。凹部21dは、光学要素10とは反対側に窪む。なお、ホルダ本体21は、凹部21dを有しなくてもよい。
【0054】
また、ホルダ本体21は、背面21bと、下面21cとを有する。背面21bは、支持面21aのうち光Lの出射方向とは反対側の端部に接続する。なお、「光Lの出射方向」は、第2方向Yの一方側Y1である。また、「光Lの出射方向とは反対側の端部」は、第2方向Yの他方側Y2の端部である。下面21cは、支持面21a及び背面21bに接続する。
【0055】
一対の側面部22は、ホルダ本体21から第3方向Zと交差する交差方向に延びる。交差方向は、例えば、第1方向X及び第2方向Yを含む。一対の側面部22は、ホルダ本体21の第3方向Zの両端に配置される。一対の側面部22は、第3方向Zに互いに対称な形状を有する。一対の対向側面22aは、一対の側面部22のそれぞれに配置される。一対の対向側面22aは、一対の予圧部40にそれぞれ対向する。予圧部40の詳細構造については、後述する。軸上凹部22bは、対向側面22aに配置される。軸上凹部22bは、第1揺動軸線A1上においてホルダ20の内側に向かって窪む。軸上凹部22bは、予圧部40の軸上凸部45の少なくとも一部を収容する。軸上凹部22bは、凹状の球面の少なくとも一部を有する。
【0056】
また、ホルダ20及び第1支持部30の一方は、制限凹部22cを有する。制限凹部22cは、第1揺動軸線A1と交差する方向に予圧部40の突出部46(
図4)が移動することを制限する。
【0057】
本実施形態では、ホルダ20は、制限凹部22cを有する。具体的には、制限凹部22cは、対向側面22aに配置される。制限凹部22cは、予圧部40が側面部22に沿って所定距離以上移動することを制限する。より具体的には、制限凹部22cは、第3方向Zにおいてホルダ20の内側に向かって窪む。制限凹部22cは、内面22dを有する。例えば、制限凹部22cは、第1方向Xの両側、及び、第2方向Yの両側が閉じた凹部であってもよい。また、例えば、制限凹部22cは、第1方向Xの片側が開放した凹部であってもよいし、第2方向Yの片側が開放した凹部であってもよい。
【0058】
制限凹部22cの内部には、予圧部40の突出部46(
図4)が配置される。予圧部40の突出部46は、軸上凸部45が軸上凹部22bに嵌った状態で、制限凹部22cの内面22dから所定距離をおいて離隔する。その一方、光学ユニット1に衝撃等が加わってホルダ20が例えば第1方向X及び第2方向Yに所定距離以上移動しそうになった場合、予圧部40の突出部46が制限凹部22cの内面22dに接触する。従って、ホルダ20が予圧部40から外れることを抑制できる。制限凹部22cは、本実施形態では、例えば4つ設けられている。制限凹部22cの数は、1つであってもよいが、複数であることが好ましい。
【0059】
光学ユニット1は、予圧部40を有する。予圧部40は、ホルダ20と第1支持部30とを接続する。予圧部40は、弾性変形可能である。また、予圧部40は、ホルダ20及び第1支持部30の少なくとも一方に配置される。予圧部40は、ホルダ20及び第1支持部30の少なくとも他方に対して、第1揺動軸線A1の軸線方向に予圧を付与する。従って、ホルダ20が第1支持部30に対して第1揺動軸線A1の軸線方向に位置ズレすることを抑制できる。また、各部材の寸法に製造誤差が生じた場合であっても、第1揺動軸線A1の軸線方向にがたつき等が生じることを抑制できる。言い換えると、例えば、第1揺動軸線A1の軸線方向にホルダ20の位置が変位することを抑制できる。第1揺動軸線A1の軸線方向は、第3方向Zに沿った方向である。なお、本明細書において「予圧を付与する」とは、予め荷重を与えることを意味する。本実施形態では、予圧部40の弾性変形(弾性力)によって予め荷重を与える。
【0060】
次に、
図7及び
図8を参照して、予圧部40の詳細構造について説明する。
図7は、本実施形態に係る光学ユニット1の光学要素10、ホルダ20及び予圧部40を示す分解斜視図である。
図8は、本実施形態に係る光学ユニット1の光学要素10、ホルダ20、予圧部40、第1支持部30及び第2磁石121を示す分解斜視図である。
図7及び
図8に示すように、予圧部40は、ホルダ20と第1支持部30との間に配置される。予圧部40は、ホルダ20に対して第1揺動軸線A1の軸線方向に予圧を付与する。
【0061】
具体的には、本実施形態では、各予圧部40は、単一の部材である。予圧部40は、1枚の板部材を折り曲げることによって形成されている。予圧部40は、本実施形態では板バネである。予圧部40は、第1支持部30に配置される。
【0062】
予圧部40は、ホルダ20側に位置する第1面部41と、第1支持部30側に位置する第2面部42と、第1面部41及び第2面部42を接続する湾曲部43とを有する。従って、予圧部40を第1揺動軸線A1の軸線方向に容易に変形できる。その結果、湾曲部43のたわみにより弾性力が生じるため、簡素な構成で、ホルダ20に対して軸線方向に容易に予圧を付与できる。
【0063】
具体的には、第1面部41は、第1揺動軸線A1の軸線方向においてホルダ20に対向する。第1面部41は、ホルダ20の側面部22に対向する。第1面部41は、第1方向X及び第2方向Yに沿って延びる。第1面部41は、側面部22に沿って配置される。第2面部42は、第1揺動軸線A1の軸線方向において第1支持部30に対向する。第2面部42は、第1支持部30の側面部32に対向する。第2面部42は、第1方向X及び第2方向Yに沿って延びる。第2面部42は、側面部32に沿って配置される。
【0064】
湾曲部43は、弾性変形可能である。よって、第1面部41及び第2面部42は、互いに接近又は離隔する方向に移動可能である。本実施形態では、予圧部40がホルダ20と第1支持部30との間に配置された状態で、第1面部41及び第2面部42が互いに接近するように、予圧部40は第1揺動軸線A1の軸線方向に圧縮変形される。従って、予圧部40は、変形量に応じた反力によってホルダ20に予圧を付与する。
【0065】
予圧部40は、ホルダ20及び第1支持部30の少なくとも一方に向かって突出する凸部、又は、ホルダ20及び第1支持部30の少なくとも一方とは反対側に窪む凹部を有する。予圧部40の凸部又は凹部は、ホルダ20及び第1支持部30の少なくとも一方の凹部又は凸部に接触する。本実施形態では、予圧部40は、軸上凸部45を有する。軸上凸部45は、ホルダ20に向かって突出する。予圧部40の軸上凸部45は、ホルダ20の軸上凹部22bに接触する。
【0066】
また、本実施形態では、軸上凸部45は、第1面部41に配置される。軸上凸部45は、第1揺動軸線A1上においてホルダ20に向かって突出する。軸上凸部45は、球面の少なくとも一部を有する。軸上凸部45の一部は、軸上凹部22bに収容される。従って、軸上凸部45と軸上凹部22bとが点接触するので、予圧部40によってホルダ20を安定して支持できる。
【0067】
また、本実施形態では、予圧部40は一対設けられている。つまり、光学ユニット1は、予圧部40を一対有する。一対の予圧部40は、ホルダ20に対して第1揺動軸線A1の軸線方向の両側に配置される。従って、予圧部40をホルダ20の片側のみに配置する場合に比べて、ホルダ20をより安定して支持できる。
【0068】
具体的には、一対の予圧部40の軸上凸部45は、ホルダ20の一対の軸上凹部22bにそれぞれ接触する。ホルダ20は、軸上凸部45と接触する2つの接点で予圧部40によって、第1揺動軸線A1の軸線方向の両側から支持される。従って、ホルダ20は、2つの接点を通過する第1揺動軸線A1を中心として揺動可能である。
【0069】
また、予圧部40は、突出部46をさらに有する。突出部46は、第1面部41及び第2面部42の一方に配置されるとともに、ホルダ20及び第1支持部30の一方に向かって突出する。本実施形態では、突出部46は、軸上凸部45と同様、第1面部41に配置される。突出部46は、第1揺動軸線A1に沿った方向において、ホルダ20に向かって突出する。突出部46は、制限凹部22cに対応して設けられる。突出部46は、各予圧部40に例えば4つ設けられる。突出部46の一部は、制限凹部22cに収容される。突出部46は、軸上凸部45を囲うように配置される。言い換えると、軸上凸部45は、4つの突出部46を含む領域の内部に配置される。なお、突出部46の数は、例えば、1つ~3つ、又は、5つ以上であってもよい。また、突出部46は、第1面部41の端部を折り曲げることによって形成されている。
【0070】
予圧部40は、取付部47を有する。取付部47は、例えば第2面部42に配置される。取付部47は、第2面部42の上端に配置される。取付部47は、第1支持部30の側面部32の上端に取り付けられる。取付部47は、例えば、側面部32の上端を第1方向Xに挟み込むことにより、側面部32に取り付けられる。なお、予圧部40は、取付部47を有しなくてもよく、例えば、接着剤等を用いて第1支持部30に固定されてもよい。
【0071】
次に、
図8及び
図9を参照して、第1支持部30周辺の構造について詳細に説明する。
図9は、本実施形態に係る光学ユニット1の可動体2を示す斜視図である。
図8及び
図9に示すように、第1支持部30は、支持本体31と、一対の側面部32とを有する。一対の側面部32は、第1揺動軸線A1の軸線方向においてホルダ20の両側に配置される。支持本体31は、一対の側面部32を接続する。
【0072】
支持本体31は、上対向面31aを有する。上対向面31aは、ホルダ20に対して第1方向Xに対向する。なお、上対向面31aは、ホルダ20の底面に対して離隔する。
【0073】
一対の側面部32は、支持本体31の第3方向Zの両端に配置される。一対の側面部32は、第3方向Zに互いに対称な形状を有する。側面部32は、内側面32aを有する。内側面32aは、ホルダ20に対して第3方向Zに対向する。
【0074】
第1支持部30及びホルダ20の一方は、溝32bを有する。溝32bは、第1揺動軸線A1上において第1支持部30及びホルダ20の他方とは反対側に窪む。従って、予圧部40を溝32bに沿って移動させることによって、ホルダ20及び予圧部40を容易に第1支持部30に取り付けることができる。本実施形態では、第1支持部30は、溝32bを有する。溝32bは、第1揺動軸線A1上においてホルダ20とは反対側に窪む。溝32bは、予圧部40の少なくとも一部を収容するとともに、第1揺動軸線A1と交差する方向に延びる。
【0075】
本実施形態では、溝32bは、内側面32aに配置される。溝32bは、予圧部40の一部を収容する。溝32bは、第1方向Xに延びる。
【0076】
各側面部32は、一対の支柱部32cと、接続部32dとを有する。一対の支柱部32cは、第2方向Yに互いに離隔する。支柱部32cは、第1方向Xに延びる。接続部32dは、支柱部32cの上部同士を接続する。接続部32dの第3方向Zの長さは、支柱部32cの第3方向Zの長さよりも短い。そして、一対の支柱部32cと接続部32dとによって、溝32bが構成される。
【0077】
また、予圧部40は、溝32bに沿って移動可能である。本実施形態では、予圧部40は、溝32bに沿って第1方向Xに移動可能である。予圧部40を溝32bに沿って移動させることによって、予圧部40の取付部47が接続部32dを第3方向Zに挟む。よって、予圧部40が第1支持部30に固定される。
【0078】
また、側面部32は、外側面32eと、収容凹部32fとを有する。外側面32eは、第3方向Zの外側を向く。収容凹部32fは、外側面32eに配置される。収容凹部32fは、第2揺動機構120の第2磁石121の少なくとも一部を収容する。また、側面部32は、一対の切欠き部32gを有する。切欠き部32gは、収容凹部32fの第2方向Yの端部に配置される。切欠き部32gには、磁石支持板122の突起122aが配置される。磁石支持板122は、第2磁石121を支持する。切欠き部32gは、磁石支持板122を支持する。磁石支持板122の材質は、特に限定されないが、例えば磁性体を用いてもよい。この場合、磁石支持板122は、バックヨークとも呼ばれる。磁性体からなる磁石支持板122を用いることによって、磁気漏れを抑制できる。
【0079】
また、支持本体31は、下対向面31eを有する。下対向面31eは、支持体3に対して第1方向Xに対向する。第1支持部材50の可動体側支持部51は、下対向面31eから第1方向Xの一方側X1に向かって突出する。
【0080】
次に、
図10を参照して支持体3を説明する。
図10は、本実施形態に係る光学ユニット1の支持体3の分解斜視図である。
図10に示すように、支持体3は、対向面61aを有する。支持体3の第2支持部60は、第1支持部材50(
図3)を介して、第1揺動軸線A1と交差する第2揺動軸線A2を中心として揺動可能に、第1支持部30(
図3)を支持する。また、第2支持部60は、第1支持部材50を介して、第1方向Xに第1支持部30を支持する。
【0081】
また、第2支持部60は、支持本体61と、一対の側面部62と、背面部63とを有する。支持本体61は、対向面61aと、凹部64とを有する。
【0082】
対向面61aは、第1支持部30の下対向面31e(
図9)に対して第1方向Xに対向する。凹部64は、対向面61aに配置される。凹部64は、第1方向Xにおいて可動体2とは反対方向に窪む。つまり、凹部64は、第1方向Xの一方側X1に窪む。凹部64は、支持体側支持部52を保持する。支持体側支持部52は、光学要素10の反射面13(
図5A参照)に対して第1方向Xの一方側X1に配置される。従って、光路を遮断することなく、支持体側支持部52を配置することができる。
【0083】
第2支持部60において、一対の側面部62は、支持本体61の第3方向Zの両端に配置される。一対の側面部62は、第3方向Zに互いに対称な形状を有する。側面部62は、第2揺動機構120の第2コイル125が配置される収容穴62aを有する。収容穴62aは、側面部62を厚み方向に貫通する。つまり、収容穴62aは、側面部62を第3方向Zに貫通する。
【0084】
背面部63は、支持本体61の第2方向Yの他方側Y2の端部に配置される。背面部63は、第1揺動機構110の第1コイル115が配置される収容穴63aを有する。収容穴63aは、背面部63を厚み方向に貫通する。つまり、収容穴63aは、背面部63を第2方向Yに貫通する。
【0085】
FPC(Flexible Printed Circuit)80は、一対の側面部62の外側及び背面部63の外側を覆うように配置される。FPC80は、例えば、半導体素子、接続端子及び配線を有する。FPC80は、第1揺動機構110の第1コイル115及び第2揺動機構120の第2コイル125に対して、所定のタイミングで電力を供給する。
【0086】
具体的には、FPC80は、基板81、接続端子82、補強板83及び磁性部材84を有する。基板81は、例えばポリイミド基板からなる。基板81は、可撓性を有する。基板81は、複数のピン挿入孔81aを有する。ピン挿入孔81aは、第1コイル115に対向する。各ピン挿入孔81aには、第1コイル115のコイルピン(図示せず)が配置される。
【0087】
接続端子82は、基板81に配置される。接続端子82は、第1揺動機構110及び第2揺動機構120に対向する。接続端子82は、図示しないホール素子の端子に電気的に接続される。なお、1つのホール素子に対して例えば4つの接続端子82が配置される。補強板83は、基板81に3つ配置される。補強板83は、第1揺動機構110及び第2揺動機構120に対向する。補強板83は、基板81が撓むことを抑制する。
【0088】
磁性部材84は、基板81に3つ配置される。2つの磁性部材84は、第2揺動機構120の第2磁石121(
図3)に対向する。第2コイル125に通電しない状態において、第2磁石121及び磁性部材84の間には引力が生じる。よって、可動体2は、第2揺動軸線A2を中心とする回転方向において、基準位置に配置される。また、残り1つの磁性部材84は、第1揺動機構110の第1磁石111(
図4)に対向する。第1コイル115に通電しない状態において、第1磁石111及び磁性部材84の間には引力が生じる。よって、可動体2は、第1揺動軸線A1を中心とする回転方向において、基準位置に配置される。また、第1磁石111及び磁性部材84の間に引力が生じることによって、第2方向Yの一方側Y1にホルダ20が抜け出ることを抑制できる。
【0089】
ここで、
図5A及び
図5Dに示すように、光学ユニット1は、第1揺動機構110をさらに有する。第1揺動機構110は、第1揺動軸線A1を中心としてホルダ20を第1支持部30に対して揺動する。従って、2つの揺動軸線(第1揺動軸線A1及び第2揺動軸線A2)のそれぞれを中心として光学要素10を容易に揺動できる。第1揺動機構110は、第1磁石111と、第1コイル115とを有する。第1コイル115は、第1磁石111に対して第2方向Yに対向する。
【0090】
第1磁石111は、ホルダ20及び第2支持部60の一方に配置される。一方、第1コイル115は、ホルダ20及び第2支持部60の他方に配置される。従って、第1コイル115に電流を流した際に生じる磁場に起因して、第1磁石111に力が作用する。そして、ホルダ20は、第1支持部30に対して揺動する。よって、第1磁石111及び第1コイル115を用いた簡素な構成でホルダ20を揺動できる。本実施形態では、第1磁石111は、ホルダ20に配置される。第1コイル115は、第2支持部60に配置される。第1コイル115を第2支持部60に配置することによって、第1コイル115は第2支持部60に対して揺動しない。従って、第1コイル115を例えば第1支持部30に配置する場合と比較して、第1コイル115に対して容易に配線できる。
【0091】
具体的には、第1磁石111は、ホルダ20の背面21bに配置される。すなわち、第1磁石111は、ホルダ20のうち第2方向Yの他方側Y2の端部20aに配置される。第1磁石111は、n極からなるn極部111aと、s極からなるs極部111bとを有する。第1磁石111は、第1方向Xに分極されている。
【0092】
第1コイル115は、第2支持部60の背面部63の収容穴63aに配置される。すなわち、第1コイル115は、第2支持部60のうち第2方向Yの他方側Y2の端部60aに配置される。従って、第1コイル115及び第1磁石111が光路上に配置されることを抑制できる。よって、第1コイル115及び第1磁石111によって光路が遮断されることを抑制できる。
【0093】
第1コイル115に通電することによって、第1コイル115の周辺に磁場が生じる。そして、第1磁石111には磁場に起因する力が作用する。その結果、ホルダ20及び光学要素10は、第1揺動軸線A1を中心として、第1支持部30及び第2支持部60に対して揺動する。
【0094】
第2揺動機構120は、第2揺動軸線A2を中心として可動体2を揺動する。具体的には、第2揺動機構120は、第2揺動軸線A2を中心として第1支持部30を第2支持部60に対して揺動する。第2揺動機構120は、第2磁石121と、第2磁石121に対向する第2コイル125とを有する。第2磁石121は、第1支持部30及び第2支持部60の一方に配置される。一方、第2コイル125は、第1支持部30及び第2支持部60の他方に配置される。従って、第2コイル125に電流を流した際に生じる磁場により、第1支持部30は第2支持部60に対して揺動する。よって、第2磁石121及び第2コイル125を用いた簡素な構成で第1支持部30を揺動できる。本実施形態では、第2磁石121は、第1支持部30に配置される。第2コイル125は、第2支持部60に配置される。第2コイル125を第2支持部60に配置することによって、第2コイル125は第2支持部60に対して揺動しない。従って、第2コイル125を例えば第1支持部30に配置する場合と比較して、第2コイル125に対して容易に配線できる。
【0095】
具体的には、第2磁石121は、第1支持部30の側面部32の収容凹部32f(
図8参照)に配置される。すなわち、第2磁石121は、第1支持部30のうち第1方向Xと交差する方向の端部30aに配置される。本実施形態では、第2磁石121は、第3方向Zの端部30aに配置される。第2磁石121は、n極からなるn極部121aと、s極からなるs極部121bとを有する。第2磁石121は、第1方向Xと交差する第2方向Yに分極されている。従って、光の入射方向に沿った第2揺動軸線A2を中心として、可動体2を揺動できる。
【0096】
第2コイル125は、第2磁石121に対して第3方向Zに対向する。第2コイル125は、第2支持部60の側面部62の収容穴62a(
図10参照)に配置される。すなわち、第2コイル125は、第2支持部60のうち第3方向Zの端部60bに配置される。
【0097】
第2コイル125に通電することによって、第2コイル125の周辺に磁場が生じる。そして、第2磁石121には磁場に起因する力が作用する。その結果、第1支持部30、ホルダ20及び光学要素10は、第2揺動軸線A2を中心として、第2支持部60に対して揺動する。
【0098】
なお、
図1に示したように光学ユニット1をスマートフォン200に用いる場合、スマートフォン200内のホール素子(図示せず)がスマートフォン200の姿勢を検知する。そして、第1揺動機構110及び第2揺動機構120は、スマートフォン200の姿勢に応じて制御される。また、光学ユニット1は、第2支持部60に対するホルダ20の姿勢を検知可能であることが好ましい。この場合、第2支持部60に対するホルダ20の姿勢を高精度に制御できる。なお、スマートフォン200の姿勢を検知するセンサとして、例えばジャイロセンサを用いてもよい。
【0099】
以下、
図11~
図15を参照して、本実施形態の第1変形例~第5変形例について説明する。以下では、
図1から
図10で示した本実施形態と異なる点を主に説明する。
【0100】
(第1変形例)
図11Aを参照して、本開示の実施形態の第1変形例を説明する。
図11Aは、本実施形態の第1変形例に係る光学ユニット1の第1支持部材50を模式的に示す断面図である。第1変形例では、可動体側支持部51Aが球体と異なる形状を有する例を説明する。
図11Aに示すように、第1支持部材50は、可動体側支持部51A及び支持体側支持部52を有する。可動体側支持部51Aは、略半球状の半球部530と、略円柱状の円柱部540とを有する。半球部530は曲面CSを有する。そして、曲面CSが支持体側支持部52と点接触する。従って、第1変形例では、面接触の場合と比較して、可動体側支持部51Aと支持体側支持部52との間の摩擦抵抗を小さくできる。
【0101】
(第2変形例)
図11Bを参照して、本開示の実施形態の第2変形例を説明する。
図11Bは、本実施形態の第2変形例に係る光学ユニット1の第1支持部材50を模式的に示す断面図である。第2変形例では、支持体側支持部52Aがコーティング層521を有する例を説明する。
【0102】
図11Bに示すように、第1支持部材50は、可動体側支持部51及び支持体側支持部52Aを有する。支持体側支持部52Aは、磁石520と、コーティング層521とを含む。コーティング層521は、磁石520の少なくとも一部を覆う。その結果、第2変形例では、磁石520の摩耗を低減できる。
【0103】
図11Bの例では、コーティング層521は、磁石520の表面FSを覆う。従って、可動体側支持部51はコーティング層521に接触する。コーティング層521は、可動体側支持部51と第1方向Xに対向する。コーティング層521は、例えば、シリカを含有する被膜、又は、メッキである。
【0104】
なお、可動体側支持部51が、磁性体510の表面を覆うコーティング層を有していてもよい。
【0105】
(第3変形例)
図12を参照して、本開示の実施形態の第3変形例を説明する。
図12は、本実施形態の第3変形例に係る光学ユニット1の弾性部160周辺の構造を模式的に示す断面図である。第3変形例では、光学ユニット1が弾性部160を有する例について説明する。
【0106】
図12に示すように、光学ユニット1は、可動体2と支持体3とを接続する弾性部160を有する。弾性部160は、弾性変形可能である。弾性部160は、第2揺動軸線A2(
図5E)及び光軸L10(
図5E)から離隔した位置に配置される。弾性部160は、第2揺動軸線A2を中心として揺動可能に可動体2を支持する。従って、弾性部160によって可動体2を支持するため、従来技術のように3個の案内部材によって第1可動部を支持する場合と異なり、摺動摩擦力を抑制できる。具体的には、第3変形例では、弾性部160が弾性変形するため、弾性部160と可動体2との間の摺動摩擦力が生じることを抑制できる。
【0107】
第3変形例では、弾性部160の第1方向Xの両端部は、第1支持部30及び第2支持部60にそれぞれ固定される。従って、弾性部160と可動体2との間の摺動摩擦力は略ゼロである。また、弾性部160と支持体3との間の摺動摩擦力も略ゼロである。
【0108】
第3変形例では、弾性部160は、第1支持部30の支持本体31と第2支持部60の支持本体61との間に配置される。支持本体31は、弾性部160の一部を収容する凹部31jを有してもよい。支持本体61は、弾性部160の一部を収容する凹部61eを有してもよい。そして、弾性部160は、凹部31jと凹部61eとに固定されてもよい。
【0109】
弾性部160の数は、特に限定されないが、例えば複数である。弾性部160の数は、2つであることが好ましい。弾性部160は、例えば、バネ部材である。弾性部160は、例えば、ゴム部材、又は、ゲル状の部材であってもよい。
【0110】
(第4変形例)
図13を参照して、本開示の実施形態の第4変形例を説明する。
図13は、本実施形態の第4変形例に係る光学ユニット1の弾性部160周辺の構造を模式的に示す断面図である。第4変形例では、第3変形例とは異なり、弾性部160が支持本体31と支持本体61との間以外の位置に配置される例について説明する。
図13に示すように、弾性部160は、第3変形例と同様、可動体2と支持体3とを接続する。
【0111】
第4変形例では、弾性部160は、例えば、第1方向Xの他方側X2から見て、可動体2の隅に接続される。第4変形例では、可動体2の4つの隅に弾性部160が接続される。なお、弾性部160は、可動体2の隅以外の部分に接続されてもよい。また、弾性部160は、例えば、可動体2のうち第1方向Xの他方側X2の端部に接続されてもよいし、可動体2のうち第1方向Xの中央部に接続されてもよい。
【0112】
(第5変形例)
図14及び
図15を参照して、本開示の実施形態の第5変形例を説明する。
図14は、本実施形態の第5変形例に係る光学ユニット1の可動体2を示す斜視図である。
図15Aは、第5変形例に係る光学ユニット1を示す断面図である。
図15Bは、光学ユニット1の可動体2において可動体側支持部51及び第2支持部材90を示す斜視図である。第5変形例では、第1支持部材50及び第2支持部材90によって、可動体2及び支持体3を支持する例を説明する。
【0113】
図14に示すように、光学ユニット1は、複数の第2支持部材90を更に有する。
図14の例では、光学ユニット1は、2つの第2支持部材90を有する。
図15Aに示すように、第2支持部材90は、可動体2と支持体3との間に配置される。そして、第2支持部材90は、第1方向Xの一方側X1から、可動体2を支持する。従って、第5変形例によれば、第1支持部材50及び複数の第2支持部材90によって可動体2を支持できるため、可動体2が安定して支持される。
【0114】
第5変形例では、第2支持部材90は、支持本体61に向かって突出する凸部である。従って、第2支持部材90と支持本体61とが平面と平面とで接触する場合と比較して、第2支持部材90と支持本体61との間の摩擦を低減できる。
【0115】
具体的には、第2支持部材90は、可動体2から支持本体61に向かって突出する。つまり、第2支持部材90は、可動体2の支持本体31の下対向面31eから、支持体3の支持本体61の対向面61aに向かって突出する。そして、第2支持部材90は支持本体61の対向面61aに接触する。
【0116】
また、第2支持部材90は、曲面を有する。
図15Aの例では、第2支持部材90の曲面の頂点と支持本体61の対向面61aとが接触する。対向面61aは、略平坦であり、第1方向Xにおいて支持本体31に対向する。
【0117】
一例として、第2支持部材90は、略球体である。第2支持部材90の材質は、特に限定されるものではないが、第2支持部材90は、例えばセラミック、樹脂又は金属により形成される。
【0118】
第2支持部材90は、可動体2に固定される。具体的には、可動体2において支持本体31は凹部34(
図14)を有する。凹部34は、下対向面31eに対して、支持本体61(
図15A)から離れる側に窪んでいる。つまり、凹部34は、下対向面31eに対して、第1方向Xの他方側X2に窪んでいる。第2支持部材90を構成する球体の一部が凹部34に嵌っている。従って、第2支持部材90は凹部34に固定される。例えば、第2支持部材90を構成する球体は、圧入又は接着剤によって、凹部34に固定される。
【0119】
特に、第5変形例では、
図15Bに示すように、複数の第2支持部材90は、第2揺動軸線A2から離隔した位置に配置される。そして、第1支持部材50及び複数の第2支持部材90は、同一円周C上に配置される。従って、複数の第2支持部材90は、第1支持部材50からの距離が等しい位置で可動体2を支持できる。その結果、可動体2をより安定して支持できる。
【0120】
具体的には、可動体側支持部51及び複数の第2支持部材90は、同一円周C上に配置される。従って、複数の第2支持部材90は、可動体側支持部51からの距離が等しい位置で可動体2を支持できる。
【0121】
また、可動体側支持部51及び複数の第2支持部材90は、第2揺動軸線A2と交差する同一平面上に配置される。従って、同一平面上に配置される可動体側支持部51及び複数の第2支持部材90によって、可動体2及び支持体3を支持できる。その結果、可動体2及び支持体3を安定して支持できる。なお、可動体側支持部51及び複数の第2支持部材90が配置される同一平面としては、例えば、下対向面31eを含む平面、又は、対向面61aを含む平面が挙げられる。
【0122】
また、第2支持部材90の位置は、一定である。言い換えると、第2支持部材90は、可動体2及び支持体3の一方に対して移動しない。本実施形態では、第2支持部材90は、可動体2に対して移動しない。言い換えると、本実施形態では、可動体2が揺動した場合も、可動体2に対する第2支持部材90の位置は、一定である。従って、可動体2をより安定して支持できる。
【0123】
また、本実施形態では、第2支持部材90の数は、2つである。従って、3つの凸部(可動体側支持部51及び2つの第2支持部材90)で可動体2を支持するため、4つ以上の凸部によって可動体2を支持する場合に比べて、可動体2をより安定して支持できる。また、本実施形態では、3点で可動体2に対して点接触するため、可動体2をさらに安定して支持できる。
【0124】
以上、図面を参照しながら本開示の実施形態(変形例を含む。)について説明した。但し、本開示は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の開示の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。例えば、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本開示の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0125】
(1)
図5を参照して説明した本実施形態では、可動体側支持部51が凸部(例えば球体)であり、支持体側支持部52が略平板状であったが、可動体側支持部51及び支持体側支持部52の形状は特に限定されない。例えば、可動体側支持部51が略平板状であり、支持体側支持部52が凸部(例えば球体)であってもよい。また、支持体側支持部52は、略平板状に限定されない。支持体側支持部52は、例えば略平坦な表面FSを有していればよい。この点は、支持体側支持部52が凸部である場合の可動体側支持部51の形状についても同様である。また、可動体側支持部51の形状は、
図5B及び
図11Aに示す形状に限定されない。可動体側支持部51は、例えば曲面を有していればよい。また、例えば、可動体側支持部51は、先端に向かって先細りの形状、又は、ピン形状を有してもよい。これらの点は、支持体側支持部52が凸部である場合も同様である。
【0126】
また、
図5Bでは、可動体側支持部51が磁性体510を含み、支持体側支持部52が磁石520を含んでいたが、可動体側支持部51が磁石を含み、支持体側支持部52が磁性体を含んでいてもよい。また、可動体側支持部51及び支持体側支持部52の双方が磁石を含んでいてもよい。
【0127】
更に、
図14に示す第5変形例では、第2支持部材90は、可動体2に固定されたが、支持体3に固定されてもよい。つまり、第2支持部材90は、支持体3の支持本体61に固定されてもよい。また、第2支持部材90の形状は特に限定されない。例えば、第2支持部材90は、
図11Aに示す可動体側支持部51Aと同様の形状を有していてもよいし、他の形状を有していてもよい。第2支持部材90は、例えば曲面を有していればよい。また、例えば、第2支持部材90は、先端に向かって先細りの形状、又は、ピン形状を有してもよい。
【0128】
更に、可動体側支持部51と第1支持部30とは、一体成形品であってもよい。言い換えると、可動体側支持部51は、第1支持部30の一部によって形成されていてもよい。また、支持体側支持部52と第2支持部60とは、一体成形品であってもよい。言い換えると、支持体側支持部52は、第2支持部60の一部によって形成されていてもよい。更に、第2支持部材90と第1支持部30とは、一体成形品であってもよい。言い換えると、第2支持部材90は、第1支持部30の一部によって形成されていてもよい。
【0129】
(2)例えば、上記した実施形態では、互いに対称な形状を有する2つの部分又は2つの部材を「一対」として記載したが、本開示はこれに限らない。一対の部分又は一対の部材は、完全に対称な形状を有しなくてもよく、形状の一部が互いに異なっていてもよい。例えば、一対の側面部22、一対の予圧部40、一対の側面部32、又は、一対の側面部62は、形状の一部が互いに異なっていてもよい。
【0130】
また、上記した実施形態では、各予圧部40が1つの軸上凸部45を有する例について示したが、本開示はこれに限らない。例えば、各予圧部40は、2つの軸上凸部45を有してもよい。この場合、一方の軸上凸部45がホルダ20に向かって突出し、他方の軸上凸部45が第1支持部30に向かって突出してもよい。
【0131】
また、ホルダ20及び第1支持部30の少なくとも一方が軸上凸部を有してもよい。この場合、ホルダ20及び第1支持部30の両方が軸上凸部を有してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本開示は、例えば、光学ユニット及びスマートフォンに利用できる。
【符号の説明】
【0133】
1 光学ユニット
2 可動体
3 支持体
10 光学要素
20 ホルダ
30 第1支持部(ホルダ支持部)
50 第1支持部材
51、51A 可動体側支持部
52、52A 支持体側支持部
90 第2支持部材
110 第1揺動機構(ホルダ揺動機構)
120 第2揺動機構(揺動機構)
160 弾性部
200 スマートフォン
510 磁性体
520 磁石
521 コーティング層
A1 第1揺動軸線(ホルダ揺動軸線)
A2 第2揺動軸線(揺動軸線)
C 同一円周
L 光
X 第1方向(揺動軸方向)
Y 第2方向
Z 第3方向